JP2022148465A - コンクリート床構造体及びその製造方法 - Google Patents

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宏 住岡
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Abstract

【課題】張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さに優れたコンクリート床構造体の製造方法を提供すること。【解決手段】コンクリート床構造体100,110の製造方法は、コンクリート床30の上面に、セルフレベリング材用プライマー層34及びセルフレベリング材スラリー硬化体層36をこの順に設ける工程と、セルフレベリング材スラリー硬化体層36の上面に、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して、張り床材用プライマー層37を設ける工程と、張り床材用プライマー層37の上面に、張り床材用接着剤層38及び張り床材用仕上げ材39をこの順に設ける工程とを備える。有機ケイ素化合物の含有率は樹脂成分及び有機ケイ素化合物の総量を基準として15~30質量%である。樹脂成分及び有機ケイ素化合物の塗布量は130~400g/m2である。【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート床構造体及びその製造方法に関する。
オフィス又は事務所をはじめとして、病院、工場、倉庫等の建築物では、一般的にコンクリート床面の仕上げに各種樹脂系張り床材が用いられることが多い。これらの張り床材をコンクリート床の仕上げ材として用いた場合、床面の耐動荷重性、耐摩耗性、耐薬品性、抗菌性、帯電防止性等が向上する効果が得られる傾向にある。これらの張り床材を施工する場合の下地層施工法としては、コンクリート直押え工法、モルタル類、セルフレベリング材等を用いる打ち継ぎ工法が知られている。
特許文献1には、床下地材としてセメント、骨材、及び保水剤を主成分とし、合成樹脂として酢酸ビニル樹脂、バーサチック酸ビニル樹脂、酢酸ビニル-バーサチック酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体、酢酸ビニル-バーサチック酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、及びSBR(スチレン・ブタジエンゴム)からなる少なくとも1種以上を含有するセルフレベリング材を使用することによって、セルフレベリング材の施工後、乾燥中に合成樹脂が表面に集合し、その状態で硬化することにより、優れたセルフレベリング性と表面に鏡面に近い緻密さとが得られ、合成樹脂様の表面状態を得ることができることが記載されている。さらに、特許文献1には、コンクリート、木質、金属等の下地の上に、このセルフレベリング材を使用して下地を形成し、その上面に張り床等を施工して供用し、張り床材が老朽化した場合には容易に除去することが可能なため、改装時等に接着剤付き床材を張り替える作業の効率が著しく向上し、作業時間も大幅に短縮されることが開示されている。
また、特許文献2には、コンクリート床上面に、セルフレベリング材スラリー用プライマー層を設ける工程と、セルフレベリング材用プライマー層の上面にアルミナセメントと粉末樹脂とを含むセルフレベリング材と水とを混練して調製したスラリーを打設して硬化させる工程と、セルフレベリング材スラリー硬化体層の上面に張り床材用プライマー層を設ける工程と、張り床材用プライマー層の上面に張り床材用接着剤を塗布して張り床材用接着剤層を設ける工程と、張り床材用接着剤層の上面に張り床材用仕上げ材を敷設して接着させる工程とを含むことを特徴とするコンクリート床構造体の製造方法によって、優れた水平レベル性、速硬性、及び速乾性に有し、厳しい供用環境においても優れた耐久性を有する張り床仕上げのコンクリート床構造体が得られることが開示されている。
特開2003-20263号公報 特開2009-203790号公報
コンクリート床上面にセルフレベリング材を施工し、さらにその上に張り床材を施工してコンクリート床構造体を得る場合、張り床材とセルフレベリング材スラリー硬化体との接着強さの向上のため、張り床材用プライマーをセルフレベリング材スラリー硬化体表面に塗布する場合がある。しかし、セルフレベリング材の施工又は養生条件の違いでセルフレベリング材スラリー硬化体の表層部の品質が変化することがあり、張り床材用プライマーを塗布しても張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との充分な接着強さが安定して得られないことがある。
