JP2022175134A - 金属端子用接着性フィルム、金属端子用接着性フィルムの製造方法、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法 - Google Patents

金属端子用接着性フィルム、金属端子用接着性フィルムの製造方法、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートシール時の金属端子の形状に対する追従性に優れ、かつ、折り曲げ性にも優れた金属端子用接着性フィルムを提供する。【解決手段】蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、樹脂層は、所定の測定条件において、樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を含む、金属端子用接着性フィルム。【選択図】なし

Description

本開示は、金属端子用接着性フィルム、金属端子用接着性フィルムの製造方法、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法に関する。
従来、様々なタイプの蓄電デバイスが開発されているが、あらゆる蓄電デバイスにおいて電極や電解質等の蓄電デバイス素子を封止するために蓄電デバイス用外装材が不可欠な部材になっている。従来、蓄電デバイス用外装材として金属製の蓄電デバイス用外装材が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、蓄電デバイスには、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の蓄電デバイス用外装材では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る蓄電デバイス用外装材として、基材層/接着層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層された積層シートが提案されている。このようなフィルム状の蓄電デバイス用外装材を用いる場合、蓄電デバイス用外装材の最内層に位置する熱融着性樹脂層同士を対向させた状態で、蓄電デバイス用外装材の周縁部をヒートシールにて熱融着させることにより、蓄電デバイス用外装材によって蓄電デバイス素子が封止される。
蓄電デバイス用外装材のヒートシール部分からは、金属端子が突出しており、蓄電デバイス用外装材によって封止された蓄電デバイス素子は、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子によって外部と電気的に接続される。すなわち、蓄電デバイス用外装材がヒートシールされた部分のうち、金属端子が存在する部分は、金属端子が熱融着性樹脂層に挟持された状態でヒートシールされている。金属端子と熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、金属端子と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。
このため、金属端子と熱融着性樹脂層との間には、これらの密着性を高めることなどを目的として、接着性フィルムが配されることがある。このような接着性フィルムとしては、例えば特許文献1に記載されたものが挙げられる。
特開2015-79638号公報
前記の通り、接着性フィルムは、蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層と金属端子との間に配されて、金属端子と蓄電デバイス用外装材の熱融着性樹脂層とを密着させる。この場合に、接着性フィルムと金属端子との間に隙間が形成されると、蓄電デバイスの内容物である電解液が、蓄電デバイスの外部に流出する問題が生じる。従って、接着性フィルムには、金属端子へのヒートシールによって、接着性フィルムが金属端子の形状に追従し、接着性フィルムと金属端子との間に隙間が形成されない、優れた追従性が求められる。
また、接着性フィルムを蓄電デバイス用外装材の内側に収容するために折り曲げられることがあり、優れた折り曲げ性を備えていることが好ましい。
しかしながら、従来の接着性フィルムは、このような追従性と折り曲げ性の両立について、必ずしも十分ではなく、本開示の発明者等は、追従性と折り曲げ性のさらなる向上を追求した。
このような状況下、本開示は、ヒートシール時の金属端子の形状に対する追従性に優れ、かつ、折り曲げ性にも優れた金属端子用接着性フィルムを提供することを主な目的とする。さらに、本開示は、当該金属端子用接着性フィルムの製造方法、当該金属端子用接着性フィルムを利用した金属端子用接着性フィルム付き金属端子、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス及び当該蓄電デバイスの製造方法を提供することも目的とする。
本開示の発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成された金属端子用接着性フィルムであって、所定の測定条件において、ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さを所定値以下に設定し、さらに、樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さを所定値以下に設定することにより、ヒートシール時の金属端子の形状に対する追従性に優れ、かつ、折り曲げ性にも優れた特性が発揮されることを見出した。本開示は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
前記金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、前記金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、
前記ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、
前記樹脂層は、以下の測定条件において、前記樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を含む、金属端子用接着性フィルム。
<マルテンス硬さの測定条件>
負荷荷重は、10mNである。
荷重印加速度は、1mN/10秒である。
保持時間は、10秒間である。
荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
測定温度は、25℃である。
測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
本開示によれば、ヒートシール時の金属端子の形状に対する追従性に優れ、かつ、折り曲げ性にも優れた金属端子用接着性フィルムを提供することができる。さらに、本開示は、当該金属端子用接着性フィルムの製造方法、当該金属端子用接着性フィルムを利用した金属端子用接着性フィルム付き金属端子、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス及び当該蓄電デバイスの製造方法を提供することも目的とする。
本開示の蓄電デバイスの略図的平面図である。 図1の線A-A’における略図的断面図である。 図1の線B-B’における略図的断面図である。 本開示の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。 本開示の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。 本開示の蓄電デバイス用外装材の略図的断面図である。 実施例において、2枚の接着性フィルムの間に、金属端子を挟み、熱融着させることで得た接着性フィルム/金属端子/接着性フィルムの積層体(金属端子用接着性フィルム付き金属端子)の模式的断面図である。 マルテンス硬さ、押し込み弾性率、押し込み深さhmaxの測定で得られる押込み深さ(μm)と荷重(mN)との関係を示すグラフのイメージ図である。 金属端子用接着性フィルムのポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して圧子を垂直方向に押し込んでマルテンス硬さを測定する方法を説明するための模式図である。
本開示の金属端子用接着性フィルムは、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、樹脂層は、以下の測定条件において、樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を含むことを特徴とする。本開示の金属端子用接着性フィルムは、当該構成を備えることにより、ヒートシール時の金属端子の形状に対する追従性に優れ、かつ、折り曲げ性にも優れた特性が発揮される。
<マルテンス硬さの測定条件>
負荷荷重は、10mNである。
荷重印加速度は、1mN/10秒である。
保持時間は、10秒間である。
荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
測定温度は、25℃である。
測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
本開示において、金属端子用接着性フィルムのマルテンス硬さの測定は、金属端子用接着性フィルムの測定対象とする層の厚み方向yの断面(すなわち金属端子用接着性フィルムを厚み方向に切断して得られる断面)に対して、厚み方向yとは垂直な方向xに圧子を押し当てて、マルテンス硬さを測定する。例えば、ポリオレフィン層のマルテンス硬さの測定方法を例に説明すると、図9の模式図に示すように、金属端子用接着性フィルム1のポリオレフィン層11の厚み方向yの断面(すなわち金属端子用接着性フィルム1を厚み方向に切断して得られる断面)に対して、厚み方向yとは垂直な方向xに圧子を押し当てて(図9の矢印)、マルテンス硬さを測定する。
本開示の金属端子用接着性フィルムは、ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、さらに、樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を含むことにより、ヒートシール時の金属端子の形状に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とが両立されている。
また、本開示の蓄電デバイスは、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した金属端子とを備える蓄電デバイスであって、金属端子と蓄電デバイス用外装材との間に、本開示の金属端子用接着性フィルムが介在されてなることを特徴とする。以下、本開示の金属端子用接着性フィルム及びその製造方法、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス及びその製造方法について詳述する。
なお、本明細書において、数値範囲については、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
また、金属端子用接着性フィルムのMDの確認方法として、金属端子用接着性フィルムの断面(例えば、ポリオレフィン層と樹脂層の断面)を電子顕微鏡で観察し海島構造を確認する方法がある。当該方法においては、金属端子用接着性フィルムの厚み方向に対して垂直な方向の島の形状の径の平均が最大であった断面と平行な方向を、MDと判断することができる。具体的には、金属端子用接着性フィルムの長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面に対して垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、金属端子用接着性フィルムの厚み方向に対して垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。また、例えば、150℃環境下に金属端子用接着性フィルムを2分間放置した後の熱収縮率を測定し、収縮率がより大きい方をMDと判断することもできる。
また、本開示の金属端子用接着性フィルムにおいて、金属端子側に配置されるポリオレフィン層における「金属端子側」とは、樹脂層よりも相対的に金属端子側にポリオレフィン層が位置することを意味している。また、本開示の金属端子用接着性フィルムにおいて、蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層における「蓄電デバイス用外装材側」とは、ポリオレフィン層よりも相対的に蓄電デバイス用外装材側に樹脂層が位置することを意味している。すなわち、本開示において、「金属端子側」及び「蓄電デバイス用外装材側」とは、それぞれ、ポリオレフィン層及び樹脂層の相対的な位置関係を示している。
また、金属端子用接着性フィルムのMDの確認方法として、金属端子用接着性フィルムの断面(例えば、ポリオレフィン層、樹脂層(基材、ポリエステル層の断面)を電子顕微鏡で観察し海島構造を確認する方法がある。当該方法においては、金属端子用接着性フィルムの厚み方向に対して垂直な方向の島の形状の径の平均が最大であった断面と平行な方向を、MDと判断することができる。具体的には、金属端子用接着性フィルムの長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面に対して垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡写真で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、金属端子用接着性フィルムの厚み方向に対して垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
1.金属端子用接着性フィルム
本開示の金属端子用接着性フィルムは、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在されるものである。具体的には、例えば図1から図3に示されるように、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、蓄電デバイス素子4の電極に電気的に接続されている金属端子2と、蓄電デバイス素子4を封止する蓄電デバイス用外装材3との間に介在されている。また、金属端子2は、蓄電デバイス用外装材3の外側に突出しており、ヒートシールされた蓄電デバイス用外装材3の周縁部3aにおいて、金属端子用接着性フィルム1を介して、蓄電デバイス用外装材3に挟持されている。なお、本開示において、蓄電デバイス用外装材をヒートシールする際の加熱温度としては、通常160~190℃程度の範囲、圧力としては、通常1.0~2.0MPa程度の範囲である。接着性フィルムを介して金属端子と蓄電デバイス用外装材とを接着する工程では、例えば、金属端子への仮接着工程及び本接着工程というように、複数回の加熱及び加圧が行われることが一般的である。仮接着工程は、金属端子への接着性フィルムへの仮止めや気泡抜きを行う工程であり、本接着工程は、仮接着工程よりも高温条件で1回又は複数回の加熱・加圧を行って接着性フィルムを金属端子に接着させる工程である。金属端子用接着性フィルムの金属端子への仮接着工程は、例えば、温度140~160℃程度、圧力0.01~1.0MPa程度、時間3~15秒間程度、回数3~6回程度の条件で行われ、本接着工程は、例えば、温度160~240℃程度、圧力0.01~1.0MPa程度、時間3~15秒間程度、回数1~3回程度の条件で行われる。
