JP2022162467A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子及び化合物 - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶配向性及び基板に対する密着性に優れた液晶配向膜を形成できるとともに、長期耐熱性に優れた液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供すること。【解決手段】重合体成分と、式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)とを液晶配向剤に含有させる。式中、R1~R4の少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。A1及びA2は、窒素原子に対し芳香環で結合している。Z1及びZ2は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR7R8若しくはチオール基であるか、又はこれらの官能基の少なくとも1種を有する炭素数1~20の1価の有機基である。TIFF2022162467000047.tif31163【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜、液晶素子及び化合物に関する。
液晶素子は、液晶層中の液晶分子を一定の方向に配向させる機能を有する液晶配向膜を備えている。液晶配向膜は一般に、重合体成分が有機溶媒に溶解又は分散されてなる液晶配向剤を基板表面に塗布し、好ましくは加熱することによって基板上に形成される。
近年、大画面で高精細な液晶テレビが主体となり、またスマートフォンやタブレットPC等といった小型の表示端末の普及が進み、液晶素子に対する高品質化の要求は更に高まっている。このような高品質化の要求に応えるべく、種々の液晶配向剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ポリイミド又はポリイミド前駆体と共に、架橋剤として、2個以上のヒドロキシアルキルアミド基とシクロブタン環構造とを有する化合物を液晶配向剤に含有させることが開示されている。
国際公開第2020/171128号
架橋剤を用いた液晶配向剤では、形成される液晶配向膜の配向方位の乱れ等が生じやすいことも指摘されており、液晶配向膜の力学特性と液晶配向性とがトレードオフの関係にある。液晶素子の更なる高品質化を図る観点からすると、液晶配向剤に配合する架橋剤としては、液晶配向性を確保しながら膜の力学特性を改善できることが求められる。また、液晶配向膜には、基板との密着性に優れていることが要求される。
液晶配向膜は、通常、基板上に塗布された液晶配向剤を高温(例えば200~250℃)で加熱することにより基板上に形成される。このため、液晶配向剤中の成分の耐熱性が十分でない場合、膜形成時の加熱処理によって熱分解し、熱分解によって生じた成分が不純物となり、表示不良や信頼性低下を招くことが懸念される。特に、熱分解により生じた成分が不純物として膜中に残ったままとなった場合、その液晶素子が高温環境下に長時間曝されることによって、膜中の不純物に起因する性能低下を引き起こす、すなわち長期耐熱性が十分でないことが懸念される。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、液晶配向性及び基板に対する密着性に優れた液晶配向膜を形成できるとともに、長期耐熱性に優れた液晶素子を得ることができる液晶配向剤を提供することを主たる目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
<1> 下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含有する、液晶配向剤。
Figure 2022162467000001
(式(1)及び式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(1)又は式(2)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、水素原子又は1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
<2> 上記<1>の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
<3> 上記<2>の液晶配向膜を備える液晶素子。
<4> 下記式(1)で表される化合物。
Figure 2022162467000002
(式(1)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(1)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
<5> 下記式(2)で表される化合物。
Figure 2022162467000003
(式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(2)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
本発明の液晶配向剤によれば、液晶配向性及び基板に対する密着性に優れた液晶配向膜を形成できるとともに、長期耐熱性に優れた液晶素子を得ることができる。
以下、本開示の態様に関連する事項について詳細に説明する。なお、本明細書において「炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含む意味である。「鎖状炭化水素基」とは、環状構造を含まず、鎖状構造のみで構成された直鎖状炭化水素基及び分岐状炭化水素基を意味する。ただし、飽和でも不飽和でもよい。「脂環式炭化水素基」とは、環構造としては脂環式炭化水素の構造のみを含み、芳香環構造を含まない炭化水素基を意味する。ただし、脂環式炭化水素の構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造を有するものも含む。「芳香族炭化水素基」とは、環構造として芳香環構造を含む炭化水素基を意味する。ただし、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状構造や脂環式炭化水素の構造を含んでいてもよい。
「脂肪族炭化水素基」とは、鎖状炭化水素基及び脂環式炭化水素基を包含する意味である。重合体の「主鎖」とは、重合体の原子鎖のうち最も長い「幹」の部分をいう。重合体の「側鎖」とは、重合体の「幹」から分岐した部分をいう。「有機基」とは、炭素を含む化合物(すなわち有機化合物)から任意の水素原子を取り除いてなる原子団をいう。
《液晶配向剤》
本開示の液晶配向剤は、下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含有する。
Figure 2022162467000004
(式(1)及び式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(1)又は式(2)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、水素原子又は1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
<化合物(C)>
上記式(1)及び式(2)において、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。1価の有機基としては、炭素数1~20の1価の炭化水素基、炭化水素基が有する任意のメチレン基が-O-、-CO-、-COO-等で置き換えられてなる炭素数1~20の1価の基(以下、「1価の基G」ともいう)、炭化水素基及び1価の基Gが有する任意の水素原子がハロゲン原子等で置き換えられてなる炭素数1~20の1価の基が挙げられる。R~Rが1価の有機基である場合、R~Rは、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のハロゲン化アルキル基、炭素数1~3のハロゲン化アルコキシ基、及び-COOR20(R20は炭素数1~3のアルキル基又は炭素数1~3のハロゲン化アルキル基である)が好ましく、メチル基が特に好ましい。なお、R~Rの少なくともいずれかは、炭素数1~20の1価の有機基である。光反応性が高い点で、R及びRがメチル基、かつR及びRが水素原子であることが特に好ましい。
上記式(2)中のR及びRが1価の有機基である場合の具体例としては、R~Rが1価の有機基である場合の例示の基と同様の基が挙げられる。R及びRは、水素原子又は炭素数1~6の1価の炭化水素基であることが好ましい。
は、芳香環を有する(p+1)価の基であり、Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。A、Aが有する芳香環としては、芳香族炭化水素環及び複素芳香環が挙げられる。これらの具体例としては、芳香族炭化水素環として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニル環等が挙げられる。複素芳香環は、窒素含有複素環であることが好ましく、例えばピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環、トリアジン環等が挙げられる。A、Aが有する芳香環には置換基が導入されていてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
、Aは、化合物の光反応性や液晶配向性、化合物の合成しやすさ等の観点から、上記の中でも、ベンゼン環、ナフタレン環又はピリジン環を有することが好ましく、ベンゼン環を有することがより好ましい。
及びAは、上記式(1)又は式(2)中の窒素原子に対し芳香環で結合した構造を有していれば特に限定されない。A及びAは、置換又は無置換の芳香環の環部分から(p+1)個又は(q+1)個の水素原子を取り除いた基(すなわち芳香環基)であってもよく、芳香環基と他の基とが結合してなる基であってもよい。この場合の他の基は、(p+1)価又は(q+1)価の連結基であり、例えば、酸素原子、硫黄原子、3級窒素原子、-CO-、-COO-、-CO-NR13-、-NR13-CO-NR14-、-NR13-CO-O-、-NR13-CO-S-(ただし、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である)等が挙げられる。また、(p+1)価又は(q+1)価の連結基は、-CO-NR13-、-NR13-CO-NR14-、-NR13-CO-O-及び-NR13-CO-S-においてR13を取り除いてなる3価の基であってもよい。
及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種の官能基(以下、「官能基A」ともいう)を有する炭素数30以下の1価の有機基である。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロぺニル基等の炭素数2~10の鎖状不飽和炭化水素基が挙げられる。シクロアルケン構造含有基は、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環等の単環を環骨格とする基(すなわち、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等)であってもよく、あるいはシクロアルケンと他の環(例えば、シクロアルカンやイミド環等)との縮合環を環骨格とする基であってもよい。
基「-NR」において、Rは水素原子又は1価の熱脱離性基であり、Rは水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。Rが1価の炭化水素基である場合の具体例としては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~12のアリール基及び炭素数6~12のアラルキル基等が挙げられる。これらのうち、炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基及びフェニル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましい。
