JP2022147629A - 運転支援装置 - Google Patents

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壮一 大久保
Soichi Okubo
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Abstract

【課題】 死角回避制御を適切に実行する。【解決手段】 運転支援装置は、物標情報取得装置11と制御ユニット10を備える。物標情報取得装置11は、車両1の周囲に存在する他車両と、車両1の前方及び後方に延在する区画線と、を検出して物標情報として取得する。制御ユニット10は、アダプティブクルーズ制御が実行されている期間中、物標情報に基づいて並走車2の死角領域の位置を演算し、車両1に対する並走車2の相対速度と、車両1と死角領域との位置関係と、に基づいて、車両1が死角領域に滞在すると予測される予測滞在時間を演算する。制御ユニット10は、予測滞在時間が所定の滞在時間閾値を超える場合、加速制御又は減速制御の何れかを行う死角回避制御をアダプティブクルーズ制御に優先して実行し、予測滞在時間が滞在時間閾値以下の場合、死角回避制御は実行せずにアダプティブクルーズ制御を継続する。【選択図】 図4

Description

本発明は、アダプティブクルーズ制御の実行中に車両が並走車の死角領域に長期に亘って留まることを回避する死角回避制御を実行可能な運転支援装置に関する。
従来から、アダプティブクルーズ制御(Adaptive Cruise Control。以下、単に「ACC」とも称する。)の実行中に死角回避制御を実行可能な運転支援装置が知られている。例えば、特許文献1には、ACCの実行中において、「隣接車線を走行する他車両が並走車である場合に成立する死角回避条件」が成立した場合に、車両が並走車の死角領域の後方に位置するように車速を制御する死角回避制御を行う車速制御装置が開示されている。ここで、並走車は、隣接車線上に設定される並走領域内を走行している他車両として定義される。並走領域は、車両の位置に基づいて車両付近に設定される領域である。
特開2019-073241号公報
ところで、ACCは、追従ACCと定速ACCとを含む。追従ACCは、先行車が存在する場合に先行車との車間距離が所定の設定車間距離に維持されるように車速を制御する。定速ACCは、先行車が存在しない場合に車両が所定の設定車速で走行するように車速を制御する。
特許文献1の車速制御装置(以下、「従来装置」とも称する。)は、追従ACCの実行中に死角回避条件が成立した場合であっても、先行車までの車間距離が所定の回避解除距離より大きいときは、死角回避制御に優先して追従ACCを実行するように構成されている(以下、「ケース1」とも称する。)。加えて、従来装置は、定速ACCの実行中に死角回避条件が成立した場合であっても、設定車速が並走車の車速より大きいときは、死角回避制御に優先して定速ACCを実行するように構成されている(以下、「ケース2」とも称する。)。
従来装置の構成によれば、ACCの実行を要求する運転者の違和感(死角回避制御により車両が並走車の死角領域の後方に長期間に亘って位置することに起因する違和感)を緩和しつつ、車両が並走車の死角領域に長期に亘って留まることを防ぐことができると記載されている。
しかしながら、従来装置によれば、死角回避制御が適切に実行されない可能性がある。即ち、ケース1では、回避解除距離は、「先行車までの車間距離が設定車間距離未満とならずに車両が死角領域の前方に出ることができる」距離として設定されているので、「死角回避条件が成立してから、先行車までの車間距離が回避解除距離より大きくなるまで」の期間は、依然として(追従ACCに優先して)死角回避制御が実行されることになる。このため、追従ACCにより車両が死角領域を比較的に短時間で通過する場合であっても、上記期間中は一時的に死角回避制御が実行されることになる。このような死角回避制御は、当該制御の本来の目的(車両が死角領域に長期に亘って留まることを回避するという目的)を達成しているとは言い難く、不要な作動である。
加えて、ケース2では、設定車速が並走車の車速より僅かに大きい場合であっても定速ACCが実行される。このように、両者の相対速度が比較的に小さい場合、車両が並走車を追い越すにはある程度の時間がかかるので、車両が死角領域に長期に亘って留まる可能性がある。従って、このような場合にまで定速ACCが優先的に実行されることは望ましくない。
本発明は、上述した問題に対処するためになされたものである。即ち、本発明の目的の一つは、死角回避制御を適切に実行可能な運転支援装置を提供することにある。
