JP2022171727A - ダイヤモンド基板 - Google Patents

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Hitoshi Noguchi
省三 白井
Shozo Shirai
俊晴 牧野
Toshiharu Makino
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Masahiko Ogura
宙光 加藤
Hiromitsu Kato
宏幸 川島
Hiroyuki Kawashima
大輔 桑原
Daisuke Kuwabara
聡 山崎
Satoshi Yamazaki
大輔 竹内
Daisuke Takeuchi
規夫 徳田
Norio Tokuda
孝夫 猪熊
Takao Iguma
翼 松本
Tasuku Matsumoto
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Kanazawa University NUC
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Abstract

【課題】転位欠陥を十分に低減することが可能なダイヤモンド基板の製造方法、高品質のダイヤモンド基板及びダイヤモンド自立基板を提供する。【解決手段】下地表面にパターン状のダイヤモンドを設ける第一の工程と、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させて、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙にダイヤモンドを形成する第二の工程と、前記第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドを取り除き、第二の工程で形成したダイヤモンドからなるパターン状のダイヤモンドを形成する第三の工程と、第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させて、第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙にダイヤモンドを形成する第四の工程とを含むことを特徴とするダイヤモンド基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ダイヤモンド基板の製造方法、ダイヤモンド基板及びダイヤモンド自立基板に関する。
ダイヤモンドは、室温で5.47eVという広いバンドギャップを持ち、ワイドバンドギャップ半導体として知られている。
半導体の中でも、ダイヤモンドは、絶縁破壊電界強度が10MV/cmと非常に高く、高電圧動作が可能である。また、既知の物質として最高の熱伝導率を有していることから放熱性にも優れている。さらに、キャリア移動度や飽和ドリフト速度が非常に大きいため、高速デバイスとして適している。
そのため、ダイヤモンドは、高周波・大電力デバイスとしての性能を示すJohnson性能指数を、炭化ケイ素や窒化ガリウムといった半導体と比較しても最も高い値を示し、究極の半導体と言われている。
このように、ダイヤモンドは、半導体材料としての実用化が期待されており、大面積かつ高品質なダイヤモンド基板の供給が望まれている。しかしながら、いまだに十分な品質のダイヤモンド基板は得られていない。
現在、ダイヤモンド基板として用いられているものに、高温高圧合成(HPHT)法によって合成されたIb型のダイヤモンドがある。しかしながら、このIb型のダイヤモンドは、窒素不純物を多く含み、また、最大で8mm角ほどの大きさしか得られないため、実用性は高くない。
非特許文献1では、HPHT法により合成されたダイヤモンドを基板として用いて、ショットキーダイオードを作製している。しかしながら、ここでのダイヤモンド基板の転位欠陥密度の目安となる水素プラズマ処理によるエッチピット密度は、10cm-2程度存在しており、実際に電極を形成して作動を試みても、電極付近や電流パスにキラー欠陥が存在するために、動作不良となることが報告されている。
また、HPHT法により合成されたダイヤモンドを下地として、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法でエピタキシャル成長させたホモエピタキシャルダイヤモンドを基板として用いる場合もある。
非特許文献2では、大型のダイヤモンド基板を得るために、複数のダイヤモンド基板を結合したモザイク状ダイヤモンド基板の作製を試みている。しかしながら、このような技術には、基板の境界に沿ってクラックが発生しやすい等の問題がある。
一方、異種材料の上にダイヤモンドを成長させるヘテロエピタキシャル成長によって、ダイヤモンド基板を作製することも検討されている。ヘテロエピタキシャル成長では、比較的容易に大面積の基板を得ることができ、製造コストも削減できると考えられる。
ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長用下地としては、これまでにシリコン(Si)、白金(Pt)等が検討されており、非特許文献3には、イリジウム(Ir)が下地材料として適していることが報告されている。これは、単結晶酸化マグネシウム(MgO)表面にエピタキシャル成長させたIrを下地材料として用いるもので、この表面にダイヤモンド核発生処理を施し、さらに直流プラズマCVD法によってエピタキシャルダイヤモンドを作製するものである。
しかしながら、ヘテロエピタキシャル成長には、ダイヤモンドと下地材料の格子不整合によって転位欠陥が多く発生するという問題もある。例えば、ダイヤモンド(格子定数3.57Å)とIr(格子定数3.84Å)では、格子不整合が7%と大きい。非特許文献4には、ヘテロエピタキシャルダイヤモンドのエッチピット密度が10cm-2にもなるという報告がある。
このような転位欠陥を低減させる方法として、非特許文献5には、選択成長法と呼ばれる技術が提案されている。これは、任意のパターンに形成されたダイヤモンド核からダイヤモンドを横方向成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)させる方法である。
H.Umezawa et al.,Diamond Relat.Mater.,18,1196(2009) H.Yamada et al.,Appl.Phys.Lett.,104,102110(2014) K.Ohtsuka et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,35,L1072(1996) K.Ichikawa et al.,Proc.24th NDF-Dia.Sympo.,226(2010) 澤邊厚仁 他,日本結晶成長学会誌,39,179(2012).
