JP2022159839A - 乾燥装置及び乾燥残渣の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本開示は、投入された飲料滓の状態に応じて当該飲料滓を適切に乾燥させることが可能な乾燥装置及び当該飲料滓を乾燥して得られる乾燥残渣の製造方法を説明する。【解決手段】乾燥装置の一例は、飲料滓が投入される入口部と、乾燥処理された飲料滓が排出される出口部とを含む乾燥部と、入口部から乾燥部に飲料滓を投入するように構成された投入部と、入口部から出口部へと乾燥部内を流動する飲料滓に対して熱風を供給するように構成された供給部と、乾燥部内の温度を測定するように構成された測定部と、測定部によって測定された温度に基づいて、供給部から供給される熱風と飲料滓との熱交換量を制御するように構成された制御部とを備える。【選択図】図1
Description
本開示は、乾燥装置及び乾燥残渣の製造方法に関する。
特許文献1は、茶滓、コーヒー滓などの飲料滓に対して熱風の旋回流を吹きつけることにより当該飲料滓を乾燥させる乾燥炉を開示している。
本開示は、投入された飲料滓の状態に応じて当該飲料滓を適切に乾燥させることが可能な乾燥装置及び当該飲料滓を乾燥して得られる乾燥残渣の製造方法とを説明する。
例1.乾燥装置の一例は、飲料滓が投入される入口部と、乾燥処理された飲料滓が排出される出口部とを含む乾燥部と、入口部から乾燥部に飲料滓を投入するように構成された投入部と、入口部から出口部へと乾燥部内を流動する飲料滓に対して熱風を供給するように構成された供給部と、乾燥部内の温度を測定するように構成された測定部と、測定部によって測定された温度に基づいて、供給部から供給される熱風と飲料滓との熱交換量を制御するように構成された制御部とを備える。ところで、飲料滓の状態(例えば、水分率、形態など。より具体的には、乾燥処理前の飲料滓の水分率、乾燥処理中の飲料滓の水分率、乾燥処理中の高粘性飲料滓が塊になっているか否かなど。)に応じて、乾燥部内の温度が変化する。これは、飲料滓の状態が異なると、飲料滓の乾燥に要する熱エネルギーも変化するためである。そのため、乾燥部内の温度測定を介して間接的に推定される飲料滓の状態に基づいて、供給部から供給される熱風と飲料滓との熱交換量を調節することにより、飲料滓をより効率的に乾燥することが可能となる。なお、本明細書において、「水分率」とは、各粒子において、粒子の総重量に対する水分の重量の割合をいう。
例2.例1の装置において、測定部は、出口部又はその近傍の温度を出口温度として測定するように構成されており、制御部は、測定部によって測定された出口温度に基づいて、供給部からの熱風の流速を制御するように構成されていてもよい。ところで、乾燥処理前の飲料滓の水分率(本明細書において、「処理前水分率」と称することがある。)が高い場合には、飲料滓が乾燥するまでにより多くの熱エネルギーを要する。そのため、熱風と飲料滓との熱交換量が多くなるので、乾燥部の出口部又はその近傍の出口温度が低くなる傾向にある。一方、処理前水分率が低い場合には、飲料滓が乾燥するまでにそれほど熱エネルギーを要しない。そのため、熱風と飲料滓との熱交換量が少なくなるので、乾燥部の出口部又はその近傍の出口温度が高くなる傾向にある。これらのことから、出口温度を測定することにより、処理前水分率を推定可能である。したがって、測定された温度が低い場合には熱風の流速を大きくし、測定された温度が高い場合には熱風の流速を小さくすることにより、処理前水分率に応じて適切な流速にコントロールされた熱風が乾燥部内に供給される。その結果、処理前水分率が把握できない場合には、飲料滓を十分に乾燥するために、熱風の流速が過大に設定される傾向にあるが、例2によれば、そのような場合と比較して、飲料滓を低コストで乾燥させることが可能となる。
例3.例1又は例2の装置において、測定部は、入口部又はその近傍の温度を入口温度として測定するように構成されており、制御部は、測定部によって測定された入口温度に基づいて、供給部からの熱風の流速、供給部からの熱風の温度及び投入部による乾燥部への飲料滓の投入量からなる群から選択される少なくとも一つのパラメータを制御するように構成されていてもよい。ところで、飲料滓の乾燥が十分でなく、飲料滓を構成する粒子同士がくっつき合い塊になってしまうと、水分が蒸発し難くなるので、乾燥部の入口部又はその近傍の入口温度が低下してしまう傾向にある。これは特に、比較的粘性が高い高粘性飲料滓において顕著となる。そのため、入口温度を測定することにより、乾燥処理中における飲料滓の水分率(本明細書において、「処理中水分率」と称することがある。)を推定可能である。したがって、入口温度が低くなった場合には、熱風の流速を大きくするか、熱風の温度を高くするか、乾燥部への飲料滓の投入量を少なくすることにより、飲料滓の乾燥が促進される。その結果、乾燥部の入口部又はその近傍の温度測定を介して間接的に推定される処理中水分率に基づいて、飲料滓をより効率的に乾燥することが可能となる。
例4.例3の装置において、制御部は、測定部によって測定された入口温度が所定の閾値を下回った場合に、供給部からの熱風の流速を大きくするように構成されていてもよい。この場合、乾燥部への飲料滓の投入量を変えることなく、比較的応答性の高い熱風の流速が制御される。そのため、飲料滓の処理量を維持しつつ、飲料滓をより効率的に乾燥することが可能となる。
例5.例4の装置において、制御部は、測定部によって測定された入口温度が閾値よりも小さい別の閾値を下回った場合に、供給部からの熱風の温度を大きくするように構成されていてもよい。この場合、飲料滓の乾燥を促進するために熱風の流速が過大となることが抑制される。そのため、飲料滓の乾燥に要するエネルギー量が少なくなるので、飲料滓をより効率的に乾燥することが可能となる。
例6.例5の装置において、制御部は、測定部によって測定された入口温度が、別の閾値よりも小さいさらに別の閾値を下回った場合に、投入部による乾燥部への飲料滓の投入量を少なくするように構成されていてもよい。この場合、例5の装置と同様の作用効果が得られる。
