JP2022172205A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
【課題】シートクッションを支持するダンパのストロークを大きくすることで、シートクッションに伝わる振動をより良好に減衰させることを目的とする。【解決手段】乗物用シート(車両用シートS)は、乗物の床に固定されるロアレール21と、ロアレール21に対してスライド移動可能なアッパーレール22と、アッパーレール22に支持されるシートクッションS1と、アッパーレール22とシートクッションS1との間に設けられるダンパ1を備える。ダンパ1は、シートクッションS1に連結される先端部を有するアーム11と、アーム11を回動可能に支持するとともに、アーム11の先端部に入力された力に抗する力を発生させる本体部12を備える。アーム11の回動軸AXは、アッパーレール22の上端より下に位置する。【選択図】図1
Description
本発明は、シートクッションを支持するダンパを備えた乗物用シートに関する。
従来、乗物用シートとして、地面から伝わる振動がシートクッションに伝わるのを抑えるためのダンパを備えたものが知られている(特許文献1参照)。具体的に、この技術では、ダンパがゴムを備え、このゴムの変形によって振動を減衰させている。また、この技術に係る乗物用シートは、ロアレールに対してスライド移動可能なアッパーレールの上にダンパが配置され、ダンパの上にシートクッションが配置されている。
しかしながら、ゴムを備えたダンパでは、ストロークを大きくとることができないため、振動をより良好に減衰させるためには、ストロークを大きくとることができるダンパを乗物用シートに設けることが望まれている。また、従来技術では、ダンパを、上下方向においてアッパーレールとシートクッションの間に配置しているので、乗物用シートが上下方向に大型化するおそれがある。
そこで、本発明は、シートクッションを支持するダンパのストロークを大きくすることで、シートクッションに伝わる振動をより良好に減衰させることを第1の目的とする。また、本発明は、乗物用シートが上下方向に大型化するのを抑えることを第2の目的とする。
前記した課題を解決するため、本発明に係る乗物用シートは、乗物の床に固定されるロアレールと、前記ロアレールに対してスライド移動可能なアッパーレールと、前記アッパーレールに支持されるシートクッションと、前記アッパーレールと前記シートクッションとの間に設けられるダンパと、を備える。
前記ダンパは、前記シートクッションに連結される先端部を有するアームと、前記アームを回動可能に支持するとともに、前記アームの先端部に入力された力に抗する力を発生させる本体部と、を備える。
前記アームの回動軸は、前記アッパーレールの上端より下に位置する。
前記ダンパは、前記シートクッションに連結される先端部を有するアームと、前記アームを回動可能に支持するとともに、前記アームの先端部に入力された力に抗する力を発生させる本体部と、を備える。
前記アームの回動軸は、前記アッパーレールの上端より下に位置する。
この構成によれば、ダンパが回動可能なアームを備えるので、従来のようなゴムによってシートクッションを支持するダンパに比べ、ストロークを大きくとることができる。そのため、シートクッションに伝わる振動をより良好に減衰させることができる。また、アームの回動軸がアッパーレールの上端より下に位置するので、乗物用シートが上下方向に大型化するのを抑えることができる。
また、前記ダンパは、前記アッパーレールの移動方向において、前記アッパーレールの外側に配置されていてもよい。
これによれば、ダンパがアッパーレールの移動方向外側に配置されるので、乗物用シートが上下方向に大型化するのを抑えることができる。
また、前記乗物用シートは、前記アッパーレールの前記移動方向の一端部に固定され、前記ダンパの前記本体部を支持する第1支持ブラケットを備え、前記第1支持ブラケットは、前記アームの前記シートクッションとの連結部分を、前記アームの回動軸に沿った方向へ露出させる凹部を有していてもよい。
これによれば、アームをシートクッションに連結させる際に、連結作業に必要な部材を凹部から挿入させることができるので、連結作業を容易に行うことができる。
また、前記第1支持ブラケットは、前記アッパーレールの後面に取り付けられていてもよい。
これによれば、乗物用シートの上下方向の大きさを小さくすることができる。
また、前記第1支持ブラケットは、前記ダンパの前記本体部の両端部を支持するように形成されていてもよい。
