JP2022155987A - オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料 - Google Patents

オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度と高靱性とを確保しつつ、優れた耐水素脆化特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料を提供する。【解決手段】オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、化学組成が、質量%で、C:0.030%以下、Si:0.10~0.45%、Mn:2.00~3.00%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Ni:12.0~14.0%、Cr:22.0~26.0%、Mo:2.0~3.5%、Al:0.050%未満、N:0.20~0.50%、O:0.020%以下、Nb:0~0.50%、V:0~0.50%、残部:Fe及び不純物であり、下記の式(1)~(3)を満足する。Ni+0.7Cr+Mo+Mn-0.3Si+13C+8N≧35.0 (1)0.13C+0.05Si-0.02Mn-0.05Cr+0.01Ni-0.01Mo+0.15N≦-1.00 (2)30C+30N+0.5Mn+1.8Ni-1.5Si-1.5Cr-Mo≧-10.0 (3)【選択図】なし

Description

本発明は、オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料に関する。
近年、水素をエネルギーとする輸送機器の研究開発、及び水素を供給する水素ステーションの実用化研究が盛んに進められている。これらの実用化に際して、水素ガスを高圧貯蔵、使用する環境の整備が急務とされており、引張強さで800MPa以上の高強度材料の開発及び適用検討が進められている。
国際公開第2013/5570号には、溶接材料のN含有量、溶接時のシールドガス、溶融池面積等を管理することによって溶接金属のN含有量を増大させて、溶接後熱処理を実施しなくても高強度化を達成できる溶接継手が記載されている。また、特開2015-6678号公報には、溶接材料を用いずに高強度の溶接継手を製造する方法が記載されている。
特開2019-63868号公報には、各元素の含有量を調整し、さらに所定量のδフェライトを含む組織とすることで、高強度と優れた低温靱性とを両立できるオーステナイト系ステンレス鋼用溶接材料が記載されている。
国際公開第2013/5570号 特開2015-6678号公報 特開2019-63868号公報
水素ステーションでは、水素ガスが圧縮し昇圧され、かつ冷却して車に充填されるため、水素ステーションにて使用される材料には、高圧環境下かつ―50℃~150℃という幅広い温度にて使用可能な強度及び靭性、さらには優れた耐水素脆化特性を有している必要がある。特に、低温において、優れた耐水素脆化特性を示し、同時に高強度と高靭性を示すことが望まれる。
国際公開第2013/5570号及び特開2015-6678号公報には、低温靱性に関して記載されていない。また、特開2019-63868号公報には、低温での耐水素脆化特性について記載されていない。
本発明の目的は、高強度と高靱性とを確保しつつ、優れた耐水素脆化特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料を提供することである。
本発明の一実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、オーステナイト系ステンレス鋼をガスタングステンアーク溶接するために用いる溶接材料であって、化学組成が、質量%で、C:0.030%以下、Si:0.10~0.45%、Mn:2.00~3.00%、P:0.030%以下、S:0.020%以下、Ni:12.0~14.0%、Cr:22.0~26.0%、Mo:2.0~3.5%、Al:0.050%未満、N:0.20~0.50%、O:0.020%以下、Nb:0~0.50%、V:0~0.50%、残部:Fe及び不純物であり、下記の式(1)~(3)を満足する。
Ni+0.7Cr+Mo+Mn-0.3Si+13C+8N≧35.0 (1)
0.13C+0.05Si-0.02Mn-0.05Cr+0.01Ni-0.01Mo+0.15N≦-1.00 (2)
30C+30N+0.5Mn+1.8Ni-1.5Si-1.5Cr-Mo≧-10.0 (3)
式中の各元素名には対応する元素の含有量が質量%で代入される。
本発明によれば、高強度と高靱性とを確保しつつ、優れた耐水素脆化特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料が得られる。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、種々の検討を実施した。本発明者らは、Ni、Cr、Mo、Mn、Si、C、及びNに着目し、これらの元素の含有量が下記の式(1)~(3)を満たすようにすることで、高強度と高靱性とを確保しつつ、優れた耐水素脆化特性を有するオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料が得られることを見出した。
Ni+0.7Cr+Mo+Mn-0.3Si+13C+8N≧35.0 (1)
0.13C+0.05Si-0.02Mn-0.05Cr+0.01Ni-0.01Mo+0.15N≦-1.00 (2)
30C+30N+0.5Mn+1.8Ni-1.5Si-1.5Cr-Mo≧-10.0 (3)
以下、本発明の一実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料を詳細に説明する。
