JP2022163312A - レーザ照射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱容量や熱伝導率の小さい対象物にレーザ光を照射しても、対象物表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう可能性を低減できる装置を提供する。【解決手段】レーザ照射装置は、レーザ光源と、レーザ光源から射出されたレーザ光を集光して対象物に照射する集光学系と、を備える。集光学系は、第1コリメート素子と、第1集光素子と、空間フィルタと、第2コリメート素子と、第2集光素子と、がこの順に配置された構成を有する。空間フィルタは、レーザ光の集光位置に配置されており、空間フィルタを通過するレーザ光の集光径よりも小さな直径のピンホールを有する。【選択図】図1
Description
本開示は、レーザ照射装置に関する。
特許文献1,2には、微小な金属接合界面の接合状態を非破壊で検査する光学非破壊検査装置が記載されている。これらの光学非破壊検査装置は、接合界面で互いに接合された対象物の表面に計測点を設定し、計測点に加熱用レーザ光を照射し、加熱用レーザ光に関する情報と計測点から取得される情報とに基づいて接合界面の面積を求める。
しかしながら、本開示の発明者は、従来技術では、熱容量や熱伝導率の小さい対象物の接合状態を調べる場合に、測定に必要なパワーでレーザ照射を行うと、対象物表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう場合がある、という問題があることを見出した。特に、対象物のサイズがレーザ光のビームサイズよりも小さい場合には、この問題が顕著であることが発見された。なお、このような問題は、上述した光学非破壊検査装置に限らず、他の目的に使用されるレーザ照射装置にも共通する問題である。
本開示は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、レーザ照射装置が提供される。このレーザ照射装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から射出されたレーザ光を集光して対象物に照射する集光学系と、を備える。前記集光学系は、第1コリメート素子と、第1集光素子と、空間フィルタと、第2コリメート素子と、第2集光素子と、がこの順に配置された構成を有する。前記空間フィルタは、前記レーザ光の集光位置に配置されており、前記空間フィルタを通過する前記レーザ光の集光径よりも小さな直径のピンホールを有する。
このレーザ照射装置によれば、対象物に照射されるレーザ光の強度分布を、レーザ光源から射出された直後における強度分布よりも平均化することができるので、対象物の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう可能性を低減できる。
(2)上記レーザ照射装置において、前記ピンホールの前記直径は、前記集光径の50~80%であるものとしてもよい。
このレーザ照射装置によれば、レーザ光の強度分布を十分に平均化でき、また、レーザ光のエネルギーが過度に小さくなることを防止できる。
(3)上記レーザ照射装置において、前記対象物は、接合界面にて互いに接合された第1部材と第2部材で構成されており、前記レーザ照射装置は、前記第1部材の表面に設定した計測点に前記レーザ光を加熱用レーザ光として照射して、前記加熱用レーザ光に関する情報と前記計測点から取得される情報とに基づいて前記接合界面の面積を求める光学非破壊検査装置であり、前記レーザ光源は、前記計測点における強度が正弦波状に変化するように前記レーザ光を出射するレーザ出力装置であるものとしてもよい。前記レーザ照射装置は、更に、前記計測点の前記加熱用レーザ光の強度を検出するレーザ強度検出部と、前記計測点から放射された赤外線の強度であって正弦波状に変化する前記赤外線の強度を検出する赤外線強度検出部と、前記レーザ強度検出部からの検出信号と前記赤外線強度検出部からの検出信号を取り込んで、正弦波状に変化する前記加熱用レーザ光の強度と、正弦波状に変化する前記赤外線の強度と、の位相差を検出する位相差検出装置と、前記位相差検出装置から取り込んだ前記位相差に基づいて前記接合界面の面積である接合界面面積を算出する判定装置と、を有するものとしてもよい。
このレーザ照射装置によれば、第1部材と第2部材の接合界面の面積を求めることができる。
このレーザ照射装置によれば、対象物に照射されるレーザ光の強度分布を、レーザ光源から射出された直後における強度分布よりも平均化することができるので、対象物の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう可能性を低減できる。