これによれば、第1支持ブラケットでダンパを安定して支持することができる。
また、前記乗物用シートは、前記アッパーレールの前記移動方向の他端部に固定され、前記ダンパの前記本体部を支持する第2支持ブラケットを備え、前記アームの先端部は、前記第2支持ブラケットよりも前記アッパーレールとは反対側に突出していてもよい。
これによれば、第2支持ブラケットの移動方向の長さが第1支持ブラケットよりも短くなるので、乗物用シートの軽量化を図ることができる。
また、前記第1支持ブラケットおよび前記第2支持ブラケットで支持される各ダンパのアームの先端部が、水平方向において、それぞれのアームの回動軸に対して同じ側にずれていてもよい。
これによれば、アームの回動が他のアームの回動で阻害されないので、上下方向のストロークをより大きくとることができる。
また、前記第1支持ブラケットで支持されるダンパのアームの先端部は、前記シートクッションのヒップポイントよりも後方に配置され、前記第2支持ブラケットで支持されるダンパのアームの先端部は、前記シートクッションのヒップポイントよりも前方に配置されていてもよい。
これによれば、乗員から荷重の加わりやすいヒップポイントの前側・後側にダンパが配置されていることにより、乗員に振動が伝わることを効果的に抑制することができる。
また、前記シートクッションは、前記アッパーレールの移動方向に延びるフットブラケットを備え、前記ダンパは、前記フットブラケットの前端よりも後方に配置されていてもよい。
これによれば、乗員の足がダンパに接触することを抑制することができる。
また、前記回動軸は、前記移動方向に直交していてもよい。
これによれば、アームの先端部を移動方向に向けることができるので、乗物用シートが移動方向に直交する方向に大型化するのを抑えることができる。
本発明によれば、シートクッションを支持するダンパのストロークを大きくすることができるので、シートクッションに伝わる振動をより良好に減衰させることができる。また、乗物用シートが上下方向に大型化するのを抑えることができる。
また、ダンパをアッパーレールの移動方向外側に配置することで、乗物用シートが上下方向に大型化するのを抑えることができる。
また、ダンパの本体部を支持する第1支持ブラケットに、アームのシートクッションとの連結部分をアームの回動軸に沿った方向へ露出させる凹部を設けることで、アームをシートクッションに連結させる際に、連結作業に必要な部材を凹部から挿入させることができるので、連結作業を容易に行うことができる。
また、第1支持ブラケットをアッパーレールの後面に取り付けることで、乗物用シートの上下方向の大きさを小さくすることができる。
また、第1支持ブラケットがダンパの本体部の両端部を支持するように形成されることで、第1支持ブラケットでダンパを安定して支持することができる。
また、ダンパの本体部を支持する第2支持ブラケットからアームの先端部を突出させる構造とすることで、第2支持ブラケットの移動方向の長さが第1支持ブラケットよりも短くなるので、乗物用シートの軽量化を図ることができる。
また、複数のアームの先端部を回動軸に対して水平方向の同じ側にずらすことで、アームの回動が他のアームの回動で阻害されないので、上下方向のストロークをより大きくとることができる。
また、乗員から荷重の加わりやすいヒップポイントの前側・後側にダンパを配置することにより、乗員に振動が伝わることを効果的に抑制することができる。
また、ダンパをフットブラケットの前端よりも後方に配置することで、乗員の足がダンパに接触することをフットブラケットによって抑制することができる。
また、アームの回動軸を移動方向に直交するように配置することで、アームの先端部を移動方向に向けることができるので、乗物用シートが移動方向に直交する方向に大型化するのを抑えることができる。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る乗物用シートの一実施形態について説明する。一実施形態の乗物用シートは、例えば図1に示すように、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されている。この車両用シートSは、シートクッションS1と、シートバックS2と、シートクッションS1を支持する4つのダンパ1(図2参照)と、シートクッションS1をダンパ1を介して前後方向に移動可能に支持するスライド機構2とを備えている。なお、本発明において、前後、左右、上下は、シートに座る乗員を基準とする。また、左右方向の内側および外側は、断りがない限り、シートを基準とする。
