JP2022148083A - インクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2022148083A
JP2022148083A JP2021049612A JP2021049612A JP2022148083A JP 2022148083 A JP2022148083 A JP 2022148083A JP 2021049612 A JP2021049612 A JP 2021049612A JP 2021049612 A JP2021049612 A JP 2021049612A JP 2022148083 A JP2022148083 A JP 2022148083A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
meth
radiation
curing
acrylate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021049612A
Other languages
English (en)
Inventor
潔 中村
Kiyoshi Nakamura
善信 吉田
Yoshinobu Yoshida
千草 佐藤
Chigusa Sato
浅子 久保田
Asako Kubota
翔平 波越
Shohei Namikoshi
強 佐野
Tsuyoshi Sano
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2021049612A priority Critical patent/JP2022148083A/ja
Priority to CN202210284459.3A priority patent/CN115122761B/zh
Priority to US17/702,029 priority patent/US20220305834A1/en
Publication of JP2022148083A publication Critical patent/JP2022148083A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/32Inkjet printing inks characterised by colouring agents
    • C09D11/322Pigment inks
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M7/00After-treatment of prints, e.g. heating, irradiating, setting of the ink, protection of the printed stock
    • B41M7/0081After-treatment of prints, e.g. heating, irradiating, setting of the ink, protection of the printed stock using electromagnetic radiation or waves, e.g. ultraviolet radiation, electron beams
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J11/00Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form
    • B41J11/0015Devices or arrangements  of selective printing mechanisms, e.g. ink-jet printers or thermal printers, for supporting or handling copy material in sheet or web form for treating before, during or after printing or for uniform coating or laminating the copy material before or after printing
    • B41J11/002Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating
    • B41J11/0021Curing or drying the ink on the copy materials, e.g. by heating or irradiating using irradiation
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0023Digital printing methods characterised by the inks used
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/02Printing inks
    • C09D11/10Printing inks based on artificial resins
    • C09D11/101Inks specially adapted for printing processes involving curing by wave energy or particle radiation, e.g. with UV-curing following the printing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D11/00Inks
    • C09D11/30Inkjet printing inks
    • C09D11/40Ink-sets specially adapted for multi-colour inkjet printing

Abstract

Figure 2022148083000001
【課題】インクを硬化させて得られた塗膜に硬化シワが発生するのを抑制し、光沢感に優れた記録物が得られるインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】放射線硬化型インクであるシアンインク、マゼンタインク、ブラックインクおよびイエローインクをインクジェットヘッドから吐出させ、記録媒体に付着させるインクジェット記録方法であって、前記シアンインク、前記マゼンタインクおよび前記ブラックインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に仮硬化用放射線を照射する第1工程と、前記第1工程の後に、前記イエローインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に、前記仮硬化用放射線を照射せず、本硬化用放射線を照射する第2工程と、を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット記録方法に関するものである。
特許文献1には、記録媒体を搬送する記録媒体搬送手段と、記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェットヘッドユニットと、インクを硬化させる活性エネルギーを照射する活性エネルギー照射手段と、を有するインクジェット装置が開示されている。このインクは、紫外線等の照射を行うことにより硬化可能なインクであるため、高速定着性に優れる。
特許文献1に記載のインクジェット装置では、記録媒体にインクを吐出した直後、活性エネルギーを照射し、定着させる。具体的には、イエローインクを吐出した後、イエローインクを定着させ、次いで、シアンインクを吐出した後、シアンインクを定着させ、次いで、マゼンタインクを吐出した後、マゼンタインクを定着させ、最後に、ブラックインクを吐出した後、ブラックインクを定着させる。このようにして、4色のインクによる記録が行われる。
特開2008-6695号公報
イエローインクは、他色のインクと比べて、顔料による活性エネルギーの吸収が多い。このため、イエローインクでは、重合性化合物に吸収される活性エネルギーが相対的に減少し、重合性化合物の反応効率が低下する。これにより、イエローインクでは、液滴の内部まで硬化させにくいという現象が生じる。その結果、イエローインクでは、液滴の内部で硬化が遅れた影響によって、塗膜の表面に硬化シワが発生し、塗膜の光沢感が低下するという課題が生じる。
本発明の適用例に係るインクジェット記録方法は、
放射線硬化型インクであるシアンインク、マゼンタインク、ブラックインクおよびイエローインクをインクジェットヘッドから吐出させ、記録媒体に付着させるインクジェット記録方法であって、
前記シアンインク、前記マゼンタインクおよび前記ブラックインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に仮硬化用放射線を照射する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記イエローインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に、前記仮硬化用放射線を照射せず、本硬化用放射線を照射する第2工程と、
を有することを特徴とする。
実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられるプリンターの一例を示すブロック図である。 図1の搬送ユニット、ヘッドユニットおよび照射ユニットを示す概略断面図である。 実施形態に係るインクジェット記録方法を説明するための工程図である。
以下、本発明のインクジェット記録方法を添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.プリンター
まず、実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられるプリンターの一例について説明する。
図1は、実施形態に係るインクジェット記録方法に用いられるプリンターの一例を示すブロック図である。
図1には、プリンター1と、これに接続されているコンピューター130と、が図示されている。コンピューター130には、プリンタードライバーがインストールされており、記録媒体に記録させようとする画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。