及びRが1価の熱脱離性基である場合、熱脱離性基は、膜形成時の加熱により脱離する1価の基であることが好ましい。熱脱離性基の具体例としては、tert-ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、1,1-ジメチル-2-ハロエチルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、2-(トリメチルシリル)エトキシカルボニル基等が挙げられる。これらのうち、熱による脱離性に優れ、かつ脱離した構造の膜中における残存量を少なくできる点で、tert-ブトキシカルボニル基(Boc基)が特に好ましい。
液晶配向剤の保存安定性の観点、及び相分離性の観点(より具体的には、表面自由エネルギーが低下して配向膜上層へ偏在化しやすくなることで、配向膜上層での膜強度向上や液晶配向性発現を促進できる観点)から、基「-NR」は、Rが1価の熱脱離性基であり、かつRが水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基であることが好ましく、Rが1価の熱脱離性基であり、かつRが水素原子、炭素数1~3のアルキル基又は1価の熱脱離性基であることがより好ましい。
及びZが、官能基Aを有する炭素数30以下の1価の有機基である場合、官能基A以外のその他の構造は特に限定されない。Z及びZの具体例としては、例えば、官能基Aが2価の有機基を介してA又はAに結合した構造を有する基;炭素数1~30の1価の有機基が有する水素原子の少なくとも1個が官能基Aで置換された基等が挙げられる。炭素数1~30の1価の有機基としては、例えば、炭素数1~30の1価の炭化水素基;炭素数1~30の1価の炭化水素基が有するメチレン基の少なくとも1個が、隣り合わない条件で-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CO-NR-、-NR-CO-NR10-、-NR-CO-O-、又は-NR-CO-S-に置き換えられてなる基(以下、「基α」ともいう);炭素数1~30の1価の炭化水素基又は基αが有する水素原子の少なくとも1個が水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子等で置換された基等が挙げられる。R及びR10は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。R及びR10の1価の有機基としては、例えば、炭素数1~10の1価の炭化水素基、1価の熱脱離性基、官能基Aを有する1価の基等が挙げられる。
及びZが、官能基Aを有する1価の有機基である場合、炭素数1~30が好ましく、炭素数2~25がより好ましい。なお、化合物(C)は、重合体とは異なる化合物(すなわち、低分子成分)である。したがって、上記式(1)及び式(2)において、A、A、Z及びZの各基は重合体鎖を有しない。
及びZは、Z及びZ同士が反応することにより、又は他の基と反応することにより重合体成分となり得る。例えば、Z及びZがオキセタニル基又はオキシラニル基である場合、オキセタニル基と反応する官能基を有する反応性化合物(例えば、2個以上のアミノ基を有する化合物、2個以上のカルボキシル基を有する化合物等)を液晶配向剤中に含有させることにより、化合物(C)と反応性化合物との反応を利用して液晶配向膜を形成することができる。また、Z及びZがアルコキシシリル基又はヒドロキシシリル基である場合、化合物(C)同士の反応を利用して、液晶配向性を示す単分子膜を形成できる点で好適である。
p及びqは1以上の整数である。合成容易性の観点や、過剰な架橋形成による性能低下を抑制する観点から、p及びqはそれぞれ1~3であることが好ましく、1又は2がより好ましい。
上記式(1)及び式(2)中の「-A-(Z」で表される1価の基及び「-A-(Z」で表される1価の基は、下記式(5)で表される基であることが好ましい。
Figure 2022162467000005
(式(5)中、Arは、2価の芳香環基である。Xは、単結合又は(n+1)価の連結基である。R40は、単結合、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基における任意の水素原子が置換された2価の基、又は、2価の炭化水素基若しくは前記置換された2価の基が有する任意のメチレン基が-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CO-NR41-、-NR41-、-NR41-CO-NR42-、-O-CO-NR41-若しくは-S-CO-NR41-で置換された2価の基である。R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。Z30は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR、又はチオール基である。R及びRは、上記式(1)と同義である。nは1又は2である。nが2の場合、複数のR40、複数のZ30は互いに同一又は異なる。「*」は結合手であることを表す。)
上記式(5)において、Arは、置換又は無置換の芳香環の環部分から2個の水素原子を取り除いてなる2価の基が挙げられる。
40で表される2価の炭化水素基は、鎖状炭化水素基であることが好ましい。R40が、2価の炭化水素基における任意の水素原子が置換された2価の基である場合、水素原子を置換する基としては、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子等が挙げられる。
41及びR42の具体例としては、R及びRの炭素数1~10の1価の炭化水素基、1価の熱脱離性基として例示した基と同様の基が挙げられる。R41及びR42は、好ましくは水素原子、炭素数1~3のアルキル基又は1価の熱脱離性基である。
が(n+1)価の連結基である場合、Xの具体例としては、n=1の場合、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CO-NR41-、-NR41-、-NR41-CO-NR42-、-O-CO-NR41-及び-S-CO-NR41-が挙げられる。また、n=2の場合、Xの具体例としては、下記式(2-1)~式(2-8)のそれぞれで表される3価の基が挙げられる。
Figure 2022162467000006
(式(2-1)~式(2-8)中、R41は、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。R45は、水素原子又は炭素数1~10の1価の炭化水素基である。「*」はR40との結合手であることを表す。「**」は結合手であることを表す。)
上記式(5)において、-X-(R40-Z30で表される基は、炭素数30以下が好ましく、炭素数2~30がより好ましい。
化合物(C)は、光反応性が高い点で、中でも、下記式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2022162467000007
(式(4)中、Xは、単結合又は(a1+1)価の連結基である。Xは、単結合又は(a2+1)価の連結基である。R11及びR12は、それぞれ独立して、単結合、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基における任意の水素原子が置換された2価の基、又は、2価の炭化水素基若しくは前記置換された2価の基が有する任意のメチレン基が-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CO-NR41-、-NR41-、-NR41-CO-NR42-、-O-CO-NR41-若しくは-S-CO-NR41-で置換された2価の基である。R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR又はチオール基である。R及びRは、上記式(1)及び式(2)と同義である。a1及びa2は、それぞれ独立して、1又は2である。a1が2の場合、複数のR11、複数のZは互いに同一又は異なる。a2が2の場合、複数のR12、複数のZは互いに同一又は異なる。)
上記式(4)において、X及びXの説明については、上記式(5)のXの説明が適用される。また、R11及びR12については、上記式(5)のR40の説明が適用され、Z及びZについては、上記式(5)のZ30の説明が適用され、a1及びa2については、上記式(5)のnの説明がそれぞれ適用される。
が単結合の場合、a1は1であることが好ましく、Xが単結合の場合、a2は1であることが好ましい。光反応性の観点から、ベンゼン環に対するX及びXのそれぞれの結合位置は、ベンゼン環に結合する窒素原子に対し4位であることが好ましい。
上記式(4)において、-X-(R11-Za1及び-X-(R12-Za2で表される基は、炭素数30以下が好ましく、炭素数2~30がより好ましい。
化合物(C)の具体例としては、例えば下記式(10-1)~式(10-23)のそれぞれで表される化合物及びこれらの化合物が有するイミド環が開環した化合物(開環体)等が挙げられる。
Figure 2022162467000008
(上記式(10-1)中、R30及びR31は、下記式(1-1)~式(1-8)のいずれかで表される1価の基である。)
Figure 2022162467000009
(式中、「*」は結合手であることを表す。)
Figure 2022162467000010
(上記式(10-2)~式(10-7)中、Z11~Z14は、下記式(1-9)~式(1-13)のいずれかで表される1価の基である。)
Figure 2022162467000011
(式中、「*」は結合手であることを表す。)
Figure 2022162467000012
(上記式(10-8)~式(10-13)中、Z15及びZ16は、下記式(1-14)~式(1-19)のいずれかで表される1価の基である。)
Figure 2022162467000013
(式中、「*」は結合手であることを表す。)
Figure 2022162467000014
(上記式(10-14)~式(10-18)中、Z17及びZ18は、下記式(1-20)~式(1-26)のいずれかで表される1価の基である。)
Figure 2022162467000015
(式中、「*」は結合手であることを表す。)
Figure 2022162467000016
(上記式(10-19)~式(10-23)中、Z19~Z22は、下記式(1-27)又は式(1-28)で表される1価の基である。)
Figure 2022162467000017
(式中、「*」は結合手であることを表す。)
化合物(C)の含有量は、得られる液晶配向膜の液晶配向性及び基板に対する密着性の改善効果を十分に得る観点から、液晶配向剤に含まれる固形分の全量100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましい。
本開示の液晶配向剤は、化合物(C)を含む低分子成分からなるものであってもよいし、化合物(C)と重合体成分とを含んでいてもよい。ここで、低分子成分とは、単量体に由来する繰り返し単位を有しない化合物であり、分子量分布を有しない。低分子成分は、分子量が1200以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましく、800以下であることが更に好ましい。
液晶配向剤が重合体成分を含有する場合、過剰量の添加に起因する液晶配向性能の低下を抑制する観点から、化合物(C)の含有量は、液晶配向剤に含まれる固形分の全量100質量部に対して、70質量部以下が好ましく、65質量部以下がより好ましく、60質量部以下が更に好ましい。また、液晶配向剤が重合体成分を含有する場合において、化合物(C)の含有量は、液晶配向膜の密着性と、液晶素子の液晶配向性及び長期耐熱性の改善効果を十分に得る観点から、液晶配向剤に含まれる固形分の全量100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上が更に好ましい。なお、本明細書において「固形分」とは、液晶配向剤に含まれる溶剤以外の成分を意味する。
液晶配向剤が重合体成分を含有しない場合、良好な液晶配向性を示す有機膜を形成する観点から、化合物(C)の含有量は、液晶配向剤に含まれる固形分の全量100質量部に対して、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上が更に好ましい。なお、化合物(C)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
