JP2022169857A - トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Yoshiaki Shioashi
敬 見目
Takashi Kenmoku
昇平 琴谷
Shohei Kotoya
真由美 井上
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【課題】トナー表面からの外添剤の遊離や埋没を抑制でき、かつ円形度の高いトナーにおいてもブレードクリーニングが容易で、長期にわたり画像品質の優れたトナーを提供することである。【解決手段】結着樹脂と有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、トナー粒子はドーナツ型の該有機ケイ素重合体の凸部を有し、凸部は、(i)該有機ケイ素重合体で形成されたものであり、(ii)ドーナツ型の外径をR(nm)としたとき、該Rが40nm以上200nm以下であり、(iii)ドーナツ型の内径をr(nm)としたとき、R-rが10nm以上70nm以下であり、(iv)高さが10nm以上50nm以下であり、(v)トナー粒子表面の1.8μm四方に、平均50個以上1000個以下存在し、トナーの平均円形度が0.970以上1.000以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法及びトナージェット方式記録法を利用した記録方法に用いられるトナー及びその製造方法に関する。
近年、プリンター市場では本体の小型化、プリント物の高画質化、トナーカートリッジ1本あたりの印刷可能枚数の増加が求められている。
上記のような要求を満たすためには、帯電ローラやキャリア等の帯電部材の汚染を防ぐ必要があり、その手段としてはトナー表面の外添剤の遊離を抑制する方法が挙げられる。
例えば、特許文献1では多量の疎水性シリカ粒子を外添したトナー粒子を浮遊状態で加熱処理することで、多量の疎水性シリカをトナー粒子表面に埋没させている。また、特許文献2では、微細な凹凸を有する有機ケイ素重合体のネットワークを、外添剤として、トナー粒子表面に形成させている。その他に、特許文献3のように、外添剤として、中空粒子を半球化した有機シリコーン微粒子を用いることでトナー粒子表面から外添剤を外れにくくしたものもある。
しかしながら、特許文献1から3のいずれの方法においても、円形度の高いトナー、例えば平均円形度が0.970を超えるような場合、ドラム上の潜像を転写した後に残る転写残トナーをクリーニングブレードで十分に取り除くことができない。そのため、クリーニング工程の下流に存在する帯電ローラの汚染により、特に長寿命なカートリッジにおいては、十分な出力画像品質を得ることが難しい場合がある。
特開2007-279239号公報 特開2018-194836号公報 特開2008-257217号公報
本発明のトナーは、トナー表面からの外添剤の遊離や埋没を抑制でき、かつ円形度の高いトナーにおいてもブレードクリーニングが容易なトナーなため、長期にわたり画像品質の優れたトナーを提供することである。
本発明は、結着樹脂と有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
該トナー粒子はドーナツ型の該有機ケイ素重合体の凸部を有し、
該凸部は、
(i)該有機ケイ素重合体で形成されたものであり、
(ii)ドーナツ型の外径をR(nm)としたとき、該Rが40nm以上200nm以下であり、
(iii)ドーナツ型の内径をr(nm)としたとき、R-rが10nm以上70nm以下であり、
(iv)高さが10nm以上50nm以下であり、
(v)トナー粒子表面の1.8μm四方に、平均50個以上1000個以下存在し、
該トナーの平均円形度が0.970以上1.000以下である
ことを特徴とするトナーに関する。
また、本発明は、上記構成のトナーの製造方法であって、
水酸化マグネシウム微粒子で水系媒体中に分散したトナー母粒子のスラリー中で下記式(1)の化合物を縮合する工程、水酸化マグネシウム微粒子を溶解除去する工程を有することを特徴とするトナーの製造方法に関する。
Figure 2022169857000002
(式(1)中、R1は、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
本発明のトナーは、耐久劣化に伴うトナー表面の外添剤の遊離や埋没を抑制でき、かつ円形度の高いトナーにおいても容易にブレードクリーニングすることが可能である。更に、同程度の外添剤で覆われたトナーと比べて低温定着性にも優れる。
本発明に係るドーナツ型の有機ケイ素重合体による凸部形状の説明図である。 本発明に係るトナー粒子表面を観察した電子顕微鏡写真図である。
本開示において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナーは、結着樹脂と有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーであり、該トナーの平均円形度が0.970以上1.000以下である。そして、このような平均円形度の高いトナー粒子にドーナツ型の該有機ケイ素重合体の凸部を有することを特徴とする。ここで言う有機ケイ素重合体は、同業分野で一般的に言う外添剤に相当するものである。
従来、平均円形度の高いトナーはブレードクリーニング性に課題があった。しかし、このドーナツ型の有機ケイ素重合体の凸部を有することで、従来の課題を解決できることを、本発明者らは見出した。理由は次のように考えている。
まず従来の平均円形度の高いトナー粒子と外添剤との組み合わせでは、感光体表面とトナーの接触は、感光体表面とトナー表面の球形または異形な外添剤との点接触により接していた。そのため、感光体表面とトナーの転がり抵抗は低いため、トナーがクリーニングブレードに接触した時にトナーは転がってしまい、そのようなトナーを掻き取ることが難しかった。しかし本発明のトナーは、凸部がドーナツ型であるため、感光体表面とトナー表面に存在する凸部との接触が面接触となり、接触面積が大幅に増える。その結果、感光体表面とトナーの転がり抵抗は高くなったので、トナーがクリーニングブレードと接触してもトナーは転がらず、掻き取ることができる。よって、平均円形度の高いトナーにおいても感光体上と当接する帯電部材の汚染を抑制することができる。
更にドーナツ型の凸は、従来の点接触系の外添剤や凸と比べて接触面積が多いため、摩擦帯電時の帯電サイトが多い。円形度の高いトナーは流動性が良いため、トナー同士の摩擦が発生しやすい。その結果、平均円形度の高いトナーがドーナツ型の凸を有することで帯電立ち上がりが良化するため、高温高湿環境下における放置後の画像かぶり抑制が良化する。
本発明者らが鋭意検討した結果、上記のような効果を得られるためには、ドーナツ型の凸部に関し以下に示す5つの特徴が挙げられる。なお、図1は後述の該凸部の形状に係る外径R、内径rおよび高さを示したものである。
(i)一つ目の特徴は、凸部が有機ケイ素重合体で形成されていることである。有機ケイ素重合体は下記式(I)で表される有機ケイ素からなる群より選択される少なくとも1つの有機ケイ素重合性単量体の縮合物であることが好ましい。下記式(I)で表される有機ケイ素重合性単量体の縮合物は架橋性を有するため、有機ケイ素重合体の帯電部材への移行をさらに抑制することができる。
Ra(n)-Si-Rb(4-n) (I)
式(I)中、Raは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、又は(好ましくは炭素数1~4、より好ましくは1~3の)アルコキシ基を示し、Rbは、それぞれ独立して、(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは1~6の)アルキル基、(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは1~4の)アルケニル基、(好ましくは炭素数6~14、より好ましくは6~10の)アリール基、(好ましくは炭素数1~6、より好ましくは1~4の)アシル基又はメタクリロキシアルキル基(好ましくはメタクリロキシプロピル基)を示す。nは2又は3の整数を示す。
