JP2022181866A - 導電性シート、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材からの転写性に優れた導電性薄膜を備える導電性シート及びその製造方法を提供する。【解決手段】導電性シート100は、基材20と、基材上に積層された遷移金属を含む粒子が結合した、開口を有する粒子層10とを含み、基材と粒子層との接触率が0.01%以上20%以下である。導電性シートの製造方法は、前駆体薄膜を、分圧10Pa以上1000Pa以下の水素原子と酸素原子とを共に含む、例えば水分子を含む気体の存在下で、150秒以上2000秒以下、プラズマと反応させて粒子層を形成するプラズマ処理工程を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性シート、及びその製造方法に関する。
遷移金属及び/又は遷移金属化合物から構成される導電性薄膜は、様々な電子デバイスに利用され工業的に有用である。特に、前駆体を塗布する工程を含む方法により製造される遷移金属及び/又は遷移金属化合物の導電性薄膜は、大規模な製造が可能である観点から望ましい。
また、パターンを有する導電性薄膜は、様々な機能を有する観点から望ましい。例えば、導電性薄膜を細線パターンとすることで、薄膜に透明性を付与できることが知られている。
例えば、特許文献1には、基材上に金属又は金属化合物の微粒子の分散液を印刷し、焼成することによって少なくとも最表面の金属微粒子を融着させた導電性薄膜を含む導電性基板の製造方法が開示されており、焼成は水素分子を含む気体のプラズマに晒すことによって行うことが開示されている。このように、焼成にプラズマ処理を用いることで、比較的融点の高い銅であっても焼結することができる。また、このようにして形成される導電性薄膜と基材との密着性について、焼成過程で還元されずに残存する酸化物が寄与することも特許文献1に開示されている。
特許第5354037号
しかしながら、特許文献1にて開示されるプラズマを用いた手法では、導電性薄膜と基材との密着性に優れるため、基材上への保持性に優れる導電性薄膜を形成することはできるものの、得られる導電性薄膜の大きさや形態はプラズマ反応装置の大きさや形態によって制限を受けることがある。加えて、基材の種類についても高エネルギーであるプラズマとの反応に耐えるものを選択する必要があるため制限を受ける。
そのため、プラズマ反応装置による制限を受けず、より形態の自由度の高い導電性シートを得ることができるような導電性シートの製造方法や、基材の制限を受けず、プラズマ処理に使用し難いような基材に対しても導電性薄膜を形成できるような導電性シートの製造方法が望まれている。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、基材からの転写性に優れた導電性薄膜を備える導電性シート、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討した。その結果、偶然にも特定の工程を経ることで、基材からの転写性に優れた粒子層(導電性薄膜)を形成できることを見出し、これにより上記課題を解決し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
基材と、
該基材上に積層された、遷移金属を含む粒子が結合した粒子層と、を含み、
前記基材と前記粒子層との接触率が0.01%以上20%以下である、
導電性シート。
〔2〕
前記粒子層が、開口を有する連続したパターンを構成する、
〔1〕に記載の導電性シート。
〔3〕
前記粒子層の基材に対する開口率が20%以上99%以下である、
〔2〕に記載の導電性シート。
〔4〕
前記開口を満たす最大の内接円の直径が、0.5μm以上1000μm以下である、
〔2〕又は〔3〕に記載の導電性シート。
〔5〕
前記パターンが、複数の細線が交差して構成されるパターンである、
〔2〕~〔4〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔6〕
前記細線の線幅が、100nm以上1000μm以下である、
〔5〕に記載の導電性シート。
〔7〕
前記細線のピッチが、1.0μm以上1000μm以下である、
〔5〕又は〔6〕に記載の導電性シート。
〔8〕
前記粒子層の膜厚が、30nm以上1000μm以下である、
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔9〕
前記基材と前記粒子層の間の空隙の面積を、前記粒子層の幅で除して得られる前記空隙の平均高さが、30nm以上200nm以下である、
〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔10〕
前記粒子層における酸素の平均原子濃度が、10%以下である、
〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔11〕
前記基材が複数の層を有する、
〔1〕~〔10〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔12〕
前記基材が、ケイ素化合物を含む表面層を有する、
〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔13〕
前記基材が、プラスチックである、
〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔14〕
前記プラスチックが、ポリエチレンテレフタレートである、
〔13〕に記載の導電性シート。
〔15〕
前記遷移金属が、IUPACの周期表における第11族元素の金属を含む、
〔1〕~〔14〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔16〕
前記遷移金属が、銅を含む、
〔15〕に記載の導電性シート。
〔17〕
前記粒子層に含まれる前記粒子の平均粒径が、1.0nm以上500nm以下である、
〔1〕~〔16〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔18〕
可視光透過率が、70%以上99%以下である、
〔1〕~〔17〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔19〕
シート抵抗が、0.001Ωcm-2以上20Ωcm-2以下である、
〔1〕~〔18〕のいずれか一項に記載の導電性シート。
〔20〕
〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
タッチパネル。
〔21〕
〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
ディスプレイ。
〔22〕
〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
ヒーター。
〔23〕
〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
電磁波シールド。
〔24〕
〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
アンテナ。
〔25〕
基材に前駆体薄膜を形成する膜形成工程と、
前記前駆体薄膜を、分圧10Pa以上1000Pa以下の水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体の存在下で、150秒以上2000秒以下、プラズマと反応させて粒子層を形成するプラズマ処理工程と、を含む、
導電性シートの製造方法。
〔26〕
前記水素原子と酸素原子とを共に含む分子が水分子である、
〔25〕に記載の導電性シートの製造方法。
〔27〕
前記前駆体薄膜が開口を有する連続したパターンを構成する、
〔25〕又は〔26〕に記載の導電性シートの製造方法。
〔28〕
前記前駆体薄膜の基材に対する開口率が20%以上99%以下である、
〔25〕~〔27〕のいずれか一項に記載の導電性シートの製造方法。
〔29〕
前記プラズマ処理工程において、マイクロ波プラズマを用いる、
