JP2022086176A - 液晶性ポリエステル樹脂組成物、積層体、その製造方法および液晶性ポリエステル樹脂フィルム - Google Patents

液晶性ポリエステル樹脂組成物、積層体、その製造方法および液晶性ポリエステル樹脂フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】誘電率安定性や引張特性に優れた液晶性ポリエステル樹脂組成物を得ること。
【解決手段】炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部、前記液晶性ポリエステル樹脂(A)を溶解する溶媒であって、フェノール類を含む溶媒(C)100~5000重量部を含有する、液晶性ポリエステル樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性ポリエステル樹脂組成物、積層体、その製造方法および液晶性ポリエステル樹脂フィルムに関するものである。より詳しくは、誘電率安定性および引張特性に優れる液晶性ポリエステル樹脂組成物、積層体および液晶性ポリエステル樹脂フィルムに関するものである。
液晶性ポリエステル樹脂は、その液晶構造のため、耐熱性、流動性、寸法安定性に優れる。このため、それらの特性が要求される電気・電子部品を中心に需要が拡大している。近年では機器の高性能化に伴い、小型化や薄肉化が進んでおり、なかでも情報通信機器に用いられる基板材料の小型化には、材料の高誘電率化が必要とされている。
これら材料の高誘電率化のため、樹脂に高誘電体を配合する方法が提案されており、例えば、溶媒を含む芳香族液晶性ポリエステルに、誘電体としてチタン酸バリウムを配合し、誘電率や誘電正接に優れる誘電体(例えば、特許文献1)、芳香族液晶性ポリエステルに誘電体として、BaNdTi12を配合し、誘電率、誘電正接やはんだ耐熱性に優れる複合誘電体(例えば、特許文献2)、特定の溶剤に溶解する変性液晶ポリマーに、誘電体フィラーを配合した組成物(例えば、特許文献3)などが提案されている。
特開2002-62595号公報 特開2005-29700号公報 特開2020-15836号公報
前記特許文献1~3に記載された方法では、液晶性ポリエステル樹脂と誘電体の分散性が不十分であるため、材料の誘電測定位置によって誘電測定位置によるバラツキが発生し、誘電率安定性が不十分であった。さらに、組成物を加工して得られるフィルムの引張特性にも課題があった。
本発明の課題は、誘電測定位置による誘電率のバラツキが小さく安定であり、引張特性にも優れた液晶性ポリエステル樹脂フィルムの中間体となる液晶性ポリエステル樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂に、チタン酸銅カルシウム、液晶性ポリエステル樹脂が溶解する溶媒を一定量含むことにより、フィルムにしたときの誘電測定位置による誘電率のバラツキが小さく安定であり、フィルムにしたときの引張特性にも優れた液晶性ポリエステル樹脂組成物となることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下のとおりである。
(1)炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部、前記液晶性ポリエステル樹脂(A)を溶解する溶媒であって、フェノール類を含む溶媒(C)100~5000重量部を含有する、液晶性ポリエステル樹脂組成物。
(2)支持体および樹脂層が積層された積層体であって、樹脂層が、炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層である積層体。
(3)前記(1)に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を、支持体上に塗布した後、前記溶媒(C)を除去する、積層体の製造方法。
(4)炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる液晶性ポリエステル樹脂フィルム。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、フィルムにしたときの誘電率安定性や引張特性に優れることから、小型化や薄肉化の進む、情報通信機器に用いる基板材料などの電気・電子部品の提供に好適である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<液晶性ポリエステル樹脂>
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)は、異方性溶融相を形成するポリエステル樹脂である。液晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、後述するオキシカルボニル単位、ジオキシ単位、ジカルボニル単位などから異方性溶融相を形成するよう選ばれた構造単位から構成されるポリエステル樹脂などが挙げられる。
次に、液晶性ポリエステル樹脂(A)を構成する構造単位について説明する。
オキシカルボニル単位の具体例としては、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸などから生成した構造単位が挙げられる。誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、芳香族ヒドロキシカルボン酸から生成した構造単位が好ましく、p-ヒドロキシ安息香酸および/または6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸から生成した構造単位が特に好ましい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)は、ジオキシ単位として、炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオールなどから生成した構造単位が挙げられる。液晶性ポリエステル樹脂(A)に、炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含まない場合、誘電体の分散性が不十分となる場合があり、フィルムにしたときに誘電測定位置によって、誘電測定位置によるバラツキが発生し、引張特性も低下する。フィルムにしたときの誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、エチレングリコールから生成した構造単位が好ましい。炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位は、液晶性ポリエステル樹脂(A)の全構造単位100モル%に対して、2モル%以上含むことが好ましい。引張特性向上の観点から、より好ましくは4モル%以上、さらに好ましくは6モル%以上である。一方、液晶性を発現したうえで、誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、40モル%以下が好ましく、より好ましくは33モル%以下、さらに好ましくは28モル%以下である。