例7.例1~例6のいずれかの装置において、供給部からの熱風の流速は、供給部の熱風の吹出口において26m/sec以上となるように設定されていてもよい。この場合、比較的大きな風速の熱風が飲料滓に吹き付けられる。そのため、飲料滓を構成する粒子間に熱風が入り込んでいき、粒子同士が熱風によって引き剥がされつつ乾燥が促進される。そのため、高温の熱風を生成することなく、飲料滓を構成する粒子同士がくっつき合う前に乾燥が行われる。すなわち、比較的大きな流速の熱風によって各粒子の表面を乾燥させ、粒子同士がくっついて塊となることを阻害することができる。したがって、飲料滓を低コストで乾燥させることが可能となる。
例8.例1~例6のいずれかの装置において、供給部からの熱風の流速は、飲料滓の表面において22m/sec以上となるように設定されていてもよい。この場合、例6と同様の作用効果が得られる。
例9.例7又は例8の装置において、供給部の熱風の吹出口と飲料滓の表面との離間距離が0cm~18cmに設定されていてもよい。この場合、熱風が比較的至近距離から飲料滓に吹き付けられる。そのため、飲料滓を構成する粒子同士が熱風によってより引き剥がされやすくなる。したがって、飲料滓の乾燥をより促進させることが可能となる。
例10.例1~例9のいずれかの装置において、供給部は、飲料滓の表面に略直交する方向から、飲料滓に対して熱風を供給するように構成されていてもよい。この場合、熱風による風圧が飲料滓に効果的に作用する。そのため、飲料滓を構成する粒子同士が熱風によってより引き剥がされやすくなる。したがって、飲料滓の乾燥をより促進させることが可能となる。
例11.例1~例10のいずれかの装置において、供給部は、飲料滓に対して300℃以下の熱風を供給するように構成されていてもよい。この場合、比較的低温の熱風により飲料滓の乾燥を行えるので、熱風の生成に用いる燃料の消費が抑制される。そのため、飲料滓をより低コストで乾燥させることが可能となる。
例12.例1~例11のいずれかの装置において、供給部は、飲料滓に対して80℃以上の熱風を供給するように構成されていてもよい。この場合、高速の熱風と相俟って、この程度の低温でも飲料滓の水分が蒸発する。そのため、熱風の生成に用いる燃料の消費がいっそう抑制される。したがって、飲料滓をさらに低コストで乾燥させることが可能となる。
例13.例1~例12のいずれかの装置において、供給部から供給される熱風の熱源は工場排熱であってもよい。この場合、飲料滓の乾燥のために排熱を有効利用することが可能となる。
例14.例1~例13のいずれかの装置において、投入部は、入口部から乾燥部に連続的に飲料滓を投入するように構成されていてもよい。この場合、飲料滓の乾燥を連続的に行えるので、多量の飲料滓を効率的に乾燥することが可能となる。
例15.乾燥残渣の製造方法の一例は、乾燥部の入口部から飲料滓を投入することと、入口部から乾燥部の出口部に向けて乾燥部内を流動する飲料滓に対して、供給部から熱風を供給することにより、飲料滓を乾燥させることと、熱風による飲料滓の乾燥中に乾燥部内の温度を測定することと、測定された温度に基づいて、供給部から供給される熱風と飲料滓との熱交換量を制御することとを含む。この場合、例1の装置と同様の作用効果が得られる。
例16.例15の方法において、乾燥部内の温度を測定することは、出口部又はその近傍の温度を出口温度として測定することを含み、熱交換量を制御することは、出口温度に基づいて、供給部からの熱風の流速を制御することを含んでいてもよい。この場合、例2の装置と同様の作用効果が得られる。
例17.例15又は例16の方法において、乾燥部内の温度を測定することは、入口部又はその近傍の温度を入口温度として測定することを含み、熱交換量を制御することは、入口温度に基づいて、供給部からの熱風の流速、供給部からの熱風の温度及び乾燥部への飲料滓の投入量からなる群から選択される少なくとも一つのパラメータを制御することを含んでいてもよい。この場合、例3の装置と同様の作用効果が得られる。
例18.例17の方法において、熱交換量を制御することは、入口温度が所定の閾値を下回った場合に、供給部からの熱風の流速を大きくすることを含んでいてもよい。この場合、例4の装置と同様の作用効果が得られる。
例19.例18の方法において、熱交換量を制御することは、入口温度が閾値よりも小さい別の閾値を下回った場合に、供給部からの熱風の温度を大きくすることを含んでいてもよい。この場合、例5の装置と同様の作用効果が得られる。
例20.例19の方法において、熱交換量を制御することは、入口温度が、別の閾値よりも小さいさらに別の閾値を下回った場合に、乾燥部への飲料滓の投入量を少なくすることを含んでいてもよい。この場合、例6の装置と同様の作用効果が得られる。
例21.例15~例20のいずれかの方法において、供給部からの熱風の流速は、供給部の熱風の吹出口において26m/sec以上となるように設定されていてもよい。この場合、例7の装置と同様の作用効果が得られる。
例22.例15~例20のいずれかの方法において、供給部からの熱風の流速は、飲料滓の表面において22m/sec以上となるように設定されていてもよい。この場合、例8の装置と同様の作用効果が得られる。
例23.例21又は例22の方法において、供給部の熱風の吹出口と飲料滓の表面との離間距離が0cm~18cmに設定されていてもよい。この場合、例9の装置と同様の作用効果が得られる。
例24.例15~例23のいずれかの方法において、飲料滓を乾燥させることは、飲料滓の表面に略直交する方向から、飲料滓に対して熱風を供給することを含んでいてもよい。この場合、例10の装置と同様の作用効果が得られる。
例25.例154~例24のいずれかの方法において、飲料滓を乾燥させることは、飲料滓に対して300℃以下の熱風を供給することを含んでいてもよい。この場合、例11の装置と同様の作用効果が得られる。
例26.例15~例25のいずれかの方法において、飲料滓を乾燥させることは、飲料滓に対して80℃以上の熱風を供給することを含んでいてもよい。この場合、例12の装置と同様の作用効果が得られる。
例27.例15~例26のいずれかの方法において、飲料滓を乾燥させることは、工場排熱を熱源とする熱風を飲料滓に対して供給することを含んでいてもよい。この場合、例13の装置と同様の作用効果が得られる。
例28.例15~例27のいずれかの方法において、飲料滓を投入することは、入口部から乾燥部に連続的に飲料滓を投入することを含んでいてもよい。この場合、例14の装置と同様の作用効果が得られる。
