JP2022148340A - 高い機械的強度、並びに大きな細孔容積と細孔径を有するシリカ成形体 - Google Patents

高い機械的強度、並びに大きな細孔容積と細孔径を有するシリカ成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】吸着材及び触媒担体として有用な、機械的強度が高く、かつ大きな細孔容積と細孔径を有するシリカ成形体を提供すること。【解決手段】球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含有し、シリカの含有率が95質量%以上であり、大きさが1~50mmであるシリカ成形体とする。【選択図】なし

Description

本発明は、機械的強度が高く、かつ大きな細孔容積と細孔径を有するシリカ成形体及びその製造方法に関する。
無機酸化物は、吸着材や触媒担体等として広く工業的に用いられている。この時、無機酸化物はハンドリング性やガスの圧力損失を下げるなどのために、一般的にペレット状や球状等の成形体として用いられる。
従来、このような無機酸化物としては、比表面積や細孔容積が大きく耐熱性にも優れるといった点から、シリカ、ゼオライト、アルミナ、粘土化合物等が用いられてきた。この内、ゼオライトは比表面積が非常に大きいものの細孔径が10Å程度で非常に小さいという問題があった。また、ゼオライト、アルミナ、粘土化合物はシリカに比べて耐酸性が不充分である。
これに対してシリカは耐熱性と耐酸性に優れるだけでなく、その製造方法や製造条件によって比表面積や細孔容積、細孔径等の細孔物性を幅広く調節できるという優れた特徴を有している。このため、シリカの成形体は吸着材及び触媒担体等の用途に対して、非常に有用な材料である。
このようなシリカ成形体として、種々の提案がなされている。例えば、特許文献1や特許文献2には、シリカゲル粉末に有機バインダーや無機バインダーを添加・混合し、該混合物を成形、乾燥、焼成するシリカゲル成形体の製造方法が開示されている。
また、特許文献3には、シリカ等の無機酸化物微粒子成形前駆体を用いて、押出成形、整粒、乾燥、焼成することによって圧縮強度に優れた無機酸化物微小球状成形体を製造することが開示されている。
そして、特許文献4には、鱗片状シリカと該鱗片状シリカとは異なる非晶質の二酸化ケイ素及び/又は二酸化ケイ素以外の金属化合物を含有する硬化体が開示されている。
特開昭61-127682号公報 特開平10-273372号公報 特開2005-58932号公報 特開2001-163613号公報
特許文献1及び特許文献2に記載のシリカゲル成形体は、原料であるシリカゲル粉末の多孔性が不充分なため、得られた成形体の細孔容積や細孔径はさほど大きいものではなかった。また有機バインダーを用いているために、成形、乾燥後に400℃以上の温度で焼成して有機バインダーを除去する必要があった。
また、特許文献3に記載の無機酸化物微小球状成形体は、該成形体の細孔容積が0.6ml/g以下であり、さほど大きいものではなかった。
そしてまた、特許文献4に記載の硬化体は、鱗片状シリカが低温硬化性、自己造膜性を有し、耐酸性、耐アルカリ性、耐熱性も備えていることが示されているものの、硬化体の細孔物性については何ら配慮されていなかった。
無機酸化物成形体を吸着材や触媒担体等に使用する場合、機械的強度に優れ、かつ細孔容積や細孔径が大きいことが求められるが、これらの特性は所謂トレードオフの関係にあり、細孔容積や細孔径をある程度の大きさに保持したまま機械的強度を向上させることは容易ではない。
本発明は、上記問題点を解決することにあり、機械的強度、具体的に圧縮強度が高く、かつ大きな細孔容積と細孔径を有するシリカ成形体及び当該シリカ成形体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討した結果、球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含有し、シリカ成分の含有率が95質量%以上であるシリカ成形体により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明は、下記(1)~(9)に関するものである。
(1)球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含有し、シリカの含有率が95質量%以上であり、大きさが1~50mmであるシリカ成形体。
(2)窒素吸着法で測定した細孔容積が1.00ml/g以上、かつ細孔のメジアン径が15nm以上である、前記(1)に記載のシリカ成形体。
(3)水銀圧入法で測定した細孔容積が1.40ml/g以上、かつ細孔のメジアン径が20nm以上である、前記(1)又は(2)に記載のシリカ成形体。
(4)圧縮強度が3.0kgf以上である、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のシリカ成形体。
(5)前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のシリカ成形体の製造方法であって、
球状多孔質シリカ、鱗片状シリカ及び水を混合し、混錬した後、成形し、必要に応じて整粒機で整粒した後、空気中150℃以下で乾燥するシリカ成形体の製造方法。
(6)前記成形を押出成形により行う、前記(5)に記載のシリカ成形体の製造方法。
(7)前記乾燥後、さらに600℃以上で焼成する、前記(5)又は(6)に記載のシリカ成形体の製造方法。