前述の選択成長法によって、転位欠陥をある程度低減させることが可能ではあるが、実用化にはさらに欠陥を低減することが求められる。
また、ヘテロエピタキシャル成長では、ダイヤモンドと下地材料との熱膨張係数の差によって、熱応力も発生する。例えば、ダイヤモンドの線膨張係数は1.1×10-6-1であり、MgOでは13.8×10-6-1、Irでは7.1×10-6-1である。さらに、ダイヤモンドは結晶成長とともに大きな内部応力が発生することも知られており、これらの応力はクラックの発生やダイヤモンド基板の反りの原因となってしまう。
実際に、非特許文献5に記載されている選択成長法によって作製されたヘテロエピタキシャルダイヤモンド基板にも多数のクラックが発生しており、このままでは実用化は難しいと考えられる。
したがって、エピタキシャル成長によって作製されたダイヤモンド基板の実用化のために、熱応力や内部応力を低減することも期待されている。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、欠陥(転位欠陥を含む)を十分に低減することが可能なダイヤモンド基板の製造方法、欠陥が十分に低減された高品質のダイヤモンド基板及びダイヤモンド自立基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、ダイヤモンド基板の製造方法であって、
下地表面にパターン状のダイヤモンドを設ける第一の工程と、
該第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させて、前記第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙にダイヤモンドを形成する第二の工程と、
前記第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドを取り除き、前記第二の工程で形成したダイヤモンドからなるパターン状のダイヤモンドを形成する第三の工程と、
前記第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させて、前記第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙にダイヤモンドを形成する第四の工程と、
を含むことを特徴とするダイヤモンド基板の製造方法を提供する。
このようなダイヤモンド基板の製造方法であれば、ダイヤモンド基板の欠陥を十分に低減することができ、高品質のダイヤモンドの製造が可能となる。
またこの場合、前記下地表面を構成する材料を、ダイヤモンドとすることができる。
このように、下地表面を構成する材料をダイヤモンドとすることで、ホモエピタキシャル成長によってダイヤモンド基板が製造される。
また、前記下地表面を構成する材料を、イリジウム、ロジウム、白金等のダイヤモンドではない異種材料とすることもできる。
このように、表面が異種材料から構成される下地を用い、ダイヤモンドをヘテロエピタキシャル成長させた場合は、高品質かつ大面積のダイヤモンド基板を作製することが可能となる。
また、本発明のダイヤモンド基板の製造方法では、前記第二の工程より前に、前記第一の工程において下地表面に設けたパターン状のダイヤモンドの壁面に付着した異種付着物を除去することが好ましい。
このように異種付着物を除去することで、次に行う第二の工程において異常成長粒子の発生を抑制することができる。
また、前記第一の工程において設けるパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の深さDと幅Wの比であるD/Wを、0.1以上とすることが好ましい。
このように、第一の工程において、パターン間隙の深さDと幅Wの比(D/W)となるようにパターン状のダイヤモンドを設ければ、第二の工程において比較的早くパターン間隙が塞がるため、パターン間隙から異常成長粒子が発生したとしても、形成したダイヤモンド表面への影響を少なくすることができる。
また、前記第一の工程において設けるパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の底部の少なくとも一部を、貫通させることが好ましい。
また、下地表面を構成する材料がダイヤモンドではない異種材料であるときは、前記第一の工程において設けるパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の底部の少なくとも一部を、前記下地表面よりも下方に設けてもよい。
このようにすることで、結晶成長とともに発生する内部応力が緩和されたダイヤモンド基板を製造することができる。また、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和されたダイヤモンド基板を製造することができる。
また、前記第二の工程において、化学気相成長法を用いてダイヤモンドを成長させることが好ましい。
このように、第二の工程では、種々の化学気相成長法を用いてダイヤモンドを成長させることができる。
また、前記第二の工程において成長させるダイヤモンドにボイドを形成することが好ましい。
このように、ダイヤモンドにボイドを形成することで、結晶成長とともに発生する内部応力や、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和することができるため、好ましい。
また、前記第四の工程より前に、前記第三の工程において形成したパターン状のダイヤモンドの壁面に付着した異種付着物を除去することが好ましい
このように異種付着物を除去することで、次に行う第四の工程において異常成長粒子の発生を抑制することができる。
また、前記第三の工程において形成するパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の深さDと幅Wの比であるD/Wを、0.1以上とすることが好ましい。
このようにすれば、第四の工程において比較的早くパターン間隙が塞がるため、パターン間隙から異常成長粒子が発生したとしても、形成したダイヤモンド表面への影響を少なくすることができる。
また、前記第三の工程において形成するパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の底部の少なくとも一部を、貫通させることが好ましい。
また、下地表面を構成する材料がダイヤモンドではない異種材料であるときは、前記第三の工程において形成するパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の底部の少なくとも一部を、前記下地表面よりも下方に設けてもよい。
このようにすれば、結晶成長とともに発生する内部応力や、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和されたダイヤモンド基板を製造することができる。
また、前記第三の工程において、前記第二の工程で形成したダイヤモンドを、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドとの境界から5μm以上30μm以下の位置まで取り除くことが好ましい。
このように第二の工程で形成したダイヤモンドを取り除くことで、第四の工程において、より高品質のダイヤモンドを成長させることができ、また、製造効率や製造コストの観点から好ましい。
また、前記第四の工程において、化学気相成長法を用いてダイヤモンドを成長させることが好ましい。
このように、第四の工程では、種々の化学気相成長法を用いてダイヤモンドを成長させることができる。
また、前記第四の工程において成長させるダイヤモンドにボイドを形成することが好ましい。
このように、ダイヤモンドにボイドを形成することで、結晶成長とともに発生する内部応力や、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和することができるため、好ましい。
また、本発明では、少なくとも一方の表面を構成する材料がダイヤモンドであるダイヤモンド基板であって、内部にボイドを有することを特徴とするダイヤモンド基板を提供する。
