JP2022181738A - ガラスクロス及びガラスヤーン - Google Patents

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Abstract

【課題】 毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与する、ガラスクロス及びガラスヤーンの提供を主な課題とする。
【解決手段】 ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、前記ガラスクロスの経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)であり、前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロス。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ガラスクロス及び該ガラスクロスの製造に用いられるガラスヤーンに関する。
近年、プリント配線板は、電子機器の小型化に伴い、軽量化が求められており、使用される材料も低質量であることが求められている。プリント配線板を製造するには、ガラスクロスに樹脂が含浸されたプリプレグが用いられるが、ガラスクロスも同様に低質量であることが求められている。
また、通信の大容量化や高速化に伴って、プリント配線板を構成する材料について、低誘電特性が求められており、ガラスクロスについても低誘電特性が求められている場合がある。
そして、上記低質量であるガラスクロス又は上記低誘電特性を備えるガラスクロスを構成するガラスヤーンについても、低番手化や低誘電特性が求められており、ガラスヤーンの品質がガラスクロスの性能に対して大きな影響を与える。
3.0~4.2μmの範囲の直径を備えるガラスフィラメントが14~55本の範囲で集束されてなる経糸及び緯糸から構成され、該経糸及び緯糸の織密度が86~140本/25mmの範囲にあり、7.5~12.0μmの範囲の厚さと、1m当たり6.0~10.0gの範囲の質量とを備え、ガラスクロスの厚さを経糸のガラスフィラメントの直径と緯糸のガラスフィラメントの直径との平均値で除した値(ガラスクロスの厚さ/{(経糸のガラスフィラメントの直径+緯糸のガラスフィラメントの直径)/2})として示される平均段数が2.00以上3.00未満の範囲にあるガラスクロスであって、前記経糸の開繊度(経糸の糸幅/(経糸を構成するガラスフィラメントの直径×経糸を構成するガラスフィラメントの本数))と前記緯糸の開繊度(緯糸の糸幅/(緯糸を構成するガラスフィラメントの直径×緯糸を構成するガラスフィラメントの本数))との相乗平均((経糸の開繊度×緯糸の開繊度)1/2)で示される平均開繊度が1.000~1.300の範囲にあり、前記緯糸の糸幅に対する前記経糸の糸幅の比(経糸の糸幅/緯糸の糸幅)で示される糸幅比が0.720~0.960の範囲にあるガラスクロスが知られている(例えば、特許文献1参照)。該文献によれば、平均段数を3.00未満としても、該ガラスクロスを用いたプリプレグにおいてピンホールの発生を抑制することができるとともに、該ガラスクロスの毛羽立ちが少ないことで該プリプレグの優れた外観品質を維持できるガラスクロスを提供するとされている。
また、複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として製織してなる、ガラスクロスの製造方法であって、前記緯糸となる前記ガラス糸の密度が、2.2g/cm以上、2.5g/cm未満であり、前記緯糸となる前記ガラス糸の糸幅バラツキを示す糸幅分散係数が、0.003以上0.013以下である、及び/又は、前記緯糸となる前記ガラス糸の、糸幅の分布バラツキを示す糸幅分布変動係数Aが、0.0002以上0.0015以下である、ガラスクロスの製造方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。該文献によれば、均一な品質を有する低誘電ガラスクロスの製造方法、及び低誘電ガラスクロスの製造に適するガラス糸を提供することができるとされている。
特開2018-21274号公報 特開2020-105683号公報
前述した、低番手化された又は低誘電特性を備えるガラスヤーンから構成されるガラスクロスは、経糸方向の引張強さ等機械的強度が低くなる傾向にある。そして、ガラスクロスは、水流等を用いた開繊処理が行われるのが一般的であるところ、上記引張強さが低いガラスクロスを、例えば低番手化されていない汎用的なEガラスヤーンから構成されるガラスクロスと同条件で開繊処理をおこなうと、当該ガラスクロスに毛羽が発生するおそれがある。
一方、上記経糸方向の引張強さが比較的低いガラスクロスを、例えば低番手化されていない汎用的なEガラスヤーンから構成されるガラスクロスの開繊条件よりマイルドな条件で開繊処理すれば、開繊な不十分な部分が生じ、プリプレグやプリント配線板とする際に当該部分への樹脂含浸が不十分となり、ボイドが発生するおそれがある。
以上のように、低番手化された又は低誘電特性を備えるガラスヤーンから構成されるガラスクロスにおいて、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制とは、トレードオフの関係にあるといえ、上記従来技術においてはこれらの両立が十分とは言い難い。
そこで、本発明は、上記問題を解決し、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与する、ガラスクロス及びガラスヤーンの提供を主な課題とする。
本発明者等が上記問題を解決すべく検討したところ、毛羽発生及びボイド発生は、ガラスクロスの経糸に多く原因があること、そして、これらを解決するためには、当該経糸について糸幅のムラを低減させることが重要であることを知得した。
具体的に、ガラスクロス製造において、経糸は緯糸に比して張力が高くなるため、開繊しづらい。また、経糸は、張力が比較的高くなるため、工程通過中の糸へのダメージも比較的大きくなりやすく、毛羽も発生しやすい。そして、前述のように、低番手化された又は低誘電特性を備えるガラスヤーンから構成されるガラスクロスは、経糸方向の引張強さ等機械的強度が劣ること、及び比較的マイルドな条件で開繊処理をおこなう必要があること等が相俟って、より開繊しづらく、また、より毛羽が発生しやすくなる。
そして、本発明者等がさらに毛羽発生及びボイド発生する原因について検討したところ、経糸の糸幅が広がった部分では集束性に劣り毛羽がより発生しやすくなること、経糸の糸幅が狭くなった部分では集束しすぎて開繊が困難となり、当該部分においてボイドがより発生しやすくなること、を突きとめた。
そこで、本発明者等がさらに検討を重ねたところ、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロスとすれば、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与することができることを見出した。また、本発明者等は、経糸として使用するガラスヤーンの撚り数の標準偏差を特定範囲とすること、当該ガラスヤーンはアミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む紡糸集束剤を付与したものとすることで得られること、そして、当該ガラスヤーンを使用し、ビーミング工程においてロールとの接触長さを特定範囲とすることにより経糸張力の均整化を図ること、また製織工程において経糸張力を特定範囲とすること、により、上記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロスを得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1.ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、前記ガラスクロスの経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)であり、前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロス。
項2.前記経糸の糸幅平均値Ftwが100~200μmである、項1に記載のガラスクロス。
項3.項1又は2に記載のガラスクロスと、該ガラスクロスに含浸された状態で含まれる熱硬化性樹脂を含む、プリプレグ。
項4.ガラスフィラメントを複数本集束させてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されており、前記ガラスヤーンの撚り数の標準偏差が0.05~0.15(回/25mm)である、ガラスヤーン。
項5.項1又は2に記載のガラスクロスの製造方法であって、前記経糸として請求項4に記載のガラスヤーンを準備する工程、前記経糸と、巻き出しロール及び巻取りロール以外のロールと、の接触長さを0.60~1.27m/本としてビーミングする工程、前記経糸の張力を、下記式(I)を満足する張力T(cN)として製織する工程、を含む、ガラスクロスの製造方法。

