JP2022181584A - 浮体式起伏ゲート - Google Patents

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Abstract

【課題】設計荷重の増加に起因するゲート設備の大型化を防止しつつ、起立時における扉体の揺動を抑制する。【解決手段】浮体式起伏ゲート1は、浸入水によって生じる浮力によって回動し起立する扉体10と、扉体10の側方に配置される戸当り20と、戸当り20に設けられるピン58、扉体10に設けられ、扉体10の起立動作を許容する一方、ピン58と係合することによって扉体10の倒伏動作を制止するフック55を有する倒伏制止機構50とを備える。倒伏制止機構50は、フック55がピン58と係合している際、扉体10の倒伏方向に所定値以上の荷重が扉体10に作用すると、ピン58との係合が解除される方向にフック55を変位させるバネ装置51をさらに有している。【選択図】図15

Description

本開示の技術は、浮体式起伏ゲートに関する。
従来より、洪水や津波による浸水を防止するための起伏ゲートとして、例えば特許文献1に開示さているように、扉体が浸入水によって生じる浮力によって回動し起立する浮体式起伏ゲートが知られている。
特許第5948206号公報
ところで、上述したような浮体式起伏ゲートでは、浸水時に発生する波浪によって扉体が揺動する場合がある。つまり、扉体が起立動作と倒伏動作とを交互に繰り返す場合がある。扉体が揺動すると、特に水位が低いとき(即ち、水平面に対する扉体の傾斜角が小さいとき)には、越波量が多くなってしまう。こういった扉体の揺動を防止する対策として、一旦起立方向に回動した扉体が倒伏方向に回動しないように扉体を保持する機能を付加することが考えられる。しかしながら、その場合、扉体を保持している時に倒伏方向に作用する風荷重等を設計荷重として考量しなければならないため、ゲート設備が大型化してしまう。
本開示の技術は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、設計荷重の増加に起因するゲート設備の大型化を防止しつつ、起立時における扉体の揺動を抑制することができる浮体式起伏ゲートを提供することにある。
本開示の浮体式起伏ゲートは、扉体と、戸当りと、倒伏制止機構とを備えている。前記扉体は、浸入水によって生じる浮力によって回動し起立する。前記戸当りは、前記扉体の側方に配置されている。前記倒伏制止機構は、前記扉体および前記戸当りの一方に設けられるピン、前記扉体および前記戸当りの他方に設けられ、前記扉体の起立動作を許容する一方、前記ピンと係合することによって前記扉体の倒伏動作を制止するフックを有している。さらに、前記倒伏制止機構は、前記フックが前記ピンと係合している際、前記扉体の倒伏方向に所定値以上の荷重が前記扉体に作用すると、前記ピンとの係合が解除される方向に前記フックを変位させる係合解除部を有している。
本開示の浮体式起伏ゲートによれば、設計荷重の増加に起因するゲート設備の大型化を防止しつつ、起立時における扉体の揺動を抑制することができる。
図1は、浮体式起伏ゲートの倒伏時の概略構成を側面側から視て示す図である。 図2は、浮体式起伏ゲートの倒伏時の概略構成を示す平面図である。 図3は、浸水深と扉体の起立角度との関係を示すグラフである。 図4は、扉体に作用する転倒モーメントを起立角度に応じて示すグラフである。 図5は、浮体式起伏ゲートの起立途中時の一状態を示す図1相当図である。 図6は、浮体式起伏ゲートの起立途中時の一状態を示す図1相当図である。 図7は、浮体式起伏ゲートの起立途中時の一状態を示す図1相当図である。 図8は、浮体式起伏ゲートの起立完了時の状態を示す図1相当図である。 図9は、浮体式起伏ゲートの倒伏途中時の一状態を示す図1相当図である。 図10は、浮体式起伏ゲートの倒伏途中時の一状態を示す図1相当図である。 図11は、強制起立操作時の状態を示す図1相当図である。 図12は、強制起立操作時の状態を上流側から視て示す図である。 図13は、強制起立操作完了時の状態を上流側から視て示す図である。 図14は、強制起立操作完了時の状態を示す図1相当図である。 図15は、倒伏制止機構の概略構成を側面側から視て示す図である。 図16は、倒伏制止機構の概略構成を上流側から視て示す図である。 図17は、起立動作時における倒伏制止機構のフックの一状態を示す図である。 図18は、倒伏制止機構のフックの一状態を示す図17相当図である。 図19は、倒伏制止機構のフックの係合時の状態を示す図17相当図である。 図20は、倒伏制止機構のフックの係合解除時の状態を示す図17相当図である。 図21は、倒伏制止機構のフックの一状態を示す図である。
