JP2022165092A - 蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法 - Google Patents

蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マスク板と蒸着対象との間の距離の拡張を抑えることができる。【解決手段】蒸着マスクは、マスクフレームとマスク板21とを備える。マスク板21は、複数のマスク孔が位置するマスク領域と、マスク領域を囲む周辺領域とを備える。周辺領域は、溶着痕を含む。マスク板21の第2面に直交する断面において、第2面の平坦部が含まれる平面が基準面RPである。溶着痕は、基準面RPに対して窪む第1凹部21WR1と、第1凹部21WR1の底部からさらに窪む第2凹部21WR2と、第1凹部21WR1の縁において基準面RPから隆起した第1隆起部21WP1とを含む。基準面RPと第1隆起部21WP1との間の距離における最大値MX1が、1.0μm以下である。【選択図】図5

Description

本発明は、蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法に関する。
有機EL表示装置の製造において、有機EL表示素子が備える有機発光層の形成には、真空蒸着が用いられている。真空蒸着によって有機発光層を形成する際には、所定の形状を有した有機発光層を蒸着対象における所定の位置に形成するために、蒸着マスクが用いられている。蒸着マスクは、複数のマスク板と、マスクフレームとを備えている。各マスク板は、複数のマスク孔が形成された金属箔である。複数のマスク孔は、有機発光層の形状および配置に応じた形状および配置を有している。マスクフレームは、マスクフレームに取り付けられたマスク部に対して蒸着材料を到達させるためのフレーム孔を有している。各マスク板は、互いに異なる1つのフレーム孔を塞ぐように、マスクフレームに溶接される(例えば、特許文献1を参照)。
国際公開第2019/054462号
ところで、マスク板をマスクフレームに溶接する際には、マスク板が備える一対の面のうち、マスクフレームに接する面とは反対側の面に向けてレーザー光線が照射される。マスク板にレーザー光線が照射されると、レーザー光線のエネルギーが与えられた部分が窪み、これにより、当該窪みの回りが盛り上がることによって隆起部が形成される。マスク板において、マスクフレームに接する面とは反対側の面は、蒸着対象に対向する面であるから、当該面に隆起部が位置することによって、蒸着対象に形成されるパターンの精度が低下する程度に、マスク板と蒸着対象とが離間する場合がある。
上記課題を解決するための蒸着マスクは、フレーム孔を画定する枠状を有したマスクフレームと、第1面、第2面、および、前記第1面と前記第2面との間を貫通する複数のマスク孔を備えるマスク板であって、前記複数のマスク孔が位置するマスク領域と、前記マスク領域を囲む周辺領域とを備え、前記第1面が前記マスクフレームに接した状態で、前記フレーム孔を覆うように前記周辺領域において前記マスクフレームに溶接された前記マスク板と、を備える。前記周辺領域は、溶着痕を含む。前記第2面に直交する断面において、前記第2面の平坦部が含まれる平面が基準面である。前記溶着痕は、前記基準面に対して窪む第1凹部と、前記第1凹部の底部からさらに窪む第2凹部と、前記第1凹部の縁において前記基準面から隆起した隆起部と、を含む。前記基準面と前記隆起部との間の距離における最大値が、1.0μm以下である。
上記課題を解決するための蒸着マスクの製造方法は、第1面と第2面とを有する金属板に、前記第1面と前記第2面との間を貫通する複数のマスク孔を形成することによって、前記複数のマスク孔が位置するマスク領域と、前記マスク領域を含む周辺領域とを備えるマスク板を形成すること、フレーム孔を画定する枠状を有したマスクフレームを形成すること、および、前記マスク板を前記マスクフレームに密着させた状態で、前記フレーム孔を覆うように前記周辺領域をレーザー溶接によって前記マスクフレームに溶接すること、を含む。前記溶接することは、前記マスク板に溶着痕を形成することを含む。前記第2面に直交する断面において、前記第2面の平坦部が含まれる平面が基準面である。前記溶着痕は、前記基準面に対して窪む第1凹部と、前記第1凹部の底部からさらに窪む第2凹部と、前記第1凹部の縁において前記基準面から隆起した隆起部と、を含む。前記基準面と前記隆起部との間の距離における最大値が、1.0μm以下である。
上記課題を解決するための表示装置の製造方法は、上記蒸着マスクの製造方法によって製造された蒸着マスクを用いて蒸着対象にパターンを形成すること、を含む。
上記蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法によれば、蒸着マスクの平坦部から突き出た第1隆起部の高さが1.0μm以下である。そのため、蒸着対象がバンクを備える場合には、蒸着マスクが蒸着対象に接する場合および近接する場合の両方において、マスク板と被蒸着面との間の距離が第1隆起部によって拡張されない。そのため、蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。あるいは、蒸着対象がバンクを備えない場合にも、第1隆起部の高さが1.0μm以下であれば、マスク板と被蒸着面との間の距離が十分に小さくなるから、蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。
上記蒸着マスクにおいて、前記隆起部は、第1隆起部であり、前記溶着痕は、前記第2凹部の縁において前記第1凹部の前記底部から隆起した第2隆起部をさらに含み、前記第1凹部の前記底部と前記第1隆起部との間の距離における最大値が、前記第1凹部の前記底部と前記第2隆起部との間の距離における最大値以上であってもよい。
上記蒸着マスクによれば、第2隆起部が第1隆起部よりも突出しないから、第2隆起部がマスク板と蒸着対象の被蒸着面との間の距離を拡張させることが抑えられる。そのため、蒸着マスクを用いて形成した蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。
