JP2022172885A - 活性エネルギー線硬化型組成物 - Google Patents

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康之 佐内
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Abstract

【課題】得られる硬化物の臭気を、簡便な方法で消臭することが可能な活性エネルギー線硬化型組成物の提供。【解決手段】下記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化型組成物。(A)成分:エチレン性不飽和基を有する化合物(B)成分:可視光領域に吸収を有する金属酸化物【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物に関し、本発明の組成物は、インキ及びコーティング剤等の種々の用途に使用可能である。特に、本発明の組成物は、硬化物の臭気を消臭できるため、硬化膜を含むフィルムをロールで保管し、使用時に巻きだすことで硬化膜を含まれる臭気が問題となる光学用フィルム、及び人の鼻に近い距離で使用するため、臭気が問題となるフェイスシールド用コーティング等のコーティング剤組成物として好ましく使用でき、これら技術分野に属する。
尚、本明細書においては、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と呼ぶ。
活性エネルギー線硬化型組成物は、紫外線、可視光線及び電子線等の活性エネルギー線をごく短時間照射することで硬化可能であり、生産性が高いことから各種機材向けインキやコーティング剤として、又、近年では3Dプリンターでの造形や手作りアクセサリーの作成等の幅広い用途で産業的に使用されている。
活性エネルギー線硬化型組成物に活性エネルギー線を照射して得られる硬化物は、硬化直後、不快な臭気を持つことが多い。硬化物の臭気の原因はさまざまであり、例えば、残存する光重合開始剤、光重合開始剤に含まれる不純物、未反応のモノマー、その他添加剤、及びこれら化合物の分解物等が挙げられる。
これらの中でも、臭気低減のためには光重合開始剤に起因する臭気を除去することが非常に有用である。
即ち、エチレン性不飽和基を有する化合物をモノマーとして用いる場合、光重合開始剤として、分子内開裂型光ラジカル重合開始剤が用いられることが多い。当該分子内開裂型光ラジカル重合開始剤は、安価で効率良く光開裂反応が起こるという利点がある一方で、重合反応の共生成物としてアルデヒドが生成してしまうという問題を有する。アルデヒドは、一般に揮発性が高く、ごくわずかな濃度でも人間が不快だと感じる特異臭を有する。
このようなアルデヒドを消臭する効果を有する活性エネルギー線硬化型組成物に関する検討がなされてきた。
例えば、特許文献1には、アルデヒド消臭剤として、ヒドロキシアリール基を含む多価のカルボン酸ヒドラジド化合物を含む組成物が開示されている。
又、特許文献2には、アルデヒド消臭剤として、活性水素原子を有するリン化合物又はその塩を含む組成物が開示されている。
特開2005-312801号公報 特開2006-181277号公報
しかし、上記した組成物は熱硬化型樹脂を含む組成物であり、消臭できるのは揮発性の高いホルムアルデヒドのようなアルデヒドに限られ、光重合開始剤由来の分解物の消臭には効果がないものであった。
又、ヒドラジド化合物やリン化合物は人体にとって有害であることから、人が直接肌に触れるようなフェイスシールドやゴーグル、おもちゃ等のコーティング剤として使用するのは好ましくない。
本発明の目的は、得られる硬化物の臭気を、簡便な方法で消臭することが可能な活性エネルギー線硬化型組成物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために、エチレン性不飽和基を有する化合物と可視光領域に吸収を有する金属酸化物を含有する活性エネルギー線硬化型組成物が、得られた硬化物を蛍光灯や太陽光等の可視光で暴露する等の簡便な方法で硬化物の臭気を十分に消臭することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物によれば、得られる硬化物は、光重合開始剤、光重合開始剤に含まれる不純物、未反応のモノマー、その他添加剤、及びこれら化合物の分解物等に起因する臭気について、特に光重合開始剤の分解物に起因する臭気について、蛍光灯や太陽光等の比較的弱い光で暴露する等の簡便な方法で、硬化物の臭気を十分に消臭することが可能である。
本発明は、下記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
(A)成分:エチレン性不飽和基を有する化合物
(B)成分:可視光領域に吸収を有する金属酸化物
以下、(A)及び(B)成分、その他の成分及び使用方法について説明する。
1.(A)成分
(A)成分は、エチレン性不飽和基を有する化合物である。
(A)成分におけるエチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基及び(メタ)アリル基等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が反応性に優れる点で好ましい。
(A)成分としては、エチレン性不飽和基を1個有する化合物(以下、「単官能不飽和化合物」という)、及びエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物(以下、「多官能不飽和化合物」という)等が挙げられる。
以下、単官能不飽和化合物及び多官能不飽和化合物について説明する。
1-1.単官能不飽和化合物
(A)成分において、単官能不飽和化合物の具体例としては、1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、「単官能(メタ)アクリレート」という)、及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリルアミド(以下、「単官能(メタ)アクリルアミド」という)を挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレートの具体例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、及びステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのモノ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリオールのモノ(メタ)アクリレート:
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンメチロール(メタ)アクリレート、及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂環式基を有する単官能(メタ)アクリレート;
等の脂環式基を有する単官能(メタ)アクリレート;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、フェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、及びo-フェニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート等の芳香族単官能(メタ)アクリレート;並びに
エチルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等のアルキルカルビトール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、種々の官能基を有する化合物であっても良い。
水酸基を有する単官能(メタ)アクリレートの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、並びに2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カルボキシル基を有する単官能(メタ)アクリレートの例としては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸のマイケル付加型のダイマー、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
環状エーテル基を有する単官能(メタ)アクリレートの例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンスピロ-2-(1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-オキセタニルメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
複素環を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリロイルモルホリン、並びにマレイミド基を有する化合物が挙げられ、N-(2-(メタ)アクリロキシエチル)ヘキサヒドロフタルイミド、及びN-(2-(メタ)アクリロキシエチル)テトラヒドロフタルイミド等のイミド基を有する単官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
単官能(メタ)アクリルアミドとしては、具体的には、
N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-sec-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-t-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;並びに
N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジヘキシル(メタ)アクリルアミドのN,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
単官能不飽和化合物としては、前記以外にも、N-ビニルピロリドン、及びN-ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
