JP2022149252A - ワイヤ括り部拡張具及びそれを備えた動物捕獲用括り具 - Google Patents

ワイヤ括り部拡張具及びそれを備えた動物捕獲用括り具 Download PDF

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Abstract

【課題】罠猟において、狩猟獣に括りワイヤのループ状の括り部を咥えさせたり、或いは狩猟獣の首部に嵌め込んだりする際に、括り部を所定の大きさに拡張した状態で維持できるようにすると共に、括り部を狩猟獣の顎部や首部に掛けたときには、拡張状態を簡単に解除してワイヤの引き操作による括り作業を手早く行うことができるワイヤ括り部拡張具を提供する。【解決手段】ワイヤ括り部拡張具4aは、基部材40と両延長部材41及び蝶ネジ42から成り、長さの調整が可能な拡張部材と、拡張部材の両端の延長部材41に設けられ、括りワイヤ3の括り部31を拡張して掛止可能なワイヤ掛止部413と、基部材40から突出して設けてある差し込み板403とを備える。【選択図】図4

Description

本発明は、ワイヤ括り部拡張具及びそれを備えた動物捕獲用括り具に関するものである。詳しくは、市街地に出没した野生動物や罠に掛かった狩猟獣を捕獲する際に、ワイヤの括り部を所定の大きさに拡張した状態で維持できるようにすると共に、括り部を狩猟獣の顎部や首部に掛けたときには、拡張状態を簡単に解除してワイヤの引き操作による括り作業を手早く行うことができるものに関する。
近年では、市街地に野生のサルやシカ、或いはイノシシ等が出没することは珍しいことではなくなっており、このような動物の捕獲には、ネットやワイヤ、或いは各種袋等の捕獲補助具が使用されている。しかし、このような捕獲作業を行うのは、多くが専門家ではなく、自治体や警察もその捕獲には手を焼いているというのが実情である。
また、狩猟獣を足括り罠や箱罠等、各種罠で捕獲する罠猟においては、罠に掛かった獣は速やかに処分する必要がある。この処分作業は、狩猟において最も危険な作業である。例えば、足括り罠に掛かった獣は、ワイヤに繋がれた状態になるが、ほとんどの場合で致命傷は受けていない。このため、通常は、ワイヤに繋れた獣の動きを各種捕獲補助具により制限し、動けなくなったところでナイフ等を使用し致命傷を与える方法を採って狩猟者の安全を図っている。
このような捕獲補助具としては、例えば本願発明者が特許文献1で提案した引掛具がある。この引掛具Bは、特許文献1の図4、及び図5に示しているように、絞り金具8とワイヤ9からなる。絞り金具8は円筒形状の装着管80を有し、装着管80の一端側には一部が切欠されて収容部81が形成されている。
また、装着管80の収容部81が設けてある側の端部にはワイヤ挿通具82が設けてある。ワイヤ挿通具82は中間部を外側へ山形に折り曲げてあり、ワイヤ挿通具82の両端部分には通し孔83、84が形成されている。また、通し孔83、84の間には長孔85が形成されている。
そして、絞り金具8にはワイヤ9が通されている。ワイヤ9は、一端部に形成された結び部90を収容部81に収容して止め、他方側を通し孔83から外部に導出してループ状の括り部91を形成し、更に長孔85から通し孔84を通り、所定の長さに導出されて、その先端部に輪部92が形成されている。
特許第2958684号公報
特許文献1に記載の引掛具Bは、例えば足括り罠で捕獲した狩猟獣の動きを制限して狩猟者の安全を図りながら処分するのにはきわめて有用である。しかしながら、この引掛具Bには、次のような課題があることも分かってきた。
すなわち、引掛具Bでは、上記のように絞り金具8から出たワイヤ9がループを形成し、この部分が括り部91となっている。そして、特許文献1の図4、図5に示す従来の引掛具Bは、作業時の形態では、例えば括り部91のループを大きくすると、ワイヤ9の重さが作用して垂れ下がるので、括り部91が変形してループが全体に細長くなってしまう等、形が崩れてしまう。