〔25〕~〔28〕のいずれか一項に記載の導電性シートの製造方法。
〔30〕
〔1〕~〔19〕のいずれか一項に記載の導電性シートの粒子層を、転写基材に転写する転写工程を含む、
転写導電性シートの製造方法。
〔31〕
前記転写基材の表面自由エネルギーが5mN/m以上100mN/mである、
〔30〕に記載の転写導電性シートの製造方法。
〔32〕
転写基材の引張弾性率は、0.1GPa以上1000GPa以下である、
〔30〕又は〔31〕に記載の転写導電性シートの製造方法。
本発明によれば、基材からの転写性に優れた導電性薄膜を備える導電性シート、及びその製造方法を提供することができる。
本実施形態の導電性シートの一例を示す概略断面図である。 本実施形態の導電性シートの一例を示す概略上面図である。 本実施形態の転写導電性シートの製造方法を示す概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。又上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
1.導電性シート
本実施形態の導電性シートは、基材と、該基材上に積層された、遷移金属を含む粒子が結合した粒子層と、を含み、基材と粒子層との接触率が0.01%以上20%以下である。
図1に、本実施形態の導電性シートの一例を示す概略断面図を示す。図1には、基材20上に粒子層10が配された導電性シート100の概略断面図が示されている。図1に示す粒子層10は、遷移金属の粒子が結合して形成された粒子層として表現されており、その断面は空孔11を有していてもよい。
また、本実施形態の導電性シート100は、基材20と粒子層10との界面に空孔11が比較的集中しているものであり、基材20と粒子層10との接触率が小さいものである。これにより、粒子層10と基材20は転写性に優れたものとなるため、粒子層10は容易に基材20から剥離され、他の媒体の表面へと転写することができる。そのため、例えば、本実施形態の導電性シート100を粒子層10の中間転写媒体として用い、導電性シート100から他の基材へ粒子層10のみを転写することが可能となる。以降、本実施形態では、粒子層10の転写先の基材を転写基材と記載し、転写基材に粒子層10が転写されたものを、転写導電性シート200と記載する。
このように導電性シート100を粒子層10の中間転写媒体として用いることにより、例えば、プラズマ処理に使用し難いような基材や、粒子層10を直接成膜することが難しい基材に対しても粒子層10を転写して、新たに導電性シートを作製することが可能となる。例えば、プラズマ処理に使用し難いような基材とは、紙などが挙げられ、粒子層10を直接成膜することが難しい基材とは、建物の壁などが挙げられる。そのため、本実施形態の導電性シート100を用いることで、基材の選択自由度が高い転写導電性シート200を得ることができる。
また、プラズマ反応装置の大きさなどの制限によって導電性シート100上の粒子層10の形成範囲が制限されるような場合にも、複数枚の導電性シート100から粒子層10をそれぞれ組み合わせて転写することにより、より広範な粒子層10を形成することも可能となる。さらには、曲面やその他の複雑な形状の面に対しても、粒子層10を転写することができ、プラズマ反応装置による制限を受けない導電性シートを新たに作製することが可能となる。そのため、本実施形態の導電性シート100を用いることで、形態自由度が高い転写導電性シート200を得ることができる。
なお、転写方法としては、特に限定されないが、例えば、導電性シート100の粒子層10が形成された面と、相手方とする他の基材表面とを圧着し、他の基材表面に粒子層10を残して、基材20を取り去るような方法が挙げられる。以下、導電性シート100の構成について詳説する。
1.1.粒子層
粒子層10は、遷移金属を含む粒子が結合したものであり、基材20との界面に比較的多くの空孔11を有するものである。なお、粒子層10は基材20との界面以外の箇所に空孔を有していてもよい。
基材20との界面に存在する空孔11の程度を表現する観点から、本実施形態においては、基材20と粒子層10との接触率を用いる。基材20と粒子層10との接触率は、0.01~20%であり、好ましくは0.10~15%であり、より好ましくは0.50~10%である。接触率が、上記範囲内であることにより、転写性がより向上する傾向にある。
また、上記接触率に加えて、基材20との界面に存在する空孔11の程度を表現する観点から、基材20と粒子層10の間の空隙の面積を、粒子層20の幅で除して得られる空隙の平均高さを指標としてもよい。この平均高さによって、基材20と粒子層10の間の空孔の量を示すことができる。平均高さは、好ましくは30nm~200nmであり、より好ましくは50nm~160nmであり、さらに好ましくは60nm~120nmである。平均高さが上記範囲内であることにより、転写性がより向上する傾向にある。
上記接触率や平均高さを調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する製造方法により、前駆体薄膜を特定の条件下でプラズマ処理する方法が挙げられる。この特定条件下によるプラズマ処理の際に、前駆体薄膜の表面側で優先的に遷移金属の焼結粒子の成長が進行し、それに伴い基材20と粒子層10の界面側では空孔の増大化が進行する。これにより、基材20と粒子層10の界面には空孔11が形成されやすくなり、上記接触率や平均高さを達成し得るものと考えられる。しかしながら、接触率や平均高さの調製方法は上記に限定されない。
粒子層10を構成する粒子の平均粒径は、好ましくは1.0~500nmであり、より好ましくは5.0~400nmであり、さらに好ましくは10~300nmである、平均粒径が上記範囲内であることにより、シート抵抗がより低下する傾向にある。粒子層10を構成する粒子の平均粒径は、粒子層10断面の透過電子像により測定することができる。
1.1.1.組成
本実施形態の粒子層10は、遷移金属を含み、必要に応じて、酸素原子、炭素原子、リン原子などその他の原子を含んでいてもよい。また、遷移金属は、金属単体の状態の他、酸化物などの金属化合物の状態で存在していてもよい。
粒子層10において、遷移金属は、金属単体の状態の他、酸化物などの金属化合物の状態で存在していてもよい。粒子層10に含まれる遷移金属原子は、IUPACの周期表における、第3族元素から第11族元素の金属であれば特に限定されないが、第11族元素の金属を含むことが好ましく、銀又は銅を含むことがより好ましく、銅を含むことがさらに好ましい。このような遷移金属を用いることにより、粒子層10の導電性がより向上する傾向にある。
また、遷移金属を含む金属化合物の種類としては、特に限定されないが、例えば、硫化物、セレン化物、テルル化物、窒化物、リン化物、酸化物などが挙げられる。このなかでも、人体への害が少なく、製造が比較的容易であるため、酸化物であることが好ましい。
また、上記接触率に加えて、基材20との界面に存在する空孔11の程度を表現する観点から、粒子層における酸素の原子濃度を規定してもよい。これは、プラズマ処理の際の粒子成長や気孔成長が進行するにつれて、粒子層における酸素濃度が還元により減少する傾向にあるためである。粒子層における酸素の平均原子濃度は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。粒子層における酸素の原子濃度が上記範囲内であることにより、転写性がより向上する傾向にある。
なお、粒子層に含まれる各原子の濃度は、導電性シートの断面を走査型透過電子顕微鏡(STEM)に付帯するエネルギー分散型X線分析(EDX)による元素分析(STEM-EDX分析)により分析することで求めることができる。なお、本実施形態において各原子の濃度は、特に断りがない限り、元素濃度(atom%)で示す。
STEM-EDX分析においては導電性シートの断面を測定するが、例えば導電性シートが後述する金属細線パターンである場合には、その測定サンプルは金属細線の延伸方向に直交する金属細線の断面を含む薄切片とすることが好ましい。測定サンプルの作製においては、必要に応じて、エポキシ樹脂等の支持体に導電性シートを包埋してから薄切片を形成してもよい。
