JP2022165788A - ナノインプリント用組成物及びパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微細パターン転写性が良好であり、硬化物における応力耐性の向上及び可視光域でのヘイズ低減をより図ることができるナノインプリント用組成物を提供する。【解決手段】不飽和酸金属塩(R)と、光重合性化合物(B)と、光ラジカル重合開始剤と、(R)及び(B)に対して相溶性を有する溶剤成分とを含有し、(R)と(B)との合計100質量部に対して(R)の含有量が50質量部以上であるナノインプリント用組成物を採用する。あるいは、基板1上に、当該ナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜2を形成する工程と、凹凸パターンを有するモールド3を、光硬化性膜2に押圧して凹凸パターンを転写する工程と、モールド3を光硬化性膜2に押圧しつつ、凹凸パターンが転写された光硬化性膜2を露光して、硬化膜を形成する工程と、硬化膜からモールド3を剥離してパターン2’を形成する工程とを有するパターン形成方法を採用する。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノインプリント用組成物及びパターン形成方法に関する。
リソグラフィ技術は、半導体デバイスの製造プロセスにおけるコアテクノロジーであり、近年の半導体集積回路(IC)の高集積化に伴い、さらなる配線の微細化が進行している。微細化手法としては、より短波長の光源、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fレーザー、EUV(極端紫外光)、EB(電子線)、X線等を用いる光源波長の短波長化や、露光装置のレンズの開口数(NA)の大口径化(高NA化)等が一般的である。
このような中、半導体の微細パターン形成方法として、所定のパターンを有するモールドを、基板上に形成された硬化性膜に押圧して、当該硬化性膜に前記モールドのパターンを転写する、ナノインプリントリソグラフィが生産性等の点から期待されている。
ナノインプリントリソグラフィでは、光(紫外線、電子線)で硬化する光硬化性化合物を含有する光硬化性組成物が用いられている。かかる場合、所定のパターンを有するモールドを、光硬化性化合物を含む硬化性膜に押圧し、次いで、光を照射して光硬化性化合物を硬化させ、その後、硬化膜からモールドを剥離することにより転写パターン(構造体)が得られる。
ナノインプリントリソグラフィに用いられる光硬化性組成物には、要求される特性として、スピン塗布などにより基板上に塗布する際の塗布性、加熱や露光による硬化性が挙げられる。基板への塗布性が悪いと、基板上に塗布された光硬化性組成物の膜厚にばらつきが生じて、モールドを硬化性膜に押圧した際にパターン転写性の低下を招きやすい。また、硬化性は、モールド押圧により形成されたパターンを所望の寸法に維持する上で重要な特性である。加えて、光硬化性組成物には、硬化膜からモールドを剥離する際のモールド離型性が良いことも求められる。
近年、自動運転用の3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路の高機能化のために、ナノインプリントリソグラフィを適用することが検討されている。3DセンサーやARグラスにおいては、デバイスの一部を構成する永久膜材料に対し、高い特性が求められている。
例えば、特許文献1には、酸化チタン又は酸化ジルコニウム等の金属酸化物ナノ粒子と、親水性基を有する光重合性モノマーと、光重合開始剤と、を配合することにより、高屈折率化、及び良好なパターン転写性を図った、光インプリント用の膜形成組成物が提案されている。
特開2013-191800号公報
インプリントプロセスでは、微細で複雑なパターンになるほど、モールド材料とナノインプリント用材料との接触面積が増大して、モールド離型時に、ナノインプリント用材料に発生する応力が増大する。そのため、従来のナノインプリント用材料においては、離型時の応力への耐性がこれまでよりも求められる。特に、ARグラス等に用いられる場合、ナノインプリント用材料においては、離型時の応力への耐性に加え、良好な微細パターン転写性、及び可視光域でのヘイズの低減も合わせて要求される。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、パターン形成の際の微細パターン転写性が良好であり、並びに、硬化物における、応力耐性の向上及び可視光域でのヘイズ低減をより図ることができるナノインプリント用組成物及びパターン形成方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、(R)成分:不飽和酸金属塩と、(B)成分:光重合性化合物(但し、前記(R)成分に該当するものを除く)と、(C)成分:光ラジカル重合開始剤と、(S1)成分:前記(R)成分及び前記(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分と、を含有し、前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対し、前記(R)成分の含有量が50質量部以上である、ナノインプリント用組成物である。
本発明の第2の態様は、基板上に、前記第1の態様に係るナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程と、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程と、前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、を有する、パターン形成方法である。
本発明によれば、パターン形成の際の微細パターン転写性が良好であり、並びに、硬化物における、応力耐性の向上及び可視光域でのヘイズ低減をより図ることができるナノインプリント用組成物及びパターン形成方法を提供することができる。
ナノインプリントパターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。 任意工程の一例を説明する概略工程図である。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「低級」とは、炭素数が1~5であることを意味する。
(ナノインプリント用組成物)
本発明の第1の態様のナノインプリント用組成物は、(R)成分:不飽和酸金属塩と、(B)成分:光重合性化合物(但し、前記(R)成分に該当するものを除く)と、(C)成分:光ラジカル重合開始剤と、(S1)成分:前記(R)成分及び前記(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分と、を含有する。
かかる第1の態様のナノインプリント用組成物においては、前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対し、前記(R)成分の含有量が50質量部以上である。
かかる第1の態様のナノインプリント用組成物は、光インプリント法に用いられるナノインプリント用組成物であって、インプリント技術で基板上に微細パターンを形成する材料として有用なものである。なかでも、自動運転用の3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路等の高屈折率、及び低いヘイズが要求される用途において有利な効果を奏する。また、かかる第1の態様のナノインプリント用組成物は、例えば反射防止膜の材料としても有用なものである。
