以下、図面を参照して、本技術を適用した実施の形態について説明する。
〈第1の実施の形態〉
〈無線ネットワークの構成例〉
本技術は、無線通信により送信される信号をフレームの途中から検出した場合でも、プリアンブルに記述されたヘッダ情報内のパラメータを特定することができる信号形式で信号送信を行うことで、それらのパラメータを特定し、適切な送信制御を実施することができるようにするものである。これにより、より効率よく通信を行うことができる。
具体的には、フレーム途中に挿入されるミッドアンブルにヘッダ情報の一部を含む構成とし、受信側ではミッドアンブルを検出した場合に、その検出直後の例えば最初のOFDMシンボルを復号することで、ミッドアンブルに含まれるヘッダ情報を抽出することができるようにする。
このヘッダ情報には、例えばBSSを識別するためのBSS Color情報や、高度空間再利用技術(Spatial Reuse)に関するパラメータや、送信電力制御動作の状態を示す情報等が含まれるようにされ、信号の受信側では、これらの情報から適切な判定を行うことができる。
また、ヘッダ情報には、データ部分に変調方式や符号化スキーム(MCS(Modulation and Coding Scheme))の情報や、フレームの残り時間やデータレングスの情報(Length)などのパラメータも適宜、格納されるようにしてもよい。
さらに、MAC Protocol Data Unit(MPDU)単位、つまりサブフレーム単位でミッドアンブルを配置することで、複数のMPDUでアグリゲーションを実施したときでも、MPDUの末尾でパディング処理を行う必要がなくなるようにしてもよい。
これにより、MPDUアグリゲーションを実施する場合でも、フレームの途中からサブフレーム単位で復号を行うことができるので、プリアンブル部分のヘッダ情報を取り逃がしても、途中のMPDUからヘッダ情報を受信することができる。
それでは、以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について説明する。図1は、本技術を適用した無線通信装置を含む無線ネットワークの構成例を示す図である。
図1に示す例では、本技術を適用した無線通信装置と、その周囲に存在する無線通信装置の関係が示されている。
すなわち、無線通信装置STA0は自己の属する第1のベーシックサービスセット、つまりBSS(以下、BSS1と称する)のアクセスポイントAP1と他の無線通信装置STA1とともに無線ネットワークを組んで通信を実施している。
換言すれば、無線ネットワークであるBSS1には無線通信装置STA0、アクセスポイントAP1、および無線通信装置STA1が属している状態となっており、これらの装置により無線通信システムが構成されている。
この例では、検出された信号がBSS1を構成する装置から送信されたものであるかは、その信号に含まれる、BSS1を示すBSS Color情報=0x01により特定可能となっている。BSS Color情報は、そのBSS Color情報が含まれる信号の送信元の装置が属す無線ネットワークを特定するための情報である。
また、無線通信装置STA0の周囲には、周囲に存在する、BSS1とオーバーラップした第2のBSS(以下、OBSS2と称する)のアクセスポイントAP2と無線通信装置STA2も存在している。ここでは、検出された信号がOBSS2を構成する装置から送信されたものであるかは、その信号に含まれる、OBSS2を示すBSS Color情報=0x02により特定可能となっている。
さらに、無線通信装置STA0の周囲には、周囲に存在する、BSS1とオーバーラップした第3のBSS(以下、OBSS3と称する)のアクセスポイントAP3と無線通信装置STA3も存在している。ここでは、検出された信号がOBSS3を構成する装置から送信されたものであるかは、その信号に含まれる、OBSS3を示すBSS Color情報=0x03により特定可能となっている。
このようにBSS1に対して通信可能な範囲がオーバーラップしているOBSS2やOBSS3が存在している場合、例えば無線通信装置STA0では、BSS1を構成するアクセスポイントAP1や無線通信装置STA1から送信された信号だけでなく、アクセスポイントAP2や無線通信装置STA2、アクセスポイントAP3、無線通信装置STA3などの装置により送信された信号も検出される。
BSS1、OBSS2、およびOBSS3の各BSSは、そのBSSを構成する装置間の状況に応じて、送信電力制御を実施して通信する構成となっている。
例えば、BSS1よりも通信状況が良好なアクセスポイントAP2と無線通信装置STA2で構成されるOBSS2では、送信電力を小さくして通信が行われる。また、BSS1よりも通信状況が悪化しているアクセスポイントAP3と無線通信装置STA3が存在するOBSS3では、送信電力を大きくした通信が行われる。
つまり、各BSSでは、その無線ネットワーク(BSS)を構成する装置に応じた送信電力制御が実施される構成になっている。そのため、従来のように所定の送信電力で通信が実施されず、受信した信号の受信電界強度(受信電力)から一意に伝送路の利用の有無を決定できないので、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)による送信制御を実施することが難しくなっていた。
また、近年では高度空間再利用技術によって、例えばOBSS3のアクセスポイントAP3と無線通信装置STA3の通信時に、その通信に影響を及ぼさないように無線通信装置STA0からアクセスポイントAP1へ送信電力を制御した通信を行なうことで、無線伝送路の利用効率を向上することが考えられている。
つまり、自己のBSS内の通信と無関係なオーバーラップするBSS(OBSS)の通信を重ねて実施することで、高度空間再利用を実施する構成になっている。
しかし、自己の送信電力よりも小さい送信電力で通信をしているOBSS2のアクセスポイントAP2と無線通信装置STA2の通信に対しては、無線通信装置STA0からアクセスポイントAP1への通信を実施すると影響が大きいので、送信を控える制御が必要となる。
〈無線通信装置の構成例〉
続いて、図1に示したBSSを構成する装置の構成について説明する。
図2は、本技術を適用した無線通信装置の構成例を示す図である。
図2に示す無線通信装置11は、例えば図1に示したBSS1を構成する無線通信装置STA0や無線通信装置STA1、アクセスポイントAP1などの装置に対応する。
なお、ここでは、無線通信装置11がBSS、つまり無線LANシステムを構成するアクセスポイントAP1等のアクセスポイントおよび無線通信装置STA0等の通信デバイスのどちらとしても動作できる構成とされているとして説明を行う。しかし、無線通信装置11では、必要に応じてそれぞれの動作に不要な部分は省略された構成とされても勿論よい。
無線通信装置11は、インターネット接続モジュール21、情報入力モジュール22、機器制御部23、情報出力モジュール24、および無線通信モジュール25を有している。
インターネット接続モジュール21は、例えば無線通信装置11がアクセスポイントとして動作する場合に、インターネット網に有線によって接続されるアダプタとして機能する。すなわち、インターネット接続モジュール21は、インターネット網を介して受信したデータを機器制御部23に供給したり、機器制御部23から供給されたデータをインターネット網を介して通信相手に送信したりする。
情報入力モジュール22は、例えばユーザによりボタン等が操作されて、ユーザが求める動作が入力された場合に、そのユーザの操作に応じた信号を取得して機器制御部23に供給する。例えば情報入力モジュール22は、ユーザにより各種のボタンやスイッチ、タッチパネル、マウス、キーボードなどが操作された場合や、マイクロホン等に対してユーザが音声等により入力操作を行った場合に、それらの操作入力を判定し、操作に応じて供給される信号を取得する。
機器制御部23は、情報入力モジュール22から供給された信号等に応じて、無線通信装置11全体の動作を制御する。すなわち、機器制御部23は、無線通信装置11の動作の制御を一元的に管理し、演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)や、OS(Operating System)に相当する機能を実現するブロックなどからなる。
例えば機器制御部23は、所定のデータを無線通信モジュール25に供給して、無線通信によりデータを通信相手に送信させたり、その通信相手から受信されたデータを無線通信モジュール25から取得したりする。また、機器制御部23は、情報出力モジュール24に対して情報を供給して、その情報を表示させたりする。
情報出力モジュール24は、例えばディスプレイやスピーカなどからなり、機器制御部23から供給された情報をユーザに対して出力する。例えば情報出力モジュール24は、機器制御部23から供給された情報を自身が備えるディスプレイ等に表示させることで、ユーザに対して所望の情報を提示する。
無線通信モジュール25は、無線通信装置11が実際に無線通信動作を実施するための通信モジュールとして動作する。すなわち、無線通信モジュール25は、機器制御部23から供給されたデータを所定の形式のフレームで無線通信により送信したり、無線通信により送信されてきた信号を受信して、受信した信号から抽出されたデータを機器制御部23に供給したりする。
〈無線通信モジュールの構成例〉
また、無線通信装置11の無線通信モジュール25は、例えば図3に示すように構成される。
図3に示す無線通信モジュール25は、インターフェース51、送信バッファ52、ネットワーク管理部53、送信フレーム構築部54、無線通信制御部55、ヘッダ情報生成部56、ミッドアンブル生成部57、送信電力制御部58、無線送信処理部59、アンテナ制御部60、アンテナ61、無線受信処理部62、検出閾値制御部63、ミッドアンブル検出部64、ヘッダ情報解析部65、受信データ構築部66、および受信バッファ67を有している。
インターフェース51は、例えば機器制御部23等の無線通信装置11を構成する他のモジュールと接続され、他のモジュールから供給されたデータを送信バッファ52に供給したり、受信バッファ67に保持されているデータを他のモジュールに供給したりする。また、インターフェース51は、機器制御部23等の他のモジュールから供給された情報をネットワーク管理部53に供給したり、ネットワーク管理部53から供給された情報を機器制御部23等の他のモジュールに供給したりする。
送信バッファ52は、インターフェース51から供給されたデータを保持し、保持しているデータを送信フレーム構築部54に供給する。
例えば送信バッファ52に保持されるデータは、無線送信するためのMAC層プロトコルデータユニット(MPDU)に格納されるデータである。
ネットワーク管理部53は、周囲の無線通信装置との間で自己とオーバーラップするネットワークを管理する。すなわち、ネットワーク管理部53は、インターフェース51や受信データ構築部66から供給された情報を無線通信制御部55に供給する。また、ネットワーク管理部53は、送信フレーム構築部54に所定数のMPDUからなるフレームの構築を指示したり、受信データ構築部66に所定単位でのデータの構築を指示したりする。
送信フレーム構築部54は、ネットワーク管理部53の指示に従って送信バッファ52に保持されているデータをMPDUに格納したり、複数のMPDUを連結したりすることで、無線通信のための所定のアグリゲーション単位で無線通信フレームを構築する。
送信フレーム構築部54は、構築された無線通信フレームを送信フレームとして無線送信処理部59に供給するとともに、送信フレームに関する必要な情報をヘッダ情報生成部56に供給する。
なお、以下では、無線通信装置11により送信される無線通信フレームを、特に送信フレームとも称し、その送信フレームのMPDUに格納されるデータを送信データとも称することとする。また、無線通信装置11により受信される無線通信フレームを、特に受信フレームとも称し、その受信フレームのMPDUに格納されているデータを受信データとも称することとする。
無線通信制御部55は、所定の通信プロトコルに従って無線伝送路上においてアクセス通信制御を実施する。
すなわち、無線通信制御部55は、ネットワーク管理部53やミッドアンブル検出部64、ヘッダ情報解析部65などから供給された情報等に基づいて、無線通信モジュール25における各部を制御し、無線通信による送信や受信を制御する。
例えば無線通信制御部55は、ヘッダ情報生成部56やミッドアンブル生成部57、送信電力制御部58、アンテナ制御部60、検出閾値制御部63に対して必要な情報を供給して無線通信に関する各種の動作を制御したり、受信した信号等から得られたネットワークに関する情報をネットワーク管理部53に供給したりする。
ヘッダ情報生成部56は、送信フレーム構築部54や無線通信制御部55から供給された情報に基づいてヘッダ情報を含むプリアンブルを生成し、得られたプリアンブルをミッドアンブル生成部57および無線送信処理部59に供給する。すなわち、ヘッダ情報生成部56は、ヘッダ情報を含むプリアンブルを生成するプリアンブル生成部として機能する。
このようにして生成されたプリアンブルは、送信フレームの先頭部分に付加される。なお、ヘッダ情報生成部56からミッドアンブル生成部57には、プリアンブルに含まれる情報のうちの必要な情報のみ供給されるようにしてもよい。
ミッドアンブル生成部57は、ヘッダ情報生成部56や無線通信制御部55から供給された情報に基づいてミッドアンブルを生成し、無線送信処理部59に供給する。
このミッドアンブルには、ヘッダ情報生成部56で生成されたヘッダ情報の少なくとも一部の情報と、ヘッダ情報生成部56で生成されたプリアンブルに含まれるヘッダ情報以外の情報の少なくとも一部の情報とが含まれている。また、ミッドアンブルは、送信フレームの途中に挿入(配置)される。
送信電力制御部58は、無線通信制御部55からの指示に応じて無線送信処理部59やアンテナ制御部60を制御することで、無線通信装置11と無線通信する他の装置に向けて送信される送信フレームの送信電力を必要に応じて調整(制御)する。つまり、送信電力制御部58は、所定の送信電力で送信フレームが送信されるように無線送信処理部59やアンテナ制御部60における動作を制御する。
無線送信処理部59は、送信フレーム構築部54から供給された送信フレームに対してヘッダ情報生成部56から供給されたプリアンブルと、ミッドアンブル生成部57から供給されたミッドアンブルを適切な位置に付加することで、最終的な送信フレームとする。
