JP2022158759A - 透明樹脂積層体の成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】機能性樹脂層のキャビティを形成するための接着テープやガスケットが不要であり工数の削減が期待できるとともに、廃棄物の副生を抑制でき、機能性樹脂層の透明樹脂基体に対する密着性も良好となる透明樹脂積層体の成形方法を提供する。【解決手段】透明樹脂基体の少なくとも片面に機能性樹脂層を備えた透明樹脂積層体の成形方法であって、下記工程を含む方法である。(1)座型13の凹面13bに機能性樹脂層12を形成可能な量を超えて熱硬化性の成形材料のモノマーMを滴下する第一工程(2)滴下モノマーM上に透明樹脂基体11を載置した組立体を、成形材料のゲル化可能温度雰囲気に所定時間曝して、座型13/透明樹脂基体11間のエア抜きをしながらモノマーMを透明樹脂基体11の下面を拡散さらにゲル化させて賦形する第二工程(3)第二工程後の組立体におけるゲル化賦形物を硬化させ離型する第三工程【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂製の透明樹脂基体の少なくとも片面に光学機能層を備えた透明樹脂積層体の成形方法及びそれに好適な光学機能性樹脂層組成物に係る。
ここでは、眼鏡レンズ、特に偏光レンズを主として例に採り説明するが、本発明は、サングラス、望遠鏡レンズ、携帯・TVさらに車両用・建築用窓ガラス等に適用が期待できるものである。なお、本明細書及び特許請求の範囲における、組成単位及び温度は、特に断らない限り、それぞれ、質量単位及び雰囲気温度を意味する。さらに、樹脂名の前に付した数値は屈折率(nD)を意味する。
本発明において、NCO成分は、ポリイソシアナート成分を、SH成分とはポリチオール成分を意味する。また、OH成分とはポリオール成分を意味し、各成分の略号は下記の通りである。
・HDI:ヘキサメチレンジイソシアナート
・NBDI:2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン
・GST:4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール
・PEMP:ペンタエリトールテトラキス(メルカプトプロピオネート)
・PAO:ポリアルキレンオキシド
・EOPO:エチレンオキシドプロピレンオキシド共重合体
・EOPO(B):EOPOブロック共重合体
・EOPO(R):EOPOランダム共重合体
・BPA誘導体:ビスフェノールAのEOPO付加体
昨今、種々の機能(性能)、例えば、調光性、特定波長吸収性(紫外線・青色光カット等)等の機能を有する光学機能性樹脂層を備えた透明樹脂基体からなる眼鏡レンズは周知である(特許文献1[要約],[請求項1],[請求項3],[図1],[図4]等]等、特許文献2[要約],[請求項1],[図1]等)。レンズ全体的にそれらの機能を付与することは、高価な調光剤や紫外線吸収材を多量に配合する必要があるとともに、度付きレンズの場合、肉厚変化に伴う色むら等が発生しやすいためである(特許文献2[0002]~[0005]等)。
また、偏光性等を付与するために偏光フィルムを埋設させた偏光眼鏡レンズ・サングラスが文献公知である(特許文献1[請求項4],[図4]等、特許文献3[請求項1],[図2],[図3]等)。
しかし、偏光フィルムを埋設注入成形する場合、機能性樹脂層を注入成形するに際して、賦形キャビティを形成するために接着テープ(テーピング)又はガスケットを必要とした。テーピングの場合、工数が嵩み、また、接着テープ又はガスケットは成形毎に廃棄していた。なお、ガスケットは注入後の硬化収縮に追従させるため、通常、弾力性のあるあるオレフィン系TPE(特許文献3[0028]耐熱性90℃以下)等使用するため、注入後硬化時に部分溶融してしまい再利用できなかった。さらに、これらの成形方法の場合、機能性樹脂層又は偏光機能層とレンズ基体との接着性は、接着層なしでは必ずしも十分とは言えない場合があった(特許文献2[0008]~[0009]、特許文献3[0011]~[0015])。
また、偏光レンズを成形する場合、賦形偏光フィルムを型内保持するために円形にカット(通常)するが、フィルムに付着した切削粉除去・水洗浄・乾燥の必要があり注入成形までの仕掛り工数が嵩み、さらには偏光フィルムを注入型内に位置決めセットすることが困難であるという問題点もあった。この問題点は、特に、カーブの小さい(曲率半径大)サングラスを成形するような場合、フィルムがカールし易く顕著であった。
さらに、樹脂レンズ基体(半製品)は、通常、ハードコート処理等を行って製品とする。製品レンズは、偏光フィルムはレンズ基体との間の密着性に問題があった(特許文献3[0013]~[0014])。延伸フィルムであるため、通常、110℃雰囲気で行うハードコートの硬化加熱に際して、レンズ基体が熱膨張するのに対し偏光フィルム(ポリビニルアルコール(PVAL)製)は熱収縮率するためと考えられる。密着性の問題は、熱膨張率の高いエピスルフィド樹脂の場合顕著である(特許文献3[0015]参照)。
