JP2022162681A - 熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物、それを用いた成形品、積層体およびそれらの製造方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物、それを用いた成形品、積層体およびそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フィルムとした場合に、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有する樹脂組成物を得ること。【解決手段】液晶ポリエステルと熱硬化性樹脂からなる樹脂組成物であって、樹脂組成物の比誘電率の対数値が特定の値の範囲をとることを特徴とする樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を含有する樹脂組成物とその製造方法に関する。さらに、前記樹脂組成物を用いた成形品や積層体、およびそれらの製造方法に関するものである。
近年の移動携帯端末や通信基地局の需要増大に伴い、リジット基板やフレキシブル基板といったプリント基板に用いられる樹脂の需要が拡大している。このような用途の樹脂として、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂といった熱硬化性樹脂が挙げられる。さらに近年、第五世代移動通信“5G”の利用が開始され、これら基板用途の樹脂のさらなる高性能化が求められている。
5G通信の特徴として、電子機器や通信機器等において高周波数帯、特にギガヘルツ(GHz)帯の周波数を有する信号を使用する。信号が高周波数になるに従い、情報出力信号の伝送損失が大きくなる。これは、電子機器や通信機器における基板等の電気電子部品に用いる樹脂材料に由来する誘電損失が主な原因として考えられている。この誘電損失は樹脂の誘電正接に比例するため、高周波数帯において、低い誘電正接を有する樹脂が求められている。また、ミリ派(>30GHz)と呼ばれる周波数帯の利用も、5Gの普及に伴って加速すると言われている。基板等の絶縁材として用いられる樹脂には、ミリ派帯においても低誘電正接である材料が求められており、使用周波数に応じて誘電正接が変化しにくく、いずれの周波数帯においても安定して使用できる性質、すなわち誘電正接の周波数依存性が低い材料が必要不可欠となる。
加えて、特に車載における電子機器や通信機器は使用環境が高温多湿となる場合が多く、このような環境下においては、湿気による電子機器の誤作動や、樹脂材料の劣化が促進されるため、近年の材料においては、水蒸気を透過しにくい性質、すなわち、水蒸気バリア性に優れる樹脂が求められている。
液晶ポリエステル樹脂は、その耐熱性、流動性、電気特性、低吸湿性などを活かし、特に電気・電子分野で用いられ、その需要が拡大している。この様な優れた特性を有する液晶ポリエステル樹脂を粒子化して他樹脂へと配合して分散させることにより、組成物の種々特性が向上することが知られている。
このような材料として、特許文献1に開示された技術では、エポキシ樹脂に特定の液晶ポリマー粒子を配合させることにより、電気的特性に優れた樹脂組成物が得られることが示されている。また、特許文献2においては、ポリイミド樹脂と全芳香族ポリエステル樹脂といった疎水性高分子粉末からなるポリイミド成形体の吸水性が改善されることが開示されている。さらに、特許文献3では、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂といった熱硬化性樹脂と液晶性樹脂からなる樹脂付き金属箔の、電気的特性やハンダ耐熱が向上することが示されている。特許文献4においては、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミドおよび芳香族ポリアミドイミドといった熱硬化性樹脂に対して液晶ポリマーを配合してなるフィルムが、低吸水となることが示されている。
国際公開2017/150336号 特開2006-143796号公報 特開2003-48272号公報 特開2006-45517号公報
特許文献1~4に記載された方法では、今後需要が拡大する次世代移動通信機器に求められる、ポスト5G時代に使用が想定されるミリ派帯においても、低誘電正接を保つことのできる性質、すなわち誘電正接の周波数依存性が低い性質や、水蒸気バリア性について言及されておらず、これらに対して課題があり、さらなる改善の余地があった。
本発明は、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有する樹脂組成物およびその成形品と製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を少なくとも含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の10GHzにおける比誘電率(C)の対数値(logC)を一定以下に制御することによって、前記樹脂組成物からなる成形品が、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下のとおりである:
(1)熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を少なくとも含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の10GHzにおける比誘電率(C)が、下記式[1]を満たす樹脂組成物。
logC<0.85×((logA×X/100)+(logB×Y/100)) - [1]
(A):液晶ポリエステル樹脂の10GHzにおける比誘電率
(B):熱硬化性樹脂の10GHzにおける比誘電率
(X):熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有率(質量%)
(Y):熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する熱硬化性樹脂の含有率(質量%)
(2)前記熱硬化性樹脂と前記液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有量(質量%)が、1質量%以上かつ25質量%未満である、(1)に記載の樹脂組成物。
(3)前記液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として下記構造単位(I)を、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、30~80モル%含む液晶ポリエステル樹脂である、(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
Figure 2022162681000001
(4)前記液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対する下記構造単位(II)の含有量が、0~3モル%である、(1)~(3)のいずれかに記載の樹脂組成物。
-Z-Ar-NH- (II)
(Arは、ナフタレンジイル基またはフェニレン基を表し、ナフタレンジイル基またはフェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。Zは、O、C=OまたはNHを表す。)
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
(6)フィルム状、シート状または板状である、(5)に記載の成形体。
(7)支持体および樹脂層が積層された積層体であって、(1)~(4)のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂層の少なくとも一方の面に、支持体が積層された積層体。
(8)(7)に記載の積層体から、支持体を除去することにより樹脂フィルムを得る、樹脂フィルムの製造方法。
本発明によって、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有する樹脂組成物が得られ、本発明の樹脂組成物を成形加工して使用する場合には、今後需要が拡大する次世代移動通信機器に求められる、ポスト5G時代に使用が想定される高周波数における電気電子機器や、通信機器の出力信号の伝送損失を防止することができるため、電気・電子部品や機械部品内のフレキシブルプリント配線板や半導体パッケージなどに使用される積層体に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<樹脂組成物>