前記式(I)で表わされる有機ケイ素重合性単量体として、二官能、三官能の各種シラン化合物が挙げられる。
具体的には、二官能のシラン化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
三官能のシラン化合物として、下記化合物が挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルジエトキシメトキシシラン、メチルエトキシジメトキシシランの三官能のメチルシラン化合物;エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシランなどの三官能のシラン化合物;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの三官能のフェニルシラン化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどの三官能のビニルシラン化合物;アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルジエトキシメトキシシラン、アリルエトキシジメトキシシランなどの三官能のアリルシラン化合物;γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルジエトキシメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルエトキシジメトキシシランなどの三官能のγ-メタクリロキシプロピルシラン化合物;など。
該有機ケイ素重合体が、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、該有機ケイ素重合体は、RaSiO3/2で表されるT3単位構造を有しており、該Raは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を表し、該有機ケイ素重合体の29Si-NMRの測定において、該有機ケイ素重合体に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、該T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.65以上0.80以下であることで高温高湿環境下による帯電量低下及び低温低湿環境下における過剰帯電を抑制でき、非画像部かぶり抑制を良化できるので好ましく、より好ましくは0.65以上0.75以下である。
(ii)二つ目の特徴は、該ドーナツ型の凸部の外径をR(nm)としたとき、該Rが40nm以上200nm以下である。本発明者らが鋭意検討した結果、該Rを上記範囲内にすることで、ドーナツ型の凸の遊離とトナーのクリーニング性を両立することができる。この理由は以下のように考えている。
トナー表面のドーナツ型の凸部のRが大きくなるとトナーの流動性が低下する。そのため、現像機内でトナーを撹拌したときにトナーが受ける外力が大きくなってしまい、凸が取れやすくなってしまう。また、Rが小さくなるとドーナツ型の凸部と感光体が十分な面接触をする面積を得ることが出来なくなり、円形度が高いトナーをブレードで掻き取れなくなってしまう。
(iii)三つ目は、ドーナツ型の内径をr(nm)としたとき、Rとrの差(R-r)が10nm以上70nm以下であることを特徴とする。細かい判断方法は後述する測定方法に明記するが、該rは、SEMの反射電子像及び二次電子像からドーナツ型の有機ケイ素重合体と確認できる凸の中心(有機ケイ素重合体が存在しない場所)からドーナツ型の凸の有機ケイ素重合体の厚みの内側までの距離である。本発明者らが鋭意検討した結果、R-rを上記範囲内にすることで、凸の遊離とトナーのクリーニング性を両立することも見出した。R-rの値が小さくなるということ、つまりドーナツ型の厚みが小さくなるということは、ドラムとドーナツ型の凸部の接触面積が小さくなるため、十分な転がり抵抗を得ることができなくなってしまう。また、R-rが大きくなると、トナー同士の接触面積も増えるため、トナーの流動性が低下し、凸の遊離や埋没が起こりやすくなってしまい部材汚染が発生してしまう。
また、R-rにおいては、その平均値の変動係数が0.20以下であることが本効果を更に向上できる点で好ましい。
本発明者らが鋭意検討した結果、rが30nm以上130nm以下であることが定着性の観点から好ましい。rが30nm未満のときは、加熱定着時に溶融物が染み出だす箇所が内径rが大きい時と比べて少なくなるため、紙と接触する部分が減ってしまう。その結果、定着性が悪化してしまったと考えている。またrが130nmを超えると、必然的にRも大きなものとなり、定着性は良いものの、凸剥がれやクリーニング性に影響を与える観点から好ましくない。更に該凸のrとRの比(r/R)が、0.20以上0.60以下であることも定着性の観点から好ましい。r/Rが小さいほど穴が小さいことを示しており、加熱定着時に溶融物が染み出す穴が少なく、紙と接触する部分が減るため定着性が悪くなる場合がある。また、r/Rが大きいほど穴は大きいため、外径Rが大きい場合においてはトナー表面との接触面積が減るため、凸が剥がれやすくなり、キャリアや現像ローラ等の現像剤担持体を汚染する場合がある。
(iv)4つ目は、ドーナツ型の凸の高さが10nm以上50nm以下であることを特徴とする。凸の高さを上記範囲内にすることで、凸の遊離を抑制することができる。
(v)5つ目は、ドーナツ型の凸の存在個数が、トナー粒子表面の1.8μm四方に、平均50個以上1000個以下存在することを特徴とする。
上記範囲内の凸の存在個数のカウントの仕方は後述する具体的な測定方法にて明記するが、凸の存在個数が50個未満の場合、ドーナツ型の凸と感光体が接触する確率が低いため、クリーニング性を向上させることが難しい。また、凸の存在個数が1000個を超える場合は、凸のRが40nmより小さくなるため、クリーニング性を向上させることが難しくなる。
次に本発明のトナーに用いることができる原材料について説明する。
トナー粒子に含まれる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレンと他のビニルモノマーとの共重合体であるスチレン系共重合体、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は混合して使用される。
結着樹脂の主成分としてはポリエステル樹脂及びスチレン系共重合体が現像性、定着性の点で好ましい。本発明において、主成分とは、その含有量が50質量%~100質量%(好ましくは80質量%~100質量%、より好ましくは90質量%~100質量%)であることをいう。
ポリエステル樹脂は特に制限されず、公知のものを使用しうる。モノマーには、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
スチレン系共重合体は架橋剤で架橋されていてもよい。架橋剤としては、2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられる。
トナーには着色剤を用いてもよい。着色剤としては、従来から知られている種々の染料や顔料等、公知の着色剤を挙げることができる。
マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、150、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。これらの顔料は、単独で使用しても良く、染料と顔料を併用してもよい。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、55、74、83、93、94、95、97、98、109、110、154、155、166、180、185が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
