JP2022153932A - 半田付け方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】半田付け作業の能率を低下させることなく良好な半田付けが可能な方法を提供すること。【解決手段】半田付け方法は、軸方向に貫通した半田孔51を有し加熱可能な鏝先5aを用いて、電子部品の部品本体から外方に突出したピン端子Pを、プリント回路基板Bdに形成されたスルーホールThに挿通してスルーホールThの外周縁に形成されたランドLdに半田付けする半田付け方法であって、鏝先5aをプリント回路基板Bdに接触させた状態において、半田孔51内に挿入されたピン端子Pの先端から半田孔51の下端開口までの半田孔51の内容積Vhと、半田片Whの体積Vsとが下記式(1)を満たすようにする。Vs≧Vh-Vp1・・・・・・(1)Vs:半田片の体積Vh:半田孔に挿入されたピン端子の先端から半田孔の下端開口までの半田孔の内容積Vp1:半田孔内に位置するピン端子の体積【選択図】図5
Description
本発明は半田付け方法に関し、より詳細には、電子部品のピン端子をプリント回路基板のスルーホールに挿通しスルーホールの外周縁に形成されたランドに半田付けする方法に関するものである。
近年、各種機器のほとんどには電子部品を実装したプリント回路基板が搭載されている。このプリント回路基板の作製過程において、各種の電子部品をプリント配線板の配線パターン(ランド)に接合する処理等のため半田付け作業がなされる。また半田付け作業を機械的に実現させるため半田付け装置が各種提案されすでに使用されているものもある。
例えば半田付け装置の一つとして、半田片(半田層内部にフラックスの層が設けられた糸半田を切断したもの)を、略筒形状の鏝先の軸方向に貫通した半田孔内に供給し、半田孔内で半田片を立てた姿勢で加熱・溶融して、溶融した半田を下方へ供給して半田付けを行うものがある。
前記提案の半田付け装置を用いて、電子部品のピン端子をプリント回路基板のスルーホールに挿通しスルーホールの外周縁に形成されたランドに半田付けする場合、鏝先およびプリント配線基板を相対的移動させてピン端子を半田孔内に位置させる必要があるところ、相対的移動制御の裕度を広げるため鏝先の半田孔の下端部に半径方向外方に半田孔の内周壁を拡大した拡大部を設けることがあった。
図9(a)に示すように、このような拡大部510を有する鏝先を用いてピン端子PとランドLdとの半田付けを行った場合、まず半田孔51内に供給された半田片Whはピン端子Pの先端に当接する。そして、半田片Whは半田鏝から受熱して溶融し始め、この溶融した半田片Whを介して半田鏝からピン端子Pに熱が伝えられる。そして、ピン端子Pの先端温度が所定温度以上になると、図9(b)に示すように、溶融半田はピン端子Pに沿って流下する。このとき溶融半田の体積に対して拡大部(半田孔)510の空間体積が大きいと溶融半田が拡大部510の内周面と接触しないことがある。
溶融半田が拡大部510の内周面に接触しないと、溶融半田を介した半田鏝からピン端子PやランドLdへの伝熱が無く、半田鏝からピン端子PやランドLdへの伝熱量が低下する。このような伝熱量の低下はピン端子PやランドLdの加熱不足を招き半田付けが十分に行われない不具合が生じることがあった。特に、図10(a)に示すようなピン端子Pが接続する端子Taの熱容量が大きい場合や、図10(b)に示すようなランドLdの面積が大きい場合に前記加熱不足が顕著に現れる。このような不具合を解消するためには半田付け時間を長くすることが考えられるがこの場合は半田付け作業の能率低下という新たな問題が生じる。
本発明はこのような従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、半田付け作業の能率を低下させることなく良好な半田付けが可能な方法を提供することにある。
前記目的を達成する本発明の一態様に係る半田付け方法は、略筒形状で軸方向に貫通した半田孔を有し加熱可能な鏝先を用いて、電子部品の部品本体から外方に突出したピン端子を、プリント回路基板に形成されたスルーホールに挿通して前記スルーホールの外周縁に形成されたランドに半田付けする半田付け方法であって、前記スルーホールに挿通され前記プリント回路基板から突出した前記ピン端子の先端部が前記半田孔内に位置するように前記鏝先を前記プリント回路基板に接触させる工程と、前記半田孔内に半田片を供給する工程と、供給された半田片を前記半田孔内で加熱溶融させて前記ピン端子と前記ランドとを半田付けする工程とを有し、前記鏝先を前記プリント回路基板に接触させた状態において、前記半田孔内に挿入された前記ピン端子の先端から前記半田孔の下端開口までの前記半田孔の内容積Vhと、前記半田片の体積Vsとが下記式(1)を満たすようにすることを特徴とする。
Vs≧Vh-Vp1 ・・・・・・(1)
Vs:半田片の体積
Vh:半田孔に挿入されたピン端子の先端から半田孔の下端開口までの半田孔の内容積
Vp1:半田孔内に位置するピン端子の体積
Vs≧Vh-Vp1 ・・・・・・(1)
Vs:半田片の体積
Vh:半田孔に挿入されたピン端子の先端から半田孔の下端開口までの半田孔の内容積
Vp1:半田孔内に位置するピン端子の体積
前記構成によれば、ピン端子の先端またはそれ以上まで半田孔内は溶融半田で満たされるので、半田鏝から溶融半田を介してピン端子およびランドに効率的に熱が伝えられるようになる。
前記半田付け方法では下記式(2)をさらに満たすようにするのが好ましい。
Vs≧Vh-Vp+Vt-Vp2 ・・・・・・(2)
Vt:スルーホールの体積
Vp2:スルーホール内に位置するピン端子の体積
Vs≧Vh-Vp+Vt-Vp2 ・・・・・・(2)
Vt:スルーホールの体積
Vp2:スルーホール内に位置するピン端子の体積
これにより、スルーホール内に溶融半田が流入した場合であっても半田孔内においてピン端子の先端またはそれ以上まで溶融半田で満たされることになり、確実に半田鏝から溶融半田を介してピン端子およびランドに効率的に熱が伝えられるようになる。
