JP2022151394A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Seiichiro Suzuki
兼欣 横田
Kaneyoshi Yokota
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Abstract

【課題】歯面に短時間接触させるだけでう蝕を予防できる、簡単な組成の口腔用組成物を提供する。【解決手段】ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を含み、pHが3.5~6.5である口腔用組成物。ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の体積基準粒度分布において小径側から測定した90%位置の粒子径(D90)は1μm以下であることが好ましい。ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の含有量は、組成物の全量に対して、0.0005~50重量%とすることができる。さらにソルビトールを含むことが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、う蝕を予防できる口腔用組成物に関する。
現在、ホームケアでのう蝕予防は、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、モノフルオロリン酸ナトリウムといったフッ化物の使用が主流である。フッ化物は、歯磨き剤、洗口剤、歯面塗布剤などに配合されており、特に歯磨き剤のほとんどにフッ化物が配合されている。水道水へのフッ化物の添加も、実施には至っていないが、優れた方法であると報告されている(平成18年2月10日 日歯学会発第57号諮問に対する日本歯科医師会答申書)。
また、歯科治療でも、フッ化物を配合した歯磨き剤や洗口剤を使用することで根面う蝕が回復したことが報告されており、フッ化物による治療が推奨されている(う蝕治療ガイドライン第3版、2020年2月10日、日本歯科保存学会 編集)。
しかし、フッ化物を歯面に有効に作用させるためには、フッ化物を歯面になるべく長時間留めておく必要がある。このため、フッ化物を歯面に付着させた後は、うがいをしないことや、30分間程度飲食をしないことが求められる。また、フッ化物を適用する方法としてイエテボリテクニックと呼ばれる歯磨き法が提案されているが、この方法は、2分間の歯磨き、湿潤剤で泡立ちを保つこと、歯磨き後はなるべく少量の水で洗口した後1分間のブクブクうがいをすること、吐き出した後のうがいはしないまま2時間は飲食をしないことを求めている(Caries Res.、 29、 435-441、 1995)。このように、フッ化物によりう蝕を予防するためには、使用後に長時間にわたり製剤を洗い流さないことや飲食制限が必要になる。
このため、フッ化物含有製剤は、長時間にわたり製剤を口中に含んでいることができる味にしたり、長時間フッ化物を歯面に留めておくことができる性状にする必要があり、組成が制限される。また、製剤を歯面に適用した後に暫くうがいや飲食をしないことは守られないことが多く、実際に効果的にう蝕が予防されるとは限らない。従って、歯面に短時間接触させるだけでう蝕を予防できる製剤が求められている。
フッ化物以外の成分によりう蝕を予防する口腔用組成物として、例えば、特許文献1は、炭素数12~22の飽和脂肪酸であってパルミチン酸含有量が70質量%以上である飽和脂肪酸のカリウム塩を脂肪酸換算量で0.05~1.2質量%、ソルビトールを5~40質量%、及び水を含み、カリウム/飽和脂肪酸の比が1を超え3以下であり、25℃におけるpHが7以上9未満である組成物は、良好な風味を確保しながら飽和脂肪酸カリウム塩の歯の表面への付着性を高め、優れた耐酸性を付与して、う蝕を予防できることを開示している。
しかし、特許文献1の口腔用組成物は、組成に制限が多いため、製剤設計の自由度が低い。従って歯面に短時間接触させるだけでう蝕を予防できる、単純な組成の口腔用組成物が求められている。
特開2019-48897号
本発明は、歯面に短時間接触させるだけでう蝕を予防できる、簡単な組成の口腔用組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために研究を重ね、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を含み、pHが3.5~6.5である口腔用組成物は、例えば日常の歯磨きやうがいのように歯面に繰り返し短時間接触させるように使用することで、歯面に耐酸性を付与して、酸による脱灰を抑制し、また再石灰化を促進することを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕 ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を含み、pHが3.5~6.5である口腔用組成物。
〔2〕 ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物が水に不溶なものであり、このケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の体積基準粒度分布において小径側から測定した90%位置の粒子径(D90)が1μm以下である、〔1〕に記載の口腔用組成物。
〔3〕 ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の含有量が、組成物の全量に対して、0.0005~50重量%である、〔1〕又は〔2〕に記載の口腔用組成物。
〔4〕 ソルビトールを含む、〔1〕~〔3〕の何れかに記載の口腔用組成物。
〔5〕 歯面への耐酸性の付与、歯質の脱灰予防、歯質の再石灰化促進、又はう蝕の予防若しくは改善のために用いられる、〔1〕~〔4〕の何れかに記載の口腔用組成物。
