JP2022149013A - 回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法 - Google Patents

回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法 Download PDF

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慎一 伊藤
Shinichi Ito
辰郎 日野
Tatsuo Hino
俊介 山本
Shunsuke Yamamoto
達生 川島
Tatsuo Kawashima
和哉 長谷川
Kazuya Hasegawa
康平 江頭
Kohei Egashira
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Abstract

【課題】製造コストを削減でき、組立性が良く、さらに、高品質、高効率、高出力な回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を提供する。【解決手段】電機子巻線3は、1本の導線を重ね巻きした複数の単位コイル33を備え、単位コイル33は、スロットS内の径方向の外側に挿通される第1直線部34と、第1直線部34が挿通させるスロットSとは異なるスロットS内の径方向の内側に挿通される第2直線部35と、第1直線部34と第2直線部35とを電機子20の結線側および非結線側で接続するコイルエンド部37とを備え、同じスロットSに挿通される2つの単位コイル33の第1直線部34と第2直線部35とは、径方向に並んで配置され、第1直線部34の径方向の外側面に、絶縁部材としての第2絶縁部材42を更に備える。【選択図】図6

Description

本願は、回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法に関するものである。
例えば特許文献1には、分割鉄心のスロットを形成する一方のティースの側面に沿って設けられる第1絶縁部材と、スロットを形成する他方のティースの側面、スロットの底部、および1方のティースの側面に沿って設けられ、第1絶縁部材と周方向に重なっている第2絶縁部材を有する回転電機の電機子構造について記載されている。
同文献では、第1絶縁部材と第2絶縁部材とが固着された分割鉄心を互いに離間して、円環状に等角ピッチで配列して、同時に、径方向内方に移動させて、隣り合うコアバックの周方向側面同士を突き合わせて電機子を製造している。
特開2019-92340号公報
例えば特許文献1に記載された回転電機の電機子においては、第2絶縁部材の第1絶縁部材と周方向で重なる部位の長さを、分割鉄心を離間させて配置した際の隙間より長くする必要がある。このため、第2絶縁部材が、本来絶縁のために必要とする長さよりも長くなるため、絶縁部材の材料費が増加し、電機子の製造コストが増加するという課題があった。また、第2絶縁部材の一部がコアに固定されていない状態となるため、電機子鉄心を組立てる際に、第2絶縁部材が折れ曲がる、はがれる、コイルとティースの間に噛み込まれる等の不具合を生じる恐れがあり、組立性が悪いという課題があった。
また、スロットの断面積に占める絶縁部材の断面積が増え、電機子の占積率が低下するため、回転電機の効率、出力が下がるという課題があった。さらに、絶縁部材が重なることで、熱抵抗が増え、電機子巻線から鉄心への放熱を阻害するため、コイルが高温になり、回転電機の品質が低下する、効率、出力が下がるという課題があった。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、製造コストを削減でき、組立性が良く、さらに、高品質、高効率、高出力な回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を提供することを目的とする。
本願に開示される回転電機の電機子は、
円環状のコアバック部と、前記コアバック部の内周面から径方向の内側に突出する複数のティース部とを有する電機子鉄心と、
前記電機子鉄心に装着された分布巻の電機子巻線と、
前記電機子巻線と、前記コアバック部の内周面および隣り合う前記ティース部の周方向側面間に形成されるスロットの内壁面とを電気的に隔離する絶縁部材としての第1絶縁部材と、を備える回転電機の電機子であって、
前記電機子巻線は、1本の導線を重ね巻きした複数の単位コイルを備え、
前記単位コイルは、前記スロット内の径方向の外側に挿通される第1直線部と、
前記第1直線部が挿通させるスロットとは異なるスロット内の径方向の内側に挿通される第2直線部と、
前記第1直線部と前記第2直線部とを前記電機子の結線側および非結線側で接続するコイルエンド部とを備え、
同じ前記スロットに挿通される2つの前記単位コイルの前記第1直線部と前記第2直線部とは、径方向に並んで配置され、
前記第1直線部の径方向の外側面に、前記絶縁部材としての第2絶縁部材を更に備えるものである。
また、本願に開示される回転電機は、
前記電機子と、
前記電機子の内周面に対向して回転可能に支持された回転子とを備えるものである。
また、本願に開示される回転電機の電機子の製造方法は、
前記単位コイルの前記第1直線部と前記第2直線部を収容する第1溝と第2溝とを備える貼付ガイドに前記単位コイルを固定する単位コイル固定工程と、
前記貼付ガイドに保持された状態における前記第1直線部と前記第2直線部の上面、または、前記第2絶縁部材下面と、前記第1直線部と前記第2直線部との間に設けられた前記絶縁部材としての第3絶縁部材の下面に接着剤を塗布、または、両面テープを貼って剥離紙を剥がす接着部材施工工程と、
前記第2絶縁部材と前記第3絶縁部材とを押圧治具に配置する絶縁部材準備工程と、
前記押圧治具によって前記第1直線部に前記第2絶縁部材を、前記第2直線部に前記第3絶縁部材を押圧して貼り付ける貼付工程とを備えるものである。
また、本願に開示される回転電機の製造方法は、
前記電機子の内周面に対向して回転可能に回転子を支持するものである。
本願に開示される回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法によれば、製造コストを削減でき、組立性が良く、さらに、高品質、高効率、高出力な回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を提供できる。
実施の形態1による回転電機の断面図である。 実施の形態1による回転子の斜視図である。 実施の形態1による電機子の斜視図である。 実施の形態1による絶縁部材を貼り付けた分割コアの斜視図である。 実施の形態1による絶縁部材を貼り付けた分割コアの上面図である。 実施の形態1による電機子の要部拡大図であり、図3、破線Aで囲んだ部分の拡大図である。 実施の形態1による単位コイルの斜視図である。 図7AのB-B断面図である。 実施の形態1による全節巻の電機子巻線を構成する単位コイルのスロット内での配置を示す模式図である。 実施の形態1による短節巻の電機子巻線を構成する単位コイルのスロット内での配置を示す模式図である。 実施の形態1による電機子巻線の結線図(Y結線)の一例である。 実施の形態1による電機子の要部断面図である。 実施の形態1による絶縁部材の他の例を示す、電機子の要部斜視図である。 実施の形態1による電機子の要部断面図であり、絶縁部材の他の構成例を示す図である。 実施の形態1による電機子の要部斜視図であり、絶縁部材の他の構成例を示す図である。 実施の形態1による絶縁部材の貼付工程を示すフロー図である。 実施の形態1による貼付ガイドと、絶縁部材を貼り付け前の単位コイルを示す斜視図である。 実施の形態1による貼付ガイドに、単位コイルを装着した状態を示す斜視図である。 図15の破線Cで示す領域の図であり、接着剤の塗布例を示す図である。 図15の破線Cで示す領域の図であり、接着剤の他の塗布例を示す図である。 図15の破線Cで示す領域の図であり、両面テープ貼付位置を示す図である。 押圧治具を用いた絶縁部材の保持状体を示す断面図である。 実施の形態1による絶縁部材に接着剤等を塗布する例を示す図である。 実施の形態1による絶縁部材の貼付工程を示すフロー図である。 実施の形態1による貼付ガイドを傾けて絶縁部材を貼り付ける方法を示す図である。 実施の形態1による電機子巻線用のコイル籠を示す斜視図である。 実施の形態1による複数の分割コアをコイル籠の周囲に配置した状態を示す斜視図である。 実施の形態1によるコイル籠に分割コアのティース部を挿入した状態を示す斜視図である。 実施の形態2による貼付ガイドと、絶縁部材を貼り付ける前の単位コイルを示す斜視図である。 実施の形態2による単位コイルを把持した状態を示す図である。 実施の形態2による絶縁部材を準備する状態を示す図である。 実施の形態2、3による絶縁部材の貼付工程を示すフロー図である。 実施の形態3による貼り付けガイドと、押圧治具と絶縁部材を貼り付け前の複数の単位コイルを示す斜視模式図である。 実施の形態3による絶縁部材をセットした状態の貼付ガイドの断面図である。 実施の形態3による、複数の単位コイルの直線部を貼付ガイドに挿入した状態を示す断面図である。 図29Aの破線Eで囲んだ部分の拡大図である。 実施の形態3による押圧治具の側面模式図である。 実施の形態3による絶縁部材を貼付中の押圧治具の状態を示す断面模式図である。 実施の形態4による電機子の斜視図である。 実施の形態4による内側コアの平面図である。 図33の破線Fで囲んだ部分の拡大図であり、内側コアに絶縁部材を組み付けた図である。 実施の形態4によるスロットに収納されている直線部の配置を示す図である。
実施の形態1.