本発明による運転支援装置(以下、「本発明装置」と称する。)は、
車両(1)に搭載され、
前記車両(1)の周囲に存在する他車両と、前記車両(1)の前方及び後方に延在する区画線と、を検出し、前記検出された他車両及び区画線に関する情報を物標情報として取得する物標情報取得装置(11)と、
アダプティブクルーズ制御が実行されている期間中、前記物標情報に基づいて隣接車線(42、40)を走行している他車両である並走車(2)の死角領域(R)の位置を演算し、前記車両(1)に対する前記並走車(2)の相対速度(V2-V1)と、前記車両(1)と前記死角領域(R)との位置関係と、に基づいて、前記車両(1)が前記死角領域(R)に滞在すると予測される時間である予測滞在時間(ts)を演算し、
前記予測滞在時間(ts)が所定の滞在時間閾値(tsth)を超える場合、前記車両(1)を加速させる加速制御又は前記車両(1)を減速させる減速制御の何れかを行う死角回避制御を、前記アダプティブクルーズ制御に優先して実行し、
前記予測滞在時間(ts)が前記滞在時間閾値(tsth)以下の場合、前記死角回避制御は実行せずに前記アダプティブクルーズ制御を継続する、
ように構成された制御ユニット(10)と、
を備える、
運転支援装置。
本発明装置は、予測滞在時間に基づいて死角回避制御を実行するか否かを判定する。具体的には、予測滞在時間が滞在時間閾値以下の場合には死角回避制御を実行せずにACCを継続し、予測滞在時間が滞在時間閾値を超える場合には死角回避制御をACCに優先して実行する。このため、車両が死角領域を速やかに通過すると予測されるときには死角回避制御が実行されなくなるため、当該制御の不要作動を抑制できる。また、車両が死角領域を通過するのにある程度の時間を要すると予測されるときには、車両と並走車の車速の大小関係に関わらず死角回避制御が実行されるため、当該制御が必要な場面で当該制御が作動しないという事態の発生を抑制できる。結果として、本発明装置によれば、死角回避制御を適切に実行することができる。
本発明の一側面では、
前記制御ユニット(10)は、
自車線(40、42)が追い越し車線(40)であるか否かに関する車線情報を取得可能であり、
前記予測滞在時間(ts)が前記滞在時間閾値(tsth)を超える場合、前記物標情報に基づいて前記車両(1)の前方の自車線(40、42)を走行している他車両である先行車が存在するか否かを判定し、
前記先行車が存在しない、又は、前記先行車が存在してもその車間距離(D1)が所定の距離閾値(D1th)を超える、という先行車スペース条件が成立するとき、
前記車線情報に基づいて、前記自車線(40、42)が追い越し車線(40)であると判定したときは前記死角回避制御として前記加速制御を実行し、前記自車線(40、42)が前記追い越し車線(40)ではないと判定したときは前記死角回避制御として前記減速制御を実行する、
ように構成された、
運転支援装置。
本発明装置は、予測滞在時間が滞在時間閾値を超える場合において先行車スペース条件が成立するとき、自車線が追い越し車線であれば加速制御を実行し、自車線が追い越し車線でなければ減速制御を実行する。この構成によれば、車両が追い越し車線を走行しているときは加速制御が実行されることにより、車両は死角領域を速やかに通過することができる。一方、車両が追い越し車線以外の車線(即ち、走行車線)を走行しているときは減速制御が実行されることにより、追い越し車線を走行している他車両(並走車を含む)の追い越しを妨げることなく死角領域を速やかに通過することができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る運転支援装置(本実施装置)の概略構成図である。 自車両が並走車より大きい速度で追い越し車線を走行している状況を示す図である。 自車両が並走車より小さい速度で追い越し車線を走行している状況を示す図である。 自車両が並走車より大きい速度で走行車線を走行している状況を示す図である。 自車両が並走車より小さい速度で走行車線を走行している状況を示す図である。 本実施装置の運転支援ECUのCPUが実行するルーチンを示すフローチャートである。
(構成)
以下、本発明の実施形態に係る運転支援装置(以下、「本実施装置」とも称する。)について図面を参照しながら説明する。本実施装置は、車両に搭載される。図1に示すように、本実施装置は、運転支援ECU10を備える。運転支援ECU10は、マイクロコンピュータを主要部として備える。ECUは、Electronic Control Unitの略である。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM及びインターフェース(I/F)等を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。以下では、本実施装置が搭載された車両を「自車両」と称する。