そこで、本発明は、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さに優れたコンクリート床構造体の製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む所定の張り床材用プライマーを、所定の条件でセルフレベリング材スラリー硬化体層の上面に塗布することによって、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さが優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一側面は、コンクリート床構造体の製造方法に関する。当該コンクリート床構造体の製造方法は、コンクリート床の上面に、セルフレベリング材用プライマーを塗布してセルフレベリング材用プライマー層を設ける工程と、セルフレベリング材用プライマー層の上面に、セルフレベリング材と水とを混練して調製したセルフレベリング材スラリーを打設し、セルフレベリング材スラリーの硬化体を含むセルフレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程と、セルフレベリング材スラリー硬化体層の上面に、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して張り床材用プライマー層を設ける工程と、張り床材用プライマー層の上面に、張り床材用接着剤を塗布して張り床材用接着剤層を設ける工程と、張り床材用接着剤層の上面に、張り床材用仕上げ材を敷設し、張り床材用接着剤層と張り床材用仕上げ材とを接着させる工程とを備える。張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率は、樹脂成分及び有機ケイ素化合物の総量を基準として、15~30質量%である。張り床材用プライマー中の樹脂成分及び有機ケイ素化合物の塗布量は、130~400g/mである。
このような製造方法によれば、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さに優れたコンクリート床構造体を安定して製造することができる。このような効果が奏する理由を、本発明者らは以下のように考えている。セルフレベリング材スラリー硬化体層の上面に、所定量の有機ケイ素化合物を含む張り床材用プライマーを塗布することによって、張り床材用プライマーがセルフレベリング材スラリー硬化体へより深く浸透し、張り床材用プライマーによって強化された層がセルフレベリング材スラリー硬化体の表面からより深く生じる。このような作用によって、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さが向上すると推測される。
コンクリート床構造体の製造方法における好ましい態様を以下に示す。これらの好ましい態様は、複数組み合わせることができる。
1)セルフレベリング材は、速硬系セメント及び/又は石膏を含む速硬系セルフレベリング材であること。
2)セルフレベリング材スラリーの硬化体表面のショア硬度は、スラリーを打設(施工)してから6時間後に、50以上であること。
3)セルフレベリング材スラリーの硬化体表面の水分量は、スラリーを打設(施工)してから24時間後に、5%未満(D値=690未満)であること。
4)セルフレベリング材スラリーの硬化体の長さ変化率の膨張は、0~0.08%であり、長さ変化率の収縮は、-0.08~0%であること。
5)張り床材用プライマーに含まれる樹脂成分は、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂の硬化剤であること。
6)張り床材用プライマーに含まれる有機ケイ素化合物は、アルコキシシラン類であること。
7)張り床材用仕上げ材は、塩化ビニル系張り床材用仕上げ材であること。
8)張り床材用仕上げ材の厚さは、1~10mmであること。
本発明の他の一側面は、コンクリート床構造体に関する。当該コンクリート床構造体は、コンクリート床と、セルフレベリング材用プライマー層と、セルフレベリング材スラリー硬化体層と、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して形成される張り床材用プライマー層と、張り床材用接着剤層と、張り床材用仕上げ材とをこの順に備える。張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率は、樹脂成分及び有機ケイ素化合物の総量を基準として、15~30質量%である。張り床材用プライマー中の樹脂成分及び有機ケイ素化合物の塗布量は130~400g/mである。
本発明によれば、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さに優れたコンクリート床構造体の製造方法が提供される。また、本発明によれば、このような製造方法によって得られるコンクリート床構造体が提供される。
図1(a)、図1(b)、図1(c)、図1(d)、及び図1(e)は、コンクリート床構造体の製造する過程を模式的に示す断面図である。 図2(a)及び図2(b)は、セルフレベリング材スラリーの硬化体の長さ変化測定装置を模式的に示す断面図である。 図3(a)、図3(b)、及び図3(c)は、セルフレベリング材スラリーが硬化する過程の試料の長さ変化の一例を模式的に示す図である。 図4は、剥離接着強さの測定で得られる引っ張り荷重曲線の一例を模式的に示す図である。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、張り床材とは、張り床材用プライマー、張り床材用接着剤、及び張り床材用仕上げ材から構成されるものを意味する。本明細書において、張り床材層とは、張り床材用プライマー層、張り床材用接着剤層、及び張り床材用仕上げ材から構成されるものを意味する。