以下、実施の形態1による回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を、図を用いて説明する。
本明細書において、特に断り無く「軸方向」、「周方向」、「径方向」、「内周側」、「外周側」、「内周面」、「外周面」、というときは、それぞれ、回転電機の電機子の「軸方向」、「周方向」、「径方向」、「内周側」、「外周側」、「内周面」、「外周面」をいうものとする。
また、この明細書で、特に断り無く電機子の「上」、「下」に言及するときは、基準となる場所において、軸方向に垂直な面を想定し、その面を境界として電機子の中心点が含まれる側を「下」、その反対を「上」とする。また、高さの高低を比較する場合は、電機子の中心からの距離が長い方を「高い」とする。
図1は、回転電機100の断面図である。
回転電機100は、有底円筒状のフレーム81およびフレーム81の開口部を塞口するブラケット82からなるハウジング8と、フレーム81の円筒部81a内部に収納され、ボルト84によりブラケット82に締結された電機子20と、フレーム81の底部81bおよびブラケット82の軸心位置に保持されるベアリング83を介して、電機子20の内周面に対向して回転可能に支持された回転子7とを備える。
図2は、回転子7の斜視図である。
次に、回転子7の構成について説明する。
回転子7は、軸心位置に挿通された回転軸71に固着された回転子鉄心72と、回転子鉄心72の外周面側に、それぞれ予め設定されたピッチで配列して埋設され、磁極を構成する複数の永久磁石73とを備える永久磁石式回転子である。
なお、回転子7は、永久磁石型回転子に限定されず、絶縁しない回転子導体を、回転子鉄心のスロットに収納して、両側を短絡環で短絡したかご形回転子、又は、絶縁した導体線を回転子鉄心のスロットに装着した巻線形回転子を用いてもよい。
図3は、電機子20の斜視図である。
次に、電機子20の構成について説明する。
図3に示すように、電機子20は、電機子鉄心2と、電機子鉄心2に装着された電機子巻線3と、電機子巻線3と電機子鉄心2とを電気的に隔離する後述する絶縁部材41(第1絶縁部材)及び絶縁部材42(第2絶縁部材)とを備える。
電機子鉄心2は、円環状の外側コア21と、外側コア21の内周側に収納された内側コア22とを備える。外側コア21には、ボルト84が貫通する取付穴21Hが、軸方向Zに形成されている。
ここで、説明の便宜上、回転電機100の極数を8極、電機子鉄心2のスロット数を48個、電機子巻線3を三相巻線とする。すなわち、スロットは、毎極毎相当たり2個の割合で電機子鉄心2に形成されている。なお、上記極数等は、これに限定されるものでなく、設計要件により、任意に変更可能である。
図4は、絶縁部材41を貼り付けた分割コア25の斜視図である。
図5は、絶縁部材41を貼り付けた分割コア25の上面図である。
図6は、電機子20の要部拡大図であり、図3、破線Aで囲んだ部分の拡大図である。
内側コア22は、48個の分割コア25を円環状に配列して構成している。
図5に示すように、分割コア25は、円弧状のコアバック部25aと、コアバック部25aの内周面の周方向Yの中央部から径方向Xの内側に突出するティース部25bと、ティース部25bの先端から周方向Yの両側に突出するシュー部25cとからなる上面がT字状に構成されている。すなわち、分割コア25は、ティース部25b毎に内側コア22のコアバック部が、周方向Yに分割されていることになる。
分割コア25にシュー部25cを形成すると、回転子7と電機子20の間の磁気抵抗が低下するため、回転子7の鉄損を低減することができる。図4に示すように分割コア25は、例えば、電磁鋼板の帯状体である厚み0.1~1mm程度のフープ材からプレスで打ち抜かれたT字状のコア片25Sを、予め設定された枚数分積層して作製される。内側コア22は、隣り合う分割コア25のコアバック部25aの周方向Yの側面同士を突き合わせて仮保持され、外側コア21内に、圧入、焼き嵌めなどにより収納、保持される。
このように、内側コア22を周方向Yに分割された複数の分割コア25によって構成することで、電機子鉄心2を製造するために必要な金型のサイズを小型化することができるため、金型費用を低減できる。また、分割コア25のサイズを小型化でき、重量を軽量化できるため、製品の搬送、取り扱いが容易になる。これにより、生産性にすぐれ、低コスト化を可能にする電機子20および回転電機100を得ることができる。
外側コア21は、予め設定された枚数の電磁鋼板を積層して作製されるか、もしくは一体物として筒状に作製してもよい。外側コア21は、少なくとも内側コア22を固定保持できればよく、磁性材料に限定されず、アルミニウムなどの非磁性材料を用いて作製してもよい。
図6に示すように、分割コア25のコアバック部25aの径方向内側面と、周方向に隣り合うティース部25bとに囲まれた領域が、スロットSである。詳細を後述する絶縁部材41が、スロットS内に収納される電機子巻線3と内側コア22とを、すなわち電機子巻線3と電機子鉄心2とを電気的に絶縁している。
図7Aは、単位コイル33の斜視図である。
図7Bは、図7AのB-B断面図である。
電機子巻線3は、48個の単位コイル33の端末部37a、37b(総称して端末部37という)を溶接で接続することにより構成されている。図7Bに示すように、単位コイル33は、銅、アルミニウムなどからなる導体部31と、導体部31の表面を被覆する、例えばエナメル樹脂等の絶縁被膜32とからなり、接続部のない連続した1本の導線を重ね巻き成形して構成されている。
単位コイル33は、同じスロットS内に挿通して配置される直線部34a、34b(総称して直線部34(第1直線部)という)と、直線部34とは異なるスロットS内に挿通して配置される直線部35a、35b(総称して直線部35(第2直線部)という)と、スロットSの外側で直線部34と直線部35を連結するコイルエンド部36a、36b、36c(総称してコイルエンド部36という)と、他の単位コイル33と電機子鉄心2の軸方向Zの一端側で接続する端末部37a、37bとで構成される。そして、単位コイル33は、端末部37a、直線部34a、コイルエンド部36a、直線部35a、コイルエンド部36b、直線部34b、コイルエンド部36c直線部35b、端末部37bと順に1本の導体が繋がっている。
電機子巻線3は、単位コイル33をスロットSに挿通配置し、複数本の単位コイル33の端末部37を溶接して繋ぐことで、電機子鉄心2に巻回される。端末部37は、溶接される部分同士を近接させるため、曲げ成形されて狙いの位置に配置される。
図8Aは、全節巻の電機子巻線3を構成する単位コイル33のスロットS内での配置を示す模式図である。
図8Bは、短節巻の電機子巻線を構成する単位コイル33のスロットS内での配置を示す模式図である。各図は、説明の都合上、内側コア22を構成する各分割コア25を直線状に並べた状態として描いている。
次に、各単位コイル33のスロットS内での配置について説明する。以下、3相巻線の各相をU相、V相、W相として説明する。各図では、スロットSの周方向Yの並び順に1~13の番号を付けており、図8A、8Bの上からスロットS1~スロットS13・・とする。
