JP6954400B2 - 光学フィルターおよび光学フィルターを用いた撮像素子 - Google Patents

光学フィルターおよび光学フィルターを用いた撮像素子 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルターに関する。詳しくは、本発明は、十分な視野角を持ち、特にCCDやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子用視感度補正フィルターとして好適に用いることができる光学フィルターおよび該光学フィルターを具備する撮像素子に関する。
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、カメラ機能付き携帯電話などにはカラー画像の固体撮像素子であるCCDやCMOSイメージセンサが使用されているが、これら固体撮像素子はその受光部において近赤外線に感度を有するシリコンフォトダイオードが使用されている。これらの固体撮像素子では、人間の目で見て自然な色合いにさせる視感度補正を行うことが必要であり、特定の波長領域の光線を選択的に透過もしくはカットする光学フィルター(例えば近赤外線カットフィルター)を用いることが多い。
このような光学フィルターとしては、従来から、各種方法で製造されたものが使用されている。例えば、ガラスなどの透明基材の表面に銀等の金属を蒸着して近赤外線を反射するようにしたもの、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明樹脂に近赤外線吸収色素を添加したものなどが実用に供されている。
近年光学部品の薄型化要求が強まっており、従来は0.3mmであったが、最近ではより薄肉である0.2mm以下のフィルターが使われ始めている。これに伴い、薄くても十分な遮蔽効果を持つことに加え、高入射角度における透過率が低入射角度の透過率と大きく変化しないことが求められている。
特許文献1には、CuO含有リン酸塩系ガラスを用いた厚み0.15mmの近赤外線カットフィルターが開示されているが、波長800〜1200nmの遮蔽特性は十分ではなかった。
特許文献2には、CuO含有フツリン酸塩系ガラスに誘電体多層膜を設けることで、薄さと波長800〜1200nmの遮蔽透過率特性を両立した近赤外線カットフィルターが開示されている。しかし、特許文献2の近赤外線カットフィルターでは、垂直方向から測定した透過率(以下「0°入射透過率」ともいう。)は良好なものの、40°〜45°と高角度入射になるにつれ、波長450〜550nmの透過率が減少し、十分な視野角といえるものではなかった。
また、特許文献3には、基材として透明樹脂を用い、透明樹脂中に近赤外線吸収色素を含有させた近赤外線吸収基板と、誘電体多層膜からなる近赤外線反射膜とを有する、視野角に優れた近赤外線カットフィルターが開示されている。しかし、特許文献3の近赤外線カットフィルターにおいても、波長560〜800nmの赤色に相当する波長の視野角は優れるものの、波長450〜550nmの可視光に対する視野角が優れるものではなかった。
国際公開第2011/118724号パンフレット(特許文献1) 国際公開第2014/104370号パンフレット(特許文献2) 特許第5489669号公報(特許文献3)
本発明は、上記従来技術に鑑み、0°入射透過率と高角度入射透過率の差が少なく、視野角が広く、さらに近赤外線カット能に優れた光学フィルターおよび該光学フィルターを具備する撮像素子を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を達成する為、鋭意研究を重ねた結果、特定の光学特性を有すること、具体的には特定の透明基材や特定の誘電体多層膜を用いることで、0°〜45°の範囲で光学特性の変化量が少ない光学フィルターが得られ、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の態様例を以下に示す。
[1] 透明基材を有する光学フィルターであって、該光学フィルターの一方の面について、垂直方向から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をT0(%)とし、垂直方向から45°の位置から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をT45(%)とし、垂直方向からX°の位置から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をTX(%)とした場合、下記条件(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする光学フィルター:
(i)T0、T45およびTXのいずれもが75%以上である;
(ii)TX>T0、かつ、TX>T45である;
(iii)Xは5以上40以下の数である。
[2] 前記透明基材の少なくとも一方の面に、屈折率が2.0以上の高屈折率材料からなる誘電体層と、屈折率が2.0未満の低屈折率材料からなる誘電体層とを含む誘電体多層膜からなる機能性膜を有することを特徴とする項[1]に記載の光学フィルター。
[3] 前記高屈折率材料からなる誘電体層の光学膜厚の合計をHd(nm)とし、前記低屈折率材料からなる誘電体層の光学膜厚の合計をLd(nm)とした場合、波長550nmにおいて、Hd/Ldが0.900〜0.998の範囲であることを特徴とする項[2]に記載の光学フィルター。
[4] さらに、下記条件(A)〜(C)を満たすことを特徴とする項[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルター:
(A)T0が80%以上である;
(B)800nm以下の波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、580nm以上の波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値が100nm未満である;