上記蒸着マスクにおいて、前記マスク板の厚さが、10μm以下であってもよい。この蒸着マスクによれば、溶着痕を形成するための凹部を形成することができないから、溶着痕が第1凹部、第2凹部、および、第1隆起部を備える構造であることによる効果をより顕著に得ることが可能である。
上記蒸着マスクの製造方法において、前記マスクフレームは、強磁性を有する第1磁性部を含み、前記マスク板は、強磁性を有する第2磁性部を含み、前記溶接することは、前記第2磁性部を前記第1磁性部に磁力によって密着させた状態で、前記マスク板を前記マスクフレームに溶接することを含んでもよい。
上記蒸着マスクの製造方法によれば、マスクフレームに対してマスク板を磁力によって密着させることが可能であるから、マスク板とマスクフレームとの積層体に荷重を印加する場合に比べて、マスクフレームに対してマスク板をより高い密着度合いで密着させることが可能である。
本発明によれば、マスク板と蒸着対象との間の距離の拡張を抑えることができる。
一実施形態の蒸着マスクを含むマスク装置の構造を示す平面図。 図1が示すマスク装置が含む蒸着マスクの構造を示す断面図。 図1が示すマスク装置が含むマスク板の構造を示す断面図。 第2面と対向する視点から見た溶着痕の構造を示す平面図。 第2面と直交する平面に沿う溶着痕の構造を示す端面図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 一実施形態の蒸着マスクの製造方法を説明するための工程図。 蒸着装置の構成を蒸着マスクおよび蒸着対象とともに模式的に示す装置構成図。 実施例1の蒸着マスクが有する溶着痕の測定によって得られた溶着痕の断面における各部の高さを示すグラフ。 実施例2の蒸着マスクが有する溶着痕の測定によって得られた溶着痕の断面における各部の高さを示すグラフ。 実施例3の蒸着マスクが有する溶着痕の測定によって得られた溶着痕の断面における各部の高さを示すグラフ。 比較例1の蒸着マスクが有する溶着痕の測定によって得られた溶着痕の断面における各部の高さを示すグラフ。
図1から図20を参照して、蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法の一実施形態を説明する。
[マスク装置]
図1から図5を参照して、蒸着マスクを備えるマスク装置を説明する。
図1が示すように、マスク装置10は、蒸着マスク11とメインフレーム12とを備えている。蒸着マスク11は、マスク板21とマスクフレーム22とを備えている。マスクフレーム22は、フレーム孔22H(図2参照)を画定する枠状を有している。マスク板21は、複数のマスク孔21Hを備えている。マスク板21は、複数のマスク孔21Hが位置するマスク領域21Aと、マスク領域21Aを囲む周辺領域21Bとを備えている。
蒸着マスク11は、1つ以上のマスク板21を備えることができる。図1が示す例では、蒸着マスク11は、3つのマスク板21を備えている。マスクフレーム22は、マスク板21と同数のフレーム孔22Hを備えている。各マスク板21は、互いに異なる1つのフレーム孔22Hを塞ぐようにマスクフレーム22に溶接されている。
マスク板21は、金属製である。マスク板21は、例えば、鉄‐ニッケル系合金から形成されてよい。鉄‐ニッケル系合金は、36質量%のニッケルと残余部の鉄とを含んでもよい。あるいは、鉄‐ニッケル系合金は、42質量%のニッケルと残余部の鉄とを含んでもよい。鉄‐ニッケル系合金は、ニッケルおよび鉄以外の金属である不純物を含んでもよい。
マスクフレーム22は、マスク板21と同様に金属製である。マスクフレーム22は、マスク板21と同一の材料から形成されてもよいし、マスク板21とは異なる材料から形成されてもよい。マスクフレーム22は、例えば、ステンレス鋼から形成されてもよいし、鉄‐ニッケル系合金から形成されてもよい。鉄‐ニッケル系合金は、36質量%のニッケルと残余部の鉄とを含んでもよい。鉄‐ニッケル系合金は、42質量%のニッケルと残余部の鉄とを含んでもよい。鉄‐ニッケル系合金は、ニッケルおよび鉄以外の金属である不純物を含んでもよい。
メインフレーム12は、メインフレーム孔12Hを画定する枠状を有している。図1が示す例では、メインフレーム12の外形は、長方形状を有している。メインフレーム12は、長方形状のメインフレーム孔12Hを画定している。メインフレーム12は、金属製である。メインフレーム12は、例えば、ステンレス鋼から形成されてもよいし、鉄‐ニッケル系合金から形成されてもよい。鉄‐ニッケル系合金は、36質量%のニッケルと残余部の鉄とを含んでもよい。鉄‐ニッケル系合金は、42質量%のニッケルと残余部の鉄とを含んでもよい。鉄‐ニッケル系合金は、ニッケルおよび鉄以外の金属である不純物を含んでもよい。
図2は、マスクフレーム22が広がる平面に直交する平面に沿う蒸着マスク11の断面構造を示している。
図2が示すように、マスクフレーム22は、マスクフレーム22の厚さ方向においてマスクフレーム22を貫通するフレーム孔22Hを備えている。マスクフレーム22には、1つのフレーム孔22Hを1つのマスク板21が覆うように、マスク板21が溶接されている。マスク板21は、マスク領域21Aの全体がフレーム孔22Hに露出するように、周辺領域21Bにおいてマスクフレーム22に溶接されている。
図3は、マスク板21が広がる平面に直交する平面に沿うマスク板21の断面構造を示している。
図3が示すように、マスク板21は、第1面21F1と第2面21F2とを備えている。第2面21F2は、第1面21F1とは反対側の面である。マスク孔21Hは、第1面21F1と第2面21F2との間を貫通している。マスク板21は、第1面21F1がマスクフレーム22に接した状態で、フレーム孔22Hを覆うように周辺領域21Bにおいてマスクフレーム22に溶接されている。マスク板21の厚さTMは、10μm以下であってよい。なお、マスクフレーム22の厚さは、20μm以上100μm以下であってよく、好ましくは20μm以上50μm以下であってよい。
マスク孔21Hの第1開口21H1は、第1面21F1に位置している。マスク孔21Hの第2開口21H2は、第2面21F2に位置している。第1面21F1と対向する視点から見て、第2開口21H2は、第1開口21H1内に位置している。すなわち、第1開口21H1は、第2開口21H2よりも大きい。マスク孔21Hは、第1開口21H1から第2開口21H2に向けて先細る形状を有している。