化合物(C)の合成方法は特に限定されない。化合物(C)の合成方法の具体例としては、以下の方法〔1〕~〔7〕が挙げられる。なお、化合物(C)の合成方法は以下の方法〔1〕~〔7〕に限定されるものではない。
〔1〕置換シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等)と、基「-A-(Z」に対応する部分構造を有する1級アミンとを反応させて、置換シクロブタン構造と基「-A-(Z」に対応する部分構造とを有するテトラカルボン酸ジカルボン酸ジエステルを得た後、目的物に応じて化学イミド化を行う方法(下記スキーム1参照)。
Figure 2022162467000018
〔2〕置換シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等)と、基「-A-(Z」に対応する部分構造を有する1級アミンとを反応させて、置換シクロブタン構造と基「-A-(Z」に対応する部分構造とを有するテトラカルボン酸ジカルボン酸ジエステルを得た後、目的物に応じて熱イミド化を行う方法(下記スキーム2参照)。
Figure 2022162467000019
〔3〕上記の方法〔1〕又は〔2〕により水酸基、チオール基又は1級アミノ基を2個以上と置換シクロブタン構造とを有する化合物(g-1)~(g-3)を得て、次いで、化合物(g-1)~(g-3)と、官能基Aを有するエポキシ化合物とを反応させる方法(下記スキーム3(1)~(3)参照)。スキーム3中、Yは、例えば上記式(1-9)~式(1-13)のいずれかで表される1価の基である。Rは2価の有機基である。
Figure 2022162467000020
〔4〕上記の方法〔1〕又は〔2〕により水酸基、チオール基又は1級アミノ基を2個以上と置換シクロブタン構造とを有する化合物(g-1)~(g-3)を得て、次いで、化合物(g-1)~(g-3)と、官能基Aを有するイソシアネート化合物とを反応させる方法(下記スキーム4(1)~(3)参照)。スキーム4中、Yは、例えば上記式(1-14)~式(1-19)のいずれかで表される1価の基である。Rは2価の有機基である。
Figure 2022162467000021
〔5〕上記の方法〔2〕によりカルボキシ基を2個以上と置換シクロブタン構造とを有する化合物(h-1)を得て、次いで、縮合剤(例えば、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC))の存在下、化合物(h-1)と、官能基Aを有する化合物とを縮合させる方法(下記スキーム5参照)。スキーム5中、Yは、例えば上記式(1-20)~式(1-26)のいずれかで表される1価の基である。Rは2価の有機基である。
Figure 2022162467000022
〔6〕上記の方法〔1〕又は〔2〕により水酸基又は1級アミノ基を2個以上と置換シクロブタン構造とを有する化合物(g-1)、(g-3)を得て、次いで、化合物(g-1)、(g-3)と、官能基Aを有する酸クロリドとを反応させる方法(下記スキーム6(1)及び(2)参照)。スキーム6中、Yは、例えば上記式(1-27)又は式(1-28)で表される1価の基である。Rは2価の有機基である。
Figure 2022162467000023
〔7〕上記の方法〔2〕により1級アミノ基を2個以上と置換シクロブタン構造とを有する化合物(g-3)を得て、次いで、化合物(g-3)と、官能基Aを有する酸無水物とを反応させる方法(下記スキーム7参照)。スキーム7中、Yは、例えば上記式(1-17)で表される1価の基であり、Yは、例えばエタン-1,2-ジイル基である。Rは2価の有機基である。
Figure 2022162467000024
<その他の成分>
本開示の液晶配向剤は、化合物(C)以外の成分(以下、「その他の成分」ともいう)を更に含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、以下に示す各成分が挙げられる。
〔重合体成分〕
本開示の液晶配向剤は、重合体成分を含有していてもよい。液晶配向剤に含有される重合体成分の主骨格は特に限定されない。重合体成分としては、例えば、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリアミン、ポリエナミン、ポリシロキサン、ポリエステル、ポリアミド及びポリアミドイミド等の縮合重合体を用いてもよく、あるいは、ポリスチレン、ポリマレイミド、スチレン-マレイミド系共重合体及びポリ(メタ)アクリレート等の付加重合体を用いてもよい。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート及びメタクリレートを含む意味である。ポリエナミンとは、ポリアミンのアミノ基の隣接位に炭素-炭素二重結合を有する重合体であり、例えば、ポリエナミノケトン、ポリエナミノエステル、ポリエナミノニトリル、ポリエナミノスルホニル等が挙げられる。
重合体成分としては、これらのうち、液晶配向性及び電気特性により優れた液晶素子を得ることができる点で、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリシロキサン及び付加重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含むことが特に好ましい。
次に、本開示の液晶配向剤に含まれる重合体の好ましい例について説明する。
(ポリアミック酸)
ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
・テトラカルボン酸二無水物
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸二無水物等を;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-8-メチル-3a,4,5,9b-テトラヒドロナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、2,4,6,8-テトラカルボキシビシクロ[3.3.0]オクタン-2:4,6:8-二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等を;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメート、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、4,4’-カルボニルジフタル酸無水物等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010-97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。テトラカルボン酸二無水物としては、1種を単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物は、重合体の溶解性を高くできる点、及び良好な電気特性を示す液晶配向膜を得ることができる点で、脂肪族テトラカルボン酸二無水物及び脂環式テトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、脂環式テトラカルボン酸二無水物を含むことがより好ましい。脂環式テトラカルボン酸二無水物の使用量は、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、20モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましく、50モル%以上であることが更に好ましい。
光配向法により液晶配向膜を形成する場合、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物は、シクロブタン環構造を有するテトラカルボン酸二無水物を含むことが好ましく、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むことが特に好ましい。
・ジアミン化合物
ポリアミック酸の合成に使用するジアミン化合物としては公知の化合物を用いることができる。当該ジアミン化合物としては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサン等が挙げられる。
ポリアミック酸の合成に使用するジアミン化合物としては、脂肪族ジアミンとして、メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を;脂環式ジアミンとして、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等を;
芳香族ジアミンとして、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート、4,4’-ジアミノアゾベンゼン、1,5-ビス(4-アミノフェノキシ)ペンタン、1,2-ビス(4-アミノフェノキシ)エタン、1,6-ビス(4-アミノフェノキシ)ヘキサン、ビス[2-(4-アミノフェニル)エチル]ヘキサン二酸、2,6-ジアミノピリジン、1,4-ビス-(4-アミノフェニル)-ピペラジン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-(フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’-[4,4’-プロパン-1,3-ジイルビス(ピペリジン-1,4-ジイル)]ジアニリン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、4,4’-ジアミノスチルベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェニル)-ピペラジン等の主鎖型ジアミン:
ドデカノキシ-2,4-ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ-2,4-ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ-2,4-ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ-2,4-ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ-2,5-ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ-2,5-ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5-ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5-ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6-ビス(4-アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6-ビス(4-アミノフェノキシ)コレスタン、4-(4’-トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル-3,5-ジアミノベンゾエート、1,1-ビス(4-((アミノフェニル)メチル)フェニル)-4-ブチルシクロヘキサン、3,5-ジアミノ安息香酸=5ξ-コレスタン-3-イル、下記式(E-1)
Figure 2022162467000025
(式(E-1)中、XI及びXIIは、それぞれ独立して、単結合、-O-、*-COO-又は*-OCO-(ただし、「*」はXとの結合手を示す。)である。Rは、炭素数1~3のアルカンジイル基である。RIIは、単結合又は炭素数1~3のアルカンジイル基である。RIIIは、炭素数1~20のアルキル基、アルコキシ基、フルオロアルキル基、又はフルオロアルコキシ基である。aは0又は1である。bは0~3の整数である。cは0~2の整数である。dは0又は1である。ただし、1≦a+b+c≦3である。)
で表される化合物等の側鎖型ジアミン等を;