また、無線送信処理部59は、得られた送信フレームを所定のベースバンド信号に変換して、そのベースバンド信号に基づいて変調処理と信号処理を行い、その結果得られた送信信号をアンテナ制御部60に供給する。すなわち、無線送信処理部59は、アンテナ制御部60およびアンテナ61を介して送信信号(送信フレーム)を送信する。
アンテナ制御部60は、送信電力制御部58の制御に従って、無線送信処理部59から供給された送信信号をアンテナ61から出力(送信)させる。また、アンテナ制御部60は、アンテナ61により受信された受信信号を無線受信処理部62に供給する。
アンテナ61は、複数のエレメントから構成され、アンテナ制御部60から供給された送信信号を無線により送信するとともに、送信されてきた受信信号を受信してアンテナ制御部60に供給する。
無線受信処理部62は、検出閾値制御部63から供給された検出閾値とアンテナ制御部60から供給された受信信号の受信電力とを比較することで、所定のフォーマットで無線伝送される受信信号を、アンテナ61およびアンテナ制御部60を介して受信フレームとして受信する。
検出閾値制御部63は、必要な情報を無線通信制御部55や送信電力制御部58と授受しながら無線受信処理部62で用いられる検出閾値を決定し、無線受信処理部62に供給する。この検出閾値は受信した信号に含まれるプリアンブルやミッドアンブルを検出するのに用いられる。
ミッドアンブル検出部64は、無線受信処理部62で受信された受信信号のフレーム(受信フレーム)の途中に付加されているミッドアンブルを検出し、ミッドアンブルから抽出した情報を無線通信制御部55やヘッダ情報解析部65に供給する。
ヘッダ情報解析部65は、無線受信処理部62で受信された受信信号のフレーム(受信フレーム)の先頭に付加されているプリアンブルを検出し、プリアンブルからヘッダ情報を抽出してヘッダ情報の記述内容を解析するとともに、必要に応じてミッドアンブル検出部64においてミッドアンブルから抽出したヘッダ情報の一部の記載内容を解析する。また、ヘッダ情報解析部65は、抽出したヘッダ情報に含まれる情報を無線通信制御部55や受信データ構築部66に供給する。
すなわち、ヘッダ情報解析部65は、受信フレームからプリアンブルを検出し、検出されたプリアンブルからヘッダ情報等を抽出するプリアンブル検出部として機能する。
受信データ構築部66は、ヘッダ情報解析部65から供給された情報に基づいて、無線受信処理部62で受信された受信信号、つまりアグリゲートされた受信フレームを所定の単位で受信データとして構築する。受信データ構築部66は、構築された受信データをネットワーク管理部53および受信バッファ67に供給する。
受信バッファ67は、受信データ構築部66から供給された受信データを保持し、保持している受信データをインターフェース51に供給する。受信バッファ67で保持されるデータは、受信フレームのMAC層プロトコルデータユニット(MPDU)から抽出された受信データである。
〈フレームフォーマット例〉
ここで、各無線通信装置間で授受される信号のフォーマットについて説明する。
例えばフレームアグリゲーションが行われない場合、一般的に図4に示すフレームフォーマットの送信フレームが無線通信装置間で授受される。
図4に示す例では、送信フレームの1フレーム分のデータの先頭には、プリアンブルが配置されており、そのプリアンブルに続いて送信データが配置される。
すなわち、プリアンブルには、L-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、HE-SIG-A、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが順番に配置されている。
ここで、L-STFは、従来からのショートトレーニングフィールド(Legacy Short Training Field)と呼ばれ、送信フレームのスタート検出、および時間同期処理の基準として利用され、さらに周波数誤差の推定や自動利得制御(AGC(Automatic Gain Control))のためにも利用される。このL-STFは、所定のシーケンスが繰り返されている構成とされることから、受信側の無線通信装置ではこのシーケンスの相関を検出することで、送信フレームの開始位置を検出することができるようになっている。
L-LTFは、従来からのロングトレーニングフィールド(Legacy Long Training Field)と呼ばれ、L-LTFでは所定のシーケンスが繰り返されている構成とされている。L-LTFは、チャネル推定やS/N(Signal/Noise)の推定、時間と周波数の同期を実施するために利用されている。
L-SIGは、従来からのシグナル(Legacy Signal)フィールドと呼ばれ、データ部分のレート情報とレングス情報が先頭のOFDMシンボルに記述される構成となっているシグナリング情報である。
RL-SIGは、この送信フレームが、以前の世代の方式のフレームではなく、HE-PPDUであることを検出するために設定される情報(シグナリング情報)である。
このRL-SIGはL-SIGと全く同じ情報であり、送信フレームでは、L-SIGとRL-SIGを連続して配置することで、結果としてL-SIGが繰り返し配置された構成となっている。
受信側の無線通信装置では、連続して配置されたL-SIGとRL-SIGを検出することで、送信フレームが所定の世代の形式、つまり図4に示すフレームフォーマットの送信フレームであることを特定することができる。
HE-SIG-Aは、高密度なシステムにおけるシグナルのAフィールドとして、空間多重技術を適用可能とするための情報が格納された情報(シグナリング情報)である。
このHE-SIG-Aに含まれているパラメータに従って、所定の通信が実施される構成になっており、HE-SIG-AにはBSS Color情報やSpatial Reuseに係るパラメータが記述されているが、その他にも必要に応じて様々なパラメータが含まれている。
プリアンブルにおけるL-SIG、RL-SIG、およびHE-SIG-Aからなる部分がヘッダ情報とされている。
また、HE-STFは、高密度なシステムにおけるショートトレーニングフィールド(High Efficiency Short Training Field)であり、高密度化のために必要とされる同期処理や物理層パラメータの調整のために利用される。
HE-LTFは、高密度なシステムにおけるロングトレーニングフィールド(High Efficiency Long Training Field)である。
このHE-LTFは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)による空間多重ストリームによる送信を実施する場合に、その空間多重ストリーム数に相当する個数のトレーニングが格納される構成となっている。すなわち、HE-STFの後ろには、所定個数だけHE-LTFが配置されている。
以上のL-STFからHE-LTFの部分が送信フレームの先頭に配置されたプリアンブルとなっている。受信側の無線通信装置では、このようなプリアンブル部分を検出することで、送信フレームが送信されてきたことを把握することができる。
また、プリアンブルに続くDataは送信データを示しており、その送信データに続く、送信フレームの末尾にはPE(Packet Extention)が必要に応じて配置されている。
なお、L-LTFやHE-LTFなどのロングトレーニングフィールド(LTF)は、トレーニングシーケンス部分とガードインターバル部分とから構成されるようにしてもよい。また、ロングトレーニングフィールドは、2つのOFDMシンボルの中に1つのガードインターバルが含まれる構成としてもよいし、2つのOFDMシンボルの中に2つのガードインターバルが含まれる構成としてもよい。
さらに、図4に示したL-SIGは、例えば図5に示すように構成される。
図5に示す例では、L-SIGには文字「RATE」により示されるレート情報、および文字「LENGTH」により示されるレングス情報、文字「P」により示されるパリティビット、文字「Tail」により示されるテイルビット情報などが含まれている。
レート情報は、図4に示した文字「Data」により示される送信データのレート(ビットレート)を示す情報であり、レングス情報は図4に示した文字「Data」により示される送信データの長さを示す情報である。
また、図4に示したHE-SIG-Aは、例えば図6に示すように構成される。
図6に示す例では、HE-SIG-Aには、本技術に関する代表的なパラメータとして、文字「UL/DL」により示されるアップリンク/ダウンリンク識別子情報、文字「MCS」により示されるMCSパラメータ情報、文字「BSS Color」により示されるBSS Color情報、文字「Spatial Reuse」により示される高度空間再利用技術に関するパラメータ情報、文字「Bandwidth」により示される帯域幅情報、文字「GI+TF Size」により示されるガードインターバルとトレーニングフィールドのサイズのパラメータ情報、文字「Nsts」により示される空間多重ストリーム数情報、文字「TXOP Duration」により示される送信機会の持続時間情報、文字「CRC」により示される誤り検出符号(CRC(Cyclic Redundancy Check))、文字「Tail」により示されるテイルビット情報などが含まれている。
例えばMCSパラメータは、送信データ(送信フレーム)の変調方式や符号化スキームを示す情報であり、BSS Color情報は送信データの送信元の装置が属すBSSを示す情報である。
〈フレームアグリゲーション時のフレーム構成例〉
さらに、フレームアグリゲーションを行った場合、一般的な送信フレームのフレーム構成は図7に示すようになる。
図7では、4つのMAC層プロトコルデータユニット(MPDU)が1つの送信フレームとしてアグリゲート(連結)された例となっている。
ここでは、アグリゲートされた送信フレームの先頭のプリアンブル(Preamble)に続いて、「MPDU-1」乃至「MPDU-4」により示される4つのMPDUが配置されており、それらの各MPDUの直前には文字「D」により示されるデリミタ情報が配置されている。
プリアンブルには、所定のレガシートレーニングフィールドや、PHYヘッダ情報、および所定の空間多重ストリームのためのトレーニングフィールドが含まれており、このプリアンブルに4つのMPDUが合成されて1つの送信フレームとされている。
また、各MPDUの直前に配置されたデリミタ情報には、文字「MPDU Length」により示されるMPDUレングス情報やCRCが含まれており、MPDUレングス情報は、デリミタ情報の直後に配置されるMPDUの情報長、つまり長さを示している。
さらに、各MPDUでは、それらのMPDUの先頭部分に文字「MAC Header」により示されるMACヘッダ情報が配置されている。このMACヘッダ情報には、文字「Address」により示されるアドレス情報や、文字「Duration」により示されるDuration情報が格納されている。
ここで、アドレス情報は、MPDUの宛先、つまり送信フレームの送信先の装置を識別するアドレスや受信先の装置を識別するアドレスを示す情報であり、Duration情報はMPDUの持続時間を示す情報である。つまり、このDuration情報により示される持続時間だけMPDUの通信(送受信)が行われることになる。
MPDUでは、MACヘッダ情報に続いて、文字「MAC Data Payload」により示されるペイロード、つまりMPDUに格納される送信データが配置される。このペイロードは可変長となっている。
MPDUにおいて、ペイロードの後ろ、つまりMPDUの最後尾(末尾)には文字「FCS」により示されるフレームチェックシーケンス(FCS(Frame Check Sequence))が配置されている。このフレームチェックシーケンスにより送信フレームの受信側では誤り検出を行うことができるようになっている。
以上のようにして、可変長の送信データが格納されたMPDUを複数束ねてアグリゲートした送信フレーム(バースト)とし、得られた送信フレームを伝送することができる。
ところで、送信フレームの途中に再同期のためのミッドアンブルを挿入する技術が既に提案されており、そのなかには、例えば図8や図9に示すようなミッドアンブル配置とするものが提案されている。
例えば図8の矢印Q11や矢印Q12に示す例は、長いデータユニットにトレーニングフィールドが挿入された構成となっている。
すなわち、文字「Data Sym」により示されるOFDMシンボル(複数)の部分に送信データが格納され、それらの送信データの前にVHT LTF(Very High Throughput Long Training Field)やVHT STF(Very High Throughput Short Training Field)などのトレーニングフィールドが配置されている。
特に、これらの例では殆どの場合に、n個のOFDMシンボルごとにトレーニングフィールドが付加された構成となっていることが分かる。つまり、送信側の無線通信装置から、既知となる予め決められたn個のOFDMシンボルごとにトレーニングフィールドが挿入されて無線送信される構成となっている。
矢印Q11に示す例では、n個のOFDMシンボルごとにVHT STFがミッドアンブルとして挿入されており、矢印Q12に示す例では、VHT STFと複数のVHT LTFがミッドアンブルとして挿入されていることが分かる。
これらのVHT STFやVHT LTFといったトレーニングフィールドが挿入されるOFDMシンボル数は受信側でも把握されている。したがって受信側の無線通信装置では、ヘッダにあるトレーニングフィールドの終了後、所定の数のOFDMシンボルを抽出した後、中間に挿入されたミッドアンブルとしてのトレーニングフィールドを抽出することができる。
また、図9の矢印Q21に示す例ではn個のOFDMシンボルごとに複数個のVHT LTFが挿入されており、さらにVHT LTFが挿入されるOFDMシンボルの個数nの整数倍となるmについて、その倍数mごとにVHT STFが挿入されている。この例でもVHT LTFやVHT STFといったトレーニングフィールドがミッドアンブルとして挿入されている。
その他、矢印Q22に示すように、VHT LTFやVHT STFといったトレーニングフィールドの後にN-SIGを配置することも提案されている。この例では、N-SIGはn個分のOFDMシンボルだけ先の位置に次のトレーニングフィールドが存在するかを示す情報とされている。
〈本技術を適用したフレームの構成例〉
以上のような図8や図9に示した例では、送信フレームの途中にトレーニングフィールドからなるミッドアンブルを挿入するフレーム構成が採用されている。
しかしながら、送信フレームの途中に配置されるトレーニングフィールドは、シンボル同期や周波数誤差を補正することを目的として配置されたものである。そのため、送信フレームを途中から受信したときには、その送信フレームの先頭部分に配置されたヘッダ情報に記述されているパラメータを得ることができなかった。