図1に示すプリンター1は、搬送ユニット20と、ヘッドユニット30と、照射ユニット40と、図示しないインク供給ユニットと、検出器群110と、メモリー123と、インターフェイス121と、コントローラー120と、を有する。
プリンター1では、コンピューター130から出力された印刷データを受信すると、コントローラー120が各ユニットを制御し、印刷データに応じた画像を記録媒体に記録する。プリンター1の状況は検出器群110によって監視されており、検出器群110は、検出結果をコントローラー120に出力する。コントローラー120は、検出器群110から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
コントローラー120は、CPU122と、ユニット制御回路124と、を有する。CPUは、Central Processing Unitである。コントローラー120は、インターフェイス121を介して入力された印刷データをメモリー123に記憶させる。また、メモリー123には、各ユニットを制御するための制御情報も記憶されている。
プリンター1は、一例として、シアン、マゼンタ、オレンジ、ブラックおよびイエローの5色の放射線硬化型インクを用いて画像を形成する。放射線硬化型インクは、後述するように、放射線の照射により重合する重合性化合物、様々な色を呈する色材等を含有し、放射線の照射により硬化する性質を持つインクである。プリンター1が用いる放射線硬化型インクの色や色数は、これに限定されない。
プリンター1の方式としては、例えば、ラインプリンター、シリアルプリンター等が挙げられる。以下の説明では、プリンター1の方式がラインプリンターである場合について説明している。
図2は、図1の搬送ユニット20、ヘッドユニット30および照射ユニット40を示す概略断面図である。
図2に示す搬送ユニット20は、図示しない搬送モーター、上流側ローラー25A、下流側ローラー25Bおよび搬送ドラム26を備える。搬送モーターから出力された動力により、上流側ローラー25Aおよび下流側ローラー25Bが回転すると、搬送ドラム26が従動する。
記録媒体Sは、上流側ローラー25Aの周面、下流側ローラー25Bの周面および搬送ドラム26の周面に沿って敷設され、搬送方向Dcに搬送される。
図2に示すヘッドユニット30は、複数のラインヘッド32を備えている。ラインヘッド32は、それぞれ、放射線硬化型インクを記録媒体Sに向けて吐出して記録を行うインクジェットヘッドである。このラインヘッド32は、それぞれ図示しないが、放射線硬化型インクを収容し、ノズルから吐出させるキャビティーと、キャビティーごとに設けられ、放射線硬化型インクに吐出の駆動力を付与する吐出駆動部と、キャビティーごとに設けられ、ラインヘッド32の外へ放射線硬化型インクを吐出するノズルと、を有する。キャビティー、ならびに、キャビティーごとに設けられる吐出駆動部およびノズルは、それぞれ、互いに独立して、1つのラインヘッド32に複数個設けられている。吐出駆動部としては、例えば、機械的な変形によりキャビティーの容積を変化させる圧電素子等の電気機械変換素子や、熱を発することによりインクに気泡を発生させ、吐出させる電子熱変換素子等が挙げられる。
本実施形態では、一例として、ヘッドユニット30が、シアン、マゼンタ、オレンジ、ブラックおよびイエローの5色のインクを吐出する。ヘッドユニット30は、シアンインクを吐出するシアンヘッド32C、マゼンタインクを吐出するマゼンタヘッド32M、オレンジインクを吐出するオレンジヘッド32Or、ブラックインクを吐出するブラックヘッド32K、および、イエローインクを吐出するイエローヘッド32Y、の5つのラインヘッド32を備える。これらのラインヘッド32は、搬送ドラム26の周囲に配置され、搬送方向Dcの上流から下流に向かってこの順で並んでいる。
シアンヘッド32C、マゼンタヘッド32M、オレンジヘッド32Or、ブラックヘッド32Kおよびイエローヘッド32Yは、それぞれ記録媒体Sの幅以上の長さを持っている。つまり、図2に示すこれらのラインヘッド32は、図2の紙面奥行き方向において、記録媒体Sの幅以上の長さで延在している。記録媒体Sを搬送方向Dcに搬送しつつ、固定された各ラインヘッド32からインクを吐出する。これにより、記録媒体Sの目的とする領域にインクを付着させ、所望の画像を記録することができる。
図2に示す照射ユニット40は、ヘッドユニット30から吐出されたインクに紫外線等の放射線を照射し、インクを硬化させる。これにより、5色のインクを記録媒体Sに定着させ、画像を記録する。
図2に示す照射ユニット40は、仮硬化用放射線を照射する複数の仮硬化用照射部42、および、本硬化用放射線を照射する1つの本硬化用照射部44と、を備えている。本実施形態では、一例として、照射ユニット40が、シアンインクを硬化させるシアン用照射部42C、マゼンタインクを硬化させるマゼンタ用照射部42M、オレンジインクを硬化させるオレンジ用照射部42Or、および、ブラックインクを硬化させるブラック用照射部42K、の4つの仮硬化用照射部42を備える。また、照射ユニット40は、イエローインクを硬化させるイエロー用照射部44Yを、本硬化用照射部44として備える。これらの仮硬化用照射部42および本硬化用照射部44は、搬送ドラム26の周囲に配置され、搬送方向Dcの上流から下流に向かってこの順で並んでいる。
また、各インクを硬化させる仮硬化用照射部42は、それぞれ、各インクを吐出するラインヘッド32に隣り合うように設けられている。したがって、搬送ドラム26の周囲には、図2に示すように、シアンヘッド32C、シアン用照射部42C、マゼンタヘッド32M、マゼンタ用照射部42M、オレンジヘッド32Or、オレンジ用照射部42Or、ブラックヘッド32K、および、ブラック用照射部42Kが、この順に並んでいる。
さらに、イエローインクを硬化させる本硬化用照射部44は、イエローインクを吐出するイエローヘッド32Yに隣り合うように設けられている。したがって、前述したブラック用照射部42Kの下流側には、イエローヘッド32Yおよびイエロー用照射部44Yが、この順で並んでいる。
なお、本明細書において「仮硬化」とは、放射線硬化型インクの仮留め(ピニング)を意味し、より詳しくはドット間の滲みの防止やドット径の制御のために、本硬化の前に硬化させることを意味する。仮硬化における重合性化合物の重合度は、仮硬化の後で行う本硬化による重合性化合物の重合度よりも低い。
また、本明細書において「本硬化」とは、記録媒体S上に形成されたドットを、記録物を使用するのに必要な硬化状態まで硬化させることをいう。
さらに、本明細書において単に「硬化」というときは、仮硬化と本硬化の区別なく、放射線硬化型インクの少なくとも一部を硬化、すなわち、放射線硬化型インクに含まれる重合性化合物の少なくとも一部が重合することで放射線硬化型インクを固化させることを意味する。
なお、図2に示す照射ユニット40では、各ラインヘッド32に隣り合うように仮硬化用照射部42を配置しているが、このうち、ブラック用照射部42Kを、ブラックインクを硬化させる目的だけでなく、シアンインク、マゼンタインクおよびオレンジインクを硬化させる目的で使用してもよい。つまり、シアン用照射部42C、マゼンタ用照射部42Mおよびオレンジ用照射部42Orを省略してもよい。
仮硬化用照射部42および本硬化用照射部44は、仮硬化用放射線および本硬化用放射線を照射する放射線源である。この放射線源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプのような各種ランプ、紫外線発光ダイオード(UV-LED)のような各種発光ダイオード、ガスレーザー、固体レーザー、紫外線レーザーダイオード(UV-LD)のような各種レーザー光源等が挙げられる。
仮硬化用放射線および本硬化用放射線のピーク波長は、好ましくは350nm以上410nm以下である。ピーク波長がこのような範囲内にある放射線を用いることにより、仮硬化と本硬化を狙い通りに生じさせることができる。つまり、放射線のピーク波長をこのような範囲内に設定した場合、放射線硬化型インクの顔料ごとに異なる活性エネルギーの吸収量に応じて、色ごとに放射線硬化型インクの吐出順序を設定することで、各インクによる塗膜で、濡れ広がりや内部の硬化促進を最適化することができる。その結果、最終的に、複数のインクによる塗膜で光沢感を揃えやすくなり、画質に優れた記録物を得ることができる。また、このようなピーク波長は、入手が容易な光重合開始剤の対応波長と重なるため、放射線硬化型インクの低コスト化を図ることができる。さらに、ピーク波長がこのような範囲内にある放射線源は、比較的安価かつ小型で入手が容易である。
記録媒体Sとしては、例えば、吸収性または非吸収性の媒体が挙げられる。
このうち、吸収性の媒体としては、例えば、普通紙、インクジェット用紙、アート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。普通紙としては、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙等が挙げられる。インクジェット用紙としては、例えば、シリカ粒子やアルミナ粒子を含むインク吸収層、あるいは、ポリビニルアルコール(PVA)やポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性ポリマーを含むインク吸収層を備える紙媒体が挙げられる。アート紙は、水性インクの浸透性が比較的低く、一般のオフセット印刷に用いられる紙媒体である。
また、非吸収性の媒体としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチック類のフィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウム等の金属類のプレート、またはそれら各種金属を蒸着した金属プレートやプラスチック製のフィルム、ステンレスや真鍮等の合金のプレート等が挙げられる。
2.インクジェット記録方法
次に、実施形態に係るインクジェット記録方法について説明する。
図3は、実施形態に係るインクジェット記録方法を説明するための工程図である。図3に示すインクジェット記録方法は、第1工程S100と、第1工程S100の後に設けられた第2工程S200と、を有する。