(8)前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のシリカ成形体を用いた吸着材。
(9)前記(1)~(4)のいずれか1つに記載のシリカ成形体を用いた触媒担体。
本発明によれば、機械的強度が高く、かつ細孔容積と細孔径が大きいシリカ成形体が得られる。また、シリカを95質量%以上含むので、優れた耐熱性と耐酸性を備える。本発明のシリカ成形体は、吸着材及び触媒担体として有用である。
例5で得られたシリカ成形体の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。 例8で得られたシリカ成形体の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM像)である。
以下、本発明について説明するが、以下の説明における例示によって本発明は限定されない。
本発明のシリカ成形体は、球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含有し、シリカの含有率が95質量%以上であり、その大きさが1~50mmである。
成形体中に球状多孔質シリカと鱗片状シリカが含まれることで、鱗片状シリカがバインダーとして機能し球状多孔質シリカ同士を結合する。これにより、成形体の機械的強度が高まり、また球状多孔質シリカ同士の間には間隙が画成されるので、成形体は大きな細孔容積と細孔径とを有する。
シリカ成形体が球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含むことは、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により確認できる。走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製の電界放出型走査電子顕微鏡「JCM-7000」)により、シリカ成形体の断面を500~5000倍で撮影することにより、球状多孔質シリカと鱗片状シリカとが視認できる撮影画像が得られる。
球状多孔質シリカは、二酸化ケイ素(SiO)で構成され、その内部にナノメーター単位の穴を無数に有した球状のシリカである。シリカ成形体が球状のシリカを含むことで、球状のシリカの粒子間の空隙が成形体中の細孔として機能する。また、球状のシリカが多孔質であることで、成形体の細孔容積をより大きくできる。すなわち、本発明のシリカ成形体中の細孔は、球状多孔質シリカ内部の細孔と球状多孔質シリカ間の細孔とを含む。
鱗片状シリカは、厚さが0.001~0.1μmの薄片のシリカ一次粒子が互いに面間が平行に配向して複数枚重なった積層構造を有する葉状シリカ二次粒子である。鱗片状シリカはスラリー状に分散されたものが好ましく適用でき、スラリーを乾燥して固化すると、シリカ表面のシラノール基同士が密着して強固な被膜を形成するため、無機バインダーとして機能する。
従来、シリカ成形体を得るために有機バインダーや無機バインダーが用いられていた。有機バインダーとしては、でんぷん、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられる。無機バインダーとしては、シリカゾル、粘土化合物、アルミナゾル等が挙げられる。しかしながら、これらの有機バインダーや無機バインダーは添加量が少ないと、成形体の機械的強度が低くなるという問題があり、機械的強度の強い成形体を得るには添加量を多くする必要があった。一方で、添加量を多くすると、シリカ成形体を構成するシリカ粒子がその粒子内部に細孔を有する多孔質体であっても、バインダーによってシリカ粒子内部の細孔が閉塞されてしまい、大きな細孔容積と細孔径を有する成形体を得ることができなかった。これに対して、鱗片状シリカは少ない添加量でバインダーとして作用するので、機械的強度が高く、細孔容積と細孔径の大きな成形体が得られる。
本発明のシリカ成形体において、シリカの含有率は95質量%以上である。成形体中のシリカの含有率が95質量%以上であると、成形体が耐熱性、耐酸性に優れる。シリカ成形体中のシリカの含有率は、97質量%以上であることが好ましく、99質量%以上がより好ましく、また、成形体がシリカ成分のみから構成される(シリカ含有率が100質量%)ものであってもよい。
なお、シリカ成形体中のシリカの含有率は、アルカリ溶融法により測定できる。具体的には、成形体を粉末化し、NaCO粉末とKCO粉末を加えて加熱溶融し(アルカリ溶融法)、溶融物を酸に溶解した後、この溶解液中のSi量をICP発光分光分析で測定し、成形体中に含まれるSi量(%)を求め、下記式(1)よりSiO含有率に換算する。
SiO含有率(%)=Si量(%)×(60/28) ・・・(1)
式(1)において、60はSiOの原子量、28はSiの原子量である。
本発明のシリカ成形体は、その大きさ(size)が1~50mmである。ここでいう大きさとは、シリカ成形体に外接する最小の外接円の直径を意味する。シリカ成形体の大きさが1mm以上であると、シリカ成形体を容器に充填して吸着材や触媒担体として用いた場合に、容器内を流通する液体や気体の圧力損失を下げることができ、50mm以下であると、シリカ成形体の機械的強度を充分に高く保つことができる。シリカ成形体の大きさは、5mm以上であることが好ましく、20mm以上がさらに好ましい。