薄切片の形成方法は、断面の形成・加工による金属細線断面へのダメージを抑制できる方法であれば特に限定されないが、好ましくはイオンビームを用いた加工法(例えば、BIB(Broad Ion Beam)加工法やFIB(Focused Ion Beam)加工法)や精密機械研磨、ウルトラミクロトーム等を用いることができる。
次いで、形成した金属細線の断面をSTEMにより観察し、金属細線の断面のSTEM像を得る。同時に、EDXにより金属細線の断面の元素マッピングを測定することで、STEM-EDX分析を実施できる。なお、金属細線の断面の形成やSTEM-EDX分析は、金属細線断面の酸化やコンタミを防止する観点から、アルゴン等の不活性雰囲気下や真空中で行うことが好ましい。
1.1.2.膜厚
粒子層10の膜厚は、好ましくは30nm~1000μmであり、より好ましくは50nm~100μmであり、さらに好ましくは100nm~10μmであり、よりさらに好ましくは200~1000nmであり、さらにより好ましくは300~500nmである。膜厚が30nm以上であることにより、粒子層10のシート抵抗がより低下し、転写性がより向上する傾向にある。また、膜厚が1000μm以下であることにより、粒子層10を後述する開口を有するパターンとして形成する場合において透明性がより向上する傾向にある。また、膜厚が1000μm以下であると、粒子層10のパターンがより形成しやすくなる傾向にある。
粒子層10の膜厚は、後述の粒子層10の断面STEM評価により、求めることができる。より具体的には、任意の3か所において測定したその膜厚の平均値を粒子層10の膜厚とすることができる。なお、本実施形態の粒子層10は、一様な厚さを有する薄膜の他、表面に凹凸が存在したり、粒子層10の位置によって部分的に薄い部分があったりする薄膜であってもよい。
基材20と粒子層10の界面に比較的多くの空孔11を有するか否かに関わらず、本実施形態における粒子層10の膜厚は、基材20表面から粒子層10の表面までの距離とする。
1.1.3.パターン
粒子層10は、開口を有する連続したパターンを有してもよいし、開口を有しないベタパターンを有してもよい。ここで、開口とは、導電性シートが存在しない部分をいい、開口部分では光が透過できる。また、連続したパターンとは、光学顕微鏡にて接続(接触)していることが確認されることいい、このようなパターンは電気的に接続されたものとなり得る。
このなかでも、粒子層10は、開口を有する連続したパターンを有することが好ましい。粒子層10が有するパターンは、目的とする電子デバイスの用途に応じて設計することができ、規則的なパターンであっても不規則なパターンであってもよい。このように開口を設けることで、例えば、光透過性の導電性シートとすることができるために好ましい。
また、粒子層10を、開口を有する連続したパターンとすることで、転写性を向上させることができる点で好ましい。これは、後述するプラズマ処理工程において、開口を有するパターン状の前駆体薄膜の方が、相対的に基材との接触面積の大きいベタ膜と比較して、プラズマ反応の進行度合いの調整が容易であり、これにより、粒子層と基材との密着性を所定の範囲に調整して転写性に優れた導電性シートを得ることが可能なためである。
ここで、開口を有する連続したパターンの方が、転写性に優れた導電性シートを得ることができるメカニズムは、特定の理論に拘束されないが、以下のように推察される。すなわち、プラズマ処理工程において、粒子層と基材の間での空孔の増大がベタ膜よりも進行し、相対的に大きな空孔が粒子層の内部に形成されることや、基材と前駆体薄膜の界面の温度がプラズマ反応熱によって開口部がないときによりも上昇することにより基材と粒子層との接触率が低下することが、転写性の向上に寄与するためである。
粒子層10が開口を有する連続したパターンを有する場合、この開口による開口率は、好ましくは20~99%であり、より好ましくは30~97%であり、さらに好ましくは50~95%である。この開口率が大きくなるほど、粒子層10の転写性がより向上する傾向にある。また、開口率が小さくなるほど粒子層10のシート抵抗が小さくなる傾向にある。
粒子層10のパターンの開口率は、粒子層10のパターンの形状によっても適正な値が異なる。また、粒子層10のパターンの開口率は、目的とする電子デバイスの要求性能(透過率及びシート抵抗)に応じて、上記上限値と下限値を適宜組み合わせることができる。
なお、「粒子層10のパターンの開口率」とは、基材上の粒子層10のパターンが形成されている領域について以下の式で算出することができる。基材上の粒子層10のパターンが形成されている領域とは、粒子層10のパターンが形成されていない縁部等は除かれる。
粒子層10のパターンの開口率=(1-粒子層10のパターンの占める面積/基材の面積)×100
粒子層10が開口を有する連続したパターンを有する場合、この開口の大きさについて、開口の領域に満たされる最大の内接円の直径は、好ましくは0.5~1000μmであり、より好ましくは1~500μmであり、さらに好ましくは10~300μmである。開口の大きさが上記範囲内であることにより、転写性がより向上する傾向にある。
また、開口を有する連続したパターンとしては、特に限定されないが、例えば、複数の細線が交差して構成されるパターンが好ましい。この場合、細線が導電性シートに相当し、細線間の間隙が開口となる。
以下、複数の細線により形成されるパターンの具体的態様について説明するが、本実施形態におけるパターンは以下に限定されるものではない。なお、以下において、金属細線とは平面視において細線状の粒子層10を意味し、金属細線パターンとは複数の金属細線により形成されるパターンをいう。
図2に、本実施形態の導電性シート100のパターン40の一例を示す概略上面図を示す。図2は、基材20上に粒子層10が配された導電性シート100を、粒子層10の形成面側から見た上面図である。図2において、粒子層10は、細線状になっており、その細線がグリッド状に交差した状態として表されている。ここで、細線状である粒子層10を金属細線10’という。前述の図1の断面は、この金属細線10’をA-A’の断面で表したものである。
図2に示すように、連続したパターンとは、例えば、複数の金属細線10’が互いに交差して連続層を形成することで、平面方向に広がる粒子層10上の任意の2点において通電できるように構成されるものをいう。また、開口を有するとは、例えば、複数の金属細線10’の間に不連続な開口50を有することをいう。そして、このように金属細線10’によって形成される導電性の連続層と開口とからなるものを、本実施形態においては金属細線パターン40という。
ここで、金属細線パターン40を構成する金属細線10’の線幅Wとは、基材20の金属細線パターン40が配された面側から、金属細線10’を基材20の表面上に投影したときの金属細線10’の線幅をいう。「投影したときの線幅」とは、例えば、図1に示すように、粒子層10の基材と接する界面が最も太くなるような場合には、その太さを線幅と定義する。また、ピッチPは、線幅Wと金属細線間の距離Lの和として定義する。
上記のような金属細線パターンとしては、具体的には、複数の金属細線が網目状に交差して形成されるメッシュパターンや、複数の略平行な金属細線が形成されたラインパターンが挙げられる。また、金属細線パターンは、メッシュパターンとラインパターンとが組み合わされたものであってもよい。メッシュパターンの網目は、正方形又は長方形であっても、ひし形等の多角形であってもよい。また、ラインパターンを構成する金属細線は、直線であっても、曲線であってもよい。さらに、メッシュパターンを構成する金属細線においても、金属細線を曲線とすることができる。
1.1.4.線幅
線幅Wは、好ましくは100nm~1000μmであり、より好ましくは200nm~500μmであり、さらに好ましくは300nm~100μmであり、よりさらに好ましくは400nm~50μmであ、さらにより好ましくは500nm~5.0μmである。
