JP2022179961A - アンモニア又は尿素測定用試験片 - Google Patents

アンモニア又は尿素測定用試験片 Download PDF

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Abstract

【課題】グルタミン合成酵素を利用したアンモニアや尿素などの物質測定に使用するための試験片であって、バックグラウンドの影響を低減して精度良い測定結果を得ることができる、試験片を提供すること。【解決手段】検体供給部と、流路と、前記流路上に形成された反応部と前記反応部に載置された試薬、とを含み、前記試薬は、グルコース、グルタミン合成酵素、ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、ATP、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、これらは第1試薬と第2試薬に分けられ、前記第1試薬は第1領域、第2試薬は第2領域に載置され、前記第1領域と前記第2領域は前記反応部の互いに重ならない位置に配置され、前記反応部の少なくとも一部は光透過性部材で形成されている、試験片。【選択図】図1

Description

本発明は酵素反応を利用した生化学分野の分析技術に関し、より詳細には、酵素反応を利用した尿素やアンモニアの分析技術に関する。
グルタミン合成酵素はアンモニアを利用してグルタミン酸をグルタミンに変換する酵素であり、酵素反応を利用した物質生産や分析技術等に利用されている。例えば、グルタミン合成酵素により消費される基質の量を指標にし、試料中のアンモニアやATPを測定する技術が知られている(特許文献1及び2)。
本出願人は、グルタミン合成酵素を利用したアンモニア定量法を開発した(特許文献3)。さらに、グルタミン合成酵素を利用したアンモニアの定量において、カルシウムの影響を低減して精度良く測定する方法を報告した(特許文献4)。
一方、特許文献5には、溶液中でウレアーゼ反応によって尿素を加水分解し、生じるアンモニアにα-ケトグルタル酸、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)又はニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NADPH)、及びグルタミン酸脱水素酵素を作用させ、NADH又はNADPHの減少量を紫外部の吸収変化として測定する方法が示されている。
また、特許文献6には、尿素とo-フタルアルデヒドと反応して1,3-ジヒドロキシイソインドリン(DHI)を生成し、DHIと発色化合物が酸性条件で反応して生じる呈色を測定する試験片が示されている。
特開昭62-3800号公報 特開昭62-142272号公報 特開2018-68278号公報 特開2019-033677号公報 特開2002-45198号公報 特開2000-55921号公報
特許文献1、2及び5に開示の方法では、溶液系での尿素測定であるので測定作業が煩雑であった。特許文献6の試験片を用いて簡便に尿素を測定することが可能であるが、測定精度のさらなる向上が求められていた。本発明は、グルタミン合成酵素を利用したアンモニアや尿素などの物質測定に使用するための試験片であって、バックグラウンドの影響を低減して精度良い測定結果を得ることができる、試験片を提供することを課題とする。
本発明者は、アンモニアや尿素などの物質測定に使用するための試験片において、グルタミン合成酵素を含む一連の酵素およびそれらの基質を含む試薬を全て混合して試験片上に載置した場合、測定対象物質であるアンモニアや尿素が存在しないときでもシグナルが検出され、バックグラウンドが高くなる課題を認識し、この課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、試薬を第1試薬と第2試薬に分け、試験片上の反応部内の互いに重ならない第1の領域および第2の領域にそれぞれ載置して反応時に両者が混合されるよう
にすることで、バックグラウンドの影響を低減して精度良い測定結果が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の一態様によれば、検体供給部と、
流路と、
前記流路上に形成された反応部と
前記反応部に載置された試薬、とを含み、
前記試薬は、グルコース、グルタミン合成酵素、ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、ATP、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、これらは第1試薬と第2試薬に分けられ、
前記第1試薬は第1領域、第2試薬は第2領域に載置され、前記第1領域と前記第2領域は前記反応部の互いに重ならない位置に配置され、
前記反応部の少なくとも一部は光透過性部材で形成されている、試験片が提供される。
前記試験片の一態様においては、ATP及びADP-HKは前記第1試薬に含まれ、グルコースは前記第2試薬に含まれる。
前記試験片の一態様においては、第1試薬が、ATP、ADP-HK、グルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、第2試薬がグルコースを含む。
前記試験片の一態様においては、前記試薬はさらに発色基質と酸化還元酵素を含む。
前記試験片の一態様においては、第1試薬が、ATP、ADP-HK、グルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型及び酸化還元酵素を含み、第2試薬がグルコース及び発色基質を含む。
前記試験片の一態様においては、前記試薬はさらに尿素分解酵素を含む。
前記試験片の一態様においては、第1試薬が、ATP、ADP-HK、グルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型、酸化還元酵素及び尿素分解酵素を含み、第2試薬がグルコース及び発色基質を含む。
前記試験片の一態様においては、前記第1領域と前記第2領域は対向している。