式(I) ・・・5.0×10-3≦T(cN)/(π×(D/2)×N)≦12.0×10-3

式(I)中、Dは前記ガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数
本発明のガラスクロスは、ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、前記ガラスクロスの経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)であり、前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であることから、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与することができる。
本発明のガラスクロスは、ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、前記ガラスクロスの引張強さが20~85(N/25mm)であり、前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070である。以下、本発明のガラスクロスについて詳述する。
[ガラス材料]
本発明のガラスクロスにおいて、ガラスフィラメントを構成するガラス材料としては、特に制限されない。例えば、Eガラス、Tガラス、Sガラス、UTガラス、Dガラス、NEガラス、Lガラス、ユニチカ株式会社製商品名LUガラス、Cガラス、または、ARガラス等が挙げられる。
汎用性の観点からは、Eガラス組成を備えるガラスフィラメントを用いることが好ましい。前記Eガラス組成は、ガラスフィラメントの全量に対し、52~56質量%の範囲のSiOと、5~10質量%の範囲のBと、12~16質量%の範囲のAlと、合計で20~25質量%の範囲のCaO及びMgOと、合計で0~1質量%の範囲のLiO、KO及びNaOとを含む組成である。
また、プリプレグ及びプリント配線板の強度をより高めるという観点からは、前記ガラスフィラメントとしては、ガラスフィラメントの全量に対し60~66質量%の範囲のSiOと、20~26質量%の範囲のAlと、10~15質量%の範囲のMgOとを含む組成)を備えるガラス材料からなることが好ましい。
また、プリプレグ及びプリント配線板の誘電率、誘電正接を低減するという観点からは、前記ガラスフィラメントとしては、ガラスフィラメントの全量に対し45~60質量%の範囲のSiOと、15~35質量%の範囲のBと、10~20質量%の範囲のAlとを含む、ガラス材料からなることが好ましく、ガラスフィラメントの全量に対し45~55質量%の範囲のSiOと、20~35質量%の範囲のBと、10~20質量%の範囲のAlとを含む、ガラス材料からなることがより好ましい。
なお、本発明においてガラス組成は、ICP発光分光分析法により測定する。具体的には、Si含量及びB含量は、秤取したガラスクロスサンプルを炭酸ナトリウムで融解したのち、希硝酸で溶解して定容し、得られたサンプルをICP発光分光分析法により測定して得る。また、Fe含量は、秤取したガラスクロスサンプルをアルカリ溶解法により溶解して定容し、得られたサンプルをICP発光分光分析法により測定して得る。さらに、Al含量、Ca含量、及びMg含量は、秤取したガラスクロスサンプルを硫酸、硝酸及びフッ化水素により加熱分解した後、希硝酸で溶解して定容し、得られたサンプルをICP発光分光分析法により測定して得る。なお、ICP発光分光分析装置としては、サーモフィッシャー社製iCAP6300Duoを用いることができる。
[ガラスクロス]
本発明のガラスクロスは、ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成される。そして、当該経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070である。これにより、後述する、引張強さが20~85(N/25mm)である引張強さが比較的低いガラスクロスにおいて、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与することができる。上記経糸幅変動係数Ftcvは、0.045~0.051がより好ましい。
前記経糸の糸幅変動係数Ftcvは次のような方法で求められる。すなわち、ガラスクロスを20cm×20cmにカットし、光学顕微鏡等で平面方向から観察し、経糸を25本任意に選択し、25本それぞれについて、端から1cmの箇所の糸幅を測定し、その地点から1cm毎に測定を残り18回繰り返し、合計19か所の糸幅を測定する。次いで、当該19か所の糸幅の値の相加平均値及び標準偏差を求め、当該19か所の変動係数(=当該標準偏差/当該相加平均値)を求める。これを上記25本についておこない、25本それぞれで求められる上記変動係数の相加平均値を経糸幅変動係数Ftcvとする。
本発明のガラスクロスにおいて、経糸の糸幅平均値(Ftw)としては特に制限されないが、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させつつ、ガラスクロスの厚さをより薄くするという観点から、100~200μmが好ましく、100~150μmがより好ましい。ここで、当該経糸の糸幅平均値(Ftw)は、前述した経糸の糸幅変動係数Ftcvを求める際に測定される、19か所の糸幅の値の相加平均値を求め、これを25本についておこない、25本それぞれで求められる糸幅の相加平均値をさらに相加平均して得られる値を経糸の糸幅平均値(Ftw)とする。
なお、ガラスクロスは、製造する際、経糸が緯糸に比べてより張力がかかった状態で製造されることが技術常識である。従って、ガラスクロスの緯糸は、比較的張力フリーな状態で製造されることから、ガラスクロス平面方向から見たときの糸幅が経糸より大きくなる。従って、本発明において、緯糸の糸幅平均値を前述した経糸の糸幅平均値(Ftw)と同様の方法により求めたとき、経糸とは、経糸及び緯糸のうち、平面方向から見たときの糸幅平均値が小さい方のガラス糸であるとも定義することができる。
また、本発明のガラスクロスにおいて、経糸の糸幅標準偏差(Ftσ)としては特に制限されないが、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させつつ、ガラスクロスの厚さをより薄くするという観点から、1.0~20.0μmが好ましく、3.0~18.0μmがより好ましく、3.0~15.0μmがさらに好ましく、3.0~10μmが特に好ましく、4.0~10.0μmが一層好ましい。ここで、当該経糸の糸幅標準偏差(Ftσ)は、前述した経糸の糸幅変動係数Ftcvを求める際に測定される、合計19か所の糸幅及び当該19か所の相加平均値により標準偏差を求め、これを25本についておこない、25本それぞれで求められる標準偏差を相加平均して得られる値を経糸の糸幅標準偏差(Ftσ)とする。
本発明のガラスクロスは、経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)である。前述したように、本発明のガラスクロスは、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であることから、当該引張強さであるガラスクロスにおいて、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与することができる。ここで、当該経糸方向の引張強さは、JIS R 3420:2013 7.4.2に準じ、定速伸長型引張試験機(インテスコ株式会社製)を用い、試験片長さを25cm、試験片の幅(両端部から糸をほぐす前の幅)を30mm、つかみ間隔を15cm、試験片の幅(両端部から糸をほぐした後の幅)を25mm、定速引張速度を200mm/minとし、ガラスクロスの経糸方向について、5回破断強度を測定し、測定値の相加平均値をガラスクロスの引張強さ(N/25mm)とする。
本発明のガラスクロスを構成する経糸及び緯糸における、ガラスフィラメントの平均直径としては特に制限されないが、ガラスクロスの厚さをより薄くするという観点から、例えば、2~7μmが挙げられ、2.5~5.5μmが好ましく挙げられ、3~5μmがより好ましく挙げられ、3.2~4.5μmがさらに好ましく挙げられ、3.2~4.2μmが特に好ましく挙げられる。また、本発明のガラスクロスにおいて、経糸及び緯糸を構成するガラスフィラメントの本数としては特に制限されないが、ガラスクロスの厚さをより薄くするという観点から、例えば、20~200本が挙げられ、20~100本が好ましく挙げられ、20~55本がより好ましく挙げられる。ここで、ガラスフィラメントの平均直径及び本数は、次のように測定、算出されるものである。すなわち、得られたガラスクロスを30cm角にカットしたものを2枚用意し、一方を経糸観察用、他方を緯糸観察用として、それぞれをエポキシ系冷間埋設樹脂(ストルアス株式会社製商品名エポキシ樹脂スペシフィックス-40)に包埋して硬化させ、経糸、緯糸が観察可能な程度に研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、平均直径は倍率2000倍で、本数は倍率500倍で観察、測定をおこなう。
(1)ガラスフィラメントの平均直径(μm)
経糸、緯糸それぞれについて無作為に30本ずつ選び、該30本の経糸及び緯糸中の全ガラスフィラメントの直径(最も大きい部分)を測定して相加平均値を算出し、経糸及び緯糸におけるガラスフィラメントの平均直径とする。
(2)本数(本)
経糸、緯糸それぞれについて無作為に30本ずつ選び、30本の経糸及び緯糸中の全フィラメント数を測定して相加平均値を算出し、経糸及び緯糸におけるガラスフィラメントの本数とする。
また、本発明のガラスクロスにおいて、経糸及び緯糸の番手としては特に制限されないが、ガラスクロスの厚さをより薄くするという観点から、例えば、0.5~12texが好ましく挙げられ、0.5~5texが好ましく挙げられ、0.5~3texがより好ましく挙げられ、0.5~2texがさらに好ましく挙げられ、0.5~1.5texが特に好ましく挙げられる。なお、本発明において、ガラス糸の番手は、日本工業規格JIS R 3420 2013(ガラス繊維一般試験方法)の「7.1 番手」に規定されているに従い、測定、算出される値である。