シートクッションS1は、金属製のクッションフレーム3に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるパッド材が被され、これらが合成皮革や布地などの表皮材で覆われることによって構成されている。シートバックS2は、金属製のバックフレーム4に、ウレタンフォームなどのクッション材からなるパッド材が被され、これらが合成皮革や布地などの表皮材で覆われることによって構成されている。
バックフレーム4は、左右のバックサイドフレーム41と、各バックサイドフレーム41の上部を連結する上部フレーム42とを備えている。上部フレーム42は、パイプ材をU形状に折り曲げることで構成され、両端が下方を向くように配置されている。左右のバックサイドフレーム41は、それぞれ、その上端部が上部フレーム42の各端部に接合され、その下端部がクッションフレーム3に回動可能に連結されている。
クッションフレーム3は、左右のサイドフレーム31と、各サイドフレーム31の前部を連結する前部フレーム32と、各サイドフレーム31を支持する左右のフットブラケット33(図3も参照)と、左右のフットブラケット33の前端部および後端部に固定される、合計4つの連結部材34とを備えている。
サイドフレーム31は、板状の部材からなり、前後方向に延びる基部31Aと、基部31Aの後部から上方に向けて突出する突出部31Bとを有している。そして、突出部31Bの上端部に、バックサイドフレーム41が図示せぬリクライング機構を介して連結されている。
図2に示すように、前部フレーム32は、パイプ材をU形状に折り曲げることで構成され、両端が後方を向くように配置されている。前部フレーム32の各端部には、サイドフレーム31の前端部が接合されている。また、左右のサイドフレーム31の後端部は、左右方向に延びる連結ビーム35によって連結されている。さらに、前部フレーム32の左右方向中央部と連結ビーム35の左右方向中央部は、前後方向に延びる板状のフレーム36によって連結されている。4つのダンパ1は、クッションフレーム3の左側において前後方向に離れて2つ配置され、クッションフレーム3の右側において前後方向に離れて2つ配置されている。そして、各ダンパ1は、シートクッションS1の左右端よりも内側に配置されている。
ここで、本実施形態では、シートクッションS1の左右端が、左右のサイドフレーム31の外面として図示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、クッションフレームにワイヤなど他の部材を、サイドフレームの外面よりも左右方向外側に配置した場合には、その部材の左右方向の側面よりも、内側にダンパを配置してもよい。
図1に戻って、フットブラケット33は、前後方向に延びる断面視U形状(図3参照)のU字フレームであり、サイドフレーム31の基部31Aの下端に固定されている。フットブラケット33は、その前端部がサイドフレーム31の基部31Aよりも前方に突出し、その後端部が基部31Aよりも後方に突出している。そして、フットブラケット33は、2つの連結部材34を介して2つのダンパ1で支持されている。
スライド機構2は、乗物の一例としての車両の床Fに固定される左右のロアレール21と、ロアレール21に対してスライド移動可能な左右のアッパーレール22とを備えている。各アッパーレール22は、前後方向に延びる各ロアレール21によって前後方向に移動可能に支持されている。
アッパーレール22の移動方向の一端部、詳しくは後端部には、後側のダンパ1を支持する第1支持ブラケット5が固定されている。アッパーレール22の移動方向の他端部、詳しくは前端部には、前側のダンパ1を支持する第2支持ブラケット6が固定されている。このように構成されるアッパーレール22は、各支持ブラケット5,6およびダンパ1を介してクッションフレーム3を支持している。つまり、ダンパ1は、車両の床Fからクッションフレーム3に振動が伝達される経路において、アッパーレール22とクッションフレーム3との間に設けられている。また、ダンパ1は、アッパーレール22の移動方向において、アッパーレール22の外側に配置されている。詳しくは、ダンパ1は、アッパーレール22の後端部に第1支持ブラケット5を介して取り付けられ、アッパーレール22の前端部に第2支持ブラケット6を介して取り付けられている。