本発明のシリカ成形体は、圧縮強度が3.0kgf以上であることが好ましい。圧縮強度は成形体の機械的強度の指標であり、成形体の軸に垂直な方向に荷重をかけ、成形体が破壊したときの荷重を測定した値をいう。圧縮強度が3.0kgf以上であると、ハンドリングの時に成形体が壊れて粉化してしまうことを防ぐことができる。圧縮強度は5.0kgf以上であるのがより好ましい。
本発明のシリカ成形体は、窒素吸着法により測定したときの細孔容積が1.00ml/g以上、かつ細孔のメジアン径が15nm以上であることが好ましい。窒素吸着法とは、固体表面に窒素を吸着させ、圧力と吸着量の挙動から細孔分布を求める方法である。窒素吸着法では、細孔径が1.7~120nmの範囲の細孔を検出できる。
窒素吸着法で測定した細孔容積が1.00ml/g以上であると、吸着材として使用する際の吸着量や触媒担体として使用する際の触媒担持量を大きくできる。窒素吸着法で測定した細孔容積は、1.10ml/g以上であることがより好ましく、1.20ml/g以上がさらに好ましく、1.30ml/g以上が特に好ましく、また、成形体の機械的強度の観点から、2.50ml/g以下であることが好ましく、2.00ml/g以下がより好ましい。
窒素吸着法で測定した細孔のメジアン径は、窒素吸着法による累積細孔分布曲線において、細孔径1.7~120nmの全細孔容積の50%の細孔容積に対する細孔径である。窒素吸着法で測定した細孔のメジアン径が15nm以上であると、シリカ成形体内での物質の拡散がすばやく起こるので好ましい。窒素吸着法で測定した細孔のメジアン径は、20nm以上であるのがより好ましく、23nm以上がさらに好ましく、25nm以上が特に好ましく、30nm以上が最も好ましい。
また、本発明のシリカ成形体は、窒素吸着法により測定したときの比表面積が、100~800m/gであることが好ましい。窒素吸着法で測定した比表面積が100m/g以上であると、シリカ成形体内での物質の吸着性が優れるので好ましく、また、成形体の機械的強度の観点から、800m/g以下が好ましい。
窒素吸着法で測定したシリカ成形体の比表面積は、200m/g以上であるのがより好ましく、300m/g以上がさらに好ましい。また、700m/g以下であるのがより好ましく、600m/g以下がさらに好ましい。
また、本発明のシリカ成形体は、窒素吸着法により測定したときの平均細孔径が、5nm以上であることが好ましい。窒素吸着法で測定した平均細孔径が5nm以上であると、シリカ成形体内での物質の拡散がすばやく起こるので好ましい。窒素吸着法で測定した平均細孔径は、10nm以上であるのがより好ましく、15nm以上が特に好ましい。
また、本発明のシリカ成形体は、水銀圧入法により測定したときの細孔容積が1.40ml/g以上、かつ細孔のメジアン径が20nm以上であることが好ましい。水銀圧入法とは、表面張力の高い水銀に圧力を加え、固体表面の細孔もしくは隙間の中に圧入し、そのときに加えた圧力と押し込まれた水銀容積の関係から細孔分布を求める方法である。水銀圧入法では、細孔径3~1000nmの範囲の細孔を検出できる。一般に、球状シリカ粒子間の細孔は細孔径が100nm以上になる場合があり、成形体においては窒素吸着法では測定できない大きさの細孔が存在することが考えられるが、水銀圧入法によれば、これらのすべての細孔容積を求めることができる。
水銀圧入法で測定した細孔容積が1.40ml/g以上であると、吸着材として使用する際の吸着量や触媒担体として使用する際の触媒担持量を大きくできる。水銀圧入法で測定した細孔容積は、1.60ml/g以上であるのがより好ましく、1.70ml/g以上がさらに好ましく、1.80ml/g以上が特に好ましく、2.00ml/g以上が最も好ましく、また、成形体の機械的強度の観点から、3.00ml/g以下であることが好ましく、2.50ml/g以下がより好ましい。
水銀圧入法で測定した細孔のメジアン径は、水銀圧入法による累積細孔分布曲線において、細孔径3~1000nmの全細孔容積の50%の細孔容積に対する細孔径である。水銀圧入法で測定した細孔のメジアン径が20nm以上であると、成形体内での物質の拡散がすばやく起こるので好ましい。水銀圧入法で測定した細孔のメジアン径は、22nm以上であるのがより好ましく、25nm以上がさらに好ましく、27nm以上が特に好ましく、30nm以上が最も好ましい。
また、本発明のシリカ成形体は、水銀圧入法により測定したときの比表面積が、100~700m/gであることが好ましい。水銀圧入法で測定した比表面積が100m/g以上であると、シリカ成形体内での物質の吸着性が優れるので好ましく、また、成形体の機械的強度の観点から、700m/g以下が好ましい。
水銀圧入法で測定したシリカ成形体の比表面積は、200m/g以上であるのがより好ましく、250m/g以上がさらに好ましく、300m/g以上が特に好ましい。また、600m/g以下であるのがより好ましく、500m/g以下がさらに好ましい。
また、本発明のシリカ成形体は、水銀圧入法により測定したときの平均細孔径が、10nm以上であることが好ましい。水銀圧入法で測定した平均細孔径が10nm以上であると、シリカ成形体内での物質の拡散がすばやく起こるので好ましい。水銀圧入法で測定したシリカ成形体の平均細孔径は15nm以上であるのがより好ましく、20nm以上が特に好ましい。
シリカ成形体の形状は、使用する用途において最も性能が高まるような形状にすればよく、特に限定されない。シリカ成形体の形状としては、例えば、円柱のペレット状、球状、楕円径状、多角柱状、棒状、円錐状、多角錐状、ハニカム状およびこれらの形状を組み合わせた形状が挙げられる。
