図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業機械について説明する。
<第1実施形態>
-油圧ショベル-
図1は、本発明の第1実施形態に係る作業機械の一例として示す油圧ショベル100の側面図である。図1に示すように、油圧ショベル100は、クローラ式の走行体1と走行体1に対して旋回可能に設けられる旋回体2とを有する車体30と、旋回体2に取り付けられるフロント作業装置(以下、作業装置と記す)3と、を備える。
走行体1には左右一対の走行用の油圧モータ(以下、走行モータと記す)が設けられる。左右の走行モータにより、左右のクローラが独立して回転駆動される。これにより、走行体1が前方または後方に走行する。
旋回体2には、油圧ショベル100の各種操作を行う操作装置、およびオペレータが着席する運転席等が配置された運転室4が設けられている。また、旋回体2には、エンジン等の原動機、油圧ポンプおよび旋回用の油圧モータ(以下、旋回モータと記す)などが搭載されている。旋回体2は、旋回モータにより走行体1に対して右方向または左方向に旋回される。
運転室4内には、油圧ショベル100全体の動作を制御する制御装置であるメインコントローラ110と、油圧ショベル100の稼働状態を表す画像を表示する表示装置5と、オペレータによる侵入不可面の設定操作を行うための入力装置13と、が設けられている。表示装置5は、例えば、液晶ディスプレイ装置である。入力装置13は、複数のスイッチおよび操作スティック等を有し、侵入不可面の設定操作の他、表示装置5の操作、エンジン回転速度の設定操作等が可能である。なお、入力装置13は、表示装置5の液晶ディスプレイ上に形成されるタッチセンサであってもよい。つまり、油圧ショベル100は、表示装置5および入力装置13として機能するタッチパネルモニタを備えていてもよい。入力装置13は、オペレータにより、侵入不可面の設定操作が行われると、オペレータの操作に応じた操作情報を入力情報としてメインコントローラ110に入力する。
作業装置3は、旋回体2に取り付けられる多関節型の作業装置であって、複数の油圧アクチュエータ、および複数の油圧アクチュエータにより駆動される複数(本実施形態では3つ)の被駆動部材(駆動対象部材)を有する。3つの被駆動部材(ブーム3a、アーム3bおよびバケット3c)は、直列的に連結されている。ブーム3aは、その基端部が旋回体2の前部に、ブームピンを介して回動可能に連結される。アーム3bは、その基端部がブーム3aの先端部に、アームピンを介して回動可能に連結される。バケット3cは、アーム3bの先端部に、バケットピンを介して回動可能に連結される。
ブーム3aは、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)であるブームシリンダ3dの伸縮動作によって回転駆動される。アーム3bは、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)であるアームシリンダ3eの伸縮動作によって回転駆動される。バケット3cは、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)であるバケットシリンダ3fの伸縮動作によって回転駆動される。ブームシリンダ3dは、その一端側がブーム3aに接続され他端側が旋回体2のフレームに接続されている。アームシリンダ3eは、その一端側がアーム3bに接続され他端側がブーム3aに接続されている。バケットシリンダ3fは、その一端側がバケットリンク3gを介してバケット3cに接続され他端側がアーム3bに接続されている。
-位置姿勢検出装置-
油圧ショベル100は、油圧ショベル100の位置姿勢(作業装置3の位置姿勢、旋回体2の位置姿勢および走行体1の位置姿勢)に関する情報(以下、位置姿勢情報とも記す)を検出する複数の姿勢センサ6~10を有する位置姿勢検出装置102(図2参照)を備えている。複数の姿勢センサ6~10には、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)6,7,8および角度センサ9,10が含まれる。
ブーム3aの側面にはブーム用IMU6が取り付けられ、アーム3bの側面にはアーム用IMU7が取り付けられ、バケットリンク3gの側面にはバケット用IMU8が取り付けられている。IMU6,7,8は、ブーム3a、アーム3bおよびバケット3cの直交3軸の角速度および加速度を取得し、メインコントローラ110に出力する。
旋回体2のフレーム上には、基準面(例えば水平面)に対する旋回体2の前後方向の傾斜角度(以下、ピッチ角度とも記す)および左右方向の傾斜角度(以下、ロール角度とも記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ110に出力する傾斜角度センサ9が取り付けられる。走行体1と旋回体2をつなぐセンタージョイント(図示せず)には、走行体1に対する旋回体2の相対角度(以下、旋回角度と記す)を検出し、その検出結果をメインコントローラ110に出力する旋回角度センサ10が取り付けられている。
本実施形態において、IMU6,7,8および傾斜角度センサ9、旋回角度センサ10は、メインコントローラ110に電気的に接続されている。メインコントローラ110は、IMU6,7,8および傾斜角度センサ9からの信号に基づいて、旋回体2に対するブーム3aの回動角度(ブーム角度)、ブーム3aに対するアーム3bの回動角度(アーム角度)、アーム3bに対するバケット3cの回動角度(バケット角度)を演算する。このように、IMU6,7,8および傾斜角度センサ9は、作業装置3の姿勢情報を検出する作業姿勢センサとして機能する。なお、作業姿勢センサとしては、ブーム角度、アーム角度、バケット角度に応じた電圧信号を出力するポテンショメータを採用してもよい。また、作業姿勢センサとしては、ブームシリンダ3d、アームシリンダ3e、バケットシリンダ3fのストロークを検出するストロークセンサを採用してもよい。
-システム構成および油圧ショベル搭載機器の説明-
図2は、油圧ショベル100のシステム構成を示す図である。
メインコントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ91と、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の記憶装置である不揮発性メモリ92と、所謂RAM(Random Access Memory)と呼ばれる揮発性メモリ93と、入出力インターフェース(不図示)と、これらの機器を電気的に接続するバス(不図示)と、を含んだコンピュータで構成される。なお、メインコントローラ110は、1つのコンピュータで構成してもよいし、複数のコンピュータで構成してもよい。
不揮発性メモリ92には、各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、不揮発性メモリ92は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。プロセッサ91は、不揮発性メモリ92に記憶されたプログラムを揮発性メモリ93に展開して演算実行する処理装置であって、プログラムに従って入出力インターフェース、不揮発性メモリ92および揮発性メモリ93から取り入れたデータに対して所定の演算処理を行う。
入出力インターフェースの入力部は、外部の装置(入力装置13、操作装置15、位置姿勢検出装置102、各種センサ等)から入力された信号をプロセッサ91で演算可能なように変換する。入出力インターフェースの出力部は、プロセッサ91での演算結果に応じた出力用の信号を生成し、その信号を外部の装置(表示装置5、電磁比例弁24、ロックバルブ22、ポンプレギュレータ21等)に出力する。
前述したように、油圧ショベル100の運転室4内には、油圧ショベル100の各種操作を行う操作装置が設けられている。図2では、ブーム上げ操作、ブーム下げ操作、アームクラウド操作、アームダンプ操作、バケットクラウド操作、バケットダンプ操作、左旋回操作、右旋回操作、右前進走行操作、右後進走行操作、左前進走行操作、左後進走行操作のそれぞれを行うための複数の操作装置のうちの1つを表す操作装置15を代表して示している。また、操作装置15とコントロールバルブ19との間に設けられる電磁比例弁も複数の油圧アクチュエータの動作方向毎に設けられるが、図2では、代表して、1つの電磁比例弁24を代表して示している。さらに、コントロールバルブ19は、複数のアクチュエータ毎に設けられる流量制御弁を備えているが、流量制御弁の図示は省略している。
エンジン16は、油圧ショベル100の動力源であり、例えば、ディーゼルエンジン等の内燃機関により構成される。エンジン16は、エンジンコントローラ17によって制御される。エンジンコントローラ17は、エンジン16に組み込まれているセンサから出力される信号に基づいてエンジン16の状態を把握し、エンジン16の回転速度、トルクを制御している。
メインコントローラ110およびエンジンコントローラ17は、CAN通信によって互いに接続されており、それぞれ必要な情報の授受を行っている。例えば、メインコントローラ110は、入力装置13のエンジンコントロールダイヤルの操作位置に基づいてエンジン目標回転速度を演算し、エンジン目標回転速度をエンジンコントローラ17に出力する。エンジンコントローラ17は、エンジン実回転速度がエンジン目標回転速度となるようにエンジン16を制御する。エンジンコントローラ17は、エンジン16に内蔵されているセンサの信号に基づいてエンジン実回転速度を演算し、そのエンジン実回転速度をメインコントローラ110に出力する。
メインコントローラ110は、入力装置13、エンジンコントローラ17、各種センサ等からの情報に基づいて表示装置5を制御し、表示装置5の表示画面に所定の情報を表示させる。例えば、メインコントローラ110は、CAN通信上にあるエンジン実回転速度を取得し、表示装置5に出力する。表示装置5は、取得したエンジン実回転速度を油圧ショベル100の稼働状態を表す情報の1つとして表示する。