本発明における樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を少なくとも含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の10GHzにおける比誘電率(C)が、下記式[1]を満たす。
logC<0.85×((logA×X/100)+(logB×Y/100)) - [1]
(A):液晶ポリエステル樹脂の10GHzにおける比誘電率
(B):熱硬化性樹脂の10GHzにおける比誘電率
(X):熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有率(質量%)
(Y):熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する熱硬化性樹脂の含有率(質量%)
ここで、(A),(B),(C)は、それぞれ液晶ポリエステル樹脂、熱硬化性樹脂、樹脂組成物からなるフィルムを成形し、23℃、10GHzにおける空洞共振器摂動法によって得られる比誘電率の値である。
式[1]は、Lichteneckerの対数混合則(ある物性に対してαとβの値をもつ異なる二種の物質をそれぞれxとyの体積分率で混ぜ合わせた際に、混合物としての物性値γを予測する混合則のことであって、logγ=x×logα+y×logβの関係から予測される)から予測される樹脂組成物の比誘電率(C)の対数値(logC)が、予測値((logA×X/100)+(logB×Y/100))の0.85倍未満となることを意味している。本発明では、式[1]の関係を満たすようにlogCの値を制御することによって、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有する樹脂組成物が得られることを見出した。なお、以下より式[1]における、(logA×X/100)+(logB×Y/100)を、「予測値」と呼ぶことがある。
Lichteneckerの対数混合則では、混ぜ合わせた体積分率のみで混合物の値を予測するため、混ぜ合わせた物質同士の間に働く共有結合的、あるいは非共有結合的な相互作用が存在すると、予測値が変化しうる。すなわち、上記対数混合則は物質同士の相互作用を計る尺度となりうる。
本発明の課題である、誘電正接の周波数依存性と水蒸気バリア性は、物質が有する極性基の量や分極率およびその運動性などに大きく影響されるが、前記した物質同士の間に働く相互作用を制御することでこれらの影響を小さくすることができる。Lichteneckerの対数混合則に、同様に極性基の状態に影響される誘電率を当てはめると、樹脂組成物の比誘電率(C)の対数値(logC)が予測値を下回るほど、混合物同士の極性基が、分極を打ち消し合うように、あるいは運動性を低下させるように、制御されて存在していることを示している。
logCを予測値の0.85倍未満とすることで、さらに高いレベルで極性基を制御できるため、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有する樹脂組成物を得ることができる。logCが予測値の0.85倍以上であると、前記した極性基の制御が不十分となってしまい、誘電正接の周波数依存性が高くなり、水蒸気バリア性が低くなってしまう。さらに高いレベルで極性基を制御し、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性とする観点から、logCは予測値の、0.82倍を下回るほうが好ましく、0.80倍を下回るほうがより好ましく、0.78倍を下回るほうがさらに好ましい。
熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を少なくとも含む樹脂組成物のlogCを、上記範囲に制御するためには、例えば、下記(1)を満たした上で、(2)~(4)のいずれかを満たすか、下記(1)または(2)のいずれかを満たしたうえで、(3)または(4)の条件を満たす方法が挙げられる。好ましくは、(1)および(2)を満たした上で、(3)または(4)の条件を満たす方法であり、最も好ましくは、(1)~(4)すべてを満たす方法である。
(1)液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として下記構造単位(I)(HNA)を、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、30~80モル%、または後述の好ましい範囲含む。
Figure 2022162681000002
(2)熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有量(質量%)、すなわち前記式[1]におけるXを、1質量%以上かつ25質量%未満、または後述の好ましい範囲とする。
(3)液晶ポリエステル樹脂の製造時において、通常130~150℃で行うアセチル化反応を2時間より長く4時間以下、または後述の好ましい範囲とする。
(4)液晶ポリエステル樹脂の製造時において、アセチル化に用いる無水酢酸の仕込み量を、フェノール性水酸基合計の1.10当量より多く1.14当量以下、または後述の好ましい範囲とする。
上記(1)について、詳細は後述の<液晶ポリエステル樹脂>に記載する。
上記(2)について、本発明における樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を少なくとも含む樹脂組成物であるが、熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有量(質量%)、すなわち前記式[1]におけるXを、1質量%以上かつ25質量%未満であることが好ましい。かかる範囲とすることで、樹脂組成物中の液晶ポリエステル樹脂のエステル基濃度が多くなりすぎず、さらに、液晶ポリエステル樹脂の凝集を防ぐ事ができるため、前記した極性基の制御が容易となり、水誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができ、5質量%以上がより好ましく、8質量部以上がさらに好ましい。また、22質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
式[1]における、XおよびYの含有量の算出法を以下に示す。まず、樹脂組成物を粉砕後、水酸化テトラメチルアンモニウムを添加して、樹脂成分を分解する。得られた溶液を、島津製GCMS-QP5050Aを用いて、熱分解GC/MS測定を行うことによって、仕込み量、溶解した樹脂量、残渣量、並びにGC/MSから得られた各モノマー成分の存在比率から求めることができる。
上記(3)について、詳細は後述の<液晶ポリエステル樹脂の製造方法>に記載する。
上記(4)について、詳細は後述の<液晶ポリエステル樹脂の製造方法>に記載する。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の樹脂組成物に、公知の充填材、添加剤等を含有させてもよい。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明における樹脂組成物は、従来の樹脂組成物の調整方法として一般的に用いられている公知の設備と方法を用いて製造することができる。具体例として、熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂、および充填材などのその他混合剤を所定量混合し、ホモジナイザー、ミキサー、パールミル、ディスクミルなどを用いて均一に混合することによって得られる。その後、ニーダーやロールで加熱混練しても良い。また混合時に溶剤を用いてもよく、熱硬化性樹脂および液晶ポリエステル樹脂を、溶剤に溶解あるいは分散させた状態で混ぜ合わせた後、溶媒を留去することで組成物とすることもできる。
また、本発明における樹脂組成物は、熱硬化性樹脂の前駆体に、液晶ポリエステル樹脂を予め混合して均一に分散させた後、前駆体の硬化反応によって樹脂組成物を得ることが好ましい。具体的には、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合は、エポキシモノマーあるいはオリゴマーに液晶ポリエステル樹脂を混合した後、硬化反応によってエポキシ樹脂と液晶ポリエステル樹脂の樹脂組成物を得ることが好ましい。このとき、エポキシモノマーまたはオリゴマーは固体、液体あるいは溶液のいずれの様態であっても良い。また、熱硬化性樹脂がポリイミドの場合は、ポリイミドのモノマーであるテトラカルボン酸無水物とジアミン、あるいはそれらが反応した前駆体であるポリアミド酸に、液晶ポリエステル樹脂を混合した後、硬化反応によってポリイミド樹脂と液晶ポリエステルの樹脂組成物を得ることが好ましい。このとき、テトラカルボン酸無水物とジアミン、あるいはポリアミド酸は固体、液体あるいは溶液のいずれかの様態であっても良い。分散性が向上し、前述した極性基をさらに高いレベルで制御でき、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができる観点から、溶液状態のポリアミド酸に液晶ポリエステル樹脂を混合した後、加熱処理によってポリイミド樹脂と液晶ポリエステル樹脂組成物とする手法がより好ましい。このとき、本発明の効果を損なわない範囲で、硬化促進剤を添加しても良い。