ジアミノオルガノシロキサンとして、例えば、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン等を;それぞれ挙げることができるほか、特開2010-97188号公報に記載のジアミンを用いることができる。ポリアミック酸の合成に際し、ジアミン化合物としては、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
・ポリアミック酸の合成
ポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、必要に応じて分子量調整剤とともに反応させることにより得ることができる。ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との使用割合は、ジアミン化合物のアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2~2当量となる割合が好ましい。分子量調整剤としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n-ブチルアミン等のモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等のモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調整剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の合計100質量部に対して、20質量部以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において行われる。このときの反応温度は-20℃~150℃が好ましく、反応時間は0.1~24時間が好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノール系溶媒、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等を挙げることができる。特に好ましい有機溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m-クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と、他の有機溶媒(例えば、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールジエチルエーテル等)との混合物を使用することが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1~50質量%になる量とすることが好ましい。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
(ポリアミック酸エステル)
ポリアミック酸エステルは、例えば、[I]上記合成反応により得られたポリアミック酸とエステル化剤とを反応させる方法、[II]テトラカルボン酸ジエステルとジアミン化合物とを反応させる方法、[III]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミン化合物とを反応させる方法、等によって得ることができる。液晶配向剤に含有させるポリアミック酸エステルは、アミック酸エステル構造のみを有していてもよく、アミック酸構造とアミック酸エステル構造とが併存する部分エステル化物であってもよい。ポリアミック酸エステルを溶解してなる反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸エステルを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
(ポリイミド)
ポリイミドは、例えば上記の如くして合成されたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。ポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。液晶配向剤の調製に使用するポリイミドは、そのイミド化率が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。このイミド化率は、ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表したものである。ここで、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくはポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤及び脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。この方法において、脱水剤としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01~20モルとすることが好ましい。脱水閉環触媒としては、例えば、ピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01~10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0~180℃である。反応時間は、好ましくは1.0~120時間である。上記反応により得られるポリイミドを含有する反応溶液は、そのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリイミドは、ポリアミック酸エステルのイミド化により得ることもできる。
液晶配向剤に含有させるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの溶液粘度は、濃度10質量%の溶液としたときに10~800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、15~500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。なお、溶液粘度(mPa・s)は、重合体の良溶媒(例えば、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン等)を用いて調製した濃度10質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~500,000であり、より好ましくは5,000~100,000である。Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。
(ポリシロキサン)
液晶配向剤に含有させるポリシロキサンは、例えば、加水分解性のシラン化合物を加水分解・縮合することにより得ることができる。加水分解性のシラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(3-シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等の窒素・硫黄含有アルコキシシラン化合物;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有アルコキシシラン化合物;トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などを挙げることができる。加水分解性シラン化合物は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、「(メタ)アクリロキシ」は、「アクリロキシ」及び「メタクリロキシ」を含む意味である。
上記の加水分解・縮合反応は、上記の如きシラン化合物の1種又は2種以上と水とを、好ましくは適当な触媒及び有機溶媒の存在下で反応させることにより行うことができる。反応に際し、水の使用割合は、シラン化合物(合計量)1モルに対して、好ましくは1~30モルである。使用する触媒としては、例えば、酸、アルカリ金属化合物、有機塩基、チタン化合物、ジルコニウム化合物等を挙げることができる。触媒の使用量は、触媒の種類、温度などの反応条件等により異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えば、シラン化合物の合計量に対して、好ましくは0.01~3倍モルである。使用する有機溶媒としては、例えば、炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、アルコール等が挙げられる。これらのうち、非水溶性又は難水溶性の有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒の使用割合は、反応に使用するシラン化合物の合計100質量部に対して、好ましくは10~10,000質量部である。
上記の加水分解・縮合反応は、例えば油浴等により加熱して実施することが好ましい。その際、加熱温度は130℃以下とすることが好ましく、加熱時間は0.5~12時間とすることが好ましい。反応終了後において、反応液から分取した有機溶媒層を、必要に応じて乾燥剤で乾燥した後、溶媒を除去することにより、目的とするポリシロキサンを得ることができる。なお、ポリシロキサンの合成方法は上記の加水分解・縮合反応に限らず、例えば加水分解性シラン化合物をシュウ酸及びアルコールの存在下で反応させる方法等により行ってもよい。
ポリシロキサンにつき、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、100~50,000の範囲にあることが好ましく、200~10,000の範囲にあることがより好ましい。
(付加重合体)
付加重合体を構成する単量体としては、重合性不飽和結合を有する任意の単量体を用いることができる。当該単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ビニルフェニル基、マレイミド基等を有する化合物が挙げられる。付加重合体としては、液晶配向性に優れた液晶配向膜を形成できる点で、ポリ(メタ)アクリレート、マレイミド系重合体及びスチレン-マレイミド系共重合体よりなる群から選択される少なくとも1種を好ましく使用することができる。
付加重合体を構成する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、α-エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル安息香酸等の不飽和カルボン酸:(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル等)、(メタ)アクリル酸シクロアルキル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシブチル、及び(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチルグリシジルエーテル等の不飽和カルボン酸エステル:無水マレイン酸等の不飽和多価カルボン酸無水物:等の(メタ)アクリル系化合物;
スチレン、メチルスチレン、ジビニルベンゼン及び4-(グリシジルオキシメチル)スチレン等の芳香族ビニル化合物;1,3-ブタジエン及び2-メチル-1,3-ブタジエン等の共役ジエン化合物;
N-メチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、4-(2,5-ジオキソ-3-ピロリン-1-イル)安息香酸、N-(4-グリシジルオキシフェニル)マレイミド、N-グリシジルマレイミド、3-マレイミド安息香酸、3-マレイミドプロピオン酸、3-(2,5-ジオキソ-3-ピロリン-1-イル)安息香酸、及び4-(2,5-ジオキソ-3-ピロリン-1-イル)安息香酸メチル等のマレイミド系化合物等が挙げられる。また、付加重合体を構成する単量体として、光配向性基を有する化合物を用いることもできる。付加重合体を構成する単量体は1種でもよく、2種以上でもよい。