本発明のガラスクロスにおいて、経糸及び緯糸の織密度としては特に制限されないが、例えば、80本/25mm以上160本/25mm以下が挙げられ、85本/25mm以上130本/25mm以下が好ましく挙げられる。ここで、本発明において、経糸密度及び緯糸密度は、日本工業規格JIS R 3420 2013(ガラス繊維一般試験方法)の「7.9 密度(織り密度)」に規定されているに従い、測定、算出される値である。
また、本発明のガラスクロスの織組織としては、特に制限されないが、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織などが挙げられる。中でも、平織が好ましい。
本発明のガラスクロスの厚さとしては特に制限されないが、例えば、20μm以下が挙げられ、15μm以下が好ましい。下限値としては、例えば、5μm以上が挙げられ、6μm以上が好ましく、7μm以上がさらに好ましい。本発明のガラスクロスの厚さとして、具体的には、5μm以上20μm以下、好ましくは6μm以上15μm以下、より好ましくは7μm以上15μm以下が挙げられる。ここで、上記ガラスクロスの厚さは、JIS R3420:2013 7.10.1に準じ、最小表示値が0.001mmである外側マイクロメータを用いて測定する。
本発明のガラスクロスの質量としては特に制限されないが、例えば、20g/m以下が挙げられ、15g/m以下が好ましい。下限値としては、例えば、5g/m以上が挙げられ、6g/m以上が好ましく、7g/mがさらに好ましい。本発明のガラスクロスの質量として、具体的には、5g/m以上20g/m以下、好ましくは6g/m以上15g/m以下、より好ましくは7g/m以上15g/m以下が挙げられる。ここで、上記ガラスクロスの質量は、JIS R 3420:2013 7.2に準じて測定する。
[ガラスヤーン]
次に本発明のガラスヤーンについて説明する。
本発明のガラスヤーンは、ガラスフィラメントを複数本集束させてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されており、前記ガラスヤーンの撚り数の標準偏差が0.05~0.15(回/25mm)である。このようなガラスヤーンを経糸原料糸として用いて製織することにより、前述した本発明のガラスクロスを効率的に製造することが可能となる。
前述のように、本発明者等は、本発明のガラスクロスを発明するにあたり、従来技術では、経糸の糸幅が広がった部分では集束性に劣り毛羽がより発生しやすくなること、経糸の糸幅が狭くなった部分では集束しすぎて開繊が困難となり、当該部分においてボイドがより発生しやすくなること、を突きとめた。そして、従来技術において、このような経糸の糸幅が広がった部分と狭くなった部分とが混在する原因について検討したところ、従来技術で使用されるガラスヤーンでは撚りムラが大きいこと、これに起因して経糸の糸幅が広がった部分と狭くなった部分とが混在することを突きとめた。
そして、上記撚りムラを低減すべく検討したところ、ガラスヤーンを集束させる紡糸集束剤として、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む紡糸集束剤を用いてガラスヤーンを製造することにより、ガラスヤーンの撚りムラの指標である撚り数の標準偏差を0.05~0.15(回/25mm)とすることができることを見出した。
ここで、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む紡糸集束剤を用いてガラスヤーンを製造することにより、ガラスヤーンの撚りムラの指標である撚り数の標準偏差を0.05~0.15(回/25mm)とすることの作用機序については、必ずしも明らかではないが、次のように考えることができる。
すなわち、ガラスヤーンは、以下のように、紡糸工程及び撚糸工程を経て製造される。
(1-1)紡糸工程
ガラス原料をガラス溶融炉で溶融してノズルから複数のガラスフィラメントとして引き出し、該複数のガラスフィラメントに紡糸集束剤を付与して集束させてガラスストランドとする。そして、円筒状の巻き取りチューブを装着させたコレットを回転させて上記ガラスストランドを巻き取りチューブ上に巻き取り、ケーキ(紡糸工程で、ブッシングから繊維化された直後のストランドを巻き取った、筒状に巻かれた糸の塊)とする。
(1-2)撚糸工程
ケーキからガラスストランドを引き出し、リング撚糸機で撚りをかけて、ガラスヤーンとし、巻取りボビンに巻き取ってガラスヤーンとする。
ここで、リング撚糸機の原理として、糸はリングの縁を動くトラベラーを経て、スピンドルに取り付けられた巻取りボビンに巻き取られる。この時、スピンドルの回転と糸の張力で、トラベラーがリングの縁に沿って回転し撚りがかかる。トラベラーの回転数はスピンドルの回転数よりも小さく、この回転数の差の分だけ撚りがかかり、巻取りボビンに巻き取られる。本発明者等が検討したところ、従来技術において撚り数の標準偏差が高くなる原因として、ガラスヤーン製造時の撚糸工程におけるリング撚糸機のトラベラーとガラス糸との摩擦にムラが生じやすく、これに起因して上記標準偏差が高くなることを突きとめた。
ここで、本発明者等は、ガラスヤーン製造時の撚糸工程におけるリング撚糸機のトラベラーとガラス糸との摩擦のムラを低減させるべく、トラベラーとトラベラーを通過するガラス糸との摩擦を低減させることを目指した。そして、上記紡糸工程にてガラスフィラメントに付与される紡糸集束剤の、皮膜形成成分である澱粉に着目した。
一般にガラスヤーンの紡糸集束剤の皮膜形成成分として用いられる澱粉としてはトウモロコシ、馬鈴薯、又はタピオカ澱粉等を用いることが知られている。これらは、老化(糊化した澱粉が冷却されたときにゲル化すること)しにくい澱粉である。一方、豆澱粉は、トウモロコシ、馬鈴薯又はタピオカ澱粉に比して、老化しやすい。澱粉が老化する際、澱粉分子が、より密な集合状態に移行する。そして、本発明者等は、あえてこの老化を利用し、澱粉皮膜をガラスフィラメント間に形成し、該澱粉皮膜の老化により該皮膜を収縮させることにより、ガラスフィラメントをより均一に集束させることを企図した。そして、豆澱粉の中でも、皮膜形成性が高い、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉を用いることでガラスヤーンの集束性の均一性を高めて、トラベラーとトラベラーを通過するガラス糸との摩擦を低減させることができる、と推測した。
そして、本発明者等は、さらに、澱粉として、上記アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉に加えて架橋米澱粉を用いることで、さらにトラベラーとトラベラーを通過するガラス糸との摩擦を低減させることができる、と推測した。すなわち、米澱粉はトウモロコシ澱粉等他の澱粉と比較して澱粉の粒子径が小さい。そして、米澱粉を架橋処理されたものとして、これを上記非架橋豆澱粉と併用することで、ガラスフィラメント上に粒径の小さい米澱粉を皮膜化させずにそのまま存在させ、非架橋豆澱粉皮膜による均一な集束性への阻害が少なく、ボールベアリングのようにガラスヤーンの摩擦をより低減させると推測した。
そして、実際、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む紡糸集束剤を用いてガラスヤーンを製造すると、トラベラーのリング走行が安定し、ガラスヤーンの撚りムラの指標である撚り数の標準偏差を0.05~0.15(回/25mm)とすることができたのである。
前述のように、本発明のガラスヤーンは、ガラスフィラメントの表面に形成される皮膜に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉を含む。ここで、澱粉のアミロース含量は、ヨウ素親和力測定法の電流滴定法によって求める(澱粉科学ハンドブック、177~179ページ、二国二郎監修、昭和52年初版発行、朝倉書店)。測定に用いる澱粉を、ジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)に溶解後、遠心分離により不純物を除去し、遠心分離後のDMSO溶液中の澱粉をエタノールで再沈殿させたものを減圧乾燥により粉末化したものとする。また、滴定には電位差自動滴定装置(modelAT-118、京都電子工業株式会社製)を用いることができる。
豆澱粉の原料としては、エンドウマメ、ヒラマメ、ソラマメ等が挙げられ、エンドウマメが好ましく挙げられる。
また、前述のように、本発明のガラスヤーンは、ガラスフィラメントの表面に形成される皮膜に架橋米澱粉を含む。米澱粉に架橋処理をおこなう架橋剤としては、公知のものでよく、例えば、エピクロルヒドリン、ジアルデヒド、トリメタリン酸ナトリウム、ジエポキシド、シアヌリッククロライド、ホルマリン等が挙げられ、エピクロルヒドリンが好ましく挙げられる。
本発明のガラスヤーンの、ガラスフィラメントを構成する好ましいガラス材料、ガラスフィラメントの平均直径、本数、及び番手としては、前述の本発明のガラスクロスに関する説明で述べたとおりである。測定方法において異なる点について述べると、本発明のガラスヤーンにおいては、ガラスフィラメントの平均直径は、JIS R 3420 2013の「ガラス繊維一般試験方法」の「7.6 単繊維直径」のB法(横断面法)に規定されている方法に従って、測定、算出する。また、ガラスヤーンのガラスフィラメント本数は、当該ガラスフィラメントの平均直径の測定において測定する。
また、上記したガラスヤーンにおけるガラスヤーン断面積としては、250~1000μmが好ましく、さらに好ましくは300~800μm、特に好ましくは325~700μmである。また、ガラスクロスの質量を低減しつつ、毛羽の発生をより一層抑制する観点からは、600~700μmが好ましい。なお、当該ガラスヤーン断面積は、下記式(II)により算出される。