メインポンプ18は、エンジン16によって駆動される可変容量式の油圧ポンプであり、作動流体である作動油を吐出する。ポンプレギュレータ21は、メインポンプ18の傾転(押除け容積)制御機構を内蔵している。ポンプレギュレータ21は、メインコントローラ110からの信号に基づいて、メインポンプ18の容積すなわち吐出容量を制御する。メインポンプ18から吐出される作動油は、各油圧アクチュエータへの油の流れを制御するコントロールバルブ19を通り、走行モータ1a、旋回モータ2a、ブームシリンダ3d、アームシリンダ3e、バケットシリンダ3fに供給される。
本実施形態では、操作装置15は、傾動可能な操作レバーを有する電気式操作レバー装置である。メインコントローラ110には、操作装置15から操作レバーの操作量に応じた操作信号が入力される。メインコントローラ110は、後述するように、操作レバーの操作量に応じた制御電流を電磁比例弁24に出力する。電磁比例弁24は、制御電流に応じたパイロット操作圧を生成し、コントロールバルブ19を制御する。コントロールバルブ19が制御されることにより、油圧アクチュエータに供給される作動油の流量が制御され、油圧アクチュエータが駆動する。
油圧ショベル100は、パイロット油圧源として固定容量式の油圧ポンプであるパイロットポンプ20を備えている。パイロットポンプ20は、エンジン16によって駆動され、作動油を吐出する。パイロットポンプ20の吐出圧であるパイロット一次圧は、図示しないパイロットリリーフバルブによって所定の圧力(例えば、4MPa)に保たれる。
パイロットポンプ20のパイロット一次圧は、上述のポンプレギュレータ21に導かれ、メインポンプ18の容積を制御するために用いられる。また、パイロットポンプ20のパイロット一次圧は、電磁比例弁24を介してコントロールバルブ19に導かれ、コントロールバルブ19を制御するために用いられる。
パイロットポンプ20と電磁比例弁24との間には、パイロットポンプ20の吐出配管であるパイロットラインを遮断可能なロックバルブ22が設けられている。ロックバルブ22は、油圧ショベル100が備える全ての油圧アクチュエータの動作可否を切り替え可能な動作ロック装置である。ロックバルブ22は、メインコントローラ110によって駆動するソレノイドによって回路遮断位置と回路連通位置に切り換えられる電磁切換弁である。運転室4内に設置されたロックレバーがロック位置にあるとき、ロックスイッチ12はOFF(端子間は開放)状態になっている。運転室4内に設置されたロックレバーがロック解除位置にあるとき、ロックスイッチ12はON(端子間は導通)状態になっている。
メインコントローラ110は、ロックスイッチ12の状態を監視している。メインコントローラ110は、ロックスイッチ12がOFF状態のときには、ロックバルブ22を非励磁状態の回路遮断位置とする。メインコントローラ110は、ロックスイッチ12がON状態のときには、ロックバルブ22を励磁状態の回路連通位置とする。
ロックバルブ22とコントロールバルブ19の間のパイロットラインには、電磁比例弁24が設けられている。メインコントローラ110は、操作装置15のレバー操作量の大きさに応じて、電磁比例弁24を駆動する。
ロックバルブ22が回路連通位置のときには、電磁比例弁24にパイロット一次圧が供給されている。操作装置15の操作レバーの操作方向および操作量に応じて、操作レバーおよびその操作方向に対応する電磁比例弁24が制御される。電磁比例弁24は、パイロット一次圧を減圧することによりパイロット操作圧を生成する。電磁比例弁24によって生成されたパイロット操作圧は、コントロールバルブ19内の対応する流量制御弁(スプール)を動かす。これにより、メインポンプ18から吐出される作動油の流れが、コントロールバルブ19によって制御され、対応する油圧アクチュエータが動作する。
ロックバルブ22が回路遮断位置のときには、電磁比例弁24にパイロット一次圧が供給されない。これにより、パイロット操作圧が生成されなくなるので(パイロット操作圧が0MPaとなるので)、油圧アクチュエータ(走行モータ1a、旋回モータ2a、ブームシリンダ3d、アームシリンダ3eおよびバケットシリンダ3f)の動作は不可となる。
-メインコントローラの機能-
図3は、メインコントローラ110の機能ブロック図である。図3に示すように、メインコントローラ110は、不揮発性メモリ92に記憶されているプログラムが実行されることにより、要求パイロット圧指令部35、電磁比例弁制御部36、位置姿勢演算部37、距離演算部38、侵入不可面設定部39および動作制限機能設定部40として機能する。
要求パイロット圧指令部35は、操作装置15からの操作信号を操作レバー操作量に変換する。操作レバー操作量は、例えばレバー中立のときには0%、フルレバー(最大操作)のときには100%となる値で表す。
要求パイロット圧指令部35は、操作レバー操作量から電磁比例弁24の要求パイロット圧を演算する。電磁比例弁制御部36は、要求パイロット圧をそれに対応する電磁比例弁24の制御電流値に変換し、電磁比例弁24のソレノイドに制御電流を出力して電磁比例弁24を駆動する。本実施形態では、制御電流値が増加するほど、電磁比例弁24で生成されるパイロット操作圧が大きくなる。これにより、油圧ショベル100は、オペレータの意図したレバー操作に従って動作する。
位置姿勢演算部37は、位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、ブーム角度、アーム角度、バケット角度、ピッチ角度、ロール角度および旋回角度を演算する。メインコントローラ110の不揮発性メモリ92には、当該油圧ショベル100の各部の寸法データが記憶されている。位置姿勢演算部37は、不揮発性メモリ92に記憶されている寸法データと、位置姿勢検出装置102の検出結果である位置姿勢情報に基づいて、ショベル基準座標系における作業装置3の複数の特定の位置を演算する。つまり、位置姿勢演算部37は、作業空間において作業装置3がどのような範囲に存在しているのかを演算する。
ショベル基準座標系は、油圧ショベル100の走行体1を基準としてx軸、y軸およびz軸が設定される直交座標系である。本実施形態では、図1に示すように、旋回体2の旋回中心軸CLと油圧ショベル100の底面(すなわち走行体1の接地面を含む平面)101とが交わる点が、ショベル基準座標系の原点Oとして設定される。ショベル基準座標系では、旋回中心軸CLがz軸として設定され、走行体1の前後方向(進行方向)に延びる軸がx軸として設定され、x軸およびz軸に直交する軸がy軸(図4参照)として設定される。位置姿勢演算部37は、位置姿勢検出装置102の検出結果である作業装置3の姿勢情報と、各部の寸法データとに基づいて、予め設定された作業装置3の特定の位置(以下、特定点とも記す)の座標(x,y,z)を演算する。特定点は、例えば、バケット3cの爪先の左端点、右端点、左右方向の中心点、アームシリンダ3e、バケットシリンダ3f、バケットリンク3gの所定位置などである。なお、本実施形態では、バケット3cの爪先の左右方向の中心点をバケット特定点Pbとも記す。
位置姿勢演算部37は、車体30の底面101からバケット特定点Pbまでの高さ、すなわち底面101からバケット特定点Pbまでの旋回中心軸方向の距離を演算する。
図3に示す侵入不可面設定部39は、オペレータの操作に応じて入力装置13から入力される操作情報と位置姿勢演算部37での演算結果に基づいて、車体30の底面101よりも上方において、底面101からの高さの異なる複数の扇形状面S(i)(図5参照)を設定する。扇形状面S(i)は、作業装置3の侵入を禁止する仮想的な面である。
図4および図5を参照し、扇形状面S(i)について説明する。なお、iは、複数の扇形状面S(i)を識別する変数であり、1からnまでの整数である。nは、設定される扇形状面S(i)の総数である。図4は、油圧ショベル100の平面図であり、扇形状面S(i)について示す。図5は、複数の扇形状面S(i)で設定される侵入不可面Sについて示す図である。図4および図5に示すように、扇形状面S(i)は、旋回体2の旋回中心軸CLに直交する扇形状の面である。
扇形状面S(i)は、第1半径(以下、右側半径と記す)Rr(i)、第2半径(以下、左側半径と記す)Lr(i)、および、右側半径Rr(i)と左側半径Lr(i)との間の円弧によって囲まれる面である。扇形状面S(i)は、基準線BLから右側半径Rr(i)までの第1角度(以下、右角度と記す)θR(i)と、基準線BLから左側半径Lr(i)までの第2角度(以下、左角度と記す)θL(i)と、基準面からの高さH(i)と、で規定される。本実施形態では、基準面は、油圧ショベル100の底面101、すなわちxy平面である。また、基準線BLは、走行体1の前後方向(進行方向)に延びる線であり、x軸に相当する。
右側半径Rr(i)および左側半径Lr(i)は、旋回中心軸CL(z軸)から延びる線分であり、その線分の長さは最大旋回半径に相当する。最大旋回半径は、作業装置3を前方(旋回中心軸に直交する方向)に向かって伸ばしたときの、旋回中心軸CLからバケット3cの先端(爪先)までの長さに相当する。最大旋回半径は、旋回中心軸CLに直交する方向における、旋回中心軸CLから作業装置3が届く位置までの最大の長さに相当する。最大旋回半径は、不揮発性メモリ92に記憶されている。
旋回角度θは、旋回中心軸方向から見た場合であって、バケット特定点Pbが基準線BL上に位置するときには0°となり、基準線BLから旋回体2が右旋回するにしたがって増加する。オペレータにより右角度θR(i)の設定操作が行われると、そのときの旋回体2の旋回角度θに基づいて右角度θR(i)が設定される。また、オペレータにより左角度θL(i)の設定操作が行われると、そのときの旋回体2の旋回角度θに基づいて左角度θL(i)が設定される。
侵入不可面設定部39は、入力装置13からの操作情報および位置姿勢演算部37での演算結果に基づいて、右角度θR(i)、左角度θL(i)および高さH(i)を設定する。侵入不可面設定部39は、扇形状面の設定数をn個(nは3以上)としたとき、(n-1)個の扇形状面のそれぞれを規定する右角度θR(i)、左角度θL(i)および高さH(i)に基づいて、(n-1)個の扇形状面を設定する。侵入不可面設定部39は、残り1個の扇形状面S(n)を規定する高さH(n)、および、旋回中心軸方向から見たときに(n-1)個の扇形状面S(n)により形成される扇形状の領域の両側辺の基準線BLからの角度に基づいて、残り1個の扇形状面S(n)を設定する。
