JP2022180715A - 電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】ニッケル水素電池を備える車載の電池システムにおいて、充電リザーブ量の推定値を算出する処理装置が交換された場合であっても、充電リザーブ量の推定値を適切に算出し続ける。【解決手段】電池システム2は、組電池10と、バッテリECU100とを備える。バッテリECU100は、バッテリECU100が交換された後に組電池10が交換されていない場合に、第1の処理を実行し、バッテリECU100が交換された後に組電池10が交換された場合に、第2の処理を実行する。第1の処理は、総走行距離から推定される充電リザーブ量の第1の推定値と、総走行距離との予め定められた関係を用いて、総走行距離から第1の推定値を算出する処理を含む。第2の処理は、組電池10の温度、放電電気量、及びSOC(State of Charge)変動幅から、充電リザーブ量の第2の推定値を算出する処理を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、電池システムに関し、特に、ニッケル水素電池を備える電池システムに関する。
特開2014-087218号公報は、車両などに搭載される電池システムを開示する。この電池システムは、ニッケル水素電池と、温度センサと、コントローラとを有する。温度センサは、ニッケル水素電池の温度を検出する。コントローラは、ニッケル水素電池の負極リザーブ量の推定値が目標値よりも小さいとき、ニッケル水素電池の充放電を制限する。コントローラは、ニッケル水素電池の温度と負極リザーブ量との対応関係を用いて、取得された温度に対応する負極リザーブ量の推定値を算出する。
特開2014-087218号公報
ニッケル水素電池においては、負極の劣化(酸化)により負極の充電リザーブ量が減少すると、負極から水素ガスが発生し、電池の内圧が上昇する。ニッケル水素電池には、内圧が上昇すると開く安全弁が一般的に設けられており、これにより内圧の異常上昇が防止される。しかしながら、安全弁が開くと、ガスとともに電解液も外部へ放出されるため、電解液が減少し、電池の性能が劣化する。即ち、ニッケル水素電池の充電リザーブ量の減少は、電池の性能劣化を招く。そこで、充電リザーブ量の推定値を精度良く算出することで、その算出結果に基づいて適切な制御を実行することにより電池の性能劣化を適切に抑制することが好ましい。
車両において、充電リザーブ量を算出する処理装置が搭載される場合、処理装置は、ニッケル水素電池のパラメータに従って充電リザーブ量の推定値を算出することができる。ここで、処理装置が交換されると、ニッケル水素電池のパラメータは、交換後の処理装置に引き継がれない。そのため、交換後の処理装置は、ニッケル水素電池のパラメータに従って充電リザーブ量の推定値を算出できないことがある。その結果、充電リザーブ量の推定値に従って電池の性能劣化を適切に抑制することができない。特許文献1においては、このような問題が検討されていない。
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ニッケル水素電池を備える車載の電池システムにおいて、充電リザーブ量の推定値を算出する処理装置が交換された場合であっても、充電リザーブ量の推定値を適切に算出し続けることである。
本開示の電池システムは、車両に搭載される。電池システムは、ニッケル水素電池と、処理装置とを備える。処理装置は、ニッケル水素電池の充電リザーブ量の推定値を算出する。処理装置は、処理装置が交換され、かつ、処理装置が交換された後にニッケル水素電池が交換されていない場合に、充電リザーブ量の推定値を示す第1の推定値を算出する第1の処理を実行する。処理装置は、処理装置が交換され、かつ、処理装置が交換された後にニッケル水素電池が交換された場合に、充電リザーブ量の推定値を示す第2の推定値を算出する第2の処理を実行する。第1の処理は、車両の総走行距離を取得する処理と、総走行距離から推定される充電リザーブ量の第1の推定値と、総走行距離との予め定められた関係を用いて、総走行距離から第1の推定値を算出する処理とを含む。第2の処理は、ニッケル水素電池の放電電流の積算値を示す放電電気量を算出する処理と、所定時間におけるニッケル水素電池のSOC(State of Charge)変動幅を算出する処理と、ニッケル水素電池の温度、放電電気量、及びSOC変動幅から、充電リザーブ量の第2の推定値を算出する処理とを含む。
上記の構成とすることにより、処理装置が交換されてからニッケル水素電池が交換されるまでの間、総走行距離から充電リザーブ量の第1の推定値が算出される。他方、処理装置が交換された後にニッケル水素電池が交換されると、ニッケル水素電池が新品に交換されたものとして、ニッケル水素電池の温度、ニッケル水素電池が交換されてからの放電電気量、及びSOC変動幅から、充電リザーブ量の第2の推定値が算出される。第2の推定値は、ニッケル水素電池の上記のようなパラメータに従って算出されるため、第2の推定値の精度は、第1の推定値の精度よりも高い。このように、処理装置が交換される場合であっても、充電リザーブ量の算出処理が適切に継続し、さらにその後、ニッケル水素電池が交換された場合には、第1の推定値よりも精度の高い第2の推定値に従って充電リザーブ量が算出される。したがって、上記の電池システムによれば、処理装置が交換された場合であっても、充電リザーブ量の推定値を適切に算出し続けることができる。
