JP2022170970A - 液体噴射装置 - Google Patents

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Yoshinori Nakajima
栄樹 平井
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Abstract

【課題】液体噴射ヘッドの内部の温度ばらつきを低減して、液体の加温を安定して行うことができると共に、コストを低減することができる液体噴射装置を提供する。【解決手段】複数の第1ノズルNAと連通する第1流路と、前記第1流路とは独立し複数の第2ノズルNBと連通する第2流路と、を有する液体噴射ヘッド10と、前記第1流路、および、前記第1流路と連通し前記液体噴射ヘッド10の外部に設けられた第1外部流路を含む第1循環流路内で液体を循環させる循環動作を行う第1循環機構P1と、前記第1循環流路内の少なくとも一部を加熱する第1加熱部H1と、前記循環動作および記録動作を制御する制御部と、を備え、前記第1ノズルは前記記録動作に寄与せず、前記第2ノズルは前記記録動作に寄与する。【選択図】図11

Description

本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録装置に関する。
インクジェット式プリンターやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯留されたインクなどの液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドを具備する。
このような液体噴射ヘッドから噴射する液体には、液体の種類に応じて適した粘度がある。液体の粘度は温度と相関関係があるため、温度が低いほど粘度が高くなり、温度が高いほど粘度が低くなる特性がある。そのため、通常使用する液体の粘度に適するように設計された液体噴射ヘッドが、低温環境に置かれた場合や、粘度の高い液体を噴射する場合などには、液体を加熱する必要がある。
液体噴射ヘッドを加熱するために、加熱専用の液体を循環させる循環流路を設けた構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004-314346号公報
しかしながら、液体噴射ヘッドに加温専用の循環流路を設ける必要があるため、加温専用の循環流路を使用しない場合には加温専用の循環流路が無駄になってしまうという問題がある。
なお、このような問題はインクジェット式記録装置だけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置においても同様に存在する。
上記課題を解決する本発明の態様は、複数の第1ノズルと連通する第1流路と、前記第1流路とは独立し複数の第2ノズルと連通する第2流路と、を有する液体噴射ヘッドと、前記第1流路、および、前記第1流路と連通し前記液体噴射ヘッドの外部に設けられた第1外部流路を含む第1循環流路内で液体を循環させる第1循環動作を行う第1循環機構と、前記第1循環流路内の少なくとも一部を加熱する第1加熱部と、前記第1循環動作および記録動作を制御する制御部と、を備え、前記第1ノズルは前記記録動作に寄与せず、前記第2ノズルは前記記録動作に寄与することを特徴とする液体噴射装置にある。
実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す図である。 実施形態1に係る記録装置の概略構成を模式的に示す図である。 実施形態1に係るヘッドモジュールの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドを+Z方向に見た斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドを+Z方向に見た分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドを-Z方向に見た分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドを+Z方向に見た平面図である。 実施形態1に係るヘッドチップの断面図である。 実施形態1に係るヘッドチップの流路を模式的に示す図である。 実施形態1に係る記録装置の流路を説明する図である。 実施形態2に係るヘッドチップの断面図である。 実施形態2に係るヘッドチップの断面図である。 実施形態3に係るヘッドチップの断面図である。 実施形態4に係る記録装置の概略構成を模式的に示す図である。 実施形態5に係るヘッドチップの断面図である。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、およびZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、Z方向は、鉛直方向を示し、+Z方向は鉛直下向き、-Z方向は鉛直上向きを示す。さらに、正方向および負方向を限定しない3つのX、Y、Zの空間軸については、X軸、Y軸、Z軸として説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置1の概略構成を示す図である。図2は、インクジェット式記録装置1の概略構成を示す模式図である。
図示するように本実施形態の「液体噴射装置」の一例であるインクジェット式記録装置1は、液体の一種であるインクをインク滴として印刷用紙等の媒体Sに噴射・着弾させて、当該媒体Sに形成されるドットの配列により画像等の印刷(別称、記録動作とも言う)を行う印刷装置である。なお、媒体Sとしては、記録用紙の他、樹脂フィルムや布等の任意の材質を用いることができる。
インクジェット式記録装置1は、ヘッドモジュール100と、第1液体容器2Aと、第2液体容器2Bと、制御部である制御ユニット3と、媒体Sを送り出す搬送機構4と、移動機構6と、第1ポンプPM1と、第2ポンプPM2と、を具備する。
ヘッドモジュール100は、ノズルから液滴を噴射可能な「液体噴射ヘッド」の一例であるインクジェット式記録ヘッド10(以下、単に記録ヘッド10とも称する)を複数有する。なお、ヘッドモジュール100の詳細については後述する。また、本実施形態では、ヘッドモジュール100は、複数の記録ヘッド10を有するが、ヘッドモジュール100を構成する記録ヘッド10の数は特に限定されず、1つの記録ヘッド10を具備するものであってもよい。
記録ヘッド10は、詳しくは後述するが、複数の第1ノズルNAと、複数の第2ノズルNBと、複数の第1ノズルNAに連通する第1流路と、複数の第2ノズルNBに連通する第2流路と、を具備する。第1流路と第2流路とは、記録ヘッド10の内部で互いに連通することなく独立して設けられている。
第1液体容器2Aは、本実施形態の「第1液体貯留部」の一例であり、記録ヘッド10の第1流路へ供給する液体200が貯留される。第1液体容器2Aに貯留される液体200は、記録ヘッド10を加温するための液体である。また、第1液体容器2Aは、詳しくは後述する「第1循環流路」の一部を構成している。このような第1液体容器2Aとしては、例えば、インクジェット式記録装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のパック、液体を補充可能なタンクなどが挙げられる。なお、第1液体容器2Aは、サブタンクであってもよい。すなわち、メインタンクとサブタンクとで構成され、サブタンクの液体200が減少した際に、メインタンクからサブタンクに減少した分の液体200を補充する構成であってもよい。
第2液体容器2Bは、本実施形態の「第2液体貯留部」の一例であり、記録ヘッド10の第2流路に供給される液体であるインク201が貯留される。第2液体容器2Bに貯留されるインク201は、記録動作に寄与するインク、つまり、媒体S上で画像を形成するために記録ヘッド10から噴射されるインク201である。また、第2液体容器2Bは、詳しくは後述する「第2循環流路」の一部を構成している。このような第2液体容器2Bとしては、例えば、インクジェット式記録装置1に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。また、特に図示していないが、第2液体容器2Bには、色や種類の異なる複数種類のインク201が個別に貯留される。なお、第2液体容器2Bは、サブタンクであってもよい。すなわち、メインタンクとサブタンクとで構成され、サブタンクのインク201が減少した際に、メインタンクからサブタンクに減少した分のインク201を補充する構成であってもよい。
また、第1液体容器2Aに貯留される液体200は、上述のように記録ヘッド10との間で循環させて記録ヘッド10を加温するための液体である。これに対して、第2液体容器2Bに貯留されるインク201は、記録動作に用いられるインクである。ここで、記録動作とは、直接、媒体S上に画像を形成するインク等の液体を噴射する動作を言う。また、記録動作には、媒体S上に液体を噴射させてノズルNおよびその近傍のクリーニングを行う、所謂、紙面フラッシングは含まれない。このため、第1液体容器2Aに貯留される液体200は、例えば、第2液体容器2Bに貯留されるインク201、すなわち、記録動作に用いるインク201と同じインク、第2液体容器2Bに貯留されるインク201とは異なるインク、第2液体容器2Bに貯留されるインク201に比べて動的表面張力の高い液体、記録ヘッド10のノズルNが開口するノズル面487Aをワイピングするために使用する洗浄液などを用いることができる。例えば、第1液体容器2Aに貯留される液体200としてインクを用いる場合には、第2液体容器2Bに貯留されたインク201よりも安価なものを用いることで、コストを低減することができる。また、第2液体容器2Bのインク201よりも表面張力が大きい液体200は、例えば、インク201に比べて界面活性剤の単位体積当たりの含有量が少ない液体や、インク201よりも疎水性の液体比率が少ない液体、インク201よりも混合SP値が大きい液体を選定することで得ることができる。また、第2液体容器2Bのインク201よりも動的表面張力が大きい液体200としては、例えば、純水などの水系液体が挙げられる。液体200として、インク201よりも動的表面張力が大きい液体を用いることで、ノズルNのメニスカス耐圧が上がり、第1循環流路内で液体を循環させる圧力を大きく、つまり、液体200の流量や流速を増大させて、加温効率を向上することができる。
また、第1液体容器2Aに貯留される液体200として洗浄液を用いる場合には、第2液体容器2Bに貯留されたインク201が、紫外線照射によって重合反応を起こして硬化するモノマーやオリゴマー等を含む紫外線硬化型インクであれば、紫外線硬化型インクを洗浄する洗浄液を用いればよい。紫外線硬化型インクを洗浄する洗浄液としては、例えば、トリエチレングリコールモノブチルエーテルまたはジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを含むものを用いるのが好ましい。なお、紫外線硬化型インクの組成物は、例えば、(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、N-ビニル化合物のいずれかを重合性化合物として含むインクが挙げられる。
制御ユニット3は、本実施形態の「制御部」である。制御ユニット3は、特に図示していないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御装置と半導体メモリー等の記憶装置とを含んで構成される。制御ユニット3は、記憶装置に記憶されたプログラムを制御装置が実行することでインクジェット式記録装置1の各要素、すなわち、搬送機構4、移動機構6、ヘッドモジュール100、第1ポンプPM1および第2ポンプPM2等を統括的に制御する。つまり、制御ユニット3は、記録動作や詳しくは後述する液体200を循環させる第1循環動作、インク201を循環させる第2循環動作を制御する。
搬送機構4は、制御ユニット3によって制御されて媒体Sを-X方向または+X方向に搬送する「搬送部」の一例であり、例えば、搬送ローラー4aを有する。なお、媒体Sを搬送する搬送機構4は、搬送ローラー4aに限らず、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
移動機構6は、制御ユニット3によって制御されてヘッドモジュール100をY軸に沿って+Y方向およびY方向に往復させる。移動機構6によってヘッドモジュール100が往復する+Y方向およびY方向は、媒体Sが搬送される-X方向または+X方向に交差する方向である。
本実施形態の移動機構6は、搬送体7と搬送ベルト8とを具備する。搬送体7は、ヘッドモジュール100を収容する略箱形の構造体、所謂、キャリッジであり、搬送ベルト8に固定される。搬送ベルト8は、Y軸に沿って架設された無端ベルトである。制御ユニット3による制御のもとで搬送ベルト8が回転することでヘッドモジュール100が搬送体7と共にY軸に沿って+Y方向およびY方向に往復移動する。なお、第1液体容器2Aおよび第2液体容器2Bの何れか一方または両方をヘッドモジュール100と共に搬送体7に搭載することも可能である。
