JP2022158943A - 光学フィルター、固体撮像装置およびカメラモジュール - Google Patents

光学フィルター、固体撮像装置およびカメラモジュール Download PDF

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Abstract

【課題】反りが小さく、Haze値が小さく、かつ耐久性に優れた光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供する。【解決手段】基材の少なくとも一方の面に、高屈折率層と低屈折率層を含む多層構造が繰り返し交互に積層された誘電体多層膜を有し、高屈折率層がCexMyOzである光学フィルター。(MはSi,Ta,またはAlのいずれかであり、x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦zである。)【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルター、固体撮像装置およびカメラモジュールに関する。
特定の波長領域の光線を利用する様々な装置では、光学フィルターが使用され、該光学フィルターは、通常、特定の波長領域の光線を透過し、特定の波長領域の光線を遮蔽する。これらの特定の波長領域は、光学フィルターが用いられる用途に応じて決定される。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話、スマートフォンなどの固体撮像装置には、カラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサーが使用されている。これら固体撮像素子は、その受光部において、近赤外線に感度を有するセンサーを使用しているため、視感度補正を行うことが必要である。このような視感度補正を行う際には、例えば、前記光学フィルターとして、可視光領域の光線を透過し、特定の近赤外線領域の光線を遮蔽する近赤外線カットフィルター(例:特許文献1等に記載の近赤外線カットフィルター)が用いられている。
また、近年、スマートフォンなどの携帯電話や車載端末等において、セキュリティや安全性を向上させる目的で、可視光線を利用した撮像と同時に、他の波長領域(例:近赤外~赤外光線領域)の光線を利用した距離測定や顔認証等を行う動きが広がっている。このような距離測定や顔認証等を行う際には、例えば、前記光学フィルターとして、近赤外~赤外光線領域のうちの特定波長の光線を透過し、その他の特定の波長領域の光線を遮蔽する光学フィルター(例:近赤外線透過フィルター(IRPF))が用いられている。
さらに、可視光線と近赤外光線領域のうちの特定波長の光線とを利用する装置があり、該装置では、例えば、前記光学フィルターとして、近赤外光線領域のうちの特定の波長領域の光線と可視光領域の光線とを透過し、その他の特定の波長領域の光線を遮蔽する光学フィルター(例:可視光-近赤外線選択透過フィルター(DBPF))が用いられている。
一般的に、光学フィルターは吸収層を備えた基材の片面、もしくは両面に高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された誘電体多層膜を有し、例えばイオンアシスト蒸着成膜によって誘電体多層膜が形成されたものが知られている。(特許文献1:特開2021-039369号公報)
特開2021-039369号公報
実生産において光学フィルターがモジュールに組みこまれる際にフィルターの反りが大きい場合、モジュールとの接着不良を発生させることがあり、反りが少なくすることが望ましいとされていた。
前記誘電体多層膜の形成によって、反り自体は抑制されるものの、誘電体多層膜と基材の熱膨張率の差による熱応力や誘電体多層膜そのものの膜応力によって反りが発生してしまうという問題は依然としてあった。
特に基材が薄くなるにつれ、誘電体多層膜の影響が大きくなり、小さな反りであっても影響が増大する。反りは、モジュール組立工程におけるトラブルの要因となり、製品歩留まりを低下させる原因となるため、誘電体多層膜起因による応力の低減が求められている。
高屈折率層の低応力材として酸化セリウム(CeO2)が知られているが、酸化セリウムは結晶性が高く、誘電体多層膜とした場合に結晶由来の散乱(Haze値)が大きく光学フィルター用途には不適である。Hazeの発生を抑制ならびに反り低減の方法として誘電体多層膜の層数を低減する方法もあるが、所望の光学特性を得ることができなくなり不適である。
また、反りを抑える別の方法として誘電体多層膜の製膜時イオンアシストエネルギーを低下させる方法もあるが、誘電体多層膜の膜質が疎となり、例えば高温高湿の耐久試験を実施した際の耐久性が著しく低下してしまう問題がある。
本発明は以上のことに鑑みてなされたものであり、反りが小さく、Haze値が小さく、かつ耐久性に優れた光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、下記構成例によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成例を以下に示す。
[1]基材の少なくとも一方の面に、高屈折率層と低屈折率層を含む多層構造が繰り返し積層された誘電体多層膜を有し、少なくとも1つの高屈折率層がCexyzである光学フィルター。
(MはSi,Ta,またはAlのいずれかであり、
x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦z
である。)
[2]低屈折率層は波長550nmにおける屈折率が1.6以下である[1]に記載の光学フィルター。
[3]基材の厚みが150μm以下である[1]または[2]に記載の光学フィルター。
[4]基材が樹脂組成物からなる[1]~[3]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[5]基材がガラスである[1]~[3]のいずれか1項に記載の光学フィルター。
[6][1]~[5]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
[7][1]~[5]のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
本発明によれば、反りが小さく、Haze値が小さく、且つ耐久性に優れた光学フィルターおよび該光学フィルターを用いた装置を提供することができる。
