JP2022153319A - 係留緩衝装置 - Google Patents

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和宏 西
Kazuhiro Nishi
良太 茅野
Ryota Kayano
優太 赤塚
Yuta Akatsuka
豊太郎 鬼海
Toyotaro Kikai
聡 小▲高▼
Satoshi Odaka
亘 大橋
Wataru Ohashi
剛男 津田
Takeo Tsuda
雄大 岡田
Yudai Okada
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Abstract

【課題】大きなスペースを必要とせずコンパクトにでき、加わる荷重の方向によらず緩衝でき、メンテナンスも容易にできる係留緩衝装置を提供する。【解決手段】係留緩衝装置1は、固定された支持杭(第1の構造体)Bと、相対移動する浮桟橋(第2の構造体)Aとの間に加わる荷重を吸収し保護する緩衝装置1であって、支持杭Bと浮桟橋Aとのいずれか一方(浮桟橋A)の前面に設けられる中実の弾性緩衝部材10と、弾性緩衝部材10の前面に設けられ支持枠と浮桟橋Aの荷重を受けて面圧として弾性緩衝部材10に伝達する荷重受け部材20と、荷重受け部材20の前面に設けられ支持杭と浮桟橋Aの荷重の方向によらず摩擦を低減して面接触する接触板部材30とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、係留緩衝装置に関する。
固定された構造体と相対移動する構造体との間に加わる荷重を吸収し構造体を保護するために、係留緩衝装置として浮桟橋と支持杭との間に設ける緩衝材や岸壁に設ける防舷材などが用いられている。
例えば特許文献1に開示された緩衝材は、岸壁に取り付けられる弾性支持体の前面に複数のローラを回転自在に枢着して構成されている。また、例えば図5(b)に示すように、係留緩衝装置100は、浮桟橋Aでも緩衝材101の前面に単体のローラ102を水平軸周りに回転自在に複数取り付けて支持杭Bの直交する2面にそれぞれ3個のローラ102を当てるように設置して用いられている。
浮桟橋Aなどの構造体の大型化に伴い大きな荷重が加わるため、係留緩衝装置100に大きな荷重に対応できる性能が要求され、総荷重に対応して一つの弾性支持体や緩衝材101を大きくし、あるいは複数の係留緩衝装置100を設けることが必要となる。
実開昭61-6516号公報
ところが、単体のローラで構成し弾性支持体や緩衝材を大きくする場合や図示例のように、複数のローラ102を設けると、設置スペースが大きくなるなどの問題が生じ、さらに、複数のローラ102に分けて設置すると、相対移動によっては一つのローラ102に荷重が集中する片効き状態になる恐れがある。また、円柱状のローラ102では、ローラ102の表面での接触が線接触であり、高圧状態での接触となる。さらに、ローラ102は水平軸周りに回転自在とされるため、上下方向の相対移動は転がり摩擦により円滑であるが、これと交差する方向の相対移動は滑り摩擦となり摩擦抵抗が大きくなる。また、ローラ102を交換しようとすると、軸受などを含むローラ部が複雑な構造で簡単に交換できないというメンテナンス上の問題がある。
本発明は、かかる従来技術に鑑みてなされたものであって、大きなスペースを必要とせずコンパクトにでき、加わる荷重の方向によらず緩衝でき、メンテナンスも容易にできる係留緩衝装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる係留緩衝装置は、
固定された第1の構造体と、相対移動する第2の構造体との間に加わる荷重を吸収し保護する係留緩衝装置であって、
前記第1の構造体と前記第2の構造体とのいずれか一方の前面に設けられる中実の弾性緩衝部材と、
前記弾性緩衝部材の前面に設けられ前記第1の構造体と前記第2の構造体の荷重を受けて面圧として前記弾性緩衝部材に伝達する荷重受け部材と、
前記荷重受け部材の前面に設けられ前記第1の構造体と前記第2の構造体の前記荷重の方向によらず摩擦を低減して面接触する接触板部材とを備える、ことを特徴とする。
前記接触板部材は、前記荷重受け部材に対して着脱可能なスライド部材に設けられ、
前記スライド部材は、前記荷重受け部材から前記接触板部材ごと着脱して交換可能に構成されている、ことが好ましい。
前記接触板部材は、周縁部に段差状の押え部が形成され、前記押え部は、前記荷重受け部材に取り付ける辺部を備える枠部材で押さえられ、
前記枠部材は、両側の前記辺部が前記荷重受け部材の下方または側方で回動可能に支持され回動させた開口から前記接触板部材を前記荷重受け部材に沿って着脱・交換可能に構成されている、ことが好ましい。
前記枠部材は、前記開口両側の前記辺部が複数のリンクで折り曲げ可能に構成されている、ことが好ましい。
前記枠部材は、少なくとも前記荷重受け部材の底部を押さえる前記辺部を備えて構成されている、ことが好ましい。
前記接触板部材は、前記荷重受け部材の幅または高さに応じた凹状に形成され、前記凹状の部分を前記荷重受け部材に沿って被せて着脱・交換可能に構成されている、ことが好ましい。
前記枠部材は、前記接触板部材の前記押え部をガイドして着脱・交換する、ことが好ましい。
前記接触板部材は、着脱・交換方向の両側に窪んだ固定溝を備え、
前記荷重受け部材に取り付ける固定部材を前記固定溝に入れ、固定・解放可能に構成されている、ことが好ましい。
前記弾性緩衝部材は、前後面に補強板を備える、ことが好ましい。
前記接触板部材は、摩擦係数が0.1~0.2の低摩擦素材で構成される、ことが好ましい。
前記荷重受け部材は、金属材、合成樹脂材、硬質ゴムのいずれかで構成する、ことが好ましい。
前記第1の構造体と前記第2の構造体とのいずれかは、浮桟橋、接岸設備、橋脚、水門のいずれかで構成される、ことが好ましい。
本発明によれば、大きなスペースを必要とせずコンパクトにでき、加わる荷重の方向によらず緩衝でき、メンテナンスも容易にできる。