また、スロットS内の外周側に、径方向Xに並べて挿通される2本の直線部34a、34bの径方向Xの位置を、直線部34bが挿通される内側を第3層、直線部34aが挿通される外側を第4層と定義し、さらにその内側に挿通される、他の単位コイル33の直線部35の径方向X位置を、直線部35aが挿通される内側を第1層、直線部35bが挿通される外側を第2層と定義する。ここでは、全節巻と短節巻それぞれについて説明する。
全節巻とは、電機子巻線3のコイルピッチと磁極のピッチとを等しくした巻線方法であり、本例の場合、スロットSの総数が48個、磁極数が8極なので、磁極ピッチとコイルピッチがそれぞれ6になる。すなわち、単位コイル33を、スロットSを6個跨いで配置する。これに対して、短節巻とは、コイルピッチを磁極のピッチより短くした巻線方法であり、本例の場合、コイルピッチを5にしている。すなわち、単位コイル33を、スロット5個跨いで配置している。
次に、全節巻の場合の各単位コイル33の配置について説明する。
図8Aに示すように、1つの単位コイル33の直線部34aを、スロットS7の第4層に、第3層に直線部34bを挿入する。そして、同じ単位コイルの直線部35bをスロットS13の第2層に、直線部35aを第1層に挿通する。このとき、端末部37aは、スロットS7の第4層から軸方向Zの上方に立ち上がり、端末部37bは、スロットS13の第2層から軸方向Zの上方に立ち上がる。端末部37a、37bが立ち上がる軸方向Zの一端側が、端末部同士を結線する結線側とし、その軸方向Zの反対側を反結線側とする。
このとき、コイルエンド部36aは、反結線側で直線部34aと直線部35aに繋がり、コイルエンド部36bは、結線側で直線部35aと直線部34bに繋がり、コイルエンド部36cは、反結線側で直線部34bと直線部35bに繋がっている。また、それぞれのコイルエンド部36a~36cは、ティース部25bを6個跨いでいる。
同様に、スロットS8とスロットS14、スロットS9とスロットS15・・スロットS42とスロットS48・・スロットS1とスロットS7・・スロットS6とスロットS12まで合計48個の単位コイル33がスロットSに挿入配置されている。
結線側に突出している端末部37aと、他の単位コイル33の端末部37bとは、溶接などの接合手段により、他の単位コイル33の端末部、中性点、又は、給電部に接続される。図8Aに示すように、全節巻の場合、同一スロットS内に、U、V、W相のいずれか1相を構成する単位コイル33の直線部34a、34b、35a、35bのみが挿通される。
次に、短節巻の場合の各単位コイル33の配置について説明する。
図8Bに示すように、1つの単位コイル33の直線部34aを、スロットS7の第4層に、第3層に直線部34bを挿入する。そして、同じ単位コイルの直線部35bをスロットS12の第2層に、直線部35aを第1層に挿通する。このとき、端末部37aは、スロットS7の第4層から軸方向Zの上方に立ち上がり、端末部37bは、スロットS12の第2層から軸方向Zの上方に立ち上がる。
このとき、コイルエンド部36aは、反結線側で直線部34aと直線部35aに繋がり、コイルエンド部36bは、結線側で直線部35aと直線部34bに繋がり、コイルエンド部36cは、反結線側で直線部34bと直線部35bに繋がっている。また、それぞれのコイルエンド部36a~36cは、ティース部25bを5個跨いでいる。
同様に、スロットS8とスロットS13、スロットS9とスロットS14・・スロットS43とスロットS48・・スロットS1とスロットS6・・スロットS6とスロットS11まで合計48個の単位コイル33がスロットSに挿入配置されている。結線側に突出している端末部37a、37bの接続については、全節巻と同じである。
図8Bに示すように、短節巻構造の場合、同一スロットS内に、U、V、W相のうち2相が混在して収容される。ただし、第3相と4相に配置されるコイルの相を、例えば、U→U→V→V→W→W・・のように、同一相を連続して並べると、短節巻であっても、48個のスロットSのうち、半分の24個のスロットSは、U、V、W相のいずれか1相のみが挿通される。
単位コイル33を用いて電機子巻線3を構成すると、単位コイル33の形状が単純化されるため、設備構造が単純化でき、単位コイル33を安価に製造することが可能となる。また、重ね巻きの単位コイル33の直線部34a、34b、35a、35bの長さ、および、巻き数を容易に変更できるため、設計の自由度が増し。設備構成の変更を最小限に押さえつつ、多種多様な性能をもつ電機子鉄心を製造することができる。
これにより、低コスト化を可能にする回転電機の電機子を得ることができる。また、短節巻を採用することで、全節巻に比べて使用するコイルの量を減らすことができるため、材料費を低減できる。また、電機子の銅損が減り、かつ、コイルエンドの高さを低くすることができる。これにより、小型で軽量、かつ、高効率、高出力、低コスト化を可能にする回転電機の電機子および回転電機を得ることができる。
図9は、電機子巻線3の結線図(Y結線)の一例である。
U1~U16は3相交流のU相を構成する単位コイル33を示す。インバータ装置90と接続される端末部37が給電部になり、端末部37を接合して連結した単位コイル33を介して、中性点Nに接続される。
V1~V16はV相を、W1~W16はW相を構成する単位コイル33をそれぞれ示し、U相と同様に給電部および中性点Nを接合することで、三相巻線を構成する。なお、図9では、3相結線を一つ形成する1重3相系について示しているが、例えばY結線を二つ形成する2重3相系であっても問題はない。また、図9では、1相につき単位コイル33を16個直列に並べているが、例えば、複数個の単位コイル33を直列に並べ、直列に並べたコイル群をさらに並列に並べるような配置であってもよい。さらに、結線はY結線に限られるものではなく、Δ結線であってもよい。
続いて、図4、図6、図10を用いて本実施の形態1の電機子鉄心2と電機子巻線3の絶縁構造について説明する。
図10は、電機子20の要部断面図である。
電機子鉄心2と電機子巻線3とは、スロットSの内側で最も近接する。そこで、スロットSの内壁面を覆うように図4に示す絶縁部材41を配置する。
絶縁部材41は、例えば、ポリイミド(PolyImide:PI)、ポリエチレンテレフタラート(Poly Ethylene Terephthalate:PET)、ポリフェニレンサルファイド(Poly Phenylene Sulfide:PPS)などの電気絶縁性に優れ、かつ熱伝導性に優れるシート状態の材料が望ましい。
電気絶縁性に優れた材料を用いることで、絶縁部材41の厚みを薄くすることができるので、スロットS内の単位コイル33装着のためのスペースを拡大できる。
これにより、スロットS内における電機子巻線3の断面積を増加でき、回転電機100を高効率化する効果がある。また、熱伝導性に優れた材料を用いることで、単位コイル33から分割コア25への放熱性が向上するため、回転電機100を高出力化する効果がある。
絶縁部材41の厚みは、一般的に0.1~0.3mm程度のものが用いられるが、電機子20に求められる絶縁仕様により任意の厚みとすることができる。なお、絶縁部材41をシートでなく、例えば射出成形で分割コア25のスロットSの内壁面に直接形成してもよい。