ちなみに、各種成形材料で成形したレンズ基体(外径80mmφ)について、25℃から100℃まで昇温させて25℃間隔で外径を測定した結果から線膨張率を求めた。各線膨張率(×10-3/K)は、アリルジグリルカーボネート樹脂(ADC):12.1、1.60チオウレタン樹脂:5.1、1.67チオウレタン樹脂:4.4、、エピスルフィド樹脂:6.1、ポリカーボネート(PC):4.9であった。これらから、エポスルフィド樹脂はチオウレタン樹脂に比して密着性を得難く、ADCは、さらに、密着性を得難いことが予測される。
また、賦形後の外形略八角形のPVA偏光フィルム(25℃縦横長さ:96.65mm)を上記レンズ基体の場合と同様に25℃から100℃まで昇温させ25℃間隔で各温度における縦横長さを測定して収縮率を求めた。100℃における25℃に対する収縮率は約2.25%縮むことが分かった。
本発明で使用する機能性樹脂層の成形材料と近似するもの、接着性や調光性の改質剤としてPAOを配合するチオウレタン系樹脂に係る技術は文献公知である(特許文献4[請求項1]、[要約]等、特許文献5[請求項1]、[要約]等)。
また、同じく脂環式系ジイソシアナートを積極的に使用するチオウレタン樹脂も文献公知である(特許文献6[請求項1・2・3]等)。
国際公開2003/008171号 特許2014-156067号公報 特開2011-145513号公報 国際公開2018/124063号 国際公開2015/115648号 国際公開2005/087829号
本発明一つは、上記にかんがみて、透明樹脂基体の少なくとも片面に機能性樹脂層を備えた透明樹脂積層体を製造するに際して、機能性樹脂層のキャビティを形成するための接着テープやガスケットが不要であり工数の削減が期待できるとともに、廃棄物の副生を抑制でき、機能性樹脂層の透明樹脂基体に対する密着性も良好となる効果を奏する透明樹脂積層体の成形方法を提供することを目的(課題)とする。
本発明の他の一つは、透明樹脂積層体基体の透明樹脂基体の少なくとも片面に、機能性フィルム(例えば、偏光フィルム)を埋設させた機能性樹脂層を備えた透明樹脂積層体を製造するに際して、上記と同様の効果に加えて機能性フィルムの型内セットまでの仕掛り工数を大幅にセットでき、機能性フィルムと基体との密着性も良好な透明樹脂積層体の成形方法を提供することを目的(課題)とする。
本発明の一つ(第一発明)は、上記課題を下記構成の透明樹脂積層体の成形方法により解決するものである。
(1)透明樹脂基体の下面に対応した凹面を備えた座型を用意し、凹面に機能性樹脂層を形成可能な量を超えて熱硬化性の成形材料のモノマー(プレポリマーを含む;以下同じ。)を滴下する第一工程
(2)該滴下モノマー上に透明樹脂基体を載置した組立体を、成形材料のゲル化可能温度雰囲気に所定時間曝して、座型/記透明樹脂基体間のエア抜きをしながらモノマーを透明樹脂基体の下面を拡散さらにゲル化させて賦形する第二工程。
(3)第二工程後の組立体におけるゲル化賦形物を硬化させ離型する第三工程、を含むものである。
上記第一発明に係る成形法の場合、従来の成形毎の廃棄物(接着テープやガスケット)の副生もない。また、硬化初期においてはモノマーの粘度低下により、座型の凹面から漏出したモノマー戻りが期待できるとともに、ゲル化賦形物を周面を開放しながら、透明樹脂積層体の重みをかけながら硬化させるため、重合収縮(特に、上下方向の)の吸収ができる。このため機能性樹脂層の透明基体に対する密着性が向上する。
なお、上記第一発明において、「さらに、スペーサ部の上下に透明樹脂基体が遊嵌可能な上円筒部及び座型が密篏可能な下円筒部を備えたスペーサ型を用意し、該スペーサ型の下円筒部に座型を組付けて第一工程における成形材料のモノマーの第一滴下を行う」ことができる。この成形方法の場合、上記効果に加えて、スペーサ型を用意する必要があるが、透明樹脂基体が成形材料硬化物より比重が大きくても賦形ゲル化物を圧縮して機能性樹脂層の所要肉厚が確保できないおそれがなく、かつ、スペーサ型は繰り返し使用できるため、廃棄物のほとんど副生しない。
本発明の他の一つ(第二発明)は、上記課題を下記構成の透明樹脂積層体の成形方法により解決するものである。
樹脂製の透明樹脂基体(半製品)の少なくとも片面に機能性フィルムが埋設された機能樹脂層を備えた透明樹脂積層体の成形方法であって、
(1)透明樹脂基体の下面に対応した凹面を備えた座型を用意し、凹面に機能性樹脂層を形成可能な量を超えて熱硬化性の成形材料のモノマーを第一滴下し、さらに、該滴下モノマー上に機能性フィルムを載置し第二滴下をする第一工程、
(2)該第二滴下モノマー上に透明樹脂基体を載置した組立体を、成形材料のゲル化可能温度雰囲気に所定時間曝して、座型と透明樹脂基体間のエア抜きをしながらモノマーを拡散さらにゲル化させて賦形する第二工程、
(3)第二工程後の組立体におけるゲル化賦形物を硬化させ離型する第三工程、を含むものである。
上記第二発明の場合、第一発明の効果に加えて、下記効果を奏する。
従来工法においては、型賦形偏光フィルム素材を、型水洗浄・乾燥工程が必要とした。さらに、内に取り付けるために円形カット後の付着切削粉を除去した後、円形カットされた偏光フィルムをを注入型内にピンセットでガスケットやフィルム保持部材にセットする必要があった。これに対し、本発明の方法は、第一滴下後の座型に載置するだけなので、後工程でバリ取りを必要とするものの、注入型に機能性フィルムをセットするまでの仕掛り工数の大幅な削減が期待できる。
