JP2022154083A - 銀焼結体、半導体装置、銀含有組成物、及び銀焼結体の製造方法 - Google Patents

銀焼結体、半導体装置、銀含有組成物、及び銀焼結体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体と、前記銀焼結体を製造するための銀含有組成物であって、その焼結時に高い圧力を加えなくても、前記銀焼結体を製造できる銀含有組成物と、の提供。【解決手段】銀焼結体であって、前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5~1.2μmの結晶粒の割合が、40%以上である、銀焼結体。銀含有組成物であって、前記銀含有組成物は、第1銀粒子及び第2銀粒子を含有し、前記第1銀粒子の1次粒子径が200nm以下であり、かつ、平均2次粒子径が2μm以下であり、前記第2銀粒子の、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、50%累積時の粒子径が、1.5μm未満である、銀含有組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、銀焼結体、半導体装置、銀含有組成物、及び銀焼結体の製造方法に関する。
金属銀は、記録材料や印刷刷版材料として幅広く使用されており、それ以外にも、導電性に優れることから高導電性材料として、また、熱伝導性に優れることから放熱材料としても、幅広く使用されている。
金属銀の形成方法としては、例えば、金属銀を形成可能な材料を含有するインクを用い、印刷法を利用して、金属銀を形成する方法が知られている。この方法は、金属銀の形成に必要な材料のロスが少なく、量産性に優れている。
しかし、このように印刷法を利用する方法、特に、金属銀を形成可能な材料を、350℃以下等の比較的低い温度で焼成することにより形成した金属銀は、バルク状の金属銀よりも延性が低く、脆くなり易いという問題点がある。脆い金属銀は、電子部品の配線材料や半導体の接合材料として利用した場合に、製品の信頼性を低下させるおそれがある。
これに対して、銀のマイクロフレーク粉を含むペーストを用いて、300℃以下の焼結温度で、5MPa以上の圧力を加えることによって、空隙率が低く(3%)、比較的延性のある銀焼結体を形成する方法が開示されている(非特許文献1参照)。
しかし、半導体素子を電極に接合するための銀焼結体を、高い圧力を加えて形成すると、半導体素子や基材等の部材の意図しない破損を招く危険性がある。さらにそれだけでなく、使用する加圧装置の制約を受けてしまい、銀焼結体の印刷面積が制限されたり、立体的に印刷したインクの均一な加圧が困難になるなどの不具合が生じる。
これに対して、圧力を加えることなく、300℃以下の焼結温度で銀焼結体を得る方法が開示されている(非特許文献2~3、特許文献1参照)。
国際公開第2013/133085号
T. Herboth, M. Guenther, A. Fix and J. Wilde, "Failure mechanisms of sintered silver interconnections for power electronic applications," in 2013 IEEE 63rd Electronic Components and Technology Conference, 2013. Chen, C., Nagao, S., Zhang, H. et al. Journal of Elec Materi (2017) 46: 1576. John G. Bai, Member, IEEE, Zhiye Zach Zhang, Jesus N. Calata, and Guo-Quan Lu, Low-Temperature Sintered Nanoscale Silver as a Novel Semiconductor Device-Metallized Substrate Interconnect Material, IEEE TRANSACTIONS ON COMPONENTS AND PACKAGING TECHNOLOGIES, VOL. 29, NO. 3, SEPTEMBER 2006.
しかし、これらの方法で得られる銀焼結体は、最大引張強さ(最大応力)を超える応力が発生した後に、直ちに応力がゼロになるという、脆性的な挙動を示し、延性が不十分なものであった。
ところで、ナノサイズ又はサブミクロンサイズの微小な銀粒子は、350℃以下の比較的低温で焼結が進行し、成膜できるという利点を有する。しかし、焼結の進行に伴う銀焼結体の体積収縮によって、厚さが厚いほど、銀焼結体の膜にはクラックが発生し易いという問題点があった。
このように、銀焼結体を得るための材料に対して、高い圧力を加えずに焼結を行うことによって、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を得ることは、従来困難であった。
本発明は、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体と、前記銀焼結体を製造するための銀含有組成物であって、その焼結時に高い圧力を加えなくても、前記銀焼結体を製造できる銀含有組成物と、を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、銀焼結体であって、前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5~1.2μmの結晶粒の割合が、40%以上である、銀焼結体を提供する。
本発明の銀焼結体においては、その空隙率が35%以下であることが好ましい。
また、本発明は、基板と、前記基板に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、前記基板上に設けられた電極と、前記半導体素子とが、銀焼結体によって接合されており、前記銀焼結体が、上記本発明の銀焼結体である、半導体装置を提供する。
また、本発明は、銀含有組成物であって、前記銀含有組成物は、第1銀粒子及び第2銀粒子を含有し、前記第1銀粒子の1次粒子径が200nm以下であり、かつ、平均2次粒子径が2μm以下であり、前記第2銀粒子の、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、50%累積時の粒子径が、1.5μm未満である、銀含有組成物を提供する。
本発明の銀含有組成物においては、前記第1銀粒子及び第2銀粒子のいずれか一方又は両方が、β-ケトカルボン酸銀若しくはシュウ酸銀の熱分解又は還元によって得られたものであることが好ましい。
また、本発明は、銀焼結体の製造方法であって、前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5~1.2μmの結晶粒の割合が、40%以上であり、前記製造方法は、上記本発明の銀含有組成物を、前記銀焼結体の形成対象物上に付着させる工程と、付着後の前記銀含有組成物を、温度350℃以下、圧力1MPa以下の条件で焼結させることにより、前記銀焼結体を形成する工程と、を有する、銀焼結体の製造方法を提供する。
本発明によれば、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体と、前記銀焼結体を製造するための銀含有組成物であって、その焼結時に高い圧力を加えなくても、前記銀焼結体を製造できる銀含有組成物と、が提供される。
本発明の一実施形態に係る銀焼結体を接合部として備えた接合体の一例を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る銀焼結体を接合部として備えた半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。 実施例での、銀含有組成物の印刷層の形状及び大きさを示す平面図である。
<<銀含有組成物>>
本発明の一実施形態に係る銀含有組成物は、第1銀粒子及び第2銀粒子を含有し、前記第1銀粒子の1次粒子径が200nm以下であり、かつ、平均2次粒子径が2μm以下であり、前記第2銀粒子の、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、50%累積時の粒子径が、1.5μm未満である。
本実施形態の銀含有組成物を用いることで、その焼結時に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を製造できる。
また、本実施形態の銀含有組成物を用いることで、最大応力が高い銀焼結体を製造することも可能である。
<第1銀粒子>
前記第1銀粒子の1次粒子径は、200nm以下であり、例えば、150nm以下、100nm以下、及び50nm以下のいずれかであってもよい。第1銀粒子の1次粒子径が200nm以下であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を製造できる。
第1銀粒子の1次粒子径の下限値は、特に限定されない。例えば、前記1次粒子径が1nm以上であることで、銀焼結体の製造がより容易となる。
第1銀粒子は、構成原子として銀原子を有する銀含有化合物の化学反応によって形成されたものであることが好ましい。
前記銀含有化合物は、銀原子を有する無機化合物(無機銀化合物)と、銀原子を有する有機化合物(有機銀化合物)と、のいずれであってもよい。
前記銀含有化合物としては、例えば、熱分解又は還元によって、銀を形成する化合物が挙げられる。
このような銀含有化合物としては、例えば、式「-COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀(カルボン酸の銀塩)が挙げられる。
[カルボン酸銀]
前記カルボン酸銀は、式「-COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「-COOAg」で表される基の数は1個のみであってもよいし、2個以上であってもよい。また、カルボン酸銀中の式「-COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。
前記カルボン酸銀としては、例えば、式「-COOAg」で表される基のβ位に、カルボニル基(-C(=O)-)を有するβ-ケトカルボン酸銀と、前記β-ケトカルボン酸銀以外のカルボン酸銀と、が挙げられる。
(β-ケトカルボン酸銀(1))
前記β-ケトカルボン酸銀としては、例えば、下記一般式(1)で表わされるβ-ケトカルボン酸銀(本明細書においては、「β-ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2022154083000001
(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R-CY -」、「CY -」、「R-CHY-」、「RO-」、「RN-」、「(RO)CY-」若しくは「R-C(=O)-CY -」で表される基であり;
はそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;Rは炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~16の脂肪族炭化水素基であり;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~18の脂肪族炭化水素基であり;Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO-」で表される基であり;
はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N-フタロイル-3-アミノプロピル基、2-エトキシビニル基、又は一般式「RO-」、「RS-」、「R-C(=O)-」若しくは「R-C(=O)-O-」で表される基であり;
は、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)
式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1~20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R-CY -」、「CY -」、「R-CHY-」、「RO-」、「RN-」、「(RO)CY-」若しくは「R-C(=O)-CY -」で表される基である。
Rにおける炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
Rにおける直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、3-エチルブチル基、1-エチル-1-メチルプロピル基、n-ヘプチル基、1-メチルヘキシル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、1,1-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、4,4-ジメチルペンチル基、1-エチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、4-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、1-プロピルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、5-メチルヘプチル基、1-エチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、5-エチルヘキシル基、1,1-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、5,5-ジメチルヘキシル基、1,2,3-トリメチルペンチル基、1,2,4-トリメチルペンチル基、2,3,4-トリメチルペンチル基、2,4,4-トリメチルペンチル基、1,4,4-トリメチルペンチル基、3,4,4-トリメチルペンチル基、1,1,2-トリメチルペンチル基、1,1,3-トリメチルペンチル基、1,1,4-トリメチルペンチル基、1,2,2-トリメチルペンチル基、2,2,3-トリメチルペンチル基、2,2,4-トリメチルペンチル基、1,3,3-トリメチルペンチル基、2,3,3-トリメチルペンチル基、3,3,4-トリメチルペンチル基、1-プロピルペンチル基、2-プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
Rにおける環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルケニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C-C)が二重結合(C=C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルケニル基としては、例えば、ビニル基(エテニル基、-CH=CH)、アリル基(2-プロペニル基、-CH-CH=CH)、1-プロペニル基(-CH=CH-CH)、イソプロペニル基(-C(CH)=CH)、1-ブテニル基(-CH=CH-CH-CH)、2-ブテニル基(-CH-CH=CH-CH)、3-ブテニル基(-CH-CH-CH=CH)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等が挙げられる。
Rにおける前記アルキニル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C-C)が三重結合(C≡C)に置換された基等が挙げられる。
このような前記アルキニル基としては、例えば、エチニル基(-C≡CH)、プロパルギル基(-CH-C≡CH)等が挙げられる。
Rにおける炭素数1~20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。また、前記脂肪族炭化水素基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。
Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、炭素数が1~16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(-OH)、シアノ基(-C≡N)、フェノキシ基(-O-C)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R-CY -」、「CY -」及び「R-C(=O)-CY -」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。
RにおけるRは、炭素数1~19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C-)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基であり、例えば、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1~16の脂肪族炭化水素基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるR及びRは、それぞれ独立に炭素数1~18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R及びRは、互いに同一でも異なっていてもよく、R及びRにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
RにおけるRは、炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO-」で表される基である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、一般式「R-C(=O)-CY -」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、Rは、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO-」で表される基であることが好ましい。
一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1~20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C-CH-)、シアノ基、N-フタロイル-3-アミノプロピル基、2-エトキシビニル基(C-O-CH=CH-)、又は一般式「RO-」、「RS-」、「R-C(=O)-」若しくは「R-C(=O)-O-」で表される基である。
における炭素数1~20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
におけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
におけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい。好ましい前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(-NO)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びベンジル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
におけるRは、炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(CS-)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C-C-)である。Rにおける前記脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数が1~10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。また、Rにおけるフェニル基及びジフェニル基が有する前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が挙げられる。置換基を有する前記フェニル基及びジフェニル基において、前記置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。
がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2-チエニル基及び3-チエニル基のいずれでもよい。
一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよい。このようなXとしては、例えば、式「=CH-C-NO」で表される基等が挙げられる。
は、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R-C(=O)-」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。
β-ケトカルボン酸銀(1)は、2-メチルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CH)-C(=O)-OAg)、アセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、2-エチルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CHCH)-C(=O)-OAg)、プロピオニル酢酸銀(CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、イソブチリル酢酸銀((CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、ピバロイル酢酸銀((CHC-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、カプロイル酢酸銀(CH(CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、2-n-ブチルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CHCHCHCH)-C(=O)-OAg)、2-ベンジルアセト酢酸銀(CH-C(=O)-CH(CH)-C(=O)-OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CHC-C(=O)-CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CHCH-C(=O)-CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)、2-アセチルピバロイル酢酸銀((CHC-C(=O)-CH(-C(=O)-CH)-C(=O)-OAg)、2-アセチルイソブチリル酢酸銀((CHCH-C(=O)-CH(-C(=O)-CH)-C(=O)-OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO-C(=O)-CH-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)であることが好ましい。