次に、本発明のシリカ成形体の製造方法について説明する。本発明のシリカ成形体の製造方法は、球状多孔質シリカ、鱗片状シリカ及び水を混合し、混錬した後、成形し、必要に応じて整粒機で整粒した後、空気中150℃以下で乾燥することを含む。
本発明では、球状多孔質シリカと鱗片状シリカとを組合せ、さらに適切な配合比率で混合し、成形することによって、機械的強度が高く、かつ細孔容積と細孔径の大きなシリカ成形体が得られる。
原料の球状多孔質シリカとしては、円形度が0.80以上のものを用いることが好ましい。原料の球状多孔質シリカが真球に近いほど、成形体における球状多孔質シリカ間の空隙が大きくなるので、シリカ成形体の細孔容積及び細孔径を大きくできる。
原料の球状多孔質シリカの円形度は、0.85以上であるのがより好ましく、0.90以上がさらに好ましい。円形度の上限は特に限定されず、1であることが最も好ましい。
なお、円形度は、粒子像分析装置(例えば、シスメックス社製「FPIA-3000S」(商品名))により得られた画像を、上記装置に付属の画像解析ソフトを用いて粒子の面積と周長を求め、下記式(2)に当てはめて算出できる。
円形度=投影面積の等しい円の周長/粒子の周長 ・・・(2)
式(2)中、「投影面積の等しい円の周長」は、ある粒子Aを真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の面積を求め、この面積に等しい円を計算し、その円の輪郭の長さを求めた値であり、「粒子の周長」は、粒子Aを真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の輪郭の長さを求めた値である。
原料の球状多孔質シリカの平均粒子径は、1~50μmであることが好ましい。成形体中の球状多孔質シリカの平均粒子径は、原料の球状多孔質シリカの平均粒子径に依存する。原料の球状多孔質シリカの平均粒子径が1μm以上であると、粒子内部に細孔を多数有するので、成形体における細孔容積を大きくでき、また平均粒子径が大きすぎると球状多孔質シリカを結合するためにバインダーとしての鱗片状シリカが多量に必要になるので、逆に成形体の細孔容積と細孔径が小さくなるおそれがあるため、50μm以下であるのが好ましい。
原料の球状多孔質シリカの平均粒子径は、2μm以上であることがより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。また、40μm以下であることがより好ましく、35μm以下がさらに好ましく、30μm以下が特に好ましい。
なお、平均粒子径の測定方法は、JIS Z 8832(2010)に準拠する電気的検知体帯法(コールタカウンター法)により測定できる。
原料の球状多孔質シリカの細孔容積は、窒素吸着法により測定したときの値で、1.00~3.00ml/gであることが好ましい。窒素吸着法で測定した細孔容積が1.00ml/g以上であると、成形体における細孔容積を大きくすることができ、3.00ml/g以下であると、成形体の機械的強度を高くすることができる。
原料の球状多孔質シリカの、窒素吸着法で測定した細孔容積は、1.30ml/g以上であるのがより好ましく、1.50ml/g以上がさらに好ましく、2.00ml/g以上が特に好ましい。また、2.50ml/g以下であるのがより好ましい。
また、原料の球状多孔質シリカの比表面積は、窒素吸着法により測定したときの値で、100~800m/gであることが好ましい。窒素吸着法で測定した比表面積が100m/g以上であると、シリカ成形体内での物質の吸着性が優れるので好ましく、また、成形体の機械的強度の観点から、800m/g以下が好ましい。
原料の球状多孔質シリカの、窒素吸着法で測定した比表面積は、200m/g以上であるのがより好ましく、250m/g以上がさらに好ましい。また、700m/g以下であるのがより好ましく650m/g以下がさらに好ましい。
また、原料の球状多孔質シリカの平均細孔径は、窒素吸着法により測定したときの値で、10nm以上であることが好ましい。窒素吸着法で測定した平均細孔径が10nm以上であるとシリカ成形体内での物質の拡散がすばやく起こるので好ましい。窒素吸着法で測定した平均細孔径は、20nm以上であるのがより好ましく、30nm以上が特に好ましい。
球状多孔質シリカは、市販のものを使用でき、例えば、AGCエスアイテック株式会社製の「サンスフェア」(商品名)や「サンスペラ」(商品名)等が挙げられる。球状多孔質シリカを合成する場合は、例えば、特許第6241252号公報に記載の方法に従い、合成できる。
球状多孔質シリカは、1種を単独で用いてもよく、平均粒子径や細孔特性の異なるシリカを2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、平均粒子径の異なる数種類の球状多孔質シリカを組み合わせて、大粒子の粒子間を小粒子で埋め、これらのシリカ粒子を鱗片状シリカで結合させれば、機械的強度が高く、細孔容積と平均細孔径の大きいシリカ成形体が得られるので好ましい。
原料の鱗片状シリカとしては、平均粒子径が0.01~10μmの範囲のものを用いることが好ましい。成形体中の鱗片状シリカの平均粒子径は、原料の鱗片状シリカの平均粒子径に依存する。原料の鱗片状シリカの平均粒子径が小さすぎると球状多孔質シリカ間の空隙を塞いでしまい、成形体の細孔容積と細孔径が小さくなることがあり、平均粒子径が大きすぎると、鱗片状シリカのバインダー力が低下して成形体の機械的強度が低くなることがある。鱗片状シリカの粒子径は、0.05μm以上であることがより好ましく、0.1μm以上がさらに好ましい。また、5μm以下であることがより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。
