JP2022174399A - 磁気歯車装置 - Google Patents

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博群 戴
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雄真 鈴木
Yushin Suzuki
雄一 立谷
Yuuichi Tatsuya
欽吾 操谷
Kingo Sotani
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Abstract

【課題】非接触で大きな伝達トルクを維持しつつトルクリップルの少ない磁気歯車装置を提供する。【解決手段】磁気歯車装置100は、複数の永久磁石を有する2つの回転子(ロータ)と、その回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片を有する磁性片体を有し、その磁性片によってそれぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車装置において、伝達トルクのトルクリップルの少ない変速比を確保するには、整数倍の変速比ではトルクリップルが大きくなり、製品として極めて不利となるなど制約を受けている。本発明では、回転子間の設けた磁性片体の磁性片の形状を個別に設定した異形の磁性体片の組み合わせにすることで、磁気歯車装置のトルクリップルの低減が図れる。これによって、変速比に制約を受けない磁気歯車装置を提供できる。【選択図】図1

Description

本発明は、磁石の磁気を利用して非接触で動力を伝達する磁気歯車機構に関する。
近年、回転軸間での動力伝達手段として磁気歯車装置が着目されている。磁気歯車装置は、共に円筒形をなす内側磁石筒、外側磁石筒及び、磁性体筒を、両磁石筒間に磁性体筒を介在させて同軸上に支持して構成されている。内側磁石筒の外周と外側磁石筒の内周とには、軸長方向に延びる棒状の磁石が夫々複数配されている。磁性体筒は、複数の棒状の 磁性体を周方向に等間隔を隔て並べ、これらを相互間に配した非磁性の保持体で保持して構成されている。内側磁石筒及び、外側磁石筒の磁石の等配数は相互に異なり、夫々の磁石は、異なる磁極が周方向に相隣するように着磁されている。また、磁性体筒の磁性体の並設数は、両磁石筒の磁石の数の夫々と異ならせてある。
磁気歯車装置は、例えば、内側磁石筒と外側磁石筒とを、回転自在に支持された回転子とし、この2つの回転子間に設けた磁性体筒を、回転不可に支持された固定子とし、内側回転子及び、外側回転子の一方の起磁力が固定子に設けた磁性体により変調されて、他方の回転子に異なる波形の起磁力を与えることにより、両回転子及び、夫々と一体回転する回転軸間にて変速(減速、増速)下での動力(回転トルク)伝達を行わせるように使用される。
磁気歯車装置は、非接触での動力伝達が可能であり、動作時の振動、騒音の発生を低く抑えることができ、また潤滑が不要でメンテナンス性に優れる等の利点を有している。また、内側、外側回転子の磁石、及び固定子の磁性体の並設数の選定により、変速比及び 回転方向を適宜に設定することができる。更に、近年では、希土類鉄ホウ素系磁石等の強い磁力を適用することにより高いトルク密度(サイズ当たりの最大伝達トルク)を得ることが可能となっている。このような事情により、磁気歯車装置は、機械的に噛合する複数の歯車により変速伝動を実現する各種の歯車装置との置き換え使用が切望されている。
ところが、磁気歯車装置のトルク伝動においては、磁石筒としての内側回転子と、外側回転子との相対回転に伴って、両回転子の磁石間の吸引力が、逐次変化することによりコギングトルクが発生し、回転軸間の伝達トルクが周期的に変動するという問題がある。このトルク変動は、動力伝達手段として好ましくない現象であり、磁気歯車装置の実用化においては、コギングトルク及び、コギングトルクが及ぼすトルクリップルの低減が重要な課題となっている。
特許文献1には、磁性体筒として構成された固定子の磁性体(磁性歯部)を、該固定子の軸長方向に対してスキューした状態で設けることによりコギングトルクを低減できることが開示されている。
又、特許文献2では、内側磁石筒及び、外側磁石筒にスキューを持たせることで、コギングトルクの低減を図ったことが開示されている。
特開2013-47546号公報 国際公開WO 2015/053005号