付加重合体は、例えば、単量体を重合開始剤の存在下で重合することにより得ることができる。使用する重合開始剤としては、例えば2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が好ましい。重合開始剤の使用割合は、反応に使用する全単量体100質量部に対して、0.01~30質量部とすることが好ましい。上記重合反応は、好ましくは有機溶媒中で行われる。反応に使用する有機溶媒としては、例えばアルコール、エーテル、ケトン、アミド、エステル、炭化水素化合物等が挙げられ、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。反応温度は30℃~120℃とすることが好ましく、反応時間は、1~36時間とすることが好ましい。有機溶媒の使用量(a)は、反応に使用するモノマーの合計量(b)が、反応溶液の全体量(a+b)に対して、0.1~60質量%になるような量にすることが好ましい。
付加重合体につき、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、250~500,000であることが好ましく、500~100,000であることがより好ましい。
(光配向性基含有重合体)
液晶配向剤を用いて形成した有機膜に対し光配向法を用いて液晶配向能を付与する場合、重合体成分の少なくとも一部を、光配向性基を有する重合体とすることにより光配向膜を得ることができる。光配向性基は、光照射による光異性化反応、光二量化反応、光フリース転位反応及び光分解反応等の光反応によって膜に異方性を付与可能な官能基をいう。
光配向性基の具体例としては、例えば、アゾベンゼン又はその誘導体を基本骨格として含むアゾベンゼン含有基、桂皮酸又はその誘導体(桂皮酸構造)を基本骨格として含む桂皮酸構造含有基、カルコン又はその誘導体を基本骨格として含むカルコン含有基、ベンゾフェノン又はその誘導体を基本骨格として含むベンゾフェノン含有基、クマリン又はその誘導体を基本骨格として含むクマリン含有基、シクロブタン又はその誘導体を基本骨格として含むシクロブタン含有構造、スチルベン又はその誘導体を基本骨格とするスチルベン含有基、フェニルベンゾエート又はその誘導体を基本骨格として含むフェニルベンゾエート含有基等が挙げられる。これらのうち、光配向性基は、アゾベンゼン含有基、桂皮酸構造含有基、カルコン含有基、スチルベン含有基、シクロブタン含有構造、及びフェニルベンゾエート含有基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、光に対する感度が高い点及び重合体中に導入しやすい点で、桂皮酸構造含有基又はシクロブタン含有構造であることが特に好ましい。
光配向性基を有する重合体は、例えば、(1)光配向性基を有するモノマーを用いて重合する方法、(2)エポキシ基を側鎖に有する重合体を合成し、当該合成により得られたエポキシ基含有重合体と、光配向性基を有するカルボン酸とを反応させる方法、等により得ることができる。重合体における光配向性基の含有割合は、塗膜に対し所望の液晶配向能を付与するように光配向性基の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、桂皮酸構造含有基の場合、光配向性基を有する重合体の全構造単位に対して、光配向性基の含有割合を5モル%以上とすることが好ましく、10~60モル%とすることがより好ましい。光配向性基がシクロブタン含有構造である場合、光配向性基を有する重合体の全構成単位に対して、光配向性基の含有割合を20モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましい。なお、光配向性基を有する重合体としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
液晶配向剤に含有させる重合体成分は、1種単独でもよいが、複数種であってもよい。例えば、第1の重合体と、第1の重合体よりも極性が高い第2の重合体とを液晶配向剤に含有させる。この場合、極性が高い第2の重合体が下層に偏在し、第1の重合体が上層に偏在して相分離を生じさせることが可能である。液晶配向剤の重合体成分の好ましい態様としては、以下の(I)~(III)が挙げられる。
(I)第1の重合体及び第2の重合体が、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる重合体である態様。
(II)第1の重合体及び第2の重合体のうち一方が、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる1種の重合体であり、他方がポリシロキサンである態様。
(III)第1の重合体及び第2の重合体のうち一方が、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体であり、他方が付加重合体である態様。
上記(II)及び(III)の態様において、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドの合計の含有量は、液晶配向性及び電圧保持特性が十分に高い液晶素子を得る観点から、液晶配向剤に含まれる重合体成分の合計量に対して、20質量%以上とすることが好ましく、30%質量以上とすることがより好ましく、50~98質量%とすることが更に好ましい。
本開示の液晶配向剤は、重合体成分を主成分とする液晶配向剤であってもよく、化合物(C)を主成分とする液晶配向剤であってもよい。本開示の液晶配向剤が重合体成分を主成分とする場合、液晶配向剤中の重合体成分の含有割合は、液晶配向性及び電気特性に優れ、かつ基板との密着性が高い液晶配向膜を得る観点から、液晶配向剤中に含まれる固形分の合計質量(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計質量)に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
また、本開示の液晶配向剤が化合物(C)を主成分とする場合、液晶配向剤中の重合体成分の含有割合は、液晶配向剤中に含まれる固形分の合計質量に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。本開示の液晶配向剤は、重合体成分を含まない態様であってもよい。化合物(C)によれば、液晶配向剤中に重合体成分を含まない場合にも、化合物(C)が有する官能基Aを重合に関与させることによって、良好な液晶配向性を示す有機膜を形成することが可能である。
〔化合物(D)〕
本開示の液晶配向剤は、下記式(3)で表される化合物(D)を更に含有していてもよい。化合物(C)と共に化合物(D)を含有させることにより、液晶配向膜の基板との密着性を更に改善できる点で好適である。
Figure 2022162467000026
(式(3)中、Aは、光反応性部位を有しない炭素数1~20のr価の有機基である。Zは、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、-NR10、又はチオール基である。Rは、水素原子又は1価の熱脱離性基である。R10は、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。Zがオキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基又はチオール基である場合、rは3以上の整数である。Zが-NR10である場合、rは2以上の整数である。ただし、rが2の場合、Aは-NR-を炭素-炭素結合間に有する。)
上記式(3)において、Aとしては、炭素数1~20のr価の鎖状基及び脂肪族環を有するr価の基が挙げられる。Aで表される基がr価の鎖状基である場合、Aは直鎖状であっても分岐状であってもよい。Aで表される基がr価の鎖状基である場合の具体例としては、r価の鎖状炭化水素基;鎖状炭化水素基における任意の水素原子が、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子等で置換されたr価の基;r価の鎖状炭化水素基又は上記置換されたr価の基の少なくとも1個のメチレン基が、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CO-NR43-、-NR43-、-NR43-CO-NR44-、-O-CO-NR43-又は-S-CO-NR43-で置き換えられてなるr価の基等が挙げられる。ここで、R43及びR44は、それぞれ独立して、炭素数1~6の1価の炭化水素基である。
で表される基が脂肪族環を有するr価の基である場合、脂肪族環は、炭化水素環であってもよく複素環であってもよい。Aで表される基が有する脂肪族環の具体例としては、脂肪族炭化水素環として、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環等を;脂肪族複素環として、イソシアヌル酸構造、シロキサン環構造等を、それぞれ挙げることができる。
において、R、R10が1価の熱脱離性基である場合の具体例としては、上記式(1)においてR及びRの1価の熱脱離性基として例示した基と同様の基が挙げられる。R10が1価の炭化水素基である場合の具体例としては、上記式(1)においてRの1価の炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。Rは、好ましくは1価の熱脱離性基である。R10は、好ましくは水素原子、炭素数1~3のアルキル基又は1価の熱脱離性基であり、より好ましくは水素原子又は1価の熱脱離性基である。
がオキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基又はチオール基である場合、架橋による力学特性と液晶配向性とをバランス良く発現する液晶配向膜を得る観点から、rは3~6の整数であることが好ましく、3又は4であることがより好ましい。Zが-NR10である場合、rは2~6の整数であることが好ましく、2~4の整数であることがより好ましい。
化合物(D)の具体例としては、例えば、下記式(3-1)~式(3-15)のそれぞれで表される化合物等が挙げられる。
Figure 2022162467000027
Figure 2022162467000028
Figure 2022162467000029
化合物(D)を液晶配向剤に配合する場合、化合物(D)の含有量は、液晶配向剤に含まれる固形分の全量100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上が更に好ましい。また、化合物(D)の含有量は、液晶配向剤に含まれる固形分の全量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下が更に好ましい。化合物(D)の含有量が上記範囲であると、液晶配向性の低下を抑制しながら基板に対する密着性の改善効果を十分に得ることができる点で好適である。化合物(D)としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本開示の液晶配向剤が含有していてもよいその他の成分としては、上記のほか、例えば、酸化防止剤、金属キレート化合物、硬化促進剤、界面活性剤、充填剤、分散剤、光増感剤等が挙げられる。これらの配合割合は、本開示の効果を損なわない範囲で、各化合物に応じて適宜選択することができる。
〔溶剤〕
液晶配向剤は、化合物(C)及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは、適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
使用する有機溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、1,2-ジメチル-2-イミダゾリジノン、γ-ブチロラクトン、γ-ブチロラクタム、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ-ト、エチルエトキシプロピオネ-ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコール-i-プロピルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶剤以外の成分の合計質量が液晶配向剤の全質量に占める割合)は、粘性、揮発性等を考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1~10質量%の範囲である。すなわち、液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより、液晶配向膜である塗膜又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、固形分濃度が1質量%以上であると塗膜の膜厚を十分に確保でき、良好な液晶配向膜を得やすい点で好適である。また、固形分濃度が10質量%以下であると、塗膜の膜厚が過大となりすぎず良好な液晶配向膜を得ることができるとともに、液晶配向剤の粘性を適度に確保でき、塗布性を良好にすることができる。