トナーは、磁性トナーとして用いることも可能であり、その場合には、以下に挙げられる磁性体が用いられる。マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような酸化鉄、または他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Ca、Mn、Se、Tiのような金属との合金、及びこれらの混合物。
磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。
トナーは、離型剤を含有してもよい。離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスのような炭化水素ワックス;酸化ポリエチレンワックスのような脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスのような脂肪酸エステルを主成分とするエステルワックス;及び脱酸カルナバワックスのような脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの、ベヘニン酸モノグリセリドのような脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物が挙げられる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して総量で2.5質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。また、これらの離型剤は単一又は2種類以上を併用してもよく、好ましくは炭化水素ワックスとエステルワックスを併用することが定着性の観点で好ましい。
トナーには、荷電制御剤を用いてもよい。荷電制御剤によりトナーの帯電性を安定に保つことができる。荷電制御剤としては従来からトナー用途で用いられている種々の荷電制御剤を挙げることができる。
トナーは、一成分系及び二成分系現像剤として、いずれの現像方式にも使用できる。二成分系現像剤として用いる場合に使用するキャリアの平均粒径は、好ましくは10~100μm、より好ましくは20~50μmである。また、これらのキャリアとトナーを混合して二成分系現像剤を調製する場合の現像剤中のトナー濃度は、好ましくは2~15質量%程度である。
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは、トナー母粒子(有機ケイ素重合体の凸部形成前のトナー粒子)を粉砕法及び重合法などの公知の製造方法により製造することは可能であるが、いずれの方法で得られたトナー母粒子も、水酸化マグネシウム微粒子で水系媒体中に分散したトナー母粒子のスラリーとして存在した状態にした後で下記式(1)の化合物を縮合する工程、及び水酸化マグネシウム微粒子を溶解除去する工程を有する方法にてトナーを製造する必要がある。
Figure 2022169857000003
(式(1)中、R1は、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
水酸化マグネシウムは二官能、三官能シラン化合物によりカップリング処理することができる。トナー母粒子の表面に水酸化マグネシウムが存在する状況下で二官能や三官能のシラン化合物を添加することにより、トナー母粒子表面や母粒子と水酸化マグネシウム表面に付着したシラン化合物が選択的に水/水酸化マグネシウム界面に集まり水酸化マグネシウム表面が選択的にカップリング処理される。水酸化マグネシウムのカップリング処理終了後に、酸により水酸化マグネシウムを除去することで、ドーナツ型の有機ケイ素重合体の凸が付着したトナーを得ることができる。図2は上記製造工程後のトナー粒子表面を観察した電子顕微鏡写真図であり、ドーナツ型の有機ケイ素重合体の凸が形成されていることが示されている。なお、水酸化マグネウムの分散液に同種のシラン化合物を添加しカップリング反応させてもドーナツ型の粒子ができないことから、これはトナー母粒子と水酸化マグネシウムとの付着面がカップリング処理されないため、上記水酸化マグネシウム除去によりドーナツ型の凸ができていると考えている。
また、添加するシラン化合物の量としては、水酸化マグネシウム100モル部に対して、50モル部以上700モル部以下であることが好ましく、より好ましくは70モル部以上300モル部以下である。また、水酸化マグネシウムの1次粒径としては10nm以上200nm以下が、より好ましくは30nm以上100nm以下であることが所望のドーナツ型が得られる点で好ましい。
粉砕法で得られたトナー粒子等を水酸化マグネシウムが存在する水系媒体中に添加し、スラリー化する場合は、トナーの円形度を上げる観点から一度トナー粒子のガラス転移温度以上に加熱することが好ましい。
また、水酸化マグネシウムが付着しているトナー母粒子の大きさとしては個数平均粒径が3μm以上10μm以下であることがトナー用途から好ましい。
以下に本発明のトナーの製造例について具体例を用いて説明する。具体例としては、水酸化マグネシウムでスラリーにする必要があるため、予め水系媒体中でトナー粒子を製造する懸濁重合法によるトナー粒子の製造法を用いて説明する。
(水系媒体の調製工程)
水酸化マグネシウムをpH8.5以上の水系媒体中に微粒子として存在させたものを使用する。pHの調整方法としては、水酸化ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ水溶液に塩酸等の酸を用いることで調整することができる。
(重合性単量体組成物の調製工程)
まず、重合性単量体並びに必要に応じて着色剤及びワックスなどその他の添加剤を含む重合性単量体組成物を調製する。着色剤やワックス等はいずれも公知のものが使用できる。
着色剤は、予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、その他の組成物と同時、又は、その他の組成物を混合した後に分散させてもよい。
(造粒工程)
水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させ、重合性単量体組成物の液滴を形成させる。造粒工程には、公知の高剪断力を有する撹拌機などを用いることができる。
(重合工程)
上述のようにして得られた重合性単量体組成物の液滴を重合工程に導入することにより、重合体粒子(トナー母粒子)を得る。重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合温度は、通常40℃以上、好ましくは50~90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。
(蒸留工程)
未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に、重合工程より得られるトナー母粒子を含む重合スラリーに対して、蒸留操作を行い、一部水系媒体を留去してもよい。蒸留工程は、常圧又は減圧下で行うことができる。
(有機ケイ素重合体処理工程)
二官能及び/又は三官能のシラン化合物を添加することで水酸化マグネシウムを有機ケイ素重合体でカップリング処理をする。縮合pHはpH8.5以上11.0以下、より好ましくはpH9.5以上10.5以下である。
(洗浄および水酸化マグネシウムの除去工程、固液分離(濾過)工程及び乾燥工程)
トナー母粒子の表面に付着した水酸化マグネシウムを除去する目的で、トナー母粒子の分散液を酸又はアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法によりトナー粒子は液相と分離されるが、酸又はアルカリ及びそれに溶解した水酸化マグネシウム成分を完全に取り除くため、再度水を添加してトナー粒子を洗浄してもよい。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
(分級工程)
こうして得られたトナー粒子を、必要に応じて風力分級機などで分級を行うことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
(外添工程)