このうち、第1工程S100は、第1a工程S110、第1b工程S120、第1d工程S130、および、第1c工程S140を有する。第1a工程S110は、シアンインク吐出工程S112およびシアンインク硬化工程S114を含む。第1b工程S120は、マゼンタインク吐出工程S122およびマゼンタインク硬化工程S124を含む。第1d工程S130は、オレンジインク吐出工程S132およびオレンジインク硬化工程S134を含む。第1c工程S140は、ブラックインク吐出工程S142およびブラックインク硬化工程S144を含む。
また、第2工程S200は、イエローインク吐出工程S202およびイエローインク硬化工程S204を含む。
2.1.シアンインク吐出工程
シアンインク吐出工程S112では、シアンヘッド32Cからシアンインクを吐出させる。これにより、吐出されたシアンインクの液滴が記録媒体Sに付着する。記録媒体Sに付着したシアンインクは、図2に示す搬送方向Dcに搬送され、シアン用照射部42Cによる仮硬化用放射線の照射範囲に移動する。
2.2.シアンインク硬化工程
シアンインク硬化工程S114では、シアン用照射部42Cから仮硬化用放射線を照射する。これにより、記録媒体Sに付着させたシアンインクが仮硬化用放射線を受けて仮硬化する。
シアンインク硬化工程S114で記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギーは、単位時間当たりの照射エネルギーが本硬化用放射線の照射エネルギーより小さければ、特に限定されないが、20mJ/cm以下であるのが好ましく、0.1mJ/cm以上10mJ/cm以下であるのがより好ましく、0.5mJ/cm以上3mJ/cm以下であるのがさらに好ましい。これにより、シアンインクの硬化速度が最適化されるため、記録媒体Sに付着したシアンインクが適度に濡れ広がりつつ硬化する。また、塗膜の表面と内部とで硬化速度の差が小さくなる。その結果、仮硬化した塗膜の表面に硬化シワが発生しにくくなり、滑らかになって、本硬化を経た後の記録物の光沢感を高めることができる。なお、仮硬化用放射線の照射エネルギーは、照射強度に照射時間を乗じて算出される。
本明細書において「硬化シワ」とは、硬化が進行する過程で塗膜の内部に存在する未硬化の放射線硬化型インクが、硬化する前に不規則に流動するなどして、重合体積収縮率が高くなった結果、硬化後の塗膜表面に発生するシワのことをいう。
仮硬化用放射線の照射強度の最大値(照射ピーク強度)は、好ましくは100mW/cm以上であり、より好ましくは200mW/cm以上2000mW/cm以下である。照射ピーク強度が前記範囲内であれば、硬化速度が最適化され、塗膜の内部を短時間で硬化させることができる。これにより、仮硬化した塗膜の表面に硬化シワが発生するのを効果的に抑制することができる。
また、上述した仮硬化用放射線の照射エネルギーは、シアンインクを記録媒体Sに付着させた後、最初に照射する放射線の照射エネルギーである。シアンインクを吐出後、シアン用照射部42Cから仮硬化用放射線を照射するまでの時間は、特に限定されないが、0.001秒以上1.00秒以下であるのが好ましく、0.005秒以上0.50秒以下であるのがより好ましく、0.010秒以上0.15秒以下であるのがさらに好ましい。これにより、記録媒体Sに付着したシアンインクが滲むのを抑制することができる。
2.3.マゼンタインク吐出工程
マゼンタインク吐出工程S122では、マゼンタヘッド32Mからマゼンタインクを吐出させる。これにより、吐出されたマゼンタインクの液滴が記録媒体Sに付着する。記録媒体Sに付着したマゼンタインクは、搬送方向Dcに搬送され、マゼンタ用照射部42Mによる仮硬化用放射線の照射範囲に移動する。
2.4.マゼンタインク硬化工程
マゼンタインク硬化工程S124は、マゼンタ用照射部42Mから仮硬化用放射線を照射する。これにより、記録媒体Sに付着させたマゼンタインクが仮硬化用放射線を受けて仮硬化する。
マゼンタインク硬化工程S124で記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギー、照射ピーク強度、および、マゼンタインク吐出後に仮硬化用放射線を照射するまでの時間は、前述したシアンインク硬化工程S114と同様である。
2.5.オレンジインク吐出工程
オレンジインク吐出工程S132は、オレンジヘッド32Orからオレンジインクを吐出させる。これにより、吐出されたオレンジインクの液滴が記録媒体Sに付着する。記録媒体Sに付着したオレンジインクは、搬送方向Dcに搬送され、オレンジ用照射部42Orによる仮硬化用放射線の照射範囲に移動する。
2.6.オレンジインク硬化工程
オレンジインク硬化工程S134は、オレンジ用照射部42Orから仮硬化用放射線を照射する。これにより、記録媒体Sに付着させたオレンジインクが仮硬化用放射線を受けて仮硬化する。
オレンジインク硬化工程S134で記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギー、照射ピーク強度、および、オレンジインク吐出後に仮硬化用放射線を照射するまでの時間は、前述したシアンインク硬化工程S114と同様である。
2.7.ブラックインク吐出工程
ブラックインク吐出工程S142は、ブラックヘッド32Kからブラックインクを吐出させる。これにより、吐出されたブラックインクの液滴が記録媒体Sに付着する。記録媒体Sに付着したブラックインクは、搬送方向Dcに搬送され、ブラック用照射部42Kによる仮硬化用放射線の照射範囲に移動する。
2.8.ブラックインク硬化工程
ブラックインク硬化工程S144は、ブラック用照射部42Kから仮硬化用放射線を照射する。これにより、記録媒体Sに付着させたブラックインクが仮硬化用放射線を受けて仮硬化する。
ブラックインク硬化工程S144で記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギー、照射ピーク強度、および、ブラックインク吐出後に仮硬化用放射線を照射するまでの時間は、前述したシアンインク硬化工程S114と同様である。
なお、ブラックインクは、シアンインク、マゼンタインクおよびオレンジインクに比べて、顔料による活性エネルギーの吸収が多い。このため、ブラックインク硬化工程S144で記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギーは、シアンインク硬化工程S114、マゼンタインク硬化工程S124およびオレンジインク硬化工程S134で記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギーより大きくしてもよい。これにより、ブラックインクの硬化速度が最適化されるため、記録媒体Sに付着したブラックインクが適度に濡れ広がりつつ硬化する。また、塗膜の表面と内部とで硬化速度の差が小さくなる。その結果、仮硬化した塗膜の表面に硬化シワが発生しにくくなる。
2.9.イエローインク吐出工程
イエローインク吐出工程S202は、イエローヘッド32Yからイエローインクを吐出させる。これにより、吐出されたイエローインクの液滴が記録媒体Sに付着する。記録媒体Sに付着したイエローインクは、搬送方向Dcに搬送され、イエロー用照射部44Yによる本硬化用放射線の照射範囲に移動する。
2.10.イエローインク硬化工程
イエローインク硬化工程S204は、仮硬化用放射線を照射せず、イエロー用照射部44Yから本硬化用放射線を照射する。これにより、記録媒体Sに付着させたイエローインクが本硬化用放射線を受けて本硬化する。また、本硬化用放射線の照射により、仮硬化したシアンインク、マゼンタインク、オレンジインクおよびブラックインクが本硬化する。
イエローインク硬化工程S204で記録媒体Sに照射する本硬化用放射線の照射エネルギーは、単位時間当たりの照射エネルギーが仮硬化用放射線の照射エネルギーより大きければ、特に限定されないが、50mJ/cm以上であるのが好ましく、100mJ/cm以上600mJ/cm以下であるのがより好ましく、200mJ/cm以上500mJ/cm以下であるのがさらに好ましい。これにより、イエローインクの硬化速度が最適化されるため、記録媒体Sに付着したイエローインクが適度に濡れ広がりつつ硬化する。また、塗膜の表面と内部とで硬化速度の差が小さくなる。その結果、顔料による活性エネルギーの吸収が多いイエローインクであっても、塗膜の表面に硬化シワが発生しにくくなり、滑らかになって、本硬化を経た後の記録物の光沢感を高めることができる。なお、本硬化用放射線の照射エネルギーは、照射強度に照射時間を乗じて算出される。
本硬化用放射線の照射強度の最大値(照射ピーク強度)は、好ましくは800mW/cm以上であり、より好ましくは1000mW/cm以上3000mW/cm以下である。照射ピーク強度が前記範囲内であれば、硬化速度が最適化され、塗膜の内部まで短時間で硬化させることができる。これにより、本硬化した塗膜の表面に硬化シワが発生するのを効果的に抑制することができる。
なお、本硬化用放射線の照射ピーク強度は、仮硬化用放射線の照射ピーク強度より大きいことが好ましい。これにより、例えば照射時間を同じにした場合でも、本硬化用放射線の照射エネルギーを、仮硬化用放射線の照射エネルギーよりも大きくすることができる。その結果、例えば、プリンター1の装置構成や制御を簡単にすることができる。
また、上述した本硬化用放射線の照射エネルギーは、イエローインクを記録媒体Sに付着させた後、最初に照射する放射線の照射エネルギーである。イエローインクを吐出後、イエロー用照射部44Yから本硬化用放射線を照射するまでの時間は、特に限定されないが、0.01秒以上1.00秒以下であるのが好ましく、0.02秒以上0.50秒以下であるのがより好ましく、0.03秒以上0.15秒以下であるのがさらに好ましい。これにより、記録媒体Sに付着したイエローインクが滲むのを抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係るインクジェット記録方法は、放射線硬化型インクであるシアンインク、マゼンタインク、ブラックインクおよびイエローインクを、インクジェットヘッドから吐出させ、記録媒体Sに付着させる方法であって、第1工程S100と、第2工程S200と、を有する。第1工程S100では、シアンインク、マゼンタインクおよびブラックインクを記録媒体Sに付着させ、記録媒体Sに仮硬化用放射線を照射する。第2工程S200では、第1工程S100の後に、イエローインクを記録媒体Sに付着させ、記録媒体Sに仮硬化用放射線を照射せず、本硬化用放射線を照射する。