ここでいう「ナノインプリント」とは、数nmから数μmのサイズのパターン転写をいい、ナノオーダーに限定されるものではない。
以下、かかる第1の態様のナノインプリント用組成物の一実施形態について説明する。
<(R)成分>
(R)成分は、不飽和酸金属塩である。
不飽和酸金属塩とは、不飽和酸における酸由来のアニオンと、金属カチオンとがイオン結合した化合物をいう。
不飽和酸とは、不飽和結合を有する酸であり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、ウンデセン酸、9,12-オクタジエノイル酸、9,12,15-オクタトリエノイル酸などが挙げられる。これらの中でも、高硬度の膜を容易に形成できる点から、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
金属カチオンとしては、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属イオン;Be2+、Mg2+、Ca2+等のアルカリ土類金属イオン;Cu2+、Fe3+、Ni2+、Mn2+、Co2+等の遷移金属イオン;Al3+、Ga3+、Zn2+、Cd2+等の卑金属イオン;Nd3+、Gd3+、Ce3+等のランタノイドイオン等が挙げられる。これらの中でも、安全性、入手容易性の点から、Zn2+、Ca2+、Mg2+、Al3+が好ましく、Zn2+が特に好ましい。
(R)成分の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸アルミニウムが挙げられる。
本実施形態において、(R)成分としては、市販の不飽和酸金属塩を用いることができる。
市販の不飽和酸金属塩としては、例えば、アクリル酸亜鉛(株式会社日本触媒製)、アクリル酸カリウム(株式会社日本触媒製)、メタクリル酸カリウム(株式会社日本触媒製);アクリル酸マグネシウム(浅田化学工業株式会社製)、アクリル酸カルシウム(浅田化学工業株式会社製)、メタクリル酸亜鉛(浅田化学工業株式会社製)、メタクリル酸マグネシウム(浅田化学工業株式会社製)、アクリル酸アルミニウム(浅田化学工業株式会社製)、メタクリル酸ネオジウム(浅田化学工業株式会社製)、メタクリル酸ナトリウム(浅田化学工業株式会社製)、アクリル酸カリウム(浅田化学工業株式会社製)等が挙げられる。
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(R)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(R)成分の中でも、本発明の効果を高められやすいことから、(メタ)アクリル酸亜鉛が好ましく、アクリル酸亜鉛が特に好ましい。
本実施形態のナノインプリント用組成物における(R)成分の含有量は、(R)成分と後述の(B)成分との合計含有量100質量部に対し、50質量部以上であり、50~80質量部であることが好ましく、60~80質量部がより好ましく、65~80質量部がさらに好ましく、70~80質量部が特に好ましい。
(R)成分の含有量が、前記の範囲の下限値以上であれば、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の、応力への耐性が向上する。一方、(R)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の強度が高められ、また、高屈折率化も図られやすくなる。
<(B)成分>
(B)成分は、光重合性化合物(但し、前記(R)成分に該当するものを除く)である。光重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物をいう。
「重合性官能基」とは、化合物同士がラジカル重合等により重合することを可能とする基であり、例えばエチレン性二重結合などの炭素原子間の多重結合を含む基をいう。
重合性官能基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フルオロビニル基、ジフルオロビニル基、トリフルオロビニル基、ジフルオロトリフルオロメチルビニル基、トリフルオロアリル基、パーフルオロアリル基、トリフルオロメチルアクリロイル基、ノニルフルオロブチルアクリロイル基、ビニルエーテル基、含フッ素ビニルエーテル基、アリルエーテル基、含フッ素アリルエーテル基、スチリル基、ビニルナフチル基、含フッ素スチリル基、含フッ素ビニルナフチル基、ノルボルニル基、含フッ素ノルボルニル基、シリル基等が挙げられる。これらの中でも、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
1つの重合性官能基を有する光重合性化合物(単官能モノマー)としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の脂肪族多環構造を含む(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン等の脂肪族単環構造を含む(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の鎖状構造を含む(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、EO変性p-クミルフェノールの(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、EO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、PO変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート等の芳香族環構造を含む(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;片末端メタクリルシロキサンモノマー等が挙げられる。
当該単官能モノマーの市販品としては、例えば、アロニックスM101、M102、M110、M111、M113、M117、M5700、TO-1317、M120、M150、M156(以上、東亞合成株式会社製);MEDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、MMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、LA、IBXA、2-MTA、HPA、ビスコート#150、#155、#158、#190、#192、#193、#220、#2000、#2100、#2150(以上、大阪有機化学工業株式会社製);ライトアクリレートBO-A、EC-A、DMP-A、THF-A、HOP-A、HOA-MPE、HOA-MPL、HOA(N)、PO-A、P-200A、NP-4EA、NP-8EA、IB-XA、エポキシエステルM-600A(以上、共栄社化学株式会社製);KAYARAD TC110S、R-564、R-128H(以上、日本化薬株式会社製);NKエステルAMP-10G、AMP-20G(以上、新中村化学工業株式会社製);FA-511A、FA-512A、FA-513A、FA-BZA(以上、日立化成株式会社製);PHE、CEA、PHE-2、PHE-4、BR-31、BR-31M、BR-32(以上、第一工業製薬株式会社製);VP(BASF製);ACMO、DMAA、DMAPAA(以上、KJケミカルズ株式会社製);X-22-2404(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。