本発明の係留緩衝装置の一実施の形態にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態の弾性緩衝部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態の荷重受け部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態の接触板部材にかかり、(a)は上半分の正面図、(b)は上半分の側面図である。 本発明の一実施の形態にかかり、(a)は浮桟橋と支持杭との関係を示す平面図、(b)は従来装置の場合の平面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の他の一実施の形態の荷重受け部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の他の一実施の形態のスライド部材にかかる正面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかるスライド部材のスライド状態の側面図である。 本発明の一実施の形態にかかる概略斜視図である。 本発明の一実施の形態の荷重受け部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態の接触板部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態の枠部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態にかかる概略斜視図である。 本発明の他の一実施の形態の枠部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかり、(a)は交換前の状態の側面図、(b)は交換中の状態の側面図である。 本発明の一実施の形態にかかる概略斜視図である。 本発明の一実施の形態の荷重受け部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態の枠部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態にかかり、(a)は交換前の状態の側面図、(b)は交換中の状態の側面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかる概略斜視図である。 本発明の他の一実施の形態にかかり、(a)は交換前の状態の側面図、(b)は交換中の状態の側面図である。 本発明の一実施の形態にかかる概略斜視図である。 本発明の一実施の形態の接触板部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の一実施の形態にかかり、(a)は交換前の状態の側面図、(b)は交換中の状態の側面図である。 本発明の他の一実施の形態にかかる交換作業を説明する概略斜視図である。 本発明の他の一実施の形態の接触板部材にかかり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。 本発明の他の一実施の形態の作業工程にかかり、(a)は交換前の正面図、(b)は交換前の側面図、(c)は交換中の接触板部材の正面図、(d)は交換中の接触板部材の側面図、(e)は交換後固定前の正面図、(f)は交換後固定前の側面図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図1~図5を参照して詳細に説明する。
係留緩衝装置(以下、単に緩衝装置とする。)は、例えば浮桟橋と支持杭との間に設けられて構成され、固定された支持杭(第1の構造体)と、相対移動する浮桟橋(第2の構造体)との間に加わる荷重を吸収し保護する。
緩衝装置1では、図1に示すように、支持杭Bと浮桟橋Aとのいずれか一方の前面、例えば浮桟橋Aの前面に設けられる中実の弾性緩衝部材10と、弾性緩衝部材10の前面に設けられ支持杭Bと浮桟橋Aからの荷重を受けて面圧として弾性緩衝部材10に伝達する荷重受け部材20と、荷重受け部材20の前面に設けられ支持杭Bと浮桟橋Aからの荷重の方向によらず摩擦を低減して面接触する接触板部材30とを備える。
緩衝装置1の弾性緩衝部材10は、図1および図2に示すように、例えば浮桟橋Aの前面に設けられるゴムの中実体として構成される。弾性緩衝部材10は、矩形板状の前後2枚の前面フランジ部11と後面フランジ部12と、これら前後面フランジ部11,12より小さな横断面形状が矩形(4角柱状)の中実なゴム緩衝部13とを備えてゴムで一体成形されている。前後面の2枚のフランジ部11,12には、内部に金属製(例えばSS400)の補強板(図示せず)が内層された状態で型成形されてゴムで被覆されて補強される。
浮桟橋Aの前面に取り付ける後面フランジ部12には、ボルト孔12aが貫通して形成され、荷重受け部材20の後面と連結される前方側の前面フランジ部11には、ボルト孔12aが貫通して形成され、ボルト孔11a,12aは、同一直線上から上下方向にずらして形成してある。
中実なゴム緩衝部13は、大きな荷重(例えば1000kN)に対しても緩衝効果を高めることができるように中空部をなくしてゴム量を増やした中実体とされる。また、ゴム緩衝部13は、ゴムのバネ定数が高いもので構成してあり、例えば、バネ定数は、1.3N/mm2程度のものが好ましく用いられる。
緩衝装置1の荷重受け部材20は、図1および図3に示すように、弾性緩衝部材10の前面に設けられる。荷重受け部材20は、支持杭Bと浮桟橋Aからの荷重を受け、ローラによる場合のような線接触での接触や一部のローラによる片効き状態とせずに荷重を分散して面圧とし弾性緩衝部材10に伝達する。
荷重受け部材20は、前面および後面に前面フランジ部21と後面フランジ部22とが設けられ、前後面のフランジ部21,22の間に格子状に組まれた中間台部23が設けられる。荷重受け部材20は、海水に浸漬されることもあり、耐食性金属(例えば、ステンレス鋼(SUS304))で構成される。
後面フランジ部22は、弾性緩衝部材10の前面の前面フランジ部11と同一形状とされ、弾性緩衝部材10の前面のボルト孔11aと同一に配置されたボルト孔22aが貫通して形成してある。後面フランジ部22には、ボルト孔22aに対応して後面フランジ部22の前面にあらかじめナット22bが溶接してある。これにより、弾性緩衝部材10と荷重受け部材20との連結固定をボルト24だけで簡単にできるようにしている。
前面フランジ部21は、後面フランジ部22と同一の大きさとされ、接触板部材30を取り付けるネジ穴21aが形成され、前面側からボルト34で接触板部材30を固定できるようにしてある(図1参照)。