そこで、本技術では、送信フレームの途中に挿入されたミッドアンブルに、トレーニングフィールドだけでなく、送信フレームのプリアンブル内にあるヘッダ情報に含まれる情報(パラメータ)の少なくとも一部の情報も格納するようにした。
そのような本技術を適用した送信フレームは、例えば図10に示す構成とされる。
図10に示す例では、送信フレームの先頭に、文字「Preamble」により示されるプリアンブルが配置され、そのプリアンブルの後に文字「MPDU-1」乃至「MPDU-4」により示されるアグリゲートされたMPDUが配置されている。また、送信フレーム途中の各MPDUの間には、文字「Mid TF」により示されるトレーニングフィールドが含まれたミッドアンブルが挿入(配置)されている。
換言すれば、送信フレームは、複数のMPDUからなる部分の先頭にプリアンブルが付加され、隣接するMPDU間にミッドアンブルが挿入された構成となっている。すなわち、MPDUごとにミッドアンブルが配置されている。
なお、ミッドアンブルの挿入位置は、予め決められたOFDMシンボル数ごとの位置など、任意の位置とすることができるが、複数のMPDUをアグリゲートして送信フレームを構成した場合に、MPDUの区切りごとに、つまりMPDU単位で、OFDMシンボルの区切りでミッドアンブルを挿入してもよい。特にこの例では、MPDU単位でミッドアンブルが挿入される構成となっている。
一般的な送信フレームでは、ミッドアンブルが所定数のOFDMシンボルごとに配置されていたので、MPDUごとに受信処理を収束させることができなかった。そのため、MPDUの情報長を示す情報とは別に、ミッドアンブルが挿入されるOFDMシンボルの数を伝達するための情報が必要となっていた。
さらに、一般的な送信フレームでは、ミッドアンブルが挿入されるOFDMシンボルの数と、MPDUの情報長との間に明確な相関関係がない。そのため、複数のMPDUをアグリゲートして1つの送信フレームとする場合に、ミッドアンブル挿入位置を把握して、受信した送信フレームのデコードを停止する処理が必要となっていた。
これに対して、図10に示す例のようにMPDU単位でミッドアンブルを配置することで、OFDMシンボルの数を伝達するための情報が不要となり、通信効率を向上させることができる。また、MPDUの途中にミッドアンブルが配置されることがないので、MPDU単位で簡単にデコード等の処理を行うことができる。
送信フレームの先頭に配置されたプリアンブルには、先頭から順番にL-STF、L-LTF、L-SIG、RL-SIG、HE-SIG-A、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが配置されており、これらの各情報の配置は、図4に示した送信フレームのプリアンブルにおける場合と同じ配置となっている。また、プリアンブル部分では、L-STF、L-LTF、HE-STF、およびHE-LTFがトレーニングのための情報となっており、L-SIG、RL-SIG、およびHE-SIG-Aの部分がヘッダ情報となっている。
プリアンブルには従来製品との互換性を保つために、つまり以前の世代の規格との互換性を保つためにレガシーのSTFであるL-STF、レガシーのLTFであるL-LTF、レガシーのSIGNALであるL-SIG、およびL-SIGの繰り返しであるRL-SIGが配置されている。
また、プリアンブルでは、それらのL-STF、L-LTF、L-SIG、およびRL-SIGよりも後の位置には、高密度システムのSTF(ショートトレーニングフィールド)であるHE-STFと、高密度システムのLTF(ロングトレーニングフィールド)であるHE-LTFとが配置されている。特に、ここでは所定個数のHE-LTFが連続して配置されている。
図10の例ではプリアンブルに続いて、文字「MPDU-1」により示される1つのMPDUが配置されており、MPDUには送信データが格納される。ここではデータ部分である各MPDUは予め定められたOFDMシンボルの区切りの長さとされている。このMPDUは、図7に示したMPDUと同じ構成とされ、MPDUの先頭には、アドレス情報およびDuration情報が格納されたMACヘッダ情報が配置され、そのMACヘッダ情報の後ろに送信データ、つまりペイロードが配置される。
さらに、MPDUの後には文字「Mid TF」により示されるミッドアンブルが配置されており、このミッドアンブルには、送信フレーム先頭に配置されたプリアンブル内に含まれる情報の少なくとも一部が格納されている。
つまり、ミッドアンブルには、プリアンブル内のヘッダ情報のうちの少なくとも一部の情報と、プリアンブル内のヘッダ情報以外の情報のうちの少なくとも一部の情報とが含まれている。ここでは、プリアンブルに含まれているヘッダ情報以外の情報はL-STFやL-LTF、HE-STF、HE-LTFといったトレーニングフィールド、つまりトレーニングのための情報となっている。
図10に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、L-LTF、L-SIG、HE MID、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
特に、ここではミッドアンブルにはプリアンブルにおける場合と同じ数だけHE-LTFが連続して並べられて配置されており、L-STF、L-LTF、L-SIG、HE-STF、およびHE-LTFの配置の位置関係は、プリアンブルにおける場合と同じ位置関係となっている。
つまりプリアンブルとミッドアンブルに共通して含まれる情報であるL-STF、L-LTF、L-SIG、HE-STF、およびHE-LTFは、それらの情報の配置も個数もプリアンブルとミッドアンブルとで同じ順番で同じ数だけ配置されている。
なお、ここでは、プリアンブルとミッドアンブルに共通して含まれる情報は、プリアンブル内およびミッドアンブル内で同じ配置となっている例について説明した。しかし、プリアンブルとミッドアンブルに共通して含まれる情報が、プリアンブル内とミッドアンブル内とで異なる配置とされるようにしてもよい。
ミッドアンブルには、L-STF、L-LTF、HE-STF、およびHE-LTFがトレーニングのための情報として格納されており、L-SIGおよびHE MIDがヘッダ情報に含まれる一部の情報として格納されている。
ここで、L-SIGは、例えば図5に示した構成の情報とされ、L-SIGには上述したレート情報やレングス情報が格納されている。また、HE MIDは高密度システムのミッドアンブル情報であり、このHE MIDにはヘッダ情報内のHE-SIG-Aに含まれる情報の一部などが格納されている。なお、HE MIDの詳細については後述する。
さらに、図10の例では、文字「MPDU-1」により示されるMPDU直後に配置されたミッドアンブルに続いて、文字「MPDU-2」により示されるMPDU、ミッドアンブル、文字「MPDU-3」により示されるMPDU、ミッドアンブル、および文字「MPDU-4」により示されるMPDUが順番に配置されている。
したがって、図10に示す送信フレームが送信される場合、まずプリアンブルが送信され、次に1つのMPDUが送信されてからミッドアンブルが送信される。そして、その後は、アグリゲートしたフレームの末尾に到達するまで、順番にMPDUとミッドアンブルが交互に送信されていく。
なお、ここでは所定の長さごとにミッドアンブル(Mid TF)が挿入される例について説明したが、可変長のMPDUごとにミッドアンブルが挿入されるようにしてもよい。
そのような場合、例えば図11に示すようにMPDUの直前にデリミタ情報を配置し、個々のMPDUの長さを特定できるようにすればよい。
図11に示す例では、送信フレームの先頭に文字「Preamble」により示されるプリアンブルが配置され、そのプリアンブルの後に文字「MPDU-1」乃至「MPDU-4」により示されるアグリゲーションされたMPDUが配置されている。ここで、各MPDUの情報長は可変長となっており、また、各MPDUの間には、文字「Mid TF」により示されるミッドアンブルが挿入され、MPDUの直前には文字「D」により示されるデリミタ情報が挿入されている。
図11に示す送信フレームでは、プリアンブル、MPDU、およびミッドアンブルの配置は、図10に示した送信フレームの例と同じであるが、図11に示す送信フレームではさらに各MPDUの直前にデリミタ情報が配置されている。
例えば文字「MPDU-1」により示されるMPDUの直前に配置されたデリミタ情報には、そのデリミタ情報の直後に配置されたMPDUの情報長、つまり長さを示すMPDUレングス情報が含まれている。具体的には、例えばデリミタ情報は図7に示した構成の情報とされ、デリミタ情報にはMPDUレングス情報やCRCが含まれている。
したがって、送信フレームの受信側では、デリミタ情報によって、その直後のMPDUの長さを特定することができるので、そのMPDUの後ろにあるミッドアンブルの位置、つまりミッドアンブルの挿入位置を特定することができる。
なお、図11に示す例では、プリアンブルに含まれる情報とそれらの情報の配置位置、およびミッドアンブルに含まれる情報とそれらの情報の配置位置は図10に示した送信フレームの例における場合と同じとなっている。
〈ミッドアンブルの構成例〉
さらに、ミッドアンブル内に格納される情報(フィールド)や、それらの情報の配置は図10および図11に示した例に限らず、どのようなものであってもよい。
すなわち、ミッドアンブルの構成については様々なバリエーションが想定されており、L-STF、L-LTF、L-SIG、HE MID、HE-STF、およびHE-LTFのうち、HE MIDを必ず含む構成であれば、どのような構成とされてもよい。
具体的には、例えばミッドアンブルは、図12乃至図14に示す構成とすることができる。
図12の矢印Q31に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、L-LTF、L-SIG、HE MID、および所定個数のHE-LTFが配置されている。この例は、図10や図11に示した例におけるHE-STFがない例となっている。
また、矢印Q32に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、L-LTF、HE MID、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが配置されている。この例は、図10や図11に示した例におけるL-SIGがない例となっている。
矢印Q33に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、L-LTF、L-SIG、およびHE-MIDが配置されている。
さらに矢印Q34に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-LTFおよびHE MIDが配置されている。矢印Q35に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、L-LTF、およびHE MIDが配置されている。
矢印Q31乃至矢印Q33や矢印Q35に示す例では、ミッドアンブルの先頭部分に同期を検出するためのL-STFが優先的に配置されているが、矢印Q34に示す例ではミッドアンブルの先頭部分にL-STFではなくL-LTFが配置されている。
また、図13の矢印Q41に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-LTF、L-SIG、HE MID、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
矢印Q42に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-LTF、L-SIG、HE MID、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
矢印Q43に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-LTF、L-SIG、およびHE MIDが配置されている。
矢印Q44に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にHE-STF、所定個数のHE-LTF、およびHE MIDが配置されている。
矢印Q45に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にHE-STF、HE MID、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
矢印Q46に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番に所定個数のHE-LTFおよびHE MIDが配置されている。
例えばHE-LTFだけを受信することで、送信フレームの同期や周波数誤差の補正、チャネル推定などの処理を行うことができるのであれば、ミッドアンブルに必ずしもレガシーのL-SFTやL-LTFを含む必要はない。すなわち、ミッドアンブルの構成は、例えば矢印Q44乃至矢印Q46に示した例のようにL-SFTやL-LTFが省略された構成とされてもよい。
また、レガシーのL-SIGについても、MPDUに付加されるデリミタ情報のMPDUレングス情報からMPDU単位の情報長を把握できれば、必ずしもミッドアンブルに含まれる必要はない。例えば図11に示した例のように各MPDUにデリミタ情報が付加されているフレーム構成である場合には、矢印Q44乃至矢印Q46に示した例のように、ミッドアンブルにL-SIGが含まれていなくてもよい。
さらに、例えば図14の矢印Q51に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にHE-STF、所定個数のHE-LTF、L-SIG、およびHE MIDが配置されている。
矢印Q52に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にHE-STF、L-SIG、HE MID、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
矢印Q53に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番に所定個数のHE-LTF、L-SIG、およびHE MIDが配置されている。