具体的には低膜応力の高屈折率材である酸化セリウム(CeO2)の結晶化を抑制するためにSiやTa、Al等の元素をCeO2中へドーピングした材料を使用することで、イオンアシストエネルギーを落とすことなく膜応力を抑制し反りを小さく抑え、Haze値も低く抑えた光学フィルターを得ることができる。
≪光学フィルター≫
本発明に係る光学フィルター(以下「本フィルター」ともいう。)は、
基材の少なくとも一方の面に、高屈折率層と低屈折率層を含む多層構造が繰り返し積層された誘電体多層膜を有する。多層構造は、高屈折率層と低屈折率層とを含む限りその構成は特に限定されず、高屈折率層と低屈折率層とからなる多層構造であっても、さらに、中間に少なくとも他の層が設けられていてもよい。本発明ではこのような多層構造を繰り返し積層するが、高屈折率層ないし低屈折率層同士を積層してもよい。また誘電体多層膜全体として、最外層が低屈折率層となるように設けることが好ましいが、基材側最内層は特に限定されない。
<誘電体多層膜>
誘電体多層膜の高屈折率層がCexyzである。
(MはSi,Ta,またはAlのいずれかであり、
x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦zである。)
MがSiのとき、x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦zであり、好ましくは0.65≦x≦0.95、0.05≦y≦0.35、1≦zであり、さらに好ましくは0.80≦x≦0.95、0.05≦y≦0.20、1≦z、
MがTaのとき、x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦zであり、好ましくは0.6≦x≦0.95、0.05≦y≦0.4、1≦zであり、さらに好ましくは0.7≦x≦0.95、0.05≦y≦0.3、1≦z、
MがAlのとき、x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦zであり、好ましくは0.7≦x≦0.95、0.05≦y≦0.3、1≦z、さらに好ましくは0.75≦x≦0.95、0.05≦y≦0.25、1≦zである。)
x、yの要件を満たさない場合、高屈折率層が結晶化し光学フィルターのHaze値が増大したり、膜応力が増大し光学フィルターが反ってしまう。zの要件を満たさない場合、酸素欠乏状態となり消衰係数が増大し、光学フィルターの可視透過率が低下する。
高屈折率層を構成する材料の屈折率は、1.8以上であり、屈折率の範囲が通常は1.8~2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、チタニア、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛などが挙げられる。しかしながら、これらの材料は一般的に膜応力が大きく光学フィルターの反りを増大させる懸念がある。これに対して、Cexyzを用いることでこれらの課題は解消される。
上記要件を満たすCexyzを高屈折率層に用いることで、結晶化を抑制しHaze値の上昇を抑制することができる。また、誘電体多層膜の製膜時イオンアシストエネルギーを低下させることなく成膜できるため誘電体多層膜の膜質を低下させることはなく耐久性を保持することができる。なお、Cexyzは金属酸化物の混合物であっても、複合酸化物であってもよい。Cexyzは、たとえば、CeO2粉末と金属Mの酸化物の粉末とを混合し、プレス成形してペレット状にして焼成した(物理的ドーピングという)ものや硝酸セリウム、硝酸アンモニウムセリウム錯体などのセリウム塩と、金属Mのオキソ酸塩を用いたゾルゲル法などの方法(化学的ドーピングという)を調製することができる。
Cexyzからなる高屈折率層の屈折率は、550nmの光の波長において1.90以上が好ましく更に好ましくは1.95以上である。
Cexyzからなる高屈折率層の好ましい消衰係数は、550nmの光の波長において3.0×10-3以下が好ましく更に好ましくは1.0×10-3以下である。消衰係数が大きくなると可視光の透過率が低下し光学フィルターとしての機能が低下する。
誘電体多層膜は、少なくとも1つの高屈折率層がCexyzであればよく、すべての高屈折率層がCexyzであっても、Cexyz以外の高屈折率層が設けられていてもよい。このような高屈折率層を形成する材料としては、チタニア、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛等が例示される。
誘電体多層膜に用いられる低屈折率層の屈折率は550nmの光の波長において1.6以下であり更に好ましくは1.55以下である。
低屈折率層を構成する材料としては、550nmの光の波長における屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率の範囲が通常は1.2~1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
一般的な光学フィルターは反りを抑えるため、基材の両面に高屈折率層と低屈折率層が交互に積層された誘電体多層膜を有することが多い。例えば210μmを超えるガラスのような剛直な基材においては基材の双面に設けられた誘電体多層膜の厚みが異なることがあるが、150μmを下回る厚みのガラスや樹脂基材では低反りを保つため基材の双面の誘電体多層膜の厚みを揃える必要がある。
本発明の光学フィルターは、誘電体多層膜の応力が小さく反りを発生しにくいため、基材の片面のみに誘電体多層膜を有することが可能であり、双面に設けられた場合でも双面の厚みを変えることが可能である。
光学フィルターに用いられる誘電体多層膜の層数は特に制限されないが、光学フィルターとしての性能を有するため、6層以上が好ましく、更に好ましくは10層以上が好ましい。
誘電体多層膜は、光学フィルターの設計に応じて反射防止、近赤外線カットなどの機能を選択することができる。
高屈折率層と低屈折率層の間に中屈折率層を設けてもよい。構成する材料としては、屈折率が1.6以上、2.0未満の材料を用いることができ、屈折率の範囲が好ましくは1.65~1.95の材料が選択される。このような材料としては、例えば、アルミナ、フッ化ランタン、酸化ビスマス、酸化インジウム、フッ化セリウム等が挙げられる。