上記のようにして得られたトナー粒子に対し、必要に応じて、外添剤を外添してもよい。外添は公知の方法で行うことができる。流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、必要に応じて該シリカ粒子以外の外添剤として、流動化剤、クリーニング助剤などを含有してもよい。
その他の外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これらの種々の外添剤の含有量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上2.00質量部以下である。本発明の効果が阻害されない限り、外添剤種並びに含有量は、適宜選択することができる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明に係る各種物性の測定方法について説明する。
<無機微粒子の個数平均粒径D1の測定>
動的光散乱式マイクロトラック粒度分布測定装置[UPA-150](日機装株式会社)を用い、水系媒体中の無機微粒子の粒度分布を算出する。測定に用いる水系媒体と測定セル温度が同じになるように、セルの温調を行ないながら測定を行う。粒径測定は、60℃で行う。
(1)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Back ground checkを行う。サンプルローディングが、0.0010以下になるのを確認する。
(2)セル内部にRO水:3.0gを入れた後、Set Zeroを行なう。Set Z
eroの条件は、時間:60sで行う。
(3)以下の条件を入力する。下記屈折率は、本発明に係る水酸化マグネシウム微粒子と、実施例中の比較用のハイドロキシアパタイト微粒子の場合を記している。
測定時間:30s、測定回数:2回
粒子条件:透過性、屈折率:1.62、形状:非球形、密度:3.17
溶媒条件:WATERを選択
屈折率:1.56(水酸化マグネウム)、1.33(ハイドロキシアパタイト)
高温時粘度:0.797(30℃)、低温時粘度:1.002(20℃)
表示設定:標準を選択
分布表示:体積を選択
(4)測定セルに無機微粒子を含有する水系媒体:3.0gを入れ、測定を開始する。
(5)測定データを装置付属の専用ソフトにて解析を行い、個数平均粒径(D1)を算出する。
<有機ケイ素重合体微粒子の同定方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体微粒子の同定方法はSEMによる形状観察及びEDSによる元素分析を組み合わせて行うことができる。
走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)を用いて、最大5万倍に拡大した視野において、トナーを観察する。トナー粒子表面にピントを合わせて、外添剤を観察する。外添剤の各粒子に対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析した粒子が有機ケイ素重合体微粒子であるか否かを判断する。
トナー中に、有機ケイ素重合体微粒子とシリカ微粒子の両方が含まれている場合には、Si及びOの元素含有量(atomic%)の比(Si/O比)を標品と比較することで有機ケイ素重合体微粒子の同定を行う。
有機ケイ素重合体微粒子、及びシリカ微粒子それぞれの標品に対して、同条件でEDS分析を行い、Si及びOそれぞれの元素含有量(atomic%)を得る。
有機ケイ素重合体微粒子のSi/O比をAとし、シリカ微粒子のSi/O比をBとする。AがBに対して、有意に大きくなる測定条件を選択する。
具体的には、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、A及びB、それぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がA/B>1.1となる測定条件を選択する。
判別対象の微粒子のSi/O比が[(A+B)/2]よりもA側にある場合に当前記微粒子を有機ケイ素重合体微粒子と判断する。
有機ケイ素重合体微粒子の標品として、トスパール120A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を、シリカ微粒子の標品として、HDK V15(旭化成)を用いる。
<走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナーの断面の観察方法>
走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察されるトナーの断面は以下のようにして作製する。なお、トナーに有機微粒子又は無機微粒子が外添されている場合は、下記方法等によって、有機微粒子又は無機微粒子を除去したものを試料として用いる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナー粒子をスパチュラ等で採取する。採取したトナー粒子を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
また、凸部が有機ケイ素重合体を含有するか否かについては、エネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組合せて確認する。
カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス;正方形No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。
次に、PTFE製のチューブ(外径3mm(内径1.5mm)×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上に前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。
超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(例えば、重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナー中心部の断面を出す。
次に、膜厚100nmとなるように切削し、トナーの断面の薄片サンプルを作製する。このような手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることができる。
走査透過型電子顕微鏡(STEM)として、JEOL社製、JEM-2800を用いた。STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024ピクセルにて画像を取得する。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得する。
画像倍率は100,000倍にて行い、トナー1粒子中の断面の周のうち4分の1から2分の1程度収まるように画像取得を行う。
得られたSTEM画像について、画像処理ソフト(イメージJ(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能))を用いて画像解析を行い、有機ケイ素重合体を含む凸部を計測する。該計測はSTEM画像中から任意に選択した30個の凸部について行う。
なお、凸部が有機ケイ素重合体を含有するか否かについては、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析の組合せにより確認する。
まず、ライン描画ツール(StraghtタブのSegmented lineを選択)にてトナー母粒子の周に沿った線を描く。有機ケイ素重合体の凸部がトナー母粒子に埋没しているような部分は、その埋没はないものとして滑らかに線をつなぐ。
その線を基準に水平画像へ変換(EditタブのSelection選択し、propertiesにてline widthを500ピクセルに変更後、EditタブのSelectionを選択しStraghtenerを行う)を行う。
該水平画像中、有機ケイ素重合体を含む凸部の一つについて、下記計測を実施する。
該凸部と該トナー母粒子とが連続した界面を形成している部分における該周に沿った線に対して法線を引き、該凸部において最大長となる法線の値を測定対象である有機ケイ素重合体の凸高さとする。
