JP2022158438A - 酸化物結晶材料、蛍光体材料、該蛍光体材料を備えた装置、及び該酸化物結晶材料を含むLiイオン伝導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規組成を有する酸化物結晶材料を提供することを課題とする。【解決手段】式(1)で表される酸化物結晶材料を提供する。AxLyMzO11・・・(1)(式(1)中、Aは少なくともリチウム元素を含み、Lはアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上を含み、MはB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上を含む。また、x、y、zはそれぞれ6.3≦x≦7.7、2.7≦y≦3.3、2.7≦z≦3.3を満たす。)【選択図】図1
Description
本発明は、新規組成を有する酸化物結晶材料に関する。
放射線を検出するための蛍光体材料は、代表的なものとして、Lu2SiO5、Lu3Al5O12、Gd2Si2O7などが知られている。これらの分野の研究開発では、これらの化合物の構造をベースとして、母体原子を同族原子で置換したり、発光中心原子とともに価数の異なる不純物原子を共添加するなどの方法で、シンチレータ特性の改善が図られてきた(特許文献1~3参照)。
しかし、従来行われてきたシンチレータ特性の改善方法では、母体の結晶構造が同じである以上、原子置換や不純物添加による改善には限界があり、輝度や減衰時間などの点でより優れた蛍光体材料を開発するには、従来蛍光体としての応用が知られていない結晶構造や組成を有する新しい酸化物結晶材料の創出が必要となる。
本発明は、新規酸化物結晶材料を提供することを課題とする。
本発明は、新規酸化物結晶材料を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題の解決を目的として、酸化物結晶材料の探索を鋭意検討したところ、従来とは異なる組成、結晶構造を有する、新しい酸化物結晶材料に想到し本発明を完成させた。
本発明は、以下の酸化物結晶材料を含む。
[1]式(1)で表される酸化物結晶材料。
AxLyMzO11 ・・・(1)
(式(1)中、Aは少なくともリチウム元素を含み、Lはアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上を含み、MはB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上を含む。また、x、y、zはそれぞれ6.3≦x≦7.7、2.7≦y≦3.3、2.7≦z≦3.3を満たす。)
[2]前記式(1)中、Lは少なくともバリウム元素を含み、Mは少なくともアルミニウム元素を含む、[1]に記載の酸化物結晶材料。
[3]前記式(1)中のMは、賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含む、[1]又は[2]に記載の酸化物結晶材料。
[4]格子定数a、b、cを有し、かつ、立方晶、正方晶、直方晶のいずれかである[1]~[3]のいずれかに記載の酸化物結晶材料。
但し、格子定数a、b、cは単結晶構造解析によって決定されたものであり、以下を満たす。
11.828Å≦a≦14.488Å、
11.857Å≦b≦14.496Å、
11.824Å≦c≦14.476Å
[5]透明セラミックス体である、[1]~[4]のいずれかに記載の酸化物結晶材料。[6][1]~[5]のいずれかに記載の酸化物結晶材料を含み、
100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、蛍光体材料。
[7]一般式(2)で表される酸化物結晶材料であって、結晶格子中のLiサイト、L’サイト、M’サイト及びOサイトにおいてそれぞれ10at%以下の原子が欠失又は置換した酸化物結晶材料であって、
賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含ませた際、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、酸化物結晶材料。
Li7L’3M’3O11 ・・・(2)
(一般式(2)中、L’はアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上であり、M’はB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上である。)
[8][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、発光装置。
[9][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、画像表示装置。
[10][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、放射線検出を利用した検査装置。
[11][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、放射線検出を利用した診断装置。
[12][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料を含むLiイオン伝導体。
[1]式(1)で表される酸化物結晶材料。
AxLyMzO11 ・・・(1)
(式(1)中、Aは少なくともリチウム元素を含み、Lはアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上を含み、MはB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上を含む。また、x、y、zはそれぞれ6.3≦x≦7.7、2.7≦y≦3.3、2.7≦z≦3.3を満たす。)
[2]前記式(1)中、Lは少なくともバリウム元素を含み、Mは少なくともアルミニウム元素を含む、[1]に記載の酸化物結晶材料。
[3]前記式(1)中のMは、賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含む、[1]又は[2]に記載の酸化物結晶材料。
[4]格子定数a、b、cを有し、かつ、立方晶、正方晶、直方晶のいずれかである[1]~[3]のいずれかに記載の酸化物結晶材料。
但し、格子定数a、b、cは単結晶構造解析によって決定されたものであり、以下を満たす。
11.828Å≦a≦14.488Å、
11.857Å≦b≦14.496Å、
11.824Å≦c≦14.476Å
[5]透明セラミックス体である、[1]~[4]のいずれかに記載の酸化物結晶材料。[6][1]~[5]のいずれかに記載の酸化物結晶材料を含み、