高屈折率層と低屈折率層とを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、前記基材上に、直接、CVD法、真空蒸着法、スパッタ法、イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法、などにより、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。イオンアシスト蒸着法、イオンプレーティング法、ラジカルアシストスパッタ法は、得られる多層膜の光学膜厚が環境に応じて変化しにくい良質な膜が得られる等の点から好ましい。イオンアシスト蒸着法は得られる光学フィルターの反りを少なくできるためさらに好ましい。
<基材>
本フィルターに用いられる基材は、可視光領域(例:波長450~570nm)の波長の光を透過する、具体的には、該可視光領域における平均透過率が85%以上である基材が好ましい。
前記基材の材質としては、ガラスからなるものが好ましく、例えば、ガラス、特殊ガラスなどガラス材料からなるものが挙げられる。また、基材の材質としては、樹脂製の基材も好ましく使用される。
前記基材は、ガラス製の層を2層以上有する積層体であってもよく、樹脂製の層を2層以上有する積層体であってもよく、1層以上のガラス製の層と1層以上の樹脂製の層とを有していてもよい。
また、割れにくいことから基材は、樹脂組成物からなることがより好ましい。
前記基材の厚みは、150μm以下であり、さらに30~150μmであり、この範囲であれば、固体撮像装置の薄型化に有用である。前記基材の厚みは、好ましくは30~135μmであり、より好ましくは30~120μm、さらに好ましくは35~110μmである。この範囲であれば、総厚み6.5mm以下の薄型固体撮像装置にも好適に用いることができる。
[ガラス材料]
基材を構成するガラス材料としては、例えば、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、リン酸ガラス、リン酸銅ガラス、フツリン酸ガラス、フツリン酸銅ガラスが挙げられる。
前記リン酸ガラスや前記フツリン酸ガラスとしては、例えば、松浪硝子工業(株)製のBS3、BS4、BS6、BS7、BS8、BS10、BS11、BS12、BS13、BS16、BS17が挙げられる。
基材として、前記ガラスから構成されるフロートガラスを使用できるが、さらには、例えば、物理強化ガラス、強化合わせガラス、化学強化ガラスなどの強化ガラスを使用することも可能である。これらの中では、基材の厚みを薄く加工することができる化学強化ガラスが好ましい。化学強化ガラスの具体例としては、AGC(株)製「Dragontrail」、Corning社「Gorilla Glass」が挙げられる。
また、ガラス材料として、特殊ガラスとしては、例えば、アルミナガラス、アルミン酸イットリウム、酸化イットリウムなどの特殊ガラスを使用することも可能である。
前記アルミナガラスとしては、例えば、日本ガイシ(株)製「ハイセラム」が挙げられる。前記アルミン酸イットリウムや前記酸化イットリウムからなるガラス材料としては、例えば、クアーズテック(株)製「EXYRIA」が挙げられる。
[樹脂材料]
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、エン・チオール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂が挙げられる。これらの中では、ノルボルネン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂が好ましい。
前記樹脂は、原料成分の分子構造を調整する方法等により、屈折率を調整できる。具体的には、原料成分のポリマーの主鎖や側鎖に特定の構造を付与する方法が挙げられる。ポリマーに付与する構造は特に限定されないが、例えば、ノルボルネン骨格、フルオレン骨格が挙げられる。
前記樹脂から構成される基材の波長500nmの光の屈折率は、好ましくは1.40~1.7である。
樹脂製の基材には、近赤外領域に吸収を有する吸収層1のみからなる基材A、または、前記特定波長領域に吸収を有する吸収層1と他の層2とを含む基材Bなどを用いることができる。
吸収層1は、樹脂材料ととともに光吸収剤を含む樹脂組成物から構成されるものが好ましい。光吸収剤として近赤外線吸収剤、近紫外線吸収剤などをあげることができる。
前記他の層2としては、近赤外領域に吸収を有さない層であれば特に制限されず、例えば、ガラス、強化ガラス、特殊ガラスなどからなる光吸収剤を含まないガラス材料層;光吸収剤を含まない樹脂層;機能層が挙げられる。前記機能層における機能としては、導電性、帯電防止効果、異物付着防止効果、傷つき防止効果、防曇性、耐熱性向上効果、ガスバリア性、高弾性、傷消し効果、平坦性、粗面性、吸湿性、老化防止効果等が挙げられる。
このような樹脂製基材は、光吸収剤を含む樹脂組成物を溶融成形、キャスト成形するなどの方法で作製することが可能である。
[その他の機能膜]
本発明の光学フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基材と誘電体多層膜との間、基材の誘電体多層膜が設けられた面側と反対の面側、または誘電体多層膜の基材が設けられた面側と反対の面側に、基材や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本発明の光学フィルターは、前記機能膜からなる層を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本発明の光学フィルターが前記機能膜からなる層を2層以上含む場合には、同様の層を2層以上含んでもよいし、異なる層を2層以上含んでもよい。
機能膜を積層する方法としては、特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1~20μm、さらに好ましくは0.5~10μm、特に好ましくは0.7~5μmである。
また、基材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
[光学フィルターの用途]
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、可視光と一部の近赤外線を選択的に透過させることができる。したがって、カメラ機能と近赤外センシング機能を併せ持つCCDやCMOSイメージセンサーなどの固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、暗視カメラ、モーションキャプチャー、レーザー距離計、バーチャル試着、ナンバープレート認識装置、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー等に有用である。