2つの重合性官能基を有する光重合性化合物(2官能モノマー)としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
当該2官能モノマーの市販品としては、例えば、ライトアクリレート3EG-A、4EG-A、9EG-A、NP-A、DCP-A、BP-4EAL、BP-4PA(以上、共栄社化学株式会社製);APG-100、APG-200、APG-400、APG-700(新中村化学株式会社製)等が挙げられる。
3つ以上の重合性官能基を有する光重合性化合物としては、光重合性シロキサン化合物、光重合性シルセスキオキサン化合物、3つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマー等が挙げられる。
光重合性シロキサン化合物としては、例えば、分子内にアルコキシシリル基と重合性官能基とを有する化合物が挙げられる。
当該光重合性シロキサン化合物の市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製の製品名「KR-513」、「X-40-9296」、「KR-511」、「X-12-1048」、「X-12-1050」等が挙げられる。
光重合性シルセスキオキサン化合物としては、主鎖骨格がSi-O結合からなる、次の化学式:[(RSiO3/2](式中、Rは有機基を表し、nは自然数を表す。)で表される化合物が挙げられる。
Rは、1価の有機基を示し、1価の有機基としては、置換基を有してもよい1価の炭化水素基が挙げられる。この炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2-エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~20のアルキル基が挙げられ、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。
芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、トリル基、スチリル基等の炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
1価の炭化水素基が有してもよい置換基としては、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、イソシアナト基、アミノ基、ウレイド基等が挙げられる。また、1価の炭化水素基に含まれる-CH-は、-O-、-S-、カルボニル基等に置き換わっていてもよい。
但し、光重合性シルセスキオキサン化合物は、3つ以上の重合性官能基を有する。ここでの重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基等が挙げられる。
化学式:[(RSiO3/2]で表される化合物は、カゴ型、ハシゴ型又はランダム型のいずれでもよい。カゴ型のシルセスキオキサン化合物は、完全なカゴ型であってもよいし、カゴの一部が開いているような不完全なカゴ型でもよい。
当該光重合性シルセスキオキサン化合物の市販品としては、例えば、東亜合成株式会社製の製品名「MAC-SQ LP-35」、「MAC-SQ TM-100」、「MAC-SQ SI-20」、「MAC-SQ HDM」等が挙げられる。
3つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマーとしては、例えば、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリアクリレート、トリス-(2-ヒドロキシエチル)-イソシアヌレートトリメタクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO,PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー;ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の4官能モノマー;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の5官能以上のモノマー等が挙げられる。
当該多官能モノマーの市販品としては、例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名「A-9300-1CL」、「AD-TMP」、「A-9550」、「A-DPH」、日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTMP-A」等が挙げられる。
また、(B)成分には、上記以外の市販品として、例えば、新中村化学工業株式会社製の製品名「NKオリゴEA-1010NT2」、「NKエステルA-BPML」等も用いることができる。
(B)成分は、光重合性硫黄化合物(以下、(BS)成分ともいう)であってもよい。「光重合性硫黄化合物」とは、分子中に硫黄原子を含む光重合性化合物である。すなわち、光重合性硫黄化合物は、硫黄原子を含み、且つ重合性官能基を有するモノマーである。
(BS)成分としては、例えば、ジアリールスルフィド骨格を有する化合物が挙げられる。ジアリールスルフィド骨格を有する化合物とては、例えば、下記一般式(bs-1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2022165788000002

[式中、R11~R14及びR21~R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表し、Rは、重合性官能基を表す。]
前記式(bs-1)中、R11~R14及びR21~R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。
前記アルキル基は、炭素数1~10が好ましく、炭素数1~6がより好ましく、炭素数1~4がさらに好ましく、炭素数1~3が特に好ましい。
前記アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状が好ましい。
直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基等が挙げられる。分岐鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。中でも、前記アルキル基は、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
前記R11~R14及びR21~R24におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。前記ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。
11~R14及びR21~R24は、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
前記式(bs-1)中、Rは、重合性官能基を表す。
重合性官能基としては、前記で挙げたものと同様のものが挙げられる。中でも、重合性官能基としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
は、アクリロイル基、又はメタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基、又はメタクリロイル基がより好ましい。