<熱硬化性樹脂>
本発明における熱硬化性樹脂は、加熱により重合して硬化する樹脂であって、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリイミド樹脂が挙げられる。これらは、単独でも、または組み合わせても用いることができる。中でも、汎用的に電子電機部品分野において工業利用されている観点から、ポリイミド樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂は、一分子内に二個以上のエポキシ機を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、具体的には、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジターシャリブチル-6,6’-ジメチルビフェニルなどのグリシジルエーテル化物、すなわちビフェニル型エポキシ樹脂、4,4’-メチレンビス(2-メチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、4,4’-エチリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(2-メチルフェノール)などのグリシジルエーテル化物、ビスフェノール型エポキシ樹脂、3-ターシャリブチル-4,4’-ジヒドロキシ-5,3’-ジメチルスチルベン、3-ターシャリブチル-4,4’-ジヒドロキシ-3’,6-ジメチルスチルベン、3-ターシャリブチル-2,4’-ジヒドロキシ-3’,5’,6-トリメチルスチルベン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルスチルベンなどのグリシジルエーテル化物、すなわちスチルベン型エポキシ樹脂、その他にオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、非ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂が挙げられ、これらのエポキシ樹脂単独でも良く、2種類以上の混合体でも良い。必要に応じて、硬化促進剤を添加しても良い。
フェノール樹脂として、ノボラック型のフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、オルソクレゾール-ホルムアルデヒド樹脂、メタクレゾール-ホルムアルデヒド樹脂、ビスフェノールA-ホルムアルデヒド樹脂、ビスフェノールF-ホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)としては、ビスマレイミドと芳香族シアン酸エステルを架橋して得られる種々のビスマレイミドトリアジン樹脂を用いることができる。ビスマレイミドトリアジン樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリイミド樹脂として、酸無水物とジアミンを用いて得られる種々のポリイミド樹脂を用いることができる。酸無水物は、芳香族テトラカルボン酸であることが好ましく、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、4,4’-オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、2,2’-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン無水物等が例示され、ジアミンは、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3’-ジメトキシベンチジン、1,4-ビス(3メチル-5アミノフェニル)ベンゼン及びこれらのアミド形成性誘導体等が例示されるがこれらに限定されない。また、アミン系化合物等のイミド化触媒、カルボン酸無水物等の脱水剤などを併用することもできる。なお、熱硬化性樹脂成分としてポリイミド樹脂を用いる場合は、酸無水物とジアミンとを重合させて得られるポリアミド酸を用い、後述する成形時又は成形後にイミド化させて樹脂組成物とすることが好ましい。ポリイミド樹脂を形成するモノマーは、酸無水物とジアミンとそれぞれ、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂の中でも、液晶ポリエステル樹脂との混和性や分散性が高く、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができる観点から、ポリイミドを用いることが好ましい。
本発明における熱硬化性樹脂の製造方法は特に限定されることはなく、公知の方法を用いてよい。
<液晶ポリエステル樹脂>
液晶ポリエステル樹脂は、異方性溶融相を形成するポリエステルである。このようなポリエステル樹脂としては、例えば、後述するオキシカルボニル単位、ジオキシ単位、ジカルボニル単位などから異方性溶融相を形成するよう選ばれた構造単位から構成されるポリエステルなどが挙げられる。
次に、液晶ポリエステル樹脂を構成する構造単位について説明する。
オキシカルボニル単位の具体例としては、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸などから生成した構造単位が挙げられる。分子中に含まれるエステル基濃度(エステル基の分子量/構造単位の分子量)が他モノマー比低く、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から生成した下記構造単位(I)を含むことが好ましい。
Figure 2022162681000003
本発明における液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として、下記構造単位(I)が、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、30~80モル%であることが好ましい。かかる範囲とすることで、液晶ポリエステル樹脂の全体のエステル基濃度が比較的低くなり、液晶ポリエステル樹脂の凝集を防ぐ事ができるため、樹脂組成物中の極性基の制御が容易となり、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができる。極性基の制御がさらに容易になるため、さらに好ましくは35モル%以上であり、40モル%以上がより好ましく、45モル%以上が特に好ましく、62モル%以上が最も好ましい。また、72モル%以下が好ましく、70モル%以下がより好ましい。
ジオキシ単位の具体例としては、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシノール、t-ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオールから生成した構造単位、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオールから生成した構造単位、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールから生成した構造単位などが挙げられる。液晶性の発現が容易であり、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、エチレングリコールから生成した構造単位が好ましい。
ジカルボニル単位の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、2,2’-ジフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、1,2-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸から生成した構造単位などが挙げられる。液晶性の発現が容易であり、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位が好ましく、中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位が特に好ましい。