しかしながら特許文献1の開示は、磁性歯部をスキュー配置することに止まっており、コギングトルクの有効な低減のためにはどの程度のスキュー(量、角度等)が必要であるかについては言及されていない。
又、特許文献2には、内外回転子の中間に位置する磁性体の磁性部をスキューさせた場合及び、内外回転子の磁石をスキューさせることで、コギングトルクの低減を図った場合が開示されている。
しかし、これらのコギングトルク及びトルクリップル低減方法は、いずれも磁性体部又は、磁石筒部のいずれかにスキューを持たせた方法である。これらのスキュー構造では、通常、略直方体形状した磁性体をスキュー構造に加工することは困難を伴うとともに、磁気歯車にとって伝達特性や品質を左右する回転体の磁石と、中間に位置する磁性体とのギャップを、磁気歯車の軸長方向の全長にわたって均一に確保ことが難しく、伝達特性の低下や不安定性を招く等の課題がある。
一方、磁気歯車装置の変速比の設定には、磁気歯車を構成する2つの回転体の、内側磁石筒の磁石対極数(Ph)の2Phと、中間磁性体筒の磁極数(Np)のNpの最小公倍数(Nc)が大きい方が、コギングが少ないことが知られている。そのため、磁気歯車の変速比の設定には最小公倍数(Nc)が大きい、変速比が端数に設定されている。このように、コギングトルク及びトルクリップルを考慮した磁気歯車装置の変速比は、端数の設定に限定せざるをえない等の制約が生じ、磁気歯車の用途開拓に不利をもたらしている。
特に、小型の磁気歯車では、対極数が少なくなり、磁気歯車の変速比の設定がさらに難しくなる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、伝達可能トルクを維持しつつ、トルクリップルの少ない磁気歯車装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる磁気歯車装置は、複数極の永久磁石を有する2つの回転子と、その回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片を有し、その磁性片によって、それぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車装置において、前記複数の磁性片を、それぞれ隣り合う磁性片の周方向幅が異なる数個の磁性片を組とした磁性片体とし、該磁性片体を等ピッチに配置したことを特徴とする磁気歯車装置。
請求項2では、前記磁性片体の、磁性片の周方向幅比が、順次0.7ピッチ幅、0.8ピッチ幅、0.3ピッチ幅を1組とした磁性片体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気歯車装置。
請求項3では、前記2つの回転子に配置した永久磁石の磁石対極数比が、整数倍であることを特徴とする請求項1から請求項2に記載の磁気歯車装置。
請求項4では、前記2つの回転子と、前記磁性片体が円盤形状で互いに対向して構成したことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の磁気歯車装置。
請求項5では、前記2つの回転子と、前記磁性片体が円筒形状を成し互いに対向して配置し、それぞれの回転中心が同心状としたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の磁気歯車装置。
請求項6では、前記磁性片は、積層体、圧粉磁心及び、非晶質体等で形成した軟磁性材としたことを特徴とする請求項1~5記載の磁気歯車装置。
請求項7では、前記磁極片体は、非磁性材又は、非金属材で形成した磁性片ホルダーに片面が略同一面に埋め込まれて構成されたことを特徴とする請求項1~6に記載の磁気歯車装置。
本発明によれば、磁気歯車装置の伝達特性の重要な要素部品である2つの回転体の中間に位置する中間固定子の磁性片を、従来は同一形状の磁性片を円周状に均等に複数個配して構成していたが、異なる周方向幅比の磁性片の複数個を組み合わせた磁性片体を等間隔に配置した構造にすることで、伝達トルクのトルクリップルを大幅に軽減した磁気歯車装置を実現することができる。
図1は本発明の第1の実施例にかかる磁気歯車装置であって、図1aは断面図、図1bはその側面図である。 図2は、図1を分解したもので、図2aは低速側回転体を正面から見た正面図、図2bは円盤型固定子の正面図、図2cは高速側回転体正面からみた正面図である。 図3は、図2bの円盤型固定子の磁性片体部の正面図であって、図3aは磁性片を装着した中間固定子の磁性片体部の全体図、図3bはその磁性片の配置形状の関連寸法関係図。 一般的な磁気歯車装置の磁気ギア変速比設定例とトルクリップル値をまとめた表。 本発明によるトルクリップル改善に至る設計仕様と改善効果の推移を示した表。 本発明による第2の実施例の円筒型磁気歯車装置の円筒部を中央部で輪切りにした断面図。 図6の円筒型磁気歯車装置の側断面図。 変速比が整数の9及び、11の磁気歯車装置に本発明によるトルクリップル軽減方法を用いた実施例を示す表である。
