JP2022180060A - 積層コイル部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量の発生が抑制され得る積層コイル部品を提供する。【解決手段】積層コイル部品1において、第一、第二端子電極5、6は、コイル10を介して互いに電気的に接続されている。第一、第二内部導体層15a、15bは、上記複数の内部導体層15のうち積層方向D3において最も外側に位置する。第三内部導体層15cは、第一、第二内部導体層15a、15bに挟まれている。第三内部導体層15cは、第一内部導体層15aを介して第一端子電極5に電気的に接続されており、第二内部導体層15bを介して第二端子電極6に電気的に接続されている。第三内部導体層15cは、積層方向D3から見て、第二端子電極6と重なっている。第一内部導体層15a及び第一内部導体層15aに連結されているビア17aは、積層方向D3から見て、第二端子電極6と重ならない。【選択図】図3
Description
本発明は、積層コイル部品に関する。
素体と、素体の内部に配置されているコイルと、互いに離間して素体の表面に配置されている第一及び第二端子電極と備えている積層コイル部品が知られている(たとえば、特許文献1)。コイルは、複数の内部導体層と複数のビアとを含んでいる。複数の内部導体層は、積層されている。各ビアは、複数の内部導体層の積層方向において互いに隣り合う内部導体層に連結されている。第一及び第二端子電極は、コイルを介して互いに電気的に接続されている。
積層コイル部品を動作させる場合に、コイルと端子電極との距離が近ければ、コイルと端子電極との間に浮遊容量が生じる。コイルと端子電極との間に生じる浮遊容量が生じれば、たとえば、コイルの自己共振周波数(SRF)は低下する。
コイルの全体が端子電極から離れた位置に配置されれば、浮遊容量は低減される。この場合、SRFも確保され得る。しかし、この場合、コイル部品の全体のサイズが大きくなるか、又は、コイルの内径が縮小する。コイルの内径が縮小されれば、たとえば、インダクタンスが低下する。
本発明の一つの態様は、コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量の発生が抑制され得る積層コイル部品を提供することを目的とする。
本発明の一つの態様における積層コイル部品は、素体と、コイルと、第一及び第二端子電極とを備えている。コイルは、素体の内部に配置されている。コイルは、複数の内部導体層と複数のビアとを含んでいる。複数の内部導体層は、積層されている。ビアは、複数の内部導体層の積層方向において互いに隣り合う内部導体層に連結されている。第一及び第二端子電極は、互いに離間して素体の表面に配置されていると共に、コイルを介して互いに電気的に接続されている。複数の内部導体層は、第一及び第二内部導体層と、少なくとも一つの第三内部導体層とを含んでいる。第一及び第二内部導体層は、上記複数の内部導体層のうち積層方向において最も外側に位置する。少なくとも一つの第三内部導体層は、第一及び第二内部導体層に挟まれている。少なくとも一つの第三内部導体層は、第一内部導体層を介して第一端子電極に電気的に接続されており、第二内部導体層を介して第二端子電極に電気的に接続されている。少なくとも一つの第三内部導体層は、積層方向から見て、第二端子電極と重なっている。第一内部導体層及び第一内部導体層に連結されているビアは、積層方向から見て、第二端子電極と重なっていない。
この積層コイル部品において、少なくとも一つの第三内部導体層は、第一内部導体層を介して第一端子電極に電気的に接続されており、第二内部導体層を介して第二端子電極に電気的に接続されている。このため、第一内部導体層と第二端子電極との間の電位差は、第三内部導体層と第二端子電極との電位差よりも大きい。この場合、第一内部導体層と第二端子電極との間には、第三内部導体層と第二端子電極との間に生じる浮遊容量よりも大きい浮遊容量が生じるおそれがある。第一内部導体層及び第一内部導体層に連結されているビアは、積層方向から見て、第二端子電極と重なっていない。この場合、第一内部導体層及び上記ビアと第二端子電極との距離が、第一内部導体層及び上記ビアと第二端子電極とが重なっている場合に比べて拡大する。この結果、第一内部導体層及び上記ビアと第二端子電極との間において、浮遊容量の発生が抑制される。さらに、第一内部導体層に電気的に接続されている第三内部導体層は、積層方向から見て、第二端子電極と重なっている。第三内部導体層が第二端子電極と重なるように配置されているため、コイルの内径が確保され、インダクタンスが確保され得る。したがって、上記積層コイル部品によれば、コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量の発生が抑制され得る。
上記一つの態様において、少なくとも一つの第三内部導体層は、ビアによって第一内部導体層と連結されている内部導体層を含んでいてもよい。この内部導体層は、積層方向から見て第二端子電極と重なっていてもよい。このため、コイルのうち第一内部導体層側の部分においてもコイルの内径が確保され得る。したがって、所望のパラメータを有する積層コイル部品が容易に設計され得る。
上記一つの態様において、第一内部導体層は、積層方向と交差する方向に延在している線形状部を含んでいてもよい。線形状部は、ビアに連結されている端部を含んでいてもよい。端部は、積層方向から見て、第一内部導体層のうち第二端子電極に最も近くてもよい。この場合、コイルのうち第一内部導体層側の部分においてもコイルの内径が確保され得る。したがって、所望のパラメータを有する積層コイル部品が容易に設計され得る。
上記一つの態様において、少なくとも一つの第三内部導体層は、積層方向から見て、第一端子電極と重なっていてもよい。第二内部導体層及び第二内部導体層に連結されているビアは、積層方向から見て、第一端子電極と重なっていなくてもよい。この場合、第二内部導体層及び上記ビアと第一端子電極との間においても、浮遊容量の発生が抑制される。
上記一つの態様において、積層コイル部品は、底面電極層をさらに備えてもよい。底面電極層は、素体の表面に配置されていると共に、第二端子電極に連結されている。少なくとも一つの第三内部導体層は、積層方向から見て、底面電極層と重なっていてもよい。第一内部導体層及び第一内部導体層に連結されているビアは、積層方向から見て、底面電極層と重なっていなくてもよい。この場合、コイルと底面電極層との間においても、浮遊容量の発生が抑制される。
上記一つの態様において、少なくとも一つの第三内部導体層は、積層方向から見て第二端子電極と重なっている複数の第三内部導体層を含んでいてもよい。積層方向において、複数の第三内部導体層のうち第一内部導体層に最も近い第三内部導体層と第一内部導体層との間においてビアが占める部分の長さは、互いに隣り合う第三内部導体層の間において各第三内部導体層に連結されているビアの長さよりも大きくてもよい。この場合、第一内部導体層に最も近い第三内部導体層と第二端子電極とは、上記ビアが占める長さ分だけ離れている。したがって、コイルと第二端子電極との間における浮遊容量の発生がさらに抑制される。