さらに、上記構成において、前述の第一発明と同様、「さらに、スペーサ部の上下に透明樹脂基体が遊嵌可能な上円筒部及び座型が密篏可能な下円筒部を備えたスペーサ型を用意し、該スペーサ型の下円筒部に座型を組付けて第一工程における成形材料のモノマーの第一滴下を行うこと」ができる。この方法の場合、第一発明においてスペーサ型を設けた効果に加えて、機能性フィルムを設定位置での保持が容易となる。特に、機能性フィルムを、その周縁をスペーサ型の上円筒部の内面に接触又は係合させて行なうことが、より設定位置での保持がさらに容易となる。
なお、上記第二発明群においては、機能性フィルムの両面に機能性樹脂層を形成する成形法においては、第一滴下・第二滴下の機能性樹脂成形材料を樹脂基体上下層とし、座型を下型に、透明樹脂基体を上型に置換すれば、引用文献3[図3]に示すような偏光レンズの成形にも応用できるものである。
本発明のレンズ基体が機能性樹脂層の成形材料以上の比重を備えたもの(度有り)である場合の成形方法(工程)の一例を示す説明断面図である。 同じく機能性樹脂層を偏光樹脂層とする場合の成形方法の一例を示す説明用断面図である。 本発明のレンズ基体が機能性樹脂層の成形材料未満の比重を備えたもの(度なし)である場合の透明樹脂積層体の成形方法(工程)の一例を示す説明用断面図である。
以下、本発明の透明樹脂積層体の成形方法について、「度ありレンズ」、「偏光レンズ」及び「度なしレンズ」を例に採り説明する。
本発明の成形方法は、従来の機能性樹脂層の注入成形法に代替するものであり、ガスケットやテーピングで成形キャビティ形成することが不要な成形方法である。
機能性樹脂層12は、通常、レンズ基体(透明樹脂基体、有機ガラス基体)11より薄く略均一な層厚を有する。また、レンズ基体11の表面(凸面)への用途に限定されず、レンズ基体11の裏面(凹面)又は両面(凸面及び凹面)に対しても適用することが可能である。ここで、レンズ基体11の最大肉厚は通常2~10mm、中心肉厚0.3~8mmであるため、機能性樹脂層の層厚は、1~2mm例えば、0.05~2.5mm、密着性なし歪防止の見地から、望ましくは、1mm以下とする。また、ここでは機能性樹脂層12は光学的なものを例にとるが、光学的なものに限られず、抗菌・抗ウィルス剤や静電気防止剤等の化学的・電気的機能を持たせたものも含む。
本発明の成形方法で使用するレンズ基体(有機ガラス基体)11としては下記、半製品、度あり、度なしレンズ用の各透明有機ガラス材料を挙げることができる(括弧内に比重を付記する。)。これらの材料は各社から種々のグレードで上市されている。
半製品、度ありレンズ用・・・エピスルフィド系(1.45~1.48)、チオウレタン系(1.2~1.37)、ポリウレタン系(1.2~1.3)、ADC系(1.32)、芳香族アリルカーボネート系(1.25)
度なしレンズ用・・・PC系(1.2)、メタアクリレート系(1.2)、非晶性ポリアミド系(1.01)
(1)まず、度ありレンズ(高屈折レンズ)をレンズ基体(半製品;樹脂基体)11とする場合の成形方法について説明する(図1参照)。ここで、レンズ基体11は、高屈折材料で成形され、通常、機能性樹脂成形材料と同等又はそれ以上の比重を有する。
この場合は、機能性樹脂層12の表面側を賦形するガラス座型13と、能性樹脂層12の厚みを規制するスペーサ型15とを用意する。
ここで、ガラス座型13はスペーサ部15aの下側円筒部15aに篏合可能な外径(密篏でも遊嵌でもよい。)を有するとともに、外周部上面が隆起座面13aとされて、内側にレンズ基体11の凸面に対応した曲面の凹面13bを備えている。こうして、ガラス座型13にスペーサ型15を組付けたとき、スペーサ部15a下面とガラス座型13の隆起座面13aとの間にシール部が形成される。なお、ガラス座型13は、耐熱性、離型性及び耐久性の観点から通常ガラス製とするが、同様な特性を有すれば、ガラス座型を他の無機系材質としてもよい。
また、スペーサ型15は、能性樹脂層12に設定厚みを有する円環状のスペーサ部15aの上下に下側・上側円筒部15b、15cを備えている。また、上側円筒部15cは、レンズ基体11をスペーサ部15aに載置した際、レンズ基体11の外周に隙間を有する内径を備え、スペーサ型15外側へのモノマー漏出を防ぐ作用を有する。なお、スペーサ型15は、組付け容易性(適度な柔軟性)、耐熱性、耐溶剤性及び離型性の観点から、通常、ポリプロピン(PP)製(例えば、軟化温度:130℃)とするが、同様な特性を有すれば他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリオキシメチレン(POM)製、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製等であってもよい。
ここで、スペーサ部15aの厚みは、機能性樹脂層12の厚みに略対応したものする。すなわち、レンズ基体11とガラス型13と対向面間隙間は通常、0.05~2mm、さらには、0.3~1.5mm、よりさらには0.4~1.0mmとすることが好ましい。薄すぎると粘度の高い材料を使用する場合成形材料の初期拡散が困難となり成形不良が発生したり、厚すぎると機能性樹脂の硬化ムラから脈理(striae)が発生したりするおそれがある。
次に、本実施形態の成形方法について、具体的に説明する。なお、本発明は下記形態に限られず、請求の範囲に記載された技術的範囲内における種々の形態に及ぶ。