(BS)成分としては、例えば、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(4-アクリロイルチオフェニル)スルフィドが挙げられる。中でも、(BS)成分としては、ビス(4-メタクリロイルチオフェニル)スルフィドが好ましい。
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(B)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分としては、多官能光重合性化合物を含むことが好ましく、3つ以上の重合性官能基を有する多官能モノマーを含むことがより好ましい。当該多官能光重合性化合物を含むことにより、ナノインプリント用組成物を用いて硬化膜を形成する際、硬化がより促進し、硬化膜の応力耐性を高められやすくなる。
あるいは、(B)成分としては、多官能光重合性化合物と単官能モノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。これらを組み合わせて用いることにより、ナノインプリント用組成物を用いて硬化膜を形成する際、硬化がより促進し、硬化膜の応力耐性を高められやすくなる。
本実施形態のナノインプリント用組成物における(B)成分の含有量は、前記(R)成分と(B)成分との合計含有量100質量部に対し、50質量部以下であり、20~50質量部であることが好ましく、20~40質量部がより好ましく、20~35質量部がさらに好ましく、20~30質量部が特に好ましい。
(B)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の強度が高められ、また、高屈折率化も図られやすくなる。一方、(B)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、ナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜の、応力への耐性が向上する。
<(C)成分>
(C)成分は、光ラジカル重合開始剤である。
(C)成分には、露光により前記(R)成分及び前記(B)成分の重合を開始させ、又は重合を促進させる化合物が用いられる。
(C)成分としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾル-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン;メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、ビス(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド類;p-メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類;2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド類;1,1-ビス(t-ブチルパ-オキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどのパーオキシケタール類;t-ブチルパ-オキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルパーオキシネオデカノエートなどのパーオキシエステル類;ジn-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート類;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチレートなどのアゾ化合物類等が挙げられる。
上記のなかでも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンが好ましい。
(C)成分には、市販品を入手して用いることができる。
(C)成分の市販品としては、BASF社製の製品名「IRGACURE 907」、BASF社製の製品名「IRGACURE 369」、BASF社製の製品名「IRGACURE 819」;IGM Resins B.V.社製の製品名「Omnirad 184」、「Omnirad 651」、「Omnirad 819」、「Omnirad 184」等が挙げられる。
(C)成分は、分子量が小さい方が好ましい。(C)成分の分子量が小さいと、ヘイズがより低減される傾向がある。(C)成分の分子量は、例えば、500以下が好ましく、400以下がより好ましく、350以下がさらに好ましく、300以下が特に好ましい。(C)成分の分子量の下限値は、特に限定されないが、100以上、150以上、又は200以上が挙げられる。(C)成分に分子量は、例えば、100~500とすることができ、150~500が好ましく、150~400がより好ましく、150~350がさらに好ましく、150~300が特に好ましい。
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のナノインプリント用組成物における(C)成分の含有量は、前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対し、1~20質量部であることが好ましく、2~15質量部がより好ましく、5~15質量部がさらに好ましい。
(C)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、ヘイズを低減することが可能となりやすく、また、高屈折率を維持しやすい。一方、(C)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、硬化膜の高屈折率を良好に維持することができる。
<(S1)成分>
(S1)成分は、前記(R)成分及び前記(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分である。
「(R)成分及び(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分」とは、(R)成分と相溶し、(B)成分とも相溶し、さらに、(R)成分と(B)成分との混合物とも相溶する溶剤成分をいう。(S1)成分は、1種単独からなる溶剤でもよいし、2種以上の混合溶剤でもよい。
また、「(S1)成分と相溶する」とは、25℃の(S1)成分100gに5g以上溶けることをいう。
(S1)成分は、1種単独からなる溶剤(以下「(S11)成分」という)の場合、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコール等の低級アルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン化合物などが挙げられる。
(S1)成分は、2種以上の混合溶剤の場合、例えば、前記(S11)成分として例示したものと、これ以外の溶剤(以下「(S2)成分」という)との混合溶剤が挙げられる。
前記(S2)成分としては、例えば、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物;前記エステル結合を有する化合物、又は多価アルコール類のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等の、エーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