本開示によれば、ニッケル水素電池を備える車載の電池システムにおいて、充電リザーブ量の推定値を算出する処理装置が交換された場合であっても、充電リザーブ量の推定値を適切に算出し続けることができる。
本開示に従う電池システムが搭載される車両の構成を概略的に示す図である。 組電池に含まれるニッケル水素電池の構成例を示す図である。 ニッケル水素電池の正極及び負極の容量のイメージ図である。 ニッケル水素電池の放電電気量と、充電リザーブ量の減少量との関係を示す図である。 組電池のセル毎の温度、放電電気量及びΔSOCと、充電リザーブ量の推定値との対応関係を示すマップの一例を示す図である。 充電リザーブ量の算出に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。 充電リザーブ量の減少量の推定値と車両の総走行距離との関係を示す図である。 総走行距離に従う充電リザーブ量の算出処理に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。 バッテリECUが交換された後に組電池がさらに交換される場合に、充電リザーブ量の減少量の推定値が、総走行距離の増加に伴ってどのように変化するかを示す図である。 バッテリECUおよび組電池の交換に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明を繰り返さない。
図1は、本開示に従う電池システムが搭載される車両1の構成を概略的に示す図である。なお、以下では、車両1が電気自動車(EV(Electric Vehicle))である場合について代表的に説明するが、本開示の電池システムは、EVに搭載されるものに限定されず、ハイブリッド車両(HV(Hybrid Vehicle))または燃料電池車両(FCV(Fuel Cell Vehicle))等に搭載されてもよい。
図1を参照して、車両1は、電池システム2と、PCU(Power Control Unit)30と、MG(Motor Generator)40と、伝達ギヤ50と、駆動輪60と、車速センサ75とを備える。車両1は、MG-ECU(Electronic Control Unit)92と、メータECU70と、メータパネル80と、統合ECU90と、スタートスイッチ95とをさらに備える。電池システム2は、組電池10と、監視ユニット20と、バッテリECU100とを備える。
組電池10は、多数のニッケル水素単電池を含んで構成される。詳しくは、複数のセルを纏めてモジュールが構成され、複数のモジュールが電気的に接続されて組電池10が構成される。
監視ユニット20は、電圧センサ21と、電流センサ22と、温度センサ23とを含む。電圧センサ21は、組電池10のセル毎の電圧VBiを検出する。電流センサ22は、組電池10の充放電電流である電流IBを検出する。なお、本実施の形態では、電流センサ22は、放電電流を正値の電流IBとして検出し、充電電流を負値の電流IBとして検出する。温度センサ23は、セル毎の温度TBiを検出する。そして、各センサは、検出結果を示す信号をバッテリECU100へ出力する。
なお、電圧センサ21及び温度センサ23は、複数(たとえば数個)のセルを監視単位として電圧及び温度を検出してもよい。この場合、電圧については、複数のセルに対する検出値をそのセル数で割ることによって、セル毎の電圧(平均値)を算出することができる。
バッテリECU100は、CPU(Central Processing Unit)102と、メモリ104と、各種信号を入出力するための入出力ポート(図示せず)とを含んで構成される。メモリ104は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを含む(いずれも図示せず)。
バッテリECU100は、監視ユニット20から受ける各センサ信号、並びにメモリ104に記憶されたプログラム、データ及びマップなどに基づいて、組電池10におけるニッケル水素電池の充電リザーブ量の推定値および組電池10のSOCを算出する。バッテリECU100は、充電リザーブ量の推定値がしきい値を下回った場合に、充電リザーブ量の減少を抑制するための制御を実行する。充電リザーブ量及びその推定値の算出方法、並びに充電リザーブ量の減少を抑制するための制御については、後ほど詳しく説明する。SOCの算出方法については、OCV(Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を示すOCV-SOCカーブ(マップ等)を用いた手法および、充放電電流の積算値を用いた手法等、公知の各種手法を用いることができる。
バッテリECU100は、車速センサ75から検出値を逐次取得し、その検出値と、そのサンプリング間隔とに従って、当該サンプリング間隔ごとの車両1の走行距離を算出する。そして、バッテリECU100は、その走行距離を積算することによって、車両1の製造時からの総走行距離を算出する。
PCU30は、組電池10とMG40との間で双方向の電力変換を実施する。PCU30は、たとえば、MG40を駆動するインバータと、インバータに供給される直流電圧を組電池10の出力電圧以上に昇圧するコンバータとを含んで構成される。
MG40は、代表的には交流回転電機であり、たとえば、ロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機である。MG40は、PCU30により駆動されて回転駆動力を発生するように構成される。MG40により発生された駆動力は、伝達ギヤ50を通じて駆動輪60に伝達される。一方、車両1の制動時には、MG40は、発電機として作動し、回生発電を行なうように構成される。MG40により発電された電力は、PCU30を通じて組電池10に供給(充電)される。