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂は、アミド基などの高極性基をほとんど含まず、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対する下記構造単位(II)の含有量が、0~3モル%であることが好ましい。0~2モル%以下であることがより好ましく、0~1モル%以下であることがさらに好ましい。構造単位(II)は0モル%であってもよい。
-Z-Ar-NH- (II)
(Arは、ナフタレンジイル基またはフェニレン基を表し、ナフタレンジイル基またはフェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。Zは、O、C=OまたはNHを表す。)
液晶ポリエステル樹脂について、各構造単位の含有量の算出法を以下に示す。まず、液晶ポリエステル樹脂を粉砕後、水酸化テトラメチルアンモニウムを添加し、島津製GCMS-QP5050Aを用いて、熱分解GC/MS測定を行うことによって求めることができる。検出されなかった、あるいは検出限界以下の構造単位の含有量は0モル%として計算する。
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、耐熱性の観点から200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、280℃以上がさらに好ましく、300℃以上が特に好ましい。一方、液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)の上限は特に限定されず、400℃以上であってもよい。
融点(Tm)の測定は、示差走査熱量測定により行う。具体的には、まず、測定するポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm1)を観測する。吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、吸熱ピーク温度(Tm1)+20℃の温度でポリマーを5分間保持する。その後、20℃/分の降温条件で室温までポリマーを冷却する。そして、20℃/分の昇温条件でポリマーを再び加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm2)を観測する。本発明における融点(Tm)とは、2回目の昇温過程における該吸熱ピーク温度(Tm2)を指す。
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度は、強度に優れる観点から、20Pa・s以上が好ましく、30Pa・s以上がより好ましく、40Pa・s以上がさらに好ましい。一方、液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度の上限は特に限定されない。
なお、この溶融粘度は、液晶ポリエステル樹脂の融点(Tm)+10℃の温度、またはTmが270℃未満の場合は280℃で、かつ、せん断速度1000/秒の条件下で、高化式フローテスターによって測定した値である。
<液晶ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂を製造する方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。具体的には、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、イソフタル酸に由来する構造単位、およびエチレングリコールに由来する構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂を例にすると、以下の方法が挙げられる。
(1)6-アセトキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジアセトキシビフェニル、イソフタル酸、およびポリエチレンテレフタレ―トなどポリエステルのポリマーもしくはオリゴマーまたはビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートから脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、イソフタル酸、およびポリエチレンテレフタレ―トなどのポリエステルのポリマーもしくはオリゴマーまたはビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステル樹脂を製造する方法。
(3)(1)または(2)の製造方法において出発原料の一部に1,2-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフトイル)エタンを用いる方法。
なかでも(2)の方法が、液晶ポリエステル樹脂の重合度の制御に工業的に優れる点から、好ましく用いられる。
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂を製造する方法において、フェノール性水酸基をアセチル化する反応(アセチル化反応)の温度は、通常130~210℃の範囲であるが、好ましくは130~150℃の範囲である。アセチル化反応時間は、重合反応性の観点から通常30分以上行うが、ヒドロキシル基やカルボキシル基といった極性末端基の量を抑え、前記した極性の制御が用意となり、前記式[1]におけるlogCを好適な範囲に制御でき、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、2時間より長いことが好ましく、2時間30分以上がより好ましい。一方、アセチル化反応時間は、生産性の観点から通常6時間以下で行うが、芳香族ヒドロキシカルボン酸の連鎖に由来する異物を抑制し、水蒸気バリア性をより高めることができるため、4時間以下が好ましく、3時間30分以下がより好ましい。
アセチル化反応に用いる無水酢酸の使用量は、重合反応性の観点から、通常液晶ポリエステル原料中のフェノール性水酸基の合計の1.00当量以上であるが、ヒドロキシル基やカルボキシル基といった極性末端基の量を抑え、前記した極性の制御が容易となり、前記式[1]におけるlogCを好適な範囲に制御でき、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、前1.10当量以上が好ましく、1.11当量以上がより好ましい。一方、無水酢酸の使用量は、芳香族ヒドロキシカルボン酸の連鎖に由来する異物を抑制する観点から、通常1.20当量以下であるが、ポリマー中の残存酢酸量を抑え、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、1.14当量以下が好ましく、1.13当量以下がより好ましい。
本発明で使用する液晶ポリエステル樹脂の製造方法として、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。固相重合法による処理としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、液晶ポリエステル樹脂のポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕する。粉砕したポリマーまたはオリゴマーを、窒素気流下、または、減圧下において加熱し、所望の重合度まで重縮合することで、反応を完了させる。上記加熱は、液晶ポリエステルの融点-50℃~融点-5℃(例えば、200~300℃)の範囲で1~50時間行うことが好ましい。
液晶ポリエステル樹脂の重縮合反応は、無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどを触媒として使用することもできる。
<液晶ポリエステル樹脂粒子>
本発明の樹脂組成物は、<樹脂組成物の製造方法>に記載の手法によって得られるが、混合する液晶ポリエステル樹脂の形態として、分散性が向上し、前述した極性基の制御がより高いレベルで行える観点から、粒子状であることが好ましい。
液晶ポリエステル樹脂粒子の形状は特に限定されず、球状(略球状を含む)、紡錘状、不定形の粒子状、フィブリル状、繊維状およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