[化学組成]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、質量%を意味する。
C:0.030%以下
炭素(C)は、オーステナイトを安定化する。Cが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、C含有量が高すぎると、炭化物が析出して靱性が低下する。そのため、C含有量は0.030%以下である。C含有量の下限は、好ましくは0.005%であり、さらに好ましくは0.008%である。C含有量の上限は、好ましくは0.025%であり、さらに好ましくは0.020%である。
Si:0.10~0.45%
シリコン(Si)は、脱酸剤として含有されるとともに、鋼の耐食性を向上させる効果がある。一方、Si含有量が高すぎると、オーステナイトの安定性が低下するとともに延性が低下する。そのため、Si含有量は0.10~0.45%である。Si含有量の下限は、好ましくは0.15%であり、さらに好ましくは0.20%である。Si含有量の上限は、好ましくは0.40%であり、さらに好ましくは0.35%である。
Mn:2.00~3.00%
マンガン(Mn)は、オーステナイトを安定化する。また、Mn含有量が低すぎると、Nの溶解度が低下し、間接的に強度を向上させる効果が低くなる。一方、Mn含有量が高すぎると、鋼の加工性が低下する。そのため、Mn含有量は2.00~3.00%である。Mn含有量の下限は、好ましくは2.20%であり、さらに好ましくは2.30%である。Mn含有量の上限は、好ましくは2.80%であり、さらに好ましくは2.70%である。
P:0.030%以下
燐(P)は不純物である。Pは、鋼の靱性及び溶接性を低下させる。そのため、P含有量は0.030%以下である。P含有量は、好ましくは0.020%以下であり、さらに好ましくは0.010%以下である。
S:0.020%以下
硫黄(S)は不純物である。Sは、鋼の靱性及び溶接性を低下させる。そのため、S含有量は0.020%以下である。S含有量は、好ましくは0.010%以下であり、さらに好ましくは0.005%以下である。
Ni:12.0~14.0%
ニッケル(Ni)は、オーステナイト形成元素であり、耐水素脆化特性、及び低温靱性を向上させる。一方、Ni含有量が高すぎると、Nの溶解度が低下し、間接的に強度を向上させる効果が低くなる。そのため、Ni含有量は12.0~14.0%である。Ni含有量の下限は、好ましくは12.2%であり、さらに好ましくは12.5%である。Ni含有量の上限は、好ましくは13.8%であり、さらに好ましくは13.5%であり、さらに好ましくは13.2%である。
Cr:22.0~26.0%
クロム(Cr)は、鋼の耐食性を向上させるとともに、Nの溶解度を高めて強度の向上に寄与する。一方、Cr含有量が高すぎると、オーステナイトの安定性が低下する。そのため、Cr含有量は22.0~26.0%である。Cr含有量の下限は、好ましくは22.5%であり、さらに好ましくは23.0%である。Cr含有量の上限は、好ましくは25.5であり、さらに好ましくは25.0%である。
Mo:2.0~3.5%
モリブデン(Mo)は、固溶強化及び析出強化に加えて、Nの溶解度を高めることで強度の向上に寄与する。一方、Mo含有量が高すぎると、オーステナイトの安定性が低下する。そのため、Mo含有量は2.0~3.5%である。Mo含有量の下限は、好ましくは2.2%であり、さらに好ましくは2.5%である。Mo含有量の上限は、好ましくは3.2%であり、さらに好ましくは3.0%である。
Al:0.050%未満
アルミニウム(Al)は、脱酸剤として添加される。一方、Al含有量が高すぎると、多量の窒化物を形成して、延性の低下を招く。そのため、Al含有量は0.050%未満である。Al含有量は、好ましくは0.030%以下であり、より好ましくは0.010%以下である。Al含有量には特に下限を設ける必要はないが、極端な低下は製造コストの上昇を招く。Al含有量の下限は、好ましくは0.001%であり、さらに好ましくは0.002%である。
N:0.20~0.50%
窒素(N)は、固溶強化元素であり、鋼の高強度化に寄与する。一方、N含有量が高すぎると、製造時の熱間加工性が低下するともに、溶接時にブローホールが発生しやすくなる。そのため、N含有量は0.20~0.50%である。N含有量の下限は、好ましくは0.22%であり、さらに好ましくは0.25%である。N含有量の上限は、好ましくは0.45%であり、さらに好ましくは0.40%である。
O:0.020%以下
酸素(O)は不純物である。Oは、鋼の熱間加工性、靱性及び延性を低下させる。そのため、O含有量は0.020%以下である。O含有量は、好ましくは0.015%以下であり、さらに好ましくは0.010%以下である。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の化学組成の残部は、Fe及び不純物である。ここで不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、原料として利用される鉱石やスクラップから混入する元素、又は製造過程の環境等から混入する元素を意味する。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の化学組成は、Feの一部に代えて、Nb及びVの一方又は両方を含有してもよい。Nb及びVは、いずれも選択元素である。すなわち、本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の化学組成は、Nb及びVの一方又は両方を含有していなくてもよい。
Nb:0~0.50%
ニオブ(Nb)は、固溶強化及び析出強化によって鋼の強度を向上させる。Nbが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、Nb含有量が高すぎると、窒化物が過剰に析出して靱性が低下する。そのため、Nb含有量は0~0.50%である。Nb含有量の下限は、好ましくは0.01%である。Nb含有量の上限は、好ましくは0.30%であり、さらに好ましくは0.20%である。