本発明の一つの態様における積層コイル部品は、素体と、コイルと、第一及び第二端子電極とを備えている。コイルは、素体の内部に配置されている。コイルは、複数の内部導体層と複数のビアとを含んでいる。複数の内部導体層は、積層されている。ビアは、複数の内部導体層の積層方向において互いに隣り合う内部導体層に連結されている。第一及び第二端子電極は、互いに離間して素体の表面に配置されていると共に、コイルを介して互いに電気的に接続されている。複数の内部導体層は、第一及び第二内部導体層と、少なくとも一つの第三内部導体層とを含んでいる。第一及び第二内部導体層は、上記複数の内部導体層のうち積層方向において最も外側に位置する。少なくとも一つの第三内部導体層は、第一及び第二内部導体層に挟まれている。少なくとも一つの第三内部導体層は、第一内部導体層を介して第一端子電極に電気的に接続されており、第二内部導体層を介して第二端子電極に電気的に接続されている。第一端子電極と第二端子電極とは、積層方向と交差する方向において互いに対向している。積層方向から見て、素体は、第一領域と第二領域とを含んでいる。第一領域と第二領域とは、第一端子電極と第二端子電極との対向方向において配列されている。積層方向から見て、第三内部導体層は、第一及び第二領域と重なっている。積層方向から見て、第一内部導体層及び第一内部導体層に連結されているビアは、第一領域と重なっておらず、第二領域と重なっている。
上記別の態様において、素体は、第一端子電極と第二端子電極との対向方向において配列されている第一領域と第二領域とを含んでいる。積層方向から見て、第三内部導体層は第一領域と重なっており、第一内部導体層及び第一内部導体層に連結されているビアは第一領域と重なっていない。この場合、第一内部導体層及び上記ビアと第二端子電極とは、積層方向から見て、第三内部導体層よりも第一領域の分だけ離れている。このため、第一内部導体層及び上記ビアと第二端子電極との間において、浮遊容量の発生が抑制される。第三内部導体層は、第一領域に位置しているため、コイルの内径は確保され得る。したがって、上記積層コイル部品によれば、コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量の発生が抑制され得る。
本発明の一つの態様は、コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量の発生が抑制され得る積層コイル部品を提供する。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。
まず、図1から図3を参照して、本実施形態における積層コイル部品1の概略構成を説明する。図1は、本実施形態における積層コイル部品1の斜視図である。図2は、本実施形態における積層コイル部品1の平面図である。図3は、本実施形態における積層コイル部品1の内部構成を示す図である。方向D1、方向D2、及び、方向D3は、互いに交差する方向である。
積層コイル部品1は、図1及び図2に示されているように、素体2と、素体2の外表面に配置された一対の端子電極5,6と、素体2の内部に配置されたコイル10とを備えている。積層コイル部品1は、たとえば、電子機器にはんだ実装される。電子機器は、たとえば、回路基板又は電子部品を含んでいる。
素体2は、たとえば、直方体形状を呈している。直方体形状は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含んでいる。素体2の形状は、直方体形状に限定されない。たとえば、素体2は円柱形状を呈していてもよい。素体2は、その外表面として、一対の主面2a,2bと、一対の端面2c,2dと、一対の側面2eとを有している。各主面2a,2bは、直方体形状を呈している素体2が有する側面でもある。積層コイル部品1では、一方の主面2bが、電子機器に実装される実装面である。積層コイル部品1では、一方の主面2bが、電子機器と対向する。
一対の主面2a,2bは、方向D3で互いに対向している。一対の端面2c,2dは、方向D1で互いに対向している。一対の側面2eは、方向D2で互いに対向している。方向D1は、たとえば、方向D2と方向D3とに直交している。方向D2は、たとえば、方向D3と直交している。素体2は、たとえば、方向D1の長さに比して及び方向D2の長さが小さい。素体2は、たとえば、方向D1及び方向D2の長さに比して及び方向D3の長さが小さい。素体2の方向D1、方向D2、及び、方向D3における長さ比はこれに限定されない。方向D1は、たとえば長手方向である。方向D2は、たとえば幅方向である。方向D3は、たとえば高さ方向である。
一対の端子電極5,6は、互いに離間して素体2の外表面に配置されている。一対の端子電極5,6は、方向D1において互いに対向している。一対の端子電極5,6は、方向D1において互いに離れている。端子電極5,6は、コイル10を介して互いに電気的に接続されている。
一対の端子電極5,6は、既知の手法によって形成される。一対の端子電極5,6は、たとえば、電極層にめっき処理が施されることによって形成されている。電極層は、たとえば、導電性ペーストからなる。導電性ペーストは、たとえば、ディップ法、印刷法、又は転写法によって付与されている。本実施形態において、電極層はディップ法によって形成されている。導電性ペーストには、たとえば、導体成分、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を混合したものが用いられている。導体成分は、たとえば、Ag又はCu等の金属粉末である。電極層は、たとえば、物理蒸着法(PVD法)又は化学蒸着法(CVD法)により形成されていてもよい。めっき処理は、たとえば、電解めっき又は無電解めっきである。このめっき処理によって、導電性ペーストの外表面にめっき層が形成される。
端子電極5は、たとえば、部分5a,5b,5cを含んでいる。端子電極5の部分5aは、端面2cに設けられている。端子電極5の部分5bは、一対の主面2a,2bに設けられている。端子電極5の部分5cは、一対の側面2eに設けられている。端子電極5の部分5aは、たとえば、端面2cの全面を覆っている。端子電極5の部分5b,5cは、たとえば、一対の主面2a,2bと一対の側面2eとの一部を覆っている。端子電極5の部分5aは、端子電極5の部分5b,5cに連結されている。各主面2a,2bにおいて、端子電極5の部分5bに覆われている領域は、たとえば、矩形状を呈している。各側面2eにおいて、端子電極5の部分5cに覆われている領域は、たとえば、矩形状を呈している。本明細書において、「連結」とは、直接的に接した状態において接続されていることを意味する。「直接的に接する」とは、本明細書において示した他の部材を介することなく、互いに接続されることを意味する。「直接的に接する」は、本明細書に明示されていない部材を介して接続されることを除外しない。