車速センサ75は、駆動輪60の駆動軸の回転速度から車両1の走行速度を検出し、その検出値を出力する。車速センサ75は、MG40の出力軸の回転速度から車両1の走行速度を検出してもよい。車速センサ75の検出値は、MG-ECU92、統合ECU90およびバッテリECU100に出力される。
MG-ECU92、メータECU70および統合ECU90は、バッテリECU100と同様に、CPUなどのプロセッサと、ROMおよびRAMなどにより構成されるメモリと、各種信号を入出力するための入出力ポートとを含んで構成される(いずれも図示せず)。
MG-ECU92は、統合ECU90からの制御信号に従ってPCU30を制御することにより、MG40の駆動および組電池10の充放電を制御する。
メータECU70は、バッテリECU100と同様に、車速センサ75から検出値を逐次取得し、その検出値に従って車両1の総走行距離を算出する。メータECU70により算出される総走行距離は、バッテリECU100が交換されない限り、バッテリECU100により算出される総走行距離と基本的に同じである。メータECU70は、車速センサ75の検出値を表すスピードメータと、算出された車両1の総走行距離を表すオドメータ(Odometer)とをメータパネル80に表示する。
統合ECU90は、車両1の各種センサから出力される信号などに基づいて、車両1全体を制御する上位ECUである。統合ECU90は、MG-ECU92、バッテリECU100およびメータECU70と通信可能に構成されており、様々なデータおよび信号をこれらのECUから受信したり、これらのECUに制御信号を出力したりする。
スタートスイッチ95は、ユーザによる車両1の走行用システムの起動操作および停止操作を受ける。例えば、スタートスイッチ95に対するオン操作が行なわれると、統合ECU90は、車両1の走行用システムを停止状態から起動状態へ切り替える。
図2は、組電池10に含まれるニッケル水素電池の構成例を示す図である。図2を参照して、ニッケル水素電池110のケース111の上面は、蓋体112によって封止される。ケース111及び蓋体112は、たとえば樹脂で形成される。
蓋体112には、正極端子113及び負極端子114が設けられている。正極端子113及び負極端子114の各々の一方端は、蓋体112から外部に突出している。正極端子113及び負極端子114の他方端は、ケース111内部において、内部正極端子及び内部負極端子(いずれも図示せず)にそれぞれ電気的に接続されている。
蓋体112には、安全弁120がさらに設けられている。安全弁120は、ニッケル水素電池110の内圧が上昇すると開くように構成されており、その内圧が上昇して安全弁120が開くと、電池内部のガスおよび電解液の一部が外部へ放出される。
ケース111内部には、電極体(図示せず)が収容されている。電極体は、たとえば、正極シートと負極シートとがセパレータを介して積層されることにより形成される。正極シートは、集電板と、集電板の表面に形成された正極活物質層とを含む。負極シートは、集電板と、集電板の表面に形成された負極活物質層とを含む。正極活物質層は、水酸化ニッケル等の正極活物質を含む。負極活物質層は、負極活物質としての水素吸蔵合金を含む。正極活物質層、負極活物質層及びセパレータには、高アルカリ性溶液である電解液が含まれている。
次に、ニッケル水素電池の充電リザーブ量及びその推定値の算出方法、並びに充電リザーブ量の減少を抑制するための制御について説明する。
ニッケル水素電池において、一般的に、正極の容量よりも負極の容量が大きく設計され、負極容量の中に、充電リザーブと放電リザーブとが設けられる。充電リザーブは、電池の満充電後でも充電可能な未充電部である。放電リザーブは、電池の完全放電後でも放電可能な充電部である。
図3は、ニッケル水素電池の正極及び負極の容量のイメージ図である。図3を参照して、左の縦枠200の長さは、正極の容量を示し、右の縦枠210の長さは、負極の容量を示す。縦枠200内のハッチングは、正極容量に対する正極の充電部の割合である正極SOCを示し、縦枠210内のハッチングは、負極容量に対する負極の充電部の割合である負極SOCを示す。
負極容量が正極容量よりも大きいことから、電池の容量は正極容量によって決まる。したがって、正極SOCは、電池の充電状態を示す電池SOCを示す。そして、電池SOCが0%であるときの負極の残存容量が放電リザーブ量である。他方、電池SOCが100%(満充電)であるときの負極の未充電部の容量が充電リザーブ量である。
充電リザーブ量及び放電リザーブ量は、負極の劣化状態によって決定される。電池の充放電に伴って負極の水素吸蔵合金が劣化(酸化)すると、負極容量の低下等により充電リザーブ量が減少する。充電リザーブ量が減少すると、過充電時等に負極から水素ガスが発生し、電池の内圧が上昇する。そして、電池内圧が所定レベルまで上昇すると、安全弁120(図2)が開き、これにより内圧の異常上昇が防止される。しかしながら、安全弁が開くと、ガスが電池外部へ放出される。その際、電池内部の電解液もガスとともに外部へ放出される。その結果、電解液が減少することにより電池の性能が低下(劣化)する。即ち、充電リザーブ量の減少は、電池の性能劣化を招く。