(2)上記レーザ照射装置において、前記ピンホールの前記直径は、前記集光径の50~80%であるものとしてもよい。
このレーザ照射装置によれば、レーザ光の強度分布を十分に平均化でき、また、レーザ光のエネルギーが過度に小さくなることを防止できる。
(3)上記レーザ照射装置において、前記対象物は、接合界面にて互いに接合された第1部材と第2部材で構成されており、前記レーザ照射装置は、前記第1部材の表面に設定した計測点に前記レーザ光を加熱用レーザ光として照射して、前記加熱用レーザ光に関する情報と前記計測点から取得される情報とに基づいて前記接合界面の面積を求める光学非破壊検査装置であり、前記レーザ光源は、前記計測点における強度が正弦波状に変化するように前記レーザ光を出射するレーザ出力装置であるものとしてもよい。前記レーザ照射装置は、更に、前記計測点の前記加熱用レーザ光の強度を検出するレーザ強度検出部と、前記計測点から放射された赤外線の強度であって正弦波状に変化する前記赤外線の強度を検出する赤外線強度検出部と、前記レーザ強度検出部からの検出信号と前記赤外線強度検出部からの検出信号を取り込んで、正弦波状に変化する前記加熱用レーザ光の強度と、正弦波状に変化する前記赤外線の強度と、の位相差を検出する位相差検出装置と、前記位相差検出装置から取り込んだ前記位相差に基づいて前記接合界面の面積である接合界面面積を算出する判定装置と、を有するものとしてもよい。
このレーザ照射装置によれば、第1部材と第2部材の接合界面の面積を求めることができる。
図1は、第1実施形態におけるレーザ照射装置20の構成を示す説明図である。このレーザ照射装置20は、レーザ光源21と、レーザ光源21から射出されたレーザ光を集光して対象物51に照射する集光学系22と、を備える。
集光学系22は、第1コリメート素子23と、第1集光素子24と、空間フィルタ25と、第2コリメート素子26と、第2集光素子27と、がこの順にレーザ光Laの光路上に配置された構成を有する。レーザ光源21から射出されたレーザ光Laは、第1コリメート素子23によって平行光に変換され、第1集光素子24で集光に変換された後に、空間フィルタ25を通過し、第2コリメート素子26によって再び平行光に変換され、最後に第2集光素子27によって集光に変換されて対象物51の表面に集光する。空間フィルタ25は、レーザ光Laの集光位置に配置されており、空間フィルタ25を通過するレーザ光Laの集光径よりも小さな直径のピンホールPHを有する。本開示において、「レーザ光の集光径」とは、半値全幅を意味する。
図1の例において、第1コリメート素子23と、第1集光素子24と、第2コリメート素子26と、第2集光素子27は、いずれもレンズで形成されている。これらのレンズとしては、非球面レンズを用いることが好ましい。また、レンズの代わりに、凸面鏡と凹面鏡を組み合わせたコリメート素子や集光素子を用いてもよい。
図1に示すレーザ照射装置20では、以下に詳述するように、対象物51に照射されるレーザ光の強度分布を、レーザ光源21から射出された直後における強度分布よりも平均化することができる。この結果、対象物51の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう可能性を低減できる。
図2は、比較例のレーザ照射装置200の構成を示す説明図である。この比較例は、図1に示した第1実施形態のレーザ照射装置20から、第1集光素子24と、空間フィルタ25と、第2コリメート素子26とを省略した構成を有する。
図3は、図1に示した空間フィルタ25による強度分布の平均化の効果を示す説明図である。横軸は、レーザ光の中心からの距離、縦軸はレーザ光強度である。実線のグラフは、空間フィルタ25を配置しない場合のレーザ光の強度分布を示している。レーザ光源21から射出されたレーザ光は、典型的にはガウス分布を有する。図2に示した比較例のレーザ照射装置200では、このようなガウス分布を有するレーザ光を対象物51に照射することとなる。
一方、第1実施形態において、空間フィルタ25のピンホールPHの直径Dpは、図3に示すように、レーザ光の集光径D0よりも小さな値に設定されている。従って、空間フィルタ25を通過したレーザ光は、ハッチングを伏した形状の強度分布を有するものとなる。実際の強度分布は、回折の影響によってこれよりもなだらかな形状となるが、図3では簡略化している。このように、空間フィルタ25を通過したレーザ光の強度分布は、ガウス分布に比べてより平均化された平坦な分布となることが理解できる。この結果、比較例に比べて、対象物51の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう可能性を低減できるという利点がある。