前記半田付け方法では、前記半田孔はその下端部に半径方向外方に拡大した拡大部を有し、前記拡大部の前記半田孔の下端開口からの軸方向長さが、前記ピン端子の前記プリント回路基板の表面からの突出長さよりも長い構成としてもよい。ここで、下面視において前記拡大部は前記半田孔の外周全体から半径方向外方に拡大したものであってもよい。
本発明の半田付け方法によれば、半田付け作業の能率を低下させることなく良好な半田付けが可能となる。
本発明に係る半田付け方法およびそれに用いる半田付け装置について図に基づき説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
第1実施形態
(半田付け装置の全体構成)
図1は、半田付け装置APによってプリント回路基板Bdに電子部品Epを半田付けする場合の斜視図である。治具Gjに固定されたプリント回路基板Bdには4つのスルーホールThが形成されており、各スルーホールThの周縁にはランドLdが形成されている。そして、この4つのスルーホールThの各々には、プリント回路基板Bdの裏面側に配置された電子部品Epから延出した4つのピン端子Pが下から上方向に挿通され、プリント回路基板Bdの上面からピン端子Pの先端が突出した状態となっている。
(半田付け装置の全体構成)
図1は、半田付け装置APによってプリント回路基板Bdに電子部品Epを半田付けする場合の斜視図である。治具Gjに固定されたプリント回路基板Bdには4つのスルーホールThが形成されており、各スルーホールThの周縁にはランドLdが形成されている。そして、この4つのスルーホールThの各々には、プリント回路基板Bdの裏面側に配置された電子部品Epから延出した4つのピン端子Pが下から上方向に挿通され、プリント回路基板Bdの上面からピン端子Pの先端が突出した状態となっている。
一方、半田付け装置APは、多関節アームAmを有する移動手段としてのマニピュレーターMLと、マニピュレーターMLの先端に取り付けられた装置本体A1と、マニピュレーターML及び装置本体A1の動作を制御する制御装置Contとを備える。マニピュレーターMLは基台Bs上に設置され、多関節アームAmは複数の関節部の各々において回転可能とされている。制御手段Contは、マニピュレーターMLの多関節アームAmの回転動作を制御して、装置本体A1をX方向、Y方向、Z方向の所望位置に移動させる。また制御手段Contは、後述する装置本体A1のカッターユニット2、駆動機構3、半田送り機構6及びヒーターユニット(加熱手段)4の動作を制御する。なお、本実施形態ではカッターユニット2、駆動機構3、半田送り機構6が半田片供給手段を構成する。
半田付け装置APによって半田付けを行う場合、装置本体A1が、マニピュレーターMLによってX方向及びY方向に移動されてプリント回路基板BdのランドLdに対する位置決めが行われる。そして、装置本体A1がZ方向に移動されることで、鏝先5aの先端がランドLdに接触する。以下説明する実施形態ではこの半田付け装置APを用いて、プリント回路基板Bdの上面から突出したピン端子Pを装置本体A1の鏝先5aの半田孔51(図3に図示)内に位置させ、鏝先5aの半田孔51に供給される半田片Whを溶融させてピン端子PとランドLdとを半田付けする。なお、本実施形態では、装置本体A1を移動させているが、装置本体A1を固定しプリント回路基板Bdを移動させる、あるいは装置本体A1とプリント回路基板Bdの両者を移動させるようにしても構わない。
(装置本体A1)
図2に装置本体A1の斜視図を示し、図3に図2に示す半田付け装置の垂直断面図、図4は図2に示す半田付け装置に設けられた駆動機構の一部の分解斜視図である。なお、図2では、筐体の一部を切断し、装置本体A1の内部を表示するようにしている。
図2に装置本体A1の斜視図を示し、図3に図2に示す半田付け装置の垂直断面図、図4は図2に示す半田付け装置に設けられた駆動機構の一部の分解斜視図である。なお、図2では、筐体の一部を切断し、装置本体A1の内部を表示するようにしている。
図2に示すように、装置本体A1は、装置ユニットUと、装置ユニットUをZ方向の所定距離範囲で移動可能に支持する支持部材SPと、装置ユニットUと支持部材SPを覆うカバーC(図2の波線)とを有する。
支持部材SPは、四角形状のYZ平面を有しX方向に所定の厚みを有する板状の基部Mfと、基部MfのX方向一方側面のY方向中央部にY方向に所定幅を有しX方向に突出しZ方向に連続するガイドレールMgと、ガイドレールMgにZ方向に移動可能に取り付けられたブロックMbとを備える。
基部MfのZ方向上端部はマニピュレーターMLの多関節アームAmの先端に取り付けられる。ブロックMbには装置ユニットUの壁体11がZ方向の略全域にわたって取り付けられている。すなわち、装置ユニットUはブロックMbに固定され、ブロックMbと一体となってZ方向に移動可能とされている。また、ブロックMbのY方向の一方側面の下端部には移動規制ピン91が側面から外方に向かって垂直に突出して設けられている。
一方、基部MfのX方向一方側面のZ方向下部のY方向端部位置には、直方体形状の上ストッパー部93と下ストッパー部94とがZ方向に所定距離隔てて対向するように設けられている。
ブロックMbの一方側面に設けられた移動規制ピン91は、基部Mfの上ストッパー部93と下ストッパー部94との間の領域に位置し、初期状態のときすなわち鏝先5aが配線基板Bdに当接していない状態のときは、装置ユニットU及びブロックMbの自重によって移動規制ピン91は下ストッパー部94に当接した状態となっている。換言すると、移動規制ピン91が下ストッパー部94に当接することで、装置ユニットUのZ方向下方への移動が規制される。他方、鏝先5aが配線基板Bdに当接して装置ユニットUがZ方向上方に移動した場合には、移動規制ピン91が上ストッパー部93に当接することで、装置ユニットUのZ方向上方向への移動が規制される。
(装置ユニットU)
装置ユニットUは、支持部1、カッターユニット2、駆動機構3、ヒーターユニット4、鏝先5a、半田送り機構6を備えている。