端子電極6は、たとえば、部分6a,6b,6cを含んでいる。端子電極6の部分6aは、端面2dに設けられている。端子電極6の部分6bは、一対の主面2a,2bに設けられている。端子電極6の部分6cは、一対の側面2eに設けられている。端子電極6の部分6aは、たとえば、端面2dの全面を覆っている。端子電極6の部分6b,6cは、たとえば、一対の主面2a,2bと一対の側面2eとの一部を覆っている。端子電極6の部分6aは、端子電極6の部分6b,6cに連結されている。各主面2a,2bにおいて、端子電極6の部分6bに覆われている領域は、たとえば、矩形状を呈している。各側面2eにおいて、端子電極6の部分6cに覆われている領域は、たとえば、矩形状を呈している。
図2は、方向D3から積層コイル部品1を見た図であり、素体2の内部に配置されたコイル10を破線で示している。コイル10は、素体2の内部において、方向D3に沿ったコイル軸を有しており、このコイル軸の周りに螺旋状に形成されている。コイル10は、一対の先端10a,10bを含んでいる。先端10aと先端10bとは、互いに電気的に接続されている。先端10aは、素体2の端面2cから露出している。先端10aは、端子電極5に連結されている。先端10bは、素体2の端面2dから露出している。先端10bは、端子電極6に連結されている。
図2及び図3に示されているように、コイル10は、複数の内部導体層15と複数のビア17と含んでいる。図3は、方向D2から見た場合を示している。複数の内部導体層15は、方向D3において積層されている。方向D3は、積層方向に相当する。複数の内部導体層15は、複数のビア17を介して互いに電気的に接続されている。
ビア17は、接続導体である。ビア17は、方向D3において、互いに隣り合う内部導体層15に連結されている。複数のビア17は、それぞれ、内部導体層15の間に位置する素体2を貫通するように設けられている。
コイル10は、複数の内部導体層15と、複数の内部導体層15のそれぞれを連結する複数のビア17とによって、先端10aと先端10bとを電気的に接続している導電経路が形成されている。導電経路とは、積層コイル部品1を正常に動作させた場合に電流が通る経路である。換言すれば、導電経路は、端子電極5と端子電極6とを電気的に接続する経路である。複数の内部導体層15、複数のビア17、及び、後述する底面電極層25は、導電材料により構成されている。導電材料は、たとえば、Ag及びPdから選択された少なくとも一つを含んでいる。たとえば、端子電極5,6の一方が第一端子電極に相当する場合、端子電極5,6の他方が第二端子電極に相当する。
複数の内部導体層15は、一対の内部導体層15a,15bと、少なくとも一つの内部導体層15cを含んでいる。内部導体層15a,15bは、上記複数の内部導体層15のうち方向D3において最も外側に位置している。内部導体層15a,15bは、最外内部導体層である。たとえば、内部導体層15a,15bの一方が第一内部導体層に相当する場合、内部導体層15a,15bの他方が第二内部導体層に相当する。この場合、内部導体層15cが第三内部導体層に相当する。
内部導体層15aの位置は、他の内部導体層15の位置よりも素体2の主面2aに近い。内部導体層15bの位置は、他の内部導体層15の位置よりも素体2の主面2bに近い。内部導体層15aは、コイル10の導電経路において、他の内部導体層15よりも端子電極5に近い。内部導体層15bは、コイル10の導電経路において、他の内部導体層15よりも端子電極6に近い。
内部導体層15aは、コイル10の先端10aを形成している。内部導体層15aは、たとえば、先端10aにおいて端子電極5に連結されている。内部導体層15bは、コイル10の先端10bを形成している。内部導体層15bは、たとえば、先端10bにおいて端子電極6に連結されている。
複数の内部導体層15は、たとえば、複数の内部導体層15cを含んでいる。各内部導体層15cは、方向D3において、内部導体層15aと内部導体層15bとに挟まれている。内部導体層15a及び複数の内部導体層15cは、内部導体層15bを介して端子電極6に電気的に接続されている。内部導体層15b及び複数の内部導体層15cは、内部導体層15aを介して端子電極5に電気的に接続されている。
次に、図2、図3、図4(a)から図4(d)、及び、図5(a)から図5(e)を参照して、積層コイル部品1の構成について更に詳細に説明する。図4(a)から図4(d)は、積層コイル部品1の積層構造の一部を示す図である。図5(a)から図5(e)は、積層コイル部品1の積層構造の一部を示す図である。
図4(a)から図4(d)、及び、図5(a)から図5(e)に示されているように、素体2は、積層された複数の素体層22によって構成されている。素体層22は、たとえば、セラミックシートである。複数の内部導体層15a,15b,15c、複数のビア17、及び、底面電極層25が、それぞれ、対応する素体層22に設けられている。各内部導体層15a,15b,15c、及び、底面電極層25は、たとえば、スクリーン印刷によって素体層22に形成される。複数のビア17は、それぞれ、対応する素体層22に、各素体層22を貫通するように設けられている。ビア17は、たとえば、対応する素体層22を貫通するスルーホールに設けられている。図4(a)から図4(d)、及び、図5(a)から図5(e)は、ビア17が接続される配置が破線によって示されており、方向D3から見た場合における端子電極5,6と素体2との境界が一点鎖線によって示されている。
複数の素体層22は、方向D3において積層されている。実際の素体2において、複数の素体層22は、その層間の境界が視認できない程度に一体化されている。複数の素体層22は、たとえば、絶縁性を有する絶縁層である。素体層22は、たとえば磁性材料により構成されている。磁性材料は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料から選択された少なくとも一つを含んでいる。素体層22を構成する磁性材料には、Fe合金等が含まれていてもよい。素体層22は、非磁性材料から構成されていてもよい。非磁性材料は、たとえば、ガラスセラミック材料、誘電体材料から選択された少なくとも一つを含んでいる。
積層コイル部品1は、複数のパターン層Lを含んでいる。複数のパターン層Lは、パターン層La,Lb,Lc,Ld,Le,Lfを含んでいる。図4(a)から図4(d)、及び、図5(a)から図5(e)は、積層コイル部品1が有するパターン層La,Lb,Lc,Ld,Le,Lfの各構成を示している。複数のパターン層La,Lb,Lc,Ld,Leは、各内部導体層15a,15b,15cとビア17と素体層22とによって形成されている。パターン層Lfは、底面電極層25a,25bと素体層22とによって形成されている。