図3に示すように、アッパーレール22は、前後方向に延びる上壁部22Aと、上壁部22Aの左右方向の各端部から下方に延びる側壁部22B,22Cとを主に有している。側壁部22B,22Cは、上壁部22Aから下方に延びた後、アッパーレール22の左右の中心に向けて斜め下に延び、その後下方に延びている。側壁部22B,22Cの下端部は、アッパーレール22の左右の中心から離れる方向に湾曲した後、上方に延びるように形成されることで、ロアレール21に図示せぬボールなどを介して係合可能となっている。
上壁部22Aの後端部には、第1支持ブラケット5を取り付けるための第1取付フランジ22Dが形成されている。第1取付フランジ22Dは、上壁部22Aの後端部から下方に延びており、第1支持ブラケット5を取り付けるための図示せぬボルトなどが入り込む孔22Eを有している。
フットブラケット33は、前後方向に延びる底壁33Aと、底壁33Aの左右方向の各端部から下方に延びる一対の側壁33B,33Cとを有している。底壁33Aの後端部には、連結部材34を取り付けるための2つのボルトB1が入り込む2つの孔33Dが形成されている。各孔33Dは、左右方向に間隔を空けて並んでいる。
連結部材34は、上下方向に長い金属製の略矩形の部材である。連結部材34の上下方向の長さは、フットブラケット33の側壁33B,33Cの上下方向の長さよりも大きくなっている。連結部材34は、その上面に、2つのボルトB1が捩じ込まれる2つの孔34Aを有している。これにより、連結部材34を、フットブラケット33の底壁33AにボルトB1で固定することが可能となっている。
また、連結部材34の下端部には、左右方向に貫通する貫通孔34Bが形成されている。この貫通孔34Bには、ダンパ1の後述するアーム11を取り付けるためのピンP1が挿入可能となっている。これにより、ピンP1と抜け止めワッシャWとによって、連結部材34とアーム11の先端部を連結することが可能となっている。ここで、抜け止めワッシャWは、内周縁に複数のスリットを有するワッシャであり、ピンP1に圧入させたときに内周部が変形することによって、ピンP1に固定される。また、連結部材34の下面は、貫通孔34Bを中心とする断面視円弧状の曲面となっている。
ダンパ1は、連結部材34に連結される先端部を有するアーム11と、アーム11を回動可能に支持するとともに、アーム11の先端部に入力された力に抗する力を発生させる本体部12とを備える。
アーム11は、円筒状の基部11Aと、基部11Aの外周面から突出する2つの突出部11Bとを有している。基部11Aは、本体部12に回動可能に支持されている。2つの突出部11Bは、それぞれ同じ方向に向けて突出している。各突出部11Bは、連結部材34の左右方向の幅以上の距離だけ左右方向に離れて配置されており、これにより、各突出部11Bを連結部材34の左右方向両側に配置することが可能となっている。各突出部11Bの先端部には、ピンP1を挿入可能な孔11Cが形成されている。
本体部12は、固定ピン13と、固定カム14と、移動カム15と、圧縮コイルばね16と、ナット17とを備えている。なお、固定カム14、移動カム15および圧縮コイルばね16は、アーム11の基部11A内に収容される部材であるが、説明の便宜上、基部11Aから外した状態で図示している。
固定ピン13は、左右方向に延びる円柱状の軸部13Aと、軸部13Aの右側の端部に設けられる円板状のフランジ部13Bと、フランジ部13Bの左右方向内側の面に設けられる回転規制部13Cとを有している。
軸部13Aは、アーム11の基部11Aを回動可能に支持している。アーム11の回動軸は、軸部13Aの中心軸に略一致しており、アッパーレール22の移動方向に直交している。
軸部13Aの左側の端部には、ナット17が捩じ込まれる雄ネジ部が形成されている。軸部13Aの適所には、固定カム14とアーム11の回動方向で係合する図示せぬキー溝などの係合部が形成されている。つまり、固定カム14は、軸部13Aに取り付けられた状態において、軸部13Aに対して回転不能となっている。
フランジ部13Bの径は、軸部13Aの径よりも大きくなっている。回転規制部13Cは、外周に2面取り部を有し、第1支持ブラケット5の後述する長孔53Aと係合することで、軸部13Aが第1支持ブラケット5に対して回転不能となっている。
固定カム14は、移動カム15に形成されるカム面15Aと係合可能なカム面14Aを有している。カム面14Aは、固定カム14の軸方向に対して傾斜した螺旋状の面となっている。