100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、蛍光体材料。
[7]一般式(2)で表される酸化物結晶材料であって、結晶格子中のLiサイト、L’サイト、M’サイト及びOサイトにおいてそれぞれ10at%以下の原子が欠失又は置換した酸化物結晶材料であって、
賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含ませた際、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、酸化物結晶材料。
Li7L’3M’3O11 ・・・(2)
(一般式(2)中、L’はアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上であり、M’はB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上である。)
[8][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、発光装置。
[9][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、画像表示装置。
[10][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、放射線検出を利用した検査装置。
[11][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料又は[6]に記載の蛍光体材料を備えた、放射線検出を利用した診断装置。
[12][1]~[5]及び[7]のいずれかに記載の酸化物結晶材料を含むLiイオン伝導体。
本発明により、新規組成を有する酸化物結晶材料が提供される。
本発明の一実施形態は新規酸化物結晶材料である。本実施形態に係る酸化物結晶材料は下記式(1)を満たす酸化物結晶材料である。
AxLyMzO11 ・・・(1)
(式(1)中、Aは少なくともリチウム元素を含み、Lはアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上を含み、MはB、Al、Ga、In、Si及
びGeからなる群から選択される1種以上を含む。また、x、y、zはそれぞれ6.3≦x≦7.7、2.7≦y≦3.3、2.7≦z≦3.3を満たす。)
AxLyMzO11 ・・・(1)
(式(1)中、Aは少なくともリチウム元素を含み、Lはアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上を含み、MはB、Al、Ga、In、Si及
びGeからなる群から選択される1種以上を含む。また、x、y、zはそれぞれ6.3≦x≦7.7、2.7≦y≦3.3、2.7≦z≦3.3を満たす。)
式(1)において、Aは、少なくともリチウム元素(Li)を含むが、Liサイトはその一部がほかの元素で置換されてもよい。A全量に対して、Liを50at%以上含むことが好ましく、80at%以上含むことがより好ましい。上記範囲であれば、上記式(1)で表される組成を有する化合物が安定に生成され得る。Aが含み得るLi以外の元素としてはNa、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、Si、Ge、Snが挙げられる。
式(1)において、Lの典型例は、Mg、Ca、Sr、Ba、Laであり、少なくともSr及び/又はBaを含むことが好ましく、少なくともBaを含むことがより好ましい。LにSr及び/又はBaを含む場合、L全量に対して50at%以上含むことが好ましく、80at%以上含むことが好ましい。
式(1)において、Mは少なくともAlを含むことが好ましい。MにAlを含む場合、M全量に対して50at%以上含むことが好ましく、80at%以上含むことが好ましい。
式(1)において、Oサイトはその一部がほかの元素で置換されてもよい。O全量に対して、Oを50%以上含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましい。上記範囲であれば、上記式(1)で表される組成を有する化合物が安定に生成され得る。
式(1)において、Lの典型例は、Mg、Ca、Sr、Ba、Laであり、少なくともSr及び/又はBaを含むことが好ましく、少なくともBaを含むことがより好ましい。LにSr及び/又はBaを含む場合、L全量に対して50at%以上含むことが好ましく、80at%以上含むことが好ましい。
式(1)において、Mは少なくともAlを含むことが好ましい。MにAlを含む場合、M全量に対して50at%以上含むことが好ましく、80at%以上含むことが好ましい。
式(1)において、Oサイトはその一部がほかの元素で置換されてもよい。O全量に対して、Oを50%以上含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましい。上記範囲であれば、上記式(1)で表される組成を有する化合物が安定に生成され得る。
上記式(1)のA、L、及びMは、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上の賦活剤を含んでもよい。賦活剤を含むことで、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起されて発光する。電離放射線検出用の酸化物結晶材料としては、Ce、Pr、Nd、Eu、Tbのうち1種以上を含むことが好ましく、Eu又はCeを含むことがより好ましく、Ceを含むことが特に好ましい。発光量、発光寿命の制御の観点で、アルカリ土類金属などの上記賦活剤として例示した原子以外の原子を、賦活剤と共に添加することもできる。賦活剤を含む場合、その含有量はA、L、又はMの全量に対し、それぞれ0.002at%以上30at%以下含むことが好ましく、0.01at%以上20at%以下含むことが好ましい。
詳細は実施例において説明するが、本発明者らは、式(1)で表される化合物のうち、組成式がLi7Ba3Al3O11である単結晶について結晶構造解析を行ったところ、Li7Ba3Al3O11結晶は直方晶であった。また、空間群はPnnnに属し、格子定数はa=13.1424~13.1706Å、b=13.1743~13.1785Å、c=13.1372~13.1598Å、α=β=γ=90°、格子体積はV=2275.5316~2283.2612Å3であった。