そこで、充電リザーブ量の推定値を精度良く算出することで、その算出結果に基づいて適切な制御を実行することにより電池の性能劣化を抑制することが好ましい。電池システム2において、充電リザーブ量の推定値が算出され、算出された推定値がしきい値まで低下した場合に、充電リザーブ量の減少を抑制するための制御が実行される。当該しきい値は、上記の制御が過剰に実行されないようにある程度小さく、かつ、充電リザーブ量の減少による電池内圧の上昇開始により安全弁120が直ちには開かないレベルに適宜設定される。充電リザーブ量の減少を抑制するための制御については、後ほど説明する。
充電リザーブ量は、組電池10のセル毎の温度TBi、組電池10の放電電気量、及びSOC変動幅(以下「ΔSOC」と称する。)に依存する。放電電気量は、組電池10の放電電流の積算値であり、組電池10が使用され始めてから(または新品に交換されてから)の放電電流(正値の電流IB)の積算値である。放電電気量は、バッテリECU100のメモリ104に格納されており、逐次更新される。
図4は、ニッケル水素電池の放電電気量と、充電リザーブ量の減少量との関係を示す図である。図4を参照して、放電電気量が増加するほど、充電リザーブ量の減少量が大きくなる(充電リザーブ量が減少する)ことが示されている。
ΔSOCは、所定の一定時間(たとえば数十分)における電池SOCの変動幅である。一般的に、ΔSOCが大きいほど、充電リザーブ量の減少速度が速くなる(充電リザーブ量が減少し易い)。
そして、温度TBi、放電電気量及びΔSOCから、電池の充電リザーブ量の推定値を精度良く算出することができる。電池システム2において、温度TBi、放電電気量及びΔSOCと、充電リザーブ量との対応関係が事前の試験等により予め求められてマップとしてメモリ104に記憶されている。そして、そのマップに基づいて、温度TBi、放電電気量、及びΔSOCから充電リザーブ量の推定値が算出される。
図5は、組電池10のセル毎の温度TBi、放電電気量及びΔSOCと、充電リザーブ量の推定値との対応関係を示すマップの一例を示す図である。図5を参照して、マップ250は、温度(T1,T2・・・)毎に、放電電気量(E1,E2・・・)とΔSOC(S1,S2・・・)との組合せ毎の充電リザーブ量の推定値(D11,D12,D21・・・)をバッテリECU100が算出するために用いられる。充電リザーブ量の推定値(D11,D12,D21・・・)は、事前の実験等により決定された値である。
電池システム2において、組電池10の使用中(たとえば車両1の走行用システム起動中)に、マップ250が参照され、充電リザーブ量の推定値が算出される。
さらに、電池システム2において、上述のように、充電リザーブ量の推定値がしきい値を下回ると、充電リザーブ量の減少を抑制するための制御が実行される。電池システム2では、充電リザーブ量がしきい値を下回った場合に、充電リザーブ量がしきい値以上である場合に比べて電池SOCの制御上限(上限SOC)が引き下げられる。これにより、組電池10のSOCの使用可能範囲が狭くなるため、ΔSOCが減少する。その結果、充電リザーブ量の減少を抑制できるため、組電池10の性能劣化を抑制することができる。
また、電池SOCの制御上限の引き下げに代えて、又は電池SOCの制御上限の引き下げとともに、電池SOCの制御下限の引き上げによって、ΔSOCが小さくされてもよい。
なお、充電リザーブ量の減少を抑制するためには、組電池10への充放電電力を抑制するする手法も考えられる。具体的には、バッテリECU100は、充放電電力を抑制するように統合ECU90に要求を出力する。統合ECU90は、当該要求に応答して、充放電電力を抑制するようにMG-ECU92を制御する。これに対して、バッテリECU100が電池SOCの制御上限を引き下げる場合、組電池10の充放電電力が直接抑制されない。したがって、車両1の駆動性能の低下の抑制という観点からは、充放電電力の抑制よりも電池SOCの制御上限の引き下げの方が好ましい。
図6は、充電リザーブ量の算出に関する処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、図10のフローチャートのステップS230(後述)において実行される処理に相当する。
図6を参照して、バッテリECU100は、監視ユニット20の温度センサ23、電流センサ22及び電圧センサ21から、温度TBi、電流IB及び電圧VBiの検出値をそれぞれ取得する(ステップS10)。
次いで、バッテリECU100は、電流IBを用いて放電電気量を算出する(ステップS20)。具体的には、バッテリECU100は、電流IBが正値であるとき(放電中)に、電流IB(放電電流)を積算し、電流IBが負値であるとき(充電中)には、電流の積算を行なわないことによって、放電電気量を算出する。
次いで、バッテリECU100は、各電池について、ΔSOCを算出する(ステップS30)。具体的には、バッテリECU100は、所定の一定時間(たとえば数十分)における電池SOCの最大値から最小値を減算することによってΔSOCを算出する。なお、上記では、所定の一定時間におけるΔSOCが算出されるものとしているが、バッテリECU100の演算周期毎にΔSOCが算出されてもよい。
次いで、バッテリECU100は、メモリ104に記憶されたマップ250(図5)を用いて、各電池について、ステップS10において取得された電池の温度TBi、並びにステップS20,S30でそれぞれ算出された放電電気量及びΔSOCに対応する充電リザーブ量を算出する(ステップS40)。その後、このフローチャートの処理は終了する。