ヘッドモジュール100の主走査方向であるY軸に沿った方向における一側、本実施形態では、-Y方向の領域には、ヘッドモジュール100のノズルNの開口が形成された面であるノズル面487A(後述)を払拭する払拭部材としてのワイパー9Aが配設されている。このワイパー9Aとしては、例えばエラストマー等の可撓性を有する部材により構成される。ワイピング動作では、ワイパー9Aの先端部がノズル面487Aに接触した状態で両者が相対移動することにより当該ワイパー9Aによってノズル面487Aが払拭される。なお、ノズル面487Aを払拭する機構としては、例えば、不織布等のシート状のワイパーにより払拭する構成のもの等、周知の種々の構成のものを採用することができる。
また、搬送体7の待機位置(ホームポジション)である-Y方向側には、上記ワイパー9Aの隣にキャップ9Bが配設されている。キャップ9Bは、ヘッドモジュール100のノズル面487Aに当接し得るトレイ状に形成されている。このキャップ9Bでは、キャップ9B内の空間が封止空部として機能し、この封止空部内にヘッドモジュール100の後述するノズルNを臨ませた状態でノズル面487Aに密着可能に構成されている。また、このキャップ9Bには、図示しない廃液チューブを介してポンプが接続されており、このポンプの駆動によってキャップ9Bの封止空部内を負圧化することができる。
第1液体容器2Aには、第1供給チューブTAinと第1排出チューブTAoutとが接続されている。第1供給チューブTAinの内部には第1供給路SAinが設けられ、第1排出チューブTAoutの内部には第1排出路SAoutが設けられている。
第1供給チューブTAinの途中には、第1液体容器2Aから記録ヘッド10に向かってインクを加圧して供給するための第1加圧機構である第1ポンプPM1が設けられている。第1加圧機構は、例えば、第1供給チューブTAinの途中に設けられたポンプであってもよく、第1供給チューブTAinと第1排出チューブTAoutとの両方に設けられたポンプであってもよい。また、第1加圧機構は、ポンプに限定されず、第1液体容器2Aを外部から押圧する押圧機構等であってもよい。第1液体容器2A、第1供給路SAinおよび第1排出路SAoutは、記録ヘッド10の外部に設けられた「第1外部流路」に相当する。そして、詳しくは後述するが、記録ヘッド10の内部に設けられた第1流路と、第1外部流路とで、「第1循環流路」が構成されている。本実施形態の第1加圧機構である第1ポンプPM1は、この第1循環流路内で加温された液体200を循環させる第1循環動作を行わせる「第1循環機構」に相当する。
また、第1液体容器2Aには、第1液体容器2A内の液体を加熱する第1加熱部H1が設けられている。第1加熱部H1は、第1液体容器2Aの外周を囲むように設けられており、第1加熱部H1によって第1液体容器2Aの内部に貯留された液体200を加温する。この第1加熱部H1は、フィルムヒーターやラバーヒーターなどの可撓性を有する面状発熱体や、可撓性を有するリボンヒーター(別名、テープヒーター)などからなる。もちろん、第1加熱部H1は、可撓性を有するヒーターに限定されず、非可撓性のヒーターであってもよい。また、本実施形態では、第1加熱部H1は、第1液体容器2Aの外周に設けることで、当該第1液体容器2Aの内部に貯留された液体200を加熱するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第1液体容器2Aの内部の液体200に直接接触するように設けるようにしてもよい。なお、第1加熱部H1は、詳しくは後述する第1循環流路の少なくとも一部に設けられていればよい。つまり、第1加熱部H1は、第1循環流路を構成する第1液体容器2A、第1供給路SAin、第1排出路SAoutおよび第1流路から選択される少なくとも1つの少なくとも一部に設けられていればよい。また、第1加熱部H1は、第1循環流路の内部の液体200に直接接触するように設けることも可能である。もちろん、第1加熱部H1は、第1循環流路の複数箇所に設けるようにしてもよい。
第1加熱部H1は、制御ユニット3の制御のもとで第1循環流路内の液体200を所定の温度に加温し、第1ポンプPM1は、制御ユニット3による制御のもとで第1液体容器2Aから記録ヘッド10の第1流路に第1加熱部H1によって加温された液体200を所定の圧力で供給して循環させる。なお、本実施形態では、第1循環流路内で加温された液体を循環させることを「第1循環動作」と称する。また、第1ポンプPM1が、第1循環流路内において液体200を循環させる圧力は、詳しくは後述する記録ヘッド10の第1流路に連通する第1ノズルNAのメニスカス耐圧よりも小さい圧力が作用する圧力である。このように第1ノズルNAにメニスカス耐圧より小さい圧力が作用する圧力で、第1循環流路内で液体200を循環させることで、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が漏出するのを抑制することができる。
第2液体容器2Bには、第2供給チューブTBinと第2排出チューブTBoutとが接続されている。第2供給チューブTBinの内部には、第2供給路SBinが設けられ、第2排出チューブTBoutの内部には、第2排出路SBoutが設けられている。
第2供給チューブTBinの途中には、第2加圧機構である第2ポンプPM2が設けられている。第2加圧機構は、例えば、第2排出チューブTBoutの途中に設けられたポンプであってもよく、第2供給チューブTBinと第2排出チューブTBoutとの両方に設けられたポンプであってもよい。また、第2加圧機構は、ポンプに限定されず、第2液体容器2Bを外部から押圧する押圧機構等であってもよい。第2液体容器2B、第2供給路SBinおよび第2排出路SBoutは、記録ヘッド10の外部に設けられた「第2外部流路」に相当する。そして、詳しくは後述するが、記録ヘッド10の内部に設けられた第2流路と、第2外部流路とで、「第2循環流路」が構成されている。本実施形態の第2加圧機構である第2ポンプPM2は、第2循環流路内でインク201を循環させる第2循環動作を行わせる「第2循環機構」に相当する。
また、第2液体容器2Bには、第2液体容器2B内のインク201を加熱する第2加熱部H2が設けられている。本実施形態では、第2加熱部H2は、第2液体容器2Bの外周を囲むように設けられており、第2加熱部H2によって第2液体容器2Bの内部に貯留されたインク201を加温する。この第2加熱部H2は、第1加熱部H1と同様に、フィルムヒーターやラバーヒーターなどの可撓性を有する面状発熱体や、可撓性を有するリボンヒーター(別名、テープヒーター)などからなる。もちろん、第2加熱部H2は、可撓性を有するヒーターに限定されず、非可撓性のヒーターであってもよい。また、本実施形態では、第2加熱部H2は、第2液体容器2Bの外周に設けることで、当該第2液体容器2Bの内部に貯留されたインク201を加熱するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、第2液体容器2Bの内部のインク201に直接接触するように設けるようにしてもよい。なお、第2加熱部H2は、詳しくは後述する第2循環流路の少なくとも一部に設けられていればよい。つまり、第2加熱部H2は、第2循環流路を構成する第2液体容器2B、第2供給路SBin、第2排出路SBoutおよび第2流路から選択される少なくとも1つの少なくとも一部に設けられていればよい。また、第2加熱部H2は、第2循環流路の内部のインク201に直接接触するように設けることも可能である。もちろん、第2加熱部H2は、第2循環流路の複数箇所に設けるようにしてもよい。
第2加熱部H2は、制御ユニット3の制御のもとでインク201を所定の温度に加温し、第2ポンプPM2は、制御ユニット3の制御のもとで第2液体容器2Bから記録ヘッド10に第2加熱部H2によって加温されたインク201を所定の圧力で供給して循環させる。なお、本実施形態では、第2循環流路内でインクを循環させることを「第2循環動作」と称する。また、第2ポンプPM2が、第2循環流路内においてインクを循環させる圧力は、詳しくは後述する記録ヘッド10の第2流路に連通する第2ノズルNBのメニスカス耐圧よりも小さい圧力が作用する圧力である。このように第2ノズルNBにメニスカス耐圧より小さい圧力が作用する圧力で、第2循環流路内でインク201を循環させることで、第2循環動作によって第2ノズルNBからノズル面487Aにインク201が漏出するのを抑制することができる。
なお、加温する液体200を貯留する第1液体容器2Aの容積V1は、記録動作に用いるインク201を貯留する第2液体容器2Bの容積V2よりも大きいことが好ましい。つまり、V1>V2を満たすことが好ましい。第1液体容器2Aに貯留する液体200は記録動作に用いないため、記録動作に用いるインク201よりも比較的安価な液体を用いることが可能である。このように第1液体容器2Aに貯留する液体200として安価な液体を用いることで、第1液体容器2Aに大量に液体200を貯留させてもコストが増大するのを抑制することができる。また、第1液体容器2Aに液体200を比較的大量に貯留させることで、第1循環流路によって第1液体容器2Aと記録ヘッド10との間で加温された液体200を循環させる際に、液体200の流量や流速を増大させて、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
また、第1加熱部H1の発熱量は、第2加熱部H2の発熱量よりも大きいことが好ましい。例えば、第1加熱部H1と第2加熱部H2とが単位面積当たりの発熱量が同じヒーターの場合には、第1加熱部H1の発熱面の面積が、第2加熱部H2の発熱面の面積よりも大きいことが好ましい。本実施形態では、第1液体容器2Aの容積V1は第2液体容器2Bの容積V2よりも大きいため、第1加熱部H1の発熱面の面積を第2加熱部H2の発熱面の面積よりも大きくしやすく、第1加熱部H1と第2加熱部H2との単位面積当たりの発熱量が同じ、換言すれば第1加熱部H1と第2加熱部H2とが同じ種類のヒーターであっても、容易に第1加熱部H1の発熱量を第2加熱部H2の発熱量よりも大きくすることができる。また、第1加熱部H1の発熱面の面積と第2加熱部H2の発熱面の面積とが同じ場合には、第1加熱部H1の単位面積当たりの発熱量が、第2加熱部H2の単位面積当たりの発熱量よりも大きいことが好ましい。このように第1加熱部H1の発熱量を第2加熱部H2の発熱量よりも大きくすることで、第1加熱部H1によって安価で大量の液体200を容易に加温することができ、第1循環流路によって第1液体容器2Aと記録ヘッド10との間で加温された液体200を循環させる際に、液体200の流量や流速を増大させて記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
記録ヘッド10は、第2液体容器2Bから供給されたインク201を制御ユニット3による制御のもとで第2ノズルNBから媒体Sにインク滴として噴射する。なお、記録ヘッド10からのインク滴の噴射は、+Z方向に向かって行われる。そして、搬送機構4によって媒体Sが-X方向または+X方向に搬送されると共に移動機構6によって記録ヘッド10がY軸に沿って搬送される際に、記録ヘッド10が媒体Sにインク滴を噴射することで、媒体Sには所望の画像が形成される。
図3は、ヘッドモジュール100の分解斜視図である。図示するように、ヘッドモジュール100は、支持体101と複数の記録ヘッド10とを具備する。支持体101は、複数の記録ヘッド10を支持する板状部材である。支持体101には、各記録ヘッド10を保持するための支持孔102が設けられている。支持孔102は、本実施形態では、記録ヘッド10毎に独立して設けられている。もちろん、支持孔102は、複数の記録ヘッド10に亘って連続して設けるようにしてもよい。
記録ヘッド10は、支持孔102に挿通され、後述する記録ヘッド10のフランジ部35(図4参照)が支持孔102の周縁部に支持されている。記録ヘッド10のヘッドチップ44(図6参照)側が支持体101の+Z方向側の面から突出している。
各記録ヘッド10には、+X方向およびX方向の両端部に、固定口103が設けられている。支持体101には、各記録ヘッド10を固定するためのネジ穴104が設けられている。ネジ105が固定口103を挿通してネジ穴104に螺合されることで、各記録ヘッド10が支持体101に固定されている。
本実施形態では、記録ヘッド10は、X軸に沿って2個、Y軸に沿って4個、合計8個が支持体101に固定されている。各記録ヘッド10は、後述するノズルNの並設方向がX軸と一致するように配置されている。
図4は、記録ヘッド10の+Z方向に見た斜視図である。図5は、記録ヘッド10を+Z方向に見た分解斜視図である。図6は、記録ヘッド10を-Z方向に見た分解斜視図である。図7は、記録ヘッド10の断面図である。図8は、記録ヘッド10の形状を説明する平面図である。
図示するように、記録ヘッド10は、+X方向に長尺で、+Y方向に短尺な形状を有する。ここで記録ヘッド10が+X方向に長尺で、+Y方向に短尺であるとは、図8に示すように、記録ヘッド10を+Z方向に見て、記録ヘッド10を内包する最小面積の長方形をRとしたとき、長辺E1が+X方向に沿って配置されており、短辺E2が+Y方向に沿って配置されていることを言う。
このような記録ヘッド10は、図4~図8に示すように、インク滴を吐出するノズルNが設けられた複数のヘッドチップ44と、ヘッドチップ44を保持するホルダー30と、ヘッドチップ44にインクを供給する流路部材60と、ヘッドチップ44に制御信号等を送受信するための配線が接続されるコネクター75と、流路部材60を内部に収容するカバー部材65と、を備えている。本実施形態では、1つの記録ヘッド10は、2つのヘッドチップ44を備えている。なお、詳しくは後述するが、2つのヘッドチップ44は、+X方向に異なる位置に配置されている。