式(II)・・ガラスヤーン断面積(μm)=π×(ガラスヤーンにおけるガラスフィラメント平均直径(μm)/2)×ガラスヤーンにおけるガラスフィラメント本数
本発明のガラスヤーンは、撚り数の標準偏差が0.05~0.15(回/25mm)である。前述のように、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む紡糸集束剤を用いてガラスヤーンを製造すると、トラベラーのリング走行が安定し、ガラスヤーンの撚りムラの指標である撚り数の標準偏差を0.05~0.15(回/25mm)とすることができ、当該ガラスヤーンを経糸原料糸として用いて製織することにより、前述した本発明のガラスクロスを効率的に製造することが可能となる。
また、本発明のガラスヤーンの撚り数としては、特に制限されないが、糸幅を一定の範囲に制御しつつより薄いガラスクロスを作成するという観点から、0.4~1.10回/25mmが好ましく、0.45~1.05回/25mmがより好ましい。
なお、ガラスヤーンの撚り数の標準偏差は、JIS R 3420:2013 7.5に準じ、測定点数を10点として25mm当たりの撚り数を測定し、求める。また、ガラスヤーンの撚り数は、JIS R 3420:2013 7.5に準じ、測定点数を10点として、それらの相加平均値を撚り数とする。
本発明のガラスヤーンは、下記式(III)を満足する張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値が40~100μmであることが好ましく、40~85μmであることがより好ましい。