絶縁部材41は、図4、図6に示すように、軸方向Zの長さが、ティース部25bの軸方向Zの長さよりも長く、径方向Xの幅が、ティース部25bの周方向Yを向く側面の径方向Xの幅よりも広い矩形のシート材の幅方向の両縁を周方向Yの同じ方向に折り曲げて、軸方向Zに垂直な断面がコ字状に作製されている。すなわち、1枚の絶縁部材41が、コアバック部25aの一方の内周面と、ティース部25bの一方の側面と、一方のシュー部25cの外周面とを連続して覆うように配置されている。コアバック部25aの内周面を覆う部分がコアバック部被覆部41aであり、ティース部25bの周方向Yの一方の側面を覆う部分が、ティース部被覆部41bであり、シュー部25cの外周面を覆う部分が、シュー部被覆部41cである。
絶縁部材41と分割コア25とは、両面テープ、または、接着剤により固着される。両面テープを使用することによって、部品同士をわずかな時間で密着させることができるため、貼り付け時間を短縮させることができる。また、接着剤を使用すると、簡易な設備構成で接着剤を塗布することが可能であるため、低コストで両部材の密着強度を高くすることができる。
図6、図10に示すように、コアバック部被覆部41aの周方向Yの長さは、ティース部25bの付け根部25btから、コアバック部25aの周方向側面までの長さよりも短く形成し、さらに、図10に示すように、コアバック部25aの内周面と対向する、スロットSの第4層に挿通された直線部34aの径方向Xの外側面に、周方向Yの幅が直線部34の周方向Yの幅よりも小さい矩形形状の絶縁部材42を貼り付けている。この際、コアバック部被覆部41aと絶縁部材42とを径方向Xに重ねている。
仮にコアバック部被覆部41aを周方向Yに隣り合う分割コア25間に噛み込むと、内側コア22の外径が大きくなるため、圧入、焼き嵌めなどにより外側コア21内に収納、保持できなくなる。もしくは、保持後に局所的な荷重の偏りが発生し、破損するなどの不具合を生じる。さらに、内側コア22の真円度が悪化するため、回転電機の振動、騒音が大きくなる。
また、絶縁部材42の周方向Yの幅が直線部34の周方向Yの幅よりも大きくなると、組立時に絶縁部材41と絶縁部材42とが干渉して剥がれる、または、上記と同様、破損、振動、騒音の上昇といった不具合を生じる。
一方、上述の構成であれば、分割コア25のコアバック部25aの側面同士を突き合わせる際に、コアバック部被覆部41aの分割コア25間への噛み込みをなくすことができ、上記のような不具合は発生しない。
また、絶縁部材41と絶縁部材42とが径方向Xに重なる部分を、ティース部25bの根元のわずかな範囲に抑えつつ、スロットSの内壁面と、単位コイル33の直線部34、35の外周面との間を隙間なく絶縁することができるため、電機子鉄心2と電機子巻線3との間の絶縁性能を確保しつつ、放熱性能の低下を抑え、電機子巻線3の占積率を向上させることができる。
また、予め分割コア25、単位コイル33のそれぞれに絶縁部材41、絶縁部材42を保持した状態で、双方を組み立てることによって、製造時に絶縁部材41、42を支える必要がなくなる。また、組み立て時に絶縁部材41、42が、他の部材とこすれて剥がれることも防止できる。
また、絶縁部材を、絶縁部材41と絶縁部材42の2つの部材に分けることによって、絶縁部材41、42の形状が単純化されるため、絶縁部材41、42の生産性が向上し、簡易に取り扱うことができ、材料の使用量も少なくなる。また、絶縁部材41と絶縁部材42とを重ね合わせるため、絶縁部材41、42の形状精度、貼り付け時の位置精度の公差を緩めることができる。
また、絶縁部材42の周方向Yの幅を、単位コイル33の直線部34の周方向Yの幅よりも小さくしているため、絶縁部材42が他部材とこすれて剥がれ落ちることを防止し、簡易に組立てることができる。さらに、絶縁部材42が他部材と干渉、挟み込まれることで、電機子鉄心2の外径、真円度が悪化することを抑制できるため、圧入、焼き嵌めなどによる保持の不具合、破損、騒音振動の発生を抑えることができる。これにより、高品質、低騒音、高効率、高出力、さらに、生産性にすぐれ、低コスト化を可能にする回転電機100の電機子20を得ることができる。
図11は、絶縁部材の他の例を示す電機子20の要部斜視図である。
これまでの説明では、絶縁部材41のコアバック部被覆部41aと絶縁部材42とを径方向に重ねているが、これに限らず、例えば、図11に示すように、絶縁部材41のコアバック部被覆部41aを省略し、絶縁部材42Aをコアバック部25aの内周面と対向する基部42A1と、基部42A1の周方向Yの両端部を径方向Xの内側に折り曲げた折り曲げ部42A2とで形成し、絶縁部材41と、絶縁部材42Aの折り曲げ部42A2を周方向Yに重ねてもよい。
この場合、ティース部25bの付け根部分であって、絶縁部材41と折り曲げ部42A2とが周方向Yに重なる部分に相当する部分に、周方向Yに凹んだ切り欠き25bkを設けることで、絶縁部材41、42Aと内側コア22とを干渉させずに組み立てることができる。また、絶縁部材42Aに折り曲げ部42A2を設けることで、絶縁部材42Aを支持し易くなり、搬送性に優れるという効果がある。
図12は、電機子20の要部断面図であり、絶縁部材の他の構成例を示す図である。
図13は、電機子20の要部斜視図であり、絶縁部材の他の構成例を示す図である。
図12、13に示すように、同一のスロットSに挿通される異なる単位コイル33の直線部34bと直線部35bとの径方向Xの間(2層目と3層目の間)に、矩形形状の絶縁部材43(第3絶縁部材)を更に設けてもよい。
このような構成であれば、異なる単位コイル33の間を絶縁部材43で保護することができるため、後述するコイル籠を組み立てる際、および組み立てたコイル籠に分割コア25を挿入する際に、単位コイル33同士の加圧、接触により単位コイル33の絶縁被膜32を傷つけることがなくなる。また、例えば、短節巻の電機子20など、同一のスロットSに電位差を有する2つの単位コイル33の直線部34と直線部35とが混在する場合に、それぞれの単位コイル33間を絶縁することができる。これにより、高品質で信頼性に優れる回転電機100の電機子20を得ることができる。
また、図12、図13に示す電機子20では、絶縁部材41、42、43の軸方向Zの両端部は、内側コア22の軸方向両端面から軸方向Zの上方に突出している。すなわち、絶縁部材41、42、43の軸方向Zの長さは、電機子鉄心2の軸方向Zの長さよりも長い。このような構成であれば、単位コイル33の絶縁被膜32を分割コア25の軸方向の両端面の角部で傷つけることがなくなる。また、コイルエンド部36a~36cと内側コア22の近接部も絶縁することができるため。電機子鉄心2の絶縁性能を向上させることができる。
また、分割コア25は、コア片25Sの積厚誤差によってその高さが異なるが、絶縁部材41、42、43の軸方向Zの長さに裕度を持たせることで、絶縁部材41、42、43の形状、大きさを変更することなく、共通化された部品を用いて電機子20の絶縁性能を確保することができる。これにより、高品質で生産性に優れ、低コスト化を可能にする回転電機100の電機子20を得ることができる。
また、図13に示す電機子20では、分割コア25の軸方向Zの端面から上方への絶縁部材43の突出長を、絶縁部材41及び絶縁部材42の突出長に比べて大きくしている。このような構成であれば、絶縁部材43は、単位コイル33の直線部34bと直線部35bとの間のみならず、直線部34b、35bと、それぞれがコイルエンド部36に繋がる変形部間も同時に絶縁することができるため、電機子20の絶縁性能が向上する。また、電機子20を組み立てた後、絶縁部材43の有無を目視で確認することができる。したがって、高品質かつ、信頼性の高い回転電機100の電機子20を得ることができる。