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の浮体式起伏ゲート1(以下、単に起伏ゲート1ともいう。)は、路面R(陸上)に設置され、洪水や津波、大雨によって水が生活空間や地下空間に浸入することを防止するものであり、浮体式のフラップゲートと呼ばれることもある。起伏ゲート1は、浸入しようとする水を利用して自動的に起立動作および倒伏動作を行う。
図1および図2に示すように、起伏ゲート1は、扉体10と、格納部18と、戸当り20と、補助駆動部30と、強制起立機構40とを備えている。なお、図1および図2では、後述する倒伏制止機構50の図示を省略している。後述する図3~図8についても同様である。
扉体10は、浸入水によって生じる浮力によって回動し起立する。具体的に、扉体10は、やや扁平な略矩形体に形成されている。扉体10は、基端側に回動軸11を有しており、回動軸11を中心として回動自在に設けられている。扉体10は、図1において右回りに回動することで起立動作を行い、図1において左回りに回動することで倒伏動作を行う。扉体10は、通常時は倒伏した状態(図1に示す状態)になっており、非常時(即ち、水が浸入してきたとき)には浸入水によって生じる浮力によって倒伏状態から回動し起立するように構成されている。つまり、扉体10は浸入水を利用して起立動作を開始する。
なお、図1において水は左側から浸入するものとする。また、以降で記載する「上流側」および「下流側」は、水の浸入方向における上流側(図1において左側)および下流側(図1において右側)として設定し、「左右方向」は、水の浸入方向の下流側を向いて右側を「右」および左側を「左」として設定する。また、扉体10の「幅方向」は、扉体10の左右方向として設定する。
扉体10は、倒伏状態において、上流側の端部が先端部12となっている。戸当り20は、扉体10の両側方(即ち、左側方および右側方)に設けられている。扉体10は、戸当り20と対向する部分である側面部に、水密ゴム(図示省略)が取り付けられている。起伏ゲート1では、扉体10の水密ゴムが戸当り20と接することにより水密される。
格納部18は、倒伏時に扉体10が格納される。格納部18は、路面Rに形成された凹部であり、平面視で扉体10よりも大きい矩形に形成されている。扉体10が格納部18に格納された状態、即ち扉体10が倒伏した状態では、扉体10の上面部と路面Rとが略面一となる。つまり、倒伏状態の扉体10は路面Rの一部を構成する。
補助駆動部30は、浸入水によって生じる浮力による扉体10の起立動作を補助する。より詳しくは、補助駆動部30は、扉体10の起立動作を補助する機能と、扉体10の水位バランス角度(即ち、水圧によるモーメントと扉体10の自重によるモーメントとが等しくなる扉体10の傾斜角)と浸水深の相関が変化することで起立完了時の衝撃緩和および水位低下時の扉体10の急な倒伏を抑制する機能とを有している。扉体10の傾斜角は、水平面に対する扉体10の傾斜角であり、扉体10の起立角度である。
具体的に、補助駆動部30は、カウンタウエイト31と、ワイヤロープ32と、一対の定滑車33,34とを有している。補助駆動部30は、扉体10の上流側であって扉体10の幅方向両端部に対応する位置に一組ずつ配置されている(図2参照)。
ワイヤロープ32は、扉体10の先端部12に2本取り付けられている。より詳しくは、2本のワイヤロープ32の一端は、先端部12のうち扉体10の幅方向両端部に取り付けられている。具体的に、先端部12のうち扉体10の幅方向両端部には連結部13が設けられており、その連結部13にワイヤロープ32の一端が連結されている。カウンタウエイト31は、2本のワイヤロープ32のそれぞれの他端に連結されている。
一対の定滑車33,34は、下方の定滑車33および上方の定滑車34である。一対の定滑車33,34は、水平面に対する扉体10の傾斜角が所定角度(例えば、45度)になるとカウンタウエイト31が最下点に達するように、ワイヤロープ32が巻き掛けられている。ワイヤロープ32は、一端側(即ち、扉体10側)から、定滑車33および定滑車34の順に巻き掛けられている。