(S1)成分が(S11)成分と(S2)成分とからなる混合溶剤である場合、(S11)成分の含有量は、前記(S1)成分の合計含有量100質量%に対し、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。
(S11)成分の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、硬化物における、可視光域でのヘイズ低減がより図られやすくなる。
(S1)成分は、(R)成分及び(B)成分との相溶性の点から、前記(S11)成分を含むことが好ましく、低級アルコール化合物を含むことがより好ましく、この中でも、メタノール、エタノール及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種の溶剤(S11a)を含むことがさらに好ましい。
前記溶剤(S11a)の含有量は、前記(S1)成分の合計含有量100質量%に対し、20質量%以上であることが好ましく、100質量%であってもよい。
前記溶剤(S11a)の含有量が、前記の好ましい範囲の下限値以上であると、硬化物における、可視光域でのヘイズ低減がより図られやすくなる。
(S1)成分の使用量は、特に限定されず、ナノインプリント用組成物の塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。例えば、前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対して、100~500質量部程度となるように用いることができる。
<任意成分>
実施形態のナノインプリント用組成物には、(R)成分、(B)成分、(C)成分及び(S1)成分に加えて、これら以外の成分(任意成分)を含有してもよい。
かかる任意成分としては、例えば、金属酸化物ナノ粒子((X)成分;但し、前記(R)成分に該当するものを除く)、界面活性剤((E)成分)、(S1)成分以外の溶剤成分、混和性のある添加剤(例えば、劣化防止剤、離型剤、希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、難燃剤、可塑剤及びその他硬化膜の特性を改良するための添加剤等)等が挙げられる。
≪金属酸化物ナノ粒子:(X)成分≫
(X)成分は、金属酸化物ナノ粒子である。
「ナノ粒子」とは、ナノメートルオーダー(1000nm未満)の体積平均一次粒子径を有する粒子を意味する。金属酸化物ナノ粒子とは、ナノメートルオーダーの体積平均一次粒子径を有する金属酸化物粒子である。
前記体積平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定した値である。
(X)成分の体積平均一次粒子径は、100nm以下であることが好ましい。(X)成分の体積平均一次粒子径は、0.1~100nmであることが好ましく、1~60nmであることがより好ましく、1~50nmであることがさらに好ましく、1~45nmであることがさらにより好ましく、1~40nmであることが特に好ましい。加えて、(X)成分の体積平均一次粒子径は、5~30nm、5~25nm、又は5~30nmであることがさらに好ましい。
(X)成分の体積平均一次粒子径が上記好ましい範囲内であることにより、ナノインプリント用組成物中において金属酸化物ナノ粒子が良好に分散する。また、屈折率が良好となる。
(X)成分としては、市販の金属酸化物ナノ粒子を用いることができる。金属酸化物としては、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)又はマグネシウム(Mg)の酸化物粒子が挙げられる。なかでも、(X)成分としては、屈折率の観点から、チタニア(TiO)ナノ粒子又はジルコニア(ZrO)ナノ粒子が好ましい。
(X)成分としては、市販の金属酸化物ナノ粒子を用いることができる。
市販のチタニアナノ粒子としては、例えば、石原産業(株)製TTOシリーズ(TTO-51(A)、TTO-51(C)など)、TTO-S、Vシリーズ(TTO-S-1、TTO-S-2、TTO-V-3など);石原産業(株)製チタニアゾルLDB-014-35、テイカ(株)製MTシリーズ(MT-01、MT-05、MT-100SA、MT-500SAなど)、NS405;日揮触媒化成(株)製ELECOM V-9108、堺化学工業(株)製STR-100A-LPなどが挙げられる。
市販のジルコニアナノ粒子としては、例えば、UEP(第一稀元素化学工業(株)製)、UEP-100(第一稀元素化学工業(株)製);PCS(日本電工(株)製);JS-01、JS-03、JS-04(日本電工(株)製)などが挙げられる。
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(X)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
≪界面活性剤:(E)成分≫
本実施形態のナノインプリント用組成物は、塗布性等を調整するため、界面活性剤((E)成分)を含有してもよい。
(E)成分としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤には、例えばBYK-077、BYK-085、BYK-300、BYK-301、BYK-302、BYK-306、BYK-307、BYK-310、BYK-320、BYK-322、BYK-323、BYK-325、BYK-330、BYK-331、BYK-333、BYK-335、BYK-341、BYK-344、BYK-345、BYK-346、BYK-348、BYK-354、BYK-355、BYK-356、BYK-358、BYK-361、BYK-370、BYK-371、BYK-375、BYK-380、BYK-390(以上、BYK Chemie社製)等を用いることができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えばF-114、F-177、F-410、F-411、F-450、F-493、F-494、F-443、F-444、F-445、F-446、F-470、F-471、F-472SF、F-474、F-475、F-477、F-478、F-479、F-480SF、F-482、F-483、F-484、F-486、F-487、F-172D、MCF-350SF、TF-1025SF、TF-1117SF、TF-1026SF、TF-1128、TF-1127、TF-1129、TF-1126、TF-1130、TF-1116SF、TF-1131、TF-1132、TF-1027SF、TF-1441、TF-1442(以上、DIC株式社製);ポリフォックスシリーズのPF-636、PF-6320、PF-656、PF-6520(以上、オムノバ社製)等を用いることができる。
本実施形態のナノインプリント用組成物中、(E)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のナノインプリント用組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対して、0.01~3質量部であることが好ましく、0.02~1質量部がより好ましく、0.03~0.5質量部がさらに好ましい。
(E)成分の含有量が、前記の好ましい範囲内であると、ナノインプリント用組成物の塗布性が良好となる。
本実施形態のナノインプリント用組成物を用いて形成した膜厚600nmの硬化膜は、通常、ASTM D1003に準拠して測定されるヘイズ値が0.1%以下である。