まず、ガラス型13にスペーサ型15を組付けた状態でガラス型13の凹面13aにチオウレタン樹脂モノマー(以下「モノマー」)Mを滴下する(例えば、樹脂層厚み仕様が0.6mm、成形材料チオウレタンのとき滴下量5g)(図1(I))。
基体11を15aの上部に載せる。(図1(II))そしてモノマーMを加熱硬化させる。ここで加熱硬化の条件は、例えば、開始温度:60℃前後、最終温度:100℃前後とし、合計時間:6~10hとする。
すると初期加熱時(開始温度保持時間)(成形材料のゲル化可能温度雰囲気)においてモノマーMの流動性が増大して、ガラス座型13/レンズ基体11間でエア抜きをしながら拡散後、成形材料(モノマー)Mをゲル化させて賦形する。この拡散初期時においては、モノマーMの流動性が大きいためモノマーMは、レンズ基体11の凸面11aとスペーサ部13aの内周上縁との線状円環接触部Lから漏出(溢流)する(図1(II))。そして、モノマーの水平(横方)方向の重合収縮(熱硬化)により凹面11の充填モノマーの外周部が減圧雰囲気となり漏出モノマーが吸引逆流され、重合収縮による成形品の外周部欠損が発生しがたい。これらのモノマー漏出・逆流は、レンズ基体11はスペーサ部15に軽く載置されているだけなので、円滑におこなわれる。そして、硬化による垂直(縦)方向重合収縮はレンズ基体の重みを受けながら進行するため縦方向の密着性も増大する。こうして、基体レンズ11上に設定厚の機能性樹脂層12が硬化密着(重合密着)した積層レンズが成形される(図1(III))。
(2)次に、機能性樹脂層を偏光樹脂層とする場合の成形方法について説明する(図2参照)。
基本的には上記と同様である。本発明は、カールし易く(特に、0.5カーブの如くカーブが小さい場合)熱収縮も大きい偏光フィルムに適用した方が効果が顕著となるため、偏光フィルムを例に採り説明する。当然、偏光フィルムの両面又は片面に保護層を備えた偏光シートにも適用で、さらには、波長カットフィルターや液晶フィルム等の機能性フィルムにも適用可能である。なお、偏光フィルムや偏光シートとしては、特許文献3[0032]、[0033]に例示のものを使用可能である。
偏光フイルム19を機能性樹脂層12に埋設成形する点が異なる。まず、ガラス型13にモノマーMの所要量の一部を第一滴下する(図2(I))。続いて、偏光フィルム19をスペーサ部15aに載置後、モノマーMの所要量の残部を第二滴下する(図2(II))。さらに、レンズ基体11を偏光フィルム19上に重ねる(図2(III))。後は、上記と同様にして樹脂層を加熱硬化させ偏光レンズを成形する(図2(IV))。ここで偏光フィルム19の厚みは、10~50μmであることが好ましい。なお、偏光フィルムは、偏光特性を有しつつ、光学要素の曲面に追従する伸び性を有する。
なお、第一滴下及び第二滴下に使用するモノマーの所要量及び組成は同一の場合について説明したが、異なってもよい。すなわち、一方を調光剤配合処方とし他方を特定波長吸収剤配合処方とすること等任意である。さらに、この成形方法は、偏光フィルムに限られず、特定波長カットフィルムや液晶フィルムを埋設する機能性樹脂層にも適用できる。
この成形方法は、上記(1)のごとく、度ありレンズに限られず度なしレンズにも適用する。偏光レンズは度なしサングラス等に多用されている。
また、上記偏光フィルムは、特許文献3[0031]~[0033]に記載の汎用配合品を使用できる。これらのうちで偏光フィルムは、ポリビニルアルコール(PVA)を使用するが、ポリカーボネートで保護したものが耐衝撃性の見地から望ましい。この成形方法の場合、機能性樹脂層材料をチオウレタン系等の熱硬化性とした場合、賦形加工後の偏光フィルムは同[0035]に記載のような接着剤処理は不要である。偏光フィルムが樹脂層と前述の如く、硬化接着するためである。
(3)最後に、度なしレンズをレンズ基体(半製品)11とする場合の成形方法について説明する(図3参照)。度なしレンズ11は、通常、低比重、耐衝撃性、低屈折材料(nD:1.50以下)で射出成形され、機能性樹脂成形材料と未満の比重を有するものが多い。
この成形方法の場合上記各成形方法と異なり、ガラス座型13とレンズ基体11のみで機能性樹脂層12を形成する。
このため、度なしレンズのレンズ基体11にチオウレタン系樹脂の機能性樹脂層12を一体成形する場合、レンズ基体11の比重は、機能性樹脂層12を形成する成形材料より前述のごとく小さい。このため、基体レンズの厚みを略同一とした場合、機能性樹脂層の硬化時に圧縮されて厚みが薄肉化するおそれがない。このため、図3に示す如く、スペーサ型15がなくても、成形可能である。なお、機能性樹脂層12が、0.3mm以下のような薄肉の場合、レンズ基体重量及びモノマー粘度を調節すれば、この方法は、度ありレンズにも適用できる。
ガラス型13にモノマー所要量を滴下後(図3(I))、レンズ基体11をガラス型13に載置する。この状態で、前記(1)と同様の条件で加熱硬化させる。すると、モノマーは加熱当初はモノマーの流動性が増大し、レンズ基体11の重みでレンズ基体11とガラス型13との間をガラス型13の隆起座面11a近傍まで拡散する(図3
(II))。そして、加熱硬化がある程度進み、前述と同様、レンズ基体11を保持可能な剛さに達すると、それ以上は薄肉化することはない。レンズ基体11は機能性樹脂層12の成形材料より比重が小さいためである。