積層コイル部品1は、たとえば、1つのパターン層Laと、1つのパターン層Lbと、3つのパターン層Lcと、2つのパターン層Ldと、1つのパターン層Leと、1つのパターン層Lfとを含んでいる。積層コイル部品1は、複数のパターン層L以外の層も含んでいる。たとえば、積層コイル部品1は、パターン層Laよりも主面2a側に素体層22のみから成る層を含んでいる。
複数のパターン層La,Lb,Lc,Ld,Le,Lfは、図4(a)~図4(d)、図5(a)~図5(e)で示されている順で、主面2a側から主面2b側に向かって配列されている。換言すれば、複数のパターン層Lは、主面2a側から主面2b側に向かって、パターン層La、パターン層Lb、パターン層Lc、パターン層Ld、パターン層Lc、パターン層Ld、パターン層Lc、パターン層Le、パターン層Lfの順に配置されている。パターン層Lc,Ldは、パターン層Lbとパターン層Leとの間に繰り返し交互に配置されている。
積層コイル部品1の構成は、上記パターン層Lの構成に限定されない。たとえば、積層コイル部品1は、4つ以上のパターン層Lcと、3つ以上のパターン層Ldを、パターン層Lbとパターン層Leの間に有していてもよい。この場合、パターン層Lcとパターン層Ldとの数が増えるほど、コイル10の巻き数が増加する。積層コイル部品1は、2つ以下のパターン層Lcと、1つ以下のパターン層Ldを、パターン層Lbとパターン層Leの間に有していてもよい。
パターン層Laは、内部導体層15aを含んでいる。パターン層Lb,Lc,Ldは、それぞれ内部導体層15cを含んでいる。パターン層Leは、内部導体層15bを含んでいる。内部導体層15a,15b,15cは、それぞれ、線形状を呈している線形状部30を含んでいる。線形状部30は、コイル10の導電経路の一部である。各線形状部30は、その先端においてビア17に連結される端部31を含んでいる。内部導体層15aの線形状部30は、コイル10の先端10aを構成する部分と反対側に端部31を含んでいる。内部導体層15aは、一つの端部31を含んでいる。内部導体層15cの線形状部30は、両端にそれぞれ端部31を含んでいる。内部導体層15bは、二つの端部31を含んでいる。内部導体層15bの線形状部30は、コイル10の先端10bを構成する部分と反対側に端部31を含んでいる。内部導体層15bは、一つの端部31を含んでいる。
パターン層Lfは、互いに離間している底面電極層25a,25bを含んでいる。底面電極層25aは、素体2の端面2c及び主面2bから露出している。底面電極層25aは、方向D1及び方向D3において端子電極5に連結されている。底面電極層25bは、素体2の端面2d及び主面2bから露出している。底面電極層25bは、方向D1及び方向D3において端子電極6に連結されている。底面電極層25a,25bは、たとえば、平面視で、方向D2において互いに対向する辺が丸められた矩形状を呈している。たとえば、方向D1において、底面電極層25aの長さは、端子電極5と素体2の主面2bとが重なっている領域の長さよりも長い。たとえば、方向D1において、底面電極層25bの長さは、端子電極6と素体2の主面2bとが重なっている領域の長さよりも長い。
複数のビア17は、ビア17a,17b,17cを含んでいる。ビア17a,17b,17cは、方向D3から見て互いに異なる領域に配置されている。方向D3から見て、ビア17aとビア17bとは重なっておらず、ビア17aとビア17cとは重なっておらず、ビア17bとビア17cとは重なっていない。
積層コイル部品1のコイル10は、たとえば、1つのビア17aと複数のビア17bと複数のビア17cとを含んでいる。複数のビア17bは、方向D3から見て、重なっている。複数のビア17cは、方向D3から見て、重なっている。ビア17aは、内部導体層15aに連結されている。ビア17b,17cは、互いに隣り合う内部導体層15cの間において各内部導体層15cに連結されている。ビア17cは、内部導体層15bに連結されている。本実施形態においては、方向D3における各ビア17a,17b,17cの長さは、同一である。方向D3において互いに隣り合う内部導体層15の距離は、一定である。
図4(a)に示されているパターン層Laにおける内部導体層15aと、図4(b)に示されているパターン層Lbにおける内部導体層15cとは、ビア17aによって連結されている。内部導体層15a及びビア17aは、方向D3から見て、端子電極6と重なっていない。内部導体層15aは、方向D1に延在している線形状部30を含んでいる。内部導体層15aは、たとえば、長尺形状を呈している。内部導体層15aの線形状部30は、ビア17aに連結されている端部31を含んでいる。内部導体層15aの端部31は、方向D3から見て、内部導体層15aのうち端子電極6に最も近い。
図4(b)に示されているパターン層Lbにおける内部導体層15cと、図4(c)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cとは、ビア17bによって連結されている。図4(c)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cと、図4(d)に示されているパターン層Ldにおける内部導体層15cとは、ビア17cによって連結されている。図4(d)に示されているパターン層Ldにおける内部導体層15cと、図5(a)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cとは、ビア17bによって連結されている。
図5(a)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cと、図5(b)に示されているパターン層Ldにおける内部導体層15cとは、ビア17cによって連結されている。図5(b)に示されているパターン層Ldにおける内部導体層15cと、図5(c)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cとは、ビア17bによって連結されている。図5(c)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cと、図5(d)に示されているパターン層Leにおける内部導体層15cとは、ビア17cによって連結されている。図5(e)に示されているパターン層Lfにおける底面電極層25は、ビア17に連結されていない。
以上の構成によって、積層コイル部品1において、コイル10が方向D3に沿って左回りに上がる螺旋構造が形成されている。底面電極層25は、素体2の表面に配置される。底面電極層25aは、端子電極5に連結される。底面電極層25bは、端子電極6に連結される。
パターン層Lb,Lc,Ldの内部導体層15c及びビア17cは、方向D3から見て端子電極6と重なっている。パターン層Leの内部導体層15b及びビア17cは、方向D3から見て端子電極6と重なっている。積層コイル部品1において、全ての内部導体層15cが、方向D3から見て端子電極6と重なっている。本実施形態の変形例において、複数の内部導体層15cのうち少なくとも一つが、方向D3から見て端子電極6と重なっていなくてもよい。