マスク装置10が蒸着装置に搭載された状態において、第1面21F1が蒸着源に対向し、第2面21F2が蒸着対象に対向する。マスク孔21Hは、第1開口21H1から第2開口21H2に向けて先細る形状を有するから、マスク孔21Hを画定する側面が蒸着材料に対して影になりにくい。
図4は、マスク板21の第2面21F2と対向する視点から見た溶着痕の平面構造を示している。
図4が示すように、周辺領域21Bは、溶着痕21Wを含んでいる。周辺領域21Bには、複数の溶着痕21Wが位置している。溶着痕21Wは、第1凹部21WR1を有している。第2面21F2と対向する平面視において、第1凹部21WR1は、略円状を有している。第1凹部21WR1の縁の回りには、第1隆起部21WP1が位置している。第1隆起部21WP1は、第1凹部21WR1の縁の全体に位置してもよいし、一部に位置してもよい。言い換えれば、第1隆起部21WP1は、第2面21F2と対向する視点からみて、閉環状を有してもよいし、開環状を有してもよい。
溶着痕21Wは、第2凹部21WR2をさらに含んでいる。第2凹部21WR2は、第2面21F2と対向する視点から見て、第1凹部21WR1内に位置している。第2凹部21WR2は、第2面21F2と対向する視点から見て、略円状を有している。第2凹部21WR2の縁の回りには、第2隆起部21WP2が位置している。第2隆起部21WP2は、第2凹部21WR2の縁の全体に位置してもよいし、一部に位置してもよい。言い換えれば、第2隆起部21WP2は、第2面21F2と対向する視点から見て、閉環状を有してもよいし、開環状を有してもよい。
図5は、マスク板21の第2面21F2に直交する平面に沿う溶着痕21Wの断面構造を示している。
図5が示すように、第2面21F2に直交する断面において、第2面21F2の平坦部が含まれる平面が基準面RPである。溶着痕21Wは、上述したように、第1凹部21WR1、第2凹部21WR2、第1隆起部21WP1、および、第2隆起部21WP2を含んでいる。
第1凹部21WR1は、基準面RPに対して窪んでいる。第2凹部21WR2は、第1凹部21WR1の底部からさらに窪んでいる。第1隆起部21WP1は、第1凹部21WR1の縁において基準面RPから隆起している。基準面RPと第1隆起部21WP1との間の距離における最大値MX1(以下、第1最大値MX1)が、1.0μm以下である。
マスク装置10を用いて蒸着パターンを形成する際には、マスク板21の第2面21F2に蒸着対象が接する、あるいは、マスク板21の第2面21F2が蒸着対象に近接するように、マスク装置10と蒸着対象とが蒸着装置内に配置される。蒸着対象には、蒸着対象に形成されるパターンを他のパターンから区分するためのバンクが形成される場合がある。蒸着対象においてバンクが形成された面、すなわち被蒸着面と、バンクの頂部との間の距離、すなわちバンクの高さは、例えば2.0μmに設定される。
この点、マスク板21の平坦部から突き出た第1隆起部21WP1の高さが1.0μm以下である。そのため、マスク板21が蒸着対象に接する場合および近接する場合の両方において、マスク板21と被蒸着面との間の距離が第1隆起部21WP1によって拡張されない。そのため、蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。なお、蒸着パターンの精度は、蒸着対象における蒸着パターンの位置における精度、および、蒸着パターンの形状における精度の少なくとも一方を含む。
なお、蒸着対象がバンクを備えない場合にも、第1隆起部21WP1の高さが1.0μm以下であれば、マスク板21と被蒸着面との間の距離が十分に小さくなるから、マスク板21と蒸着対象との間の距離が拡張されることが抑えられる。これによって、蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。
基準面RPと第1隆起部21WP1との間の距離は、第1隆起部21WP1の高さである。第1隆起部21WP1の高さは、第1隆起部21WP1の1の全体において等しくてもよい。あるいは、第1隆起部21WP1の高さは、第1の大きさと、第1の大きさとは異なる第2の大きさとを含んでもよい。いずれの場合であっても、第1隆起部21WP1の高さの最大値MX1が1.0μm以下であれば、第1隆起部21WP1の全体において、第1隆起部21WP1の高さが1.0μm以下である。
溶着痕21Wにおいて、第1凹部21WR1の底部と第1隆起部21WP1との間の距離における最大値MX3が、第1凹部21WR1の底部と第2隆起部21WP2との間の距離における最大値MX2以上である。以下、最大値MX3は第3最大値MX3であり、最大値MX2は第2最大値である。第2最大値MX2は、第1凹部21WR1の底部と第1隆起部21WP1との間の距離における最小値MM以下であることがより好ましい。
第2隆起部21WP2が第1隆起部21WP1よりも突出しないから、第2隆起部21WP2がマスク板21と被蒸着面との間の距離を拡張させることが抑えられる。そのため、蒸着マスク11を用いて形成した蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。
第1凹部21WR1のうちで、基準面RPからの距離が最も大きい部位を含む部分が、第1凹部21WR1の底部である。上述したように、第1隆起部21WP1の高さは、第1の大きさと第2の大きさとを含んでもよい。そのため、第1凹部21WR1の底部と第1隆起部21WP1との間の距離も、第1隆起部21WP1の高さと同様に、第1の大きさと、第1の大きさとは異なる第2の大きさとを含んでもよい。
一方で、第1凹部21WR1の底部と、第2隆起部21WP2との間の距離が、第1隆起部21WP1の高さである。第2隆起部21WP2の高さは、第2隆起部21WP2の全体において等しくてもよい。あるいは、第2隆起部21WP2の高さは、第1の大きさと、第1の大きさとは異なる第2の大きさとを含んでもよい。
そのため、第2最大値MX2が、第3最大値MX3以下であれば、第2隆起部21WP2が第1隆起部21WP1よりも突き出ることはない。すなわち、溶着痕21Wは、基準面RPから1.0μmを超えて突き出る部分を有しない。また、第2最大値MX2が上述した最小値MM以下であれば、第1凹部21WR1の縁における周方向の全体において、第2隆起部21WP2が第1隆起部21WP1よりも突き出ることが抑えられる。