なお、図示しないが、侵入不可面設定部39は、オペレータへ所定の操作を促す案内画像等を表示装置5に出力し、表示装置5の表示画面に表示させる。侵入不可面設定部39による扇形状面S(i)の設定方法の具体的な処理の流れについては後述する。
図3に示す距離演算部38は、位置姿勢演算部37で演算された作業装置3の各特定点と、侵入不可面設定部39で設定された扇形状面S(i)との最短距離、すなわちz軸方向の距離を演算する。なお、距離演算部38は、複数の各特定点と扇形状面S(i)との距離のうち、最も小さい値を移動可能距離dとして設定する。
動作制限機能設定部40は、オペレータの操作により入力装置13から入力される操作情報に基づいて、動作制限機能を有効または無効に設定する。動作制限機能設定部40は、オペレータにより有効操作がなされ、この操作に応じた操作情報が入力装置13から入力されると、動作制限機能を有効に設定する。動作制限機能設定部40は、オペレータにより無効操作がなされ、この操作に応じた操作情報が入力装置13から入力されると、動作制限機能を無効に設定する。
動作制限機能が無効に設定されているときには、電磁比例弁制御部36は、移動可能距離dにかかわらず、要求パイロット圧指令部35で演算された電磁比例弁24の要求パイロット圧を生成するように電磁比例弁24の制御電流値を演算する。
動作制限機能が有効に設定されているときには、電磁比例弁制御部36は、移動可能距離dに応じて電磁比例弁24の制御電流の上限を制限する。具体的には、電磁比例弁制御部36は、移動可能距離dが小さくなるほど制御電流の上限値を小さくする。これにより、移動可能距離dが小さくなるほど電磁比例弁24で生成されるパイロット操作圧(二次圧)が小さくなる。つまり、作業装置3が侵入不可面Sに近づくと作業装置3が減速し、作業装置3が侵入不可面Sに達する前に作業装置3を停止させることができる。このように、電磁比例弁制御部36は、作業装置3が侵入不可面Sに侵入しないように、移動可能距離dに応じて作業装置3の動作を制限する。
なお、電磁比例弁制御部36は、作業装置3を侵入不可面Sに侵入させる方向(作業装置3を侵入不可面Sに近づける方向)へ移動させる操作が行われた場合にのみ、電磁比例弁24の制御電流を制限する。つまり、電磁比例弁制御部36は、侵入不可面Sから作業装置3が離れる方向に移動する操作に対しては電磁比例弁24の制御電流を制限しない。また、電磁比例弁制御部36は、作業装置3が侵入不可面Sに侵入している状態で動作制限機能が無効から有効に切り換えられた場合などに、作業装置3を下方に移動させるような操作に対しても電磁比例弁24の制御電流を制限しない。
位置姿勢演算部37、距離演算部38および電磁比例弁制御部36は、位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、車体30の上方に設定された侵入不可面Sに作業装置3が侵入しないように、作業装置3の動作を制限する動作制限部として機能する。
図6を参照して、侵入不可面設定部39により実行される侵入不可面の設定処理の一例について詳しく説明する。侵入不可面の設定処理は、オペレータが入力装置13を用いて侵入不可面の設定処理の開始操作を行うことにより実行される。以下、オペレータによる入力装置13の操作と共に各処理について説明する。なお、本実施形態では、いわゆるダイレクトティーチ設定方法により、扇形状面S(i)が設定される。ダイレクトティーチ設定方法は、現在の作業装置3の特定点に基づいて扇形状面S(i)を設定する方法である。この設定方法では、作業装置3の特定点を所定の位置に配置させ、オペレータが、入力装置13の侵入不可面位置決定スイッチによる設定操作を行うことで、侵入不可面Sを規定する角度、高さの設定が可能となる。
オペレータが侵入不可面の設定処理の開始操作を行うと、侵入不可面設定部39は、設定する扇形状面S(i)の総数の入力を促す案内画像を表示装置5に表示させる。オペレータは、入力装置13を用いて扇形状面S(i)の総数nの入力操作を行う。これにより、侵入不可面設定部39は、ステップS110において、扇形状面S(i)の総数nを設定し、ステップS120へ進む。ステップS120において、侵入不可面設定部39は、識別変数iを1に設定し(i=1)、ステップS123へ進む。なお、ステップS120において、侵入不可面設定部39は、i個目の扇形状面S(i)の設定のための操作を受け付けている状態であることを示す案内画像を表示装置5の表示画面に表示させる。
オペレータは、入力装置13を用いて扇形状面S(i)を規定する右角度θR(i)の設定を開始するための操作を行う。さらに、オペレータは、旋回体操作用の操作レバーを操作して、所定の位置MR(i)(図4、図5参照)まで旋回体2を旋回させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて右角度θR(i)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から右角度θR(i)の設定操作に応じた操作情報(第1入力情報)が入力されると、ステップS123において、位置姿勢演算部37で演算された旋回角度θに基づいて右角度θR(i)を設定し、ステップS126へ進む。本実施形態では、位置姿勢演算部37で演算された旋回角度θを右角度θR(i)として設定する。
オペレータは、入力装置13を用いて扇形状面S(i)を規定する左角度θL(i)の設定を開始するための操作を行う。さらに、オペレータは、旋回体操作用の操作レバーを操作して、所定の位置ML(i)(図4、図5参照)まで旋回体2を旋回させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて左角度θL(i)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から左角度θL(i)の設定操作に応じた操作情報(第2入力情報)が入力されると、ステップS126において、位置姿勢演算部37で演算された旋回角度θに基づいて左角度θL(i)を設定し、ステップS129へ進む。
図7を参照して、左角度θL(i)の設定方法の詳細について説明する。侵入不可面設定部39は、位置姿勢演算部37で演算された旋回角度θを仮角度φ(φ≧0)として設定する。仮角度φは、油圧ショベル100を上方から見たときに、基準線BLから時計回りに左側半径Lr(i)まで増加する角度である。
侵入不可面設定部39は、以下の(条件1)が成立した場合(図7(a)参照)には、式(1)により左角度θL(i)を設定し、以下の(条件2)が成立した場合(図7(b)参照)には、式(2)により左角度θL(i)を設定する。
(条件1)仮角度φが右角度θR(i)よりも小さい(φ<θR(i))
(条件2)仮角度φが右角度θR(i)よりも大きい(φ>θR(i))
θL(i)=φ ・・・(1)
θL(i)=-(360°-φ) ・・・(2)
なお、φ=θR(i)が成立した場合、侵入不可面設定部39は、左角度を右角度と同じ値に設定することはできないことをオペレータに知らせるためのエラー画像を表示装置5の表示画面に表示させる。
オペレータは、入力装置13を用いて扇形状面S(i)を規定する高さH(i)の設定を開始するための操作を行う。さらに、オペレータは、作業装置操作用の操作レバーを操作して、所定の位置にバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)を位置させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて高さH(i)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から高さH(i)の設定操作に応じた操作情報(第3入力情報)が入力されると、図6に示すステップS129において、位置姿勢演算部37で演算された底面101からバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)までの旋回中心軸方向の距離を高さH(i)として設定し、ステップS132へ進む。
ステップS132において、侵入不可面設定部39は、ステップS123で設定された右角度θR(i)、ステップS126で設定された左角度θL(i)およびステップS129で設定された高さH(i)に基づいて、扇形状面S(i)を設定する。ここで、右側半径Rr(i)、左側半径Lr(i)、および、右側半径Rr(i)と左側半径Lr(i)との間の円弧によって囲まれる扇形状の面は2個ある。図7を参照して、2個の扇形状の面Sa,Sbのうち、いずれが扇形状面S(i)として設定されるのかについて説明する。
本実施形態では、侵入不可面設定部39は、中心角=θR(i)-θL(i)を満たす扇形状の面を扇形状面S(i)として設定する。つまり、侵入不可面設定部39は、図7に示すように、油圧ショベル100を上方から見たときに、左側半径Lr(i)から右側半径Rr(i)に向かって時計回りに延びる円弧を有する扇形状の面Saを扇形状面S(i)として設定する。換言すれば、侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見たときに、右側半径Rr(i)から左側半径Lr(i)に向かって反時計回りに延びる円弧を有する扇形状の面Saを扇形状面S(i)として設定する。
図6に示すように、侵入不可面設定部39は、扇形状面S(i)の設定処理(S132)を完了すると、ステップS135へ進む。ステップS135において、侵入不可面設定部39は、識別変数iが1であるか否かを判定する。侵入不可面設定部39は、識別変数iが1であると判定するとステップS141へ進み、識別変数iが1でないと判定するとステップS138へ進む。
ステップS141において、侵入不可面設定部39は、扇形状面S(n-1)の設定が完了したか否かを判定する。ステップS141において、侵入不可面設定部39は、扇形状面S(n-1)の設定は完了していないと判定した場合には、ステップS144へ進む。ステップS141において、侵入不可面設定部39は、扇形状面S(n-1)の設定は完了していると判定した場合には、ステップS147へ進む。
ステップS144において、侵入不可面設定部39は、識別変数iの値を1増やしてステップS123へ戻る。なお、ステップS144において、侵入不可面設定部39は、i個目の扇形状面の設定が完了し、(i+1)個目の扇形状面の設定のための操作を受け付けている状態であることを示す案内画像を表示装置5の表示画面に表示させる。