(C)560〜800nmの波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Ya)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満である。
[5] 垂直方向から測定した場合の波長300〜380nmの平均透過率が1%以下であることを特徴とする項[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルター。
[6] 透明基材の厚みが40〜200μmであることを特徴とする項[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルター。
[7] 前記機能性膜を前記透明基材の両面に有していることを特徴とする項[1]〜[6]のいずれかに記載の光学フィルター。
[8] 前記透明基材が、600〜800nmの波長領域に吸収極大がある吸収剤を含む透明樹脂を含有し、かつ、620〜680nmの波長領域において、該透明基材の透過率が50%となることを特徴とする項[1]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルター。
[9] 前記透明基材が、CuO含有リン酸塩ガラスおよびCuO含有フツリン酸塩ガラスからなる群より選ばれる近赤外線吸収ガラスを含有し、かつ、620〜680nmの波長領域において、該透明基材の透過率が50%となることを特徴とする項[1]〜[7]のいずれかに記載の光学フィルター。
[10] 前記透明基材が、さらに、600〜800nmの波長領域に吸収極大がある吸収剤を含む透明樹脂層を含有することを特徴とする項[9]に記載の光学フィルター。
[11] 垂直方向から測定した場合の波長800〜1200nmの平均透過率が1%以下であることを特徴とする項[1]〜[10]のいずれかに記載の光学フィルター。
[12] 項[1]〜[11]のいずれかに記載の光学フィルターを具備することを特徴とする撮像素子。
本発明によれば、高入射角における透過率の変化が少なく、視野角の広い光学フィルターを提供することができる。
図1(a)は、従来のカメラモジュールを示すものである。図1(b)は、本発明の光学フィルター6'を用いた場合のカメラモジュールの一例を示すものである。 図2は、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率を測定する方法を示すものである。 図3は、光学フィルターの垂直方向に対してX°の角度から測定した場合の透過率を測定する方法を示すものである。 図4は、実施例1等で形成した機能性膜(1)のみをシリカガラスに設けた際の透過率測定結果である。 図5は、比較例1で形成した機能性膜(2)のみをシリカガラスに設けた際の透過率測定結果である。 図6は、実施例1で得られた光学フィルターの透過率測定結果である。
以下、本発明について具体的に説明する。
<光学フィルター>
本発明の光学フィルターは、透明基材を有するとともに、該光学フィルターの一方の面について、垂直方向から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をT0(%)とし、垂直方向から45°の位置から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をT45(%)とし、垂直方向からX°の位置から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をTX(%)とした場合、下記条件(i)〜(iii)を満たすことを特徴とする。
(i)T0、T45、TXのいずれもが75%以上である。
(ii)TX>T0、かつ、TX>T45である。
(iii)Xは5以上40以下の数である。
本発明では、全光線透過率が高い透明基材を用いることで、波長450〜550nmにおいて高い透過率を有する光学フィルターを得ることができる。
光学フィルターを固体撮像装置やカメラモジュール等のレンズユニットにおける視感度補正用フィルター等に用いる場合、波長450〜550nmの透過率の平均値が上記範囲であり、一定であることが好ましい。
透過率の平均値は高い方が好ましい。透過率の平均値が高いと、フィルターを通過する光の強度が充分確保され、上記用途に好適に用いることができる。一方、透過率の平均値が低いと、フィルターを通過する光の強度が充分確保されず、上記用途に好適に用いることができないおそれがある。
上記T0は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であり、より高い方が好適である。
上記T45は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であり、より高い方が好適である。
上記TXは、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上であり、より高い方が好適である。
Xは、より好ましくは10以上35以下、さらに好ましくは15以上35以下の数であり、Xがこの範囲であれば、視野角が非常に広くなる。
本発明の光学フィルターは、前記透明基材の少なくとも一方の面に、屈折率が2.0以上の高屈折率材料からなる誘電体層と、屈折率が2.0未満の低屈折率材料からなる誘電体層とを含む誘電体多層膜からなる機能性膜を有することが好ましい。
前記機能性膜において、高屈折率材料からなる各誘電体層の光学膜厚の合計をHd(nm)とし、低屈折率材料からなる各誘電体層の光学膜厚の合計をLd(nm)とした場合、波長550nmにおいて、Hd/Ldは、好ましくは0.900〜0.998、より好ましくは0.900〜0.990、さらに好ましくは0.900〜0.980である。このような比率のとき、機能性膜は、垂直方向に入射した450〜550nmの光の透過率と、高角度に入射した450〜550nmの光の透過率との差が小さくなる。
前記機能性膜を設けることで、前記条件(ii)および(iii)を満たす光学フィルターを好適に得ることができる。前記条件(ii)および(iii)を満たすことで、0°入射透過率、X°入射透過率および45°入射透過率のいずれも高くすることができる。また、撮像素子の光学フィルターとして用いた場合、入射角度を変化させた際の緑色に相当する色味の変化が小さく、視野角の広い光学フィルターとなる。