装置ユニットUは、支持部1、カッターユニット2、駆動機構3、ヒーターユニット4、鏝先5a、半田送り機構6を備えている。
支持部1は、立設された平板状の壁体11を備えている。なお、以下の説明では、便宜上、図2に示すように、壁体11に沿う水平方向をX方向、壁体11と垂直な水平方向をY方向、壁体11に沿う鉛直方向をZ方向とする。例えば、図2に示すように、壁体11はZX平面を有している。
支持部1は、壁体11と、保持部12と、摺動ガイド13と、ヒーターユニット固定部14とを備える。壁体11は、鉛直方向に立設された平板状の壁体である。壁体11は、装置本体A1の支持部材としての役割を果たしている。保持部12は、壁体11のZ方向の下端部より上方にずれた位置に固定されている。保持部12は、駆動機構3の後述するエアシリンダー31を保持する。ヒーターユニット固定部14は、ヒーターユニット4の固定を行う部材であり、壁体11のZ方向の端部(下端部)に設けられている。
摺動ガイド13は、壁体11のZ方向の下端部の近傍に、固定されている。摺動ガイド13は、カッターユニット2の後述するカッター下刃22と共に、壁体11と固定されており、カッターユニット2の後述するカッター上刃21をX方向に摺動可能にガイドする。
摺動ガイド13は、Y方向に対向して対をなす部材である。摺動ガイド13は、一対の壁部131と、抜止部132とを有している。壁部131は、X方向に延びる平板状の部材である。一方の壁部131は、壁体11と接触して配されており、壁体11と反対側の面は、カッター下端22と接触している。また、他方の壁部131は、カッター下刃22の側面と接触している。つまり、一対の壁部131は、カッター下刃22をY方向の両側から挟んでいる。そして、一対の壁部131及びカッター下刃22は、ねじ等の締結具で壁体11に共締めされて、固定される。
抜止部132は、一対の壁部131のそれぞれに設けられている。一対の壁部131は、カッター下刃22のZ方向上面よりもZ方向に延びており、一対の壁部131のZ方向の上端部から、それぞれ、他方に向かって延びている。すなわち、摺動ガイド13は、一対の抜止部132を備えている。そして一対の抜止部132それぞれのY方向の先端は、接触しない、換言すると、摺動ガイド13には上部に開口を有している。カッター上刃21は、カッター下刃22の上面と、抜止部132との間に少なくとも一部は配される。これにより、カッター上刃21は、X方向にガイドされるとともに、Z方向に抜け止めされる。
カッターユニット2は、半田送り機構6によって送られた糸半田Wを所定長さの半田片Whに切断する切断具である。カッターユニット2は、カッター上刃21と、カッター下刃22と、プッシャーピン23とを備えている。
上述のとおり、カッター下刃22は摺動ガイド13とともに壁体11に固定される。図3に示すように、カッター下刃22は、下刃孔221と、ガス流入孔222とを備えている。下刃孔221は、カッター下刃22をZ方向に貫通する貫通孔であり、カッター上刃21の後述する上刃孔211を貫通した糸半田Wが挿入される。下刃孔221の上端の辺縁部は切刃状に形成されている。上刃孔211と下刃孔221とを用いて、糸半田Wを所定長さの半田片Whに切断する。切断された半田片Whは、自重によって又はプッシャーピン23に押されて、下刃孔221の内部を下方に落下する。下刃孔221は、ヒーターユニット4の後述する半田供給孔422を介して、鏝先5aの後述する半田孔51と連通している。下刃孔221の内部を落下した半田片Whは、半田供給孔422に達した後、半田孔51に落下する。
ガス流入孔222は、カッター下刃22の外側面と下刃孔221とを連通する孔である。不図示のガス供給源から供給されるガスはガス流入孔222に流入する。そして、ガスは、下刃孔221、半田供給孔422を通過して、半田孔51に到達する。なお、ガスとは、半田を加熱して溶融するときに半田の酸化を抑制するために用いられるものである。すなわち、溶融した半田と酸素との接触を抑制するためのガスである。ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、二酸化炭素等を挙げることができる。本実施形態の半田付け装置APでは、窒素ガスを供給するものとして説明する。
カッター上刃21は、上述したとおり、カッター下刃22のZ方向上面上に配される。カッター上刃21は、摺動ガイド13によって摺動時に摺動方向がX方向になるようガイドされるとともにZ方向に抜け止めされる。すなわち、カッター上刃21は、カッター下刃22のZ方向の上面上をX方向に摺動する。なお、カッター上刃21は、駆動機構3によって摺動される。
カッター上刃21は、上刃孔211と、ピン孔212とを備えている。上刃孔211は、カッター上刃21をZ方向に貫通する貫通孔である、上刃孔211には、半田送り機構6から送られた糸半田Wが挿入される。上刃孔211の下端の辺縁部は切刃状に形成されている。ピン孔212は、カッター上刃21をZ方向に貫通する貫通孔である。ピン孔212には、プッシャーピン23の後述するロッド部231が、摺動可能に挿入される。
プッシャーピン23は、ロッド部231と、ヘッド部232と、バネ233とを有する。ロッド部231は、円柱状の部材であり、ピン孔212に摺動可能に挿入される。また、プッシャーピン23がZ方向下に移動することで、ロッド部23の先端が、ピン孔212から突出する。ヘッド部232はロッド部231の軸方向の上端に連結される。ヘッド部232は、ピン孔212の内径よりも大きい外径を有する円板形状である。ヘッド部232は、ピン孔212に挿入されない。すなわち、ヘッド部232は、ロッド部231のピン孔212内への移動を制限する、いわゆる、ストッパーとしての役割を果たす。
バネ233は、ロッド部231の径方向外側を囲む圧縮コイルばねである。バネ233は、Z方向下端部がカッター上刃21の上面と接触し、Z方向上端部がヘッド部232の下面と接触する。すなわち、バネ233は、カッター上刃21の上面から反力を受け、ヘッド部232をZ方向上に押す。これにより、ヘッド部232と連結されたロッド部231は、Z方向上方に持ち上げられ、ロッド部231の下端が、ピン孔212の下端から突出しないように維持される。なお、ロッド部231のZ方向下端部には、ピン孔212からの抜けを抑制する抜け止め(不図示)が設けられている。