2個目以降の扇形状面S(i)の設定処理(S132)が完了すると、ステップS135において、識別変数iが1でないと判定され、扇形状面の補正処理(S138)が実行される。ステップS138において、侵入不可面設定部39は、旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面を補正する。以下、補正処理について詳細に説明する。
侵入不可面設定部39は、旋回方向に隣り合う2個の扇形状面のうちいずれが高いかを判定する。侵入不可面設定部39は、高い位置に設定されている扇形状面(上側扇形状面とも記す)を低い位置に設定されている扇形状面(下側扇形状面とも記す)と隙間なく、かつ、重なることなく隣接するように補正する。侵入不可面設定部39は、上側扇形状面の下側扇形状面側の半径の基準線BLからの角度を、下側扇形状面の上側扇形状面側の半径の基準線BLからの角度に基づいて設定する。
これにより、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面間に隙間がある場合には、2個の扇形状面のうちの高い位置に設定される扇形状面が拡大補正されることにより、隙間が埋められる。また、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面同士に重なりがある場合には、2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面が縮小補正されることにより、重なりがなくなる。
図8および図9を参照して、第1扇形状面S(1)と、第1扇形状面S(1)よりも高い位置に設定される第2扇形状面S(2)とが設定された場合に行われる補正処理について詳しく説明する。図8は、扇形状面が拡大補正される例について示し、図9は、扇形状面が縮小補正される例について示す。
図8(a)に示すように、旋回中心軸方向から見たときに、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)との間に隙間Sgが形成されている場合には、拡大補正処理が実行される。侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)の高さH(1)と、第2扇形状面S(2)の高さH(2)とを比較する。侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)のうち高い位置に設定される方を補正対象に設定する。図8に示す例では、高さH(2)>高さH(1)であるため、第2扇形状面S(2)が補正対象として設定される。
侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)まで増加する角度を第2扇形状面S(2)の右角度θR(2)に設定する。つまり、図8(b)に示すように、侵入不可面設定部39は、第2扇形状面S(2)の右側半径Rr(2)を第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)に一致させるように、第2扇形状面S(2)を拡大補正する。
このように、侵入不可面設定部39は、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面S(i)のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面の間の隙間Sgを埋めるように、旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面を補正する。
図9(a)に示すように、旋回中心軸方向から見たときに、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)とが重なり、重なり領域Sdが形成されている場合には、縮小補正処理が実行される。侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)の高さH(1)と、第2扇形状面S(2)の高さH(2)とを比較する。侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)のうち高い位置に設定される方を補正対象に設定する。図9に示す例では、高さH(2)>高さH(1)であるため、第2扇形状面S(2)が補正対象として設定される。
侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)まで増加する角度を第2扇形状面S(2)の右角度θR(2)に設定する。つまり、図9(b)に示すように、侵入不可面設定部39は、第2扇形状面S(2)の右側半径Rr(2)を第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)に一致させるように、第2扇形状面S(2)を縮小補正する。
このように、侵入不可面設定部39は、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面S(i)のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面同士の重なり領域Sdをなくすように、旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面を補正する。
なお、扇形状面の補正処理(S138)は、第2扇形状面S(2)を規定する右角度θR(2)と、第1扇形状面S(1)を規定する左角度θL(1)とが同じ場合には、省略してもよい。図6に示すように、侵入不可面設定部39は、扇形状面の補正処理(S138)を完了すると、ステップS141へ進む。侵入不可面設定部39は、ステップS141において、扇形状面S(n-1)の設定が完了したか否かを判定し、肯定判定した場合にはステップS147へ進む。
ステップS147において、侵入不可面設定部39は、残り1個の扇形状面S(n)を規定する高さH(n)の設定が可能な状態であることを表す案内画像を表示装置5の表示画面に表示させる。オペレータは、作業装置操作用の操作レバーを操作して、所定の位置にバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)を位置させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて高さH(n)の設定操作を行う。これにより、侵入不可面設定部39は、ステップS147において、位置姿勢演算部37で演算された底面101からバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)までの旋回中心軸方向の距離を扇形状面S(n)の高さH(n)として設定し、ステップS150へ進む。
ステップS150において、侵入不可面設定部39は、残り1個の扇形状面S(n)を規定する高さH(n)、および、旋回中心軸方向から見たときに(n-1)個の扇形状面S(i)により形成される扇形状の領域の両側辺の基準線BLからの角度を残り1個の扇形状面S(n)を規定する右角度θR(n)および左角度θL(n)として設定する。図8(b)および図9(b)に示すように、扇形状面S(i)の総数nが3の場合の例では、(n-1)個の扇形状面S(i)により形成される扇形状の領域の両側辺は、第1扇形状面S(1)の右側半径Rr(1)および第2扇形状面S(2)の左側半径Lr(2)である。
本実施形態では、侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第2扇形状面S(2)の左側半径Lr(2)まで増加する角度を第3扇形状面S(3)の右角度θR(3)に設定する。また、侵入不可面設定部39は、基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の右側半径Rr(1)まで増加する角度を仮角度φに設定する。さらに、侵入不可面設定部39は、(条件1)が成立する場合には、式(1)により第3扇形状面S(3)の左角度θL(3)を設定し、(条件2)が成立する場合には、式(2)により、第3扇形状面S(3)の左角度θL(3)を設定する。侵入不可面設定部39は、中心角=θR(3)-θL(3)を満たす扇形状の面を第3扇形状面S(3)として設定する。
つまり、侵入不可面設定部39は、複数の扇形状面S(i)を旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面S(i)全体で円形状を呈するように、残り1個の扇形状面S(n)を設定する。換言すれば、侵入不可面設定部39は、全ての扇形状面S(i)の中心角の和が360°となるように、残り1個の扇形状面S(n)を設定する。侵入不可面設定部39が最後の扇形状面S(n)の設定処理(S150)を完了すると、図5に示すような侵入不可面Sが設定され、図6のフローチャートに示す処理が終了する。
電磁比例弁制御部36は、複数の扇形状面S(i)が設定され、かつ、動作制限機能が有効に設定されると、扇形状面S(i)と作業装置3との間の移動可能距離dに応じて作業装置3の動作を制限する。これにより、油圧ショベル100は、扇形状面S(i)よりも下方の作業空間内で動作することになる。その結果、扇形状面S(i)よりも上方に配置されている障害物と作業装置3との接触が防止される。
また、本実施形態では、扇形状面S(i)を複数設定することができるので、円形状の侵入不可面を1つしか設定できない場合に比べて、作業空間を広くとることができる。これにより、油圧ショベル100による作業の効率の向上を図ることができる。一例として、油圧ショベル100が掘削積込作業を行う場合について説明する。掘削積込作業は、作業装置3により土砂を掘削し、旋回体2を旋回させてバケット3cを運搬車両の荷台の上方に配置させ、バケット3cをダンプ動作させることにより土砂を放土させ、運搬車両に土砂を積み込む作業である。