う蝕は、健全な歯面に吸着したう蝕原因細菌が食品由来の糖質から酸を生成し、歯垢のpHが低下し、これにより歯表面のエナメル質からリンやカルシウムといったミネラルが溶け出して歯質が脱灰された状態になることにより始まる。口腔内では、脱灰と共に唾液による再石灰化も起こっている。再石灰化の進行の方が早いと初期う蝕は改善するが、脱灰の進行の方が早いとう蝕が進行する。
本発明の口腔用組成物は、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を含み、pHが3.5~6.5であることにより歯面の耐酸性を向上させ、酸による脱灰を効果的に抑制することができる。また、再石灰化も促進する。従って、う蝕を予防できると共に、初期う蝕を改善することができる。
また、本発明の口腔用組成物は、繰り返し(即ち、複数回)短時間接触させるだけで、歯面の耐酸性を向上させることができる。うがいなどで洗い流すため、使用後の飲食制限の必要もない。従って、誰でも簡単にう蝕を予防、改善することができる。また、洗口剤だけでなく、歯磨き剤のように通常は使用後直ぐに洗い流すタイプの製剤にすることもでき、汎用性がある。
また、本発明の口腔用組成物は、特別な成分を配合する必要がなく、研磨剤や増粘剤として口腔用組成物に一般に配合されているケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を配合し、また必要であれば汎用のpH調整剤でpHを調整するだけで得られるため、製剤設計の自由度が高い。
耐酸性の評価基準となる、歯面の電解放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の口腔用組成物は、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を含み、pHが3.5~6.5である組成物である。
ケイ酸塩化合物
ケイ酸塩化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム9水和物、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸カリウム、アルミノケイ酸カルシウムのようなケイ酸塩などが挙げられ、ケイ酸塩は、水和物であってもよい。
ケイ素の酸化物(シリカ)
シリカは、結晶性シリカ、非晶質シリカの何れでもよい。
ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物は、1種又は2種以上を使用できる。
ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミノケイ酸カルシウム、シリカのような、水に不溶性のケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を用いる場合は、最大粒子径が制御されることが好ましい。具体的には、体積基準粒度分布において小径側から測定した90%位置の粒子径(D90)が1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。この範囲であれば、十分に耐酸性を向上させることができる。下限値は、0.005μm程度であり得る。
本発明において、水に不溶性のケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の粒子径(D90を含む)は、レーザー回折散乱法で測定した値である。
ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度は低濃度で十分であり、組成物の全量に対して、0.0005重量%以上あればよい。0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、又は1重量%以上とすることもできる。この範囲であれば、pH3.5~6.5の組成物中に、十分に耐酸性を向上させることができるだけのケイ酸イオンが存在することになる。また、耐酸性を向上させる上ではケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度の上限に特に制限はないが、性状を液状(粘液状を含む)とする場合は、多すぎると沈殿や凝集などの影響を受けて好ましくない。従って、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度は、組成物の全量に対して、50重量%以下であればよく、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましい。2重量%以下とすることもできる。この範囲であれば、沈殿や凝集などの影響を極力受けず、安定な製剤にできる。
また、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度は、ケイ酸イオン濃度が、組成物の全量に対して、1ppm以上、中でも3ppm以上、中でも5ppm以上になる濃度であることが好ましい。この範囲であれば、十分に耐酸性を向上させることができる。また、ケイ酸イオン濃度が、組成物の全量に対して、1000ppm以下、中でも500ppm以下、中でも100ppm以下になる濃度であることが好ましい。この範囲であれば、沈殿や凝集などの影響を極力受けず、安定な製剤にできる。
ソルビトール
本発明の口腔用組成物は、ソルビトールを含むことが好ましい。本発明の口腔用組成物中でケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物は不安定であり、凝集、析出、濁りを生じ易いことが判明したが、ソルビトールを含むことにより、凝集、析出、濁りが抑制される。