このため、狩猟獣にワイヤ9の括り部91を咥えさせたり、或いは狩猟獣の首部に掛けて捕獲しようとする際に、括り部91が顎部に嵌らずに鼻先で弾かれてしまうなど、作業がきわめてやりにくくなり、括り作業に失敗することが多くあった。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、例えば市街地に出没した野生動物や罠に掛かった狩猟獣を捕獲する際に、ワイヤの括り部を所定の大きさに拡張した状態で維持できるようにすると共に、括り部を狩猟獣の顎部や首部に掛けたときには、拡張状態を簡単に解除してワイヤの引き操作による括り作業を手早く行うことができる、ワイヤ括り部拡張具及びそれを備えた動物捕獲用括り具を提供することを目的とする。
〔1〕上記の目的を達成するために本発明は、所要長さの拡張部材と、該拡張部材の両端部に設けられ、括りワイヤの括り部を拡張して掛止可能なワイヤ掛止部と、前記拡張部材から突出して設けてある差し込み部と、を備えるワイヤ括り部拡張具である。
本発明に係るワイヤ括り部拡張具は、ワイヤ括り部拡張具と組み合わせて使用する捕獲補助具の所要箇所に差し込み部を差し込んで簡易的に止めることができる。止められたワイヤ括り部拡張具の拡張部材は、捕獲補助具に通された括りワイヤで形成される括り部の基部に配置されることにより、括り部を拡張することができる。
そして、拡張部材の両端部に設けられ、括りワイヤの括り部を拡張して掛止可能なワイヤ掛止部により、括り部のワイヤの緩みを抑止して、括り部を拡張した状態を維持できる。括り部を拡張した状態では、狩猟獣に括りワイヤのループ状の括り部を咥えさせたり、或いは狩猟獣の首部に掛けたりする際に、作業がきわめてやりやすくなる。
また、ワイヤ括り部拡張具は、差し込み部によって捕獲補助具に簡易的に止めてあり、しかも、括り部は拡張してワイヤ掛止部に掛止されているので、例えば狩猟獣に括り部を咥えさせた後、捕獲補助具を押し込む等、強く動かしたり、狩猟獣が暴れることで、括り部のワイヤが弾けるようにワイヤ掛止部から外れて括り部の拡張状態が解除され、ワイヤ括り部拡張具も差し込み部が抜け外れて捕獲補助具から離脱する。
これにより、括り部は狩猟獣の顎部や首部に掛かった状態で、括り部に繋がる操作部の引き操作が可能になるので、狩猟者は括りワイヤの操作部の引き操作により括り部を絞って括り作業を手早く行うことができる。
〔2〕本発明に係るワイヤ括り部拡張具は、前記差し込み部の先端部を反る方向へ曲げて掛かり部が設けてある構成とすることができる。
この場合は、差し込み部を捕獲補助具の所要箇所に差し込んで簡易的に止めるときに、掛かり部の接触箇所との当たり(接触)がきつくなり、ワイヤ括り部拡張具が止め位置においてよく安定するので、例えばセットするときに括り部のワイヤをワイヤ掛止部に掛ける際の作業がしやすい。
〔3〕本発明に係るワイヤ括り部拡張具は、前記ワイヤ掛止部が、前記拡張部材の両端部から、括りワイヤを通すことができるように長手方向へ切り欠いて設けてある構成とすることができる。
この場合は、ワイヤ掛止部が、拡張部材の両端部から、括りワイヤを通すことができるように長手方向へ切り欠いて設けてあるので、括り部のワイヤをワイヤ掛止部に横から入れるだけで、ワイヤが自身の重さで受け側の形成片に乗って引っ掛かり、必要十分な拡張をすることができる。
〔4〕本発明に係るワイヤ括り部拡張具は、前記ワイヤ掛止部を形成する、前記括り部のワイヤの重量を受ける側の形成片が、前記括り部のワイヤが外れる方向へ所要角度で曲げてある構成とすることができる。
この場合は、ワイヤ掛止部を形成する、括り部のワイヤの重量を受ける側の形成片が、括り部のワイヤが外れる方向へ所要角度で曲げてあるので、ワイヤが多少動いたとしても外れにくくなり、括り部を拡張した状態で維持する効果がより高まる。
〔5〕本発明に係るワイヤ括り部拡張具は、前記拡張部材の一方のワイヤ掛止部から他方のワイヤ掛止部までの長さが調節可能な構成とすることができる。