液晶ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は、0.1~50μmであることが好ましい。粒子同士の凝集が抑制され、組成物中で液晶ポリエステル樹脂の分散性が向上し、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができる観点から、体積平均粒子径は0.3μm以上が好ましく、0.7μm以上がより好ましく、1μm以上がさらに好ましい。また、樹脂組成物の粗化が抑制され、表面が均質となり、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができる観点から、体積平均粒子径は40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましい。
本発明の液晶ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径は、例えば、湿式レーザー回折・散乱法(日機装株式会社製、型式:MicrotracMT3300EXII)により、計測用の分散媒を水とし、物質の屈折率を1.53、分散媒の屈折率を1.333と設定し、イオン交換水中で液晶ポリエステル樹脂粒子を予備分散した液晶ポリエステル樹脂粒子分散液で計測することができる。
本発明の液晶ポリエステル樹脂粒子の製造方法としては、特に限定されないが、液晶ポリエステル樹脂の製造時に、示差走査熱量計(DSC)において溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下の口金温度で吐出された液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法、示差走査熱量計(DSC)において溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下の溶融加工温度で溶融させて得られた液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法、ペレット状の液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法、液晶ポリエステル樹脂のオリゴマーを粉砕し、次いで固相重合を行う方法、シート状の液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法、液晶ポリエステル樹脂と非液晶性熱可塑性樹脂からなるシートを製造後、非液晶性熱可塑性樹脂を溶媒により溶出して除去する方法等が挙げられる。高収率で粒子が得られるほか、前記式[1]におけるlogCを好適な範囲に制御でき、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有することができるため、液晶ポリエステル樹脂の製造時に、示差走査熱量計(DSC)において溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下の口金温度で吐出された液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法、および示差走査熱量計(DSC)において溶融温度を示す吸熱ピークの高温側の終点以下の溶融加工温度で溶融させて得られた液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法が好ましい。
液晶ポリエステル樹脂を粉砕する方法としては、カウンタージェットミル(ホソカワミクロン株式会社製)、メッシュミル型粉砕機(株式会社ホーライ製)、マスコロイダー(増幸産業株式会社製)、ボールミル型凍結粉砕機(日本分析工業株式会社製)、フリーザーミル(SPEX製)などに供する方法が挙げられるが、精製あまに油吸油量を好適な範囲に制御できる観点から、カウンタージェットミルやフリーザーミルなど、強い衝撃を加える方法で粉砕することが好ましい。
<樹脂組成物の成形体>
本発明の樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形、溶液キャスト製膜、紡糸およびその他公知の成形方法によって、成形品に加工することが可能である。ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、未延伸フィルム、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムなどの各種フィルム、未延伸糸、超延伸糸などの各種繊維、プリプレグなどが挙げられる。本発明の樹脂組成物の効果が顕著に得られる観点から、フィルム状、シート状または板状であることが好ましく、中でもフィルム状が好ましい。
<樹脂組成物のフィルムおよび積層体>
本発明の樹脂組成物は、フィルム状の成形体や積層体を製造するための原料として用いることができる。本発明の樹脂組成物フィルム状の成形体や積層体は、例えば、下記の(I)および(II)に記載の方法で製造することができる。ここで、本発明の積層体は、支持体および樹脂層が積層された積層体であって、樹脂組成物層の少なくとも一方の面に、支持体が積層された積層体である。
(I)本発明の樹脂組成物の液状物を、支持体状に塗布した後、加熱などの操作により固化して積層体を得る方法。その後、得られた積層体から支持体を除去することでフィルムを得る方法。
(II)本発明における熱硬化性樹脂の前駆体と液晶ポリエステル樹脂の混合物の液状物を支持体上に塗布し、加熱などの操作によって固化および硬化して本発明の樹脂組成物の積層体を得る方法。その後、得られた積層体から支持体を除去することでフィルムを得る方法。
積層体は、上記(I)、(II)に記載の方法に加えて、例えば、下記(III)~(V)の方法でも積層体を製造することができる。
(III)上記(I)または(II)の方法により製造されたフィルムを加熱圧着により支持体に貼付する方法。
(IV)上記(I)または(II)の方法により製造されたフィルムと支持体とを接着剤により貼付する方法。
(V)上記(I)または(II)の方法により製造されたフィルム上に支持体を蒸着により形成する方法。
容易に、均一な膜厚の樹脂層を形成することができ、かつ樹脂層と支持体との密着性が高く、変形の少ない積層体を得ることができる観点から、(I)または(II)の方法が好ましく、特に(II)の方法が好ましい。
上記(I)~(V)の方法に使用する支持体としては、特に制約は無く、金属箔、ガラス基板、高分子フィルムなどから選ばれる。支持体は金属箔、ガラス基板、高分子フィルムなどの単体であっても、これらの複合素材であってもよい。高分子フィルムとしては、絶縁性を有するポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられ、離型性を高めるため、シリコーンやフッ素樹脂で表面がコーティングされていても良い。
上記(I)~(V)の方法において、支持体が金属箔である場合に使用される金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。電気・電子部品や機械部品内のフレキシブルプリント配線板およびリジットプリント配線板などの回路基板用途などでは銅が好ましい。
以下、上記(II)の方法により積層体を製造する方法を説明する。
支持体上に、本発明における熱硬化性樹脂の前駆体と液晶ポリエステル樹脂の混合物の液状物を塗布する方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコーター法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、グラビア法、スロットダイ法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等の各種手段が挙げられる。これらの手段によって、本発明における熱硬化性樹脂の前駆体と液晶ポリエステル樹脂の混合物の液状物を、支持体上に平坦かつ均一に流延して塗膜を形成する。
続いて、液状化させるために溶媒を用いた場合は、塗膜中の溶媒を除去することにより、支持体の表面に樹脂層が形成される。溶媒の除去方法は、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発する方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。溶媒の急激な蒸発を抑制し、クラックがなく膜厚が均一なフィルムが得られる観点から、加熱により溶媒を除去することが好ましい。加熱温度は、溶媒が揮発する温度であれば特に限定されないが、溶媒の急激な蒸発を抑制し、クラックがなく膜厚が均一なフィルムが得られる観点から、溶媒の沸点より低い温度であることが好ましい。したがって、室温より高く、溶媒の沸点より低い温度で加熱することが好ましい。熱硬化性樹脂の前駆体が液状物である場合など、溶媒を用いていない場合、本操作は不要である。