以下に、本発明にかかる磁気歯車装置の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。又、各図において共通の部材には同一の符号を付している。さらに、ボルトについてはサイズおよびタイプに拘わらず全てボルトBと呼ぶ。なお、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
本発明の実施例である図1、図2及び、図3に基づき、第1の実施形態にかかる磁気歯車装置について説明する。磁気歯車装置1は、第1回転体2と、第2回転体3と、中間固定子4と、第1回転体の軸10と、第2回転体の軸50とを有する。
第1回転体2はヨークホルダー21と、磁石ヨーク22と、磁石23を有している。第2回転体3はヨークホルダー31と磁石ヨーク32と、磁石33を有している。又、中間固定子4は磁性片体ホルダー41と、磁性片体42を有し、中間固定子4は固定子枠5、6に連結され磁気歯車装置1の本体部の外枠を形成する。以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
第1回転体2のヨークホルダー21は図2(a)に示すように非磁性材の円盤状で、磁石ヨーク22が、前記ヨークホルダー21の片面にねじ止め等で固定され、その内径側で、回転軸10にねじBで固定され、固定子枠5に対し回転自在となっている。磁石ヨーク22は珪素鋼板等の軟磁性材で積層状に形成されており、その片面側に磁石23が接着材等で装着されている。該磁石23は、図2(a)に示すように着磁方向がN極、S極と隣り合う磁石が異極となる態様で円周状に等間隔で装着されている。この磁石23は図2(c)に示す第2回転体の磁石の数より多極となっている。
第2回転体3について説明する。基本構造は第1回転体と同じで、磁石の極数が第1回転体2の磁石の数より少なくなっている。ヨークホルダー31は非磁性体の円盤形状で、磁石ヨーク32が該ヨークホルダー31の片面にねじ止め等で固定され、その内径側は、回転軸50にねじBにて固定され、該回転軸50は固定子枠6に対し、回転自在となっている。磁石ヨーク32は珪素鋼板等の軟磁性材で積層状に形成されており、その片面側に磁石33が接着材等で装着されている。該磁石23は、図2(c)に示すように着磁方向がN極、S極と隣り合う磁石が異極となる態様で円周状に装着されている。該磁石33は、図2(a)に示す第1回転体の磁石の数より少なく、図では6個で3極対となっている。
中間固定子4について説明する。該中間固定子4は図2(b)に示すように、例えばCFRPの非金属材の四角形をした盤で、その中央部に位置する磁性片体ホルダー41には、例えば圧粉磁心材の磁性片体42が、その片面側に接着剤等で円周状に等間隔に埋設されている。該磁性片体42は、それぞれ異なる形状をした磁性片42a、42b、42cを一組とし、その総数は11組で33個の磁性片数を有する。該磁性片42a、42b、42cの個々の形状は、図3(b)に示すように、扇状をしており周方向幅比が円周状に順次、0.7(磁性片42a)、0.8(磁性片42b)、0.3(磁性片42c)となっている。ここで、周方向幅比は、円周(360°)を磁性片数33で除した10.9°を、周方向幅比を1として導いた数値である。このように異なる形状の磁性片にすることによりトルクリップルの少ない磁気歯車装置が実現できる。尚、トルクリップル軽減については後述する。又、中間固定子4は、図1(a)及び(b)に示すように4隅にて固定子枠5及び、固定子枠6にねじBで、固定され、軸受け8を内蔵した複数の軸受けホルダー7に固定され、回転子1及び、回転子2は中間固定子4に対し回転自在となっている。
以上説明した第1回転体2の磁石23と、第2回転体3の磁石33と、中間固定子4の磁性体42が、円盤状で非接触にて対向した態様で配置してなる磁気歯車装置を形成している。これにより、本発明の磁気歯車装置はちなみに、第1回転体2の磁石23の対極数(30個)、第2回転体3の磁石33の磁石対極数(3個)の関係より変速比は10(30/3)となる。