中間台部23は、前面フランジ部21に加わる大きな荷重に対しても変形せずに荷重を後面フランジ部22に伝達できるように枠組みされて構成される。中間台部23は、上下方向の3枚の縦部材23aと、中間の2枚の縦部材23aの間で上下で左右方向に配置されて連結する2枚の横部材23bと、外側の縦部材23aの外側端で左右に配置される2枚の端横部材23cとで略格子状に枠組みされている。中間台部23では、弾性緩衝部材10と荷重受け部材20との連結固定の際に、前面フランジ部11のボルト孔11aと荷重受け部材20の後面のフランジ部22のボルト孔22aに挿通する3カ所のボルト24の締め付けに干渉しないように端横部材23cが配置してある。
なお、中間台部23は、前面フランジ部21に加わる大きな荷重に対しても変形せずに荷重を、後面フランジ部22を介して弾性緩衝部材10に伝達できる剛性を備える構造であれば良く、縦部材23aや横部材23bおよび端横部材23cの枚数を増減して格子状などに枠組みすることもでき、想定される荷重に対応して構造が定められる。
また、荷重受け部材20は、ステンレス鋼に限らず他の金属材や合成樹脂材、硬質ゴムなどで荷重に対応できる構造として構成することもできる。
緩衝装置1の接触板部材30は、荷重受け部材20の前面に設けられる。接触板部材30は、摩擦を低減して浮桟橋Aと支持杭Bと間の荷重の方向によらず面接触して荷重を面圧として受け、荷重受け部材20に伝達する。
接触板部材30は、図1および図4に示すように、摩擦係数μ(静摩擦係数)が小さく、摩耗が少なく、しかも加わる荷重に対する強度を備える材料(低摩擦素材)とされ、例えば合成樹脂材、金属、セラミックスなどで構成される。
接触板部材30は、例えば、摩擦係数μについては、μ=0.1~0.2程度の低摩擦素材であることが好ましく、滑り方向の方向性を小さくし、剪断荷重を低減でき、弾性緩衝部材10の転倒モーメントの低減を図ることもできる。
接触板部材30は、荷重受け部材20の前面フランジ部21の大きさに対応して前面を覆うように形成される。接触板部材30は、図4に示すように、例えば上下に2つに分割された樹脂板31,32で構成される。それぞれの樹脂板31,32には、座ぐりを備えたボルト孔33が形成され、ボルト頭部より大きな座ぐりを形成することで、取り付け用のボルト34の頭部が表面から突き出すことを防止して平坦な表面にできるようにしている。接触板部材30は、厚さが、例えば50mm程度とされ、これまでのローラの例えば、直径が370mm程度にしたものに比べ大幅に小さく形成されている(図5(a)(b)参照)。
このように構成した緩衝装置1は、弾性緩衝部材10の前面フランジ部11に荷重受け部材20の後面フランジ部22を当て、ボルト孔11a側からボルト孔22aにボルト24を挿通して溶接してあるナット22bに締め付けることで、弾性緩衝部材10と荷重受け部材20を連結固定する。
この後、荷重受け部材20の前面フランジ部21の前面に接触板部材30を当て、座ぐりを備えたボルト孔33にボルト34を入れて前面フランジ部21のネジ穴21aに接触板部材30を締め付けて荷重受け部材20に接触板部材30を連結固定する。
こうして組み立てられた緩衝装置1は、浮桟橋Aに弾性緩衝部材10の後面フランジ部12を当て、浮桟橋Aのボルト孔とボルト孔12aとでボルト・ナット14で締め付ける。そして、接触板部材30を支持杭Bの表面に当てるようにすることで設置が完了する。
このような緩衝装置1では、弾性緩衝部材10を1つで構成し、使用するゴムのバネ定数を高くし、中空部を無くしてゴム量を増大したもので構成することで、これまでのローラ102と中空緩衝材を用いた緩衝装置に比べて1基で大荷重に対応でき、例えば1000kNの大荷重に対しても荷重を吸収することができる(図5(a)(b)参照)。
また、緩衝装置1では、支持杭Bなどの構造体と接触する接触板部材30を、これまでのローラ102に比べて接触面積の大きく摩擦係数μの小さな接触板部材30を用いて構成することで、これまでの支持杭Bなどに接触するローラ102では、線接触状態であったものから接触板部材30による面接触にすることができ、接触時の接触面積の増大により荷重を分散することができる。これにより、接触板部材30が摩耗にし難く摩耗を低減することができる。
また、接触板部材30を用いることで、回転可能なローラ102を用いる場合に比べて構造を簡素化でき、交換が容易かつ短時間にできることで、メンテナンス費用の低減を図ることができる。さらに、図5(a)(b)に示すように、ローラ102に比べて前後方向の寸法Hを、例えばこれまでのHからH/1.8程度に小さくでき、取り付けスペースDをD/2程度まで小さくでき、コンパクトに設置することができる。
また、これまでのローラ102を用いた緩衝装置100では、ローラ102が鉛直方向にのみ回転することでこの方向の転がり摩擦は小さくできるものの、水平方向に対しては大きな剪断荷重が生じる滑り摩擦となり、ローラ102を介して緩衝材101に作用する荷重に方向性が生じ、特に剪断荷重によって緩衝材101に生じる転倒モーメントが大きくなるなどの問題が生じやすかった。
これに対し、緩衝装置1では、構造物(支持杭B)との接触を、接触板部材30を介して行うことで、荷重に対する方向性のない摩擦係数μが0.1~0.2程度の小さい滑り接触にでき、弾性緩衝部材10に生じる転倒モーメントを低減でき、大きな荷重に対しても安定して荷重を吸収し、緩衝することができる。
次に、本発明の他の一実施の形態について、図6~図9を参照して詳細に説明する。なお、すでに説明した上記実施の形態と同一構成部分には、同一符号を付してある。
緩衝装置1Aでは、図6に示すように、支持杭Bと浮桟橋Aとのいずれか一方の前面、例えば浮桟橋Aの前面に設けられる中実の弾性緩衝部材10と、弾性緩衝部材10の前面に設けられ支持杭Bと浮桟橋Aとの間の荷重を受けて面圧として弾性緩衝部材10に伝達する荷重受け部材20Aと、荷重受け部材20Aの前面に設けられ荷重受け部材20Aに対して上下方向に着脱可能なスライド部材40と、スライド部材40の前面に設けられ支持杭Bと浮桟橋Aとの間の荷重の方向によらず摩擦を低減して面接触する接触板部材30とを備える。
すなわち、緩衝装置1Aでは、スライド部材40を介して接触板部材30を荷重受け部材20Aに取り付けることで、荷重受け部材20Aからスライド部材40ごと接触板部材30を着脱して交換可能に構成してある。