本開示に係る乾燥装置及び乾燥残渣の製造方法によれば、投入された飲料滓の状態に応じて当該飲料滓を適切に乾燥させることが可能となる。
以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
[乾燥システムの構成]
図1及び図2を参照して、飲料滓Dの乾燥システム1の一例について説明する。乾燥システム1は、発電プラント2と、乾燥装置10とを備える。
図1及び図2を参照して、飲料滓Dの乾燥システム1の一例について説明する。乾燥システム1は、発電プラント2と、乾燥装置10とを備える。
発電プラント2は、制御部Ctrの指示に基づいて動作し、燃料、原料、他のプラントの排熱等を用いて発電するように構成されている。発電プラント2は、例えばコジェネレーションシステムであり、ガスタービン、蒸気タービン等の発電システムと、当該発電機からの排熱を回収するように構成された排熱回収システムとを含んでいてもよい。
発電プラント2は、発電プラント2の運転に伴い生じた排熱、すなわち工場排熱を熱風として乾燥装置10に供給するように構成されている。排熱回収システムで熱回収された後の熱風(例えば、80℃~250℃程度)が、乾燥装置10に供給されてもよい。排熱回収システムで熱回収される前の熱風(例えば、250℃~300℃程度)が、乾燥装置10に供給されてもよい。
乾燥装置10は、発電プラント2からの熱風を利用して、投入された飲料滓Dを乾燥するように構成されている。飲料滓Dは、飲料が抽出された後の抽出滓をいい、例えば、茶滓、コーヒー滓などを含む。茶滓は、例えば、麦茶、玄米茶、烏龍茶、緑茶などの抽出滓を含む。このうち、例えば麦茶は、水分を含むことにより麦に含まれる澱粉質が溶出し、図3(a)に示されるように、粘性の高い塊Mとなりうる。乾燥装置10は、このような麦茶等の比較的粘性が高い粘性飲料滓(高粘性飲料滓)も乾燥の対象とする。すなわち、本明細書において、飲料滓Dは、高粘性飲料滓を含む。なお、図3において、符号Gは、飲料滓Dを構成する個々の粒子である。粒子Gの径は、例えば、0.5mm~10mm程度であってもよい。
乾燥装置10は、投入部20と、乾燥部30と、回収部40と、給気部B1(供給部)と、排気部B2と、測定部S1,S2と、制御部Ctrとを含む。
投入部20は、飲料滓Dを乾燥部30に投入するように構成されている。投入部20は、例えば、飲料滓Dを貯留する貯留タンク21と、貯留タンク21から供給された飲料滓Dを乾燥部30に搬送するスクリューコンベア22と、貯留タンク21内の飲料滓Dをスクリューコンベア22に供給するフィーダ(図示せず)とを含んでいてもよい。スクリューコンベア22及びフィーダは、制御部Ctrからの指示に基づいて動作可能に構成されていてもよい。投入部20は、乾燥部30に対して連続的に飲料滓Dを投入してもよいし、断続的に飲料滓Dを投入してもよい。投入部20は、同一の種類の飲料滓Dを乾燥部30に投入してもよいし、一の種類の飲料滓Dを乾燥部30に投入した後に他の種類の飲料滓Dを乾燥部30に投入してもよいし、複数の種類の飲料滓Dが混合された混合滓を乾燥部30に投入してもよい。
乾燥部30は、投入部20から投入された飲料滓Dに熱風を供給して乾燥するように構成されている。乾燥部30は、図1及び図2に例示されるように、ロータリーキルンであってもよい。乾燥部30は、本体部31と、入口部32と、出口部33と、供給管35(供給部)とを含む。
本体部31は、入口部32から出口部33に向けて飲料滓Dが流動するように構成された筐体である。本体部31は、例えば筒状を呈していてもよい。乾燥部30がロータリーキルンである場合、本体部31は、円筒状を呈しており、その中心軸周りに回転可能に構成されていてもよい。
入口部32は、飲料滓Dの流動方向において本体部31の上流端部に配置されている。入口部32内には、スクリューコンベア22の下流端部が挿入されている。出口部33は、飲料滓Dの流動方向において本体部31の下流端部に配置されている。
供給管35は、本体部31内を流動する飲料滓Dに対して熱風を供給するように構成されている。供給管35は、主管36と、複数の分岐管37とを含む。主管36は、本体部31の中心軸に沿って延びるように本体部31内に配置されている。
複数の分岐管37は、主管36と物理的且つ流体的に接続されている。複数の分岐管37は、主管36の長手方向(延在方向)に対して交差する方向に延びている。複数の分岐管37は、主管36の延在方向(軸方向)において異なる位置に配置されている。複数の分岐管37は、図2に例示されるように、主管36の長手方向から見て主管36の中心軸に関して異なる角度で配置されていてもよい。この場合、複数の分岐管37は、同じ角度の分岐管37が主管36の延在方向(軸方向)において隣り合わないように、配置されていてもよい。
複数の分岐管37は、例えば、第1の分岐管37aと、主管36の中心軸に関して第1の分岐管37aとは異なる角度で配置された第2の分岐管37bと、主管36の中心軸に関して第1の分岐管37a及び第2の分岐管37bとは異なる角度で配置された第3の分岐管37cとを含んでいてもよい。この場合、第1の分岐管37aは、例えば、主管36から鉛直下方に沿って延びていてもよい。第2の分岐管37bは、例えば、主管36の回転方向を正とし且つ第1の分岐管37aを基準としたときに、主管36の中心軸に関して+10°~+50°程度傾いていてもよい。第3の分岐管37cは、例えば、主管36の回転方向を正とし且つ第1の分岐管37aを基準としたときに、主管36の中心軸に関して+40°~+80°程度傾いていてもよい。
分岐管37の吹出口OLの向きは、本体部31内を流動する飲料滓Dの表面と交差していてもよいし、図2に例示されるように、本体部31内を流動する飲料滓Dの表面と略直交していてもよい。この場合、分岐管37の吹出口OLから吐出される熱風は、主管36の径方向であって、本体部31内を流動する飲料滓Dの堆積方向(厚さ方向)に沿って流れる。分岐管37の吹出口OLと飲料滓Dの表面との離間距離は、乾燥対象の飲料滓Dの性質に応じて適宜設定しうるが、例えば0cm~18cm程度であってもよい。