空間フィルタ25のピンホールPHの直径Dpは、空間フィルタ25で集光するレーザ光の集光径D0の50~80%とすることが好ましい。こうすれば、空間フィルタ25によって、レーザ光の強度分布を十分に平均化でき、また、レーザ光のエネルギーが過度に小さくなることを防止できる。特に、ピンホールPHの直径Dpを集光径D0の80%以下とすれば、レーザ光の強度分布を平均化する効果を十分に大きくすることができる。一方、ピンホールPHの直径Dpを集光径D0の50%以上とすれば、レーザ光全体のエネルギーが過度に小さくなることを防止できる。
図4は、図1に示した第1実施形態で得られるレーザ光の強度分布の実測例を示す説明図であり、図5は、図2に示した比較例で得られるレーザ光の強度分布の実測例を示す説明図である。図4と図5のいずれも場合にも、レーザ光源21として、直径が200μmで最大出力が300Wの赤外線半導体レーザを使用した。比較例ではレーザ光の強度分布はほぼガウス分布を有しており、相対強度が(1/e2)となる部分の幅De0が集光径D0の2倍近くに広がっている。一方、第1実施形態では、比較例と同じレーザ光源21を用いても、空間フィルタ25によって低強度の部分を除去しているので、集光径D1が約80μmであるのに対して、相対強度が(1/e2)となる部分の幅De1が約108μmであり、集光径D1の1.4倍以下に収まっている。比較例のレーザ照射装置200は、例えば直径が200~500μmの太径アルミワイヤを対象物51として検査する検査装置に使用するのに適している。一方、第1実施形態のレーザ照射装置20は、例えば直径が50~75μmの細径アルミワイヤを対象物51として検査する検査装置に使用するのに適している。すなわち、直径が50~75μmの細径アルミワイヤを対象物51として検査する場合に、比較例で得られるレーザ光を使用すると、対象物51に照射されるレーザ光の中心部分の強度が極めて高いので、対象物51の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう場合がある。この理由は、細径アルミワイヤは、太径アルミワイヤに比べて熱容量が小さいので、高温になり易いからであると推定される。一方、第1実施形態で得られるレーザ光を使用すると、細径アルミワイヤについても、そのような不具合が発生することなく検査を行うことが可能である。
以上のように、第1実施形態では、レーザ光の集光径よりも小さな直径のピンホールを有する空間フィルタ25を用いることによって、対象物に照射されるレーザ光の強度分布を、レーザ光源21から射出された直後における強度分布よりも平均化することができる。この結果、対象物の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまう可能性を低減できる。
図6は、レーザ照射装置を用いた第2実施形態としての光学非破壊検査装置100の構成を示す説明図である。この光学非破壊検査装置100は、ハンダ53にて互いに接合された第1部材51と第2部材52で構成される計測対象物50における第1部材51の表面に設定した計測点SPに、正弦波状に強度が変化する加熱用レーザ光を照射する。そして、加熱用レーザ光に関する情報と、計測点SPから取得される計測対象物50の被加熱状態(温度応答)に関する情報と、に基づいて、第1部材51及び第2部材52の接合界面の面積である接合部面積を求める。
光学非破壊検査装置100は、図1に示した第1実施形態のレーザ照射装置20を用いている。但し、第2コリメート素子26と第2集光素子27の間に、ダイクロイクミラーで構成された加熱レーザ選択反射部43が設けられており、この加熱レーザ選択反射部43によってレーザ光を選択的に反射して計測対象物50に垂直に入射させるように構成されている。
レーザ光源21は、出射されるレーザ光の強度を正弦波状に変化させるレーザ出力装置である。レーザ光源21としては、例えば、半導体レーザ素子を用いることが可能である。半導体レーザ素子では、その出力制御信号を正弦波状に変化させることによって、レーザ光の強度を正弦波状に変化させることができる。この代わりに、音響光学変調器を用いて、レーザ光源21から出射されたレーザ光の強度を正弦波状に変化させてもよい。光学非破壊検査装置100は、レーザ照射装置20の他に、レーザ強度検出部41、赤外線強度検出部31、位相差検出装置60、判定装置70等を有している。また、以下の説明では、第1部材51が配線であり、第2部材52がプリント基板であり、第1部材51と第2部材52とが、接合部材であるハンダ53によって接合されている例で説明する。第1部材51の接合界面は、第1部材51とハンダ53との接合部の面であり、第2部材の接合界面は、第2部材52とハンダ53との接合部の面である。