また、前記ダイヤモンド基板は、下地と該下地の表面上に形成されたダイヤモンド層からなり、前記下地と前記ダイヤモンド層との境界に接してボイドを有するものとすることができる。
また、本発明では、ダイヤモンド自立基板であって、一方の表面にボイドを有することを特徴とするダイヤモンド自立基板を提供する。
このような、内部にボイドを有するダイヤモンド基板、及び、一方の表面にボイドを有するダイヤモンド自立基板は、十分に転位欠陥等の欠陥が低減されたものとなる。また、応力が低減されたものとなり、基板の反りやクラックの発生を抑制することができる。
また、本発明では、下地と該下地の表面上に形成されたダイヤモンド層からなるダイヤモンド基板であって、前記下地の裏面に開口部を有することを特徴とするダイヤモンド基板を提供する。
このようなダイヤモンド基板は、欠陥が十分に低減されたものとなり、また、結晶成長とともに発生する内部応力や、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力が低減されたものとなるため基板の反りやクラックの発生を抑制することができる。
また、本発明では、少なくとも一方の表面を構成する材料がダイヤモンドであるダイヤモンド基板であって、少なくとも一方の表面全体が、横方向成長ダイヤモンド、及び、横方向成長ダイヤモンド層からの成長ダイヤモンドの少なくともいずれか一方で構成されたものであることを特徴とするダイヤモンド基板を提供する。
このようなダイヤモンド基板は、欠陥が十分に低減され、応力も小さいものとなる。
本発明によれば、欠陥(転位欠陥を含む)が少なく、応力も小さな高品質のダイヤモンド基板を提供することができる。このようなダイヤモンド基板を用いれば、優れた性能を示す半導体デバイスを製造することが可能となる。また、下地に異種材料を用いて、ダイヤモンドをヘテロエピタキシャル成長させた場合は、ダイヤモンド基板の大面積化も同時に実現することができる。
本発明のダイヤモンド基板の製造方法(実施例2)を模式的に示した図である。 本発明のダイヤモンド基板の製造方法(実施例2)における、第一の工程で行うリソグラフィ等を模式的に示した図である。 本発明の、別のダイヤモンド基板の製造方法(実施例1)を模式的に示した図である。 本発明の、別のダイヤモンド基板の製造方法(実施例1)における、第一の工程で行うリソグラフィ等を模式的に示した図である。 本発明のダイヤモンド基板の一例を示す断面図である。
上述したように、欠陥(転位欠陥を含む)を十分に低減することが可能なダイヤモンド基板の製造方法、欠陥が十分に低減された高品質のダイヤモンド基板及びダイヤモンド自立基板が求められている。
そして、本発明者らは、以下の本発明のダイヤモンド基板の製造方法であれば、欠陥が十分に低減された高品質のダイヤモンド基板を製造することができることを見出した。
即ち、本発明は、ダイヤモンド基板の製造方法であって、
下地表面にパターン状のダイヤモンドを設ける第一の工程と、
該第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させて、前記第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙にダイヤモンドを形成する第二の工程と、
前記第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドを取り除き、前記第二の工程で形成したダイヤモンドからなるパターン状のダイヤモンドを形成する第三の工程と、
前記第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させて、前記第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙にダイヤモンドを形成する第四の工程と、
を含むことを特徴とするダイヤモンド基板の製造方法を提供する。
以下、本発明の実施の形態について図を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明のダイヤモンドの製造方法は、少なくとも以下に説明する四つの工程を含むが、必要に応じて他の工程を追加することができる。
まず、第一の工程では、下地1、21の表面(下地表面)にパターン状のダイヤモンド2、22を設ける(図1(A)、図3(A))。
このとき、下地1、21を構成する材料は特に限定されない。図1のように、下地表面を構成する材料をダイヤモンド3とすれば、ホモエピタキシャル成長によってダイヤモンド基板が作製される。
このような下地1の例としては、HPHT法により合成されたダイヤモンド、ホモエピタキシャルダイヤモンド、ヘテロエピタキシャルダイヤモンド等のダイヤモンド3が挙げられる。特に、HPHT法により合成されたダイヤモンドやホモエピタキシャルダイヤモンド等の比較的欠陥の少ないダイヤモンドを下地として用いれば、さらに欠陥の少ないダイヤモンド基板を作製することができる。
一方、下地表面を構成する材料を、図3に示すように、ダイヤモンドではない異種材料とすれば、ヘテロエピタキシャル成長によってダイヤモンド基板が作製される。
下地表面を構成する異種材料としては、ダイヤモンドと同様に立方晶であり、ダイヤモンドとの格子不整合が小さく、さらに炭素と反応して炭化物を形成しない材料が好ましい。これらの条件を満たす材料としては、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の白金族が主に挙げられる。
ここで、ダイヤモンドの格子定数は3.57Åであり、Rh(格子定数3.72Å)との格子不整合は4.2%、Ir(格子定数3.84Å)との格子不整合は7.6%、Pt(格子定数3.92Å)との格子不整合は9.8%である。ダイヤモンドと下地表面を構成する異種材料との格子不整合は10%以下であることが好ましい。また、炭素と反応して炭化物を形成しないという観点からはIrが好ましい。
このような下地21の例としては、シリコン(Si)基板23の上に、単結晶酸化マグネシウム(MgO)、単結晶チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、α‐アルミナ(Al)、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)から選択される材料からなる中間層24が設けられ、さらに、この中間層の上にイリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、白金(Pt)から選択される材料からなる表層25が設けられた下地が挙げられる。
また、シリコン(Si)基板23と中間層24との間には、金(Au)、白金(Pt)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、シリコン(Si)、酸化シリコン(SiO)から選択される材料からなる層(不図示)を一層以上介在させてもよい。
ヘテロエピタキシャル成長では、比較的低コストで、容易に大面積のダイヤモンド基板を得ることができるため、本発明にヘテロエピタキシャル成長を適用すれば、高品質かつ大面積のダイヤモンド基板を作製することが可能となる。
また、下地表面にパターン状のダイヤモンド2、22を設ける方法も限定されない。尚、本発明において「パターン状」とは、凹凸によって形成されるパターンである。
下地表面を構成する材料がダイヤモンドである場合は、例えば、下地表面のダイヤモンド3をフォトリソグラフィや電子ビームリソグラフィ等の公知の方法によって、パターン状のダイヤモンド2に加工することができる(図1(A))。
下地表面を構成する材料が異種材料である場合は、まず、マイクロ波プラズマCVD、直流プラズマCVD、熱フィラメントCVD、アーク放電プラズマジェットCVD等の公知の方法によって、下地表面にダイヤモンドを成長させる。次に、下地表面に成長させたダイヤモンドを、フォトリソグラフィや電子ビームリソグラフィ等の方法でパターン状に加工することによって、下地表面にパターン状のダイヤモンド22を設けることができる(図3(A))。