金属細線の線幅Wが100nm以上であることにより、金属細線の導電性を十分に確保でき、シート抵抗がより低下する傾向にある。また、金属細線表面の酸化や腐食等による導電性の低下を十分に抑制できる。さらに開口率を同じとした場合、金属細線の線幅が細いほど、金属細線の本数を増やすことが可能となる。これにより、導電性シートの電界分布がより均一となり、より高解像度の電子デバイスを作製することが可能となる。また、一部の金属細線で断線が生じたとしても、それによる影響を他の金属細線が補うことができる。
他方、金属細線の線幅Wが5.0μm以下であることにより、金属細線の視認性がより低下し、導電性シート及びそれを備える導電性シートの透明性がより向上する傾向にある。
1.1.5.アスペクト比
金属細線の線幅Wに対する金属細線の厚さTで表されるアスペクト比は、好ましくは0.05~1.00であり、より好ましくは0.08~0.90であり、さらに好ましくは0.10~0.80である。線幅Wが一定である場合にはアスペクト比が大きいほど、透過率を低下させることなく導電性がより向上する傾向にある。また、アスペクト比が1.00以下であることにより、膜厚が厚すぎることによって、かえって透過率が低下することが抑制される傾向にある。
1.1.6.ピッチ
ピッチPは、好ましくは1.0~1000μmであり、より好ましくは5.0~500μmであり、さらに好ましくは50~250μmであり、よりさらに好ましくは100~250μmである。ピッチPが1.0μm以上であることにより、導電性シート及びそれを備える導電性シートの透明性がより向上する傾向にある。また、ピッチPが1000μm以下であることにより、導電性がより向上する傾向にある。なお、金属細線パターンの形状がメッシュパターンである場合には、線幅1μmの金属細線パターンのピッチを200μmとすることにより、開口率99%とすることができる。
なお、金属細線パターンの線幅W、アスペクト比、及びピッチPは、導電性シート断面を電子顕微鏡等で見ることにより確認することができる。また、金属細線パターンの線幅とピッチはレーザー顕微鏡や光学顕微鏡でも観察できる。また、ピッチPと開口率は後述する関係式を有するため、一方が分かればもう一方を算出することもできる。また、金属細線パターンの線幅W、アスペクト比、及びピッチPを所望の範囲に調整する方法としては、後述する導電性シートの製造方法において用いる版の溝を調整する方法、インク中の金属粒子の平均粒径を調整する方法等が挙げられる。
導電性シートのシート抵抗は、金属細線のアスペクト比(高さ)を向上させることにより、低下する傾向にある。また、金属細線を構成する金属材料種の選択によっても調整することが可能である。
1.1.7.可視光透過率
導電性シートの可視光透過率は、好ましくは70~99%であり、より好ましくは75~95%であり、さらに好ましくは80~90%である。ここで、可視光透過率は、JIS K 7361-1:1997の全光線透過率に準拠して、その可視光(360~830nm)の範囲の平均透過率を算出することで測定することができる。パターン付き薄膜の可視光透過率は、金属細線パターンの線幅を小さくしたり、開口率を向上させたりすることにより、向上する傾向にある。
1.1.8.シート抵抗
導電性シートのシート抵抗は、好ましくは0.001~20Ωcm-2であり、より好ましくは0.01~17.5Ωcm-2であり、さらに好ましくは0.01~15Ωcm-2であり、さらにより好ましくは0.1~10Ωcm-2である。シート抵抗が低いほど導電性がより向上する傾向にある。
1.1.9.ヘイズ
導電性シートのヘイズは、好ましくは0.01~5.00%であり、より好ましくは0.01~3.00%であり、さらに好ましくは0.01~1.00%である。ヘイズが5.00%以下であることにより、可視光に対する導電性シートの曇りがより抑制される傾向にある。本明細書におけるヘイズは、JIS K 7136:2000のヘイズに準拠して測定することができる。
1.2.基材
基材としては、導電性シートの用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、ガラス等の透明無機基材、金属板等の不透明無機基材、プラスチックフィルムなどの透明又は不透明の有機基材が挙げられる。このなかでも、柔軟かつ透明な導電性シートを得る観点から、プラスチックが好ましい。また、これら基材は、表面に任意の層を有していたり、コロナ処理など任意の表面処理がされていたりするものであってもよい。
基材の形態は、板状のものや、フィルム状のものが利用でき、形態自由度に優れる観点から、フィルム状のものが好ましい。
プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の透明有機基材が挙げられる。
このなかでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)を用いることが、導電性シートを製造するためのコスト削減効果を包括する生産性が高い観点から好ましい。また、導電性シートの耐熱性に優れる観点から、ポリイミドを用いることが好ましい。さらに、薄膜と基材の密着に有利である観点から、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。
本実施形態に使用される薄膜の基材は、1種の材料からなるものであっても、2種以上の材料が積層されたものであってもよい。また、透明基材が、2種以上の材料が積層された多層体である場合、透明基材は、有機基材又は無機基材同士が積層されたものであっても、有機基材及び無機基材が積層されたものであってもよい。
基材の厚さは、形態自由度に優れる、及び/又は透明性に優れる観点から、好ましくは5.0~500μmであり、より好ましくは5.0~300μmであり、さらに好ましくは10~100μmである。
1.2.1.表面層
基材は、複数の層を有していてもよく、導電性シートとの接触部に表面層を有していてもよい。表面層を基材上に積層することで、プラズマ等の焼成手段でインク中の金属成分を焼結させる際に、プラズマ等によって金属細線パターン部で被覆されていない箇所の基材のエッチングを防ぐことができる。
表面層に含まれる成分としては、特に限定されないが、例えば、ケイ素化合物(例えば、(ポリ)シラン類、(ポリ)シラザン類、(ポリ)シルチアン類、(ポリ)シロキサン類、ケイ素、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、塩化ケイ素、ケイ素酸塩、ゼオライト、シリサイド等)、アルミニウム化合物(例えば、酸化アルミニウム等)、マグネシウム化合物(例えばフッ化マグネシウム)等が挙げられる。なお、上記ポリシラン類、ポリシラザン類、ポリシルチアン類、ポリシロキサン類は、直鎖若しくは分岐状、環状、網目状の形態を有してもよい。これら成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このなかでも、ケイ素化合物、酸化アルミニウム、及びフッ化マグネシウムが好ましく、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、及びフッ化マグネシウムがより好ましい。このような成分を用いることにより、プラズマに対する耐久性がより向上し、また、導電性シートと基材との転写性がより向上する傾向にある。また、このような成分を用いることにより、導電性シートの透明性及び耐久性がより向上する傾向にあり、導電性シートを製造するためのコスト削減効果などに寄与する生産性がより優れる傾向にある。
表面層は、物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)などの気相成膜法や、上記表面層に含まれる成分が分散媒に分散した組成物を塗布、乾燥する方法により成膜することができる。この組成物は、必要に応じて、分散剤、界面活性剤、結着剤等を含有してもよい。
なお、表面層を含む場合、ケイ素は、プラズマ反応を経て導電性シート中に取り込まれてもよい。金属細線中に含まれるケイ素原子Siは、ケイ素原子やケイ素化合物の形態で存在していてもよく、ケイ素原子やケイ素化合物と金属原子とが結合した形態(例えば、Si-M、Si-O-M等)で存在していてもよい。
1.2.2.厚さ
表面層の厚さは、好ましくは0.01~500μmであり、より好ましくは0.05~300μmであり、さらに好ましくは0.10~200μmである。表面層の厚みが0.01μm以上であることにより、導電性シートと基材の転写性がより向上する傾向にある。また、表面層の厚みが500μm以下であることにより、基材の可撓性が担保できる。