ここで、本実施形態のヘッドチップ44についてさらに図9および図10を参照して説明する。なお、図9はヘッドチップ44の断面図である。図10はヘッドチップ44の流路を模式的に表した図である。また、ヘッドチップ44の各方向について、記録ヘッド10に用いられた際の方向、すなわち、X方向、Y方向、Z方向に基づいて説明する。
図9および図10に示すように、本実施形態のヘッドチップ44は、圧力室基板482と振動板483と圧電アクチュエーター484と筐体部485と保護基板486とが流路形成基板481の一方側である-Z方向に配置されると共に、流路形成基板481の他方側である+Z方向にノズルプレート487および緩衝板488が配置された構造体である。
流路形成基板481と圧力室基板482とノズルプレート487とは例えばシリコンの平板材で形成され、筐体部485は例えば樹脂材料の射出成形で形成される。複数のノズルNはノズルプレート487に形成される。ノズルプレート487のうち流路形成基板481とは反対側の表面がノズル面487Aとなっている。なお、筐体部485は、詳しくは後述する「共通流路部材」であるため、熱伝導率が高い熱伝導体、すなわちステンレス鋼(SUS)やアルミニウムなどの金属、セラミックス、シリコンなどで形成することが好ましい。共通流路部材である筐体部485を熱伝導体で形成することで、筐体部485内の加温された液体200を通して、第2流路のインク201を効率よく加温することができる。また、筐体部485内部の温度ばらつきを抑制して、筐体部485を均一な温度に維持することができる。なお、筐体部485は、熱伝導率が比較的低い材料、例えば、樹脂で形成してもよい。筐体部485を樹脂で形成することで、コストを低減することができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、ヘッドチップ44のノズルプレート487には、ノズルNが第1方向である+X方向に沿って並設されたノズル列Lが設けられている。また、ヘッドチップ44には、ノズルNが+X方向に並設されたノズル列Lが+Y方向に複数列、本実施形態では、2列設けられている。本実施形態では、1つのヘッドチップ44に設けられた2列のノズル列Lのうち、-Y方向に配置された一方を第1ノズル列LAと称し、+Y方向に配置された他方を第2ノズル列LBと称する。そして、本実施形態では、第1ノズル列LAと第2ノズル列LBとを合わせてノズル列Lと総称する。また、第1ノズル列LAを構成するノズルNを第1ノズルNAと称し、第2ノズル列LBを構成するノズルNを第2ノズルNBと称する。以降、第1ノズルNAおよび第2ノズルNBを区別しないときはこれらを総称してノズルNと記載して説明するが、第1ノズルNAおよび第2ノズルNBの特有の構成については第1ノズルNAおよび第2ノズルNBと記載して説明する。ノズル列Lについても同様である。これら2列の第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBは、それぞれを構成する第1ノズルNAおよび第2ノズルNBの位置が+X方向に同じ位置、つまり、+Y方向に見て重なる位置に配置されていてもよく、一方の第1ノズルNAに対して他方の第2ノズルNBが、+X方向にノズルNの半ピッチ分ずれて配置されていてもよい。
このような第1ノズルNAは、記録動作に寄与せず、第2ノズルNBは、記録動作に寄与する。ここで、記録動作とは、直接、媒体S上に画像を形成するインク等の液体を噴射する動作を言う。また、記録動作には、媒体S上に液体を噴射させてノズルおよびその近傍のクリーニングを行う、所謂、紙面フラッシングは含まれない。このため、第1ノズルNAからは、記録動作に寄与する液体200の噴射は行われない。ただし、第1ノズルNAからは、紙面フラッシングのための液体200の噴射は行われてもよい。また、第2ノズルNBからは、記録動作に寄与するインク201の噴射が行われる。もちろん、第2ノズルNBからは、記録動作に寄与しないインク201の噴射は行われてもよい。
流路形成基板481には、開口部481Aと、絞り流路である複数の個別流路481Bと、連通流路481Cと、開口部481Aと複数の個別流路481Bとを接続する開口部481AAとが形成されている。個別流路481Bおよび連通流路481CはノズルN毎に形成された貫通孔であり、開口部481Aは複数のノズルNに亘って連続する開口である。本実施形態では、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBに合わせて、個別流路481Bおよび連通流路481CがX軸に沿った方向に並設された列が、Y軸に沿った方向に2列設けられている。また、開口部481Aは、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBのそれぞれに対して1個ずつ、合計2個設けられている。これら2個の開口部481Aは、Y軸において第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBを挟んだ両側に配置されており、互いに連通しないように独立して設けられている。開口部481AAについても、開口部481Aと同様に、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBのそれぞれに対して1個ずつ、合計2個設けられている。-Y方向に配置された第1ノズル列LAは、-Y方向に配置された一方の開口部481Aに連通し、+Y方向に配置された第2ノズル列LBは、+Y方向に配置された他方の開口部481Aに連通している。開口部481Aと開口部481AAとは、後述する共通液室であるマニホールドSRの一部を形成する。
緩衝板488は、流路形成基板481のうち圧力室基板482とは反対側の表面に設置されて開口部481AAを閉塞する平板材からなるコンプライアンス基板である。マニホールドSR内の圧力変動は緩衝板488が可撓変形することによって吸収される。
筐体部485には、流路形成基板481の開口部481Aのそれぞれに連通する共通液室であるマニホールドSRの一部が形成される。即ち、本実施形態では、マニホールドSRは筐体部485及び流路形成基板481によって形成されている。マニホールドSRは、複数のノズルNに供給されるインクを貯留する空間であり、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBの各々に対応して1個ずつ、合計2個設けられている。本実施形態では、第1ノズル列LAに連通するマニホールドSRを第1マニホールドSRAと称し、第2ノズル列LBに連通するマニホールドSRを第2マニホールドSRBと称する。以降、第1マニホールドSRAおよび第2マニホールドSRBを区別しないときはこれらを総称してマニホールドSRと記載して説明するが、第1マニホールドSRAおよび第2マニホールドSRBの特有の構成については第1マニホールドSRAおよび第2マニホールドSRBと記載して説明する。
筐体部485は、詳しくは後述する第1流路および第2流路が共通して設けられた「共通流路部材」に相当するため、熱伝導率が高い熱伝導体、すなわちステンレス鋼(SUS)やアルミニウムなどの金属、セラミックス、シリコンなどの熱伝導体で形成することが好ましい。共通流路部材である筐体部485を熱伝導体で形成することで、第1流路を加温された液体を通して加温した際に、第2流路のインクを効率よく加温することができる。また、筐体部485内部の温度ばらつきを抑制して、筐体部485を均一な温度に維持することができる。なお、筐体部485は、熱伝導率が比較的低い材料、例えば、樹脂で形成してもよい。筐体部485を樹脂で形成することで、コストを低減することができる。
第1マニホールドSRAと第2マニホールドSRBとはY軸に沿って並設されており、第1マニホールドSRAが-Y方向に配置され、第2マニホールドSRBが+Y方向に配置されている。また、筐体部485には、図10に示すように、第1マニホールドSRAに液体が供給される第1導入口RAinと第1マニホールドSRAから液体が排出される第1排出口RAoutとが設けられている。また、筐体部485には、第2マニホールドSRBにインクが供給される第2導入口RBinと、第2マニホールドSRBからインクが排出される第2排出口RBoutとが設けられている。なお、図10において第1導入口RAinおよび第2導入口RBinは「入」、第1排出口RAoutおよび第2排出口RBoutは「出」で示している。第1導入口RAinは、詳しくは後述するが、流路部材60の第1供給管PAinに第1供給連通路CAinを介して接続される。また、第1排出口RAoutは、第1排出管PAoutに第1排出連通路CAoutを介して接続される。同様に、第2導入口RBinは、第2供給管PBinに第2供給連通路CBinを介して接続される。また、第2排出口RBoutは、第2排出管PBoutに第2排出連通路CBoutを介して接続される。
ヘッドチップ44の圧力室基板482には、ノズルN毎に開口部482Aが形成されている。振動板483は、圧力室基板482のうち流路形成基板481とは反対側の表面に設置された弾性変形可能な平板材である。圧力室基板482の各開口部482Aの内側で振動板483と流路形成基板481とに挟まれた空間は、マニホールドSRから個別流路481Bを介して供給されるインクが充填される圧力室SCとして機能する。各圧力室SCは、流路形成基板481の連通流路481Cを介してノズルNに連通する。
振動板483の圧力室基板482とは反対側の表面には、ノズルN毎、すなわち、開口部482A毎に圧電アクチュエーター484が形成される。各圧電アクチュエーター484は、圧電素子とも言い、相互に対向する電極間に圧電体を介在させた駆動素子である。圧電アクチュエーター484は、駆動信号に基づいて変形することで振動板483を振動させて、圧力室SC内のインクの圧力を変動させることで、圧力室SC内のインクなどの液体がノズルNから噴射される。なお、駆動信号に基づく圧電アクチュエーター484の駆動制御は、制御ユニット3によって行われる。また、保護基板486は、複数の圧電アクチュエーター484を保護する。
また、圧電アクチュエーター484は、略全ての圧力室SCに対応して設けられている。すなわち、圧電アクチュエーター484は、記録動作に用いるインク201を噴射するための第2ノズルNBに連通する圧力室SCに対応して設けられていると共に、加温された液体200が供給される第1ノズルNAに連通する圧力室SCに対応して設けられている。略全ての圧力室SCに対応して圧電アクチュエーター484を設けることで、第1ノズルNAおよび第2ノズルNBの両方からインクを噴射させて記録動作を行う記録ヘッド10として利用することができる。つまり、略全ての圧力室SCに圧電アクチュエーター484を形成しておくことで、第1ノズルNAが記録動作に寄与しないように使用することも、第1ノズルNAが記録動作に寄与するように使用することも可能であり、専用の記録ヘッド10を複数種類用意する必要がなく、記録ヘッド10を種々の用途に使用することができる。ただし、加温された液体200が供給される第1ノズルNAに連通する圧力室SCに対応する位置に圧電アクチュエーター484を設けないようにしてもよい。このような構成であっても、第1ノズルNAに連通する第1流路を、記録動作に寄与するように使用する第2ノズルNBに連通する第2流路を加熱するための加熱専用の流路として使用することができる。そのため、ノズルNに連通しないで第2流路を加熱するためだけの加熱専用の流路を設けた記録ヘッドを製造するのに比べて、コストを低減させながらも第2流路を加熱することができる。
なお、圧力室SC内のインクを含む液体に圧力変化を生じさせる圧力発生素子は圧電アクチュエーター484に限定されない。他の圧力発生素子としては、例えば、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルNからインク滴を吐出させるものや、振動板483と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板483を変形させてノズルNからインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
図5~図7等に示すように、このようなヘッドチップ44が、1つの記録ヘッド10に複数、本実施形態では、2個設けられている。具体的には、2つのヘッドチップ44は、記録ヘッド10の共通するホルダー30に保持されている。なお、ホルダー30に保持されるヘッドチップ44の数は、特にこれに限定されず、1個であってもよく、3個以上であってもよい。
ホルダー30は、+Z方向側の面に開口する凹部33が設けられ、凹部33の底面、すなわち、凹部33内の-Z方向側の面には凹形状の収容部31が設けられている。凹部33は、固定板36が嵌め込まれて固定される大きさ、形状の開口を有する。また、収容部31は、ヘッドチップ44を収容する程度の大きさ、形状の開口を有する。