前記試験片の一態様においては、前記第1領域は反応部内側の上面の領域であり、前記第2領域は反応部内側の下面の領域である。
前記試験片の一態様においては、前記第1試薬及び前記第2試薬は乾燥した状態で配置されている。
前記試験片の一態様においては、前記反応部の上面及び下面は光透過性部材で形成されている。
本発明の一態様においては、前記試験片は、内部に、検体供給部となる第1空間と、反応部となる第2空間と、前記試料供給部と前記反応部を連通する流路を有する、マイクロチップ型試験片である。
前記マイクロチップ型試験片の一態様は、マイクロチップ型試験片が上基板と下基板とを含む積層体であり、
前記積層体の内部に、第1空間、第2空間、および前記第1空間と前記第2空間とを連通する前記流路が形成され、
前記上基板は、前記第1空間に対応する箇所に貫通孔を有し、前記下基板と対向する面の前記第2空間に対応する箇所に第1試薬が載置されており、
前記下基板は、前記上基板と対向する面において、前記第2空間に対応する箇所に第2試薬が配置されている。
本発明によれば、シンプルな構造の試験片を用いて、グルタミン合成酵素の反応を利用して試料中のアンモニアや尿素の定量を行うことができる。また、バックグラウンドのシグナルを低減して、精度よくアンモニアや尿素を定量することができる。具体的には、試験片の反応部にグルタミン合成酵素およびそれに続く反応を行うための試薬を載置するにあ
たり、試薬を第1試薬と第2試薬に分けて、それぞれ、反応部内の互いに重ならない第1の領域と第2の領域に載置することにより、検体反応を行う前に試薬が反応してバックグラウンドシグナルが生じることを低減することができる。加えて、ATP及びADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)と、グルコースとを分けて載置すれば、検体反応を行う前に試薬が反応してバックグラウンドシグナルが生じることをさらに低減することができる。
図1は、本発明の一態様にかかるマイクロチップ型試験片の模式図で、(a)は上基板、(b)は下基板、(c)は完成図を示す。 図2は、図1のマイクロチップ型試験片のB-B断面図を示す。 図3は、本発明の他の一態様にかかるフィルム積層型試験片の模式図(完成図)を示す。 図4は、図3のフィルム積層型試験片のC-C断面図を示す 図5は、実施例1と実施例2(Upper試薬とLower試薬を入れ替えたもの)の試験片を用いて尿素測定を行った結果を示す写真である。
本発明の試験片は、
検体供給部と、
流路と、
前記流路上に形成された反応部と
前記反応部に載置された試薬、とを含み、
前記試薬は、グルコース、グルタミン合成酵素、ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、ATP、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、これらは第1試薬と第2試薬に分けられ、前記第1試薬は第1領域、第2試薬は第2領域に載置され、前記第1領域と前記第2領域は前記反応部の互いに重ならない位置に配置されることを特徴とする。
検体供給部は、流路を通じて反応部へ検体を供給できれば、位置及び形状等に特に制限はないが、流路の一端に設けられた開口部であることが好ましく、一定の空間を有する部位であることが好ましい。
反応部は、流路を通じて供給される検体液を収容できる空間であればよく、その形状は特に制限されない。
反応生成物を吸光度測定により定量するために、反応部の少なくとも一部は光透過性部材で形成されている。少なくとも一つの壁面、例えばその上面と下面の少なくとも一方が光透過性部材で形成されていればよいが、反応部の上面及び下面が光透過性部材で形成されていることがさらに好ましい。光透過性部材としては、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックが例示される。なお、試験片全体が光透過性部材で形成されていてもよい。ここでいう光透過部材とは、光源から反応部に照射する光及び反応部からの光を透過する部材である。測定が可能であれば透過率は制限されないが、測定波長における透過率は80%以上であることが好ましい。
反応部内の互いに重ならない第1の領域と第2の領域には、それぞれ第1試薬と第2試薬が載置されている。
ここで、互いに重ならない第1の領域と第2の領域は、例えば、反応部を形成する一つの壁面上に並んで配置されていてもよいし、反応部の内部壁面のうち異なる壁面上に配置されていてもよい。また、第1の領域と第2の領域は、反応部の内部の上面及び/又は下面
に配置されていてもよい。互いに重ならない第1の領域と第2の領域は対向することが好ましく、試薬の混合を効率よく行なうためには反応部の内部の上面に第1の領域が設けられ、下面に第2の領域が設けられることがさらに好ましい。
試薬の種類、第1試薬と第2試薬の分け方、および反応部の第1の領域と第2の領域への配置については、後述する。
流路は、検体供給部と反応部を連通し、検体液が通過しうるものであればその幅や長さは特に制限されない。
流路は、検体供給部と反応部を連通する流路だけでなく、反応部以降にも延伸して空気孔につながっていてもよい。これにより、反応部への検体液の供給が容易になる。
反応部に載置される試薬は、以下の酵素、基質、ATP、補酵素等の成分を含む。
(i)グルコース、(ii)グルタミン合成酵素、(iii)ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)、(iv)グルコース-6-リン酸脱水素酵素、(v)ATP、(vi)グルタミン酸及び(vii)NAD系化合物の酸化型
これらは、検体中のアンモニアまたは検体中の尿素を尿素分解酵素で処理することにより生じたアンモニアを反応開始基質とし、下記の反応(1)~(3)を進行させるために必要な試薬である。
試料中の尿素を測定する場合には、尿素分解酵素を試薬に含めると、尿素分解酵素によって尿素から生じたアンモニアから下記の反応(1)~(3)を進行させることができる。
また、試薬は、反応(3)で生じたNAD系化合物の還元型を定量するために、発色剤と電子キャリアーを含んでもよい。