一方、T0がTXおよびT45よりも高くなるように機能性膜を設けた場合、一般に高入射角になるにつれ透過率が減少し、T0>TX>T45となる。この場合、T45はT0よりも大幅に小さくなり、撮像素子の光学フィルターとして用いた場合、入射角度に応じて色の変化が大きくなり、視野角が狭くなる。
本発明の光学フィルターは、さらに下記条件(A)〜(C)を満たすことが好ましい。
(A)T0が80%以上、好ましくは82%以上、さらに好ましくは85%以上である。
(B)800nm以下の波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、波長580nm以上の波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値が100nm未満、より好ましくは75nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。
光学フィルターの(Xa)と(Xb)との差の絶対値が上記範囲にあると、近赤外線の波長領域付近の波長(Xa)と(Xb)の間で透過率が急変することとなる。そのため、撮像素子に用いた場合、近赤外線を効率よくカットすることができ、赤色に相当する光を効率よく取り入れることができる。
(C)波長560〜800nmの範囲において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Ya)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満、より好ましくは13nm未満、さらに好ましくは10nm未満である。
光学フィルターの(Ya)と(Yb)との差の絶対値が上記範囲にあることにより、光学フィルターを撮像素子に用いた場合、入射角度を変化させた際の赤色に相当する色味の変化が少なく、視野角の広い光学フィルターを得ることができる。
本発明では、透明基材として、600〜850nmの波長領域に吸収極大がある吸収剤を含有する透明樹脂からなる透明樹脂製基材、またはCuO含有リン酸塩ガラスおよびCuO含有フツリン酸塩ガラスからなる群より選ばれる近赤外線吸収ガラス、またはそれらを組み合わせてなる材料を含む透明基材を用いることで、前記条件(C)を満たす光学フィルターを得ることができる。また、このような透明基材を用いることにより、620〜680nmの波長領域のいずれかの点において、該透明基材の透過率が50%となる。
本発明の光学フィルターにおいて、垂直方向から測定した場合の波長300〜380nmの平均透過率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。本発明では、前記波長300〜380nmの紫外線を吸収する紫外線吸収剤を含有する透明樹脂からなる透明基板を用いることにより、または、上記波長300〜380nmの紫外線をカットする光学膜厚を有する機能性膜を設けることにより、波長300〜380nmの平均透過率が上記範囲である光学フィルターを好適に得ることができる。
波長300〜380nmの平均透過率が上記範囲にあることにより、光学フィルターを撮像素子に用いた場合、センサーは反応しながら人の眼に見えない紫外線を十分にカットすることができ、青色の色味に好適である。
本発明の光学フィルターにおいて、透明基材の厚みは、好ましくは40〜200μm、より好ましくは40〜180μm、さらに好ましくは40〜150μmである。
光学フィルターの厚みが上記範囲にあると、光学フィルターを小型化および軽量化することができ、固体撮像装置等のさまざまな用途に好適に用いることができる。特にカメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化を実現することができる。
本発明の光学フィルターは、前記機能性膜を透明基材の両面に有していることが好ましい。両面に機能性膜を設けることで、反りを抑えることができ、カメラモジュール等のレンズユニットに用いた場合には、レンズユニットの低背化を実現することができる。また、光学フィルターの反射を低減することができるため、撮像素子に設けた場合、ゴーストを抑制することができる。
本発明の光学フィルターにおいて、垂直方向から測定した場合の波長800〜1200nmの平均透過率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。本発明では、前記波長800〜1200nmの近赤外線を吸収する、CuO含有リン酸塩ガラスやCuO含有フツリン酸塩ガラスからなる近赤外線吸収ガラスを有した透明基材を用いることにより、または、前記波長800〜1200nmの近赤外線をカットする光学膜厚を有する機能性膜を設けることにより、波長800〜1200nmの平均透過率が上記範囲である光学フィルターを好適に得ることができる。
波長800〜1200nmの平均透過率が上記範囲にあることにより、光学フィルターを撮像素子に用いた場合、センサーは反応しながら人の眼に見えない近赤外線を十分にカットすることができ、赤色の色味に好適である。
<透明基材>
本発明で用いる透明基材としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、透明樹脂、ケイ酸ガラス、石英、アルミナガラス、サファイアガラス、リン酸塩ガラス、フツリン酸塩ガラス等が好ましく、単層でも多層でもよく、複数の材料を組み合わせてもよい。前記リン酸塩ガラスおよびフツリン酸塩ガラスとしては、CuO含有リン酸塩ガラスおよびCuO含有フツリン酸塩ガラスが好ましい。
また、前記透明基材の厚さ0.1mmでの全光線透過率は、好ましくは75〜94%であり、より好ましくは78〜94%であり、更に好ましくは80〜94%である。全光線透過率がこのような範囲であれば、透明基材は良好な透明性を示す。
<透明樹脂>