1-2.多官能不飽和化合物
多官能不飽和化合物としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「2官能(メタ)アクリレート」という〕及び3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物〔以下、「3官能以上(メタ)アクリレート」という〕が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、具体的には、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート及びノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の脂肪族ジオールジ(メタ)アクリレート;
グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の3価以上ポリオールのジ(メタ)アクリレート;
これらポリオールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート;
イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸骨格を有するジ(メタ)アクリレート;並びに
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、及びビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート等のビスフェノールアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート
等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等を挙げることができる。
3官能以上(メタ)アクリレートとしては、具体的には、
グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールのトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールのポリ(メタ)アクリレート;並びに
これらポリオールのアルキレンオキサイド付加物のトリ、テトラ、ペンタ又はヘキサ(メタ)アクリレート;並びに
イソシアヌル酸エチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等のイソシアヌル酸骨格を有するトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
この場合アルキレンオキサイド付加物におけるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラメチレンオキサイド、並びに、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等を挙げることができる。
多官能不飽和化合物としては、上記以外にもウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレー及びポリエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
以下、これらの化合物について説明する。
1-2-1.ウレタン(メタ)アクリレート
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物(以下、「UA1」という)、並びに有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物(以下、「UA2」という)等が挙げられる。
以下、UA1及びUA2について説明する。
1)UA1
UA1は、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物である。
UA1におけるポリオールとしては、ジオールが好ましい。
ジオールとしては、低分子量ジオール、ポリエステル骨格を有するジオール、ポリエーテル骨格を有するジオール及びポリカーボネート骨格を有するジオールが好ましい。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、
1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
ポリエステル骨格を有するジオールとしては、前記低分子量ジオール又はポリカプロラクトンジオール等のジオール成分と、ジカルボン酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
ジカルボン酸又はその無水物としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
ポリエーテルジオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエトラメチレングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及びビスフェノールA等のビスフェノールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
有機ポリイソシアネートとしては、脂環式基を有しない脂肪族ポリイソシアネート(以下、単に「脂肪族ポリイソシアネート」という)、脂環式基を有する脂肪族ポリイソシアネート(以下、「脂環式ポリイソシアネート」という)、複素環を有するポリイソシアネート及び芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートとしては、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネート3量体等が挙げられる。
複素環を有するポリイソシアネートとしては、1,6-ヘキサンジイソシアネート3量体等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート及び1,5-ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有モノ(メタ)アクリレートが好ましい。
水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
1)UA2
UA2は、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であり、ウレタンアダクトと称される化合物である。
(A)成分として、UA2を使用することにより、架橋密度が高くなり、硬化塗膜を形成された部材に柔軟性を付与する目的で配合部数を多くしても良好な耐熱性や硬度を維持できるため好ましい。
UA2において、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物が挙げられる。
UA2においては、水酸基含有(メタ)アクリレートとして、水酸基及び2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「水酸基含有多官能(メタ)アクリレート」という)を使用することもできる。
UA2成分としては当該、有機ポリイソシアネートと水酸基含有多官能(メタ)アクリレート(以下、「UA2-1」という)を使用することが、架橋密度が高くなり、耐熱性が向上することに加え、硬度、耐摩耗性及び耐擦傷性にも優れるものとなるため好ましい。
水酸基含有多官能(メタ)アクリレートとしては、種々の化合物が使用でき、具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンのジ又はトリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールのジ、トリ、テトラ又はペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、硬化物が硬度、耐磨耗性と耐擦傷性に優れる点で、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、水酸基を1個有する化合物が好ましく、具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これら化合物の中でも、得られる硬化物の反りを防止できる点で、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
UA2-1の製造において、原料の水酸基含有多官能(メタ)アクリレートは、通常、水酸基含有多官能(メタ)アクリレートと水酸基を有しない多官能(メタ)アクリレートを含む混合物であるが、UA2-1としては当該混合物を使用して製造されたものも使用することができる。
具体的には、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートとトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの混合物、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートとジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートの混合物、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートとジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物等が挙げられる。
UA2の別の好ましい化合物としては、3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有モノ(メタ)アクリレートの反応物(以下、「UA2-2」という)が挙げられる。
UA2-2における水酸基含有モノ(メタ)アクリレートとしては、前記した化合物と同様の化合物が挙げられる。
3個以上のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネートの例としては、前記したヘキサメチレンジイソシアネート3量体及びイソホロンジイソシアネート3量体等を挙げることができる。