また、Li7Ba3Al3O11結晶にEuを添加した多結晶体試料について、粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行ったところ、格子定数は、a=13.1908~13.1962Å、b=13.2102~13.2129Å、c=13.1334~13.1401Å、α=β=γ=90°、格子体積はV=2289.20~2290.58Å3であった。
また、Li7Ba3Al3O11結晶にEuを添加した多結晶体試料について、粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行ったところ、格子定数は、a=13.1908~13.1962Å、b=13.2102~13.2129Å、c=13.1334~13.1401Å、α=β=γ=90°、格子体積はV=2289.20~2290.58Å3であった。
上記結果に例示されるように、本実施形態に係る新規酸化物結晶材料は、その格子定数が、11.828Å≦a≦14.488Å、11.857Å≦b≦14.496Å、11.824Å≦c≦14.476Åの範囲であることが好ましく、12.485Å≦a≦13.829Å、12.516Å≦b≦13.837Å、12.480Å≦c≦13.818Åの範囲であることがより好ましい。また、格子体積Vが2048Å3≦V≦2512Å3の範囲であることが好ましく、2162Å3≦V≦2397Å3の範囲であることがより好ましい。
上記格子定数は、本実施形態に係る新規酸化物結晶材料の単結晶の結晶構造解析によっ
て求めることができる。本実施形態に係る新規酸化物結晶材料が、粉体等の多結晶体である場合も、略同一の組成を有する単結晶の結晶構造解析の結果を利用して、リートベルト解析を行うことによって、格子定数を求めることができる。
上記格子定数は、本実施形態に係る新規酸化物結晶材料の単結晶の結晶構造解析によっ
て求めることができる。本実施形態に係る新規酸化物結晶材料が、粉体等の多結晶体である場合も、略同一の組成を有する単結晶の結晶構造解析の結果を利用して、リートベルト解析を行うことによって、格子定数を求めることができる。
これらの結果に基づき本発明者らは、本実施形態に係る新規酸化物結晶材料は、La3Cr9.236N11(立方晶系、格子定数a=12.982(1)Å、空間群Fm-3m)と類似の構造であることに想到した。
本実施形態に係る酸化物結晶材料は、構成原子の一部、または、全てを他の原子で置き換えた固溶体、置換体を合成することが可能である。ここで、原子の選択は、用途、目的に応じて適した原子を選択することができる。
例えば、放射線検出器用途においては、放射線との反応断面積の観点から原子番号の大きい原子で構成されることが好ましい。例えば、放射線検出用途において、放射線がX線、γ線である場合は、反応断面積の観点から原子番号の大きい原子で構成されることが好ましい。一方、放射線が中性子線である場合は、Li、B、Gdなどの中性子線との反応断面積の大きい原子で構成されることが好ましい。
その他、発光量、減衰時間、材料安定性、合成のしやすさなどの観点で、適宜適した原子を選択することが好ましい。
また、Liイオン電池用途においては、Liイオン伝導率の観点から、Liを含むことが好ましい。
また、化合物として電気的中性が保たれれば、置換する原子は構成原子と同族の原子に限らず、族の異なる原子でも置換体の生成は可能である。
例えば、放射線検出器用途においては、放射線との反応断面積の観点から原子番号の大きい原子で構成されることが好ましい。例えば、放射線検出用途において、放射線がX線、γ線である場合は、反応断面積の観点から原子番号の大きい原子で構成されることが好ましい。一方、放射線が中性子線である場合は、Li、B、Gdなどの中性子線との反応断面積の大きい原子で構成されることが好ましい。
その他、発光量、減衰時間、材料安定性、合成のしやすさなどの観点で、適宜適した原子を選択することが好ましい。
また、Liイオン電池用途においては、Liイオン伝導率の観点から、Liを含むことが好ましい。
また、化合物として電気的中性が保たれれば、置換する原子は構成原子と同族の原子に限らず、族の異なる原子でも置換体の生成は可能である。
上記新規酸化物結晶材料は、上記賦活剤を添加することで、蛍光体として機能し得る。
蛍光体を粉体として用いる場合には、体積基準の平均一次粒子径(D50)が通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常500μm以下、好ましくは200μm以下である。また、陽電子放射断層撮影(PET)装置などに用いる電離放射線検出用の蛍光体としては、単結晶、または、透明セラミックスであることが好ましい。
蛍光体を粉体として用いる場合には、体積基準の平均一次粒子径(D50)が通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、また通常500μm以下、好ましくは200μm以下である。また、陽電子放射断層撮影(PET)装置などに用いる電離放射線検出用の蛍光体としては、単結晶、または、透明セラミックスであることが好ましい。
以下、本実施形態に係る酸化物結晶材料を得る方法を例示する。
原料は、各々の構成原子の酸化物を用いることができる。蛍光体材料として用いる場合は、微量な不純物原子が発光中心からの発光を阻害する可能性があるため、純度3N以上の原料を用いることが好ましい。さらには、純度4N以上の原料を用いることがより好ましい。
目的とする組成が得られるように原料を秤量し、ボールミル等を用いて十分混合したのち、ルツボに充填し、所定温度、雰囲気下で焼成し、焼成物を粉砕、洗浄することにより、本実施形態に係る酸化物結晶材料を得ることができる。
原料は、各々の構成原子の酸化物を用いることができる。蛍光体材料として用いる場合は、微量な不純物原子が発光中心からの発光を阻害する可能性があるため、純度3N以上の原料を用いることが好ましい。さらには、純度4N以上の原料を用いることがより好ましい。
目的とする組成が得られるように原料を秤量し、ボールミル等を用いて十分混合したのち、ルツボに充填し、所定温度、雰囲気下で焼成し、焼成物を粉砕、洗浄することにより、本実施形態に係る酸化物結晶材料を得ることができる。
原料を混合する方法は特に限定されず、一般的に用いられている方法が適用可能であり、乾式混合法、湿式混合法のいずれであってもよい。
乾式混合法としては、例えば、ボールミルなどを用いた混合があげられる。
湿式混合法としては、例えば、原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、乳鉢と乳棒、を用いて混合し、分散溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる方法があげられる。
原料を混合する雰囲気は特に限定されないが、原料粉末が水分等と反応して変質する場合は、不活性雰囲気中で秤量、混合することが好ましい。