該計測を、任意に選択した30個の凸部について実施し、各計測値の算術平均値を、凸の高さとする。
<有機ケイ素重合体の一次粒子の外径R及び内径rの測定方法及び有機ケイ素重合体の個数の測定方法>
走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせて行う。
外径R及び内径rの測定に関しては、最大5万倍に拡大した視野において、ランダムに100個の複合体粒子を撮影する。
撮影された画像から、ランダムに100個の有機ケイ素重合体微粒子を選び出し、一次粒子の外径は水平方向を基準に15°刻みに測定した値を外径Rとする。また、内径rに関しても同様に水平方向を基準に15°刻みに測定した値を内径rとする。R-rの変動係数に関しては同角度で測定したR及びrの差を求め、1粒子あたり0°から180°の範囲で計12か所測定した値から算出する。
観察倍率は、有機ケイ素重合体微粒子の大きさによって適宜調整する。
トナー表面のドーナツ型の有機ケイ素重合体の個数のカウントに用いる画像は、5万倍に拡大した視野でランダムに100枚撮影する。これらの撮影した画像の1.8μm四方に存在するものの個数を1枚ごとにカウントし、1枚当たりのドーナツ型の有機ケイ素重合体の個数を算出する。
<重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。尚、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なう。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なう。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)および個数平均粒径(D1)を算出する。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、「分析/体積統計値(算術平均)」画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)であり、前記専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<平均円形度の測定方法>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定した。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<有機ケイ素重合体微粒子の構成化合物の組成と比率の同定方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体微粒子の構成化合物の組成と比率の同定には、NMRを用いる。
トナー中に、有機ケイ素重合体微粒子に加えて、シリカ微粒子などが含まれる場合、トナー1gをバイアル瓶に入れクロロホルム31gに溶解させ、分散させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分
このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。
前記分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、下層に比重の重いシリカ微粒子が含まれる。上層の有機ケイ素重合体微粒子を含むクロロホルム溶液を採取して、クロロホルムを真空乾燥(40℃/24時間)にて除去しサンプルを作製する。
上記サンプル又は有機ケイ素重合体微粒子を用いて、有機ケイ素重合体微粒子の構成化合物の存在量比及び、有機ケイ素重合体微粒子中のT3単位構造の割合を、固体29Si-NMRで測定・算出する。
まず、上記Raで表される炭化水素基は、13C-NMRにより確認する。
13C-NMR(固体)の測定条件≫
装置:JEOLRESONANCE製JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:サンプル又は有機ケイ素重合体微粒子
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
前記方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH3)、エチル基(Si-C25)、プロピル基(Si-C37)、ブチル基(Si-C49)、ペンチル基(Si-C511)、ヘキシル基(Si-C613)またはフェニル基(Si-C65-)などに起因するシグナルの有無により、上記Raで表される炭化水素基を確認する。
一方、固体29Si-NMRでは、有機ケイ素重合体微粒子の構成化合物のSiに結合する官能基の構造によって、異なるシフト領域にピークが検出される。
各ピーク位置は標準サンプルを用いて特定することでSiに結合する構造を特定することができる。また得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出することができる。全ピーク面積に対してT3単位構造のピーク面積の割合を計算によって求めることができる。
固体29Si-NMRの測定条件は、具体的には下記の通りである。
装置:JNM-ECX5002 (JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DDMAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay :180s
Scan:2000
前記測定後に、サンプル又は有機ケイ素重合体微粒子の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
なお、下記X3構造が本発明におけるT3単位構造である。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 (A1)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/22 (A2)
X3構造:RmSi(O1/23 (A3)
X4構造:Si(O1/24 (A4)
Figure 2022169857000004
前記式(A1)、(A2)及び(A3)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。
なお、構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C-NMR及び29Si-NMRの測定結果と共に1H-NMRの測定結果によって同定してもよい。
以下に本発明のトナーの製造例及び実施例について説明する。以下における「部」は質量部を意味する。
《トナー製造例1》
<水系媒体の調製工程>
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、塩化マグネシウム(キシダ化学、6水和物)0.79部を投入し、窒素パージしながら45℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に0.46部の水酸化ナトリウム(キシダ化学)を溶解した水酸化ナトリウム水溶液を30分間かけて投入し、水酸化マグネシウム微粒子を含む水系媒体を調製した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を投入し、pHを9.5に調整し、水系媒体を得た。
<重合性単量体組成物の調製工程>
・スチレン :45.5部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :5.0部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させて、顔料分散液を調製した。次いで前記顔料分散液に下記材料を加えた。
・スチレン:9.0部
・n-ブチルアクリレート:21.2部
・架橋剤(ジビニルベンゼン):0.4部
・飽和ポリエステル樹脂:3.8部