また、ジオキシ単位について、上記脂肪族ジオール構造単位に加えて、その他のジオキシ単位を、液晶性や特性を損なわない程度の範囲でさらに有することができる。具体例としては、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシノール、t-ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオールから生成した構造単位、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族ジオールから生成した構造単位、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオールから生成した構造単位などが挙げられる。誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンから生成した構造単位が好ましい。
ジカルボニル単位の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、3,3’-ジフェニルジカルボン酸、2,2’-ジフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、1,2-ビス(2-クロロフェノキシ)エタン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸から生成した構造単位などが挙げられる。誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位が好ましく、中でもテレフタル酸、イソフタル酸から生成した構造単位が特に好ましい。
また、上記構造単位に加えて、p-アミノ安息香酸、p-アミノフェノールなどから生成した構造単位を、液晶性や特性を損なわない程度の範囲でさらに有することができる。
上記の各構造単位を構成する原料モノマーは、各構造単位を形成しうる構造であれば特に限定されないが、各構造単位の水酸基のアシル化物、各構造単位のカルボキシル基のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物などのカルボン酸誘導体などが使用されてもよい。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)は、液晶性を発現したうえで、誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、液晶性ポリエステル樹脂(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構造単位を15モル%以上含むことが好ましい。より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは25モル%以上である。一方、不融物の生成を抑制し、誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、80モル%以下含むことが好ましい。より好ましくは70モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)は、液晶性を発現したうえで、誘電率安定性や引張特性に優れるフィルムを得る観点から、液晶性ポリエステル樹脂(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ジオールに由来する構造単位を3モル%以上含むことが好ましい。より好ましくは3.5モル%以上、さらに好ましくは4モル%以上である。一方、誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、20モル%以下含むことが好ましい。より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)は、液晶性を発現したうえで、誘電率安定性や引張特性に優れるフィルムを得る観点から、液晶性ポリエステル樹脂(A)の全構造単位100モル%に対して、芳香族ジカルボン酸に由来する構造単位を10モル%以上含むことが好ましい。より好ましくは12モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上である。一方、誘電率安定性や引張特性に優れるフィルムを得る観点から、45モル%以下含むことが好ましい。より好ましくは43モル%以下、さらに好ましくは40モル%以下である。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)について、各構造単位の含有量の算出法を以下に示す。まず、液晶性ポリエステル樹脂(A)をNMR(核磁気共鳴)試験管に量りとり、液晶性ポリエステル樹脂が可溶な溶媒(例えば、ペンタフルオロフェノール/重テトラクロロエタン-d混合溶媒)に溶解する。次に、得られた溶液について、H-NMRスペクトル測定を行い、各構造単位由来のピーク面積比から算出することができる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)は、耐熱性の観点から180℃以上が好ましく、190℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。一方、溶解性に優れる観点から、液晶性ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)は、350℃以下が好ましく、340℃以下がより好ましく、330℃以下がさらに好ましい。