移動カム15は、カム面15Aを有する他、アーム11と回動方向で係合する係合片15Bを有している。また、移動カム15は、軸部13Aの軸方向に沿って移動可能となるように、アーム11の基部11Aで支持されている。
圧縮コイルばね16は、軸方向において、移動カム15と基部11Aの端部11Dとの間に配置されている。以上のように構成されるダンパ1は、アーム11の先端部が下方に押し下げられると、アーム11と移動カム15が回動する。回動する移動カム15は、そのカム面15Aと固定カム14のカム面14Aとが係合することで、固定カム14から離れる方向に動かされる。これにより、圧縮コイルばね16が、移動カム15と基部11Aの端部11Dとの間で押し縮められるので、アーム11の先端部に入力された力に抗する力が圧縮コイルばね16から発生するようになっている。そして、各カム面14A,15A間の摩擦によって、振動が減衰される。
第1支持ブラケット5は、アーム11の本体部12を支持する部材であり、左右方向に延びる底壁51と、底壁51の左右方向の各端部から後方に延びる側壁52,53とを有している。底壁51は、前後方向に直交する面を有する壁であり、第1支持ブラケット5をアッパーレール22に取り付けるための図示せぬボルトなどが入り込む孔51Aを有している。そして、底壁51は、図示せぬボルトやナットなどによって、アッパーレール22の第1取付フランジ22Dの後面に取り付けられている。
左側の側壁52は、固定ピン13の軸部13Aを通すための丸孔52Aと、アーム11の連結部材34との連結部分を、アーム11の回動軸に沿った方向へ露出させる凹部52Bとを有している。凹部52Bは、側壁52の上端から下方に凹むように形成されている。丸孔52Aは、凹部52Bに対して下方、かつ、後方に配置されている。詳しくは、アーム11は、後で詳述するように、ダンパ1が車両用シートSに組み付けられた状態において、先端部が前斜め上方を向くように配置されているため、この先端部を凹部52Bを通して視認できるように、凹部52Bと丸孔52Aが上述したような配置となっている。
右側の側壁53は、固定ピン13の回転規制部13Cと係合する長孔53Aと、アーム11の連結部材34との連結部分を、アーム11の回動軸に沿った方向へ露出させる凹部53Bとを有している。凹部53Bは、側壁53の上端から下方に凹むように形成されている。長孔53Aは、凹部53Bに対して下方、かつ、後方に配置されている。
左右の側壁52,53がこのように形成されることで、ダンパ1の本体部12の軸方向の両端部を各側壁52,53で支持することが可能となっている。
図4に示すように、アッパーレール22の上壁部22Aの前端部には、第2支持ブラケット6を取り付けるための第2取付フランジ22Fが形成されている。第2取付フランジ22Fは、上壁部22Aの前端部から下方に延びており、第2支持ブラケット6を取り付けるための図示せぬボルトなどが入り込む孔22Gを有している。
フットブラケット33の底壁33Aの前端部には、連結部材34を取り付けるための2つのボルトB2が入り込む2つの孔33Eが形成されている。各孔33Eは、左右方向に間隔を空けて並んでいる。
なお、前側に配置される連結部材34およびダンパ1の構造は、後側の連結部材34およびダンパ1と同様であるため、説明や図示を適宜省略する。
第2支持ブラケット6は、アーム11の本体部12を支持する部材であり、左右方向に延びる底壁61と、底壁61の左右方向の各端部から前方に延びる側壁62,63とを有している。底壁61は、前後方向に直交する面を有する壁であり、第2支持ブラケット6をアッパーレール22に取り付けるための図示せぬボルトなどが入り込む孔61Aを有している。そして、底壁61は、図示せぬボルトやナットなどによって、アッパーレール22の第2取付フランジ22Fの前面に取り付けられている。
左側の側壁62は、固定ピン13の軸部13Aを通すための丸孔62Aを有している。右側の側壁63は、固定ピン13の回転規制部13Cと係合する長孔63Aを有している。長孔63Aは、前述した第1支持ブラケット5の長孔53Aと同様の形状となっている。そして、各側壁62,63は、第1支持ブラケット5の各側壁52,53とは異なり、上端および下端が前後方向に沿って互いに平行となるような、前後方向に延びる略矩形の形状に形成されている。また、各側壁62,63の前後方向の長さは、第1支持ブラケット5の各側壁52,53の前後方向の長さよりも短くなっている(図5参照)。