なお、絶縁部材43についても絶縁部材42と同様、矩形形状に限らず、折り曲げ部を設けてもよい。
次に、図14~図19を用いて単位コイル33に絶縁部材42と絶縁部材43とを貼り付ける方法について説明する。
図14は、絶縁部材42、43の貼付工程を示すフロー図である。
図15Aは、貼付ガイド60と、絶縁部材42、43を貼り付け前の単位コイル33を示す斜視図である。
図15Bは、貼付ガイド60に、単位コイル33を装着した状態を示す斜視図である。
図16Aは、図15の破線Cで示す領域の図であり、接着剤の塗布例を示す図である。
図16Bは、図15の破線Cで示す領域の図であり、接着剤の他の塗布例を示す図である。
図16Cは、図15の破線Cで示す領域の図であり、両面テープ貼付位置を示す図である。
絶縁部材貼付工程では、絶縁部材42を、単位コイル33の直線部34a(第4層に挿通)の径方向X外側面に、絶縁部材43を直線部35b(第2層に挿通)の径方向Xの外側面に貼り付ける。単位コイル33は、1本の導線を重ね巻き成形したものであり、剛性が低く容易に変形する。
そこで、図15A、15Bに示すように、絶縁部材42、43を単位コイル33に貼り付ける際に、貼付ガイド60を使用する。貼付ガイド60は、単位コイル33の直線部34と直線部35を収容する溝64(第1溝)と溝65(第2溝)とを備える。
単位コイル33の直線部34、35を溝64、65内に保持することによって、絶縁部材42、43の貼り付け作業時に直線部34、35が動かないようにしている。また、溝64と65の開口部に、面取り、または、R加工によって、単位コイル33の位置をガイドする誘い込み部64a、65aを形成している。
次に、絶縁部材42と絶縁部材43とを単位コイル33に貼り付ける手順を示す。
まず、図15Bに示すように、単位コイル33を手、もしくは、設備によって搬送し、貼付ガイド60に保持する(ステップS001:単位コイル固定工程)。次に、図16A~図16Cに示すように、貼付ガイド60に保持された状態における直線部34a、35bの上面(電機子20の径方向Xの外側面に相当)に接着剤を塗布、または、両面テープを貼り付ける(ステップS002:接着部材施工工程)。
接着剤を塗布する場合、球状に数カ所(図16A)、あるいは、線状(図16B)に塗布する。両面テープを貼る場合(図16C)は、貼り付け後、剥離紙を剥がしておく。
必要サイズに切断された絶縁部材42、43に両面テープを貼ることが困難であれば、ロール、または、シート状態の絶縁部材に両面テープを貼り付けた後、細長く切断してもよい。
図17は、押圧治具66を用いた絶縁部材42、43の保持状体を示す断面図である。
図17に示すように、予め必要な幅と長さに切断した絶縁部材42と絶縁部材43とを押圧治具66によって、例えば、真空吸着した後(ステップS003:絶縁部材準備工程)、単位コイル33の貼り付け面に押圧して貼る(ステップS004:貼付工程)。
なお、直線部34と直線部35の径方向Xの外側面は、全節巻用の単位コイル33であれば6×48/360=45°短節巻用の単位コイル33であれば6×48/360=37.5°の角度差が生じている。
そのため、図17に示すように、2つの押圧治具66は、必要な角度だけ傾けた状態で設置する。押圧治具66の絶縁部材の吸着面は平面としているが、例えば、単位コイル33を成形する際に、直線部に曲がり等の変形が生じる際には、吸着面を単位コイルの直線部34、35の形状に合わせて変形させてR形状にすると貼り付け保持力がさらに向上する。
このような絶縁部材42、43の貼り付け方法であれば、直線部34と直線部35とを貼付ガイド60の溝64内と溝65内に固定できるので、絶縁部材42、43の貼付時に単位コイルを変形させる恐れがない。また、絶縁部材42と絶縁部材43の位置も溝64、65によって調整することができるので、絶縁部材42および絶縁部材43の位置ズレ、はみ出しを抑制し、皺を生じさせることなく単位コイル33の直線部34、35に貼り付けることができる。
また、溝64と溝65の開口部に誘い込み部64a、65aを形成しているため、単位コイル33の絶縁被膜32を傷つけることなく、単位コイル33、および、押圧治具66の位置を調整することができる。
また、貼付ガイド60によって、押圧治具66による絶縁部材42、43への貼り付け荷重を受けることができるため、絶縁部材42および絶縁部材43の接着力を確保するために必要な荷重を付加することができる。
さらに、絶縁部材42、43を単位コイル33の径方向Xの外側から貼り付けるため、単位コイル33を移動、反転させる必要なく2枚の絶縁部材42、43を貼り付けることができるため、絶縁部材42、43の貼り付け作業時間を短縮でき、かつ、組み立てし易く、設備構造も単純化できる。これにより、高品質で生産性に優れ、低コスト化を可能にする回転電機の電機子20および回転電機100を得ることができる。
図18は、絶縁部材42に接着剤等を塗布する例を示す図である。
図19は、絶縁部材42、43の貼付工程を示すフロー図である。
なお、図18に示すように接着剤、両面テープを単位コイル33側ではなく、絶縁部材42と絶縁部材43に塗布、または、貼り付けてもよい。その場合の工程は、図19に示す通りである。なお、図14のフローと比較してステップS002Bは、S003と順序が入れ替わっただけであり、ステップS003Bは、接着剤等の塗布対象が変わっただけである。
図20は、貼付ガイド60を傾けて絶縁部材42、43を貼り付ける方法を示す図である。
押圧治具66を傾けることが困難であれば、図20に示すように、押圧治具66を鉛直方向に設置して、貼付ガイド60を必要な角度だけ傾けてもよい。
次に、電機子20の組立方法を図4、図20~図23を用いて説明する。
図21は、電機子巻線3用のコイル籠38を示す斜視図である。
図22は、複数の分割コア25をコイル籠38の周囲に配置した状態を示す斜視図である。
図23は、コイル籠38に分割コア25のティース部を挿入した状態を示す斜視図である。
電機子20を組み立てるには、まず、絶縁部材42、43を貼り付けた48本の単位コイル33を環状に配列して、図21に示すコイル籠38を組み立てる(コイル籠組み立て工程)。
図21に示すように、このように組み立てられたコイル籠38は、直線部34と直線部35とが径方向Xに1列に並んで構成されたスロット部列33Sが、周方向に48列配列されている。次に、図4に示すように、絶縁部材41を分割コア25のティース部25bの周方向Yの両側面に、両面テープ、または接着剤を用いて装着する。
次に、図22に示すように、絶縁部材41を貼り付けた48個の分割コア25をコイル籠38の外周側に環状に配列する(分割鉄心配置工程)。このとき、それぞれの分割コア25は、ティース部25bを径方向内側に向けて、ティース部25bが、周方向Yに隣り合うスロット部列33Sの間の径方向外側に位置している。次に、48個の分割コア25を、同時に径方向Xの内側に移動させ、ティース部25bを隣り合うスロット部列33Sの間に挿入する。
なお、分割コア25のティース部25bの径方向Xの内側先端には、周方向Yに突出するシュー部25cが形成されているため、コイル籠38を電機子20完成後の位置で組むと、各分割コア25をスロット部列33S間に挿入する際に、直線部34、35とシュー部25cとが干渉する。そのため、コイル籠38を電機子20完成後の正規位置よりも径方向Xの外側にずらした位置で組み立てておき、隣り合うスロット部列33Sの隙間を広げておく必要がある。