融点(Tm)の測定は、示差走査熱量測定により行う。具体的には、まず、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm)を観測する。吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、吸熱ピーク温度(Tm)+20℃の温度でポリマーを5分間保持する。その後、20℃/分の降温条件で室温までポリマーを冷却する。そして、20℃/分の昇温条件でポリマーを加熱することにより吸熱ピーク温度(Tm)を観測する。融点(Tm)とは、該吸熱ピーク温度(Tm)を指す。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶融粘度は、誘電率安定性や引張特性に優れるフィルムを得る観点から、1Pa・s以上が好ましく、3Pa・s以上がより好ましく、5Pa・s以上がさらに好ましい。一方、溶媒への溶解性に優れるため、均一なフィルムを得ることができ、引張特性に優れる観点から、液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度は、35Pa・s以下が好ましく、30Pa・s以下が好ましく、25Pa・s以下がさらに好ましい。
なお、この溶融粘度は、液晶性ポリエステル樹脂(A)の融点(Tm)+20℃の温度において、せん断速度1000/秒の条件下で、高化式フローテスターによって測定した値である。
<液晶性ポリエステル樹脂の製造方法>
本発明で使用する液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法は、特に制限がなく、公知のポリエステル樹脂の重縮合法に準じて製造できる。具体的には、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位、テレフタル酸に由来する構造単位、イソフタル酸に由来する構造単位およびエチレングリコールに由来する構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂を例に、以下が挙げられる。
(1)p-アセトキシ安息香酸、6-アセトキシ-2-ナフトエ酸および4,4’-ジアセトキシビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸、ポリエチレンテレフタレ―トなどポリエステルのポリマーもしくはオリゴマーまたはビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートから脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
(2)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸、ポリエチレンテレフタレ―トなどポリエステルのポリマーもしくはオリゴマーまたはビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重合することによって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法。
なかでも(2)p-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、テレフタル酸、イソフタル酸、ポリエチレンテレフタレ―トなどポリエステルのポリマーもしくはオリゴマーまたはビス(β-ヒドロキシエチル)テレフタレートに無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアセチル化した後、脱酢酸重合することによって液晶性ポリエステル樹脂を製造する方法が、液晶性ポリエステル樹脂の重合度の制御に工業的に優れる点から、好ましく用いられる。
本発明で使用する液晶性ポリエステル樹脂の製造方法として、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。固相重合法による処理としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、液晶性ポリエステル樹脂のポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕する。粉砕したポリマーまたはオリゴマーを、窒素気流下、または、減圧下において加熱し、所望の重合度まで重縮合することで、反応を完了させる。上記加熱は、液晶性ポリエステル樹脂の融点-50℃~融点-5℃の範囲で1~50時間行うことが好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂の重縮合反応は、無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどを触媒として使用することもできる。
<チタン酸銅カルシウム>
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、チタン酸銅カルシウム(B)を含有する。
チタン酸銅カルシウム(B)は、ペロブスカイト型結晶構造を有する誘電体の一種であり、CaCu4-xTi12の構造式で表すことができ、ここでxは0<x<4である。より具体的には、チタン酸銅カルシウム(B)は、CaCuTi12、CaCuTi12、CaCuTi12がある。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物に、チタン酸銅カルシウム(B)を含有することで、フィルムにしたときに、周波数10GHz以上の高周波においても、高誘電率となり、かつ誘電率安定性に優れるフィルムを得ることができる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物において、本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)とチタン酸銅カルシウム(B)を特定量組み合わせると、チタン酸銅カルシウム(B)の粒子表面に、液晶性ポリエステル樹脂(A)の均一層を形成するためと考えるが、特異的にチタン酸銅カルシウム(B)の高分散化が可能である。
チタン酸銅カルシウム(B)の含有量は、液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、5~500重量部含むことを特徴とする。チタン酸銅カルシウム(B)の含有量を5重量部未満であると、チタン酸銅カルシウム(B)の2次凝集物を十分に解砕できず、分散不良のため、誘電測定位置によるバラツキが発生する。チタン酸銅カルシウム(B)の高分散化による、誘電率安定性向上の観点から、20重量部以上が好ましく、30重量部以上がより好ましい。一方、チタン酸銅カルシウム(B)の配合量が500重量部を超えると、加工時に凝集が発生し、フィルムの誘電率安定性や引張特性が低下する。フィルムの誘電率安定性や引張特性向上の観点から、チタン酸銅カルシウム(B)の配合量は、300重量部以下が好ましく、200重量部以下がより好ましい。