ホルダー30には、ヘッドチップ44と流路部材60との間でインクおよび液体を流動させる複数の連通路34が設けられている。連通路34は、一端が収容部31の底面、すなわち、収容部31内の-Z方向の面に開口して、ヘッドチップ44の第1導入口RAin、第1排出口RAout、第2導入口RBinおよび第2排出口RBoutのそれぞれに連通する。このため、連通路34は、1個のヘッドチップ44につき4個設けられている。本実施形態では、ホルダー30に2個のヘッドチップ44が保持されるため、1個のホルダー30には、合計8個の連通路34が設けられている。また、連通路34の他端は、ホルダー30の-Z方向側の面に開口しており、連通路34の他端は、詳しくは後述する流路部材60の第1供給連通路CAin、第1排出連通路CAout、第2供給連通路CBinおよび第2排出連通路CBoutのそれぞれと連通する。
また、ホルダー30には、ヘッドチップ44と中継基板73とを接続する不図示の配線が挿通される複数の配線挿通孔39が設けられている。配線挿通孔39は、収容部31の底面、すなわち、収容部31内の-Z方向側の面に開口すると共に、ホルダー30の-Z方向側の面に開口して設けられている。
ホルダー30の-Z方向側には、+X方向およびX方向にそれぞれ突出する一対のフランジ部35が設けられている。このフランジ部35に、上述したネジ105が挿通される固定口103が+Z方向に貫通して設けられている。
このようなホルダー30は、詳しくは後述する第1流路と第2流路とが共通して設けられた「共通流路部材」に相当するため、熱伝導率が高い熱伝導体、すなわちステンレス鋼(SUS)やアルミニウムなどの金属、セラミックス、シリコンなどの熱伝導体で形成することが好ましい。共通流路部材であるホルダー40を熱伝導体で形成することで、第1流路を加温された液体を通して加温した際に、第2流路のインクを効率よく加温することができる。また、ホルダー40内部の温度ばらつきを抑制して、ホルダー30を均一な温度に維持することができる。なお、ホルダー30は、熱伝導率が比較的低い材料、例えば、樹脂で形成してもよい。ホルダー30を樹脂で形成することで、コストを低減することができる。
各ヘッドチップ44は、固定板36に固定されている。具体的には、固定板36は、凹部33に収容される形状に形成されており、所定の場所に露出開口部37が形成されている。そして、各ヘッドチップ44は、緩衝板488が固定板36に覆われ、露出開口部37からノズルN、つまり、ノズルプレート487が露出するように、固定板36に接着剤等で固定されている。このようにして固定板36に固定されたヘッドチップ44は、ノズルプレート487側が+Z方向側となるように収容部31に収容されている。なお、固定板36は、ヘッドチップ44の緩衝板488の+Z方向側の面に設けられた不図示の板状部材を介して固定されており、この板状部材には、Z軸に沿って見た平面視で開口部481AAと重なる位置に対応して開口が設けられており、緩衝板488がZ軸に沿って変位可能にしている。固定板36は凹部33に接着剤等で固定されている。また、ヘッドチップ44の-Z方向側の面は、収容部31の底部、すなわち、収容部31の内面の-Z方向側の面に接着剤で接着されている。
すなわち、収容部31と固定板36とによって形成された空間内にヘッドチップ44が収容され、露出開口部37からノズルNが露出している。なお、収容部31は、複数のヘッドチップ44に亘って共通して設けられていてもよい。
図6に示すように、ホルダー30に保持された複数のヘッドチップ44は、X軸およびY軸により定めるXY平面における位置が互いに異なる位置となるように配置されている。すなわち、+Z方向に見た平面視において、2つのヘッドチップ44は、互いに重ならない位置に設けられている。つまり、一方のヘッドチップ44の第1ノズル列LAと他方のヘッドチップ44の第1ノズル列LAとは、+X方向および+Y方向の双方に異なる位置にずれて配置されている。2つのヘッドチップ44の第2ノズル列LBについても同様に、+X方向および+Y方向の双方に異なる位置にずれて配置されている。なお、2つのヘッドチップ44がXY平面において互いに異なる位置に配置されているとは、ヘッドチップ44のノズル面487A同士が互いに異なる位置に設けられていることを言う。このため、複数のヘッドチップ44のノズル面487A以外の部分が+Z方向に見て重なる位置に設けられていてもよい。
そして、本実施形態では、2つのヘッドチップ44のノズル列Lを+X方向で互いに部分的に重複させる位置に配置して、+X方向に亘って連続したノズルNの列を形成している。一方のヘッドチップの第1ノズル列LAと、他方のヘッドチップの第1ノズル列LAとを、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置することで、2つの第1ノズル列LAで+X方向に沿って連続したノズルNの列を形成することができる。同様に、一方のヘッドチップの第2ノズル列LBと、他方のヘッドチップの第2ノズル列LBとを、+Y方向に見て互いの一部が重なるように配置することで、2つの第2ノズル列LBで+X方向に沿って連続したノズルNの列を形成することができる。
ここで、図8を用いて+Z方向に見た平面視における記録ヘッド10の形状について説明する。記録ヘッド10は、第1部分P1(図8のハッチングで示す部分)と、第2部分P2と、第3部分P3と、を備える。
記録ヘッド10を内包する最小面積の長方形をRとしたとき、長方形Rの長辺E1はホルダー30の+X方向に沿う辺に重なり、長方形Rの短辺E2はホルダー30の+Y方向に沿う辺に重なる。このような仮想的な長方形Rの長辺E1に平行な中心線をL1とする。
第1部分P1は、中心線L1が通過する矩形状の部分である。第2部分P2は、第1部分P1から-X方向に突出する矩形状の部分である。第3部分P3は、第1部分P1から+X方向に突出する矩形状の部分である。つまり、第2部分P2と第1部分P1と第3部分P3とは、この順にX軸に沿って+X方向に向かって配列する。
第2部分P2と第3部分P3とは、Y軸に沿って中心線L1を挟んで反対の方向に位置する。そして、一方の記録ヘッド10の第2部分P2と他方の記録ヘッド10の第3部分P3とが、Y軸の方向に対向するように、複数の記録ヘッド10がX軸に沿って配列される。このように、一方の記録ヘッド10の第2部分P2と、他方の記録ヘッド10の第3部分P3とがY軸の方向で対向するように配置することで、X軸に沿って互いに隣り合う記録ヘッド10のノズルNをX軸に沿った方向で部分的に重複させて、X軸に亘って連続したノズルNの列を形成することができる。なお、第2部分P2と第3部分P3とは、Y軸に沿った幅が、中心線L1を通らない幅を有する。このため、複数の記録ヘッド10をX軸に沿って配列した際に、複数の記録ヘッド10が占有するY軸方向の幅をさらに狭くして、ヘッドモジュール100を小型化することができる。
ここで、流路部材60についてさらに図11を参照して説明する。なお、図11は、流路を説明する概略図である。
図5および図11に示すように、流路部材60は、ヘッドチップ44に液体200およびインク201を供給する流路が形成された部材である。本実施形態の流路部材60には、液体200をヘッドチップ44に供給するための第1供給連通路CAinと、ヘッドチップ44から液体200を排出するための第1排出連通路CAoutと、インク201をヘッドチップ44に供給するための第2供給連通路CBinと、ヘッドチップ44からインク201を排出するための第2排出連通路CBoutと、が形成されている。上述したように、本実施形態のヘッドチップ44には第1マニホールドSRAと第2マニホールドSRBとが独立して設けられているため、1つのヘッドチップ44には、2種類の液体、つまり、第1液体容器2Aに貯留された液体200と、第2液体容器2Bに貯留されたインク201とが供給および排出されて循環する。したがって、流路部材60には、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの第1導入口RAinのそれぞれに連通する第1供給連通路CAinと、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの第2導入口RBinのそれぞれに連通する第2供給連通路CBinが設けられている。また、流路部材60には、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの第1排出口RAoutのそれぞれに連通する第1排出連通路CAoutと、異なるヘッドチップ44に設けられた2つの第2排出口RBoutのそれぞれに連通する第2排出連通路CBoutと、が設けられている。また、特に図示していないが、第1供給連通路CAin、第1排出連通路CAout、第2供給連通路CBinおよび第2排出連通路CBoutの各々は、途中で2つに分岐されて異なるヘッドチップ44のそれぞれの第1導入口RAin、第1排出口RAout、第2導入口RBinおよび第2排出口RBoutに接続される。また、第1供給連通路CAinおよび第2供給連通路CBinの途中には、インクや液体に含まれる気泡やゴミなどの異物を捕捉するフィルターが設けられていてもよい。
本実施形態の流路部材60は、複数の流路基板、本実施形態では、5枚の流路基板81~85が積層されることで構成される。また、流路部材60の第1供給連通路CAin、第1排出連通路CAout、第2供給連通路CBinおよび第2排出連通路CBoutは、不図示のXY平面に沿って設けられた水平流路やZ軸に沿って設けられた垂直流路などによって構成される。もちろん、Z軸およびXY平面に対して傾斜した傾斜流路であってもよい。例えば、流路部材60の水平流路は、複数の流路基板81~85の積層界面に設けられる。これら複数の流路基板81~85で構成される流路部材60は、詳しくは後述する第1流路および第2流路が共通して設けられた「共通流路部材」に相当するため、熱伝導率が高い熱伝導体、すなわちステンレス鋼(SUS)やアルミニウムなどの金属、セラミックス、シリコンなどの熱伝導体で形成することが好ましい。共通流路部材である流路部材60を熱伝導体で形成することで、第1流路を加温された液体を通して加温した際に、第2流路のインクを効率よく加温することができる。また、流路部材60内部の温度ばらつきを抑制して、流路部材60を均一な温度に維持することができる。なお、流路部材60は、熱伝導率が比較的低い材料、例えば、樹脂で形成してもよい。流路部材60を樹脂で形成することで、コストを低減することができる。
このような流路部材60の-Z方向側の面には、-Z方向に突出した円筒状の第1供給管PAin、第2供給管PBin、第1排出管PAoutおよび第2排出管PBoutが設けられている。これら第1供給管PAin、第2供給管PBin、第1排出管PAoutおよび第2排出管PBoutの内部にはそれぞれ、第1供給連通路CAin、第2供給連通路CBin、第1排出連通路CAoutおよび第2排出連通路CBoutが形成される。
第1供給管PAin、第2供給管PBin、第1排出管PAout、第2排出管PBoutには、チューブが接続され、または、チューブを取り外すことができるようになっている。第1供給管PAinには第1供給チューブTAinが接続され、第2供給管PBinには第2供給チューブTBinが接続される。また、第1排出管PAoutには第1排出チューブTAoutが接続され、第2排出管PBoutには第2排出チューブTBoutが接続される。つまり、第1供給路SAinと第1供給連通路CAinとが接続され、第1排出路SAoutと第1排出連通路CAoutとが接続される。同様に、第2供給路SBinと第2供給連通路CBinとが接続され、第2排出路SBoutと第2排出連通路CBoutとが接続される。
このような記録ヘッド10では、第1ノズルNAに連通する「第1流路」は、流路部材の第1供給連通路CAinおよび第1排出連通路CAoutと、筐体部485及び流路形成基板481に設けられた第1マニホールドSRAと、ホルダー30に設けられて第1マニホールドSRAと第1供給連通路CAinおよび第1排出連通路CAoutとをそれぞれに連通する2つの連通路34と、に相当する。つまり、第1流路が第1ノズルNAと連通するとは、第1流路を構成する第1マニホールドSRAと第1ノズルNAとが、個別流路481B、開口部482Aおよび連通流路481Cを介して連通するものも含む。もちろん、第1流路と第1ノズルNAとが直接、連通するものも含む。また、記録ヘッド10の外部に設けられた「第1外部流路」は、上述のように第1液体容器2A、第1供給路SAinおよび第1排出路SAoutとなっている。そして、これら第1流路と第1外部流路とで「第1循環流路」が構成されている。つまり、第1循環流路は、記録ヘッド10の外部に設けられた第1外部流路である第1液体容器2A、第1供給路SAinおよび第1排出路SAoutと、記録ヘッド10の内部に設けられて第1ノズルNAと連通する第1供給連通路CAin、第1排出連通路CAout、第1マニホールドSRAおよび2つの連通路34と、を具備する。
また、第2ノズルNBに連通する「第2流路」は、流路部材60の第2供給連通路CBinおよび第2排出連通路CBoutと、筐体部485及び流路形成基板481に設けられた第2マニホールドSRBと、ホルダー30に設けられて第2マニホールドSRBと第2供給連通路CBinおよび第2排出連通路CBoutとをそれぞれに連通する2つの連通路34と、に相当する。つまり、第2流路が第2ノズルNBと連通するとは、第2流路を構成する第2マニホールドSRBと第2ノズルNBとが、個別流路481B、開口部482Aおよび連通流路481Cを介して連通するものも含む。もちろん、第2流路と第2ノズルNBとが直接、連通するものも含む。また、記録ヘッド10の外部に設けられた「第2外部流路」は、上述のように第2液体容器2B、第2供給路SBinおよび第2排出路SBoutとなっている。そして、これら第2流路と第2外部流路とで「第2循環流路」が構成されている。つまり、第2循環流路は、記録ヘッド10の外部に設けられた第2外部流路である第2液体容器2B、第2供給路SBinおよび第2排出路SBoutと、記録ヘッド10の内部に設けられて第2ノズルNBと連通する第2供給連通路CBin、第2排出連通路CBout、第2マニホールドSRBおよび2つの連通路34と、を具備する。