このような構成によれば、イエローインクの吐出直後に仮硬化用放射線ではなく、本硬化用放射線を照射するため、顔料による活性エネルギーの吸収が多いイエローインクであっても、塗膜の内部まで短時間で硬化させることができる。これにより、イエローインクの塗膜の表面に硬化シワが発生するのを抑制することができる。
また、シアンインク、マゼンタインクおよびブラックインクについては、吐出直後に仮硬化用放射線を照射するため、硬化速度が最適化され、適度な濡れ広がりを確保することができる。これにより、全ての塗膜でしわの発生が抑制される。
また、本実施形態に係るインクジェット記録方法では、シアンインク、マゼンタインクおよびブラックインクの順で放射線硬化型インクを記録媒体Sに付着させる。このような吐出順序は、顔料による活性エネルギーの吸収が少ない順序に対応している。このため、このような吐出順序で放射線硬化型インクを吐出させることにより、濡れ広がりの程度を塗膜間で揃えやすくなる。その結果、塗膜の光沢感に差が少なく、画質に優れた記録物を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る第1工程S100は、第1a工程S110と、第1b工程S120と、第1c工程S140と、を有する。第1a工程S110では、シアンインクを記録媒体Sに付着させ、付着させたシアンインクに仮硬化用放射線を照射する。第1b工程S120では、第1a工程S110の後に、マゼンタインクを記録媒体Sに付着させ、付着させたマゼンタインクに仮硬化用放射線を照射する。第1c工程S140では、第1b工程S120の後に、ブラックインクを記録媒体Sに付着させ、付着させたブラックインクに仮硬化用放射線を照射する。
このような構成によれば、シアンインク、マゼンタインクおよびブラックインクの各放射線硬化型インクの吐出直後に、それぞれ仮硬化用放射線を照射する。このため、各放射線硬化型インクの濡れ広がりの程度が適切に制御され、塗膜の光沢感の差を特に少なく抑えることができる。その結果、特に画質に優れた記録物を得ることができる。
また、本実施形態では、第1工程S100が、さらに、第1d工程S130を有する。第1d工程S130は、第1b工程S120の後で、かつ、第1c工程S140の前に設けられる。そして、第1d工程S130では、放射線硬化型インクであるオレンジインクを記録媒体Sに付着させ、記録媒体Sに仮硬化用放射線を照射する。なお、オレンジインクに代えてレッドインクを用いるようにしてもよい。
このような構成によれば、シアンインク、マゼンタインク、オレンジインクまたはレッドインク、およびブラックインクの各放射線硬化型インクの吐出直後に、それぞれ仮硬化用放射線を照射する。このような吐出順序は、顔料による活性エネルギーの吸収が少ない順序に対応している。このため、各放射線硬化型インクの濡れ広がりの程度が適切に制御され、塗膜の光沢感の差を特に少なく抑えることができる。その結果、特に画質に優れた記録物を得ることができる。
なお、レッドインクを用いた場合、レッドインクを付着させた記録媒体Sに照射する仮硬化用放射線の照射エネルギー、照射ピーク強度、および、レッドインク吐出後に仮硬化用放射線を照射するまでの時間は、前述したオレンジインク硬化工程S134と同様である。また、第1d工程S130は、省略されていてもよい。
なお、第1工程S100における、第1a工程S110、第1b工程S120、第1d工程S130、および、第1c工程S140の順序は、上記の順序が好ましいが、上記に限定されるものではなく、これら4つの工程同士で順序が入れ替わっていてもよい。
3.放射線硬化型インク
次に、放射線硬化型インクの一例について説明する。なお、以下の説明では、放射線硬化型インクを単に「インク」ということもある。
3.1.重合性化合物
放射線硬化型インクは、重合性化合物を含み、単独で、または、後述する光重合開始剤の作用により、放射線照射時に重合性化合物が重合することにより硬化する。
重合性化合物としては、従来公知の、単官能、2官能、および3官能以上の多官能といった種々のモノマーおよびオリゴマーが使用可能である。上記モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびマレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩またはエステル、ウレタン、アミドおよびその無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、ならびに不飽和ウレタンが挙げられる。また、上記オリゴマーとしては、例えば、直鎖アクリルオリゴマー等の上記のモノマーから形成されるオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート、オキセタン(メタ)アクリレート、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート、芳香族ウレタン(メタ)アクリレートおよびポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記の中でも、(メタ)アクリル酸のエステル、すなわち(メタ)アクリレートが好ましい。当該(メタ)アクリレートの中でも、一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類およびその他の単官能(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかが好ましく、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類およびその他の単官能(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
以下、これらの(メタ)アクリレートを中心として、重合性化合物を詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびそれに対応するメタクリルのち少なくともいずれかを意味する。
3.1.1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類
放射線硬化型インクは、下記一般式(I)で表されるビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが好ましい。
CH=CR-COOR-O-CH=CH-R ・・・ (I)
(式中、Rは、水素原子またはメチル基であり、Rは、炭素数2~20の2価の有機残基であり、Rは、水素原子または炭素数1~11の1価の有機残基である。)
インクが当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含有することにより、インクを低粘度化することができ、インクの硬化性を優れたものとすることができ、かつ、硬化シワの発生を効果的に防止することができる。さらに言えば、ビニルエーテル基を有する化合物および(メタ)アクリル基を有する化合物を別々に使用するよりも、ビニルエーテル基および(メタ)アクリル基を一分子中に共に有する化合物を使用する方が、インクの硬化性を良好にする上で好ましい。
上記の一般式(I)において、Rで表される炭素数2~20の2価の有機残基としては、炭素数2~20の直鎖状、分枝状または環状の置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合およびエステル結合の少なくとも一方による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数2~20のアルキレン基、炭素数6~11の置換されていてもよい2価の芳香族基が好適である。これらの中でも、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、およびブチレン基などの炭素数2~6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、およびオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基が好適に用いられる。
上記の一般式(I)において、Rで表される炭素数1~11の1価の有機残基としては、炭素数1~10の直鎖状、分枝状または環状の置換されていてもよいアルキル基、炭素数6~11の置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基またはエチル基である炭素数1~2のアルキル基、フェニル基およびベンジル基などの炭素数6~8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基および炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類としては、以下に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、および(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。