鱗片状シリカの平均粒子径は、レーザー散乱式粒度分布測定装置により測定できる。
鱗片状シリカは、市販のものを使用でき、AGCエスアイテック株式会社製の「サンラブリー」(商品名)が挙げられる。また、鱗片状シリカを合成する場合は、特許第3894518号公報に記載の方法に従い、合成できる。
鱗片状シリカは、1種を単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明では、無機粒子として球状多孔質シリカを用い、バインダーとして鱗片状シリカを用いる。鱗片状シリカはスラリー状で使用するのが好ましい。
原料の球状多孔質シリカと鱗片状シリカの配合比は、固形分の質量比で、球状多孔質シリカ:鱗片状シリカが95:5~70:30の範囲になるように用いることが好ましい。鱗片状シリカの配合量が多いほど成形体の機械的強度は強くできるが、細孔容積と細孔径は小さくなってしまうため、鱗片状シリカは30質量%以下であることが好ましい。前記比は、より好ましくは90:10~80:20の範囲である。
本発明のシリカ成形体には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記した球状多孔質シリカと鱗片状シリカ以外の成分を含んでもよい。球状多孔質シリカと鱗片状シリカ以外の成分は、シリカ成形体の製造において、混錬物の粘性を下げて、混錬物と押出成形機のダイスとの間の摩擦を低減して押出成形性を良くする目的で含有される成分であることができ、例えば、シリカゾル、粘土化合物、アルミナゾル等の無機化合物が挙げられる。
シリカゾルとしては、例えば、粒子径が4~70nmの大きさのアルカリ性または酸性のゾルが挙げられる。粘土化合物としては、例えば、モンモリロナイトやサポナイト系の粘土化合物が挙げられ、天然物を高純度化したものであってもよいし、人工的に合成されたものであってもよい。アルミナゾルとしては、例えば、粒子径が10nm~100nmの大きさの酸性のゾルが挙げられる。
球状多孔質シリカと鱗片状シリカ以外の成分の配合量は、球状多孔質シリカと鱗片状シリカの全固形分に対して5質量%以下であることが好ましい。球状多孔質シリカと鱗片状シリカ以外の成分の配合量が5質量%以下であると、シリカ成形体の細孔容積が小さくなるのを抑制できる。球状多孔質シリカと鱗片状シリカ以外の成分の配合量は、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
本発明では、シリカ成形体がシリカ成分を95質量%以上含むように、水を除く原料の合計中に、球状多孔質シリカと鱗片状シリカを合計で95質量%含有することが好ましい。なお、シリカ成形体中のシリカ含有率は、球状多孔質シリカと鱗片状シリカの他、任意で配合する成分としてシリカ成分を含有した場合は、それらを含めたものとする。
本発明では、球状多孔質シリカ及び鱗片状シリカと、所望により球状多孔質シリカと鱗片状シリカ以外の成分を混合し、水を加えて混錬して混錬物を得る。
水の配合量は、混錬物中に60~85質量%となるようにするのが好ましい。混練物中の水の含有量が少なすぎると混錬物が粉状となり、多すぎると流動しやすいスラリー状になってしまうので、水が多すぎても少なすぎても成形し難くなる。
水の配合量を調節することによって、混錬物の粘性を押出成形に最も適した状態にする。
混錬装置としては特に限定されず、撹拌翼方式、二軸スクリュー方式や自転と公転を組み合わせたミキサー方式等の装置が挙げられる。
球状多孔質シリカと鱗片状シリカと水を混合し、混錬して成形するには、公知の混錬成形方法を採用できる。
例えば、無機粒子とバインダーに水やアルコール等の溶媒を加えて成形体を得る、いわゆる湿式造粒法が挙げられる。湿式造粒法としては、噴霧造粒、転動造粒、撹拌造粒、押出成形等が挙げられ、特に限定されないが、機械的強度が高く、細孔容積と細孔径の大きい成形体を得るためには押出成形が好ましい。
噴霧造粒は、無機粒子とバインダーに水を加えてスラリーとし、スプレーノズルから噴霧しつつ溶媒を乾燥する方法である。得られる成形体は直径10μm~1mm程度の比較的小さな球状の成形体が得られる。
転動造粒は、無機粒子とバインダーをパン型造粒機のパン内に入れて、パンを数10回転/分の速度で回転しつつ、水を添加して造粒する方法である。溶媒の表面張力によって、無機粒子とバインダーが凝集して球状に成形され、その後溶媒を乾燥して、直径1mm~50mmの球状の成形体が得られる。
撹拌造粒は、無機粒子とバインダーを撹拌造粒機の容器に入れ、撹拌翼を数1000回転/分の速度で回転しつつ、水を添加して造粒する方法である。溶媒の表面張力によって、無機粒子とバインダーが凝集して球状に成形され、その後溶媒を乾燥して、直径1mm~10mmの比較的小さな球状の成形体が得られる。
押出成形では、まず無機粒子とバインダーと水を混錬装置に入れて充分に混錬することによって粘土状の混錬物にする。得られた混錬物を押出成形機で直径1mm~10mm、長さ1mm~50mmの円柱のペレット状に成形し、その後溶媒を乾燥して、成形体にする。押出した直後の円柱のペレット状のものを整粒機に入れて球状に整粒した後で溶媒を乾燥することによって球状の成形体を得ることもできる。