矢印Q54に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、HE MID、L-SIG、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
矢印Q55に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にL-STF、HE MID、および所定個数のHE-LTFが配置されている。
矢印Q56に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にHE-STFおよびHE MIDが配置されている。矢印Q57に示す例では、ミッドアンブルには先頭から順番にHE-STF、L-SIG、およびHE MIDが配置されている。
以上の図12乃至図14で示したようにミッドアンブルとして様々なバリエーションが考えられ、ミッドアンブルには、どのような情報(フィールド)が格納されるようにしてもよい。つまり、必要に応じて所定のフィールドが含まれないようにされてもよい。また、ミッドアンブルに含まれる各フィールドはどのような配列とされてもよい。
〈HE MIDの構成例〉
続いて、本技術を適用したミッドアンブルに格納されるHE MIDの構成例について説明する。
HE MIDは高密度システムのミッドアンブル情報であり、ミッドアンブルのトレーニング(Mid TF)の一部となっている。
HE MIDは例えば図15に示すように構成される。
図15に示す例では、HE MIDには文字「Rate」により示されるレート情報、文字「Remaining Duration(Length)」により示されるDuration情報、文字「P」により示されるパリティ、文字「TPC Level」により示される送信電力制御レベル情報、および文字「Number of HE-LTF」により示されるHE-LTFの個数情報が含まれている。
なお、図15に示すHE MIDにおける文字「R」により示される領域はReserved領域とされている。
また、HE MIDには文字「MCS Parameter」により示される変調方式と符号化スキームに関する情報(以下、MCSパラメータと称する)、文字「Spatial Reuse」により示される高度空間再利用技術に適用するパラメータ、文字「BSS Color」により示されるBSS Color情報、文字「CRC」により示される誤り検出符号(CRC)、および文字「Tail」により示されるTailビットなどが含まれている。
例えばレート情報は、送信フレーム、つまり送信データのレート(ビットレート)を示す情報であり、このレート情報はヘッダ情報内のL-SIGに含まれている情報である。
また、Duration情報は、このDuration情報が含まれるミッドアンブルから、送信フレームの最後(末尾)までの持続時間、つまり送信フレームの送信(受信)が終了するまでの残り時間を示す情報である。
送信電力制御レベル情報は、送信フレームが送信されるときの送信電力のレベルを示す情報であり、HE-LTFの個数情報は、ミッドアンブルに含まれるHE-LTFの個数を示す情報である。
MCSパラメータは、送信フレームの変調方式と符号化スキームを示す情報であり、高度空間再利用技術に適用するパラメータは、例えば高度空間再利用技術により送信データの送信を行うのに必要となる、高度空間再利用のためのパラメータ(情報)である。
BSS Color情報は、送信フレームを送信した無線通信装置が属するBSSを識別する識別情報であり、CRCはミッドアンブル部分の誤り検出符号であり、TailビットはHE MIDの終端位置であることを示すビット列である。
これらのMCSパラメータ、高度空間再利用技術に適用するパラメータ、BSS Color情報、およびCRCはヘッダ情報としてのHE-SIG-Aに含まれている情報である。
また、図15に示す例では、HE MIDの前半部分、すなわちレート情報からパリティまでの部分は、図5に示したレガシーのL-SIGのビット配列と同じとなっている。つまり、HE MIDの前半部分では、図5に示したL-SIGと同様に、先頭からレート情報、Reserved領域、Duration情報、およびパリティが順番に配置されている。
なお、HE MIDの構成は、図15に示した構成に限らず、他のどのような構成であってもよい。すなわち、例えばHE MIDには、図15に示した以外の情報(パラメータ)も必要に応じて格納されるようにしてもよいし、図15に示した情報(パラメータ)の一部のものがHE MIDには含まれないようにしてもよい。また、HE MIDに格納される各情報の配列の順番も任意の順番とすることができる。
〈本技術による通信効率の向上について〉
ところで、一般的な送信フレームでは、先頭部分以外にはヘッダ情報が含まれていない。そのため、無線通信装置が送信フレームの途中から受信を開始した場合、つまりキャリア検出中に送信フレームの途中で信号が検出できた場合、その送信フレームが自己のBSS内の信号であるかを特定することができない。
例えば図1に示した無線通信装置STA1と無線通信装置STA3が送信フレームの送信を行い、無線通信装置STA0が図16に示すようにキャリア検出を行ったとする。
図16に示す例では、無線通信装置STA1が送信フレームFL11を送信しており、無線通信装置STA3が送信フレームFL12を送信している。ここでは、ある時刻において送信フレームFL11の送信も送信フレームFL12の送信も行われている状態となっており、これらの送信フレームは一般的な構成のフレームとなっているものとする。つまり、送信フレームFL11および送信フレームFL12は、ヘッダ情報の一部が含まれたミッドアンブルが挿入されていない構成となっている。
このような状態で、フレーム途中で無線通信装置STA0によりCSMAが開始されたとする。すなわち、無線通信装置STA0がキャリア検出を行ったところ、送信フレームFL11が送信途中で検出され、また、送信フレームFL12も送信途中で検出されたとする。
しかし、無線通信装置STA0では送信フレームFL11の先頭部分は検出できなかったので、すなわち送信フレームFL11のプリアンブルを復号することができなかったので、そのプリアンブル部分に含まれるヘッダ情報内のBSS Color情報を得ることができない。
そのため、無線通信装置STA0は、送信フレームFL11が自己のBSS1内の無線通信装置により送信されたものであるのか、隣接するOBSS内の無線通信装置により送信されたものであるのかを特定することができない。この例では、送信フレームFL11は自己のBSS1の信号となっている。
同様に、無線通信装置STA0では送信フレームFL12の先頭部分を検出できなかったので、無線通信装置STA0は送信フレームFL12のBSS Color情報を得ることができない。そのため、無線通信装置STA0は送信フレームFL12についても自己のBSS1内の無線通信装置により送信されたものであるのか、隣接するOBSS内の無線通信装置により送信されたものであるのかを特定することができない。この例では、送信フレームFL12は自己のBSS1に隣接するOBSS3の信号となっている。
このような場合、無線通信装置STA0はBSS Color情報を得ることができていたならば、高度空間再利用により矢印ST11に示すタイミング、つまり送信フレームFL11に対応するACK(Acknowledgement)フレームの無線通信装置STA1への送信が完了した後のタイミングで、自己が送信したい送信フレームFL13の送信を行うことができたはずである。すなわち、自己のBSS1内の信号の送信が終了した後、隣接するOBSS3内で信号の送信が行われていても、そのOBSS3内での信号の送信中にも送信フレームFL13の送信を行うことができたはずである。
しかし、実際には無線通信装置STA0では送信フレームFL12がOBSS内の無線通信装置により送信されたものであることを特定することができなかったため、その送信フレームFL12の送信が行われている間は送信フレームFL13を送信することができない。そうすると、送信フレームFL12の送信が終了した後の矢印ST12に示すタイミングで送信フレームFL13が送信されることになり、無線通信装置STA0では送信機会の損失が生じてしまう。
これに対して、例えば図1に示した無線通信装置STA1と無線通信装置STA3が、図10や図11に示した構成の送信フレームの送信を行い、無線通信装置STA0が図17に示すようにキャリア検出を行ったとする。
図17に示す例では、無線通信装置STA1が送信フレームFL21を送信しており、無線通信装置STA3が送信フレームFL22を送信している。
この例においても図16に示した例と同様に、ある時刻において送信フレームFL21の送信も送信フレームFL22の送信も行われている状態となっている。特に、この例では、送信フレームFL21や送信フレームFL22の途中に挿入された文字「M」により表される部分がミッドアンブルを表しており、そのミッドアンブルには図15に示したHE MIDが格納されている。
このような状態で、フレーム途中で無線通信装置STA0がキャリア検出を行ったところ、送信フレームFL21が送信途中で検出され、また、送信フレームFL22も送信途中で検出されたとする。
この場合、無線通信装置STA0は、送信フレームFL21の先頭部分、つまりプリアンブル部分は復号できなかったが、フレーム途中のミッドアンブルMD11の部分を復号することができたので、そのミッドアンブルMD11からBSS Color情報を得ることができる。これにより、無線通信装置STA0は、送信フレームFL21が自己のBSS1の信号であることを特定することができる。特に、この例では、ミッドアンブルMD11内のHE MIDからBSS Color情報を得ることができる。
同様に、無線通信装置STA0は、送信フレームFL22のプリアンブル部分は復号できなかったが、フレーム途中のミッドアンブルMD12の部分を復号することができたので、そのミッドアンブルMD12からBSS Color情報を得ることができる。これにより、無線通信装置STA0は、送信フレームFL22が自己のBSS1に隣接するOBSS3の信号であることを特定することができる。
したがって、無線通信装置STA0では高度空間再利用による信号送信が可能となり、送信フレームFL21に対応するACKフレームの送信が完了した後の矢印ST21に示すタイミングで自己が送信したい送信フレームFL23の送信を行うことができる。つまり、OBSSの信号が検出されていても、そのOBSSの信号の送信終了を待つことなく自己のBSS1内の通信を開始し、送信フレームFL23を送信することができる。
ここでは、自己のBSS1の信号が検出されなくなった後、OBSS3の信号のみが検出されている期間に送信フレームFL23の送信が開始されている。以上のようにすることで、本技術では、送信機会の拡大を図り、より効率よく通信を行うことができる。
また、例えば図1に示したアクセスポイントAP1が無線通信装置STA0に送信フレームを送信しており、同時に図1に示したアクセスポイントAP2が無線通信装置STA2に送信フレームを送信しているとする。
ここで、アクセスポイントAP1やアクセスポイントAP2により送信される送信フレームが一般的な構成のフレームであり、ヘッダ情報の一部が含まれたミッドアンブルが挿入されていない構成となっているとする。
そのような場合、例えば図18に示すように送信フレームのヘッダ情報を正しく受信できないと、送信フレームの再送によって伝送効率(通信効率)が低下してしまう。
図18に示す例では、自己のBSS1のアクセスポイントAP1が無線通信装置STA0宛ての送信フレームFL31を送信している途中で、OBSS2のアクセスポイントAP2が無線通信装置STA2宛ての送信フレームFL32を送信している。
ここでは、無線通信装置STA0は、送信フレームFL31を正しく受信することができたので、受信できた旨のACKフレームFL33をアクセスポイントAP1宛てに送信している。
しかし、このACKフレームFL33によって干渉(衝突)が発生し、無線通信装置STA2では送信フレームFL32を正しく受信することができず、通信エラーが発生した状態となっている。無線通信装置STA2は、送信フレームFL32の正しく受信できたMPDUのみを示すACKフレームFL34をアクセスポイントAP2宛てに送信する。
また、ACKフレームFL34の送信のタイミングでは、アクセスポイントAP1から無線通信装置STA0宛ての送信フレームFL35が送信されているが、この送信フレームFL35とACKフレームFL34の干渉により、無線通信装置STA0で通信エラーが発生している。すなわち、無線通信装置STA0では送信フレームFL35を正しく受信できなかった状態となっている。無線通信装置STA0は、送信フレームFL35の正しく受信できたMPDUのみを示すACKフレームFL36をアクセスポイントAP1宛てに送信する。
さらに、アクセスポイントAP2は、ACKフレームFL34に応じて、送信フレームFL32の正しく受信されなかったMPDUに対応する送信フレームFL37を再送するが、この送信フレームFL37とACKフレームFL36の干渉により、無線通信装置STA2で通信エラーが発生している。つまり、無線通信装置STA2では送信フレームFL37が正しく受信できない状態となっている。
このように図18に示す例では、BSS1のアクセスポイントAP1から無線通信装置STA0への通信中に、近隣のOBSS2のアクセスポイントAP2から無線通信装置STA2への通信も行われている。そして、それらの通信のACKフレームによって、互いに通信エラーが発生しているが、それ以降の送信フレームの再送時に送信電力の制御が行われていないため、信号の衝突が繰り返し発生し、通信効率が低下してしまっている。
一般的な構成の送信フレームでは、送信フレームの途中で、BSSを識別するBSS Color情報や送信電力制御レベル情報(TPC Level)、高度空間再利用技術に適用するパラメータ(Spatial Reuse)を得ることができない。そのため、信号の衝突が発生した場合、再送時やACKフレームの返送時に送信電力の制御を行うことができず、信号の衝突が繰り返し発生してしまうことがあった。
これに対して、例えば図1に示したアクセスポイントAP1が無線通信装置STA0に送信フレームを送信しており、同時に図1に示したアクセスポイントAP2が無線通信装置STA2に送信フレームを送信しており、それらの送信フレームが図10や図11に示した構成のフレームであるとする。つまり、図10や図11に示したように送信フレームの途中にミッドアンブルが配置されており、そのミッドアンブルに図15に示したHE MIDが格納されているとする。