図1(a)、図1(b)、図1(c)、図1(d)、及び図1(e)は、コンクリート床構造体の製造する過程を模式的に示す断面図である。本実施形態のコンクリート床構造体及びその製造方法について、図1(a)~図1(e)に従って説明する。
まず、図1(a)に示すように、コンクリート床30を準備する。コンクリート床は、建築物のコンクリート床であってよい。コンクリート床30の上面30aには、凹凸(小さな凹凸)32又は傾斜(微妙な傾斜)33が存在し得る。次いで、図1(b)に示すように、コンクリート床30の上面30aに、セルフレベリング材用プライマーを施工し、セルフレベリング材用プライマー層34を設ける。次いで、セルフレベリング材用プライマー層34が乾燥して造膜した後に、図1(c)に示すように、セルフレベリング材スラリー35を打設する。
セルフレベリング材スラリーは、セルフレベリング材を袋物の形態で施工現場に搬入し、施工場所の近傍で現場設置型の混合混練装置、ハンドミキサー等の混合機を用いて、所定量の水とセルフレベリング材とを混合することによって調製することができる。
次いで、コンクリート床30上に供給・施工されたセルフレベリング材スラリー35が硬化し、スラリー硬化体表面の水分量が5%未満(D値が690未満)になるまで低下させる。これによって、セルフレベリング材スラリーの硬化体を含むセルフレベリング材スラリー硬化体層を形成することができる。次いで、図1(d)及び図1(e)に示すように、セルフレベリング材スラリー硬化体層36の上面に、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して、張り床材用プライマー層37を設け、張り床材用プライマー層37の上面に、張り床材用接着剤を塗布して、張り床材用接着剤層38を設け、張り床材用接着剤層38の上面に、張り床材用仕上げ材39を敷設し、張り床材用接着剤層38と接着させる。これによって、張り床仕上げを施した床表面39aを有するコンクリート床構造体100,110を得ることができる。
本実施形態においては、速硬性に優れるセルフレベリング材を用いて良好な平面性を有するコンクリート床下地を効率よく形成することができる。これにより、図1(d)に示すように、張り床材用仕上げ材39の厚みが小さい場合はもちろんのこと、図1(e)に示すように、張り床材用仕上げ材39の厚みが大きい場合、又は、硬質の張り床材用仕上げ材を施工した場合でも、張り床材用接着剤層38及び張り床材用仕上げ材39の間の隙間を形成することなく、欠陥のない水平レベル性に優れた、張り床仕上げのコンクリート床構造体を容易に形成することができる。
次に、本実施形態で使用されるセルフレベリング材用プライマー、セルフレベリング材(セルフレベリング材スラリー)、及び張り床材について説明する。
本実施形態で使用されるセルフレベリング材用プライマーは、セルフレベリング材スラリーを打設した際に、スラリー中の水分がコンクリート床に浸透する作用を防止するため、及び、コンクリート床とセルフレベリング材スラリー硬化体層とを強固に接着するために用いられる。
セルフレベリング材用プライマーは、例えば、アクリル-スチレン共重合樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体等の樹脂成分を主成分とする市販品を、その種類によらず使用することができる。樹脂成分は、好ましくはアクリル-スチレン共重合樹脂である。例えば、セルフレベリング材用プライマー中の樹脂成分が45質量%であるプライマーを用いる場合、プライマーの塗布量は、良好な接着強さを安定して得る観点から、好ましくは50~240g/m、より好ましくは60~225g/m、さらに好ましくは70~200g/m、特に好ましくは80~180g/mである。セルフレベリング材用プライマーは、適宜水を加えて希釈して用いることができる。
セルフレベリング材用プライマーの塗布後の乾燥時間は、温度条件又は通風条件に応じて適宜設定することができる。セルフレベリング材用プライマーの塗布後の乾燥時間は、夏季では好ましくは3~8時間であり、冬季では好ましくは5~12時間である。
本実施形態で使用されるセルフレベリング材は、例えば、セメント系セルフレベリング材、石膏系セルフレベリング材等の市販品を使用することができる。セルフレベリング材は、工期短縮の観点から、水硬性成分として、速硬系セメント及び/又は石膏を含む速硬系セルフレベリング材を使用することが好ましい。
速硬系セメントとしては、カルシウムアルミネート、カルシウムサルフォアルミネート、カルシウムフルオロアルミネート等を主成分とする市販品を、その種類によらず使用することができる。
カルシウムアルミネートのCaO/Alのモル比は、1以上であることが好ましく、特にCaO/Alのモル比が1であるモノカルシウムアルミネートを主成分としたアルミナセメントを使用することが、適度な可使時間及び速硬性が得られることから好ましい。
石膏は、無水石膏、半水石膏、二水石膏等の各石膏をその種類によらず、1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