ソルビトールの濃度は、配合されるケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度に依存し、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度に対して、50倍量以上が好ましく、100倍量以上がより好ましい。200倍量以上とすることもできる。この範囲であれば、十分に凝集、析出、濁りを抑制することができ、また適度な甘味を有する組成物となる。また、ソルビトールの濃度は、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度に対して、5000倍量以下が好ましく、1500倍量以下がより好ましい。1000倍量以下とすることもできる。この範囲であれば、十分に凝集、析出、濁りを抑制することができる。
pH
本発明の口腔用組成物は、pHが3.5以上であり、また4以上、4.5以上、又は5以上とすることもできる。また、pHは6.5以下であり、この範囲であれば、十分に耐酸性を付与することができる。6以下、又は5.5以下とすることもできる。
製剤形態・性状
本発明の口腔用組成物の製剤形態としては、練り歯磨き、歯磨き粉、液体歯磨きのような歯磨き剤、洗口剤(マウスウォッシュ、マウスリンスなど)、口腔清涼剤、うがい剤、マウススプレー、歯面塗布剤、バーニッシュ、食品(チューイングガム、グミ、フィルム、トローチなど)などが挙げられる。液状(粘液状を含む)の製剤が好ましいが、固形状でも水を含むことによりpHを調整できるものであればよい。
また、本発明の口腔用組成物は、液剤、乳剤(乳液、クリーム)、懸濁剤、ゲル剤、ペースト剤、ガム剤などの性状にすることができる。また、液剤、乳剤、懸濁剤などを含浸させた布にすることもできる。
任意成分
本発明の口腔用組成物は、製剤形態に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の基材又は担体、添加物を含むことができる。基材又は担体、添加物は、1種又は2種以上を配合できる。
本発明の口腔用組成物は、基材又は担体として、pHを調整できるだけの水を含む。
水の濃度は、製剤の形態および水以外の基剤又は担体の溶解度によって適宜調整することができる。
水以外の基材又は担体として、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンのような多価アルコール、エタノール、イソプロピルアルコールのような1価アルコールなどが挙げられる。
添加物としては、pH調整剤、ケイ素化合物以外の研磨剤、ケイ素化合物以外の粘結剤又は増粘剤、界面活性剤、甘味剤、殺菌成分、防腐剤、湿潤剤、香料などが挙げられる。
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、グルタミン酸、酢酸のような有機酸及びその塩、リン酸、塩酸、硝酸、炭酸のような無機酸及びその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物以外の研磨剤としては、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、酢酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウムなどが挙げられる。
ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物以外の粘結剤又は増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、メチルセルロースのようなセルロース系粘結剤;カラギーナン、キサンタンガム、ペクチン、トラガントガム、アラビアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステルのような多糖類及びその誘導体;ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンのような合成ポリマーなどが挙げられる。
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウムのようなアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、脂肪酸アミドスルホン酸塩、リン酸エステル及びその塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸エステル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、N-アシルスルホン酸塩、脂肪酸エステルスルホン酸塩、グリセリン脂肪酸エステル硫酸塩などのアニオン性界面活性剤;
POE-アルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE-ソルビタン脂肪酸エステル、POE-グリセリン脂肪酸エステル、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤;
アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤などの両性界面活性剤が挙げられる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジンヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、p-メトキシシンナミックアルデヒド、ソーマチン、パラチノース、マルチトール、キシリトール、トレハロース、アラビトールなどが挙げられる。ソルビトールも甘味剤に分類される。
殺菌成分としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムのような四級アンモニウム塩型殺菌成分、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオールなどが挙げられる。