本発明で使用するチタン酸銅カルシウム(B)の平均粒子径は0.05μmより大きいことが好ましい。ここでいう平均粒子径は体積平均粒子径であり、次の方法により求めることができる。液晶性ポリエステル樹脂組成物50g中の溶媒を除去した後、550℃で3時間加熱することにより樹脂成分を除去し、得られたチタン酸銅カルシウムを100mg秤量し、水中に分散させ、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(HORIBA社製“LA-300”)を用いて測定する。
チタン酸銅カルシウム(B)の平均粒子径が0.05μm以上であると、液晶性ポリエステル樹脂に対する分散性に優れるため、フィルムにしたときの誘電安定性や引張特性に優れ、好ましい。0.1μm以上がより好ましく、0.5μm以上がさらに好ましい。一方、チタン酸銅カルシウム(B)の分散性を向上させ、誘電率安定性や引張特性に優れる観点から、チタン酸銅カルシウム(B)の平均粒子径の上限は、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。
なお、液晶性ポリエステル樹脂組成物から得られるフィルムの誘電率安定性や引張特性を損なわない範囲で、チタン酸銅カルシウム(B)以外の他の誘電体を加えてもよいが、チタン酸銅カルシウム(B)の含有量より少ないことが好ましい。
<液晶性ポリエステル樹脂が溶解する溶媒>
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)を含有する。
ここで、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)とは、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)100重量部に対し、液晶性ポリエステル樹脂が1重量部以上溶解可能な溶媒を指す。
また、ここでいう液晶性ポリエステル樹脂組成物は、液晶性ポリエステル樹脂が溶解しているものの一部溶け残っている状態、液晶性ポリエステル樹脂が完全に溶解して液状となっている状態、および液晶性ポリエステル樹脂が溶解した後に溶液が冷却されることにより固化した状態のいずれの状態であってもよい。
液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)は、フェノール類を少なくとも含む。溶媒(C)がフェノール類を含まない場合、液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶解性は不十分であり、液晶性ポリエステル樹脂組成物から得られるフィルムの引張特性が低下する。
フェノール類の溶媒としては、ハロゲン化フェノール類の溶媒が挙げられ、例えば、2-クロロフェノール、3-クロロフェノール、4-クロロフェノール、2,4,6-トリクロロフェノール、2-フルオロフェノール、3-フルオロフェノール、4-フルオロフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロ-2-フルオロフェノール、2-クロロ-4-フルオロフェノール、3,4,5-トリフルオロフェノール、2,4,6-トリフルオロフェノール、2,3,5,6-テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノールなどが挙げられる。溶解性の点から4-クロロフェノール、ペンタフルオロフェノールが好ましく、ペンタフルオロフェノールを最も多く含むことがより好ましい。
なお、液晶性ポリエステル樹脂(A)の溶解性を損なわない範囲で、フェノール類以外の溶媒を加えてもよいが、フェノール類である溶媒の含有量より少ないことが好ましい。
液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する、フェノール類である溶媒以外の溶媒としては、ハロゲン化アルコールなどが挙げられ、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物において、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)の含有量は、液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対し、100~5000重量部含むことを特徴とする。液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)の含有量を100重量部未満とした場合、溶液のポリマー濃度が高くなり、チタン酸銅カルシウム(B)の分散性が悪化し、液晶性ポリエステル樹脂組成物から得られるフィルムの誘電測定位置によって、誘電測定位置によるバラツキが発生し、引張特性も低下する。より好ましくは200重量部以上、さらに好ましくは300重量部以上である。一方、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)の配合量が5000重量部を超えると、溶液のポリマー濃度が低くなり、チタン酸銅カルシウム(B)の分散性が悪化し、液晶性ポリエステル樹脂組成物から得られるフィルムの誘電測定位置によるバラツキが発生し、引張特性も低下する。より好ましくは4000重量部以下、さらに好ましくは3000重量部以下である。
前記の液晶性ポリエステル樹脂組成物を必要に応じて、フィルターなどによってろ過し、組成物中に含まれる微細な異物を除去してもよい。
<充填材、添加剤など>
本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の液晶性ポリエステル樹脂(A)、チタン酸銅カルシウム(B)、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)を含む液晶性ポリエステル樹脂組成物に、公知の充填材、添加剤等を含有させてもよい。