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との密着性を高めるために設けられている。金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との密着性が高められることにより、蓄電デバイス素子4の密封性が向上する。上述のとおり、蓄電デバイス素子4をヒートシールする際には、蓄電デバイス素子4の電極に電気的に接続された金属端子2が蓄電デバイス用外装材3の外側に突出するようにして、蓄電デバイス素子が封止される。このとき、金属により形成された金属端子2と、蓄電デバイス用外装材3の最内層に位置する熱融着性樹脂層35(ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂により形成された層)とは異種材料により形成されているため、このような接着性フィルムを用いない場合には、金属端子2と熱融着性樹脂層35との界面において、蓄電デバイス素子の密封性が低くなりやすい。
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、図4及び図5に示すように、少なくとも、ポリオレフィン層11と樹脂層12とが積層された構成を含んでいる。樹脂層12は、基材層、ポリエステル層、ポリオレフィン層のうち、少なくとも1層により構成することができる。本開示の金属端子用接着性フィルム1の積層構成としては、ポリオレフィン層11と、樹脂層12としての基材層及びポリエステル層がこの順に積層された積層構成;ポリオレフィン層11と、樹脂層12としての基材層及びポリオレフィン層がこの順に積層された積層構成などが好ましい。樹脂層12にポリオレフィン層が含まれる場合、当該ポリオレフィン層は、ポリオレフィン層11と同様、ポリオレフィン系樹脂を含む層であり、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。当該ポリオレフィン層は、ポリオレフィン層11と同様、ポリオレフィン系樹脂の中でも、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましく、酸変性ポリオレフィンにより形成された層であることがより好ましい。樹脂層12は、特に、少なくとも、ポリオレフィン層11側に位置する基材12b、及び金属端子用接着性フィルム1の蓄電デバイス用外装材3側の表面を構成するポリエステル層12aのうち、少なくとも一方を含むことが好ましく、基材12b及びポリエステル層12aを含むことがより好ましい。すなわち、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、少なくとも、ポリオレフィン層11と、基材12bと、ポリエステル層12aとがこの順に積層された積層構成であることが好ましい。本開示において、ポリオレフィン層11が金属端子側に配置される。また、樹脂層12が、蓄電デバイス用外装材3側に配置される。本開示の金属端子用接着性フィルム1においては、一方側の表面がポリオレフィン層11により構成され、他方側の表面がポリエステル層12aにより構成されることが好ましい。
本開示の金属端子用接着性フィルム1において、ポリオレフィン層11は、ポリオレフィン系樹脂を含む層である。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィン層11は、ポリオレフィン系樹脂の中でも、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましく、酸変性ポリオレフィンにより形成された層であることがより好ましい。
また、樹脂層12は、樹脂を含む層であり、樹脂については特に制限されない。
樹脂層12において、ポリエステル層12aは、ポリエステル系樹脂を含む層である。後述の通り、ポリエステル層12aは、ポリエステル系樹脂の中でも、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのうち少なくとも一方を樹脂として含むことが好ましく、ポリブチレンテレフタレートを含むことがより好ましい。また、蓄電デバイス用外装材3側に配置されるポリエステル層12aを形成する樹脂は、蓄電デバイス用外装材3の熱融着性樹脂層35を形成する樹脂と同じ樹脂(例えばポリブチレンテレフタレート)とすることによって、本開示の金属端子用接着性フィルム1と蓄電デバイス用外装材との密着性が高められる。また、本開示の金属端子用接着性フィルム1においては、ポリエステル層12aを蓄電デバイス用外装材3側に配置することにより、ヒートシール時の金属端子用接着性フィルム1の過度の潰れを抑制することができる。
また、樹脂層12において、基材12bは、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィンを含むことが好ましく、ポリオレフィンにより形成された層であることがさらに好ましい。
本開示の金属端子用接着性フィルム1の積層構成の具体例としては、酸変性ポリプロピレンにより形成されたポリオレフィン層11/ポリプロピレンにより形成された基材12b/ポリブチレンテレフタレートにより形成されたポリエステル層12aがこの順に積層された3層構成が特に好ましい。
ポリオレフィン層11、ポリエステル層12a及び基材12bを構成する素材の詳細については、後述する。
蓄電デバイス10の金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に、本開示の金属端子用接着性フィルム1が配置されると、金属により構成された金属端子2の表面と、蓄電デバイス用外装材3の熱融着性樹脂層35(ポリオレフィン、ポリエステルなどの熱融着性樹脂により形成された層)とが、金属端子用接着性フィルム1を介して接着される。例えば、金属端子用接着性フィルム1のポリオレフィン層11が金属端子2側に配置され、樹脂層12のポリエステル層12aが蓄電デバイス用外装材3側に配置され、ポリオレフィン層11が金属端子2と密着し、ポリエステル層12aが蓄電デバイス用外装材3の熱融着性樹脂層35と密着する。
本開示の金属端子用接着性フィルム1において、ポリオレフィン層11の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さは、37N/mm2以下である。また、樹脂層12は、厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが98N/mm2以下である層を備える。より具体的には、樹脂層12のうち、基材12b及びポリエステル層12aの少なくとも一方の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である。本開示の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2側に配置されるポリオレフィン層11の柔軟性が高く、さらに樹脂層12についても硬くないため、金属端子2に対する優れた追従性と、折り曲げ性とを発揮することができる。限定的な解釈を望むものではないが、ポリオレフィン層11の柔軟性が高く、樹脂層12が硬すぎないことで、金属端子と蓄電デバイス用外装材との間に形成される隙間に、ポリオレフィン層11が埋まり込みやすく、また、金属端子の厚み方向にポリオレフィン層11が回り込みやすいため、金属端子2に対して、優れた追従性が発揮され、さらに優れた折り曲げ性が発揮されていると考えられる。当該マルテンス硬さの測定条件は、以下の通りである。なお、測定対象とするサンプルの前処理として、金属端子用接着性フィルムを測定可能なサイズ(例えばMD30mm、TD15mm)に裁断する。次に、サンプルをエポキシ冷間埋込樹脂で包埋し、約1日乾燥させる。その後、丸本ストルアス社製 Tegrapol-35 機械研磨装置を用いて、TDの方向に裁断して取得された断面を研磨し、サンプルの断面を表面粗さ1.0μm程度とする。マルテンス硬さの測定は、インデンテーション法により行われる。インデンテーション法による測定は、例えば、フィッシャーインストルメンツ社製のピコデンターHM-500を用いて行うことができる。
<マルテンス硬さの測定条件>
負荷荷重は、10mNである。
荷重印加速度は、1mN/10秒である。
保持時間は、10秒間である。
荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
測定温度は、25℃である。
測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
ポリオレフィン層11の前記マルテンス硬さは、37N/mm2以下であればよいが、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、好ましくは約35N/mm2以下、より好ましくは約30N/mm2以下、さらに好ましくは約25N/mm2以下、特に好ましくは約20N/mm2以下である。また、ポリオレフィン層11の前記マルテンス硬さは、好ましくは約3N/mm2以上、より好ましくは約5N/mm2以上、さらに好ましくは約8N/mm2以上である。ポリオレフィン層11の前記マルテンス硬さの好ましい範囲としては、3~37N/mm2程度、3~35N/mm2程度、3~30N/mm2程度、3~25N/mm2程度、3~20N/mm2程度、5~37N/mm2程度、5~35N/mm2程度、5~30N/mm2程度、5~25N/mm2程度、5~20N/mm2程度、8~37N/mm2程度、8~35N/mm2程度、8~30N/mm2程度、8~25N/mm2程度、8~20N/mm2程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性をより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、ポリオレフィン層11の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率は、好ましくは約700MPa以下、より好ましくは約550MPa以下、さらに好ましくは約500MPa以下、さらに好ましくは約350MPa以下、特に好ましくは約200MPa以下である。また、ポリオレフィン層11の当該押し込み弾性率は、好ましくは約100MPa以上、より好ましくは約120MPa以上、さらに好ましくは約150MPa以上である。ポリオレフィン層11の当該押し込み弾性率の好ましい範囲としては、100~700MPa程度、100~550MPa程度、100~500MPa程度、100~350MPa程度、100~200MPa程度、120~700MPa程度、120~550MPa程度、120~500MPa程度、120~350MPa程度、120~200MPa程度、150~700MPa程度、150~550MPa程度、150~500MPa程度、150~350MPa程度、150~200MPa程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、ポリオレフィン層11の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される、負荷荷重10mNでの押し込み深さhmaxは、好ましくは約3.0μm以上であり、より好ましくは約3.5μm以上であり、さらに好ましくは約3.8μm以上であり、さらに好ましくは約4.0μm以上であり、さらに好ましくは約4.5μm以上であり、特に好ましくは約5.0μm以上である。また、ポリオレフィン層11の当該押し込み深さhmaxは、好ましくは約10.0μm以下であり、より好ましくは約8.0μm以下であり、さらに好ましくは約7.0μm以下である。ポリオレフィン層11の当該押し込み深さhmaxの好ましい範囲としては、3.0~10.0μm程度、3.0~8.0μm程度、3.0~7.0μm程度、3.5~10.0μm程度、3.5~8.0μm程度、3.5~7.0μm程度、3.8~10.0μm程度、3.8~8.0μm程度、3.8~7.0μm程度、4.0~10.0μm程度、4.0~8.0μm程度、4.0~7.0μm程度、4.5~10.0μm程度、4.5~8.0μm程度、4.5~7.0μm程度が挙げられる。
また、樹脂層12の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される前記のマルテンス硬さは、98N/mm2以下であればよいが、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、当該マルテンス硬さは、好ましくは約95N/mm2以下、より好ましくは約60N/mm2以下、さらに好ましくは約45N/mm2以下、さらに好ましくは約40N/mm2以下である。また、当該マルテンス硬さは、好ましくは約8N/mm2以上、より好ましくは約15N/mm2以上、さらに好ましくは約20N/mm2以上、さらに好ましくは約25N/mm2以上、特に好ましくは約30N/mm2以上である。当該マルテンス硬さの好ましい範囲としては、8~98N/mm2程度、8~95N/mm2程度、8~60N/mm2程度、8~45N/mm2程度、8~40N/mm2程度、15~98N/mm2程度、15~95N/mm2程度、15~60N/mm2程度、15~45N/mm2程度、15~40N/mm2程度、20~98N/mm2程度、20~95N/mm2程度、20~60N/mm2程度、20~45N/mm2程度、20~40N/mm2程度、25~98N/mm2程度、25~95N/mm2程度、25~60N/mm2程度、25~45N/mm2程度、25~40N/mm2程度、30~98N/mm2程度、30~95N/mm2程度、30~60N/mm2程度、30~45N/mm2程度、30~40N/mm2程度が挙げられる。
樹脂層12がポリエステル層12aを含む場合、前記マルテンス硬さの測定条件において、ポリエステル層12aの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さは、好ましくは98N/mm2以下、より好ましくは約95N/mm2以下、さらに好ましくは約60N/mm2以下、さらに好ましくは約45N/mm2以下、さらに好ましくは約40N/mm2以下である。また、当該マルテンス硬さは、好ましくは約8N/mm2以上、より好ましくは約15N/mm2以上、さらに好ましくは約20N/mm2以上、さらに好ましくは約25N/mm2以上、特に好ましくは約30N/mm2以上である。ポリエステル層12aの当該マルテンス硬さの好ましい範囲としては、8~98N/mm2程度、8~95N/mm2程度、8~60N/mm2程度、8~45N/mm2程度、8~40N/mm2程度、15~98N/mm2程度、15~95N/mm2程度、15~60N/mm2程度、15~45N/mm2程度、15~40N/mm2程度、20~98N/mm2程度、20~95N/mm2程度、20~60N/mm2程度、20~45N/mm2程度、20~40N/mm2程度、25~98N/mm2程度、25~95N/mm2程度、25~60N/mm2程度、25~45N/mm2程度、25~40N/mm2程度、30~98N/mm2程度、30~95N/mm2程度、30~60N/mm2程度、30~45N/mm2程度、30~40N/mm2程度が挙げられる。