このようなインクジェット式記録装置1では、第1液体容器2A内に貯留された液体200は、第1加熱部H1によって加温され、加温された液体200は第1循環機構である第1ポンプPM1によって第1循環流路を循環する第1循環動作が行われる。つまり、第1液体容器2Aで第1加熱部H1によって加温された液体200は、第1外部流路を構成する第1供給路SAinから第1流路を構成する第1供給連通路CAin、連通路34および第1マニホールドSRAに供給される。そして、第1マニホールドSRA内の液体200は、第1流路を構成する連通路34、第1排出連通路CAoutから第1外部流路を構成する第1排出路SAoutを介して第1液体容器2A内に排出される。このように第1液体容器2Aで加温された液体200を第1循環流路内で循環させる第1循環動作を行うことで、加温された液体200によって記録ヘッド10を加温することができる。
また、第1循環動作を行った際に、第1マニホールドSRA内に供給された液体200は、開口部481A、個別流路481B、開口部482Aおよび連通流路481Cを介して第1ノズルNAの内部まで供給される。このとき、本実施形態では、第1ポンプPM1は、第1ノズルNAのメニスカス耐圧を越えない圧力が作用するように第1循環流路内で液体200を循環させる。つまり、第1ポンプPM1は、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が排出されない圧力で第1循環流路内で液体200を循環させる。これにより、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が漏出するのを抑制して、第1ノズルNAから漏出した液体200が予期せぬタイミングで媒体Sに落下して、媒体Sを汚してしまうのを低減することができる。なお、第1ノズルNAからの液体200の排出とは、インク滴をノズル面487Aから飛翔するように噴射するものは含まれない。ちなみに、このような第1循環動作は、記録動作中、記録動作を待機している待機中、メンテナンス中などを含めインクジェット式記録装置1の電源が投入されている最中は常時行うようにすればよい。したがって、本実施形態では、第1循環動作は、記録動作中においても第1ノズルNAから液体200が排出されないように行われる。
なお、第1流路の少なくとも一部と第2流路の少なくとも一部とは、共通する流路部材である「共通流路部材」によって画定されている。「共通流路部材」とは、第1流路と第2流路との両方が形成された単一の部材のことであり、本実施形態では、流路部材60、ホルダー30、筐体部485、流路形成基板481が相当する。そして「共通流路部材」の少なくとも一部は、熱伝導体であることが好ましい。「共通流路部材」として用いる熱伝導体は、熱伝導率が比較的高い材料、例えば、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウムなどの金属、セラミックス、シリコンなどが挙げられる。また、記録ヘッド10に樹脂で形成される部品を含む場合には、共通流路部材としては、記録ヘッド10に用いる樹脂部品よりも熱伝導率が高い材料を用いるのが好ましい。つまり、記録ヘッド10に用いる部品のなかで、最も熱伝導率が高い材料を共通流路部材とするのが好ましい。また、共通流路部材として用いる熱伝導体は、熱伝導率が10w/m・k(常温)以上の材料であることが好ましい。常温とは、例えば、20℃である。なお、「共通流路部材の少なくとも一部は熱伝導体である」とは、複数の共通流路部材のうちの少なくとも1つが熱伝導体であることを含む。また、「共通流路部材の少なくとも一部は熱伝導体である」とは、第1流路および第2流路が画定された部分が連続して熱伝導体であることを含む。つまり、1つの部品の中で第1流路と第2流路とが画定されている部分が連続した熱伝導体であれば、その他の部分が熱伝導体で形成されていなくてもよい。例えば、第1流路と第2流路とが形成される部分が熱伝導体で形成され、この熱伝導体の周囲に樹脂がアウトサート成形等によって形成されたものであってもよい。このように、共通流路部材の少なくとも一部を熱伝導体で形成することで、第1流路を通る加温された液体200によって、第2流路を通るインク201を効率よく加温することができる。また、共通流路部材の少なくとも一部を熱伝導体で形成することで、記録ヘッド10の温度にばらつきが生じるのを抑制して、記録ヘッド10全体を均一な温度に維持することができる。したがって、記録動作に用いるインク201を安定した温度に加温することができる。また、複数の共通流路部材のうち、熱伝導体で形成する部材の数を増やすことで、記録ヘッド10全体の温度のばらつきを抑制することができる。もちろん、複数の共通流路部材の全てを熱伝導体で形成することで、記録ヘッド10の内部温度を均一化し易い。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第2液体容器2B内に貯留されたインク201は、第2加熱部H2によって加温され、加温されたインク201は、第2循環機構である第2ポンプPM2によって第2循環流路を循環する第2循環動作が行われる。つまり、第2液体容器2Bで第2加熱部H2によって加温されたインク201は、第2外部流路を構成する第2供給路SBinから第2流路を構成する第2供給連通路CBin、連通路34および第2マニホールドSRBに供給される。そして、第2マニホールドSRB内のインク201は、第2流路を構成する連通路34、第2排出連通路CBoutから第2外部流路を構成する第2排出路SBoutを介して第2液体容器2Bに排出される。このように第2液体容器2Bで加温されたインク201を第2循環流路内で循環させる第2循環動作を行うことで、加温されたインク201によっても記録ヘッド10を加温することができる。また、第2加熱部H2で、インク201を加熱して第2循環動作を行うことで、第1循環動作のみで記録ヘッド10の加温を行うよりも、インク201の温度を安定させることができる。
また、第2循環流路の循環時において、第2マニホールドSRB内に供給されたインク201は、開口部481A、個別流路481B、開口部482Aおよび連通流路481Cを介して第2ノズルNBの内部まで供給される。このとき、第2ポンプPM2は、第2ノズルNBのメニスカス耐圧を越えない圧力が作用するように第2循環流路内でインクを循環させる。つまり、第2ポンプPM2は、第2ノズルNBからインク201が排出されない圧力でインク201を第2循環流路内で循環させる。これにより、第2ノズルNBからノズル面487Aにインク201が漏出するのを抑制して、第2ノズルNBからノズル面487Aに漏出したインク201が予期せぬタイミングで媒体Sに落下して、媒体Sを汚してしまうのを低減することができる。
そして、第2循環動作によって循環されたインク201は、記録動作によって第2ノズルNBからインク滴として噴射される。このとき、第2ノズルNBから噴射されるインク滴は、第1循環動作および第2循環動作によって加温された記録ヘッド10によって加温されていると共に、第2加熱部H2によって加温されているため、インク201に適した温度、すなわち、粘度で第2ノズルNBからインク滴を噴射させることができる。したがって、第2ノズルNBから噴射されるインク滴の飛翔速度やインク重量などの吐出特性を向上することができる。また、第1循環動作によって記録ヘッド10を加熱することで、第2ノズルNBに供給するインク201の温度を安定させることができる。つまり、第2ノズルNBから噴射される記録動作を行うインク201の最適な温度と環境温度とが大きく異なる場合であっても、加温された液体200で記録ヘッド10を加温することで、記録動作を行うインク201の温度を最適な温度に加温することができる。したがって、記録動作を行うインク201の温度が最適な温度に達するまでの待機時間を短くすることができると共に、記録動作を行うインク201の温度を安定させて、インク滴の吐出特性にばらつきが生じるのを抑制して、印刷品質を向上することができる。
また、第1循環動作で第1流路に供給する液体200の温度T1は、第2流路に供給するインク201の温度T2よりも高いことが好ましい。つまり、T1>T2を満たすのが好ましい。このように、第1循環動作で第1流路に供給する液体200の温度T1を、第2流路に供給するインク201の温度T2よりも高くすることで、液体200によってインク201を加温することができる。また、液体200によって記録ヘッド10を加温することで、インク201を第2加熱部H2によって過度に加熱する必要がないため、インク201を過度に加温することによるインク201への悪影響を抑制することができる。なお、第1加熱部H1が加熱する温度は、第2加熱部H2が加熱する温度よりも低くてもよい。このような場合であっても、第1加熱部H1で加熱された液体200を第1流路に供給しない場合に比べて、第2流路内のインク201の温度が低下することを抑制できる。
また、制御ユニット3は、第1循環動作を開始した後、記録ヘッド10の第2流路にインク201を初期充填するのが好ましい。ここで、インク201の初期充填とは、記録ヘッド10内に記録動作に用いるインク201が充填されていない状態から、記録動作に用いるインク201を充填することを言う。なお、記録ヘッド10内に記録動作に用いるインク201が充填されていない状態とは、記録ヘッド10内の第2流路およびこれに連通する流路が空の状態、または、保管用の液体(以降、保管液とも言う)が充填されている状態のことを言う。このような空の記録ヘッド10にインク201を新規に充填または保管液を排出させてインク201を充填することをインク201の初期充填と言う。第1循環動作を開始して記録ヘッド10を加温してから、記録ヘッド10の第2流路およびこれに連通する流路に記録動作用のインク201を初期充填することで、記録動作用のインク201の温度を噴射に適した温度に効率よく短時間で加温することができる。このような第1循環動作とインクの初期充填とを行うタイミングは、制御ユニット3によって制御される。
もちろん、記録ヘッド10の第2流路にインクを初期充填した後、第1循環動作を開始させてもよい。このように第2流路にインク201を初期充填した後に、第1循環動作を開始させることで、仮に第1循環動作によって第1ノズルNAからノズル面487Aに加温された液体200が漏出したとしても、漏出した液体200が第2ノズルNB内に侵入し難くすることができ、第2ノズルNB内でインク201と液体200とが混ざり合うのを抑制することができる。
また、上述のように第1循環動作に用いる液体200は、記録動作に用いるインク201よりも動的表面張力が高い液体を用いることが好ましい。このように第1循環流路を循環させる液体200として比較的動的表面張力が高い液体を用いることで、第1ノズルNAのメニスカス耐圧を高くすることができる。したがって、第1ノズルNAから液体200がノズル面487Aに漏出するのを抑制することができる。また、第1ノズルNAのメニスカス耐圧を高くすることができるため、第1ポンプPM1によって第1循環流路を循環させる液体200の流量を増大させても、第1ノズルNAからノズル面487Aへの液体200の漏出を抑制することができる。したがって、第1ノズルNAから液体200が漏出するのを抑制した状態で、第1循環流路を循環させる液体200の流量および流速を、第2循環流路を循環させるインク201よりも増大させることができる。そして、第1循環流路を循環させる液体200の流量および流速を、第2循環流路を循環させるインク201よりも増大させることで、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、複数の第1ノズルNAと連通する第1流路と、第1流路とは独立し複数の第2ノズルNBと連通する第2流路と、を有する液体噴射ヘッドである記録ヘッド10を備える。また、インクジェット式記録装置1は、第1流路、および、第1流路と連通し記録ヘッド10の外部に設けられた第1外部流路を含む第1循環流路内で液体200を循環させる第1循環動作を行う第1循環機構である第1ポンプPM1を備える。また、インクジェット式記録装置1は、第1循環流路内の少なくとも一部を加熱する第1加熱部H1と、第1循環動作および記録動作を制御する制御部である制御ユニット3と、を備える。そして、第1ノズルNAは記録動作に寄与せず、第2ノズルNBは記録動作に寄与する。
このように第1ノズルNAに連通する第1流路を有する第1循環流路内で、第1加熱部H1によって加温された液体200を循環させることで、記録ヘッド10を加熱して、第2流路内のインク201を加熱することができる。したがって、記録動作を行う際に、第2ノズルNBから噴射されるインク201の温度を最適な温度に加温して、インク滴の吐出特性を向上すると共に安定させることができる。また、第1ノズルNAに連通する第1流路を用いて記録ヘッド10を加温するため、ノズルNに連通しない加温専用の流路を設けた専用の記録ヘッドを製造するのに比べて、コストを低減できる。更に、記録ヘッド10は、第1ノズルNAに対応する圧電アクチュエーター484が設けられている場合には、第1ノズルNAおよび第2ノズルNBの両方からインクを噴射させて記録動作を行う記録ヘッド10としても利用することができる。したがって、記録ヘッド10を複数種類用意する必要がなく、在庫管理の観点からコストを低減することができる。