セルフレベリング材は、水と混合・撹拌してセルフレベリング材スラリー(モルタル)を製造することができ、水の添加量を調整することにより、スラリー(モルタル)の流動性、可使時間、材料分離性、スラリー(モルタル)硬化体の強度等を調整することができる。
セルフレベリング材スラリーにおけるセルフレベリング材(S)と水(W)との質量比(W/S)は、好ましくは0.16~0.28、より好ましくは0.17~0.27、さらに好ましくは0.18~0.26、特に好ましくは0.19~0.25である。
セルフレベリング材は、水と混合して調製したセルフレベリング性(自己流動性)を有するスラリー(モルタル)のフロー値が、好ましくは190~270mm、より好ましくは200~260mm、さらに好ましくは210~255mmに調整されていることが望ましい。フロー値がこのような範囲にあると、施工の容易さ及び平滑性の高い硬化体表面を得られ易い傾向にある。
セルフレベリング材スラリーの施工厚さは、コンクリート床スラブ表面の凹凸状態やスラブ面の傾斜状態によって異なり、個々の施工現場毎に適宜厚さを設定することができる。セルフレベリング材スラリーの施工厚さは、床スラブ面の最も凸部分上面を基準にして、好ましくは2~70mm、より好ましくは2~50mm、さらに好ましくは2~40mm、特に好ましくは2~30mmである。
セルフレベリング材スラリーを床スラブ面の最も凸部分上面を基準にして2~5mmの高さまで薄く施工する場合は、スラリーを流し込み施工しながら、スパイクローラー、とんぼ、コテ等を用いてスラリーを均等に広げる操作を行い、床スラブ全体に薄層で高い水平レベルのスラリーを形成することが好ましい。セルフレベリング材スラリーを床スラブ面の最も凸部分上面を基準にして5~70mmの高さまで厚く施工する場合は、スラリーを流し込み施工しながら、とんぼ等を用いてスラリーが均等に広がるように補助的な操作を行い、床スラブ全体に厚層で高い水平レベルのスラリーを形成することが好ましい。
セルフレベリング材スラリーの硬化体表面のショア硬度は、スラリーを打設(施工)してから、好ましくは6時間後に50以上、より好ましくは4時間後に50以上、さらに好ましくは3.5時間後に50以上、特に好ましくは3時間後に50以上である。スラリーの打設(施工)が終了した後、速やかに硬化が進行してセルフレベリング材スラリーの打設(施工)が完了する。
また、セルフレベリング材スラリーの硬化体表面の水分量は、張り床材の施工に適した水分量である5%未満(D値=690未満)に到達するまでの時間(スラリーの打設からの経過時間)が、好ましくは12~24時間であり、より好ましくは12~22時間であり、さらに好ましくは12~20時間であり、特に好ましくは12~18時間である。このようなセルフレベリング材を用いることによって、速やかに良好な硬化状態と表面乾燥状態とを得ることができ、次工程である張り床材の施工を早期に開始できる。
セルフレベリング材スラリーの硬化体の長さ変化率の膨張は、好ましくは0~0.08%、より好ましくは0~0.06%、さらに好ましくは0~0.05%の範囲であり、長さ変化率の収縮が好ましくは-0.08~0%、より好ましくは-0.06~0%、さらに好ましくは-0.05~0%の範囲である。このような膨張又は収縮の特性を有するセルフレベリング材を用いることによって、硬化体自体のクラック発生を防止でき、さらに下地となるコンクリート床及びこの上面に施工される張り床材との間で高い接着強さを保持できる傾向にある。なお、長さ変化率がこのような範囲を外れた場合には、セルフレベリング性スラリーの硬化体の硬化収縮によってクラックが生じるおそれがあり、そのクラックを介して下地のコンクリート床の離脱水分が拡散して、上面の張り床材層に膨れが生じるおそれがある。
本実施形態で使用される張り床材層は、張り床材用プライマー層、張り床材用接着剤層、及び張り床材用仕上げ材から構成される。張り床材用プライマー層及び張り床材用接着剤層は、それぞれ張り床材用プライマー及び張り床材用接着剤から形成することができる。
張り床材用プライマー層は、コンクリート床下地との接着性向上のために用いられる層である。張り床材用プライマー層を形成するための張り床材用プライマーは、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む。張り床材用プライマーは、樹脂成分及び有機ケイ素化合物が主成分であり得る。
樹脂成分は、例えば、硬化性樹脂と、硬化性樹脂の硬化剤とから構成され得る。硬化性樹脂としては、例えば、溶剤形エポキシ樹脂、無溶剤形エポキシ樹脂、水性型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂などが挙げられる。硬化性樹脂は、好ましくはエポキシ樹脂である。硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化性樹脂の硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤であり得る。エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、変性アミン(ケチミン(ケトイミン))等のアミン類;イミダゾール類;酸無水物類などが挙げられる。樹脂成分は、好ましくはエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂の硬化剤である。張り床材用プライマーは、低粘度で含浸性に優れるものであることが好ましい。樹脂成分(例えば、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤)を含む張り床材用プライマーは、市販品を用いることができる。