また、樹脂層12が基材12bを含む場合、前記マルテンス硬さの測定条件において、基材12bの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さは、好ましくは98N/mm2以下、より好ましくは約95N/mm2以下、さらに好ましくは約60N/mm2以下、さらに好ましくは約45N/mm2以下、さらに好ましくは約40N/mm2以下である。また、当該マルテンス硬さは、好ましくは約8N/mm2以上、より好ましくは約15N/mm2以上、さらに好ましくは約20N/mm2以上、さらに好ましくは約25N/mm2以上、特に好ましくは約30N/mm2以上である。基材12bの当該マルテンス硬さの好ましい範囲としては、8~98N/mm2程度、8~95N/mm2程度、8~60N/mm2程度、8~45N/mm2程度、8~40N/mm2程度、15~98N/mm2程度、15~95N/mm2程度、15~60N/mm2程度、15~45N/mm2程度、15~40N/mm2程度、20~98N/mm2程度、20~95N/mm2程度、20~60N/mm2程度、20~45N/mm2程度、20~40N/mm2程度、25~98N/mm2程度、25~95N/mm2程度、25~60N/mm2程度、25~45N/mm2程度、25~40N/mm2程度、30~98N/mm2程度、30~95N/mm2程度、30~60N/mm2程度、30~45N/mm2程度、30~40N/mm2程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、ポリエステル層12aの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率は、好ましくは約2100MPa以下、より好ましくは約1500MPa以下、さらに好ましくは約1200MPa以下、さらに好ましくは約1000MPa以下、さらに好ましくは約800MPa以下である。また、ポリエステル層12aの当該押し込み弾性率は、好ましくは約400MPa以上、より好ましくは約500MPa以上、さらに好ましくは約600MPa以上、さらに好ましくは約700MPa以上である。ポリエステル層12aの当該押し込み弾性率の好ましい範囲としては、400~2100MPa程度、400~1500MPa程度、400~1200MPa程度、400~1000MPa程度、400~800MPa程度、500~2100MPa程度、500~1500MPa程度、500~1200MPa程度、500~1000MPa程度、500~800MPa程度、600~2100MPa程度、600~1500MPa程度、600~1200MPa程度、600~1000MPa程度、600~800MPa程度、700~2100MPa程度、700~1500MPa程度、700~1200MPa程度、700~1000MPa程度、700~800MPa程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、ポリエステル層12aの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される、負荷荷重10mNでの押し込み深さhmaxは、好ましくは約2.5μm以上であり、より好ましくは約2.8μm以上であり、さらに好ましくは約3.0μm以上である。また、ポリエステル層12aの当該押し込み深さhmaxは、好ましくは約5.0μm以下であり、より好ましくは約4.5μm以下であり、さらに好ましくは約4.0μm以下である。ポリエステル層12aの当該押し込み深さhmaxの好ましい範囲としては、2.5~5.0μm程度、2.5~4.5μm程度、2.5~4.0μm程度、2.8~5.0μm程度、2.8~4.5μm程度、2.8~4.0μm程度、3.0~5.0μm程度、3.0~4.5μm程度、3.0~4.0μm程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、基材12bの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さは、好ましくは約60N/mm2以下、より好ましくは約50N/mm2以下、さらに好ましくは約45N/mm2以下である。また、基材12bの当該マルテンス硬さは、好ましくは約10N/mm2以上、より好ましくは約15N/mm2以上、さらに好ましくは約20N/mm2以上、さらに好ましくは約25N/mm2以上、特に好ましくは約30N/mm2以上である。基材12bの当該マルテンス硬さの好ましい範囲としては、10~60N/mm2程度、10~50N/mm2程度、10~45N/mm2程度、15~60N/mm2程度、15~50N/mm2程度、15~45N/mm2程度、20~60N/mm2程度、20~50N/mm2程度、20~45N/mm2程度、25~60N/mm2程度、25~50N/mm2程度、25~45N/mm2程度、30~60N/mm2程度、30~50N/mm2程度、30~45N/mm2程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、基材12bの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率は、好ましくは約1500MPa以下、より好ましくは約1200MPa以下、さらに好ましくは約1000MPa以下、さらに好ましくは約800MPa以下である。また、基材12bの当該押し込み弾性率は、好ましくは約200MPa以上、より好ましくは約300MPa以上、さらに好ましくは約500MPa以上、さらに好ましくは約700MPa以上である。基材12bの当該押し込み弾性率の好ましい範囲としては、200~1500MPa程度、200~1200MPa程度、200~1000MPa程度、200~800MPa程度、300~1500MPa程度、300~1200MPa程度、300~1000MPa程度、300~800MPa程度、500~1500MPa程度、500~1200MPa程度、500~1000MPa程度、500~800MPa程度、700~1500MPa程度、700~1200MPa程度、700~1000MPa程度、700~800MPa程度が挙げられる。
また、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、前記マルテンス硬さの測定条件において、基材12bの厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される、負荷荷重10mNでの押し込み深さhmaxは、好ましくは約2.5μm以上であり、より好ましくは約2.8μm以上であり、さらに好ましくは約3.0μm以上である。また、基材12bの当該押し込み深さhmaxは、好ましくは約5.0μm以下であり、より好ましくは約4.5μm以下であり、さらに好ましくは約4.0μm以下である。基材12bの当該押し込み深さhmaxの好ましい範囲としては、2.5~5.0μm程度、2.5~4.5μm程度、2.5~4.0μm程度、2.8~5.0μm程度、2.8~4.5μm程度、2.8~4.0μm程度、3.0~5.0μm程度、3.0~4.5μm程度、3.0~4.0μm程度が挙げられる。
本開示の金属端子用接着性フィルム1において、ポリオレフィン層11、樹脂層12(ポリエステル層12a、基材12b)の前記マルテンス硬さ、前記押込み弾性率及び押し込み深さhmaxは、それぞれ、各層を構成する樹脂の組成、骨格、分散性、分子量、融点、MFR、さらには、金属端子用接着性フィルム1の製造におけるTダイ、インフレーション等の条件(例えば、Tダイからの押出幅、延伸倍率、延伸速度、熱処理温度など)などによって調整することができる。例えば、金属端子用接着性フィルムのポリオレフィン層11のマルテンス硬さ、押し込み弾性率及び押し込み深さhmaxを、ポリオレフィン層11の組成で調整する方法としては、柔軟性を向上させるために、ブテン成分、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、非晶質のエチレン-プロピレン共重合体、プロピレン-α-オレフィン共重合体等を所定量添加する方法が挙げられる。また、例えば、金属端子用接着性フィルムのポリエステル層12aのマルテンス硬さ、押し込み弾性率及び押し込み深さhmaxを、ポリエステル層12aの組成で調整する方法としては、柔軟性を向上させるために、ポリエーテル樹脂を共重合する方法が挙げられる。また、例えば、金属端子用接着性フィルムの基材12bのマルテンス硬さ、押し込み弾性率及び押し込み深さhmaxを、基材12bの組成で調整する方法としては、柔軟性を向上させるために、ポリエチレンを共重合する方法が挙げられる。
本開示の金属端子用接着性フィルム1の総厚みとしては、金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮する観点から、例えば約60μm以上、好ましくは約80μm以上、好ましくは約100μm以上、より好ましくは約120μm以上、さらに好ましくは約150μm以上である。また、本開示の金属端子用接着性フィルム1の総厚みは、好ましくは約200μm以下、より好ましくは180μm以下である。本開示の金属端子用接着性フィルム1の総厚みの好ましい範囲としては、60~200μm程度、60~180μm程度、80~200μm程度、80~180μm程度、100~200μm程度、100~180μm程度、120~200μm程度、120~180μm程度、150~200μm程度、150~180μm程度が挙げられる。より具体的な例としては、例えば、本開示の金属端子用接着性フィルム1を民生用蓄電デバイスに使用する場合には、総厚みは60~100μm程度とすることが好ましく、車載用蓄電デバイスに使用する場合には、総厚みは100~200μm程度とすることが好ましい。
金属端子用接着性フィルム1において、金属端子用接着性フィルム1を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、ポリオレフィン層11及び樹脂層12の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。具体例としては、本開示の蓄電デバイス用外装材3が、ポリオレフィン層11及びポリエステル層12aを含む場合、蓄電デバイス用外装材3を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、本開示の蓄電デバイス用外装材3が、ポリオレフィン層11、基材12b、及びポリエステル層12aを含む場合、蓄電デバイス用外装材3を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。また、ポリオレフィン層11、接着促進剤層13、基材12b、接着促進剤層13、及びポリエステル層12aを含む場合、蓄電デバイス用外装材3を構成する積層体の厚み(総厚み)に対する、これら各層の合計厚みの割合は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは98%以上である。
以下、ポリオレフィン層11、樹脂層12(ポリエステル層12a、及び基材12b、接着促進剤層13)について詳述する。
[ポリオレフィン層11]
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、図4及び図5に示すように、金属端子2側に配置されるポリオレフィン層11と、蓄電デバイス用外装材3側に配置される樹脂層12とを備えている。
本開示の金属端子用接着性フィルム1において、ポリオレフィン層11は、ポリオレフィン系樹脂を含む層である。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。ポリオレフィン層11は、ポリオレフィン系樹脂の中でも、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましく、酸変性ポリオレフィンにより形成された層であることがより好ましい。酸変性ポリオレフィンは、金属との親和性が高い。従って、本開示の金属端子用接着性フィルム1においては、酸変性ポリオレフィンにより形成されたポリオレフィン層11を金属端子2側に配置することにより、金属端子用接着性フィルム1と金属端子2との界面において、優れた密着性を発揮することができる。
酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであれば特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。
酸変性されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ、より好ましくはポリプロピレンであり、特に好ましくはホモポリプロピレンである。すなわち、ポリオレフィン層11は、酸変性ホモポリプロピレンにより形成されていることが特に好ましい。
また、酸変性されるポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。例えば、カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。
酸変性される環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。構成モノマーとしては、スチレンも挙げられる。
酸変性に使用されるカルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。ポリオレフィン層11は、赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出されることが好ましい。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ポリオレフィン層11が無水マレイン酸変性ポリオレフィンより構成された層である場合、赤外分光法にて測定すると、無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