緩衝装置1Aでは、弾性緩衝部材10および接触板部材30は、すでに説明したものがそのまま用いられることから、重複する説明は省略する。
緩衝装置1Aの荷重受け部材20Aは、図6および図7に示すように、弾性緩衝部材10の前面に設けられる。荷重受け部材20Aは、支持杭Bと浮桟橋Aの間の荷重を受け、ローラによる場合のような線接触や複数ローラの一部による片効き状態とならずに荷重を分散して面圧とし弾性緩衝部材10に伝達するものである。
荷重受け部材20Aは、前面および後面に前面フランジ部21Aと後面フランジ部22とが設けられ、前後面のフランジ部21A,22の間に略格子状に組まれた中間台部23Aが設けられる。荷重受け部材20Aは、海水に浸漬されることもあり、耐食性金属(例えば、ステンレス鋼(SUS304))で構成される。
なお、荷重受け部材20Aは、すでに説明した荷重受け部材20と同様に、ステンレス鋼に限らず他の金属材や合成樹脂材、硬質ゴムなどで荷重に対応できる構造として構成することもできる。
後面フランジ部22は、弾性緩衝部材10の前面の前面フランジ部11と同一形状とされ、弾性緩衝部材10の前面のボルト孔11aと同一に配置されたボルト孔22aが貫通して形成してある。後面フランジ部22には、ボルト孔22aに対応して後面フランジ部22の前面にあらかじめナット22bが溶接してある。これにより、弾性緩衝部材10と荷重受け部材20Aとの連結固定をボルト24をナット22bに締め付けるだけで簡単にできるようにしている。
前面フランジ部21Aは、後面フランジ部22に対して左右両側が側方に突き出して形成されている。外側に突き出した前面フランジ部21Aの両側に沿ってスライド部材40との連結固定用のボルト孔21bが形成してある。
中間台部23Aは、前面フランジ部21Aに加わる大きな荷重に対して変形せずに荷重を後面フランジ部22に伝達できるように枠組みされて構成される。中間台部23Aは、上下方向の3枚の縦部材23aと、中間の2枚の縦部材23aの間の上下で左右方向に配置されて連結する2枚の横部材23bと、外側の縦部材23aの外側端で左右に配置される2枚の端横部材23Acとで略格子状に枠組みされている。端横部材23Acは、外側縁が後面フランジ部22の端から前面フランジ部21Aの幅広の端に向かって傾斜面を備えて取り付けられている。
スライド部材40は、ステンレス鋼などの金属板材で構成され、横幅が荷重受け部材20Aの前面フランジ部21Aの横幅に合わせて形成され、上下の高さは、図6(c)に示すように、上側が前面フランジ部21Aから上方に突き出し、下側は前面フランジ部21Aの下端に合わせた大きさとしてある。
スライド部材40の上方に突き出した部分には、スライド部材40をスライドさせながら吊り上げるための着脱作業に利用する長孔41が形成してある。また、スライド部材40には、前面フランジ部21Aの両側部に荷重受け部材20Aとの連結固定用のボルト孔42がボルト孔21bに合わせて形成される。さらに、低摩擦係数μ(例えばμが0.1~0.2程度)の接触板部材30を取り付けるネジ穴43が接触板部材30の座ぐりを備えたボルト孔33に合わせて形成してある(図6等参照)。
接触板部材30は、すでに説明したものと同様に、例えば上下に2つに分割された樹脂板31,32で構成される。それぞれの樹脂板31,32は、座ぐりを備えたボルト孔33により、取り付け用のボルト34の頭部が表面から突き出すことを防止して平坦な表面で連結固定される。なお、接触板部材30として用いる低摩擦素材は、合成樹脂、金属、セラミックスなどをあげることができる。
このように構成した緩衝装置1Aは、弾性緩衝部材10の前面フランジ部11に荷重受け部材20Aの後面フランジ部22を当て、ボルト孔11a側からボルト孔22aにボルト24を挿通して溶接してあるナット22bに締め付けることで、弾性緩衝部材10と荷重受け部材20を連結固定する。
この後、荷重受け部材20Aの前面フランジ部21Aの前面にスライド部材40を当て、外側に突き出した前面フランジ部21Aの両側に沿って設けてある連結固定用のボルト孔21bとスライド部材40のボルト孔42を介してボルト・ナット・ワッシャー44で締め付けることで連結固定する。
この後、あるいは、スライド部材40の荷重受け部材20Aへの連結前のいずれかに接触板部材30をスライド部材40に取り付ける。スライド部材40への接触板部材30の取り付けは、スライド部材40の前面に接触板部材30を当て、座ぐりを備えたボルト孔33にボルト34を入れてスライド部材40のネジ穴43に接触板部材30を締め付けて接触板部材30を連結固定する。
こうして組み立てられた緩衝装置1Aは、浮桟橋Aに弾性緩衝部材10の後面フランジ部12を当て、浮桟橋Aのボルト孔とボルト孔12aとでボルト・ナット14で締め付ける。そして、接触板部材30を支持杭Bの表面に当てるようにすることで設置が完了する。
このような緩衝装置1Aでは、すでに説明した緩衝装置1と同様の効果を奏する。すなわち、弾性緩衝部材10は、使用するゴムのバネ定数を高くし、中空部を無くしてゴム量を増大することで、これまでのローラと中空緩衝材を用いた緩衝装置に比べて1基で大荷重に対応でき、例えば1000kNの大荷重に対しても荷重を吸収することができる。
また、緩衝装置1Aでは、接触板部材30を、これまでのローラに比べて接触面積が大きく摩擦係数μの小さな接触板部材30(例えばμが0.1~0.2程度)を用いることで、接触板部材30を面接触させることができ、接触時の接触面積の増大により荷重を分散することができ、接触板部材30が摩耗にし難く摩耗を低減することができる。
また、緩衝装置1Aでは、構造物(支持杭B)との接触を、接触板部材30を介して行うことで、荷重に対する方向性がなく摩擦係数μの小さい滑り接触となり、弾性緩衝部材10に生じる転倒モーメントを低減でき、大きな荷重に対しても安定して荷重を吸収し、緩衝することができる。
また、緩衝装置1Aでは、接触板部材30を用いることで、回転可能なローラを用いる場合に比べて構造を簡素化でき、緩衝装置1の場合と同様に、ローラに比べて前後方向の寸法Hを、例えばHからH/1.8程度に小さくでき、取り付けスペースDをDからD/2程度に小さくコンパクトに設置することができる(図5(a)(b)参照)。