この場合は、拡張部材の一方のワイヤ掛止部から他方のワイヤ掛止部までの長さが適宜範囲で調節可能なので、括り部のワイヤの大きさや形状を調整できる。
すなわち、拡張部材の長さが比較的短いと、捕獲補助具に通された括りワイヤで形成される括り部の基部に配置したときに、拡張できる長さが短いため、括り部が小さくなり、狩猟獣の顎部括り用として適する。また、拡張部材の長さが比較的長いと、拡張できる長さが長いので、括り部が大きくなり、狩猟獣の首部括り用として適する。
〔6〕上記の目的を達成するために本発明は、棒状で所要長さの遠隔操作具と、該遠隔操作具の先部に離脱可能に取り付けてあり、ワイヤ通し部を有する絞り金具と、前記ワイヤ通し部に所定の経路で通してループ状の括り部の形成が可能で、所要長さに延長された操作部で前記括り部を引き絞る操作が可能な括りワイヤと、所要長さの拡張部材、該拡張部材の両端部に設けられ、前記括りワイヤを拡張して掛止可能なワイヤ掛止部、前記拡張部材から突出して設けてある差し込み部を有するワイヤ括り部拡張具と、を備える動物捕獲用括り具である。
本発明に係る動物捕獲用括り具は、拡張部材の差し込み部を、ワイヤ括り部拡張具と組み合わせて使用する絞り金具の所要箇所に差し込んで簡易的に止めることができる。止められたワイヤ括り部拡張具の拡張部材は、絞り金具に通された括りワイヤで形成される括り部の基部に配置されることにより、括り部を拡張することができる。
そして、拡張部材の両端部に設けられ、括りワイヤを拡張して掛止可能なワイヤ掛止部により、括り部のワイヤの緩みを抑止して、括り部を拡張した状態を維持できる。括り部を拡張した状態では、狩猟獣に括りワイヤのループ状の括り部を咥えさせたり、或いは狩猟獣の首部に掛けたりする際に、作業がきわめてやりやすくなる。
また、ワイヤ括り部拡張具は、差し込み部によって絞り金具に簡易的に止めてあり、しかも、括り部は拡張してワイヤ掛止部に掛止されているので、例えば狩猟獣に括り部を咥えさせた後、遠隔操作具を操作して動物捕獲用括り具を押し込む等、強く動かしたり、狩猟獣が暴れることで、括り部のワイヤが弾けるようにワイヤ掛止部から外れて括り部の拡張状態が解除され、ワイヤ括り部拡張具も差し込み部が抜け外れて絞り金具から離脱する。
これにより、括り部は狩猟獣の顎部や首部に掛かった状態で、括り部に繋がる操作部の引き操作が可能になるので、狩猟者は括りワイヤの操作部の引き操作により括り部を絞って括り作業を手早く行うことができる。
本発明は、市街地に出没した野生動物や罠に掛かった狩猟獣を捕獲する際に、ワイヤの括り部を所定の大きさに拡張した状態で維持できるようにすると共に、括り部を狩猟獣の顎部や首部に掛けたときには、拡張状態を簡単に解除してワイヤの引き操作による括り作業を手早く行うことができる、ワイヤ括り部拡張具及びそれを備えた動物捕獲用括り具を提供することができる。
本発明に係る動物捕獲用括り具の実施の形態を示す斜視説明図である。 図1におけるP部の拡大説明図である。 動物捕獲用括り具を構成する絞り金具の斜視説明図である。 動物捕獲用括り具を構成する本発明に係るワイヤ括り部拡張具の第1の実施の形態を示す分解斜視説明図である。 動物捕獲用括り具の使用状態を示す説明図である。 罠に掛かり、括りワイヤで繋がれた狩猟獣の動きを、動物捕獲用括り具を使用して制限した状態を示す説明図である。 本発明に係るワイヤ括り部拡張具の他の実施の形態を示す斜視説明図である。
図1乃至図7を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
図1に示す動物捕獲用括り具Aは、遠隔操作具1と、絞り金具2と、括りワイヤ3、及びワイヤ括り部拡張具4により構成されている。
動物捕獲用括り具Tは、後で説明するように、狩猟獣5の顎部を括った後、遠隔操作具1とワイヤ括り部拡張具4が絞り金具2から外れて、他の捕獲補助具A、Bと共に、狩猟獣5の動きを制限する捕獲補助具Cとなるものである(図6参照)。