UA2-2の好ましい例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体とヒドロキシブチルアクリレートの付加反応物等が挙げられる。
さらに、UA2としては、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物であって、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。当該化合物は、硬化物の架橋密度によって剛性を維持すると同時に高い強靭性を有するものとなる。
当該化合物の例としては、前記したUA2-1及びUA2-2を挙げることができる。
3)ウレタン(メタ)アクリレートの製造方法
ウレタン(メタ)アクリレートは、UA-1においては、ポリオール、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの付加反応、UA-2においては、有機ポリイソシアネート及び水酸基含有(メタ)アクリレートの付加反応により製造される。
この付加反応は無触媒でも可能であるが、反応を効率的に進めるために、ジブチルスズジラウレート等の錫系触媒や、トリエチルアミン等のアミン系触媒等を添加しても良い。
1-2-2.ポリエステル(メタ)アクリレート
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、ポリエステルジオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。
ここで、ポリエステルジオールとしては、ジオールとジカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の低分子量ジオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ジカルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸及びトリメリット酸等のジカルボン酸、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
1-2-3.エポキシ(メタ)アクリレート
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物である。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ハイドロキノンジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o-フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA及びそのアルキレンオキシド付加体のジグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。
上記において、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
1-2-4.ポリエーテル(メタ)アクリレート
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)ジアクリレートがあり、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の(A)成分としては、目的及び用途等に応じて、前記した化合物1種のみ、又は2種以上を併用して使用すれることができる。
1-3.好ましい(A)成分
(A)成分としては、これら化合物の中でも、空気中での薄膜硬化性が良好であり、(B)成分の表面を塗膜最表面に効率よく並べることができるという理由で、多官能(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくは3官能以上(メタ)アクリレートであり、その具体例は、前記した化合物のうち3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を挙げることができる。
多官能(メタ)アクリレートのより好ましい具体例としては、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びUA2等が挙げられる。
2.(B)成分
(B)成分は、可視光領域に吸収を有する金属酸化物である。
この場合の可視光領域としては、380~500nmが好ましい。
(B)成分を含むことにより、得られた硬化物表面において、光照射するか、光環境下に放置することで、硬化物の臭気を消臭する効果を発揮する。この場合の光としては、光照射する場合は、紫外線硬化又は可視光硬化で使用する高圧水銀ランプ等の光照射装置による光が挙げられ、光環境下としては、蛍光灯及び太陽光等が挙げられる。(B)成分は、蛍光灯及び太陽光等の放射照度が比較的弱い可視光でも硬化物の臭気を十分に消臭することが可能である。尚、放射照度とは、物体へ時間あたりに照射される、面積あたりの放射エネルギーを表す物理量を意味する。
(B)成分としては、金属酸化物の金属が第4周期金属元素であることが好ましい。
第4周期金属元素の金属酸化物の中でも、酸化チタン及び酸化亜鉛が、光触媒としての活性が高く、消臭効果に優れるため、より好ましい。
(B)成分としては、組成物への配合が容易となり、組成物への分散性に優れ、硬化物の透明性を維持できるため、粉末状の金属酸化物を使用することが好ましい。
この場合、粉末状の(B)成分の平均粒子径としては、好ましくは、0.05~0.3μmであり、より好ましくは0.1~0.2μmである。
平均粒子径を0.05μm以上とすることにより、粉がたちやすく作業性が悪化することを防止することができる。平均粒子径を0.3μm以下とすることにより、硬化物の透明性に優れるものとすることができる。
尚、本発明において、平均粒子径とは、水溶媒を使用して0.05重量%の濃度としたサンプルを使用し、動的光散乱法により測定された値を意味する。
(B)成分としては、金属酸化物をそのまま使用すると、組成物の硬化物に、光が照射された場合や、光環境下に放置した場合、硬化物自体を分解してしまい、硬化物表面の光沢が低下してしまう等の問題を有することがある。
このため、(B)成分としては、表面処理して触媒活性を抑制したものが好ましい。
表面処理方法としては、炭酸亜鉛及び/又は塩基性炭酸亜鉛からなる析出物の層を形成する方法、シリカ膜を形成する方法、シリコーンやメチルハイドロジェンポリシロキサンを使用してポリシロキサン層を形成する方法、並びに、共重合体を担持するか又は共重合体の被膜を形成する方法等が挙げられ、ポリシロキサン層を形成する方法が好ましい。
3.活性エネルギー線硬化型組成物
本発明は、前記(A)及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化型組成物に関する。
組成物の製造方法としては、常法に従えば良く、例えば、(A)、及び(B)成分、必要に応じてその他の成分を撹拌混合して製造することができる。
(A)及び(B)成分の割合としては、組成物の調製が容易でハンドリング性が良好な液性を保つことができ、かつ(B)成分に起因する硬化物の白濁を目立ちにくくするという理由で、(A)成分の合計100重量部に対して、(B)成分を0.01~0.5重量部含むことが好ましく、より好ましくは、0.01~0.3重量部であり、特に好ましくは、0.03~0.1重量部である。
本発明の組成物は、前記(A)及び(B)成分を必須成分とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
その他成分としては、具体的には、光重合開始剤〔以下、「(C)成分」という〕、界面活性剤〔以下、「(D)成分」という〕、有機溶剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料・染料、レベリング剤、シランカップリング剤、及び親水性重合体等が挙げられる。
以下、これらの成分について説明する。
3-1.(C)成分
(C)成分は、光重合開始剤である。
(C)成分は、活性エネルギー線として紫外線及び可視光線を用いた場合に配合する成分である。活性エネルギー線として電子線を使用する場合には、必ずしも配合する必要はないが、硬化性を改善させるため必要に応じて少量配合することもできる。
(C)成分の具体例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-1-(メチルビニル)フェニル]プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチループロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン、3,6-ビス(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-n-オクチルカルバゾール、フェニルグリオキシ酸メチル、エチルアントラキノン及びフェナントレンキノン等の芳香族ケトン化合物;
ベンゾフェノン、2-メチルベンゾフェノン、3-メチルベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4-(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル-2-ベンゾフェノン、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルフォニル)プロパン-1-オン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン及び4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロピルチオキサントン、3-[3,4-ジメチル-9-オキソ-9H-チオキサントン-2-イル-オキシ]-2-ヒドロキシプロピル-N,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフルオロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