1.2.3.体積抵抗率
表面層は静電気による金属細線パターンの断線を防ぐための、帯電防止機能を持っていることが好ましい。帯電防止機能を有する観点から、表面層は導電性無機酸化物及び導電性有機化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。
帯電防止機能の観点から表面層の体積抵抗率は、好ましくは100~100000Ωcmであり、好ましくは1000~10000Ωcmであり、好ましくは2000~8000Ωcmである。表面層の体積抵抗率が100000Ωcm以下であることにより、帯電防止機能がより向上する傾向にある。また、表面層の体積抵抗率が100Ωcm以上であることにより、金属細線パターン間の電気伝導性がより低下し、タッチパネル等の用途に好適に用いることができる。
体積抵抗率は、表面層内の導電性無機酸化物や導電性有機化合物等の含有量により調整することができる。例えば、プラズマ耐性の高い酸化ケイ素(体積抵抗率1014Ω・cm以上)と導電性有機化合物である有機シラン化合物を表面層に含む場合、有機シラン化合物の含有量を増やすことで体積抵抗率を低下することができる。一方で、酸化ケイ素の含有量を増やすことで体積抵抗率は増加するが高いプラズマ耐性を有するため薄膜にすることができ、光学的特性を損なうことがない。
1.3.保護層
本実施形態の導電性シートは粒子層10の上に、保護層(不図示)を有していてもよい。保護層は基材20とともに粒子層10を挟むように形成することができる。
保護層としては、特に限定されないが、例えば、透明性を有し、導電性シートや基材と良好な密着性が発現できるものであれば、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、熱硬化型エポキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂や、ウレタンアクリレート、アクリル樹脂アクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、UV硬化型エポキシ樹脂などのUV硬化性樹脂、市販のコーティング剤などを用いることができる。
また、本実施形態においては、上記保護層を粒子層10を転写する相手方の層(転写基材)として用いてもよい。
2.導電性シートの製造方法
本実施形態の導電性シートの製造方法は、基材に、前駆体薄膜を形成する膜形成工程と、前駆体薄膜を、分圧10~1000Paの水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体の存在下で、150~2000秒の間、プラズマと反応させて、粒子層を形成するプラズマ反応工程と、を含み、必要に応じて、膜形成工程前に、基材上に表面層を形成する表面層形成工程を有していてもよい。
2.1.表面層形成工程
表面層形成工程は、基材上に上述した表面層を形成する工程である。表面層を形成することにより、例えば、プラスチックの基材を用いる場合、表面層によってプラズマ反応によるプラスチックの変性やエッチングを防ぐことができる。
表面層形成方法の具体例としては、PVD、CVD等の気相成膜法を用いて表面層を形成する成分を透明基材の表面に成膜させることにより表面層を形成する方法が挙げられる。表面層形成工程の別の具体例としては、表面層を形成する成分が分散媒に分散してなる組成物を透明基材の表面に塗布し、乾燥させることにより表面層を形成する方法が挙げられる。また、表面層形成組成物は、必要に応じて、分散剤、界面活性剤、結着剤等を含んでもよい。
表面層形成工程において、表面層を形成する成分としては上述したケイ素化合物を用いることが好ましい。
2.2.膜形成工程
膜形成工程は、基材に、前駆体薄膜を形成する工程である。
2.2.1.前駆体薄膜
前駆体薄膜は遷移金属及を含むものであり、これに対して後述のプラズマ反応工程を施すことで本実施形態の粒子層となるものである。既に述べたように、このように前駆体薄膜に対して所定の条件でプラズマ処理を施すことにより得られる粒子層を有する導電性シートは、優れた転写性を有するようになる。
このような前駆体薄膜は、真空装置などを用いた乾式法、インクなどを用いた湿式法など様々な手法を用いて成膜することができる。このうち、大規模製造に適するという観点から、インクを基材上に印刷して前駆体薄膜を成膜する方法が好ましい。
用いることのできる印刷方法としては、特に限定されないが、例えば、凸版印刷、グラビア印刷、バーコート印刷、スプレーコート、スピンコート、反転転写印刷などが挙げられる。このなかでも、比較的精密なパターンを印刷できる観点から、有版印刷方法による前駆体薄膜の成膜が好ましい。
有版印刷方法とは、例えば、転写媒体表面にインクをコーティングする工程と、インクをコーティングした転写媒体表面と、凸版の凸部表面とを接触して、凸版の凸部表面に転写媒体表面上のインクの一部を転移させる工程と、一部のインクが転移した後の転写媒体表面と基材の表面とを接触して、転写媒体表面に残ったインクを基材の表面に転写する工程が挙げられる。
例えば、このような印刷方法において、印刷条件やインクを調製することで、前駆体薄膜の厚さ、幅、ピッチ等の各種形状や、前駆体薄膜に含まれる各原子の濃度を制御できる。
2.2.2.インク
上記印刷方法に用いられるインクは、金属成分、溶剤を含み、必要に応じて、界面活性剤、分散剤、還元剤等を含んでもよい。
2.2.2.1.金属粒子
金属成分は、金属粒子としてインクに含まれていてもよいし、金属錯体としてインクに含まれていてもよい。このなかでも金属粒子としてインクに含まれることが好ましい。金属粒子としては、上述した遷移金属原子を含むものであれば、酸化銅等の金属酸化物やその他の金属化合物、コア部が銅でありシェル部が酸化銅であるようなコア/シェル粒子の態様であってもよい。このなかでも、取扱性の観点からは、酸化銅等の金属酸化物が好ましい。
金属粒子の平均一次粒径は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。また、金属粒子の平均一次粒径の下限は特に限定されないが、1nm以上が挙げられる。得られる金属細線の線幅Wをより細くすることができる観点から、金属粒子の平均一次粒径が100nm以下であることが好ましい。
金属粒子の平均二次粒径は、好ましくは100nm以下であり、より好ましくは50nm以下であり、さらに好ましくは30nm以下である。薄膜成膜時の塗布性に優れる観点から、各粒子が単分散しており、平均二次粒径は平均一次粒径に近いことが好ましい。
なお、本実施形態において「平均一次粒径」とは、金属粒子1つ1つ(所謂一次粒子)の粒径をいい、金属粒子が複数個集まって形成される凝集体(所謂二次粒子)の粒径である平均二次粒径とは区別される。
2.2.2.2.界面活性剤
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤などが挙げられる。このような界面活性剤を用いることにより、転写媒体(ブランケット)へのインクのコーティング性、コーティングされたインクの平滑性が向上し、より均一な塗膜が得られる傾向にある。なお、界面活性剤は、金属成分を分散可能であり、かつ焼成の際に残留しにくいよう構成されていることが好ましい。
2.2.2.3.溶媒