こうして、加熱硬化が完了した成形品は、ガラス型13から離型して、機能性樹脂層12がレンズ基体11に硬化密着した度なしレンズ成形品を得る(図3(III))。離型後の成形品は、アニーリング処理(例えば、成形材料がチオウレタン樹脂の場合、100℃前後で2~3h)を行って、後硬化させるとともに内部歪を除去する。
光学要素の原料組成物として、機能性薬剤は、基本的には機能性樹脂層12に添加するが、有機ガラス基体11にも、適宜、機能性薬剤(フォトクロミック剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、ブルーイング剤等)を添加してもよい。
以下、上記各実施形態に使用する機能性樹脂層の成形材料組成物のモノマー(プレポリマーを含む。)について具体的に説明する。
基本的には、成形材料は、レンズ基体(透明樹脂基体)と硬化接着可能で透明な熱硬化性樹脂なら特に限定されない。
しかし、透明性、硬化密着性、機能性薬剤分散性等の見地から、チオウレタン系樹脂が望ましい。また、チオウレタン系樹脂は、他のウレタン系ないしメタアクリル系、ポリカーボネート系、ないし、ポリアミド系等の汎用透明樹脂に比して屈折率が高く、レンズ基体が度ありレンズ(高屈折率レンズ)であっても収差の問題等を解決しやすい。特にハードコート工程を経る場合、歪や密着性の観点から耐熱性を有しかつ熱膨張率も小さいものもの(例えば、Tg:120℃以上、図)のものが望ましい。具体的には、実施例1-1で使用した三井化学社製チオウレタン「MR20」(登録商標)(カタログ表示;Tg:124℃)が望ましいが、MR8(登録商標)(Tg:112℃)も使用可能である。
チオウレタン系において、望ましい態様を以下に説明する。
NCO成分が脂環式系ジイソシアナートからなる又は主体であるとともに、SH成分の平均官能基数(以下「官能基数」)が3.0以上、さらには3.5以上が望ましい。SH平均官能基数が大きいほど歪が小さくなる(実施例1-3に対して実施例1-5、実施例1-4に対して実施例1-6)。ここで、NCO/SH比は、0.6~1.8でもよいが、0.8~1.4が、さらには、1.1~1.3の範囲が望ましい。これらの範囲外では未反応成分が残り易く十分な耐熱性(軟化温度)を確保し難くたくなるおそれがある(実施例1-1,1-3、1-4に対して残りの実施例1群)。
改質成分としてEOPO又はそのEOPO鎖含有ポリオールを含有して、静的粘度(25℃)0.2~10Pa・s、さらには0.5~6Pa・s、よりさらには1.5~5.5に調節されているものが望ましい。平均官能基数が3.0未満では実用的な表面硬さを確保しがたいことを確認している。静的粘度が低すぎても高すぎて本発明における適度な成形性(賦形性)を得難い。
ここでNCO成分を脂環式系とするのは、反応性も相対的に高く、耐黄変性を有するとともに高アッベ数、高耐熱性のバランスが非常に優れた樹脂レンズを与えるためである(特許文献6[0003])。
脂環式系NCO成分のうちで、調光性の観点からは、ノルボルナン環(ビシクロ[2,.2.1]ヘプタン)のジメチル・エチルイソシアナート又はシクロヘキサン環のジメチルイソシアナートが望ましく、さらには、ビス(イソシアナートメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(以下,NBDI)が望ましい。なお、レンズ歪性の観点からは、NBDIよりヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)の方が望ましい(比較例1-1に対して比較例1-2)。
なお、脂環式系NCOは主体であればよく、他の脂肪族系・脂環式系NC0も併用可能である。他の脂肪族系・脂環式系NC0としては、特許文献5[0013]~[0015]に例示の周知NCOから適宜選定できる。
ここでSH成分としては、特許文献5[0052]に列挙されている官能基数2~4の各種ポリチオールを適宜選定して、単独又は組み合わせて前述の如く平均官能基数3.0以上に調節して使用する。代表的なSH成分としては、ベンタエリトリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(PEMP)やビス(メルカプトメチル)-3,6,9-トリチアウンデカン-1、11-ジチオール(以上官能基数4)、4-メルカプトメチル-3,6-ジチア-1,8-オクタンジチオール(GST)(官能基数3)、ブタンジオールビス(チオグリコレート)(BDTG)(官能基数2)を挙げることができる。
OH成分としては、特許文献5[0016]~[0043]に列挙されているものを適宜使用して使用できる。これらのうちで、特許文献4[0042]~[0043]に記載のもの下記構造式(I),(II)で示されるもの、又は、特許文献5[0035]~[0036]の構造式で示されるものを単独又は併用して使用できる。これらは、すべて密着性改善効果があるが、特に、構造式(III)は示されるものは、平均分子量(Mn)が750と小さいにも関わらず、構造式(I)、(II)に比して歪改善効果が大きい(表1、実施例1-6,1-7に対して実施例1-5)。
HO-(CO)n1-(CO)―(CO)n2-H・・・(I)
HO-(CO)n1-ran-(CO)n2-H ・・・(II)
(式中n1,n2,mはいずれも整数で,Mn:3000~15000となる範囲のもの)
Figure 2022158759000002