これらの効果に加えて緩衝装置1Aでは、接触板部材30を損傷した場合や摩耗した場合などに交換する場合、スライド部材40の長孔41を利用して荷重を支持した後、スライド部材40と荷重受け部材20Aとを連結固定しているボルト・ナット・ワッシャー44を外し、スライド部材40を荷重受け部材20Aに沿ってスライドさせて引き上げることで、接触板部材30をスライド部材40ごと荷重受け部材20Aから分離して引き上げることができる。これにより、緩衝装置1A全体を陸上に揚げて交換する必要がなく、交換作業の作業性を向上することができ、安全に交換することができ、メンテナンス費用の低減を図ることができる。
次に、本発明のさらに他の実施の形態について、図10~図28を参照して詳細に説明する。なお、すでに説明した上記実施の形態と同一構成部分には、同一符号を付してある。
以下の実施の形態は、設置状態であっても緩衝装置のメンテナンスを一層容易とするものであり、摩耗した場合などの接触板部材30の交換作業を大きなスペースを必要とせずに簡単にできるようにするものである。
緩衝装置2では、図12に示すように、接触板部材30は、周縁部に段差状の押え部35が形成され、支持杭Bと接触する部分が厚く形成される(図1、図5参照)。押え部35は、荷重受け部材20に取り付ける枠部材50で押さえられて固定される。
枠部材50は、図13に示すように、4つの辺部51~54で4角形の枠状に形成される。枠部材50は、両側の辺部51,52が荷重受け部材20に被さるように突き出した形状とされ、突き出した上下4箇所が固定ボルト55,55aで荷重受け部材20の側面に取り付けられた固定ナット56に固定される。
荷重受け部材20は、図11に示すように、両側面が側面板25で塞がれ、側面板25に固定ボルト55,55a用の貫通孔が4箇所に形成され、内側に固定ナット56が溶接してある。
これにより、図10に示すように、枠部材50は、上側の固定ボルト55aを取り外す一方、下側の固定ボルト55を緩めることで、下側の固定ボルト55による水平軸回りのヒンジ構造として荷重受け部材20に回動可能に支持される。
緩衝装置2では、枠部材50をヒンジ構造の下側の固定ボルト55を中心として回動させることで上方に開口Cを形成でき、開口Cを介して接触板部材30を荷重受け部材20に沿って上下方向に吊り下げ、あるいは吊り上げて着脱・交換することができる。
接触板部材30を交換した後は、枠部材50を回動させて開口Cを塞ぎ、枠部材50の辺部51,52の上側を固定ボルト55aと固定ナット56で固定するとともに、下側の固定ボルト55を締め付けて交換が完了する。
なお、弾性緩衝部材10は、すでに説明したものを使用する。
また、枠部材50を荷重受け部材20に対して鉛直軸回りのヒンジ構造とすることもでき、側方に開口させて接触板部材を側方から着脱・交換することができる。
緩衝装置2Aは、図14~図16に示すように、枠部材50Aの辺部51,52が複数のリンクで折り曲げ可能に構成してある。辺部51は、ほぼ半分の長さの2本の分割リンク51a,51bと,その間の短い連結リンク51cと、がピンで連結され元の辺部51と略同じ長さとしてある。辺部52も、同様に分割リンク52a,52bと,その間の短い連結リンク52cと、がピンで連結され元の辺部52と略同じ長さとしてある。
複数のリンクで構成された枠部材50Aは、図16に示すように、上側の分割リンク51a,52aの固定ボルト55aを取り外す一方、中間の連結リンク51c,52cのピンを中心に上側の分割リンク51a,52aだけを回動させて開口Cを形成できる。これと同時に、下側の分割リンク51b,52bの固定ボルト55を緩めて接触板部材30を荷重受け部材20に沿って着脱できるようにする。
この緩衝装置2Aでは、枠部材50Aの回動による突き出し量を上側の分割リンク51a,52aの長さに応じて小さく抑えることができ、少ないスペースで接触板部材30を交換することができる。また、下側の分割リンク51b,52bの枠部材50Aの溝部分と、接触板部材30の押え部35と、をガイドとして利用することで、円滑に着脱することができ、作業効率を向上することができる。
緩衝装置2Bでは、図17~図20に示すように、枠部材50Bは、下側の辺部53を分離し、これ以外の両側の辺部51,52および上側の辺部54でコ字状に構成してある。他の構成は、緩衝装置2と同一である(図19参照)。
下側の辺部53は、図18に示すように、予め荷重受け部材20の下端縁に沿って設けられ、溶接などで固定される。枠部材50Bのコ字状の枠部分は,両側の辺部51,52は、緩衝装置2Aと同様に、固定ボルト55,55aで荷重受け部材20に締め付けることで接触板部材30を固定する。
接触板部材30の交換の際は、図20に示すように、枠部材50Bのコ字状の枠部分を取り外した後、接触板部材30を引き上げるようにする。この後、新たな接触板部材30を吊り下ろして荷重を下側の辺部53で支持する。この状態で接触板部材30に上方から被せるように枠部材50Bのコ字状の枠部分を接触板部材30の押え部35と枠部分をガイドとして取り付け、4箇所の固定ボルト55,55aで固定する。
緩衝装置2Bによれば、枠部材50Bの下側の辺部53で接触板部材30の荷重を支持することができるとともに、少ないスペースで交換することができる。また、辺部53は、接触板部材30の位置決めにも利用でき、交換作業を効率よく行うことができる。
なお、枠部材50Bの辺部53は、荷重受け部材20の一部として一体に設けるようにしても良い。
緩衝装置2Cでは、図21、図22に示すように、枠部材50Cは、上側の辺部54を分離し、これ以外の両側の辺部51,52および下側の辺部53でコ字状として分割して構成してある。他の構成は、緩衝装置2と同一である。
上側の辺部54以外の辺部51,52,53によるコ字状の枠部分は、予め荷重受け部材20の両側縁および下端縁に沿って設けられ、溶接などで固定される(図21、図22(b)参照)。枠部材50Cの上側の辺部54は、コ字状の枠部分の上部を塞ぐ蓋として配置され、荷重受け部材20に取り付けた固定ナット56に固定ボルト55で固定される(図22(a)参照)。
荷重受け部材20は、図22に示すように、上面が上面板26で塞がれ、上面板26に固定ボルト55用の貫通孔が4箇所に形成され、内側に固定ナット56が溶接してある。