図2及び図3に示されているように、方向D3から見て、素体2は、方向D1において配列されている領域α1及び領域α2を含んでいる。方向D1は、端子電極5,6の対向方向に相当する。領域α1及び領域α2は、方向D3から見て、素体2を方向D1において分割した領域である。領域α1と領域α2とは、互いに隣接している。領域α1は、方向D3から見て、領域α2よりも素体2の端面2dに近い。方向D3から見て、内部導体層15b,15c及びビア17cは、領域α1と重なっている。方向D3から見て、内部導体層15a及びビア17a,17bは、領域α1と重なっていない。方向D3から見て、内部導体層15a,15b,15c及びビア17a,17bは、領域α2と重なっている。内部導体層15aのうち端子電極6に最も近い端部31と端子電極6との最短距離は、複数の内部導体層15cと端子電極6との最短距離よりも大きい。内部導体層15aに連結されているビア17aと端子電極6との最短距離は、複数の内部導体層15cと端子電極6との最短距離よりも大きい。領域α1が第一領域に相当する場合、領域α2が第二領域に相当する。
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態の変形例における積層コイル部品1A,1Bについて説明する。図6は、積層コイル部品1Aの内部構成を示す図である。図7は、積層コイル部品1Bの内部構成を示す図である。これらの変形例は、概ね、上述した積層コイル部品1と類似又は同じである。以下、上述した積層コイル部品1と積層コイル部品1A,1Bとの相違点を主として説明する。
積層コイル部品1A,1Bにおいて、複数の内部導体層15cが、方向D3から見て端子電極6と重なっている。方向D3において、これらの内部導体層15cのうち内部導体層15aに最も近い内部導体層15cと内部導体層15aとの間においてビア17が占める部分の長さは、互いに隣り合う内部導体層15cの間において各内部導体層15cに連結されているビア17の長さよりも大きい。
たとえば、積層コイル部品1Aにおいて、方向D3におけるビア17aの長さは、方向D3におけるビア17b,17cの長さよりも大きい。したがって、方向D3において互いに隣り合う内部導体層15aと内部導体層15cとの距離は、方向D3において互いに隣り合う2つの内部導体層15cとの距離よりも大きい。この場合、たとえば、パターン層Laにおける素体層22の厚さが、他のパターン層における素体層22の厚さよりも大きくなるように形成される。
積層コイル部品1Bは、内部導体層15aと同様の形状を有する少なくとも1つの内部導体層15dをさらに備える。複数のビア17は、複数のビア17aを含んでいる。この内部導体層15dと内部導体層15aとは、ビア17aによって連結される。たとえば、互いに隣り合うパターン層Laとパターン層Lbとの間に、少なくとも1つパターン層Laがさらに設けられる。パターン層Laとパターン層Lbとの間に位置するパターン層Laには、内部導体層15aと同一形状の内部導体層15dが素体層22に設けられている。内部導体層15dと、図4(b)に示されているパターン層Lbにおける内部導体層15cとが、ビア17aによって連結される。
この場合、方向D3から見て、内部導体層15d及び内部導体層15に連結されているビア17aは、領域α1と重なっておらず、領域α2と重なっている。内部導体層15d及び内部導体層15に連結されているビア17aは、方向D3から見て端子電極6と重なっていない。この場合も、方向D3において内部導体層15aと内部導体層15aに最も近い内部導体層15cとの距離が、方向D3において互いに隣り合う2つの内部導体層15cとの距離よりも大きくなるように構成される。
次に、図8、図9、図4(a)から図4(d)、及び、図10(a)から図10(e)を参照して、本実施形態の変形例における積層コイル部品1Cについて説明する。図8は、積層コイル部品1Cの平面図である。図9は、積層コイル部品1Cの内部構成を示す図である。図10(a)から図10(e)は、積層コイル部品1Cの積層構造の一部を示す図である。図10(a)から図10(e)は、ビア17が接続される配置が破線によって示されており、方向D3から見た場合における端子電極5,6と素体2との境界が一点鎖線によって示されている。本変形例は、概ね、上述した積層コイル部品1と類似又は同じである。以下、上述した積層コイル部品1と積層コイル部品1Cとの相違点を主として説明する。
積層コイル部品1Cは、複数のパターン層Lを含んでいる。複数のパターン層Lは、パターン層La,Lb,Lc,Ld,Lf,Lg,Lhを含んでいる。図4(a)から図4(d)、及び、図10(a)から図10(e)は、積層コイル部品1Cが有するパターン層La,Lb,Lc,Ld,Lf,Lg,Lhの各構成を示している。積層コイル部品1Cのパターン層Lは、パターン層Leを含んでおらず、パターン層Lg及びパターン層Lhをさらに含んでいる。パターン層Lgは、内部導体層15cを含んでいる。パターン層Lhは、内部導体層15bを含んでいる。積層コイル部品1Cが有するパターン層La,Lb,Lc,Ld,Lfは、積層コイル部品1が有するパターン層La,Lb,Lc,Ld,Lfと同一の構成を有している。複数のパターン層La,Lb,Lc,Ld,Lf,Lg,Lhは、各内部導体層15a,15b,15cと素体層22とによって形成されている。パターン層Lfは、底面電極層25a,25bと素体層22とによって形成されている。
積層コイル部品1Cは、たとえば、1つのパターン層Laと、2つのパターン層Lbと、2つのパターン層Lcと、1つのパターン層Ldと、1つのパターン層Lfと、1つのパターン層Lgと、1つのパターン層Lhとを含んでいる。複数のパターン層La,Lb,Lc,Ld,Lf,Lg,Lhは、図4(a)~図4(d)、図10(a)~図10(e)で示されている順で、主面2a側から主面2b側に向かって配列されている。換言すれば、複数のパターン層Lは、主面2a側から主面2b側に向かって、パターン層La、パターン層Lb、パターン層Lc、パターン層Ld、パターン層Lc、パターン層Lg、パターン層Lb、パターン層Lh、パターン層Lfの順に配置されている。パターン層Lc,Ldは、パターン層Lbとパターン層Lgとの間に繰り返し交互に配置されている。
積層コイル部品1Cの構成は、上記パターン層Lの構成に限定されない。たとえば、積層コイル部品1Cは、3つ以上のパターン層Lcと、3つ以上のパターン層Ldを、パターン層Lbとパターン層Lgの間に有していてもよい。この場合、パターン層Lcとパターン層Ldとの数が増えるほど、コイル10の巻き数が増加する。
積層コイル部品1Cの複数のビア17は、ビア17a,17b,17cに加えて、ビア17d,17eをさらに含んでいる。ビア17a,17b,17c,17d,17eは、方向D3から見て互いに異なる領域に配置されている。方向D3から見て、ビア17dは、ビア17a,17b,17c,17eと重なっていない。ビア17eは、ビア17a,17b,17c,17dと重なっていない。と重なっていない。