以下、試薬によって起こる各反応について説明する。
<グルタミン合成酵素による反応:反応(1)>
グルタミン合成酵素(GS)による反応は下記の反応式(1)に示すように、アンモニア(NH3)とアデノシン三リン酸(ATP)とグルタミン酸(Glutamate)とを反応させることにより、アデノシン二リン酸(ADP)、リン酸塩(Orthophosphate)及びL-グルタミン(L-Glutamine)を生成させる反応である。
Figure 2022179961000002
すなわち、検体中のアンモニアまたは検体中の尿素を尿素分解酵素で分解することで生じたアンモニアを、試薬中のグルタミン酸、ATP及びGSと反応させ、ADP、リン酸塩及びL-グルタミンを生成させる。
上記反応を触媒できる限り、GSの由来は特に制限されず、また、GSは微生物等から精製することにより得られたものでもよいし、遺伝子組換えで得られた酵素でもよい。GSは市販のものを使用することができる。
GSの量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度(反応部において検体液に希釈されたときの濃度)5~60U/mLとすることができる。
グルタミン酸の量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度5~175mMとすることができる。
ATPの量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度5~20mMとすることができる。
<ADP依存性ヘキソキナーゼによる反応:反応(2)>
次に、反応(1)で生じたADPに、試薬中のグルコースとADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)を作用させる。具体的には、以下の反応式(2)に示すように、ADP及びグルコースにADP-HKを作用させることにより、グルコース-6-リン酸(G6P)及びアデノシン一リン酸(AMP)が生成される。
Figure 2022179961000003
上記反応を触媒できる限り、ADP-HKの由来は特に制限されず、また、ADP-HKは天然より得られたものでもよいし、遺伝子組換えで得られた酵素でもよい。
ADP-HKは市販のものを使用することができる。
ADP-HKの量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度(反応部において検体液に希釈されたときの濃度)5~60U/mLとすることができる。
グルコースの量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度5~50mMとすることができる。
<グルコース-6-リン酸脱水素酵素による反応:反応(3)>
次に、反応式(2)で生成したグルコース-6-リン酸に、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)系化合物の酸化型(NAD(P))とグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PDH)を作用させる。具体的には、以下の反応式(3)に示すように、グルコース-6-リン酸及びNAD(P)にG6PDHを作用させることにより、NAD系化合物の還元型(NAD(P)H)及びD-グルコノ-1,5-ラクトン-6-リン酸(6-Phosphogluconolactone)が生成される。
Figure 2022179961000004
上記反応を触媒できる限り、G6PDHの由来は特に制限されず、また、G6PDHは天然より得られたものでもよいし、遺伝子組換えで得られた酵素でもよい。
G6PDHは市販のものを使用することができる。
G6PDHの量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度(反応部において検体液に希釈されたときの濃度)5~100U/mLとすることができる。
NAD(P)+の量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度5~20mMとすることができる。
なお、NAD系化合物としては、NAD(P)と記載したように、NADまたはNADPを使用できるが、チオNAD(チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、チオNADP(チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)等でもよい。
上述の反応(3)により生じたNAD系化合物の還元型(例えば、NAD(P)H)を、例えば、NAD系化合物の還元型由来の吸光度(約340nm)に基づいて直接定量することにより、アンモニア又は尿素の定量を行うことができるが、NAD系化合物の還元型と
発色剤とを反応させることにより、色素が生成されることに基づいたアンモニア又は尿素の定量を行うこともできる。そのような場合は、以下の反応(4)を行うための試薬をさらに添加することが好ましい。
<NAD系化合物の還元型と発色剤との反応:反応(4)>
この反応では、NAD系化合物の還元型と発色剤を電子キャリアーの存在下で反応させ、色素を生成させる。この色素由来の吸光度の変化量を測定することで、アンモニア又は尿素を定量することができる。
Figure 2022179961000005
電子キャリアーとしては、ジアホラーゼ(NAD(P)H還元酵素)、フェナジンメトサルフェート、メトキシフェナジンメトサルフェート(PMS)、ジメチルアミノベンゾフェノキサジニウムクロライド(メルドラブルー)等が挙げられ、中でも、ジアホラーゼが好ましい。
発色剤としては、NAD系化合物の還元型との反応により色素が生成されるもの、すなわち、NAD系化合物の還元型から電子を受け取って色素が生成されるものであれば特に限定されず、例えば、テトラゾリウム化合物が挙げられる。