式(III)・・・5.0×10-3≦T(cN)/(π×(D/2)×N)≦12.0×10-3

式(III)中、Dは前記ガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数
また、本発明のガラスヤーンは、上記式(III)を満足する張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の変動係数が0.02~0.05であることが好ましい。
なお、前記したガラスヤーンの上記式(III)を満足する張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求める。
本発明のガラスヤーンの引張強さとしては、ガラスクロスの質量を低減しつつ、毛羽の発生をより一層抑制するという観点から、0.2~1.7Nが好ましく、0.3~1.7Nがより好ましく、0.8~1.7Nがさらに好ましく、1.3~1.7Nが特に好ましい。なお、引張強さは、JIS R 3420:2013 7.4.3に準じ、測定には島津製作所社製のオートグラフ(AGS-100S)を用い、半径13mmの円形クランプを用い、試験速度を250mm/分、つかみ間隔を250mmとして測定される引張強さ(N)とする。
[ガラスクロスの製造方法]
本発明のガラスクロスの製造方法については、ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、前記ガラスクロスの経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)であり、前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロスが得られることを限度として特に制限されないが、好適な一例として、経糸として前述した本発明のガラスヤーンを準備する工程、前記経糸と、巻き出しロール及び巻取りロール以外のロールと、の接触長さを0.60~1.27m/本としてビーミングする工程、前記経糸の張力を、下記式(I)を満足する張力T(cN)として製織する工程、を含む、ガラスクロスの製造方法が挙げられる。

式(I) ・・・5.0×10-3≦T(cN)/(π×(D/2)×N)≦12.0×10-3

式(I)中、Dは前記ガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数
以下、本発明のガラスクロスの製造方法について詳述する。
(1)経糸準備工程
経糸として、前述した本発明のガラスヤーンを準備する。ガラスフィラメントを複数本集束させてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されており、前記ガラスヤーンの撚り数の標準偏差が0.05~0.15(回/25mm)である、ガラスヤーンを経糸として用いることで、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロスを効率的に得ることができる。
(2)ビーミング工程
上記経糸準備工程で準備したガラスヤーンを経糸とし、整経、糊付けを行った後にビーミングをおこなう。ビーミングとは経糸ビームを織機にセット可能な状態にする工程である。通常、糊付け工程で得られた複数の糊付けビームから糸を繰り出し、これらを合わせて1つの経糸ビームとすることで、織機にセット可能な状態となる。本発明のガラスクロスの製造方法においては、特に、経糸と、巻き出しロール(通常は上記糊付けビームがセットされるロール)及び巻取りロール、以外のロールと、の経糸1本当たりの接触長さを0.60~1.27mとしてビーミングをおこなうことにより、経糸1本あたりの張力を一定の範囲にして経糸の糸幅の変動を効率的に抑えることができることを見出したのである。上記接触長さとしては、好ましくは、0.70~1.15m/本である。
ビーミング工程における、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールの材質については特に制限されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミ合金等の金属、ゴム、樹脂等が挙げられ、金属ロールについては硬質クロムメッキ等の表面加工を施した金属ロールが好ましく上げられる。また、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールの直径としては、例えば、100~500mm程度が挙げられる。また、上記した、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールの数としては、特に制限されないが、3~5本が挙げられる。
ビーミング工程における、経糸の速度としては、特に制限されないが、例えば、5~100m/minが挙げられ、より好ましくは10~60m/minが挙げられ、特に好ましくは15~50m/minが挙げられる。
本発明のガラスクロスの製造方法は、経糸の張力を、下記式(I)を満足する張力T(cN)として製織する工程を備える。