本発明で用いる透明樹脂としては、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、例えば、熱安定性およびフィルムへの成形性を確保し、かつ、100℃以上の蒸着温度での高温蒸着により誘電体多層膜を形成しうるフィルムとするため、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは110〜380℃、より好ましくは110〜370℃、さらに好ましくは120〜360℃である樹脂を用いることができる。また、透明樹脂のガラス転移温度が、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上である場合には、誘電体多層膜をより高温で蒸着形成し得るフィルムが得られる。
このような透明樹脂としては、例えば、ノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリサルホン樹脂(PSF)、ポリエーテルサルホン樹脂(PES)、ポリパラフェニレン樹脂(PPP)、ポリアリーレンエーテルフォスフィンオキシド樹脂(PEPO)、ポリイミド樹脂(PPI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、(変性)アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、有機−無機ナノハイブリッド材料を挙げることができる。
<CuO含有リン酸塩ガラス>
本発明で用いられるCuO含有リン酸塩ガラスは、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、400〜600nmの可視光透過率が高いものが好ましい。また、CuO含有リン酸塩ガラスとしては、CuO、P25、Al23、Na2O、K2O、Sb23、BaO、MgO、CaO、SrO、BaOおよびZnO等からなるものが、耐光性がよいことから、より好ましい。
<CuO含有フツリン酸塩ガラス>
本発明で用いられるCuO含有フツリン酸塩ガラスは、本発明の効果を損なわないものである限り特に制限されないが、400〜600nmの可視光透過率が高いものが好ましい。また、ガラス中のCu(I)イオン濃度を抑制したものが、より好ましい。このようなCuO含有フツリン酸塩ガラスとしては、例えばCuO、P25、AlF3、MgF、CaF2、SrF2、BaF2、ZnF2、LiF、NaF、KFおよびSb23等からなるガラスが挙げられる。
<吸収剤>
前記透明基材に用いられる透明樹脂には、波長600〜800nmの範囲に吸収極大がある吸収剤、例えば、近赤外線を吸収する染料や顔料、金属錯体系化合物などを含有させることが好ましい。また、透明樹脂以外の材料、好ましくはCuO含有リン酸塩ガラスおよびCuO含有フツリン酸塩ガラスからなる群より選ばれる近赤外線吸収ガラスを含む透明基材を用いる場合、該透明基材は、前記吸収剤を含む透明樹脂層を含有することが好ましい。
このような吸収剤を透明樹脂に含有させる場合、ノルボルネン系樹脂を用いることが好ましい。これは、前記吸収剤の分散性が良好であること、吸収剤を含有する透明樹脂製基材の成形加工性に優れること等の理由からである。
本発明で用いられる吸収剤としては、波長450〜550nmに吸収を持たないものが好ましい。また、透明基材の吸収極大における分光透過率が30%となる量で、波長600〜800nmの範囲に吸収極大を持つ吸収剤を透明樹脂に含有させた場合、該透明基材の450〜550nmの分光透過率が85%以上となる化合物がより好ましい。
このような吸収剤を含有してなる透明樹脂製基材に、後述する誘電体からなる機能性膜として近赤外線反射膜を蒸着などにより設けた場合、入射光の入射角変更時においても光学特性の変化が少なく、視野角の広い光学フィルターを得ることができる。
このような吸収剤としては、近赤外線を吸収する色素として作用する金属錯体系化合物や染料、顔料を用いることができ、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体系化合物などを挙げることができる。市販品としては、たとえば、Lumogen IR765、Lumogen IR788(BASF製)、ABS643、ABS654、ABS667、ABS670T、IRA693N、IRA735(Exciton製)、SDA3598、SDA6075、SDA8030、SDA8303、SDA8470、SDA3039、SDA3040、SDA3922、SDA7257(H.W.SANDS製)、TAP−15、IR−706(山田化学工業製)SMP54(林原製)などが挙げられる。これらの吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明において、前記吸収剤の使用量は、所望の特性に応じて適宜選択されるが、透明樹脂100重量部に対して、通常0.01〜10.0重量部、好ましくは0.01〜8.0重量部、さらに好ましくは0.01〜5.0重量部である。
吸収剤の使用量が上記範囲内にあると、吸収波長の入射角依存性が小さく、視野角が広く、近赤外線カット能、450〜550nmの範囲における透過率および強度に優れた光学フィルターを得ることができる。
吸収剤の使用量が上記範囲より多いと、吸収剤の特性がより強く表れる光学フィルターを得ることができる場合もあるが、450〜550nmの範囲における透過率が所望の値より低下するおそれや、透明樹脂製基材や光学フィルターの強度が低下する恐れがある。また、吸収剤の使用量が上記範囲より少ないと、450〜550nmの範囲における透過率が高い光学フィルターを得ることができる場合もあるが、吸収剤の特性(性質)が表れにくく、吸収波長の入射角依存性が小さく、視野角が広い透明樹脂製基板や光学フィルターを得ることが困難になる場合がある。
<その他成分>
本発明では、本発明の効果を損なわない範囲において、透明樹脂にさらに、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。紫外線吸収剤を添加した場合、波長300〜380nmの透過率を抑えることができ、得られる光学フィルターを撮像素子用に用いた場合、センサーは反応しながら人の眼に見えない紫外線を十分にカットすることができ、青色の色味に好適である。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2'−ジオキシ−3,3'−ジ−t−ブチル−5,5'−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどが挙げられる。