これら化合物の中でも、α-ヒドロキシフェニルケトン類が、大気下において、薄膜のコーティングであっても表面硬化性が良好で好ましく、(B)成分が紫外線領域にも吸収をもつことからビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物や、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)]フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタンー1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン等を用いることが好ましい。
(C)成分の含有割合は、(A)成分合計量100重量部に対して、後記する反応性界面活性剤を使用する場合は、(A)成分及び反応性界面活性剤の合計量100重量部に対して、0.1~10重量部が好ましく、より好ましくは0.5~8重量部である。(C)成分の割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の光硬化性を良好にし、密着性に優れるものとすることができ、10重量部以下とすることで、硬化膜の内部硬化性が良好にすることができ、基材との密着性を良好にすることができる。
3-2.(D)成分
本発明の組成物の硬化物に防曇性を付与する場合は、(D)成分(界面活性剤)を配合することが好ましい。
(D)成分を含むことにより、硬化物に対する水の接触角が小さくなり、防曇効果を発揮させることができる。
(D)成分はアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤及び反応性界面活性剤等が挙げられる。
(D)成分としては、これらの中でも耐水性に優れる点から、アニオン系界面活性剤及び反応性界面活性剤が好ましい。
さらに、必要に応じて、ノニオン界面活性剤を併用することが好ましい。
アニオン界面活性剤の例としては、スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)ナトリウム塩及びスルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)アンモニウム塩等のジアルキルスルホコハク酸塩;オレイン酸ナトリウム、及びオレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム及びラウリル硫酸アンモニウム等の高級アルコール硫酸エステル類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩;アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ジアルキルスルホコハク酸塩;ジアルキルホスフェート塩;並びにポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンサルフェート塩等が挙げられる。
これら化合物の中でも、初期防曇性により優れる点で、ジアルキルスルホコハク酸塩が好ましい。
ジアルキルスルホコハク酸塩は市販されており、市販品を使用することができる。スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)ナトリウム塩としては、新日本理化(株)製リカサーフP-10(同化合物の溶液)、M-30(同化合物の溶液)及びG-30(同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液)、並びに日油(株)製ラピゾールA30、同A70、同A80、同A90が挙げられる。スルホコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)アンモニウム塩としては、新日本理(株)製リカサーフG-600〔同化合物のプロピレングリコール/水混合溶液〕等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルアルコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン高級アルコールエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノール、ポリオキシエチレンノニルフェノール等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類;ポリオキシエチレングリコールモノステアレート等のポリオキシエチレンアシルエステル類;ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;アルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル類;シュガーエステル類、セルロースエーテル類等が挙げられる。
反応性界面活性剤としては、エチレン性不飽和基とイオン性基とを有する化合物〔以下、(D-1)成分」という〕及びエチレン性不飽和基を有するノニオン性界面活性剤〔以下、(D-2)成分」という〕が挙げられる。
(D-1)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基とを有する化合物である。
(D-1)成分は、硬化型組成物を硬化させることで、硬化膜に良好な防曇性及び埃付着防止に必要な低い表面抵抗を与える成分である。(D-1)成分は、エチレン性不飽和基が反応して硬化膜中で化学的に結合することで、硬化膜表面を濡らしたり払拭したりしても優れた防曇性を維持することができ、繰り返し防曇性に優れるものとすることができる。
(D-1)成分は、エチレン性不飽和基とイオン性基とを有する化合物であれば、種々の化合物を使用することができる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、ビニル基、及びスチリル基等を挙げることができる。
(D-1)成分のエチレン性不飽和基としては、(A)成分との反応性が良好であり、かつ硬化性に優れることから、(メタ)アクリロイル基が好ましく、アクリロイル基がより好ましい。
(B)成分において、イオン性基としては強酸の塩が挙げられ、具体的にはスルホン酸アンモニウム、スルホン酸ナトリウム及びスルホン酸カリウム等のスルホン酸塩、アルキル硫酸アンモニウム、アルキル硫酸ナトリウム及びアルキル硫酸カリウム等のアルキル硫酸塩、並びにカルボン酸アンモニウム、カルボン酸ナトリウム及びカルボン酸カリウム等のカルボン酸塩等を挙げることができる。
イオン性基としては、(D-1)成分の含有割合をより少量にした場合であっても所望の効果が得られることから、アルキル硫酸塩、又はスルホン酸塩基が好ましい。
さらに、スルホン酸塩を構成する対カチオンとしては、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン及び第4級アンモニウムイオンを挙げることができる。
具体的には、第2級アンモニウムイオンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-1-プロピルアミン、ジ-2-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-2-ブチルアミン、ジ-1-ペンチルアミン、ジ-2-ペンチルアミン、ジ-3-ペンチルアミン、ジネオペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジ-1-ヘキシルアミン、ジ-2-ヘキシルアミン、ジ-3-ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエタノールアミン及びエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
第3級アンモニウムイオンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-1-プロピルアミン、トリ-2-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン、トリ-2-ブチルアミン、トリ-1-ペンチルアミン、トリ-2-ペンチルアミン、トリ-3-ペンチルアミン、トリネオペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリ-1-ヘキシルアミン、トリ-2-ヘキシルアミン、トリ-3-ヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、ジメチルエタノールアミン、エチルメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン及びビス(2-メトキシエチル)メチルアミンがそれぞれプロトン化されたイオン等が挙げられる。
これらの中でも、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがさらに好ましく、メチルエタノールアミン、エチルエタノールアミン、又はラウリルジエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることがより好ましく、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン又はエチルエタノールアミンがそれぞれプロトン化されたイオンであることが更に好ましく、エチルエタノールアミンがプロトン化されたイオンであることが特に好ましい。
(D-1)成分のイオン性基は、アルキル基、アルキルベンゼン基及びアルキレンオキサイド基等を介してエチレン性不飽和基に結合していることが好ましい。
(D-1)成分としては、下記(D-1-1)及び(D-1-2)成分が例示でき、いずれも使用可能である。
(D-1-1)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンと、からなる化合物
(D-1-2)成分:1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオンと、カチオンと、からなる化合物
(D-1-1)成分は、1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンと、アニオンと、からなる化合物である。