V:0~0.50%
バナジウム(V)は、固溶強化及び析出強化によって鋼の強度を向上させる。Vが少しでも含有されていれば、この効果が得られる。一方、V含有量が高すぎると、窒化物が過剰に析出して靱性が低下する。そのため、V含有量は0~0.50%である。V含有量の下限は、好ましくは0.01%であり、さらに好ましくは0.05%である。V含有量の上限は、好ましくは0.30%であり、さらに好ましくは0.20%である。
[式(1)~式(3)について]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の化学組成は、下記の式(1)~(3)を満たす。
Ni+0.7Cr+Mo+Mn-0.3Si+13C+8N≧35.0 (1)
0.13C+0.05Si-0.02Mn-0.05Cr+0.01Ni-0.01Mo+0.15N≦-1.00 (2)
30C+30N+0.5Mn+1.8Ni-1.5Si-1.5Cr-Mo≧-10.0 (3)
式中の各元素名には対応する元素の含有量が質量%で代入される。
式(1)は、優れた耐水素脆化特性を得るための条件である。式(1)の左辺は、オーステナイトの安定性の指標である。式(1)の左辺の値が大きいほど、オーステナイトが安定化し、加工誘起マルテンサイトが生成されにくくなる。これによって、オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の耐水素脆化特性を向上させることができる。式(1)の左辺の値は、好ましくは35.5以上であり、さらに好ましくは36.0以上であり、さらに好ましくは36.5以上である。
式(2)は、高強度を得るための条件である。式(2)の左辺は、Nの活量の指標である。式(2)の左辺の値が小さいほど、Nの活量が小さくなり、鋼材中のNの溶解度が大きくなる。鋼材中のNの溶解度が大きくなることで、Nの固溶強化によって鋼材の強度が向上する。Cr、Mn、及びMoはNの活量を下げ、Ni、N、Si、及びCはNの活量を上げる。式(2)の左辺の値は、好ましくは-1.05以下であり、さらに好ましくは-1.07以下であり、さらに好ましくは-1.10以下である。
式(3)は、高靱性を得るための条件である。式(3)の左辺は、フェライトの生成抑制の指標である。式(3)の左辺の値が大きいほど、フェライトの生成が抑制される。これによって、オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の靱性を向上させることができる。式(3)の左辺の値は、好ましくは-8.0以上であり、さらに好ましくは-7.0以上であり、さらに好ましくは-6.6以上である。
[組織]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の組織は、主にオーステナイト相からなる。本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の組織は、少量のフェライトやその他の組織を含んでいてもよい。本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の組織は、オーステナイト相の体積率が好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
[引張強さ]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、好ましくは、室温において800MPa以上の引張強さを有する。本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、より好ましくは、室温において830MPa以上の引張強さを有する。
[低温靱性]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、好ましくは、-20℃におけるシャルピー衝撃試験の衝撃値が20J以上である。本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、より好ましくは、-20℃におけるシャルピー衝撃試験の衝撃値が25J以上である。
[製造方法等]
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の製造方法の一例を説明する。オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料の製造方法は、これに限定されない
上述の化学組成を有する鋼を溶製する。溶製は例えば、電気炉、Ar-O混合ガス底吹き脱炭炉(AOD炉)、真空脱炭炉(VOD炉)等を用いることができる。溶製された鋼を鋳造してインゴットにし、インゴットを熱間加工して溶接材料を製造する。溶接材料の形状は例えば、棒状、ワイヤー状、ブロック状等である。
本実施形態によるオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料は、オーステナイト系ステンレス鋼をガスタングステンアーク溶接するために用いられる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
表1に示す化学組成を有する符号A~Tの鋼を実験室溶解してインゴットを作製した。表1中のF1、F2、及びF3の欄の値はそれぞれ、式(1)、式(2)及び式(3)の左辺の値である。
Figure 2022155987000001
作製したインゴットに、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延、及び熱処理を実施して外径1.2mmのスプール状の溶接材料を作製した。