上記の説明では、バッテリECU100は、メモリ104に記憶されたマップ250を用いて充電リザーブ量の推定値を算出するものとした。これに対して、バッテリECU100は、温度TBi、放電電気量及びΔSOCと、負極容量、正極容量および放電リザーブ量との関係を表すモデルを用いて当該推定値を算出してもよい。具体的には、バッテリECU100は、そのモデルを用いて、温度TBi、放電電気量及びΔSOCに従って負極容量、正極容量および放電リザーブ量を算出し、負極容量から正極容量および放電リザーブ量を差し引くことによって充電リザーブ量を算出してもよい。
車両1において、充電リザーブ量の推定値を算出するバッテリECU100が交換される場合がある。以下、交換前のバッテリECU100(即ち、車両1の製造時に車両1に搭載されたバッテリECU100)およびそのメモリ104を、それぞれ「バッテリECU100A」および「メモリ104A」とも記載する。交換後のバッテリECU100およびそのメモリ104を、それぞれ「バッテリECU100B」および「メモリ104B」とも記載する。
バッテリECU100は、組電池10の状態そのものを表すパラメータである放電電気量を用いて充電リザーブ量の推定値を算出することができる。ここで、交換前のバッテリECU100Aにより用いられていた放電電気量(メモリ104Aに記憶されている放電電気量)は、組電池10の使用開始からの放電電気量であり、充電リザーブ量の減少量を反映する(図4)。
ここで、バッテリECU100が交換されると、当該放電電気量は、交換後のバッテリECU100Bのメモリ104Bに引き継がれない。そのため、バッテリECU100Bのメモリ104Bは、組電池10の使用開始からの放電電気量を記憶していない。メモリ104Bに記憶されている放電電気量は、例えば、バッテリECU100の交換に伴ってリセットされた値(0)から、バッテリECU100の交換以後の電流IBが積算された値である。それゆえ、バッテリECU100Bは、メモリ104Bに記憶されている放電電気量を用いて、図6のフローチャートの処理に従って充電リザーブ量の推定値を正確に算出することができない。
そこで、本実施の形態に従う電池システム2は、上記問題に対処するための構成を備える。具体的には、電池システム2のバッテリECU100は、バッテリECU100が交換され、かつ、バッテリECU100が交換された後に組電池10が交換されていない場合に、充電リザーブ量の第1の推定値を算出するための第1の処理を実行する。また、バッテリECU100は、バッテリECU100が交換された後に組電池10がさらに交換された場合に、充電リザーブ量の第2の推定値を算出するための第2の処理を実行する。
第1の処理は、車両1の総走行距離を取得する処理と、総走行距離から推定される充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)と車両1の総走行距離との予め定められた関係を用いて車両1の総走行距離から第1の推定値を算出する処理とを含む。
バッテリECU100が交換されると、バッテリECU100Bは、メモリ104Bに記憶されている放電電気量を用いて充電リザーブ量の推定値を正確に算出することができない。ここで、総走行距離は、組電池10の状態そのものを表すパラメータではないが、組電池10の使用開始からの使用度合いを反映している。そこで、本実施の形態に従う電池システム2では、バッテリECU100AがバッテリECU100Bに交換されてから組電池10が交換されるまでの間、放電電気量に代えて総走行距離を用いることによって充電リザーブ量が推定される。第1の処理および第1の推定値については、後ほど詳しく説明する。
他方、第2の処理は、図6の算出処理に相当する。そのため、第2の推定値は、図6のステップS40において算出される充電リザーブ量の推定値である。放電電気量などの組電池10の状態そのものを表すパラメータに従って算出される充電リザーブ量の推定値(第2の推定値)の精度は、総走行距離に従って算出される充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)の精度よりも高い。そのため、バッテリECU100は、バッテリECU100が交換された後に組電池10がさらに交換されると、組電池10の状態そのものを表すパラメータを用いた第2の処理が実行される。
具体的には、組電池10がさらに交換されると、組電池10が新品に交換されたものとして、組電池10の温度Tbi、ニッケル水素電池が交換されてからの放電電気量、及びΔSOCから、充電リザーブ量の第2の推定値が算出される。より詳しくは、新品の組電池の放電電気量は0であると考えられるため、バッテリECU100Bは、交換直後の組電池10の放電電気量が0であるものとして、組電池10の交換以降、電流センサ22から受ける電流IBの正の検出値を0から積算することによって放電電気量を取得できる。そのため、バッテリECU100Bは、組電池10の交換後、放電電気量を用いて、第1の推定値よりも精度の高い第2の推定値に従って充電リザーブ量を算出することができる。
以上のように、本実施の形態に従う電池システム2によれば、バッテリECU100の交換後に組電池10がさらに交換されるまでの間、バッテリECU100Bは、充電リザーブ量の第1の推定値を算出する。そして、バッテリECU100の交換後に組電池10がさらに交換された後、バッテリECU100Bは、充電リザーブ量の第2の推定値を算出する。このように、バッテリECU100が交換された場合であっても、バッテリECU100Bは、総走行距離を用いて、充電リザーブ量の推定値の算出を継続することができる。そして、バッテリECU100が交換された後に組電池10がさらに交換された場合には、バッテリECU100Bは、放電電気量を用いて、第1の推定値よりも精度の高い第2の推定値に従って充電リザーブ量を算出することができる。その結果、充電リザーブ量の推定値(第1の推定値または第2の推定値)に従ってニッケル水素電池の性能劣化を適切に抑制することができる。