インクの溶媒は、保存安定性に優れる点、及び光損失が少ない点から、有機溶媒であることが好ましい。上記観点から、有機溶媒は、アルコールであることが好ましい。上記観点から、有機溶媒の炭素数は1以上7以下であることが好ましく、より好ましくは2以上、またより好ましくは5以下、又は4以下であり、2が最も好ましい。溶媒としては、水、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2-ペンタンジオール、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、トリエチレングリコール、トリ-1,2-プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、n-ペンタノール、i-ペンタノール、2-メチルブタノール、2-ペンタノール、t-ペンタノール、3-メトキシブタノール、n-ヘキサノール、2-メチルペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-エチルブタノール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、n-オクタノール、2-エチルヘキサノール、2-オクタノール、n-ノニルアルコール、2、6ジメチル-4-ヘプタノール、n-デカノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3、3、5-トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられ、保存安定性に優れる点、及び光損失が少ない点から、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びこれらの異性体であることがより好ましく、エタノール、プロパノール、ブタノール及びこれらの異性体であることがさらに好ましく、エタノールが最も好ましい。
2.2.2.4.分散剤
分散剤としては、特に制限されないが、例えば、金属成分に非共有結合又は相互作用をする分散剤、金属成分に共有結合をする分散剤が挙げられる。非共有結合又は相互作用をする官能基としてはリン酸基を有する分散剤が挙げられる。このような分散剤を用いることにより、金属成分の分散性がより向上する傾向にある。
2.3.プラズマ反応工程
プラズマ反応工程は、上記のようにして得られた前駆体薄膜を、分圧10~1000Paの水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体の存在下で、150~2000秒の間、プラズマと反応させて、導電性シートを得る工程である。これにより前駆体薄膜が焼成され、インク中の金属粒子同士が焼結することで粒子層(導電性薄膜)が形成されることに加え、粒子層と基材の間で気孔成長が進行し比較的大きな空孔が形成される。そしてこれにより、導電性と基材との転写性に優れる導電性シートを得ることができる。なお、プラズマ反応中の雰囲気に水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含ませることで、導電性シートに含まれる酸素濃度も調整することができる。
プラズマは様々な方法により生じさせることができる。なかでも、マイクロ波プラズマや高周波プラズマが比較的制御が容易なため好ましく、特に装置内のプラズマ発生のための電極などによる汚染が少なくできる観点から、マイクロ波プラズマがより好ましい。
マイクロ波プラズマにおけるマイクロ波出力は、好ましくは0.5~10kWであり、より好ましくは0.5~5.0kWである。マイクロ波出力が0.5kW以上であることにより、得られる導電性シートと基材の転写性がより向上し、プラズマの反応時間を短縮することができる。また、マイクロ波出力が10kW以下であることにより、プラズマによって基材がエッチングされたり変性したりすることが抑制される傾向にある。
プラズマ反応の処理時間は、150~2000秒であり、好ましくは160~1000秒であり、より好ましくは180~500秒である。処理時間が150秒以上であることにより、粒子層が形成されるとともに、粒子層と基材の間で気孔成長が進行し比較的大きな空孔が形成され、それによって導電性シートと基材の転写性がより向上する。また、処理時間が2000秒以下であることにより、導電性シートの生産性がより向上する傾向にある。
プラズマ反応の雰囲気は、水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体を含み、必要に応じて希ガスを含んでもよい。水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体の分圧は、好ましくは10~1000Paであり、より好ましくは50~500Paであり、さらに好ましくは75~300Paである。水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体の分圧が10Pa以上であることにより、粒子層と基材の間で空孔の増大化が進行し比較的大きな空孔が形成され、それによって導電性シートと基材の転写性がより向上する。
水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体としては、特に限定されないが、例えば、例えば、水分子、有機アルコール分子、有機エーテル分子、有機エステル分子、有機アルデヒド分子などが挙げられる。このような気体をプラズマ反応工程の雰囲気とすることで、例えばインクに含まれる酸化銅を還元しながら、焼結粒子の成長を進行する。また、これに伴い、粒子層と基材の間で気孔成長が進行し比較的大きな空孔が形成され、それによって導電性シートと基材の転写性がより向上する。さらに、製造する導電性シートの導電性がより向上する傾向にある。特に、水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体を、水分子とすることが、漏洩時に人体への害が少なく、爆発の危険も少ない観点から、最も好ましい。この気体に含む水素原子と酸素原子とを共に含む分子は、一種類でも複数種類のものを用いてもよい。
希ガスとしては、特に限定されないが、例えば、ヘリウム、アルゴン、キセノン、クリプトンが挙げられる。このなかでも、これらのプラズマによるサンプルエッチングが少ない観点から、分子量の比較的小さい、ヘリウムまたはアルゴンが好ましく、ヘリウムが最も好ましい。このような希ガスを用いることにより、プラズマ反応をより制御しやすくなる。
上記各気体は混合して用いてもよく、これにさらにその他の気体を混合して用いてもよい。
プラズマ反応の圧力は、加圧下、減圧下、大気圧下のいずれでもよい。このなかでもプラズマの平均自由行程を長くできる観点から、減圧下であることが好ましい。具体的には、圧力は、好ましくは0.1~1000Paであり、より好ましくは1.0~500Paであり、さらに好ましくは10~300Paである。圧力が0.1Pa以上であることにより、プラズマの平均自由行程がより長くなる傾向にある。また、圧力が1000Paであることにより、還元性の気体や希ガスをより多く用いることができる。
本実施形態におけるプラズマ反応工程は、開口を有する連続したパターンを構成している前駆体薄膜に施すことが好ましい。これにより、粒子層と基材の間で空孔の増大化が進行することで比較的大きな空孔が形成され、導電性と基材との転写性に優れる導電性シートを得ることができる。この転写性に優れるようになるメカニズムは以下に限定されるものではないが、開口部によってさらに露出した前駆体薄膜にプラズマ反応が進行することによって、空孔の増大化速度が向上することや、基材と前駆体薄膜の界面の温度がプラズマ反応熱によって開口部がないときによりも上昇することで、基材と粒子層100との接触率が低下し、転写性が向上することが考えられる。
開口を有する連続したパターンを構成している前駆体薄膜の開口率は、好ましくは20~99%であり、より好ましくは30~97%であり、さらに好ましくは50~95%である。この開口率が大きくなるほど、粒子層10の転写性がより向上する傾向にある。また、開口率が小さくなるほど粒子層10のシート抵抗が小さくなる傾向にある。
なお、「前駆体薄膜の開口率」とは、基材上の前駆体薄膜パターンが形成されている領域について以下の式で算出することができる。基材上の前駆体薄膜パターンが形成されている領域とは、前駆体薄膜パターンが形成されていない縁部等は除かれる。
前駆体薄膜パターンの開口率=(1-前駆体薄膜パターンの占める面積/基材の面積)×100
開口を有する連続したパターンとしては、特に限定されないが、例えば、複数の細線が交差して構成されるパターンが好ましい。この場合、細線が前駆体薄膜に相当し、細線間の間隙が開口となる。
上述の複数の金属細線により形成されるパターンと同様に、前駆体薄膜についても、前駆体細線パターンを形成できる。なお、前駆体細線とは細線状の前駆体薄膜を意味し、前駆体細線パターンとは複数の前駆体細線により形成されるパターンをいう。