プッシャーピン23は、カッター上刃21とカッター下刃22で切断されて下刃孔221に残った半田片Whを下方に押す。そして、プッシャーピン23は、ばね233の弾性力によって、常に上方に、すなわち、カッター下刃22と反対側に押し上げられている。つまり、ロッド部231は、ヘッド部232が押されたときに、ピン孔212のZ方向下端部から下に突出する。そして、ヘッド部232は、駆動機構3の後述するカム部材33に押される。
カッター上刃21において、上刃孔211とピン孔212とはX方向に並んで設けられている。カッター上刃21は、X方向に摺動することで、上刃孔211と下刃孔221とが上下に重なる位置、又は、ピン孔212と下刃孔221とが上下に重なる位置に移動する。なお、カッター上刃21は、一方の摺動端部まで摺動したときに上刃孔211と下刃孔221とが重なり、他方の摺動端部まで摺動したときにピン孔212と下刃孔221とが重なるように、摺動してもよい。
そして、上刃孔211と下刃孔221とがZ方向に重なっている状態で、半田送り機構6から糸半田Wが送られると、上刃孔211を通過した糸半田Wが、下刃孔221に挿入される。上述のとおり、上刃孔211の下端の辺縁部が切刃状に形成されているとともに、下刃孔221の上端の辺縁部も切刃状に形成されている。そして、カッター上刃21の下面は、カッター下刃22の上面と接触している。そのため、下刃孔221に糸半田Wが挿入されている状態で、カッター上刃21がX方向に摺動することで、上刃孔211および下刃孔221それぞれの切刃によって糸半田Wが切断される。
カッター上刃21は、カム部材33によってX方向に摺動される。そのため、カッター上刃21及びプッシャーピン23は、カム部材33と同期している。カム部材33は、ピン孔212が下刃孔221とZ方向に重なったときに、ヘッド部232を押す。そのため、カッター上刃21がX方向に摺動するときには、プッシャーピン23のロッド部231の先端は、ピン孔212に収容されている。そのため、カッター上刃21がX方向に摺動するときに、ロッド部231の先端とカッター下刃22の上面とが接触するのを抑制し、ロッド部231の先端及び(又は)カッター下刃22の変形、破損等が抑制される。
カッター上刃21がX方向に摺動することで、下刃孔211とピン孔212とがZ方向に重なる。ピン孔212が下刃孔211と重なっている状態で、ヘッド部232はカム部材33に押される。これにより、プッシャーピン23が、Z方向下に移動する。プッシャーピン23がピン孔212からZ方向下方に突出すると、プッシャーピン23の一部が下刃孔211に挿入される。下刃孔211の入り口に糸半田を切断した後述の半田片が残っている場合、プッシャーピン23の先端が半田片を押して、半田片は落下する。
図2、図3に示すように、駆動機構3は、エアシリンダー31と、ピストンロッド32と、カム部材33と、スライダー部34と、ガイド軸35とを有する。エアシリンダー31は保持部12に保持される。エアシリンダー31は、有底円筒状である。エアシリンダー31の内部には、ピストンロッド32が収容されており、外部から供給される空気の圧力でピストンロッド32を摺動駆動(伸縮)させる。エアシリンダー31とピストンロッド32とが駆動機構3のアクチュエーターを構成している。ピストンロッド32は、エアシリンダー31の内部に配されるとともに、一部が常にエアシリンダー31の軸方向の一方の端部(ここでは、Z方向の下端部)から、突出している。エアシリンダー31は、ピストンロッド32が突出する面がカッターユニット2に向くように、すなわち、Z方向下に向くように、保持部12に保持される。
ピストンロッド32は、保持部12に設けられた貫通孔(不図示)を貫通している。ピストンロッド32は、ガイド軸35と平行に設けられており、ガイド軸35に沿って直線的に往復動する。ピストンロッド32の先端部は、カム部材33に固定されており、ピストンロッド32の伸縮によって、カム部材33がZ方向に摺動する。カム部材33の摺動は、ガイド軸35によってガイドされている。
図3に示すように、ガイド軸35は、下端部がカッター下刃22に設けられた凹穴に嵌合されており、カッター下刃22にねじ351でねじ止め固定されている。また、ガイド軸35の上部は、保持部12に設けられた孔を貫通しており、ピン352によって移動が規制されている。つまり、ガイド軸35はねじ351によってカッター下刃22と、ピン352によって保持部12と固定されている。
なお、本実施形態において、ガイド軸35は、ねじ351及びピン352によって固定されているが、これに限定されるものではなく、例えば、圧入、溶接等の固定方法で固定されるものであってもよい。また、本実施形態において、ガイド軸35として円柱状の部材としているが、これに限定されるものではなく、断面多角形状や楕円等を利用してもよい。
図3、図4に示すように、カム部材33は、矩形状の部材であり、長辺の一部を矩形状に切り欠いた凹部330と、カム部材33に連結し、ガイド軸35が貫通する貫通孔を備えた円筒形状の支持部331とを備えている。凹部330には、スライダー部34が(X方向及びZ方向に)摺動可能に配置される。また、支持部331はガイド軸35と平行に延びる形状を有しており、カム部材33のがたつきを抑制するために設けられている。つまり、カム部材33がある程度厚みを有し、がたつきが発生しにくい構成の場合、円筒形状の部分を省略し、貫通孔だけで支持部331を構成してもよい。
そして、カム部材33は、凹部330の中間部分に設けられて中心軸がガイド軸35と直交する円柱状のピン332と、凹部330と隣接してプッシャーピン23を押すピン押し部333と、支持部331内部に配置された軸受334とを備えている。ピン332は、スライダー部34に設けられた後述するカム溝340に挿入される。また、軸受334は、ガイド軸35に外嵌し、カム部材33ががたつかないように、円滑に摺動させる部材である。