液晶配向剤中の重合体成分の含有割合は、本開示の効果を十分に得る観点から、液晶配向剤中の固形成分(すなわち、溶剤以外の成分)の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上であり、より好ましくは20質量部以上であり、更に好ましくは50質量%以上である。
《液晶配向膜及び液晶素子》
本開示の液晶配向膜は、上記のように調製された液晶配向剤により形成される。また、本開示の液晶素子は、上記で説明した液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を備える。液晶素子における液晶の動作モードは特に限定されず、例えばTN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型(VA-MVA型、VA-PVA型等を含む)、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型、OCB(Optically Compensated Bend)型等といった種々のモードに適用することができる。液晶素子は、例えば以下の工程1~工程3を含む方法により製造することができる。工程1は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程2及び工程3は各動作モード共通である。
(工程1:塗膜の形成)
先ず、基板上に液晶配向剤を塗布し、好ましくは塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)等のプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一方の面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム-酸化スズ(In-SnO)からなるITO膜等を用いることができる。TN型、STN型又はVA型の液晶素子を製造する場合には、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板2枚を用いる。一方、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。基板への液晶配向剤の塗布は、電極形成面上に、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法により行う。
液晶配向剤を塗布した後、塗布した液晶配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30~150℃であり、より好ましくは40~120℃である。プレベーク時間は、好ましくは0.25~10分である。
その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて、重合体に存在するアミック酸構造を熱イミド化することを目的として焼成(ポストベーク)工程が実施される。このときの焼成温度(ポストベーク温度)は、カラーフィルタ上に液晶配向膜を形成する際に高温による退色等の劣化を抑制する観点、及び環境負荷の低減の観点から、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、180℃以下が更に好ましい。また、膜中に残存した溶剤成分の影響によって液晶配向性や信頼性が低下することを抑制する観点から、ポストベーク温度は、80℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。ポストベーク時間は、好ましくは5~150分である。このようにして形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001~1μmである。基板上に液晶配向剤を塗布した後、有機溶媒を除去することによって、液晶配向膜、又は液晶配向膜となる塗膜が形成される。
(工程2:配向処理)
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合、上記工程1で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、基板上に形成した塗膜の表面をコットン等で擦るラビング処理、又は塗膜に光照射を行って液晶配向能を付与する光配向処理を用いることが好ましい。垂直配向型の液晶素子を製造する場合には、上記工程1で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用してもよく、液晶配向能を更に高めるために塗膜に対し配向処理を施してもよい。
光配向処理における光照射は、ポストベーク工程後の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程後であってポストベーク工程前の塗膜に対して照射する方法、プレベーク工程及びポストベーク工程の少なくともいずれかにおいて塗膜の加熱中に塗膜に対して照射する方法、等により行うことができる。光配向処理において、塗膜に照射する放射線としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができる。好ましくは、200~400nmの波長の光を含む紫外線である。放射線が偏光である場合、直線偏光であっても部分偏光であってもよい。また、用いる放射線が直線偏光又は部分偏光である場合には、照射は基板面に垂直の方向から行ってもよく、斜め方向から行ってもよく、又はこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向とする。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。放射線の照射量は、好ましくは400~20,000J/mであり、より好ましくは1,000~5,000J/mである。塗膜に対する光照射は、反応性を高めるために塗膜を加温しながら行ってもよい。
液晶配向膜の製造に際し、光照射処理が施された有機膜を更に加熱してもよい。この加熱処理(加熱再配向)により液晶配向性が更に良化された液晶素子を得ることができる点で好ましい。この加熱は、ポストベークであってもよく、ポストベークとは別にポストベーク後に行う加熱処理であってもよい。加熱温度は、加熱による分子鎖の再配向を促進させる観点から、120℃以上とすることが好ましく、150℃以上とすることがより好ましく、180℃以上とすることが更に好ましい。また、光照射後の加熱処理における加熱温度は、250℃以下とすることが好ましく、230℃以下とすることがより好ましい。加熱時間は、好ましくは5~200分、より好ましくは10~60分である。
液晶配向膜の製造に際し、光照射処理が施された有機膜を、水、水溶性有機溶媒、又は水と水溶性有機溶媒との混合溶媒に接触させる接触工程を更に含んでいてもよい。水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-メトキシ-2-プロパノールアセテート、ブチルセロソルブ、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンが挙げられる。有機膜と溶媒との接触方法としては、例えば噴霧(スプレー)処理、シャワー処理、浸漬処理、液盛り処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有機膜と溶媒との接触時間は特に限定されないが、例えば5秒~15分である。接触工程の後に有機膜の加熱処理を行ってもよい。
(工程3:液晶セルの構築)
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば、(1)液晶配向膜が対向するように間隙(スペーサー)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止する方法、(2)液晶配向膜を形成した一方の基板上の所定の場所にシール剤を塗布し、更に液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げる方法(ODF方式)等が挙げられる。製造した液晶セルに対しては、更に、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷する処理を行うことにより、液晶充填時の流動配向を除去することが好ましい。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。スペーサーとしては、フォトスペーサー、ビーズスペーサー等を用いることができる。
液晶としては、ポジ型及びネガ型のいずれを用いてもよい。IPS型及びFFS型の液晶素子においてネガ型液晶を用いた場合、電極上部での透過損失を小さくでき、コントラスト向上を図ることができる点で好ましい。また、使用する液晶としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。ネマチック液晶としては、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶等を用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレステリック液晶、カイラル剤、強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
続いて、必要に応じて液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせる。偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光フィルムを酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板又はH膜そのものからなる偏光板が挙げられる。これにより液晶素子が得られる。
本開示の液晶素子は種々の用途に有効に適用することができ、例えば、時計、携帯型ゲーム機、ワープロ、ノート型パソコン、カーナビゲーションシステム、カムコーダー、PDA、デジタルカメラ、携帯電話機、スマートフォン、各種モニター、液晶テレビ、インフォメーションディスプレイ等の各種表示装置や、調光フィルム等に用いることができる。また、本開示の液晶配向剤を用いて形成された液晶素子は、位相差フィルム等の光学フィルムに適用することもできる。
以下、実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<化合物の構造と略号>
以下の例で使用した主な化合物の構造と略号は以下のとおりである。
[テトラカルボン酸二無水物]
TA-1;(1R,2R,3S,4S)-1,3-ジメチルシクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物
TA-2;2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
Figure 2022162467000030
[ジアミン]
DA-1;N,N’-ビス(5-アミノピリジン-2-イル)-N,N’-ジ(tert-ブトキシカルボニル)エチレンジアミン
DA-2;2,2’-ジメチルベンジジン
DA-3;4,4’-ジアミノジフェニルメタン
Figure 2022162467000031
[化合物(C)]
C-1~C-7;下記式(C-1)~式(C-7)のそれぞれで表される化合物
Figure 2022162467000032
Figure 2022162467000033
[化合物(D)]
D-1;tert-ブチル ビス(6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)へキシル)カルバメート
D-2;カレンズMT PE1(昭和電工社製)
D-3;ショウフリー PETG(昭和電工社製)
D-4;ジペンタエリスリトール ヘキサアクリレート
Figure 2022162467000034