ポリオレフィン層11は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、ポリオレフィン層11は、1層のみで形成されていてもよく、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。ポリオレフィン層11の製膜性の観点からは、2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成することが好ましい。ブレンドポリマーとする場合、ポリオレフィン層11については、酸変性ポリプロピレンを主成分(50質量%以上の成分)とし、50質量%以下を他の樹脂(柔軟性を向上させる観点からは、好ましくはポリエチレン)とすることが好ましい。一方、ポリオレフィン層11の耐電解液性の観点からは、ポリオレフィン層11は、樹脂として酸変性ポリプロピレンを単独で含むことが好ましい。
さらに、ポリオレフィン層11は、必要に応じて充填剤を含んでいてもよい。ポリオレフィン層11が充填剤を含むことにより、充填剤がスペーサーとして機能するために、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3のバリア層33との間の短絡を効果的に抑制することが可能となる。充填剤の粒径としては、0.1~35μm程度、好ましくは5.0~30μm程度、さらに好ましくは10~25μm程度の範囲が挙げられる。また、充填剤の含有量としては、ポリオレフィン層11を形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、5~30質量部程度、より好ましくは10~20質量部程度が挙げられる。
充填剤としては、無機系、有機系のいずれも用いることができる。無機系充填剤としては、例えば、炭素(カーボン、グラファイト)、シリカ、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、シリコンカーバイド、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系充填剤としては、例えば、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリメタクリル酸メチル架橋物、ポリエチレン架橋物等が挙げられる。形状の安定性、剛性、内容物耐性の点から、酸化アルミニウム、シリカ、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物が好ましく、特にこの中でも球状の酸化アルミニウム、シリカがより好ましい。ポリオレフィン層11を形成する樹脂成分への充填剤の混合方法としては、予めバンバリーミキサー等で両者をメルトブレンドし、マスターバッチ化したものを所定の混合比にする方法、樹脂成分との直接混合方法などを採用することができる。
また、ポリオレフィン層11は、それぞれ、必要に応じて顔料を含んでいてもよい。顔料としては、無機系の各種顔料を用いることができる。顔料の具体例としては、上記充填剤で例示した炭素(カーボン、グラファイト)が好ましく例示できる。炭素(カーボン、グラファイト)は、一般に蓄電デバイスの内部に使用されている材料であり、電解液に対する溶出の虞がない。また、着色効果が大きく接着性を阻害しない程度の添加量で充分な着色効果を得られると共に、熱で溶融することがなく、添加した樹脂の見かけの溶融粘度を高くすることができる。さらに、熱接着時(ヒートシール時)に加圧部が薄肉となることを防止して、蓄電デバイス用外装材と金属端子の間における優れた密封性を付与できる。
ポリオレフィン層11に顔料を添加する場合、その添加量としては、たとえば、粒径が約0.03μmのカーボンブラックを使用した場合、ポリオレフィン層11を形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、0.05~0.3質量部程度、好ましくは0.1~0.2質量部程度が挙げられる。ポリオレフィン層11に顔料を添加することにより、金属端子用接着性フィルム1の有無をセンサーで検知可能なもの、または目視で検査可能なものとすることができる。
ポリオレフィン層11の230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)は、前述のマルテンス硬さなどを充足させ、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、好ましくは約5g/10分以上、より好ましくは約7g/10分以上、さらに好ましくは約8g/10分以上であり、また、好ましくは約11g/10分以下、より好ましくは約10g/10分以下であり、好ましい範囲としては、5~11g/10分程度、5~10g/10分程度、7~11g/10分程度、7~10g/10分程度、8~11g/10分程度、8~10g/10分程度が挙げられる。なお、ポリオレフィン層11のメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)の規定に準拠して測定された230℃での値(g/10分)である。ポリオレフィン層11が酸変性ポリオレフィン層である場合に、酸変性ポリオレフィン層のMFR値が上記の値を充足することが特に好適である。
また、ポリオレフィン層11の融点は、前述のマルテンス硬さなどを充足させ、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約130℃以上であり、また、好ましくは約160℃以下、より好ましくは約150℃以下であり、好ましい範囲としては、120~160℃程度、120~150℃程度、130~160℃程度、130~150℃程度である。融点は、示差走査熱量計(DSC)で測定される吸熱ピークである。
ポリオレフィン層11の厚さは、前述のマルテンス硬さなどを充足させ、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、それぞれ、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上、さらに好ましくは約20μm以上、さらに好ましくは約30μm以上であり、また、例えば約120μm以下、好ましくは約80μm以下、より好ましくは約60μm以下、さらに好ましくは約50μm以下である。ポリオレフィン層11の厚さの好ましい範囲としては、それぞれ、10~120μm程度、10~80μm程度、10~60μm程度、10~50μm程度、15~120μm程度、15~80μm程度、15~60μm程度、15~50μm程度、20~120μm程度、20~80μm程度、20~60μm程度、20~50μm程度、30~120μm程度、30~80μm程度、30~60μm程度、30~50μm程度が挙げられる。より具体的な例としては、例えば、本開示の金属端子用接着性フィルム1を民生用蓄電デバイスに使用する場合には、ポリオレフィン層11の厚さは、10~30μm程度とすることが好ましく、車載用蓄電デバイスに使用する場合には、30~120μm程度とすることが好ましい。
ポリオレフィン層11の合計厚みに対する、基材12bの厚みの比としては、前述のマルテンス硬さなどを充足させ、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、好ましくは約0.3以上、より好ましくは約0.4以上であり、さらに好ましくは0.5以上であり、また、好ましくは約1.0以下、より好ましくは約0.8以下であり、好ましい範囲としては、0.3~1.0程度、0.3~0.8程度、0.4~1.0程度、0.4~0.8程度、0.5~1.0程度、0.5~0.8程度が挙げられる。
また、金属端子用接着性フィルム1の総厚みを100%とし、ポリオレフィン層11及びポリエステル層12aの合計厚みの割合としては、好ましくは30~80%程度、より好ましくは50~70%程度である。
[ポリエステル層12a]
ポリエステル層12aは、ポリエステル系樹脂を含む層である。
ポリエステル系樹脂としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリエステル層12aは、ポリエステル系樹脂の中でも、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのうち少なくとも一方を樹脂として含むことが好ましい。ポリエステル層12aに含まれる樹脂は、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートのうち少なくとも一方であることが好ましく、ポリブチレンテレフタレートであることがより好ましい。
ポリエステル層12aは、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、ポリエステル層12aは、1層のみで形成されていてもよく、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
ポリエステル層12aは、ポリエステル系樹脂及びエラストマーを含むことが好ましい。ポリエステル層12aに含まれるエラストマーは、金属端子用接着性フィルム1の優れた耐熱性及びシール性を担保しつつ、その柔軟性を高める役割を果たすものであればよい。好ましいエラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエーテル系、アクリル系から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性エラストマー、または、これらの共重合体である熱可塑性エラストマーが挙げられる。さらに好ましくは、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルのブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー、ポリメチルペンテンのα-オレフィン共重合体からなる熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。ポリブチレンテレフタレートとポリエーテルのブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマーにおいて、ポリエーテル成分としては、テレフタル酸とポリテトラメチレンエーテルグリコールの共重合体が挙げられる。また、ポリエーテル系の熱可塑性エラストマーの好ましい具体例としては、ポリテトラメチレングリコール、ポリイプシロンカプロラクタムが挙げられる。ポリエステル層12aにおいて、エラストマーの含有量としては、金属端子用接着性フィルム1の優れた耐熱性及びシール性を担保しつつ、その柔軟性を高められる程度であれば、特に制限はなく、例えば約0.1質量%以上、好ましくは約0.5質量%以上、より好ましくは約1.0質量%以上、さらに好ましくは約3.0質量%以上である。また、当該含有量は、例えば約10.0質量%以下、約8.0質量%以下、約5.0質量%以下などである。当該含有量の好ましい範囲としては、0.1~10.0質量%程度、0.1~8.0質量%程度、0.1~5.0質量%程度、0.5~10.0質量%程度、0.5~8.0質量%程度、0.5~5.0質量%程度、1.0~10.0質量%程度、1.0~8.0質量%程度、1.0~5.0質量%程度、3.0~10.0質量%程度、3.0~8.0質量%程度、3.0~5.0質量%程度などが挙げられる。
金属端子用接着性フィルム1の耐熱性を高める観点から、ポリエステル層12aの融点は、ポリオレフィン層11の融点よりも20℃以上高いことが好ましく、40℃以上高いことがより好ましく、60℃以上高いことがさらに好ましい。ポリエステル層12aの融点は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上であり、また、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、さらに好ましくは220℃以下である。
本開示の効果をより好適に奏する観点から、ポリエステル層12aの厚さは、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上、さらに好ましくは約20μm以上であり、また、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約55μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。ポリエステル層12aの厚さの好ましい範囲としては、それぞれ、10~60μm程度、10~55μm程度、10~50μm程度、15~60μm程度、15~55μm程度、15~50μm程度、20~60μm程度、20~55μm程度、20~50μm程度が挙げられる。
本開示において、本開示の効果をより好適に発揮する観点から、金属端子用接着性フィルム1の総厚(100%)に対する、ポリエステル層12aの厚みの割合としては、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上であり、また、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下である。
[基材12b]
金属端子用接着性フィルム1において、基材12bは、金属端子用接着性フィルム1の支持体として機能する層である。
基材12bを形成する素材については、特に制限されるものではない。基材12bを形成する素材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられ、これらの中でも、特にポリオレフィン系樹脂が好ましい。すなわち、基材12bを形成する素材は、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。基材12bを構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能である。
前記の通り、基材12bは、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィンを含むことが好ましく、ポリオレフィンにより形成された層であることがさらに好ましい。ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ、より好ましくはポリプロピレンが挙げられる。特に、ヒートシール後の金属端子用接着性フィルムの厚みの残存率を高め、金属端子用接着性フィルムに対して優れた絶縁性を付与する観点から、基材12bは、ホモポリプロピレンを含むことが好ましく、ホモポリプロピレンにより形成されていることが特に好ましい。
ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4’-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、基材12bは、上記の樹脂で形成された不織布により形成されていてもよい。基材12bが不織布である場合、基材12bは、前述のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂等で構成されていることが好ましい。
また、基材12bに着色剤を配合することにより、基材12bを、着色剤を含む層とすることもできる。また、透明度の低い樹脂を選択して、光透過度を調整することもできる。基材12bがフィルムの場合は、着色フィルムを用いることや、透明度の低いフィルムを用いることもできる。また、基材12bが不織布の場合は、着色剤を含む繊維やバインダーを用いた不織布や、透明度の低い不織布を用いることができる。