押出成形では加圧下で成形されるため、機械的強度の高い成形体が得られるので好ましい。
成形体の形状としては、円柱のペレット状、球状、楕円径状、多角柱状、棒状、円錐状、多角錐状、ハニカム状等が挙げられるが、使用用途等を考慮し、任意の形状に成形すればよい。
成形後は、必要に応じて整粒機(いわゆるマルメライザー)で整粒する。押出成形等によりペレット状の成形体を得た場合は、整粒により球状の成形体を得ることができる。整粒条件としては、600~1800rpmで10~60秒とするのが好ましい。
材料を混錬して成形した成形前駆体及び成形後に必要により整粒された成形前駆体を乾燥することによって、本発明のシリカ成形体が得られる。乾燥工程では、溶媒である水を除去できさえすれば良いので、乾燥温度は高い必要はなく、空気中150℃以下で行えばよい。
乾燥温度は、低すぎると乾燥に時間を要するので、80℃以上で行うことが好ましく、100℃以上がより好ましい。
また、乾燥時間は、製造効率の観点から、0.5~3時間で行うことが好ましく、1~2時間がより好ましい。
本発明の製造方法では、シリカ成形体の機械的強度を高める目的で、乾燥の後に600℃以上で焼成を行ってもよい。焼成温度としては600℃~1000℃が好ましい。焼成温度が高いほど成形体の機械的強度は高くできるが、細孔容積と細孔径が小さくなってしまう。よって、成形体の用途に応じて、焼成工程の有無と焼成温度を設定すればよい。
上記のようにして得られたシリカ成形体は、球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含有し、成形体中の球状多孔質シリカと鱗片状シリカの形状は原料粒子の形状に依存するので、SEM観察等により球状多孔質シリカと鱗片状シリカが含まれていることを確認できる。
本発明のシリカ成形体は、機械的強度が大きく、かつ細孔容積と細孔径が大きいので、吸着材や触媒として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特に説明のない限り、「部」、「%」はそれぞれ、「質量部」、「質量%」を表す。例1~7は実施例であり、例8~12は比較例である。
<評価方法>
例1~12で得られた成形体について行った評価を下記に示す。
(圧縮強度)
成形体の圧縮強度は、デジタル硬度計「KHT─40N型」(商品名、藤原製作所社製)を用いて求めた。円柱状の成形体の、円形の断面に平行な方向(軸方向に垂直な方向)から荷重を掛け、成形体が破壊した時の荷重を読み取った。
(窒素吸着法による細孔物性の測定)
成形体の窒素吸着法による細孔容積、比表面積、平均細孔径、細孔のメジアン径は、比表面積・細孔分布測定装置「TriStar II 3020型」(商品名、Micromeritics社製)を用いて求めた。
平均細孔径は、細孔径1.7~120nmの全細孔容積をV(ml/g)、比表面積をS(m/g)とした時に、平均細孔径(nm)=4000V/Sの式で求められる。
細孔のメジアン径は、細孔径1.7~120nmの全細孔容積の50%の細孔容積に対する細孔径である。
(水銀圧入法による細孔物性の測定)
成形体の水銀圧入法による細孔容積、比表面積、平均細孔径、細孔のメジアン径は、比表面積・細孔分布測定装置「Auto pore IV 9510型」(商品名、Micromeritics社製)を用いて求めた。
平均細孔径は、細孔径3~1000nmの全細孔容積をV(ml/g)、比表面積をS(m/g)とした時に、平均細孔径(nm)=4000V/Sの式で求められる。
細孔のメジアン径は、細孔径3~1000nmの全細孔容積の50%の細孔容積に対する細孔径である。
<多孔質シリカの物性>
成形体の製造に用いた多孔質シリカの物性を表1に示す。
Figure 2022148340000001
<成形体の作製>
表2に示す製造条件(固形分組成、混錬物中の溶媒、混錬物中の固形分濃度、成形後の乾燥条件、乾燥後の焼成条件、成形体の形状)に従い、例1~12の成形体を作製した。
Figure 2022148340000002
(例1)
平均粒子径3μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアH32、含水率:4.9%)を9.46部と、平均粒子径0.2μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーDPAA020、固形分濃度:5.0%)を20.00部と、イオン交換水を7.58部とを内容積150mlのポリエチレン製容器に計量し、混錬機「あわとり練太郎」(商品名、株式会社シンキー製)で5分間混錬し、混錬物を得た。混錬物中の固形分濃度は27.0%であった。
この混錬物を内径5mmの口金の付いたポリエチレン製の袋に入れ、この袋を絞ることによって、混錬物を口金の先端から直径5mmの円柱状に押し出した。押し出したものを110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Aを得た。
得られた成形体Aの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Aは、圧縮強度が強く(3.1kgf)、水銀圧入法による細孔も大きかった(細孔容積=1.67ml/g、メジアン径=21nm)。
(例2)
例1の成形体Aをさらに800℃で1時間焼成し、成形体Bを得た。