作製した溶接材料を用いて、全溶着金属試験片を作製した。具体的には、自動のガスタングステンアーク溶接(GTAW)で、開先面へのバタリング溶接後、開先内に積層溶接を行った。入熱は8~12kJ/cmとして、層間温度は150℃以下とした。溶接前熱処理(予熱)及び溶接後熱処理は実施しなかった。作製した全溶着金属試験片から、試験片の長手方向が溶接線に平行になるように、SSRT試験片、引張試験片及びシャルピー衝撃試験片の各試験片を採取した。
SSRT試験片は、平行部直径が3mmの丸棒試験片とした。採取した試験片を、大気中及び85MPaの高圧水素環境下における低歪速度引張試験に供した。試験温度は-50℃とした。歪速度は3×10-5/sとした。低歪速度引張試験において、高圧水素環境下での破断絞りの大気中での破断絞りに対する比(以下「相対破断絞り」という。)が80%以上のものを合格とし、相対破断絞りが90%以上のものを「優」、80%以上90%未満のものを「良」とした。
引張試験片は、平行部直径が6mmの丸棒試験片とした。室温、大気中で引張試験を実施し、引張強さを測定した。引張試験において、800MPa以上の引張強さを示したものを合格とし、引張強さが830MPa以上のものを「優」、800MPa以上830MPa未満のものを「良」とした。
シャルピー衝撃試験片は、JIS Z 2242に準拠し、フルサイズの2mmVノッチ試験片とした。-20℃でシャルピー衝撃試験を実施した。シャルピー衝撃試験において、20J以上の衝撃値を示したものを合格とし、衝撃値が25J以上のものを「優」、20J以上25J未満のものを「良」とした。
SSRT試験、引張試験、及びシャルピー衝撃試験の結果を表2に示す。表2の「-」は、該当する試験を実施していないことを示す。
Figure 2022155987000002
符号A~Kの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、相対破断絞りが80%以上であり、800MPa以上の引張強さを有し、かつ、-20℃でのシャルピー衝撃試験において20J以上の衝撃値を示した。
符号Lの溶接材料から作製された全溶着金属試験片では、溶接欠陥(ブローホール)が発生した。そのため、符号Lについては、SSRT試験、引張試験、及びシャルピー衝撃試験を実施しなかった。ブローホールが発生したのは、符号Lの溶接材料が式(2)を満たさなかったため、Nが溶接金属中に固溶できず、溶接時に窒素ガスとして噴き出したためと考えられる。
符号Mの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、シャルピー衝撃試験に合格しなかった。これは、符号Mの溶接材料が式(3)を満たさなかったためと考えられる。
符号Nの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、SSRT試験に合格しなかった。これは、符号Nの溶接材料が式(1)を満たさなかったためと考えられる。
符号Oの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、SSRT試験及び引張試験に合格しなかった。これは、符号Oの溶接材料が式(1)及び式(2)を満たさなかったためと考えられる。
符号Pの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、シャルピー衝撃試験に合格しなかった。これは、符号Pの溶接材料のCr含有量が高すぎたためと考えられる。
符号Qの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、引張試験に合格しなかった。これは、符号Qの溶接材料のNi含有量が高すぎたため、及び符号Qの溶接材料が式(2)を満たさなかったためと考えられる。
符号Rの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、SSRT試験及びシャルピー衝撃試験に合格しなかった。これは、符号Rの溶接材料のNi含有量が低すぎたためと考えられる。
符号Sの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、SSRT試験及び引張試験に合格しなかった。これは、符号Sの溶接材料が式(1)を満たさなかったため、及び符号Sの溶接材料のN含有量が低すぎたためと考えられる。
符号Tの溶接材料から作製された全溶着金属試験片は、引張試験に合格しなかった。これは、符号Tの溶接材料のN含有量が低すぎたためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。

Claims (1)

  1. オーステナイト系ステンレス鋼をガスタングステンアーク溶接するために用いる溶接材料であって、
    化学組成が、質量%で、
    C :0.030%以下、
    Si:0.10~0.45%、
    Mn:2.00~3.00%、
    P :0.030%以下、
    S :0.020%以下、
    Ni:12.0~14.0%、
    Cr:22.0~26.0%、
    Mo:2.0~3.5%、
    Al:0.050%未満、
    N :0.20~0.50%、
    O :0.020%以下、
    Nb:0~0.50%、
    V :0~0.50%、
    残部:Fe及び不純物であり、
    下記の式(1)~(3)を満足する、オーステナイト系ステンレス鋼溶接材料。
    Ni+0.7Cr+Mo+Mn-0.3Si+13C+8N≧35.0 (1)
    0.13C+0.05Si-0.02Mn-0.05Cr+0.01Ni-0.01Mo+0.15N≦-1.00 (2)
    30C+30N+0.5Mn+1.8Ni-1.5Si-1.5Cr-Mo≧-10.0 (3)
    式中の各元素名には対応する元素の含有量が質量%で代入される。
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