また、下地表面を構成する材料がダイヤモンドであっても、同様の手法によって下地表面にダイヤモンドを成長させ、成長させたダイヤモンドをパターン状に加工することで、下地表面にパターン状のダイヤモンドを設けてもよい。
下地表面に設けるパターン状のダイヤモンド2、22のパターンの形状は、任意に選択することができる。例えば、ライン状、矩形ドット状、円形ドット状等のダイヤモンドを複数並べたパターンとすることができる。
このとき、パターン状のダイヤモンド2、22の位置、サイズ、厚さ、結晶方位等も任意に選択することができるが、パターン状のダイヤモンド2、22におけるパターン間隙10、30の深さD(図1のD11、図3のD21)と幅W(図1のW12、図3のW22)の比であるD/Wを、0.1以上とすることが好ましく、0.5以上とすることがより好ましい。尚、図1のW11、図3のW21は、パターン状のダイヤモンド2、22における凸部の幅である。このようにすれば、第二の工程において比較的早くパターン間隙10、30が塞がるため、パターン間隙から異常成長粒子が発生したとしても、形成したダイヤモンド表面への影響を少なくすることができる。尚、本発明において「パターン間隙」とは、パターン状のダイヤモンドの凸部の間の間隙である。
また、パターン間隙10、30の底部11、31を構成する材料は、ダイヤモンドであっても異種材料であってもよい。ただし、MgO等の材料は、第二の工程においてパターン間隙にダイヤモンドを形成する際に、CVDの水素(H)/メタン(CH)プラズマによってエッチングされるため、Ir等の材料にすることが好ましい。
特に、パターン間隙の底部を構成する材料が異種材料である場合、ダイヤモンドをパターン状に加工する工程で、下地表面に設けたパターン状のダイヤモンド2、22の壁面に異種付着物が付着する場合がある。また、マスクとして用いたSiOに起因する異種付着物が付着する場合がある。このような下地表面に設けたパターン状のダイヤモンドの壁面に付着した異種付着物は、第二の工程より前に除去することが好ましい。このようにダイヤモンドの壁面に付着した異種付着物を除去することで、第二の工程において異常成長粒子の発生を抑制することができる。異種付着物の除去は、例えば、選択的なエッチング等により行うことができる。
例えば、IrやSiO等の異種付着物が下地表面に設けたパターン状のダイヤモンド2、22の壁面に付着している場合は、CFプラズマによるエッチングで除去することが可能である。
さらに、必要に応じて、第一の工程で設けるパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙10、30の底部11、31の少なくとも一部を、下地も含めて除去して貫通させてもよい。
また、下地表面を構成する材料がダイヤモンドではない異種材料であるときは、第一の工程において設けるパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙30の底部31の少なくとも一部を、下地も一部除去して下地表面よりも下方に設けてもよい。このとき、下地表面からパターン間隙30の底部31までの深さは任意に決定することができる。
このようにすれば、内部応力や下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和することができる。尚、下地も含めて除去させる方法としては、例えば、エッチングが挙げられる。
第二の工程では、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド2、22からダイヤモンドを成長させて、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド2、22におけるパターン間隙10、30にダイヤモンド12、32を形成する(図1(B)、図3(B))。
第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンド12、32を成長させる方法は、マイクロ波プラズマCVD、直流プラズマCVD、熱フィラメントCVD、アーク放電プラズマジェットCVD等の公知の方法から選択すればよい。
このとき、パターン状のダイヤモンドを核として、ダイヤモンドが横方向成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)していくため、パターン間隙には欠陥の少ないダイヤモンド12、32が形成される。
また、必ずしもパターン間隙を全て塞ぐようにダイヤモンドを形成する必要はない。
第二の工程においてダイヤモンド12、32を成長させるとき、パターン状のダイヤモンドの下部からよりも上部からの方が成長速度を速くなるようにすれば、パターン間隙の底部にボイドを形成することが可能である。このようなボイドを形成することで、応力を緩和することができ、特に、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和することができるため、好ましい。形成するボイドは、例えば、断面が一辺0.01μm~20μmの略三角形状のボイドとすることができる。
パターン状のダイヤモンドの下部と上部における成長速度の調整方法としては、具体的には、原料ガス(例えば、メタン)濃度やプレッシャー、入力電力等を調整することによって、各結晶方位に対する成長速度の比を制御することが可能である。
次いで、第三の工程では、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド2、22を取り除き、第二の工程で形成したダイヤモンドからなるパターン状のダイヤモンド13、33を形成する(図1(C)、図3(C))。この工程は、フォトリソグラフィや電子ビームリソグラフィ等の公知の方法を用いることによって行うことができる。
また、ここでは、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド2、22を全て取り除く必要はなく、また、必要に応じて第二の工程で形成したダイヤモンド12、32を一部取り除いてもよい。
このとき、第二の工程で形成したダイヤモンド12、32を、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド2、22との境界から5μm以上の位置まで取り除くことが好ましい。これにより、第四の工程において、より高品質のダイヤモンドを成長させることができる。また、製造効率や製造コストの観点から、取り除く領域は、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド2、22との境界から30μm以下の位置までとすることが好ましい。
第三の工程においても、第一の工程と同様に、パターン状のダイヤモンド13、33のパターンの形状を任意に選択することができる。例えば、ライン状、矩形ドット状、円形ドット状等のダイヤモンドを複数並べたパターンとすることができる。
このとき、パターン状のダイヤモンド13、33の位置、サイズ、厚さ、結晶方位等も任意に選択することができるが、パターン状のダイヤモンド13、33におけるパターン間隙14、34の深さD(図1のD12、図3のD22)と幅W(図1のW14、図3のW24)の比であるD/Wを、0.1以上とすることが好ましく、0.5以上とすることがより好ましい。尚、図1のW13、図3のW23は、パターン状のダイヤモンド13、33における凸部の幅である。このようにすれば、第四の工程において比較的早くパターン間隙14、34が塞がるため、パターン間隙14、34から異常成長粒子が発生したとしても、形成したダイヤモンド表面への影響が少ない。
また、パターン間隙14、34の底部15、35を構成する材料は、ダイヤモンドであっても異種材料であってもよい。ただし、MgO等の材料は、第四の工程においてパターン間隙にダイヤモンドを形成する際に、CVDの水素(H)/メタン(CH)プラズマによってエッチングされるため、Ir等の材料にすることが好ましい。