運転支援ECU10は、周囲センサ11、車速センサ12及びナビゲーションシステム13に接続されており、これらのセンサ又はシステムが出力又は発生する信号を所定の演算周期が経過する毎に取得するようになっている。以下では、運転支援ECU10を単に「ECU10」とも称する。
周囲センサ11(物標情報取得装置)は、カメラセンサ及びレーダセンサを備える。
カメラセンサは、自車両のルームミラー(インナーミラー/リアビューミラー)の裏面に設置された前方カメラセンサと、自車両のリアガラスに設置された後方カメラセンサと、を含む。前方カメラセンサは、自車両前方(詳細には、前方から斜め前方にかけて)の風景を撮像し、後方カメラセンサは、自車両後方(詳細には、後方から斜め後方にかけて)の風景を撮像する。カメラセンサは、前方及び後方カメラセンサによりそれぞれ撮像された画像データに基づいて、自車両の周囲に存在する他車両を認識(検出)し、自車両と他車両との相対関係を演算する。ここで、「自車両と他車両との相対関係」は、自車両から他車両までの距離、自車両に対する他車両の方位及び相対速度等を含む。
加えて、カメラセンサは、上記画像データに基づいて、自車両の前方及び後方に延在する区画線を認識(検出)する。区画線は、車両の通行を方向毎に区分するために道路に標示された線である。カメラセンサは、認識した区画線に基づいて車線の形状を演算する。なお、車線は、車道に延在する隣接する2つの区画線の間の領域として規定される。カメラセンサは、自車線(自車両が現在走行している車線)及び隣接車線(自車線にその左右の何れかで隣接している車線)をそれぞれ構成する区画線を認識可能となっている。
レーダセンサは、自車両のフロントバンパーの左右の角部に設置された前方レーダセンサと、自車両のリアバンパーの左右の角部に設置された後方レーダセンサと、を含む。前方レーダセンサは、ミリ波帯の電波を自車両の前方から側方にかけて照射し、後方レーダセンサは、ミリ波帯の電波を自車両の後方から側方にかけて照射する。レーダセンサは、他車両が存在する場合、その他車両からの反射波を受信する。レーダセンサは、電波の照射タイミングと受信タイミングと等に基づいて、自車両の周囲に存在する他車両を認識(検出)し、自車両と他車両との相対関係を演算する。
周囲センサ11は、これら検出された他車両及び区画線に関する情報を物標情報として取得し、取得した物標情報をECU10に出力する。
車速センサ12は、自車両の走行速度(車速)に応じた信号を発生する。ECU10は、車速センサ12が発生した信号を取得し、当該信号に基づいて車速を演算する。
ナビゲーションシステム13は、ナビゲーションECUと、これに接続されたGPS受信機及び地図データベースと、を含む。GPS受信機は、自車両の現在位置を検出するためのGPS信号を受信する。地図データベースは、地図情報を記憶している。ナビゲーションECUは、所定時間が経過する毎にGPS受信機から送信されるGPS信号に基づいて現在の自車両の位置を特定する。そして、特定された自車両の位置及び地図データベースに記憶されている地図情報に基づいて各種の演算処理を行い、自車線が追い越し車線であるか否かを判定し、判定結果を車線情報としてECU10に出力する。
ECU10は、駆動装置20及び制動装置30に接続されている。ECU10は、物標情報及び車線情報に基づいて駆動装置20及び制動装置30を制御することにより各種制御(本実施形態では、ACC及び死角回避制御(何れも後述))を実行する。なお、厳密には、車線情報は、必要なときのみ(後述する先行車スペース条件が成立したときのみ)利用される。
駆動装置20は、自車両を走行させるための駆動力をその駆動輪に付与するための装置である。自車両はハイブリッド車両であるので、駆動装置20の駆動源は、エンジン及びモータである。ECU10は、駆動装置20の作動を制御することにより、駆動輪に付与される駆動力を制御する。
制動装置30は、自車両を制動するための制動力をその車輪に付与するための装置である。ECU10は、制動装置30の作動を制御することにより、車輪に付与される制動力を制御する。
(作動の詳細)
一般に、ACCにより自車両が一定の車速で走行している場合、自車両と並走車との位置関係によっては自車両が並走車の死角領域に長期に亘って留まる可能性がある。このため、ACCの実行中に上記事態が発生する可能性がある場合、ACCに優先して死角回避制御を実行することが従来から行われている。しかしながら、従来の構成によれば、死角回避制御の実行条件が十分に検討されていないため、死角回避制御が不要なタイミングで当該制御が実行される一方で、死角回避制御が必要なタイミングでは当該制御が実行されない場合がある。