レーザ光源21から出射された加熱用レーザ光Laは、空間フィルタ25によって強度分布が平均化された後に、第2コリメート素子26にて平行光に変換されて加熱レーザ選択反射部43に達する。なお、加熱用レーザ光Laの出力は、計測対象物50の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生することなく接合部面積が得られる出力に調整される。
第2集光素子27は、自身の光軸に沿って一方の側から(図6の例では上方から)入射された平行光を、焦点位置として第1部材51の表面に設定した計測点SPに向けて集光して他方の側から(図6の例では下方から)出射する。また第2集光素子27は、(焦点位置である)計測点SPから放射及び反射されて他方の側から入射された光を、自身の光軸に沿った平行光である第1測定光L11に変換して一方の側から出射する。
第2コリメート素子26の光軸と、第2集光素子27の光軸と、が交差する位置には、加熱レーザ選択反射部43が配置されている。例えば加熱レーザ選択反射部43は、加熱用レーザ光Laの波長の光を反射し、加熱用レーザ光Laの波長以外の波長の光を透過するダイクロイックミラーである。なお図6の例では、加熱レーザ選択反射部43は、加熱用レーザ光Laの波長の光を、数%程度(例えば2%程度)透過する。そして加熱用レーザ光Laが透過した先には、レーザ強度検出部41が配置されている。
レーザ強度検出部41は、例えば加熱用レーザ光の波長の光のエネルギーを検出可能なフォトセンサである。加熱レーザ選択反射部43を透過した加熱用レーザ光L4は、正弦波状に強度が変化する。この加熱用レーザ光L4は、集光素子42にて集光されてレーザ強度検出部41に入力される。レーザ強度検出部41からの検出信号は、例えばセンサアンプにて増幅されて位相差検出装置60に入力される。
第2集光素子27で平行光に変換された第1測定光L11は、計測点SPにて反射した照射光と計測点SPから放射された赤外線を含む測定光である。この第1測定光L11には、計測点SPから放射された所定波長の赤外線が含まれている。第1測定光L11の先には、赤外線強度検出部31が配置されている。
赤外線強度検出部31は、例えば所定波長の赤外線のエネルギーを検出可能な赤外線センサである。第1測定光L11に含まれている所定波長の赤外線であり、正弦波状に強度が変化する赤外線である。第1測定光L11は、集光素子32で集光されて赤外線強度検出部31に入力される。赤外線強度検出部31からの検出信号は、例えばセンサアンプにて増幅されて位相差検出装置60に入力される。
位相差検出装置60は、例えばロックインアンプであり、レーザ強度検出部41からの正弦波状の検出信号と、赤外線強度検出部31からの正弦波状の検出信号と、が入力される。位相差検出装置60は、これらの正弦波状検出信号の位相差を測定し、測定した位相差を判定装置70に出力する。なお、レーザ強度検出部41からの検出信号は、計測点SPに照射される加熱用レーザ光Laである照射光の強度であって正弦波状に変化する照射光の強度に応じた信号である。また、赤外線強度検出部31からの検出信号は、計測点SPから放射された赤外線の強度であって正弦波状に変化する赤外線の強度に応じた信号である。そして上記の位相差には、接合界面の面積に関する情報が含まれている。
判定装置70は、例えばパーソナルコンピュータであり、レーザ光源21に制御信号を出力し、位相差検出装置60から位相差を取り込む。そして判定装置70は、後述するように、取り込んだ位相差と、予め記憶している位相差・接合部面積相関情報と、に基づいて、接合界面の面積である接合部面積を求める。接合部面積を求める方法については後述する。
図7は、第3実施形態としての光学非破壊検査装置101の構成を示す説明図である。この光学非破壊検査装置101が、第2実施形態の光学非破壊検査装置100と異なる点は、加熱用レーザ光Laが計測対象物50に対して斜めに入射する点と、第2集光素子27の位置が変更されている点と、加熱レーザ選択反射部43の代わりに反射光選択反射部47が設置されている点と、コリメート素子44が追加されている点であり、他の構成は第2実施形態とほぼ同じである。相違点以外の構成については、第2実施形態にて説明した通りであるので、説明を省略する。なお図7の例では、説明上、計測対象物50への入射光である加熱用レーザ光Laの入射角度と、加熱用レーザ光Laの反射光の反射角度と、に合わせて計測対象物50の傾斜角度が設定されている。