上記遠隔操作具1は、顎部括り等の操作をする際に、狩猟者が捕獲済み(二方から捕獲補助具A、Bで繋がれた状態)の狩猟獣5に対して所定の安全な距離を確保できる長さの金属製の棒体である。遠隔操作具1の素材としては、軽量なアルミニウム等が好ましいが、充分な強度が確保できて操作が容易であれば、特に限定はしない。
遠隔操作具1の先端部には、絞り金具2が離脱可能に取り付けてある。絞り金具2は先側がやや窄まったほぼ円筒形状の装着管20を有し、装着管20の先端部には所要角度で傾斜させて装着管20より径小な短管21が設けられている。装着管20先部の曲がり部分の凸側には、楕円状にやや大きく開口した通し口22が形成されており、その近くには円形の通し孔220が形成されている。
短管21の先端部には、基部で管口を略塞ぐようにしてワイヤ通し具23が設けてある。ワイヤ通し具23は、先部寄りをU字状に折り返して曲げられている。ワイヤ通し具23の基端部には短管21内部に連通した止め孔24が形成され、先端部には通し孔25が形成されており、止め孔24と通し孔25の間には長孔26が形成されている。
また、絞り金具2のワイヤ通し具23の曲がり部の先端と装着管20の間は、後述する差し込み板403を差し込むための差し込口230となっている。
絞り金具2のワイヤ通し具23には括りワイヤ3が通されている。括りワイヤ3は、一端部に形成された結び部30を止め孔24で止め、他方側を止め孔24から外部に導出してループ状の括り部31を形成し、更に長孔26から通し孔25を通り、所定の長さで導出されている。この導出された部分が操作部32となり、その先端部に輪部33が形成されている。
そして、絞り金具2には、ワイヤ括り部拡張具4が簡易的に止められる。この止め方については後述する。
ワイヤ括り部拡張具4は、基部材40と、基部材40の両端部に取り付けられる延長部材41、41と、延長部材41、41を取り付ける蝶ネジ42、42により構成されている。なお、基部材40と、基部材40に取り付けられた各延長部材41、41は、本発明にいう拡張部材を構成する。
基部材40は、所要長さの横板401と、横板401よりやや短く直角に形成された縦板402、及び横板401の長手方向の中央縁部(縦板402とは反対側)に、使用時に下方向となる方向へ所要角度(本実施の形態では約45°であるが適宜設定可能)で斜めに形成された差し込み板403で構成されている。なお、横板401の長手方向の両端寄りには、蝶ネジ42のネジ部(符号省略)を螺合するためのネジ孔404が形成されている。差し込み板403の先端部は、反る方向へ曲げてあり、この部分が掛かり部405となっている。掛かり部405には、通し孔406が設けてある。
また、各延長部材41、41は、それぞれ所要長さの横板411と、横板411と同じ長さで直角に形成された縦板412で構成されている。縦板412の一端部(図4において外端部)には、各縦板412、412の両端部から、括りワイヤを通すことができるように長手方向へ所要長さで切り欠いて奥側を丸めたワイヤ掛止部413が設けてある。
各ワイヤ掛止部413、413を構成する括りワイヤ3の重量を受ける側の各形成片414、414は、図4で斜め奥方向へ所要角度(本実施の形態では約30°であるが適宜設定可能)で曲げられている。この曲げ角度は、捕獲対象である狩猟獣の種類によって適宜調整することができる。
なお、形成片414の曲げ方向は、括りワイヤ3の括り部31が外れる方向であり、括り部31が動いたときの形成片414から外れる位置を外れる方向へ延長してずらすことにより、結果的に外れにくくしている。
また、各延長部材41、41の各横板411、411には、蝶ネジ42のネジ部が通る幅で所要長さの長孔415が長手方向に設けてある。ワイヤ括り部拡張具4の組み立ての際には、各延長部材41、41は、各横板411、411を基部材40の横板401に合わせ、縦板402、412を合わせて重ねる。