テトラゾリウム化合物としては、テトラゾール環を有する化合物であればよく、テトラゾール環の少なくとも二箇所に環構造置換基を有する化合物であることが好ましく、テトラゾール環の少なくとも三箇所に環構造置換基を有する化合物であることがより好ましい。テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の少なくとも二箇所に環構造置換基を有する場合、環構造置換基をテトラゾール環の2位及び3位に有することが好ましい。また、テトラゾリウム化合物が、テトラゾール環の少なくとも三箇所に環構造置換基を有する場合、環構造置換基をテトラゾール環の2位、3位及び5位に有することが好ましい。環構造置換基としては、例えば、置換基を有していてよいベンゼン環(ベンゼン環構造置換基)、置換基を有していてよいチエニル基、置換基を有していてよいチアゾイル基等が挙げられる。
テトラゾール環の2位、3位及び5位に環構造置換基を有するテトラゾリウム化合物としては、例えば、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム塩、2-(4-ヨードフェニル)-3-(2,4-ジニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム塩、2-(2-メトキシ-4-ニトロフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-(2,4-ジスルホフェニル)-2H-テトラゾリウム塩、2-(4-ヨードフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)-5-フェニル-2H-テトラゾリウム塩、3,3'-(1,1'-ビフェニル-4,4'-ジル)-ビス(2,5-ジフェニル)-2H-テトラゾリウム塩、3,3'-[3,3'-ジメトキシ-(1,1'-ビフェニル)-4,4'-ジル]-ビス[2-(4-ニトロフェニル)-5-フェニル-2H-テトラゾリウム塩]、2,3-ジフェニル-5-(4-クロロフェニル)テトラゾリウム塩、2,5-ジフェニル-3-(p-ジフェニル)テトラゾリウム塩、2,3-ジフェニル-5-(p-ジフェニル)テトラゾリウム塩、2,5-ジフェニル-3-(4-スチリルフェニル)テトラゾリウム塩、2,5-ジフェニル-3-(m-トリル)テトラゾリウム塩、2,5-ジフェニル-3-(p-トリル)テトラゾリウム塩等が挙げられる。
テトラゾリウム化合物としては、他にも、テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基を有し、かつ1箇所にその他の環構造置換基を有する化合物であってもよく、例えば、
2,3-ジフェニル-5-(2-チエニル)テトラゾリウム塩、2-ベンゾチアゾイル-3-(4-カルボキシ-2-メトキシフェニル)-5-[4-(2-スルホエチルカルバモイル)フェニル]-2H-テトラゾリウム塩、2,2'-ジベンゾチアゾイル-5,5'-ビス[4-ジ(2-スルホエチル)カルバモイルフェニル]-3,3'-(3,3'-ジメトキシ-4,4'-ビフェニレン)ジテトラゾリウム塩、3-(4,5-ジメチル-2-チアゾイル)-2,5-ジフェニル-2H-テトラゾリウム塩等が挙げられる。
また、テトラゾリウム化合物としては、他にも、テトラゾール環の2箇所にベンゼン環構造置換基を有し、かつ1箇所に環構造でない置換基を有する化合物であってもよく、例えば、2,3-ジフェニル-5-シアノテトラゾリウム塩、2,3-ジフェニル-5-カルボキシテトラゾリウム塩、2,3-ジフェニル-5-メチルテトラゾリウム塩、2,3-ジフェニル-5-エチルテトラゾリウム塩等が挙げられる。
例えば、発色剤としてWST-9(2-(4-Nitrophenyl)-5-phenyl-3-[4-(4-sulfophenylazo)-2-sulfophenyl]-2H-tetrazolium, monosodium salt)を使用し、上記反応式(3)で生成されたNAD系化合物の還元型であるNAD(P)Hと、電子キャリアーであるジアホラーゼ(DI)により反応させることにより、ホルマザン色素(Formazan Dye)が生成され、約556nmの吸光度が増加する。
電子キャリアー及び発色剤は、検出に必要な量を適宜調整して使用することができる。
<尿素分解反応>
測定対象物質が尿素の場合は、尿素をアンモニアに変換するための尿素分解酵素を試薬に含める。尿素分解酵素は尿素を分解してアンモニアを生じさせる酵素であれば特に制限されないが、ウレアーゼや尿素アミドリアーゼ(Urea amidolyase)が例示される。
尿素はウレアーゼにより、アンモニアと二酸化炭素に分解され、このアンモニアが上記反応(1)~(3)、好ましくは反応(1)~(4)により、NAD系化合物の還元型または色素に変換され、定量される。尿素アミドリアーゼはATPを使用して尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する。
Figure 2022179961000006
ウレアーゼや尿素アミドリアーゼなどの尿素分解酵素は上記反応を触媒できる限り、その由来は特に制限されず、また、ウレアーゼや尿素アミドリアーゼなどの尿素分解酵素は天然より得られたものでもよいし、遺伝子組換えで得られた酵素でもよい。
ウレアーゼや尿素アミドリアーゼなどの尿素分解酵素は市販のものを使用することができる。
ウレアーゼの量は適宜設定することができるが、例えば、終濃度(反応部において検体液に希釈されたときの濃度)1~20U/mLとすることができる。尿素アミドリアーゼも同様の量で使用することができる。
試薬は、上記以外の成分を含んでもよい。その他の試薬成分としては、特許文献4に記載されたキレート剤であることができる。例えば、以下のようなキレート剤が例示される。モノ又はポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸・・・エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,6-ヘキサメチレンジアミン-N,N,N',N'-四酢酸(HDTA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、ジエチレントリアミン-N,N,N',N'',N''-五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(EDTA-OH)、N,N-ビス(2-ヒドロ