この状態で、分割コア25をスロット部列33Sの隙間に挿入し、径方向Xの内側へ移動させると共に、コイル籠38の内径を縮小しつつ、電機子20の完成後の最終位置に移動させる。このとき、分割コア25のコアバック部25aの周方向Yの側面同士が突き合わされ、48個の分割コア25が、コアバック部25aの周方向Yの側面同士を突き合わせて円環状の内側コア22となる。これにより、コイル籠38が内側コア22に完全に装着される。
次に、コイル籠38が装着された内側コア22を外側コア21内に圧入、焼き嵌めなどにより挿入する。次に、単位コイル33の端末部37を、溶接などの接合手段により、他の単位コイル33の端末部37、中性点、又は給電部に接続し、電機子巻線3が構成される。これにより内側コア22が外側コア21内に固定状態に保持された電機子20が完成する。
以上のような回転電機の電機子の組み立て方法によれば、コイル籠38の径方向位置を電機子完成後の正規位置よりも径方向外側にずらした位置に保持し、コイル籠38の径方向Xの外側から分割コア25を挿入し、コイル籠38および内側コア22の径方向位置を径方向Xの内側に移動させて電機子完成後の正規位置にしたので、ティース部25bの先端にシュー部25cを有する内側コア22をコイル籠38と干渉することなく径方向Xの外側から挿入することができるため、回転子と電機子の間の磁気抵抗を下げ、回転子の鉄損を低減できる回転電機100の電機子20を簡易に組立てることができる。
また、コイル籠38と分割コア25との間を絶縁部材41と絶縁部材42で、単位コイル33の直線部34と直線部35との間を絶縁部材43で保護しつつ、分割コア25を径方向Xの内側に加圧して押し込むため、電機子20の組み立て時に単位コイル33の絶縁被膜32を傷つけることを抑制し、電機子鉄心2と電機子巻線3の絶縁性能を確保することができる。また、分割コア25を組み合わせてスロットSを形成するため、スロットS内のコイルの占積率を高め、電機子巻線3と電機子鉄心2との接触熱抵抗を低減することができる。これにより、高品質、高効率、高出力、かつ、信頼性が高く、生産性に優れ、低コストを可能にする回転電機の電機子20および回転電機100を得ることができる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2による回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
なお、実施の形態2に示す電機子20の構造において、実施の形態1と実質的に同じ構成部品に対しては同じ符号を付し、説明を省略する。
図24は、貼付ガイド60Bと、絶縁部材42、43を貼り付ける前の単位コイル33を示す斜視図である。
図25Aは、単位コイル33を把持した状態を示す図である。
図25Bは、絶縁部材42を準備する状態を示す図である。
図26は、絶縁部材42、43の貼付工程を示すフロー図である。
実施の形態2による電機子20は、絶縁部材43を単位コイル33の直線部34bの径方向Xの内側面に貼り付けていることのみ実施の形態1と異なる。直線部34aと直線部34bは、径方向Xに並んでいるので、貼付ガイド60Bは1つの溝64Bを備えていればよい。
まず、必要な幅と長さに切断した絶縁部材42の下面と、絶縁部材43の上面に接着剤を塗布、もしくは、剥離紙をはがした両面テープを貼る(ステップS301:接着部材施工工程)。次に、溝64Bを形成した貼付ガイド60Bに絶縁部材43を保持する(ステップS302:絶縁部材準備工程1)。次に、単位コイル33の直線部34a、34b(第1直線部)を溝64Bに嵌め込む(ステップS303:単位コイル固定工程)。次に、絶縁部材42を吸着して保持した押圧治具66B(ステップS304:絶縁部材準備工程2)によって直線部34a、34bを加圧して、絶縁部材42および絶縁部材43を単位コイル33に貼り付ける(ステップS305:貼付工程)。溝64Bの入口部に、面取り、または、R加工により、単位コイル33、および、押圧治具66Bの位置をガイドする誘い込み部64Baを形成している。また、押圧治具66Bにも、コイルの絶縁被膜32を傷つけないように、面取り、または、R加工による誘い込み部66Baを形成している。
まず、図25Aに示すように、直線部35(絶縁部材42および絶縁部材43を貼らない側の直線部)を手、もしくは、設備で把持する。この際、貼付ガイド60Bの溝64Bの底に、必要な幅と長さに切断し、かつ、上面に接着剤を塗布、もしくは、剥離紙をはがした両面テープを貼り付けた絶縁部材43を保持しておく。
次に、図25Bに示すように、把持した単位コイル33の直線部34bの径方向Xの内側となる部分を下向きにして、そのまま、貼付ガイド60Bの溝64Bの底に保持された絶縁部材43に向けて、単位コイル33を下降させる。
次に、予め必要な幅と長さに切断し、かつ、下面に接着剤を塗布、もしくは、剥離紙を剥がした両面テープを貼り付けた絶縁部材42を押圧治具66Bで吸着保持した後、単位コイル33の直線部34aの径方向Xの外側面となる部分に向けて押圧治具66Bを下ろし、絶縁部材42を直線部34aに貼る。この際、押圧治具66Bで単位コイル33の直線部34aを加圧することで、絶縁部材42と絶縁部材43とを、直線部34a、34bに密着させる。
本構成の貼り付け方法であれば、絶縁部材42および絶縁部材43を単位コイル33の径方向Xの一方の直線部34a、34bに、径方向X内側及び外側から貼り付けることができるので、貼り付け作業時に単位コイル33の向きを変更する必要がない。これによって、1度の加圧作業で絶縁部材42と絶縁部材43とを同時に直線部34aと直線部34bとに貼り付けることができるため、貼り付け作業時間を短縮し、かつ、組み立てし易く、設備構造も単純化できる。
また、絶縁部材42と絶縁部材43とを単位コイル33の一方の直線部34にのみ貼ることで、他方の直線部35を自由に把持することができるため、貼り付けた絶縁部材42、43を剥がす、傷つける等の製造不具合を抑制することができる。
また、直線部34を貼付ガイド60Bの溝64Bで固定しつつ、絶縁部材42と絶縁部材43の位置も溝64Bで調整することができるので、絶縁部材42と絶縁部材43の位置ズレ、はみ出しを抑制し、皺なく貼り付けることができる。
また、溝64Bの開口部に誘い込み部64Baを形成しているため、単位コイル33の絶縁被膜32を傷つけることなく、単位コイル33、および、押圧治具66Bの位置を調整することができる。
さらに、貼付ガイド60Bによって、押圧治具66Bによる絶縁部材42、43への貼り付け荷重を受け止めることができるため、絶縁部材42と絶縁部材43の接着力を確保するために必要な荷重を付加することができる。これにより高品質で生産性に優れ、低コスト化できる回転電機の電機子20及び回転電機100を得ることができる。
なお、貼付ガイド60Bに保持する絶縁部材を絶縁部材42、押圧治具66Bで吸着保持する絶縁部材を絶縁部材43にしてもよい。また、接着剤、もしくは、剥離紙を剥がした両面テープを、絶縁部材42、43でなく、単位コイル33の直線部34a、34bに塗布、または、貼り付けておいてもよい。また、必要サイズに切断された絶縁部材42、43に両面テープを貼ることが困難であれば、ロール、または、シート状態の絶縁部材に両面テープを貼り付けた後、細長く切断してもよい。
実施の形態3.