本実施形態のナノインプリント用組成物は、このような低いヘイズ値の硬化膜を形成できるため、3DセンサーやAR(拡張現実)グラスのAR導波路等の高い透明度が要求される用途にも好適に用いることができる。
硬化膜のヘイズ値は、ASTM D1003に準拠したヘイズメーターにより測定することができる。
本実施形態のナノインプリント用組成物を用いて形成した膜厚2μmの硬化膜は、通常、ISO14577に準拠して測定されるヤング率が3.0GPa以上である。
本実施形態のナノインプリント用組成物は、このような高いヤング率の硬化膜を形成できるため、モールド離型時に発生する応力への耐性を高めることができる。
硬化膜のヤング率は、ISO14577に準拠した試験方法により測定することができる。
また、本実施形態のナノインプリント用組成物を用いて形成した硬化膜は、屈折率を高められ、例えば波長530nmにおける屈折率が好ましくは1.70以上である。
硬化膜の屈折率は、分光エリプソメーターにより測定することができる。
以上説明した本実施形態のナノインプリント用組成物は、(R)成分:不飽和酸金属塩と、(B)成分:光重合性化合物(但し、前記(R)成分に該当するものを除く)と、(C)成分:光ラジカル重合開始剤と、(S1)成分:前記(R)成分及び前記(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分と、を含有する。加えて、前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対し、前記(R)成分の含有量が50質量部以上である。本実施形態のナノインプリント用組成物では、特定量の(R)成分を(B)成分と組み合わせて用い、かつこれら2成分に対して相溶性を有する溶剤成分を併用することにより、パターン形成の際の微細パターン転写性が良好であり、並びに、硬化物における、応力耐性の向上及び可視光域でのヘイズ低減をより図ることができる。
ナノインプリントプロセスにおいては、微細で複雑なパターンになるほど、モールド離型時に、インプリント材料に発生する応力は増大する。本実施形態のナノインプリント用組成物においては、特定量の(R)成分が採用されていることで、前記応力への耐性が高められる。このため、モールド離型性が改善して、パターン形成の際の微細パターン転写性が向上する。
また、本実施形態のナノインプリント用組成物においては、(R)成分と(B)成分とを組み合わせることで、光硬化性膜中での金属イオン結合により、(B)成分単体で形成される光硬化性膜に比べて膜密度がより高められる。このため、硬化物の強度が高まり、発生する応力への耐性が向上する。また、硬化物の高屈折率化も図られる。
さらに、本実施形態のナノインプリント用組成物においては、溶剤成分として、(R)成分及び(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分を採用している。このため、配合成分がより均一に混ざり合った硬化膜を形成可能であり、ヘイズの低減が図られる。
このように、本実施形態のナノインプリント用組成物によれば、離型時の応力への耐性に加え、良好な微細パターン転写性、及び可視光域でのヘイズの低減をいずれも満足したパターン形成を実現することができる。
かかる本実施形態のナノインプリント用組成物を適用することにより、パターン形成の際の微細パターン転写性が良好であり、膜厚2μmの硬化膜のヤング率が3.0GPa以上、かつ膜厚600nmの硬化膜のヘイズ値が0.1%以下である、微細パターンを容易に形成することができる。
(パターン形成方法)
本発明の第2の態様のパターン形成方法は、基板上に、上述した第1の態様のナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程(以下「工程(i)」という)と、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程(以下「工程(ii)」という)と、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程(以下「工程(iii)」という)と、前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程(以下「工程(iv)」という)と、を有する。
図1は、パターン形成方法の一実施形態を説明する概略工程図である。
[工程(i)]
工程(i)では、基板上に、上述した第1の態様のナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する。
図1(A)に示すように、基板1に、上述した第1の態様のナノインプリント用組成物を塗布し、光硬化性膜2を形成する。尚、図1(A)においては、光硬化性膜2の上空にモールド3が配置されている。
基板1は、種々の用途によって選択可能であり、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコン、窒化シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が挙げられる。
また、基板1の形状は、特に限定されるものではなく、板状でもよいし、ロール状でもよい。また、基板1としては、モールドとの組み合わせ等に応じて、光透過性、又は非光透過性のものを選択することができる。
基板1にナノインプリント用組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、スプレー法、インクジェット法、ロールコート法、回転塗布法等が挙げられる。
光硬化性膜2は、その後に行われてもよい基板1のエッチング工程でマスクとして機能するため、基板1に塗布されたときの膜厚が均一であることが好ましい。この点から、基板1にナノインプリント用組成物を塗布する際には、スピンコート法が好適である。
光硬化性膜2の膜厚は、用途によって適宜選択すればよく、例えば、0.05~30μm程度とすればよい。
[工程(ii)]
工程(ii)では、凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する。
図1(B)に示すように、光硬化性膜2が形成された基板1に、表面に微細な凹凸パターンを有するモールド3を、光硬化性膜2に対向して押し当てる。これにより、光硬化性膜2を、モールド3の凹凸構造に合わせて変形させる。
モールド3の押圧時の光硬化性膜2に対する圧力は、10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましく、1MPa以下が特に好ましい。
モールド3を光硬化性膜2に押圧することにより、モールド3の凸部に位置するナノインプリント用組成物がモールド3の凹部の側に容易に押しのけられ、モールド3の凹凸構造が光硬化性膜2に転写される。
モールド3が有する凹凸パターンは、例えば、フォトリソグラフィや電子線描画法等によって、所望する加工精度に応じて形成できる。
モールド3は、光透過性モールドが好ましい。光透過性モールドの材料は、特に限定されないが、所定の強度、耐久性を有するものであればよい。具体的には、ガラス、石英、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂などの光透明性樹脂膜、透明金属蒸着膜、ポリジメチルシロキサンなどの柔軟膜、光硬化膜、金属膜等が例示される。
[工程(iii)]
工程(iii)では、前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、樹脂硬化膜を形成する。