(プロピレンオキシド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比9:13)、ガラス転移温度Tg=70℃、重量平均分子量Mw=12000、分子量分布Mw/Mn=5.2)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃):10.0部
これを65℃に保温し、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解、分散し、重合性単量体組成物を調製した。
<造粒工程>
上記水系媒体の温度を70℃、撹拌装置の回転数を12000rpmに保ちながら、水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート8.9部を添加した。そのまま該撹拌装置にて12000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
<重合工程>
高速撹拌装置からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を換え、150rpmで撹拌しながら70℃を保持して4.0時間重合を行い、95℃に昇温して5.0時間加熱することで重合反応を行い、トナー母粒子スラリー分散液1を得た。
<有機ケイ素重合体の凸形成工程>
(第一工程)
温度計、撹拌機を備えた反応容器に、360.0部の水を入れ、15.0部の濃度5.0質量%の塩酸を添加して均一溶液とした。これを温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン136.0部を添加し、5時間撹拌した後、濾過してシラノール化合物又はその部分縮合物を含む透明な反応液1を得た。
(第二工程)
トナー母粒子スラリー分散液1を50℃に保温し、5質量%炭酸ナトリウム水溶液及びイオン交換水を用いてpH9.5、固形分濃度30%に調整した。調整したスラリー分散液1 100部に対して、第一工程で得られた反応液1 4.0部を添加し、50℃で3時間撹拌しながら縮合反応させ、トナー母粒子表面に有機ケイ素重合体が付着した有機ケイ素重合体付着スラリー分散液1を得た。
<洗浄、乾燥工程>
凸形成工程終了後、有機ケイ素重合体付着スラリー分散液1を冷却し、その分散液に塩酸を加えpH=7.0以下に調整して、1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離した後、再度イオン交換水と加圧ろ過器を用いてろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した後に、最終的に固液分離してトナー粒子ケーキ1を得た。
得られたトナー粒子ケーキ1を気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥し、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子1を得た。
乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナー粒子ケーキ1の供給速度はトナー粒子ケーキ1の含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
得られたトナー粒子1の物性を表2に示す。
《トナー製造例2》
トナー製造例1の<水系媒体の調製>を以下のように変更したこと、<洗浄・乾燥工程>の酸洗浄時pHを1.5に変更したこと以外は、表1に示す通りトナー製造例1と同様にすることでトナー粒子2を得た。
得られたトナー粒子2の物性を表2に示す。
<水系媒体の調製工程>
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(ラサ工業社製、12水和物)1.82部を投入し、窒素パージしながら55℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に1.20部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、ハイドロキシアパタイト微粒子を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を得た。
《トナー製造例3》
<洗浄工程>
トナー製造例1の<重合工程>まで同様に行うことでトナー母粒子スラリー分散液3を得た。得られたトナー母粒子スラリー分散液3を室温まで冷却した後、塩酸を用いてpH1.5以下にし、1時間撹拌し、加圧ろ過することでトナー母粒子ケーキとした。その後、イオン交換水と加圧ろ過器を用いてろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返すことでトナー母粒子ケーキ3を得た。
<リスラリー工程>
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、塩化マグネシウム(キシダ化学、6水和物)0.79部を投入し、窒素パージしながら45℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に0.46部の水酸化ナトリウム(キシダ化学)を溶解した水酸化ナトリウム水溶液を30分かけて投入し、水酸化マグネシウム微粒子を含む水系媒体を調製した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を投入し、pHを9.5に調整し、水系媒体を得た。
上記水系媒体をT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、上記トナー母粒子ケーキ3を固形分濃度が33.0%になるように投入することで、調整したスラリー分散液3を得た。
<有機ケイ素重合体の凸形成工程>
(第一工程)
温度計、撹拌機を備えた反応容器に、360.0部の水を入れ、15.0部の濃度5.0質量%の塩酸を添加して均一溶液とした。これを温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン136.0部を添加し、5時間撹拌した後、濾過してシラノール化合物又はその部分縮合物を含む透明な反応液3を得た。
(第二工程)
調整したスラリー分散液3 100部に対して、第一工程で得られた反応液1 4.0部を添加し、50℃で3時間撹拌しながら縮合反応させ、トナー母粒子表面に有機ケイ素重合体が付着した有機ケイ素重合体付着スラリー分散液3を得た。
<洗浄、乾燥工程>
凸形成工程終了後、有機ケイ素重合体付着スラリー分散液3を冷却し、その分散液に塩酸を加えpH=7.0以下に調整して、1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離した後、再度イオン交換水と加圧ろ過器を用いてろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返した後に、最終的に固液分離してトナー粒子ケーキ3を得た。
得られたトナー粒子ケーキ3を気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥し、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子3を得た。
乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナー粒子ケーキ3の供給速度はトナー粒子ケーキ3の含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
得られたトナー粒子3の条件を表1に物性を表2に示す。
《トナー製造例4乃至23》
トナー製造例3と同様にして表1に示す条件で<有機ケイ素重合体の凸形成工程>以降の操作を行いトナー粒子4乃至23を得た。得られたトナー粒子4乃至23の物性を表2に示す。
《トナー製造例24》
<乾燥工程>
トナー製造例3と同様に<洗浄工程>まで実施することで、トナー母粒子ケーキ24を得た。得られたトナー母粒子ケーキ24を気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥し、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー母粒子24を得た。
乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナー母粒子ケーキ24の供給速度はトナー母粒子ケーキ24の含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
<外添剤の固着処理>
得られたトナー母粒子24 100部に対して、ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径70nmのゾルゲルシリカ微粒子2.0部を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM-10型)で混合して、外添剤が付着したトナー粒子24を得た。なお、ヘンシェルミキサーは、混合物の温度が30℃になるように温度調整を行った。
得られた外添剤が付着したトナー粒子24を、表面改質機メテオレインボー(日本ニューマチック工業株式会社製)にて280℃の熱風にて処理することで外添剤を固着させた。
その後、風力式分級機(エルボジェットPURO、マツボー(株))にて分級を行い、トナー粒子24を得た。
得られたトナー粒子24の物性を表2に示す。
《トナー製造例25》
<異形シリカ微粒子の作製>
ヒュームドシリカ((株)トクヤマ製、商品名QS-30、BET比表面積302m2/g、平均一次粒子径7nm)5.00g及びメタノール500gをホモジナイザー出力60W、分散時間30分の条件でヒュームドシリカをメタノールに分散し、分散液を調製した。
2Lの4つ口フラスコに、調製した分散液500.5gと、仕込みアンモニア水としての15質量%アンモニア水75gとを投入し、30℃で撹拌した。アルコキシシランとしてのテトラメトキシシラン100gと、添加アンモニア水としての5質量%アンモニア水100gとを、それぞれ独立に液中滴下した。滴下は60分で終了するように速度を調整して実施することで、異形なシリカ微粒子分散液を得た。
<トナー粒子の作製>
トナー製造例3と同様にして<洗浄工程>を実施することでトナー母粒子25を得た。得られたトナー母粒子25を異形なシリカ微粒子分散液に固形分濃度が33.0%になるように、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)で12000rpmにて撹拌しながら投入することで異形なシリカ微粒子が付着したスラリー分散液25を得た。
得られた異形なシリカ微粒子が付着したスラリー分散液25を、加圧ろ過し後、イオン交換水と加圧ろ過を用いて、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで洗浄を繰り返すことで、トナー粒子ケーキ25を得た。
得られたトナー粒子ケーキ25を気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥し、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子25を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナー粒子ケーキ25の供給速度はトナー粒子ケーキ25の含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
得られたトナー粒子25の物性を表2に示す。
《トナー製造例26》
<トナー母粒子製造工程>
・スチレンとn-ブチルアクリレートとの共重合体(樹脂A) 81.2部
(共重合質量比;スチレン:n-ブチルアクリレート:ジビニルベンゼン=72:28:0.5、ピーク分子量(Mp=22000)
・飽和ポリエステル樹脂:3.8部
(プロピレンオキシド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比9:13)、ガラス転移温度Tg=70℃、重量平均分子量Mw=12000、分子量分布Mw/Mn=5.2)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃):10.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 :5.0部
上記処方をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度120℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、池貝鉄工(株)製)にて溶融混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて2回粉砕し、樹脂粒子粉砕物を得た。
得られた樹脂粒子粉砕物を機械式表面改質装置(ファカルティ F-400型 ホソカワミクロン(株)製)にて、固定子が付いた分散ローターを10000rpm、分級ローターを6000rpmで回転させ、分級しながら球形化処理を行い、トナー母粒子26を得た。
<スラリー化工程>
反応容器中のイオン交換水1000.0部に、リン酸ナトリウム(12水和物)1.82部を投入し、窒素パージしながら55℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌しながら、イオン交換水10.0部に1.2部の塩化カルシウム(キシダ化学)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、ハイドロキシアパタイト微粒子を含む水系媒体を調製した。さらに、10%塩酸を投入し、pHを6.0に調整し、水系媒体を得た。
上記トナー粒子の製造工程を経て得られたトナー母粒子26を上記水系媒体中に固形分濃度が33.0%になるよう投入し、スラリーを得た。
<有機ケイ素重合体の凸形成工程>
(第一工程)
温度計、撹拌機を備えた反応容器に、360.0部の水を入れ、15.0部の濃度5.0質量%の塩酸を添加して均一溶液とした。これを温度25℃で撹拌しながらメチルトリメトキシシラン136.0部を添加し、5時間撹拌した後、濾過してシラノール化合物又はその部分縮合物を含む透明な反応液を得た。
(第二工程)
これを、スラリー100部に対して、第一工程で得られた反応液4.0部を添加し、40℃で5時間撹拌しながら縮合反応させ、有機ケイ素重合体が付着したスラリーを得た。
<洗浄、乾燥工程>
凸形成工程終了後、トナー粒子のスラリーを冷却し、トナー粒子のスラリーに塩酸を加えpH=7.0以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。
得られたトナーケーキを気流乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業製)にて乾燥し、更にコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて微粗粉をカットしてトナー粒子26を得た。乾燥の条件は吹き込み温度90℃、乾燥機出口温度40℃、トナーケーキの供給速度はトナーケーキの含水率に応じて出口温度が40℃から外れない速度に調整した。
得られたトナー粒子26の物性を表2に示す。
Figure 2022169857000005
Figure 2022169857000006
Figure 2022169857000007
〔実施例1〕
得られたトナー粒子1は表2に示す通りドーナツ型の有機ケイ素重合体の凸を有することが確認できた。
得られたトナー粒子1をトナー1として以下に示す評価を実施した。
評価に際しては、評価機としてキヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cの改造機を使用した。ブラックカートリッジからトナーを除去し、代わりにトナー1を300g充填して評価を行った。
(画像の評価)
[クリーニング性の評価]
キヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cを改造し、シアンステーションだけでプリント可能とした。LBP9600C用トナーカートリッジに評価対象のトナーを300g充填し、トナーカートリッジごと低温低湿環境下(15℃/10%RH)で24時間放置した。