更に各ネジ孔404、404と各長孔415、415を合わせて、各蝶ネジ42、42を、ワッシャ(符号省略)を介して各ネジ孔404、404にねじ込み、各延長部材41、41を外端縁間の長さが所定の長さになるように基部材40に固定する。
これにより、ワイヤ括り部拡張具4の拡張部材の長さ、すなわち一方の延長部材41のワイヤ掛止部413から他方の延長部材41のワイヤ掛止部413までの長さが適宜範囲で調節可能である。なお、本実施の形態では、ワイヤ括り部拡張具4の長さは、最長で約120mm、最短で約70mmである。
なお、本実施の形態では、両延長部材41にのみワイヤ掛止部413、及び形成片414が設けられているが、例えば一方、又は両方の延長部材41を紛失したり破損したりした場合の対策として、あらかじめ基材41の縦板402の長手方向の一端部、或いは両端部にワイヤ掛止部413、及び形成片414を設けておいてもよい。
これによれば、延長部材41の一方又は両方を紛失したり破損したりしても、縦板402の一方又は両方のワイヤ掛止部413、及び形成片414を使用して括り部31を拡張することができる。また、延長部材41が新しいものに交換できるのは言うまでもない。
なお、上記したように、絞り金具2のワイヤ通し具23の先端と装着管20の間の部分は差し込口230となっており、ワイヤ括り部拡張具4は、差し込み板403を差し込み口230に差し込んで止められる。なお、差し込み板403の掛かり部405は、差し込み口230に差し込んで止めるときに、接触箇所との当たりがきつくなるので、ワイヤ括り部拡張具4が止め位置においてよく安定する。
また、絞り金具2とワイヤ括り部拡張具4は、ワイヤ括り部拡張具4の紛失防止のために所要長さの接続ワイヤ27で接続されている。接続ワイヤ27の一端部は、絞り金具2の上記通し口22と通し孔220に繋がれ(図2参照)、他端部は、ワイヤ括り部拡張具4の差し込み板403の通し孔406に繋がれている。
(作用)
図1乃至図6、主に図5、図6を参照して動物捕獲用括り具Tの使用方法、及び作用を説明する。なお、本実施の形態では、主に罠に掛かった狩猟獣5の捕獲作業を例に採り説明するが、市街地に出没した野生動物を捕獲する場合の使用にも一部言及する。
まず、動物捕獲用括り具Tを使用するときは、狩猟獣5は、二本の捕獲補助具A、Bで繋がれている状況である。詳しくは、括り罠(図示省略)のワイヤを備えて成る捕獲補助具Aで、右足が立木W1に繋がれており、足掛け具のワイヤを備えて成る捕獲補助具Bで、右足が立木W2に繋がれている(図6参照)。
これにより、狩猟獣5の動きは略制限されてはいるが、充分とはいえず、このまま狩猟者が近付いて処分することは難しく危険である。このような場合に、本発明に係る動物捕獲用括り具Tを使用し、狩猟獣5の頭部の動きを制限するために、捕獲補助具Cを狩猟獣5の顎部や首部に掛ける作業を行う。
(1)動物捕獲用括り具Tは、図1、図2に示すように、ワイヤ括り部拡張具4を使用し、括りワイヤ3の先部に設けたループ状の部分を拡張して、所定の大きさで略円形状の括り部31を形成している。括りワイヤ31のこの形状は、括り部31の基部寄りがワイヤ括り部拡張具4の二箇所のワイヤ掛止部413に掛止することにより、括り部31の弾性力とワイヤ掛止部413との摩擦力が作用して、括り部31のワイヤの緩みを抑止して維持される。
(2)狩猟者が、動物捕獲用括り具Tを持ち、二本の捕獲補助具A、Bで立木W1、W2に繋がれている狩猟獣5に近付き、遠隔操作具1の長さを利用して安全を図りながら、先端の括り部31を狩猟獣5の顔へ向け、矢印方向へ近付ける。このとき、括りワイヤ3の括り部31は、歪んで変形するクセが多少あったとしても、ワイヤ括り部拡張具4の作用で緩まないので円形の形も崩れない。
繋がれて興奮している狩猟獣5は、その習性で反射的に括り部31に噛み付くので、括り部31を咥えた状態になる(図5左図参照)。なお、図示はしないが、例えば狩猟獣が雄のイノシシの場合では、牙の奥側に括り部31が掛かり、上顎と下顎を同時に括ることもある。