これらの中でも、インクをより低粘度化でき、引火点が高く、かつ、インクの硬化性に優れるため、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、すなわち、アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルおよびメタクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルのうち少なくともいずれかが好ましく用いられる。アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルおよびメタクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルは、何れも単純な構造であって分子量が小さいため、インクを顕著に低粘度化することができる。(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、(メタ)アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルおよび(メタ)アクリル酸2-(1-ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられ、アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルとしては、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルおよびアクリル酸2-(1-ビニロキシエトキシ)エチルが挙げられる。なお、アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルの方が、メタクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルに比べて硬化性の面で優れている。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、特に(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチルの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、10~70質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、インクを低粘度化でき、かつ、インクの硬化性を一層優れたものとすることができる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、インクの保存安定性を良好な状態に維持することができ、硬化シワの発生を一層効果的に防止することができる。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類の製造方法としては、以下に限定されないが、(メタ)アクリル酸と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法B)、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法C)、(メタ)アクリル酸無水物と水酸基含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法D)、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有ビニルエーテルとをエステル交換する方法(製法E)、(メタ)アクリル酸とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法F)、(メタ)アクリル酸アルカリ(土類)金属塩とハロゲン含有ビニルエーテルとをエステル化する方法(製法G)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとカルボン酸ビニルとをビニル交換する方法(製法H)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとアルキルビニルエーテルとをエーテル交換する方法(製法I)が挙げられる。
これらの中でも、本実施形態に所望の効果を一層発揮することができるため、製法Eが好ましい。
3.1.2.単官能(メタ)アクリレート
放射線硬化型インクは、単官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。ここで、放射線硬化型インクが上述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(但し、単官能(メタ)アクリレートであるものに限る。)を含む場合、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類も上記単官能(メタ)アクリレートに含まれるものとするが、当該ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類についての説明は省略する。以下では、上述のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートについて説明する。インクが当該単官能(メタ)アクリレートを含有することにより、インクを低粘度化することができ、かつ、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性およびインクの硬化性が共に優れたものとなる。さらに言えば、光重合開始剤その他の添加剤の溶解性が優れたものとなることに起因してインクの吐出安定性が優れたものとなり、また塗膜の強靭性、耐熱性、および耐薬品性が増す。
上記単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、が挙げられる。
上記の中でも、硬化性、保存安定性、および光重合開始剤の溶解性に一層優れるため、分子中に芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。芳香環骨格を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、以下に限定されないが、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、およびフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。これらの中でも、インクを低粘度化することができ、かつ、硬化性、耐擦性、密着性、および光重合開始剤の溶解性のいずれも優れたものとすることができるため、フェノキシエチル(メタ)アクリレートおよびベンジル(メタ)アクリレートのうち少なくともいずれかが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類以外の単官能(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、10~75質量%が好ましく、10~55質量%がより好ましく、10~40質量%がさらに好ましい。当該含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に加えて光重合開始剤の溶解性も一層優れたものとなる。一方、当該含有量が上記の上限値以下であると、硬化性に加えて密着性も一層優れたものとなる。
また、上記インクが上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類(但し、単官能(メタ)アクリレートであるものに限る。)を含む場合、これを含む単官能(メタ)アクリレートの含有量の合計は、インクの総質量(100質量%)に対し、35~90質量%が好ましく、40~70質量%がより好ましい。当該含有量が上記範囲内であると、インク粘度、具体的に言えば28℃でのインク粘度および吐出温度でのインク粘度の双方を、上述した所望の範囲としやすくなる。
3.1.3.上記以外の重合性化合物
放射線硬化型インクは、上記以外の重合性化合物をさらに含有してもよい。以下では、上記以外の重合性化合物を「その他の重合性化合物」という。その他の重合性化合物としては上述のモノマーおよびオリゴマーが挙げられるが、中でも2官能以上の(メタ)アクリレートが好ましい。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、およびポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
その他の重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他の重合性化合物がインクに含まれる場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、5~50質量%が好ましい。特に、インクが2官能の(メタ)アクリレートを含む場合、2官能の(メタ)アクリレートの含有量は、インクの総質量(100質量%)に対し、5~50質量%が好ましく、10~45質量%がより好ましい。当該含有量が上記範囲内であると、インクの硬化性や硬化物の耐擦性が優れたものとなり、インクの粘度を所望の粘度に設計しやすい。また、重合性化合物の単体の粘度が比較的低い単官能(メタ)アクリレート、中でも特に粘度が低い上記ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、比較的粘度が高いその他の重合性化合物と、を組み合わせることが好ましい。これにより、インクの粘度を所望の粘度に設計しやすくなる。
なお、重合性化合物として光重合性の化合物を用いることにより、光重合開始剤の添加を省略することも可能であるが、光重合開始剤を用いた方が、重合の開始を容易に調整することができ、好適である。
3.2.光重合開始剤
放射線硬化型インクは、光重合開始剤を含んでいてもよい。当該光重合開始剤は、放射線の照射による光重合によって、被記録媒体の表面に存在するインクを硬化させて印字を形成するために用いられる。光の中でも紫外線(UV)を用いることにより、安全性に優れ、かつ光源ランプのコストを抑えることができる。放射線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、上記重合性化合物の重合を開始させるものであれば、制限はないが、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができ、中でも光ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
上記の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、およびアルキルアミン化合物が挙げられる。
これらの中でも、特にインクの硬化性を一層良好にすることができるため、アシルフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、2,4-ジエチルチオキサントン、およびビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシドが挙げられる。