充填材としては、例えば、繊維状充填材、ウィスカー状充填材、板状充填材、粉末状充填材、粒状充填材などの充填材を挙げることができる。具体的には、繊維状充填材またはウィスカー状充填材としては、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー、および針状酸化チタンなどが挙げられる。板状充填材としては、マイカ、タルク、カオリン、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、および窒化ホウ素などが挙げられる。粉状または粒状の充填材としては、シリカ、ガラスビーズ、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウム、黒鉛およびポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。また、充填材は2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤(例えば、ヒンダードフェノール、ハイドロキノン、ホスファイト、チオエーテル類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(例えば、レゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料または顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてのカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤から選択される通常の添加剤を配合することができる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物において、充填材の含有量は、液晶性ポリエステル樹脂100重量部に対し、充填材含有量が10重量部以上であれば、引張特性に優れるため好ましい。15重量部以上がより好ましく、20重量部以上がさらに好ましい。一方、充填材含有量が200重量部以下であれば、分散性に優れ、誘電率安定性や引張特性に優れるため好ましい。150重量部以下がより好ましく、100重量部以下がさらに好ましい。
上記の充填材および添加剤を配合する方法としては、液晶性ポリエステル樹脂、溶媒を含む液晶性ポリエステル樹脂組成物へ充填材およびその他の添加剤を添加する方法などを用いることができる。
<積層体および液晶性ポリエステル樹脂フィルム>
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、積層体を製造するための原料として用いることができる。
本発明の積層体は、支持体および樹脂層が積層された積層体であって、本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物から得られる樹脂層の少なくとも一方の面に、支持体が積層された積層体である。積層体は、例えば、下記(I)~(IV)の方法で製造することができる。
(I)本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物を、支持体上に塗布した後に、溶媒を除去する方法。
(II)後述の本発明の液晶性ポリエステル樹脂フィルムを加熱圧着により支持体に貼付する方法。
(III)後述の本発明の液晶性ポリエステル樹脂フィルムと支持体とを接着剤により貼付する方法。
(IV)後述の本発明の液晶性ポリエステル樹脂フィルム上に支持体を蒸着により形成する方法。
容易に、均一な膜厚の樹脂層を形成することができる観点から、(I)の方法が好ましい。
また、本発明の液晶性ポリエステル樹脂フィルムは、炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む、液晶性ポリエステル樹脂(A)とチタン酸銅カルシウム(B)を含むものである。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂フィルムは、液晶性ポリエステル樹脂(A)とチタン酸銅カルシウム(B)を溶媒に分散および/または溶解し、支持体上に塗布した後、前記溶媒を除去し、支持体を除去する方法で液晶性ポリエステル樹脂フィルムを製造することができる。 上記液晶性ポリエステル樹脂フィルムの製造方法、および上記(I)~(IV)の積層体の製造方法に使用する支持体としては、特に制約は無く、金属、ガラス、高分子などから選ばれる。上記液晶性ポリエステル樹脂フィルムの製造方法、および上記(I)の方法に用いられる支持体においては、使用する溶媒に対して耐性があることが重要である。支持体は金属、ガラス、高分子などの単体であっても、複合素材であってもよい。高分子フィルムとしては、絶縁性を有するポリイミドフィルム、液晶性ポリエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられる。上記(I)~(III)の方法において、支持体が金属箔である場合や、上記(IV)の方法において、支持体が金属層である場合に使用される金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられる。
以下、上記(I)の方法により積層体を製造する方法を説明する。
支持体に液晶性ポリエステル樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコート法、スプレイコーター法、スピナーコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法等の各種手段が挙げられ、これらの手段によって液晶性ポリエステル樹脂組成物を、支持体上に平坦かつ均一に流延して塗膜を形成する。
続いて、塗膜中の溶媒を除去することにより、支持体の表面に液晶性ポリエステル樹脂層が形成される。溶媒の除去方法は、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発する方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられる。溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一なフィルムが得られるため、引張特性に優れるフィルムが得られる観点から、加熱により溶媒を除去することが好ましい。加熱温度は、溶媒が揮発する温度であれば特に限定されないが、溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一なフィルムが得られるため、引張特性に優れるフィルムが得られる観点から、溶媒の沸点より低い温度であることが好ましい。したがって、室温より高く、溶媒の沸点より低い温度で加熱することが好ましい。
このようにして積層体を形成した後、必要に応じて熱処理を行ってもよい。熱処理の方法は特に限定されるものではなく、熱風オーブン、減圧オーブン、ホットプレート等の装置を用いて行うことができる。また、熱処理は、大気圧下、あるいは支持体や液晶性ポリエステル樹脂が劣化しない範囲で、加圧下や減圧下で行ってもよい。また、液晶性ポリエステル樹脂の劣化を抑制し、引張特性に優れる観点から、熱処理を不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。例えば、窒素気流下、液晶性ポリエステル樹脂の融点-50℃~融点-5℃の範囲から、融点+5℃~融点+50℃の範囲まで、1~50時間かけて昇温することで行うことができる。