積層コイル部品1Cのコイル10は、たとえば、1つのビア17aと複数のビア17bと複数のビア17cと1つのビア17dと1つのビア17eとを含んでいる。ビア17dは、ビア17bと同様に、互いに隣り合う内部導体層15cの間において各内部導体層15cに連結されているビアである。ビア17dは、内部導体層15bにビア17cを介して連結された内部導体層15cに連結されている。ビア17eは、内部導体層15bに連結されている。本変形例において、ビア17cは、内部導体層15bに連結されていない。
図4(d)に示されているパターン層Ldにおける内部導体層15cと、図10(a)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cとは、ビア17bによって連結されている。図10(a)に示されているパターン層Lcにおける内部導体層15cと、図10(b)に示されているパターン層Lgにおける内部導体層15cとは、ビア17cによって連結されている。図10(b)に示されているパターン層Lgにおける内部導体層15cと、図10(c)に示されているパターン層Lbにおける内部導体層15cとは、ビア17dによって連結されている。図10(c)に示されているパターン層Lbにおける内部導体層15cと、図10(d)に示されているパターン層Lhにおける内部導体層15cとは、ビア17eによって連結されている。図10(e)に示されているパターン層Lfにおける底面電極層25は、ビア17に連結されていない。以上の構成によって、積層コイル部品1において、コイル10が方向D3に沿って左回りに上がる螺旋構造が形成されている。
パターン層Lb,Lc,Ld,Lgの内部導体層15c及びビア17c,17dは、方向D3から見て端子電極6と重なっている。パターン層Lhの内部導体層15bは、方向D3から見て端子電極6と重なっている。積層コイル部品1Cにおいて、全ての内部導体層15cが、方向D3から見て端子電極6及び底面電極層25a,25bと重なっている。積層コイル部品1Cにおいても、内部導体層15a及びビア17aは、方向D3から見て、端子電極6と重なっていない。内部導体層15aは、方向D1に延在している線形状部30を含んでいる。内部導体層15aは、たとえば、長尺形状を呈している。内部導体層15aの線形状部30は、ビア17aに連結されている端部31を含んでいる。内部導体層15aの端部31は、方向D3から見て、内部導体層15aのうち端子電極6に最も近い。
積層コイル部品1Cにおいて、内部導体層15b及びビア17eは、方向D3から見て、端子電極5と重なっていない。積層コイル部品1Cの内部導体層15b及びビア17eは、方向D3から見て、底面電極層25aとも重なっていない。積層コイル部品1Cの内部導体層15bは、内部導体層15aと同様に、方向D1に延在している線形状部30を含んでいる。積層コイル部品1Cの内部導体層15bは、たとえば、長尺形状を呈している。積層コイル部品1Cの内部導体層15bの線形状部30は、ビア17eに連結されている端部31を含んでいる。積層コイル部品1Cの内部導体層15bの端部31は、方向D3から見て、内部導体層15bのうち端子電極5に最も近い。積層コイル部品1Cにおいて、内部導体層15aと内部導体層15bとは、互いに鏡面対称の形状を呈している。
図8及び図9に示されているように、方向D3から見て、素体2は、方向D1において配列されている領域β1、領域β2、及び、領域β3を含んでいる。図9は、方向D2から見た場合を示している。領域β1、領域β2、及び、領域β3は、方向D3から見て、素体2を方向D1において分割した領域である。領域β1、領域β2、及び、領域β3は、方向D1において順に配列されている。領域β1と領域β2とは、互いに隣接している。領域β2と領域β3とは、互いに隣接している。領域β1と領域β3とは、互いに離間している。領域β1は、方向D3から見て、領域β2,β3よりも素体2の端面2dに近い。
方向D3から見て、内部導体層15b,15c及びビア17c,17dは、領域β1と重なっている。方向D3から見て、内部導体層15a及びビア17a,17b,17eは、領域β1と重なっていない。方向D3から見て、内部導体層15a,15b,15c及びビア17a,17eは、領域β2と重なっている。方向D3から見て、内部導体層15a,15c及びビア17bは、領域β3と重なっている。方向D3から見て、内部導体層15b及びビア17a,17b,17c,17eは、領域β3と重なっていない。領域β1,β3が第一領域に相当する場合、領域β2が第二領域に相当する。
積層コイル部品1Cにおいて、内部導体層15bのうち端子電極5に最も近い端部31と端子電極5との最短距離は、複数の内部導体層15cと端子電極5との最短距離よりも大きい。内部導体層15bに連結されているビア17eと端子電極5との最短距離は、複数の内部導体層15cと端子電極5との最短距離よりも大きい。
次に、本実施形態及び変形例における積層コイル部品1,1A,1B,1Cによる作用効果について説明する。図11は、比較例の積層コイル部品の積層構造の一部を示す図である。
積層コイル部品を動作させる場合に、コイルと端子電極との距離が近ければ、コイルと端子電極との間に浮遊容量が生じる。コイルの全体が端子電極から離れた位置に配置すれば、浮遊容量は低減される。しかし、この場合、コイル部品の全体のサイズが大きくなるか、又は、コイルの内径が縮小してインダクタンスが低下する。
たとえば、図11に示されているように、複数の内部導体層15のうち方向D3において最も外側に位置する内部導体層15a,15bは、それぞれ異なる端子電極5,6に連結されている。この場合、内部導体層15a及び内部導体層15aに連結されているビア17と端子電極6との間の電位差は、他の内部導体層15と端子電極6との電位差よりも大きい。このため、内部導体層15aと端子電極6との間には、他の内部導体層15と端子電極6との間に生じる浮遊容量よりも大きい浮遊容量が生じるおそれがある。
積層コイル部品1,1A,1B,1Cにおいては、内部導体層15a及び内部導体層15aに連結されているビア17aは、方向D3から見て、端子電極6と重なっていない。この場合、内部導体層15a及び上記ビア17aと端子電極6との距離は、内部導体層15c及び上記ビア17aと端子電極6とが重なっている場合に比べて拡大する。この結果、内部導体層15a及び上記ビア17aと端子電極6との間において、浮遊容量の発生が抑制される。浮遊容量の発生が抑制されれば、たとえば、SRFの低下が抑制される。内部導体層15aに電気的に接続されている内部導体層15cは、方向D3から見て、端子電極6と重なっている。このため、コンパクトな構成で、コイル10の内径が確保され得る。図3に示されているように、内部導体層15cは、方向D3において、内部導体層15aより内側の位置しているため、方向D3から見て端子電極6と重なっていても内部導体層15cと端子電極6との距離は適切に確保され得る。内部導体層15cが端子電極6と重なるように配置されているため、コイルの内径が確保され、インダクタンスが確保され得る。浮遊容量の発生は抑制されている。したがって、上記積層コイル部品1,1A,1B,1Cによれば、コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量が低下し得る。