光ラジカル重合開始剤の市販品としては、例えば、BASF社製の、IRGACURE(登録商標) 651(2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン)、IRGACURE 184(1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン)、DAROCUR(登録商標) 1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン)、IRGACURE 2959(1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン)、IRGACURE 127(2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル]-2-メチル-プロパン-1-オン}、IRGACURE 907(2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン)、IRGACURE 369(2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1)、IRGACURE 379(2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン)、IRGACURE TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)、IRGACURE 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 784(ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム)、IRGACURE OXE 01(1.2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)])、IRGACURE OXE 02(エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム))、IRGACURE 754(オキシフェニル酢酸、2-[2-オキソ-2-フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物)、日本化薬社(Nippon Kayaku Co., Ltd.)製の、KAYACURE(登録商標) DETX-S(2,4-ジエチルチオキサントン)、Lambson社製の、Speedcure(登録商標) TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド)、Speedcure DETX(2,4-ジエチルチオキサンテン-9-オン)、BASF社製の、Lucirin(登録商標) TPO、LR8、LR8970、UCB社製の商品名ユベクリルP36、およびIGM Resins B.V.社製の、Omnirad 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の含有量は、放射線硬化速度を向上させて硬化性を優れたものとすることができ、かつ、光重合開始剤の溶け残りや光重合開始剤に由来する着色を避けるため、インクの総質量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましい。
特に、光重合開始剤がアシルフォスフィンオキサイド化合物を含む場合、その含有量は、インクの総質量(100質量%)に対して、5~15質量%であることが好ましく、7~13質量%であることがより好ましい。含有量が上記の下限値以上であると、硬化性に一層優れる。より具体的に言えば、特に好ましい発光ピーク波長が350nm~410nmであるLEDによる硬化の際に、十分な硬化速度が得られるため、硬化性に一層優れる。一方、含有量が上記の上限値以下であると、光重合開始剤の溶解性に一層優れる。
3.3.蛍光増白剤
放射線硬化型インクは、蛍光増白剤(増感剤)を含んでもよい。蛍光増白剤は、紫外~短波可視である300~450nm付近の波長を有する光を吸収可能であり、かつ40~500nm付近の波長を有する蛍光を発光可能な無色ないし弱く着色した化合物である。蛍光増白剤は、蛍光性白化剤(Fluorescent Whitening Agt)としても知られている。蛍光増白剤の物理的原理および化学性の記述は、Ulln’s Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, Electronic Release, Wiley-VC 1998に示されている。
放射線硬化型インクが蛍光増白剤を含むことにより、硬化性を一層優れたものとすることができる。
蛍光増白剤として、以下に限定されないが、例えば、1,4-ビス-(2-ベンゾオキサゾイル)ナフタレン等のナフタレンベンゾオキサゾイル誘導体、2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール)等のチオフェンベンゾオキサゾイル誘導体、スチルベンベンゾオキサゾイル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゼンおよびビフェニルのスチリル誘導体、ビス(ベンザゾール-2-イル)誘導体、カルボスチリル、ナフタルイミド、ジベンゾチオフェン-5,5’-ジオキシドの誘導体、ピレン誘導体、およびピリドトリアゾールが挙げられる。
蛍光増白剤の市販品として、例えば、クラリアントジャパン社製のTELALUX(登録商標) KCB(1,4-ビス-(2-ベンゾオキサゾリル)ナフタレン)、BASF社製の商品名TINAL OB(2,5-チオフェンジイルビス(5-tert-ブチル-1,3-ベンゾキサゾール))等が挙げられる。
蛍光増白剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、蛍光増白剤は、インクの総質量(100質量%)に対し、0.1~0.5質量%が好ましい。当該含有量が上記範囲内であると、蛍光増白剤自身が及ぼし得る、硬化膜の色相への影響を軽減できる。
3.4.色材
放射線硬化型インクは、色材を含んでもよい。色材としては、顔料および染料のうち少なくとも一方を用いることができる。
3.4.1.顔料
色材として顔料を用いることにより、インクの耐光性を向上させることができる。顔料は、無機顔料および有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
ホワイトインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエローインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
このうち、イエローインクは、C.I.ピグメントイエロー155を含むことが好ましい。この顔料は、350nm~410nmの波長の活性エネルギーの吸収が特に多い。このため、この顔料を含むイエローインクを用いた場合には、特に、塗膜の硬化シワを抑制するという効果が顕著になる。
マゼンタインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアンインクに使用される顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、およびイエロー以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63、71が挙げられる。
このうち、オレンジインクは、C.I.ピグメントオレンジ43またはC.I.ピグメントオレンジ71を含むことが好ましい。これらの顔料を含むことにより、オレンジインクは、吐出順序をマゼンタインクとブラックインクとの間に配置したとき、特に、塗膜の光沢感を他の塗膜と揃えやすくなる。その結果、画質に優れた記録物を得ることができる。
また、レッドインクを用いた場合、レッドインクに使用される顔料は、前述したマゼンタインクに使用される顔料として挙げたものの中から、マゼンタインクに用いる顔料との関係を考慮しつつ、適宜選択される。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50~200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、インクにおける吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定される。
3.4.2.染料
色材として染料を用いることができる。染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料が使用可能である。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド 52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー 9、45、249、C.I.アシッドブラック 1、2、24、94、C.I.フードブラック 1、2、C.I.ダイレクトイエロー 1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド 1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー 1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック 19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド 14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック 3、4、35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量は、優れた隠蔽性および色再現性が得られるため、インクの総質量(100質量%)に対して、1~20質量%が好ましい。
3.5.分散剤
放射線硬化型インクが顔料を含む場合、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤を含んでもよい。分散剤として、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパー(登録商標)シリーズ、Lubrizol社製の、Solsperse(登録商標) 32000,36000等のソルスパーズシリーズ、BYKChemie社製の商品名ディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロン(登録商標)シリーズが挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、分散剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