次に、図5を参照して、ダンパ1が車両用シートSに組み付けられた状態における、ダンパ1のアーム11の先端部の向きなどについて説明する。
図5に示すように、各ダンパ1のそれぞれのアーム11の回動軸AXは、アッパーレール22の上端より下に位置している。
図5に示すように、各ダンパ1のそれぞれのアーム11の回動軸AXは、アッパーレール22の上端より下に位置している。
各ダンパ1のそれぞれのアーム11の先端部は、同じ方向、本実施形態では前斜め上方を向くように配置されている。言い換えると、各ダンパ1のそれぞれのアーム11の先端部は、アーム11の回動軸AXに対し水平方向にずれた位置に位置している。詳しくは、各アーム11の先端部は、水平方向の同じ側、本実施形態では前側にずれている。
各ダンパ1は、フットブラケット33の前端よりも後方に配置されている。特に、前側に配置されるダンパ1のアーム11の先端部が、フットブラケット33の前端よりも後方に配置されている。
前側に配置されるアーム11の先端部は、第2支持ブラケット6よりもアッパーレール22とは反対側、つまり前側に突出している。これにより、前側に配置されるアーム11と連結部材34との連結部分が、左右方向に露出している。
一方、後側に配置されるアーム11の先端部は、第1支持ブラケット5の凹部52B,52C内に突出している。これにより、後側に配置されるアーム11と連結部材34との連結部分が、凹部52B,53Bを通して左右方向に露出している。
また、図1に示すように、アッパーレール22の後端部に取り付けられたダンパ1のアーム11の先端部は、シートクッションS1のヒップポイントHPよりも後方に配置されている。また、アッパーレール22の前端部に取り付けられたダンパ1のアーム11の先端部は、シートクッションS1のヒップポイントHPよりも前方に配置されている。
ここで、ヒップポイントHPは、所定の3次元マネキン(例えばAM50の人体ダミー)のトルソーラインL1とサイラインL2との交点(回転中心点)である。ここで、トルソーラインL1は、3次元マネキンの胴体部の位置を示すラインであり、サイラインL2は3次元マネキンの大腿部の位置を示すラインである。
次に、ダンパ1の車両用シートSへの組付方法について説明する。
図3に示すように、まず、第1支持ブラケット5を、アッパーレール22の第1取付フランジ22Dにボルトなどによって固定する。次に、基部11Aの内部に固定カム14、移動カム15および圧縮コイルばね16が収納された状態のアーム11を、第1支持ブラケット5の各側壁52,53の間に配置する。次いで、固定ピン13を、各側壁52,53の各孔52A,53Aと基部11Aの内部に通した後、ナット17を固定ピン13の雄ネジ部に螺合させる。この際、アーム11の先端部が各凹部52B,53Bから左右方向に露出するように、アーム11の向きを前斜め上方に規定しつつ、ナット17を締結する。
図3に示すように、まず、第1支持ブラケット5を、アッパーレール22の第1取付フランジ22Dにボルトなどによって固定する。次に、基部11Aの内部に固定カム14、移動カム15および圧縮コイルばね16が収納された状態のアーム11を、第1支持ブラケット5の各側壁52,53の間に配置する。次いで、固定ピン13を、各側壁52,53の各孔52A,53Aと基部11Aの内部に通した後、ナット17を固定ピン13の雄ネジ部に螺合させる。この際、アーム11の先端部が各凹部52B,53Bから左右方向に露出するように、アーム11の向きを前斜め上方に規定しつつ、ナット17を締結する。
その後、連結部材34の下端部をアーム11の各突出部11Bの間に配置し、ピンP1を凹部53Bに通した後、各突出部11Bの孔11Cと貫通孔34Bに通す。この作業の際、作業者は、ピンP1の頭部を工具で押すことによって、ピンP1を各孔11Cと貫通孔34Bに通すことになるが、ピンP1の頭部を押す工具が凹部53Bを通ることによって、工具が側壁53に干渉せずに、作業性が向上する。
その後、作業者は、工具にセットした抜け止めワッシャWを、工具とともに凹部52B内に通過させた後、ピンP1の先端部に圧入していく。この圧入作業の際、抜け止めワッシャWを左右方向に沿って工具で強く押し込んでいくことになるが、抜け止めワッシャWを押す工具が凹部52Bを通ることによって、工具が側壁52に干渉せずに、作業性が向上する。
その後は、フットブラケット33の後端部に、連結部材34をボルトB1によって締結する。これにより、後側のダンパ1の車両用シートSへの組付が完了する。