張り床材用プライマーは、樹脂成分に加えて、有機ケイ素化合物を含む。張り床材用プライマーが有機ケイ素化合物を含むことによって、セルフレベリング材スラリー硬化体層に対する張り床材層の接着強さを向上させることができる。このような効果を奏する理由としては、張り床材用プライマーがセルフレベリング材スラリーの硬化体へより深く浸透し、張り床材用プライマーによって強化された層がセルフレベリング材スラリー硬化体の表面からより深く生じるためであると考えている。
有機ケイ素化合物は、好ましくはアルコキシシラン類である。アルコキシシラン類は、好ましくはテトラエトキシシランである。
張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率は、樹脂成分及び有機ケイ素化合物の総量を基準として、15~30質量%であり、好ましくは17~28質量%、より好ましくは18~26質量%、さらに好ましくは19~25質量%である。張り床材用プライマーの有機ケイ素化合物の含有率がこのような範囲であることによって、張り床材用プライマーがセルフレベリング材スラリーの硬化体へより深く浸透し、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さを向上させることができる。
張り床材用プライマーの施工には、はけ、ローラー、コテ等を適宜選択して使用することができる。
張り床材用プライマー中の樹脂成分及び有機ケイ素化合物の塗布量は、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さの向上及び経済性の観点から、130~400g/mであり、好ましくは140~370g/m、より好ましくは145~350g/m、さらに好ましくは150~300g/mである。
張り床材用接着剤は、張り床材用仕上げ材と張り床材用プライマー層を設けたセルフレベリング材スラリー硬化体層とを接着するために用いられる。張り床材用接着剤としては、例えば、溶剤型エポキシ樹脂、無溶剤型エポキシ樹脂、水性型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂系張り床材用接着剤などが挙げられる。
張り床材用接着剤の施工は、各張り床材メーカーの施工要領書に準拠し、クシゴテ、ローラー、はけ等を適宜選択して使用することができる。
張り床材用仕上げ材は、要求される特性に応じて適宜選択して用いることができる。張り床材用仕上げ材としては、例えば、プラスチック床、カーペット床、リノリウム床、ゴム床、木質床、石材床、セラミックス床等が挙げられる。張り床材用仕上げ材は、好ましくは、プラスチック床、カーペット床、リノリウム床、ゴム床、又は木質床の張り床材用仕上げ材であり、より好ましくはプラスチック床の張り床材用仕上げ材である。張り床材用仕上げ材は、抗菌剤を含むものであってよく、抗菌加工されたものであってもよい。
プラスチック床としては、ホモジニアスビニル床タイル、半硬質コンポジションビニル床タイル、軟質コンポジションビニル床タイル、ピュアビニル床タイル、レジンテラゾータイル、ビニル床シート、織布ビニル床シート、不織布ビニル床シート、織布積層ビニル床シート、不織布積層ビニル床シート、積層ビニル床シート、織布積層発砲ビニル床シート、不織布積層発泡ビニル床シート、積層発泡ビニル床シート、不織布積層印刷発泡ビニル床シート、積層印刷発泡ビニル床シート等が挙げられる。これらの中でも、プラスチック床は、耐動荷重性、耐薬品性及び耐摩耗性に優れることから、好ましくは塩化ビニル系張り床材用仕上げ材である。塩化ビニル系張り床材用仕上げ材は、例えば、塩化ビニル系シート又は塩化ビニル系タイルを好適に用いることができる。
カーペット床は、カーペットタイル、ロールカーペット等を用いることができる。リノリウム床は、リノリウム床タイル、リノリウム床シート等を用いることができる。ゴム床は、ゴム床タイル、ゴム床シート等を用いることができる。木質床は、フローリングボード、フローリングブロック等を用いることができる。
張り床材用仕上げ材の厚さは、コンクリート床の用途毎に求められる機能と、用いられる張り床材用仕上げ材の材質とに応じて適宜選択される。張り床材用仕上げ材(層)の厚さは、好ましくは1~10mm、より好ましくは1.2~8mm、さらに好ましくは1.3~5mm、特に好ましくは1.5~3mmである。張り床材用仕上げ材の厚さがこのような範囲にあると、セルフレベリング材を用いて形成した高い平面性を活かして、張り床材用仕上げ材が強固に接着した耐久性能に優れた張り床仕上げコンクリート構造体が得られる傾向にある。張り床材用仕上げ材の厚さが上記範囲よりも小さいと、張り床仕上げコンクリート構造体が充分な耐久特性を得られ難くなり、上記範囲よりも大きいと、耐久性能の向上が図れず、経済性の観点からも好ましくない。