[固体撮像装置]
本発明の固体撮像装置は、本発明の光学フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子を備えた装置である。固体撮像素子を構成する部材としては、シリコンフォトダイオードや有機半導体などの特定の波長の光を電荷に変換する光電変換素子が使用される。
[カメラモジュール]
本発明に係るカメラモジュールは、本フィルターを具備する。ここで、カメラモジュールとしては、イメージセンサーや焦点調整機構、位相検出機構、距離測定機構等を備え、画像や距離情報を電気信号として出力する装置等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例における各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
<Cexyz蒸着材>
本実施例で使用されるCexyz蒸着材は以下の物理的ドーピング法と化学的ドーピン法のいずれかの方法で作成したものを使用した。
物理的ドーピング法では、キャノンオプトロン(株)製のCeO2蒸着材と(株)ソルテック製SiO2蒸着材を粉砕した後に計量しるつぼに入れ1470℃で4時間アニールを実施しCexSiyz蒸着材を得た。CeO2ならびにSiO2の仕込み重量比からCe、Siのモル比を算出しx、yの値を算出した。アニール時に十分な酸素雰囲気化で実施し酸素欠乏は起きていないものとし、CeならびにSiの価数よりzを算出した。
同様の方法にてCeO2とキャノンオプトロン(株)製のTa25蒸着材、または、キャノンオプトロン(株)製Al23を用いてCexTayzおよびCexAlyz蒸着材を得た。
化学的ドーピング法では富士フイルム和光純薬(株)製の硝酸セリウム(III)六水和物と硝酸アンモニウムセリウム(IV)および硝酸に純水を混ぜたA液、富士フイルム和光純薬(株)製のメタけい酸ナトリウム九水和物とアンモニア水、純水を混ぜたB液を準備し、セパラブルフラスコにB液を入れた後、攪拌しながらA液を滴下し、滴下完了後6時間70℃にて攪拌しCexSiyz分散液を得た。分散液を遠心分離および精製した後、得られた固形分を230℃×7時間加熱し粉末状のCexSiyz蒸着材を得た。各試薬の仕込み量からCe、Si、Oのモル比を算出しx、y、zの値を算出した。
<Haze値>
Haze値は、(株)東洋精機製作所製の「ヘーズガードII」を用いて測定した。
<反り評価>
反りは光学フィルターを(株)ディスコ製の「ダイシングソーDFD6361」を用いて5mm×6mmにチップカットした後、(株)キーエンス製「デジタルマイクロスコープVHX-7000」を用い光学フィルター4角を基準面からの高さを測定し最大値を用いた。
<屈折率および消衰係数>
屈折率は光学膜厚7/4λを積層した誘電体単層膜を作成し、(株)日立ハイテク製の分光光度計「U-4100」を用いて透過率、反射率を測定した後に光学薄膜設計ソフト(Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて算出した。
<ガラス転移温度>
以下で用いた樹脂のガラス転移温度は、(株)日立ハイテクサイエンス製の示差走査熱量計「DSC6200」を用いて、昇温速度:20℃/分の条件下、窒素気流下で測定した。
<ゴースト評価>
シリコンフォトダイオード製光電変換素子のセンサーを用いた撮像装置((株)シキノハイテック製「KBCR-M04VG」)に用いられているレンズとセンサーとの間に、得られた光学フィルターを配置した。外光の影響のない暗室にて、周囲の迷光を遮断し、白色LEDライトを光源として撮像した。撮像の結果、撮像に用いた光源とは異なる場所に現れる像をゴーストとし、ゴーストが観察された場合をゴースト性能が不良とし、ゴーストが観察されない場合をゴースト性能が良好とした。
<耐久試験>
エスペック社製恒温高湿器「プラチナスJ-GR」にて温度85℃、湿度85%RHに1000時間経過時の光学フィルターの外観変化を観察した。観察の結果、誘電体多層膜の割れ、剥がれ等が観察された場合は耐久性能が不良とし、観察されない場合を耐久性能が良好とした。
[実施例1]
物理的ドーピング法においてCeO2を49.19g、SiO2を0.81gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.95Si0.052を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.15と3.0×10-4であった。
JSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」(波長550nmの光の屈折率:1.52、ガラス転移温度:160℃)100質量部、赤外線吸収剤として日本カーリット(株)製CIR-RL 0.1質量部、および、フェノール系酸化防止剤((株)ADEKA製、「アデカスタブAO-20」)0.05質量部に、塩化メチレンを加えて溶解し、固形分が30質量%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャスト成形し、50℃で8時間、さらに減圧下100℃で1時間乾燥し、その後、ガラス板から剥離することで、厚さ0.1mmの基材(1)を得た。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、得られた基材(1)の片面に表2に記載の設計(1)の誘電体多層膜(1)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(1)が設けられた面の反対側にチタニア(TiO2)とシリカを用いて表2に記載の設計(9)の誘電体多層膜(9)を形成し、光学フィルター(1)を得た。
得られた光学フィルター(1)のHaze値は0.1、反りは11μmであった。
得られた光学フィルター(1)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例1で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例2]