成形体Bの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Bは、成形体Aに比べ、水銀圧入法による細孔容積は小さくなったが、圧縮硬度は7.0kgfと高かった。
(例3)
平均粒子径3μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアH32、含水率:4.9%)を4.73部と、平均粒子径35μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスペラL303、含水率:3.9%)を4.68部と、平均粒子径0.2μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーDPAA020、固形分濃度:5.0%)を20.00部とイオン交換水を7.64部とから、例1と同様にして固形分濃度27.0%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Cを得た。
得られた成形体Cの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Cは、圧縮強度が強く(5.0kgf)、水銀圧入法による細孔は非常に大きかった(細孔容積=2.00ml/g、メジアン径=37nm)。
(例4)
例3の成形体Cをさらに800℃で1時間焼成し、成形体Dを得た。
成形体Dの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Dは、成形体Cに比べ、水銀圧入法による細孔容積とメジアン径は小さくなったが、圧縮硬度は8.8kgfと高かった。
(例5)
平均粒子径3μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアH32、含水率:4.9%)を2.21部と、平均粒子径35μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスペラL303、含水率:3.9%)を6.66部と、平均粒子径0.5μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーPN050、固形分濃度:13.0%)を11.54部とイオン交換水を18.81部とから、例1と同様にして固形分濃度25.5%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Eを得た。
得られた成形体Eの断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製の電界放出型走査電子顕微鏡「JCM-7000」)を用いて1000倍の倍率で撮影した。結果を図1に示す。図1より、球状のシリカ粒子とそれらの空隙を埋めるように鱗片状シリカが存在している様子が確認できた。
また、成形体Eの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Eは、圧縮強度が強く(4.8kgf)、水銀圧入法による細孔は大きかった(細孔容積=1.72ml/g、メジアン径=21nm)。
(例6)
例5の成形体Eをさらに800℃で1時間焼成し、成形体Fを得た。
成形体Fの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Fは、成形体Eに比べ、水銀圧入法による細孔容積は小さくなったが、圧縮硬度は6.4kgfと高かった。
(例7)
平均粒子径3μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアH32、含水率:4.9%)を0.53部と、平均粒子径14μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアL123、含水率:5.4%)を1.69部と、平均粒子径35μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスペラL303、含水率:3.9%)を6.66部と、平均粒子径0.5μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーPN050、固形分濃度:13.0%)を11.54部とイオン交換水を21.25部とから、例1と同様にして固形分濃度24.0%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Gを得た。
得られた成形体Gの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Gは、圧縮強度が強く(5.3kgf)、水銀圧入法による細孔は大きかった(細孔容積=1.61ml/g、メジアン径=23nm)。
(例8)
球状多孔質シリカ粉末に代えて、不定形シリカ粉末を用いた。平均粒子径2μmの不定形シリカ粉末(東ソー・シリカ(株)製、ニップジェルAZ-204、含水率:3.3%)を9.31部と、平均粒子径0.5μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーPN050、固形分濃度:13.0%)を7.69部とイオン交換水を24.67部とから、例1と同様にして固形分濃度24.0%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Hを得た。