1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンにおけるカチオン性基としては、例えばアンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、ピロリニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピラジニウムイオン、ピリミジニウムイオン、トリアゾリウムイオン、トリアジニウムイオン、キノリニウムイオン、イソキノリニウムイオン、インドリニウムイオン、キノキサリニウムイオン、ピペラジニウムイオン、オキサゾリニウムイオン、チアゾリニウムイオン、及びモルホリニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1種が例示できる。
1分子中にエチレン性不飽和基を有するカチオンの具体例としては、ジメチルモノ(メタ)アクリル酸エチルアンモニウムイオン(即ち、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級アンモニウムイオン)、及びジエチルモノ(メタ)アクリル酸エチルアンモニウムイオン(即ち、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級アンモニウムイオン)等のジアルキルモノ(メタ)アクリル酸アルキルアンモニウムイオン、並びに1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-(メタ)アクリレートピペリジニウムイオン等を好適なものとして挙げることができる。
尚、上記のアンモニウムイオンにおいて、窒素原子上の置換基であることを示す「N-」及び「N,N-」等の記載は省略する。
(D-1-1)成分を構成するアニオンとしては、スルホン酸誘導体、臭化物イオン及びトリフラート等のハロゲン系アニオン、テトラフェニルボレート等のホウ素系アニオン、並びにヘキサフルオロホスフェート等のリン系アニオン等が挙げられる。
前記アニオンとしては、スルホン酸誘導体が好ましい。スルホン酸誘導体の具体例としては、アルコキシポリエチレングリコールスルホン酸等のポリオキシアルキレン単位を有するスルホン酸のアニオン、及びイソプロピルベンゼンスルホン酸等のアルキル基含有芳香族スルホン酸のアニオン等が挙げられる。
(D-1-1)成分としては、ジアルキルモノ(メタ)アクリル酸アルキルアンモニウムイオンと、ポリオキシアルキレン単位を有するスルホン酸のアニオンと、からなる化合物であることが好ましい。
(D-1-1)成分は、市販品を使用することができる。
例えば、分子中に(メタ)アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンとアニオンとを有する化合物としては、広栄化学工業(株)製商品名「IL-MA1」、「IL-MA2」及び「IL-MA3」;
アクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンとアニオンとを有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JI-62C01」及び「JI-63F01」;並びに
メタクリロイル基及びアンモニウムイオンを含むカチオンと、アニオンとしてアルキル硫酸イオンと、を有する化合物としては、日本乳化剤(株)製商品名「JNA-04006」、
等が挙げられる。
(D-1-2)成分は、1分子中にエチレン性不飽和基を有するアニオンと、カチオンと、からなる化合物である。
(D-1-2)成分の具体例としては、アニオン性基がスルホン酸イオンである例としては以下の例が挙げられる。
即ち、カチオンがアンモニウムイオンである、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、α-スルホ-ω-(1-(アルコキシ)メチル-2-(2-プロペニルオキシ)エトキシ)-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)アンモニウム塩、及びビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルアンモニウム塩、並びに、
カチオンがナトリウムイオンである、2-ソディウムスルホエチルメタクリレート、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩、(メタ)クリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩、及びビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステルナトリウム塩、
等を挙げることができる。
(D-1-2)成分としては、市販品を使用することができる。
例えば、ポリオキシエチレン-1-(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンKH-10」及び「アクアロンKH-1025」、「アクアロンKH-05」;
ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩としては、第一工業製薬(株)製の商品名「アクアロンHS-10」、「アクアロンHS-1025」、「アクアロンBC-0515」、「アクアロンBC-10」、「アクアロンBC-1025」及び「アクアロンBC-20」及び「アクアロンBC-2020」;
α-スルホ-ω-(1-(アルコキシ)メチル-2-(2-プロペニルオキシ)エトキシ)-ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)アンモニウム塩としては、(株)ADEKA社製の商品名「アデカリアソープSR-10」、「アデカリアソープSR-20」「アデカリアソープSR-1025」及び「アデカリアソープSR-3025」;
ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS-60」;
アルキルアリルサクシネートスルホン酸ナトリウム塩としては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス SAD」;、
2-ソディウムスルホエチルメタクリレートとしては、日本乳化剤(株)製の商品名「アントックス MS-2N」;
アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業社(株)製の商品名「エレミノールJS-20」;並びに
メタクリロイルポリオキシアルキレン硫酸ナトリウム塩としては、三洋化成工業(株)製の商品名「エレミノールRS-3000」、
等が挙げられる。
(D-2)成分は、エチレン性不飽和基を有するノニオン性界面活性剤である。
(D-2)成分としては、ビニル基、アリル基、及びプロペニル基等のエチレン性不飽和基と、ポリオキシアルキレン構造等のノニオン性基を有する化合物等が挙げられる。
(D-2)成分は市販されており、{α-[2-(アリルオキシ)-1-({[アルキル(C=10~14)]オキシ}メチル]エチル)-ω-ヒドロキシポリ(n=1~100)(オキシエチレン)}を主成分とする、{アルカノール(C=10~14、分岐型)と1-(アリルオキシ)-2,3-エポキシプロパンの反応生成物}のオキシラン重付加物であるADEKA(株)製アデカリアソープER-10、ER-20、ER-30及びER-40等、アリル基付加ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルであるADEKA(株)製アデカリアソープNE-20(EO付加モル数20)等、並びにプロペニル基付加ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルである第一工業製薬(株)製アクアロンRN-30(EO付加モル数30)が挙げられる。
前記(D)成分の含有割合は、前記(A)成分の合計100重量部に対して、5~20重量部であることが好ましい。
3-3.有機溶剤
本発明の組成物は、無溶剤型の組成物として使用することもできるが、有機溶剤を配合して溶剤型の組成物として使用することもできる。
有機溶剤を含むことにより、組成物の粘度を調整することで塗工性を改善し、膜厚を目的に応じて調整することができる。
さらに、有機溶剤を含むことにより、基材に塗工後した後に乾燥させることで、塗膜の最表面に(B)成分を効果的に露出させることができ、これにより、最終的に得られる硬化膜の最表面に(B)成分を効果的に露出させることができ、消臭性を効果的に発揮させることができる。
有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル;ダイアセトンアルコール等のアセトンアルコール;トルエン及びキシレン等の芳香族化合物;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、及び酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン;ジブチルエーテル等のエーテル;並びにN-メチルピロリドン等が挙げられる。
有機溶剤としては、前記化合物の中でも、(A)成分との相溶性や乾燥性が良好であるという理由で、アルキレングリコールモノエーテル、芳香族化合物、エステル類、及びケトン類が好ましい。
有機溶剤の含有割合としては、組成物の固形分合計量100重量部に対して、0.01~200重量部であることが好ましく、10~150重量部であることがより好ましく、20~100重量部であることがさらに好ましい。
3-4.酸化防止剤
酸化防止剤は、硬化膜の耐熱性、耐候性等の耐久性を向上させる目的で配合する。
酸化防止剤としては、たとえばフェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、たとえば、ジt-ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO-20、AO-30、AO-40、AO-50、AO-60、AO-70、AO-80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、たとえば(株)アデカ製、アデカスタブPEP-4C、PEP-8、PEP-24G、PEP-36、HP-10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO-23、AO-412S、AO-503A等が挙げられる。