積層コイル部品1,1A,1B,1Cにおいて、素体2は、方向D1において配列されている領域α1,β1と領域α2,β2とを含んでいる。積層方向から見て、内部導体層15cは領域α1,β1と重なっており、内部導体層15a及びビア17aは領域α1,β1と重なっていない。この場合、内部導体層15a及び上記ビア17aと端子電極6とが、方向D3から見て、内部導体層15cよりも領域α1,β1の分だけ離れている。このため、内部導体層15a及び上記ビア17aと端子電極6との間において、浮遊容量の発生が抑制される。内部導体層15cは、領域α1,β1に位置しているため、コイル10の内径は確保され得る。したがって、上記積層コイル部品1,1A,1B,1Cによれば、コンパクトな構成で、所望のインダクタンスが確保されていると共に浮遊容量の発生が抑制され得る。
積層コイル部品1,1A,1B,1Cにおいて、ビア17aによって内部導体層15aと連結されている内部導体層15cは、方向D3から見て端子電極6と重なっている。この場合、コイル10のうち内部導体層15a側の部分においてもコイル10の内径が確保され得る。したがって、所望のパラメータを有する積層コイル部品1,1A,1B,1Cが容易に設計され得る。
積層コイル部品1,1A,1B,1Cにおいて、内部導体層15aは、方向D1に延在している線形状部30を含んでる。線形状部30は、ビア17aに連結されている端部31を含んでいる。端部31は、方向D3から見て、内部導体層15aのうち端子電極6に最も近い。この場合、コイル10のうち内部導体層15a側の部分においてもコイル10の内径が確保されて得る。したがって、所望のパラメータを有する積層コイル部品1,1A,1B,1Cが容易に設計され得る。
積層コイル部品1Cにおいて、内部導体層15cは、方向D3から見て、端子電極5と重なっている。内部導体層15b及び内部導体層15bに連結されているビア17eは、方向D3から見て、端子電極5と重なっていない。この場合、内部導体層15b及び上記ビア17eと端子電極5との間においても、浮遊容量の発生が抑制される。
積層コイル部品1,1A,1B,1Cは、底面電極層25a,25bを備えている。底面電極層25aは、素体2の表面に配置されていると共に、端子電極5に連結されている。内部導体層15cは、方向D3から見て、底面電極層25aと重なっている。内部導体層15b及び内部導体層15bに連結されているビア17は、方向D3から見て、底面電極層25aと重なっていない。この場合、コイル10と底面電極層25との間においても、浮遊容量の発生が抑制される。
積層コイル部品1Aにおいて、複数の内部導体層15cが、方向D3から見て、端子電極6と重なっている。方向D3において、これらの内部導体層15cのうち内部導体層15aに最も近い内部導体層15cと内部導体層15aとの間においてビア17が占める部分の長さは、互いに隣り合う内部導体層15cの間において各内部導体層15cに連結されているビア17の長さよりも大きい。この場合、内部導体層15aに最も近い内部導体層15cと端子電極6とは、上記ビア17が占める長さ分だけ離れている。したがって、コイル10と端子電極6との間における浮遊容量の発生がさらに抑制される。
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
たとえば、積層コイル部品1,1A,1B,1Cにおいて、端子電極5は、素体2の一対の主面2a,2b、端面2c、及び、一対の側面2eに設けられている。端子電極6は、素体2の一対の主面2a,2b、端面2d、及び、一対の側面2eに設けられている。しかし、端子電極5,6が設けられる位置はこれに限定されない。たとえば、端子電極5,6は、主面2a,2bの一方のみに設けられていてもよい。
積層コイル部品1において、底面電極層25が主面2bに設けられている。このため、積層コイル部品1は、主面2bが実装面となるように構成されている。しかし、積層コイル部品1は、主面2aが実装面となるように構成されてもよい。
たとえば、積層コイル部品1において、底面電極層25は、方向D3において内部導体層15aよりも内部導体層15bに近い主面2bに設けられている。しかし、底面電極層25aは、方向D3において、内部導体層15bよりも内部導体層15bに近い主面2aに設けられていてもよい。この場合、内部導体層15a及びビア17aが、方向D3から見て、底面電極層25bとも重ならないように配置される。積層コイル部品1,1A,1B,1Cは、底面電極層25を備えていなくてもよい。
積層コイル部品1Aにおけるビア17aの構成は、積層コイル部品1Cにおけるビア17a,17eに適用されてもよい。たとえば、積層コイル部品1Cにおいて、方向D3におけるビア17a,17eの長さは、方向D3におけるビア17b,17c,17dの長さよりも大きくてもよい。この場合、方向D3において互いに隣り合う内部導体層15aと内部導体層15cとの距離は、方向D3において互いに隣り合う2つの内部導体層15cとの距離よりも大きい。この場合、たとえば、パターン層Laにおける素体層22の厚さが、他のパターン層における素体層22の厚さよりも大きくなるように形成される。さらに、方向D3において互いに隣り合う内部導体層15bと内部導体層15cとの距離は、方向D3において互いに隣り合う2つの内部導体層15cとの距離よりも大きい。この場合、たとえば、図10(c)に示されるパターン層Lbにおける素体層22の厚さが、他のパターン層における素体層22厚さよりも大きくなるように形成される。
積層コイル部品1Bにおける構成は、積層コイル部品1Cにおける構成に適用されてもよい。積層コイル部品1Cにおける内部導体層15a,15bのそれぞれと同様の形状を有する内部導体層15dをさらに備えてもよい。この場合、複数のビア17は、複数のビア17aと複数のビア17eを含む。
たとえば、互いに隣り合うパターン層Laとパターン層Lbとの間に、少なくとも1つパターン層Laがさらに設けられてもよい。互いに隣り合うパターン層Lbとパターン層Lhとの間に、少なくとも1つのパターン層Lhがさらに設けられていてもよい。この場合も、方向D3において内部導体層15aと内部導体層15aに最も近い内部導体層15cとの距離が、方向D3において互いに隣り合う2つの内部導体層15cとの距離よりも大きくなるように構成される。方向D3において内部導体層15bと内部導体層15bに最も近い内部導体層15cとの距離が、方向D3において互いに隣り合う2つの内部導体層15cとの距離よりも大きくなるように構成される。