分岐管37から飲料滓Dに供給される熱風の温度は、例えば、300℃以下であってもよいし、250℃以下であってもよいし、200℃以下であってもよい。分岐管37から飲料滓Dに供給される熱風の温度は、80℃以上であってもよいし、100℃以上であってもよいし、120℃以上であってもよい。
回収部40は、出口部33から排出された乾燥後の飲料滓Dを回収するように構成されている。回収部40は、出口部33の下流側(例えば下方)に配置されている。回収部40は、例えば、乾燥後の飲料滓Dを貯留可能なタンクを含んでいてもよい。
給気部B1は、制御部Ctrの指示に基づいて動作し、発電プラント2からの熱風を、供給管35を通じて本体部31内に供給するように構成されている。給気部B1は、例えば送風ブロアであってもよい。給気部B1は、分岐管37の吹出口OLにおける熱風の流量が26m/sec以上となるように、熱風を供給管35に供給してもよい。給気部B1は、分岐管37から供給された熱風の流量が飲料滓Dの表面において22m/sec以上となるように、熱風を供給管35に供給してもよい。
排気部B2は、制御部Ctrの指示に基づいて動作し、乾燥部30内の熱を出口部33から排気するように構成されている。排気部B2は、例えば排気ブロアであってもよい。
測定部S1,S2は、乾燥部30内の温度を測定し、その温度データを制御部Ctrに送信するように構成されている。測定部S1,S2は、例えば、熱電対等の温度センサであってもよい。乾燥部30内の温度は、飲料滓Dの乾燥状態(例えば、処理前水分率、処理中水分率など)に応じて変化する。これは、飲料滓Dの状態が異なると、飲料滓Dの乾燥に要する熱エネルギーも変化するためである。換言すれば、測定部S1,S2によって乾燥部30内の温度を測定することにより、乾燥部30内の飲料滓Dの状態を推定することが可能となる。
測定部S1は、乾燥部30内において、入口部32又はその近傍に配置されていてもよい。図1に例示されるように、測定部S1は、入口部32又はその近傍として、本体部31の上流側の端部(例えば、最も上流側に位置する分岐管37の近傍)に配置されていてもよい。この場合、測定部S1は、本体部31の上流側の端部の温度(入口温度)を測定し、その温度データを制御部Ctrに送信する。
測定部S2は、乾燥部30内において、出口部33又はその近傍に配置されていてもよい。図1に例示されるように、測定部S2は、出口部33に配置されていてもよい。この場合、測定部S2は、本体部31の下流側の端部の温度(出口温度)を測定し、その温度データを制御部Ctrに送信する。
制御部Ctrは、発電プラント2、投入部20、給気部B1及び排気部B2を制御するように構成されている。制御部Ctrは、例えばコンピュータ等のコントローラであってもよい。
制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて、分岐管37から飲料滓Dに供給される熱風と飲料滓Dとの熱交換量を制御するように構成されていてもよい。例えば、制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて給気部B1を制御して、分岐管37から飲料滓Dに供給される熱風の流速(単に「熱風の流速」ということがある。)を制御してもよい。この場合、一例として、制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて、送風ブロアの送風量を制御してもよい。
制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて発電プラント2を制御して、分岐管37から飲料滓Dに供給される熱風の温度(単に「熱風の温度」ということがある。)を制御してもよい。この場合、一例として、制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて、発電プラント2の発電量を制御してもよい。
制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて投入部20を制御して、投入部20から乾燥部30への飲料滓Dの投入量(単に「飲料滓Dの投入量」ということがある。)を制御してもよい。この場合、一例として、制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて、フィーダの搬送速度を制御してもよい。
ところで、飲料滓Dの粒子G同士がくっつき合い塊になってしまうと、水分が蒸発し難くなることがある。特に、高粘性飲料滓の場合には、自身に含まれる澱粉質の影響で、粘性の高い塊となってしまうので、水分が蒸発し難くなる傾向が強い。そのため、乾燥部30の入口部32又はその近傍の温度(入口温度)が低くなる傾向にある。この性質に鑑みて、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データに基づいて、処理中水分率を推定することができる。
そこで、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データに基づいて、熱風の流速、熱風の温度及び飲料滓Dの投入量のいずれか一つ以上の要素を制御してもよい。例えば、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が相対的に低下したと判断した場合には、塊が生ずる可能性が高まったので、給気部B1を制御して熱風の流速を増加させてもよいし、発電プラント2を制御して熱風の温度を上昇させてもよいし、投入部20を制御して飲料滓Dの投入量を低下させてもよい。
別の例では、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が所定の閾値T1を下回ったと判断した場合には、給気部B1を制御して熱風の流速を増加させてもよい。また、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が、閾値T1よりも低い別の閾値T2を下回ったと判断した場合には、発電プラント2を制御して熱風の温度を上昇させてもよい。さらに、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が、閾値T2を下回ったと判断した場合、あるいは、閾値T2よりも低い別の閾値T3を下回ったと判断した場合には、投入部20を制御して飲料滓Dの投入量を低下させてもよい。