乾式混合法としては、例えば、ボールミルなどを用いた混合があげられる。
湿式混合法としては、例えば、原料に水等の溶媒又は分散媒を加え、乳鉢と乳棒、を用いて混合し、分散溶液又はスラリーの状態とした上で、噴霧乾燥、加熱乾燥、又は自然乾燥等により乾燥させる方法があげられる。
原料を混合する雰囲気は特に限定されないが、原料粉末が水分等と反応して変質する場合は、不活性雰囲気中で秤量、混合することが好ましい。
得られた混合物は、各酸化物原料と反応性の低い材料からなるルツボ又はトレイ等の耐熱容器中に充填し、焼成される。焼成時に用いる耐熱容器の材質としては、各酸化物原料と反応性の低い材料であれば特に制限はないが、例えば、アルミナ、ジルコニア、石英、
または、Pt、Pt/Rh合金、Irなどの白金系の容器が挙げられる。焼成時の雰囲気は、還元雰囲気での焼成であってよく、この場合は、アルミナ、ジルコニア、石英、または、白金系の容器以外に、Mo、W、Ni系の容器なども使用できる。
または、Pt、Pt/Rh合金、Irなどの白金系の容器が挙げられる。焼成時の雰囲気は、還元雰囲気での焼成であってよく、この場合は、アルミナ、ジルコニア、石英、または、白金系の容器以外に、Mo、W、Ni系の容器なども使用できる。
焼成温度、時間については、本実施形態に係る酸化物結晶材料が得られる限り特に制限はなく、混合した各原料が充分に反応する温度、時間とすることが好ましい。ただし、温度が高すぎる場合、焼成時間が長すぎる場合は、原料成分の蒸発による組成ずれを起こす恐れがある。通常500℃以上、1000℃以下で焼成され、600℃以上、900℃以下での焼成が好ましい。
焼成時の圧力については、本実施形態に係る酸化物結晶材料が得られる限り特に制限はないが、実施容易性の観点からは常圧での焼成が好ましい。
また、焼成時の雰囲気は、本実施形態に係る酸化物結晶材料が得られる限り特に制限はないが、材料や焼成部材の安定性を考慮し、適宜適した雰囲気をとることが好ましい。例えば、Ce3+を発光中心とする蛍光体材料とする場合、Ce3+←→Ce4+の価数変化を抑える目的では、還元雰囲気とすることが好ましい。具体的には、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気、または、これらの水素含有雰囲気が挙げられる。一方、還元雰囲気とすることで、蛍光体中に酸素欠陥などが導入され、特性に悪影響を与える場合には、酸化雰囲気とすることが好ましい。具体的には、数ppm以上の酸素を含有するアルゴン雰囲気、窒素雰囲気、または、大気雰囲気などが挙げられる。また、還元雰囲気で焼成した後、酸化雰囲気でアニールするなどの手法も用いることができる。
また、焼成時の雰囲気は、本実施形態に係る酸化物結晶材料が得られる限り特に制限はないが、材料や焼成部材の安定性を考慮し、適宜適した雰囲気をとることが好ましい。例えば、Ce3+を発光中心とする蛍光体材料とする場合、Ce3+←→Ce4+の価数変化を抑える目的では、還元雰囲気とすることが好ましい。具体的には、アルゴン雰囲気、窒素雰囲気、または、これらの水素含有雰囲気が挙げられる。一方、還元雰囲気とすることで、蛍光体中に酸素欠陥などが導入され、特性に悪影響を与える場合には、酸化雰囲気とすることが好ましい。具体的には、数ppm以上の酸素を含有するアルゴン雰囲気、窒素雰囲気、または、大気雰囲気などが挙げられる。また、還元雰囲気で焼成した後、酸化雰囲気でアニールするなどの手法も用いることができる。
単結晶が必要な場合は、上記焼成により得られた焼成体を、加熱溶融し、融液から単結晶を作製することができる。単結晶作製時の容器や雰囲気は、焼成と同様の観点で適宜選択することができる。単結晶育成の方法には特に制限がなく、一般的なチョクラルスキー法、ブリッジマン法、マイクロ引下げ法、EFG法、ゾーンメルト法、などを用いることができる。融点を下げる目的では、フラックス法などを用いることもできる。大型の結晶を育成する観点では、チョクラルスキー法、ブリッジマン法が好ましい。
また、上記新規酸化物結晶材料は、立方晶La3Cr9.236N11(立方晶系、格子定数a=12.982(1)Å、空間群Fm-3m)と類似の構造であり、格子定数からも正方晶に近いことから、透明セラミックスとして用いられ得る。
上記酸化物結晶材料を含む透明セラミックスは公知の製造方法により製造することができる。例えば、適切な原料粒径、焼結助剤、焼結温度プログラムを用いて、常圧焼結法、ホットプレス法、通電加熱プラズマ焼結法、熱間等方圧加圧法により焼結する方法が挙げられる。
上記酸化物結晶材料を含む透明セラミックスは公知の製造方法により製造することができる。例えば、適切な原料粒径、焼結助剤、焼結温度プログラムを用いて、常圧焼結法、ホットプレス法、通電加熱プラズマ焼結法、熱間等方圧加圧法により焼結する方法が挙げられる。
本発明の一実施形態は、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、最大発光ピーク波長が、150nm~800nmの波長領域内に存在する蛍光体材料である。電離放射線としてはX線、γ線、α線、中性子線が利用される。
また、本発明の一実施形態は、一般式(2)で表される酸化物結晶材料であって、結晶格子中のLiサイト、L’サイト、M’サイト及びOサイトにおいてそれぞれ10at%以下の原子が欠失又は置換した酸化物結晶材料であって、賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含ませた際、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、酸化物結晶材料である。
Li7L’3M’3O11 ・・・(2)
(一般式(2)中、L’はアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択さ
れる1種以上であり、M’はB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上である。)
Li7L’3M’3O11 ・・・(2)
(一般式(2)中、L’はアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択さ
れる1種以上であり、M’はB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上である。)
一般式(2)において、L’の典型例は、Mg、Ca、Sr、Ba、Laであり、少なくともSr及び/又はBaを含むことが好ましく、少なくともBaを含むことがより好ましい。
一般式(2)において、M’は、少なくともAlを含むことが好ましい。
一般式(2)において、M’は、少なくともAlを含むことが好ましい。