(式(III)中、q、rは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ1以上の数を示し、かつqとrの合計は2~100の数値を示す。RおよびRは、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはメチル基を示し、複数存在するRまたはRは、それぞれ同一でも異なってもよい。)
上記構造式(I),(II)の数平均分子量(Mn)は、(I):2000~7000(望ましくは3000~5000)(II):400~2000(望ましくは500~1000)とする(特許文献5[0038])。本発明の成形方法に適する前述の静的粘度(25℃):0.2~10Pa・s、望ましくは0.5~8Pa・s、さらにのぞましくは1~6Pa・sになるように単独ないし組み合わせて使用する。
特に、構造式(III)で示されるBPA誘導体は、、密着性改善効果に加えて、レンズ基体のカーブ差(中心/縁部)抑制効果が著しい(表1参照)。当該BPA誘導体の数平均分子量は、上記効果が発揮されるなら特に限定されない。入手しやすさから、500~1500である。BPA誘導体EOPOの添加量は、1~50部、のぞましくは3~30部とする。添加量が過多であると粘度が高くなり成形性に影響を与える(実施例1-1~実施例1-4)。
特に、レンズ基体をエピスルフィド樹脂製とPVA偏光フィルムを埋設した場合におけるエピスルフィド樹脂は耐熱性に劣る(軟化点(Tg)100℃以下)。ハードコートの熱硬化(通常、雰囲気温度110~120℃)に際して、熱変形して設定度数に維持することが困難であるとの課題も解決できる。また、レンズ基体を熱膨張係数の大きなADCであっても、本発明の成形方法の場合、重合開始温度でADCが膨張する前にチオウレタン樹脂(成形材料)は水平・垂直方向の重合収縮を吸収しながら硬化する。このため、機能性樹脂層がADCレンズ基体から大きな応力を受けて成形されることがなく、機能性樹脂層とレンズ基体間の重合密着性を確保しやすい。
式(I)、(II)で示されるOH成分には、上記(III)で示されるBPA誘導体や、特許文献4[0044]で特に望ましいとされているMn:10千以上のもの、さらに、これらのポリオール成分を除く前記特許文献5[0016]~[0043]に列挙されているOH成分を少量(モル比で0.3倍以下)併用できる。これらの添加量は、例えば,BPA誘導体の場合、歪改善効果を得るためには3部以上、望ましくは8部以上とする。BPA誘導体の上限添加量は、30部、望ましくは23部、さらに望ましくは15部とする。添加量の過多であると、粘度の増大を招き、成形材料のモノマーを加熱硬化時開始工程、ガラス座型13の凹面13bの外周部まで拡散(漏出)可能な粘度を確保しがたくなる。
これらの各NCO・SH・OH成分からなるモノマー原料には、機能性薬剤である調光剤、紫外線吸収剤、特定波長吸収剤、ブルーカット剤を適宜配合する。調光剤は通常、NCO成分の一部(例えば半分量)にあらかじめ添加して予備溶解させた後、残りのNCO・SH・OHの各成分を触媒等とともに添加、して混合撹拌を透明になるまで続けフィルターでろ過して調製する。
上記触媒としてはジブチルチンジクロライド(DBTC)、ジメチルチンジクロライド(DMTC)等を好適に使用できる。
上記調光剤としては、特許文献5[0015]~[0075]に記載の各種スピロピラン系、スピロオキサジン系、フルギド系、ナフトピラン系、等の化合物から適宜、1種又は2種以上混合して使用できる(同[0015])。
また、機能性樹脂層15が形成されたレンズ基体11(光学要素)には、一般的に行われているハードコート加工、防曇処理加工、反射防止加工、撥水処理加工、帯電防止加工などの汎用の表面処理を適宜施すことができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で使用するガラス座型は、凹面(曲率半径:1046mm)を備えもの、スペーサ型はスペーサ部厚さ:0.8mm(但し、実施例1-6:0.1mm)のスペーサ部を備えたものを使用した。
《実施例1・比較例1群》
(1)機能性樹脂層の成形
機能性樹脂層15を形成するチオウレタン系樹脂の各組成を表1に示す。
機能性樹脂原料は、表示の処方で調合し、該樹脂成分(モノマー)100部に対し触媒(ジブチルチンジクロリド)0.2部を添加して及び特定波長吸収剤(表3の度数変化試験では、調光剤、特定波長吸収剤、ブルーカット)をそれぞれ添加調合した。そして、窒素ガス雰囲気下で15℃に温度調節しながら1時間混合撹拌した。
続いて、液温:15℃、絶対圧:150Paに保持撹拌しながら1時間脱気後、1μmのフィルターでろ過して機能性樹脂層15を形成する各機能性樹脂原料を調製した。
そして、レンズ基体として、外径:80.0mm、0.5カーブ(凸面曲率半径:1046
mm、但しnD:1.53で計算)で、中心厚:8.0mmの1.74エピスルフィド樹脂の注入成形品(自製品)を用いた。
図1に示す成形方法において、設定隙間(機能性樹脂層厚み)は0.8mm(ただし、実施例1-5は0.1mm)とするとともに、硬化条件は、70~100℃間を中間保持1回で合計加熱時間6hとした。