以下、実施の形態3による回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を図を用いて、実施の形態2と異なる部分を中心に説明する。
なお、実施の形態3に示す電機子20の構造において、実施の形態2と実質的に同じ構成部品に対しては同じ符号を付し、説明を省略する。
図27は、貼付ガイド60Cと、押圧治具66Cと絶縁部材42、43を貼り付け前の複数の単位コイル33を示す斜視模式図である。
図28は、絶縁部材43をセットした状態の貼付ガイド60Cの断面図である。
図29Aは、複数の単位コイル33の直線部34を貼付ガイド60Cに挿入した状態を示す断面図である。
図29Bは、図29Aの破線Eで囲んだ部分の拡大図である。
図30は、押圧治具66Cの側面模式図である。
図31は、絶縁部材42を貼付中の押圧治具66Cの状態を示す断面模式図である。
実施の形態3による電機子20は、絶縁部材42と絶縁部材43とを、複数個の単位コイル33の直線部34aと直線部34bに、同時に貼り付けることのみ実施の形態1、2と異なる。
なお、貼付工程を示すフロー図は、実施の形態2の図26と同じである。
説明の便宜上、絶縁部材42、43を同時に貼り付ける単位コイル33の数を4個にする。
図27~図29Bに示すように、本実施の形態4では、4本の溝64Cを形成した貼付ガイド60Cに絶縁部材43を保持した後、単位コイル33を4個、溝64Cに嵌め込む。その後、絶縁部材42を4本吸着保持した押圧治具66Cを用いてそれぞれの単位コイル33の直線部34を加圧して、絶縁部材42、43を直線部34a、34bに貼り付ける。溝64Cの開口部に、面取り、または、R加工により、単位コイル33の位置をガイドする誘い込み部64Caを形成している。
押圧治具66Cは、ベース部66C1と、上下に移動可能で、かつ、先端で絶縁部材42を吸着保持するスライド部66C2とで構成されている。貼付ガイド60Cには、垂直に突出するガイドピンPを2カ所に設けている。また押圧治具66Cのベース部66C1には、ガイドピンPの径に対応する穴66Hが2カ所設けられている。ガイドピンPは、それぞれ穴66Hに挿入され、押圧治具66Cは、ガイドピンPにガイドされて上下に移動可能である。
ベース部66C1とスライド部66C2の間には、ばね、ゴムなどの弾性体SPをはさんでおり、各部品の寸法のばらつきによる位置ずれ量を吸収している。これにより、絶縁部材42を4枚同時に吸着し、単位コイル33に絶縁部材42を4枚同時に貼り付け加圧することができる。
貼付ガイド60Cと押圧治具66Cは、ガイドピンPによって位置決めされているため、押圧治具66Cのスライド部66C2と貼付ガイド60Cの溝64Cを4カ所ともずれなく合わせて、絶縁部材42を吸着し、嵌め込むことができる。
まず、図28に示すように、貼付ガイド60Cの溝64Cの底に、必要な幅と長さに切断し、かつ、上面に接着剤を塗布、もしくは、剥離紙を剥がした両面テープを貼り付けた絶縁部材43を保持しておく(ステップS301:絶縁部材準備工程1、ステップS302:接着部材施工工程)。
次に、図29Aに示すように、人、もしくは設備によって把持した1個乃至4個の単位コイル33の直線部34bの径方向Xの内側面(絶縁部材43を貼り付ける面)を下向きにあわせ、そのまま、貼付ガイド60Cの溝64Cの底に保持された絶縁部材43に向けて、単位コイル33を下ろしていく(ステップS302:単位コイル固定工程)。
この作業を、単位コイル33を1個ずつ、あるいは4個まとめて行う。次に、図27に示すように、必要な幅と長さに切断し、かつ、接着剤を塗布、もしくは、剥離紙をはがした両面テープを貼り付けた4本の絶縁部材42を押圧治具66Cで吸着保持する(ステップS304:絶縁部材準備工程2)。
この際、絶縁部材42を、予め、整列治具68内に収納し、必要な間隔で整列しておく。次に、図31に示すように、単位コイル33の直線部34aの径方向Xの外側面となる部分に向けて押圧治具66Cを下ろし、絶縁部材42を直線部34aに貼る(ステップS305:貼付工程)。この際、押圧治具66Cによって単位コイル33の直線部34を加圧することで、絶縁部材42と絶縁部材43とを直線部34に密着させる。
押圧治具66Cの絶縁部材42の吸着面は平面としているが、例えば単位コイル33を成形する際に、直線部34、35に曲がり等の変形が生じている際には、吸着面をコイルの変形に合わせてR形状にすると、貼り付け保持力がさらに向上する。
実施の形態3による回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法によれば、絶縁部材42と絶縁部材43とを複数個の単位コイル33の直線部34に同時に貼り付け可能なので、貼り付け作業時間を短縮し、かつ、組み立てし易く、設備構造も単純化できる。また、単位コイル33の直線部34と絶縁部材43の位置を貼付ガイド60Cの溝64Cで位置決めでき、貼付ガイド60Cと押圧治具66Cの位置をガイドピンPと穴66Hで位置決めでき、さらに、絶縁部材42の位置を整列治具68で位置決めできるため、絶縁部材42と絶縁部材43の位置ズレ、はみ出しを抑制し、皺なく複数の単位コイル33に貼り付けることができる。
また、貼付ガイド60Cによって貼り付け荷重を受けることができるため、絶縁部材42と絶縁部材43の保持力を確保するために必要な加圧力を付加することができる。これにより、生産性に優れ、高品質、低コスト化を可能にする回転電機の電機子20および回転電機100を得ることができる。
なお、貼付ガイド60Cに保持する絶縁部材を絶縁部材42、押圧治具66Cで吸着保持する絶縁部材を絶縁部材43にしてもよい。また、接着剤、もしくは、剥離紙を剥がした両面テープを、絶縁部材42、43側でなく、単位コイル33の直線部34a、34bに塗布、または、貼り付けておいてもよい。
実施の形態4.
以下、実施の形態4による回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法を図を用いて、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
なお、実施の形態4に示す電機子の構造において、実施の形態1~3と実質的に同じ構成部品に対しては同じ符号を付し、説明を省略する。
図32は、電機子220の斜視図である。
図33は、内側コア222の平面図である。
図34は、図33の破線Fで囲んだ部分の拡大図であり、内側コア222に絶縁部材241を組み付けた図である。
図35は、スロットSに収納されている直線部34a、34b、35a、35bの配置を示す図である。
実施の形態4による電機子220は、一体としで形成された内側コア222と、外側コア21とからなる電機子鉄心202を備え、絶縁部材241を、スロットSの径方向外周面部分で分割せずに、スロットSの内壁面に保持させていることのみ、実施の形態1~3と異なる。
図32、図33に示すように、内側コア222は、円環状のコアバック部222aと、コアバック部222aの内周面から径方向Xの内側に突出する複数のティース部222bと、ティース部222bの先端から周方向Yに突出するシュー部222cとからなる。
コアバック部222aの径方向Xの内側面と周方向に隣り合うティース部222bの周方向Yの側面に囲まれた領域がスロットSとなり、内側コア222のスロットSの内側には、絶縁部材241が保持されている。
図34に示すように、絶縁部材241は、矩形のシート材を断面コ字型に折り曲げて作製されている。したがって、1枚の絶縁部材241によって、スロットSの内壁面が全て覆われている。
絶縁部材241と内側コア222とは、両面テープ、または、接着剤により固着される。図35に示すように、単位コイル33の直線部34bと直線部35bとの間には絶縁部材43が挿入されており、直線部35aの径方向Xの内側には絶縁部材44が保持されている。
実施の形態4による回転電機の電機子、回転電機、回転電機の電機子の製造方法、および回転電機の製造方法によれば、予め一体の内側コア222と単位コイル33に、それぞれ絶縁部材241、43、44を保持した状態で、単位コイルを内側コア222に組み付けることで、製造時に絶縁部材241、43、44を支える必要がなくなる。また、絶縁部材を241、43、44の3つに分けることで、各絶縁部材の形状が単純化されるため、絶縁部材の取り扱い、貼り付け作業性が向上する。また、絶縁部材41と絶縁部材44との重なり部が無いので、絶縁部材の材料の使用量を少なくすることができる。
さらに、スロットS内壁面を覆うように保持される絶縁部材241に位置ズレが生じたとしても、絶縁部材241を一体として配置することで、確実にスロットSの全域を絶縁することができるため、絶縁部材241の形状精度、貼り付け時の位置精度(公差)を緩めることができる。これにより、高品質で生産性に優れ、さらに、低コスト化を可能にする回転電機の電機子220を得ることができる。
なお、実施の形態1~3と同様、同一スロットSに挿通された異なる単位コイル33の直線部34と直線部35の径方向に生じる隙間(外周側の2本と内周側の2本との間の隙間)に挿入する矩形形状の絶縁部材43は省略してもよい。これまで説明した実施の形態1~4の回転電機は例えば自動車のEV、HEV用のモータ、発電機等に使用されるが、用途はこれに限定するものではない。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示す技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