式(I)・・・5.0×10-3×π×(D/2)×N}≦T(cN)/(π×(D/2)×N)≦12.0×10-3

式(I)中、Dは前記ガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数
上記条件で製織することにより、糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070である本発明のガラスクロスを効率的に製造することができる。
織機における経糸の張力の監視は、巻き出し直後に設置したロードセルによっておこなうことができる。また、織機における経糸の張力は、織機ビームの巻き出し張力を増減することにより調整可能である。
本発明のガラスクロスの製造方法において、製織工程の後、必要に応じて、開繊処理及び/又はヒートクリーニング処理を施すことができる。開繊処理する方法としては、例えば、得られたガラスクロスに水流の圧力による開繊処理、水(例えば脱気水、イオン交換水、脱イオン水、電解陽イオン水又は電解陰イオン水等)等を媒体とした高周波振動による開繊処理、ロールによる加圧での加工処理等が挙げられる。かかる開繊処理は織成と同時に行ってもよいし、織成後に行ってもよい。また、開繊処理は、後述するヒートクリーニング処理前或いは後若しくはヒートクリーニング処理と同時に行ってもよいし、後述する表面処理と同時に若しくは後に行ってもよい。また、経糸と緯糸の開繊程度を調整する方法としては、公知の手法が採用でき、経糸張力を調整する方法、緯方向にもピンチエキスパンダー、湾曲ゴムローラー、回転周動ローラー、ミラボーローラー、又はテンターといった方法を採用して経糸方向と緯糸方向との張力バランスを調整、付与しながら開繊をおこなう方法、又はこれらを組み合わせる方法等が挙げられる。
織成したガラスクロスに、紡糸集束剤等、プリプレグやプリント配線板とする際のマトリックス樹脂の密着性、含浸性を阻害する物質が付着している場合は、例えば、ヒートクリーニング処理等により該物質を除去するのが好ましい。ヒートクリーニング処理の温度条件としては、好ましくは350℃以上、より好ましくは350~500℃、更に好ましくは380~450℃が挙げられる。また、ヒートクリーニング処理の時間については、採用する温度条件に応じて適宜設定すればよいが、例えばガラスクロスをロール製品(巻き芯にガラスクロスを巻き取った製品)とする場合であって、ロール製品のままヒートクリーニング処理する場合は20~60時間、好ましくは24~48時間、更に好ましくは24~36時間が挙げられる。
[プリプレグ]
次に、本発明のプリプレグについて、説明する。本発明のプリプレグは、本発明のガラスクロスと、前記ガラスクロスに含浸された状態で含まれる熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性樹脂としては、熱により硬化する樹脂であれば特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、非ハロゲン系エポキシ樹脂、シアネート樹脂、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、変性ビスマレイミド樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ビニル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のプリプレグは、無機充填剤を含むことができる。無機充填剤としては、例えば、天然シリカ、溶融シリカ、アモルファスシリカ、中空シリカ等のシリカ類;ベーマイト;酸化モリブデンやモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物;アルミナ、タルク、焼成タルク、マイカ、ガラス短繊維、球状ガラス等のガラスフィラー(EガラスやTガラス、UTガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラ、Lガラス、LUガラスなどをガラス材料とするガラスフィラー)などが挙げられる。
本発明のガラスクロス及びプリプレグは、プリント配線板に好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
1.ガラスヤーンの製造例
(1)紡糸集束剤
紡糸集束剤の原料として、以下のものを準備した。
・架橋米澱粉
・非架橋豆澱粉(アミロース含量:40%、原料:エンドウマメ)
・非架橋高アミロース含量トウモロコシ澱粉(アミロース含量70%)
・油脂(原料:動物油、植物油、乳化剤)
・樹脂(イソシアネート変性ポリエーテル系高分子と変性エポキシ樹脂を混合したもの)
・柔軟剤(アルキルアミド誘導体)
・帯電防止剤(N,N,N,N-テトラアルキル第四級アンモニウム塩)
・防腐剤
・消泡剤
上記原料を、不揮発性成分の組成比が表1に記載のとおりになるようにして、水性溶媒として所定量の純水と混合し、配合A及び配合Bの集束剤を得た。各紡糸集束剤中の不揮発性成分濃度は6.00質量%であった。なお、表1の数値の単位は質量部である。
Figure 2022181738000001
(2)ガラスヤーンの製造例
<製造例1>
配合Aの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(ガラスフィラメントの全量に対し45~60質量%の範囲のSiOと、15~35質量%の範囲のBと、10~20質量%の範囲のAlとを含む組成。)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.0(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は58.3μm、当該変動係数は0.04であり、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=4.3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は60.7μm、当該変動係数は0.04であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
<製造例2>
配合Aの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(ガラスフィラメントの全量に対し45~60質量%の範囲のSiOと、15~35質量%の範囲のBと、10~20質量%の範囲のAlとを含む組成。)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.2(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は49.8μm、当該変動係数は0.03であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
<製造例3>
配合Aの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(ガラスフィラメントの全量に対し60~66質量%の範囲のSiOと、20~26質量%の範囲のAlと、10~15質量%の範囲のMgOとを含む組成)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=8.6(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は45.1μm、当該変動係数は0.03であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
<製造例4>
配合Aの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(Eガラス組成)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.6(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は42.4μm、当該変動係数は0.03であり、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=25.0(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は39.5μm、当該変動係数は0.03であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
<製造例5>
配合Aの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(ガラスフィラメントの全量に対し60~66質量%の範囲のSiOと、20~26質量%の範囲のAlと、10~15質量%の範囲のMgOとを含む組成)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.8(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は39.2μm、当該変動係数は0.03であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
<比較製造例1>
配合Bの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(ガラスフィラメントの全量に対し45~60質量%の範囲のSiOと、15~35質量%の範囲のBと、10~20質量%の範囲のAlとを含む組成。)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は50.1μm、当該変動係数は0.06であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
<比較製造例2>
配合Bの紡糸集束剤を、紡糸炉から紡出させた複数のガラスフィラメント(ガラスフィラメントの全量に対し60~66質量%の範囲のSiOと、20~26質量%の範囲のAlと、10~15質量%の範囲のMgOとを含む組成)にアプリケーターを用いて塗布し、当該ガラスフィラメントを1本の束(ストランド)に集束させた。次いで、このストランドを、撚りをかけずにチューブに巻き取り、ケーキを得た。次いで、得られたケーキを乾燥した。乾燥後のケーキをリング撚糸機にセットし、ストランドを解舒しつつ、撚りをかけながら、ボビンに巻き付け、ガラスヤーンを得た。得られたガラスヤーンの物性等を表2に示す。
得られたガラスヤーンの、張力T(cN)をかけながら測定される糸幅の平均値及び変動係数を測定したところ、張力Tとして、T(cN)/(π×(D/2)×N)=8.6(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足する張力をかけたときの当該糸幅平均値は44.1μm、当該変動係数は0.06であった。なお、当該糸幅の平均値及び当該変動係数は、ガラスヤーンを50m/minの速度で上記張力T(cN)をかけながら測定長を50mとして、測定器として株式会社キーエンス社製超高速・高精度寸法測定器 LS-9006を用いて、0.50mm毎に糸幅を測定し、得られた値の平均値を上記糸幅の平均値とし、また、得られた糸幅の標準偏差を当該平均値で除することで上記糸幅の変動係数を求めた。
Figure 2022181738000002
表2のように、製造例1~5のガラスヤーンは、ガラスフィラメントを複数本集束させてなるガラスヤーンであって、前記ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されていることから、撚糸工程においてトラベラーのリング走行が安定し、ガラスヤーンの撚り数の標準偏差が0.05~0.15(回/25mm)となった。一方、比較製造例1及び2のガラスヤーンは、ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されていないことから、撚糸工程においてトラベラーのリング走行が安定せず、ガラスヤーンの撚り数の標準偏差が0.15(回/25mm)を超えるものとなった。
2.ガラスクロスの実施例
<実施例1>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例1で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.0×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、実施例1のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表3に示す。
<実施例2>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例2で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.2×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、実施例2のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表3に示す。
<実施例3>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例3で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=8.6×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、実施例3のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表3に示す。
<実施例4>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例4で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.6×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、実施例4のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表3に示す。
<実施例5>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例5で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.8×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、実施例5のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表3に示す。
<実施例6>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例2で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール5本を用い、経糸と当該ロール5本との、経糸1本当たりの接触長さを1.15mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.2×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、実施例6のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表3に示す。
<比較例1>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、比較製造例1で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.3×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、比較例1のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表4に示す。
<比較例2>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、比較製造例2で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=8.6×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、比較例2のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表4に示す。
<比較例3>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例1で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=4.3×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、比較例3のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表4に示す。
<比較例4>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例4で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール4本を用い、経糸と当該ロール4本との、経糸1本当たりの接触長さを0.90mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=25.0×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、比較例4のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表4に示す。
<比較例5>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例3で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール6本を用い、経糸と当該ロール6本との、経糸1本当たりの接触長さを1.31mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=9.0×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、比較例5のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表4に示す。
<比較例6>
(1)ガラスヤーンの準備
経糸及び緯糸として、製造例3で製造したガラスヤーンを準備した。
(2)経糸ビームの準備
上記準備した経糸を用いて整経、糊付けをし、ビーミングをおこなって経糸ビームを準備した。ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール、以外のロールについては、材質がステンレスで、直径が160mmのロール2本を用い、経糸と当該ロール2本との、経糸1本当たりの接触長さを0.55mとし、経糸の速度を20m/minとして、ビーミングをおこなった。
(3)製織
エアージェット織機を用い、上記準備した経糸ビームを当該織機にセットし、緯糸として上記準備したガラスヤーンを用いて、経糸の張力T(cN)を、T(cN)/(π×(D/2)×N)=8.6×10―3(※Dはガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数(本))を満足するようにして、平織で製織をおこなった。製織において、経糸の張力はロードセルによって測定した。
(4)その他の処理等
上記製織した生機を、雰囲気温度400℃の条件で30時間加熱することによるヒートクリーニング処理、高圧スプレーによる開繊処理、シランカップリング剤による表面処理をおこない、比較例6のガラスクロスを得た。得られたガラスクロスの物性等について表4に示す。
3.物性の測定方法
(1)ガラスヤーンの番手(tex)
製造例で準備したガラスヤーンを用い、日本工業規格JIS R 3420 2013(ガラス繊維一般試験方法)の「7.1 番手」に規定されているに従い、測定、算出した。
(2)ガラスヤーンにおけるガラスフィラメントの平均直径(μm)及び本数(本)
製造例で準備したガラスヤーンを用い、ガラスフィラメントの平均直径は、JIS R 3420 2013の「ガラス繊維一般試験方法」の「7.6 単繊維直径」のB法(横断面法)に規定されている方法に従って、測定、算出した。また、ガラスヤーンのガラスフィラメント本数は、当該ガラスフィラメントの平均直径の測定において測定した。
(3)ガラスヤーンの断面積(μm
上記ガラスヤーンのフィラメントの平均直径と、ガラスフィラメント本数から、式(II)により算出した。