このような製造方法によって、コンクリート床と、セルフレベリング材用プライマー層と、セルフレベリング材スラリー硬化体層と、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して形成される張り床材用プライマー層と、張り床材用接着剤層と、張り床材用仕上げ材とをこの順に備える、コンクリート床構造体を得ることができる。張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率は、樹脂成分及び有機ケイ素化合物の総量を基準として、15~30質量%である。張り床材用プライマー中の樹脂成分及び有機ケイ素化合物の塗布量は130~400g/mである。
(特性の評価方法)
(1)セルフレベリング材スラリーの流動性評価:
・フロー値の測定法:
JASS・15M-103に準拠して測定する。厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの樹脂製パイプ(内容積100mL)を設置し、練り混ぜたセルフレベリング材スラリーを樹脂製パイプの上端まで充填した後、パイプを鉛直方向に引き上げる。スラリーの広がりが静止した後、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とし、スラリーの流動性を評価する。
・評価条件は、温度20℃、湿度65%の環境下で行う。
(2)セルフレベリング材スラリー硬化体の長さ変化の評価:
・図2(a)及び図2(b)は、セルフレベリング材スラリーの硬化体の長さ変化測定装置を模式的に示す断面図である。長さ変化率の測定は、図2(a)及び図2(b)に示される装置を用いる。長さ変化率の測定は、混練直後のスラリーを型内部の型枠の高さまで打設し、打設直後より長さ変化の測定を開始する。測定間隔は5分毎で行い、材齢28日まで測定する。測定条件は、20℃、RH65%の気中で行う。
セルフレベリング材スラリーの硬化時の長さ変化率は、図2(a)に示されるSUS製円盤75bと変位センサー74の端部(SUS製円盤75b側の端部)との間隔の変化量(mm)を、SUS製円盤75aとSUS製円盤75cとの間隔(480mm)で除した値とする。
図3(a)、図3(b)、及び図3(c)は、セルフレベリング材スラリーが硬化する過程の試料の長さ変化の一例を模式的に示す図である。図3(a)では、測定試料の材齢0日(a点)を基長として、硬化と共に膨張し、b点で最も膨張し、その後次第に収縮し、材齢28日(c点)の長さとなる。数式(1)~数式(3)において、Bはa点の試料の長さであり、Cはb点の試料の長さであり、Aはc点の試料の長さである。図3(b)では、測定試料の材齢0日(a点)を基長として、硬化と共に膨張することなく、次第に収縮し、材齢28日(c点)の長さとなる。数式(1)~(3)において、B及びCはa点の試料の長さであり、Aはc点の試料の長さである。図3(c)では、測定試料の材齢0日(a点)を基長として、硬化と共に収縮することなく、次第に膨張し、材齢28日(c点)の長さとなる。数式(1)~(3)において、Bはa点の試料の長さであり、A及びCはc点の試料の長さである。
・長さ変化率の測定法:図2(a)及び図2(b)に示される装置を用いて測定し、下記数式(1)に従い、長さ変化率を算出する。測定試料は、セルフレベリング材スラリーを型詰めし、打設直後を材齢0日とする。測定条件は、20℃、RH65%の気中で行う。
長さ変化率の(-)は収縮を意味し、(+)は膨張を意味する。
Figure 2022148465000002
・長さ変化率の収縮の測定法:図2(a)及び図2(b)に示される装置を用いて、長さ変化率の測定法で作製した測定試料を用いて測定する。長さ変化率の膨張は、試料の最も膨張したときの試料の長さ(C)であり、数式(2)に従い、算出する。
Figure 2022148465000003
・長さ変化率の収縮の測定法:図2(a)及び図2(b)に示される装置を用いて、長さ変化率の測定法で作製した測定試料を用いて測定する。長さ変化率の収縮は、試料の最も膨張したときの長さを基長として、数式(3)に従い、算出する。
Figure 2022148465000004
(3)セルフレベリング材スラリー硬化体の表面特性の評価:
・ショア硬度の測定法:セルフレベリング材スラリー流し込み後から所定の経過時間において、硬化した表面にスプリング式硬度計タイプD型(上島製作所製)を用いて任意の3~5カ所に垂直に押し付ける。その時のスプリング式硬度計タイプD型のゲージの読み取り値の平均値をその時間のショア硬度とし表面硬度を評価する。
・硬化体表面の水分量
セルフレベリング材スラリー流し込み後から所定の経過時間において、コンクリート・モルタル水分計(ケット科学研究所社製)を用いて、硬化した表面の水分量(D値)を測定する。日本床施工技術研究協議会の「コンクリート床下地表層部の諸品質の測定方法、グレード」に基づき、測定値D値(HI-500)が690未満となった場合に、5%未満の水分量であると判定する。
(4)剥離接着強さの評価:
・剥離接着強さの測定法:
JIS K 6854の接着剤-剥離接着強さ試験方法に準拠して測定する。セルフレベリング材スラリー流し込み後から材齢14日後のセルフレベリング材スラリー硬化体層の上に、張り床材用プライマー層を設け、その上面に張り床剤用接着剤を施工し、張り床材用接着剤の塗布層の上面に幅25mm、長さ200mmの張り床材用仕上げ材を5枚敷設してハトメ鋲の無い端から160mmの部分を接着させ、仕上げ材層を設ける。材齢7日後に張り床材用仕上げ材の周囲に沿ってカッターナイフ等でセルフレベリング材スラリー硬化体層に達するまで切り込みを入れて縁を切る。接着剤層の無い張り床用仕上げ材のハトメ鋲部分をデジタルフォースゲージ(イマダ製)のジグに取り付けて、張り床用仕上げ材が1分間に100mm剥離するように垂直方向へ引っ張り荷重を加え、張り床用仕上げ材が160mm剥離するまで引っ張りを行なう。図4は、剥離接着強さの測定で得られる引っ張り荷重曲線の一例を模式的に示す図である。測定データは1秒間に1000個記録され、図4に示される引っ張り荷重曲線が得られる。最初の25mm及び最後の20mmのデータを除き、25mmから140mmまでの記録された引っ張り荷重データを平均し、1回の剥離接着強さ(N/25mm幅)とし5回繰り返した平均値を剥離接着強さとして評価する。
以下、本発明について実施例に基づいて詳細に説明する。ただし、本発明は下記の実施例により制限されるものでない。
(使用材料):以下の材料を使用した。
1)セルフレベリング材用プライマー:アクリル-スチレン共重合樹脂を主成分とする市販品。
2)セルフレベリング材:速硬系セメントを含む速硬系セルフレベリング材の市販品。
3)張り床材用プライマー:
エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤(ケチミン)、及び有機ケイ素化合物(テトラエトキシシラン)の原液(市販品、1液型、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂の硬化剤、及び有機ケイ素化合物の総量を100質量%としたときの、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂の硬化剤(ケチミン)の含有量:92.5質量%、有機ケイ素化合物(テトラエトキシシラン)の含有量:7.5質量%)、及び、有機ケイ素化合物(テトラエトキシシラン)の混和液(市販品、有機ケイ素化合物の含有量:100質量%)を準備した。これらを原液のまま又は所定の比で混合して張り床材用プライマーを調製した。
4)張り床材用接着剤:タジマ社製、セメントEP30、エポキシ系。
5)張り床材用仕上げ材:タジマ社製、塩化ビニル床シート、移動荷重用フロア、厚さ=2mm。
(セルフレベリング材スラリーの調製)
室温20℃、相対湿度65%の条件下で、セルフレベリング材(S)と水(W)の質量比(W/S)が、それぞれ0.19、0.22、0.25となるように配合し、回転数650rpmのケミスターラーを用いて3分間混練して、セルフレベリング材スラリーを調製した。
(張り床材用プライマーの調製)
室温20℃、相対湿度65%の条件下で、張り床材用プライマーの原液と混和液とを表1の割合で配合し、回転数650rpmのケミスターラーを用いて3分間混練して、エポキシ系の張り床材用プライマーA~Cを調製した。
Figure 2022148465000005
(張り床材用接着剤の調製)
室温20℃、相対湿度65%の条件下で、張り床材用エポキシ系接着剤のA剤100質量部に対してB剤100質量部の割合で配合し、回転数650rpmのケミスターラーを用いて3分間混練して、張り床材用エポキシ系接着剤を調製した。
(張り床材用仕上げ材の調製)
室温20℃、相対湿度65%の条件下で、張り床材用仕上げ材を幅25mm、長さ200mmの短冊状に切り出し、長手方向の片側端から15mmの部分にハトメ鋲を取り付け、張り床材用仕上げ材を調製した。
JIS・A5304舗装用コンクリート平板にセルフレベリング材用プライマーを塗布・乾燥してセルフレベリング材用プライマー層が造膜した。セルフレベリング材スラリーを施工厚さが10mmになるよう流し込んで硬化させ、JASS 15 M-103(セルフレベリング材の品質基準)に記載の表面接着試験用供試体の規定にしたがって、材齢14日間養生してセルフレベリング材スラリー硬化体層を得た。次に、セルフレベリング材スラリー硬化体層の上に張り床材を施工し、7日間養生して剥離接着試験用の張り床仕上げコンクリート構造体の供試体を得た。
タジマ社製のビニル系張り床材の施工は以下に示す方法で行った。
[参考例1~3]
張り床材用プライマーを施工せず、張り床材用接着剤を360g/mになるようクシゴテを用いてセルフレベリング材スラリー硬化体層上に施工して張り床材用接着剤層を設けた。張り床材用接着剤層の上に張り床材用仕上げ材を敷設して転圧ローラーを用いて張り床材用接着剤層と接着させた。
[実施例1~10及び比較例1~9]
表1に示す種類の張り床材用プライマーを、表2に示す塗布量になるように、刷毛を用いてセルフレベリング材スラリー硬化体層上に塗布・乾燥して、張り床材用プライマー層を造膜した後、張り床材用接着剤を360g/mになるようクシゴテを用いて施工して張り床材用接着剤層を設けた。張り床材用接着剤層の上に張り床材用仕上げ材を敷設して転圧ローラーを用いて接着させた。
張り床仕上げコンクリート構造体の供試体について、剥離接着強さ試験を行った結果を表2に示す。