本実施形態において、β-ケトカルボン酸銀(1)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
(カルボン酸銀(4))
前記β-ケトカルボン酸銀以外のカルボン酸銀としては、例えば、下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(本明細書においては、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)が挙げられる。
Figure 2022154083000002
(式中、Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「-C(=O)-OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)
式中、Rは炭素数1~19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(-COOH)又は式「-C(=O)-OAg」で表される基である。
における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1~19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。ただし、Rにおける前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1~15であることが好ましく、1~10であることがより好ましい。
における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(-CH-)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「-CH-」で表される基だけでなく、式「-CH-」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「-CH-」で表される基も含むものとする。
カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH-C(=O)-C(=O)-OAg)、酢酸銀(CH-C(=O)-OAg)、酪酸銀(CH-(CH-C(=O)-OAg)、イソ酪酸銀((CHCH-C(=O)-OAg)、2-エチルへキサン酸銀(CH-(CH-CH(CHCH)-C(=O)-OAg)、ネオデカン酸銀、シュウ酸銀(AgO-C(=O)-C(=O)-OAg)、又はマロン酸銀(AgO-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO-C(=O)-C(=O)-OAg)及びマロン酸銀(AgO-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)の2個の式「-COOAg」で表される基のうち、1個が式「-COOH」で表される基となったもの(HO-C(=O)-C(=O)-OAg、HO-C(=O)-CH-C(=O)-OAg)も好ましい。
本実施形態において、カルボン酸銀(4)は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記カルボン酸銀は、前記β-ケトカルボン酸銀又はシュウ酸銀であることが好ましく、前記β-ケトカルボン酸銀(1)又はシュウ酸銀であることがより好ましい。
すなわち、第1銀粒子は、前記β-ケトカルボン酸銀若しくはシュウ酸銀の熱分解又は還元によって得られたものであることが好ましく、前記β-ケトカルボン酸銀(1)若しくはシュウ酸銀の熱分解又は還元によって得られたものであることがより好ましい。
第1銀粒子の平均2次粒子径は、2μm以下であり、例えば、1.5μm以下、1.0μm以下、及び0.5μm以下のいずれかであってもよい。第1銀粒子の平均2次粒子径が2μm以下であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を製造できる。
第1銀粒子の平均2次粒子径の下限値は、特に限定されない。例えば、前記平均2次粒子径が0.1μm以上であることで、銀焼結体でのクラックの発生がより抑制される。
<第2銀粒子>
前記第2銀粒子は、第1銀粒子とは異なり、前記第2銀粒子の、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、50%累積時の粒子径(本明細書においては、「D50」と略記することがある)が、1.5μm未満である。第2銀粒子の前記D50が1.5μm未満であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を製造できる。
第2銀粒子の前記D50は、例えば、1.3μm以下、0.9μm以下、及び0.4μm未満のいずれかであってもよい。
第2銀粒子の前記D50の下限値は、特に限定されない。例えば、前記D50が0.1μm以上であることで、銀焼結体の製造がより容易となる。
第2銀粒子としては、例えば、フレーク状であり、単結晶構造を有し、その最大平面が格子面(111)となっているものが挙げられる。
第2銀粒子としては、例えば、その厚さが0.03~0.2μmであり、かつ、その最大径が0.1~2μmであるものが挙げられる。ここで、第2銀粒子の最大径とは、第2銀粒子の識別像において、輪郭線上に位置する任意の2点を結ぶ線分の長さの最大値を意味する。前記識別像としては、例えば、電子顕微鏡での観察像、前記観察像の画像処理像等が挙げられる。
第2銀粒子は、構成原子として銀原子を有する銀含有化合物の化学反応によって形成されたものであってもよい。
第2銀粒子を形成する銀含有化合物としては、例えば、第1銀粒子を形成する銀含有化合物と同様のものが挙げられる。
第2銀粒子は、例えば、前記銀含有化合物として、その還元反応によって第2銀粒子を生成するものを用い、その還元反応時に結晶成長方向を制御する添加剤を用いる方法等、公知の方法で得られる。
本実施形態においては、第2銀粒子として、市販品を用いてもよい。
前記銀含有組成物は、第1銀粒子及び第2銀粒子を含有する。
前記銀含有組成物において、第1銀粒子の含有量(質量部)/第2銀粒子の含有量(質量部)の比率(本明細書においては、「第1銀粒子/第2銀粒子の質量比」と略記することがある)は、5/95~50/50であることが好ましく、7/93~35/65であることがより好ましく、例えば、9/91~25/75、及び12/88~20/80のいずれかであってもよい。第1銀粒子/第2銀粒子の質量比が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。特に、第2銀粒子の比率が大きくなるほど、銀焼結体の最大応力がより高く、延性がより高くなる。
前記銀含有組成物における、銀含有組成物の総質量に対する、銀の含有量(質量部)の割合(本明細書においては、「銀の濃度」と略記することがある)は、60~95質量%であることが好ましく、70~92質量%であることがより好ましく、例えば、75~89質量%、及び78~86質量%のいずれかであってもよい。銀の濃度が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
ここで、「銀の含有量(質量部)」とは、「第1銀粒子及び第2銀粒子の合計含有量(質量部)」を意味し、銀の濃度」とは、「第1銀粒子及び第2銀粒子の合計濃度」を意味する。
<炭素数8~11の脂肪族カルボン酸>
前記銀含有組成物は、さらに、炭素数8~11の脂肪族カルボン酸(本明細書においては、「C8~11脂肪族カルボン酸」と略記することがある)が配合されていてもよい。前記C8~11脂肪族カルボン酸が配合されてなる銀含有組成物を用いることにより、銀焼結体の最大応力と延性がより向上する。
前記C8~11脂肪族カルボン酸は、炭素数8~11の脂肪族カルボン酸であれば、特に限定されない。
8~11脂肪族カルボン酸は、脂肪族基が直鎖状又は分岐鎖状である鎖状脂肪族カルボン酸と、脂肪族基が環状である(脂環族基である)環状脂肪族カルボン酸と、脂肪族基が直鎖状又は分岐鎖状である部位、及び環状である部位、の両方を有する脂肪族カルボン酸と、のいずれであってもよい。
8~11脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸及び不飽和脂肪族カルボン酸のいずれであってもよい。
8~11脂肪族カルボン酸が有するカルボキシ基の数は1個のみであってもよいし、2個以上であってもよい。また、C8~11脂肪族カルボン酸中のカルボキシ基の位置も、特に限定されない。
8~11脂肪族カルボン酸は、その沸点が適度に高いために、後述する銀含有組成物からの銀焼結体の製造時において、銀焼結体の形成過程にある銀含有組成物の表面にとどまり易く、銀含有組成物の表面とその近傍において、急激な乾燥の進行が抑制され、その結果、銀焼結体におけるクラックの発生を抑制していると推測される。
8~11脂肪族カルボン酸の沸点は、180~270℃であることが好ましく、200~260℃であることがより好ましく、215~255℃であることが特に好ましい。C8~11脂肪族カルボン酸の沸点が前記下限値以上であることで、C8~11脂肪族カルボン酸を用いたことによる効果が、より顕著に得られる。C8~11脂肪族カルボン酸の沸点が前記上限値以下であることで、銀焼結体中へのC8~11脂肪族カルボン酸の残存が、高度に抑制される。
8~11脂肪族カルボン酸は、鎖状脂肪族カルボン酸であることが好ましく、分岐鎖状脂肪族カルボン酸であることがより好ましい。
8~11脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましい。
8~11脂肪族カルボン酸は、鎖状飽和脂肪族カルボン酸であることがより好ましく、分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸であることがさらに好ましい。
分岐鎖状飽和脂肪族カルボン酸で特に好ましいものとしては、ネオデカン酸(C19COOH)、2-プロピル吉草酸(別名:2-プロピルペンタン酸、(CHCHCHCH(CHCHCH)COOH)、3,5,5-トリメチルヘキサン酸((CHCCHCH(CH)CHCOOH)等が挙げられる。
なお、本明細書において、ネオデカン酸とは、炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の異性体の混合物を意味し、前記混合物には炭素数10の分岐鎖状飽和脂肪族モノカルボン酸が必ず含まれる。このように、ネオデカン酸とは、特に断りのない限り、1種の化合物だけを意味するものではない。
そして、ネオデカン酸中の、2種以上の炭素数10の飽和脂肪族モノカルボン酸の組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
配合時に用いるC8~11脂肪族カルボン酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
8~11脂肪族カルボン酸は、ネオデカン酸であることが最も好ましい。
<他の成分>
前記銀含有組成物は、第1銀粒子と、第2銀粒子と、C8~11脂肪族カルボン酸又はそれ由来の成分と、のいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。
前記銀含有組成物が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[溶媒]