緩衝装置2Cでは、図22に示すように、接触板部材30の交換の際は、枠部材50Cの上側の蓋になっている辺部54を4本の固定ボルト55を緩めて取り外す(図22(a)参照)。この後、枠部材50Cのコ字状の枠部分および荷重受け部材20をガイドとして接触板部材30を引き上げるようにする。この後、新たな接触板部材30を吊り下ろしてコ字状の枠部分および荷重受け部材20をガイドとして下側の辺部53まで吊り下げる。
この状態で接触板部材30に上方から上側の辺部54を被せるように取り付け、4箇所の固定ボルト55で固定ナット56に固定する。
緩衝装置2Cによれば、枠部材50Cの上側の辺部54を除くコ字状の辺部が荷重受け部材20に固定してあるので、接触板部材30を吊り下ろす場合に、開始初期から終了までコ字状の枠部分および荷重受け部材20をガイドとして下側の辺部53まで吊り下げることができ、安定した状態で接触板部材30を交換することができる。また、少ないスペースで接触板部材30を交換することができる。
なお、枠部材50Cのコ字状の辺部分は、荷重受け部材20の一部として一体に設けるようにしても良い。
また、枠部材50Cのコ字状の辺部分を横向きに荷重受け部材20に取り付け、側方から接触板部材20を着脱するように構成することもできる。
緩衝装置2Dは、図23~図25に示すように、接触板部材30Aが用いられ、荷重受け部材20の表面を覆うに取り付ける。
荷重受け部材20は、両側部に階段状に切り欠かれた段差部27が設けられ、下端部には、前方に突き出す支持部28が設けられている(図25等参照)。
接触板部材30Aは、図24に示すように、横断面形状がコ字状に形成され,両側部36に荷重受け部材20への固定用の固定ボルト55,55aの取り付け孔が形成してある。
緩衝装置2Dでは、図23、図25に示すように、接触板部材30Aの交換の際は、接触板部材30Aを固定している両側部36の4本の固定ボルト55,55aを緩めて取り外す(図25(a)参照)。次いで、荷重受け部材20をガイドとして接触板部材30Aを引き上げるようにする。この後、新たな接触板部材30Aを吊り下ろしてコ字状の両側部36をガイドとして荷重受け部材20に沿って下側の支持部28まで吊り下げる。
この状態で接触板部材30Aを4箇所の固定ボルト55,55aでネジ穴57に固定する。
緩衝装置2Dによれば、枠部材を必要とせずに、接触板部材30Aを直接荷重受け部材20に固定するので、構成部材を減らすことができる。また、接触板部材30Aで荷重受け部材20の全面を覆うことができ、緩衝のための有効面積を大きくすることができる。
なお、接触板部材30Aを側方からスライドさせて着脱するようにしても良い。
緩衝装置2Eは、図26~図28に示すように、接触板部材30Bを用いることで、前面の緩衝面側から固定ボルト58で固定する場合であっても作業スペースを確保して接触板部材30Bの着脱交換ができるようにしている。
接触板部材30Bは、図26に示すように、両側部37が外側に突き出すように形成されている。両側部37には、固定のための板状で回動させる固定部材59を入れる固定溝38が形成してある。固定溝38は、固定部材59の厚さと幅に応じた形状とされ、固定部材59の長さの略半分が入る長さ(奥行)としてある。
荷重受け部材20は、下端部には、前方に突き出す支持部28が設けられている。荷重受け部材20は、前面の4隅に固定部材59を締め付ける固定ボルト58のねじ穴が形成してある。荷重受け部材20は、前面に接触板部材30Bを当て、固定ボルト58を介して固定部材59を固定溝38に入れるようにねじ穴に締め付けることで接触板部材30Bの両側部37が固定される。
なお、荷重受け部材30Bには、ねじ穴に代えて裏側に固定ナットを溶接などで取り付けても良い。
この固定状態では、接触板部材30Bの両側部37を固定する固定部材59の固定ボルト58は、接触板部材30Bの前面より低く、しかも前面までの空間(距離)によって固定ボルト58を緩めることができ、固定部材59を固定溝38から外して固定ボルト58を中心に回動させ、両側部37上から退避させることができるようにしている。
緩衝装置2Eでは、接触板部材30Bの交換の際は、接触板部材30Bの両側部37を固定する固定部材59の固定ボルト58を緩め、固定部材59を固定溝38から外して固定ボルト58を中心に回動させ、接触板部材30Bの両側部37上から退避させる。この後、接触板部材30Bを引き上げるようにして取り外す。
次いで、新たな接触板部材30Bを吊り下ろして荷重を下側の支持部28で支持させておく。この状態で接触板部材30Bの固定溝38上に固定部材59を回動させ、固定溝38内に入れて、緩めてあった固定ボルト58を締め付ける。こうすることで、固定ボルト58を緩めて固定部材59を回動させて退避することで、少ないスペースで接触板部材30Bを交換することができる。
緩衝装置2Eによれば、枠部材を必要とせずに、固定ボルト58と固定部材59によって固定ボルト58を緩めて固定部材59を回動させて退避するだけで接触板部材30Bを簡単に交換することができる。また、接触板部材30Bの交換のためのスペースが小さくて済み、接触板部材30Bの荷重を支持部28で支持することができ、接触板部材30Bの位置決めにも利用でき、交換作業を効率よく行うことができる。
なお、上記の実施の形態で説明した荷重受け部材20等、枠部材50等は、海水に浸漬されることもあり、例えば、ステンレス鋼で構成される場合に限らず、他の耐食性金属材や合成樹脂材、硬質ゴムなどで荷重に対応できる構造として構成することもできる。
また、接触板部材30等は、すでに説明したように、摩擦係数μ(静摩擦係数)が小さく、摩耗が少なく、しかも加わる荷重に対する強度を備える材料(低摩擦素材)とされ、例えば合成樹脂材、金属、セラミックスなどで構成される。摩擦係数μについては、例えば、μ=0.1~0.2程度の低摩擦素材であることが好ましく、滑り方向の方向性を小さくし、剪断荷重を低減でき、弾性緩衝部材10の転倒モーメントの低減を図ることもできる。
以上、実施の形態とともに、具体的に説明したように、本発明の緩衝装置1は、固定された支持杭(第1の構造体)Bと、相対移動する浮桟橋(第2の構造体)Aとの間に加わる荷重を吸収し保護する緩衝装置1であって、支持杭Bと浮桟橋Aとのいずれか一方(浮桟橋A)の前面に設けられる中実の弾性緩衝部材10と、弾性緩衝部材10の前面に設けられ支持杭Bと浮桟橋Aの荷重を受けて面圧として弾性緩衝部材10に伝達する荷重受け部材20と、荷重受け部材20の前面に設けられ支持杭Bと浮桟橋Aの荷重の方向によらず摩擦を低減して面接触する接触板部材30とを備える。