特に、パターン間隙の底部を構成する材料が異種材料である場合、ダイヤモンドをパターン状に加工する工程で、ダイヤモンドの壁面に異種付着物が付着する場合がある。また、マスクとして用いたSiO等の異種付着物が付着する場合がある。このようなダイヤモンドの壁面に付着した異種付着物は、第四の工程より前に除去することが好ましい。このようにダイヤモンドの壁面に付着した異種付着物を除去することで、第四の工程において異常成長粒子の発生を抑制することができる。異種付着物の除去は、例えば、選択的なエッチング等により行うことができる。
例えば、IrやSiOがダイヤモンドの壁面に付着している場合は、CFプラズマによるエッチングで除去することが可能である。
さらに、必要に応じて、第三の工程において形成するパターン状のダイヤモンド13、33におけるパターン間隙14、34の底部15、35の少なくとも一部を貫通させてもよい。
また、下地表面を構成する材料がダイヤモンドではない異種材料であるときは、第三の工程において形成するパターン状のダイヤモンド33におけるパターン間隙34の底部35の少なくとも一部を、下地も一部除去して下地表面よりも下方に設けてもよい。
このようにすれば、内部応力や下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力を緩和できると考えられる。
第四の工程では、第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンド13、33からダイヤモンドを成長させて、第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンド13、33におけるパターン間隙14、34にダイヤモンド16、36を形成する(図1(D)、図3(D))。
第四の工程においても第二の工程と同様に、第三の工程で設けたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させる方法は、マイクロ波プラズマCVD、直流プラズマCVD、熱フィラメントCVD、アーク放電プラズマジェットCVD等の公知の方法から選択すればよい。
このとき、パターン状のダイヤモンドを核として、ダイヤモンドが横方向成長(ELO:Epitaxial Lateral Overgrowth)していくため、パターン間隙には欠陥の少ないダイヤモンドが形成される。
また、第四の工程においても、必ずしもパターン間隙14、34を全て塞ぐようにダイヤモンドを形成する必要はなく、パターン間隙15、35の底部にボイドを形成することが好ましい。第二と第四のいずれの工程においても、このようなボイドを形成すれば、応力を緩和することができ、特に、下地が異種材料からなる場合に発生する熱応力をさらに緩和することができる。
本発明では、第一から第四の工程によって、表面全体が横方向成長させたダイヤモンド及び/又は横方向成長させたダイヤモンドから成長したダイヤモンドからなるダイヤモンド基板17、37を製造することが可能である。
即ち、本発明によれば、少なくとも一方の表面を構成する材料がダイヤモンドであるダイヤモンド基板であって、少なくとも一方の表面全体が、横方向成長ダイヤモンド、及び、横方向成長ダイヤモンドからの成長ダイヤモンドの少なくともいずれか一方で構成されたものであることを特徴とするダイヤモンド基板が提供される。
また、第四の工程までに、表面全体を横方向成長ダイヤモンド及び/又は横方向成長ダイヤモンドからの成長ダイヤモンドとする必要はなく、さらに、第三の工程および第四の工程に倣ってパターン状のダイヤモンドの形成、成長を複数回繰り返すことによって、少なくとも一方の表面全体が横方向成長ダイヤモンド、及び、横方向成長ダイヤモンドからの成長ダイヤモンドの少なくともいずれか一方で構成されたダイヤモンド基板を作製してもよい。
また、表面全体を、横方向成長ダイヤモンド、及び、横方向成長ダイヤモンドからの成長ダイヤモンドの少なくともいずれか一方で構成されたものとした後に、第三の工程および第四の工程に倣ってパターン状のダイヤモンドの形成、成長を複数回繰り返すことによって、さらに欠陥を低減することが可能である。この方法により、ボイドを更に多く形成することも可能となるため、さらなる低応力化も望める。
本発明により製造したダイヤモンド基板は、下地を残して使用してもよく、下地を取り除いて自立基板として使用してもよい。
ダイヤモンド基板の下地を取り除いて自立基板とする場合は、該自立基板の厚さが50μm以上2000μm以下であることが好ましい。自立基板の厚みが50μm以上であれば、製造プロセスや該ダイヤモンド基板を用いたデバイス製造プロセスにおいて、ハンドリングし易く、破損する恐れがないために好ましい。
一方、自立基板の厚みが2000μm以下である場合は、単純にダイヤモンドを形成する時間が長くなる恐れがなく、また、ダイヤモンド基板表面の凹凸が大きくなる恐れがないために、研磨加工に要する時間を短くすることができる。そのため、製造コストを低減することができる。さらに、基板の反りを抑制することができ、クラックの発生や破損を抑制することができる。
ダイヤモンド基板の下地を残して、下地を含めた基板構造とする場合は、ダイヤモンド層を必要以上に厚く形成しなくてもよい。基板を作製するための時間や内部応力の影響を考慮すると、下地表面から基板表面までの厚さが300μm以下であることが好ましい。
また、第二及び/又は第四の工程において、パターン間隙の底部にボイドを形成させた場合には、図5に示すように、少なくとも一方の表面101を構成する材料がダイヤモンドであるダイヤモンド基板100であって、内部にボイド52を有するダイヤモンド基板100が得られる。
この場合、本発明のダイヤモンド基板100は、下地50と該下地50の表面上に形成されたダイヤモンド層51からなり、下地50とダイヤモンド層51との境界に接してボイド52を有するものとすることができる。
さらに、下地50を取り除いて自立基板とした場合は、一方の表面にボイド52を有するダイヤモンド基板となる。
本発明の基板の内部にボイドを有するダイヤモンド基板、及び、一方の表面にボイドを有するダイヤモンド自立基板は、転位欠陥等の欠陥が十分に低減されたものとなる。更に、応力が低減されたものとなるため、基板の反りやクラックの発生を抑制することができる。
また、第一及び/又は第三の工程において、パターン間隙の底部を貫通させた場合、下地と該下地の表面上に形成されたダイヤモンド層からなるダイヤモンド基板であって、前記下地の裏面に開口部を有することを特徴とするダイヤモンド基板が得られる。
このような、本発明の、下地の表面に開口部を有するダイヤモンド基板は、欠陥が十分に低減され、かつ、結晶成長とともに発生する内部応力や熱応力が低減されたものとなるため、基板の反りやクラックの発生を抑制することができる。
本発明によって作製したダイヤモンド基板の表面は、単結晶ダイヤモンドからなることが好ましい。
本発明によって作製したダイヤモンド基板の表面には、さらに、ホウ素(B)等の不純物をドープしたp型ダイヤモンド、リン(P)等の不純物をドープしたn型ダイヤモンド、不純物をドープしないダイヤモンドの何れかから選択される材料を積層することができる。このような構成にすることによって、半導体デバイスとして動作させることが可能となる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に示した方法により、ダイヤモンド基板を製造した。
先ず、図3(A)に示したように、下地21の表面にパターン状のダイヤモンド22を設けた(第一の工程)。具体的には、図4(a)~図4(f)で示したステップにより下地21の表面にパターン状のダイヤモンド22を設けた。
以下のようにして、下地21を作製し、該下地21にダイヤモンド層26を形成した(図4(a))。