好ましい前記他の成分としては、例えば、溶媒が挙げられる。
前記溶媒は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
前記溶媒として、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、テルピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
<<銀含有組成物の製造方法>>
前記銀含有組成物は、例えば、第1銀粒子を含有する原料組成物(1)と、第2銀粒子を含有する原料組成物(2)と、必要に応じてC8~11脂肪族カルボン酸と、必要に応じて他の成分と、を混合(配合)することにより、製造できる。
銀含有組成物製造時の前記他の成分としては、例えば、銀含有組成物が含有していてもよいものとして先に説明した他の成分が挙げられる。
<原料組成物(1)>
前記原料組成物(1)としては、例えば、前記銀含有化合物と、構成原子として窒素原子を有する含窒素化合物と、が配合されてなるものが挙げられ、さらに、還元剤が配合されてなるものであってもよい。
前記銀含有化合物及び含窒素化合物の配合後に加熱処理された原料組成物(1)は、前記銀含有化合物の熱分解によって生成した第1銀粒子を含有する。
また、前記還元剤が配合されてなる原料組成物(1)は、前記銀含有化合物の還元によって生成した第1銀粒子を含有する。
[銀含有化合物]
原料組成物(1)の配合成分である前記銀含有化合物は、第1銀粒子を形成する材料として先に説明した銀含有化合物と同じである。
原料組成物(1)の製造時に用いる前記銀含有化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
[含窒素化合物]
前記含窒素化合物としては、例えば、炭素数25以下のアミン化合物が挙げられる。
(アミン化合物)
前記アミン化合物は、炭素数が1~25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれであってもよい。
前記アミン化合物は、鎖状及び環状のいずれであってもよい。
前記アミン化合物において、アミン部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンの場合には、アミノ基(-NH)を構成する窒素原子)の数は1個であってもよいし、2個以上であってもよい。また、アミン化合物中の、アミン部位を構成する窒素原子の位置も、特に限定されない。
前記第1級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれであってもよく、このようなアルキル基としては、例えば、Rにおける前記アルキル基と同様のものが挙げられる。前記アルキル基は、炭素数が1~19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。
好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、n-ブチルアミン、n-へキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、3-アミノペンタン、3-メチルブチルアミン、2-ヘプチルアミン(2-アミノヘプタン)、2-アミノオクタン、2-エチルヘキシルアミン、1,2-ジメチル-n-プロピルアミン等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。前記アリール基の炭素数は、6~10であることが好ましい。
前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子等が挙げられる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。
前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれであってもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3~12員環であることが好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1~4個有する単環状のものとしては、例えば、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、フラニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、例えば、チエニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する単環状のものとしては、例えば、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する単環状のものとしては、例えば、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、3~8員環であることが好ましく、5~6員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1~5個有する多環状のものとしては、例えば、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1~3個有する多環状のものとしては、例えば、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1~2個及び窒素原子を1~3個有する多環状のものとしては、例えば、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基等が挙げられ、このようなヘテロアリール基は、7~12員環であることが好ましく、9~10員環であることがより好ましい。
前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、例えば、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(-NH)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたもの等が挙げられる。
前記ジアミンは炭素数が1~10であることが好ましく、より好ましいものとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン等が挙げられる。
前記第2級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N-メチル-n-ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2-エチルへキシル)アミン等が挙げられる。
前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6~10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6~12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記第3級アミンとしては、例えば、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が挙げられる。
前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。
好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、例えば、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1~6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。
前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6~10であることが好ましい。
ここまでは、主に鎖状のアミン化合物について説明したが、前記アミン化合物は、アミン部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンであってもよい。この時の環(アミン部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれであってもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。
環状アミンで好ましいものとして、例えば、ピリジン等が挙げられる。
前記第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個であってもよいし、2個以上であってもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じであってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。
前記アミン化合物における前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(-CF)等が挙げられる。ここで、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1~5のアルキル基を有する、炭素数が3~7の環状のアルキル基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、例えば、2-フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3-ジメチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよい。このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、例えば、2-ブロモベンジルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6~10のアリール基であることが好ましい。このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、例えば、ブロモフェニルアミン等が挙げられる。ここで、前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、例えば、ジエタノールアミン、N-メチルベンジルアミン等が挙げられる。
原料組成物(1)の製造時に用いる前記含窒素化合物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記アミン化合物は、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン、n-へキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-オクタデシルアミン、イソブチルアミン、sec-ブチルアミン、tert-ブチルアミン、3-アミノペンタン、3-メチルブチルアミン、2-ヘプチルアミン、2-アミノオクタン、2-エチルヘキシルアミン、2-フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、N-メチル-n-ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N-メチルベンジルアミン、ジ(2-エチルへキシル)アミン、1,2-ジメチル-n-プロピルアミン、N,N-ジメチル-n-オクタデシルアミン又はN,N-ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。