かかる構成によれば、ローラに代えて接触板部材30を用いることで、大きなスペースを必要とせずコンパクトにでき、加わる荷重の方向によらず緩衝でき、構造も簡素化でき、接触板部材30によりメンテナンスも容易にできる緩衝装置1を提供することができる。
本発明の緩衝装置1Aは、接触板部材30が荷重受け部材20Aに対して着脱可能なスライド部材40に設けられ、スライド部材40は、荷重受け部材20Aから接触板部材30ごと着脱して交換可能に構成されている。
かかる構成によれば、接触板部材30をスライド部材40ごと荷重受け部材20Aから分離して引き上げることができ、緩衝装置1A全体を陸上に揚げて交換する必要がなく、交換作業の作業性を向上でき、安全に交換できる。
本発明の緩衝装置2は、接触板部材30が周縁部に段差状の押え部35が形成され、押え部35は、荷重受け部材20に取り付ける辺部51~54を備える枠部材50で押さえられ、枠部材50は、両側の辺部51,52が荷重受け部材20の下方または側方で回動可能に支持され回動させた開口Cから接触板部材30を荷重受け部材20に沿って着脱・交換可能に構成されている。
かかる構成によれば、周縁部に段差状の押え部35を形成した接触板部材30を、下方または側方で回動させて開口Cを上方または他方の側方に形成する枠部材50を介して荷重受け部材20に取り付けることで、上方または側方のいずれかからの作業で回動した枠部材50の開口Cから接触板部材30を着脱することができる。これにより、開口Cを形成する僅かなスペースで接触板部材30を交換することができ、交換のための回動中心となるボルト等を残しておくことで、位置決めなども簡単にできる。また、交換作業の際に、杭や浮体などとの干渉を極力防止することができる。
本発明の緩衝装置2Aは、枠部材50Aの開口C両側の辺部51,52が複数のリンク51a,51b,51c,52a,52b,52cで折り曲げ可能に構成されている。
これにより、枠部材50Aの回動による突き出し量を一方側の分割リンク51a,52aの長さに応じて小さく抑えることができ、一層少ないスペースで接触板部材30を交換することができる。また、他方側の分割リンク51b,52bの枠部材50Aの溝部分と接触板部材30の押え部35とをガイドとして利用することで、円滑に着脱することができ、作業効率を向上することができる。
本発明の緩衝装置2B,2Cは、枠部材50B,50Cが少なくとも荷重受け部材20の底部を押さえる辺部53を備えて構成されている。
これにより、接触板部材30の荷重を枠部材50B,50Cの底部に位置する辺部53で支持することができ、交換作業の際に荷重を支えながら固定する必要がなく、作業に必要な力も最小限にでき、交換作業を小さなスペースで効率良く行うことができる。
本発明の緩衝装置2A~2Cは、枠部材50A~50Cが接触板部材30の押え部35をガイドして着脱・交換するので、接触板部材30を円滑かつ簡単に荷重受け部材20に着脱することができ、少ないスペースでも効率よく作業することができる。
本発明の緩衝装置2Dは、接触板部材30Aが荷重受け部材20の幅または高さに応じた凹状に形成され、凹状の部分を荷重受け部材20に沿って被せて着脱・交換可能に構成されている。
これにより、荷重受け部材20をガイドとして接触板部材30Aを沿わせて被せるようにして引き上げることで、枠部材を必要とせずに、接触板部材30Aを直接荷重受け部材20に固定することができ、構成部材を減らすことができる。また、接触板部材30Aで荷重受け部材20の全面を覆うことができ、緩衝のための有効面積を大きくすることができる。また、接触板部材30Aを荷重受け部材20に沿わせて着脱・交換することができ、少ないスペースで交換作業を行うことができる。
本発明の緩衝装置2Eは、接触板部材30Bが着脱・交換方向の両側に窪んだ固定溝38を備え、荷重受け部材20に取り付ける固定部材59を固定溝38に入れ、固定・解放可能に構成されている。これにより、枠部材を必要とせずに、固定部材59の締め付けを緩めて固定部材59を回動させて退避するだけで接触板部材30Bを簡単に交換することができる。また、接触板部材30Bの交換のためのスペースを小さくでき、交換作業を効率よく行うことができる。
本発明の緩衝装置1,1Aでは、弾性緩衝部材10は、前後面に補強板11b,12bを備える。
かかる構成によれば、弾性緩衝部材10の前後面の剛性を高めることができ弾性緩衝部材10に生じる転倒モーメントを低減でき、大きな荷重に対しても安定して荷重を吸収し、緩衝することができる。同様に、緩衝装置2,2A~2Eでも弾性緩衝部材10は、前後面に補強板11b,12bを備えることで、弾性緩衝部材10の前後面の剛性を高めることができ弾性緩衝部材10に生じる転倒モーメントを低減でき、大きな荷重に対しても安定して荷重を吸収し、緩衝することができる。
本発明の緩衝装置1,1Aでは、接触板部材30は、摩擦係数μが0.1~0.2程度の低摩擦素材で構成される。
かかる構成によれば、接触板部材30の摩擦係数μが小さい低摩擦素材、例えば、樹脂、金属、セラミックスなどとすることで、荷重に対する方向性を低減し、剪断荷重を小さくして摩耗を抑えることもできる。同様に、緩衝装置2,2A~2Eでも接触板部材30の摩擦係数μが小さい低摩擦素材、例えば、樹脂、金属、セラミックスなどとすることで、荷重に対する方向性を低減し、剪断荷重を小さくして摩耗を抑えることもできる。
本発明の緩衝装置1,1Aでは、荷重受け部材20,20Aは、金属材、合成樹脂材、硬質ゴムのいずれかで構成する。
かかる構成によれば、これらの材料により必要な剛性を確保することができ、浮桟橋Aからの荷重を受けて面圧として弾性緩衝部材10に伝達することができる。同様に、緩衝装置2,2A~2Eでもこれらの材料により必要な剛性を確保することができ、浮桟橋Aからの荷重を受けて面圧として弾性緩衝部材10に伝達することができる。
本発明の緩衝装置1,1Aは、第1の構造体と第2の構造体とのいずれかは、浮桟橋、接岸設備、橋脚、水門のいずれかで構成される。