第3実施形態では、レーザ光源21と集光学系22の配置が図1に示した第1実施形態におけるこれらの配置と同じになっている。すなわち、第1コリメート素子23と、第1集光素子24と、空間フィルタ25と、第2コリメート素子26と、第2集光素子27と、がこの順にレーザ光Laの光路上において一列に配置されている。第2集光素子27を通過したレーザ光Laは、計測対象物50の表面に設定された計測点SPに斜めに入射する。
反射光選択反射部47は、第1測定光L11、すなわち、計測点SPにて反射した照射光と計測点SPから放射された赤外線を含む測定光の光路上に配置されている。例えば反射光選択反射部47は、加熱用レーザ光Laの波長の光を反射し、反射光の波長以外の光を透過するダイクロイックミラーである。反射光選択反射部47が反射した反射光L5の先には、集光素子42及びレーザ強度検出部41が配置されている。他の構成は、第2実施形態とほぼ同じである。
第2実施形態の光学非破壊検査装置100と、第3実施形態の光学非破壊検査装置101では、加熱用レーザ光Laに関する情報と、第1部材51の表面に設定した計測点SPから取得される計測対象物50の被加熱状態(温度応答)に関する情報と、に基づいて、第1部材51及び第2部材52の接合界面の面積である接合部面積を求める。この場合の「接合界面」とは、第1部材51とハンダ53とが接合されている面状の領域、及び第2部材52とハンダ53とが接合されている面状の領域を指す。そして計測点から取得される温度応答は、面積が小さい方の接合界面の影響を大きく受ける。第1部材51は、図1に示した対象物51に相当する。
図8は、加熱用レーザ光に関する情報と計測対象物50の被加熱状態に関する情報から得られる位相差の例を示す説明図である。加熱用レーザ光に関する情報とは、計測点SPに照射される加熱用レーザ光の強度であり、図8の実線で示すように、時間の経過に対して正弦波状に変化する加熱用レーザ光の強度である。計測対象物50の被加熱状態に関する情報とは、計測点SPから放射される赤外線から検出した計測点SPの温度応答であり、例えば図8の点線で示すように、時間の経過に対して正弦波状に変化する計測点SPの温度である。そして、正弦波状に変化する加熱用レーザ光の強度と、正弦波状に変化する計測点SPの温度と、から位相差(δ)を求め、当該位相差に基づいて、接合部面積を求めることができる。
図9は、複数のサンプルに関して得られる接合部面積(既知)と位相差(測定値)の例を示す説明図である。図9の結果を得るためには、まず、特定の製品品番(例えば製品品番:A)である計測対象物50として、第1部材51と第2部材52との接合部面積の大きさのみが異なる複数のサンプルを用意する。そして、各サンプルを、図6または図7に示す光学非破壊検査装置にかけて、位相差(δ)を計測する。この結果、図9に示すような計測結果特性を得ることができる。なお、複数のサンプルを用意してサンプル計測結果特性を得る代わりに、複数のシミュレーションに基づいて、図9に示すサンプル計測結果特性と同等の特性を得るようにしてもよい。
そして、得られたサンプル計測結果特性(またはシミュレーションにて得られた特性)から、図10に示すように、(製品品番:Aに対する)位相差・接合部面積特性を得ることができる。また、この(製品品番:Aに対する)位相差・接合部面積特性から、位相差(δ)に対する接合部面積(S)を導出する回帰式f(δ)を求めることもできる。なお、位相差・接合部面積特性は、図10に示すようなグラフ形式であってもよいし、種々の値の位相差に対する接合部面積を示すルックアップテーブルの形式等であってもよい。そして判定装置に記憶されている位相差・接合部面積相関情報は、上記の位相差・接合部面積特性または回帰式、の少なくとも一方を含む。これにより、判定装置70は、計測対象物50に応じた位相差・接合部面積特性または計測対象物に応じた回帰式、の少なくとも一方を用いて、位相差から接合部面積を求めることができる。この方法であれば、第1部材51と第2部材52とが溶接等で直接接合されている計測対象物50の場合、第1部材51と第2部材52とがハンダ53等の接合部材を挟んで接合されている計測対象物50の場合、第1部材51や第2部材52が単一の物質でない場合、など、種々の計測対象物50に対して、より正確に、かつ容易に、接合部面積を求めることができる。なお、求めた接合部面積の良否判定については、例えば図10に示すように、最小許容面積S3と最大許容面積S4を設定して最小許容面積S3から最大許容面積S4である所定面積範囲A1内を正常と判定するようにしてもよいし、最小許容面積S3を設定して最小許容面積S3以上の範囲A2を正常と判定するようにしてもよい。あるいは、接合部面積に換算することなく、最小許容面積S3に対応する位相差δ3以下、かつ最大許容面積S4に対応する位相差δ4以上の位相差である場合に正常、あるいは最小許容面積S3に対応する位相差δ3以下の位相差である場合に正常、と判定するようにしてもよい。