続いて、前駆体に適した加熱温度と時間で硬化反応を完遂させることで、支持体の方面に樹脂組成物の層が形成される。硬化温度と時間については特に限定されず、公知の手法を用いて良い。
このようにして得られる積層体の構造としては、例えば、フィルムと支持体との二層構造、フィルムの両面に支持体を積層させた三層構造、支持体の両面にフィルムを積層させた三層構造、さらにはフィルムと支持体を交互に四層以上積層させた多層構造などが挙げられる。
上記の方法により得られた積層体は、例えば、各種コンピュータ、OA機器、AV機器などに代表される電気・電子部品や電気・電子部品を実装したフレキシブルプリント配線板、リジットプリント配線板などの回路基板;車載用半導体、産業用半導体などに用いられる半導体パッケージ;透明導電性フィルムの基材、偏光フィルムの基材、各種調理食品用および電子レンジ加熱用の包装フィルム、電磁波シールド用フィルム、抗菌性フィルム、気体分離用フィルムなどに用いることができる。積層体を容易に得られることから、積層体を用いる、電気・電子部品や機械部品内のフレキシブルプリント配線板およびリジットプリント配線板などの回路基板や、半導体パッケージに好適に使用される。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。
<製造例1~5>
以下、製造例中の種々特性評価は以下の方法により測定した。
(1)液晶ポリエステル樹脂の組成分析
粉砕した液晶ポリエステル樹脂ペレット0.1mgに、水酸化テトラメチルアンモニウム25%メタノール溶液2μLを添加し、島津製GCMS-QP5050Aを用いて熱分解GC/MS測定を行い、液晶ポリエステル樹脂中の各構成成分の組成比を求めた。
(2)液晶ポリエステルの融点(Tm)測定
示差走査熱量計DSC-7(パーキンエルマー製)により、液晶ポリエステル樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
(3)液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度
高化式フローテスターCFT-500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用いて、Tm+10℃、またはTmが270℃未満の場合は280℃で、せん断速度1000/sの条件で液晶ポリエステル樹脂の溶融粘度を測定した。
(4)液晶ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒子径
純水中に分散させた液晶ポリエステル樹脂粒子を、レーザー回折・光散乱方式の粒度分布計Microtrac MT3300EXII(日機装株式会社製)を用いて、純水の屈折率を1.333として、液晶ポリエステル樹脂粒子の体積基準の累積粒度分布を測定し、平均粒径(D50)を算出した。
(5)式[1]におけるlogAおよびlogB
各樹脂について、フィルム形状の長さ45mm×幅2.7mm×厚み10~50μmの評価用試料を製作した。その後、アジレント・テクノロジー(株)製ネットワークアナライザーN5230Aおよび(株)関東電子応用開発製空洞共振器CP531を用いた空洞共振器摂動法によって23℃、10GHzにおける比誘電率(AおよびB)を求め、式[1]におけるlogAおよびlogBを見積もった。
<液晶ポリエステル樹脂(A)の製造>
[製造例1]
撹拌翼および留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸25重量部、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸1355重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル184重量部、イソフタル酸164重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート121重量部および無水酢酸1070重量部(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で180分アセチル化反応させた後、145℃から300℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を300℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが40kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を2.0kg/cm(0.2MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金(285℃)を経由してポリマーを吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-1)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A-1)について組成分析を行ったところ、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位は1.7モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位は67.8モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位は9.3モル%、テレフタル酸に由来する構造単位は5.9モル%、イソフタル酸に由来する構造単位は9.3モル%、エチレングリコールに由来する構造単位は5.9モル%であった。また、Tmは285℃、溶融粘度は50Pa・sであった。
液晶ポリエステル樹脂(A-1)のペレットについて、オスターブレンダーを用いて粗粉砕した後、フリーザーミル(SPEX製)を用い、粉砕時間:1分30秒、RATE:15CPS、冷却時間:1分を1サイクルとして、液体窒素下で凍結粉砕を2サイクル行い、体積平均粒子径21μmの液晶ポリエステル樹脂粒子を得た。得られた液晶ポリエステル樹脂粒子8重量部に、N-メチル2-ピロリドン92重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散液を得た。分散液を、銅箔の粗化面に、流延膜の厚さが500μmとなるように、フィルムアプリケーターと自動塗工装置(BEVS製)を用いて塗布し、40℃で4時間乾燥することにより溶媒を除去した後、さらに窒素雰囲気下310℃の熱風オーブン中で6時間保持する熱処理を行い、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂フィルムを得た。
得られた銅箔付き樹脂フィルムについて、塩化第二鉄溶液を用いて銅箔を除去し、液晶ポリエステル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの比誘電率を測定し、式[1]におけるlogAを見積もったところ、0.505であった。
[製造例2]
撹拌翼および留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸25重量部、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸1355重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル184重量部、イソフタル酸164重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート121重量部および無水酢酸1032重量部(フェノール性水酸基合計の1.08当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で120分アセチル化反応させた後、145℃から300℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を300℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金(280℃)を経由してポリマーを吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-2)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A-2)について組成分析を行ったところ、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位は1.7モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位は67.8モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位は9.3モル%、テレフタル酸に由来する構造単位は5.9モル%、イソフタル酸に由来する構造単位は9.3モル%、エチレングリコールに由来する構造単位は5.9モル%であった。また、Tmは280℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