こうして、有機ガラス基体11に機能性樹脂層12を硬化密着させて離型後、アニーリング処理(110℃×2h)をして積層セミレンズを調製した。、該半製品の外周を切削(バリ取り)・研磨して、直径70mmの積層レンズ製品(試験片)(ハードコート未処理品)とした。
<縁部歪抑制効果確認試験>
・上記で調製した各試験片について、Carton社製の三芯カーブ計を用いて、横軸方向の中心部と縁部(外周10mm内側)のカーブ値を測定し、それらのカーブ差を求めた。
・参考のために、成形材料(モノマー)の初期粘度及び測定軟化点を、それぞれ下記方法で判定した
初期粘度:アズワン社製「ビスコテスターVT-06」を用いて、原材料調合完了時(滴下作業直前)に測定した。
軟化点:レンズ面に三芯ダイヤルゲージ(尾崎製作所社製「DGN257」)を載せ昇温させ深さ数値が変化したときの温度を測定した。
これらの試験結果を表1―2に示す。EOPOのうち、BPA誘導体が縁部歪抑制効果が顕著である(基本組成が同一である実施例1-9・1-10に対して実施例1-8)。BPA誘導体の添加量は多いほど縁部歪抑制効果が大きく、3~30部が望ましく、特に8部以上が歪抑制効果が大きい(実施例1-3~1-5)。また、樹脂層厚が薄い方が歪抑制効果が大きい(層厚0.8mm実施例1-3に対して層厚0.1mmの実施例1-5)。さらに、EOPO無添加の比較例1-1,1-2はいずれも、実施例に比して縁部歪が大きい。
<ハードコート処理前後の度数変化確認試験>
実施例1-1及び比較例1-1各基本処方において、調光剤(GRAY)、特定波長吸収剤及びブルーカット剤配合の処方とした各機能性樹脂材料を用いて各基本処方と同様にして調製した。そして、レンズ基体をエピスルフィド樹脂(nD:1.74)とする機能性レンズをマルチコート(ハードコート処理(110℃))を行った。そして、処理前後における横軸方向(S)及び縦軸方向(C)の度数を測定し、処理前後の度数変化を求めた。それらの結果を表2に示す。BPA誘導体を配合した実施例1-1は度数変化がほとんどないのに対し、同配合しない比較例1-1は度数変化、特に横軸方向が大である。BPA誘導体の配合により横軸方向の度数変化が抑制される。
《実施例2・比較例2群》
<機能性樹脂層の成形>
機能性樹脂層15を形成するチオウレタン系樹脂は、下記組成処方(括弧内官能基モル数)のものを使用した。
NBDI:46部(0.44)、GST:36部(0.41)、EOPO(B):18部(0.01)。ここで、NCO/SH:1.07、NCO/(SH+OH)=1.07となる。
(i)上記組成処方に基づいて、《実施例1群・比較例1群》と同様にして成形材料を調製した。なお、静的粘度(前記方法で測定)は、0.03Pa・sであった。
(ii)賦形偏光フィルムは、肉厚:33μmのPVAL偏光フィルムを0.5カーブ(曲率半径1046mm)に賦形(外周略八角形)したものを用いた。
(iii)レンズ基体は、表2に示す各有機ガラス材料の注入成形品(自製)又は射出成型品(市販品)を用いた。いずれも:外径80mm、0.5カーブ品を用いた。
(iv)前記座型に前記スペーサ型を組付け、図2に示す成形方法で偏光レンズ(試験片)を調製した。
具体的には、下記の通りである。
(i)スペーサ型にガラス座型を組付け、座型くぼみの中心部に各成形材料5gを第一滴下する。
(ii)ガラス座型と同一カーブの賦形偏光フィルムをスペーサ型に載せる。
(iii)PVA偏光フィルムの上にチオウレタン樹脂接着剤2gを第二滴下する。
(iv)表示の各レンズ基体を載せる。
上記で調製した未硬化組立体を、オーブンに投入し、雰囲気温度:70℃開始→100℃終了するように加熱時間6hで硬化処理を行った。続いて、ガラス座型とPPスペーサ型を外し、アニーリング処理()を行ってセミレンズ(半製品)を調製した。該半製品の外周を切削(バリ取り)・研磨して直径70mmのマルチコート未処理の製品レンズ(試験片)とした。その後、慣用のマルチコート処理を行って各試験片を調製した。ここで、このマルチコートは、慣用の下塗り処理、ハードコート処理(110℃×2h)及び反射防止膜処理により形成した。
そして、各試験片について、下記各項目の評価試験を行った。
<フィルム位置ずれ試験>
試験片をを切断し、凸面から偏光フィルムの「位置ずれ距離」をアズワン社製顕微鏡「USB LDE-07W」で測定した。
結果を示す表3から、テーピング工法の比較例2-1も、本発明の成形法と位置決め性を略同様であった。ただし、ガスケットを用いた成形法の比較例2-1´の場合フィルムがカーリングしてしまい取り付け不能であった。
<密着性試験>
下記各項目の評価試験を行った。
(a)万力破壊試験:
中心厚2mmの度なしレンズにし、玉型加工後、万力で挟み外径を70%まで曲げる。フィルム剥れの有無を目視判定した。
(b)ナイロール加工試験:
玉型加工ナイロール溝0.5mm深さ1mmで加工後マイナスドライバーでこじた。フィ
ルム剥がれの有無を目視判定した。
(c)穴あけ加工試験
ドリルで1.5mmの穴をあけてフィルム剥がれの有無を目視判定した。
試験結果を表3に示す。各実施例は、いずれの試験項目においても密着良好を示したのに対し、テーピング工法の比較例2-1は、いずれの試験項目においても密着不良を示した。
<耐衝撃性試験>
上記各試験片を中心厚1.2mmに加工し、シリコン系ハードコート後(硬化雰囲気:110℃)後、蒸着法により反射防止膜を施したものを試験片とした。各試験片のレンズ中心部に対して、127cmの高さから鋼球を下記重さ順に落下させ、貫通した重量を求めた。