閾値T1は、60℃程度であってもよいし、80℃程度であってもよい。閾値T2は、50℃程度であってもよいし、70℃程度であってもよい。閾値T3は、40℃程度であってもよいし、60℃程度であってもよい。
また、熱風の温度、熱風の流速及び飲料滓Dの投入量が制御されておらず略一定であるとの状態において、処理前水分率が高い場合には、飲料滓Dが乾燥するまでにより多くの熱エネルギーを要する。そのため、熱風と飲料滓Dとの熱交換量が多くなるので、乾燥部30の出口部33又はその近傍の温度(出口温度)が低くなる傾向にある。一方、熱風の温度、熱風の流速及び飲料滓Dの投入量が制御されておらず略一定であるとの状態において、処理前水分率が低い場合には、飲料滓Dが乾燥するまでにそれほど熱エネルギーを要しない。そのため、熱風と飲料滓Dとの熱交換量が少なくなるので、乾燥部30の出口部33又はその近傍の温度(出口温度)が高くなる傾向にある。この性質に鑑みて、制御部Ctrは、測定部S2から受信した温度データに基づいて、処理前水分率を推定することができる。
そこで、制御部Ctrは、測定部S2から受信した温度データに基づいて、熱風の流速を制御してもよい。例えば、制御部Ctrは、測定部S2から受信した温度データの値が相対的に低下したと判断した場合には、処理前水分率の高い飲料滓Dが乾燥部30内に投入されているので、給気部B1を制御して、熱風の流速を増加させてもよい。一方、制御部Ctrは、測定部S2から受信した温度データの値が相対的に上昇したと判断した場合には、処理前水分率の低い飲料滓Dが乾燥部30内に投入されているので、給気部B1を制御して、熱風の流速を低下させてもよい。
[作用]
以上の例によれば、分岐管37からの熱風の流速は、吹出口OLにおいて26m/sec以上となるように設定されうる。あるいは、分岐管37からの熱風の流速は、飲料滓Dの表面において22m/sec以上となるように設定されうる。これらの場合、比較的大きな流速の熱風が飲料滓Dに吹き付けられる。そのため、図3(b)に概略的に示されるように、飲料滓Dを構成する粒子G間に熱風が入り込んでいき、粒子G同士が熱風によって引き剥がされつつ乾燥が促進される。そのため、高温の熱風を生成することなく、飲料滓Dを構成する粒子G同士がくっつき合う前に乾燥が行われる。すなわち、比較的大きな流速の熱風によって各粒子Gの表面を乾燥させ、粒子G同士がくっついて塊Mとなることを阻害することができる。したがって、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dを低コストで乾燥させることが可能となる。
以上の例によれば、分岐管37からの熱風の流速は、吹出口OLにおいて26m/sec以上となるように設定されうる。あるいは、分岐管37からの熱風の流速は、飲料滓Dの表面において22m/sec以上となるように設定されうる。これらの場合、比較的大きな流速の熱風が飲料滓Dに吹き付けられる。そのため、図3(b)に概略的に示されるように、飲料滓Dを構成する粒子G間に熱風が入り込んでいき、粒子G同士が熱風によって引き剥がされつつ乾燥が促進される。そのため、高温の熱風を生成することなく、飲料滓Dを構成する粒子G同士がくっつき合う前に乾燥が行われる。すなわち、比較的大きな流速の熱風によって各粒子Gの表面を乾燥させ、粒子G同士がくっついて塊Mとなることを阻害することができる。したがって、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dを低コストで乾燥させることが可能となる。
以上の例によれば、吹出口OLと飲料滓Dの表面との離間距離が0cm~18cmに設定されうる。この場合、熱風が比較的至近距離から飲料滓Dに吹き付けられる。そのため、飲料滓Dを構成する粒子G同士が熱風によってより引き剥がされやすくなる。したがって、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dの乾燥をより促進させることが可能となる。
以上の例によれば、分岐管37は、飲料滓Dの表面に略直交する方向から、飲料滓Dに対して熱風を供給するように構成されうる。この場合、熱風による風圧が飲料滓Dに効果的に作用する。そのため、飲料滓Dを構成する粒子G同士が熱風によってより引き剥がされやすくなる。したがって、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dの乾燥をより促進させることが可能となる。
以上の例によれば、飲料滓Dに対して80℃以上の熱風が分岐管37から供給されうる。この場合、吹出口OLにおいて26m/sec以上(飲料滓Dの表面において22m/sec以上)という高速の熱風と相俟って、この程度の低温でも飲料滓Dの水分が蒸発する。そのため、熱風の生成に用いる燃料の消費がいっそう抑制される。したがって、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dをさらに低コストで乾燥させることが可能となる。
以上の例によれば、飲料滓Dに対して300℃以下の熱風が分岐管37から供給されうる。この場合、比較的低温の熱風により飲料滓Dの乾燥を行えるので、熱風の生成に用いる燃料の消費が抑制される。そのため、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dをより低コストで乾燥させることが可能となる。
以上の例によれば、分岐管37から供給される熱風の熱源は工場排熱(発電プラント2からの排熱)でありうる。この場合、高粘性飲料滓を含む飲料滓Dの乾燥のために排熱を有効利用することが可能となる。
以上の例によれば、投入部20は、乾燥部30の入口部32から本体部31内に連続的に飲料滓Dを投入するように構成されうる。この場合、飲料滓Dの乾燥を連続的に行えるので、多量の飲料滓Dを効率的に乾燥することが可能となる。
以上の例によれば、制御部Ctrは、測定部S1,S2から受信した温度データに基づいて、分岐管37から飲料滓Dに供給される熱風と飲料滓Dとの熱交換量を制御するように構成されうる。この場合、乾燥部30内の温度測定を介して間接的に推定される飲料滓Dの状態に基づいて、分岐管37から供給される熱風と飲料滓Dとの熱交換量を調整することにより、飲料滓Dをより効率的に乾燥することが可能となる。