オペレータは、掘削領域の上方に電線等の障害物がある場合、その障害物よりも低い位置に扇形状面を設定する。また、オペレータは、運搬車両の上方を含む領域(掘削領域以外の領域)に、所定の高さの扇形状面(作業空間の最上面)を設定する。これにより、掘削領域の上方の障害物に油圧ショベル100が接触することを防止できる。また、運搬車両への積込作業において、作業装置3が上方へ行き過ぎることを防止できる。つまり、作業装置3の無駄な動作を防止できるので、掘削積込作業の効率を向上できる。なお、運搬車両の上方に障害物がある場合には、オペレータは、その障害物よりも低い位置に扇形状面を設定する。これにより、油圧ショベル100が積込作業を行う場合に、油圧ショベル100と障害物との接触を防止できる。
上述した実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)油圧ショベル(作業機械)100は、走行体1と走行体1に対して旋回可能に設けられる旋回体2とを有する車体30と、旋回体2に取り付けられる作業装置3と、旋回体2および作業装置3の位置姿勢情報を検出する位置姿勢検出装置102と、位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、車体30の上方に設定された侵入不可面に作業装置3が侵入しないように、作業装置3の動作を制限するメインコントローラ(制御装置)110と、オペレータによる侵入不可面の設定操作を行うための入力装置13と、を備えている。メインコントローラ110は、入力装置13から入力された操作情報(入力情報)と位置姿勢検出装置102の検出結果とに基づいて、旋回体2の旋回中心軸CLに直交する扇形状面S(i)を侵入不可面Sとして車体30の上方に設定する。メインコントローラ110は、位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、扇形状面S(i)に作業装置3が侵入しないように、作業装置3の動作を制限する。
この構成によれば、例えば、障害物が油圧ショベル100の上方の所定の範囲に存在している場合には、その障害物の位置および高さに応じて扇形状面S(1)を設定すればよい。その他の扇形状面は、障害物よりも高い位置に設定することができる。このため、扇形状面S(1)の外側の領域において、従来に比べて作業空間を広くとることができる。つまり、本実施形態によれば、侵入不可面Sを設定する場合であっても、作業空間を広くとることができ、作業効率の向上が可能な油圧ショベル100を提供することができる。
(2)侵入不可面Sは、車体30の底面101からの高さの異なる複数の扇形状面S(i)で設定される。本実施形態では、例えば、油圧ショベル100の上方に、高さの異なる複数の障害物が存在した場合に、それぞれの障害物の高さに応じた扇形状面S(i)を個別に設定することができる。したがって、本実施形態によれば、複数の扇形状面S(i)を設定する場合であっても、作業空間を広くとることができ、作業効率の向上が可能な油圧ショベル100を提供することができる。また、障害物が存在しない場合において、作業装置3の上方への行き過ぎを防止するために、扇形状面を設定することもできる。つまり、本実施形態によれば、作業装置3と障害物との接触を防止するための扇形状面と、作業効率の向上を目的とした扇形状面とを個別に設定することができる。その結果、本実施形態に係る油圧ショベル100では、障害物と作業装置3との接触を防止しつつ、作業効率を向上することができる。
(3)メインコントローラ110は、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面S(i)のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面の間の隙間を埋めるように、旋回体2の旋回方向に隣り合う上記2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面を補正して、侵入不可面Sを設定する。これにより、オペレータの操作により、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面間に隙間が形成された場合であっても、扇形状面が拡大することにより隙間が埋められる。その結果、作業装置3が隙間を通って扇形状面よりも上方に移動してしまうことが防止される。
また、メインコントローラ110は、隣り合う2個の扇形状面のうち低い方を拡大補正するのではなく、高い方を拡大補正する。したがって、本実施形態によれば、隣り合う2個の扇形状面のうち低い方を拡大補正する場合に比べて、作業空間を広くとることができ、作業効率を向上できる。
(4)扇形状面S(i)は、旋回体2の旋回中心軸CLからの右側半径(第1半径)Rr、旋回体2の旋回中心軸CLからの左側半径(第2半径)Lr、および、右側半径Rrと左側半径Lrとの間の円弧によって囲まれる面であり、基準線BLから右側半径Rrまでの右角度(第1角度)θRと、基準線BLから左側半径Lrまでの左角度(第2角度)θLと、車体30の底面(基準面)101からの高さHと、で規定される。メインコントローラ110は、操作情報(入力情報)と位置姿勢検出装置102の検出結果とに基づいて、上記扇形状面S(i)を規定する右角度θR、左角度θLおよび高さHを設定する。これにより、オペレータは、簡易な操作で、扇形状面S(i)を設定することができる。
(5)本実施形態では、侵入不可面Sを設定する複数の扇形状面S(i)は、少なくとも3個以上のn個の扇形状面S(i)で設定される。メインコントローラ110は、(n-1)個(すなわち、i=1,…,n-1)の扇形状面S(i)のそれぞれを規定する右角度θR(i)、左角度θL(i)および高さH(i)に基づいて、(n-1)個の扇形状面S(i)を設定する。メインコントローラ110は、残り1個の扇形状面S(n)を規定する高さH(n)、および、旋回中心軸方向から見たときに(n-1)個の扇形状面S(i)により形成される扇形状の領域の両側辺の基準線BLからの角度に基づいて、残り1個の扇形状面S(n)を設定する。
この構成によれば、オペレータは、全ての扇形状面S(i)を規定するための右角度θR(i)、左角度θL(i)および高さH(i)を設定するための操作を行う必要がない。オペレータは、複数の扇形状面S(i)のうち、最後の扇形状面S(n)については、高さH(n)のみ入力すればよい。したがって、簡易な操作で複数の扇形状面S(i)を設定することができる。
<第1実施形態の変形例1>
第1実施形態では、旋回方向に隣り合う扇形状面同士が重なっている場合に、隣り合う扇形状面のうち高い方を低い方に合わせて縮小補正する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。旋回方向に隣り合う扇形状面同士が重なっている場合には、図6のステップS138の補正処理は省略してもよい。
<第1実施形態の変形例2>
第1実施形態では、隣り合う扇形状面のうち高い方を低い方に合わせて補正する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。つまり、図6のステップS138の処理は省略することができる。なお、この場合、次のような侵入不可面の設定方法を採用することが好ましい。メインコントローラ110は、表示装置5の表示画面に、旋回体2を上方から見たときに反時計回りに(すなわち左旋回方向に)順番に扇形状面を設定することを案内する画像を表示させる。
メインコントローラ110は、識別変数iが2以上であるか否かを判定し、識別変数iが2以上である場合には、図6に示すステップS123において、1つ前の演算サイクルのステップS126において左角度θL(i-1)の演算に用いた仮角度φを右角度θR(i)に設定する。これにより、旋回方向に隣り合う扇形状面間に隙間が形成されることなく、複数の扇形状面S(i)が形成される。
この構成では、オペレータは、2個目以降の扇形状面S(i)の右角度θRを設定するための操作を行う必要がない。したがって、さらに、簡易な操作で複数の扇形状面S(i)を設定することができる。
<第1実施形態の変形例3>
第1実施形態では、複数の扇形状面S(i)を設定する際、オペレータが入力装置13を用いて扇形状面S(i)の総数nの入力操作を行う例について説明したが、本発明はこれに限定されない。設定する扇形状面S(i)の総数nは、一定の値としてもよい。この場合、予め不揮発性メモリ92に、扇形状面S(i)の総数nが記憶される。
<第1実施形態の変形例4>
図6のフローチャートでは、右角度設定処理(S123)、左角度設定処理(S126)、高さ設定処理(S129)の順に処理を実行する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ステップS123,S126,S129の設定処理は、任意の順番で実行できる。
<第2実施形態>
図10および図11を参照して、第2実施形態に係る油圧ショベル100について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第1実施形態では、複数の扇形状面S(i)を設定する際、オペレータが入力装置13を用いて扇形状面S(i)の総数nの入力操作を行う例について説明した。これに対して、第2実施形態では、オペレータが、任意の数の扇形状面を規定する右角度θL、左角度θRおよび高さHを入力するための操作を行った後、完了操作を行う。侵入不可面設定部39は、完了操作前までに入力された右角度θL、左角度θRおよび高さHに基づいて、複数の扇形状面S(i)を設定し、所定の扇形状面S(i)の補正を行って、侵入不可面Sを設定する。
以下、図10を参照して、第2実施形態に係る侵入不可面設定部39による侵入不可面の設定処理について詳しく説明する。図10は、図6と同様の図であり、第2実施形態に係る侵入不可面設定部39により実行される侵入不可面の設定処理の一例について示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、図6のフローチャートのステップS110の処理が省略され、ステップS135~S150の処理に代えて、ステップS241~S248の処理が実行される。
オペレータは、入力装置13を用いて1個目の扇形状面S(1)の設定を開始するための操作を行う。これにより、ステップS120において、侵入不可面設定部39は、識別変数iを1に設定し(i=1)、ステップS123へ進む。ステップS123~S132までの処理は、図6のフローチャートで説明した処理と同様であるので詳細な説明を省略する。侵入不可面設定部39は、ステップS123~S132において、複数の扇形状面S(i)のそれぞれを規定する右角度θR(i)、左角度θL(i)および高さH(i)を、入力装置13から入力される操作情報(入力情報)と位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて設定する。