また、後述する溶液キャスティング法により透明樹脂製基材を製造する場合には、レベリング剤や消泡剤を添加することで樹脂基材の製造を容易にすることができる。
なお、これら添加剤は、本発明に用いる透明樹脂製基材を製造する際に、透明樹脂などとともに混合してもよいし、透明樹脂を製造する際に添加することで予め配合されていてもよい。また、添加量は、所望の特性に応じて適宜選択されるものであるが、透明樹脂100重量部に対して、通常0.01〜5.0重量部、好ましくは0.05〜2.0重量部である。
<透明基材の製造方法>
前記吸収剤を含有する透明樹脂製基材は、例えば、透明樹脂と吸収剤とを溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、透明樹脂、吸収剤および溶媒を含む液状樹脂組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法、または、上述の液状樹脂組成物をキャスティング(キャスト成形)する方法により製造することができる。
(A)溶融成形
本発明で用いられる透明樹脂製基材は、透明樹脂と吸収剤とを含有する樹脂組成物を溶融成形することにより製造することができる。溶融成形方法としては、例えば、射出成形、溶融押出成形あるいはブロー成形などを挙げることができる。
(B)溶液キャスティング
本発明で用いられる透明樹脂製基材は、透明樹脂、吸収剤および溶媒を含む液状樹脂組成物を適切な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去することにより製造することもできる。例えば、スチールベルト、スチールドラム、ポリエステルフィルムまたはガラス等の支持体の上に、上述の液状樹脂組成物を塗布して溶剤を乾燥させた後、支持体から塗膜を剥離することにより、透明樹脂製基材を得ることができる。
また、ガラス、石英または透明プラスチック製の光学部品に上述の液状樹脂組成物をコーティングして溶剤を乾燥させることにより、ガラス、石英または透明プラスチックを含む多層構造の透明基材を得ることができる。
前記方法で得られた透明基材中の残留溶媒量は可能な限り少ない方がよく、通常3重量%以下、好ましくは1重量%以下、さらに好ましくは0.5重量%以下である。残留溶媒量が3重量%を超える場合、経時的に透明基材が変形したり特性が変化したりして所望の機能が発揮できなくなることがある。
<機能性膜>
本発明で用いられる機能性膜としては、アルミ蒸着膜、貴金属薄膜、酸化インジウムや酸化アンチモンを主成分とし酸化錫を少量含有させた金属酸化物微粒子を分散させた樹脂膜、高屈折率材料からなる誘電体層(以下「高屈折率材料層」ともいう。)と低屈折率材料からなる誘電体層(以下「低屈折率材料層」ともいう。)を交互に積層した誘電体多層膜などを用いることができる。
本発明において、機能性膜は透明基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合には、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合には、反りの生じにくい光学フィルターを得ることができ、より薄型の撮像素子に好適となる。
これら機能性膜の中では、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を好適に用いることができる。
<高屈折率材料>
高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が2.0以上、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.3以上の材料を用いることができ、屈折率の上限は、通常、2.5程度である。
このような高屈折率材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分とし酸化チタン、酸化錫、酸化セリウムなどを少量含有させたものなどが挙げられる。中でも屈折率の高さから酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブがより好ましい。
<低屈折率材料>
低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が2.0以下、好ましくは1.8未満、より好ましくは1.6未満、さらに好ましくは1.5未満の材料を用いることができ、屈折率の下限は、通常、1.2程度である。
このような低屈折率材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウムなどが挙げられる。中でもシリカ、フッ化マグネシウムは屈折率が低く、より好ましい。
<誘電体多層膜>
高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これら材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はないが、例えば、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成し、これを透明基材に接着剤で張り合わせることや、前記透明基材上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法などにより、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することにより得ることができる。
これら高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の光学膜厚は、通常、遮断しようとする赤外線波長λ(nm)の0.25λ前後の繰り返しである。ただし、透明基材に近接する3層および最外層はこの限りではない。