このようにして得られる積層体の構造としては、例えば、フィルムと支持体との二層構造、フィルムの両面に支持体を積層させた三層構造、支持体の両面にフィルムを積層させた三層構造、さらにはフィルムと支持体を交互に四層以上積層させた多層構造などが挙げられる。本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物および積層体、液晶性ポリエステル樹脂フィルムは、誘電率安定性や引張特性に優れることから、パソコン、GPS内蔵機器、携帯電話、衝突防止用レーダーなどのミリ波および準ミリ波レーダー、タブレットやスマートフォンなどの移動通信・電子機器のアンテナに用いられるフレキシブルプリント基板、積層用回路基板、プリント配線基板および三次元回路基板に有用である。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明が実施例により限定されるものではない。実施例中、液晶性ポリエステル樹脂の組成および特性評価は以下の方法により測定した。
(1)液晶性ポリエステル樹脂の組成分析
粉砕した液晶性ポリエステル樹脂0.1mgに、水酸化テトラメチルアンモニウム25%メタノール溶液2μLを添加し、島津製GCMS-QP5050Aを用いて熱分解GC/MS測定を行い、液晶性ポリエステル樹脂中の各構成成分の組成比を求めた。
(2)液晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)測定
示差走査熱量計DSC-7(パーキンエルマー製)により、液晶性ポリエステル樹脂を室温から20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm)の観測後、Tm+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却し、再度20℃/分の昇温条件で加熱した際に観測される吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
(3)液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度
高化式フローテスターCFT-500D(オリフィス0.5φ×10mm)(島津製作所製)を用いて、Tm+20℃で、せん断速度1000/sの条件で液晶性ポリエステル樹脂の溶融粘度を測定した。
製造例1 液晶性ポリエステル樹脂(A-1)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸919重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ-ト322重量部および無水酢酸899重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で90分反応させた後、145℃から300℃までを4時間で昇温させた。その後、重合温度を300℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、トルクが10kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(A-1)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(A-1)について組成分析を行ったところ、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位は58.6モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位は5.9モル%、テレフタル酸に由来する構造単位は20.7モル%、エチレングリコールに由来する構造単位は14.8モル%であった。また、Tmは275℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
製造例2 液晶性ポリエステル樹脂(A-2)
撹拌翼および留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸25重量部、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸1355重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル184重量部、イソフタル酸164重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレート121重量部および無水酢酸1051重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で120分反応させた後、145℃から300℃まで4時間かけて昇温した。その後、重合温度を300℃に保持し、1.0時間かけて1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(A-2)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(A-2)について組成分析を行ったところ、p-ヒドロキシ安息香酸に由来する構造単位は1.8モル%、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸に由来する構造単位は67.8モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニルに由来する構造単位は9.3モル%、テレフタル酸に由来する構造単位は5.9モル%、イソフタル酸に由来する構造単位は9.3モル%、エチレングリコールに由来する構造単位は5.9モル%であった。また、Tmは280℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
製造例3 液晶性ポリエステル樹脂(a-3)
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp-ヒドロキシ安息香酸1016重量部、4,4’-ジヒドロキシビフェニル335重量部、イソフタル酸299重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から300℃まで4時間で昇温させた。その後、重合温度を300℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に反応を続け、撹拌に要するトルクが10kg・cmに到達したところで重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a-3)を得た。