キシベンジル)エチレンジアミン-N,N-二酢酸(HBED)等
ポリアミノアルカンポリカルボン酸・・・ジアミノプロパン四酢酸(Methyl-EDTA)、trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N',N'-四酢酸(CyDTA)、1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン四酢酸(BAPTA)等
ポリアミノアルカノールポリカルボン酸・・・ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA-OH)等
ヒドロキシアルキルエーテルポリアミンポリカルボン酸・・・グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)等
アルキルイミノポリカルボン酸・・・ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、イミノ二酢酸(IDA)等
ニトリロポリカルボン酸・・・ニトリロ三酢酸(NTA)等
これらの中では、EDTA、CyDTA、DTPA、GEDTA、TTHA、Methyl-EDTAがより好ましい。
また、試薬は、マグネシウムイオン(Mg2+)及び/又はマンガンイオン(Mn2+)を含んでもよい。
また、試薬は、緩衝剤を含んでもよい。緩衝液としては、例えば、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-2-アミノエタンスルホン酸(TES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)等のグッド緩衝液、リン酸緩衝液、イミダゾール酸緩衝液、トリス緩衝液、グリシン緩衝液等が挙げられる。
緩衝剤を用いることで、第1試薬及び第2試薬、さらには最終反応系でのpHを特定の範囲に調整することができる。
また、その他の成分としては、例えば、界面活性剤、防腐剤、安定化剤等が挙げられる。安定化剤として糖を含むこともできる。糖としては、スクロース、キシロース等が挙げられる。糖の濃度は好ましくは終濃度として3~20%である。糖は、第1試薬及び第2試薬の両方に添加することが好ましい。
上記の通り、試薬は、第1試薬と第2試薬に分けられ、それぞれ、反応部における、第1の領域および第2の領域に載置される。
ここで、ATP及びADP-HKは前記第1試薬に含まれ、グルコースは前記第2試薬に含まれることが好ましい。その他の試薬は、第1試薬と第2試薬のいずれに含まれてもよいが、第1試薬が、ATP、ADP-HKグルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、第2試薬がグルコースを含むことがより好ましい。そして、第1試薬のpHをアルカリ性(例えば、pH7.5~9.0)、第2試薬のpHを酸性(例えば、pH5.5~6.5)にすることが好ましい。ここで、第1試薬が反応部の上面の領域に塗布される試薬であることが好ましく、第2試薬が反応部の下面の領域に塗布される試薬であることが好ましい。
試薬がさらに発色剤と電子キャリアーを含む場合、電子キャリアーが第1試薬に含まれ、発色剤が第2試薬に含まれることが好ましく、第1試薬が、ATP、ADP-HKグルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型及び電子キャリアーを含み、第2試薬がグルコース及び発色剤を含むことがより好ましい。そして、第1試薬のpHをアルカリ性(例えば、pH7.5~9.0)、第2試薬のpHを酸性(例えば、pH5.5~6.5)にすることが好ましい。ここで、第1試薬が反応部の上面の領域に塗布される試薬であることが好ましく、第2試薬が反応部の下面の領域に塗布される試薬であることが好ましい。
試薬がさらにウレアーゼや尿素アミドリアーゼなどの尿素分解酵素を含む場合、当該尿素
分解酵素は第1試薬に含まれることが好ましく、第1試薬が、ATP、ADP-HKグルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型、電子キャリアー及び尿素分解酵素を含み、第2試薬がグルコース及び発色剤を含むことがより好ましい。そして、第1試薬のpHをアルカリ性(例えば、pH7.5~9.0)、第2試薬のpHを酸性(例えば、pH5.5~6.5)にすることが好ましい。ここで、第1試薬が反応部の上面の領域に塗布される試薬であることが好ましく、第2試薬が反応部の下面の領域に塗布される試薬であることが好ましい。
以下、本発明の試験片についてより詳細に説明する。
本発明の試験片は上記の通り、検体供給部と、流路と、反応部とを有する限りその形状等に特に制限はないが、内部に、検体供給部となる第1空間と、反応領域となる第2空間と、前記検体供給部と前記反応領域を連結する流路を有する、マイクロチップ型試験片であることが好ましい。
ここで、反応部は反応液を収容できる空間になっており、空間の互いに重ならない第1の領域と第2の領域には、それぞれ、第1試薬、第2試薬が載置される。
検体は第1試薬及び第2試薬を溶解し反応部を満たすため、反応生成物を吸光度測定により定量するために反応部の少なくとも一部は光透過性部材で形成されるが、反応部は、その上面と下面の少なくとも一方が光透過性素材で形成されていることが好ましい。反応部の上面及び下面が光透過性部材で形成されていることがさらに好ましい。
流路は、反応部以降も延伸し、空気孔に連通することが好ましい。
本発明の試験片は好ましくは後述のように上下2枚の基材を積層して得られるマイクロチップ型試験片であることがより好ましい。
すなわち、本発明の試験片の一態様は、
上基板と下基板とを含む積層体であるマイクロチップ型試験片であり、
前記積層体の内部に、検体供給部となる第1空間、反応部となる第2空間、および前記第1空間と前記第2空間とを連通する前記流路が形成され、