まず、直径10.0mm、厚さ1.0mm、表面が(100)面となる両面研磨された単結晶シリコン(Si)基板23を準備した。準備した単結晶シリコン基板23の片面に、電子ビーム蒸着によって単結晶MgOからなる層24を形成した。このとき、真空中、基板温度900℃の条件とし、単結晶MgO層24が1μmになるまでエピタキシャル成長させた。さらに、この単結晶MgO層24上に、Irからなる層25を形成した。Ir層25の形成には、直径6インチ(150mm)、厚さ5.0mm、純度99.9%以上のIrをターゲットとした高周波(RF)マグネトロンスパッタ法(13.56MHz)を用いた。単結晶MgO層24が形成された基板を800℃に加熱し、ベースプレッシャーが6×10-7Torr(約8.0×10-5Pa)以下になったのを確認した後、Arガスを10sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してプレッシャーを5×10-2Torr(約6.7Pa)とした後、RF電力1000Wを入力して15分間成膜を行った。得られたIr層25は厚さ0.7μmであった。
このようにして得られた、単結晶シリコン基板23上に単結晶MgO層24、Ir層25を積層させたものを、実施例1における下地21とした。
次に、ダイヤモンドの核形成のために下地21の前処理(バイアス処理)を行った。Ir層25側を上にして下地を15mm直径で平板型の電極上にセットした。ベースプレッシャーが1×10-6Torr(約1.3×10-4Pa)以下になったのを確認した後、水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を500sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してプレッシャーを100Torr(約1.3×10Pa)とした後、基板側電極に負電圧を印加して90秒間プラズマにさらして、下地表面をバイアス処理した。
続いて、下地表面に直流プラズマCVD法によってダイヤモンド層26をヘテロエピタキシャル成長させた。バイアス処理を行った下地21を、直流プラズマCVD装置のチャンバー内にセットし、ロータリーポンプで10-3Torr(約1.3×10-1Pa)以下のベースプレッシャーまで排気した後、原料ガスである水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を1000sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してチャンバー内のプレッシャーを110Torr(約1.5×10Pa)にした後、2.0Aの直流電流を流して2時間製膜を行った。製膜中の下地温度をパイロメーターで測定したところ950℃であった。
得られたダイヤモンド層26は、直径10mmの基板全面で剥離も無く完全な連続膜であり、膜厚は10μmであった。このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、720arcsec(約0.2°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1時間の条件で、ダイヤモンド層26の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、8×10(cm-2)であった。
次に、ダイヤモンド層26のパターニングを行った。まず、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を原料とし、RFプラズマCVD法によってダイヤモンド層上に1000nmのSiO膜27を形成した(図4(b))。このSiO膜27上にレジストパターン28を形成した(図4(c))。次に、該レジストパターン28が形成されたSiO膜27上にチタン(Ti)膜、金(Au)膜を順に成膜し、リフトオフすることによって、ダイヤモンド層26上にSiO膜27、チタン(Ti)/金(Au)パターン29を順に形成した(図4(d))。次に、CFガスを用いてSiOエッチングを行ってダイヤモンドエッチング用のハードマスクとした(図4(e))。
次いで、誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて、Oガス100vol.%、2.0Pa、500W、900秒の条件でダイヤモンド層のエッチングを行った(図4(f))。このようにして、下地表面にパターン状のダイヤモンド22を設けた(図3(A))。
このとき、図3(A)におけるパターン状のダイヤモンド22は、50μm角(即ち、W21が50μm)の矩形ドット状のダイヤモンドが整列したパターンを有しており、パターン間隙の幅W22は70μmとした。言い換えれば、ダイヤモンド層に互いに平行な複数の溝を設け、さらに、該溝に対して垂直であり、かつ互いに平行な複数の溝を設けたパターンである。また、溝の方向は互いに垂直な2方向であり、いずれか一方はダイヤモンド層の[011]方向と同一になるようにした。
パターン間隙の深さD21は10μmであるので、このときのパターン間隙の深さD21と幅W22の比(D21/W22)は0.14となった。また、パターン間隙の底部は、下地のIrが露出している状態となっていた。
次に、得られたパターン状のダイヤモンドについて、プラズマ処理によるクリーニングを行った(図4(g))。誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて、CFガス100vol.%、2.0Pa、500W、650秒の条件で処理を行った。この操作によって、パターン状のダイヤモンド壁面に付着したIr由来と考えられる異物を除去することができた。
クリーニング後、バッファードフッ化水素酸でSiOのハードマスクを除去し、さらに、熱混酸洗浄を行った(図4(h))。
次に、第二の工程として、下地表面に設けられたパターン状のダイヤモンド22から、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙30に、マイクロ波プラズマCVD法によってダイヤモンド32を成長させた(図3(B))。
パターン状のダイヤモンド22を設けた基板を、マイクロ波プラズマCVD装置のチャンバー内にセットし、ロータリーポンプ及びターボ分子ポンプで7×10-8Torr(約9.3×10-6Pa)まで排気した後、原料ガスである水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を500sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してチャンバー内のプレッシャーを110Torr(約1.5×10Pa)にした後、3000Wのマイクロ波電力を印加して、18時間製膜を行った。製膜中の基板温度をパイロメーターで測定したところ1035℃であった。
得られたダイヤモンド層は、パターン間隙が塞がっていた。このとき、下地表面から基板表面までの厚みは103μmであった。このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、340arcsec(約0.1°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1hの条件で、ダイヤモンド層の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、パターン状のダイヤモンドの上に成長した部分では1×10(cm-2)であったのに対して、パターン間隙部分では3×10(cm-2)と、エッチピット密度が二桁程度減少していた。
基板の断面をSEM観察したところ、パターン間隙であった箇所の中央付近で、Ir層とダイヤモンド層との境界に接するように、断面が一辺5μmの略三角形状のボイドが観察された。
ダイヤモンド基板の応力を評価するために、ダイヤモンド層形成前後における基板裏面の反り変化量を、光干渉式または接触式の測定装置を用いて測定した。続いて、この測定値をダイヤモンド層形成前後における膜厚増加量で除して、算出した値をダイヤモンド基板の応力の評価値とした。ここでの、評価値は21×10-2であった。
次に、得られたダイヤモンド基板の表面に研磨加工を施した。研磨後の下地表面から基板表面までの厚みは71μm、表面粗さRMSは0.3nm(AFM測定、10μm角領域)となった。