侵入不可面設定部39は、扇形状面S(i)の設定処理(S132)を完了すると、ステップS241へ進む。ステップS241において、侵入不可面設定部39は、侵入不可面Sの設定操作を完了するためのオペレータの完了操作が行われたか否かを判定する。侵入不可面設定部39は、オペレータの完了操作に応じた操作情報が入力装置13から入力されると、完了操作が行われたと判定し、ステップS248へ進む。侵入不可面設定部39は、オペレータにより、完了操作が行われることなく、次の扇形状面を設定するための操作が行われた場合には、完了操作は行われなかったと判定し、ステップS244へ進む。
ステップS244において、侵入不可面設定部39は、識別変数iの値を1増やしてステップS123へ戻る。また、ステップS244において、侵入不可面設定部39は、i個目の扇形状面の設定が完了し、(i+1)個目の扇形状面の設定のための操作を受け付けている状態であることを示す案内画像を表示装置5の表示画面に表示させる。
ステップS248において、侵入不可面設定部39は、扇形状面S(i)の補正処理を実行する。侵入不可面設定部39は、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面S(i)のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面の間の隙間を埋めるように、旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面を補正する。侵入不可面設定部39が補正処理(ステップS248)を完了すると、侵入不可面Sが設定され、図10のフローチャートに示す処理が終了する。
図11を参照して、3個の扇形状面が設定された場合に行われる補正処理について説明する。図11(a)は補正処理が実行される前の状態を示し、図11(b)は補正処理が実行された後の状態を示している。図11(a)に示すように、旋回中心軸方向から見たときに、旋回方向に隣り合う扇形状面間に、隙間Sg12,Sg23,Sg31が形成されている。隙間Sg12は、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)との間に形成される隙間である。隙間Sg23は、第2扇形状面S(2)と第3扇形状面S(3)との間に形成される隙間である。隙間Sg31は、第3扇形状面S(3)と第1扇形状面S(1)との間に形成される隙間である。
図11に示す例では、第3扇形状面S(3)が最も高い位置に設定され、第1扇形状面S(1)が最も低い位置に設定され、第2扇形状面S(2)が第1扇形状面S(1)よりも高く、第3扇形状面S(3)よりも低い位置に設定されている。つまり、扇形状面の高さHの大小関係は、高さH(1)<高さH(2)<高さH3である。
侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)を規定する左半径Lr(1)まで増加する角度を第2扇形状面S(2)の右角度θR(2)に設定する。つまり、図11(b)に示すように、侵入不可面設定部39は、第2扇形状面S(2)の右側半径Rr(2)を第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)に一致させるように、第2扇形状面S(2)を拡大補正する。
侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第2扇形状面S(2)の左半径Lr(2)まで増加する角度を第3扇形状面S(3)の右角度θR(3)に設定する。また、侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の右側半径Lr(1)まで増加する角度を仮角度φに設定にする。さらに、侵入不可面設定部39は、(条件1)が成立する場合には、式(1)により第3扇形状面S(3)の左角度θL(3)を設定し、(条件2)が成立する場合には、式(2)により、第3扇形状面S(3)の左角度θL(3)を設定する。つまり、図11(b)に示すように、侵入不可面設定部39は、第3扇形状面S(3)の右側半径Rr(3)を第2扇形状面S(2)の左側半径Lr(2)に一致させ、かつ、第3扇形状面S(3)の左側半径Lr(3)を第1扇形状面S(1)の右側半径Rr(1)に一致させるように、第3扇形状面S(3)を拡大補正する。
以上のとおり、本第2実施形態に係るメインコントローラ110は、複数の扇形状面S(i)のそれぞれを規定する右角度(第1角度)θR(i)、左角度(第2角度)θL(i)および高さH(i)を、入力装置13から入力される操作情報(入力情報)と位置姿勢検出装置102の検出結果とに基づいて設定する。メインコントローラ110は、設定操作を完了するためのオペレータの完了操作に応じた操作情報(入力情報)が入力装置13から入力されると、旋回中心軸方向から見たときに、複数の扇形状面のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面の間の隙間を埋めるように、旋回体2の旋回方向に隣り合う上記2個の扇形状面のうち高い位置に設定される扇形状面を補正して、侵入不可面Sを設定する。
このような本第2実施形態によれば、第1実施形態で説明した作用効果に加え、次の作用効果を奏する。本第2実施形態では、予め扇形状面S(i)の総数nの入力操作を行う必要がない。このため、オペレータは、次々に扇形状面S(i)を設定し、任意のタイミングで任意の数の扇形状面S(i)の設定操作を完了することができる。
<第3実施形態>
図12および図13を参照して、第3実施形態に係る油圧ショベル100について説明する。なお、第1実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第1実施形態では、侵入不可面Sが3個以上の扇形状面S(i)で設定される例について説明した。これに対して、第3実施形態では、侵入不可面Sが第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)との2個の扇形状面で設定される例について説明する。
以下、図12および図13を参照して、第3実施形態に係る侵入不可面設定部39による侵入不可面の設定処理について詳しく説明する。図12は、図6と同様の図であり、第3実施形態に係る侵入不可面設定部39により実行される侵入不可面の設定処理の一例について示すフローチャートである。図13は、2個の扇形状面について示す図である。図12に示す侵入不可面の設定処理は、オペレータが入力装置13を用いて侵入不可面の設定処理の開始操作を行うことにより実行される。以下、オペレータによる入力装置13の操作と共に各処理について説明する。
オペレータは、入力装置13を用いて第1扇形状面S(1)を規定する右角度θR(i)の設定を開始するための操作を行う。さらに、オペレータは、旋回体操作用の操作レバーを操作して、図13に示す所定の位置MR(1)まで旋回体2を旋回させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて右角度θR(1)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から右角度θR(1)の設定操作に応じた操作情報(第1入力情報)が入力されると、図12に示すステップS323において、図6のステップS123と同様の処理により、位置姿勢演算部37で演算された旋回角度θに基づいて右角度θR(1)を設定し、ステップS326へ進む。
オペレータは、入力装置13を用いて第1扇形状面S(1)を規定する左角度θL(1)の設定を開始するための操作を行う。さらに、オペレータは、旋回体操作用の操作レバーを操作して、図13に示す所定の位置ML(1)まで旋回体2を旋回させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13により左角度θL(1)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から左角度θL(1)の設定操作に応じた操作情報(第2入力情報)が入力されると、図12に示すステップS326において、図6のステップS126と同様の処理により、位置姿勢演算部37で演算された旋回角度θに基づいて左角度θL(1)を設定し、ステップS329へ進む。
オペレータは、入力装置13を用いて第1扇形状面S(1)を規定する第1高さH(1)の設定を開始するための操作を行う。さらに、オペレータは、作業装置操作用の操作レバーを操作して、所定の位置にバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)を位置させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて第1高さH(1)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から第1高さH(1)の設定操作に応じた操作情報(第3入力情報)が入力されると、図12に示すステップS329において、位置姿勢演算部37で演算された底面101からバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)までの旋回中心軸方向の距離を第1高さH(1)として設定し、ステップS332へ進む。
ステップS332において、侵入不可面設定部39は、ステップS323で設定された右角度θR(1)、ステップS326で設定された左角度θL(1)およびステップS329で設定された第1高さH(1)に基づいて、第1扇形状面S(1)を設定する。ここで、図13に示すように、右側半径Rr(1)、左側半径Lr(1)、および、右側半径Rr(1)と左側半径Lr(1)との間の円弧によって囲まれる扇形状の面は、2つある。本実施形態では、油圧ショベル100を上方から見たときに、左側半径Lr(1)から右側半径Rr(1)に向かって時計回りに延びる円弧を有する扇形状の面を扇形状面S(1)として設定する。