基材12bの230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)は、前述のマルテンス硬さなどを充足させ、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは4g/10分以下であり、また、柔軟性に優れた(後述の追従性、折り曲げ性の評価が良好な)金属端子用接着性フィルム1とする観点から、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上であり、好ましい範囲としては、1~8g/10分程度、1~4g/10分程度、2~8g/10分程度、2~4g/10分程度が挙げられる。基材12bがポリオレフィン層(ポリオレフィンにより形成された層)である場合に、ポリオレフィン層のMFR値が上記の値を充足することが特に好適である。なお、基材12bのメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)の規定に準拠して測定された230℃での値(g/10分)である。
また、基材12bの融点は、前述のマルテンス硬さなどを充足させ、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、好ましくは190℃以下、より好ましくは170℃以下であり、また、好ましい範囲としては、130~190℃程度、130~170℃程度、150~190℃程度、150~170℃程度である。融点は、示差走査熱量計(DSC)で測定される吸熱ピークである。
基材12bが樹脂フィルムにより構成されている場合、基材12bの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の公知の易接着手段が施されていてもよい。
基材12bの厚さは、金属端子用接着性フィルム1の金属端子2に対する優れた追従性と、優れた折り曲げ性とをより一層好適に発揮される観点から、例えば約100μm以下、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約55μm以下である。また、基材12bの厚さは、好ましくは約20μm以上、より好ましくは約30μm以上、さらに好ましくは約40μm以上である。基材12bの厚さの好ましい範囲としては、20~100μm程度、20~60μm程度、20~55μm程度、30~100μm程度、30~60μm程度、30~55μm程度、40~100μm程度、40~60μm程度、40~55μm程度が挙げられる。より具体的な例としては、例えば、本開示の金属端子用接着性フィルム1を民生用蓄電デバイスに使用する場合には、基材12bの厚さは、30~55μm程度とすることが好ましく、車載用蓄電デバイスに使用する場合には、それぞれ40~100μm程度とすることが好ましい。
[接着促進剤層13]
接着促進剤層13は、基材12bとポリオレフィン層11及びポリエステル層12aとを強固に接着することを目的として、必要に応じて設けられる層である(図5を参照)。接着促進剤層13は、基材12bとポリオレフィン層11及びポリエステル層12aとの間の一方側のみに設けられていてもよいし、両側に設けられていてもよい。
接着促進剤層13は、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系等の公知の接着促進剤を用いて形成することができる。耐電解液性をより向上する観点からは、これらの中でも、イソシアネート系の接着促進剤により形成されていることが好ましい。イソシアネート系の接着促進剤としては、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものが、ラミネート強度に優れ、かつ、電解液浸漬後のラミネート強度の低下が少ない。特に、トリイソシアネートモノマーであるトリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネートやポリメリックMDIであるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有率が約30%、粘度が200~700mPa・s)からなる接着促進剤によって形成することが特に好ましい。また、トリイソシアネートモノマーであるトリス(p-イソシアネートフェニル)チオホスフェートや、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤により形成することも好ましい。
接着促進剤層13は、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法で塗布・乾燥することにより形成することができる。接着促進剤の塗布量としては、トリイソシアネートからなる接着促進剤の場合は、20~100mg/m2程度、好ましくは40~60mg/m2程度であり、ポリメリックMDIからなる接着促進剤の場合は、40~150mg/m2程度、好ましくは60~100mg/m2程度であり、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤の場合は、5~50mg/m2程度、好ましくは10~30mg/m2程度である。なお、トリイソシアネートモノマーは、1分子中にイソシアネート基を3個持つモノマーであり、ポリメリックMDIは、MDIおよびMDIが重合したMDIオリゴマーの混合物であり、下記式で示されるものである。
Figure 2022175134000001
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、例えば、基材12bの両表面上に、それぞれ、ポリオレフィン層11及びポリエステル層12aを積層することにより製造することができる。基材12bとポリオレフィン層11及びポリエステル層12aとの積層は、押出ラミネート法、Tダイ法、インフレーション法、サーマルラミネート法などの公知の方法により積層することができる。また、基材12bとポリオレフィン層11、ポリエステル層12aを、接着促進剤層13を介して積層する場合には、例えば、接着促進剤層13を構成する接着促進剤を上記の方法で基材12bの上に塗布・乾燥し、接着促進剤層13の上からポリオレフィン層11、ポリエステル層12aをそれぞれ積層すればよい。
金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に介在させる方法としては、特に制限されず、例えば、図1~3に示すように、金属端子2が蓄電デバイス用外装材3によって挟持される部分において、金属端子2に金属端子用接着性フィルム1を巻き付けてもよい。また、図示を省略するが、金属端子2が蓄電デバイス用外装材3によって挟持される部分において、金属端子用接着性フィルム1が2つの金属端子2を横断するようにして、金属端子2の両面側に配置してもよい。
[金属端子2]
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に介在させて使用される。金属端子2(タブ)は、蓄電デバイス素子4の電極(正極または負極)に電気的に接続される導電部材であり、金属材料により構成されている。金属端子2を構成する金属材料としては、特に制限されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。例えば、リチウムイオン蓄電デバイスの正極に接続される金属端子2は、通常、アルミニウムなどにより構成されている。また、リチウムイオン蓄電デバイスの負極に接続される金属端子2は、通常、銅、ニッケルなどにより構成されている。
金属端子2の表面は、耐電解液性を高める観点から、化成処理が施されていることが好ましい。例えば、金属端子2がアルミニウムにより形成されている場合、化成処理の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物などの耐食性皮膜を形成する公知の方法が挙げられる。耐食性皮膜を形成する方法の中でも、フェノール樹脂、フッ化クロム(III)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が好適である。
金属端子2の大きさは、使用される蓄電デバイスの大きさなどに応じて適宜設定すればよい。金属端子2の厚さとしては、好ましくは50~4000μm程度、より好ましくは60~3000μm程度、さらに好ましくは70~1000μmが挙げられる。また、金属端子2の長さとしては、好ましくは1~200mm程度、より好ましくは3~150mm程度が挙げられる。また、金属端子2の幅としては、好ましくは1~200mm程度、より好ましくは3~150mm程度が挙げられる。
[蓄電デバイス用外装材3]
蓄電デバイス用外装材3としては、少なくとも、基材層31、バリア層33、及び熱融着性樹脂層35をこの順に有する積層体からなる積層構造を有するものが挙げられる。図6に、蓄電デバイス用外装材3の断面構造の一例として、基材層31、必要に応じて設けられる接着剤層32、バリア層33、必要に応じて設けられる接着層34、及び熱融着性樹脂層35がこの順に積層されている態様について示す。蓄電デバイス用外装材3においては、基材層31が外層側になり、熱融着性樹脂層35が最内層になる。蓄電デバイスの組み立て時に、蓄電デバイス素子4の周縁に位置する熱融着性樹脂層35同士を接面させて熱融着することにより蓄電デバイス素子4が密封され、蓄電デバイス素子4が封止される。なお、図1から図3には、エンボス成形などによって成形されたエンボスタイプの蓄電デバイス用外装材3を用いた場合の蓄電デバイス10を図示しているが、蓄電デバイス用外装材3は成形されていないパウチタイプであってもよい。なお、パウチタイプには、三方シール、四方シール、ピロータイプなどが存在するが、何れのタイプであってもよい。
蓄電デバイス用外装材3を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、上限については、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、好ましくは約190μm以下、約180μm以下、約160μm以下、約155μm以下、約140μm以下、約130μm以下、約120μm以下が挙げられ、下限については、蓄電デバイス素子4を保護するという蓄電デバイス用外装材3の機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上、約80μm以上が挙げられ、好ましい範囲については、例えば、35~190μm程度、35~180μm程度、35~160μm程度、35~155μm程度、35~140μm程度、35~130μm程度、35~120μm程度、45~190μm程度、45~180μm程度、45~160μm程度、45~155μm程度、45~140μm程度、45~130μm程度、45~120μm程度、60~190μm程度、60~180μm程度、60~160μm程度、60~155μm程度、60~140μm程度、60~130μm程度、60~120μm程度、80~190μm程度、80~180μm程度、80~160μm程度、80~155μm程度、80~140μm程度、80~130μm程度、80~120μm程度が挙げられる。
また、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、全固体電池用外装材に対して好適に適用することができ、全固体電池用外装材を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、好ましくは約10000μm以下、約8000μm以下、約5000μm、約500μm以下が挙げられ、電池素子を保護するという全固体電池用外装材の機能を維持する観点からは、好ましくは約100μm以上、約150μm以上、約200μm以上が挙げられ、好ましい範囲については、例えば、100~10000μm程度、100~8000μm程度、100~5000μm程度、150~10000μm程度、150~8000μm程度、150~5000μm程度、200~10000μm程度、200~8000μm程度、200~5000μm程度、150~500μm程度、200~500μm程度が挙げられ、特に100~500μm程度が好ましい。
(基材層31)
蓄電デバイス用外装材3において、基材層31は、蓄電デバイス用外装材の基材として機能する層であり、最外層側を形成する層である。
基材層31を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層31を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層31の形成素材として好適に使用される。また、ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層31の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層31の形成素材として好適に使用される。
基材層31は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層31として好適に使用される。
これらの中でも、基材層31を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステルが挙げられる。
基材層31は、耐ピンホール性及び蓄電デバイスの包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルムを積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層31を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドラミネート法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。
また、基材層31は、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層31を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層31を低摩擦化するには、例えば、マット処理、スリップ剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
基材層31の厚さについては、例えば、10~50μm程度、好ましくは15~30μm程度が挙げられる。
(接着剤層32)
蓄電デバイス用外装材3において、接着剤層32は、基材層31に密着性を付与させるために、必要に応じて、基材層31上に配置される層である。即ち、接着剤層32は、基材層31とバリア層33の間に設けられる。