図3、図4に示すように、スライダー部34は、長方形状の板状の部材であり、カッター上刃21と一体的に形成されている。スライダー部34は、板厚方向に貫通するとともに長手方向に延びるカム溝340を備えている。カム溝340は、ガイド軸35と平行に延びる第1溝部341を上側に、同じくガイド軸35と平行に延びる第2溝部342を下側に設けている。そして、第1溝部341と第2溝部342とは、X方向にずれて設けられており、カム溝340は第1溝部341と第2溝部342とを接続する接続溝部343を備えている。
カム溝340には、カム部材33のピン332が挿入されており、カム部材33がガイド軸35に沿って移動することで、ピン332がカム溝340の内面を摺動する。ピン332がカム溝340の接続溝部343に位置するとき、接続溝部343の内面を押す。これにより、スライダー部34及びスライダー部34に一体的に形成されたカッター上刃21がカム部材33の摺動方向(Z方向)と交差する方向(X方向)に移動(カッター下刃22に対して摺動)する。
なお、本実施形態では、カム部材33にピン332、スライド部34にカム溝340を備えた構成を挙げて説明しているが、実際には、カム部材にカム溝、スライド部にピンを備えた構成であってもよい。
本実施形態では、駆動機構3のアクチュエーターとして空気圧を用いるものとしているが、これに限定されるものではなく、空気以外の流体(例えば、作動油)を用いるもの(油圧)であってもよい。また、流体を用いるものに限定されるものではなく、モーターやソレノイド等の電力を用いるものであってもよい。本実施形態では、1つのアクチュエーターと、カム及びカム溝を用いて、カッター上刃21の摺動とプッシャーピン23の押下を行っているが、これに限定されない。例えば、カッター上刃21の摺動と、プッシャーピン23の押下とを行うように、アクチュエーターを複数個(2個)備えていてもよい。
図2、図3に示すように、半田送り機構6は、糸半田Wを供給する。半田送り機構6は、一対の送りローラ61と、ガイド管62とを備えている。一対の送りローラ61は、支持壁11に回転可能に取り付けられている。一対の送りローラ61は、糸半田Wの側面を挟んで回転することで、糸半田を下方に送る。なお、一対の送りローラ61は、互いに他方に向かって付勢されており、その付勢力で糸半田Wを挟む。送りローラ61の回転角度(回転数)によって、送り出した糸半田Wの長さが測定(決定)されている。
ガイド管62は、弾性変形可能な管体であり、上端は、送りローラ61の糸半田Wが送り出される部分に近接して配置されている。また、ガイド管62の下端は、カッター上刃21の上刃孔211と連通するように設けられている。なお、ガイド管62の下端はカッター上刃21の摺動に追従して移動するものであり、ガイド管62はカッター上刃21が摺動する範囲で過剰に引っ張られたり、突っ張ったりしない長さ、および、形状を有している。
ヒーターユニット4は、半田片Whを加熱し、溶融させるための加熱装置であり、図3に示すように、壁体22の下端部に設けられたヒーターユニット固定部14に固定されている。ヒーターユニット4は、ヒーター41と、ヒーターブロック42とを備える。ヒーター41は、通電により発熱する。ヒーター41は、ここでは、円筒形状のヒーターブロック42の外周面に巻き回された電熱線を有する。
ヒーターブロック42は円筒形状を有しており、軸方向の端部に鏝先5aを取り付けるための断面円形状の凹部421と、凹部421の底部の中心部から反対側に貫通した半田供給孔422とを備えている。ヒーターブロック42は、半田供給孔422と下刃孔221とが連通するように、カッター下刃22に接触して設けられている。ヒーターブロック42をこのように設けることで、半田片Whは、下刃孔221から半田供給孔422に移動する。
(鏝先)
鏝先5aは、円筒形状の部材であり、中央部分に軸方向に貫通した断面円形の半田孔51を備えている。鏝先5aは、ヒーターブロック42の凹部421に挿入され、図示を省略した部材によって抜け止めがなされている。また、鏝先5aの半田孔51は、ヒーターブロック42の半田供給孔422と連通しており、半田供給孔422から半田片Whが送られる。
鏝先5aは、円筒形状の部材であり、中央部分に軸方向に貫通した断面円形の半田孔51を備えている。鏝先5aは、ヒーターブロック42の凹部421に挿入され、図示を省略した部材によって抜け止めがなされている。また、鏝先5aの半田孔51は、ヒーターブロック42の半田供給孔422と連通しており、半田供給孔422から半田片Whが送られる。
図5に鏝先5aの下部及びプリント回路基板Bdの部分垂直断面図を示す。前述のように鏝先5aは円筒形状で軸方向に貫通した半径rの半田孔51を有する。そして半田孔51は下端部において半径方向外方に半田孔51と同心円状に拡大した半径Rの拡大部510を有する。拡大部510の半田孔51の下端開口からの軸方向長さMは、ピン端子Pのプリント回路基板Bdからの突出長さSよりも長く設定されている。拡大部510が鏝先5aに形成されていることによって、ピン端子Pの軸中心C2と鏝先5aの軸中心C1とが同一線上からズレた場合であっても鏝先5aの拡大部510内にピン端子Pが位置することが可能となる。これにより制御手段Contによる鏝先5aの相対的移動制御の裕度が広がる。半田孔51の直径(2×r)は半田片Whの外径dよりも大きく設定されている。半田片Whの外径dは、通常、0.6mm~1.2mmの範囲である。また鏝先5aは、拡大部510よりも上方に半田孔51と外周面とを連通するリリース孔53を有する。リリース孔53は、溶融した半田によって半田孔51の下端開口がせき止められた場合に、不図示のガス供給部から供給される窒素ガスや気化したフラックスなどを鏝先5aの外に逃がす役割を果たす。
鏝先5aは、ヒーター41からの熱が伝達されており、その熱で半田片Whを溶融させる。そのため、鏝先5aは、高い熱伝導率を有する材料、例えば、炭化ケイ素、窒化アルミ等のセラミックやタングステン等の金属で形成されている。