本実施形態において欠失又は置換される構成原子は、結晶格子中のLiサイト、L’サイト、M’サイト及びOサイトにおいてそれぞれ10at%以下であることが好ましく、8at%以下であることがより好ましく、5at%以下であることが特に好ましい。下限は特に限定されないが、通常0at%以上である。
また、構成原子は、化合物として電気的中性が保たれれば、任意の原子に置換することができ、族の異なる原子に置換してもよい。
特に、上記式(2)のLi、L’、及びM’は、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上の賦活剤により一部が置換されてもよい。賦活剤を含むことで、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起されて発光する。電離放射線検出用の酸化物結晶材料としては、Ce、Pr、Nd、Eu、Tbのうち1種以上を含むことが好ましく、Eu又はCeを含むことがより好ましく、Ceを含むことが特に好ましい。発光量、発光寿命の制御の観点で、アルカリ土類金属などの上記賦活剤として例示した原子以外の原子を、賦活剤と共に添加することもできる。
賦活剤を含む場合、その含有量はLiサイト、L’サイト、又はM’サイトのそれぞれに対し、それぞれ0.002at%以上含むことが好ましく、0.01at%以上含むことが好ましい。
また、構成原子は、化合物として電気的中性が保たれれば、任意の原子に置換することができ、族の異なる原子に置換してもよい。
特に、上記式(2)のLi、L’、及びM’は、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上の賦活剤により一部が置換されてもよい。賦活剤を含むことで、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起されて発光する。電離放射線検出用の酸化物結晶材料としては、Ce、Pr、Nd、Eu、Tbのうち1種以上を含むことが好ましく、Eu又はCeを含むことがより好ましく、Ceを含むことが特に好ましい。発光量、発光寿命の制御の観点で、アルカリ土類金属などの上記賦活剤として例示した原子以外の原子を、賦活剤と共に添加することもできる。
賦活剤を含む場合、その含有量はLiサイト、L’サイト、又はM’サイトのそれぞれに対し、それぞれ0.002at%以上含むことが好ましく、0.01at%以上含むことが好ましい。
本発明の各実施形態に係る酸化物結晶材料は、発光装置、画像表示装置、電離放射線検出装置、Liイオン電池部材等の用途に用いることができる。
放射線検出器の用途に用いられる際、酸化物結晶材料は、粉体、セラミックス、単結晶のいずれの形態でもよい。また、酸化物結晶材料は、受光器と組み合わせることで、放射線検出器としての使用が可能となる。放射線検出器において使用される受光器としては、位置検出型光電子増倍管(PS-PMT)、シリコンフォトマルチプライヤー(Si-PM)フォトダイオード(PD)またはアバランシェ-フォトダイオード(APD)があげられる。
放射線検出器の用途に用いられる際、酸化物結晶材料は、粉体、セラミックス、単結晶のいずれの形態でもよい。また、酸化物結晶材料は、受光器と組み合わせることで、放射線検出器としての使用が可能となる。放射線検出器において使用される受光器としては、位置検出型光電子増倍管(PS-PMT)、シリコンフォトマルチプライヤー(Si-PM)フォトダイオード(PD)またはアバランシェ-フォトダイオード(APD)があげられる。
さらに、これらの放射線検出器を備えることで放射線検査装置としても使用可能である。放射線検査装置としては、非破壊検査用検出器、資源探査用検出器、高エネルギー物理用検出器などの非破壊検査用の検査装置、又は医用画像処理装置などの診断装置があげられる。医用画像処理装置の例としては、陽電子放射断層撮影(PET)装置、X線CT、SPECTなどがあげられる。また、PETの形態としては、二次元型PET、三次元型PET、タイム・オブ・フライト(TOF)型PET、深さ検出(DOI)型PETがあげられる。また、これらを組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係る酸化物結晶材料を放射線検出器用途で用いる場合、発光量や発光寿命の短寿命化を目的として不純物を共添加してもよい。
また、酸化物結晶材料の形態には特に制限がなく、粉末、焼結体、単結晶、透明セラミックス、シートのいずれでもよく、各々の用途、目的に合わせた形態が好ましい。例えば、PET装置では、単結晶又は透明セラミックスが好ましく、X線CT装置では単結晶、焼結体のブロック、又は透明セラミックス、非破壊検査用のX線検出フィルムとして用いる場合は、粉末を樹脂性のシートに分散させたフィルムとして用いることが好ましい。ま
た、本実施形態に係る酸化物結晶材料をLiイオン電池用部材用途で用いる場合は、焼結体又はシートとして用いることが好ましい。
また、酸化物結晶材料の形態には特に制限がなく、粉末、焼結体、単結晶、透明セラミックス、シートのいずれでもよく、各々の用途、目的に合わせた形態が好ましい。例えば、PET装置では、単結晶又は透明セラミックスが好ましく、X線CT装置では単結晶、焼結体のブロック、又は透明セラミックス、非破壊検査用のX線検出フィルムとして用いる場合は、粉末を樹脂性のシートに分散させたフィルムとして用いることが好ましい。ま
た、本実施形態に係る酸化物結晶材料をLiイオン電池用部材用途で用いる場合は、焼結体又はシートとして用いることが好ましい。
以下、本発明について、実施例により詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
<多結晶体試料の作製>
出発原料として酸化リチウム(Li2O:高純度化学研究所、LIO01PB)、酸化バリウム(BaO:高純度化学研究所、BAO03PB)、酸化アルミニウム(α-Al
2O3: レアメタリック、AL-76-20-0180)を使用した。出発原料の保存
と取り扱いはすべてAr雰囲気下で行われた。出発原料を表1に示す所定量秤量し、混合
後、直径5mm、厚さ1~2mmの円盤状に圧粉成形した。この成型体をアルミナボートにのせ、一端封じの石英ガラス管内に置き、Ar雰囲気中、700℃、770℃または800℃で6時間加熱して実施例1-3の多結晶体試料(焼結体)を得た。得られた試料をAr雰囲気下で乳鉢を用いて粉砕し、これを粉末試料とした。得られた粉末試料は白色であった。
出発原料として酸化リチウム(Li2O:高純度化学研究所、LIO01PB)、酸化バリウム(BaO:高純度化学研究所、BAO03PB)、酸化アルミニウム(α-Al
2O3: レアメタリック、AL-76-20-0180)を使用した。出発原料の保存