また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、液体噴射ヘッドである記録ヘッド10は、第1流路の少なくとも一部および前記第2流路の少なくとも一部を画定する共通流路部材を備えることが好ましい。共通流路部材を設けることで、第1流路を通過する加温された液体200によって、第2流路内のインク201を加温することができると共に、記録ヘッド10の内部の温度ばらつきを抑制して、均一に加温することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、共通流路部材の少なくとも一部は、熱伝導体であることが好ましい。共通流路部材の少なくとも一部を熱伝導体で形成することで、第1流路を通過する加温された液体200によって、第2流路内のインク201を加温する加温効率を向上することができると共に、記録ヘッド10の内部の温度ばらつきをさらに抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第1循環動作は、記録動作を実行中には第1ノズルNAから液体200を排出しないように循環を行うことが好ましい。このように第1循環動作は、記録動作中に第1ノズルNAから液体200が排出しないようにすることで、第1ノズルNAからノズル面487Aに漏出した液体200が予期せぬタイミングで媒体S上に落下して、媒体Sを汚すのを抑制することができる。また、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が漏出するのを抑制することで、ノズル面487Aから第2ノズルNB内に液体200が入り込むのを抑制して、第2ノズルNB内でインク201と液体200が混ざり合うのを抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第1流路を流れる液体200は、第2流路を流れる液体であるインク201よりも表面張力が大きいことが好ましい。液体200として、インク201よりも表面張力が大きいものを用いることで、第1ノズルNAのメニスカス耐圧を向上して、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が漏出するのを抑制することができる。また、第1ノズルNAのメニスカス耐圧を向上することで、第1循環流路内で循環する液体200の流量や流速を大きくすることができ、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、制御部である制御ユニット3は、第1循環動作の実行を開始した後、第2流路へ液体であるインク201を充填することが好ましい。このように第1循環動作を開始して記録ヘッド10を加温してから、記録ヘッド10の第2流路に記録動作用のインク201を充填することで、記録動作用のインク201の温度を噴射に適した温度に効率よく短時間で加温することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第1流路へ供給される液体200が貯留される第1液体貯留部である第1液体容器2Aと、第2流路へ供給される液体であるインク201が貯留される第2液体貯留部である第2液体容器2Bと、を備え、第1液体容器2Aの容積V1は、第2液体容器2Bの容積V2よりも大きいことが好ましい。第1液体容器2Aに貯留する液体200は記録動作に用いないため、記録動作に用いるインク201よりも比較的安価な液体を用いることが可能である。このように第1液体容器2Aに貯留する液体200として安価な液体を用いることで、第1液体容器2Aに大量に液体200を貯留させてもコストが増大するのを抑制することができる。また、第1液体容器2Aに液体200を比較的大量に貯留させることで、第1循環流路によって第1液体容器2Aと記録ヘッド10との間で加温された液体200を循環させる際に、液体200の流量や流速を増大させて、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第2流路と連通し液体噴射ヘッドである記録ヘッド10の外部に設けられた第2外部流路と、第2外部流路を加熱する第2加熱部H2と、を備え、第1加熱部H1の発熱量は、第2加熱部H2の発熱量よりも大きいことが好ましい。このように第1加熱部H1の発熱量を第2加熱部H2の発熱量よりも大きくすることで、第1加熱部H1によって安価で大量の液体200を容易に加温することができ、第1循環動作を行う際に液体200の流量や流速を増大させて記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第1循環動作は、第2流路へ供給される液体であるインク201よりも高い温度の液体200を第1流路へ供給するようにして循環することが好ましい。このように、第1循環動作で第1流路に供給する液体200の温度T1を、第2流路に供給するインク201の温度T2よりも高くすることで、液体200によってインク201を加温することができる。また、液体200によって記録ヘッド10を加温することで、インク201を第2加熱部H2によって過度に加熱する必要がないため、インク201を過度に加温することによるインク201への悪影響を抑制することができる。
また、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、第2流路と連通し液体噴射ヘッドである記録ヘッド10の外部に設けられた第2外部流路を含む第2循環流路内で液体であるインク201を循環させる第2循環動作を行う第2循環機構である第2ポンプPM2を備え、第1循環流路を流れる液体200の流量は、第2循環流路を流れるインク201の流量よりも多いことが好ましい。このように第1循環流路を循環させる液体200の流量を、第2循環流路を循環させるインク201よりも増大させることで、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。もちろん、第1循環流路を循環させる液体200の流速を、第2循環流路を循環させるインク201よりも増大させることでも、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。また、第2循環流路内で循環するインク201として、第1循環流路内で循環する液体200よりも高価なインクを用いても、第2循環流路内で循環するインク201の量を少なくすることができるため、コストを低減することができる。
(実施形態2)
図12および図13は、本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態では、第1液体容器2Aから記録ヘッド10に第1循環流路によって加温された液体を循環させる循環動作では、第1ノズルを閉塞した状態で行う。
ここで、第1ノズルの閉塞方法は、例えば、図12に示すように、増粘した液体200Aによって行うことができる。第1ノズルNA内の液体200を増粘させる方法としては、例えば、第1ノズルNAに対応する圧電アクチュエーター484を微振動駆動させて、第1ノズルNAの液体200のメニスカスを過度に微振動させることで行うことができる。なお、微振動駆動とは、第1ノズルNAから液滴が噴射されない程度にメニスカスを振動させる駆動のことである。ここで、ノズルN内のインクのメニスカスを過度に微振動させると、ノズルN内のインクが増粘することが知られている。このため、液体200としてインクを用いて、第1ノズルNAのインクである液体200のメニスカスを過度に微振動させて増粘させることで、第1ノズルNAを増粘した液体200Aによって閉塞することができる。このように第1ノズルNAを増粘した液体200Aによって閉塞することで、ノズル面487Aに閉塞するための部材を貼り付ける場合に比べて、ノズル面487Aに段差が形成されることがなく、ノズル面487Aをワイパー9A(図1参照)でワイピングする際にワイパー9Aの破損やワイピング不良等の悪影響を及ぼし難い。なお、第1循環流路で循環させる液体200としては、例えば、インク201と比べて安価なインクやインク201と比べて増粘しやすいインクなどを採用することが好ましい。
また、第1ノズルNAを閉塞する方法は、図13に示すように、ノズル面487Aに着脱可能なフィルム210を接着剤または粘着剤等を使用して貼付することで行うようにしてもよい。フィルム210は、比較的薄い厚さのものを用いることで、ノズル面487Aに形成される段差を比較的小さくして、ノズル面487Aをワイパー9A(図1参照)でワイピングする際に悪影響が及ぼすのを抑制することができる。なお、フィルム210はノズル面487Aに対して着脱可能であるため、フィルム210をノズル面487Aから剥がすことで、ノズル列LAの第1ノズルNAを記録動作に寄与するように使用してもよい。
このように第1ノズルNAを閉塞して、第1循環動作を行わせることで、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が漏出するのを抑制することができる。また、制御ユニット3は、第1循環動作を行わせる際に、第1ノズルNA内の液体200にメニスカス耐圧以上の圧力が作用するように第1ポンプPM1を制御して循環動作を行わせることができる。つまり、第1ノズルNAを閉塞することで、第1ポンプPM1によって第1循環流路を循環させる液体200の流量や流速を増大させても、第1ノズルNAを閉塞することで第1ノズルNAからノズル面487Aへの液体200の漏出を抑制することができる。したがって、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、第1循環動作は、複数の第1ノズルNAを閉塞した状態で行う。このように、第1ノズルNAを閉塞した状態で第1循環動作を行うことで、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200が漏出するのを抑制して、ノズル面487Aから第2ノズルNB内に液体200が侵入するのを抑制することができる。したがって、第2ノズルNB内でインク201と液体200とが混ざり合うことを抑制することができる。
また、インクジェット式記録装置1では、第1循環動作は、第1ノズルNAにメニスカス耐圧以上の圧力が作用するように第1循環流路内で液体を循環させる。このように、第1ノズルNAを閉塞した状態で第1循環動作を行うことで、第1循環流路を循環させる液体200の流量や流速を増大させても、第1ノズルNAからノズル面487Aへの液体200の漏出を抑制することができる。したがって、記録ヘッド10の加温効率を向上することができる。
(実施形態3)
図14は、本発明の実施形態3に係るヘッドチップ44の断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14に示すように、制御ユニット3は、記録動作とは異なるタイミングで、第1ノズルNAからノズル面487Aに液体200を排出させる排出動作を行う。ここで排出動作によって第1ノズルNAからノズル面487Aに排出される液体200は、第1循環流路を流れる液体200、つまり、第1液体容器2Aから供給された加温された液体200である。このため、排出動作によってノズル面487Aを加温して、第2ノズルNB内および第2ノズルNB近傍のインク201を加温することができ、第2ノズルNBから噴射されるインク201を短時間で所望の温度に加温することができる。なお、排出動作を行うタイミングは、記録動作と異なるタイミングであれば特に限定されないが、例えば、排出動作は、記録動作の直前に行うことが好ましい。また、排出動作を行うことで、第2ノズルNB近傍のインク201の温度を短時間で所望の温度に加温することができるため、記録動作を行うまでの待機時間を短縮することができる。
また、排出動作を行った後は、ノズル面487Aは、ワイパー9A(図1参照)によるワイピングや、キャップ9B内や媒体S上に液体200を噴射させる予備噴射(別名、フラッシングとも言う)などを行ってクリーニングすればよい。このように排出動作の後に、ノズル面487Aをクリーニングすることで、ノズル面487Aの液体200が第2ノズルNB内に侵入するのを抑制することができる。
なお、このような排出動作は、例えば、第1循環動作を行わせる際に、第1ノズルNA内の液体200にメニスカス耐圧以上の圧力が作用するように第1ポンプPM1を動作させるように制御することで実行することができる。また、排出動作は、例えば、第1ノズルNAに対応する圧電アクチュエーター484を変位させることで、圧力室SC内のインクの圧力変化を利用して実行することができる。ちなみに、排出動作で行う圧電アクチュエーター484の駆動は、第1ノズルNAから液体200が液滴として噴射されない程度で、且つ第1ノズルNAのメニスカスを破壊する程度の圧力が圧力室SC内の液体200に作用されるように行う。