(3)狩猟者はこのタイミングで、遠隔操作具1を操作して絞り金具2を狩猟獣5の顔方向へ強く押し込む。これにより、括りワイヤ3の括り部31は引っ張られて緊張し、ワイヤ括り部拡張具4の各ワイヤ掛止部413から外れ、ワイヤ括り部拡張具4もワイヤ通し具23の差し込み口230から離脱する。
ワイヤ括り部拡張具4は、離脱前の、差し込み板403を差し込み口230に差し込んだ状態では、上記したように差し込み板403の掛かり部405は、括り部31の弾力や重量によって接触箇所との当たりがきつくなって引っ掛かり、ワイヤ括り部拡張具4が止め位置においてよく安定している。
そして、上記のように遠隔操作具1を操作するか、或いは狩猟獣5が暴れることによっても、差し込み板403がワイヤ通し具23の差し込み口230から外れてワイヤ括り部拡張具4は離脱する。なお、ワイヤ括り部拡張具4は、接続ワイヤ27で絞り金具2と繋がっているので紛失しにくい(図5左図参照)。
(4)そして、ワイヤ括り部拡張具4が離脱するのと同時に、狩猟者は遠隔操作具1を突っ張りながら、括りワイヤ3の操作部32を強く引っ張る。この引き操作によって、括り部31は強く絞られて、絞り金具2は狩猟獣5の上顎の上面に密着し、上顎(鼻部)を括ることができる。上顎を括った後は、狩猟者は遠隔操作具1を絞り金具2の装着管20から抜き取り、この括りワイヤ3と絞り金具2から成る形態(ワイヤ括り部拡張具4も繋がっている)が捕獲補助具Cとなる(図6参照)。
(5)狩猟獣5を直ぐに処分しない場合は、図6に示すように、捕獲補助具Cを適宜延長する等して立木W3に繋ぎ、狩猟獣5を、その動きを制限した状態で拘束しておく。狩猟獣5を直ぐに処分する場合は、狩猟者は、狩猟獣5に繋がった括りワイヤ3を引っ張りながら、狩猟獣5の後足に引っ掛ける等して地面に倒し、ナイフ等で致命傷を与えて処分する。
また、近年では、狩猟者がより安全に狩猟獣の処分ができる電気式屠殺器で処分することも多くなってきた。特に、狩猟獣5を箱罠で捕獲した場合には、檻の中にいる狩猟獣を檻の外から屠殺器を差し入れて処分することができる。更に、上記(2)、(3)の操作で上顎を括ることができずに首部を括ることになった場合も、略同様の操作で処分をすることができる。
なお、例えば箱罠で捕獲した狩猟獣、或いは市街地に出没した野生動物を捕獲する場合では、動き回る狩猟獣や動物の足元の地面に、括りワイヤ3の円形となった括り部31を置いて、例えば後足が括り部31に入ったときに括りワイヤ3の操作部32を引っ張って括り部31を絞る、というような使い方も可能である。
このように、動物捕獲用括り具Tは、罠猟において、狩猟獣5にワイヤのループ状の括り部31を咥えさせたり、或いは狩猟獣5の首部に掛けようとする際に、括り部31を所定の大きさに拡張した状態で維持できるようにすると共に、括り部31を狩猟獣5の顎部や首部に掛けたときには、括り部31の拡張状態を簡単に解除して括りワイヤ3の引き操作による括り作業を手早く行うことができる。
次に、図7を参照してワイヤ括り部拡張具の他の実施の形態を説明する。
図7(a)に示すワイヤ括り部拡張具4aは、動物捕獲用括り具Tにおいて、比較的小さな括り部31(主に狩猟獣5の顎部括り用)をつくる場合に使用され、本実施の形態では長さは約70mmであるが、適宜調整は可能である。
ワイヤ括り部拡張具4aは、所要長さの横板431と、横板431に対し直角に形成された縦板432、及び横板431の長手方向の中央縁部(縦板432とは反対側)に、使用時に下方向となる方向へ所要角度で斜めに形成された差し込み板433で構成されている。差し込み板433の先端部は、反る方向へ曲げてあり、この部分が掛かり部(符号省略)となっている。掛かり部には、通し孔(符号省略)が設けてある。
縦板432の長さ方向両端部には、両端縁から、括りワイヤを通すことができるように長手方向へ所要長さで切り欠いて奥側を丸めたワイヤ掛止部434が設けてある。各ワイヤ掛止部434を構成する括りワイヤ3の重量を受ける側の各形成片435は、図7で斜め奥方向へ所要角度で曲げられている。