上述したように、マスク板21の厚さは10μm以下である。マスク板21の厚さが100μm以上であれば、マスク板21の第2面21F2に数十μmの深さを有する凹部を形成し、次いで、凹部内に溶着痕21Wが形成されるように、マスク板21をマスクフレーム22にレーザー溶接することが可能である。これに対して、マスク板21の厚さが10μm以下であれば、溶着痕21Wを形成するための凹部を形成することができない。そのため、溶着痕21Wが第1凹部21WR1、第2凹部21WR2、第1隆起部21WP1、および、第2隆起部21WP2を備える構造であることによる効果をより顕著に得ることが可能である。
[蒸着マスクの製造方法]
図6から図15を参照して、蒸着マスク11の製造方法を説明する。
蒸着マスク11の製造方法は、マスク板21を形成すること、マスクフレーム22を形成すること、および、マスク板21をマスクフレーム22に溶接することを含む。マスク板21を形成することでは、第1面と第2面とを有する金属板に、第1面と第2面との間を貫通する複数のマスク孔を形成する。これによって、複数のマスク孔21Hが位置するマスク領域21Aと、マスク領域21Aを含む周辺領域21Bとを備えるマスク板21を形成する。
マスクフレーム22を形成することでは、フレーム孔22Hを画定する枠状を有したマスクフレーム22を形成する。マスク板21をマスクフレーム22に溶接することでは、マスク板21をマスクフレーム22に密着させた状態で、フレーム孔22Hを覆うように周辺領域21Bをレーザー溶接によってマスクフレーム22に溶接する。溶接することは、マスク板21に溶着痕21Wを形成することを含む。以下、図面を参照して、蒸着マスク11の製造方法をより詳しく説明する。
なお、図6から図11には、マスク板21を形成するための基材を準備する工程からマスク板21を形成するまでの工程が示されている。また、図12から図15には、マスク板21をマスクフレーム22に接合する工程から、マスク板21から支持体を取り外す工程までが示されている。なお、図12から図15では、図示の便宜上、マスクフレーム22が1つのフレーム孔22Hのみを有し、かつ、蒸着マスク11が1つのマスク板21を有する構造として示されている。
図6から図11が示すように、蒸着マスク11の製造方法では、まず、マスク板21を形成するための基材30が準備される(図6参照)。マスク板21の基材30は、マスク板21を形成するための金属板31と、金属板31を支持するための支持体32とを備えている。支持体32は、樹脂層32aおよびガラス基板32bから形成されている。基材30において、樹脂層32aが、金属板31とガラス基板32bとに挟まれている。
上述したように、金属板31は、鉄‐ニッケル系合金から形成されてよい。ガラス基板32bは、石英ガラス、結晶化ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、高ケイ酸ガラス、多孔質ガラス、および、ソーダライムガラスから構成される群から選択されるいずれか1つから形成されてよい。
次いで、金属板31を第1面31F1からエッチングすることによって、金属板31の厚さを薄くする。例えば、金属板31の厚さをエッチング前の金属板31の厚さの1/2以下の厚さまで減らすことが可能である(図7参照)。そして、金属板31の第1面31F1にレジスト層PRが形成される(図8参照)。レジスト層PRに対する露光、および、現像が行われることによって、第1面31F1にレジストマスクRMが形成される(図9参照)。
次に、レジストマスクRMを用いて金属板31が第1面31F1からウェットエッチングされる。これによって、金属板31に複数のマスク孔21Hが形成される(図10参照)。金属板31のウェットエッチングでは、第1開口21H1が第1面31F1に形成され、その後に、第1開口21H1よりも小さい第2開口21H2が第2面31F2に形成される。次いで、レジストマスクRMが表面31Fから除去されることによって、マスク板21が製造される(図11参照)。なお、金属板31の第1面31F1が、マスク板21の第1面21F1に対応し、金属板31の第2面31F2が、マスク板21の第2面21F2に対応する。
基材30を準備する工程(図6参照)には、金属板31とガラス基板32bとの間に樹脂層32aを挟み、樹脂層32aを介して金属板31とガラス基板32bとを接合する工程が含まれる。金属板31、樹脂層32a、および、ガラス基板32bが接合されるときには、まず、金属板31およびガラス基板32bの各々が有する面のなかで、少なくとも樹脂層32aと接する面にCB(Chemical bonding)処理が行われる。金属板31およびガラス基板32bにおいてCB処理が行われる面が対象面である。CB処理では、例えば、対象面に薬液が塗布されることによって、樹脂層32aに対して反応性を有する官能基などが対象面に付与される。CB処理では、例えばSi系化合物などが対象面に付与される。
そして、金属板31、樹脂層32a、および、ガラス基板32bを記載の順に重ねた後に、これらを熱圧着する。この際に、金属板31の対象面と、ガラス基板32bの対象面とを、樹脂層32aに接触させる。これにより、対象面に付与された官能基と、樹脂層32aの表面に位置する官能基とが反応することによって、金属板31と樹脂層32aとが接合され、かつ、ガラス基板32bと樹脂層32aとが接合される。
樹脂層32aは、ポリイミド製であることが好ましい。この場合には、金属板31の線膨張係数、樹脂層32aの線膨張係数、および、ガラス基板32bの線膨張係数が同程度である。そのため、蒸着マスク11を製造する過程において、金属板31、樹脂層32a、および、ガラス基板32bから形成される積層体が加熱されても、積層体を形成する層間の線膨張係数の差に起因した積層体の反りが抑えられる。
金属板31を製造する方法には、電解または圧延が用いられる。これらの方法によって得られた金属板31の後処理として、研磨およびアニールなどが適宜用いられる。金属板31の製造に電解が用いられる場合には、電解に用いられる電極の表面に金属板31が形成される。その後、電極の表面から金属板31が離型される。これにより、金属板31が製造される。上述した接合工程では、樹脂層32aを介して10μm以上の厚さを有する金属板31をガラス基板32bに接合することが好ましい。なお、金属板31が圧延によって製造される場合には、金属板31の厚さは15μm以上であることが好ましい。金属板31が電解によって製造される場合には、金属板31の厚さは10μm以上であることが好ましい。