原料組成物(1)において、前記含窒素化合物の配合量は、前記銀含有化合物の配合量1モルあたり、0.1~5モルであることが好ましく、0.1~3モルであることがより好ましく、例えば、0.2~2モル、及び0.2~1モルのいずれであってもよい。前記配合量が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
[還元剤]
前記還元剤は、特に限定されない。
配合時に用いる還元剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
前記還元剤で好ましいものとしては、例えば、ギ酸が挙げられる。
還元剤を用いる場合、原料組成物(1)において、還元剤の配合量は、前記銀含有化合物の配合量1モルあたり、0.2~5モルであることが好ましく、0.3~3モルであることがより好ましく、例えば、0.4~2モル、及び0.4~1モルのいずれであってもよい。前記配合量が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
[他の成分]
原料組成物(1)は、前記銀含有化合物と、前記含窒素化合物と、前記還元剤と、のいずれにも該当しない他の成分が配合されてなるものであってもよい。
原料組成物(1)における前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
原料組成物(1)における前記他の成分としては、例えば、銀含有組成物が含有していてもよいものとして先に説明した他の成分が挙げられる。
原料組成物(1)の製造時に用いる前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
原料組成物(1)において、配合成分の総質量に対する、前記銀含有化合物と、前記含窒素化合物と、前記還元剤と、の総配合量(質量部)の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
<原料組成物(1)の製造方法>
原料組成物(1)は、前記銀含有化合物と、前記含窒素化合物と、必要に応じて前記還元剤と、必要に応じて前記他の成分と、を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま原料組成物(1)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の後処理操作又は精製操作を行って得られたものを原料組成物(1)としてもよい。
各成分の配合順序は、特に限定されない。各成分の好ましい配合方法の一例としては、前記含窒素化合物に前記銀含有化合物を加えて混合し、次いで、必要に応じて、得られた混合物に前記還元剤を加えて混合する配合方法が挙げられる。
前記他の成分を配合する場合には、前記他の成分に適したタイミングで、配合すればよい。
混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサー、三本ロール、ニーダー又はビーズミル等を使用して混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、-5~60℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、各成分の配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10分~36時間であることが好ましい。
上述の製造方法により、上述の1次粒子径及び平均2次粒子径を有する第1銀粒子を含有する原料組成物(1)が得られる。このとき、例えば、各工程での撹拌条件等、原料組成物(1)の製造条件を調節することによって、第1銀粒子の1次粒子径及び平均2次粒子径を調節してもよい。
<原料組成物(2)及びその製造方法>
前記原料組成物(2)としては、例えば、原料組成物(1)の場合と同様の方法で得られたもの(本明細書においては、「原料組成物(2-1)」と称することがある)が挙げられる。ただし、各成分の配合順序、混合方法、配合時の温度及び配合時間等の、原料組成物(2-1)の製造条件は、前記D50が1.5μm未満である第2銀粒子が得られるように、好ましくはさらに、フレーク状であり、単結晶構造を有し、その最大平面が格子面(111)となっている第2銀粒子が得られるように、適宜調節することが好ましい。
原料組成物(2-1)の製造を目的として得られた銀粒子が、フレーク状ではない場合には、この銀粒子をフレーク状に調節することで、原料組成物(2-1)が得られる。
前記原料組成物(2)としては、例えば、あらかじめ製造済みの第2銀粒子を、溶媒に分散させて得られたもの(本明細書においては、「原料組成物(2-2)」と称することがある)も挙げられる。
原料組成物(2-2)の配合(含有)成分である前記溶媒としては、先に説明した、銀含有組成物の含有成分である溶媒と同様のものが挙げられる。
原料組成物(2-2)は、第2銀粒子と、前記溶媒と、のいずれにも該当しない他の成分を含有していてもよい。
原料組成物(2-2)における前記他の成分は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
原料組成物(2-2)における前記他の成分としては、例えば、銀含有組成物が含有していてもよいものとして先に説明した他の成分が挙げられる。
原料組成物(2-2)が含有する前記他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。
原料組成物(2-2)における、原料組成物(2-2)の総質量に対する、第2銀粒子と、前記溶媒と、の総含有量(質量部)の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
原料組成物(2-2)における、原料組成物(2-2)の総質量に対する、銀の含有量の割合(銀の濃度)は、特に限定されないが、70~95質量%であることが好ましく、75~95質量%であることがより好ましく、例えば、80~95質量%、及び85~95質量%のいずれかであってもよい。前記割合が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
原料組成物(2-2)は、第2銀粒子と、前記溶媒と、必要に応じて前記他の成分と、を配合することで得られる。各成分の配合後は、得られたものをそのまま原料組成物(2-2)としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の後処理操作又は精製操作を行って得られたものを原料組成物(2-2)としてもよい。
原料組成物(2-2)の製造時の、各成分の配合順序は、特に限定されない。
原料組成物(2-2)の製造時の混合方法は特に限定されず、例えば、原料組成物(1)の製造時の混合方法と同様であってよい。
前記他の成分を配合する場合には、前記他の成分に適したタイミングで、配合すればよい。
原料組成物(2-2)の製造時の、各成分の配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、15~35℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、配合成分の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
各成分の配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、10~60分であることが好ましい。
上述のとおり、原料組成物(1)及び原料組成物(2)は、いずれも、前記銀含有化合物と、前記含窒素化合物と、必要に応じてさらに還元剤と、が配合されてなるものであってもよい。
すなわち、本実施形態においては、前記第1銀粒子及び第2銀粒子のいずれか一方又は両方が、前記銀含有化合物を用いて得られたものであってもよく、前記第1銀粒子及び第2銀粒子のいずれか一方又は両方が、前記銀含有化合物の熱分解又は還元によって得られたものであることが好ましく、前記第1銀粒子及び第2銀粒子のいずれか一方又は両方が、β-ケトカルボン酸銀若しくはシュウ酸銀の熱分解又は還元によって得られたものであることがより好ましく、少なくとも前記第1銀粒子が、β-ケトカルボン酸銀若しくはシュウ酸銀の熱分解又は還元によって得られたものであることがより好ましい。
8~11脂肪族カルボン酸を用いる場合、前記銀含有組成物における、配合成分の総質量に対する、C8~11脂肪族カルボン酸の配合量(質量部)の割合(本明細書においては、「C8~11脂肪族カルボン酸配合割合」と略記することがある)は、0.5~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることがより好ましく、例えば、1.4~6.5質量%、及び1.8~5質量%のいずれかであってもよい。前記割合が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
前記銀含有組成物において、原料組成物(1)の配合量(質量部)/原料組成物(2)の配合量(質量部)の比率(本明細書においては、「原料組成物(1)/原料組成物(2)の質量比」と略記することがある)は、5/95~35/65であることが好ましく、9/91~31/69であることがより好ましく、例えば、13/87~27/73、及び17/83~23/77のいずれかであってもよい。原料組成物(1)/原料組成物(2)の質量比が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
前記銀含有組成物における、配合成分の総質量に対する、原料組成物(1)と、原料組成物(2)と、C8~11脂肪族カルボン酸と、の総配合量(質量部)の割合は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、例えば、95質量%以上、及び99質量%以上のいずれかであってもよい。前記割合が、このような範囲であることで、銀含有組成物の焼結時に、銀含有組成物に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を、より容易に製造できる。
各原料の配合(混合)後は、得られたものをそのまま銀含有組成物としてもよいし、必要に応じて引き続き公知の後処理操作又は精製操作を行って得られたものを銀含有組成物としてもよい。
各原料の配合順序は、特に限定されない。各原料の好ましい配合方法の一例としては、原料組成物(1)と原料組成物(2)を混合し、必要に応じて、その後、得られた混合物と、C8~11脂肪族カルボン酸と、を混合する配合方法が挙げられる。
前記他の成分を配合する場合には、前記他の成分に適したタイミングで、配合すればよい。
前記銀含有組成物の製造時の混合方法は特に限定されず、例えば、原料組成物(1)の製造時の混合方法と同様であってよい。
各原料の配合時の温度は、各原料が劣化しない限り特に限定されないが、15~35℃であることが好ましい。そして、配合時の温度は、原料の種類及び量に応じて、配合して得られた混合物が撹拌し易い粘度となるように、適宜調節するとよい。
また、各原料の配合時間も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、2~60分であることが好ましい。
<<銀焼結体>>
本発明の一実施形態に係る銀焼結体は、前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折(Electron Back Scattered Diffraction Pattern:EBSD)法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5~1.2μmの結晶粒の割合(本明細書においては、「結晶粒(0.5~1.2μm)の割合」と略記することがある)が、40%以上となるものである。