このように構成された補助駆動部30によれば、図3に実線のグラフで示すように、扉体10の起立動作時では、扉体10の傾斜角が所定角度θaになるまでは、扉体10はカウンタウエイト31によって起立方向に引っ張られて起立動作が補助されるため、補助駆動部が設けられていない場合(図3に破線で示すグラフ)と比べて、浸水深が低い段階から扉体10が起立を開始する。そして、扉体10の傾斜角が所定角度θaを超えると、カウンタウエイト31が扉体10の起立動作の抵抗となるので、補助駆動部が設けられていない場合と比べて、扉体10の急激な起立が抑制される。一方、扉体10の倒伏動作時では、扉体10の傾斜角が所定角度θaになるまでは、扉体10はカウンタウエイト31によって倒伏方向に引っ張られて倒伏動作が促進されるため、補助駆動部が設けられていない場合と比べて、扉体10は水位低下の初期段階から倒伏動作を開始し、扉体10の急激な倒伏が抑制される。そして、扉体10の傾斜角が所定角度θa未満になると、カウンタウエイト31が扉体10の倒伏動作の抵抗となるので、補助駆動部が設けられていない場合と比べて、扉体10は遅れて着床する。つまり、補助駆動部30によれば、図4に示すように、扉体10に作用する転倒モーメント(実線で示すグラフ)は、扉体10の自重による転倒モーメント(破線で示すグラフ)とカウンタウエイト31の自重による転倒モーメント(一点鎖線で示すグラフ)とを足し合わせたモーメントであり、扉体10の傾斜角(起立角度)が大きくなるに従って増加する。ここに、転倒モーメントは、扉体10を倒伏方向に回動させるモーメントである。
強制起立機構40は、浸入水によって生じる浮力によってではなく、強制的に扉体10を起立させる機構である。例えば、点検する場合、浸水の前に予め扉体10を起立させておきたい場合等に、強制的に扉体10を起立させる。本実施形態の強制起立機構40は、手動で扉体10を強制起立させる。
より具体的に、強制起立機構40は、2本のワイヤロープ41と、2つの定滑車42と、2つの滑車ブロック43と、1つのチェーンブロック44とを有している。
2本のワイヤロープ41のそれぞれは、一端である第1端部41aが扉体10の幅方向両端部に連結される。より詳しくは、2本のワイヤロープ32のそれぞれの第1端部41aは、扉体10を強制起立させる際、倒伏状態の扉体10の幅方向両端部の上面部に連結される。より具体的に、倒伏状態の扉体10の上面部には連結部14が設けられており、その連結部14にワイヤロープ32の第1端部41aが連結される。2つの定滑車42は、2本のワイヤロープ41のそれぞれが巻き掛けられる。強制起立機構40は、2本のワイヤロープ41の他端である第2端部41bを引っ張ることによって扉体10を強制起立させる。ワイヤロープ41は、第1索状部材の一例である。
2つの滑車ブロック43は、定滑車42から延びるワイヤロープ41の第2端部41bが扉体10の幅方向中央に向かうように2本のワイヤロープ41のそれぞれを転向させる。滑車ブロック43は、ワイヤロープ41が巻き掛けられる滑車部43aと、他の部材に取り付けるための取付部43bとを有している。滑車部43aと取付部43bとは、互いに回転自在に連結されている。滑車ブロック43は、転向滑車の一例である。
チェーンブロック44は、本体44aと、2つのフック(第1フック44bおよび第2フック44c)と、ロードチェーン44dと、ハンドチェーン44eとを有している。本体44aには、ギヤやメカニカルブレーキ等が収納されている。第1フック44bは、本体44aに固定されている。第2フック44cは、ロードチェーン44dを介して本体44aと連結されている。つまり、ロードチェーン44dは、本体44aから延びて第2フック44cに連結されている。ハンドチェーン44eは、本体44aから2本延びている。
チェーンブロック44では、扉体10を強制起立させる際、2本のワイヤロープ41のそれぞれの第2端部41bが第1フック44bおよび第2フック44cに連結される。ハンドチェーン44eは、作業者によって引っ張られることにより、第1フック44bおよび第2フック44cを互いに接近させる。より具体的に、チェーンブロック44では、2本のハンドチェーン44eの一方を引っ張ることにより、ロードチェーン44dが本体44a内に巻き取られ、第1フック44bと第2フック44cとの距離(以下、フック間距離ともいう。)が短くなる。これにより、2本のワイヤロープ41の第2端部41bが扉体10の幅方向中央へ引っ張られ、扉体10が強制起立させられる。また、扉体10を倒伏させる際は、他方のハンドチェーン44eを引っ張ることにより、ロードチェーン44dが本体44a内から繰り出され、フック間距離が長くなる。