金属板31にレジストマスクRMを形成する前に金属板31の厚さを減らす薄板化工程(図7参照)では、ウェットエッチングを用いることができる。上述したように、薄板化工程では、薄板化後の金属板31の厚さを薄板化前の金属板31の厚さの1/2以下にまで減らすことが可能である。そのため、金属板31の厚さを、マスク板21における厚さの2倍以上とすることが可能である。これにより、マスク板21に求められる厚さが上述したように10μm以下という薄さであっても、金属板31がガラス基板32bに接合される前において、蒸着マスク11が有するマスク板21よりも剛性の高い金属板31を用いることができる。そのため、マスク板21と同じ厚さを有した金属板31をガラス基板32bに接合することに比べて、金属板31をガラス基板32bに接合することがより容易である。なお、金属板31の厚さを減らす工程は、省略することができる。
金属板31をウェットエッチングすることによって薄板化するためのエッチング液には、酸性のエッチング液を用いることができる。金属板31がインバーから形成される場合には、エッチング液は、インバーをエッチングすることが可能なエッチング液であればよい。酸性のエッチング液は、例えば、過塩素酸第二鉄液、および、過塩素酸第二鉄液と塩化第二鉄液との混合液のいずれかに対して、過塩素酸、塩酸、硫酸、蟻酸、および、酢酸のいずれかを混合した溶液であってよい。第1面31F1をエッチングする方式には、ディップ式、スプレー式、および、スピン式のいずれかを用いることができる。
金属板31に複数のマスク孔21Hを形成するためのエッチング工程(図10参照)では、エッチング液として酸性のエッチング液を用いることができる。金属板31が鉄‐ニッケル系合金から形成されるときには、エッチング液には、上述した薄板化工程で用いることが可能なエッチング液のいずれかを用いることができる。マスク孔21Hを形成するためのエッチングの方式にも、薄板化工程で用いることが可能な方式のいずれかを用いることができる。
なお、基材30を準備する工程は、金属板31、樹脂層32a、および、ガラス基板32bを互いに接合する前に、金属板31における1つの面から金属板31を薄板化する工程を含むことができる。この場合には、基材30を準備する工程が含む薄板化工程が第1薄板化工程であり、基材30を準備する工程の後に行われる薄板化工程が第2薄板化工程である。
第1薄板化工程において、金属板31は、一方の面からエッチングされることによって薄板化される。これに対して、第2薄板化工程において、金属板31は、第1薄板化工程においてエッチングされた面とは異なる面からエッチングされることによって薄板化される。最初にエッチングされる面が、金属板31において樹脂層32aと接合される第2面31F2であって、かつ、CB処理が行われる面である。
金属板31の第1面31F1と第2面31F2との両方をエッチングすることによって、第1面31F1と第2面31F2との両方から金属板31の残留応力を調節することが可能である。これにより、一方の面のみをエッチングする場合に比べて、エッチング後における金属板31の残留応力に偏りが生じることが抑えられる。そのため、金属板31から得られたマスク板21をマスクフレーム22に接合した場合に、マスク板21にしわが生じることが抑えられる。
なお、金属板31を第1面31F1からエッチングする際のエッチング量が第1エッチング量であり、第2面31F2からエッチングする際のエッチング量が第2エッチング量である。第1エッチング量と第2エッチング量とは、等しくてもよいし、異なってもよい。第1エッチング量と第2エッチング量とが異なる場合には、第1エッチング量が第2エッチング量よりも大きくてもよいし、第2エッチング量が第1エッチング量よりも大きくてもよい。ただし、第2エッチング量が第1エッチング量よりも小さい場合には、金属板31が樹脂層32aとガラス基板32bとによって支持された状態でのエッチング量がより大きいため、金属板31の取り扱い性がよい。それゆえに、金属板31のエッチングが容易である。
図12から図15が示すように、マスクフレーム22の一部とマスク板21一部とが接合される(図12、図13参照)。この際に、各マスク板21が互いに異なるフレーム孔22Hを1つずつ覆うように、複数のマスク板21が単一のマスクフレーム22に接合される。そして、樹脂層32aからガラス基板32bが取り外される(図14参照)。次いで、各マスク板21から樹脂層32aが取り外される(図15参照)。これにより、上述した蒸着マスク11が得られる。
図12が示すように、マスクフレーム22の一部とマスク板21の一部とを接合する工程では、まず、マスクフレーム22が形成される。マスクフレーム22を形成する際には、まず、マスクフレーム22を形成するための金属板を準備する。次いで、金属板にフレーム孔22Hを形成し、これによって、マスクフレーム22が得られる。なお、フレーム孔22Hは、ウェットエッチングによって金属板に形成されてもよいし、レーザー断裁によって金属板に形成されてもよい。
マスク板21をマスクフレーム22に接合する工程では、レーザー溶接を用いる。この際に、ガラス基板32bと樹脂層32aとを通じて、マスク板21のうち、周辺領域21Bに含まれる部分に第1レーザー光線L1が照射される。そのため、ガラス基板32bおよび樹脂層32aは、第1レーザー光線L1に対する透過性を有する必要がある。言い換えれば、第1レーザー光線L1は、ガラス基板32bおよび樹脂層32aを透過することが可能な波長を有する必要がある。フレーム孔22Hの縁に沿って間欠的に第1レーザー光線L1が照射されることによって、間欠的な溶着痕が形成される。これにより、マスク板21がマスクフレーム22に溶着される。第1レーザー光線L1が有する波長は、例えば、355nm、1064nm、または、1070nmなどであってもよい。
マスク板21をマスクフレーム22に接合する工程では、マスク板21をマスクフレーム22に磁力によって密着させる。