本実施形態の銀焼結体は、このような条件を満たすことにより、延性を示し、クラックの発生が抑制される。また、本実施形態の銀焼結体は、最大応力を高くすることも可能である。このような本実施形態の銀焼結体は、例えば、電子部品の配線材料や半導体の接合材料として好適である。一例を挙げると、本実施形態の銀焼結体は、後述するように、導電性の第1部品と、導電性の第2部品とが、接合部を介して接合された接合体における、前記接合部として用いるのに好適である。このような接合体が、温度変化が大きい環境下に置かれた場合でも、接合部に発生する応力が緩和されるため、前記第1部品又は第2部品と、接合部と、の間における剥離が抑制される。前記銀焼結体は、特に、基板上の電極と、半導体素子と、の接合部として用いるのに好適であり、200℃以上の高温での動作が想定される半導体装置を構成するのに、特に好適である。
前記結晶粒(0.5~1.2μm)の割合は、43%以上であることが好ましく、例えば、50%以上、及び60%以上のいずれかであってもよい。結晶粒(0.5~1.2μm)の割合が前記下限値以上であることで、銀焼結体の延性がより高くなり、クラックの発生がより抑制される。
結晶粒(0.5~1.2μm)の割合の上限値は特に限定されない。例えば、結晶粒(0.5~1.2μm)の割合が70%以下である前記銀焼結体は、その製造がより容易である。
前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折(EBSD)法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5μm以上の結晶粒の割合(本明細書においては、「結晶粒(0.5μm以上)の割合」と略記することがある)は、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、例えば、85%以上、及び90%以上のいずれかであってもよい。結晶粒(0.5μm以上)の割合が前記下限値以上であることで、銀焼結体の延性がより高くなり、クラックの発生がより抑制される。
結晶粒(0.5μm以上)の割合の上限値は特に限定されない。例えば、結晶粒(0.5μm以上)の割合が97%以下である前記銀焼結体は、その製造がより容易である。
前記銀焼結体の試験片として、その幅が5mmであり、測定対象部位の長さが6mmであり、厚さが0.2mmであるものを作製し、前記試験片をその長さ方向において、引張速度1×10-4/secで引っ張る引張試験を行ったとき、前記試験片の最大応力は、好ましくは70MPa以上であり、例えば、85MPa以上、及び100MPa以上のいずれかであってもよい。
前記最大応力の上限値は、特に限定されない。例えば、前記最大応力が120MPa以下である前記試験片(銀焼結体)は、その製造がより容易である。
上述の引張試験時に、前記銀焼結体において生じる破断面は、引張試験時に前記銀焼結体に加えられる力の向きに対して、垂直又はほぼ垂直となる。
前記試験片の最大応力の測定時に測定される、前記試験片の引張試験時における破断ひずみは、好ましくは4.5%以上であり、例えば、5.3%以上、及び6%以上のいずれかであってもよい。
前記破断ひずみの上限値は、特に限定されない。例えば、前記破断ひずみが8%以下である前記試験片(銀焼結体)は、その製造がより容易である。
前記銀焼結体の空隙率は、35%以下であることが好ましく、33%以下であることがより好ましく、例えば、25%以下、及び29%以下のいずれかであってもよい。
前記空隙率の下限値は、特に限定されない。例えば、前記空隙率が5%以上である前記試験片(銀焼結体)は、その製造がより容易である。
本実施形態においては、前記銀含有組成物を用いることで、後述するように、銀含有組成物に圧力を加えることなく、常圧下(大気圧下)で焼成(焼結)を行うことで、銀焼結体を製造できる。
前記銀焼結体の厚さは、特に限定されず、目的に応じて任意に選択できる。
前記銀含有組成物を用いて製造された前記銀焼結体は、その厚さを十分に厚くしても(厚膜化しても)、クラックの発生が抑制され、十分に高強度となる。
例えば、前記銀焼結体の厚さは、50μm以上であることが好ましく、65μm以上、及び80μm以上のいずれかであってもよい。
一方、厚さが150μm以下である前記銀焼結体は、より容易に製造できる。
<<銀焼結体の製造方法>>
本実施形態の銀焼結体は、上述の本発明の一実施形態に係る銀含有組成物を加熱(焼成)して、前記銀含有組成物中の前記第1銀粒子及び第2銀粒子を焼結させることにより、製造できる。
前記銀焼結体の製造時における、前記銀含有組成物の加熱時の昇温速度は、特に限定されないが、3~20℃/minであることが好ましく、例えば、3~15℃/minであってもよい。前記昇温速度がこのような範囲であることで、目的とする特性の銀焼結体をより効率的に製造できる。
前記銀焼結体の製造時における、前記銀含有組成物の焼成温度(銀含有組成物を焼結させる温度)は、350℃以下であることが好ましく、例えば、330℃以下、及び310℃以下のいずれかであってもよい。前記焼成温度が前記上限値以下であることで、得られる銀焼結体において残留応力が低減され、例えば、銀焼結体を導電性の部品同士の接合部として用いた場合に、接合力が向上する。
前記銀含有組成物の焼成温度(銀含有組成物を焼結させる温度)は、250℃以上であることが好ましく、例えば、270℃以上、及び290℃以上のいずれかであってもよい。前記焼成温度が前記下限値以上であることで、より高純度の銀焼結体が得られる。
なお、本明細書においては、銀含有組成物の焼結は、第1銀粒子及び第2銀粒子の焼結と同義である。
前記銀焼結体の製造時における、前記銀含有組成物の焼成時間(銀含有組成物を焼結させる時間)は、30~120分であることが好ましく、例えば、50~90分であってもよい。前記焼成時間(焼結時間)がこのような範囲であることで、目的とする特性の銀焼結体をより効率的に製造できる。
前記銀含有組成物の焼成(第1銀粒子及び第2銀粒子の焼結)は、銀含有組成物に従来と同程度の圧力を加えて行ってもよいが、低い圧力を加えるだけでも行うことができ、圧力を加えることなく、常圧下(大気圧下)で行うこともできる。このように一定水準以下の低い圧力を加えるか、又は、圧力を加えることなく焼成(焼結)することで、例えば、銀焼結体を、基板上の電極と、半導体素子と、の接合部として用いる場合など、銀焼結体の周辺部に破損し易い部材が配置されている場合に、これら部材の意図しない破損を抑制できる。
前記銀含有組成物の焼結時に、前記銀含有組成物に加える圧力(銀含有組成物の焼成圧力)は、1MPa以下であることが好ましく、例えば、0.7MPa以下、及び0.4MPa以下のいずれかであってもよい。前記圧力が前記上限値以下であることで、圧力が低いことにより得られる上記の効果が、より顕著となる。
好ましい前記銀焼結体の製造方法としては、例えば、前記銀含有組成物を、前記銀焼結体の形成対象物上に付着させる工程と、付着後の前記銀含有組成物を、温度350℃以下、圧力1MPa以下の条件で焼結させることにより、前記銀焼結体を形成する工程と、を有する製造方法が挙げられる。
前記製造方法によれば、前記銀含有組成物を用いることで、その焼結時に高い圧力を加えなくても、延性を示し、クラックの発生が抑制された銀焼結体を製造できる。
前記銀焼結体の製造時においては、前記銀含有組成物を目的とする箇所に、目的とする形状で付着させて、次いで、焼成すればよい。
前記銀含有組成物を目的とする箇所に付着させる方法としては、例えば、印刷法、塗布法等の公知の方法が挙げられる。これら印刷法、塗布法等によって、銀含有組成物の層を形成し、この層を焼成しても、形成された銀焼結体は、延性が良好であり、クラックの発生も抑制される。
前記印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、ジェットディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が挙げられる。
前記塗布法としては、例えば、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターを用いる方法;ワイヤーバーを用いる方法;スロットダイ等のコーティング装置を用いる方法等が挙げられる。
<<接合体>>
このような本実施形態の銀焼結体は、例えば、電子部品の配線材料や半導体の接合材料として好適である。一例を挙げると、本実施形態の銀焼結体は、例えば、はんだの代わりとして用いるのに好適であり、導電性の部品同士の接合部として用いるのに好適である。
すなわち、このような接合部を備えた接合体としては、導電性の第1部品(本明細書においては、単に「第1部品」と略記することがある)と、導電性の第2部品(本明細書においては、単に「第2部品」と略記することがある)とが、接合部を介して接合され、前記接合部が、上述の本発明の一実施形態に係る銀焼結体である導電性接合体、が挙げられる。
図1は、本実施形態の接合体の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す接合体101は、導電性の第1部品2と、導電性の第2部品3とが、接合部1を介して接合され、構成されている。
接合部1は、本実施形態の銀焼結体からなる。
第1部品2は、シート状、プレート状又はブロック状である。
第1部品2は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第1部品2が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
なお、本明細書においては、第1部品の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよいし、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
第1部品2が複数層からなる場合には、例えば、第1部品2における、接合部1側の1層又は2層以上が、接合部1との密着性を向上させる層であってもよい。
第1部品2の厚さは、接合体101の目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第1部品2の厚さは、例えば、10~10000μmであってもよい。
第1部品2が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい第1部品2の厚さとなるようにするとよい。
ここでは、第1部品2として、シート状、プレート状又はブロック状であるものを示しているが、第1部品2は、これら以外の他の形状であってもよく、第1部品2の形状は、目的に応じて任意に選択できる。
第2部品3は、シート状、プレート状又はブロック状である。
第2部品3は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。第2部品3が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第2部品3が複数層からなる場合には、例えば、第2部品3における、接合部1側の1層又は2層以上が、接合部1との密着性を向上させる層であってもよい。
第2部品3の厚さは、接合体101の目的に応じて任意に設定でき、特に限定されない。
第2部品3の厚さは、例えば、10~10000μmであってもよい。
第2部品3が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい第2部品3の厚さとなるようにするとよい。