3.6.重合禁止剤
放射線硬化型インクは、重合禁止剤を含んでもよい。インクが重合禁止剤を含有することにより、硬化前における上記重合性化合物の重合反応を防止できる。
重合禁止剤としては、特に制限されないが、例えばフェノール系重合禁止剤が挙げられる。当該フェノール系重合禁止剤として、以下に限定されないが、例えば、p-メトキシフェノール、クレゾール、t-ブチルカテコール、ジ-t-ブチルパラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α-ナフトール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-ブチルフェノール)、および4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)が挙げられる。
フェノール系重合禁止剤の市販品としては、例えば、関東化学社(Kanto Chemical Co., Inc.)製のp-メトキシフェノール(ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ))、精工化学社(Seiko Chemical Co., Ltd.)製のノンフレックス(登録商標)MBP(2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール))、精工化学社製のBHTスワノックス(登録商標)(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール)、ADEKA社製のアデカスタブ(登録商標) LA 7RD(4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル)が挙げられる。
重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、重合禁止剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
3.7.界面活性剤
放射線硬化型インクは、界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系界面活性剤が挙げられる。当該シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンやポリエーテル変性シリコーンが好ましく挙げられ、これらの中でも、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンおよびポリエステル変性ポリジメチルシロキサンのうち少なくともいずれかがより好ましい。スリップ剤の市販品としては、BYK Additives&Instruments社製の、BYK-347、BYK-348、BYK-UV3500、3510、3530、3570を挙げることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、界面活性剤の含有量は特に制限されず適宜好ましい量を添加すればよい。
3.8.その他の添加剤
放射線硬化型インクは、上記に挙げた添加剤以外の添加剤(成分)を含んでもよい。このような成分としては、特に制限されないが、例えば従来公知の、重合促進剤、浸透促進剤、および湿潤剤(保湿剤)、ならびにその他の添加剤があり得る。上記のその他の添加剤として、例えば従来公知の、定着剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、および増粘剤が挙げられる。
以上、本発明のインクジェット記録方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明のインクジェット記録方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記実施形態に任意の目的の工程が追加されたものであってもよい。
次に、本発明の実施例について説明する。
4.放射線硬化型インクの調製
表1および表2に示す成分を、表1に示す組成となるように混合し、これを高速水冷式撹拌機によって撹拌した。これにより、各色の放射線硬化型インクを得た。
Figure 2022148083000002
Figure 2022148083000003
5.プリンターによるインクジェット記録
5.1.実施例1
図2に示すプリンター1のシアンヘッド32C、マゼンタヘッド32M、オレンジヘッド32Or、ブラックヘッド32K、および、イエローヘッド32Yに対し、表3に示す放射線硬化型インクを充填した。なお、表3では、図2に示すシアンヘッド32Cの位置に設けられるラインヘッド32を「第1ヘッド」、マゼンタヘッド32Mの位置に設けられるラインヘッド32を「第2ヘッド」、オレンジヘッド32Orの位置に設けられるラインヘッド32を「第3ヘッド」、ブラックヘッド32Kの位置に設けられるラインヘッド32を「第4ヘッド」、イエローヘッド32Yの位置に設けられるラインヘッド32を「第5ヘッド」としている。表3では、各ヘッドから吐出する放射線硬化型インクの色を記号で示しており、その記号と色の関係は、表2に示す通りである。
次に、常温、常圧下で、東レ社製PETフィルム、ルミラー125E20上の、各色で互いに独立した領域にベタパターン画像を印刷し、記録物を得た。得られた塗膜の膜厚は6μmであった。
そして、各色のインクの吐出後、仮硬化用放射線または本硬化用放射線を照射した。仮硬化用放射線の照射条件および本硬化用放射線の照射条件は、表4の通りである。なお、放射線源には、波長395nmの紫外線を射出するUV-LEDを使用した。
5.2.実施例2
第3ヘッドをブラックヘッド32Kに変更し、第4ヘッドをイエローヘッド32Yに変更し、第4ヘッドの下流に設けられる仮硬化用放射線の放射線源、および、第5ヘッドを省略した以外は、実施例1と同様にしてベタパターン画像を印刷し、記録物を得た。
5.3.実施例3~5
プリンター1に充填した放射線硬化型インクの種類および放射線の照射条件を、表3および表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてベタパターン画像を印刷し、記録物を得た。
5.4.比較例1~3
プリンター1に充填した放射線硬化型インクの種類および放射線の照射条件を、表3および表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてベタパターン画像を印刷し、記録物を得た。
Figure 2022148083000004
Figure 2022148083000005
6.記録物の評価
各実施例および各比較例で得られた記録物について、塗膜の鏡面光沢度を測定し、評価した。鏡面光沢度の測定には、コニカミノルタ株式会社製、3角度光沢計マルチグロス268Aを使用した。そして、JIS K 5600-4-7:1999に規定の方法に準拠して、測定角60度で3点について測定した。なお、この3点は、いずれも、各色のインクによる塗膜にまたがる領域に設定した。そして、その測定値の平均値を、以下の評価基準に照らして評価した。
(A):85以上
(B):50以上85未満
(C):50未満
評価結果を表3に示す。
表3から明らかなように、各実施例で得られた記録物は、いずれも、各比較例で得られた記録物に比べて鏡面光沢度が良好であった。したがって、本発明によれば、顔料による活性エネルギーの吸収が多いイエローインクについても、硬化シワの発生を抑制することができ、その結果、全ての塗膜で良好な光沢感を有する記録物が得られることが明らかとなった。
各実施例で得られた記録物の塗膜を拡大観察すると、大きな硬化シワの発生は認められなかった。ただし、仮硬化用放射線の照射エネルギーを条件1にした場合、条件2にした場合に比べて、鏡面光沢度が特に高かった。この結果からすると、仮硬化用放射線の照射エネルギーがやや大きい場合には、塗膜の内部と表面とで硬化速度の差が大きくなり、硬化シワが発生しやすくなる可能性が推測される。
一方、各比較例で得られた記録物の塗膜を拡大観察すると、大きな硬化シワの発生が認められた。比較例1では、イエローインクの吐出順序が最後になっているものの、イエローインクの吐出直後には、本硬化用放射線ではなく、仮硬化用放射線を照射している。また、比較例2、3では、イエローインクの吐出順序が最後ではないため、イエローインクの吐出直後には、仮硬化用放射線を照射している。
イエローインクは、前述したように活性エネルギーの吸収が多い。このため、吐出直後に仮硬化用放射線を照射すると、塗膜の内部と表面とで硬化速度の差が大きくなる。これにより、濡れ広がる前に表面が硬化する一方、内部は硬化しない状態が長く続く。その結果、各比較例で得られた記録物の塗膜では、硬化シワが発生したものと推測される。
1…プリンター、20…搬送ユニット、25A…上流側ローラー、25B…下流側ローラー、26…搬送ドラム、30…ヘッドユニット、32…ラインヘッド、32C…シアンヘッド、32K…ブラックヘッド、32M…マゼンタヘッド、32Or…オレンジヘッド、32Y…イエローヘッド、40…照射ユニット、42…仮硬化用照射部、42C…シアン用照射部、42K…ブラック用照射部、42M…マゼンタ用照射部、42Or…オレンジ用照射部、44…本硬化用照射部、44Y…イエロー用照射部、110…検出器群、120…コントローラー、121…インターフェイス、122…CPU、123…メモリー、124…ユニット制御回路、130…コンピューター、Dc…搬送方向、S…記録媒体、S100…第1工程、S110…第1a工程、S112…シアンインク吐出工程、S114…シアンインク硬化工程、S120…第1b工程、S122…マゼンタインク吐出工程、S124…マゼンタインク硬化工程、S130…第1d工程、S132…オレンジインク吐出工程、S134…オレンジインク硬化工程、S140…第1c工程、S142…ブラックインク吐出工程、S144…ブラックインク硬化工程、S200…第2工程、S202…イエローインク吐出工程、S204…イエローインク硬化工程

Claims (9)

  1. 放射線硬化型インクであるシアンインク、マゼンタインク、ブラックインクおよびイエローインクをインクジェットヘッドから吐出させ、記録媒体に付着させるインクジェット記録方法であって、
    前記シアンインク、前記マゼンタインクおよび前記ブラックインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に仮硬化用放射線を照射する第1工程と、