図13が示すように、マスクフレーム22を支持台SS上に配置し、かつ、マスクフレーム22上にマスク板21、樹脂層32a、および、ガラス基板32bの積層体を配置する。この際に、マスクフレーム22にマスク板21を接触させる。ガラス基板32b上に磁石MGを配置する。これにより、磁石MGの磁力によって、マスク板21をマスクフレーム22に密着させることが可能である。マスク板21およびマスクフレーム22が強磁性体によって形成されることによって、磁石MGの磁力によって、マスク板21をマスクフレーム22に密着させることが可能である。そのため、マスク板21とマスクフレーム22との積層体に荷重を印加する場合に比べて、マスクフレーム22に対してマスク板21をより高い密着度合いで密着させることが可能である。
磁石MGの磁力によってマスク板21をマスクフレーム22に密着させた状態で、マスク板21に第1レーザー光線L1を照射する。これにより、マスク板21をマスクフレーム22に溶着する。結果として、マスク板21に溶着痕21Wが形成される。
マスク板21に形成された溶着痕21Wは、上述したように、第1凹部21WR1、第2凹部21WR2、第1隆起部21WP1、および、第2隆起部21WP2を含む。上述したように、第1最大値MX1が、1.0μm以下であり、第3最大値MX3が、第2最大値MX2以上である。
ガラス基板32bに磁石MGを配置することによって、マスク板21がマスクフレーム22に対して密着するから、マスクフレーム22にも第1レーザー光線L1のエネルギーが伝わりやすくなる。これにより、マスク板21とマスクフレーム22との境界において、マスク板21がマスクフレーム22に向けて窪みやすくなる。結果として、第1凹部21WR1を有する溶着痕が形成されやすくなる。
なお、溶着痕21Wにおいて、第1凹部21WR1の深さは、磁石MGの磁力が大きいほど深くなる傾向を有する。また、第1凹部21WR1の深さは、レーザーの出力が大きいほど、深くなる傾向を有する。第2凹部21WR2の深さは、レーザーの出力が大きいほど、深くなる傾向を有する。第1隆起部21WP1の高さは、磁石MGの磁力が大きくなるほど高くなる傾向を有する。また、第1隆起部21WP1の高さは、レーザーの出力が大きいほど、高くなる傾向を有する。第2隆起部21WP2の高さは、レーザーの出力が大きいほど、高くなる傾向を有する。
支持体32を取り外す工程は、第1工程(図14参照)と第2工程(図15参照)とを含んでいる。第1工程では、樹脂層32aとガラス基板32bとの界面に、第2レーザー光線L2を照射する。第2レーザー光線L2は、ガラス基板32bによって透過され、かつ、樹脂層32aによって吸収される波長を有する。これによって、樹脂層32aからガラス基板32bを取り外す。第2レーザー光線L2が有する波長は、308nmもしくは355nmであることが好ましい。
第1工程では、樹脂層32aとガラス基板32bとの界面に第2レーザー光線L2を照射することによって、第2レーザー光線L2による熱エネルギーを樹脂層32aに吸収させる。これにより、樹脂層32aが加熱されることによって、樹脂層32aとガラス基板32bとの間における化学的な結合の強度を低くする。そして、ガラス基板32bを樹脂層32aから取り外す。第1工程では、溶接部の全体に第2レーザー光線L2を照射することが好ましいが、溶接部の全体においてガラス基板32bと樹脂層32aとの間における結合の強度を低くすることが可能であれば、溶接部の一部に第2レーザー光線L2を照射してもよい。
第2レーザー光線L2が有する波長において、ガラス基板32bの透過率が、樹脂層32aの透過率よりも高いことが好ましい。これにより、ガラス基板32bの透過率が樹脂層32aの透過率よりも低い場合と比べて、樹脂層32aのなかで、ガラス基板32bと樹脂層32aとの界面を形成する部分が加熱される効率を高めることができる。
上述したように、樹脂層32aはポリイミド製であることが好ましい。樹脂層32aは、ポリイミドのなかでも有色のポリイミドによって形成されることが好ましい。ガラス基板32bは透明であることが好ましい。
第2工程では、第1工程の後に、薬液LMを用いて樹脂層32aを溶解することによって、マスク板21から樹脂層32aを取り外す。薬液LMには、樹脂層32aを形成する材料を溶解することができる液体であって、かつ、マスク板21を形成する材料に対する反応性を有しない液体を用いることができる。薬液LMには、例えばアルカリ性の溶液を用いることができる。アルカリ性の溶液は、例えば水酸化ナトリウム水溶液であってよい。なお、図15では、樹脂層32aと薬液LMとを接触させる方法としてディップ法を例示しているが、樹脂層32aと薬液LMとを接触させる方法には、スプレー式およびスピン式を用いることも可能である。
このように、マスク板21から支持体32を取り外す工程では、第1工程によって樹脂層32aからガラス基板32bを取り外し、かつ、第2工程によってマスク板21から樹脂層32aを取り外す。そのため、ガラス基板32b、樹脂層32a、および、マスク板21の積層体に加えた外力による界面破壊によってマスク板21から支持体32を取り外す場合と比べて、マスク板21に作用する外力を小さくすることができる。これによって、支持体32の取り外しに起因したマスク板21の変形、ひいては、マスク板21が有するマスク孔21Hの変形が抑えられる。
[表示装置の製造方法]
図16を参照して、表示装置の製造方法を説明する。
表示装置の製造方法は、蒸着マスク11の製造方法によって製造された蒸着マスク11を用いて蒸着対象Sにパターンを形成することを含んでいる。以下、蒸着装置の一例とともに、パターンを形成する工程を説明する。
図16が示すように、蒸着装置40は、マスク装置10と、蒸着対象Sとを収容する収容槽41を備えている。収容槽41は、蒸着対象Sとマスク装置10とを収容槽41内における所定の位置に保持するように構成されている。収容槽41内には、蒸着材料Mvdを保持する保持部42と、蒸着材料Mvdを加熱する加熱部43とが位置している。保持部42に保持される蒸着材料Mvdは、有機発光材料である。収容槽41は、蒸着対象Sとマスク装置10とを、蒸着対象Sと保持部42との間にマスク装置10が位置し、かつ、マスク装置10と保持部42とが対向するように、収容槽41内に位置させる。マスク装置10は、蒸着マスク11の第2面21F2が蒸着対象Sに密着した状態または近接した状態で、収容槽41内に配置される。