16.2g→32g→50g→75g→100g→200g→300g→400g→500g
試験結果を表2に示すとともに参考各レンズ基体の貫通した重量も付記する。本発明の積層レンズは耐衝撃性が良好なことが分かる。また、貫通重量が50gのエピスルフィド樹脂やADCは格段に耐衝撃性が向上している。
Figure 2022158759000003
Figure 2022158759000004
Figure 2022158759000005
Figure 2022158759000006
11・・・レンズ基体(透明樹脂基体)
12・・・機能性樹脂層
13・・・ガラス座型(座型)
13a・・・座部
13b・・・凹面
15・・・スペーサ型
15a・・・スペーサ部
15b・・・上円筒部
15c・・・下円筒部
M ・・・機能性樹脂モノマー(成形材料)

Claims (9)

  1. 透明樹脂基体の少なくとも片面に機能性樹脂層を備えた透明樹脂積層体の成形方法であって、
    (1)透明樹脂基体の下面に対応した凹面を備えた座型を用意し、前記凹面に前記機能性樹脂層を形成可能な量を超えて熱硬化性の成形材料のモノマー(プレポリマーを含む。以下同じ。)を滴下する第一工程、
    (2)該滴下モノマー上に前記透明樹脂基体を載置した組立体を、前記成形材料のゲル化可能温度雰囲気に所定時間曝して、前記座型/記透明樹脂基体間のエア抜きをしながら前記モノマーを前記透明樹脂基体の下面を拡散さらにゲル化させて賦形する第二工程、
    (3)前記第二工程後の組立体における前記ゲル化賦形物を硬化させ離型する第三工程、
    を含むことを特徴とする透明樹脂積層体の成形方法。
  2. さらに、スペーサ部の上下に前記透明樹脂基体が遊嵌可能な上円筒部及び前記座型が篏合可能な下円筒部を備えたスペーサ型を用意し、該スペーサ型の下円筒部に前記座型を組付けて前記第一工程における前記成形材料のモノマーの第一滴下を行うことを特徴とする請求項1記載の透明樹脂積層体の成形方法。
  3. 透明樹脂基体(半製品)の片面又は両面に機能性を有する機能性フィルムが埋設された機能樹脂層を備えた透明樹脂積層体の成形方法であって、
    (1)透明樹脂基体の下面に対応した凹面を備えた座型を用意し、前記凹面に前記機能性樹脂層を形成可能な量を超えて熱硬化性の成形材料のモノマーを第一滴下し、さらに、該滴下モノマー上に前記機能性フィルムを載置し第二滴下をする第一工程、
    (2)該第二滴下モノマー上に前記透明樹脂基体を載置した組立体を、前記成形材料のゲル化可能温度雰囲気に所定時間曝して、前記座型と前記透明樹脂基体間のエア抜きをしながら前記モノマーを拡散さらにゲル化させて賦形する第二工程、
    (3)前記第二工程後の組立体におけるゲル化賦形物を硬化させ離型する第三工程、
    を含むことを特徴とする透明樹脂積層体の成形方法。
  4. さらに、スペーサ部の上下に前記透明樹脂基体が遊嵌可能な上円筒部及び前記座型が密篏可能な下円筒部を備えたスペーサ型を用意し、該スペーサ型の下円筒部に前記座型を組付けて前記第一工程における前記成形材料のモノマーの前記第一滴下を行い、さらに、前記スペーサ型に前記延伸フィルムを載置し、前記第二滴下を行うことを特徴とする請求項3記載の透明樹脂積層体の成形方法。
  5. 機能性フィルム又は機能性シートが両面に熱硬化性の上・下透明樹脂層を備えた樹脂レンズの成形方法であって、
    (1)凹面及び凸面を備えた下型および上型、さらに、スペーサ部の上下に前記上型が遊嵌可能な上円筒部及び前記下型が密篏可能な下円筒部を備えたスペーサ型を用意し、前記下型の凹面に前記下透明樹脂層を形成可能な量を超えて熱硬化性の成形材料のモノマーを第一滴下し、さらに、前記スペーサ型に前記機能性フィルムを載置して、前記上透明樹脂層を形成可能な量を超えて前記第二滴下をする第一工程、
    (2)該第二滴下モノマー上に前記上型を載置した組立体を、前記成形材料のゲル化可能温度雰囲気に所定時間曝して、前記下型と前記上型のエア抜きをしながら前記モノマーを拡散さらにゲル化させて賦形する第二工程、
    (3)前記第二工程後の組立体におけるゲル化賦形物を硬化させ離型する第三工程、
    を含むことを特徴とする樹脂レンズの成形方法。
  6. 前記第二滴下を、前記機能性フィルムの周縁を前記スペーサ型の上円筒部の内面に接触又は係合させて行なうことを特徴とする請求項4又は5記載の樹脂積層体の成形方法。
  7. 請求項1~5のいずれかにおいて、前記機能性フィルムが偏光フィルムであることを特徴とする。
  8. 請求項1~5のいずれか成形方法で使用する前記機能性樹脂層又は上・下透明樹脂層の成形材料組成物であって、NCO成分が脂環系ジイソシアナートからなる又は主体であるともにSH成分の平均官能基数が3.0以上であり、さらに、改質成分としてEOPO又はそのEOPO鎖含有ポリオールを含有させて、前記滴下後モノマーが前記透明樹脂基体の載置時に前記拡散可能な粘度に調節されていることを特徴とするチオウレタン系樹脂組成物。
  9. 前記EOPO鎖含有ポリマーがビスフェノール誘導体であることを特徴とする請求項8記載のチオウレタン樹脂組成物。
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