1,1A,1B,1C…積層コイル部品、2…素体、5,6…端子電極、10…コイル、15,15a,15b,15c…内部導体層、17,17a,17b,17c,17d,17e…ビア、30…線形状部、31…端部、D1,D2,D3…方向。
Claims (7)
- 素体と、
前記素体の内部に配置されていると共に、積層されている複数の内部導体層と前記複数の内部導体層の積層方向において互いに隣り合う内部導体層に連結されている複数のビアとを含んでいるコイルと、
互いに離間して前記素体の表面に配置されていると共に、前記コイルを介して互いに電気的に接続されている第一及び第二端子電極と、を備え、
前記複数の内部導体層は、当該複数の内部導体層のうち前記積層方向において最も外側に位置する第一及び第二内部導体層と、前記第一及び第二内部導体層に挟まれている少なくとも一つの第三内部導体層とを含んでおり、
前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記第一内部導体層を介して前記第一端子電極に電気的に接続されており、前記第二内部導体層を介して前記第二端子電極に電気的に接続されており、
前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記積層方向から見て、前記第二端子電極と重なっており、
前記第一内部導体層及び前記第一内部導体層に連結されている前記ビアは、前記積層方向から見て、前記第二端子電極と重なっていない、積層コイル部品。 - 前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記ビアによって前記第一内部導体層と連結されていると共に、前記積層方向から見て前記第二端子電極と重なっている内部導体層を含んでいる、請求項1に記載の積層コイル部品。
- 前記第一内部導体層は、前記積層方向と交差する方向に延在している線形状部を含んでおり、
前記線形状部は、前記ビアに連結されている端部を含んでおり、
前記端部は、前記積層方向から見て、前記第一内部導体層のうち前記第二端子電極に最も近い、請求項1又は2に記載の積層コイル部品。 - 前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記積層方向から見て、前記第一端子電極と重なっており、
前記第二内部導体層及び前記第二内部導体層に連結されている前記ビアは、前記積層方向から見て、前記第一端子電極と重なっていない、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層コイル部品。 - 前記素体の表面に配置されていると共に、前記第二端子電極に連結されている底面電極層をさらに備え、
前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記積層方向から見て、前記底面電極層と重なっており、
前記第一内部導体層及び前記第一内部導体層に連結されている前記ビアは、前記積層方向から見て、前記底面電極層と重なっていない、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層コイル部品。 - 前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記積層方向から見て前記第二端子電極と重なっている複数の第三内部導体層を含んでおり、
前記積層方向において、前記複数の第三内部導体層のうち前記第一内部導体層に最も近い第三内部導体層と前記第一内部導体層との間において前記ビアが占める部分の長さは、互いに隣り合う前記第三内部導体層の間において各前記第三内部導体層に連結されている前記ビアの長さよりも大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層コイル部品。 - 素体と、
前記素体の内部に配置されていると共に、積層されている複数の内部導体層と、前記複数の内部導体層の積層方向において互いに隣り合う内部導体層に連結されている複数のビアとを含んでいるコイルと、
互いに離間して前記素体の表面に配置されていると共に、前記コイルを介して互いに電気的に接続されている第一及び第二端子電極と、を備え、
前記複数の内部導体層は、当該複数の内部導体層のうち前記積層方向においても最も外側に位置する第一及び第二内部導体層と、前記第一及び第二内部導体層に挟まれている少なくとも一つの第三内部導体層とを含んでおり、
前記少なくとも一つの第三内部導体層は、前記第一内部導体層を介して前記第一端子電極に電気的に接続されており、前記第二内部導体層を介して前記第二端子電極に電気的に接続されており、
前記第一端子電極と前記第二端子電極とは、前記積層方向と交差する方向において互いに対向しており、
前記積層方向から見て、前記素体は、前記第一端子電極と前記第二端子電極との対向方向において配列されている第一領域と第二領域とを含んでおり、
前記積層方向から見て、
前記第三内部導体層は、前記第一及び第二領域と重なっており、
前記第一内部導体層及び前記第一内部導体層に連結されている前記ビアは、前記第一領域と重なっておらず、前記第二領域と重なっている、積層コイル部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021086964A JP2022180060A (ja) | 2021-05-24 | 2021-05-24 | 積層コイル部品 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021086964A JP2022180060A (ja) | 2021-05-24 | 2021-05-24 | 積層コイル部品 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2022180060A true JP2022180060A (ja) | 2022-12-06 |
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ID=84327191
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2021086964A Pending JP2022180060A (ja) | 2021-05-24 | 2021-05-24 | 積層コイル部品 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022180060A (ja) |
-
2021
- 2021-05-24 JP JP2021086964A patent/JP2022180060A/ja active Pending
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