パターンを形成する工程では、蒸着材料Mvdが加熱部43によって加熱されることにより、蒸着材料Mvdが気化または昇華する。気化または昇華した蒸着材料Mvdは、蒸着マスク11のマスク孔21Hを通過して蒸着対象Sに付着する。これにより、蒸着マスク11が有するマスク孔21Hの形状および位置に対応した形状を有する有機層が、蒸着対象Sにおける所定の位置に形成される。有機層は、パターンの一例である。
[実施例]
図17から図20を参照して、実施例および比較例を説明する。
[実施例1]
10μmの厚さを有し、長さが300mmであり、幅が300mmである36質量%のニッケルを含む鉄‐ニッケル系合金製の金属板を準備した。金属板、20μmの厚さを有するポリイミド製の樹脂層、および、2.3mmの厚さを有し、合成石英から形成されたガラス基板を準備した。そして、金属板、樹脂層、および、ガラス基板を順に積層した状態で、金属板、樹脂層、および、ガラス基板を熱圧着した。金属板をウェットエッチングすることによって、長さが250mmであり、幅が220mmであるマスク領域を金属板に形成した。これにより、金属板からマスク板を形成した。
10mmの厚さを有した36質量%のニッケルを含む鉄‐ニッケル合金製の金属板を準備した。ウェットエッチングによって金属板にフレーム孔を形成することによって、マスクフレームを得た。
支持台上にマスクフレームを配置し、次いで、マスクフレームに対して蒸着マスクの周辺領域が接するように、マスクフレーム上に蒸着マスク、樹脂層、および、ガラス基板の積層体を配置した。そして、ガラス基板の四隅に10N/cmの吸着力を有するネオジム磁石を配置し、これによって、マスク板をマスクフレームに密着させた。
1070nmの波長を有するレーザー光線を発振し、レーザー光線のスポット径が100μmであるマルチモードファイバーレーザーを準備した。マスク板の周辺領域に対して、1mm間隔でレーザー光線を照射した。レーザーの出力を20Wに設定し、パルス幅を1ミリ秒に設定した。なお、ガラス基板および樹脂層を介してマスク板にレーザー光線を照射した。
[実施例2]
実施例1において、レーザーの出力を40Wに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の蒸着マスクを得た。
[実施例3]
実施例1において、パルス幅を2ミリ秒に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例3の蒸着マスクを得た。
[比較例1]
実施例において、マスク板にレーザー光線を照射する際に、ガラス基板上にネオジム磁石を配置しない以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例1の蒸着マスクを得た。
[評価方法]
各蒸着マスクについて、マスク板の第2面に直交する平面に沿う断面において、溶着痕を含む各部の高さをレーザー顕微鏡(LEXT OLS4000、オリンパス(株)製)を用いて測定した。各蒸着マスクにおいて、5つの溶着痕における各部の高さを測定した。そして、基準面と第1隆起部との間の距離における第1最大値、第1凹部の底部と第1隆起部との間の距離における第2最大値、および、第1凹部の底部と第2隆起部との間の距離における第3最大値のそれぞれについて、平均値を算出した。
[評価結果]
実施例1において、第1最大値MX1が0.6μmであり、第2最大値MX2が1.8μmであり、第3最大値MX3が9.7μmであることが認められた。なお、図17は、実施例1の蒸着マスクが備える溶着痕の形状における代表例を示している。また、図17から図20における横軸の単位は、μmである。
実施例2において、第1最大値MX1が0.8μmであり、第2最大値MX2が5.1μmであり、第3最大値MX3が5.9μmであることが認められた。なお、図18は、実施例2の蒸着マスクが備える溶着痕の形状における代表例を示している。
実施例3において、第1最大値MX1が0.7μmであり、第2最大値MX2が6.1μmであり、第3最大値MX3が7.3μmであることが認められた。なお、図19は、実施例3の蒸着マスクが備える溶着痕の形状における代表例を示している。
比較例1の溶着痕には、第1の凹部と、凹部の縁に位置する1つの隆起部のみが認められた。また、基準面と隆起部との距離における最大値が2.7μmであることが認められた。なお、図20は、比較例1の蒸着マスクが備える溶着痕の形状における代表例を示している。
なお、各蒸着マスクの溶着痕において、第2面と対向する視点から見て、第1凹部の直径は、450μm程度であることが認められた。また、図17から図19に示す溶着痕の深さは、マスク板21の厚さを超えている、すなわち、マスク板の溶着痕の一部がマスク板に食い込んでいることが認められた。
第1面と、第1面上に2.0μmの高さを有したバンクを備える蒸着対象を準備した。実施例1から実施例3の蒸着マスクに蒸着対象を配置したところ、第1最大値MX1が1.0μm以下であるから、蒸着マスクの平坦部にバンクが接することが認められた。これに対して、比較例1の蒸着舞マスクに蒸着対象を配置したところ、蒸着マスクが2.0μmを超える隆起部を有するから、蒸着マスクの隆起部が蒸着対象に接することが認められた。
以上説明したように、蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、および、表示装置の製造方法の一実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)マスク板21の平坦部から突き出た第1隆起部21WP1の高さが1.0μm以下である。そのため、蒸着対象Sがバンクを備える場合には、マスク板21が蒸着対象Sに接する場合および近接する場合の両方において、マスク板21と被蒸着面との間の距離が第1隆起部21WP1によって拡張されない。そのため、蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。あるいは、蒸着対象Sがバンクを備えない場合にも、第1隆起部21WP1の高さが1.0μm以下であれば、マスク板21と被蒸着面との間の距離が十分に小さくなるから、蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。
(2)第2隆起部21WP2が第1隆起部21WP1よりも突出しないから、第2隆起部21WP2がマスク板21と被蒸着面との間の距離を拡張させることが抑えられる。そのため、蒸着マスク11を用いて形成した蒸着パターンの精度が低下することが抑えられる。