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩などが挙げられる。
湿潤剤としては、マルチトール、ラクチトールのような糖アルコール、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールのような多価アルコールなどが挙げられる。糖アルコールのソルビトールは湿潤剤にも分類される。
香料としては、各種精油、メントールのような精油成分、調合香料などが挙げられる。
用途
本発明の口腔用組成物は、日常の歯磨きやうがいのように歯面に繰り返し(即ち、複数回)短時間接触させるように使用することで、歯質に耐酸性を付与して脱灰を防ぎ、再石灰化を促進できる。従って、本発明の口腔用組成物は、う蝕予防や初期う蝕の改善のために使用できる。
また、本発明の口腔用組成物は、歯面に触れる程度でも効果を発揮するが、口腔内全体に行き渡らせるためには、1回の接触時間として5秒以上、中でも10秒以上は接触させる方法で使用するのが効果的である。接触時間の上限は特に限定されないが、通常の歯磨き時間の3分間程度とすればよい。
以下、実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
(1)口腔用組成物の調製
表1~表3に示す組成の液状の歯磨き剤組成物を、各成分を混合することにより調製した。
Figure 2022151394000001
Figure 2022151394000002
Figure 2022151394000003
(2)耐酸性の評価
試験1(FE-SEMでの表面観察)
凍結保存したウシ中切歯の歯冠部を試料とした。試料表面を♯1000の耐水研磨紙により研磨した。各歯磨き剤組成物に試料を10秒間浸漬した後、精製水に30分浸漬した。各歯磨き剤組成物への浸漬と精製水への浸漬からなる一連の操作を30回繰り返した。次いで、脱灰液(2.2mM CaCl、50mM 酢酸、2.2mM NaHPO、pH 4.5)50mLに、37℃で2時間浸漬した後、10秒間精製水で洗浄した。
洗浄後の試料表面を電解放出形走査型電子顕微鏡(FE-SEM)で観察し、下記基準に従って外観評価を行った。
<判定>
A(良好) :脱灰を受けたエナメル質表面と比較し、歯磨き剤組成物を適用したエナメル質表面が滑らかで、エナメル小柱が露出していない。
B(普通) :脱灰を受けたエナメル質表面と比較し、歯磨き剤組成物を適用したエナメル質表面が滑らかだが、エナメル小柱に隙間を生じている。
C(不良):脱灰を受けたエナメル質表面と比較し、歯磨き剤組成物を適用したエナメル質表面に差異は認められず、エナメル小柱も露出している。
A、B、Cの判定基準となるエナメル質表面のFE-SEM写真を図1に示す。
試験2(TMR分析によるミネラルの定量)
凍結保存したウシ歯中切歯の歯冠又は歯根を試料とした。試料表面を♯2000の耐水研磨紙により研磨した。各歯磨き剤組成物に試料を30秒間浸漬し、水洗せずに水気を切ってから再石灰化溶液(0.02M HEPES、3.0mM CaCl、1.8mM KHPO、pH 7.0)に30分間浸漬し、水洗せずに水気を切ってから脱灰液(1.5mM CaCl、50mM 酢酸、0.9mM KHPO、0.1ppm F、pH 5.0)に浸漬した。各歯磨き剤組成物への浸漬、再石灰化溶液への浸漬、及び脱灰液への浸漬からなる一連の操作を1日2回、5日間(合計10回)繰り返した。
作製した試料をイオン水で水洗し、70~99.5%のエタノール系列にて順次脱水後、100%プロピレンオキシド、および包埋用レジン(SpurrLow-ViscosityEmbeddingKit、Polisciences、USA)にて包埋した。重合後、ダイヤモンドワイヤー一式精密切断機(Well 3242、Walter Ebner、Germany)を用いて、厚さ300μmの薄切片を各ブロックから3枚ずつ歯軸と垂直方向に切り出した。各切片は発生源にCu、およびフィルターにNiを使用した顕微エックス線装置(PW3830、Spectris、UK)およびHigh resolusion X-ray glass plate(コニカミノルタ)を用いて、13段階のアルミステップウェッジとともにTMR撮影(管電圧35kV、管電流15mA、照射時間15分)を行った。現像後、光学顕微鏡を通して得られた画像をWindows搭載のコンピューターに転送し、分析ソフト(TMR2006、2012、Inspektor Research Systems、The Netherlands)を用いてミネラルプロファイルを作製、病巣深度(LD)を測定した。それぞれの群におけるこれらパラメーターの有意差検定は、One-way ANOVA及びTukeyの検定により有意水準5%で行った。
<判定>
良好:LD値が、対照検体のLD値の95%以下の場合
不良:LD値が、対照検体のLD値の95%超の場合
対照検体は、歯磨き剤組成物を使用しない他は同様の操作を行った検体である。
試験1では、歯試料を歯磨き剤組成物と脱灰液に浸漬する操作を繰り返しているため、耐酸性を評価している。一方、試験2は、歯試料を歯磨き剤組成物と再石灰化と脱灰液に浸漬する操作を繰り返しているため、歯磨き剤組成物の耐酸性だけでなく再石灰化能も評価できる。
試験3(カラーレーザー顕微鏡を用いて脱灰深さを定量)
凍結保存したウシ中切歯の歯冠部(エナメル質)及び歯根部(象牙質)を試料とした。試料表面を♯2000の耐水研磨紙により研磨し、ネイルバーニッシュを用いて2mm×3mmの開窓部を規定し、以下の脱灰試験を供した。なお、試験は実施例1、8および比較例1は歯冠部(エナメル質)に対して、実施例10、12および比較例2は歯根部(象牙質)に対して実施した。