強制起立機構40は、扉体10の下流側に配置されている。具体的に、2つの定滑車42および2つの滑車ブロック43は、扉体10の両側方に設けられた構造物である戸当り20にそれぞれ取り付けられている。より詳しくは、定滑車42は、戸当り20における扉体10側の面に固定されている。滑車ブロック43は、取付部43bが、戸当り20における扉体10側の面に着脱自在に取り付けられている。滑車ブロック43は、定滑車42よりも下方に設けられている。
扉体10を強制起立させないときは、2本のワイヤロープ41のそれぞれは、定滑車42および滑車ブロック43の滑車部43aに巻き掛けられた状態で、ワイヤロープ41の両端が戸当り20に着脱自在に取り付けられている。より詳しくは、ワイヤロープ41の第1端部41aおよび第2端部41bのそれぞれは、戸当り20における扉体10側の面に設けられたピン45に着脱自在に取り付けられている。チェーンブロック44は、一方の戸当り20に着脱自在に取り付けられている。より詳しくは、チェーンブロック44は、第1フック44bが、戸当り20における扉体10側の面に設けられたピン46に着脱自在に取り付けられている。
次に、浸水時の扉体10の起立動作について図5~図8も参照しながら説明する。図5~図8では、強制起立機構40の図示を省略している。倒伏状態の扉体10は、水が浸入してくると、その浸入水によって生じる浮力によって起立動作を開始する。その際、図5に示すように、扉体10にはカウンタウエイト31による引き上げ力が作用しているため、扉体10は引き上げ力によって起立方向に引っ張られ起立動作が補助される。カウンタウエイト31は、扉体10が起立していくに伴って下降する。扉体10が起立していくと、扉体10の上流側には水が溜まっていき水位が上昇する。そのため、扉体10は水圧によって起立方向に押され、起立動作が補助される。扉体10の傾斜角θが大きくなるに従って、カウンタウエイト31による引き上げ力は減少し、これに伴って扉体10に作用する転倒モーメントは増加する。
そして、図6に示すように、扉体10の傾斜角θが所定角度θa(例えば、45度)になると、定滑車33から扉体10へ延びるワイヤロープ32と扉体10とが一直線になり、カウンタウエイト31は最下点に達する。そして、図7に示すように、扉体10の傾斜角θが所定角度θaを超えると、カウンタウエイト31は扉体10が起立していくに伴って上昇する。そして、図8に示すように、扉体10の傾斜角θが起立完了角度(例えば、75度)に達すると、扉体10は完全に起立した状態となり起立動作が完了する。こうして、カウンタウエイト31が上昇している際には、カウンタウエイト31が扉体10の起立動作の抵抗となるため、扉体10に作用する転倒モーメントは増加する。そのため、扉体10の起立動作完了時に生じる衝撃を緩和することができる。
図9に示すように、起立状態の扉体10は、水位が低下していくと、倒伏動作を開始する。その際、扉体10はカウンタウエイト31によって倒伏方向に引っ張られ、倒伏動作が促進される。こうして、扉体10は低下する水位に追従して倒伏する。カウンタウエイト31は、扉体10が倒伏していくに伴って下降する。扉体10の傾斜角θが小さくなるに従って、カウンタウエイト31による引っ張り力は減少し、これに伴って扉体10に作用する転倒モーメントは減少する。そして、図10に示すように、扉体10の傾斜角θが所定角度θa(45度)よりも小さくなると、カウンタウエイト31は扉体10が倒伏していくに伴って上昇する。そして、図1に示すように、扉体10の傾斜角θが0度に達すると、扉体10は完全に倒伏した状態となり倒伏動作が完了する。つまり、扉体10は格納部18に格納された状態となる。このとき、カウンタウエイト31は最上点に達する。こうして、カウンタウエイト31が上昇している際には、カウンタウエイト31が扉体10の倒伏動作の抵抗となるため、扉体10に作用する転倒モーメントは減少する。そのため、扉体10の急激な倒伏を抑制することができ、倒伏動作完了時に生じる衝撃を緩和することができる。なお、図9および図10では、強制起立機構40の図示を省略している。
次に、扉体10の強制起立操作について図11~図14も参照しながら説明する。