このような状態で、例えば図19に示すようにミッドアンブルから得られる情報を用いて送信フレームの送信電力制御を行い、高度空間再利用により信号を送信すれば、信号の衝突の発生を抑制し、より効率よく通信を行うことができる。
図19に示す例では、自己のBSS1のアクセスポイントAP1が無線通信装置STA0宛ての送信フレームFL41を送信している途中で、OBSS2のアクセスポイントAP2が無線通信装置STA2宛ての送信フレームFL42を送信している。
ここでは、無線通信装置STA0は、送信フレームFL41を正しく受信することができたので、受信できた旨のACKフレームFL43をアクセスポイントAP1宛てに送信している。また、このとき無線通信装置STA0は送信フレームFL42のミッドアンブルMD21も受信できている。
ところが、ACKフレームFL43によって干渉(衝突)が発生し、無線通信装置STA2では送信フレームFL42を正しく受信することができず、通信エラーが発生した状態となっている。無線通信装置STA2は、送信フレームFL42の正しく受信できたMPDUのみを示すACKフレームFL44をアクセスポイントAP2宛てに送信する。
また、ACKフレームFL44の送信のタイミングでは、アクセスポイントAP1から無線通信装置STA0宛ての送信フレームFL45が送信されているが、この送信フレームFL45とACKフレームFL44の干渉(衝突)により、無線通信装置STA0で通信エラーが発生している。
さらに、アクセスポイントAP2は、ACKフレームFL44に応じて送信フレームFL42に対応する送信フレームFL46を再送しており、この送信フレームFL46は正しく無線通信装置STA2により受信されている。また、送信フレームFL46のプリアンブルPR11は、無線通信装置STA0でも受信されている。
無線通信装置STA0は、送信フレームFL45を正しく受信できなかったので、送信フレームFL45の正しく受信できたMPDUのみを示すACKフレームFL47をアクセスポイントAP1宛てに送信するが、このとき無線通信装置STA0はACKフレームFL47の送信電力制御を行う。
すなわち、無線通信装置STA0では、事前に受信(検出)されたミッドアンブルMD21やプリアンブルPR11に基づいて、BSS Color情報や送信電力制御レベル情報などを得ることができる。例えば無線通信装置STA0は、BSS Color情報により、自己のBSS1に隣接するOBSS2の信号が送信されていることを把握することができる。
そこで、無線通信装置STA0は、実際に受信したOBSS2の送信フレームFL46の受信電力などに基づいて、送信フレームFL46との衝突が発生しない程度の送信電力でACKフレームFL47を送信する。つまり、ACKフレームFL47がOBSS2での通信に影響を与えないようにACKフレームFL47の送信電力が設定される。
これにより、略同じタイミングで送信されている送信フレームFL46とACKフレームFL47が互いに衝突してしまうことを回避した通信を実現することができ、通信効率を向上させることができる。
また、以降においてアクセスポイントAP1やアクセスポイントAP2、無線通信装置STA2でも、無線通信装置STA0における場合と同様にして送信電力制御を行うことで、互いの信号が干渉しなくなるので、再送回数を極力少なくすることができる。つまり、BSS1での通信とOBSS2での通信を共存させることができ、高度空間再利用技術を効果的に実施することができる。
また、OBSSからの信号を検出するための検出閾値と自身の許容送信電力は、例えば図20に示すようになる。なお、図20において横軸は自身が送信する送信フレームの送信電力を示しており、縦軸は受信されたOBSSからの信号の受信電力(受信電界強度)を示している。
図20に示す例では、受信電力の値OBSS_PDmaxが検出閾値として用いられている。また、斜線が施された領域R11は、高度空間再利用技術を適用した場合に、近隣に存在しているOBSSからの信号レベル(受信電力)を検出したときに、自己のBSS内で送信電力制限により送信フレームを送信することが許容される送信電力の範囲を示している。
つまり、自己の送信フレームの送信電力と、受信したOBSSの信号の受信電力との組み合わせにより定まる位置が領域R11内の位置となるように送信電力を制御すれば、OBSSでの通信に影響を与えることなく送信フレームを送信することができる。
ここで、OBSSでの通信に影響を与えることがないとは、OBSSにおいて、OBSSの信号とBSSの信号との衝突が発生せず、OBSSの信号がその信号の宛先の無線通信装置により正常に受信することができる、つまり通信エラーが発生しない状態であることをいう。
換言すれば、OBSSからの信号が検出されていても、送信フレームの送信電力を、OBSSからの信号の受信電力に対して定められた電力以下の送信電力とすれば、自己のBSSで高度空間再利用技術を適用して送信フレームを送信することが可能となる。これにより、伝送効率を向上させることができる。
以上のように、本技術では、送信フレームの途中に図10や図11に示した構成のミッドアンブルなど、ヘッダ情報の一部が含まれるミッドアンブルを配置し、送信フレームの受信側においてそのミッドアンブルを検出するようにした。
これにより、受信側では、ミッドアンブルを検出することで、プリアンブルからだけでなく、ミッドアンブルからもヘッダ情報の一部の情報(パラメータ)を得ることができ、送信フレームの特性を把握して、より効率よく通信を行うことができる。
すなわち、一般的な構成の送信フレームでは先頭のプリアンブル部分を正しく復号できなければ得ることができなかったヘッダ情報の一部の情報をミッドアンブルにも格納することで、ヘッダ情報の一部の情報を送信フレームの途中からでも得ることができる。これにより、高度空間再利用を効果的に実施することができる。
また、ミッドアンブル内に高度空間再利用技術で利用されるパラメータを格納することで、送信フレームの受信側において、高度空間再利用が可能か否かを送信フレームの途中で判別することができる。
すなわち、高度空間再利用技術で利用されるパラメータとして、例えばBSS Color情報などをミッドアンブルに格納することで、受信フレームが自己のBSSの信号であるか、他のOBSSの信号であるのかを特定することができる。
さらに、本技術では、特定のトレーニングシーケンスパターンの有無からミッドアンブルを検出することで、ミッドアンブル内に高度空間再利用技術で利用されるパラメータが格納されているかを特定できるようにした。これにより、自己のBSSで利用されるトレーニングシーケンスパターン以外のパターンを検出した場合には、受信した信号がオーバーラップするOBSSからの信号であると特定することができる。
また、サブキャリアの一部にこれらの情報(ミッドアンブル)を配置することで、大部分のサブキャリアはデータ伝送に利用しつつ、データ送信中に高度空間再利用技術で利用されるパラメータをあわせて通知することができる。
その他、本技術では、高度空間再利用技術以外にも、送信フレームの持続時間を示すDuration情報や、変調方式と符号化スキームを示すMCSパラメータなどもミッドアンブルに格納して通知することができる。
また、MPDU単位でミッドアンブルを配置することで、MPDUごとに送信フレームを復号することができ、無駄なパディングの付加や除去を行わずに済むことになる。
〈送信処理の説明〉
続いて無線通信装置11の動作について説明する。
まず、無線通信装置11が送信フレームを送信するときに行われる送信処理について説明する。すなわち、以下、図21のフローチャートを参照して、無線通信装置11による送信処理について説明する。
ステップS11において、ネットワーク管理部53は、送信データが供給されたか否かを判定する。
例えば無線通信装置11が他の無線通信装置に対して送信データを送信する場合、アプリケーションプログラム等で入力された送信データが、機器制御部23から無線通信モジュール25のインターフェース51を介して送信バッファ52へと供給される。
また、送信データが送信バッファ52へと供給されると同時に、機器制御部23からネットワーク管理部53には、インターフェース51を介して送信データの宛先を示す宛先情報、無線通信装置11の通信相手に関する通信相手情報、および送信データのデータ形式を示すデータ形式情報が供給される。
ネットワーク管理部53は、機器制御部23から宛先情報、通信相手情報、およびデータ形式情報が供給された場合、ステップS11において送信データが供給されたと判定する。
なお、通信相手情報は送信データの宛先となる無線通信装置に関する情報であり、例えば通信相手情報から、通信相手となる無線通信装置が図10や図11に示した構成の送信フレーム等、どのような構成の送信フレームを処理可能であるかを特定することができる。
ネットワーク管理部53は、このようにして得られた宛先情報、通信相手情報、およびデータ形式情報を、必要に応じて送信フレーム構築部54および無線通信制御部55に供給する。また、無線通信制御部55は、ネットワーク管理部53から供給された宛先情報、通信相手情報、およびデータ形式情報を、必要に応じてヘッダ情報生成部56やミッドアンブル生成部57などに供給する。
送信フレーム構築部54は、必要に応じてネットワーク管理部53から供給された情報を用いて、送信バッファ52に保持されている送信データからMPDU単位のデータ(以下、MPDUデータとも称する)を構築(生成)し、無線送信処理部59に供給する。すなわち、送信データがMPDUに格納されて無線送信処理部59に供給される。
このとき、例えば送信フレーム構築部54は、ネットワーク管理部53から供給された宛先情報やデータ形式情報に基づいて、MPDUデータの先頭のMACヘッダ情報を生成する。具体的には、例えば宛先情報に基づいてMACヘッダ情報に含まれるアドレス情報が生成される。
これらのMPDUデータは、例えば図10や図11に示した文字「MPDU-1」乃至「MPDU-4」により示されるMPDUに対応する。
なお、送信フレームが図11に示した構成とされる場合には、送信フレーム構築部54は、MPDUデータだけでなくデリミタ情報も生成し、無線送信処理部59に供給する。
ステップS11において、送信データが供給されていないと判定された場合、処理はステップS11に戻り、送信データが供給されるまで上述した処理が繰り返し行われる。
これに対してステップS11において送信データが供給されたと判定された場合、ステップS12において、ヘッダ情報生成部56は、無線通信制御部55から供給された情報等に基づいてヘッダ情報のパラメータの設定を行う。
すなわち、ヘッダ情報生成部56は、例えば図5に示した構成のL-SIGを生成するとともに、そのL-SIGをコピー(複製)してRL-SIGとし、さらに例えば図6に示した構成のHE-SIG-Aを生成してL-SIG、RL-SIG、およびHE-SIG-Aを並べてヘッダ情報とする。このようにしてヘッダ情報が生成されると、さらにヘッダ情報生成部56は、得られたヘッダ情報やL-STF、L-LTF、HE-STF、HE-LTFからプリアンブルを生成し、得られたプリアンブルを無線送信処理部59に供給する。また、ヘッダ情報生成部56は、ヘッダ情報を含むプリアンブルをミッドアンブル生成部57に供給する。
ステップS13において、ネットワーク管理部53は、機器制御部23から供給された通信相手情報に基づいて、通信相手となる無線通信装置、つまり送信フレームの宛先(送信先)となる無線通信装置が図10や図11に示した形式(構成)の送信フレームに対応可能であるか否かを判定する。つまり、通信相手が図10や図11に示したミッドアンブルを有する信号形式の送信フレームの受信に対応しているか否かが判定される。
ステップS13において、対応可能であると判定された場合、ネットワーク管理部53は、無線通信制御部55に対して、図10や図11に示したミッドアンブルの生成を指示し、その後、処理はステップS14へと進む。
ステップS14において、無線通信制御部55は、ネットワーク管理部53からの指示に応じて、ミッドアンブルの挿入位置を設定する。例えば無線通信制御部55は、ネットワーク管理部53から供給されたデータ形式情報に基づいて、送信フレームの構成(形式)に応じた位置をミッドアンブルの挿入位置とする。
具体的には、例えばデータ形式情報により示される送信フレームの構成が、MPDUを固定長とする構成である場合、無線通信制御部55は、プリアンブルの長さ(情報長)と、固定長であるMPDUの長さ(情報長)とに基づいて、各ミッドアンブルの挿入位置を定める。このとき、各MPDUの直後にあたるOFDMシンボルの位置にミッドアンブルが配置されるようにされる。
また、例えばデータ形式情報により示される送信フレームの構成が、MPDUを可変長とする構成である場合、無線通信制御部55は、プリアンブルの情報長と、データ形式情報により示される各MPDUの情報長に基づいて、各ミッドアンブルの挿入位置を定める。この場合においても各MPDUの直後にあたるOFDMシンボルの位置にミッドアンブルが配置されるようにされる。
さらに、無線通信制御部55は、ミッドアンブルの生成に必要な情報、例えばDuration情報や送信電力制御レベル情報、およびHE-LTFの個数情報などをミッドアンブル生成部57に供給し、ミッドアンブルの生成を指示する。
ステップS15において、ミッドアンブル生成部57は、無線通信制御部55から供給された情報や、ヘッダ情報生成部56から供給されたプリアンブルに基づいて、ミッドアンブル内のパラメータを設定する。すなわち、ミッドアンブル生成部57は、例えば図10や図11に示した構成のミッドアンブルを生成する。
例えば図10や図11に示した構成のミッドアンブルが生成されるときには、L-STF、L-LTF、L-SIG、HE MID、HE-STF、および所定個数のHE-LTFが含まれたミッドアンブルが生成されることになる。
また、無線通信制御部55は、ステップS14で設定された挿入位置に応じて、ミッドアンブル生成部57に対してミッドアンブルの出力を指示する。ミッドアンブル生成部57は、無線通信制御部55の指示に応じて、生成したミッドアンブルを適切なタイミングで順次、無線送信処理部59に供給する。
このように高度空間再利用技術に用いられるパラメータ、すなわちBSS Color情報等のヘッダ情報の一部を含むミッドアンブルを生成することで、送信フレームをフレーム途中から受信した周囲の無線通信装置に対して、送信フレームの特性を通知することが可能となる。これにより、受信側では送信フレームの途中からでも送信フレームの復号を行うことができる。