[化合物E;その他の化合物]
E-1~E-4;下記式(E-1)~式(E-4)のそれぞれで表される化合物
Figure 2022162467000035
[溶剤]
NMP;N-メチル-2-ピロリドン
BC;ブチルセロソルブ
<重合体の合成及び評価>
以下の合成例1~7において重合体をそれぞれ合成した。なお、以下の例において、重合体溶液中のポリイミドのイミド化率は以下の方法により測定した。
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドの溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温でH-NMRを測定した。得られたH-NMRスペクトル(400MHz)から、下記数式(1)によりイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1-(A/(A×α)))×100 …(1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるアミド基のプロトン由来のピーク面積であり、Aは化学シフト6~9ppm付近に現れる芳香族基のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるアミド基のプロトン1個に対する芳香族基のプロトンの個数割合である。)
[合成例1]
ジアミン(ジアミン(DA-1)50モル部及びジアミン(DA-2)50モル部)をNMPに溶解し、ジアミン合計量に対して0.95モル当量のテトラカルボン酸二無水物(TA-1)を加え、室温で6時間反応を行い、ポリアミック酸の溶液を得た。得られた溶液に、脱水剤として、ポリアミック酸のカルボキシ基に対して1.1モル当量の1-メチルピペリジン及び無水酢酸を加え、60℃で3時間加熱撹拌した。得られた溶液に対して、減圧濃縮とNMPによる希釈を繰り返して、下記式(PI-1)で表される部分構造を有するポリイミド(PI-1)の10質量%溶液を得た。ポリイミド(PI-1)のイミド化率は100%であった。
Figure 2022162467000036
[合成例2]
ジアミン(ジアミン(DA-3)100モル部)をNMPに溶解し、ジアミン合計量に対して0.95モル当量のテトラカルボン酸二無水物(TA-2)を加え、室温で6時間反応を行い、下記式(PI-2)で表される部分構造を有するポリアミック酸(PI-2)の15質量%溶液を得た。
Figure 2022162467000037
[合成例3]
下記スキームに従って化合物(C-1)を合成した。なお、下記式(C-1-1)で表される化合物は、特表2018-526670の製造例2に従って合成した。
Figure 2022162467000038
[合成例4]
下記スキームに従って化合物(C-4)及び化合物(C-1)を合成した。臭化アリルを用いた求核置換反応及びアリル基の酸化反応は、米国特許出願公開第2015/0105493号明細書の記載を参考にして実施した。
Figure 2022162467000039
<液晶配向剤の調製及び評価>
[実施例1:光配向FFS型液晶表示素子]
(1)液晶配向剤の調製
低分子成分(固形分換算:化合物(C-1)10質量部)及び重合体成分(固形分換算:重合体(PI-1)90質量部)をNMP及びBCによって希釈することにより、固形分濃度が4.0質量%、溶剤組成比がNMP:BC=80:20(質量比)となる溶液を得た。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(AL-1)を調製した。
(2)光配向法による液晶配向膜の形成
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-1)を、スピンコーターを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱した後、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間加熱を行い、平均膜厚80nmの塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg-Xeランプを用いて、直線偏光された254nmの輝線を含む紫外線300mJ/cmを、基板法線方向から照射して光配向処理を行った。この光配向処理が施された塗膜を、庫内を窒素置換した230℃のオーブンで30分間加熱して熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
(3)密着性の評価
上記(2)において、液晶配向剤を塗布する基板をガラス基板に変更した以外は上記(2)と同様にして液晶配向膜を形成し、基板との密着性について評価した。先ず、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより塗膜に切り込みを入れ、1cm×1cmの範囲内に10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、塗膜の中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察した。密着性の評価は、切込み線に沿った部分及び格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を「優良」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して20%未満の場合を「良好」、20%以上であった場合を「不良」とした。その結果、本実施例では「良好」の評価であった。
(4)FFS型液晶表示素子の製造
上記(2)で作製した基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に、液晶注入口を残して直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をディスペンサー塗布した後、一対の基板の液晶配向膜を有する面を対向させ、各基板の配向処理方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間の間隙にネガ型ネマチック液晶(Merck社製、MJ20195NCMP)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、120℃で加熱してから室温まで徐冷し、FFS型液晶表示素子を製造した。
(5)液晶配向性(AC残像特性)の評価
上記(4)で製造した液晶表示素子について、複屈折計(AXOMETRICS社製、AXOSTEP高精度ミュラー行列イメージングポラリメータ)により、交流電圧12Vで7日間駆動させた前後での液晶方位角の変化を測定した。評価は、液晶方位角の変化が、1度未満を「優良」とし、1度以上2度未満を「良好」とし、2度以上を「不良」とした。液晶方位角の変化が小さいほど、液晶表示素子を長時間駆動した場合にもAC残像が生じにくく、液晶配向性が良好であるといえる。その結果、この実施例では「良好」の評価であった。
(6)長期耐熱性の評価
上記(4)で製造した液晶表示素子について、100℃の恒温槽に21日間保管した後、液晶表示素子中の微小輝点の有無をクロスニコル下における偏光顕微鏡によって観察することにより、微小輝点の評価を行った。光配向処理のための光照射によって生成した分解物が膜中に残ったままの場合、液晶表示素子を高温環境下に長時間曝すことによって分解物が膜表面にブリードアウトし、液晶中で徐々に結晶化し、微小輝点として観察されることが分かっている。なお、観察領域は680μm×680μm、顕微鏡倍率は100倍にて行った。評価は、微小輝点が観察されなかった場合を「良好」とし、微小輝点が観察された場合を「不良」とした。その結果、本実施例では「良好」の評価であった。なお、上記(5)において液晶配向性の評価が「不良」であった場合は、長期耐熱性の評価は割愛した。
[実施例2~8、10、11及び比較例1~6]
上記実施例1において、液晶配向剤に含有させる成分を下記表1に示すとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、液晶配向剤を調製して光配向法により液晶配向膜を形成するとともに、FFS型液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
[実施例9]
上記実施例1において、(1)液晶配向剤の調製、及び(2)液晶配向膜の形成を以下の通りに変更した以外は実施例1と同様にして、光配向FFS型液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
(1)液晶配向剤の調製
低分子成分(固形分換算:化合物(C-1)60質量部、化合物(D-1)40質量部)をNMP及びBCによって希釈することにより、固形分濃度が5.0質量%、溶剤組成比がNMP:BC=80:20(質量比)となる溶液を得た。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(AL-14)を調製した。
(2)光配向法による液晶配向膜の形成
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-14)を、スピンコーターを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱した後、庫内を窒素置換した180℃のオーブンで30分間加熱を行い、平均膜厚80nmの塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg-Xeランプを用いて、直線偏光された254nmの輝線を含む紫外線300mJ/cmを、基板法線方向から照射して光配向処理を行った。この光配向処理が施された塗膜を、庫内を窒素置換した180℃のオーブンで30分間加熱して熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
[実施例12]
(1)液晶配向剤の調製
低分子成分(固形分換算:化合物(C-5)100質量部)をNMP及びBCによって希釈することにより、固形分濃度が1.0質量%、溶剤組成比がNMP:BC=80:20(質量比)となる溶液を得た。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤(AL-18)を調製した。
(2)光配向法による液晶配向膜の形成
平板電極、絶縁層及び櫛歯状電極がこの順で片面に積層されたガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とのそれぞれの面上に、上記(1)で調製した液晶配向剤(AL-18)を、スピンコーターを用いて塗布し、80℃のホットプレート上で5分間加熱した後、水洗を行い、さらに庫内を窒素置換した180℃のオーブンで30分間加熱を行い、平均膜厚10nm以下の塗膜を形成した。この塗膜表面に、Hg-Xeランプを用いて、直線偏光された254nmの輝線を含む紫外線500mJ/cmを、基板法線方向から照射して光配向処理を行った。この光配向処理が施された塗膜を、庫内を窒素置換した180℃のオーブンで30分間加熱して熱処理を行い、液晶配向膜を形成した。
[実施例13、14及び比較例7]
上記実施例12において、液晶配向剤に含有させる成分を下記表1に示すとおりに変更した以外は実施例12と同様にして、液晶配向剤を調製して光配向法により液晶配向膜を形成するとともに、光配向FFS型液晶表示素子を製造して各種評価を行った。評価結果を下記表1に示した。
Figure 2022162467000040
表1中、液晶配向剤の各成分の質量比は、液晶配向剤の調製に使用した低分子成分及び重合体成分の合計100質量部に対する各化合物の配合割合(質量部)を示す。
表1に示すように、化合物(C)を含有する実施例1~14の液晶配向剤は、液晶配向膜の密着性が「良好」又は「優良」であり、かつ液晶表示素子の液晶配向性及び長期耐熱性が「良好」又は「優良」であり、各種特性のバランスが取れていた。これに対して、化合物(C)を含有しない比較例1~7の液晶配向剤は、液晶配向膜の密着性、液晶表示素子の液晶配向性及び長期耐熱性の中の少なくともいずれかが「不良」であり、実施例よりも劣っていた。
<考察>