次に、前述した本発明の実施例の根拠となる、磁気歯車装置のトルクリップルを低減する方法を、有限要素法による3次元の磁場解析シミュレーションを用いて算出した磁場解析結果を基に説明する。
磁気歯車装置の変速比を決定する条件として、前記第1の回転子の磁石の対極数(Ph)と、第2の回転子の磁石の対極数(Pl)と、中間体の磁極数(Np)には Np=Ph+Pl が成立するように設定している。
通常、磁気歯車は、前記第1回転子の磁石の対極数(Ph)の2Phと、中間体の磁極数(Np)の最小公倍数(Nc)が大きくなる組み合わせの方が、トルクリップルが少ないことが知られている。これを考慮して変速比を設定すると、後述する図4の表に示すように、整数倍の変速比はトルクリップルが大きくなり、端数の変速比の方が、トルクリップルが小さくなる。
例えば、目標とする変速比(Gr)を10前後の磁気歯車装置の場合、トルクリップルの少ないGr(変速比)=10.33の組み合わせに選定しているのが一般的である。例として、変速比を4つのパターンについて、それぞれの伝達トルク及び、トルクリップル率を磁場解析にて求め、その結果を図4の表にまとめた。図では変速比を、10、10.5、10.33、10.25の4つのパターンについて磁場解析を行い、伝達トルクとトルクリップル率(%)を算出し、表に記した。図4の表中の符号は、Grは2つの回転子間の変速比、Phは第1回転子(高速側)の磁石の対極数、Npは中間固定子の磁性片の磁極数、Pは第2回転子(低速側)の磁石の対極数、Ncは、前記Phの2Phと、前記Npの最小公倍数、Trは第1回転子のトルクリップル率(%)を示す。なお、トルクリップル率(%)は、磁気歯車装置の伝達トルクと、そのトルクの変動値を、%表示とした。又、図4では、高速側回転子の磁石の対極数Phを、Ph=2、Ph=3、Ph=4の場合の、変速比Grが10に対して、Gr=10.5、Gr=10.33、Gr=10.25を対比して記した。その結果、変速比が整数のGr=10と比較して、端数の変速比のGr=10.5、Gr=10.33、Gr=10.25の磁気歯車装置の方が総じて最小公倍数が大きくなり、トルクリップルが小さいことが分かる。この結果より変速比が10前後の磁気歯車装置の変速比には、Gr=10.33が選ばれている。なお、詳細は省くが、変速比が4、5及び、6等の他の事例においても同様に、トルクリップルの小さい変速比が端数の磁気歯車装置が一般的に選定されている。
そこで本発明の磁気歯車装置では変速比が、整数倍の要求に対しても、トルクリップルの少ない磁気歯車装置の実現を可能にする方法を導きだした。
上記の課題に対し、本発明による磁気歯車装置では、磁気歯車装置を形成する前記中間固定子の磁性片体を、形状の異なる複数の磁性片の組み合わせとすることでトルクリップルを低減できることを見出した。以下にその実例について図面を用いて説明する。
図5に、磁気歯車装置の変速比Grを整数倍の10に選定する場合の、選定方法の実例を示す。図5に示す表の縦の欄は、高速側回転体1の磁石の対極数をPh、中間体固定子の磁性体の極数をNp、低速側回転体2の磁石の対極数をP、中間固定子の磁性片体42(図3に示す42a、42b、42c)の周方向幅比をNp幅比、磁気歯車装置の伝達トルク(N・m)、トルクリップル率(%)を表し、横の欄に、変速比が10.33及び、10の場合の前記各諸元値における伝達トルク、及びトルクリップル率を記す。
該表の変速比が10.33の場合、即ち、前記Ph=3、前記Np=34、
前記Pl=31、においてNp幅比が0.5、0.5、0.5では、磁気歯車装置の伝達トルクは28.7N・m、トルクリップル(%)は低速側が2.5%、高速側が2.7%であった。次に、Np幅比をそのままに変速比を10にした場合は(表の2行目)、伝達トルクは28.4N・m、トルクリップル率(%)は低速側が2.8%、高速側が33.3%となり、高速側のトルクリップルが大幅に悪化した。
そこで本発明では、磁気歯車装置の変速比が10のトルクリップル低減方法として、上述した変速比が10の磁気歯車装置の中間固定子の磁性片のNp幅比を、0.7、0.8、0.3 に設定した(表の3行目)。このNp幅比に設定することによって、高速側のトルクリップル率が3.8%と大幅に軽減された。
このNp幅の設定は、詳細は省くが、種々のNp幅にて磁場解析を行い、最適条件を導き出して、上記Np幅に設定した。