本発明の機能性膜では、前記機能性膜において、高屈折率材料層の光学膜厚の合計をHd(nm)、低屈折率材料層の光学膜厚の合計をLdとした場合、Hd/Ld=0.900〜0.998であることが好ましく、Hd/Ld=0.900〜0.990であることがより好ましく、さらに好ましくはHd/Ld=0.900〜0.980である。
本発明者らは、上記高屈折率材料と低屈折率材料の光学膜厚比を、垂直方向から0°の角度から入射した場合に最も透過率が高くなる設計からずらすことで、特定の角度から入射した場合に最も450〜550nm平均透過率が高くなり、さらに垂直方向から45°の角度から入射した450〜550nm平均透過率の低下を抑えることができることを見出した。
また、誘電体多層膜における積層数は、基材両面含めて好ましくは5〜54層、より好ましくは16〜52層である。さらに、誘電体多層膜を蒸着した際に基板に反りが生じてしまう場合には、これを解消するために、基材両面に誘電体多層膜を蒸着する、基材の誘電多層膜を蒸着した面に紫外線等の放射線を照射する等の方法をとる事ができる。なお、放射線を照射する場合、誘電体多層膜の蒸着を行いながら照射してもよいし、蒸着後別途照射してもよい。
<光学フィルターの用途>
本発明の光学フィルターは、視野角が広く、優れた近赤外線カット能をする。したがって、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサ等の固体撮像素子用視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム機、医療機器、USBメモリー、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、玩具ロボット、おもちゃ等に有用である。さらに、自動車や建物などのガラス等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
ここで、本発明の光学フィルターをカメラモジュールに用いる場合について具体的に説明する。
図1に、カメラモジュールの略図を示す。図1(a)は、従来のカメラモジュールの構造の略図であり、図1(b)は、本発明の光学フィルター6'を用いた場合の、とり得ることができるカメラモジュールの構造の一つを表す略図である。
図1(b)では、本発明の光学フィルター6'をレンズ5の上部に用いているが、本発明の光学フィルター6'は、図1(a)に示すようにレンズ5とセンサー7の間に用いることもできる。
従来のカメラモジュールでは、光学フィルター6に対してほぼ垂直に光が入射する必要があった。そのため、光学フィルター6は、レンズ5とセンサー7の間に配置する必要があった。
ここで、センサー7は、高感度であり、5μm程度のちりやほこりが触れるだけで正確に作動しなくなるおそれがあるため、センサー7の上部に用いる光学フィルター6は、ちりやほこりの出ないものであり、異物を含まないものである必要があった。また、上記センサー7の特性から、光学フィルター6とセンサー7の間には、所定の間隔を設ける必要があり、このことがカメラモジュールの低背化を妨げる一因となっていた。
これに対し、本発明の光学フィルター6'では、(Ya)と(Yb)の差の絶対値が15nm以下である。つまり、光学フィルター6'の垂直方向から入射する光と、フィルター6'の垂直方向に対して30°から入射する光の透過波長に大きな差はないため(吸収(透過)波長の入射角依存性が小さい)、光学フィルター6'は、レンズ5とセンサー7の間に配置する必要がなく、レンズの上部に配置することもできる。
このため、本発明の光学フィルター6'をカメラモジュールに用いる場合には、該カメラモジュールの取り扱い性が容易になり、また、光学フィルター6'とセンサー7の間に所定の間隔を設ける必要がないため、カメラモジュールの低背化が可能となる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、「部」および「%」は、特に断りのない限り「重量部」および「重量%」を意味する。
分光透過率は日立製作所社製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した。光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率は、図2のようにフィルターに対し垂直に透過した光を測定した。また、光学フィルターの垂直方向に対してX°の角度(45°も含む)から測定した場合の透過率は、図3のようにフィルターの垂直方向に対してX°の角度で透過した光を測定した。
視野角は、JIS Z 8701に定める「2度視野に基づくXYZ表色系」に基づき、各波長の透過率に各波長の表色関数を乗じた値の積分値より、0°入射における三刺激値X(0)、Y(0)、Z(0)、および45°入射における分光透過率より45°入射における三刺激値X(45),Y(45)、Z(45)を算出することで、評価した。
[実施例1]
JSR社製のノルボルネン樹脂「ARTON G5023」100重量部に、EXCITON社製の吸収剤「ABS670T(吸収極大;675nm)」を0.024重量部加え、さらにトルエンを加えて溶解し、固形分が30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、60℃で8時間、100℃で8時間、さらに減圧下100℃で8時間乾燥後に剥離し、厚さ0.1mm、一辺が60mmの透明基材を得た。続いて、得られた透明基材に、真空蒸着装置を用いて、蒸着温度150℃で近赤外線を反射する誘電体多層膜からなる機能性膜(1)〔シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.45、膜厚31〜194nm)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.45、膜厚11〜108nm)層とが交互に積層されてなるもの、Hd/Ld=0.964、両面合わせ積層数52〕を形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。機能性膜(1)の膜厚設計を表2に示す。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B[(Xa)と(Xb)との差]、C[(Ya)と(Yb)との差]を求めた。結果を表1に示す。また分光透過率の測定結果を図6に示す。