ここでは、第2部品3として、シート状、プレート状又はブロック状であるものを示しているが、第2部品3は、これら以外の他の形状であってもよく、第2部品3の形状は、目的に応じて任意に選択できる。
接合部1は、本実施形態の銀焼結体からなり、導電性であり、その詳細は、先に説明したとおりである。
接合部1は、シート状、プレート状又はブロック状である。
接合部1は、1層(単層)からなるものであってもよいし、2層以上の複数層からなるものであってもよい。接合部1が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
接合部1が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、先に説明した銀焼結体の厚さとなるようにするとよい。
ここでは、接合部1として、シート状、プレート状又はブロック状であるものを示しているが、接合部1は、これら以外の他の形状であってもよく、接合部1の形状は、目的に応じて任意に選択できる。
接合体101においては、1つの第1部品2と、1つの第2部品3とが、1つの接合部1によって接合されているが、接合形態は、これに限定されない。
本実施形態の接合体においては、例えば、1つの第1部品と、2つ以上の第2部品とが、1つの接合部によって接合されていてもよい。その場合、2つ以上の第2部品は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。
また、本実施形態の接合体においては、例えば、1つの第1部品と、2つ以上の第2部品とが、2つ以上の接合部によって接合されていてもよい。その場合、第2部品の数と、接合部の数とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、2つ以上の第2部品は、すべて同一であってもよいし、すべて異なっていてもよいし、一部のみ異なっていてもよい。
ここで例示した、第1部品の数と、第2部品の数とは、逆であってもよい。
<半導体装置>
前記接合体で好ましいものとしては、例えば、基板と、前記基板に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、前記基板上に設けられた電極と、前記半導体素子とが、接合部(銀焼結体)によって接合されており、前記接合部が、上述の本発明の一実施形態に係る銀焼結体である、半導体装置が挙げられる。
図2は、本実施形態の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
ここに示す半導体装置102は、基板20と、基板20に接合された半導体素子31と、を備えて、構成されている。
基板20の一方の面には、電極21が設けられており、電極21と、半導体素子31とが、接合部11によって接合されている。
接合部11は、本実施形態の銀焼結体からなる。
基板20は、例えば、樹脂製基板等の、公知の基板でよく、特に限定されない。
基板20の厚さは、例えば、200~10000μmであってもよい。
電極21は、前記第1部品に包含され、例えば、金属製電極等の、公知の電極でよく、特に限定されない。
電極21の厚さは、例えば、10~5000μmであってもよい。
半導体素子31は、前記第2部品に包含され、例えば、シリコン、シリコンカーバイド又は窒化ガリウム等の半導体を構成材料とする素子等の、公知の素子であってよい。
半導体素子31の厚さは、例えば、50~800μmであってもよい。
接合部11は導電性であり、その詳細は、先に説明したとおりである。
接合部11の厚さは、例えば、10~200μmであってもよい。
接合体102における、電極21と半導体素子31との、接合部11を介した接合形態は、接合体101における、第1部品2と第2部品3との、接合部1を介した接合形態と、同様であってよい。
<<接合体の製造方法>>
前記接合体は、例えば、前記第1部品と、前記第2部品と、のいずれか一方又は両方の表面に付着している前記銀含有組成物を、60℃以上の温度で固化させずに加熱することにより、前記銀含有組成物の加熱物を得る工程(本明細書においては、「予備加熱工程」と称することがある)と、前記加熱物を介在させて、前記第1部品と前記第2部品とを接触させながら、前記加熱物を焼成することにより、前記第1部品と前記第2部品とを、前記加熱物から形成された銀焼結体によって接合する工程(本明細書においては、「接合工程」と称することがある)と、を有する製造方法により、製造できる。
第1部品と、第2部品と、のいずれか一方又は両方の表面に、銀含有組成物を付着させる方法は、先に説明した、銀含有組成物を目的とする箇所に付着させる方法、と同じである。
本実施形態の製造方法において、前記予備加熱工程を行う理由は、前記銀焼結体(すなわち接合部)の接合強度が顕著に増大するためである。
予備加熱工程においては、加熱中の銀含有組成物を介在させて、第1部品と第2部品とが接触(一体化)した状態とはしない。
予備加熱工程における銀含有組成物の加熱温度は、例えば、65℃以上、70℃以上、及び75℃以上のいずれかであってもよい。
予備加熱工程における、銀含有組成物の加熱温度の上限値は、特に限定されない。例えば、銀含有組成物の固化を容易に回避できる点では、前記加熱温度は、120℃以下であることが好ましい。
予備加熱工程における、銀含有組成物を60℃以上の温度で固化させずに加熱する時間(本明細書においては、「予備加熱時間」と略記することがある)は、0.1~30分であることが好ましく、例えば、0.5~10分であってもよい。予備加熱時間がこのような範囲であることで、目的とする加熱物をより効率的に製造できる。
予備加熱工程で得られた前記加熱物は、典型的には、銀に特有の光沢を有しておらず、このような外見上の特徴からも、前記加熱物は、目的とする銀焼結体との区別が可能である。
前記接合工程における、前記加熱物の焼成時の昇温速度は、例えば、先に説明した、前記銀焼結体の製造時における、前記銀含有組成物の加熱時の昇温速度と、同様であってよい。
接合工程における、前記加熱物の焼成時の焼成温度(第1銀粒子及び第2銀粒子の焼結温度)は、例えば、先に説明した、前記銀焼結体の製造時における、前記銀含有組成物の焼成温度(銀含有組成物を焼結させる温度)と、同様であってよい。
本実施形態においては、接合工程における、前記加熱物の焼成時の焼成時間(第1銀粒子及び第2銀粒子の焼結時間)と、前記予備加熱時間と、の合計時間は、例えば、先に説明した、前記銀焼結体の製造時における、前記銀含有組成物の焼成時間(銀含有組成物を焼結させる時間)と、同様であってよい。
前記接合工程においては、先に説明した銀焼結体の製造方法の場合と同様に、前記銀含有組成物の加熱物の焼成(第1銀粒子及び第2銀粒子の焼結)は、前記加熱物に従来と同程度の圧力を加えて行ってもよいが、低い圧力を加えるだけでも行うことができ、圧力を加えることなく、常圧下(大気圧下)で行うこともできる。このように一定水準以下の低い圧力を加えるか、又は、圧力を加えることなく焼成(焼結)することで、第1部品及び第2部品に過度に圧力が加わることがなく、第1部品及び第2部品の意図しない破損を抑制できる。
<半導体装置の製造方法>
前記接合体のうち、前記半導体装置は、上述の接合体の製造方法において、第1部品として電極を用い、第2部品として半導体素子を用いることにより、製造できる。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
[実施例1]
<<銀含有組成物の製造>>
<原料組成物(1)の製造>
ビーカー中に2-エチルヘキシルアミン(後述する2-メチルアセト酢酸銀に対して0.4倍モル量)を加え、ここへ、液温が40℃以下となるように2-メチルアセト酢酸銀(52.9g)を加えて、得られたものを、メカニカルスターラーを回転させて、15分撹拌した。
次いで、得られた撹拌液に、液温が60℃以下となるように、ギ酸(2-メチルアセト酢酸銀に対して0.65倍モル量)を10分かけて滴下し、得られたものを、さらに26℃で1.5時間撹拌した。
以上により、原料組成物(1)を得た。
上記で得られた原料組成物(1)を冷却し、凍結破断を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、「Cryo FIC-SEM FEI, Helios NanoLab600」)を用いて、加速電圧1kV(反射電子像)の条件で、凍結破断物の破断面を観察した。そして、画像解析ソフト(「Image J.」)を用いて、倍率10000倍のSEM画像を画像処理することにより、銀粒子凝集体を識別した。その識別結果から、個々の銀粒子凝集体の最大径を算出した。銀粒子凝集体の観測数は、700以上とした。ここで、「最大径」とは、銀粒子凝集体の識別像において、輪郭線上に位置する任意の2点を結ぶ線分の長さの最大値を意味する。その結果、前記最大径の平均値、すなわち、銀粒子の平均2次粒子径は、296nmであった。
さらに、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いて、凍結破断物の破断面を観察した結果、個々の銀粒子凝集体は、1次粒子径が200nm以下の銀粒子で構成されていた。
なお、上述の、銀粒子凝集体の識別像において、輪郭線上に位置する任意の2点を結ぶ線分の長さの最小値が、56nmであったことから、銀粒子凝集体を構成する銀粒子の1次粒子径は、56nm未満であると推測された。
<銀含有組成物の製造>
銀フレークがエチレングリコール中で分散された分散物(トクセン工業社製「N300」)を原料組成物(2)(より具体的には原料組成物(2-2))として用意した。原料組成物(2)において、原料組成物(2)の総質量に対する、銀の含有量の割合(銀の濃度)は、90.3質量%であった。
前記銀フレークは、単結晶構造を有し、かつ、その最大平面が格子面(111)となっているものであった。
前記銀フレークの、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、50%累積時の粒子径(D50)は、0.3μmであった。
SEMを用いて前記銀フレークを観察したところ、銀フレークの厚さは、概ね50nm以下であった。
常温下で、上記で得られた原料組成物(1)(12質量部)と、原料組成物(2)(50質量部)と、を混合し、自公転撹拌機を用いて3分混合することにより、表1に示す銀含有組成物を得た。
<<銀焼結体(接合体)の製造(1)>>
大きさが12mm×8mm×0.8mmである銅製基材と、大きさが4mm×4mm×0.8mmである銅チップと、を準備した。前記銅製基材の接合対象面と、前記銅チップの接合対象面に、それぞれ、スパッタ処理により、チタン膜(厚さ0.1μm)及び銀膜(厚さ1μm)をこの順に積層した。
次いで、銅製基材の前記銀膜(換言すると、スパッタ処理面)上に、スクリーン印刷法によって、上記で得られた銀含有組成物の、大きさが5mm×5mm×0.1mmの印刷層を形成した。
次いで、プログラムホットプレート(AS ONE社製「EC-1200NP」)を用いて、大気下、無加圧下(常圧下)の条件で、80℃で45秒、前記印刷層の予備加熱を行った後、前記印刷層の予備加熱物上に、銅チップを載せた。このとき、これらを上方から見下ろして平面視した状態で、予備加熱物の中心と、銅チップの中心と、を一致させ、さらに、予備加熱物の外周と、銅チップの外周と、が平衡となるように、銅チップを位置合わせした。
次いで、得られた積層物を、大気下、無加圧下(常圧下)で、昇温速度5℃/minで室温から300℃まで昇温し、そのまま300℃で60分保持し、銀含有組成物を焼成することによって、大きさが5mm×5mm×0.1mmの銀焼結体を形成した。
次いで、得られた焼成物を室温まで放冷した。