図12に示すステップS332の処理は図6のステップS132と同様の処理であるため、詳細な説明は省略する。侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)の設定処理(S332)を完了すると、ステップS347へ進む。
ステップS347において、侵入不可面設定部39は、第2扇形状面S(2)を規定する第2高さH(2)の設定が可能な状態であることを表す案内画像を表示装置5の表示画面に表示させる。オペレータは、作業装置操作用の操作レバーを操作して、所定の位置にバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)を位置させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて第2高さH(2)の設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から第2高さH(2)の設定操作に応じた操作情報が入力されると、ステップS347において、位置姿勢演算部37で演算された底面101からバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)までの旋回中心軸方向の距離を第2扇形状面S(2)の第2高さH(2)として設定し、ステップS350へ進む。
ステップS350において、侵入不可面設定部39は、第2扇形状面S(2)を規定する第2高さH(2)、および、旋回中心軸方向から見たときに第1扇形状面S(1)の両側辺(右側半径Rr(1)および左側半径Lr(1))の基準線BLからの角度に基づいて、第2扇形状面S(2)を設定する。
具体的には、侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)まで増加する角度を第2扇形状面S(2)の右角度θR(2)に設定する。また、侵入不可面設定部39は、基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の右側半径Rr(1)まで増加する角度を仮角度φに設定する。さらに、侵入不可面設定部39は、(条件1)が成立する場合には、式(1)により第2扇形状面S(2)の左角度θL(2)を設定し、(条件2)が成立する場合には、式(2)により、第2扇形状面S(2)の左角度θL(2)を設定する。侵入不可面設定部39は、中心角=θR(2)-θL(2)を満たす扇形状の面を第2扇形状面S(2)として設定する。
つまり、侵入不可面設定部39は、図13に示すように、第1扇形状面S(1)および第2扇形状面S(2)を旋回中心軸方向から見たときに、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)とで円形状を呈するように、第2扇形状面S(2)を設定する。換言すれば、第1扇形状面S(1)の中心角と第2扇形状面S(2)の中心角の和が360°となるように、第2扇形状面S(2)を設定する。さらに別の言い方をすれば、侵入不可面設定部39は、右側半径Rr(1)、左側半径Lr(1)、および、右側半径Rr(1)と左側半径Lr(1)との間の円弧によって囲まれる2つの扇形状の面のうち、第1扇形状面S(1)では無い方の面を第2扇形状面S(2)として設定する。侵入不可面設定部39が第2扇形状面S(2)の設定処理を完了すると、侵入不可面Sが設定され、図12のフローチャートに示す処理が終了する。
以上のとおり、本第3実施形態では、第1扇形状面S(1)が、右側半径Rr(1)、左側半径Lr(1)、および、右側半径Rr(1)と左側半径Lr(1)との間の円弧によって囲まれる面であり、基準線BLから右側半径Rr(1)までの右角度θR(1)と、基準線BLから左側半径Lr(1)までの左角度θL(1)と、車体30の底面(基準面)101からの第1高さH1と、で規定される。また、第2扇形状面S(2)が、第1扇形状面S(1)を規定する右角度θR(1)および左角度θL(1)と、車体30の底面(基準面)101からの第2高さH2とに基づいて規定される。メインコントローラ110は、入力装置13からの操作情報(入力情報)と位置姿勢検出装置102の検出結果とに基づいて、第1扇形状面S(1)を規定する右角度θR(1)、左角度θL(1)および第1高さH(1)、ならびに第2扇形状面S(2)を規定する第2高さH(2)を設定する。
このような第3実施形態によれば、第1実施形態と同様、侵入不可面Sを設定する場合であっても、作業空間を広くとることができ、作業効率の向上が可能な油圧ショベル100を提供することができる。また、第2扇形状面S(2)を設定するための情報は、高さだけでよい。このため、簡易な操作で2個の扇形状面を設定することができる。
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態に係る侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)および第2扇形状面S(2)を旋回中心軸方向から見たときに、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)とで円形状を呈するように、第2扇形状面S(2)を設定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。
侵入不可面設定部39は、オペレータの操作に応じて入力装置13から入力される操作情報と位置姿勢検出装置102の検出結果とに基づいて、第2扇形状面S(2)を規定する右角度θR(2)、左角度θL(2)および第2高さH(2)を設定してもよい。本変形例に係る侵入不可面設定部39は、高さの異なる第1扇形状面S(1)および第2扇形状面S(2)を任意の大きさで設定することができる。
<第4実施形態>
図14および図15を参照して、第4実施形態に係る油圧ショベル100について説明する。なお、第3実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第3実施形態では、右角度θR(1)、左角度θL(1)および第1高さH(1)を設定するための操作を行うことにより扇形状の第1扇形状面S(1)が設定され、さらに第2高さH(2)を設定するための操作を行うことにより扇形状の第2扇形状面S(2)が設定される例について説明した。これに対して、第4実施形態では、円形状の侵入不可面(以下、円形侵入不可面とも記す)Scが設定されている状態において、追加で、扇形状面が設定される例について説明する。
以下、図14および図15を参照して、第4実施形態に係る侵入不可面設定部39による侵入不可面の設定処理について詳しく説明する。図14は、図6と同様の図であり、第4実施形態に係る侵入不可面設定部39により実行される侵入不可面の設定処理の一例について示すフローチャートである。図15は、第4実施形態に係る侵入不可面設定部39による侵入不可面の設定処理について説明する図である。図14に示す侵入不可面の設定処理は、オペレータが入力装置13を用いて侵入不可面の設定処理の開始操作を行うことにより実行される。以下、オペレータによる入力装置13の操作と共に各処理について説明する。
図14に示すように、ステップS412において、侵入不可面設定部39は、入力装置13からの操作情報に基づいて、オペレータにより円形侵入不可面を設定する操作が行われたか、あるいは追加侵入不可面を設定する操作が行われたかを判定する。ステップS412において、侵入不可面設定部39は、円形侵入不可面を設定する操作が行われたと判定すると、ステップS415へ進む。ステップS412において、侵入不可面設定部39は、追加侵入不可面を設定する操作が行われたと判定すると、ステップS423へ進む。
ステップS415において、侵入不可面設定部39は、円形侵入不可面Scを規定する高さHcの設定が可能な状態であることを表す案内画像を表示装置5の表示画面に表示させる。オペレータは、作業装置操作用の操作レバーを操作して、所定の位置にバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)を位置させた後、停止させる。その状態で、オペレータが、入力装置13を用いて高さHcの設定操作を行う。侵入不可面設定部39は、入力装置13から高さHcの設定操作に応じた操作情報が入力されると、ステップS415において、位置姿勢演算部37で演算された底面101からバケット3cの爪先(バケット特定点Pb)までの旋回中心軸方向の距離を円形侵入不可面Scの高さHcとして設定し、ステップS418へ進む。
ステップS418において、侵入不可面設定部39は、図15(a)に示すように、円形状の円形侵入不可面Scを高さHcに設定し、図14のフローチャートに示す処理を終了する。
メインコントローラ110は、円形侵入不可面Scが設定されると、円形侵入不可面Scと作業装置3との距離である移動可能距離dに応じて作業装置3の動作を制限する。これにより、油圧ショベル100は、円形侵入不可面Scよりも下方の作業空間内で動作することになる。その結果、円形侵入不可面Scよりも上方に配置されている障害物と作業装置3との接触が防止される。
円形侵入不可面Scが設定されている状態において、追加で扇形状面を設定したい場合、オペレータは、入力装置13を用いて、侵入不可面の設定処理の開始操作を行い、さらに追加侵入不可面を設定する操作を行う。これにより、侵入不可面設定部39は、図14に示すステップS412において、追加侵入不可面を設定する操作が行われたと判定し、ステップS423へ進む。
図14のステップS423,S426,S429,S432の処理は、図12のステップS323,S326,S329,S332の処理と同様であるので、説明を省略する。侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)の設定処理(S432)を完了すると、ステップS450へ進む。
ステップS450において、侵入不可面設定部39は、円形侵入不可面Scを規定する高さHcと、旋回中心軸方向から見たときに第1扇形状面S(1)の両側辺(右側半径Rr(1)および左側半径Lr(1))の基準線BLからの角度に基づいて、第2扇形状面S(2)を設定する。