接着剤層32は、基材層31とバリア層33とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層32の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着剤層32の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤層32の形成に使用できる接着剤の樹脂成分としては、展延性、高湿度条件下における耐久性や黄変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層31とバリア層33との間のラミネート強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
また、接着剤層32は異なる接着剤成分で多層化してもよい。接着剤層32を異なる接着剤成分で多層化する場合、基材層31とバリア層33とのラミネート強度を向上させるという観点から、基材層31側に配される接着剤成分として基材層31との接着性に優れる樹脂を選択し、バリア層33側に配される接着剤成分としてバリア層33との接着性に優れる接着剤成分を選択することが好ましい。接着剤層32は異なる接着剤成分で多層化する場合、具体的には、バリア層33側に配置される接着剤成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
また、蓄電デバイス用外装材3が、全固体電池用外装材である場合には、接着剤層32は、ポリエステル及びポリカーボネートの少なくとも一方と、脂環式イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の少なくとも一方とを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されることが好ましい。これにより、全固体電池用外装材は、高温環境における前述のバリア層33と熱融着性樹脂層35とのデラミネーションが抑制され、さらには、高いシール強度を発揮することもできる。
ポリエステルは、ポリエステルポリオールであることが好ましい。ポリエステルポリオールは、ポリマー主鎖にエステル結合を有し、かつ末端または側鎖に水酸基を複数有するものであれば特に制限されない。また、ポリカーボネートは、ポリカーボネートポリオールであることが好ましい。ポリエステルポリオールは、ポリマー主鎖にカーボーネート結合を有し、かつ末端または側鎖に水酸基を複数有するものであれば特に制限されない。ポリエステルは、例えば、ポリエステルポリオールを予めポリイソシアネート(例えばジイソシアネートなど)と反応させてウレタン鎖伸長したポリエステル、ポリカーボネートポリオールを予めポリイソシアネート(例えばジイソシアネートなど)と反応させてウレタン鎖伸長したポリカーボネートなどであることも好ましい。接着層5を形成する樹脂組成物に含まれるポリエステル及びポリカーボネートは、それぞれ、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
脂環式イソシアネート化合物は、脂環構造とイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限されない。脂環式イソシアネート化合物は、2以上のイソシアネート基を有することが好ましい。脂環式イソシアネート化合物の具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(4-イソシアネートシクロヘキシル)メタン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、メチレンビス(4,1-シクロへキシレン)ジイソシアネート、など、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。また、アダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。また、脂環式イソシアネート化合物は、脂環式イソシアネートに予めポリオール(例えばポリエステルポリオ―ルなど)と反応させた、ポリオール変性ポリイソシアネートであることも好ましい。接着層5を形成する樹脂組成物に含まれる脂環式イソシアネート化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
また、芳香族イソシアネート化合物は、芳香環とイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限されない。芳香族イソシアネート化合物は、2以上のイソシアネート基を有することが好ましい。芳香族イソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。また、アダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。また、芳香族イソシアネート化合物は、芳香族イソシアネートに予めポリオール(例えばポリエステルポリオ―ルなど)と反応させた、ポリオール変性ポリイソシアネートであることも好ましい。接着層5を形成する樹脂組成物に含まれる芳香族イソシアネート化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
接着剤層32を形成する樹脂組成物は、例えば、脂環式イソシアネート化合物が含まれ、芳香族イソシアネート化合物が含まれなくてもよいし、例えば、芳香族イソシアネート化合物が含まれ、脂環式イソシアネート化合物が含まれなくてもよいし、例えば、脂環式イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の両者が含まれていてもよい。接着剤層32を形成する樹脂組成物は、芳香族イソシアネート化合物を含むことが好ましい。
接着剤層32における、脂環式イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の含有量としては、それぞれ、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。また、接着層5が脂環式イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の両者を含む場合には、これらの合計含有量が接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。
接着剤層32の厚さについては、例えば、2~50μm程度、好ましくは3~25μm程度が挙げられる。
(バリア層33)
蓄電デバイス用外装材において、バリア層33は、蓄電デバイス用外装材の強度向上の他、蓄電デバイス内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層33は、金属層、すなわち、金属で形成されている層であることが好ましい。バリア層33を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層33は、例えば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。蓄電デバイス用外装材の製造時に、バリア層33にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、JIS H4000:2014 A8079P-O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
バリア層33の厚さについては、蓄電デバイス用外装材を薄型化しつつ、成形によってもピンホールの発生し難いものとする観点から、好ましくは10~200μm程度、より好ましくは20~100μm程度が挙げられる。
また、バリア層33は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリア層の表面に耐食性皮膜を形成する処理をいう。
(接着層34)
蓄電デバイス用外装材3において、接着層34は、熱融着性樹脂層35を強固に接着させるために、バリア層33と熱融着性樹脂層35の間に、必要に応じて設けられる層である。
接着層34は、バリア層33と熱融着性樹脂層35を接着可能である接着剤によって形成される。接着層の形成に使用される接着剤の組成については、特に制限されないが、例えば、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物が挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、ポリオレフィン層11及で例示したものと同じものが例示できる。
また、接着層34は、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることも好ましく、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが特に好ましい。
また、蓄電デバイス用外装材3が、全固体電池用外装材である場合には、接着剤層32と同様、接着層34は、ポリエステル及びポリカーボネートの少なくとも一方と、脂環式イソシアネート化合物及び芳香族イソシアネート化合物の少なくとも一方とを含む樹脂組成物の硬化物によって形成されることが好ましい。
接着層34の厚さについては、例えば、1~40μm程度、好ましくは2~30μm程度が挙げられる。
(熱融着性樹脂層35)
蓄電デバイス用外装材3において、熱融着性樹脂層35は、最内層に該当し、蓄電デバイスの組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する層である。
熱融着性樹脂層35に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが挙げられる。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。構成モノマーとしては、スチレンも挙げられる。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくは結晶性又は非晶性のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、及びこれらのブレンドポリマー;さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとノルボルネンの共重合体、及びこれらの中の2種以上のブレンドポリマーが挙げられる。
熱融着性樹脂層35は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層35は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上形成されていてもよい。ポリエステル層12aと熱融着性樹脂層35の樹脂が共通していると、これらの層間の密着性が向上することから、特に好ましい。
また、熱融着性樹脂層35の厚さとしては、特に制限されないが、2~2000μm程度、好ましくは5~1000μm程度、さらに好ましくは10~500μm程度が挙げられる。
また、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、全固体電池用外装材に対して特に好適に適用することができ、全固体電池用外装材の熱融着性樹脂層35の融点は、好ましくは150~250℃であり、より好ましくは180~270℃、さらに好ましくは200~270℃、さらに好ましくは200~250℃である。
また、全固体電池用外装材の熱融着性樹脂層35に含まれる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンなどの酸変性ポリオレフィン、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらの中でも、ポリブチレンテレフタレートは耐熱性に優れているため、全固体電池用外装材において、熱融着性樹脂層35は、好ましくはポリブチレンテレフタレートフィルムにより形成されている。また、熱融着性樹脂層35がポリブチレンテレフタレートフィルムにより形成されることにより、本開示の金属端子用接着性フィルムの樹脂層との密着性も優れている。なお、熱融着性樹脂層35を形成するポリブチレンテレフタレートフィルムは、予め用意したポリブチレンテレフタレートフィルムを接着層34と積層して熱融着性樹脂層35としてもよいし、ポリブチレンテレフタレートフィルムを形成する樹脂を溶融押出しするなどしてフィルムとすると共に、接着層34と積層してもよいし、接着層34とポリブチレンテレフタレートを共押出して、バリア層33に積層してもよい。
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムであってもよいし、未延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムであってもよく、未延伸ポリブチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。
ポリブチレンテレフタレートフィルムは、ポリブチレンテレフタレートに加えて、さらに、エラストマーを含むことが好ましい。エラストマーは、ポリブチレンテレフタレートフィルムの高温環境における耐久性を担保しつつ、その柔軟性を高める役割を果たすものである。好ましいエラストマーとしては、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリエーテル系から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性エラストマー、または、これらの共重合体である熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。ポリブチレンテレフタレートフィルムにおいて、エラストマーの含有量としては、ポリブチレンテレフタレートフィルムの高温環境における耐久性を担保しつつ、その柔軟性を高められる程度であれば、特に制限はなく、例えば約0.1質量%以上、好ましくは約0.5質量%以上、より好ましくは約1.0質量%以上、さらに好ましくは約3.0質量%以上である。また、当該含有量は、例えば約10.0質量%以下、約8.0質量%以下、約5.0質量%以下などである。当該含有量の好ましい範囲としては、0.1~10.0質量%程度、0.1~8.0質量%程度、0.1~5.0質量%程度、0.5~10.0質量%程度、0.5~8.0質量%程度、0.5~5.0質量%程度、1.0~10.0質量%程度、1.0~8.0質量%程度、1.0~5.0質量%程度、3.0~10.0質量%程度、3.0~8.0質量%程度、3.0~5.0質量%程度などが挙げられる。
熱融着性樹脂層35は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂によって2層以上で形成されていてもよい。熱融着性樹脂層35が2層以上で形成されている場合、少なくとも1層が、ポリブチレンテレフタレートフィルムにより形成されており、ポリブチレンテレフタレートフィルムは、全固体電池用外装材の最内層であることが好ましい。また、接着層34と接着する層は、ポリブチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。熱融着性樹脂層35が2層以上で形成されている場合、ポリブチレンテレフタレートフィルムにより形成されていない層については、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンや、酸変性ポリプロピレン、酸変性ポリエチレンなどの酸変性ポリオレフィンなどにより形成された層であってもよい。ただし、ポリオレフィンや酸変性ポリオレフィンは、ポリブチレンテレフタレートと比較すると、高温環境下における耐久性が低いため、熱融着性樹脂層35は、ポリブチレンテレフタレートフィルムのみによって構成されていることが好ましい。