物理的ドーピング法においてCeO2を42.14g、SiO2を7.86gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.65Si0.352を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.10と2.0×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(2)の誘電体多層膜(2)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(2)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(9)を形成し、光学フィルター(2)を得た。
得られた光学フィルター(2)のHaze値は0.1、反りは13μmであった。
得られた光学フィルター(2)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例2で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例3]
物理的ドーピング法においてCeO2を30.43g、Ta25を19.57gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.80Ta0.202を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.20と2.5×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(3)の誘電体多層膜(3)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(3)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(9)を形成し、光学フィルター(3)を得た。
得られた光学フィルター(3)のHaze値は0.1、反りは15μmであった。
得られた光学フィルター(3)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例3で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例4]
物理的ドーピング法においてCeO2を43.52g、Al236.48gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.80Al0.202を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.15と3.5×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(4)の誘電体多層膜(4)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(4)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(9)を形成し、光学フィルター(4)を得た。
得られた光学フィルター(4)のHaze値は0.1、反りは16μmであった。
得られた光学フィルター(4)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例4で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例5]
硝酸セリウム(III)六水和物を75.02g、硝酸アンモニウムセリウム(IV)を0.81g、硝酸を23.57g、純水を121.55g混ぜたA液、メタけい酸ナトリウム九水和物を20.13g、アンモニア水94.52g、純水を464.39g混ぜたB液とした化学的ドーピング法を用いて高屈折率層用蒸着材Ce0.65Si0.352を得た。
得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.10と2.0×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(5)の誘電体多層膜(5)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(5)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(9)を形成し、光学フィルター(5)を得た。
得られた光学フィルター(5)のHaze値は0.1、反りは13μmであった。
得られた光学フィルター(5)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例5で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例6]
実施例1におけるJSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」を日本ゼオン(株)製のノルボルネン系樹脂「Zeonor」(波長550nmの光の屈折率:1.52、ガラス転移温度:160℃)に変更し厚み0.1mmの基材(2)を作製した点以外は実施例1と同様に作成し光学フィルター(6)を得た。
得られた光学フィルター(6)のHazeは0.1、反りは12μmであった。
得られた光学フィルター(6)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例6で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例7]
実施例1におけるJSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」をSCHOTT社製の光学ガラスD263(波長550nmの光の屈折率:1.52、ガラス転移温度:557℃)に変更し赤外線吸収剤を、D263上に塗布して作成し厚み145μmの基材(3)を作製した点以外は実施例1と同様に作成し光学フィルター(7)を得た。
得られた光学フィルター(7)のHaze値は0.1、反りは6μmであった。
得られた光学フィルター(7)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例7で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例8]
成都光明社製の175μm厚みのBlueGlass「QB58」(波長550nmの光の屈折率:1.54)を100μm厚みになるように研磨したものを基材(4)とした点以外は実施例1と同様に光学フィルター(8)を得た。
得られた光学フィルター(8)のHaze値は0.1、反りは8μmであった。