と取り扱いはすべてAr雰囲気下で行われた。出発原料を表1に示す所定量秤量し、混合
後、直径5mm、厚さ1~2mmの円盤状に圧粉成形した。この成型体をアルミナボートにのせ、一端封じの石英ガラス管内に置き、Ar雰囲気中、700℃、770℃または800℃で6時間加熱して実施例1-3の多結晶体試料(焼結体)を得た。得られた試料をAr雰囲気下で乳鉢を用いて粉砕し、これを粉末試料とした。得られた粉末試料は白色であった。
<多結晶体試料の組成分析>
実施例3の粉末試料について、ARCOS FHM22 MV130(SPECTRO
Analytical Instruments GmbH社製)を用いて誘導結合プラズマ発光分光分析を行い、試料中のLi、Ba、Al含有量を求めた。Li、Ba、Al含有量から推定される生成物の組成を表1に示す。実施例1-3において、Li7Ba3Al3O11の焼結体が得られた。また、実施例3の組成の分析結果を表2に示す。なお、この組成は作製した試料にLi、Ba、Al、O以外の不純物が含まれていないと仮定したときの焼結体全体に対する質量%及びLi7Ba3Al3O11であらわされる化合物1モルに対する各元素のモル比を示す。
表2に示されるように、作製した試料の組成は理論上の値と完全には一致しないことがある。この理由として、焼成時に一部の元素が蒸発した可能性が考えられる。
実施例3の粉末試料について、ARCOS FHM22 MV130(SPECTRO
Analytical Instruments GmbH社製)を用いて誘導結合プラズマ発光分光分析を行い、試料中のLi、Ba、Al含有量を求めた。Li、Ba、Al含有量から推定される生成物の組成を表1に示す。実施例1-3において、Li7Ba3Al3O11の焼結体が得られた。また、実施例3の組成の分析結果を表2に示す。なお、この組成は作製した試料にLi、Ba、Al、O以外の不純物が含まれていないと仮定したときの焼結体全体に対する質量%及びLi7Ba3Al3O11であらわされる化合物1モルに対する各元素のモル比を示す。
表2に示されるように、作製した試料の組成は理論上の値と完全には一致しないことがある。この理由として、焼成時に一部の元素が蒸発した可能性が考えられる。
<単結晶試料の作製>
Li:Ba:Alモル比を7.7:3:3とした以外は実施例1と同様に圧粉成型体を作製した。当該圧粉成型体を770℃で6時間加熱して反応焼結体試料を得た。この試料から単結晶を取り出し、実施例4とした。
また、上記圧粉成型体を770~810℃で6時間仮焼結後、さらに820℃で6時間加熱して、粒径20~40μmの結晶粒を含む反応焼結体試料を得た。この試料から単結晶を取り出し、実施例5及び6とした。
Li:Ba:Alモル比を7.7:3:3とした以外は実施例1と同様に圧粉成型体を作製した。当該圧粉成型体を770℃で6時間加熱して反応焼結体試料を得た。この試料から単結晶を取り出し、実施例4とした。
また、上記圧粉成型体を770~810℃で6時間仮焼結後、さらに820℃で6時間加熱して、粒径20~40μmの結晶粒を含む反応焼結体試料を得た。この試料から単結晶を取り出し、実施例5及び6とした。
<単結晶X線結晶構造解析>
実施例4-6の結晶粒をガラスファイバーの先端にエポキシ樹脂を用いて接着し、単結晶X線回折装置(Bruker AXS社製、D8 QUEST)とプログラムAPEX3(Bruker AXS社製)を用いてX線回折測定を行った。X線源にはMoKα線(λ=0.71073Å)を用いた。APEX3を用いて回折強度データ処理(強度の積分)や格子定数の精密化を行うとともに、測定されたX線回折像を再構成して作成されたプリセッションパターンを観察し、消滅則を決定した。また、APEX3に備えらえたX線吸収補正プログラム(SADABS)を用いてmulti-scan法によるX線吸収補正を行った。結晶モデルの導出にはAPEX3に収められているintrinsic phasingのプログラムを用いた。プログラムSHELXLを用いて結晶構造パラメータの精密化を行った。
実施例4-6の結晶粒をガラスファイバーの先端にエポキシ樹脂を用いて接着し、単結晶X線回折装置(Bruker AXS社製、D8 QUEST)とプログラムAPEX3(Bruker AXS社製)を用いてX線回折測定を行った。X線源にはMoKα線(λ=0.71073Å)を用いた。APEX3を用いて回折強度データ処理(強度の積分)や格子定数の精密化を行うとともに、測定されたX線回折像を再構成して作成されたプリセッションパターンを観察し、消滅則を決定した。また、APEX3に備えらえたX線吸収補正プログラム(SADABS)を用いてmulti-scan法によるX線吸収補正を行った。結晶モデルの導出にはAPEX3に収められているintrinsic phasingのプログラムを用いた。プログラムSHELXLを用いて結晶構造パラメータの精密化を行った。
実施例4-6のLi7Ba3Al3O11単結晶の結晶サイズ、格子定数(a、b、c)及び格子体積Vを表3に示す。格子定数から明らかなように、実施例4-6の単結晶は直方晶系であった。消滅則から決定された空間群は実施例4-6のいずれもPnnnであり、結晶構造解析の結果、La3Cr9.236N11(立方晶系、格子定数a=12.982(1)Å、空間群Fm-3m;Broll, S. and Jeitschko
, W., Zeitschrift fuer Naturforschung, B,1995,50 905-912)と類似の構造であることが示された。解析の信頼度を
示すR1値は、実施例4は5.5%、実施例5は4.2%、実施例6は2.9%であった。一例として、実施例5の解析で精密化された原子サイトの占有率と座標(x、y、z)、原子変位パラメータを表4に示す。また、表4のデータを用いて、プログラムVESTAにより描画した結晶構造を図1に示す。
, W., Zeitschrift fuer Naturforschung, B,1995,50 905-912)と類似の構造であることが示された。解析の信頼度を
示すR1値は、実施例4は5.5%、実施例5は4.2%、実施例6は2.9%であった。一例として、実施例5の解析で精密化された原子サイトの占有率と座標(x、y、z)、原子変位パラメータを表4に示す。また、表4のデータを用いて、プログラムVESTAにより描画した結晶構造を図1に示す。
<多結晶体試料の結晶相同定>
実施例1-3の粉末試料を試料台に乗せ、室温における粉末XRDパターンを解析した。測定にはCuKα線を線源とする粉末X線回折装置(BRUKER社製D2 PHASER)を使用した。格子定数の精密測定を行うため、Si粉末を内部標準試料として加えた。実施例2及び3は予想された回折ピークのみが観察されたため、単相であると考えら