各歯磨き剤組成物に試料を10秒間浸漬した後、再石灰溶液(0.02M HEPES、3.0mM CaCl、1.8mM KHPO、pH 7.0)に30分浸漬し、水洗せずに水気を切ってから脱灰液(1.5mM CaCl、0.9mM KHPO、50mM acetic acid、0.1 ppm F、pH 5.0)30mLに30分間浸漬した。
各歯磨き剤組成物への浸漬と精製水への浸漬及び脱灰液への浸漬からなる一連の操作を30回繰り返した。次いで、脱灰液に、37℃で24時間浸漬した後、ネイルバーニッシュを取り除き、10秒間精製水で洗浄した。
洗浄後の試料表面をカラーレーザー顕微鏡で観察し、開窓部とネイルバーニッシュで覆われていた試料表面の段差を定量した。
<判定>
良好:値が100μm未満
不良:値が100μm以上
(3)安定性の評価(凝集、析出、濁りの抑制)
ケイ酸塩化合物及び/又はケイ素の酸化物を分散させるため、ソルビトールをケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度に対して、0倍量(実施例14)、105倍量(実施例10)、210倍(実施例13)量、又は1050倍量(実施例1、15)配合し、60℃で2週間保存した。保存により、凝集、析出、濁りなどの性状に変化があるかを目視で確認した。
(4)結果
評価結果を、表1~表3に併せて示す。
試験1の結果、pHが3.5~6.5の範囲にある実施例1~15の組成物は、耐酸性が良好であった。これに対して、pHが3.5未満又は6.5を超える比較例3~6の組成物は、耐酸性が不良であった。
具体的には、実施例1(pH=4.2)、実施例10(pH=5.0)、比較例3(pH=2.5)、比較例4(pH=7.0)は、pH以外の組成が同じであるが、実施例1、10は耐酸性が良好であるのに対して、比較例3、4は耐酸性が不良であった。また、実施例11(pH=3.5)、実施例12(pH=6.5)、比較例5(pH=3.2)、比較例6(pH=7.0)は、pH以外の組成が同じであるが、実施例11、12は耐酸性が良好であるのに対して、比較例5、6は耐酸性が不良であった。このことは、pHが3.5~6.5であることにより優れた耐酸性が得られることを示している。
また、試験2の結果、実施例1の組成物は、再石灰化の促進能が高いことが分かった。これに対して、比較例1、2、5、6の組成物は、再石灰化の促進能が低かった。
実施例1と比較例1の各組成物は、pHは同じ4.2であるが、実施例1の組成物がケイ酸カルシウムを含むのに対して、比較例1の組成物はケイ酸塩化合物及びケイ素の酸化物の何れも含まない。また、比較例2の組成物はpHが5.8で3.5~6.5の範囲内であるが、ケイ酸塩化合物及びケイ素の酸化物の何れも含まない。このことは、ケイ酸塩化合物及び/又はケイ素の酸化物を含むことにより優れた再石灰化促進能が得られることを示している。
ケイ酸塩化合物及び/又はケイ素の酸化物を含みかつpHが3.5~6.5であることにより優れた再石化促進能が得られることを示している。
また、比較例7の組成物は、ケイ酸塩化合物又はケイ素の酸化物と同様に酸に溶解する無機物質としてアルミナを含むが、試験1での耐酸性は不良であった。優れた耐酸性を得るためには、ケイ酸塩化合物及び/又はケイ素の酸化物が必須であることが分かる。
組成物の安定性については、ソルビトールを、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度に対して、それぞれ、105~1050倍量配合した実施例1、10、13及び15の各組成物は、60℃で2週間保存後にも、ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の凝集、析出、濁りは生じず、良好な性状であった。
これに対して、ソルビトールを含まない他は実施例13と同じ組成である実施例14の組成物は、60℃で2週間保存後に凝集が認められた。また、ソルビトールをケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の濃度に対して、10000倍量含んだ実施例16も同様に、凝集が認められた。
本発明の口腔用組成物は、歯面に短時間接触させるだけで耐酸性を与えることができ、酸による石灰化とう蝕の進行を抑制することができる。また、口腔用組成物に一般に配合されている成分を用いて得られるため、汎用性の高い組成物である。

Claims (5)

  1. ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物を含み、pHが3.5~6.5である口腔用組成物。
  2. ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物が水に不溶なものであり、このケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の体積基準粒度分布において小径側から測定した90%位置の粒子径(D90)が1μm以下である、請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. ケイ酸塩化合物および/またはケイ素の酸化物の含有量が、組成物の全量に対して、0.0005~50重量%である、請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
  4. ソルビトールを含む、請求項1~3の何れかに記載の口腔用組成物。
  5. 歯面への耐酸性の付与、歯質の脱灰予防、歯質の再石灰化促進、又はう蝕の予防若しくは改善のために用いられる、請求項1~4の何れかに記載の口腔用組成物。
JP2021054438A 2021-03-27 2021-03-27 口腔用組成物 Pending JP2022151394A (ja)

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