[実施例2]
3Lの4つ口フラスコに2,6−ジフルオロベンゾニトリル35.12g(0.253mol)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン87.60g(0.250mol)、炭酸カリウム41.46g(0.300mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(以下「DMAc」ともいう。)443gおよびトルエン111gを添加した。続いて、4つ口フラスコに温度計、撹拌機、窒素導入管付き三方コック、ディーンスターク管および冷却管を取り付け、フラスコ内を窒素置換した後、得られた溶液を140℃で3時間反応させ、生成する水をディーンスターク管から随時取り除いた。水の生成が認められなくなったところで、徐々に温度を160℃まで上昇させ、そのままの温度で6時間反応させた。室温(25℃)まで冷却後、生成した塩をろ紙で除去し、ろ液をメタノールに投じて再沈殿させ、ろ別によりろ物(残渣)を単離した。得られたろ物を60℃で一晩真空乾燥し、白色粉末(以下「樹脂A」という。)を得た。
樹脂A100重量部に、EXCITON社製の吸収剤「ABS670T(吸収極大;675nm)」0.05重量部を加え、紫外線吸収剤「2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール」0.3重量部を加え、さらにDMAcを加えて溶解し、固形分が30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑なポリエチレンテレフタレート(PET)基板上にドクターブレードを用いて塗布し、70℃で30分乾燥させ、ついで100℃で30分乾燥してフィルムとした後、PET基板より剥離した。その後、フィルムを金枠に固定し、さらに230℃、2時間焼成して、厚さ0.05mmの透明基材を得た。
続いて、得られた透明基材に、実施例1と同様にして機能性膜(1)を形成し、厚さ0.056mmの光学フィルターを得た。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B、Cを求めた。結果を表1に示す。
[実施例3]
樹脂A100重量部に、EXCITON社製の吸収剤「ABS670T(吸収極大;675nm)」を0.25重量部加え、さらにDMAcを加えて溶解し、固形分が30%の溶液を得た。次いで、得られた溶液を平滑な板状のシリカガラス製支持体(厚さ0.1mm)上に塗布し、70℃で30分乾燥させ、さらに100℃で30分乾燥させた。その後、フィルムを金枠に固定し、さらに230℃で2時間焼成して、厚さ0.11mmのシリカガラスと透明樹脂からなる透明基材を得た。
続いて、得られた透明基材に、実施例1と同様にして機能性膜(1)を形成し、厚さ0.116mmの光学フィルターを得た。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B、Cを求めた。結果を表1に示す。
[実施例4]
25を41重量部、Al23を5重量部、Na2Oを24受領部、MgOを6重量部、CaOを6重量部、BaOを12重量部、CuOを6重量部秤量して混合した。この原料を白金ルツボに入れ、1000℃の温度で加熱溶融した。十分に撹拌・清澄した後、金型内に鋳込み、徐冷し、切断・研磨して50mm×200mm×2mmの板を作製した。この板を軟化点付近に加熱して延伸加工することにより、厚さ0.15mmのリン酸塩ガラスからなる透明基材を得た。
続いて、得られた透明基材に、実施例1と同様にして機能性膜(1)を形成し、厚さ0.156mmの光学フィルターを得た。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B、Cを求めた。結果を表1に示す。
[実施例5]
25を42重量部、AlF3を13重量部、LiFを5重量部、NaFを4重量部、MgF2を1重量部、CaF2を9重量部、SrF2を5重量部、BaF2を15重量部、CuOを4重量部、Sb23を1重量部、LiNO3を1重量部秤量して混合した。この原料混合物を白金ルツボに収容し、蓋をして、電気炉内において900℃の温度で加熱溶融した。十分に撹拌・清澄した後、金型内に鋳込み、徐冷した。その後、切断、研磨を行い、50mm×200mm×厚さ2mmの板を作製した。この板を軟化点付近に加熱して延伸加工することにより、厚さ0.15mmのフツリン酸塩ガラスからなる透明基材aを得た。
次いで、JSR社製のノルボルネン樹脂「ARTON G5023」100重量部に、EXCITON社製の吸収剤「ABS670T(吸収極大;675nm)」を0.024重量部加え、さらにトルエンを加えて溶解し、固形分が8%の溶液を得た。得られた溶液をフツリン酸ガラスからなる支持体にキャストし、60℃で8時間、100℃で8時間、さらに減圧下100℃で8時間乾燥後に剥離し、厚さ0.160mm、一辺が60mmの透明基材を得た。
続いて、得られた透明基材に、実施例1と同様にして機能性膜(1)を形成し、厚さ0.166mmの光学フィルターを得た。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B、Cを求めた。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様にして、厚さ0.1mmの吸収剤含有透明基材を得た。続いて、得られた透明基材に、真空蒸着装置を用いて、蒸着温度150℃で近赤外線を反射する誘電体多層膜からなる機能性膜(2)〔シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.45、膜厚29〜185nm)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.45、膜厚11〜108nm)層とが交互に積層されてなるもの、Hd/Ld=1.01、両面合わせ積層数52〕を形成し、厚さ0.106mmの光学フィルターを得た。機能性膜(2)の膜厚設計を表3に示す。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B、Cを求めた。結果を表1に示す