続いて、第三の工程として、2回目のダイヤモンド層のパターニングを1回目のパターニングと同様の方法で行い、第二の工程で形成したダイヤモンド32からなるパターン状のダイヤモンド33を形成した(図3(C))。ここでのパターン形状は、1回目のパターン形状と同様に、50μm角の矩形ドット状(即ち、W23が50μm)のダイヤモンドが整列したパターンであり、パターン間隙の幅W24は70μmとした。ただし、パターンの位置は、1回目のパターンに対して、ダイヤモンド層の[011]方向に60μm平行移動させたパターンとした。
すなわち、ここでは、第二の工程で形成したダイヤモンド32を、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンド22との境界から10μmの位置まで取り除いている。
次に、第四の工程として、下地表面に設けられたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させた方法と同様の方法で、パターン状のダイヤモンド33から、第三の工程で形成したパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙34にダイヤモンド36を成長させた(図3(D))。得られたダイヤモンド層は、パターン間隙が塞がっていた。このとき、下地表面から基板表面までの厚みは164μmであった。
このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、340arcsec(約0.1°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1hの条件で、ダイヤモンド層の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、パターン状のダイヤモンドの上に成長した部分でも、パターン間隙部分でも3×10(cm-2)であり、ダイヤモンド基板37表面全体でエッチピット密度は低い値となった。
製造されたダイヤモンド基板37の断面をSEM観察したところ、2回目のパターン間隙であった箇所の中央付近でも、Ir層とダイヤモンド層との境界に接するように、断面が一辺5μmの略三角形状のボイドが観察された。
ダイヤモンド基板の応力を評価するため、ダイヤモンド層形成前後における(基板裏面の反り変化量)/(膜厚増加量)を測定したところ、その値は15×10-2であった。
(実施例2)
図1に示した方法により、ダイヤモンド基板を製造した。
先ず、図1(A)に示したように、下地1の表面にパターン状のダイヤモンド2を設けた(第一の工程)。具体的には、図2(a)~図2(f)で示したステップによりパターン状のダイヤモンド2を設けた。
まず、直径5.0mm、厚さ0.5mm、表面が(100)面となる両面研磨されたヘテロエピタキシャルダイヤモンド基板(自立基板)6を準備し、熱混酸洗浄を行ったものを下地1とした(図2(a))。
次に、実施例1と同様の方法で、ダイヤモンドからなる下地のパターニングを行った。まず、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)を原料とし、RFプラズマCVD法によってダイヤモンド層上に1000nmのSiO膜7を形成した(図2(b))。このSiO膜7上にレジストパターン8を形成した(図2(c))。次に、該レジストパターン8が形成されたSiO膜7上に、チタン(Ti)膜、金(Au)膜を順に成膜し、リフトオフすることによって、ダイヤモンド基板6上にSiO膜7、チタン(Ti)/金(Au)パターン9を順に形成した(図2(d))。次に、CFガスを用いてSiOエッチングを行ってダイヤモンドエッチング用のハードマスクとした(図2(e))。
次いで、誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて、Oガス100vol.%、2.0Pa、500W、900秒の条件でダイヤモンド層のエッチングを行った(図2(f))。このようにして、下地表面にパターン状のダイヤモンド2を設けた(図1(A))。
このとき、図1(A)におけるパターン形状は、50μm角の矩形ドット状(即ち、W11が50μm)のダイヤモンドが整列したパターンであり、パターン間隙の幅W12は70μmとした。言い換えれば、ダイヤモンド層に互いに平行な複数の溝を設け、さらに、該溝に対して垂直であり、かつ互いに平行な複数の溝を設けたパターンである。また、溝の方向は互いに垂直な2方向であり、いずれか一方はダイヤモンド層の[011]方向と同一になるようにした。
パターン状のダイヤモンド2におけるパターン間隙の深さD11は10μmとなるようにしたので、このときのパターン間隙の深さD11と幅W12の比(D11/W12)は0.14となった。
次に、得られたパターン状のダイヤモンドについて、プラズマ処理によるクリーニングを行った(図2(g))。誘導結合型プラズマエッチング装置を用いて、CFガス100vol.%、2.0Pa、500W、650秒の条件で処理を行った。
クリーニング後、バッファードフッ化水素酸でSiOのハードマスクを除去し、さらに、熱混酸洗浄を行った(図2(h))。
次に、第二の工程として、下地表面に設けられたパターン状のダイヤモンド2から、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙10にマイクロ波プラズマCVD法によってダイヤモンド12を成長させた(図1(B))。
パターン状のダイヤモンド2を設けた基板を、マイクロ波プラズマCVD装置のチャンバー内にセットし、ロータリーポンプ及びターボ分子ポンプで7×10-8Torr(約9.3×10-6Pa)まで排気した後、原料ガスである水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を500sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してチャンバー内のプレッシャーを110Torr(約1.5×10Pa)にした後、3000Wのマイクロ波電力を印加して、15時間製膜を行った。製膜中の基板温度をパイロメーターで測定したところ1050℃であった。
得られたダイヤモンド層は、パターン間隙が塞がっていた。このとき、下地表面から基板表面までの厚みは78μmであった。このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、340arcsec(約0.1°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1hの条件で、ダイヤモンド層の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、パターン状のダイヤモンドの上に成長した部分では2×10(cm-2)であったのに対して、パターン間隙部分では4×10(cm-2)と、エッチピット密度が二桁程度減少していた。
基板の断面をSEM観察したところ、パターン間隙であった箇所は完全に埋まっていた。
ダイヤモンド基板の応力を評価するため、ダイヤモンド層形成前後における(基板裏面の反り変化量)/(膜厚増加量)を測定したところ、その値は15×10-2であった。
次に、得られたダイヤモンド基板の表面に研磨加工を施した。研磨後の下地表面から基板表面までの厚みは56μm、表面粗さRMSは0.3nm(AFM測定、10μm角領域)となった。
続いて、第三の工程として、2回目のダイヤモンド層のパターニングを1回目のパターニングと同様の方法で行い、第二の工程で形成したダイヤモンドからなるパターン状のダイヤモンド13を形成した(図1(C))。ここでのパターン形状は、1回目のパターン形状と同様に、50μm角の矩形ドット状(即ち、W13が50μm)のダイヤモンドが整列したパターンであり、パターン間隙の幅W14は70μmとした。ただし、パターンの位置は、1回目のパターンに対して、ダイヤモンド層の[011]方向に60μm平行移動させたパターンとした。すなわち、ここでは、第二の工程で形成したダイヤモンドを、第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドとの境界から10μmの位置まで取り除いている。