以上説明したように、整数倍の変速比が要求される磁気歯車装置のトルクリップル低減方法として、中間固定子の磁性片を、異なる周方向幅比の組み合わせにすることで、大幅に低減できることが分かり、磁気歯車装置の変速比が、整数倍の磁気歯車装置の実現が可能となった。
尚、この方法は、磁気歯車装置の変速比が整数倍に拘らず、適宜磁性片体の周方向幅比の最適化を図ることで、変速比が端数の磁気歯車装置にもトルクリップルの更なる低減が得られることは言うまでもない。
次に、本発明による第2の実施例について、図6及び、図7に基づき説明する。
図6は、本発明の磁気歯車装置の回転体の構造を輪切りにした断面図であり、図7はこの磁気歯車装置の断側面図である。図において100は円筒型磁気歯車装置であって、第1回転体60と、第2の回転体70と、中間固定子80と、第1回転体の回転軸99と、第2回転体の軸90とを有する。
第1回転体60は、ヨークホルダー61と、磁石ヨーク62と、磁石63を有している。第2回転体70は、ヨークホルダー71と、磁石ヨーク72と、磁石73を有している。又、中間固定子80は磁性片体ホルダー81と、磁性片体82を有し、該中間固定子80は、固定子枠83に連結された筒体であって、該固定子枠83の側面に設けた外部連結用ネジ穴96にて、図示しない固定部にネジ締めにて連結される。以下、それぞれの構成について詳細に説明する。
第1回転体60のヨークホルダー61は、図6に示すように非磁性材の円筒状で、前記ヨークホルダー61の内周面には、筒状の磁石ヨーク62が接着剤等で固定され、一方の外周側面にて第1回転子枠65とネジBにて固定される。又、前記第1回転子枠65の内径側は、ネジBにて回転軸99に連結され、軸受け93、軸受け94及び、軸受け95にて、回転軸90、及び中間固定子80に対し回転自在に取り付けられている。
前記磁石ヨーク62は、珪素鋼板等の軟磁性材で積層状に形成されており、その内周側には磁石63が接着剤等で装着されている。該磁石63は、図6に示すように着磁方向が径方向に着磁され、隣り合う磁石が異極となる態様で円周状に等間隔で装着されている。該磁石63は後述する第2回転体の磁石の数より多極となっている。
次に、回転体70について説明する。基本構造は第1回転体と同じで、磁石の極数が第1回転体2の磁石の数より少なくなっている。図において、ヨークホルダー71は、非磁性体の円筒形状で、磁石ヨーク72が前記ヨークホルダー71の外周面に接着等で固定され、その内径側は、回転軸90が挿入され、該回転軸90のキー溝91と、キー92と、2つの軸受け93にて、前記回転軸99、及び中間固定子80に回転自在となっている。
前記磁石ヨーク72は、珪素鋼板等の軟磁性材で積層状に形成されており、その外周面には磁石73が接着材等で装着されている。 さらに該磁石73は、図6に示すように着磁方向が径方向に着磁され、隣り合う磁石が異極となる態様で円周状に等間隔で装着されている。この磁石73は前記第1回転体の磁石の数より少ない極数となっている。
中間固定子80について説明する。該中間固定子80は図6に示すように、例えばCFRPの非金属材の円筒状で、その筒の中心部の磁性体ホルダー81には、例えば圧粉磁心材から成る磁性片体82が、接着剤等で円周状に埋設されている。該磁性片体82は、それぞれ異なる形状をした磁性片82a、82b、82cを1組として円周状に等ピッチに配列されている。その総数は11組で33個の磁性片数を有する。この磁性片82a、82b、82cの個々の形状は、例えば扇状のセグメント形状をしており周方向幅比が第1の実施例と同様に円周状に順次、0.7(磁性片82a)、0.8(磁性片82b)、0.3(磁性片82c)となっている。なお、周方向幅比は、円周(360°)を磁性片数33で除した10.9°を、周方向幅比を1とした。又、中間固定子80は、図7に示すように、回転子80の側面部に設けた固定子枠83の外部取付用ネジ穴にて、図示しない磁気歯車装置取り付け台にねじ止め固定され、軸受け93、94、95にて回転軸90及び、回転軸99が、中間固定子80に対し回転自在となっている。
前記磁気歯車装置の諸元は、実施例1と同様に第1回転子60の磁石の対極数を30、第2回転子の磁石の対極数を3、中間固定子80の磁極数を33で、変速比は10(30:3)となる。この磁気歯車装置100は、前記中間子80の磁性片体の磁性片の形状を第1の実施例と同様の周方向幅比にて、実施例1と略同様のトルクリップル率となり、トルクリップル低減効果が得られることを確認済みである。