得られた光学フィルター(8)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例8で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例9]
実施例1において誘電体多層膜(9)を設けなったこと以外は実施例1と同様にして光学フィルター(9)を得た。
得られた光学フィルター(9)のHaze値は0.1、反りは25μmであった。
得られた光学フィルター(9)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例9で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[実施例10]
物理的ドーピング法においてCeO2を45.67g、SiO2を4.34gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.80Si0.202を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.13と2.5×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(10)の誘電体多層膜(10)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(10)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(9)を形成し、光学フィルター(10)を得た。
得られた光学フィルター(10)のHaze値は0.1、反りは12μmであった。
得られた光学フィルター(10)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例2で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[比較例1]
実施例1において高屈折率用蒸着材をキャノンオプトロン(株)製のCeO2蒸着材に変更し、設計(1)を設計(6)へ変更し誘電体多層膜(6)へ変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルター(11)を得た。
CeO2の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.20と6.0×10-4であった。
得られた光学フィルター(11)のHaze値は0.8、反りは10μmであった。
得られた光学フィルター(11)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
比較例1で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、光源のまわりにぼんやりとした像が確認され、ゴースト性能は不良であった。
[比較例2]
物理的ドーピング法においてCeO2を20.96g、SiO2を29.04gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.2Si0.82を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ1.70と2.0×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(7)の誘電体多層膜(7)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(7)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(AR)を形成し、光学フィルター(12)を得た。
得られた光学フィルター(12)のHaze値は0.1、反りは67μmと増大した。
得られた光学フィルター(12)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
比較例2で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であった。
[比較例3]
実施例1において高屈折率用蒸着材をチタニアに変更し、設計(1)を設計(8)へ変更し誘電体多層膜(8)へ変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルター(13)を得た。
チタニアの550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.45と1.0×10-4であった。
得られた光学フィルター(13)のHaze値は0.1、反りは99μmと増大した。
得られた光学フィルター(13)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
比較例3で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であった。
[比較例4]
比較例3においてイオンアシスト電圧を400Vに変更した以外は比較例3と同様にし、光学フィルター(14)を得た。
チタニアの550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.40と2.0×10-4であった。
得られた光学フィルター(14)のHaze値は0.1、反りは68μmと増大した。
得られた光学フィルター(14)の耐久試験を行った結果、誘電体多層膜の剥離が見られ耐久性能は不良であった。
比較例4で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であった。
[比較例5]
物理的ドーピング法においてCeO2を33.41g、SiO2を16.59gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.4Si0.62を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ1.90と2.2×10-4であった
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(11)の誘電体多層膜(11)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
誘電体多層膜(11)が設けられた面の反対側に実施例1と同様に誘電体多層膜(AR)を形成し、光学フィルター(15)を得た。