図7は、充電リザーブ量の減少量の推定値と車両1の総走行距離ODOとの関係を示す図である。図7における総走行距離ODOは、メータECU70によって算出されるものである。
図7を参照して、線305は、図6の算出処理に従って算出される充電リザーブ量の推定値の減少量が、総走行距離ODOの増加に伴ってどのように変化するかを示す。前述したように、総走行距離ODOは、組電池10の使用度合いを反映する。そのため、線305に示されるように、総走行距離ODOが増加するほど、図6の算出処理に従う充電リザーブ量の推定値の減少量も大きくなる(充電リザーブ量の推定値が減少する)。
ここで、上述の第1の推定値について詳しく説明する。充電リザーブ量の減少量の推定値と総走行距離ODOとの関係が実験などにより予め定められている場合、バッテリECU100が交換されたとしても、交換後のバッテリECU100Bは、その関係を用いて、総走行距離ODOに従って充電リザーブ量の減少量の推定値を算出できる。そして、バッテリECU100Bは、充電リザーブ量の初期値から、充電リザーブ量の減少量の推定値を差し引くことによって、充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)を算出できる。なお、充電リザーブ量の初期値は、組電池10が新品であるときに例えば温度TBiに基づいて算出され、バッテリECU100Bのメモリ104Bに格納される。
線310は、充電リザーブが減少し易い所定条件下で組電池10が使用された(車両1が走行した)と仮定された場合の、充電リザーブ量の減少量の推定値と総走行距離ODOとの関係を示す。線310は、線305と同様に、総走行距離ODOが増加するほど、総走行距離ODOに従う充電リザーブ量の減少量の推定値も大きくなることを示す。線310の関係は、実験などにより適宜予め定められ、バッテリECU100のメモリ104を構成するROMにおいて、各種プログラムとともにマップとして格納されている。
上記の「充電リザーブが減少し易い所定条件」とは、温度TBiが車両1の通常使用時の温度(例えば、走行用システム起動時の平均温度)よりも高い一定温度であり、かつ、ΔSOCが車両1の通常使用時のΔSOC(例えば、走行用システム起動時の平均ΔSOC)よりも大きい一定値である条件をいう。一般的に、組電池10の温度TBiが高温になるほど、充電リザーブ量が減少し易い。また、車両1の使用中(例えば走行中)、ΔSOCが大きくなるほど、充電リザーブ量が減少し易い。
「充電リザーブ量が減少し易い所定条件」下で線310が予め定められる理由は、仮に、そのような条件下で組電池10が使用される場合であっても、充電リザーブ量の推定値に従って組電池10の劣化を抑制するためである。
図8は、総走行距離ODOに従う充電リザーブ量の算出処理に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、図10のフローチャートのステップS235(後述)において実行される処理であり、前述の第1の処理に相当する。
図8を参照して、バッテリECU100は、メータECU80から車両1の総走行距離ODOを取得する(ステップS110)。次いで、バッテリECU100は、線310の関係を示すマップを用いて、総走行距離ODOから充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)を算出する(ステップS120)。その後、このフローチャートの処理が終了する。
図9は、バッテリECU100が交換された後に組電池10がさらに交換される場合に、充電リザーブ量の減少量の推定値が、総走行距離ODOの増加に伴ってどのように変化するかを示す図である。図9の例では、総走行距離ODOがx1である時点においてバッテリECU100が交換される。さらにその後、総走行距離ODOがx2である時点において組電池10が交換される。
総走行距離ODOが0からx1までの間、交換前のバッテリECU100Aは、図6の第2の処理に従って充電リザーブ量の推定値を算出する(線405)。具体的には、バッテリECU100Aは、マップ250(図5)を用いて、温度TBi、放電電気量およびΔSOCに従って充電リザーブ量の第2の推定値を算出する。
総走行距離ODOがx1である時点においてバッテリECU100が交換されると、バッテリECU100Aのメモリ104Aに格納された放電電気量は、交換後のバッテリECU100Bのメモリ104Bに引き継がれない。そのため、バッテリECU100Bは、充電リザーブ量の推定値の算出において、放電電気量を用いることができないため、第2の処理に従って(放電電気量に従って)充電リザーブ量の推定値(第2の推定値)を正確に算出できない。そこで、バッテリECU100Bは、組電池10が交換されるまでの間(総走行距離ODOがx1からx2までの間)、第2の処理に代えて第1の処理に従って(総走行距離ODOに従って)充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)を算出する(線310)。