次に、下地表面に設けられたパターン状のダイヤモンドからダイヤモンドを成長させた方法と同様の方法で、第四の工程として、パターン状のダイヤモンド13からダイヤモンド16を成長させた(図1(D))。得られたダイヤモンド層は、パターン間隙が塞がっていた。このとき、下地表面から基板表面までの厚みは134μmであった。
このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、340arcsec(約0.1°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1hの条件で、ダイヤモンド層の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、パターン状のダイヤモンドの上に成長した部分では3×10(cm-2)、パターン間隙部分も4×10(cm-2)と、ダイヤモンド基板表面全体でエッチピット密度は低い値となった。
得られたダイヤモンド基板17の断面をSEM観察したところ、パターン間隙であった箇所は完全に埋まっていた。
ダイヤモンド基板の応力を評価するため、ダイヤモンド層形成前後における(基板裏面の反り変化量)/(膜厚増加量)を測定したところ、その値は10×10-2であった。
(比較例1)
まず、直径10.0mm、厚さ1.0mm、表面が(100)面となる両面研磨された単結晶シリコン(Si)基板を準備した。
準備した単結晶シリコン基板の片面に、電子ビーム蒸着によって単結晶MgOからなる層を形成した。このとき、真空中、基板温度900℃の条件とし、単結晶MgO層が1μmになるまでエピタキシャル成長させた。さらに、この単結晶MgO層上に、Irからなる層を形成した。Ir層の形成には、直径6インチ(150mm)、厚さ5.0mm、純度99.9%以上のIrをターゲットとした高周波(RF)マグネトロンスパッタ法(13.56MHz)を用いた。単結晶MgO層が形成された基板を800℃に加熱し、ベースプレッシャーが6×10-7Torr(約8.0×10-5Pa)以下になったのを確認した後、Arガスを10sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してプレッシャーを5×10-2Torr(約6.7Pa)とした後、RF電力1000Wを入力して15分間成膜を行った。得られたIr層は厚さ0.7μmであった。
このようにして得られた、単結晶シリコン基板上に、単結晶MgO層、Ir層を積層させたものを比較例1における下地とした。
次に、ダイヤモンドの核形成のために下地の前処理(バイアス処理)を行った。Ir層側を上にして下地を15mm直径で平板型の電極上にセットした。ベースプレッシャーが1×10-6Torr(約1.3×10-4Pa)以下になったのを確認した後、水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を500sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してプレッシャーを100Torr(約1.3×10Pa)とした後、基板側電極に負電圧を印可して90秒間プラズマにさらして、下地表面をバイアス処理した。
続いて、下地表面に直流プラズマCVD法によってダイヤモンド層をヘテロエピタキシャル成長させた。バイアス処理を行った下地を、直流プラズマCVD装置のチャンバー内にセットし、ロータリーポンプで10-3Torr(約1.3×10-1Pa)以下のベースプレッシャーまで排気した後、原料ガスである水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を1000sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してチャンバー内のプレッシャーを110Torr(約1.5×10Pa)にした後、2.0Aの直流電流を流して2時間製膜を行った。製膜中の下地温度をパイロメーターで測定したところ950℃であった。
得られたダイヤモンド層は、直径10mmの基板全面で剥離も無く完全な連続膜であり、膜厚は10μmであった。このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、720arcsec(約0.2°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1時間の条件で、ダイヤモンド層の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、8×10(cm-2)であった。
次に、ダイヤモンドの核形成を行った基板を、マイクロ波プラズマCVD装置のチャンバー内にセットし、ロータリーポンプ及びターボ分子ポンプで7×10-8Torr(約9.3×10-6Pa)まで排気した後、原料ガスである水素希釈メタン(CH/(CH+H)=5.0vol.%)を500sccm導入した。排気系に通じるバルブの開口度を調節してチャンバー内のプレッシャーを110Torr(約1.5×10Pa)にした後、3000Wのマイクロ波電力を印加して、18時間製膜を行った。製膜中の基板温度をパイロメーターで測定したところ1035℃であった。
得られたダイヤモンド層は、直径10mmの基板全面で剥離も無く完全な連続膜であり、膜厚は90μmであった。このダイヤモンド層をX線回折測定(入射X線波長1.54Å)したところ、ダイヤモンド(004)帰属の2θ=119.5°における回折強度ピークのロッキングカーブ半値幅は、720arcsec(約0.2°)であった。
さらに、エッチピット密度についても評価を行った。2.45GHzのマイクロ波プラズマCVD装置を用いて、Hガス100vol.%、0.8Pa、2200W、1時間の条件で、ダイヤモンド層の表面をプラズマ処理した後、SEM観察によりエッチピット密度を測定したところ、その値は4×10(cm-2)であった。
ダイヤモンド基板の応力を評価するため、ダイヤモンド層形成前後における(基板裏面の反り変化量)/(膜厚増加量)を測定したところ、その値は67×10-2であった。
以上の結果から、本発明のダイヤモンド基板の製造方法によってダイヤモンド基板を製造すれば、欠陥が十分に少なく、応力も小さな高品質のダイヤモンド基板が得られることがわかる。また、本発明のダイヤモンド基板は、欠陥が十分に少なく、応力が低減されたものであることがわかる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に含有される。
1,21…下地、 2,22…第一の工程において設けたパターン状のダイヤモンド、3…ダイヤモンド、 23…シリコン(Si)基板、 24…中間層(単結晶MgO層)、 25…表層(Ir層)、 6…ヘテロエピタキシャルダイヤモンド基板、 26…ダイヤモンド層、 7,27…SiO膜、 8,28…レジストパターン、 9,29…チタン(Ti)/金(Au)パターン、 10,30…第一の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙、 11,31…第一の工程において設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の底部、 12,32…第二の工程で形成したダイヤモンド、 13,33…第三の工程において設けたパターン状のダイヤモンド、 14,34…第三の工程で設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙、 15,35…第三の工程において設けたパターン状のダイヤモンドにおけるパターン間隙の底部、 16,36…第四の工程で形成したダイヤモンド、 17,37,100…ダイヤモンド基板、 50…下地、 51…ダイヤモンド層、 52…ボイド、 101…表面。

Claims (1)

  1. 少なくとも一方の表面を構成する材料がダイヤモンドであるダイヤモンド基板であって、少なくとも一方の表面全体が、横方向成長ダイヤモンド、及び、横方向成長ダイヤモンドからの成長ダイヤモンドの少なくともいずれか一方で構成されたものであることを特徴とするダイヤモンド基板。
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