なお、前側のダンパ1の車両用シートSへの組付は、アーム11の先端部が第2支持ブラケット6の各側壁62,63よりも前側に突出するように、アーム11の向きを前斜め上方に規定する点が変わるだけで、その他の作業は、後側のダンパ1を取り付けるときと同じである。
以上によれば、本実施形態において、次の効果を奏することができる。
ダンパ1が回動可能なアーム11を備え、アーム11の先端部が回動軸AXに対し水平方向にずれた位置に位置するので、従来のようなゴムによってシートクッションを支持するダンパに比べ、上下方向のストロークを大きくとることができる。そのため、シートクッションS1に伝わる振動をより良好に減衰させることができる。
ダンパ1が回動可能なアーム11を備え、アーム11の先端部が回動軸AXに対し水平方向にずれた位置に位置するので、従来のようなゴムによってシートクッションを支持するダンパに比べ、上下方向のストロークを大きくとることができる。そのため、シートクッションS1に伝わる振動をより良好に減衰させることができる。
各アーム11の先端部を水平方向の同じ側にずらすことで、アーム11の回動が他のアーム11の回動で阻害されないので、上下方向のストロークをより大きくとることができるとともに、各アーム11をスムーズに回動させることができる。
アーム11の先端部が連結部材34を介して連結される部材が、断面視U形状に形成された剛性の高いフットブラケット33であるので、アーム11の先端部で支持するシートクッションS1の下部の剛性を高くすることができる。
フットブラケット33の一対の側壁33B,33Cの内側に連結部材34が配置されるので、連結部材34を一対の側壁33B,33Cで保護することができる。
ダンパ1がフットブラケット33の前端よりも後方に配置されているので、乗員の足がダンパ1に接触することをフットブラケット33によって抑制することができる。
乗員から荷重の加わりやすいヒップポイントHPの前側・後側にダンパ1が配置されているので、乗員に振動が伝わることを効果的に抑制することができる。
ダンパ1がシートクッションS1の左右端よりも内側に配置されているので、ダンパ1の配置によって、車両用シートSの左右幅が広がることを抑制することができる。
アーム11の回動軸AXがアッパーレール22の上端より下に位置するので、車両用シートSが上下方向に大型化するのを抑えることができる。
ダンパ1がアッパーレール22の移動方向外側に配置されるので、車両用シートSが上下方向に大型化するのを抑えることができる。
第1支持ブラケット5が、アーム11のシートクッションS1(連結部材34)との連結部分を、アーム11の回動軸AXに沿った方向へ露出させる凹部52B,53Bを有することで、アーム11をシートクッションS1に連結させる際に、ピンP1や工具などを凹部52B,53Bから第1支持ブラケット5内に挿入させることができるので、連結作業を容易に行うことができる。
第1支持ブラケット5がアッパーレール22の後面に取り付けられているので、車両用シートSの上下方向の大きさを小さくすることができる。
第1支持ブラケット5が、ダンパ1の本体部12の両端部を支持するように形成されているので、第1支持ブラケット5でダンパ1を安定して支持することができる。
アーム11の先端部を第2支持ブラケット6よりも前側に突出させることで、第2支持ブラケット6の前後方向の長さが第1支持ブラケット5よりも短くなるので、車両用シートSの軽量化を図ることができる。
アーム11の回動軸AXをアッパーレール22の移動方向に直交させることで、アーム11の先端部を移動方向に向けることができるので、車両用シートSが移動方向に直交する方向に大型化するのを抑えることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
前記実施形態では、シートクッションS1に対してダンパ1を4つ設けたが、本発明はこれに限定されず、ダンパ1の数はいくつであってもよい。例えば、図6に示すように、シートクッションS1に対してダンパ1を2つ設けてもよい。この場合、ダンパ1は、左右のアッパーレール22のうち、少なくとも車両の左右方向の中心CL側のアッパーレール22の後端部に取り付けられていてもよい。
通常、車両の中心CL側のアッパーレール22付近にはシートベルトを収容する機構がないため、車両の中心CL側のアッパーレール22にダンパ1を取り付けても車両用シートSの剛性に影響しにくい。さらに、乗員からの荷重が加わりやすい後端側にダンパ1が取り付けられることにより、乗員に振動が伝わることを効果的に抑制することができる。