液晶ポリエステル樹脂(A-2)のペレットについて、製造例1と同様に粉砕を行い、体積平均粒子径18μmの液晶ポリエステル樹脂粒子を得た。得られた液晶ポリエステル樹脂粒子を用いて、製造例1と同様の操作により、液晶ポリエステル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの比誘電率を測定し、式[1]におけるlogAを見積もったところ、0.505であった。
[製造例3]
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸870重量部、4,4´-ジヒドロキシビフェニル352重量部、ハイドロキノン89重量部、テレフタル酸292重量部、イソフタル酸157重量部および無水酢酸1338重量部(フェノール性水酸基合計の1.12当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で180分反応させた後、145℃から300℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金(310℃)を経由してポリマーを吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-3)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A-3)について組成分析を行ったところ、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位は53.8モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位は16.2モル%、ハイドロキノンに由来する構造単位は6.9モル%、テレフタル酸に由来する構造単位は15.0モル%、イソフタル酸に由来する構造単位は8.1モル%であった。また、Tmは310℃、溶融粘度は32Pa・sであった。
液晶ポリエステル樹脂(A-3)のペレットについて、凍結乾燥を4サイクルとした以外は製造例1と同様に粉砕を行い、体積平均粒子径18μmの液晶ポリエステル樹脂粒子を得た。得られた液晶ポリエステル樹脂粒子を用いて、製造例1と同様の操作により、液晶ポリエステル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの比誘電率を測定し、式[1]におけるlogAを見積もったところ、0.500であった。
[製造例4]
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸746重量部、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸85重量部、4,4´-ジヒドロキシビフェニル206重量部、テレフタル酸265重量部、p-アミノフェノール49重量部および無水酢酸956重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で120分反応させた後、145℃から360℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を360℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが20kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金(337℃)を経由してポリマーをストランド状に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶ポリエステル樹脂(A-4)を得た。
この液晶ポリエステル樹脂(A-4)について組成分析を行ったところ、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位は60.0モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位は5.0モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位は12.3モル%、テレフタル酸に由来する構造単位は17.7モル%、p-アミノフェノールに由来する構造単位は5.0モル%であった。また、Tmは337℃、溶融粘度は30Pa・sであった。
液晶ポリエステル樹脂(A-4)のペレットについて、凍結粉砕を4サイクルとした以外は製造例1と同様に粉砕を行い、体積平均粒子径20μmの液晶ポリエステル樹脂粒子を得た。得られた液晶ポリエステル樹脂粒子を用いて、製造例1と同様の操作により、液晶ポリエステル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの比誘電率を測定し、式[1]におけるlogAを見積もったところ、0.521であった。
<熱硬化性樹脂の前駆体(B’)および熱硬化性樹脂(B)の製造>
[製造例5]
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた1Lの容器を窒素置換した後、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル25.0重量部を仕込んだ。次いで、N-メチル-2-ピロリドン520重量部を加え完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物27.2重量部を加え、25℃の反応温度で15時間攪拌し、褐色で粘調なポリアミド酸溶液(ポリアミド酸濃度は10wt%)(B’-1)を得た。
得られたポリアミド酸溶液(B’-1)を、銅箔の粗化面に、流延膜の厚さが500μmとなるように、フィルムアプリケーターと自動塗工装置(BEVS製)とを用いて塗布し、40℃で4時間乾燥することにより溶媒を除去した後、さらに窒素雰囲気下350℃の熱風オーブン中で6時間保持する熱処理を行い、イミド化反応を進行させ、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂フィルム(B-1)を得た。
得られた銅箔付き樹脂フィルムについて、塩化第二鉄溶液を用いて銅箔を除去し、ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの比誘電率を測定し、式[1]におけるlogBを見積もったところ、0.531であった。
製造例1~5で得られた液晶ポリエステル樹脂(A)および熱硬化性樹脂(B)の各種特性について、表1に示す。
Figure 2022162681000004
<実施例1~5、比較例1~4>
[実施例1]
製造例1に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-1)の粒子10重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)900重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。分散体を、銅箔の粗化面に、流延膜の厚さが500μmとなるように、フィルムアプリケーターと自動塗工装置(BEVS製)とを用いて塗布し、40℃で4時間乾燥することにより分散媒を除去した後、さらに窒素雰囲気下350℃の熱風オーブン中で6時間保持する熱処理を行い、イミド化反応を進行させ、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[実施例2]
製造例2に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-2)の粒子10重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)900重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[実施例3]