    前記第1工程の後に、前記イエローインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に、前記仮硬化用放射線を照射せず、本硬化用放射線を照射する第2工程と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 前記シアンインク、前記マゼンタインクおよび前記ブラックインクの順で前記放射線硬化型インクを前記記録媒体に付着させる請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 前記第1工程は、
    前記シアンインクを前記記録媒体に付着させ、付着させた前記シアンインクに前記仮硬化用放射線を照射する第1a工程と、
    前記第1a工程の後に、前記マゼンタインクを前記記録媒体に付着させ、付着させた前記マゼンタインクに前記仮硬化用放射線を照射する第1b工程と、
    前記第1b工程の後に、前記ブラックインクを前記記録媒体に付着させ、付着させた前記ブラックインクに前記仮硬化用放射線を照射する第1c工程と、
    を有する請求項2に記載のインクジェット記録方法。
  4. 前記第1工程は、
    前記第1b工程の後で、かつ、前記第1c工程の前に、放射線硬化型インクであるオレンジインクまたはレッドインクを前記記録媒体に付着させ、前記記録媒体に前記仮硬化用放射線を照射する第1d工程
    をさらに有する請求項3に記載のインクジェット記録方法。
  5. 前記オレンジインクは、C.I.ピグメントオレンジ43またはC.I.ピグメントオレンジ71を含む請求項4に記載のインクジェット記録方法。
  6. 前記イエローインクは、C.I.ピグメントイエロー155を含む請求項1ないし5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  7. 前記仮硬化用放射線のピーク波長および前記本硬化用放射線のピーク波長は、350nm以上410nm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  8. 前記仮硬化用放射線の照射エネルギーは、20mJ/cm以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記本硬化用放射線の照射エネルギーは、50mJ/cm以上である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
JP2021049612A 2021-03-24 2021-03-24 インクジェット記録方法 Pending JP2022148083A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021049612A JP2022148083A (ja) 2021-03-24 2021-03-24 インクジェット記録方法
CN202210284459.3A CN115122761B (zh) 2021-03-24 2022-03-22 喷墨记录方法
US17/702,029 US20220305834A1 (en) 2021-03-24 2022-03-23 Ink Jet Recording Method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021049612A JP2022148083A (ja) 2021-03-24 2021-03-24 インクジェット記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2022148083A true JP2022148083A (ja) 2022-10-06

Family

ID=83362899

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021049612A Pending JP2022148083A (ja) 2021-03-24 2021-03-24 インクジェット記録方法

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20220305834A1 (ja)
JP (1) JP2022148083A (ja)
CN (1) CN115122761B (ja)

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5144243B2 (ja) * 2006-12-28 2013-02-13 富士フイルム株式会社 画像形成方法及び画像形成装置
JP2011115965A (ja) * 2009-12-01 2011-06-16 Seiko Epson Corp 印刷装置、及び、印刷方法
JP6229746B2 (ja) * 2010-11-24 2017-11-15 セイコーエプソン株式会社 記録方法、記録装置
JP5909116B2 (ja) * 2012-03-05 2016-04-26 富士フイルム株式会社 活性光線硬化型インクセット、インクジェット記録方法、及び、印刷物
JP6171312B2 (ja) * 2012-04-27 2017-08-02 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録装置、インクジェット記録方法
JP6051583B2 (ja) * 2012-04-27 2016-12-27 セイコーエプソン株式会社 印刷装置及び印刷方法
JP6127380B2 (ja) * 2012-04-27 2017-05-17 セイコーエプソン株式会社 印刷装置及び印刷方法
JP2014240464A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 富士フイルム株式会社 インクジェットインク組成物、及び、インクジェット記録方法
JP5949981B2 (ja) * 2015-03-12 2016-07-13 セイコーエプソン株式会社 印刷方法及び印刷装置
JP6720628B2 (ja) * 2016-03-28 2020-07-08 東洋インキScホールディングス株式会社 印刷物の製造方法
JP6160739B2 (ja) * 2016-04-25 2017-07-12 セイコーエプソン株式会社 インクジェット記録方法、インクジェット記録装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20220305834A1 (en) 2022-09-29
CN115122761A (zh) 2022-09-30
CN115122761B (zh) 2024-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200224044A1 (en) Photocurable ink composition for ink jet recording and ink jet recording method
US9738800B2 (en) Photocurable ink composition, recording method, recording apparatus, photocurable ink jet recording ink composition, and ink jet recording method
JP5685849B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェットインク組成物およびインクジェット記録方法
JP5927818B2 (ja) 光硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法
JP7028291B2 (ja) インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置
JP6278133B2 (ja) 光硬化型インク組成物、記録方法及び記録装置
JP6010965B2 (ja) インクジェット記録方法、紫外線硬化型インク、インクジェット記録装置
JP6160739B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP5929410B2 (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置
JP5812399B2 (ja) 顔料組成物、光硬化型インクジェット記録用インク組成物、インクジェット記録方法
JP6074131B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物
JP7140234B2 (ja) 光硬化型インクジェットインクセット及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP6197898B2 (ja) インクジェット記録方法
JP6897844B2 (ja) 光硬化型インクジェットインクセット及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP6075430B2 (ja) 紫外線硬化型インクジェット用インク組成物
JP6702348B2 (ja) インクジェット記録方法
JP2022148083A (ja) インクジェット記録方法
JP2013071975A (ja) 光硬化型インクジェット記録用インク組成物及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP5533370B2 (ja) インクジェット記録方法
JP6447668B2 (ja) インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置
JP6269748B2 (ja) 光硬化型インクジェット記録用インク組成物及びこれを用いたインクジェット記録方法
JP2014133415A (ja) インクジェット記録方法、インクジェット記録装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20210915

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20211104