前記上基板は、前記第1空間に対応する箇所に貫通孔を有し、
前記下基板と積層される面の前記第2空間に対応する箇所に第1試薬が載置されており、前記下基板は、前記上基板と積層される面において、前記第2空間に対応する領域に第2試薬が配置されている。
ここで、上基板の第1試薬載置部と、下基板の第2試薬載置部は光透過性部材で形成される。
また、前記下基板は、前記上基板と積層される面において、検体供給部1に相当する位置と前記窪み23とを連通する溝が設けられていることが好ましい。この溝が上基板と下基板を積層したときに流路となる。ただし、このような流路となる溝は上基板に形成されてもよいし、上基板と下基板の間に切り込みを有するスペーサーを配置し、流路としてもよい。反応部に窪みが形成され、その窪みに第2試薬が配置されていてもよい。
以下、図面を参照して、本発明の一態様にかかるマイクロチップ型試験片とその作製法を、具体的に説明する。ただし、本発明の試験片は以下の態様には限定されず、第1試薬と第2試薬の分け方や、配置の仕方は適宜変更しうるし、試験片において空気孔は必須ではない。
図1(a)は第1の基板(上基板)10を示す。
第1の基板10には、検体供給部1となる第1空間に相当する位置に第1の貫通孔11が設けられ、第2の基板と接合する面の反応部3に相当する位置に第1試薬12が載置され、空気孔4に相当する位置に第2の貫通孔13が設けられている。
本発明の好ましい一態様においては、第1試薬は、ATP、ADP-HKグルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型及び電子キャリアーを含む。尿素測定の場合、第1試薬はウレアーゼや尿素アミドリアーゼなどの尿素分解酵素も含む。
第1試薬は、例えば、構成成分を溶解した溶液を基板上の目的位置に滴下し、好ましくは乾燥させることで載置することができる。あらかじめ、目的位置の周辺に撥水処理を施しておき、または目的位置に親水処理を施しておき、そこに、試薬を滴下し試薬の広がるエリアを制御することでより効率的な試薬の載置が可能である。目的位置を窪ませておいてもよい。
第1の基板の反応部に相当する部分は光透過性の素材、例えば、透明なプラスチックで構成されている。なお、第1の基板全体が光透過性の素材で構成されてもよい。
図1(b)は、第2の基板(下基板)20を示す。
第2の基板20には、反応部3に相当する位置に窪み23が設けられ、窪み23の底面には第2試薬21が塗布されている。また、流路2として、検体供給部1に相当する位置と前記窪み23を連通する溝22と、前記窪み23と空気孔4に相当する位置を連通する溝24とが設けられている。
第2の基板の反応部に相当する位置(窪み23の底面)は光透過性の素材、例えば、透明なプラスチックで構成されることが好ましい。なお、第2の基板全体が光透過性の素材で構成されてもよい。なお、第2の基板20には窪み23が形成されていなくてもよい。
本発明の好ましい一態様においては、第2試薬は、グルコース及び発色剤を含む。
第2試薬は、例えば、構成成分を溶解した溶液を窪み23の底面に滴下し、好ましくは乾燥させることで載置することができる。あらかじめ、試薬を添加する位置の周辺に撥水処理を施しておき、または試薬を添加する位置に親水処理しておき、そこに、試薬を滴下し試薬の広がるエリアを制御することでより効率的な試薬の載置が可能である。
図1(c)は、マイクロチップ型試験片Aの完成図であり、内部に流路2と反応部3とを有し、流路の両端に検体供給部1と空気孔4を有する。マイクロチップ型試験片Aは、図1(a)の第1の基板10の第1試薬塗布面と、図1(b)の第2の基板20の溝および窪みが形成された面とが重なるように、積層させることにより形成される。積層は、接着剤、両面テープ等を用いて接着させることにより行うことが好ましい。第2の基板20の溝22、24及び第1の基板の下面により流路2が形成される。なお、図1(c)には図示していないが、持ち運びしやすくするためにマイクロチップ型試験片Aは、支持フィルムの上に固定されていてもよい。
図2は、図1(c)のマイクロチップ型試験片AのB-B断面図である。
反応部3内では、上面(第1の基板側)と下面(第2の基板側)にそれぞれ第1試薬12、第2試薬21が乾燥状態で載置されており、両者は空間によって隔てられて配置されている。そのため、検体液が供給される前は、第1試薬12及び第2試薬21は、接触しないようになっている。
次に、本発明の試験片の他の態様、すなわちフィルム積層型試験片について説明する。
この態様にかかる試験片は、それぞれ支持フィルムに担持された2枚の試薬フィルムを積層することで得られる。フィルム型試験片の一態様の簡略図を図3に示し、図4に、図3のフィルム積層型試験片のC-C断面図を示す。
試薬フィルム12Aは、透明なポリエステル二軸延伸フィルムを材質とするものである。こ
の試薬フィルム12Aの幅方向のほぼ中間位置には、試薬層15Aを形成するためのスポットが配列されている。さらに、このスポットを挟んで、円形の導入スポット51(試薬供給部)と円形の排気スポット52(空気孔)とが配列されている。導入スポット51及び排気スポット52は試薬フィルム12Aを貫通した孔として形成されている。
試薬フィルム12Bは、透明なポリエステル二軸延伸フィルムを材質とするものである。この試薬フィルム12Bにも、上記の試薬フィルム12Aと同様に、試薬層15Bを形成するためのスポット、導入スポット51、排気スポット52が設けられている。導入スポット51及び排気スポット52は試薬フィルム12Aを貫通した孔として形成されている。
試薬フィルム12A及び試薬フィルム12Bは、それぞれ第2試薬、第1試薬を点着させ乾燥させたのち、それぞれの試薬が対面するように配置し、図4に示す各層を有するマイクロチップ型試験片を作成する。
図4に示すマイクロチップ型試験片においては、下層から、ポリエステルフィルム製の支持フィルム11A、最下層の両面テープ16A、下層側試薬フィルム12A、比較的肉厚の下層側の両面テープ13A、ポリエステル製の中間フィルム14、比較的肉厚の上層側の両面テープ13B、上層側試薬フィルム12B、最上層の両面テープ16B及び点着検体の支持フィルム11Bの順に積層された構造を有する。