2.3.1.線幅
前駆体細線の線幅は、好ましくは100nm~1000μmであり、より好ましくは200nm~500μmであり、さらに好ましくは300nm~100μmであり、よりさらに好ましくは400nm~50μmであり、さらにより好ましくは500nm~5.0μmである。
前駆体細線の線幅が100nm以上であることにより、プラズマ処理工程を経て製造する金属細線の導電性を十分に確保でき、シート抵抗がより低下する傾向にある。また、金属細線表面の酸化や腐食等による導電性の低下を十分に抑制できる。さらに開口率を同じとした場合、前駆体細線の線幅が細いほど、前駆体細線の本数を増やすことが可能となる。これにより、導電性シートの電界分布がより均一となり、より高解像度の電子デバイスを作製することが可能となる。
他方、前駆体細線の線幅が5.0μm以下であることにより、プラズマ処理工程を経て製造する金属細線の視認性がより低下し、導電性薄膜及びそれを備える導電性シートの透明性がより向上する傾向にある。
2.3.2.アスペクト比
前駆体細線の線幅に対する前駆体細線の厚さTで表されるアスペクト比は、好ましくは0.05~1.00であり、より好ましくは0.08~0.90であり、さらに好ましくは0.10~0.80である。前駆体細線の線幅が一定である場合にはアスペクト比が大きいほど、透過率を低下させることなくプラズマ処理工程を経て製造する金属細線の導電性がより向上する傾向にある。また、アスペクト比が1.00以下であることにより、膜厚が厚すぎることによって、かえって透過率が低下することが抑制される傾向にある。
2.3.3.ピッチ
ピッチPは、好ましくは1.0~1000μmであり、より好ましくは5.0~500μmであり、さらに好ましくは50~250μmであり、よりさらに好ましくは100~250μmである。ピッチPが1.0μm以上であることにより、プラズマ処理工程を経て製造する導電性薄膜及びそれを備える導電性シートの透明性がより向上する傾向にある。また、ピッチPが1000μm以下であることにより、導電性がより向上する傾向にある。なお、金属細線パターンの形状がメッシュパターンである場合には、線幅1μmの金属細線パターンのピッチを200μmとすることにより、開口率99%とすることができる。
なお、金属細線パターンの線幅W、アスペクト比、及びピッチPは、導電性シート断面を電子顕微鏡等で見ることにより確認することができる。また、金属細線パターンの線幅とピッチはレーザー顕微鏡や光学顕微鏡でも観察できる。また、ピッチPと開口率は後述する関係式を有するため、一方が分かればもう一方を算出することもできる。また、金属細線パターンの線幅W、アスペクト比、及びピッチPを所望の範囲に調整する方法としては、後述する導電性シートの製造方法において用いる版の溝を調整する方法、インク中の金属粒子の平均粒径を調整する方法等が挙げられる。
3.転写導電性シートの製造方法
本実施形態の転写導電性シートの製造方法は、上記のようにして得られた導電性シート100の粒子層10を、転写基材に転写する転写工程を有する。これにより、導電性シート100から転写基材に粒子層10が転写されるため、基材の選択自由度が高く、形態自由度が高い転写導電性シート200を得ることができる。
3.1.転写工程
図3に本実施形態の転写導電性シートの製造方法を表す概略図を示す。転写工程における転写方法としては、特に限定されないが、例えば、導電性シート100の粒子層10が形成された面と、相手方とする転写基材60の表面とを圧着し、転写基材60の表面に粒子層10を残して、基材20を取り去る方法が挙げられる。
転写工程における雰囲気は限定されることはないが、大気中でも、不活性ガス中でも実施することができる。また、大気圧でも減圧下などでも実施することができる。
この転写工程は様々な温度で実施することができる。簡便さの観点から、室温での転写が好ましい。一方、基材、粒子層、転写基材の熱膨張係数の違いを転写に利用できる観点から、加熱下にて転写工程を実施することが好ましい。
転写基材の表面自由エネルギーは、5mN/m以上、100mN/m以下が好ましい。上記表面自由エネルギーの転写基材を用いることで、転写性に優れるようになる。
転写基材の引張弾性率は、0.1GPa以上、1000GPa以下が好ましい。上記表面自由エネルギーの転写基材を用いることで、転写性に優れるようになる。
4.タッチパネル
本実施形態のタッチパネルは、上記導電性シートを備えるものであれば特に制限されない。例えば、静電容量方式のタッチパネルにおいては、絶縁体の表裏面に2枚の導電性シートが存在し、2枚の導電性シートは、例えば金属細線のラインパターンが交差するように対向する。導電性シートは、取り出し電極に接続されており、取り出し電極は、金属細線と、金属細線への通電切り替えを行うためのコントローラー(CPU等)とを接続する。
なお、本実施形態のタッチパネルは、静電容量方式に限定されず、抵抗膜方式、投影型静電容量方式、及び表面型静電容量方式等としてもよい。
5.ディスプレイ
本実施形態のディスプレイは、上記導電性シートを備えるものであれば特に制限されない。例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイにおいては、有機EL膜を電極で挟んだ構造を有し、その電極の一つとして上記導電性シートを用いることができる。また、液晶ディスプレイにおいては、液晶層を電極で挟んだ構造を有し、その電極の一つとして上記導電性シートを用いることができる。
6.ヒーター
本実施形態のヒーターは、上記導電性シートを備えるものであれば特に制限されない。例えば、電熱ヒーターにおいては、電気を供給することでジュール熱を発する電熱部と、電熱部に対して電力を供給する給電装置とを有し、その電熱部として導電性シートを用いることができる。導電性シートを透明に構成すれば、透明ヒーターとなり、また、導電性シートの抵抗が高くなるように設計することで、発熱量の高いヒーターとなる。
例えば、透明ヒーターは、その用途は特に限定されないが、例えば、自動車のヘッドランプ、テールランプ等に用いられるLED照明器具の防曇又凍結防止用ヒーター、街灯等に用いられる屋外用LED照明器具の防曇又凍結防止用ヒーターが挙げられる。
7.電磁波シールド
本実施形態の電磁波シールドは、上記導電性シートを備えるものであれば特に制限されない。例えば、電磁波シールドにおいては、入射する電磁波を電磁波の反射や吸収するシールド材を有するが、そのシールド材として、上記導電性シートを用いることができる。
8.アンテナ
本実施形態のアンテナは、上記導電性シートを備えるものであれば特に制限されない。例えば、RFタグにおいては、半導体素子とそれに接続されたアンテナを有することにより特定の周波数の送受信が可能となっており、そのアンテナとして導電性シートを用いることができる。導電性シートを透明に構成すれば、透明アンテナとなる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(薄膜の形態評価)
得られた導電性薄膜付き基材をカミソリで切り出し、蒸着したカーボン層により包埋し、焦点イオン線で厚さ約100nmの薄切片を形成した。得られた薄切片を測定サンプルとして、下記条件にて電子線を照射し、評価サンプルを準備することで、STEM-EDX分析を行った。粒子層の膜厚、及び粒子層が金属粒子同士が焼結して形成された層であること、接触率については、この断面TEM像より求めた。薄膜の酸素濃度は、STEM-EDX分析によって行った。さらに粒子層の、パターン形状、線幅、ピッチなどは、レーザー顕微鏡(OLYMPUS社製、OLS-4500)により評価した。
[STEM-EDX装置条件]
STEM:日立ハイテクノロジーズ社製、走査型透過電子顕微鏡 HD―2300A
EDX :EDAX社製、エネルギー分散型X線分析装置 Octane T Plus(ソフトウェア:GENESIS)
加速電圧 :200kV
測定倍率 :100,000倍
マッピング元素:Cu、O、P、Si、C
(転写性)