なお、図10や図11に示した構成のミッドアンブルだけでなく、図12乃至図14に示した構成のミッドアンブルなど、互いに構成の異なる複数のミッドアンブルを予め用意し、ミッドアンブル生成部57が、それらの複数の構成のうちの任意の構成のミッドアンブルを生成するようにしてもよい。そのような場合、ミッドアンブル生成部57は、無線通信制御部55の制御に従って複数の構成のなかから1つの構成を選択し、その選択した構成のミッドアンブルを生成する。例えばミッドアンブルの構成の選択は、通信相手情報やデータ形式情報に基づいて行われるようにすればよい。
ミッドアンブルが生成されると、その後、処理はステップS16へと進む。
また、ステップS13において対応可能でないと判定された場合、その後、処理はステップS16へと進む。
ステップS13において対応可能でないと判定されたか、またはステップS15の処理が行われると、ステップS16の処理が行われる。
ステップS16において、送信電力制御部58は、無線通信制御部55からの制御に応じて無線通信装置11から送信する送信フレームの送信電力値を推定し、その推定により得られた送信電力(送信電力値)を設定する。なお、送信電力は、図10や図11に示した構成の送信フレームの受信に対応可能である無線通信装置でもそうでない無線通信装置でも送信フレームを受信することができる値に設定される。
具体的には、送信電力制御部58は、無線通信制御部55により指定された送信電力、例えばミッドアンブルに格納される送信電力制御レベル情報により示される送信電力を、送信フレームの送信電力としてもよい。
また、送信電力制御部58は、検出閾値制御部63を介して無線受信処理部62から供給された、無線通信装置11が受信した信号(受信フレーム)の受信電力、すなわち例えば後述する図22のステップS61で得られた受信電界強度情報により示される受信電力に基づいて、送信フレームの送信電力を定めてもよい。
さらに、送信電力制御部58は、無線通信制御部55により指定された送信電力と、受信電界強度情報により示される受信電力との両方に基づいて、送信フレームの送信電力を定めるようにしてもよい。
つまり、何れの方法により送信電力を定める場合でも、受信電力と送信電力の関係が図20に示した許容範囲である領域R11内の位置の関係となり、送信フレームを受信する無線通信装置が送信フレームを受信可能となるような送信電力を定めればよい。換言すれば、送信電力が、受信電力により定まる所定値以下、つまり図20に示した領域R11により定まる所定値以下となるように送信電力を定めればよい。
ステップS17において、無線通信制御部55は、自己のBSSについての送信禁止期間、つまり送信フレームの送信を行うことができない期間を示すNAV(Network Allocation Vector)情報を取得する。
具体的には、無線通信装置11において他の無線通信装置から送信された送信フレームを受信フレームとして受信した場合、その受信フレームのプリアンブルやミッドアンブルに格納されたBSS Color情報を得ることができる。つまり、無線通信制御部55はヘッダ情報解析部65から供給されたヘッダ情報に格納されたBSS Color情報や、ミッドアンブル検出部64から供給されたHE MIDに格納されたBSS Color情報から、受信フレームがBSSの信号であるか、またはOBSSの信号であるかを特定することができる。
そして、無線通信制御部55は、受信フレームがBSSの信号であるときには、その受信フレームから抽出され、ネットワーク管理部53を介して受信データ構築部66から供給されたMPDUデータのMACヘッダ情報に格納されたDuration情報から、MPDUデータ、つまり受信フレームの送信が完了するタイミングを特定することができる。
無線通信制御部55は受信フレームの送信が完了するタイミングの特定結果に基づいて、そのタイミング後における、自己が送信フレームの送信を開始することができるようになるまでの現時刻からの時間を示すNAV情報を自己のBSSのNAV情報として生成する。このようなNAV情報は、BSSにおける通信状況を示す情報であるということができる。
なお、NAV情報は新たにMPDUデータが受信されるごとに設定し直されるようにしてもよい。また、NAV情報の生成には、受信フレームから抽出され、ミッドアンブル検出部64から供給されたHE MID内のDuration情報や、受信フレームから抽出され、ヘッダ情報解析部65から供給されたヘッダ情報内のレングス情報などが用いられてもよい。
ここでは、所定の時間が経過するごとにBSSのNAV情報の値が1ずつデクリメントされていき、NAV情報の値が0となったとき、自己の送信フレームを送信することができるようになる。
ステップS18において、無線通信制御部55は、高度空間再利用により送信フレームを送信するか否かを判定する。
ステップS18において高度空間再利用により送信フレームを送信すると判定された場合、ステップS19において、無線通信制御部55は、OBSSのNAV情報を取得する。
すなわち、無線通信制御部55は、ステップS17におけるBSSのNAV情報の取得時と同様にして、OBSSの信号であるとされた受信フレームのプリアンブルやミッドアンブルから得られた、Duration情報やレングス情報などからOBSSのNAV情報を生成する。OBSSのNAV情報が得られると、その後、処理はステップS20へと進む。
このように無線通信装置11では、受信フレームからBSS Color情報を取得したり、BSSやOBSSのNAV情報を得たりすることで、受信フレームがBSSまたはOBSSのどちらの信号であるかを特定するなどし、効率よく高度空間再利用による通信を行うことができる。
本技術では、プリアンブルだけでなくミッドアンブルにもBSSやOBSSを特定するBSS Color情報が格納されているため、受信フレームの途中から受信を行ったときでも、受信フレームがBSSの信号であるか、またはOBSSの信号であるかを特定することができる。
そのため、無線通信制御部55では、BSSや各OBSSについて、それらの無線ネットワークごとの通信状況を示すNAV情報を得ることができる。換言すれば、無線通信制御部55は、NAV情報を用いて、すなわちBSS Color情報やDuration情報に基づいて無線ネットワークごとに、個別にそれらの無線ネットワークの通信状況を管理することができる。
一方、ステップS18において高度空間再利用により送信フレームを送信しないと判定された場合、その後、処理はステップS20へと進む。
ステップS18において高度空間再利用により送信フレームを送信しないと判定されたか、またはステップS19の処理が行われると、ステップS20の処理が行われる。
すなわち、ステップS20において、無線通信制御部55はNAV情報に基づいて、送信フレームの送信権を獲得したか否かを判定する。
例えば高度空間再利用により送信フレームを送信する場合、無線通信制御部55はOBSSのNAV情報の値が0でなくても、BSSのNAV情報の値が0であり、かつステップS16で定めた送信電力と受信電力とから隣接するOBSSに影響を与えることなく送信フレームを送信可能であるときに送信権を獲得したと判定する。
具体的には、例えば無線通信装置11が受信している受信フレームがOBSSの信号であり、その受信電力が図20に示した送信電力と受信電力の関係から定まる所定の電力以下であるとする。この場合、無線通信制御部55は、送信フレームの送信権を獲得したと判定し、ステップS16で送信電力制御部58により定められた送信電力で送信フレームが送信されるように、無線送信処理部59による送信フレームの送信を制御する。
また、例えば高度空間再利用を行わずに送信フレームを送信する場合、無線通信制御部55はBSSのNAV情報の値が0であるときに送信権を獲得したと判定する。
ステップS20において送信権を獲得していないと判定された場合、無線通信制御部55は所定時間経過後、保持しているBSSのNAV情報の値とOBSSのNAV情報の値をそれぞれ1だけデクリメントし、その後、処理はステップS20に戻る。つまり、送信権が獲得されるまで、ステップS20の処理が繰り返し行われる。
これに対して、ステップS20において送信権を獲得したと判定された場合、ステップS21において、無線送信処理部59は送信フレームのプリアンブルを送信する。
すなわち、無線送信処理部59は、ヘッダ情報生成部56から供給されたプリアンブルに対して、ベースバンド信号への変換処理や変調処理などを行い、その結果得られた送信信号をアンテナ制御部60に供給する。
また、アンテナ制御部60は、無線送信処理部59から供給された送信信号をアンテナ61から出力させる。このとき、無線送信処理部59およびアンテナ制御部60は、送信電力制御部58の制御に従って送信信号、つまり送信フレームのプリアンブルが、ステップS16で設定された送信電力で送信されるように動作する。
ステップS21の処理により送信フレームのうち、その送信フレームの先頭部分にあるPLCP(Physical Layer Convergence Procedure)ヘッダ、つまりL-SIG、RL-SIG、およびHE-SIG-Aからなるヘッダ情報が含まれるプリアンブルの部分が送信されたことになる。
ステップS22において、無線送信処理部59は送信フレームのMPDUデータを送信する。
すなわち、無線送信処理部59は送信フレーム構築部54から供給されたMPDUデータに対してベースバンド信号への変換処理や変調処理などを行い、その結果得られた送信信号をアンテナ制御部60に供給する。
また、アンテナ制御部60は、無線送信処理部59から供給された送信信号をアンテナ61から出力させる。このとき、無線送信処理部59およびアンテナ制御部60は、送信電力制御部58の制御に従って送信信号、つまり送信フレームのMPDUデータが、ステップS16で設定された送信電力で送信されるように動作する。
例えば図10に示した送信フレームが送信される場合、プリアンブルが送信された直後にステップS22の処理が行われるときには、そのプリアンブル直後に配置された、文字「MPDU-1」により示されるMPDUデータが送信されることになる。
なお、MPDUデータとともデリミタ情報も送信される場合には、デリミタ情報が送信された後、そのデリミタ情報の直後に配置されたMPDUデータが送信される。
ステップS23において、無線通信制御部55は、ステップS14の処理で定めたミッドアンブルの挿入位置の設定結果に基づいて、ミッドアンブルを送信するタイミングとなったか否かを判定する。
ステップS23においてミッドアンブルを送信するタイミングとなったと判定された場合、無線通信制御部55はミッドアンブル生成部57に対してミッドアンブルの送信を指示し、その後、処理はステップS24へと進む。
ステップS24において、無線送信処理部59は送信フレームのミッドアンブルを送信する。
すなわち、ミッドアンブル生成部57は、無線通信制御部55の指示に応じて送信しようとするミッドアンブルを無線送信処理部59に供給する。
無線送信処理部59はミッドアンブル生成部57から供給されたミッドアンブルに対してベースバンド信号への変換処理や変調処理などを行い、その結果得られた送信信号をアンテナ制御部60に供給する。
また、アンテナ制御部60は、無線送信処理部59から供給された送信信号をアンテナ61から出力させる。このとき、無線送信処理部59およびアンテナ制御部60は、送信電力制御部58の制御に従って送信信号、つまり送信フレームのミッドアンブルが、ステップS16で設定された送信電力で送信されるように動作する。
このようにしてミッドアンブルが送信されると、その後、処理はステップS22に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
また、ステップS23においてミッドアンブルを送信するタイミングとなっていないと判定された場合、ステップS25において無線通信制御部55は、A-MPDUの末尾に到達したか否か、つまり送信フレームの末尾に到達したか否かを判定する。
ステップS25において末尾に到達していないと判定された場合、まだMPDUデータやミッドアンブルの送信が行われるので処理はステップS22に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
これに対して、ステップS25において末尾に到達したと判定された場合、ステップS26において、無線受信処理部62はACKフレームを受信する。
すなわち、無線通信装置11により送信された送信フレームが通信相手の無線通信装置により受信されると、通信相手の無線通信装置は、無線通信装置11宛てにACKフレームを送信してくる。
無線受信処理部62は、アンテナ制御部60を介してアンテナ61から供給された受信フレームの受信電力が検出閾値制御部63から供給された検出閾値以上であれば、その受信フレームを受信したものとする。つまり、受信フレームについて、プリアンブルやミッドアンブルの検出が行われる。
ミッドアンブル検出部64は、無線受信処理部62で受信された受信フレームからミッドアンブル部分にある所定のシーケンスパターンを検出することで、受信フレームからミッドアンブルを検出する。ミッドアンブル検出部64はミッドアンブルが検出されると、その検出結果とともにミッドアンブルから抽出したL-SIGやHE MID等を無線通信制御部55に供給する。ミッドアンブル検出部64は、ミッドアンブルから抽出したL-SIGやHE MID等を必要に応じてヘッダ情報解析部65にも供給する。
ヘッダ情報解析部65は、適宜、ミッドアンブル検出部64から供給された情報等を用いて、無線受信処理部62で受信された受信フレームからプリアンブル部分にある所定のシーケンスパターンを検出することで、受信フレームからプリアンブルを検出する。ヘッダ情報解析部65はプリアンブルが検出されると、その検出結果とともにプリアンブルから抽出したヘッダ情報等を無線通信制御部55に供給する。ヘッダ情報解析部65は、プリアンブルから抽出したヘッダ情報等を受信データ構築部66にも供給する。
また、受信データ構築部66は、ヘッダ情報解析部65から供給されたヘッダ情報等に基づいて、無線受信処理部62で受信された受信フレームからMPDUデータに格納された受信データを抽出し、受信バッファ67やネットワーク管理部53に供給する。
このようにして受信された受信フレームがACKフレームであった場合、どの受信データ、つまりどのMPDUデータを正しく受信したかを示す情報が得られるので、ネットワーク管理部53は、ACKフレームから得られた情報を無線通信制御部55に供給する。
ステップS27において、無線通信制御部55は、送信フレームの全ての送信済みの送信データ(MPDUデータ)を正しく受信したことを示すACKフレームを受信したか否かを判定する。
例えば、無線通信制御部55は、ネットワーク管理部53から、送信済みの送信フレームに含まれる全てのMPDUデータを正しく受信したことを示す情報が供給された場合、正しく受信したことを示すACKフレームを受信したと判定する。これにより、通信相手の無線通信装置により送信フレームが正しく受信されたことになる。