また、排出動作によって第1ノズルNAからノズル面487Aに排出された液体200は、第2ノズルNB内の記録動作に用いるインクと混ざり合う虞がある。このため、第1ノズルNAからノズル面487Aに排出させる液体200は、記録ヘッド10のノズル面487Aをワイピングするために使用する洗浄液を用いることが好ましい。洗浄液については、実施形態1で前述したものと同じものを用いることができる。このように、第1ノズルNAからノズル面487Aに排出させる液体200として洗浄液を用いることで、洗浄液が第2ノズルNB内のインク201と混ざり合っても第2ノズルNB内のインク201に悪影響を及ぼし難い。したがって、第2ノズルNB内のインク201によって記録動作を確実に行わせることができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、制御部である制御ユニット3は、記録動作とは異なるときに第1ノズルNAから液体200を排出させる排出動作を行う。このように、排出動作を行うことで、ノズル面487Aを加温して、第2ノズルNB内および第2ノズルNB近傍のインク201を加温することができる。したがって、第2ノズルNBから噴射されるインク201を短時間で所望の温度に加温することができる。
(実施形態4)
図15は、本発明の実施形態4に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態のインクジェット式記録装置1は、第1液体容器2Aと、第2液体容器2Bと、回収容器2Cと、記録ヘッド10とを具備する。
回収容器2Cは、記録ヘッド10に一端が接続された第1排出路SAoutの他端に接続されている。このような回収容器2Cは、大気開放されている。記録ヘッド10の第1流路内の液体の圧力は、記録ヘッド10と回収容器2Cとの鉛直方向の相対位置を調整して発生する水頭圧差を用いて調整される。もちろん、記録ヘッド10の第1流路内の液体の圧力調整は、第1排出路SAoutの途中に加圧機構であるポンプを設け、ポンプによって行うようにしてもよい。
この回収容器2Cと第1液体容器2Aとは、内部に接続流路SCoutが設けられた接続チューブTCを介して接続されている。また、接続流路SCoutの途中には、回収容器2Cから第1液体容器2Aにインクを加圧する加圧機構として第3ポンプPM3が設けられている。
第1液体容器2Aは、大気開放されることなく密閉されている。そして、第1液体容器2Aには、外部から第1液体容器2Aの内部に空気などの気体を加圧供給する第1加圧機構である第4ポンプPM4が設けられている。第4ポンプPM4から第1液体容器2Aの内部に気体を加圧供給することで、第1液体容器2A内の液体は、記録ヘッド10に第1供給路SAinを介して供給される。本実施形態では、記録ヘッド10の外部に設けられた「第1外部流路」として、第1液体容器2A、回収容器2C、第1供給路SAin、第1排出路SAoutおよび接続流路SCoutが設けられている。また、この第1外部流路は、上述した実施形態と同様の記録ヘッド10の内部に設けられて第1ノズルNAと連通する第1流路と共に「第1循環流路」を構成する。また、第1循環流路内で液体を循環させる「第1循環機構」として、第3ポンプPM3および第4ポンプPM4が設けられている。なお、第1液体容器2Aには、上述した実施形態と同様に第1加熱部H1が設けられており、第1液体容器2A内の液体は第1加熱部H1によって加温される。もちろん、第1加熱部H1は、第1循環流路の少なくとも一部を加熱するように第1液体容器2Aとは別の場所に設けられていてもよい。
また、第2液体容器2Bは、大気開放することなく密閉されている。第2液体容器2Bには、外部から第2液体容器2Bの内部に空気などの気体を加圧して供給する第2加圧機構である第5ポンプPM5が設けられている。第5ポンプPM5から第2液体容器2Bの内部に気体を加圧供給することで、第2液体容器2B内のインクは、記録ヘッド10に第2供給路SBinを介して供給されて、第2循環流路を循環する。なお、第2液体容器2Bには、上述した実施形態と同様に第2加熱部H2が設けられており、第2液体容器2B内のインクは第2加熱部H2によって加温される。もちろん、第2加熱部H2は、第2循環流路の少なくとも一部を加熱するように第2液体容器2Bとは別の場所に設けられていてもよい。
このような構成であっても、第1循環動作を行うことで、記録ヘッド10を加温することができ、記録動作を行うインク201を最適な温度に加温して、インク滴の吐出特性を向上することができる。
(実施形態5)
図16は、本発明の実施形態5に係るヘッドチップ44の要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図16に示すように、本実施形態の記録ヘッド10を構成するヘッドチップ44は、振動板483と、アクチュエーターユニット489と、筐体部485と、が流路形成基板481の一方側である-Z方向に配置されると共に、流路形成基板481の他方側である+Z方向にノズルプレート487が形成されている。
ノズルプレート487には、複数のノズルNが形成されている。ノズルNは、第1ノズルNAが+X方向に沿って並設された第1ノズル列LAと、第2ノズルNBが+X方向に沿って並設された第2ノズル列LBとが、Y軸に沿って並設されている。第1ノズル列LAは、-Y方向に配置され、第2ノズル列LBは、+Y方向に配置されている。
流路形成基板481には、ノズルNに連通する圧力室SCと、圧力室SCに連通する個別供給路481Dと、圧力室SCに連通する個別排出路481Eと、開口部481Fと、隔壁481Gとが設けられている。圧力室SC、個別供給路481Dおよび個別排出路481Eは、ノズルN毎に設けられたものである。
圧力室SCは、流路形成基板481をZ軸に沿って貫通して設けられており、-Z方向は振動板483によって画定され、+Z方向はノズルプレート487によって画定されている。圧力室SCは、各ノズルNに対応して独立して設けられている。隔壁481Gは、第1ノズル列LAに対応する圧力室SCと第2ノズル列LBに対応する圧力室SCとを区画している。すなわち、圧力室SCは、+X方向に沿って並設された列が+Y方向に沿って2列設けられている。
個別供給路481Dは、流路形成基板481の-Z方向側に設けられており、各圧力室SCに連通する。また、個別供給路481Dの途中には、流路を横断する断面の開口が小さくなるように絞った絞り流路が設けられており、圧力室SCに流入する液体の流路抵抗を一定に保持している。
個別排出路481Eは、流路形成基板481の+Z方向側に設けられており、各圧力室SCに連通する。また、個別排出路481Eの途中には、流路を横断する断面の開口が小さくなるように絞った絞り流路が設けられており、圧力室SCから流出する液体の流路抵抗を一定に保持している。
開口部481Fは、流路形成基板481をZ軸に沿って貫通して設けられており、複数の個別排出路481Eに連通して設けられている。開口部481Fは、複数のノズルNに亘って連続する貫通孔であり、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBのそれぞれに1個ずつ、合計2個設けられている。このような開口部481Fは、Y軸に沿った方向において2列の圧力室SCを挟んだ両側、つまり+Y方向と-Y方向とにそれぞれ1個ずつ、合計2個設けられている。開口部481Fは、後述する共通液室である循環用マニホールドDRの一部である。
筐体部485には、複数の個別供給路481Dに共通して連通する共通液室であるマニホールドSRが設けられている。マニホールドSRは、複数のノズルNに供給するインクを貯留する空間であり、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBの各々に対応して1個ずつ、合計2個設けられている。本実施形態では、第1ノズル列LAに連通するマニホールドSRを第1マニホールドSRAと称し、第2ノズル列LBに連通するマニホールドSRを第2マニホールドSRBと称する。
また、筐体部485には、複数の個別排出路481Eに共通して連通する共通液室である循環用マニホールドDRの一部が設けられている。循環用マニホールドDRは、圧力室SCから個別排出路481Eを介して排出された液体を貯留する空間であり、第1ノズル列LAおよび第2ノズル列LBの各々に対応して1個ずつ、合計2個設けられている。本実施形態では、第1ノズル列LAに連通する循環用マニホールドDRを第1循環用マニホールドDRAと称し、第2ノズル列LBに連通する循環用マニホールドDRを第2循環用マニホールドDRBと称する。
また、図16には図示していないが、筐体部485には、第1マニホールドSRAおよび第2マニホールドSRBのそれぞれに液体を供給する第1導入口RAinおよび第2導入口RBinと、第1循環用マニホールドDRAおよび第2循環用マニホールドDRBのそれぞれから液体を排出する第1排出口RAoutおよび第2排出口RBoutと、が設けられている。
第1導入口RAinから第1マニホールドSRAに供給された液体は、個別供給路481Dを介して圧力室SCに供給される。また、圧力室SC内の液体は、個別排出路481Eを介して第1循環用マニホールドDRA内に排出され、第1循環用マニホールドDRAから第1排出口RAoutを介してヘッドチップ44の外部に排出される。
同様に、第2導入口RBinから第2マニホールドSRBに供給された液体は、個別供給路481Dを介して圧力室SCに供給される。また、圧力室SC内の液体は、個別排出路481Eを介して第2循環用マニホールドDRB内に排出され、第2循環用マニホールドDRBから第2排出口RBoutを介してヘッドチップ44の外部に排出される。
つまり、上述した実施形態1~4のヘッドチップ44は、液体200やインク201がマニホールドSR内を循環していたのに対して、本実施形態のヘッドチップ44は、液体200やインク201が圧力室SC内を循環する。なお、本実施形態の記録ヘッド10では、ヘッドチップ44以外の部材は、上述した実施形態と同じ部材、すなわち、ホルダー30、流路部材60等を用いることができる。また、記録ヘッド10以外の部材についても、上述した実施形態と同様の構成である。
そして、本実施形態の記録ヘッド10では、第1ノズルNAに連通する「第1流路」は、流路部材60の第1供給連通路CAinおよび第1排出連通路CAoutと、ヘッドチップ44の第1マニホールドSRA、個別供給路481D、圧力室SC、個別排出路481E、および第1循環用マニホールドDRAと、ホルダー30に設けられてこれらを連通する2つの連通路34と、で構成されている。また、本実施形態では、第1ノズルNA毎に設けられた「第1個別流路」として、個別供給路481D、圧力室SC、個別排出路481Eが設けられている。また、第1個別流路は、第1ノズルNAから噴射されなかった液体を記録ヘッド10の外部に排出するための「個別排出路」として個別排出路481Eを含む。
また、本実施形態の記録ヘッド10では、第2ノズルに連通する「第2流路」は、流路部材60の第2供給連通路CBinおよび第2排出連通路CBoutと、ヘッドチップ44の第2マニホールドSRB、個別供給路481D、圧力室SC、個別排出路481E、および第2循環用マニホールドDRBと、ホルダー30に設けられてこれらを連通する2つの連通路34と、を有する。また、本実施形態では、第2ノズルNB毎に設けられた「第2個別流路」として、個別供給路481D、圧力室SC、個別排出路481Eが設けられている。また、第2個別流路は、第2ノズルNBから噴射されなかったインクを記録ヘッド10の外部に排出するための「個別排出路」として個別排出路481Eを含む。
このような記録ヘッド10では、第1流路の少なくとも一部と第2流路の少なくとも一部とは、共通する流路部材である「共通流路部材」によって画定されている。本実施形態の「共通流路部材」は、流路部材60、ホルダー30、筐体部485、流路形成基板481、振動板483、ノズルプレート487が相当する。また、共通流路部材の少なくとも一部は、第1個別流路および第2個別流路を画定する。つまり、流路形成基板481、振動板483およびノズルプレート487は、第1個別流路および第2個別流路を画定する。これら共通流路部材の少なくとも一部は、上述した実施形態と同様に熱伝導体であることが好ましい。このように、共通流路部材の少なくとも一部を熱伝導体で形成することで、第1流路を通る加温された液体によって、第2流路を通るインクを効率よく加温することができる。また、共通流路部材の少なくとも一部を熱伝導体で形成することで、記録ヘッド10の温度にばらつきが生じるのを抑制して、記録ヘッド10全体を均一な温度に維持することができる。また、複数の共通流路部材のうち、熱伝導体で形成する部材の数を増やすことで、記録ヘッド10全体の温度のばらつきを抑制することができる。もちろん、複数の共通流路部材の全てを熱伝導体で形成することで、記録ヘッド10の内部温度を均一化し易い。
振動板483は、流路形成基板481の-Z方向側の面に固定されている。振動板483は、第1マニホールドSRAおよび第2マニホールドSRBのそれぞれと個別供給路481Dとを連通する部分に、複数の微細な開口で構成されたフィルター部Fを有する。第1マニホールドSRAおよび第2マニホールドSRBからの液体は、フィルター部Fによって気泡やゴミなどの異物が捕捉されて各個別供給路481Dに供給される。
また、振動板483は、開口部481Fと筐体部45の第1循環用マニホールドDRAおよび筐体部45の第2循環用マニホールドDRBのそれぞれとを連通する連通開口部483Aを有する。