Figure 2022148465000006
張り床材用プライマーを塗布しなかった参考例1~3は、セルフレベリング材100質量部に対する水の質量部が増加するほど、接着強さは低下する傾向を示した。
一方、張り床材用プライマーを塗布すると接着強さは向上し、例えば、比較例1、3、4に示すように、張り床材用プライマーの原液量は同じでも、張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率が高い方が接着強さは向上する傾向を示した。これは、有機ケイ素化合物を含むことで、張り床材用プライマーのセルフレベリング材スラリー硬化体層への浸透性が向上したためであると推察される。
また、例えば、比較例3及び実施例1、2に示すように、張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率が同じであっても、張り床材用プライマー(樹脂成分及び有機ケイ素化合物)の塗布量を増加することで、接着強さは向上する傾向を示した。
実施例1~10は、張り床材用プライマー中の有機ケイ素化合物の含有率と張り床材用プライマーの塗布量が適正範囲内にあり、特に優れた接着強さが得られた。
本発明によれば、張り床材層とセルフレベリング材スラリー硬化体層との接着強さに優れたコンクリート床構造体の製造方法が提供される。また、本発明によれば、このような製造方法によって得られるコンクリート床構造体が提供される。
30…コンクリート床、32…凹凸(小さな凹凸)、33…傾斜(微妙な傾斜)、34…セルフレベリング材用プライマー層、35…セルフレベリング材スラリー、36…セルフレベリング材スラリー硬化体層、37…張り床材用プライマー層、38…張り床材用接着剤層、39…張り床材用仕上げ材、71…長さ変化測定装置、72…型枠、73…緩衝材、74…渦電流式変位センサー、75a,75b,75c…SUS製円盤、76a,76b…SUS棒、77…フッ素樹脂シート、80…引っ張り荷重曲線、81…平均引っ張り荷重(剥離接着強さ)、82…評価範囲、100,110…コンクリート床構造体。

Claims (7)

  1. コンクリート床の上面に、セルフレベリング材用プライマーを塗布してセルフレベリング材用プライマー層を設ける工程と、
    前記セルフレベリング材用プライマー層の上面に、セルフレベリング材と水とを混練して調製したセルフレベリング材スラリーを打設し、前記セルフレベリング材スラリーの硬化体からなるセルフレベリング材スラリー硬化体層を設ける工程と、
    前記セルフレベリング材スラリー硬化体層の上面に、樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して張り床材用プライマー層を設ける工程と、
    前記張り床材用プライマー層の上面に、張り床材用接着剤を塗布して張り床材用接着剤層を設ける工程と、
    前記張り床材用接着剤層の上面に、張り床材用仕上げ材を敷設し、前記張り床材用接着剤層と前記張り床材用仕上げ材とを接着させる工程と、
    を備え、
    前記張り床材用プライマー中の前記有機ケイ素化合物の含有率が、前記樹脂成分及び前記有機ケイ素化合物の総量を基準として、15~30質量%であり、
    前記張り床材用プライマー中の前記樹脂成分及び前記有機ケイ素化合物の塗布量が130~400g/mである、コンクリート床構造体の製造方法。
  2. 前記張り床材用プライマーに含まれる前記樹脂成分がエポキシ樹脂及びエポキシ樹脂の硬化剤である、請求項1に記載のコンクリート床構造体の製造方法。
  3. 前記張り床材用プライマーに含まれる前記有機ケイ素化合物がアルコキシシラン類である、請求項1又は2に記載のコンクリート床構造体の製造方法。
  4. 前記セルフレベリング材が速硬系セメント及び/又は石膏を含む速硬系セルフレベリング材である、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンクリート床構造体の製造方法。
  5. 前記張り床材用仕上げ材が塩化ビニル系張り床材用仕上げ材である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンクリート床構造体の製造方法。
  6. 前記張り床材用仕上げ材の厚さが1~10mmである、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンクリート床構造体の製造方法。
  7. コンクリート床と、
    セルフレベリング材用プライマー層と、
    セルフレベリング材スラリー硬化体層と、
    樹脂成分と有機ケイ素化合物とを含む張り床材用プライマーを塗布して形成される張り床材用プライマー層と、
    張り床材用接着剤層と、
    張り床材用仕上げ材と、
    をこの順に備え、
    前記張り床材用プライマー中の前記有機ケイ素化合物の含有率が、前記樹脂成分及び前記有機ケイ素化合物の総量を基準として、15~30質量%であり、
    前記張り床材用プライマー中の前記樹脂成分及び前記有機ケイ素化合物の塗布量が130~400g/mである、コンクリート床構造体。
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