なお、装置本体A1において鏝先5aは円筒形状のものとしているが、これに限定されるものではなく、断面多角形又は楕円形の筒形状のものを用いてもよい。半田付けを行うプリント回路基板Bdや電子部品Epのピン端子Pの形状に合わせて異なる形状のものを用意するようにしてもよい。
本発明の半田付け方法では、半田孔51内に挿入されたピン端子Pの上端から半田孔51の下端開口までの半田孔51の内容積Vhと、半田孔51に供給された半田片Whの体積Vsとが前記式(1)を満足することであることが重要である。半田片Whの体積Vsは、溶融した半田片Whの体積とほぼ等しいと考えることができるから、前記式(1)は、鏝先5aがプリント回路基板Bdに接触した状態において、半田片Whが溶融した溶融半田が、半田孔51内に挿入されたピン端子Pの上端から半田孔51の下端開口までの半田孔51の内容積Vhから半田孔51内に位置するピン端子Pの体積Vp1を引いた半田孔51内の空間容積と同じがそれ以上の体積であることを規定するものである。
なお、フラックスFLを含んだ半田片Whの場合、フラックスFLが流出して半田片Whの体積が減少することを考慮して半田供給量を多くすることも考えられる。しかし通常フラックスFLは半田片Whの内部に含まれているため、半田片Whの溶融開始時にはフラックスFLが半田片Whと一体的に混ざり合いフラックスFLの流出による半田片Whの体積変化は小さい。
なお、フラックスFLを含んだ半田片Whの場合、フラックスFLが流出して半田片Whの体積が減少することを考慮して半田供給量を多くすることも考えられる。しかし通常フラックスFLは半田片Whの内部に含まれているため、半田片Whの溶融開始時にはフラックスFLが半田片Whと一体的に混ざり合いフラックスFLの流出による半田片Whの体積変化は小さい。
前記式(1)が満足されることにより、後述の図7(a)で図示するように、半田孔51の下端開口からピン端子Pの先端以上の半田孔51内の空間が溶融半田で満たされる。溶融半田は熱伝導率が気体よりも格段に高いので、半田孔51内の空間が溶融半田で十分には満たされていない場合に比べて、溶融半田を介して鏝先5aからピン端子PやランドLdに熱が速やかに伝達され半田付け不良などの不具合が効果的に抑制される。
また溶融半田を介して鏝先5aからピン端子PやランドLdに熱が伝達されている間に、スルーホールThの内周壁とピン端子Pとの隙間に溶融半田が流下することがある。このような場合であっても、半田孔51の下端開口からピン端子Pの先端以上の半田孔51内の空間が溶融半田で満たされるように前記式(2)が満足されるのが好ましい。すなわち、溶融半田の体積Vsが、半田孔51内に挿入されたピン端子Pの上端から半田孔51の下端開口までの半田孔51の内容積Vhから半田孔51内に位置するピン端子Pの体積Vp1を引いた半田孔51内の空間容積にスルーホールTh内の空間容積を加えた容積以上であるのが好ましい。またスルーホールThの下端にバックフィレットが形成される場合、そのフィレットの体積分を考慮して半田供給量を設定してもよい。より好ましいVs/(Vh-Vp1)は1.30以上である。
(半田付け装置の動作)
次に、半田付け装置APの動作について説明する。図6及び図7に動作工程図を示す。まず図6(a)に示すように、制御手段Contが、マニピュレーターMLの多関節アームAmの回転動作を制御して、装置本体A1の鏝先5aを、鏝先5aの軸中心C1がプリント回路基板Bdから突出したピン端子Pの軸中心C2と同一線上で且つ上方向に離隔した位置(離隔位置)に移動させる。
次に、半田付け装置APの動作について説明する。図6及び図7に動作工程図を示す。まず図6(a)に示すように、制御手段Contが、マニピュレーターMLの多関節アームAmの回転動作を制御して、装置本体A1の鏝先5aを、鏝先5aの軸中心C1がプリント回路基板Bdから突出したピン端子Pの軸中心C2と同一線上で且つ上方向に離隔した位置(離隔位置)に移動させる。
次いで図6(b)に示すように、制御手段ContはマニピュレーターMLを制御して、鏝先5aを下方に移動させて、鏝先5aの下端をプリント回路基板BdのレジストRe(あるいはランドLd)に当接させ、鏝先5aの半田孔51の拡大部510内に電子部品Epのピン端子Pを位置させる。そして、鏝先5aの半田孔51内に半田片Whが供給される。供給された半田片Whの下端はピン端子Pの先端に当接し上端は半田孔51の内周壁に接触し、半田片Whは半田孔51内に起立した状態となる。鏝先5aには、ヒーター41(図3に図示)からの熱が伝達されており、半田片Whには鏝先5aから直接的に熱が伝わり半田片Whは加熱される。
半田片Whの温度がフラックスFL(図5に図示)の溶融温度に達すると、フラックスFLが半田片Whから流出して半田片Whの表面の熱伝導率の低い酸化膜を取り除き鏝先5aから半田片Whへの伝熱が促進される。そして、図6(c)に示すように、半田片Whの温度が半田の溶融温度に達すると溶融半田は表面張力によって球形化しようとするが半田孔51によって規制された状態でピン端子P上に位置する。
その後、溶融半田を介して鏝先5aからピン端子Pが加熱されてピン端子Pの先端温度が半田の溶融温度以上になると、図7(a)に示すように、溶融半田はピン端子Pを伝って流下し半田孔51の拡大部510の全体を満たし、一部は拡大部510に流入できずに上方の半田孔51に留まった状態となる。
このように半田孔51内のピン端子Pの全体が溶融半田に埋没することで、溶融半田を介して鏝先5aからピン端子Pの全体に熱が速やかに伝えられる。ピン端子Pの全体およびランドLdが半田の溶融温度以上に加熱されると、図7(b)に示すように、溶融半田はピン端子Pを伝ってスルーホールTh内を流下する。そして、図7(c)に示すように、溶融半田はフラックスFLによって酸化膜が取り除かれたランドLdに濡れ広がる同時に、フラックスFL及び加熱によって表面張力が低下した溶融半田は球状化することなくきれいなフィレットを形成する。