また、振動板483の圧力室SCとは反対側に、振動板483を変形させるアクチュエーターユニット489が設けられている。アクチュエーターユニット489は、複数の圧電アクチュエーター484がノズルNの並設方向である+X方向に沿って並設された圧電アクチュエーター形成部材489Aと、圧電アクチュエーター形成部材489Aの+Z方向側の先端部が自由端となるようにその基端部である-Z方向側の端部が固定端として接合される固定板489Bと、を有する。圧電アクチュエーター形成部材489Aは、2列の圧力室SCの列毎にそれぞれ1個ずつ、合計2個設けられている。固定板489Bは、2個の圧電アクチュエーター形成部材489Aに共通して1個設けられている。
圧電アクチュエーター形成部材489Aは、特に図示していないが、圧電材料と電極形成材料とを交互に挟んで積層することにより形成されている。圧電材料と電極形成材料との積層方向は特に限定されず、例えば、XY平面に沿って積層されていてもよく、Z軸に沿って積層されていてもよい。
圧電アクチュエーター形成部材489Aには、+Z方向の先端側に図示しない複数のスリットが形成され、先端側が櫛歯状に切り分けられている。圧電アクチュエーター形成部材489Aのスリットによって切り分けられた先端部分が圧電アクチュエーター484となっている。各圧電アクチュエーター484は、圧力室SC毎に設けられている。
このような記録ヘッド10では、圧力室SC内を液体200およびインク201が循環することで、第2ノズルNBから噴射される直前の圧力室SC内のインクを、加温された液体によって加温することができる。したがって、記録動作によって噴射されるインクの温度ばらつきを抑制して、最適な温度でインク滴を噴射させることができ、インクの噴射特性のばらつきを抑制して印刷品質を向上することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置1は、第1流路は、複数の第1ノズルNA毎に設けられた複数の第1個別流路を含み、第2流路は、複数の第2ノズルNB毎に設けられた複数の第2個別流路を含む。また、第1個別流路は、第1ノズルNAから噴射されなかった液体200を液体噴射ヘッドである記録ヘッド10の外部へ排出するための個別排出路を含み、共通流路部材の少なくとも一部は、第1個別流路および第2個別流路を画定する。このような構成であっても、第1循環動作を行うことで、記録ヘッド10を加温することができ、記録動作を行うインク201を最適な温度に加温して、インク滴の吐出特性を向上することができる。また、本実施形態では、共通流路部材に形成された第1ノズルNAおよび第2ノズルNBに近い第1個別流路および第2個別流路を液体200およびインク201が循環するため、記録ヘッド10内を第2ノズルNBまで均一に加熱することができ、第2ノズルNB近傍のインク201を効率よく加温することができる。したがって、記録ヘッド10の第2流路内のインク201を所望の温度に短時間で加温することができると共に、安定した温度に制御することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、第2ノズルNBに連通する第2流路を含む第2循環流路と、第2循環流路内でインク201を循環させる第2循環機構とを設けるようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、第2流路を流れるインク201が循環しないようにしてもよい。つまり、第2液体容器2Bから第2流路にインク201を供給するだけで第2流路から記録ヘッド10の外部にインク201が排出されないようにしてもよい。例えば、第2流路を流れるインク201が循環しないように、第2マニホールドSRBから排出する第2排出連通路CBout、第2排出路SBoutや第2循環機構等を設けないようにしてもよい。また、第2排出連通路および第2排出路を設けても、これらを閉塞することで、第2流路を流れるインク201が循環しないようにしてもよい。このように記録動作に用いる第2流路を流れるインク201が循環しないようにしても、第1循環動作によって加温された液体200で記録ヘッド10を加温することができるため、インク201を加温することができる。したがって、インク201に最適な温度で第2ノズルNBからインク201を噴射することができる。また、記録動作に用いるインク201を循環させないことで、記録動作に用いるインク201の量を減少させることができ、高価なインクを使用する際にコストを低減することができ、更に第2循環機構を省略することで液体噴射装置の構成を簡素化することができる。なお、記録動作に用いるインク201を循環させない場合であっても、第2液体容器2Bと第2流路とこれらを接続する流路の少なくとも一部には、第2加熱部H2を設けて、加温されたインク201が第2流路に供給されるようにすることが好ましい。もちろん、記録動作に用いるインク201を循環させる場合であっても、また、インク201を循環させない場合であっても第2加熱部H2を設けないようにしてもよい。つまり、第1循環流路内の液体200を加熱する第1加熱部によって記録ヘッド10を加熱するだけで、記録動作に用いるインク201を加熱するようにしてもよい。
また、上述したインクジェット式記録装置1では、記録ヘッド10が搬送体7に搭載されて主走査方向であるY軸に沿った方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド10が固定されて、紙等の媒体Sを副走査方向であるX軸に沿った方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
なお、上記実施の形態においては、液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置1を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置に適用できる。
1…インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、2A…第1液体容器(第1液体貯留部)、2B…第2液体容器(第2液体貯留部)、2C…回収容器、3…制御ユニット(制御部)、4…搬送機構、4a…搬送ローラー、6…移動機構、7…搬送体、8…搬送ベルト、9A…ワイパー、9B…キャップ、10…インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、30…ホルダー、31…収容部、33…凹部、34…連通路、35…フランジ部、36…固定板、37…露出開口部、39…配線挿通孔、40…ホルダー、44…ヘッドチップ、60…流路部材、65…カバー部材、73…中継基板、75…コネクター、81…流路基板、100…ヘッドモジュール、101…支持体、102…支持孔、103…固定口、104…ネジ穴、105…ネジ、200…液体、200A…増粘した液体、201…インク、210…フィルム、481…流路形成基板、481A…開口部、481AA…開口部、481B…個別流路、481C…連通流路、481D…個別供給路、481E…個別排出路、481F…開口部、481G…隔壁、482…圧力室基板、482A…開口部、483…振動板、483A…連通開口部、484…圧電アクチュエーター、485…筐体部、486…保護基板、487…ノズルプレート、487A…ノズル面、488…緩衝板、489…アクチュエーターユニット、489A…圧電アクチュエーター形成部材、489B…固定板、CAin…第1供給連通路、CAout…第1排出連通路、CBin…第2供給連通路、CBout…第2排出連通路、DR…循環用マニホールド、DRA…第1循環用マニホールド、DRB…第2循環用マニホールド、F…フィルター部、H1…第1加熱部、H2…第2加熱部、L…ノズル列、LA…第1ノズル列、LB…第2ノズル列、N…ノズル、NA…第1ノズル、NB…第2ノズル、PAin…第1供給管、PAout…第1排出管、PBin…第2供給管、PBout…第2排出管、PM1…第1ポンプ、PM2…第2ポンプ、PM3…第3ポンプ、PM4…第4ポンプ、PM5…第5ポンプ、RAin…第1導入口、RAout…第1排出口、RBin…第2導入口、RBout…第2排出口、S…媒体、SAin…第1供給路、SAout…第1排出路、SBin…第2供給路、SBout…第2排出路、SC…圧力室、SCout…接続流路、SR…マニホールド、SRA…第1マニホールド、SRB…第2マニホールド、TAin…第1供給チューブ、TAout…第1排出チューブ、TBin…第2供給チューブ、TBout…第2排出チューブ、TC…接続チューブ

Claims (15)

  1. 複数の第1ノズルと連通する第1流路と、前記第1流路とは独立し複数の第2ノズルと連通する第2流路と、を有する液体噴射ヘッドと、
    前記第1流路、および、前記第1流路と連通し前記液体噴射ヘッドの外部に設けられた第1外部流路を含む第1循環流路内で液体を循環させる第1循環動作を行う第1循環機構と、
    前記第1循環流路内の少なくとも一部を加熱する第1加熱部と、
    前記第1循環動作および記録動作を制御する制御部と、
    を備え、
    前記第1ノズルは前記記録動作に寄与せず、前記第2ノズルは前記記録動作に寄与する
    ことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記液体噴射ヘッドは、前記第1流路の少なくとも一部および前記第2流路の少なくとも一部を画定する共通流路部材を備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
  3. 前記共通流路部材の少なくとも一部は、熱伝導率が10.0w/m・kである
    ことを特徴とする請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 前記第1循環動作は、前記記録動作を実行中には前記第1ノズルから液体を排出しないように循環を行う
    ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記第1流路を流れる液体は、前記第2流路を流れる液体よりも表面張力が大きい
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 前記第1循環動作は、前記複数の第1ノズルを閉塞した状態で行う
    ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  7. 前記第1循環動作は、前記第1ノズルにメニスカス耐圧以上の圧力が作用するように前記第1循環流路内で液体を循環させる
    ことを特徴とする請求項6記載の液体噴射装置。
  8. 前記制御部は、前記記録動作とは異なるときに前記第1ノズルから液体を排出させる排出動作を行う
    ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  9. 前記制御部は、前記第1循環動作の実行を開始した後、前記第2流路へ液体を充填する
    ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  10. 前記第1流路へ供給される液体が貯留される第1液体貯留部と、
    前記第2流路へ供給される液体が貯留される第2液体貯留部と、
    を備え、
    前記第1液体貯留部の容積は、前記第2液体貯留部の容積よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  11. 前記第2流路と連通し前記液体噴射ヘッドの外部に設けられた第2外部流路と、
    前記第2外部流路を加熱する第2加熱部と、
    を備え、
    前記第1加熱部の発熱量は、前記第2加熱部の発熱量よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  12. 前記第1循環動作は、前記第2流路へ供給される液体よりも高い温度の液体を前記第1流路へ供給するようにして循環する
    ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  13. 前記第2流路と連通し前記液体噴射ヘッドの外部に設けられた第2外部流路を含む第2循環流路内で液体を循環させる第2循環動作を行う第2循環機構を備え、
    前記第1循環流路を流れる液体の流量は、前記第2循環流路を流れる液体の流量よりも多い
    ことを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  14. 前記第1流路は、前記複数の第1ノズル毎に設けられた複数の第1個別流路を含み、
    前記第2流路は、前記複数の第2ノズル毎に設けられた複数の第2個別流路を含み、
    前記第1個別流路は、前記第1ノズルから噴射されなかった液体を前記液体噴射ヘッドの外部へ排出するための個別排出路を含み、
    前記共通流路部材の少なくとも一部は、前記第1個別流路および前記第2個別流路を画定する
    ことを特徴とする請求項2または請求項2を引用する請求項3~13の何れか一項に記載の液体噴射装置。
  15. 前記第2流路を流れる液体は循環しない
    ことを特徴とする請求項1~12の何れか一項に記載の液体噴射装置。
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