なお、ECU100Bは、総走行距離ODOがx1である時点においてバッテリECU100が交換されたか否か(バッテリECU100B自身が交換後のバッテリECU100Bであるか否か)を、以下の手法を用いて判定できる。車両1の総走行距離は、バッテリECU100およびメータECU70のいずれによっても算出され、バッテリECU100が交換されない限り、これらの算出値は基本的に同じである。一方で、バッテリECU100が交換された場合、これらの総走行距離の差分が誤差として無視できないレベルとなる。そこで、バッテリECU100Bは、車両1の走行用システム起動時に当該差分値が所定のしきい値以上であると判定した場合に、当該判定を行った時点の総走行距離ODOをメータECU70から取得する。これにより、バッテリECU100Bは、総走行距離ODOがx1である時点においてバッテリECU100が交換されたと判定する。
総走行距離ODOがx2である時点において組電池10が交換されると、バッテリECU100Bは、第1の処理に代えて第2の処理に従って、温度TBi、放電電気量、及びSOC変動幅から充電リザーブ量の第2の推定値を算出する(線505)。第2の処理において充電リザーブ量の算出に用いられる放電電気量は、組電池10が交換された直後において0であると考えられる。そのため、バッテリECU100Bは、組電池10の交換に伴って、組電池10の交換後の放電電流の検出値を0から積算することによって、その積算値を放電電気量として取得できる。バッテリECU100が放電電気量を取得できる場合、前述したように、第2の推定値の精度は、第1の推定値の精度よりも高い。それゆえ、組電池10の交換後(総走行距離ODOがx2より大きいとき)、バッテリECU100Bは、第1の処理に代えて第2の処理に従って充電リザーブ量の推定値(第2の推定値)を算出する。
なお、バッテリECU100Bは、例えばディーラーの整備士により整備用端末装置が車両1のインターフェース(図示せず)に接続されている間に、整備用端末装置の電池交換ボタン(図示せず)が整備士により操作された場合に、組電池10が交換されたことを示す情報を整備用端末装置から受ける。そして、バッテリECU100Bは、当該情報を受けた時点における総走行距離ODOをメータECU70から取得する。このように、バッテリECU100Bは、総走行距離ODOがx2である時点において組電池10が交換されたと判定する。なお、上記の電池交換ボタンは、車両1に設けられていてもよい。
図10は、バッテリECU100および組電池10の交換に伴う処理の手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、車両1の走行用システム起動中に所定の時間間隔ごとに実行される。以下の説明において、図9を適宜参照する。
図10を参照して、バッテリECU100は、バッテリECU100が交換されたか否かを判定する(ステップS210)。即ち、バッテリECU100は、バッテリECU100自身が、車両1の製造時に車両1に搭載されたバッテリECU100Aから交換されたバッテリECU100Bであるか否かを判定する。具体的には、バッテリECU100は、バッテリECU100自身が算出した総走行距離と、メータECU70により算出された総走行距離との差分値が前述のしきい値よりも小さい場合、バッテリECU100自身がバッテリECU100Aであると判定し、当該差分値が当該しきい値以上である場合、バッテリECU100自身がバッテリECU100Bであると判定する。
バッテリECU100が交換前のバッテリECU100Aである場合(ステップS210においてNO)、バッテリECU100Aは、第2の処理に従って充電リザーブ量の推定値(第2の推定値)を算出する(ステップS230)。これにより、バッテリECU100Aは、第1の処理に従って充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)を算出する場合よりも精度良く充電リザーブ量の推定値を算出できる(図9の線405)。ステップS230の処理は、図6のフローチャートの処理に相当する。その後、バッテリECU100Aは、ステップS240へ処理を進める。
他方、バッテリECU100が交換後のバッテリECU100Bである場合(ステップS210においてYES)、バッテリECU100Bは、バッテリECU100の交換後に組電池10が交換されている否かを判定する(ステップS215)。具体的には、組電池10が交換されている場合に、組電池10の交換時点における総走行距離ODO(図9の例ではx2)が、バッテリECU100の交換時点における総走行距離ODO(図9の例ではx1)よりも大きいか否かを判定する。バッテリECU100の交換後に組電池10が交換されている場合(ステップS215においてYES)、バッテリECU100Bは、ステップS230へ処理を進める。そして、ステップS230において、組電池10が新品に交換されたものとして(以後、放電電気量が0から積算されるものとして)、第2の処理に従って充電リザーブ量の第2の推定値が算出される(図9の線505)。
これに対して、バッテリECU100の交換後に組電池10が交換されていない場合(ステップS215においてNO)、バッテリECU100Bは、第1の処理に従って充電リザーブ量の推定値(第1の推定値)を算出する(ステップS235)。これにより、バッテリECU100の交換によって、放電電気量(メモリ104Aに格納されていた放電電気量)がメモリ104Bに引き継がれない場合であっても、バッテリECU100Bは、充電リザーブ量を算出できる(図9の線310)。ステップS235の処理は、図8のフローチャートの処理に相当する。その後、バッテリECU100Bは、ステップS240へ処理を進める。