その後、制御手段ContはマニピュレーターMLを制御して鏝先5aを上方に移動させる。これにより、溶融半田は外気によって冷却されて固化し、電子部品Epのピン端子Pとプリント回路基板BdのランドLdとが半田付けされる。半田付け装置APはこの一連の動作を繰り返して電子部品Epのピン端子Pとプリント回路基板BdのランドLdとの半田付けを順次行う。
本実施形態ではプリント回路基板Bdを固定し鏝先5aを移動させていたが、鏝先5aを固定しプリント回路基板Bdを移動させてもよい。あるいはプリント回路基板Bd及び鏝先5aの双方を移動させてもよい。
(第2実施形態)
図8に本発明に係る半田付け方法に使用可能な鏝先の他の形態を示す。図8は鏝先5b及びプリント回路基板Bdの部分垂直断面図である。
図8に本発明に係る半田付け方法に使用可能な鏝先の他の形態を示す。図8は鏝先5b及びプリント回路基板Bdの部分垂直断面図である。
図8に示す鏝先5bは円筒形状で軸方向に貫通した半径rの半田孔51を有する点は第1実施形態の鏝先5aと同じであるが、半田孔51の下端部に拡大部510が形成されていない点で鏝先5aとは異なる。このような形状の鏝先5bであっても、半田孔51内に挿入されたピン端子Pの上端から半田孔51の下端開口までの半田孔51の内容積Vhと、半田孔51に供給された半田片Whの体積Vsとが前記式(1)を満足するようにことで、第1実施形態の半田付け装置SPと同様に、図8(b)に示すように、ピン端子Pを伝って流下した溶融半田に半田孔51内のピン端子Pの全体が埋没する。これにより、溶融半田を介して鏝先5bからピン端子Pの全体に熱が速やかに伝えられる。
実験例1~6
図5に示した構造で下記寸法の鏝先を用い半田片の体積(長さL)を変えて半田付けを行い下記基準で半田付けの評価を行った。評価結果を表1に示す。
半田孔の半径r :0.585mm
拡大部の半径R :0.730mm
拡大部の高さM :2.0mm
ピン端子の外径D :0.64mm×0.64mm
ピン端子の突出量S:1.55mm
半田片の外径d :0.8mm
半田片の長さL :3mm,4mm,5mm,5.5mm,6mm,7mm
図5に示した構造で下記寸法の鏝先を用い半田片の体積(長さL)を変えて半田付けを行い下記基準で半田付けの評価を行った。評価結果を表1に示す。
半田孔の半径r :0.585mm
拡大部の半径R :0.730mm
拡大部の高さM :2.0mm
ピン端子の外径D :0.64mm×0.64mm
ピン端子の突出量S:1.55mm
半田片の外径d :0.8mm
半田片の長さL :3mm,4mm,5mm,5.5mm,6mm,7mm
(評価基準)
プリント回路基板に鏝先を当接させて2秒後に半田孔内に半田片を供給し、半田片を供給してから4秒後にプリント回路基板から鏝先を離間させて半田付けの状態を目視にて観察し下記基準で評価した。
「○」:スルーホール内の全部に半田が流入
「△」:スルーホール内の半分程度に半田が流入
「×」:スルーホール内に半田が流入せず
プリント回路基板に鏝先を当接させて2秒後に半田孔内に半田片を供給し、半田片を供給してから4秒後にプリント回路基板から鏝先を離間させて半田付けの状態を目視にて観察し下記基準で評価した。
「○」:スルーホール内の全部に半田が流入
「△」:スルーホール内の半分程度に半田が流入
「×」:スルーホール内に半田が流入せず
本発明で規定する式(1)を満足する、すなわちVs/(Vh-Vp1)が「1.03」、「1.28」の条件で半田付けを行った実験例2,3ではスルーホール内の半分程度に半田が流入し比較的良好な半田付けが行われた。また、Vs/(Vh-Vp1)が「1.41」以上の条件で半田付けを行った実験例4~6ではスルーホール内の全部に半田が流入し一層良好な半田付けが行われた。
これに対して、Vs/(Vh-Vp1)が「0.77」の実験例1の半田付けでは、ピン端子等の加熱が不十分となり溶融半田がスルーホール内に全く流入しなかった。
これに対して、Vs/(Vh-Vp1)が「0.77」の実験例1の半田付けでは、ピン端子等の加熱が不十分となり溶融半田がスルーホール内に全く流入しなかった。
実験例7~12
図5に示した構造で下記寸法の鏝先を用い半田片の体積(長さL)を変えて半田付けを行い前記基準で半田付けの評価を行った。評価結果を表2に示す。
半田孔の半径r :0.505mm
拡大部の半径R :0.635mm
拡大部の高さM :1.85mm
ピン端子の外径D :0.64mm×0.64mm
ピン端子の突出量S:1.55mm
半田片の外径d :0.8mm
半田片の長さL :2mm,2.7mm,3mm,3.5mm,4mm,4.5mm
図5に示した構造で下記寸法の鏝先を用い半田片の体積(長さL)を変えて半田付けを行い前記基準で半田付けの評価を行った。評価結果を表2に示す。
半田孔の半径r :0.505mm
拡大部の半径R :0.635mm
拡大部の高さM :1.85mm
ピン端子の外径D :0.64mm×0.64mm
ピン端子の突出量S:1.55mm
半田片の外径d :0.8mm
半田片の長さL :2mm,2.7mm,3mm,3.5mm,4mm,4.5mm
本発明で規定する式(1)を満足する、すなわちVs/(Vh-Vp1)が「1.02」、「1.14」の条件で半田付けを行った実験例8,9ではスルーホール内の半分程度に半田が流入し比較的良好な半田付けが行われた。また、Vs/(Vh-Vp1)が「1.32」以上の条件で半田付けを行った実験例10~12ではスルーホール内の全部に半田が流入し一層良好な半田付けが行われた。
これに対して、Vs/(Vh-Vp1)が「0.76」の実験例7の半田付けでは、ピン端子等の加熱が不十分となり溶融半田がスルーホール内に全く流入しなかった。
これに対して、Vs/(Vh-Vp1)が「0.76」の実験例7の半田付けでは、ピン端子等の加熱が不十分となり溶融半田がスルーホール内に全く流入しなかった。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本発明は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明の半田付け方法によれば、半田付け作業の能率を低下させることなく良好な半田付けが可能となる。