100 回転電機、2,202 電機子鉄心、20,220 電機子、
21 外側コア、21H 取付穴、22,222 内側コア、
25a,222a コアバック部、25b,222b ティース部、
25c,222c シュー部、41,241,42,42A,43,44 絶縁部材、
25 分割コア、25bk 切り欠き、25S コア片、3 電機子巻線、
31 導体部、32 絶縁被膜、33 単位コイル、33S スロット部列、
34,34a,34b,35,35a,35b 直線部、
36,36a,36b,36c コイルエンド部、37,37a,37b 端末部、
38 コイル籠、41a コアバック部被覆部、41b ティース部被覆部、
41c シュー部被覆部、60,60B,60C 貼付ガイド、
64,64B,64C,65 溝、
64a,64Ba,64Ca,66Ba 誘い込み部、
66,66B,66C 押圧治具、66C1 ベース部、66C2 スライド部、
66H 穴、68 整列治具、7 回転子,71 回転軸、72 回転子鉄心、
73 永久磁石、8 ハウジング、81 フレーム、81a 円筒部、81b 底部、
82 ブラケット、83 ベアリング、84 ボルト、90 インバータ装置、
P ガイドピン、S スロット、SP 弾性体、X 径方向、Y 周方向、Z 軸方向。

Claims (22)

  1. 円環状のコアバック部と、前記コアバック部の内周面から径方向の内側に突出する複数のティース部とを有する電機子鉄心と、
    前記電機子鉄心に装着された分布巻の電機子巻線と、
    前記電機子巻線と、前記コアバック部の内周面および隣り合う前記ティース部の周方向側面間に形成されるスロットの内壁面とを電気的に隔離する絶縁部材としての第1絶縁部材と、を備える回転電機の電機子であって、
    前記電機子巻線は、1本の導線を重ね巻きした複数の単位コイルを備え、
    前記単位コイルは、前記スロット内の径方向の外側に挿通される第1直線部と、
    前記第1直線部が挿通させるスロットとは異なるスロット内の径方向の内側に挿通される第2直線部と、
    前記第1直線部と前記第2直線部とを前記電機子の結線側および非結線側で接続するコイルエンド部とを備え、
    同じ前記スロットに挿通される2つの前記単位コイルの前記第1直線部と前記第2直線部とは、径方向に並んで配置され、
    前記第1直線部の径方向の外側面に、前記絶縁部材としての第2絶縁部材を更に備える回転電機の電機子。
  2. 前記電機子鉄心は、前記コアバック部が、前記ティース部毎に、周方向に複数に分割された分割コアからなり、
    前記第1絶縁部材は、前記コアバック部の内周面を覆うコアバック部被覆部と、
    前記ティース部の周方向の一方の側面を覆うティース部被覆部を有し、
    前記コアバック部被覆部の周方向の長さは、前記ティース部の付け根部から、前記コアバック部の周方向側面までの長さよりも短く、
    前記第2絶縁部材は、前記第1直線部の径方向の外周面に備えられている請求項1に記載の回転電機の電機子。
  3. 前記第2絶縁部材の周方向の幅は、前記単位コイルの前記第1直線部の周方向の幅よりも小さい請求項1又は請求項2に記載の回転電機の電機子。
  4. 前記電機子鉄心は、前記コアバック部が、前記ティース部毎に、周方向に複数に分割された分割コアからなり、
    前記第1絶縁部材は、前記ティース部の周方向の一方の側面を覆うティース部被覆部を有し、
    前記第2絶縁部材は、前記コアバック部の内周面と対向する基部と、前記基部の周方向の両端部を径方向の内側に折り曲げた折り曲げ部を備え、前記第1絶縁部材と、前記折り曲げ部は周方向に重なっている請求項1に記載の回転電機の電機子。
  5. 前記ティース部の付け根部であって、前記絶縁部材と前記折り曲げ部とが周方向に重なる部分に相当する部分に、周方向に凹んだ切り欠きを備える請求項4に記載の回転電機の電機子。
  6. 同一の前記スロット内に電位差のある2つの前記単位コイルの一方の前記第1直線部と、他方の前記第2直線部が挿通され、
    前記第1直線部と前記第2直線部との間に前記絶縁部材としての第3絶縁部材を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  7. 前記絶縁部材の少なくとも1つの軸方向の長さは、前記電機子鉄心の軸方向の長さよりも長い請求項6に記載の回転電機の電機子。
  8. 前記電機子鉄心の軸方向の端面から上方への前記第3絶縁部材の突出長は、他の前記絶縁部材の突出長に比べて大きい請求項7に記載の回転電機の電機子。
  9. 前記第2絶縁部材は、前記第1直線部の径方向の外側面に貼り付けられている請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  10. 前記第2絶縁部材は、前記第1直線部の径方向の外側面に貼り付けられ、前記第3絶縁部材は、前記第2直線部の径方向外側面に貼り付けられている請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  11. 前記第2絶縁部材は、前記第1直線部の径方向の外側面に貼り付けられ、前記第3絶縁部材は、前記第1直線部の径方向内側面に貼り付けられている請求項6から請求項8のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  12. 前記第1絶縁部材は、接着剤または両面テープによって、前記電機子鉄心に貼り付けられている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  13. 前記第1絶縁部材は、前記スロットの内壁面に射出成形にて形成されている請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  14. 前記第2絶縁部材および前記第3絶縁部材は、接着剤または両面テープによって貼り付けられている請求項10又は請求項11に記載の回転電機の電機子。
  15. 前記電機子巻線は、全節巻で構成されている請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  16. 前記電機子巻線は、短節巻で構成されている請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の回転電機の電機子。
  17. 請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の回転電機の電機子と、
    前記電機子の内周面に対向して回転可能に支持された回転子とを備える回転電機。
  18. 請求項10に記載の回転電機の電機子の製造方法であって、
    前記単位コイルの前記第1直線部と前記第2直線部を収容する第1溝と第2溝とを備える貼付ガイドに前記単位コイルを固定する単位コイル固定工程と、
    前記貼付ガイドに保持された状態における前記第1直線部と前記第2直線部の上面、または、前記第2絶縁部材と前記第3絶縁部材の下面に接着剤を塗布、または、両面テープを貼って剥離紙を剥がす接着部材施工工程と、
    前記第2絶縁部材と前記第3絶縁部材とを押圧治具に配置する絶縁部材準備工程と、
    前記押圧治具によって前記第1直線部に前記第2絶縁部材を、前記第2直線部に前記第3絶縁部材を押圧して貼り付ける貼付工程とを備える回転電機の電機子の製造方法。
  19. 請求項11に記載の回転電機の電機子の製造方法であって、
    前記単位コイルの前記第1直線部を収容する第1溝を備える貼付ガイドの前記第1溝に前記第2絶縁部材または前記第3絶縁部材の一方を保持する絶縁部材準備工程1と、
    前記第1直線部の径方向の外側面と、前記第1直線部の径方向の内側面に接着剤を塗布、又は両面テープを貼って剥離紙を剥がす接着部材施工工程と、
    前記単位コイルの前記第1直線部を前記第1溝に嵌め込む単位コイル固定工程と、
    前記第2絶縁部材または前記第3絶縁部材の他方を押圧治具に保持する絶縁部材準備工程2と、
    前記押圧治具によって前記第1直線部を加圧して、前記第2絶縁部材および前記第3絶縁部材を前記単位コイルに貼り付ける貼付工程とを備える回転電機の電機子の製造方法。
  20. 請求項11に記載の回転電機の電機子の製造方法であって、
    前記第2絶縁部材と前記第3絶縁部材に接着剤を塗布、又は両面テープを貼って剥離紙を剥がす接着部材施工工程と、前記単位コイルの前記第1直線部を収容する第1溝を備える貼付ガイドの前記第1溝に前記第2絶縁部材または前記第3絶縁部材の一方を、粘着面を上側にして保持する絶縁部材準備工程1と、前記単位コイルの前記第1直線部を前記第1溝に嵌め込む単位コイル固定工程と、前記第2絶縁部材または前記第3絶縁部材の他方を、粘着面を下側にして押圧治具に保持する絶縁部材準備工程2と、前記押圧治具によって前記第1直線部を加圧して、前記第2絶縁部材および前記第3絶縁部材を前記単位コイルに貼り付ける貼付工程とを備える回転電機の電機子の製造方法。
  21. 複数の前記第1溝を備える貼付ガイドと、複数の前記押圧治具を用い、複数の前記単位コイルに同時に前記第2絶縁部材と前記第3絶縁部材とを貼り付ける請求項19又は請求項20に記載の回転電機の電機子の製造方法。
  22. 請求項18から請求項20のいずれか1項に記載の回転電機の電機子の製造方法で製造した回転電機の電機子の内周面に対向して回転可能に回転子を支持する回転電機の製造方法。
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