以上の例によれば、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データに基づいて、熱風の流速、熱風の温度及び飲料滓Dの投入量のいずれか一つ以上の要素を制御するように構成されうる。この場合、乾燥部30の入口部32又はその近傍の温度測定を介して間接的に推定される処理中水分率に基づいて、飲料滓Dをより効率的に乾燥することが可能となる。
以上の例によれば、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が所定の閾値T1を下回ったと判断した場合には、給気部B1を制御して熱風の流速を増加させうる。この場合、乾燥部30への飲料滓Dの投入量を制御することなく、比較的応答性の高い熱風の流速が制御される。そのため、飲料滓Dの処理量を維持しつつ、飲料滓Dをより効率的に乾燥することが可能となる。
また、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が、閾値T1よりも低い別の閾値T2を下回ったと判断した場合には、発電プラント2を制御して熱風の温度を上昇させてもよい。さらに、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が、閾値T2を下回ったと判断した場合、あるいは、閾値T2よりも低い別の閾値T3を下回ったと判断した場合には、投入部20を制御して飲料滓Dの投入量を低下させうる。これらの場合、飲料滓Dの乾燥を促進するために熱風の流速が過大となることが抑制される。そのため、飲料滓Dの乾燥に要するエネルギー量が少なくなるので、飲料滓Dをより効率的に乾燥することが可能となる。
以上の例によれば、制御部Ctrは、測定部S2から受信した温度データに基づいて、熱風の流速を制御するように構成されうる。この場合、処理前水分率に応じて適切な流速にコントロールされた熱風が乾燥部30内に供給される。そのため、異なる水分率を有する複数の飲料滓Dが投入されるような場合に備えて、飲料滓Dの乾燥を優先させるために熱風の流速を過大に設定しておく必要がなくなる。したがって、各種の飲料滓Dを乾燥させる際のコストを抑制することが可能となる。
[試験結果]
ここで、上述した乾燥装置10の例を用いて、熱風の流速及び熱風の温度をそれぞれ変化させながら、高粘性飲料滓である麦茶滓が乾燥するかどうかの試験を行った。具体的には、以下の条件1~11で試験を行った。
ここで、上述した乾燥装置10の例を用いて、熱風の流速及び熱風の温度をそれぞれ変化させながら、高粘性飲料滓である麦茶滓が乾燥するかどうかの試験を行った。具体的には、以下の条件1~11で試験を行った。
・条件1
吹出口OLにおける熱風の流速 36.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 32.0m/sec
熱風の温度 100℃
・条件2
吹出口OLにおける熱風の流速 32.1m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 28.1m/sec
熱風の温度 100℃
吹出口OLにおける熱風の流速 36.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 32.0m/sec
熱風の温度 100℃
・条件2
吹出口OLにおける熱風の流速 32.1m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 28.1m/sec
熱風の温度 100℃
・条件3
吹出口OLにおける熱風の流速 30.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.0m/sec
熱風の温度 90℃
・条件4
吹出口OLにおける熱風の流速 30.7m/sec
(粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.7m/sec
熱風の温度 150℃
・条件5
吹出口OLにおける熱風の流速 30.2m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.2m/sec
熱風の温度 150℃
吹出口OLにおける熱風の流速 30.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.0m/sec
熱風の温度 90℃
・条件4
吹出口OLにおける熱風の流速 30.7m/sec
(粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.7m/sec
熱風の温度 150℃
・条件5
吹出口OLにおける熱風の流速 30.2m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.2m/sec
熱風の温度 150℃
・条件6
吹出口OLにおける熱風の流速 30.8m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.8m/sec
熱風の温度 230℃
・条件7
吹出口OLにおける熱風の流速 27.5m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 23.5m/sec
熱風の温度 300℃
吹出口OLにおける熱風の流速 30.8m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 26.8m/sec
熱風の温度 230℃
・条件7
吹出口OLにおける熱風の流速 27.5m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 23.5m/sec
熱風の温度 300℃
・条件8
吹出口OLにおける熱風の流速 25.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 21.0m/sec
熱風の温度 150℃
・条件9