2.蓄電デバイス
本開示の蓄電デバイス10は、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子4と、当該蓄電デバイス素子4を封止する蓄電デバイス用外装材3と、正極及び負極のそれぞれに電気的に接続され、蓄電デバイス用外装材3の外側に突出した金属端子2とを備えている。本開示の蓄電デバイス10においては、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に、本開示の金属端子用接着性フィルム1が介在されてなることを特徴とする。すなわち、本開示の蓄電デバイス10は、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に、本開示の金属端子用接着性フィルム1が介在する工程を備える方法により製造することができる。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子4を、蓄電デバイス用外装材3で、正極及び負極の各々に接続された金属端子2を外側に突出させた状態で、本開示の金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と熱融着性樹脂層35との間に介在させ、蓄電デバイス素子4の周縁に蓄電デバイス用外装材のフランジ部(熱融着性樹脂層35同士が接触する領域であり、蓄電デバイス用外装材の周縁部3a)が形成できるようにして被覆し、フランジ部の熱融着性樹脂層35同士をヒートシールして密封させることによって、蓄電デバイス用外装材3を使用した蓄電デバイス10が提供される。なお、蓄電デバイス用外装材3を用いて蓄電デバイス素子4を収容する場合、蓄電デバイス用外装材3の熱融着性樹脂層35が内側(蓄電デバイス素子4と接する面)になるようにして用いられる。
本開示の蓄電デバイス用外装材は、電池(コンデンサー、キャパシター等を含む)などの蓄電デバイスに好適に使用することができる。また、本開示の蓄電デバイス用外装材は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本開示の蓄電デバイス用外装材が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本開示の蓄電デバイス用外装材の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
これらの中でも、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、全固体電池に対して好適に適用することができる。
以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し、本開示は実施例に限定されるものではない。
<金属端子用接着性フィルムの製造>
実施例1
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを塩基性官能基で変性したもの(IP:イミン変性PP))と、ポリエステル系樹脂層を形成するポリブチレンテレフタレートとがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(r-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(h-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
実施例2
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを塩基性官能基で変性したもの(IP:イミン変性PP))と、ポリエステル系樹脂層を形成するポリブチレンテレフタレートとがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(h-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(h-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
実施例3
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを塩基性官能基で変性したもの(IP:イミン変性PP))と、ポリエステル系樹脂層を形成するポリブチレンテレフタレートとがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(r-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(ポリエーテルとの共重合-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
実施例4
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを無水マレイン酸で変性したもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを塩基性官能基で変性したもの(IP:イミン変性PP))と、ポリエステル系樹脂層を形成するポリブチレンテレフタレートとがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(h-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(ポリエーテルとの共重合-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
実施例5
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(h-PPa、実施例1~4とは異なるもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(ポリプロピレンを塩基性官能基で変性したもの(IP:イミン変性PP))と、ポリエステル系樹脂層を形成するポリブチレンテレフタレート(実施例3,4と同じもの)とがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(h-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(ポリエーテルとの共重合-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
実施例6
金属端子側ならびに蓄電デバイス用外装材側のポリオレフィン層を構成するポリオレフィンとして、無水マレイン酸変性ランダムポリプロピレン(r-PPa)、基材として、ランダムポリプロピレン(r-PP)を用意した。各層の樹脂を用いて、Tダイ押出成形を行い、ポリオレフィン層(25μm、r-PPa層)/基材(100μm、r-PP層)/樹脂層(25m、r-PPa層)が順に積層された金属端子用接着性フィルム(100μm)を得た。
比較例1
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(h-PPa、実施例1~5とは異なるもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(実施例2,4,5と同じもの)と、ポリエステル系樹脂層(実施例1、2とは異なるもの)を形成するポリブチレンテレフタレートとがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(h-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(ポリエーテルとの共重合-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
比較例2
ポリオレフィン系樹脂層を形成する無水マレイン酸変性ポリプロピレン(h-PPa、実施例1~5とは異なるもの)と、ポリオレフィン系樹脂層を形成するイミン変性ポリプロピレン(実施例2,4,5と同じもの)と、ポリエステル系樹脂層(実施例3,4,5と同じもの)を形成するポリブチレンテレフタレートとがこの順に積層された積層体を共押出成形により製造し、ポリオレフィン系樹脂層(h-PPa層 厚み30μm)/イミン変性ポリオレフィン系樹脂層(h-IP層 厚み30μm)/ポリエステル系樹脂層(ポリエーテルとの共重合-PBT層 厚み40μm)が順に積層された、金属端子用接着性フィルム(厚み100μm)を得た。ポリオレフィン層、ポリエステル層、及び基材層を形成する素材としては、それぞれ、表1に記載のマルテンス硬さを備えるよう、従来の金属端子用接着性フィルムには使用されていない、特に柔軟性の高い素材を用いた。
<マルテンス硬さ、押し込み弾性率、押し込み深さhmaxの測定>
実施例及び比較例の金属端子用接着性フィルムのポリオレフィン層、基材、樹脂層について、それぞれ、マルテンス硬さ、押し込み弾性率及び押し込み深さhmaxを測定した。これらの測定は、なお、測定対象とするサンプルの前処理として、金属端子用接着性フィルムをMD30mm、TD15mmに裁断した。次に、サンプルをエポキシ冷間埋込樹脂で包埋し、約1日乾燥させた。その後、丸本ストルアス社製 Tegrapol-35 機械研磨装置を用いて、TDの方向に裁断して取得された断面を研磨し、サンプルの断面を表面粗さ1.0μm程度とした。インデンテーション法による測定として、フィッシャーインストルメンツ社製のピコデンターHM-500を用いて行い、測定対象とする層の厚み方向の断面(厚み方向の中心部分)に対して垂直方向に対して測定を行った。測定対象となる断面は、金属端子用接着性フィルムをTDの方向に裁断することで取得し、前記前処理を行った断面である。測定条件は以下の通りである。
(測定条件)
負荷荷重は、10mNである。
荷重印加速度は、1mN/10秒である。
保持時間は、10秒間である。
荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
測定温度は、25℃である。
測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
なお、参考のため、前記のマルテンス硬さ、押し込み弾性率、押し込み深さhmaxの測定で得られる押込み深さ(μm)と荷重(mN)との関係を示すグラフのイメージ図を、図8に示す。
マルテンス硬さは、以下の式により算出される。
HM(マルテンス硬さ)=最大荷重F(N)/押込み深さから求めた圧子の表面積(mm2)=最大荷重F(N)/26.43h2
F:最大荷重(N)
h:試験荷重下での押込み深さ=hmax(図8のE点の値(C点からY軸へ垂線を引いて交わった点))
また、押込み弾性率は、図8のC-Dの接線の勾配から算出される。また、押込み深さhmaxは、図8のE点の値から算出される。
<追従性評価(接着性フィルム/金属端子)>
金属端子として、縦50mm、横22.5mm、厚み400μmのアルミニウム箔(JIS H4160:1994 A8079H-O)を用意した。また、実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルム(長さ45mm、幅15mmとした)を用意した。次に、2枚の接着性フィルムの間に、金属端子を挟み、接着性フィルム/金属端子/接着性フィルムの積層体を得た。このとき、金属端子の縦方向と、金属端子用接着性フィルムの幅方向とが一致するように重ね、重なっている領域は22.5mm×15mmである。次に、2枚のテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体フィルム(ETFEフィルム、厚さ100μm)で、当該積層体を挟んだ状態で、190℃に加熱されたホットプレート上に載置すると共に、スポンジ付きの500gの錘を載せて(圧力は0.015MPaとなる)、12秒間静置して、接着性フィルムを金属端子に熱融着させた。この際、図7の模式図に示すように、金属端子が接着性フィルムによって挟み込まれることで、金属端子の周囲が接着性フィルムで覆われ、かつ、2枚の接着性フィルム同士が熱融着されている部分を形成した。熱融着後の積層体を25℃まで自然冷却して、厚み方向の断面(図7の破線の円で囲まれた領域Mを参照。)をレーザー顕微鏡で観察して、以下の基準により金属端子用接着性フィルムの金属端子の形状への追従性評価を行った。結果を表1に示す。
A+:金属端子用接着性フィルムと金属端子との間に気泡はない
A:金属端子用接着性フィルムと金属端子との界面には気泡はないが、界面付近において、金属端子用接着性フィルムに気泡がある
B:金属端子用接着性フィルムと金属端子との界面に気泡があるが、界面付近においては、金属端子用接着性フィルムに気泡がない
C:金属端子用接着性フィルムと金属端子との界面に気泡があり、界面付近においても、金属端子用接着性フィルムに気泡がある
<折り曲げ性評価>
実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを、縦(MD)100mm、横(TD)15mmの大きさにカットした。マンドレル試験機(φ2mmの金属棒)を用いて、接着性フィルムを巻きつけて、曲げ試験を行い、金属端子用接着性フィルムを目視で観察して、以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
A+:金属端子用接着性フィルムの巻きつけ部分の白化はなく、巻きつけ後に元の形状に戻る
A:金属端子用接着性フィルムの巻きつけ部分の白化はないが、巻き付け後に完全に元の状態に戻らず、わずかながらにカールしている傾向が見られる
B:金属端子用接着性フィルムの巻きつけ部分の白化はないが、巻きつけ後に元の形状に戻らずカールしている
C:金属端子用接着性フィルムの巻きつけ部分の白化がある
<絶縁性評価(ヒートシール後の金属端子用接着性フィルムの厚みの残存率の測定)>
実施例及び比較例で得られた金属端子用接着性フィルム付き金属端子の金属端子用接着性フィルム中央部をカットし、光学顕微鏡での断面観察により金属端子用接着性フィルムの厚さを測定し、シール前厚さとした。次に、外装材を60×150mmのサイズにカットした後、熱融着性樹脂層を内側にして二つ折りにし、その間に別に用意した金属端子用接着性フィルム付き金属端子を金属端子用接着性フィルムに近い辺を折り目に当てて挟み、7mm幅の上下金属ヘッドのシール機で240℃×1.0MPa×5秒の条件でヒートシールした。このシール部の中央部をカットし、シール前厚さと同様に金属端子用接着性フィルムの厚さを測定しシール後厚さとした。シール後厚さ/シール前厚さ(金属端子の厚さは差し引く)から、金属端子用接着性フィルムの残存率(%)を計算し、絶縁性の評価とした。結果を表1に示す。