(3)マスク板21の厚さが10μm以下であれば、溶着痕21Wを形成するための凹部を形成することができない。そのため、溶着痕21Wが第1凹部21WR1、第2凹部21WR2、第1隆起部21WP1、および、第2隆起部21WP2を備える構造であることによる効果をより顕著に得ることが可能である。
(4)マスクフレーム22に対してマスク板21を磁力によって密着させることが可能である。そのため、マスク板21とマスクフレーム22との積層体に荷重を印加する場合に比べて、マスクフレーム22に対してマスク板21をより高い密着度合いで密着させることが可能である。
なお、上述した実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
[溶着痕]
・溶着痕21Wは、第2隆起部21WP2を備えなくてもよい。この場合であっても、第1最大値MX1が1.0μm以下であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることはできる。第2隆起部21WP2を備えていない溶着痕21Wは、例えば、マスク板21とマスクフレーム22とを溶着する際に用いるレーザーを、マルチモードファイバーレーザーからシングルモードレーザーに変更すればよい。これにより、第2隆起部21WP2の形成が抑えられるから、第2隆起部21WP2を有しない溶着痕21Wを形成することも可能である。
[マスク板]
・マスク板21の厚さは、10μmよりも厚くてもよい。この場合であっても、溶着痕21Wにおいて第1最大値が1.0μm以下であれば、上述した(1)に準じた効果を得ることができる。
・マスク板21は、2種以上の材料から形成されてもよい。この場合には、マスク板21のうち、磁石MGの磁力が作用する部分を含む部分が強磁性体から形成された第1磁性部である一方で、それ以外の部分が強磁性体以外の金属から形成されてもよい。この場合であっても、上述した(4)に準じた効果を得ることはできる。
[マスクフレーム]
・マスクフレーム22は、2種以上の材料から形成されてもよい。この場合には、マスクフレーム22のうち、磁石MGの磁力が作用する部分を含む部分が強磁性体から形成された第2磁性部である一方で、それ以外の部分が強磁性体以外の金属から形成されてもよい。この場合であっても、上述した(4)に準じた効果を得ることはできる。
[蒸着マスクの製造方法]
・マスクフレーム22に対してマスク板21を密着させる際には、磁石MGに代えて磁力を有しない重りを用いてもよい。この場合であっても、重りを用いない場合に比べて、マスクフレーム22に対してマスク板21を密着させることが可能であるから、第1凹部21WR1を有した溶着痕21Wが形成されやすくなる。
10…マスク装置
11…蒸着マスク
12…メインフレーム
21…マスク板
21A…マスク領域
21B…周辺領域
21H…マスク孔
21W…溶着痕
21WP1…第1隆起部
21WP2…第2隆起部
21WR1…第1凹部
21WR2…第2凹部
22…マスクフレーム

Claims (6)

  1. フレーム孔を画定する枠状を有したマスクフレームと、
    第1面、第2面、および、前記第1面と前記第2面との間を貫通する複数のマスク孔を備えるマスク板であって、前記複数のマスク孔が位置するマスク領域と、前記マスク領域を囲む周辺領域とを備え、前記第1面が前記マスクフレームに接した状態で、前記フレーム孔を覆うように前記周辺領域において前記マスクフレームに溶接された前記マスク板と、を備え、
    前記周辺領域は、溶着痕を含み、
    前記第2面に直交する断面において、前記第2面の平坦部が含まれる平面が基準面であり、
    前記溶着痕は、
    前記基準面に対して窪む第1凹部と、
    前記第1凹部の底部からさらに窪む第2凹部と、
    前記第1凹部の縁において前記基準面から隆起した隆起部と、を含み、
    前記基準面と前記隆起部との間の距離における最大値が、1.0μm以下である
    蒸着マスク。
  2. 前記隆起部は、第1隆起部であり、
    前記溶着痕は、前記第2凹部の縁において前記第1凹部の前記底部から隆起した第2隆起部をさらに含み、
    前記第1凹部の前記底部と前記第1隆起部との間の距離における最大値が、前記第1凹部の前記底部と前記第2隆起部との間の距離における最大値以上である
    請求項1に記載の蒸着マスク。
  3. 前記マスク板の厚さが、10μm以下である
    請求項1または2に記載の蒸着マスク。
  4. 第1面と第2面とを有する金属板に、前記第1面と前記第2面との間を貫通する複数のマスク孔を形成することによって、前記複数のマスク孔が位置するマスク領域と、前記マスク領域を含む周辺領域とを備えるマスク板を形成すること、
    フレーム孔を画定する枠状を有したマスクフレームを形成すること、および、
    前記マスク板を前記マスクフレームに密着させた状態で、前記フレーム孔を覆うように前記周辺領域をレーザー溶接によって前記マスクフレームに溶接すること、を含み、
    前記溶接することは、前記マスク板に溶着痕を形成することを含み、
    前記第2面に直交する断面において、前記第2面の平坦部が含まれる平面が基準面であり、
    前記溶着痕は、
    前記基準面に対して窪む第1凹部と、
    前記第1凹部の底部からさらに窪む第2凹部と、
    前記第1凹部の縁において前記基準面から隆起した隆起部と、を含み、
    前記基準面と前記隆起部との間の距離における最大値が、1.0μm以下である
    蒸着マスクの製造方法。
  5. 前記マスクフレームは、強磁性を有する第1磁性部を含み、
    前記マスク板は、強磁性を有する第2磁性部を含み、
    前記溶接することは、前記第2磁性部を前記第1磁性部に磁力によって密着させた状態で、前記マスク板を前記マスクフレームに溶接することを含む
    請求項4に記載の蒸着マスクの製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の蒸着マスクの製造方法によって製造された蒸着マスクを用いて蒸着対象にパターンを形成すること、を含む
    表示装置の製造方法。
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