図1(C)に示すように、モールド3を光硬化性膜2に押圧した状態で、凹凸パターンが転写された光硬化性膜2に露光を行う。具体的には、紫外線(UV)などの電磁波が光硬化性膜2に照射される。露光により、モールド3が押圧された状態で光硬化性膜2が硬化し、モールド3の凹凸パターンが転写された硬化膜(硬化パターン)が形成される。
なお、図1(C)におけるモールド3は、電磁波に対して透過性を有する。
光硬化性膜2を硬化させるために用いられる光は、特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、近紫外線、遠紫外線、可視光線、赤外線等の領域の波長の光又は放射線が挙げられる。放射線には、例えばマイクロ波、EUV、LED、半導体レーザー光、または248nmのKrFエキシマレーザー光もしくは193nmのArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
[工程(iv)]
工程(iv)では、前記硬化膜から前記モールドを剥離する。
図1(D)に示すように、硬化膜からモールド3を剥離する。これにより、凹凸パターンが転写された硬化膜からなるパターン2’(硬化パターン)が基板1上にパターニングされる。
以上説明した本実施形態のパターン形成方法においては、上述した第1の態様のナノインプリント用組成物を用いるため、パターン形成の際の微細パターン転写性が良好であり、応力耐性の向上が図られ、且つ可視光域でのヘイズが低減されたパターンを形成することができる。
本実施形態においては、モールド3の光硬化性膜2と接する面31に、離型剤を塗布してもよい(図1(A))。これにより、モールドと硬化膜との離型性を高められる。
ここでの離型剤としては、例えば、シリコン系離型剤、フッ素系離型剤、ポリエチレン系離型剤、ポリプロピレン系離型剤、パラフィン系離型剤、モンタン系離型剤、カルナバ系離型剤等が挙げられる。これらの中でも、フッ素系離型剤が好ましい。例えば、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSX等の市販の塗布型離型剤を好適に用いることができる。離型剤は、一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を併用してもよい。
また、本実施形態においては、基板1と光硬化性膜2との間に有機物層を設けてもよい。これにより、光硬化性膜2及び有機物層をマスクとして基板1をエッチングすることで、基板1上に所望のパターンを簡便かつ確実に形成することができる。
有機物層の膜厚は、基板1が加工(エッチング)される深さに応じて適宜調整すればよく、例えば0.02~2.0μmが好ましい。有機物層の材料は、ナノインプリント用組成物に比べて酸素系ガスに対するエッチング耐性が低く、かつ、基板1よりもハロゲン系ガスに対するエッチング耐性が高いものが好ましい。有機物層を形成する方法は、特に限定されないが、例えばスパッタ法やスピンコート法が挙げられる。
第2の態様のパターン形成方法は、工程(i)~(iv)に加えて、さらに、その他の工程(任意工程)を有してもよい。
任意工程としては、エッチング工程(工程(v))、エッチング処理後の硬化膜(硬化パターン)除去工程(工程(vi))等が挙げられる。
[工程(v)]
工程(v)では、例えば、上述の工程(i)~(iv)で得られたパターン2’をマスクとして基板1をエッチングする。
図2(E)に示すように、パターン2’が形成された基板1に対して、プラズマおよび反応性イオンの少なくとも一方を照射すること(矢印で図示)により、パターン2’側に露出した基板1部分を、所定深さまでエッチングにより除去する。
工程(v)で使用されるプラズマまたは反応性イオンのガスは、ドライエッチング分野で通常用いられているガスであれば、特に限定されるものではない。
[工程(vi)]
工程(vi)では、工程(v)におけるエッチング処理後に残存する硬化膜を除去する。
図2(F)に示すように、基板1のエッチング処理後、基板1上に残存する硬化膜(パターン2’)を除去する工程である。
基板1上に残存する硬化膜(パターン2’)を除去する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、硬化膜が溶解する溶液を用いて基板1を洗浄する処理等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<ナノインプリント用組成物の調製>
(実施例1~23、比較例1~22)
表1~4に示す各成分を配合して、各例のナノインプリント用組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2022165788000003
Figure 2022165788000004
Figure 2022165788000005
Figure 2022165788000006
表1~4中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
・(R)成分(不飽和酸金属塩)
(R)-1:アクリル酸亜鉛(CAS番号14643-87-9)、株式会社日本触媒製、製品名「ZN-DA100」。
・(B)成分(光重合性化合物)
(B)-1:多官能アクリレート、日本化薬株式会社製、製品名「KAYARAD DPHA」。
(B)-2:トリメチロルプロパントリアクリレート(CAS番号15625-89-5)、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTMP-A」。
(B)-3:ジプロピレングリコールジアクリレート(CAS番号57472-68-1)、新中村化学株式会社製、製品名「APG-100」。
(B)-4:テトラヒドロフルフリルアクリレート(CAS番号2399-48-6)、共栄社化学株式会社製、製品名「ライトアクリレートTHF-A」。
(B)-5:アクリロイルモルフォリン(CAS番号5117-12-4)、KJケミカルズ株式会社製、製品名「ACMO」。
・(C)成分(光ラジカル重合開始剤)
(C)-1:2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、IGM Resins B.V.社製、製品名「Omnirad 651」。分子量256.3。
・(S1)成分((R)成分及び(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分)
(S1)-1:メタノール
(S1)-2:エタノール
(S1)-3:プロピレングリコール
(S1)-4:メタノール/PGME=46.6/186.4(質量比)の混合溶剤
(S1)-5:メタノール/PGMEA=46.6/186.4(質量比)の混合溶剤
(S1)-6:エタノール/PGME=46.6/186.4(質量比)の混合溶剤
(S1)-7:エタノール/PGMEA=46.6/186.4(質量比)の混合溶剤
(S1)-8:プロピレングリコール/PGME=46.6/186.4(質量比)の混合溶剤
(S1)-9:プロピレングリコール/PGMEA=46.6/186.4(質量比)の混合溶剤
・(S2)成分((S1)成分以外の溶剤成分)
(S2)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
(S2)-2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