ステップS27において正しく受信したことを示すACKフレームを受信していないと判定された場合、処理はステップS12に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
この場合、送信フレームが正しく受信されなかったので、送信フレームが再送されることになるが、その際、ステップS16で適切に送信電力の制御が行われるので、より効率よく通信が行われるようになる。
これに対してステップS27において、正しく受信したことを示すACKフレームを受信したと判定された場合、通信相手側で正しく送信フレームが受信されたので、送信処理は終了する。
以上のようにして無線通信装置11は、ミッドアンブルにヘッダ情報の一部を格納して送信フレームを送信する。これにより、より効率よく通信を行うことができる。
〈受信処理の説明〉
続いて、無線通信装置11が通信相手から送信されてきた受信フレームを受信するときに行われる受信処理について説明する。すなわち、以下、図22のフローチャートを参照して、無線通信装置11による受信処理について説明する。
受信処理が開始されると、まず無線通信装置11は、自己宛ての受信フレームを受信するために、自己の受信機として機能する各ブロックの動作を開始させる。
そして、ステップS61において、無線受信処理部62は、アンテナ制御部60を介してアンテナ61から供給された受信フレームの受信電力、つまり受信電界強度を検出し、その受信電力(信号検出レベル)を示す受信電界強度情報を得る。
このとき、例えば無線受信処理部62により求められた(検出された)受信フレームの受信電力が検出閾値制御部63から供給された検出閾値以上であれば、その受信フレームについてプリアンブルやミッドアンブルの検出が行われる。なお、より詳細には、受信電力が検出閾値未満である受信フレームについてもプリアンブルやミッドアンブルの検出は行われる。
ミッドアンブル検出部64は、無線受信処理部62で受信された受信フレームからミッドアンブル部分にある所定のシーケンスパターンを検出することで、受信フレームからミッドアンブルを検出する。
また、ヘッダ情報解析部65は、適宜、ミッドアンブル検出部64から供給された情報等を用いて、無線受信処理部62で受信された受信フレームからプリアンブル部分にある所定のシーケンスパターンを検出することで、受信フレームからプリアンブルを検出する。
なお、検出閾値制御部63では、所定の受信電界強度レベルから、BSSのプリアンブル検出閾値を設定するとともに、OBSSのプリアンブル検出閾値については図20を参照して説明した、送信すべきフレームの送信電力に応じて、OBSS_PDmaxからOBSS_PDminの傾斜に応じた検出閾値を定める処理が行われる。
例えば検出閾値制御部63は、無線受信処理部62から供給されたBSSの受信フレームの受信電力の閾値から、まずプリアンブル検出を判定し、その後、OBSSからの信号であると判定された場合に、送信すべきフレームの送信電力に応じて、OBSS_PDの検出閾値の判定が実施される。
ここで、無線受信処理部62から供給されたBSSまたはOBSSの受信フレームの受信電力は、ステップS61の処理で求められる受信電界強度情報により示される受信電力である。この受信電界強度情報により示される受信電力がBSSの信号のものであるのか、またはOBSSの信号のものであるのかは、無線通信制御部55から供給されるBSS Color情報により特定可能である。
ステップS62において、ヘッダ情報解析部65は、受信フレームからプリアンブルを検出したか否かを判定する。
ステップS62においてプリアンブルを検出したと判定された場合、処理はステップS63へと進む。
ステップS63において、ヘッダ情報解析部65は、検出されたプリアンブルからヘッダ情報等を抽出し、無線通信制御部55や受信データ構築部66に供給し、その後、処理はステップS66へと進む。これにより、受信フレームのプリアンブルからPLCPヘッダ、つまりL-SIG、RL-SIG、およびHE-SIG-Aからなるヘッダ情報が抽出されたことになる。
これに対して、ステップS62においてプリアンブルが検出されなかったと判定された場合、ステップS64において、ミッドアンブル検出部64は、受信フレームからミッドアンブルを検出したか否かを判定する。
ステップS64においてミッドアンブルを検出したと判定された場合、その後、処理はステップS65へと進む。
ステップS65において、ミッドアンブル検出部64は、検出されたミッドアンブルから各種のパラメータを抽出し、その後、処理はステップS66へと進む。
すなわち、ミッドアンブル検出部64は、ミッドアンブルからL-SIGやHE MIDに格納された各種のパラメータを抽出し、無線通信制御部55やヘッダ情報解析部65に供給する。
さらに、ミッドアンブル検出部64で得られたL-SIGやHE MIDに格納された各種のパラメータは、必要に応じてヘッダ情報解析部65を介して受信データ構築部66にも供給される。ミッドアンブル検出部64では、例えばL-SIGやHE MIDに格納されたパラメータとして、BSS Color情報等が得られるので、受信フレームがフレーム途中で検出されたときでも、その受信フレームがBSSの信号であるか、またはOBSSの信号であるかを特定することができ、より効率よく通信を行うことができる。
その他、ミッドアンブルのL-SIGやHE MIDから高度空間再利用技術に関するパラメータなどを得ることができるので、受信フレームの途中から受信したときでも受信フレームの復号、つまり受信データの抽出を行うことができる。
また、受信フレームからプリアンブルやミッドアンブルが検出されると、受信データ構築部66は、ヘッダ情報解析部65から供給されたヘッダ情報等に基づいて、無線受信処理部62で受信された受信フレームからMPDUデータに格納されたMACヘッダ情報を解析する。これにより、例えば図7に示したMACヘッダ情報内の文字「Address」により示されるアドレス情報を得ることができ、受信データ構築部66は、得られたアドレス情報を、ネットワーク管理部53を介して無線通信制御部55に供給する。
ステップS63またはステップS65の処理が行われると、ステップS66において、無線通信制御部55は、受信された受信フレームが自己のBSSの信号であるか否かを判定する。
例えば無線通信制御部55は、ヘッダ情報解析部65からヘッダ情報内のHE-SIG-Aに含まれているBSS Color情報が供給された場合には、そのBSS Color情報が、無線通信装置11が属すBSSを示す情報であるときに自己のBSSの信号であると判定する。
また、例えば無線通信制御部55は、ミッドアンブル検出部64からHE MIDに含まれているBSS Color情報が供給された場合には、そのBSS Color情報が、無線通信装置11が属すBSSを示す情報であるときに自己のBSSの信号であると判定する。
ステップS66において自己のBSSの信号であると判定された場合、ステップS67において、無線通信制御部55は、受信された受信フレームが自己宛てのデータ(受信フレーム)であるか否かを判定する。
例えば無線通信制御部55は、ネットワーク管理部53を介して受信データ構築部66から供給されたアドレス情報が自己、つまり無線通信装置11を示している場合、自己宛てのデータであると判定する。
ステップS67において、自己宛てのデータであると判定された場合、処理はステップS68へと進む。
ステップS68において受信データ構築部66は、ヘッダ情報解析部65から供給されたヘッダ情報等に基づいて、無線受信処理部62で受信された受信フレームから1つのMPDUデータに格納された受信データを抽出する。すなわち、MPDU単位で受信データの抽出が行われる。
受信データ構築部66は、抽出された受信データをネットワーク管理部53および受信バッファ67に供給する。受信バッファ67に保持された受信データは、インターフェース51を介して機器制御部23へと供給される。
ステップS69において、受信データ構築部66は、ステップS68の結果、MPDUデータ、つまりMPDU単位の受信データが正しく受信できたか否かを判定する。
ステップS69においてMPDUデータが正しく受信できたと判定された場合、ステップS70において、受信データ構築部66はMPDUデータを正しく受信したことを示すACK情報を構築(生成)し、ネットワーク管理部53を介して無線通信制御部55に供給する。ACK情報が生成されると、その後、処理はステップS71へと進む。
これに対して、ステップS69においてMPDUデータが正しく受信できなかったと判定された場合、ステップS70の処理は行われず、その後、処理はステップS71へと進む。
ステップS69においてMPDUデータが正しく受信できなかったと判定されたか、またはステップS70の処理が行われると、その後、ステップS71の処理が行われる。
すなわち、ステップS71において、無線通信制御部55はヘッダ情報解析部65やミッドアンブル検出部64から供給されたヘッダ情報等に基づいて、アグリゲートされたA-MPDUの末尾に到達したか否か、つまり受信フレームの末尾に到達したか否かを判定する。
ステップS71において、まだA-MPDUの末尾に到達していないと判定された場合、処理はステップS68に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
これに対して、ステップS71においてA-MPDUの末尾に到達したと判定された場合、ステップS72において無線送信処理部59は、ACKフレームを送信する。
すなわち、無線通信制御部55は、受信データ構築部66から供給されたACK情報に基づいてヘッダ情報生成部56を制御し、ACKフレームのプリアンブルを生成させ、無線送信処理部59に供給させる。また、ネットワーク管理部53は、受信データ構築部66から供給されたACK情報に基づいて、必要に応じて送信フレーム構築部54を制御し、ACKフレームのMPDUデータを生成させ、無線送信処理部59に供給させる。
無線送信処理部59は、ヘッダ情報生成部56から供給されたプリアンブルや送信フレーム構築部54から供給されたMPDUデータからなるACKフレームに対して、ベースバンド信号への変換処理や変調処理などを行い、その結果得られたACKフレームをアンテナ制御部60に供給する。
また、アンテナ制御部60は、無線送信処理部59から供給されたACKフレームをアンテナ61から出力させる。このとき、無線送信処理部59およびアンテナ制御部60は、送信電力制御部58の制御に従ってACKフレームが例えば図21のステップS16と同様にして設定された送信電力で送信されるように動作する。
例えば、無線送信処理部59により送信されるACKフレームには、正しく受信されたMPDUデータを示す情報が含まれている。このようにしてACKフレームが送信されると、受信処理は終了する。
また、ステップS67において自己宛てのデータでないと判定された場合、つまり受信フレームに含まれるBSS Color情報は、自己のBSSを示す情報であるが、受信フレームが自己宛てのものではない場合、処理はステップS73に進む。
ステップS73において、無線通信制御部55は、自己のBSSのNAV情報を設定するかまたは更新する。
すなわち、無線通信制御部55は、自己のBSSのNAV情報を保持していない場合には、図21のステップS17における場合と同様にして自己のBSSのNAV情報を生成する。
すなわち、例えばネットワーク管理部53を介して受信データ構築部66から供給されたMPDUデータのMACヘッダ情報に格納されたDuration情報や、ミッドアンブル検出部64から供給されたHE MID内のDuration情報、ヘッダ情報解析部65から供給されたレングス情報などからBSSのNAV情報が生成される。
また、無線通信制御部55が既に自己のBSSのNAV情報を保持している場合には、無線通信制御部55は、新たに受信されたMPDUデータのMACヘッダ情報に格納されたDuration情報等に基づいて、保持しているNAV情報を更新する。
受信フレームに含まれるBSS Color情報は自己のBSSを示す情報であるが、受信フレームが自己宛てのものではない場合、その受信フレームの送受信のための通信はMACヘッダ情報に格納されたDuration情報により示される時間まで行われることになる。
このようにして自己のBSSのNAV情報が生成または更新されると、その後、処理はステップS78へと進む。
また、ステップS66において自己のBSSの信号でないと判定された場合、ステップS74において、無線通信制御部55は、受信された受信フレームがOBSSの信号であるか否かを判定する。
例えば無線通信制御部55は、ヘッダ情報解析部65からヘッダ情報内のHE-SIG-Aに含まれているBSS Color情報が供給された場合には、そのBSS Color情報が無線通信装置11が属さない他のBSS、つまりOBSSを示す情報であるときにOBSSの信号であると判定する。
また、例えば無線通信制御部55は、ミッドアンブル検出部64からHE MIDに含まれているBSS Color情報が供給された場合には、そのBSS Color情報が無線通信装置11が属さないOBSSを示す情報であるときにOBSSの信号であると判定する。
ステップS74においてOBSSの信号であると判定された場合、ステップS75において無線通信制御部55は、OBSSのNAV情報を設定するかまたは更新する。
すなわち、ステップS75では、ステップS73と同様の処理が行われてOBSSのNAV情報が生成されたり更新されたりする。なお、OBSSのNAV情報は、OBSSごとに生成されるようにしてもよいし、複数のOBSSのうち、最も持続時間が長いOBSSのNAV情報のみが設定(生成)されて管理されるようにしてもよい。
送信処理時と同様に、受信処理時においてもBSSや各OBSSについて、それらの無線ネットワークごとにNAV情報を管理することで、無線通信制御部55は、NAV情報を用いて個別に各無線ネットワークの通信状況を管理することができる。
OBSSのNAV情報が設定または更新されると、その後、処理はステップS78へと進む。
一方、ステップS74においてOBSSの信号でないと判定された場合、その後、処理はステップS77へと進む。
また、ステップS64においてミッドアンブルが検出されなかったと判定された場合、処理はステップS76へと進む。
ステップS76において、無線通信制御部55は、無線受信処理部62において受信された受信フレームの受信電力が、検出閾値制御部63で定められた検出閾値よりも大きいか否かを判定する。
ステップS76において検出閾値よりも大きいと判定された場合、ステップS77において、無線通信制御部55はキャリア検出中の状態であるとし、その後、処理はステップS78へと進む。