吹出口OLにおける熱風の流速 25.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 21.0m/sec
熱風の温度 230℃
・条件10
吹出口OLにおける熱風の流速 21.4m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 17.4m/sec
熱風の温度 500℃
吹出口OLにおける熱風の流速 25.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 21.0m/sec
熱風の温度 150℃
・条件9
吹出口OLにおける熱風の流速 25.0m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 21.0m/sec
熱風の温度 230℃
・条件10
吹出口OLにおける熱風の流速 21.4m/sec
(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速) 17.4m/sec
熱風の温度 500℃
試験結果を図4に示す。図4によれば、条件1~7の場合(図4の○参照)、麦茶滓が乾燥できていたことが確認された。すなわち、吹出口OLにおける熱風の流速が26m/sec以上(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速が22m/sec以上)のときに、麦茶滓が乾燥できていたことが確認された。一方、条件8~10の場合(図4の●参照)、麦茶滓の乾燥が十分でなかった。すなわち、吹出口OLにおける熱風の流速が26m/sec未満(高粘性飲料滓の表面における熱風の流速が22m/sec未満)のときに、麦茶滓の乾燥が十分でなかった。
[変形例]
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
(1)図5に例示されるように、乾燥部30は、流動層乾燥機であってもよい。この場合、水平方向に延びるように多孔板38(例えば、金属網)が本体部31内に配置されており、給気部B1からの熱風が本体部31の下方から吹き込まれてもよい。これにより、多孔板38上を上流側から下流側に流動する飲料滓Dに対して、多孔板38の貫通孔から吹き出された熱風が直ちに吹き付けられる。すなわち、熱風の吹出口となる多孔板38の貫通孔と飲料滓Dとの離間距離は、略0cmである。なお、多孔板38の厚さは、例えば0.3cm~1cm程度であってもよい。
(2)制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が所定の閾値T1を下回ったと判断した場合には、発電プラント2を制御して熱風の温度を上昇させてもよいし、投入部20を制御して飲料滓Dの投入量を低下させてもよい。この場合、入口部32又はその近傍の温度(入口温度)が所定の閾値T1以上であるときには、入口部32又はその近傍の温度(入口温度)に基づく制御が行われない。すなわち、塊が生ずる可能性が低い状況において、入口部32又はその近傍の温度(入口温度)に基づく制御が省略される。したがって、乾燥装置10の運転の省エネ化を図ることが可能となる。
(3)以上の例では、制御部Ctrは、測定部S1から受信した温度データの値が所定の閾値T1を下回ったと判断した場合には、給気部B1を制御して熱風の流速を増加させ、さらに、測定部S1から受信した温度データの値が閾値T2を下回ったと判断した場合には、投入部20を制御して飲料滓Dの投入量を低下させうる。この場合において、測定部S1から受信した温度データの値が閾値T3を下回ったと制御部Ctrが判断した場合に、制御部Ctrは、発電プラント2を制御して熱風の温度を上昇させてもよい。
(4)処理前水分率は、飲料滓Dの種類に応じた値をとる傾向にある。例えば、コーヒー滓の処理前水分率は60%程度であり、緑茶滓の処理前水分率は80%程度である。そのため、飲料滓Dの種類に適した熱風の流速が存在する。したがって、投入される飲料滓Dの種類が予め判明している場合には、当該飲料滓Dの種類に適した流速で熱風が分岐管37から供給されてもよい。換言すれば、飲料滓Dの種類と、それに適した熱風の流速とが一対一で対応するテーブルを制御部Ctrが記憶しておき、実際に投入された飲料滓Dの種類に対応する熱風の流速を当該テーブルに基づいて制御部Ctrが選択してもよい。
あるいは、投入される飲料滓Dの種類が予め判明している場合には、当該飲料滓Dの種類に適した流速及び温度の熱風が分岐管37から供給されてもよい。換言すれば、飲料滓Dの種類と、それに適した熱風の流速及び温度とが一対一で対応するテーブルを制御部Ctrが記憶しておき、実際に投入された飲料滓Dの種類に対応する熱風の流速及び温度を当該テーブルに基づいて制御部Ctrが選択してもよい。
(5)分岐管37の吹出口OLの向きは、本体部31内を流動する飲料滓Dの表面と略平行であってもよい。この場合、分岐管37の吹出口OLから吐出される熱風は、本体部31内を流動する飲料滓Dの表面に沿って流れる。
(6)測定部S2から受信した温度データに基づく給気部B1の制御が行われているが、測定部S1から受信した温度データに基づく給気部B1、発電プラント2又は投入部20の制御が行われていない場合、飲料滓Dの種類によっては、飲料滓Dの乾燥が十分に促進されない可能性がありうる。この傾向は、高粘性飲料滓の場合に特に顕著である。例えば、処理前水分率の低い高粘性飲料滓が投入されると、出口部33又はその近傍における温度(出口温度)が上昇するので、制御部Ctrは、給気部B1を制御して、熱風の流速を低下させる。しかし、熱風の流速が低下しすぎると、粘性の高い塊Mが生じやすくなる。乾燥部30内に塊Mが生ずると、上述のとおり、乾燥部30の入口部32又はその近傍の温度(入口温度)が低くなる。一方、塊Mから水分が蒸発し難いので、塊Mと熱風との間で熱交換が促進されないまま(熱風の熱エネルギーがそれほど消費されないまま)塊Mが乾燥部30の上流にとどまる。そのため、排気部B2によって出口部33から排気が行われていることと相俟って、乾燥部30の出口部33又はその近傍の温度(出口温度)が高くなる。そうすると、制御部Ctrは、給気部B1を制御して、熱風の流速をますます低下させることとなる。そこで、測定部S2から受信した温度データに基づく給気部B1の制御と、測定部S1から受信した温度データに基づく給気部B1、発電プラント2又は投入部20の制御との双方が実行されてもよい。この場合、測定部S2から受信した温度データに基づく給気部B1の制御をメインで実行し、測定部S1から受信した温度データに基づく給気部B1、発電プラント2又は投入部20の制御を補助的に実行してもよい。あるいは、測定部S1から受信した温度データに基づく給気部B1、発電プラント2又は投入部20の制御をメインで実行し、測定部S2から受信した温度データに基づく給気部B1の制御を補助的に実行してもよい。なお、上記のような事情がない場合には、どちらか一方の制御が実行されてもよい。