得られた光学フィルター(15)のHaze値は0.1、反りは48μmと増大した。
得られた光学フィルター(15)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
比較例5で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であった。
Figure 2022158943000001
Figure 2022158943000002
[実施例1]
物理的ドーピング法においてCeO2を49.19g、SiO2を0.81gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.95Si0.052を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.15と3.0×10-4であった。
[実施例2]
物理的ドーピング法においてCeO2を42.14g、SiO2を7.86gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.65Si0.352を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.10と2.0×10-4であった。
[実施例3]
物理的ドーピング法においてCeO2を30.43g、Ta25を19.57gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.80Ta0.202を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.20と2.5×10-4であった。
[実施例4]
物理的ドーピング法においてCeO2を43.52g、Al236.48gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.80Al0.202を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.15と3.5×10-4であった。
得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.10と2.0×10-4であった。
イオンアシスト真空蒸着装置を用い、蒸着温度120℃で、得られた高屈折率層用蒸着材とシリカ(SiO2)を用いて、実施例1と同様に基材(1)の片面に表2に記載の設計(5)の誘電体多層膜(5)を形成した。高屈折率層のイオンアシスト電圧は800Vとした。
[実施例7]
実施例1におけるJSR(株)製のノルボルネン系樹脂「ARTON」をSCHOTT社製の光学ガラスD263(波長550nmの光の屈折率:1.52、ガラス転移温度:557℃)に変更し赤外線吸収剤を、D263上に塗布して作成し厚み145μmの基材(3)をた点以外は実施例1と同様に作成し光学フィルター(7)を得た。
[実施例10]
物理的ドーピング法においてCeO2を45.67g、SiO2を4.34gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.80Si0.202を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.13と2.5×10-4であった。
得られた光学フィルター(10)のHaze値は0.1、反りは12μmであった。
得られた光学フィルター(10)の耐久試験を行った結果、耐久性能は良好であった。
実施例10で得られた光学フィルターのゴースト評価を行った結果、ゴースト性能は良好であり、得られた光学フィルターは固体撮像装置に好適であった。
[比較例1]
実施例1において高屈折率用蒸着材をキャノンオプトロン(株)製のCeO2蒸着材に変更し、設計(1)を設計(6)へ変更し誘電体多層膜(6)へ変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルター(11)を得た。
CeO2の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ2.20と6.0×10-4であった。
[比較例2]
物理的ドーピング法においてCeO2を20.96g、SiO2を29.04gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.2Si0.82を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ1.70と2.0×10-4であった。
[比較例3]
実施例1において高屈折率用蒸着材をチタニアに変更し、設計(1)を設計(8)へ変更し誘電体多層膜(8)へ変更した以外は実施例1と同様にして光学フィルター(13)を得た。
[比較例5]
物理的ドーピング法においてCeO2を33.41g、SiO2を16.59gとして高屈折率層用蒸着材Ce0.4Si0.62を得た。得られた高屈折率用蒸着材の550nmにおける屈折率と消衰係数はそれぞれ1.90と2.2×10-4であった
Figure 2022158943000003

Claims (7)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、高屈折率層と低屈折率層を含む多層構造が繰り返し積層された誘電体多層膜を有し、少なくとも1つの高屈折率層がCexyzである光学フィルター。
    (MはSi,Ta,またはAlのいずれかであり、
    x、y、zは0.5≦x≦0.95、0.05≦y≦0.5、1≦zである。)
  2. 低屈折率層は波長550nmにおける屈折率が1.6以下である請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 基材の厚みが150μm以下である請求項1または請求項2に記載の光学フィルター。
  4. 基材が樹脂組成物からなる請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 基材がガラスである請求項1~3のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備する固体撮像装置。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備するカメラモジュール。
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