得られた成形体Hの断面を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製の電界放出型走査電子顕微鏡「JCM-7000」)を用いて1000倍の倍率で撮影した。結果を図2に示す。図2より、球状の粒子が存在しないだけでなく、全体的に緻密な組織になっているのが確認できた。
また、成形体Hの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Hは、圧縮強度は強かったが(4.7kgf)、水銀圧入法による細孔は小さかった(細孔容積=1.26ml/g、メジアン径=13nm)。
(例9)
球状多孔質シリカ粉末に代えて、不定形シリカ粉末を用いた。平均粒子径5μmの不定形シリカ粉末(富士シリシア化学(株)製、サイリシア250N、含水率:1.8%)を9.16部と、平均粒子径0.5μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーPN050、固形分濃度:13.0%)を7.69部とイオン交換水を23.97部とから、例1と同様にして固形分濃度24.5%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Jを得た。
得られた成形体Jの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。成形体Jは、圧縮強度が1.0kgfしかなくハンドリングできなかった。
(例10)
平均粒子径5μmの不定形シリカ粉末(富士シリシア化学(株)製、サイリシア250N、含水率:1.8%)を8.15部と、平均粒子径0.5μmの鱗片状シリカの水スラリー(AGCエスアイテック(株)製、サンラブリーPN050、固形分濃度:13.0%)を15.38部とイオン交換水を19.02部とから、例1と同様にして固形分濃度23.5%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Kを得た。
得られた成形体Kの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。鱗片状シリカの含有量を増やすことによって圧縮強度は強くなったが(4.0kgf)、水銀圧入法による細孔は小さかった(細孔容積=1.30ml/g、メジアン径=15nm)。
(例11)
平均粒子径3μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアH32、含水率:4.9%)を9.46部と、平均粒子径9nmのシリカゾル(日産化学(株)製、スノーテックスS、固形分濃度:30.5%)を3.28部とイオン交換水を25.00部とから、例1と同様にして固形分濃度26.5%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Lを得た。
得られた成形体Lの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。シリカゾルを無機バインダーとして用いた成形体Lは、圧縮強度が0.3kgfしかなくハンドリングできなかった。
(例12)
平均粒子径3μmの球状多孔質シリカ粉末(AGCエスアイテック(株)製、サンスフェアH32、含水率:4.9%)を9.46部と、合成スメクタイト粘土化合物スメクトンSAの水スラリー(クニミネ工業(株)製、固形分濃度:3.0%)を33.33部とイオン交換水を7.21部とから、例1と同様にして固形分濃度20.0%の混錬物を得た。
この混錬物を用いて例1と同様にして押出成形し、110℃で2時間乾燥し、乾燥後に長さ5mmに切断して、直径5mm、軸方向の長さ5mmの円柱のペレット状成形体Mを得た。
得られた成形体Mの圧縮強度と細孔物性を表3に示す。合成スメクタイト粘土化合物を無機バインダーとして用いた成形体Mは、圧縮強度が0.4kgfしかなくハンドリングできなかった。
Figure 2022148340000003

Claims (9)

  1. 球状多孔質シリカと鱗片状シリカを含有し、シリカの含有率が95質量%以上であり、大きさが1~50mmであるシリカ成形体。
  2. 窒素吸着法で測定した細孔容積が1.00ml/g以上、かつ細孔のメジアン径が15nm以上である、請求項1に記載のシリカ成形体。
  3. 水銀圧入法で測定した細孔容積が1.40ml/g以上、かつ細孔のメジアン径が20nm以上である、請求項1又は2に記載のシリカ成形体。
  4. 圧縮強度が3.0kgf以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシリカ成形体。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のシリカ成形体の製造方法であって、
    球状多孔質シリカ、鱗片状シリカ及び水を混合し、混錬した後、成形し、必要に応じて整粒機で整粒した後、空気中150℃以下で乾燥するシリカ成形体の製造方法。
  6. 前記成形を押出成形により行う、請求項5に記載のシリカ成形体の製造方法。
  7. 前記乾燥後、さらに600℃以上で焼成する、請求項5又は6に記載のシリカ成形体の製造方法。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載のシリカ成形体を用いた吸着材。
  9. 請求項1~4のいずれか1項に記載のシリカ成形体を用いた触媒担体。
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