この場合、受信フレームについてプリアンブルもミッドアンブルも検出されていないが、受信電力が大きい信号が検出されている状態であるので、キャリア検出中の状態とされ、受信中の信号(受信フレーム)からプリアンブルやミッドアンブルを検出する処理が継続して行われる。なお、キャリア検出中の状態では、無線通信装置11は送信フレームの送信を行うことができない。
これに対して、ステップS76において検出閾値以下であると判定された場合、キャリア検出中とはされずに、その後、処理はステップS78へと進む。
また、ステップS73の処理が行われたか、ステップS75の処理が行われたか、ステップS77の処理が行われたか、またはステップS76において検出閾値以下であると判定された場合、ステップS78の処理が行われる。
すなわち、ステップS78において、無線通信制御部55は、全NAV情報を取得する。具体的には、無線通信制御部55は、ステップS73で得られた自己のBSSのNAV情報と、ステップS75で得られたOBSSのNAV情報を読み出して、それらのNAV情報により示されるBSSやOBSSの通信状況を把握する。
ステップS79において、無線通信制御部55は、最後にNAV情報を更新してから所定時間が経過したか否かを判定する。
ステップS79において、まだ所定時間が経過していないと判定された場合、処理はステップS61に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
これに対して、ステップS79において、所定時間が経過したと判定された場合、ステップS80において、無線通信制御部55は、自己のBSSのNAV情報とOBSSのNAV情報のそれぞれの値から1だけ減算する。すなわちNAV情報の値がデクリメントされる。
ステップS81において、無線通信制御部55は、全てのNAV情報の値が0となったか否かを判定する。
ステップS81において、全てのNAV情報の値が0となっていないと判定された場合、処理はステップS61に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
これに対して、ステップS81において全てのNAV情報の値が0となったと判定された場合、受信処理は終了する。
以上のようにして無線通信装置11は、受信フレームからヘッダ情報の一部が格納されたミッドアンブルを検出し、ミッドアンブルからヘッダ情報の一部を抽出する。これにより、より効率よく通信を行うことができる。
〈コンピュータの構成例〉
ところで、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
図23は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU501,ROM(Read Only Memory)502,RAM(Random Access Memory)503は、バス504により相互に接続されている。
バス504には、さらに、入出力インターフェース505が接続されている。入出力インターフェース505には、入力部506、出力部507、記録部508、通信部509、及びドライブ510が接続されている。
入力部506は、キーボード、マウス、マイクロフォン、撮像素子などよりなる。出力部507は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記録部508は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部509は、ネットワークインターフェースなどよりなる。ドライブ510は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体511を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU501が、例えば、記録部508に記録されているプログラムを、入出力インターフェース505及びバス504を介して、RAM503にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU501)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブル記録媒体511に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブル記録媒体511をドライブ510に装着することにより、入出力インターフェース505を介して、記録部508にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部509で受信し、記録部508にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM502や記録部508に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、本技術は、以下の構成とすることも可能である。
(1)
送信フレームの先頭に配置される、ヘッダ情報を含むプリアンブルを生成するプリアンブル生成部と、
前記送信フレームの途中に配置される、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルを生成するミッドアンブル生成部と、
前記プリアンブルおよび前記ミッドアンブルを含む前記送信フレームを送信する無線送信処理部と
を備える無線通信装置。
(2)
前記ミッドアンブルには、前記プリアンブルに含まれる、前記ヘッダ情報以外のフィールドの少なくとも一部のフィールドが含まれている
(1)に記載の無線通信装置。
(3)
前記ヘッダ情報以外のフィールドは、トレーニングのフィールドである
(2)に記載の無線通信装置。
(4)
前記ミッドアンブルおよび前記プリアンブルに共通して含まれるフィールドの、前記ミッドアンブル内における配置と前記プリアンブル内における配置が同じ配置となっている
(2)または(3)に記載の無線通信装置。
(5)
前記ミッドアンブルおよび前記プリアンブルに共通して含まれるフィールドの、前記ミッドアンブル内における配置と前記プリアンブル内における配置が異なる配置となっている
(2)または(3)に記載の無線通信装置。
(6)
前記ミッドアンブル生成部は、互いに構成の異なる複数の前記ミッドアンブルのなかから選択された1つの構成の前記ミッドアンブルを生成する
(1)乃至(4)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(7)
前記ミッドアンブルは、前記送信フレームに含まれるデータユニットの間隔ごとに配置される
(1)乃至(6)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(8)
前記データユニットが可変長である場合、前記送信フレームにおける前記データユニットの直前には、その前記データユニットの情報長を示すデリミタ情報が配置される
(7)に記載の無線通信装置。
(9)
前記ミッドアンブルには、前記送信フレームの送信電力を示す情報、高度空間再利用のための情報、自己の属する無線ネットワークを特定する情報、前記送信フレームの符号化スキーム情報、および前記送信フレームの持続時間を示す情報の少なくとも何れか1つが含まれている
(1)乃至(8)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(10)
受信された受信フレームの受信電力を検出する無線受信処理部と、
前記受信電力に基づいて前記送信フレームの送信電力を制御する送信電力制御部と
をさらに備える(1)乃至(9)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(11)
前記送信電力制御部は、前記送信フレームの前記ミッドアンブルに含まれる、前記送信フレームの送信電力を示す情報と、前記受信電力とに基づいて前記送信フレームの送信電力を制御する
(10)に記載の無線通信装置。
(12)
前記無線送信処理部は、前記受信フレームが自己の属する無線ネットワークとは異なる他の無線ネットワークの信号であり、前記受信電力が所定値以下である場合、前記送信電力制御部により定められた前記送信電力で前記送信フレームを送信する
(10)または(11)に記載の無線通信装置。
(13)
送信フレームの先頭に配置される、ヘッダ情報を含むプリアンブルを生成し、
前記送信フレームの途中に配置される、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルを生成し、
前記プリアンブルおよび前記ミッドアンブルを含む前記送信フレームを送信する
ステップを含む無線通信方法。
(14)
送信フレームの先頭に配置される、ヘッダ情報を含むプリアンブルを生成し、
前記送信フレームの途中に配置される、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルを生成し、
前記プリアンブルおよび前記ミッドアンブルを含む前記送信フレームを送信する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(15)
先頭部分に配置され、ヘッダ情報を含むプリアンブルと、フレーム途中に配置され、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルとを含む受信フレームを受信する無線受信処理部と、
前記受信フレームから前記ミッドアンブルを検出し、前記ミッドアンブルに含まれている前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を抽出するミッドアンブル検出部と
を備える無線通信装置。
(16)
前記ミッドアンブルには、前記プリアンブルに含まれる、前記ヘッダ情報以外のフィールドの少なくとも一部のフィールドが含まれている
(15)に記載の無線通信装置。
(17)
前記ヘッダ情報以外のフィールドは、トレーニングのフィールドである
(16)に記載の無線通信装置。
(18)
前記ミッドアンブルおよび前記プリアンブルに共通して含まれるフィールドの、前記ミッドアンブル内における配置と前記プリアンブル内における配置が同じ配置となっている
(16)または(17)に記載の無線通信装置。
(19)
前記ミッドアンブルおよび前記プリアンブルに共通して含まれるフィールドの、前記ミッドアンブル内における配置と前記プリアンブル内における配置が異なる配置となっている
(16)または(17)に記載の無線通信装置。
(20)
前記ミッドアンブルは、前記受信フレームに含まれるデータユニットの間隔ごとに配置される
(15)乃至(19)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(21)
前記データユニットが可変長である場合、前記受信フレームにおける前記データユニットの直前には、その前記データユニットの情報長を示すデリミタ情報が配置される
(20)に記載の無線通信装置。
(22)
前記ミッドアンブルには、前記受信フレームの送信電力を示す情報、高度空間再利用のための情報、前記受信フレームの送信元の属する無線ネットワークを特定する情報、前記受信フレームの符号化スキーム情報、および前記受信フレームの持続時間を示す情報の少なくとも何れか1つが含まれている
(15)乃至(21)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(23)
前記無線受信処理部は、前記受信フレームの受信電力を検出し、
前記受信電力に基づいて、これから送信する送信フレームの送信電力を制御する送信電力制御部をさらに備える
(15)乃至(22)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(24)
前記送信電力制御部は、前記送信フレームの前記ミッドアンブルに含まれる、前記送信フレームの送信電力を示す情報と、前記受信電力とに基づいて前記送信フレームの送信電力を制御する
(23)に記載の無線通信装置。
(25)
前記受信フレームの前記ミッドアンブルに含まれる、前記受信フレームの送信元の属する無線ネットワークを特定する情報と、前記受信フレームの持続時間を示す情報とに基づいて、自己が属する無線ネットワークの通信状況、および前記自己の属する無線ネットワークとは異なる他の無線ネットワークの通信状況を個別に管理する無線通信制御部をさらに備える
(15)乃至(24)の何れか一項に記載の無線通信装置。
(26)
先頭部分に配置され、ヘッダ情報を含むプリアンブルと、フレーム途中に配置され、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルとを含む受信フレームを受信し、
前記受信フレームから前記ミッドアンブルを検出し、前記ミッドアンブルに含まれている前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を抽出する
ステップを含む無線通信方法。
(27)
先頭部分に配置され、ヘッダ情報を含むプリアンブルと、フレーム途中に配置され、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルとを含む受信フレームを受信し、
前記受信フレームから前記ミッドアンブルを検出し、前記ミッドアンブルに含まれている前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を抽出する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。
(28)
送信フレームを送信する第1の無線通信装置と、前記送信フレームを受信する第2の無線通信装置とを有する無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
前記送信フレームの先頭に配置される、ヘッダ情報を含むプリアンブルを生成するプリアンブル生成部と、
前記送信フレームの途中に配置される、前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を含むミッドアンブルを生成するミッドアンブル生成部と、
前記プリアンブルおよび前記ミッドアンブルを含む前記送信フレームを送信する無線送信処理部と
を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記送信フレームを受信する無線受信処理部と、
前記送信フレームから前記ミッドアンブルを検出し、前記ミッドアンブルに含まれている前記ヘッダ情報の少なくとも一部の情報を抽出するミッドアンブル検出部と
を備える
無線通信システム。