重合体(PI-1)に加えて化合物(C)を含有する実施例1~3の液晶配向剤では、密着性及び長期耐熱性が「良好」であった。一方、重合体(PI-1)を含有し、化合物(C)を含有しない比較例1の液晶配向剤では、密着性及び長期耐熱性の評価は「不良」であった。密着性の改善は、化合物(C)において重合及び架橋の少なくともいずれかの反応が進行することにより塗膜の力学強度が向上したことに由来すると推測される。また、長期耐熱性の改善は、化合物(C)及び重合体(PI-1)の光分解物において重合及び架橋の少なくともいずれかの反応が進行することにより、光分解物が高分子量化して塗膜中に固定化され、塗膜表面への移動や液晶中への溶出が起こりにくくなったためであると推測される。
実施例1、4、5、9及び10で用いた化合物(C-1)は、比較例2、3で用いた化合物(D-3)、(E-1)と同じくエポキシ基を有する化合物である。化合物(C-1)を含む液晶配向剤によれば、密着性、液晶配向性及び長期耐熱性の評価において「優良」又は「良好」の結果が得られた。これは、架橋反応により液晶配向膜の力学特性を改善することができ、さらに重合体(PI-1)と同様に光配向処理によって分子配向の異方性を発現することができるため、液晶配向を促進できたことによるものと考えられる。
一方、化合物(D-3)及び(E-1)は、化合物(C-1)と同様に、架橋反応により液晶配向膜の力学特性を改善することができたが、液晶配向性の評価が実施例よりも劣る結果であった。これは、化合物(D-3)及び(E-1)は、重合体(PI-1)の液晶配向を阻害したことによるものと考えられる。特に、化合物(E-1)は、芳香環及びイミド環を含むメソゲン骨格を有しており、塗膜表面に存在する場合には、その分子配向の乱れが液晶配向を悪化させることが考えられる。
N,N’-ジアリール-シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸ジイミド構造は、下記式に示すように、254nmの紫外線照射によりシクロブタン環のレトロ[2+2]光環化反応が進行して光分解する。また、シクロブタン環上に置換基を有する場合に光反応性が向上すると考えられる。そのメカニズムは定かではないが、置換基の立体障害によって光分解反応が促進されることによるものと推測される。化合物(C-1)と化合物(E-1)とを対比すると、化合物(C-1)は、シクロブタン環上にメチル基を有しており、反応速度が大幅に向上していると考えられる。このため、化合物(C-1)を用いた例(実施例1、4、5、9及び10)では、1000mJ/cm以下の低露光量でも分子配向の異方性が発現したと考えられる。一方、化合物(E-1)を用いた例(比較例3)では、化合物(E-1)はシクロブタン環上に置換基がなく、反応速度が低いため、低露光量では十分な異方性が発現しなかったと考えられる。
Figure 2022162467000041
(スキーム中、「*」は結合手であることを表す。)
さらに、化合物(C)に代えて化合物(E-2)及び(E-3)をそれぞれ配合した比較例4及び5の液晶配向剤では、密着性及び長期耐熱性が「不良」の評価であった。化合物(E-2)及び(E-3)は、化合物単独及び重合体との反応性が乏しく、塗膜において十分な3次元架橋構造が形成されなかったことによるものと考えられる。また、比較例4、5では、液晶配向膜中に化合物(E-2)又は化合物(E-3)由来の低分子化合物及びその光分解物が多く残留したため、長期耐熱性が「不良」になったと推測される。
なお、重合及び架橋の反応機構は定かではないが、例えばエポキシ基を有する化合物(C-1)では、単独でのカチオン重合及びアニオン重合に加えて、重合体中のアミノ基又はカルボキシ基の付加反応、及びエポキシ基の開環によって生じたヒドロキシ基の付加反応等が考えられる。また、アクリル基を有する化合物(C-2)では、単独でのラジカル重合に加えて、重合体中のアミノ基のマイケル付加反応、光分解によって生じたシトラコンイミド構造との共重合等が考えられ、Boc基で保護されたアミノ基を有する化合物(C-3)では、重合体中のカルボキシ基とのイオン相互作用、及び光分解によって生じたシトラコンイミド構造へのマイケル付加反応等が考えられる。なお、重合体(PI-1)は、焼成過程でBoc基が脱離することでアミノ基を生じる。
一方、シトラコンイミド構造を有する化合物(E-2)及び、ヒドロキシ基を有する化合物(E-3)は、単独での重合性及び架橋反応性に乏しく、さらに、重合体(PI-1)やその光分解物との間の反応性も低いため、塗膜の力学強度の改善や、光分解物の固定化が起こりにくかったと考えられる。
実施例4~8の液晶配向剤は、化合物(C)と共に、重合体成分として重合体(PI-1)及び重合体(PI-2)を含有する。また、実施例5~8の液晶配向剤では、さらに多官能性の化合物(D)を含有する。実施例5の液晶配向剤は、実施例4に対して多官能性の化合物(D)を更に含有することにより密着性が「優良」となり、特性が更に改善されることが分かった。
実施例9及び10の液晶配向剤は、重合体成分と共に、エポキシ基を有する化合物(C-1)と、Boc基で保護された多価脂肪族アミンである化合物(D-1)とを含有する。これらの液晶配向剤では、液晶配向性の評価はいずれも「良好」であった。Boc基は加熱により脱離するため、化合物(D-1)は焼成過程で多価脂肪族アミンに変化し、エポキシ硬化剤として作用すると考えられる。その結果、化合物(C-1)及び(D-1)により、エポキシ-アミン系の3次元架橋ネットワークが形成されると考えられる。また、化合物(C-1)は光反応性を有しており、254nmの直線偏光紫外線照射によって、その偏光方位に平行な分子鎖(分子長軸)が光分解する。このため、塗膜表面に分子配向の異方性が生じ、液晶配向性が発現した結果として、光反応性を有しない重合体(PI-2)を重合体成分として含む液晶配向剤においても所望の特性が発現したと推測される。
一方、重合体(PI-2)を重合体成分として含み、化合物(C)を含まない比較例6では、液晶配向性は「不良」であった。また、比較例6の密着性は「不良」であった。これは、重合体成分のみでは液晶配向膜の力学特性が十分ではなかったためであると考えられる。
実施例12~14及び比較例7の液晶配向剤は、液晶配向剤にアルコキシシリル基を有する化合物(C-5)~(C-7)又は化合物(E-4)を含有し、自己組織化単分子膜に類似した超薄膜を形成した。両者の液晶配向性については、実施例12~14は「良好」であったのに対して、比較例7は「不良」であった。これは、化合物(C-5)~(C-7)を用いた実施例12~14は、シクロブタン環上に置換基を有し、光反応性が高いため、液晶配向性が改善されたと考えられる。また、実施例12~14の長期耐熱性は「良好」であった。化合物(C-5)~(C-7)は、光分解後においても基板に固定化されており、液晶中に溶出しにくいため、長期耐熱性が改善されたと考えられる。
以上より、化合物(C)を含有する液晶配向剤では、液晶配向膜の密着性が改善され、液晶素子の液晶配向性及び長期耐熱性が改善したと推察される。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で表される化合物及び下記式(2)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物(C)を含有する、液晶配向剤。
    Figure 2022162467000042
    (式(1)及び式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(1)又は式(2)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、水素原子又は1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
  2. 下記式(3)で表される化合物(D)を更に含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
    Figure 2022162467000043
    (式(3)中、Aは、光反応性部位を有しない炭素数1~20のr価の有機基である。Zは、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、-NR10、又はチオール基である。Rは、水素原子又は1価の熱脱離性基である。R10は、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。Zがオキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基又はチオール基である場合、rは3以上の整数である。Zが-NR10である場合、rは2以上の整数である。ただし、rが2の場合、Aは-NR-を炭素-炭素結合間に有する。)
  3. ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリシロキサン及び付加重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体成分を含有する、請求項1又は2に記載の液晶配向剤。
  4. 前記化合物(C)は、下記式(4)で表される化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2022162467000044
    (式(4)中、Xは、単結合又は(a1+1)価の連結基である。Xは、単結合又は(a2+1)価の連結基である。R11及びR12は、それぞれ独立して、単結合、2価の炭化水素基、2価の炭化水素基における任意の水素原子が置換された2価の基、又は、2価の炭化水素基若しくは前記置換された2価の基が有する任意のメチレン基が-O-、-S-、-CO-、-COO-、-CO-NR41-、-NR41-、-NR41-CO-NR42-、-O-CO-NR41-若しくは-S-CO-NR41-で置換された2価の基である。R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR又はチオール基である。R及びRは、上記式(1)及び式(2)と同義である。a1及びa2は、それぞれ独立して、1又は2である。a1が2の場合、複数のR11、複数のZは互いに同一又は異なる。a2が2の場合、複数のR12、複数のZは互いに同一又は異なる。)
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
  6. 請求項5に記載の液晶配向膜を備える液晶素子。
  7. 下記式(1)で表される化合物。
    Figure 2022162467000045
    (式(1)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(1)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
  8. 下記式(2)で表される化合物。
    Figure 2022162467000046
    (式(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。ただし、R~Rの少なくともいずれかは炭素数1~20の1価の有機基である。Aは、芳香環を有する(p+1)価の基である。Aは、芳香環を有する(q+1)価の基である。ただし、A及びAは、式(2)中の窒素原子に対し芳香環で結合している。Z及びZは、それぞれ独立して、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR若しくはチオール基であるか、又は、オキシラニル基、オキセタニル基、アルケニル基、シクロアルケン構造含有基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシシリル基、アルコキシシリル基、-NR及びチオール基よりなる群から選択される少なくとも1種を有する炭素数30以下の1価の有機基である。Rは、1価の熱脱離性基である。Rは、水素原子、炭素数1~10の1価の炭化水素基又は1価の熱脱離性基である。p及びqは、それぞれ独立して、1以上の整数である。ただし、pが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。qが2以上の場合、複数のZは互いに同一又は異なる。)
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