Figure 2022175134000002
表1に示された積層構成において、h-PPaは無水マレイン酸で変性されたホモポリプロピレン、r-PPaは無水マレイン酸で変性されたランダムポリプロピレン、h-IPはイミン変性されたホモポリプロピレン、r-IPはイミン変性されたランダムポリプロピレン、h-PBTはホモタイプのポリブチレンテレフタレートを意味しており、括弧内の数値は厚み(μm)である。
実施例1-5の金属端子用接着性フィルムは、ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、かつ、樹脂の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を備えている(実施例1~5では、樹脂層である基材及びポリエステル層の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である)。実施例1-5の金属端子用接着性フィルムは、ヒートシール時の金属端子の形状に対する追従性に優れ、かつ、折り曲げ性にも優れている。
以上のとおり、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
前記金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、前記金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、前記蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、
前記ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、
前記樹脂層は、以下の測定条件において、前記樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を備える、金属端子用接着性フィルム。
<マルテンス硬さの測定条件>
負荷荷重は、10mNである。
荷重印加速度は、1mN/10秒である。
保持時間は、10秒間である。
荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
測定温度は、25℃である。
測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
項2. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率が、700MPa以下である、項1に記載の金属端子用接着性フィルム。
項3. 前記ポリオレフィン層の厚みが、120μm以下である、項1又は2に記載の金属端子用接着性フィルム。
項4. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される、負荷荷重10mNでの押し込み深さhmaxが、3.0μm以上である、項1~3のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項5. 前記樹脂層は、少なくとも、前記ポリオレフィン層側に位置する基材と、前記金属端子用接着性フィルムの前記蓄電デバイス用外装材側の表面を構成するポリエステル層とを含み、前記基材及び前記ポリエステル層の少なくとも一方は、前記マルテンス硬さの測定条件において、前記基材及び前記ポリエステル層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である、項1~4のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項6. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記基材の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率が、1500MPa以下である、項5に記載の金属端子用接着性フィルム。
項7. 前記基材の厚みが、60μm以下である、項5又は6に記載の金属端子用接着性フィルム。
項8. 前記基材は、ポリオレフィン骨格を含む、項5~7のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項9. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記ポリエステル層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率が、2100MPa以下である、項5~8のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項10. 前記ポリエステル層の厚みが、60μm以下である、項5~9のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項11. 前記金属端子用接着性フィルムの厚みが、200μm以下である、項1~10のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項12. 蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムの製造方法であって、
前記金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、前記金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、前記蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、
前記ポリオレフィン層、及び前記樹脂層をこの順に備える積層体を得る工程を備えており、
前記ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、
前記樹脂層は、以下の測定条件において、前記樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を備える、金属端子用接着性フィルムの製造方法。
<マルテンス硬さの測定条件>
負荷荷重は、10mNである。
荷重印加速度は、1mN/10秒である。
保持時間は、10秒間である。
荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
測定温度は、25℃である。
測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
項13. 金属端子に、項1~11のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムが取り付けられてなる、金属端子用接着性フィルム付き金属端子。
項14. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える蓄電デバイスであって、
前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、項1~11のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる、蓄電デバイス。
項15. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える蓄電デバイスの製造方法であって、
前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、項1~11のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムを介在させて、前記蓄電デバイス素子を前記蓄電デバイス用外装材で封止する工程を備える、蓄電デバイスの製造方法。
1 金属端子用接着性フィルム
2 金属端子
3 蓄電デバイス用外装材
3a 蓄電デバイス用外装材の周縁部
4 蓄電デバイス素子
10 蓄電デバイス
11 ポリオレフィン層
12 樹脂層
12a ポリエステル層
12b 基材
13 接着促進剤層
31 基材層
32 接着剤層
33 バリア層
34 接着層
35 熱融着性樹脂層

Claims (15)

  1. 蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
    前記金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、前記金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、前記蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、
    前記ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、
    前記樹脂層は、以下の測定条件において、前記樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を備える、金属端子用接着性フィルム。
    <マルテンス硬さの測定条件>
    負荷荷重は、10mNである。
    荷重印加速度は、1mN/10秒である。
    保持時間は、10秒間である。
    荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
    圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
    測定温度は、25℃である。
    測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
  2. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率が、700MPa以下である、請求項1に記載の金属端子用接着性フィルム。
  3. 前記ポリオレフィン層の厚みが、120μm以下である、請求項1又は2に記載の金属端子用接着性フィルム。
  4. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される、負荷荷重10mNでの押し込み深さhmaxが、3.0μm以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
  5. 前記樹脂層は、少なくとも、前記ポリオレフィン層側に位置する基材と、前記金属端子用接着性フィルムの前記蓄電デバイス用外装材側の表面を構成するポリエステル層とを含み、前記基材及び前記ポリエステル層の少なくとも一方は、前記マルテンス硬さの測定条件において、前記基材及び前記ポリエステル層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
  6. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記基材の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率が、1500MPa以下である、請求項5に記載の金属端子用接着性フィルム。
  7. 前記基材の厚みが、60μm以下である、請求項5又は6に記載の金属端子用接着性フィルム。
  8. 前記基材は、ポリオレフィン骨格を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
  9. 前記マルテンス硬さの測定条件において、前記ポリエステル層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定される押し込み弾性率が、2100MPa以下である、請求項5~8のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
  10. 前記ポリエステル層の厚みが、60μm以下である、請求項5~9のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
  11. 前記金属端子用接着性フィルムの厚みが、200μm以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
  12. 蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムの製造方法であって、
    前記金属端子用接着性フィルムは、少なくとも、前記金属端子側に配置されるポリオレフィン層と、前記蓄電デバイス用外装材側に配置される樹脂層とをこの順に備える積層体から構成されており、
    前記ポリオレフィン層、及び前記樹脂層をこの順に備える積層体を得る工程を備えており、
    前記ポリオレフィン層は、以下の測定条件において、前記ポリオレフィン層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、37N/mm2以下であり、
    前記樹脂層は、以下の測定条件において、前記樹脂層の厚み方向の断面に対して垂直方向に測定されるマルテンス硬さが、98N/mm2以下である層を備える、金属端子用接着性フィルムの製造方法。
    <マルテンス硬さの測定条件>
    負荷荷重は、10mNである。
    荷重印加速度は、1mN/10秒である。
    保持時間は、10秒間である。
    荷重除荷速度は、1mN/10秒である。
    圧子は、正四角錐の先端部分の対面角が136°のビッカース圧子である。
    測定温度は、25℃である。
    測定値は、測定箇所を変更して10回測定し、最大値1つと最小値1つを除いた合計8つの測定値の平均値である。
  13. 金属端子に、請求項1~11のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムが取り付けられてなる、金属端子用接着性フィルム付き金属端子。
  14. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える蓄電デバイスであって、
    前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、請求項1~11のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる、蓄電デバイス。
  15. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える蓄電デバイスの製造方法であって、
    前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、請求項1~11のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムを介在させて、前記蓄電デバイス素子を前記蓄電デバイス用外装材で封止する工程を備える、蓄電デバイスの製造方法。
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