これらは1種を用いても2種類以上を用いてもよい。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤の配合割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、(A)成分合計量100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~1重量部である。
配合割合を0.01重量部以上とすることで、組成物の耐久性を向上させることができ、一方、5重量部以下とすることで、硬化性や密着性を良好にすることができる。
3-5.紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、硬化膜の耐光性を向上させる目的で配合する。
紫外線吸収剤としては、BASF社製TINUVIN400、TINUVIN405、TINUVIN460、TINUVIN479等のトリアジン系紫外線吸収剤や、TINUVIN900、TINUVIN928、TINUVIN1130等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
紫外線吸収剤の配合割合としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、(A)成分合計量100重量部に対して0.01~5重量部が好ましく、より好ましくは0.1~1重量部である。配合割合を0.01重量部以上とすることで、硬化膜の耐光性を良好なものとすることができ、一方、5重量部以下とすることで、組成物の硬化性に優れるものとすることができる。
3-6.顔料・染料
顔料としては、有機顔料及び無機顔料等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー及びピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料;リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット及びパーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン及びチオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー及びフタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド及びキナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド及びペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンエロー及びイソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド及びピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料;縮合アゾ系有機顔料;ベンズイミダゾロン系有機顔料;キノフタロンエロー等のキノフタロン系有機顔料、イソインドリンエロー等のイソインドリン系有機顔料;並びにその他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド及びジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
又、前記無機顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック及び合成鉄黒等を挙げることができる。尚、前記フィラーで例示したカーボンブラックは、無機顔料としても使用することができる。
染料としては、従来から知られた種々の化合物を使用することができる。
3-7.レベリング剤
シリコーン系レベリング剤及び、フッ素系レベリング剤等が挙げられ、市販されている各種レベリング剤を使用することができる。
3-8.シランカップリング剤
シランカップリング剤は、硬化膜と基材との界面接着強度を改善する目的で配合する。
シランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば種々の化合物を使用することができる。
シランカップリング剤としては、具体的には、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤の配合割合は、目的に応じて適宜設定すれば良く、(A)成分合計量100重量部に対して0.1~10重量部が好ましく、より好ましくは1~5重量部である。
配合割合を0.1重量部以上にすることで、組成物の接着力を向上させることができ、一方、10重量部以下とすることで、接着力の経時変化を防止することができる。
3-9.親水性重合体
本発明の組成物を基材に塗工する場合、適用する基材の種類及び塗工方法によっては、基材に組成物を塗工し乾燥した後の塗膜にハジキ等が発生し、最終的に得られる硬化膜が外観不良となる場合がある。
この場合、塗膜のハジキ等を防止する目的のため、硬化型組成物に親水性重合体を添加することが好ましい。
親水性重合体としては、親水性基を有する重合体が挙げられる。
親水性基としては、酸性基、水酸基及び4級塩基等が挙げられ、酸性基が好ましい。
酸性基としては、カルボキシル基、スルホン酸基、及びリン酸基等が挙げられ、カルボキシル基又はスルホン酸基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
4級塩基としては、トリメチルアンモニウムクロライド基(ジメチルアミノ基へのメチルクロライド付加物)、及びトリエチルアンモニウムクロライド基(ジエチルアミノ基へのエチルクロライド付加物)等のトリアルキルアンモニウムハライド基、並びに、ジメチルアンモニウムスルホキシド基(ジメチルアミノ基への硫酸付加物)、及びジエチルアンモニウムスフロキシド基(ジエチルアミノ基への硫酸付加物)等のジアルキルアンモニウムのスルオキシド基等が挙げられる。
親水性重合体が酸性基を有する重合体(以下、「酸性基含有重合体」という)としては、酸性基の一部又は全部が中和された中和塩が好ましい。当該酸性基含有重合体の中和塩の製造方法としては、原料ビニル系単量体として中和塩を使用して製造する方法、及び酸性基含有重合体を製造した後、中和処理して製造する方法等が挙げられる。
親水性重合体としては、親水性基を有するビニル系単量体を必須構成単量体単位とする重合体が好ましい。親水性基を有するビニル系単量体としては、酸性基を有するビニル系単量体及び水酸基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
酸性基を有するビニル系単量体としては、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物及びリン酸基を有するエチレン性不飽和化合物等が挙げられる。
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、及びこれら化合物の塩等が挙げられる。スルホン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、及び(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。リン酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、リン酸と(メタ)アクリル酸とのエステル化物等のリン酸基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
酸性基含有重合体が酸性基の一部又は全部が中和された中和塩の場合においては、酸性基を有するビニル系単量体として、中和塩を使用することが好ましい。
酸性基を有するビニル系単量体の中和塩を形成するためのアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;アンモニア;並びにトリエチルアミン及びトリエタノールアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
水酸基を有するビニル系単量体としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
4級塩基を有するビニル系単量体としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、及び(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムハライド、並びに(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウムスルホキサイド、及び(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチルアンモニウムスルホキサイド等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルジアルキルアンモニウムスルホキサイド等が挙げられる。
親水性重合体としては、親水性基を有するビニル系単量体以外のビニル系単量体(以下、「その他単量体」という)を共重合したものであっても良い。
その他単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、及び(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート及びデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
親水性重合体として、4級塩基を有する重合体を使用する場合においては、さらに重合体中に、ビニル基又は及び(メタ)アクリロイル基等の不飽和基を有する重合体を使用することができる。
当該重合体の例としては、少なくとも4級塩基を有するビニル系単量体及びグリシジル(メタ)アクリレートを構成単量体単位とする重合体に(メタ)アクリル酸を付加させた重合体、少なくとも4級塩基を有するビニル系単量体及び(メタ)アクリル酸を構成単量体単位とする重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた重合体等が挙げられる。