まず、図11に示すように、作業者が、2本のワイヤロープ41のそれぞれの第1端部41aおよび第2端部41bをピン45から外す。そして、作業者は、ワイヤロープ41の第1端部41aを扉体10の連結部14に連結する一方、ワイヤロープ41の第2端部41bを滑車ブロック43から扉体10の幅方向中央に向ける。
続いて、作業者は、チェーンブロック44をピン46から外す。そして、図12に示すように、作業者は、2本のワイヤロープ41のそれぞれの第2端部41bを、チェーンブロック44の第1フック44bおよび第2フック44cに連結する。このとき、2本のワイヤロープ41の第2端部41b同士の距離が長いので、それに応じてチェーンブロック44におけるフック間距離も長くなっている。また、チェーンブロック44の本体45aは、扉体10の幅方向中央よりも、第1フック44bと連結されるワイヤロープ41側に寄った状態となっている。
続いて、作業者は、チェーンブロック44のハンドチェーン44eを引っ張って第1フック44bおよび第2フック44cを互いに接近させる。つまり、フック間距離が短縮される。そのため、2本のワイヤロープ41に同等の張力が作用し、2本のワイヤロープ41のそれぞれが扉体10の幅方向中央へ引っ張られる。これにより、扉体10には、2本のワイヤロープ41から同等の引き上げ力が作用する。つまり、扉体10は、2本のワイヤロープ41によって起立方向に引っ張られ起立していく。チェーンブロック44の本体45aは、フック間距離の短縮に伴って、扉体10の幅方向中央へ移動する。
そして、図13に示すように、チェーンブロック44の本体44aが扉体10の幅方向中央に移動するまでハンドチェーン44eが引っ張られると、図14に示すように、扉体10が起立完了角度まで起立し強制起立操作が完了する。
〈倒伏制止機構の構成および動作〉
図15および図16に示すように、前述した起伏ゲート1は、倒伏制止機構50をさらに備えている。倒伏制止機構50は、扉体10の起立動作時において、一旦起立方向に回動した扉体10が倒伏方向に回動することを制止する。なお、図15および図16では、連結部13,14の図示を省略している。
倒伏制止機構50は、バネ装置51と、トルクアーム52と、トルク軸53と、フック55と、ピン58とを有している。本実施形態では、倒伏制止機構50は、扉体10の幅方向両端部に1組ずつ設けられている。
ピン58は、扉体10および戸当り20のうち戸当り20に設けられている。より具体的に、ピン58は、2つの戸当り20のそれぞれに複数設けられている。つまり、ピン58は、扉体10の所定の複数の傾斜角θに対応した位置に設けられている。ピン58は、扉体10の幅方向に延びる断面円形の棒状部材である。フック55は、扉体10および戸当り20のうち扉体10に設けられている。より具体的に、フック55は、扉体10の幅方向両端部に1つずつ設けられている。フック55は、扉体10の起立動作を許容する一方、ピン58と係合することによって扉体10の倒伏動作を制止する。
図17にも示すように、フック55は、フック本体55aと、爪55bと、バネ55dと、ネジ55eとを有している。
フック本体55aは、長手方向を有する部材である。爪55bは、ピン58と係合する部材、より詳しくは、ピン58に引っ掛かる部材である(図19参照)。爪55bは、ピン58と係合する係合方向に付勢される一方、扉体10の起立動作によってピン58と接触した際にはピン58によって押されて係合方向と反対方向に変位するように構成されている。
より具体的に、爪55bは、軸55cによってフック本体55aに回動自在に取り付けられている。つまり、爪55bは軸55c回りに回動する。軸55cは、ピン58と平行に設けられている。爪55bは、軸55cと直交する方向に延びる棒状部材である。軸55cは、爪55bの一端側に設けられている。バネ55dは、フック本体55aに設けられている。バネ55dは、例えばコイルバネである。バネ55dは、爪55bを係合方向に付勢している。より具体的に、バネ55dは、図19に示すように時計回りに回動するように爪55bを付勢している。そして、爪55bは、図18に示すように、扉体10の起立動作によってピン58と接触した際には、ピン58から押されることによって、バネ55dの付勢力に抗して反時計回りに回動する。
バネ装置51は、フック55がピン58と係合している際、扉体10の倒伏方向に所定値以上の荷重が扉体10に作用すると、ピン58との係合が解除される方向にフック55を変位させる。バネ装置51は、係合解除部の一例である。