かかる構成によれば、浮桟橋、接岸設備、橋脚、水門のいずれに緩衝装置1,1Aを適用することができ、ローラに代えて接触板部材30を用いることで、大きなスペースを必要とせずコンパクトにでき、加わる荷重の方向によらず緩衝でき、構造も簡素化でき、接触板部材30によりメンテナンスも容易にできる。同様に、緩衝装置2,2A~2Eでも浮桟橋、接岸設備、橋脚、水門のいずれに緩衝装置1,1Aを適用することができ、ローラに代えて接触板部材30を用いることで、大きなスペースを必要とせずコンパクトにでき、加わる荷重の方向によらず緩衝でき、構造も簡素化でき、接触板部材30によりメンテナンスも容易にできる。
なお、上記実施の形態で説明した緩衝装置1,1Aは、一例に過ぎず、弾性緩衝部材10、荷重受け部材20,20A、接触板部材30、スライド部材40の構造や各部材の形状は、図示例に限らず、他の構造や形状であっても良い。また、緩衝装置2,2A~2Eでも同様である。
また、本発明の緩衝装置1,1Aの構成材料は、上記実施の形態で説明したものに限らず、同一の機能を備えたものであれば、何ら限定するものでない。
また、緩衝装置2,2A~2Eでも同様である。
1,1A 緩衝装置(係留緩衝装置)
2 緩衝装置(係留緩衝装置)
2A~2E 緩衝装置(係留緩衝装置)
10 弾性緩衝部材
11 前面フランジ部
11a ボルト孔
11b 補強板
12 後面フランジ部
12a ボルト孔
12b 補強板
13 ゴム緩衝部
14 ボルト・ナット
20 荷重受け部材
21 前面フランジ部
21a ネジ穴
22 後面フランジ部
22a ボルト孔
22b ナット
23 中間台部
23a 縦部材
23b 横部材
23c 端横部材
24 ボルト
20A 荷重受け部材
21A 前面フランジ部
21b ボルト孔
23A 中間台部
23Ac 端横部材
25 側面板
26 上面板
27 段差部
28 支持部
30 接触板部材
30A~30B 接触板部材
31 樹脂板
32 樹脂板
33 座ぐりを備えたボルト孔
34 ボルト
35 押え部
36,37 両側部
38 固定溝
40 スライド部材
41 長孔
42 ボルト孔
43 ネジ穴
44 ボルト・ナット・ワッシャー
50 枠部材
50A~50C 枠部材
51 辺部(側板)
52 辺部(側板)
51a,51b 分割リンク
52a,52b 分割リンク
51c,52c 連結リンク
53 辺部(底板)
54 辺部(天板)
55,55a 固定ボルト
56 固定ナット
57 ネジ穴
58 固定ボルト
59 固定部材
A 浮桟橋(第2の構造体)
B 支持杭(第1の構造体)
C 開口
D 取り付けスペース(支持杭の幅)
H 寸法(浮桟橋と支持杭との間の距離)

Claims (12)

  1. 固定された第1の構造体と、相対移動する第2の構造体との間に加わる荷重を吸収し保護する係留緩衝装置であって、
    前記第1の構造体と前記第2の構造体とのいずれか一方の前面に設けられる中実の弾性緩衝部材と、
    前記弾性緩衝部材の前面に設けられ前記第1の構造体と前記第2の構造体の荷重を受けて面圧として前記弾性緩衝部材に伝達する荷重受け部材と、
    前記荷重受け部材の前面に設けられ前記第1の構造体と前記第2の構造体の前記荷重の方向によらず摩擦を低減して面接触する接触板部材とを備える、
    ことを特徴とする係留緩衝装置。
  2. 前記接触板部材は、前記荷重受け部材に対して着脱可能なスライド部材に設けられ、
    前記スライド部材は、前記荷重受け部材から前記接触板部材ごと着脱して交換可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の係留緩衝装置。
  3. 前記接触板部材は、周縁部に段差状の押え部が形成され、前記押え部は、前記荷重受け部材に取り付ける辺部を備える枠部材で押さえられ、
    前記枠部材は、両側の前記辺部が前記荷重受け部材の下方または側方で回動可能に支持され回動させた開口から前記接触板部材を前記荷重受け部材に沿って着脱・交換可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の係留緩衝装置。
  4. 前記枠部材は、前記開口両側の前記辺部が複数のリンクで折り曲げ可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の係留緩衝装置。
  5. 前記枠部材は、少なくとも前記荷重受け部材の底部を押さえる前記辺部を備えて構成されている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の係留緩衝装置。
  6. 前記接触板部材は、前記荷重受け部材の幅または高さに応じた凹状に形成され、前記凹状の部分を前記荷重受け部材に沿って被せて着脱・交換可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の係留緩衝装置。
  7. 前記枠部材は、前記接触板部材の前記押え部をガイドして着脱・交換する、
    ことを特徴とする請求項3~5のいずれかに記載の係留緩衝装置。
  8. 前記接触板部材は、着脱・交換方向の両側に窪んだ固定溝を備え、
    前記荷重受け部材に取り付ける固定部材を前記固定溝に入れ、固定・解放可能に構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の係留緩衝装置。
  9. 前記弾性緩衝部材は、前後面に補強板を備える、
    ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の係留緩衝装置。
  10. 前記接触板部材は、摩擦係数が0.1~0.2の低摩擦素材で構成される、
    ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の係留緩衝装置。
  11. 前記荷重受け部材は、金属材、合成樹脂材、硬質ゴムのいずれかで構成する、
    ことを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の係留緩衝装置。
  12. 前記第1の構造体と前記第2の構造体とのいずれかは、浮桟橋、接岸設備、橋脚、水門のいずれかで構成される、
    ことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の係留緩衝装置。
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