(S2)-3:メタノール/PGME=30/203(質量比)の混合溶剤
(S2)-4:メタノール/PGMEA=30/203(質量比)の混合溶剤
(S2)-5:エタノール/PGME=30/203(質量比)の混合溶剤
(S2)-6:プロピレングリコール/PGME=30/203(質量比)の混合溶剤
・(E)成分(界面活性剤)
(E)-1:フッ素系界面活性剤、OMNOVA社製、製品名「PolyFox PF656」。
<評価(1)>
各例のナノインプリント用組成物に配合する(R)成分及び(B)成分と、溶剤成分との相溶性を、以下に示す方法により評価した。
[相溶性]
25℃の溶剤成分((S1)成分又は(S2)成分)100gに、表1~4に示す配合比で混合した(R)成分及び(B)成分の混合物、(R)成分、(B)成分がそれぞれ5g以上溶けるか、を確認することにより、相溶性について評価した。
かかる相溶性の評価は、目視での透明度変化、及び沈殿物の有無を、調製時と24時間静置後とを比較して行った。
相溶性の評価結果から、実施例1~23のナノインプリント用組成物に配合する(R)成分及び(B)成分と、溶剤成分である(S1)成分との相溶性は良好であった。
比較例1~8、19~21のナノインプリント用組成物に配合する(R)成分及び(B)成分と、溶剤成分である(S2)成分との相溶性は不良であった。
比較例9~18のナノインプリント用組成物に配合する(R)成分及び(B)成分と、溶剤成分である(S1)成分との相溶性は良好であった。
比較例22のナノインプリント用組成物に配合する(B)成分と、溶剤成分である(S2)成分との相溶性は良好であった。
<評価(2)>
各例のナノインプリント用組成物について、以下に示す各方法により、インプリント転写性、硬化膜のヤング率及びヘイズを評価した。これらの結果を表5~6に示す。
[硬化膜の形成]
ナノインプリント用組成物をシリコン基板上に膜厚600nmになるように調整してスピンコート塗布した。
次いで、プレベークを100℃で1分間行い、東芝機械社製インプリント装置ST-200を用いて、転写圧力0.5MPa、転写時間30秒、露光量1J/cm(真空200Pa雰囲気下)で転写試験を行った。
モールドは、綜研化学社製標準フィルムモールドLSP70-140(70nm Line&Space)を使用した。
なお、転写試験において、光硬化性膜を露光した結果、硬化性が不充分であったものを「硬化不良」と判定し、以下の評価については実施をしなかった。
[インプリント転写性]
前記転写試験を行い、微細パターンの転写性、及び、充填性を下記基準に従って評価した。
良好:転写パターンの充填率が95%以上
不良:転写パターンの充填率が95%未満
転写パターンの充填率は、70nm Line&Spaceのパターンを形成した後、その断面SEM像の観察により、モールドの形状から欠けることなく転写できているパターンの比率より求めた。
[ヤング率]
ナノインプリント用組成物を、Eagle XGガラス基板上に、膜厚2μmの硬化膜になるように調整してスピンコート塗布した。次いで、プレベークを100℃で1分間行い、東芝機械社製インプリント装置ST-200を用いて、露光量1J/cm(真空200Pa雰囲気下)で光硬化処理を行い、硬化膜を得た。
得られた膜厚2μmの硬化膜について、ISO14577に準拠し、株式会社フィッシャー・インストルメンツ製フィッシャースコープHM2000を用いて、圧力1mN、測定時間20秒間の条件によりヤング率(GPa)を測定した。
[ヘイズ]
ナノインプリント用組成物を、Eagle XGガラス基板上に、膜厚600nmの硬化膜になるように調整してスピンコート塗布した。次いで、プレベークを100℃で1分間行い、東芝機械社製インプリント装置ST-200を用いて、露光量1J/cm(真空200Pa雰囲気下)で光硬化処理を行い、硬化膜を得た。
得られた膜厚600nmの硬化膜について、ASTM D1003に準拠し、日本電色工業株式会社製へイズメーターCOH7700を用いて、光源illumination C(380~780nm)でヘイズ(%)を測定した。
Figure 2022165788000007
Figure 2022165788000008
表5~6の結果から、本発明を適用した実施例1~23のナノインプリント用組成物は、インプリント転写性が良好であり、かつ、形成された硬化膜は、ヤング率が3.0GPa以上であり、充分な応力耐性を有していた。加えて、ヘイズ値は、0.1%以下に低減されていた。
一方、比較例のナノインプリント用組成物について、比較例1~4、20、21のナノインプリント用組成物は、各成分を配合して調製する時点で、溶解せずに濁っていた。
比較例5~8のナノインプリント用組成物は、インプリント転写性が良好であり、かつ、ヤング率が3.0GPa以上であったものの、ヘイズが劣るものであった。
比較例9~16、22のナノインプリント用組成物は、インプリント転写性が良好であり、かつ、ヘイズ値が0.1%以下に低減されていたものの、ヤング率が3.0GPa未満であり、応力耐性が劣るものであった。
比較例17~19のナノインプリント用組成物は、硬化膜の形成において、硬化不良であった。
これらの結果から、実施例のナノインプリント用組成物は、パターン形成の際の微細パターン転写性が良好であり、並びに、硬化物における、応力耐性の向上及び可視光域でのヘイズ低減をより図ることができることが確認された。
1 基板、2 光硬化性膜、3 モールド

Claims (6)

  1. (R)成分:不飽和酸金属塩と、
    (B)成分:光重合性化合物(但し、前記(R)成分に該当するものを除く)と、
    (C)成分:光ラジカル重合開始剤と、
    (S1)成分:前記(R)成分及び前記(B)成分に対して相溶性を有する溶剤成分と、
    を含有し、
    前記(R)成分と前記(B)成分との合計含有量100質量部に対し、前記(R)成分の含有量が50質量部以上である、ナノインプリント用組成物。
  2. 前記(S1)成分は、メタノール、エタノール及びプロピレングリコールからなる群より選択される少なくとも一種の溶剤(S11a)を含み、
    前記溶剤(S11a)の含有量は、前記(S1)成分の合計含有量100質量%に対し、20質量%以上である、請求項1に記載のナノインプリント用組成物。
  3. 前記(B)成分は、多官能光重合性化合物を含む、請求項1又は2に記載のナノインプリント用組成物。
  4. 前記ナノインプリント用組成物を用いて形成した膜厚600nmの硬化膜の、ASTM D1003に準拠して測定されるヘイズ値が0.1%以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載のナノインプリント用組成物。
  5. 前記ナノインプリント用組成物を用いて形成した膜厚2μmの硬化膜の、ISO14577に準拠して測定されるヤング率が3.0GPa以上である、請求項3又は4に記載のナノインプリント用組成物。
  6. 基板上に、請求項1~5のいずれか一項に記載のナノインプリント用組成物を用いて光硬化性膜を形成する工程と、
    凹凸パターンを有するモールドを、前記光硬化性膜に押圧して、前記光硬化性膜に前記凹凸パターンを転写する工程と、
    前記モールドを前記光硬化性膜に押圧しつつ、前記凹凸パターンが転写された光硬化性膜を露光して、硬化膜を形成する工程と、
    前記硬化膜から前記モールドを剥離する工程と、
    を有する、パターン形成方法。
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