より具体的に、バネ装置51は、爪55bとピン58とが係合する方向にフック55を所定の付勢力で付勢している。フック55は、爪55bがピン58と係合している際、扉体10の倒伏方向に所定値以上の荷重が扉体10に作用すると、バネ装置51による所定の付勢力に抗して爪55bとピン58との係合が解除される方向に変位する(図20参照)。
より詳しくは、バネ装置51は、扉体10の幅方向両端部の上面に取り付けられている。バネ装置51は、扉体10の先端側に向かって進退するロッド51aを有している。ロッド51aは、トルクアーム52を介してトルク軸53に連結されている。トルク軸53は、フック本体55aに連結されている。ロッド51aは、トルクアーム52に対して回転可能に連結されている。トルクアーム52は、トルク軸53に対して回転不能に連結されている。フック本体55aは、トルク軸53に対して回転不能に連結されている。つまり、トルクアーム52、トルク軸53およびフック本体55a(フック55)は一体的に回転する。バネ装置51は、ロッド51aを後退方向に(即ち、扉体10の基端側へ向かって)付勢することにより、フック本体55a(フック55)を爪55bとピン58とが係合する方向に付勢している。つまり、バネ装置51は、フック55が図17において反時計回りに回動するようにフック55を付勢している。
ネジ55eは、爪55bを、係合方向と反対方向に変位した状態に保持する爪保持部を構成している。具体的に、ネジ55eは、フック本体55aに形成されたネジ孔55fに螺合している。ネジ55eは、図21に示すように、ねじ込まれることによって、爪55bを反時計回りに回動させる。つまり、ネジ55eは、爪55bを反時計回りに回動させることにより、爪55bがピン58と係合しない状態に保持する。
このように構成された倒伏制止機構50では、扉体10の起立に伴って、フック55が図17に破線の矢印で示す方向に移動する。この点は、図18および図19についても同様である。フック55は、爪55bがバネ55dによって係合方向に付勢された状態で、ピン58に接近していく(図17参照)。そして、爪55bは、ピン58に接触すると、ピン58に押されて係合方向とは反対方向に回動する(図18参照)。これにより、爪55bはピン58をかわすことができるので、扉体10の起立動作が許容される。そして、爪55bがピン58を通過すると、爪55bはバネ55dの付勢力によって係合方向に回動する。ここで、扉体10が起立動作を停止して倒伏方向に回動しようとした場合、爪55bがピン58に係合する(より詳しくは、引っ掛かる)ので、扉体10の倒伏動作が制止される(図19参照)。こうして、扉体10の起立動作時における倒伏動作が制止され、扉体10の揺動が防止される。
図19に示すように、爪55bがピン58と係合しているときは、倒伏方向に作用する荷重Fp(扉体10自重や風荷重による荷重)が爪55bを通じてピン58に作用する。これに伴い、荷重Fpによる反力Frがフック本体55aに作用する。フック55は、フック本体55aに反力Frが作用することにより、爪55bとピン58との係合が解除される方向(即ち、図19において時計回り)に回動しようとする。そして、所定値以上の荷重Fpが作用した場合は、図20に示すように、フック55がバネ装置51による付勢力に抗して時計回りに回動する。これにより、爪55bとピン58との係合が解除され、扉体10は荷重Fpを受けずに逃すことができる。
また、例えば扉体10を点検する場合には、倒伏制止機構50では、図21に示すように、ネジ55eによって爪55bがピン58と係合しない状態に保持される。そうすることで、扉体10の倒伏動作をスムーズに行うことができ、点検作業を効率よく行うことができる。
以上のように、前記実施形態の浮体式起伏ゲート1は、浸入水によって生じる浮力によって回動し起立する扉体10と、扉体10の側方に配置される戸当り20と、戸当り20に設けられるピン58、扉体10に設けられ、扉体10の起立動作を許容する一方、ピン58と係合することによって扉体10の倒伏動作を制止するフック55を有する倒伏制止機構50とを備えている。そして、倒伏制止機構50は、フック55がピン58と係合している際、扉体10の倒伏方向に所定値以上の荷重Fpが扉体10に作用すると、ピン58との係合が解除される方向にフック55を変位させるバネ装置51(係合解除部)をさらに有している。