れた。図2に実施例3の粉末X線回折パターンを実線で示す。
さらに、表4のデータをもとに、プログラムTOPAS(Bruker AXS社製)を用いて粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行うことによって、実施例3の格子定数を算出した。
リートベルト解析において、各原子サイトの座標、占有率、及び原子変位パラメータは、表4に記載した値に固定した。格子定数と試料高さ、ピークプロファイルとバックグラウンドパラメータを精密化した結果、Rwp=5.94%、Rp=4.43%となった。精密化された格子定数は、a=13.1989(2)Å、b=13.21248(19)Å、c=13.12915(13)Åであり、結晶系は直方晶系であった。
図2に、リートベルト解析により得られた回折パターンを点線で示す。
実施例1-3の粉末試料を試料台に乗せ、室温における粉末XRDパターンを解析した。測定にはCuKα線を線源とする粉末X線回折装置(BRUKER社製D2 PHASER)を使用した。格子定数の精密測定を行うため、Si粉末を内部標準試料として加えた。実施例2及び3は予想された回折ピークのみが観察されたため、単相であると考えら
れた。図2に実施例3の粉末X線回折パターンを実線で示す。
さらに、表4のデータをもとに、プログラムTOPAS(Bruker AXS社製)を用いて粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行うことによって、実施例3の格子定数を算出した。
リートベルト解析において、各原子サイトの座標、占有率、及び原子変位パラメータは、表4に記載した値に固定した。格子定数と試料高さ、ピークプロファイルとバックグラウンドパラメータを精密化した結果、Rwp=5.94%、Rp=4.43%となった。精密化された格子定数は、a=13.1989(2)Å、b=13.21248(19)Å、c=13.12915(13)Åであり、結晶系は直方晶系であった。
図2に、リートベルト解析により得られた回折パターンを点線で示す。
<多結晶体試料の拡散反射スペクトルの測定>
150φ積分球付属装置を取り付けた分光蛍光光度計(株式会社日立製作所U-3000形)を用いて実施例3の多結晶体試料の拡散反射スペクトルを測定した。標準試料としてBaSO4を用いた。
図3に拡散反射スペクトルを示す。蛍光を発しない化合物であるTa2O5の反射スペクトル強度は、バンド端吸収と推定される340nm以下の波長領域を除いて、反射率がほぼ1で一定となった。この結果は、該波長領域において、Ta2O5が光吸収も発光もしていないことを示している。一方、蛍光を発する化合物であるY3Al5O12:Ceの反射スペクトル強度は測定した波長域において一定の値をとらず、230nm以下、および、320nm~350nmにおいて、反射率が1を超える波長領域が観察された。この結果は、Y3Al5O12:Ceが、少なくとも該波長領域での光励起により、分光蛍光光度計で検出可能な波長で発光していることを示している。これに対し、実施例3のLi7Ba3Al3O11粉末の反射スペクトル強度は、200nm以下で反射率が1を超える波長領域が観察された。この結果より、Li7Ba3Al3O11は発光中心元素を入れない無添加の状態でも、200nm以下の光励起で、分光蛍光光度計で検出可能な波長の光を発することがわかる。
150φ積分球付属装置を取り付けた分光蛍光光度計(株式会社日立製作所U-3000形)を用いて実施例3の多結晶体試料の拡散反射スペクトルを測定した。標準試料としてBaSO4を用いた。
図3に拡散反射スペクトルを示す。蛍光を発しない化合物であるTa2O5の反射スペクトル強度は、バンド端吸収と推定される340nm以下の波長領域を除いて、反射率がほぼ1で一定となった。この結果は、該波長領域において、Ta2O5が光吸収も発光もしていないことを示している。一方、蛍光を発する化合物であるY3Al5O12:Ceの反射スペクトル強度は測定した波長域において一定の値をとらず、230nm以下、および、320nm~350nmにおいて、反射率が1を超える波長領域が観察された。この結果は、Y3Al5O12:Ceが、少なくとも該波長領域での光励起により、分光蛍光光度計で検出可能な波長で発光していることを示している。これに対し、実施例3のLi7Ba3Al3O11粉末の反射スペクトル強度は、200nm以下で反射率が1を超える波長領域が観察された。この結果より、Li7Ba3Al3O11は発光中心元素を入れない無添加の状態でも、200nm以下の光励起で、分光蛍光光度計で検出可能な波長の光を発することがわかる。
<多結晶体試料の導電率測定>
実施例3の多結晶体試料の電気伝導率を、LCRメータ(HIOKI IM3536)を用いて交流インピーダンス法により測定した。測定周波数は1MHz~10MHzで、電極にはNiホイルを用いた。
図4に553Kと613Kにおいて交流インピーダンス法により測定された結果をコールコールプロットで示す。各温度において、-|Z|sinθが最も0に近いときの|Z|cosθの値を試料の抵抗値とした。昇温過程の553Kにおける抵抗値は1.9×106Ωで試料の形状より求めた電気伝導率は5.5×10-7S/cmであった。昇温過程の613Kにおける抵抗値は1.15×102Ωで電気伝導率は9.0×10-4S/cmであった。
図5に実施例3の多結晶体試料の電気伝導率の温度依存性を示す。618K~673Kの電気伝導率は10-3S/cm以上であった。560~610K付近で電気伝導率が不連続に変化していることから、Li7Ba3Al3O11はこの温度範囲で相転移を起こしている可能性がある。相転移とみられる急激な抵抗変化温度領域以外では、昇温過程と降温過程で電気伝導率の値に大きな差は認められなかった。
実施例3の多結晶体試料の電気伝導率を、LCRメータ(HIOKI IM3536)を用いて交流インピーダンス法により測定した。測定周波数は1MHz~10MHzで、電極にはNiホイルを用いた。
図4に553Kと613Kにおいて交流インピーダンス法により測定された結果をコールコールプロットで示す。各温度において、-|Z|sinθが最も0に近いときの|Z|cosθの値を試料の抵抗値とした。昇温過程の553Kにおける抵抗値は1.9×106Ωで試料の形状より求めた電気伝導率は5.5×10-7S/cmであった。昇温過程の613Kにおける抵抗値は1.15×102Ωで電気伝導率は9.0×10-4S/cmであった。
図5に実施例3の多結晶体試料の電気伝導率の温度依存性を示す。618K~673Kの電気伝導率は10-3S/cm以上であった。560~610K付近で電気伝導率が不連続に変化していることから、Li7Ba3Al3O11はこの温度範囲で相転移を起こしている可能性がある。相転移とみられる急激な抵抗変化温度領域以外では、昇温過程と降温過程で電気伝導率の値に大きな差は認められなかった。