ステップS240において、バッテリECU100(バッテリECU100AまたはバッテリECU100B)は、充電リザーブ量の推定値がしきい値以上であるか否かを判定する。当該推定値は、ステップS240の前に実行された処理がステップS230の処理である場合には第2の推定値であり、ステップS240の前に実行された処理がステップS235の処理である場合には第1の推定値である。充電リザーブ量の推定値がしきい値以上である場合(ステップS240においてYES)、バッテリECU100は、組電池10の上限SOCを、デフォルトの上限SOCから(例えば所定値だけ)引き下げられた値に設定する(ステップS260)。これにより、上限SOCがデフォルトの上限SOCから引き下げられない場合よりもSOCの使用可能範囲が狭くなるため、ΔSOCがデフォルトのΔSOCよりも小さくなる。その結果、組電池10の劣化を抑制することができる。ステップS260の処理の後、バッテリECU100は、図10の処理を終了する。他方、充電リザーブ量の推定値がしきい値未満である場合(ステップS240においてNO)、バッテリECU100は、ステップS210へ処理を戻す。
以上のように、本実施の形態に従う電池システム2によれば、バッテリECU100は、バッテリECU100が交換され、かつ、バッテリECU100が交換された後に組電池10が交換されていない場合に、充電リザーブ量の第1の推定値を算出するための第1の処理を実行する。バッテリECU100は、バッテリECU100が交換され、かつ、バッテリECU100が交換された後に組電池10が交換された場合に、充電リザーブ量の第2の推定値を算出するための第2の処理を実行する。第1の処理は、総走行距離ODOを取得する処理と、総走行距離ODOから推定される充電リザーブ量の第1の推定値と総走行距離ODOとの予め定められた関係(線310)を用いて、総走行距離ODOから第1の推定値を算出する処理とを含む。第2の処理は、放電電気量を算出する処理と、ΔSOCを算出する処理と、温度TBi、放電電気量、及びΔSOCから、充電リザーブ量の第2の推定値を算出する処理とを含む。
上記の構成とすることにより、バッテリECU100が交換されてから組電池10が交換されるまでの間、総走行距離ODOから充電リザーブ量の第1の推定値が算出される。他方、バッテリECU100が交換された後に組電池10が交換されると、組電池10が新品に交換されたものとして、温度TBi、組電池10が交換されてからの放電電気量、及びΔSOCから、充電リザーブ量の第2の推定値が算出される。第2の推定値は、組電池10の状態そのものを表す上記のようなパラメータに従って算出されるため、第2の推定値の精度は、第1の推定値の精度よりも高い。このように、バッテリECU100が交換される場合であっても、充電リザーブ量の算出処理が適切に継続し、さらにその後、組電池10が交換された場合には、第1の推定値よりも精度の高い第2の推定値に従って充電リザーブ量が算出される。したがって、電池システム2によれば、バッテリECU100が交換された場合であっても、充電リザーブ量の推定値を適切に算出し続けることができる。
[実施の形態の変形例]
上述の実施の形態では、バッテリECU100と統合ECU90とが別個のECUであるものとしたが、これらのECUは、一体化されていてもよい。そして、当該一体化されたECUが交換される場合においても、上述の実施の形態の場合と同様の利点を享受できる。具体的には、当該一体化されたECUは、そのECU自身が交換前のECUである場合に、充電リザーブ量の第2の推定値を算出する。これに対して、当該一体化されたECUは、そのECU自身が交換後のECUである場合に、組電池10が交換されるまでの間、充電リザーブ量の第1の推定値を算出する。当該一体化されたECUは、そのECUの交換後に組電池10がさらに交換されると、充電リザーブ量の第2の推定値を算出する。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 車両、2 電池システム、10 組電池、20 監視ユニット、21 電圧センサ、22 電流センサ、23 温度センサ、70 メータECU、90 統合ECU、92 MG-ECU、100 バッテリECU。

Claims (1)

  1. 車両に搭載される電池システムであって、
    ニッケル水素電池と、
    前記ニッケル水素電池の充電リザーブ量の推定値を算出する処理装置とを備え、
    前記処理装置は、
    前記処理装置が交換され、かつ、前記処理装置が交換された後に前記ニッケル水素電池が交換されていない場合に、前記充電リザーブ量の推定値を示す第1の推定値を算出する第1の処理を実行し、
    前記処理装置が交換され、かつ、前記処理装置が交換された後に前記ニッケル水素電池が交換された場合に、前記充電リザーブ量の推定値を示す第2の推定値を算出する第2の処理を実行し、
    前記第1の処理は、
    前記車両の総走行距離を取得する処理と、
    前記総走行距離から推定される前記充電リザーブ量の前記第1の推定値と、前記総走行距離との予め定められた関係を用いて、前記総走行距離から前記第1の推定値を算出する処理とを含み、
    前記第2の処理は、
    前記ニッケル水素電池の放電電流の積算値を示す放電電気量を算出する処理と、
    所定時間における前記ニッケル水素電池のSOC(State of Charge)変動幅を算出する処理と、
    前記ニッケル水素電池の温度、前記放電電気量、及び前記SOC変動幅から、前記充電リザーブ量の前記第2の推定値を算出する処理とを含む、電池システム。
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