反応部50は、上層から上層側試薬フィルム12B、両面テープ13B、中間フィルム14、両面テープ13A及び下層側試薬フィルム12Aで形成される。すなわち、下層側試薬フィルム12Aが反応部50の底面を形成し、上層側試薬フィルム12Bが反応部50の天面を形成しており、それぞれの表面に試薬層15A,15Bが形成されている。
なお、ポリエステルフィルム製の支持フィルム11A及び点着検体の支持フィルム11Bに形成されている孔により試薬フィルム12A及び12Bの外面が外部に露出しており、測定時には測定光を反応部50に照射し、反応部50を通過した光を透過させることができる。
導入スポット51に相当する孔は、上層から点着検体の支持フィルム11B、両面テープ16B、試薬フィルム12B、両面テープ13B及び中間フィルム14で形成されている。すなわち、導入スポット51は上方に開放しており、中間フィルム14がその底面を形成している。
排気スポット52に相当する孔は、上層から点着検体の支持フィルム11B、両面テープ16B、試薬フィルム12B、両面テープ13B及び中間フィルム14で形成されている。すなわち、排気スポット52は上方に開放しており、中間フィルム14がその底面を形成している。
導入流路53及び排気流路54はいずれも上層側試薬フィルム12B、両面テープ13B及び中間フィルム14で形成されている。
次に、試験片を利用した測定法について図1を参照して説明する。
まず、検体供給部1に検体液を供給する。
検体としては、アンモニア又は尿素などの測定対象物質を含有する液体であればよく、特に種類は制限されないが、例えば、血液、血清、尿、唾液またはそれらの希釈液等が挙げられる。検体の量は特に制限されないが、例えば、2~500μLとすることができる。
検体供給部1から供給された検体液は流路2を通過し、反応部3に到達する。空気孔4が流路の終端に設けられていることで、検体液の反応部3への到達が容易になる。
検体液により、反応部3内の上面と下面に載置された第1試薬と第2試薬は溶解され、混
合される。そして、検体中にアンモニアが存在すると、反応(1)~(4)の連続反応が進行する。
また、検体中の尿素を測定する場合、試薬中のウレアーゼや尿素アミドリアーゼなどの尿素分解酵素によりアンモニアに変換され、次いで、反応(1)~(4)の連続反応が進行する。
反応温度は、10℃~50℃であることが好ましく、15℃~45℃であることがより好ましく、25℃~40℃であることがさらに好ましい。試験片を室温下において反応させてもよいし、試験片を恒温槽に入れて反応させてもよい。
また、反応時間は、1分間~60分間であることが好ましく、2分間~30分間であることがより好ましく、4分間~15分間であることがさらに好ましい。
測定は、生成した色素量に基づく光吸収、吸光度や反射率等の光学特性値を測定することにより行うことができる。
試験片を吸光度計に挿入し、反応部に所定の波長の光を照射し、反応部からの光を受光部で検知することにより例えば吸光度を測定し、その測定値に基づいてアンモニアや尿素を定量することができる。ここで、反応部3の上面と下面は光透過性の素材で形成されており、光を透過して吸光度測定が可能となっている。なお、例えば反応部3の上面だけが光透過性素材で形成されている場合には、上面側から光を照射し、上面側に受光部を設けることにより光学特性値を測定することができる。
アンモニアや尿素を定量する場合、例えば、あらかじめ、アンモニア濃度又は尿素濃度と吸光度の検量線を用意しておき、検体の吸光度を検量線に当てはめて検体中のアンモニア又は尿素の量を算出することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の態様には限定されない。
図3のフィルム積層型試験片を作製し、検体中の尿素濃度の測定解析に使用した。
試験片のサイズは4×10mmであった。
反応部は面積1.23 cm3、深さ0.25 mmの空間とした。
試薬フィルム(上層側)12Bの反応部50に相当する位置にUpper試薬液を滴下し、乾燥させて試薬層15Bを形成した。
試薬フィルム(下層側)12Aの反応部に相当する溝23の底面24にLower試薬液を滴下し、乾燥させて試薬層15Aを形成した。
なお、試薬フィルム(上層側)12Bと試薬フィルム(上層側)12Bは光透過性部材で形成され、反応部50の上面側および下面側は光を透過して吸光度測定が可能となっている。
第1試薬および第2試薬の処方は表1の通りである。
Figure 2022179961000007
カッコ内は終濃度を示し、比較例1,2の各試薬の終濃度は実施例1と同じである。
まずは、バックグラウンドの影響を調べるため、実施例1,比較例1,比較例2の試験片のそれぞれについて、作製後すぐ、8℃7日間静置したのち、または40℃で7日間静置したのちに、精製水(4.3μL)を検体供給口から供給し、反応部で試薬を溶解させて、4分間インキュベートしたのち、上下が光透過性材料で形成されている反応部50に556nmの光を、上層側試薬フィルム12Bから照射し、下層側試薬フィルム12A側に配置した受光センサを用いて、反応部50を透過した光の吸光度を測定した。
その結果、表2に示すように、反応に関与する全ての試薬をUpper試薬にまとめた比較例2ではバックグラウンドが高いことが分かった。ATPは不安定であるため、ATPの一部がADPへと分解される場合がある。ATPがADPに分解された場合、比較例2では反応に関わる全ての試薬がUpper試薬に含まれているため、アンモニアが含まれていなくても上述の反応(2)~(4)が進み、色素が生成され、バックグラウンドが高くなったと考えられる。
また、比較例1はLower試薬に発色剤のみを載置し、Upper試薬に残りの成分をまとめている。比較例1でも、比較例2と同様にATP、ADP-HK及びグルコースがUpper試薬に含まれているため、バックグラウンドが高かった。特に、40℃で7日間静置した場合ではバックグラウンドが高く出ることがわかった。