親水性重合体としては、酸性基又は/及び水酸基を有する親水性重合体の場合において、重量平均分子量(以下、「Mw」という)として、1,000~100,000が好ましく、1,000~30,000がより好ましい。
尚、本発明において親水性重合体のMwとは、標準ポリスチレンを検量線として用いたGPCにより求めた値を意味する。
親水性基としてカルボン酸等の酸性基を有する重合体の場合、中和する前に測定した値を意味する。又、その他単量体としてアミン性の単量体を含む場合はGPC測定ができないため、これら成分の代わりに通常のアルキル(メタ)アクリレートを使用して、同様の重合温度、開始剤濃度、モノマー濃度、溶剤濃度等の条件をそろえて重合した重合体のGPC測定結果を推測値とした値を意味する。
親水性重合体としては、前記単量体を使用し常法の重合に従い製造されたものを使用することができる。
例えば、ラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングラジカル重合法等が挙げられる。
又、重合の形態として、例えば、溶液重合法、エマルジョン重合法、懸濁重合法及び塊状重合法等が挙げられる。
前記した低分子量重合体を通常の重合方法で製造しようとすると、通常、連鎖移動剤及び重合開始剤を多くする必要がある。連鎖移動剤を多量に使用した重合体を使用すると、活性エネルギー線の照射により硬化膜が着色しやすくなり、又、重合開始剤を多量に使用した重合体を使用すると、組成物の保存安定性が低下し易くなる。
このため、多量の連鎖移動剤や重合開始剤を必要としない高温重合により製造された重合体が好ましい。
高温重合の温度としては、160~350℃が好ましく、180~300℃がより好ましい。
親水性重合体の形態としては、目的に応じて選択すれば良く、親水性重合体、親水性重合体の溶液、親水性重合体の分散液、及び粉末等が挙げられる。特に、前記した高温連続重合法で得られた親水性重合体は、低粘度の重合体であるため、溶液又は分散液として使用することなく、そのまま使用できる点で好ましい。
親水性重合体の溶液又は分散液の具体例としては、親水性重合体の有機溶剤溶液、親水性重合体の水溶液又は水性分散液、親水性重合体の有機溶剤と水の混合溶液又は水散液等が挙げられる。
親水性重合体の溶液及び分散液の固形分としては、3~70重量%が好ましい。
又、親水性重合体の溶液及び分散液の粘度としては、5~20,000mPa・sが好ましい。
親水性重合体において高温連続重合で得られた重合体のMwとしては、1,000~30,000が好ましく、2,000~20,000がより好ましい
高温連続重合で得られた重合体のガラス転移点(以下、「Tg」という)としては、-85℃~120℃の範囲であることが好ましく、-80℃~100℃の範囲であることがより好ましい。
尚、本発明においてTgとは、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で測定した値を意味し、ΔT-温度曲線においてガラス転移温度中間点(Tmg)における値を意味する。
親水性重合体において高温連続重合で得られた重合体は市販されており、市販品を使用することもできる。
具体的には、水酸基を有する共重合体として、ARUFON UH-2041(Mw:2,500、Tg:-50℃)、ARUFON UH-2190(Mw:6,000、Tg:-47℃)、ARUFON UHE-2012(Mw:5,800、Tg:20℃)及びARUFON UH-2170(Mw:14,000、多分散度:3.5、Tg:60℃)等が挙げられる。
親水性重合体の含有割合としては、親水性重合体をそのまま使用する場合、及び水溶液又は水性分散液を使用する場合のいずれの場合においても、固形分基準で、組成物の合計量100重量部中に、0.5~50重量部であることが好ましく、より好ましくは2~40重量部である。
親水性重合体の含有割合を0.5重量部以上とすることにより、硬化膜のハジキを防止するとともに、各種基材に対する密着性を向上させたり、フィルムのような膜厚が薄い基材に本発明の組成物を塗工し、硬化させた時の基材の変形及び反りを防ぐことができ、50重量部以下とすることにより硬化膜の白濁、スジむら、及びゆず肌等の外観不良を防ぐことができる。
4.使用方法
本発明の組成物の使用方法としては、常法に従えば良い。
例えば、基材に組成物を塗工した後、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
又、組成物に有機溶剤を含む場合は、基材に組成物を塗工した後、加熱及び乾燥させ有機溶剤を蒸発させた後、活性エネルギー線を照射する方法等が挙げられる。
硬化後、硬化膜に光照射するか、又は、蛍光灯及び太陽光等の光環境下に放置することで、硬化物の臭気を消臭することができる。
光環境下の放置時間としては、好ましくは10時間以上放置することで、より好ましくは
16時間以上放置することで、硬化物の臭気を消臭することができる。
この際、水を霧吹き等で基材表面に噴霧した状態で光照射、又は光環境下に放置するのが好ましい。
本発明の組成物が適用できる基材としては、種々の材料に適用でき、プラスチック、木材、金属、無機材料及び紙等が挙げられる。
プラスチックの具体例としては、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース及びジアセチルセルロース等のセルロースアセテート樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ノルボルネン等の環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂及びポリウレタン樹脂等が挙げられる。
木材としては、自然の木材及び合成木材等が挙げられる。
金属としては、鋼板、アルミ及びクロム等の金属、酸化亜鉛(ZnO)及び酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物等が挙げられる。
無機材料としては、ガラス、モルタル、コンクリート及び石材等が挙げられる。
本発明の組成物の基材への塗工方法としては、目的に応じて適宜設定すれば良く、バーコーター、アプリケーター、ドクターブレード、ディップコーター、ロールコーター、スピンコーター、フローコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーター、ダイコーター、リップコーター、グラビアコーター及びマイクログラビアコーター等で塗工する方法が挙げられる。
基材に対する組成物硬化膜の膜厚は、目的に応じて適宜設定すればよい。硬化膜の厚さとしては、使用する基材や製造した硬化膜を有する基材の用途に応じて選択すればよいが、5~50μmであることが好ましく、5~20μmであることがより好ましい。
本発明の組成物を硬化させるための活性エネルギー線としては、紫外線、可視光線及び電子線等が挙げられるが、紫外線が好ましい。
紫外線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、UV無電極ランプ、LED等が挙げられる。
照射エネルギーは、活性エネルギー線の種類や配合組成に応じて適宜設定すべきものであるが、一例として高圧水銀ランプを使用する場合を挙げると、UV-A領域の照射エネルギーで100~5,000mJ/cm2が好ましく、200~1,000mJ/cm2がより好ましい。
又、本発明は、下記工程1~工程3を順次実施する消臭性基材の製造方法にも関する。
・工程1:基材に、前記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化組成物を塗工する工程
・工程2:工程1で得られた塗工面に、活性エネルギー線を照射する工程
・工程3:工程2で得られた硬化物に、光照射するか、又は光環境下に放置する工程
工程1における組成物の塗工方法としては、前記と同様の方法に従えば良い。
工程2における活性エネルギー線の照射方法としては、前記と同様の方法に従えば良い。
工程3における光の照射方法、及び光環境下に放置する方法としては、前記と同様の方法に従えば良い。光環境下に放置する時間としては、前記と同様の時間が好ましい。
5.用途
本発明の組成物は、種々の用途に使用可能であり、インキ、成形品、及びコーティング剤等が挙げられる。
インキの具体例としては、オフセットやインクジェット印刷等の用途が挙げられる。成形品としては、プラスチックフィルムやプラスチック成型品等が挙げられる。コーティング剤の具体例としては、木工製品及びプラスチック等のハードコート等が挙げられ、より具体的には、ドアノブやタッチパネル等のコーティング用途等が挙げられる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線照射による光硬化後に生じる硬化物の臭気を消臭できるため、特にコーティング剤として好ましく使用できるものである。
例えば、硬化膜を含むフィルムをロールで保管し、使用時に巻きだすことで硬化膜に含まれる臭気が問題となる光学用フィルム、及び、使用者の鼻と近い距離で使用するため、通常のコーティング剤では臭気が気になって使用できないようなプラマスク(プラスチック製マスク)やフェイスシールド等にも好ましく使用することができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。
尚、以下においては、「部」とは重量部を意味し、「%」は重量%を意味する。
1.実施例及び比較例
1)活性エネルギー線硬化型組成物の製造
下記表1に示す化合物を表1に示す割合で撹拌・混合し、活性エネルギー線硬化型組成物を製造した。
得られた組成物を使用し、後述する評価を行った。それらの結果を表2に示す。
Figure 2022172885000001
尚、表1における数字は部数を意味し、空欄はゼロを意味する。
又、表1における略号は下記を意味する。
(A)成分
・MT-3560:グリセリンジアクリレート〔東亞合成(株)製、製品名:アロニックスMT-3560。水酸基価:240mgKOH/g〕
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート混合物〔東亞合成(株)製、製品名:アロニックスM-404〕
・UA:ウレタンアダクト〔根上工業(株)製、製品名:UN-2601。2官能、Mw:1,600〕。