また、図7(b)に示すワイヤ括り部拡張具4bは、動物捕獲用括り具Tにおいて、比較的大きな括り部31(主に狩猟獣5の首部括り用)をつくる場合に使用され、本実施の形態では長さは約120mmであるが、適宜調整は可能である。
ワイヤ括り部拡張具4bは、所要長さの横板441と、横板441に対し直角に形成された縦板442、及び横板441の長手方向の中央縁部(縦板442とは反対側)に、使用時に下方向となる方向へ所要角度で斜めに形成された差し込み板443で構成されている。差し込み板443の先端部は、反る方向へ曲げてあり、この部分が掛かり部(符号省略)となっている。掛かり部には、通し孔(符号省略)が設けてある。
縦板442の長手方向の両端部には、両端縁から、括りワイヤを通すことができるように長手方向へ所要長さで切り欠いて奥側を丸めたワイヤ掛止部444が設けてある。各ワイヤ掛止部444を構成する括りワイヤ3の重量を受ける側の各形成片445は、図7で斜め奥方向へ所要角度で曲げられている。
なお、ワイヤ括り部拡張具4aとワイヤ括り部拡張具4bは、狩猟獣の種類や天候等に対応して使い分ければ、長さの調整作業が必要でない分、作業が簡単である。
また、ワイヤ括り部拡張具4aとワイヤ括り部拡張具4bの作用については、上記ワイヤ括り部拡張具4が伸縮可能な点を除き、ワイヤ括り部拡張具4と実質的に同様であるので、ここでは上記ワイヤ括り部拡張具4の作用の説明の同等箇所を援用して、説明を省略する。
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
T 動物捕獲用括り具
1 遠隔操作具
2 絞り金具
20 装着管
21 短管
22 通し口
220 通し孔
23 ワイヤ通し具
230 差し込み口
24 止め孔
25 通し孔
26 長孔
27 接続ワイヤ
3 括りワイヤ
30 結び部
31 括り部
32 操作部
33 輪部
4 ワイヤ括り部拡張具
40 基部材
41 延長部材
411 横板
412 縦板
413 ワイヤ掛止部
414 形成片
415 長孔
42 蝶ネジ
401 横板
402 縦板
403 差し込み板
404 ネジ孔
405 掛かり部
406 通し孔
A、B、C 捕獲補助具
W1、W2、W3 立木
5 狩猟獣

Claims (6)

  1. 所要長さの拡張部材と、
    該拡張部材の両端部に設けられ、括りワイヤの括り部を拡張して掛止可能なワイヤ掛止部と、
    前記拡張部材から突出して設けてある差し込み部と、を備える
    ワイヤ括り部拡張具。
  2. 前記差し込み部の先端部を反る方向へ曲げて掛かり部が設けてある
    請求項1記載のワイヤ括り部拡張具。
  3. 前記ワイヤ掛止部が、前記拡張部材の両端部から、括りワイヤを通すことができるように長手方向へ切り欠いて設けてある
    請求項1又は2記載のワイヤ括り部拡張具。
  4. 前記ワイヤ掛止部を形成する、前記括り部のワイヤの重量を受ける側の形成片が、前記括り部のワイヤが外れる方向へ所要角度で曲げてある
    請求項1、2又は3記載のワイヤ括り部拡張具。
  5. 前記拡張部材の一方のワイヤ掛止部から他方のワイヤ掛止部までの長さが調節可能である
    請求項1、2、3又は4記載のワイヤ括り部拡張具。
  6. 棒状で所要長さの遠隔操作具と、
    該遠隔操作具の先部に離脱可能に取り付けてあり、ワイヤ通し部を有する絞り金具と、
    前記ワイヤ通し部に所定の経路で通してループ状の括り部の形成が可能で、所要長さに延長された操作部で前記括り部を引き絞る操作が可能な括りワイヤと、
    所要長さの拡張部材、該拡張部材の両端部に設けられ、前記括りワイヤを拡張して掛止可能なワイヤ掛止部、前記拡張部材から突出して設けてある差し込み部を有するワイヤ括り部拡張具と、を備える
    動物捕獲用括り具。
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