粒子層の基材への転写性は、以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートへの転写試験によって評価した。実施例または比較例で作製した導電性シートの粒子層の上に、PTFEシートを接触させ、その上から2N(ニュートン)のローラーで2往復させた。そのあと、100mm/minの速度でPTFEシート(表面自由エネルギー:22mN/m、引張弾性率:0.5GPa)をPETシートからはがし、PTFEシートへの粒子層(金属細線)の転写試験を実施した。剥離後のPTFEシートの表面と、基材表面を目視で観察し、金属細線が転写されているか否かを確認した。
転写性〇:試験前からの基材表面の変化が観測され、
かつテフロンシートへの粒子層の移動が観測された。
転写性×:試験前からの基材表面の変化がなく、
かつテフロンシートへの移動もみられなかった。
<実施例1>
(透明基材の調製)
ポリエチレンテレフタレート(PET)を透明基材として用いて、その上に酸化ケイ素ナノ粒子と導電性の有機シラン化合物を含む表面層形成組成物を塗布し、乾燥して、帯電防止機能を有する厚み150nm、体積抵抗率5000Ωcmの酸化ケイ素を含有した表面層を形成することにより基材を得た。なお、この基材は、基材であるPET上に表面層が積層した形態である。
(インクの調製)
一次粒径21nmの酸化第一銅ナノ粒子20質量部と、分散剤(ビッグケミー社製、製品名:Disperbyk-145)4質量部と、界面活性剤(セイミケミカル社製、製品名:S-611)1質量部と、エタノール75質量部とを混合し、酸化第一銅ナノ粒子の含有割合が20質量%のインクを調製した。
(前駆体薄膜形成工程)
先ず転写媒体表面にインクを塗布し、次いでインクが塗布された転写媒体表面と金属細線パターンの溝を有する版を接触して、版の凸部表面に転写媒体表面上の一部のインクを転移させた。その後、残ったインクがコーティングされた転写媒体表面と基材とを接触させ、基材の上に金属細線パターン状のインクを転写させた。この工程により、前駆体薄膜を製造した。この前駆体薄膜の膜厚は360nmであり、線幅は3μmであり、ピッチは60μmであった。表1にこれらの結果を記す。
(プラズマ反応工程)
上記のようにして得られた前駆体薄膜にプラズマ反応を施した。具体的には、減圧下で水分子の分圧を100Paとした雰囲気に、0.9kWの出力で発生させたマイクロ波によりプラズマを発生させ、このプラズマと前駆体薄膜を180秒反応させて導電性シートを得た。
実施例1の導電性シートについて、各評価を行った。これらの結果を表1に示す。
<実施例2>
プラズマ反応工程の反応時間を300秒としたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
プラズマ反応工程の反応時間を60秒としたこと以外は、実施例1と同様に操作を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022181866000002
10…粒子層、10’…金属細線、11…空孔、12…粒子、20…基材、40…金属細線パターン、50…開口、60…転写基材、100…導電性シート、200…導転写電性シート

Claims (32)

  1. 基材と、
    該基材上に積層された、遷移金属を含む粒子が結合した粒子層と、を含み、
    前記基材と前記粒子層との接触率が0.01%以上20%以下である、
    導電性シート。
  2. 前記粒子層が、開口を有する連続したパターンを構成する、
    請求項1に記載の導電性シート。
  3. 前記粒子層の基材に対する開口率が20%以上99%以下である、
    請求項2に記載の導電性シート。
  4. 前記開口を満たす最大の内接円の直径が、0.5μm以上1000μm以下である、
    請求項2又は3に記載の導電性シート。
  5. 前記パターンが、複数の細線が交差して構成されるパターンである、
    請求項2~4のいずれか一項に記載の導電性シート。
  6. 前記細線の線幅が、100nm以上1000μm以下である、
    請求項5に記載の導電性シート。
  7. 前記細線のピッチが、1.0μm以上1000μm以下である、
    請求項5又は6に記載の導電性シート。
  8. 前記粒子層の膜厚が、30nm以上1000μm以下である、
    請求項1~7のいずれか一項に記載の導電性シート。
  9. 前記基材と前記粒子層の間の空隙の面積を、前記粒子層の幅で除して得られる前記空隙の平均高さが、30nm~200nmである、
    請求項1~8のいずれか一項に記載の導電性シート。
  10. 前記粒子層における酸素の平均原子濃度が、10%以下である、
    請求項1~9のいずれか一項に記載の導電性シート。
  11. 前記基材が複数の層を有する、
    請求項1~10のいずれか一項に記載の導電性シート。
  12. 前記基材が、ケイ素化合物を含む表面層を有する、
    請求項1~11のいずれか一項に記載の導電性シート。
  13. 前記基材が、プラスチックである、
    請求項1~12のいずれか一項に記載の導電性シート。
  14. 前記プラスチックが、ポリエチレンテレフタレートである、
    請求項13に記載の導電性シート。
  15. 前記遷移金属が、IUPACの周期表における第11族元素の金属を含む、
    請求項1~14のいずれか一項に記載の導電性シート。
  16. 前記遷移金属が、銅を含む、
    請求項15に記載の導電性シート。
  17. 前記粒子層に含まれる前記粒子の平均粒径が、1.0nm以上500nm以下である、
    請求項1~16のいずれか一項に記載の導電性シート。
  18. 可視光透過率が、70%以上99%以下である、
    請求項1~17のいずれか一項に記載の導電性シート。
  19. シート抵抗が、0.001Ωcm-2以上20Ωcm-2以下である、
    請求項1~18のいずれか一項に記載の導電性シート。
  20. 請求項1~19のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
    タッチパネル。
  21. 請求項1~19のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
    ディスプレイ。
  22. 請求項1~19のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
    ヒーター。
  23. 請求項1~19のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
    電磁波シールド。
  24. 請求項1~19のいずれか一項に記載の導電性シートを備える、
    アンテナ。
  25. 基材に前駆体薄膜を形成する膜形成工程と、
    前記前駆体薄膜を、分圧10Pa以上1000Pa以下の水素原子と酸素原子とを共に含む分子を含む気体の存在下で、150秒以上2000秒以下、プラズマと反応させて粒子層を形成するプラズマ処理工程と、を含む、
    導電性シートの製造方法。
  26. 前記水素原子と酸素原子とを共に含む分子が水分子である、
    請求項25に記載の導電性シートの製造方法。
  27. 前記前駆体薄膜が開口を有する連続したパターンを構成する、
    請求項25又は26に記載の導電性シートの製造方法。
  28. 前記前駆体薄膜の基材に対する開口率が20%以上99%以下である、
    請求項25~27のいずれか一項に記載の導電性シートの製造方法。
  29. 前記プラズマ処理工程において、マイクロ波プラズマを用いる、
    請求項25~28のいずれか一項に記載の導電性シートの製造方法。
  30. 請求項1~19のいずれか一項に記載の導電性シートの粒子層を、転写基材に転写する転写工程を含む、
    転写導電性シートの製造方法。
  31. 前記転写基材の表面自由エネルギーが5mN/m以上100mN/mである、
    請求項30に記載の転写導電性シートの製造方法。
  32. 転写基材の引張弾性率は、0.1GPa以上1000GPa以下である、
    請求項30又は31に記載の転写導電性シートの製造方法。
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