尚、UAは高粘度のため、テトラヒドロフルフリルアクリレート〔大阪有機化学工業(株)製、製品名:ビスコート#150〕(以下、「THFA」という)70重量%で希釈して配合した。
・MT-3501A:ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート混合物〔東亞合成(株)製、製品名:アロニックスMT-3501A〕
・OT-2500:エポキシアクリレート〔東亞合成(株)製、製品名:アロニックスOT-2500〕
(B)成分
・ZnO:超微粒子酸化亜鉛(粉体)〔堺化学工業(株)製、製品名:NANOFINE-50LP。ポリシロキサン表面処理品。平均粒子径:0.168μm〕
※尚、平均粒子径は、水溶媒により0.05重量%の濃度としたサンプルを使用し、動的光散乱法により測定した。測定装置としては、大塚電子(株)製ゼータ電位・粒径測定システム ELSZ-1000を使用した。
(C)成分
・TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド〔IGM RESINS B.V.社製、製品名:OmniradTPO〕
(D)成分
下記3種の界面活性剤を使用し、それぞれ以下の割合で混合したものを使用した。以下、「SAA」という。
・イオン液体〔日本乳化剤(株)製、製品名:アミノイオンRE3000TG。反応性界面活性剤〕:9部
・ポリエチレングリコール(付加モル数10)片末端にSO3NH4基(アニオン性)を有し、もう一方の末端にアルキル基とアリル基を有する化合物〔(株)ADEKA製、製品名:アデカリアソープSR-10〕:3部
・スルホコハク酸ジエチルへキシルナトリウム〔新日本理化(株)製、製品名:リカサーフG-30〕:4部
その他
・UH-2041:水酸基含有アクリル系ポリマー〔東亞合成(株)製、製品名:アルフォンUH-2041。Mw:2,500〕
・Al23:酸化アルミニウム〔富士フィルム和光純薬(株)製、製品名:酸化アルミニウム〕
2)評価方法
(1)試験体の製造
得られた組成物を、膜厚が10μmとなるようポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム〔東洋紡(株)製コスモシャイン(登録商標)A4360(厚み100μm)〕にバーコーターで塗布した後、アイグラフィックス(株)製高圧水銀ランプを用い、365nmを中心とする紫外線領域(UV-A)強度250mW/cm2にて、1パスあたり200mJ/cm2の照射エネルギーとなるよう調整したコンベアにて、空気雰囲気下で搬送を行い、6パス紫外線照射を行った。
得られた試験体を使用して、下記の方法に従い臭気及び表面の評価を行った。それらの結果を表2に示す。
(2)臭気の評価
得られた試験体を使用して、臭気の強さの評価を実施した。臭気の評価には新コスモス電機(株)製ポータブル型ニオイセンサmini XP-329mを使用した。
換気がよく、溶媒等の薬品が使われていない部屋の臭気を0基準として、臭気の強さの度合いを測定した。得られた指示値の目安は以下のとおりである。
・0~10:5人が臭気を嗅いで全員が無臭と答える位の臭気の強さ
・11~20:5人が臭気を嗅いで1~2人が臭うと答える位の臭気の強さ
・21~30:5人が臭気を嗅いで2~3人が臭うと答える位の臭気の強さ
・31~40:5人が臭気を嗅いで3~4人が臭うと答える位の臭気の強さ
・41以上:5人が臭気を嗅いで全員が臭うと答える位の臭気の強さ
得られた試験体を、暗所で1日間放置した後、上記と同様の方法で臭気を評価した。
上記とは別に、得られた試験体を、ドラフト内(蛍光灯及び日光環境下)で1日間放置した後、上記と同様の方法で臭気を評価した。
(3)硬化物表面状態の評価
得られた試験体の表面を目視で観察し、以下の3水準で評価した。
○:硬化物表面が透明で、光沢を有するものであった。
△:硬化物表面の光沢が低下するか、又は一部に白濁が見られた。
×:硬化物表面に劣化がみられるか、又は白濁を生じた。
Figure 2022172885000002
本発明の組成物は、いずれの場合もドラフト内(蛍光灯及び日光環境下)に1日放置すると臭気が大幅に減少した。
これに対して、(B)成分を含まない比較例1の組成物は、ドラフト内(蛍光灯及び日光環境下)に1日放置しても臭気が全く消えないという問題があった。
又、(B)成分に該当しない金属酸化物を含む比較例2の組成物でも、同様に臭気が消えないという問題があった。
本発明の組成物は、その硬化物から発生する特有の臭いを消臭することができる。
従って、本発明の組成物は、種々の用途に好ましく使用することができ、特に、臭気を気にする部材へのコーティング剤として好ましく使用することができ、具体的には、フェイスシールド、ゴーグル、プラスチックマスク及び子供が遊ぶおもちゃ等のコーティング剤等に使用することができる。

Claims (26)

  1. 下記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化型組成物。
    (A)成分:エチレン性不飽和基を有する化合物
    (B)成分:可視光領域に吸収を有する金属酸化物
  2. 前記(A)成分が、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む請求項1記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  3. エチレン性不飽和基を有する化合物が(メタ)アクリレートを含む請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  4. 前記(A)成分が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、グリセリン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上を含む請求項2又は請求項3に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  5. 前記(B)成分が吸収する可視光領域が380~500nmである請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物
  6. 前記(B)成分が第4周期金属元素の金属酸化物である請求項5に記載の活性エネルギー線硬化型用組成物
  7. 前記(B)成分が酸化亜鉛又は/及び酸化チタンである請求項6に記載の活性エネルギー線硬化型塗料用組成物
  8. 前記(B)成分の動的光散乱法により測定した平均粒子径が0.05~0.3μmである請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  9. 前記(B)成分が、表面処理された金属酸化物である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  10. 前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分を0.01~0.5重量部含む請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  11. さらに、(C)成分:光重合開始剤を含む請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  12. さらに、(D)成分:界面活性剤を含む請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化型組成物。
  13. 請求項1~請求項11のいずれか1項に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型コーティング剤組成物。
  14. 請求項13に記載の組成物を含む活性エネルギー線硬化型防曇用コーティング剤組成物。
  15. 下記工程1~工程3を順次実施する消臭性基材の製造方法。
    ・工程1:基材に、下記(A)成分及び(B)成分を含む活性エネルギー線硬化組成物を塗工する工程
    (A)成分:エチレン性不飽和基を有する化合物
    (B)成分:可視光領域に吸収を有する金属酸化物
    ・工程2:工程1で得られた塗工面に、活性エネルギー線を照射する工程
    ・工程3:工程2で得られた硬化物に、光照射するか、又は光環境下に放置する工程
  16. 前記(A)成分が、2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む請求項15に記載の消臭性基材の製造方法。
  17. エチレン性不飽和基を有する化合物が(メタ)アクリレートを含む請求項15又は請求項16に記載の消臭性基材の製造方法。
  18. 前記(A)成分が、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であって、グリセリン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートからなる群から選択される1種以上を含む請求項16又は請求項17に記載の消臭性基材の製造方法。
  19. 前記(B)成分が吸収する可視光領域が380~500nmである請求項15~請求項18のいずれか1項に記載の消臭性基材の製造方法。
  20. 前記(B)成分が第4周期金属元素の金属酸化物である請求項19に記載の消臭性基材の製造方法。
  21. 前記(B)成分が酸化亜鉛又は/及び酸化チタンである請求項20に記載の消臭性基材の製造方法。
  22. 前記(B)成分の動的光散乱法により測定した平均粒子径が0.05~0.3μmである請求項15~請求項21のいずれか1項に記載の消臭性基材の製造方法。
  23. 前記(B)成分が、表面処理された金属酸化物である請求項15~請求項22のいずれか1項に記載の消臭性基材の製造方法。
  24. 前記(A)成分100重量部に対して、前記(B)成分を0.01~0.5重量部含む請求項15~請求項23のいずれか1項に記載の消臭性基材の製造方法。
  25. 前記組成物が、さらに、(C)成分:光重合開始剤を含む請求項15~請求項24のいずれか1項に記載の消臭性基材の製造方法。
  26. 前記組成物が、さらに、(D)成分:界面活性剤を含む請求項15~請求項25のいずれか1項に記載の消臭性基材の製造方法。
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