式(II)・・ガラスヤーン断面積(μm)=π×(ガラスヤーンにおけるガラスフィラメント平均直径(μm)/2)×ガラスヤーンにおけるガラスフィラメント本数
(4)ガラスヤーンの撚り数(回/25mm)及び撚り数の標準偏差(回/25mm)
製造例で準備したガラスヤーンを用い、ガラスヤーンの撚り数の標準偏差は、JIS R 3420:2013 7.5に準じ、測定点数を10点として25mm当たりの撚り数を測定し、求めた。また、ガラスヤーンの撚り数は、JIS R 3420:2013 7.5に準じ、測定点数を10点として、それらの相加平均値を撚り数とした。
(5)ガラスヤーンの引張強さ(N)
製造例で準備したガラスヤーンを用い、JIS R 3420:2013 7.4.3に準じ、測定には島津製作所社製のオートグラフ(AGS-100S)を用い、半径13mmの円形クランプを用い、試験速度を250mm/分、つかみ間隔を250mmとして測定した。
(6)ガラスクロスにおける経糸及び緯糸の番手(tex)
実施例、比較例で得られたガラスクロスを用い、日本工業規格JIS R 3420 2013(ガラス繊維一般試験方法)の「7.1 番手」に規定されているに従い、測定、算出した。
(7)ガラスクロスを構成する経糸及び緯糸の、ガラスフィラメントの平均直径(μm)及び本数(本)
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、30cm角にカットしたものを2枚用意し、一方を経糸観察用、他方を緯糸観察用として、それぞれをエポキシ系冷間埋設樹脂(ストルアス株式会社製商品名エポキシ樹脂スペシフィックス-40)に包埋して硬化させ、経糸、緯糸が観察可能な程度に研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM-6390A)を用い、平均直径は倍率2000倍で、本数は倍率500倍で観察、測定をおこなった。
(i)ガラスフィラメントの平均直径(μm)
経糸、緯糸それぞれについて無作為に30本ずつ選び、該30本の経糸及び緯糸中の全ガラスフィラメントの直径(最も大きい部分)を測定して相加平均値を算出し、経糸及び緯糸におけるガラスフィラメントの平均直径とした。
(ii)本数(本)
経糸、緯糸それぞれについて無作為に30本ずつ選び、30本の経糸及び緯糸中の全フィラメント数を測定して相加平均値を算出し、経糸及び緯糸におけるガラスフィラメントの本数とした。
(8)ガラスクロスの織密度(本/25mm)
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、日本工業規格JIS R 3420 2013(ガラス繊維一般試験方法)の「7.9 密度(織り密度)」に規定されているに従い、測定、算出した。
(9)経糸の糸幅変動係数Ftcv、糸幅平均値Ftw(μm)、糸幅標準偏差Ftσ(μm)
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、20cm×20cmにカットし、光学顕微鏡等で平面方向から観察し、経糸を25本任意に選択し、25本それぞれについて、端から1cmの箇所の糸幅を測定し、その地点から1cm毎に測定を残り18回繰り返し、合計19か所の糸幅を測定した。次いで、当該19か所の糸幅の値の相加平均値及び標準偏差を求め、当該19か所の変動係数(=当該標準偏差/当該相加平均値)を求め、これを上記25本についておこない、25本それぞれで求められる上記変動係数の相加平均値を経糸幅変動係数Ftcvとした。
(10)経糸の糸幅平均値Ftw(μm)
経糸の糸幅変動係数Ftcvを求める際に測定される、19か所の糸幅の値の相加平均値を求め、これを前記25本についておこない、25本それぞれで求められる糸幅の相加平均値をさらに相加平均して得られる値を経糸の糸幅平均値(Ftw)とした。
(11)経糸の糸幅標準偏差Ftσ(μm)
前述した経糸の糸幅変動係数Ftcvを求める際に測定される、合計19か所の糸幅及び当該19か所の相加平均値により標準偏差を求め、これを前記25本についておこない、25本それぞれで求められる標準偏差を相加平均して得られる値を経糸の糸幅標準偏差(Ftσ)とした。
(12)ガラスクロスの経糸方向及び緯糸方向の引張強さ(N/25mm)
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、JIS R 3420:2013 7.4.2に準じ、定速伸長型引張試験機(インテスコ株式会社製)を用い、試験片長さを25cm、試験片の幅(両端部から糸をほぐす前の幅)を30mm、つかみ間隔を15cm、試験片の幅(両端部から糸をほぐした後の幅)を25mm、定速引張速度を200mm/minとし、ガラスクロスの経糸方向及び緯糸方向について、5回破断強度を測定し、測定値の相加平均値をガラスクロスの引張強さ(N/25mm)とした。
(13)ガラスクロスの厚さ(μm)
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、JIS R3420:2013 7.10.1に準じ、最小表示値が0.001mmである外側マイクロメータを用いて測定した。
(14)ガラスクロスの質量(g/m
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、JIS R 3420:2013 7.2に準じて測定した。
(15)ガラスクロスのボイドの発生評価
まず、下記ワニスを準備した。
[ワニスの組成]
エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製 jER5045もしくは1001B80)100質量部
硬化剤(三菱化学株式会社製jERキュア DICY7) 3.2質量部
(ジシアンジアミド)
硬化促進剤(東京化成工業株式会社製 ジメチルベンジルアミン)0.18質量部
希釈溶剤(キシダ化学株式会社製ジメチルホルムアミド) 30質量部
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、ポリエステルフィルムを貼ったガラス板に10cm×10cmに切り出した当該ガラスクロスを置き、その上から温度20℃に調整した上記ワニス約1mLを静かに注ぎ、60秒経過後のガラスクロスの含浸挙動を実体顕微鏡を用いて透過光観察、撮影し、ガラスクロスを構成する経糸ストランド中で観察されたボイドの頻度、最大長を計測して下記基準により含浸性を評価した。本実施例においては、○以上を合格とした。
<評価基準>
ボイドは完全に消失し、観察されない ・・・・・・・・・・・・・◎
残存ボイドが数か所散見されるが、いずれも最大長が50μm以下 ・・・○
最大長50μm以上の残存ボイドが数か所散見されるが、最大長100μm以上の残 存ボイドは観察されない ・・・・・・・・・・・・・△
最大長100μm以上の残存ボイドが多く散見される・・・・・・・・・・×
(16)ガラスクロスの毛羽評価
実施例、比較例で得られたガラスクロスについて、500mm×1000mmの領域に、ガラスクロス用外観検査機を用いて直角方向から光を当てて、該ガラスクロスの表面を目視で確認して、毛羽立ちの発生数(毛羽立ち数)を計測し、毛羽立ち数が5か所以下の場合を「◎」、6か所~11か所の場合を「○」、12か所~19か所を「△」、20か所以上の場合を「×」として評価した。○以上(すなわち、11か所以下)を合格とした。なお、前記毛羽立ちは、ガラスフィラメントに切断が生じて、ガラスフィラメントが経(緯)糸から突出した部分であり、強く光が反射する部分として観察される。
Figure 2022181738000003
Figure 2022181738000004
表3から、実施例1~6のガラスクロスは、ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、前記ガラスクロスの経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)であり、前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であることから、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることに寄与することができるものであった。
とりわけ、実施例1及び3は、経糸の引張強さが1.3N以上であったことから、毛羽の発生をより一層抑制するものであった。
一方、比較例1及び2のガラスクロスは、経糸の原料ガラスヤーンとして、ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されていないガラスヤーンを使用したことに起因して、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.070を超えるものとなり、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることができないものであった。
比較例3のガラスクロスは、経糸の張力を、張力T(cN)が、T(cN)/(π×(D/2)×N)が5.0×10-3未満となるような張力として製織をしたことに起因して、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.070を超えるものとなり、毛羽の発生の抑制ができなかった。
比較例4のガラスクロスは、経糸の張力を、張力T(cN)が、T(cN)/(π×(D/2)×N)が12.0×10-3を超えるような張力として製織をしたことに起因して、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040未満となり、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることができないものであった。
比較例5のガラスクロスは、ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール以外のロールと、の接触長さを1.27m/本を超える条件でビーミングをおこなったことに起因して、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.070を超えるものとなり、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることができないものであった。
比較例6のガラスクロスは、ビーミング工程において、巻き出しロール及び巻取りロール以外のロールと、の接触長さを0.60m/本未満となる条件でビーミングをおこなったことに起因して、経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.070を超えるものとなり、毛羽の発生の抑制とボイドの発生の抑制を両立させることができないものであった。