また、この場合、車両の中心CLから遠い側のアッパーレール22に設けるダンパ1は、例えば、アッパーレール22の前端部に取り付けることができる。なお、2つのダンパ1の配置は、この形態に限らず、例えば、左右のアッパーレールの各前端部にダンパを1つずつ取り付けてもよいし、左右のアッパーレールの各後端部にダンパを1つずつ取り付けてもよい。
また、図6に示すように、前記実施形態とは異なる構造のクッションフレーム7に対して、本発明に係るダンパ1を適用してもよい。図6に示すクッションフレーム7は、前記実施形態とは異なる前部フレーム72および2本のワイヤ76を備え、その他の構造は、前記実施形態と略同様である。
前部フレーム72は、前記実施形態に係る前部フレーム32(図2参照)の前側部分に後方に向けて凹む凹形状部72Aが形成された構造となっている。また、各ワイヤ76は、前記実施形態に係る板状のフレーム36の代わりに設けられる部材であり、前部フレーム72の凹形状部72Aと連結ビーム35とを連結している。
このような構造のクッションフレーム7であっても、本発明に係るダンパ1によって良好に支持することができる。
前記実施形態では、フットブラケット33と連結部材34とを別部材としたが、本発明はこれに限定されず、連結部材はフットブラケットに一体に形成されていてもよい。また、アッパーレール22と各支持ブラケット5,6も同様に、別部材でなく、各支持ブラケットをアッパーレールに一体に形成してもよい。
前記実施形態では、回転式のダンパとして、圧縮コイルばね16の力を利用したダンパ1を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば流体の粘性抵抗を利用した回転式のダンパであってもよい。
前記実施形態では、アーム11の先端部の向きを前斜め上方としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、アームの先端部の向きを後斜め上方や右斜め上方などにしてもよいし、水平にしてもよい。
前記実施形態では、第1支持ブラケット5をアッパーレール22の後面に設け、第2支持ブラケット6をアッパーレール22の前面に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば、アッパーレールの前面に第1支持ブラケットを設け、後面に第2支持ブラケットを設けてもよいし、アッパーレールの前後の面に第1支持ブラケットを設けてもよい。
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
1 ダンパ
11 アーム
12 本体部
21 ロアレール
22 アッパーレール
AX 回動軸
S 車両用シート
S1 シートクッション
11 アーム
12 本体部
21 ロアレール
22 アッパーレール
AX 回動軸
S 車両用シート
S1 シートクッション
Claims (1)
- 乗物の床に固定されるロアレールと、
前記ロアレールに対してスライド移動可能なアッパーレールと、
前記アッパーレールに支持されるシートクッションと、
前記アッパーレールと前記シートクッションとの間に設けられるダンパと、を備えた乗物用シートであって、
前記ダンパは、
前記シートクッションに連結される先端部を有するアームと、
前記アームを回動可能に支持するとともに、前記アームの先端部に入力された力に抗する力を発生させる本体部と、を備え、
前記アームの回動軸は、前記アッパーレールの上端より下に位置することを特徴とする乗物用シート。
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JPS63104128U (ja) * | 1986-12-25 | 1988-07-06 |
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- 2017-11-30 JP JP2017230530A patent/JP2019098867A/ja active Pending
-
2022
- 2022-08-24 JP JP2022133192A patent/JP2022172205A/ja active Pending
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