次いで24時間放置後のトナーカートリッジをLBP9600Cに取り付け、トナー載量0.25mg/cm2のハーフトーン画像を受像紙に出力した。その後、2.0%の印字比率の画像をA4用紙横方向で10,000枚までプリントアウトした。画像出力は、クリーニングブレードの硬度が高くなることで感光体ドラムへの追従性が低下し、クリーニングにはより困難な条件である低温低湿環境下(15℃/10%RH)で行った。10,000枚出力後、トナー載量0.25mg/cm2のハーフトーン画像を受像紙に出力した。耐久評価前の初期画像と10,000枚出力後(耐久後)の画像について、以下の基準に基づいて評価した。
受像紙には、CS-680(坪量68g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
A:ハーフトーン画像上にクリーニング不良なし、帯電ローラ汚れなし。
B:ハーフトーン画像上にクリーニング不良なし、帯電ローラ汚れあり。
C:ハーフトーン画像上にクリーニング不良として極めて薄い縦線が確認される。
D:ハーフトーン画像上にクリーニング不良としてはっきりとした縦線が1本以上確認される。
本発明では、C以上を良好と判断した。
[部材汚染の評価]
低温低湿環境下(15℃、相対湿度10%)において、印字率4.0%の画像を2枚毎に4秒の間欠時間をおいて10000枚出力した。なお、途中でトナーが無くなった場合は、トナーを300g追加で充填した。耐久評価後、トナーカートリッジから帯電ローラを取り外した。新品のプロセスカートリッジ(市販のもの)から帯電ローラを取り外し、耐久使用済みの前記帯電ローラを取りつけ、ハーフトーン画像を出力した。ハーフトーン画像の均一性を目視にて評価し、帯電部材汚染の評価を行った。
なお、帯電部材が汚染されている場合には、感光体ドラム上に帯電ムラが生じ、ハーフトーン画像の濃度ムラが生じることが知られている。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:画像濃度にムラがなく均一である
B:画像濃度にややムラがある
C:画像濃度にムラがあるが、良好なレベル
D:画像濃度にムラがあり、均一なハーフトーン画像になっていないレベル
[カブリの評価]
低温低湿環境下(15℃、相対湿度10%;LL)及び高温高湿環境下(30℃、相対湿度80%;HH)において、印字率2%の横線画像を2枚毎に4秒の間欠時間をおいて計10000枚印刷する耐久試験(1枚印刷するごとにプリンターの回転を5秒間停止)を実施した。評価紙として、キヤノンカラーレーザーコピー用紙(A4:81.4g/m2)を用いた。
1000枚耐久後、10000枚耐久後の耐久試験後とそれぞれ翌朝に評価画像の出力を行った。評価画像は、LETTERサイズのHP ColorLaser Phot Paper, Glossy(HP社製、220g/m2)を使用し、ベタ白画像を出力したものを用いた。なお評価画像出力に関しては新品のドラムユニットに交換して画像出力を行った。
評価は、「REFLECTO METER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)にAmberフィルタをセットし、プリントアウト画像の非画像部の反射率(%)を測定した。得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。
評価は、低温低湿環境下においては耐久後に出力した評価画像のみを、高温高湿環境下においては耐久後と翌朝に出力した評価画像の両方を以下の基準にて評価した。
評価基準は以下の通りである。C以上を良好と判断した。
ランクA:反射率の差が、0.5未満である。
ランクB:反射率の差が、0.5以上1.0未満である。
ランクC:反射率の差が、1.0以上2.0未満である。
ランクD:反射率の差が、2.0以上である。
[低温定着性の評価]
評価機として、キヤノン製レーザービームプリンタLBP9600Cの定着ユニットを定着温度が調整できるように改造した改造機を用いた。
該改造機を用いて、プロセススピ-ド268mm/secで、常温常湿環境下(25℃、50%RH)で定着温度を140℃から5℃刻みに変更した。
また、他の条件として、トナー載量0.40mg/cm2のベタ画像を受像紙に作像させ、オイルレスで加熱加圧することとした。
上記条件で印字を実行し、通紙状態を目視で確認して、巻きつき無く通紙された時の定着ユニットの最低温度を調べ、以下の基準に基づいて低温定着時の耐巻きつき性(低温定着性)を検証した。
受像紙には、GF-600(怦量60g/m2、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)を用いた。
(評価基準)
A:140℃又は145℃
B:150℃
C:155℃
D:160℃以上
トナー1の評価結果を表3にまとめて示す。表3に示すように実施例1のトナーはいずれの評価においても良好な結果が得られた。
〔実施例2乃至16、比較例1乃至9、参考例1〕
得られたトナー粒子2~26をトナー2~26として、それぞれトナー1に代えるほかは実施例1と同様にして評価を行った。各実施例、比較例、参考例についてその結果を表3に示す。
Figure 2022169857000008

Claims (6)

  1. 結着樹脂と有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子を有するトナーにおいて、
    該トナー粒子はドーナツ型の該有機ケイ素重合体の凸部を有し、
    該凸部は、
    (i)該有機ケイ素重合体で形成されたものであり、
    (ii)ドーナツ型の外径をR(nm)としたとき、該Rが40nm以上200nm以下であり、
    (iii)ドーナツ型の内径をr(nm)としたとき、R-rが10nm以上70nm以下であり、
    (iv)高さが10nm以上50nm以下であり、
    (v)トナー粒子表面の1.8μm四方に、平均50個以上1000個以下存在し、
    該トナーの平均円形度が0.970以上1.000以下である
    ことを特徴とするトナー。
  2. 該凸部の内径が30nm以上130nmである請求項1に記載のトナー。
  3. 該凸の内径rと外径Rの比(r/R)が、0.20以上0.60以下である請求項1または2に記載のトナー。
  4. 該凸部の外径Rと内径rの差(R-r)の平均値の変動係数が0.20以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 該有機ケイ素重合体が、ケイ素原子と酸素原子とが交互に結合した構造を有し、
    該有機ケイ素重合体は、RaSiO3/2で表されるT3単位構造を有しており、該Raは炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を表し、
    該有機ケイ素重合体の29Si-NMRの測定において、該有機ケイ素重合体に含有される全ケイ素元素に由来するピークの合計面積に対する、該T3単位構造を有するケイ素に由来するピークの面積の割合が、0.65以上0.80以下である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトナー。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のトナーの製造方法であって、
    水酸化マグネシウム微粒子で水系媒体中に分散したトナー母粒子のスラリー中で下記式(1)の化合物を縮合する工程、水酸化マグネシウム微粒子を溶解除去する工程を有することを特徴とするトナーの製造方法。
    Figure 2022169857000009
    (式(1)中、R1は、炭素数1以上6以下の炭化水素基を表し、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基、又は、アルコキシ基を表す。)
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