以上のように、第2実施形態と第3実施形態の光学非破壊検査装置では、接合界面にて互いに接合された第1部材51と第2部材52、あるいは互いの接合界面にて接合部材を挟んで互いに接合された第1部材51と第2部材52で構成された計測対象物50について、非破壊にて接合部面積を求めることができる。なお、光学非破壊検査装置のレーザ照射装置として、図2に示した比較例のレーザ照射装置200を用いた場合には、直径が50~75μmの細径アルミワイヤを計測対象物50の第1部材51として検査を行う際に、接合部面積を求めるために十分な強度のレーザ光を用いると、第1部材51の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生してしまうという問題があった。一方、第2実施形態及び第3実施形態の光学非破壊検査装置では、第1実施形態のレーザ照射装置20を用いているので、直径が50~75μmの細径アルミワイヤを計測対象物50の第1部材51として検査を行う場合にも、第1部材51の表面に焦げや溶解による変形などの不具合が発生することなく、接合部面積を求めることが可能であった。
本開示は、上述の実施形態や実施形態、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、開示の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施形態、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
20…レーザ照射装置、21…レーザ光源、22…集光学系、23…第1コリメート素子、24…第1集光素子、25…空間フィルタ、26…第2コリメート素子、27…第2集光素子、31…赤外線強度検出部、32…集光素子、41…レーザ強度検出部、42…集光素子、43…加熱レーザ選択反射部、44…コリメート素子、47…反射光選択反射部、50…計測対象物、51…第1部材(対象物)、52…第2部材、53…ハンダ、60…位相差検出装置、70…判定装置、100…光学非破壊検査装置、101…光学非破壊検査装置、200…レーザ照射装置
Claims (3)
- レーザ照射装置であって、
レーザ光源と、
前記レーザ光源から射出されたレーザ光を集光して対象物に照射する集光学系と、
を備え、
前記集光学系は、
第1コリメート素子と、第1集光素子と、空間フィルタと、第2コリメート素子と、第2集光素子と、がこの順に配置された構成を有し、
前記空間フィルタは、前記レーザ光の集光位置に配置されており、前記空間フィルタを通過する前記レーザ光の集光径よりも小さな直径のピンホールを有する、
レーザ照射装置。 - 請求項1に記載のレーザ照射装置であって、
前記ピンホールの前記直径は、前記集光径の50~80%である、レーザ照射装置。 - 請求項1又は2に記載のレーザ照射装置であって、
前記対象物は、接合界面にて互いに接合された第1部材と第2部材で構成されており、
前記レーザ照射装置は、前記第1部材の表面に設定した計測点に前記レーザ光を加熱用レーザ光として照射して、前記加熱用レーザ光に関する情報と前記計測点から取得される情報とに基づいて前記接合界面の面積を求める光学非破壊検査装置であり、
前記レーザ光源は、前記計測点における強度が正弦波状に変化するように前記レーザ光を出射するレーザ出力装置であり、
前記レーザ照射装置は、更に、
前記計測点の前記加熱用レーザ光の強度を検出するレーザ強度検出部と、
前記計測点から放射された赤外線の強度であって正弦波状に変化する前記赤外線の強度を検出する赤外線強度検出部と、
前記レーザ強度検出部からの検出信号と前記赤外線強度検出部からの検出信号を取り込んで、正弦波状に変化する前記加熱用レーザ光の強度と、正弦波状に変化する前記赤外線の強度と、の位相差を検出する位相差検出装置と、
前記位相差検出装置から取り込んだ前記位相差に基づいて前記接合界面の面積である接合界面面積を算出する判定装置と、
を有する、レーザ照射装置。
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