侵入不可面設定部39は、図15(a)に示す円形侵入不可面Scに代えて、図15(b)に示す扇状の第2扇形状面S(2)を設定する。別の言い方をすれば、侵入不可面設定部39は、図15(a)に示す円形侵入不可面Scを縮小補正して、図15(b)に示す扇状の第2扇形状面S(2)とする。
具体的には、侵入不可面設定部39は、油圧ショベル100を上方から見て基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)まで増加する角度を第2扇形状面S(2)の右角度θR(2)に設定する。また、侵入不可面設定部39は、基準線BLから時計回りに第1扇形状面S(1)の右側半径Rr(1)まで増加する角度を仮角度φに設定する。さらに、侵入不可面設定部39は、(条件1)が成立する場合には、式(1)により第2扇形状面S(2)の左角度θL(2)を設定し、(条件2)が成立する場合には、式(2)により、第2扇形状面S(2)の左角度θL(2)を設定する。侵入不可面設定部39は、中心角=θR(2)-θL(2)を満たす扇形状の面を第2扇形状面S(2)として設定する。
つまり、侵入不可面設定部39は、図15に示すように、第1扇形状面S(1)および第2扇形状面S(2)を旋回中心軸方向から見たときに、第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)とで円形状を呈するように、第2扇形状面S(2)を設定する。換言すれば、侵入不可面設定部39は、第1扇形状面S(1)の中心角と第2扇形状面S(2)の中心角の和が360°となるように、第2扇形状面S(2)を設定する。侵入不可面設定部39が第2扇形状面S(2)の設定処理を完了すると、図15(b)に示すような侵入不可面Sが設定され、図14のフローチャートに示す処理が終了する。
以上のとおり、メインコントローラ110は、入力装置13からの操作情報および位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、右角度θR、左角度θLおよび高さHを設定する。メインコントローラ110は、円形侵入不可面Scを規定する高さHcに基づいて、円形侵入不可面Scを設定する。さらに、メインコントローラ110は、第1扇形状面S(1)を規定する右角度θR(1)、左角度θL(1)および高さH(1)に基づいて、第1扇形状面S(1)を追加で設定する。この場合、メインコントローラ110は、円形侵入不可面Scを規定する高さHc、ならびに、第1扇形状面S(1)を規定する右角度θR(1)および左角度θL(1)に基づいて、円形侵入不可面Scを補正することで第2扇形状面S(2)を設定する。
このような第4実施形態によれば、第1実施形態と同様、侵入不可面Sを設定する場合であっても、作業空間を広くとることができ、作業効率の向上が可能な油圧ショベル100を提供することができる。また、第2扇形状面S(2)を設定するための情報は、高さだけでよい。このため、簡易な操作で2個の扇形状面を設定することができる。
<第5実施形態>
図16および図17を参照して、第5実施形態に係る油圧ショベル100について説明する。なお、第3実施形態で説明した構成と同一もしくは相当する構成には同一の参照番号を付し、相違点を主に説明する。第3実施形態では、旋回中心軸CLに直交する2個の扇形状面S(1),S(2)が形成される例について説明した。これに対して、第5実施形態では、侵入不可面設定部39が、旋回中心軸CLに平行な面であって、旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面S(1),S(2)を接続する補助侵入不可面Va,Vbを設定する。補助侵入不可面Va,Vbは、扇形状面S(1),S(2)と同様、作業装置3の侵入を禁止する仮想的な面である。
図16および図17を参照して、第5実施形態に係る侵入不可面設定部39による侵入不可面の設定処理について詳しく説明する。図16は、図6と同様の図であり、第5実施形態に係る侵入不可面設定部39により実行される侵入不可面の設定処理の一例について示すフローチャートである。図17は、第5実施形態に係る侵入不可面設定部39により設定される第1扇形状面S(1)、第2扇形状面S(2)、第1補助侵入不可面Va、および第2補助侵入不可面Vbについて示す図である。図16に示す侵入不可面の設定処理は、オペレータが入力装置13を用いて侵入不可面の設定処理の開始操作を行うことにより実行される。
図16のフローチャートには、図12のフローチャートのステップS350の処理の後にステップS560の処理が追加されている。侵入不可面設定部39は、第2扇形状面S(2)の設定処理(S350)を完了すると、ステップS560へ進む。
ステップS560において、侵入不可面設定部39は、第1補助侵入不可面Vaおよび第2補助侵入不可面Vbを設定する。図17に示すように、第1補助侵入不可面Vaは、第1扇形状面S(1)の右側半径Rr(1)と第2扇形状面S(2)の左側半径Lr(2)とを接続する平面である。第2補助侵入不可面Vbは、第1扇形状面S(1)の左側半径Lr(1)と第2扇形状面S(2)の右側半径Rr(2)とを接続する平面である。第1補助侵入不可面Vaおよび第2補助侵入不可面Vbは、旋回中心軸CLに平行な面、すなわち、扇形状面S(1),S(2)に直交する面である。
侵入不可面設定部39は、補助侵入不可面Va,Vbの設定処理(S560)を完了すると図16のフローチャートに示す処理を終了する。
電磁比例弁制御部36は、複数の補助侵入不可面Va,Vbが設定され、かつ、動作制限機能が有効に設定されると、作業装置3が補助侵入不可面Va,Vbに侵入しないように、補助侵入不可面Va,Vbと作業装置3の特定点との間の旋回方向の距離である移動可能距離に応じて旋回体2の動作を制限する。これにより、旋回体2の動作により、作業装置3が第1扇形状面S(1)の上方に位置する障害物に接触することを防止できる。
なお、補助侵入不可面Va,Vbと作業装置3の特定点との間の旋回方向の距離を表すパラメータとしては、補助侵入不可面Va,Vbと作業装置3の特定点との間の旋回方向の角度を採用できる。この場合、距離演算部38は、位置姿勢演算部37で演算された作業装置3の特定点と原点Oとを結ぶ直線と、特定点の旋回方向に存在する補助侵入不可面とのなす角度を、旋回方向の距離を表すパラメータとして採用する。
<第5実施形態の変形例1>
第5実施形態では、補助侵入不可面Va,Vbが旋回中心軸CLに平行な面である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第3実施形態の変形例に係る侵入不可面設定部39により設定される第1扇形状面S(1)と第2扇形状面S(2)との間には、旋回中心軸方向から見たときに隙間が形成される場合がある。このような扇形状面同士を補助侵入不可面Va,Vbで接続する場合、図18に示すように、補助侵入不可面Va,Vbは旋回中心軸CLに対して傾斜する面となる。本変形例によれば、第5実施形態と同様、旋回体2の動作により、作業装置3が第1扇形状面S(1)の上方に位置する障害物に接触することを防止できる。
<第5実施形態の変形例2>
第5実施形態では、第3実施形態に係る侵入不可面設定部39により設定された2個の扇形状面同士を接続する補助侵入不可面Va,Vbについて説明したが、本発明はこれに限定されない。第1実施形態、第2実施形態において、旋回中心軸CLに平行な面であって、複数の扇形状面S(i)のうち旋回体2の旋回方向に隣り合う2個の扇形状面を接続する補助侵入不可面を設定してもよい。この場合、旋回方向に隣り合う全ての扇形状面同士を補助侵入不可面で接続することが好ましい。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
<変形例1>
侵入不可面設定部39による処理の流れは、上記実施形態で説明した流れに限定されない。例えば、図10のステップS132の処理は、ステップS241において肯定判定された後に実行してもよい。
<変形例2>
上記実施形態では、バケット特定点Pbが、バケット3cの爪先の左右方向の中心点である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。侵入不可面設定部39は、角度θL(i),θR(i)を設定するときに、バケット特定点を選択してもよい。例えば、侵入不可面設定部39は、左角度θL(i)を設定するときにはバケット特定点をバケット3cの爪先の左端点とし、右角度θR(i)を設定するときにはバケット特定点をバケット3cの爪先の右端点としてもよい。
<変形例3>
第1~第4実施形態では、メインコントローラ110が、位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、扇形状面S(i)に作業装置3が侵入しないように、作業装置3の動作を制限する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。メインコントローラ110は、扇形状面S(i)の周方向に作業装置3が配置されている状態で、旋回体2が旋回した場合に、扇形状面S(i)に作業装置3が侵入しないように、扇形状面S(i)と作業装置3との周方向距離に応じて旋回体2の動作を制限してもよい。つまり、メインコントローラ110は、位置姿勢検出装置102の検出結果に基づいて、扇形状面S(i)に作業装置3が侵入しないように、旋回体2または作業装置3の動作を制限する機能を有していればよい。
<変形例4>
上記実施形態では、現在の作業装置3の位置に基づいて侵入不可面が設定されるダイレクトティーチ設定方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。オペレータが、右角度θR、左角度θLおよび高さHを数値で入力する数値入力設定方法を採用してもよい。この場合、侵入不可面設定部39は、オペレータの操作に応じて入力装置13から入力される操作情報である数値に基づいて、右角度θR、左角度θLおよび高さHを設定する。
<変形例5>
上記実施形態では、作業機械がクローラ式の油圧ショベルである例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ホイール式の油圧ショベル、クローラ式またはホイール式のクレーン等の作業機械に本発明を適用してもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。