製造例1に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-1)の粒子22重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)780重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[実施例4]
製造例1に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-1)の粒子30重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)700重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[実施例5]
製造例3に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-3)の粒子10重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)900重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[比較例1]
製造例5に記載の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂フィルムを得た。
[比較例2]
製造例2に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-2)の粒子30重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)700重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[比較例3]
製造例3に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-3)の粒子30重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)700重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
[比較例4]
製造例4に記載の液晶ポリエステル樹脂(A-4)の粒子10重量部を、製造例5に記載のポリアミド酸溶液(B’-1)900重量部に加え、ホモジナイザー(IKA製)を用いて攪拌し、分散体を得た。実施例1に記載の同様の手法により、長さ300mm×幅210mmの銅箔付き樹脂組成物フィルムを得た。
実施例1~4および比較例1~4で得られた銅箔付き樹脂組成物フィルムについて、塩化第二鉄溶液を用いて銅箔を除去し、樹脂組成物フィルムを得た。下記(6)~(9)の評価を行った結果を表2に示す。
Figure 2022162681000005
(6)式[1]におけるXおよびY
樹脂組成物フィルム1gに、水酸化テトラメチルアンモニウム25%メタノール溶液50mLを添加し、二終夜攪拌することで樹脂組成物フィルムを溶解させた。得られた溶液を島津製GCMS-QP5050Aを用いて熱分解GC/MS測定を行い、樹脂組成物中の各構成成分の存在比率を求め、仕込み量から、XとYを算出した。
(7)式[1]におけるlogC
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物について、フィルム形状の長さ45mm×幅2.7mm×厚み10~50μmの評価用試料を製作した。その後、アジレント・テクノロジー(株)製ネットワークアナライザーN5230Aおよび(株)関東電子応用開発製空洞共振器CP531を用いた空洞共振器摂動法によって23℃、10GHzにおける比誘電率(C)を求め、式[1]におけるlogCを見積もった。
(8)誘電正接の周波数依存性
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物について、フィルム形状の長さ45mm×幅2.7mm×厚み10~50μmの評価用試料を製作した。得られた誘電特性評価用フィルムの誘電正接を、アジレント・テクノロジー(株)製ネットワークアナライザーN5230Aおよび(株)関東電子応用開発製空洞共振器CP531を用いた空洞共振器摂動法によって23℃、10GHzにおける誘電正接(Df10)を求め、続いて、キーサイト・テクノロジー(株)製ネットワークアナライザーN5227Aおよびサムテック(株)製SUM-CYLINDER Ver2用いて遮断円筒導波管法によって23℃、65GHzにおける誘電正接(Df65)を求めた。周波数依存性は、Df65/Df10の値で評価し、この値が小さいほど、誘電正接の周波数依存性が低く優れる。
(9)水蒸気バリア性
各実施例および比較例により得られた樹脂組成物について、70mm長×70mm幅×30μmの評価用試験片を作製した。得られた試験片について、JISK7129(付属書C,2008年)に準拠し、GTR-30XATK(GTRテック)を用いて、温度40℃および相対湿度90%の条件で水蒸気透過度を測定した。水蒸気透過度の値が小さいほど、水蒸気バリア性に優れる。
本発明の樹脂組成物は、フィルムとした場合に、誘電正接の周波数依存性が低く、高い水蒸気バリア性を有する。本発明の樹脂組成物フィルムおよび積層体は、複数枚積層することを特徴とする積層板を用いるフレキシブルプリント配線板、リジットプリント配線板などの回路基板、および半導体パッケージへの使用に好適である。

Claims (8)

  1. 熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂を少なくとも含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の10GHzにおける比誘電率(C)が、下記式[1]を満たす樹脂組成物。
    logC<0.85×((logA×X/100)+(logB×Y/100)) - [1]
    (A):液晶ポリエステル樹脂の10GHzにおける比誘電率
    (B):熱硬化性樹脂の10GHzにおける比誘電率
    (X):熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有率(質量%)
    (Y):熱硬化性樹脂と液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する熱硬化性樹脂の含有率(質量%)
  2. 前記熱硬化性樹脂と前記液晶ポリエステル樹脂の合計量に対する液晶ポリエステル樹脂の含有量(質量%)が、1質量%以上かつ25質量%未満である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記液晶ポリエステル樹脂は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位として下記構造単位(I)を、液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対して、30~80モル%含む液晶ポリエステル樹脂である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
    Figure 2022162681000006
  4. 前記液晶ポリエステル樹脂の全構造単位100モル%に対する下記構造単位(II)の含有量が、0~3モル%である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
    -Z-Ar-NH- (II)
    (Arは、ナフタレンジイル基またはフェニレン基を表し、ナフタレンジイル基またはフェニレン基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、または炭素数6~20のアリール基で置換されていてもよい。Zは、O、C=OまたはNHを表す。)
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物を含む成形体。
  6. フィルム状、シート状または板状である、請求項5に記載の成形体。
  7. 支持体および樹脂層が積層された積層体であって、請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物を含む樹脂層の少なくとも一方の面に、支持体が積層された積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体から、支持体を除去することにより樹脂フィルムを得る、樹脂フィルムの製造方法。
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