前記の構成によれば、扉体10の起立動作時における倒伏動作が制止されるので、扉体10の揺動を抑制することができる。さらに、所定値以上の荷重Fpが作用した場合は、フック55とピン58との係合が解除されるので、扉体10は荷重Fpを受けずに逃すことができる。そのため、過大な設計荷重を考慮しなくてもよいので、ゲート設備の大型化を防止できる。このように、設計荷重の増加に起因するゲート設備の大型化を防止しつつ、起立時における扉体10の揺動を抑制することができる。
また、前記実施形態の浮体式起伏ゲート1において、フック55は、ピン58と係合する爪55bを有している。爪55bは、ピン58と係合する係合方向に付勢される一方、扉体10の起立動作によってピン58と接触した際にはピン58によって押されて係合方向と反対方向に変位するように構成されている。
前記の構成によれば、簡易な構成で、扉体10の起立動作を許容する一方、扉体10の倒伏動作を制止することができる。
また、前記実施形態の浮体式起伏ゲート1において、バネ装置51(係合解除部)は、爪55bとピン58とが係合する方向にフック55を所定の付勢力で付勢している。フック55は、爪55bがピン58と係合している際、扉体10の倒伏方向に所定値以上の荷重Fpが扉体10に作用すると、バネ装置51の付勢力に抗して爪55bとピン58との係合が解除される方向に変位する。
前記の構成によれば、簡易な構成で、爪55bとピン58との係合を解除して所定値以上の荷重Fpを逃がすことができる。
また、前記実施形態の浮体式起伏ゲート1では、フック55は、爪55bを、係合方向と反対方向に変位した状態に保持するネジ55e(爪保持部)を有している。
前記の構成によれば、例えば点検時において、扉体10の倒伏動作をスムーズに行うことができるので、点検作業の効率化に繋がる。
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
例えば、ピン58を扉体10に設けて、フック55を戸当り20に設けるようにしてもよい。
また、ピン58は、複数ではなく、1つであってもよい。
また、ネジ55e(爪保持部)は省略するようにしてもよい。
以上説明したように、本開示の技術は、浮体式起伏ゲートについて有用である。
1 浮体式起伏ゲート
10 扉体
20 戸当り(構造物)
50 倒伏制止機構
51 バネ装置(係合解除部)
55 フック
55b 爪
55e ネジ(爪保持部)
58 ピン
Fp 荷重

Claims (4)

  1. 浸入水によって生じる浮力によって回動し起立する扉体と、
    前記扉体の側方に配置される戸当りと、
    前記扉体および前記戸当りの一方に設けられるピン、前記扉体および前記戸当りの他方に設けられ、前記扉体の起立動作を許容する一方、前記ピンと係合することによって前記扉体の倒伏動作を制止するフックを有する倒伏制止機構とを備え、
    前記倒伏制止機構は、前記フックが前記ピンと係合している際、前記扉体の倒伏方向に所定値以上の荷重が前記扉体に作用すると、前記ピンとの係合が解除される方向に前記フックを変位させる係合解除部をさらに有している
    ことを特徴とする浮体式起伏ゲート。
  2. 請求項1に記載の浮体式起伏ゲートにおいて、
    前記フックは、前記ピンと係合する爪を有しており、
    前記爪は、前記ピンと係合する係合方向に付勢される一方、前記扉体の起立動作によって前記ピンと接触した際には前記ピンによって押されて前記係合方向と反対方向に変位するように構成されている
    ことを特徴とする浮体式起伏ゲート。
  3. 請求項2に記載の浮体式起伏ゲートにおいて、
    前記係合解除部は、前記爪と前記ピンとが係合する方向に前記フックを所定の付勢力で付勢しており、
    前記フックは、前記爪が前記ピンと係合している際、前記扉体の倒伏方向に所定値以上の荷重が前記扉体に作用すると、前記所定の付勢力に抗して前記爪と前記ピンとの係合が解除される方向に変位する
    ことを特徴とする浮体式起伏ゲート。
  4. 請求項2に記載の浮体式起伏ゲートにおいて、
    前記フックは、前記爪を、前記係合方向と反対方向に変位した状態に保持する爪保持部を有している
    ことを特徴とする浮体式起伏ゲート。

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