AP 半田付け装置
A1 装置本体
11 壁体
12 保持部
13 摺動ガイド
14 ヒーターユニット固定部
15 アクチュエーター保持部
16 ばね保持部
2 カッターユニット
21 カッター上刃
211 上刃孔
212 ピン孔
22 カッター下刃
221 下刃孔
23 プッシャーピン
231 ロッド部
232 ヘッド部
233 ばね
3 駆動機構
31 エアシリンダー
32 ピストンロッド
33 カム部材
330 凹部
331 支持孔
332 ピン
333 ピン押し部
334 軸受
34 スライダー部
340 カム溝
341 第1溝部
342 第2溝部
343 接続溝部
35 ガイド軸
4 ヒーターユニット
41 ヒーター
42 ヒーターブロック
421 凹部
422 半田供給孔
5a,5b 鏝先
51 半田孔
510 拡大部
6 半田送り機構
61a、61b 送りローラ
62 ガイド管
Bd プリント回路基板
C1 鏝先の軸中心
C2 ピン端子の軸中心
d 半田片の外径
L 半田片の長さ
D ピン端子の外径
r 半田孔の半径
R 拡大部の半径
M 拡大部の深さ
S ピン端子のプリント回路基板からの突出量
Ep 電子部品
FL フラックス
ML マニピュレーター
Ld ランド
Re レジン
P ピン端子
Th スルーホール
W 糸半田
Wh 半田片
A1 装置本体
11 壁体
12 保持部
13 摺動ガイド
14 ヒーターユニット固定部
15 アクチュエーター保持部
16 ばね保持部
2 カッターユニット
21 カッター上刃
211 上刃孔
212 ピン孔
22 カッター下刃
221 下刃孔
23 プッシャーピン
231 ロッド部
232 ヘッド部
233 ばね
3 駆動機構
31 エアシリンダー
32 ピストンロッド
33 カム部材
330 凹部
331 支持孔
332 ピン
333 ピン押し部
334 軸受
34 スライダー部
340 カム溝
341 第1溝部
342 第2溝部
343 接続溝部
35 ガイド軸
4 ヒーターユニット
41 ヒーター
42 ヒーターブロック
421 凹部
422 半田供給孔
5a,5b 鏝先
51 半田孔
510 拡大部
6 半田送り機構
61a、61b 送りローラ
62 ガイド管
Bd プリント回路基板
C1 鏝先の軸中心
C2 ピン端子の軸中心
d 半田片の外径
L 半田片の長さ
D ピン端子の外径
r 半田孔の半径
R 拡大部の半径
M 拡大部の深さ
S ピン端子のプリント回路基板からの突出量
Ep 電子部品
FL フラックス
ML マニピュレーター
Ld ランド
Re レジン
P ピン端子
Th スルーホール
W 糸半田
Wh 半田片
Claims (3)
- 略筒形状で軸方向に貫通した半田孔を有し加熱可能な鏝先を用いて、電子部品の部品本体から外方に突出したピン端子を、プリント回路基板に形成されたスルーホールに挿通して前記スルーホールの外周縁に形成されたランドに半田付けする半田付け方法であって、
前記スルーホールに挿通され前記プリント回路基板から突出した前記ピン端子の先端部が前記半田孔内に位置するように前記鏝先を前記プリント回路基板に接触させる工程と、
前記半田孔内に半田片を供給する工程と、
供給された半田片を前記半田孔内で加熱溶融させて前記ピン端子と前記ランドとを半田付けする工程と、
を有し、
前記鏝先を前記プリント回路基板に接触させた状態において、前記半田孔内に挿入された前記ピン端子の先端から前記半田孔の下端開口までの前記半田孔の内容積Vhと、前記半田片の体積Vsとが下記式(1)を満たすようにすることを特徴とする半田付け方法。
Vs≧Vh-Vp1 ・・・・・・(1)
Vs:半田片の体積
Vh:半田孔内に挿入されたピン端子の先端から半田孔の下端開口までの半田孔の内容積
Vp1:半田孔内に位置するピン端子の体積 - 下記式(2)をさらに満たす請求項1に記載の半田付け方法。
Vs≧Vh-Vp+Vt-Vp2 ・・・・・・(2)
Vt:スルーホールの体積
Vp2:スルーホール内に位置するピン端子の体積 - 前記半田孔はその下端部に半径方向外方に拡大した拡大部を有し、
前記拡大部の前記半田孔の下端開口からの軸方向長さが、前記ピン端子の前記プリント回路基板の表面からの突出長さよりも長い請求項1又は2に記載の半田付け方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021056713A JP2022153932A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 半田付け方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2021056713A JP2022153932A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 半田付け方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022153932A true JP2022153932A (ja) | 2022-10-13 |
Family
ID=83557489
Family Applications (1)
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JP2021056713A Pending JP2022153932A (ja) | 2021-03-30 | 2021-03-30 | 半田付け方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2022153932A (ja) |
-
2021
- 2021-03-30 JP JP2021056713A patent/JP2022153932A/ja active Pending
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