以上により、銅製基材と銅チップが、銀焼結体からなる接合部によって接合されて構成された、接合体を得た。
<<銀焼結体の製造(2)>>
上記で得られた銀含有組成物をビン内に封入し、自公転撹拌機で撹拌することにより、脱泡した。
次いで、大きさが70mm×120mm×1.1mmであるステンレス鋼(SUS)板の一方の面上に、スクリーン印刷法によって、脱泡後の前記銀含有組成物の印刷層を形成した。このときの印刷層の形状及び大きさは、図3に示すとおりとした(厚さは0.2mmである)。図3は、本実施例での、銀含有組成物の印刷層の形状及び大きさを示す平面図である。
次いで、プログラムホットプレート(AS ONE社製「EC-1200NP」)を用いて、大気下、無加圧下(常圧下)の条件で、形成した印刷層を、昇温速度5℃/minで室温から300℃まで昇温し、そのまま300℃で60分保持し、銀含有組成物を焼成することによって、銀焼結体を形成した。
次いで、得られた焼成物を室温まで放冷し、SUS板から銀焼結体を剥がし、得られた銀焼結体を試験片とした。
<<銀焼結体の評価(1)>>
<引張試験時における最大応力及び破断ひずみの測定>
常温下において、前記試験片の長手方向における両端部の四角形部位(1辺の長さが7mmの部位)を、精密万能試験機(インストロン社製「5566型」)で挟み、前記長手方向に試験片を引っ張る引張試験を行い、応力を測定した。このときの引張速度は、1×10-4/secとした。試験片を引っ張ったときにロードセルから得られた荷重を、試験片の断面積で除した値を、公称応力とし、その最大値を最大応力とした。また、クロスヘッド変位を、試験片の長手方向中央寄りの部位(試験片の長手方向における長さが6mmの部位)の長さ(6mm)で除した値を、ひずみとし、応力が0になったときのひずみを、破断ひずみとした。結果を表1に示す。
<銀焼結体の空隙率の算出>
上記の引張試験時における試験片と同じ試験片(銀焼結体)を作製した。
次いで、ハサミを用いて、試験片を、その長手方向における中央部で、長手方向に対して直交する方向に切断した。切断後の試験片に対して樹脂包埋を行い、断面に対して、機械研磨及びイオンミリングを行った。そして、SEMを用いて、加速電圧5kV(反射電子像)の条件で、断面を観察し、黒い領域を空隙部として分類し、空隙率を算出した。結果を表1に示す。
<銀焼結体の結晶粒(0.5~1.2μm)の割合の算出>
上記で得られた切断後の試験片の断面のうち、試験片の幅方向中央寄りの部位について、SEMを用いて、EBSD法により解析した。
指定方位差5°、測点間距離50nmの設定で、Grain MAP(結晶粒マップ)を作成し、結晶粒(0.5~1.2μm)の割合を算出した。結果を表1に示す。表1には、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5μm以上の結晶粒の割合も、「結晶粒(0.5μm以上)の割合」として示している。
<<銀焼結体の製造(3)>>
上記で得られた銀含有組成物をビン内に封入し、自公転撹拌機で撹拌することにより、脱泡した。
次いで、大きさが12mm×8mm×0.8mmである銅製基材の一方の面上に、スクリーン印刷法によって、脱泡後の前記銀含有組成物の印刷層を形成した。このときの印刷層の平面形状は四角形状とし、その大きさは5mm×5mmとして、厚さを100μm、200μm、300μmの3とおりとした。すなわち、印刷層としては、厚さが異なるものを3つ形成した。
次いで、プログラムホットプレート(AS ONE社製「EC-1200NP」)を用いて、大気下、無加圧下(常圧下)の条件で、形成した印刷層を、昇温速度10℃/minで室温から300℃まで昇温し、そのまま300℃で60分保持し、銀含有組成物を焼成することによって、膜状の銀焼結体を形成した。
<<銀焼結体の評価(2)>>
<銀焼結体の厚さの測定>
次いで、得られた銀焼結体を室温まで放冷し、レーザー顕微鏡を用いて、銀焼結体の厚さを測定した。結果を表1に示す。
<<銀含有組成物の製造、銀焼結体の製造及び評価>>
[実施例2]
実施例1の場合と同じ方法で、銀含有組成物を製造した。
次いで、銀焼結体の製造(1)~(3)において、銀含有組成物(前記印刷層)の焼成を、大気下、無加圧下(常圧下)で、300℃で60分行うのに代えて、大気下、1MPaの加圧下で、350℃で60分行った点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、銀焼結体(接合体)を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[参考例1]
実施例1の場合と同じ方法で、銀含有組成物を製造した。
次いで、銀焼結体の製造(1)~(3)において、銀含有組成物(前記印刷層)の焼成を、大気下、無加圧下(常圧下)で、300℃で60分行うのに代えて、大気下、20MPaの加圧下で、300℃で10分行った点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、銀焼結体(接合体)を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[参考例2]
実施例1の場合と同じ方法で、銀含有組成物を製造した。
次いで、銀焼結体の製造(1)~(3)において、銀含有組成物(前記印刷層)の焼成を、大気下、無加圧下(常圧下)で、300℃で60分行うのに代えて、大気下、20MPaの加圧下で、350℃で10分行った点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、銀焼結体(接合体)を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
銀含有組成物の製造時に、常温下で、原料組成物(1)(12質量部)と、原料組成物(2)(50質量部)と、を混合し、さらにここへ、ネオデカン酸(1.265質量部)を添加した点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、表1に示す銀含有組成物を得た。
次いで、この銀含有組成物を用いた点と、銀焼結体の製造(1)において、印刷層の予備加熱時間を45秒に代えて75秒とした点、以外は、実施例1の場合と同じ方法で、銀焼結体(接合体)を製造し、評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
<<比較用銀含有組成物の製造>>
実施例1の場合と同じ方法で、原料組成物(1)を製造し、これを比較用銀含有組成物とした。
<<銀焼結体の製造及び評価>>
銀含有組成物に代えて、前記比較用銀含有組成物(原料組成物(1))を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、銀焼結体(接合体)を製造し、その評価を試みた。結果を表1に示す。
[比較例2]
<<比較用銀含有組成物の製造>>
実施例1の場合と同じ原料組成物(2)を用意し、これを比較用銀含有組成物とした。
<<銀焼結体の製造及び評価>>
銀含有組成物に代えて、前記比較用銀含有組成物(原料組成物(2))を用いた点以外は、実施例1の場合と同じ方法で、銀焼結体(接合体)を製造し、その評価を試みた。結果を表1に示す。
表1中、「C8~11脂肪族カルボン酸配合割合(質量%)」の欄には、その値とともに、脂肪族カルボン酸の種類も併記している。
また、それ以外の欄における「-」との記載は、そのデータが未取得であるか、又はそのデータが取得できなかったことを意味する。
Figure 2022154083000003
実施例1~3においては、銀含有組成物の焼結時に高い圧力を加えなくても、最大応力が高く、延性を示す、十分な厚さの銀焼結体が得られた。
実施例1~3において、前記引張試験時における破断ひずみは、5.5%以上(5.5~6.5%)であり、銀焼結体の厚さは52μm以上(52~100μm)であり、これら銀焼結体にクラックは発生していなかった。
実施例1~3において、銀焼結体の結晶粒(0.5~1.2μm)の割合は、44.5%以上(44.5~64.4%)であった。
さらに、実施例1~3においては、前記引張試験時における最大応力が79MPa以上(79~115MPa)であり、銀焼結体はより良好な特性を有していた。
実施例1と実施例3との比較から、ネオデカン酸の使用によって、銀焼結体の最大応力と延性が向上することが確認できた。
これに対して、参考例1~2においては、延性が不十分な銀焼結体が得られた。
参考例1~2において、銀焼結体の結晶粒(0.5~1.2μm)の割合が、24.3%以下(3.6~24.3%)であった。
比較例1~2においては、十分な厚さの銀焼結体が得られなかった。比較例1においては、銀含有組成物の前記銀の濃度が低く(63.3質量%であり)、その影響で、厚さが21μm超の銀焼結体が得られなかった。比較例2においては、銀含有組成物の前記銀の濃度が高く(90.3質量%であり)、その影響で、クラックの発生が抑制された銀焼結体が得られなかった。比較例2においては、最大で厚さが37μmの銀焼結体が得られたが、この銀焼結体にはクラックが発生していた。
前記引張試験を行うためには、厚さが50μm以上の銀焼結体が必要だが、上記のように、比較例1~2においては、クラックの発生が抑制された、厚さが50μm以上の銀焼結体が得られなかったため、これら比較例では最大応力及び破断ひずみを測定できなかった。そこで、比較例1~2においては、それ以外の項目も評価しなかった。
本発明は、導電性接合体、例えば、電子部品の配線材料や半導体の接合材料として、利用可能である。
1,11・・・接合部、2・・・導電性の第1部品、20・・・基板、21・・・電極、3・・・導電性の第2部品、31・・・半導体素子、101・・・接合体、102・・・半導体装置

Claims (6)

  1. 銀焼結体であって、
    前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5~1.2μmの結晶粒の割合が、40%以上である、銀焼結体。
  2. 前記銀焼結体の空隙率が35%以下である、請求項1に記載の銀焼結体。
  3. 基板と、前記基板に接合された半導体素子と、を備えた半導体装置であって、
    前記基板上に設けられた電極と、前記半導体素子とが、銀焼結体によって接合されており、
    前記銀焼結体が、請求項1又は2に記載の銀焼結体である、半導体装置。
  4. 銀含有組成物であって、
    前記銀含有組成物は、第1銀粒子及び第2銀粒子を含有し、
    前記第1銀粒子の1次粒子径が200nm以下であり、かつ、平均2次粒子径が2μm以下であり、
    前記第2銀粒子の、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定によって測定された、50%累積時の粒子径が、1.5μm未満である、銀含有組成物。
  5. 前記第1銀粒子及び第2銀粒子のいずれか一方又は両方が、β-ケトカルボン酸銀若しくはシュウ酸銀の熱分解又は還元によって得られたものである、請求項4に記載の銀含有組成物。
  6. 銀焼結体の製造方法であって、
    前記銀焼結体中の結晶粒について、電子線後方散乱回折法により、面積基準で粒径分布を測定したとき、すべての結晶粒に対する、粒径が0.5~1.2μmの結晶粒の割合が、40%以上であり、
    前記製造方法は、請求項4又は5に記載の銀含有組成物を、前記銀焼結体の形成対象物上に付着させる工程と、
    付着後の前記銀含有組成物を、温度350℃以下、圧力1MPa以下の条件で焼結させることにより、前記銀焼結体を形成する工程と、を有する、銀焼結体の製造方法。
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