Claims (5)

  1. ガラスフィラメントを複数本集束させてなる経糸及び緯糸により構成されるガラスクロスであって、
    前記ガラスクロスの経糸方向の引張強さが20~85(N/25mm)であり、
    前記経糸の糸幅変動係数Ftcvが0.040~0.070であるガラスクロス。
  2. 前記経糸の糸幅平均値Ftwが100~200μmである、請求項1に記載のガラスクロス。
  3. 請求項1又は2に記載のガラスクロスと、該ガラスクロスに含浸された状態で含まれる熱硬化性樹脂を含む、プリプレグ。
  4. ガラスフィラメントを複数本集束させてなるガラスヤーンであって、
    前記ガラスフィラメントの表面に、アミロース含量が35~45%である非架橋豆澱粉及び架橋米澱粉を含む皮膜が形成されており、
    前記ガラスヤーンの撚り数の標準偏差が0.05~0.15(回/25mm)である、ガラスヤーン。
  5. 請求項1又は2に記載のガラスクロスの製造方法であって、
    前記経糸として請求項4に記載のガラスヤーンを準備する工程、
    前記経糸と、巻き出しロール及び巻取りロール以外のロールと、の接触長さを0.60~1.27m/本としてビーミングする工程、
    前記経糸の張力を、下記式(I)を満足する張力T(cN)として製織する工程、を含む、ガラスクロスの製造方法。

    式(I) ・・・5.0×10-3≦T(cN)/(π×(D/2)×N)≦12.0×10-3

    式(I)中、Dは前記ガラスフィラメントの平均直径(μm)、Nは前記ガラスフィラメントの本数

















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