[比較例2]
実施例4と同様にして、厚さ0.15mmのリン酸塩ガラスからなる透明基材を得た。続いて、得られた透明基材の両面に、真空蒸着装置を用いて、蒸着温度150℃で誘電体多層膜からなる機能性膜(3)〔シリカ(SiO2:550nmの屈折率1.45、膜厚5〜30nm)層とチタニア(TiO2:550nmの屈折率2.45、膜厚5〜20nm )層とが交互に積層されてなるもの、両面合わせ積層数6〕を形成し、厚さ0.15mmの光学フィルターを得た。この光学フィルターの分光透過率曲線を測定し、T0、T45、TX、B、Cを求めた。結果を表1に示す。
Figure 0006954400
表1中の「50%透過率波長」は、600〜800nmの波長領域において透明基材の透過率が50%となる波長である。
表1中の「300‐380nm平均透過率」は、上記分光透過率の測定に従い、日立製作所社製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した300〜380nmの値の平均値が1.0%未満であるものを「○」、1.0%以上であるものを「×」とした。
表1中の「800‐1200nm平均透過率」は、上記分光透過率の測定に従い、日立製作所社製の分光光度計(U−4100)を用いて測定した800〜1200nmの値の平均値が1.0%未満であるものを「○」、1.0%以上であるものを「×」とした。
表1中の「視野角」は、上記0°および45°入射の三刺激値X(0)、Y(0)、Z(0)、X(45)、Y(45)、Z(45)より算出する以下の式全てを満たすものを「○」、満たさないものを「×」とした。
X(45)/X(0)>0.85
Y(45)/Y(0)>0.92
Z(45)/Z(0)>0.90
Figure 0006954400
Figure 0006954400
本発明の光学フィルターは、デジタルスチルカメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、携帯情報端末、パソコン、ビデオゲーム、医療機器、USBメモリー、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、玩具ロボット、おもちゃ等に好適に用いることができる。
1:カメラモジュール
2:レンズ鏡筒
3:フレキシブル基板
4:中空パッケージ
5:レンズ
6:光学フィルター
6':本発明の光学フィルター
7:CCDまたはCMOSイメージセンサ
8:光学フィルター
9:分光光度計検出機

Claims (6)

  1. 透明基材を有する光学フィルターであって、該光学フィルターの一方の面について、
    垂直方向から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をT0(%)とし、
    垂直方向から45°の位置から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をT45(%)とし、
    垂直方向からX°の位置から測定した場合の波長450〜550nmの平均透過率をTX(%)とした場合、
    下記条件(i)〜(iii)を満たすこと;
    前記透明基材の少なくとも一方の面に、波長550nmにおける屈折率が2.0以上の高屈折率材料からなる誘電体層と、波長550nmにおける屈折率が2.0未満の低屈折率材料からなる誘電体層とを含む誘電体多層膜からなる機能性膜を有すること;
    前記高屈折率材料からなる誘電体層の光学膜厚の合計をHd(nm)とし、
    前記低屈折率材料からなる誘電体層の光学膜厚の合計をLd(nm)とした場合、
    波長550nmにおいて、Hd/Ldが0.900〜0.998の範囲であること;
    さらに、下記条件(A)〜(C)を満たすこと;
    を特徴とする光学フィルター:
    (i)T0、T45およびTXのいずれもが75%以上である;
    (ii)TX>T0、かつ、TX>T45である;
    (iii)Xは30である
    (A)T 0 が80%以上である;
    (B)800nm以下の波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が70%となる最も長い波長(Xa)と、580nm以上の波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が30%となる最も短い波長(Xb)との差の絶対値が100nm未満である;
    (C)560〜800nmの波長領域において、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Ya)と、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の透過率が50%となる波長の値(Yb)との差の絶対値が15nm未満である
  2. 垂直方向から測定した場合の波長300〜380nmの平均透過率が1%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルター。
  3. 前記機能性膜を前記透明基材の両面に有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  4. 垂直方向から測定した場合の波長800〜1200nmの平均透過率が1%以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  5. 透明基材の厚みが40〜200μmであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルター。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の光学フィルターを具備することを特徴とする撮像素子。
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