(7)上記の例では、乾燥システム1が発電プラント2を含んでおり、発電プラント2からの排熱が乾燥装置10に供給されていたが、乾燥装置10に供給される熱は、発電プラント2からの排熱に限定されない。すなわち、乾燥システム1は、発電プラント2以外の装置又は設備(例えば、対象物を燃焼させる燃焼装置、対象物を乾燥させる乾燥室など)を備えるものであってもよい。したがって、乾燥装置10に供給される熱は、発電プラント2からの排熱、発電しないプラントからの排熱、燃焼器からの排熱、乾燥室からの排熱、専用の燃焼器で生成する熱などを含んでいてもよい。
(8)上記の例では、乾燥部30の供給管35が、主管36から延びる複数の分岐管37を含んでいたが、複数の分岐管37を含んでいなくてもよい。すなわち、主管36の周面に複数の貫通孔が設けられており、複数の貫通孔から飲料滓Dに向けて熱風が吹き出されてもよい。複数の貫通孔は、例えば、主管36の周面のうち複数の分岐管37に対応する位置に設けられていてもよい。
1…乾燥システム、2…発電プラント、10…乾燥装置、20…投入部、30…乾燥部、31…本体部、32…入口部、33…出口部、35…供給管(供給部)、37…分岐管、B1…給気部(供給部)、B2…排気部、Ctr…制御部、D…飲料滓(高粘性飲料滓)、OL…吹出口、S1,S2…測定部。
Claims (15)
- 飲料滓が投入される入口部と、乾燥処理された前記飲料滓が排出される出口部とを含む乾燥部と、
前記入口部から前記乾燥部に前記飲料滓を投入するように構成された投入部と、
前記入口部から前記出口部へと前記乾燥部内を流動する前記飲料滓に対して熱風を供給するように構成された供給部と、
前記乾燥部内の温度を測定するように構成された測定部と、
前記測定部によって測定された温度に基づいて、前記供給部から供給される熱風と前記飲料滓との熱交換量を制御するように構成された制御部とを備える、乾燥装置。 - 前記測定部は、前記出口部又はその近傍の温度を出口温度として測定するように構成されており、
前記制御部は、前記測定部によって測定された前記出口温度に基づいて、前記供給部からの熱風の流速を制御するように構成されている、請求項1に記載の装置。 - 前記測定部は、前記入口部又はその近傍の温度を入口温度として測定するように構成されており、
前記制御部は、前記測定部によって測定された前記入口温度に基づいて、前記供給部からの熱風の流速、前記供給部からの熱風の温度及び前記投入部による前記乾燥部への前記飲料滓の投入量からなる群から選択される少なくとも一つのパラメータを制御するように構成されている、請求項1又は2に記載の装置。 - 前記制御部は、前記測定部によって測定された前記入口温度が所定の閾値を下回った場合に、前記供給部からの熱風の流速を大きくするように構成されている、請求項3に記載の装置。
- 前記制御部は、前記測定部によって測定された前記入口温度が前記閾値よりも小さい別の閾値を下回った場合に、前記供給部からの熱風の温度を大きくするように構成されている、請求項4に記載の装置。
- 前記制御部は、前記測定部によって測定された前記入口温度が、前記別の閾値よりも小さいさらに別の閾値を下回った場合に、前記投入部による前記乾燥部への前記飲料滓の投入量を少なくするように構成されている、請求項5に記載の装置。
- 前記供給部からの熱風の流速は、前記供給部の熱風の吹出口において26m/sec以上となるように設定されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
- 前記供給部からの熱風の流速は、前記飲料滓の表面において22m/sec以上となるように設定されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
- 前記供給部の熱風の吹出口と前記飲料滓の表面との離間距離が0cm~18cmに設定されている、請求項7又は8に記載の装置。
- 前記供給部は、前記飲料滓の表面に略直交する方向から、前記飲料滓に対して熱風を供給するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
- 前記供給部は、前記飲料滓に対して300℃以下の熱風を供給するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
- 前記供給部は、前記飲料滓に対して80℃以上の熱風を供給するように構成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
- 前記供給部から供給される熱風の熱源は工場排熱である、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
- 前記投入部は、前記入口部から前記乾燥部に連続的に前記飲料滓を投入するように構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
- 乾燥部の入口部から飲料滓を投入することと、
前記入口部から前記乾燥部の出口部に向けて前記乾燥部内を流動する前記飲料滓に対して、供給部から熱風を供給することにより、前記飲料滓を乾燥させることと、
熱風による前記飲料滓の乾燥中に前記乾燥部内の温度を測定することと、
測定された温度に基づいて、前記供給部から供給される熱風と前記飲料滓との熱交換量を制御することとを含む、乾燥残渣の製造方法。
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