又、変速比が10前後の整数比の磁気歯車装置の場合について、前記実施例1で適用したトルクリップル低減方法を用いて改善効果を確認した結果を、図8に基づき説明する。図8の表は、変速比を9、及び11とした場合の磁気歯車装置の各種諸元と、その諸元にて、前述した磁場解析シミュレーションを行い、磁気歯車装置の伝達トルク及び、トルクリップル率を算出し、表に記した。
表は、左側より磁気歯車装置の変速比をGr、磁気歯車装置の高速側回転体の磁石の対極数をPh、中間体の磁性体の極数をNp、低速側回転体の磁石の対極数をPl、中間体固定子の磁性片の周方向幅比をNp幅比、磁気歯車装置の伝達トルク、磁気歯車装置のトルクリップル率(%)を示す。図8の表において、変速比を9の場合の磁気歯車成立条件として、前記Ph=3、前記Pl=27、前記Np=30(Np=3+27)として、Np幅比を0.5、0.5、0.5の場合と、Np幅比を0.7、0.8、0.3の場合で、それぞれの伝達トルク及び、トルクリップル率(%)を磁場解析にて算出し、図8の表に記した。表に示すように、Np幅比が0.5、0.5、0.5と同じ磁性体形状の場合は、高速側のトルクリップルが37.5%に対し、Np幅比が0.7、0.8、0.3と異なる磁性片形状の場合は、高速側のトルクリップル率は、2.9%と大幅に低減され、本発明によるトルクリップル低減方法の有効性が確認された。
同様に、磁気歯車装置の変速比が11についての磁場解析事例を、図8の表の下段2行目に示す。表に記すように変速比が11の諸元設定は、前記Ph=3、前記Pl=33、前記Np=36(3+33)となる。表において、周方向幅比のNp幅比が0.5、0.5、0.5の場合と、Np幅比が0.7、0.8、0.3の場合と比較すると、Np幅比が0.5、0.5、0.5と同じ磁性体形状の場合は、高速側のトルクリップルが31.6%に対し、Np幅比が0.7、0.8、0.3と異なる磁性片形状の場合は、高速側のトルクリップル率は2.7%と、大幅に低減されており、本発明によるトルクリップル低減方法の有効性が、変速比が9の場合と同様に確認された。
以上、本発明による磁気歯車装置の伝達トルクのトルクリップル低減方法について、実施例1及び実施例2にて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
1、100 磁気歯車装置
2、60 第1回転体
3、70 第2回転体
4、80 中間固定子
5、6、83 固定子枠
7 軸受けホルダー
8、93、94、95 軸受け
9 止め輪
10、50、90、99 回転軸
21、31、61、71 ヨークホルダー
22、32、62、72 磁石ヨーク
23、33、63、73 磁石
41、81 磁性片体ホルダー
42、82 磁性片体
42a、42b、42c、82a、82b、82c 磁性片
65 第1回転子枠
91 キー溝
92 キー
96 外部取付台用ネジ穴
B ネジ

Claims (7)

  1. 複数極の永久磁石を有する2つの回転子と、その回転子間に軟磁性材料で構成される複数の磁性片を有し、その磁性片によって、それぞれの磁石極数比の磁束を変調して回転を伝達する磁気歯車装置において、
    前記複数の磁性片を、それぞれ隣り合う磁性片の周方向幅が異なる数個の磁性片を組とした磁性片体とし、該磁性片体を等ピッチに配置したことを特徴とする磁気歯車装置。
  2. 前記磁性片体の、磁性片の周方向幅比が、順次0.7ピッチ幅、0.8ピッチ幅、0.3ピッチ幅を1組とした磁性片体であることを特徴とする請求項1に記載の磁気歯車装置。
  3. 前記2つの回転子に配置した永久磁石の磁石対極数比が、整数倍であることを特徴とする請求項1から請求項2に記載の磁気歯車装置。
  4. 前記2つの回転子と、前記磁性片体が円盤形状で互いに対向して構成したことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の磁気歯車装置。
  5. 前記2つの回転子と、前記磁性片体が円筒形状を成し互いに対向して配置し、それぞれの回転中心が同心状としたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の磁気歯車装置。
  6. 前記磁性片は、積層体、圧粉磁心、非晶質等で形成した軟磁性材としたことを特徴とする請求項1~5記載の磁気歯車装置。
  7. 前記磁性片体は、非磁性材又は、非金属材で形成した磁性片ホルダーに片面が略同一面に埋め込まれて構成されたことを特徴とする請求項1~6に記載の磁気歯車装置。
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