一方、Lower試薬に発色剤とグルコースを載置し、Upper試薬に残りの成分をまとめた実施例1では、40℃で7日間静置した場合でもバックグラウンドの増加の程度は抑えられた。実施例1では、検体を供給する前にはATP及びADP-HKと、グルコースが接触しないように配置されているため、ATPがADPに分解された場合であっても、ADPとグルコースが接触することがなく反応(2)以降は進行しない。そのため、実施例1ではバックグラウンドを低く抑えることができたと考えられる。
Figure 2022179961000008
次に、実施例1の試験片、および実施例1の試験片において、Upper試薬とLower試薬を入れ替えて、Lower試薬を上層側試薬フィルム12Bに塗布し、Upper試薬を下層側試薬フィルム12Aに塗布して作製した試験片(実施例2)に対し、尿素をそれぞれ0,4.69、21.01、59.66または167.69mg/dL含む検体を供給し、4分間インキュベートしたのち、発色を観察した。
その結果、図5に示すように、実施例1,2ともに尿素濃度依存的な発色はみられたものの、実施例1と比べて、実施例2では発色ムラがみられた。このことから、Upper試薬の方に発色剤とグルコース以外の試薬を載置した方がより試薬が均一に溶解しやすく、より精度良い定量ができることが示唆された。反応部に検体を供給した場合には試薬が溶解されるが、Upper試薬に含まれる成分は重力によって下方に拡散しやすい。そのため、Upper試薬が、Lower試薬よりも多量の試薬を含んでいると溶解性が向上し、再現性が向上すると考えられる。
A・・・マイクロチップ型試験片、1・・・検体供給部、2・・・流路、3・・・反応部、4・・・空気孔、10・・・第1の基板、11・・・第1の貫通孔、12・・・第1試薬、13・・・第2の貫通孔、20・・・第2の基板、21・・・第2試薬、22、24・・・溝、23・・・窪み
11A・・・ポリエステルフィルム製の支持フィルム(下層側)、11B・・・点着検体の支持フィルム(上層側)、12A・・・試薬フィルム(下層側)、12B・・・試薬フィルム(上層側)、13A・・・両面テープ(下層側)、13B・・・両面テープ(上層側)、14・・・中間フィルム、15A・・・第2試薬層(下層側)、15B・・・第1試薬層(上層側)、16A・・・最下層の両面テープ、16B・・・最上層の両面テープ、40・・・フィルム積層型試験片、50・・・反応部、51・・・導入スポット、52・・・排気スポット、53・・・導入流路、54・・・排気流路

Claims (13)

  1. 検体供給部と、
    流路と、
    前記流路上に形成された反応部と
    前記反応部に載置された試薬、とを含み、
    前記試薬は、グルコース、グルタミン合成酵素、ADP依存性ヘキソキナーゼ(ADP-HK)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、ATP、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、これらは第1試薬と第2試薬に分けられ、
    前記第1試薬は第1領域、第2試薬は第2領域に載置され、前記第1領域と前記第2領域は前記反応部の互いに重ならない位置に配置され、
    前記反応部の少なくとも一部は光透過性部材で形成されている、試験片。
  2. ATP及びADP-HKは前記第1試薬に含まれ、グルコースは前記第2試薬に含まれる請求項1に記載の試験片。
  3. 第1試薬が、ATP、ADP-HK、グルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸及びNAD系化合物の酸化型を含み、第2試薬がグルコースを含む、請求項2に記載の試験片。
  4. 前記試薬はさらに発色基質と酸化還元酵素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の試験片。
  5. 第1試薬が、ATP、ADP-HK、グルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型及び酸化還元酵素を含み、第2試薬がグルコース及び発色基質を含む、請求項4に記載の試験片。
  6. 前記試薬はさらに尿素分解酵素を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の試験片。
  7. 第1試薬が、ATP、ADP-HK、グルタミン合成酵素、グルコース-6-リン酸脱水素酵素、グルタミン酸、NAD系化合物の酸化型、酸化還元酵素及び尿素分解酵素を含み、第2試薬がグルコース及び発色基質を含む、請求項6に記載の試験片。
  8. 前記第1領域と前記第2領域は対向している、請求項1~7のいずれか一項に記載の試験片。
  9. 前記第1領域は反応部内側の上面の領域であり、前記第2領域は反応部内側の下面の領域である、請求項1~8のいずれか一項に記載の試験片。
  10. 前記第1試薬及び前記第2試薬は乾燥した状態で配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の試験片。
  11. 前記反応部の上面及び下面は光透過性部材で形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の試験片。
  12. 前記試験片は、内部に、検体供給部となる第1空間と、反応部となる第2空間と、前記試料供給部と前記反応部を連通する流路を有する、マイクロチップ型試験片である、請求項1~11のいずれか一項に記載の試験片。
  13. 前記マイクロチップ型試験片は、上基板と下基板とを含む積層体であり、
    前記積層体の内部に、第1空間、第2空間、および前記第1空間と前記第2空間とを連通する前記流路が形成され、
    前記上基板は、前記第1空間に対応する箇所に貫通孔を有し、前記下基板と対向する面の前記第2空間に対応する箇所に第1試薬が載置されており、
    前記下基板は、前記上基板と対向する面において、前記第2空間に対応する箇所に第2試薬が配置されている、請求項12に記載の試験片。
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