この液晶性ポリエステル樹脂(a-3)について組成分析を行なったところ、p-ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位の割合が60.0モル%、4,4’-ジヒドロキシビフェニル由来の構造単位の割合が20.0モル%、イソフタル酸由来の構造単位の割合が20.0モル%であった。また、Tmは265℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
製造例4 液晶性ポリエステル樹脂(a-4)
撹拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器に6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸847重量部、イソフタル酸374重量部、p-アミノフェノール246重量部および無水酢酸1011重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら145℃で1時間反応させた後、ジャケット温度を145℃から320℃まで4時間で昇温させた。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧することを試みたが、1.0mmHgに到達する前に、トルクが10kg・cmに到達し、重合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズして液晶性ポリエステル樹脂(a-4)を得た。この液晶性ポリエステル樹脂(a-4)について組成分析を行なったところ、p-ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位の割合が50.0モル%、イソフタル酸由来の構造単位の割合が25.0モル%、p-アミノフェノールの構造単位の割合が25.0モル%であった。また、Tmは155℃、溶融粘度は10Pa・sであった。
各実施例および比較例において用いた、チタン酸銅カルシウム(B)およびその他誘電体を次に示す。
(B-1)チタン酸銅カルシウム(ShangHai DianYang IndustryCo.,Ltd製、平均粒子径2μm)
(b-2)チタン酸バリウム(富士フイルム和光純薬製、平均粒径0.5μm)。
各実施例および比較例において用いた、液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C)を次に示す。
(C-1)ペンタフルオロフェノール(融点34℃、沸点143℃)
(C-2)4-クロロフェノール(融点40℃、沸点220℃)。
製造例1~4で得られた液晶性ポリエステル樹脂(A-1)、(A-2)、(a-3)、(a-4)のペレットについて、粗粉砕機で粉砕して粉末とし、得られた粉末100重量部に対し、表1に示す配合量で、チタン酸銅カルシウム(B-1)またはその他誘電体(b-2)と液晶性ポリエステル樹脂(A)が溶解する溶媒(C-1)または(C-2)を加えた。130℃に加熱することで各液晶性ポリエステル樹脂を完全に溶解させた後、攪拌させて脱泡し、褐色透明な溶液を得た。得られた溶液を電解銅箔(12μm厚)上にフィルムアプリケーターを用いてキャストし、ホットプレート上で80℃に加熱して溶媒を除去した後、各液晶性ポリエステル樹脂の-20℃で1時間熱処理を行い、銅張積層板を得た。得られた銅張積層板について、塩化第二鉄溶液を用いて銅箔を除去し、長さ150mm×幅70mm×厚み50μmの液晶性ポリエステル樹脂フィルムを得て、下記(4)、(5)の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2022086176000001
(4)誘電率安定性
得られた液晶性ポリエステル樹脂フィルムについて、製膜開始側から、長さ1.6mm×幅70mm×厚み50μmに切り出し、評価用試料を50本製作した。その後、アジレント・テクノロジー(株)製ネットワークアナライザーN5230Aおよび(株)関東電子応用開発製空洞共振器CP531を用いた空洞共振器摂動法によって23℃、10GHzにおける誘電率を求め、50本測定した誘電率の標準偏差を算出した。誘電率の標準偏差が低いほど、バラツキが小さく誘電率安定性に優れる。
(5)引張特性評価
得られた液晶性ポリエステル樹脂フィルム10枚について、フィルム中心部を長さ150mm×幅10mm×厚み50μmの短冊状にサンプルを切り出し、評価用試料を10本製作した。(株)オリエンテック製TENSILONUCT-100を用いて、初期引張チャック間距離50mm、引張速度200mm/分で、JISK 7127に規定された方法に従って、10本引張測定を行い、その引張伸度の平均値を算出した。引張伸度値の高いほど、フィルム引張特性に優れる。
表1の結果から、本発明の実施形態の液晶性ポリエステル樹脂組成物は、誘電率安定性や引張特性に優れる。
本発明の液晶性ポリエステル樹脂組成物、積層体および液晶性ポリエステル樹脂フィルムは、誘電率安定性や引張特性に優れることから、小型化や薄肉化の進む、情報通信機器に用いる基板材料などの電気・電子部品の提供に好適である。

Claims (4)

  1. 炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部、前記液晶性ポリエステル樹脂(A)を溶解する溶媒であって、フェノール類を含む溶媒(C)100~5000重量部を含有する、液晶性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 支持体および樹脂層が積層された積層体であって、樹脂層が、炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる樹脂層である積層体。
  3. 請求項1に記載の液晶性ポリエステル樹脂組成物を、支持体上に塗布した後、前記溶媒(C)を除去する、積層体の製造方法。
  4. 炭素数2~4の脂肪族ジオールに由来する構造単位を含む液晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して、チタン酸銅カルシウム(B)5~500重量部を含有する液晶性ポリエステル樹脂組成物からなる液晶性ポリエステル樹脂フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022260092A1 (ja) * 2021-06-09 2022-12-15 株式会社村田製作所 液晶ポリマーフィルム、導体層付き液晶ポリマーフィルム、及び、積層基板

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