<Euドープ試料の作製>
表5に示すLi7Ba3(Al1-nEun)3O11の組成となるように、酸化アル
ミニウムの一部(nで表される)に代えて酸化ユーロピウム(Eu2O3:信越化学工業、純度99.99%)を使用したほかは、実施例1と同様に多結晶体試料(焼結体)を作製し、実施例7-11とした。
表5に示すLi7Ba3(Al1-nEun)3O11の組成となるように、酸化アル
ミニウムの一部(nで表される)に代えて酸化ユーロピウム(Eu2O3:信越化学工業、純度99.99%)を使用したほかは、実施例1と同様に多結晶体試料(焼結体)を作製し、実施例7-11とした。
<Euドープ試料の結晶相同定>
実施例7-11の多結晶体試料をAr雰囲気下で乳鉢を用いて粉砕し、これを粉末試料とした。これらの粉末試料について実施例3と同様に粉末XRDパターンを解析した。また、実施例3と同様に、表4のデータをもとに粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行った。表6に実施例7-11の格子定数と格子体積を示す。
実施例7-11の多結晶体試料をAr雰囲気下で乳鉢を用いて粉砕し、これを粉末試料とした。これらの粉末試料について実施例3と同様に粉末XRDパターンを解析した。また、実施例3と同様に、表4のデータをもとに粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行った。表6に実施例7-11の格子定数と格子体積を示す。
<Euドープ試料の励起発光スペクトルの測定>
分光蛍光光度計(日本分光株式会社 FP-6500型)を用いて、励起発光スペクトルを測定した。
図6に実施例8-11の励起・蛍光スペクトル及び各スペクトルのピーク波長を示す。580~640nmの波長範囲にEu3+のf-f遷移に由来する複数の発光ピークが観察された。Alの2mol%をEuで置換する実施例10において、592nmの波長において発光ピーク強度は最大となった。また、実施例11では最大発光強度を示す発光ピーク波長が異なり、628nmであった。すなわち、Euのドープ量を調整することによって、発光ピーク波長の異なる蛍光体を得ることができた。この原因として、実施例7-10と実施例11とでは、結晶中で発光を示すEu原子が存在するサイトが異なる可能性が考えられる。
分光蛍光光度計(日本分光株式会社 FP-6500型)を用いて、励起発光スペクトルを測定した。
図6に実施例8-11の励起・蛍光スペクトル及び各スペクトルのピーク波長を示す。580~640nmの波長範囲にEu3+のf-f遷移に由来する複数の発光ピークが観察された。Alの2mol%をEuで置換する実施例10において、592nmの波長において発光ピーク強度は最大となった。また、実施例11では最大発光強度を示す発光ピーク波長が異なり、628nmであった。すなわち、Euのドープ量を調整することによって、発光ピーク波長の異なる蛍光体を得ることができた。この原因として、実施例7-10と実施例11とでは、結晶中で発光を示すEu原子が存在するサイトが異なる可能性が考えられる。
Claims (12)
- 式(1)で表される酸化物結晶材料。
AxLyMzO11 ・・・(1)
(式(1)中、Aは少なくともリチウム元素を含み、Lはアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上を含み、MはB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上を含む。また、x、y、zはそれぞれ6.3≦x≦7.7、2.7≦y≦3.3、2.7≦z≦3.3を満たす。) - 前記式(1)中、Lは少なくともバリウム元素を含み、Mは少なくともアルミニウム元素を含む、請求項1に記載の酸化物結晶材料。
- 前記式(1)中のMは、賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含む、請求項1又は2に記載の酸化物結晶材料。
- 格子定数a、b、cを有し、かつ、立方晶、正方晶、直方晶のいずれかである請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料。
但し、格子定数a、b、cは単結晶構造解析によって決定されたものであり、以下を満たす。
11.828Å≦a≦14.488Å、
11.857Å≦b≦14.496Å、
11.824Å≦c≦14.476Å - 透明セラミックス体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料を含み、
100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、蛍光体材料。 - 一般式(2)で表される酸化物結晶材料であって、結晶格子中のLiサイト、L’サイト、M’サイト及びOサイトにおいてそれぞれ10at%以下の原子が欠失又は置換した酸化物結晶材料であって、
賦活剤として、Ce、Pr、Nd、Eu、Tb及びYbからなる群から選択される1種以上を含ませた際、100nm~700nmの波長を有する光の照射、又は、電離放射線の照射により励起され、150nm~800nmの波長領域で発光する、酸化物結晶材料。
Li7L’3M’3O11 ・・・(2)
(一般式(2)中、L’はアルカリ土類金属元素及びランタン元素からなる群から選択される1種以上であり、M’はB、Al、Ga、In、Si及びGeからなる群から選択される1種以上である。) - 請求項1~5及び7のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料又は請求項6に記載の蛍光体材料を備えた、発光装置。
- 請求項1~5及び7のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料又は請求項6に記載の蛍光体材料を備えた、画像表示装置。
- 請求項1~5及び7のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料又は請求項6に記載の蛍光体材料を備えた、放射線検出を利用した検査装置。
- 請求項1~5及び7のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料又は請求項6に記載の蛍光体材料を備えた、放射線検出を利用した診断装置。
- 請求項1~5及び7のいずれか1項に記載の酸化物結晶材料を含むLiイオン伝導体。
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