そこで、ECU10は、自車両が死角領域に進入する前に予測滞在時間ts(自車両が死角領域に滞在すると予測される時間)を演算し、当該予測滞在時間tsに基づいて死角回避制御を実行するか否かを判定するように構成されている。以下、図2A乃至図3Bを参照して具体的に説明するが、その前にACCについて簡単に説明する。
ACCは、自車両の運転者により実行開始され得る。即ち、本実施装置は、図示しないACCスイッチと、車間距離・車速切替スイッチと、を備える。これらのスイッチは運転席の近傍に設けられ、自車両の運転者により操作され得る。ACCスイッチがオンされると、ACC要求信号がECU10に送信される。ECU10は、ACC要求信号を受信すると、物標情報に基づいて先行車(自車両の前方の自車線を走行する他車両)の有無を判定する。
先行車が存在すると判定した場合、ECU10は、追従ACCを実行する。このとき、ECU10は、車間距離・車速切替スイッチにより予め設定されている車間距離を設定車間距離に決定する。設定車間距離は、車間距離・車速切替スイッチを操作することにより「長」、「中」及び「短」の3種類に切り替え可能となっている。
一方、先行車が存在しないと判定した場合、ECU10は、定速ACCを実行する。このとき、ECU10は、車間距離・車速切替スイッチにより予め設定されている車速を設定車速に決定する。設定車速は、車間距離・車速切替スイッチを操作することにより所定の車速範囲内の車速に変更可能となっている。以上がACCについての説明である。
ECU10は、予測滞在時間tsを演算するに際し、まず、並走車を特定し、特定された並走車の死角領域の位置(厳密には、死角領域の外郭の位置座標)を演算(推定)する。ここで、死角領域とは、並走車の運転者がサイドミラーでは周囲の状況を確認し難い領域である。死角領域は並走車の左右両側に存在し得るが、ECU10は、自車線上に存在する死角領域の位置のみ演算する。
図2A及び図2Bは、ACCを実行中の自車両1が追い越し車線40を走行しており、他車両2が走行車線42を走行している状況を示す。即ち、追い越し車線40が自車線であり、走行車線42が隣接車線である。図2Aでは、自車両1の車速V1は他車両2の車速V2よりも大きく(V1>V2)、図2Bでは、車速V1は車速V2よりも小さい(V1<V2)。一方、図3A及び図3Bは、ACCを実行中の自車両1が走行車線42を走行しており、他車両2が追い越し車線40を走行している状況を示す。即ち、走行車線42が自車線であり、追い越し車線40が隣接車線である。図3Aでは、車速V1は車速V2よりも大きく(V1>V2)、図3Bでは、車速V1は車速V2よりも小さい(V1<V2)。
ACCの実行中、ECU10は、周囲センサ11から出力される物標情報に基づいて、隣接車線42(又は40)を走行している他車両2を並走車として特定し、並走車2の死角領域Rの位置を演算する。
図2A乃至図3Bに示すように、死角領域Rは矩形状であり、短手方向に延びる短辺と、長手方向に延びる長辺と、を有する。短辺は並走車2の車幅方向と略平行であり、自車線40(又は42)の車線幅と同等の長さに設定される。長辺は並走車2の前後方向(車幅方向と直交する方向)と略平行である。以下では、説明の便宜上、死角領域Rの短辺のうち、自車両1に近接しているほうの短辺を「死角領域Rの入口Ri」又は「入口Ri」と称し、自車両1から離間しているほうの短辺を「死角領域Rの出口Ro」又は「出口Ro」と称する。
並走車2が自車両1の前方に存在する場合(図2A及び図3A参照)、ECU10は、「並走車2の後端を通りその車幅方向に平行な直線L1から死角領域Rの入口Riまでの長さd1」及び「直線L1から死角領域Rの出口Roまでの長さd2」を、それぞれ並走車2の全長に基づいて決定する。具体的には、ECU10は、並走車2の長さが長くなるほど長さd1及びd2を長くする。これにより、死角領域Rの位置(並走車2に対する相対位置)が決定される。なお、並走車2の全長は、物標情報に基づいて演算され得る。
一方、並走車2が自車両1の後方に存在する場合(図2B及び図3B参照)、ECU10は、「並走車2の前端を通りその車幅方向に平行な直線L2から死角領域Rの入口Riまでの長さd3」及び「直線L2から死角領域Rの出口Roまでの長さd4」を、それぞれ並走車2の全長に基づいて決定する。具体的には、ECU10は、並走車2の長さが長くなるほど長さd3及びd4を長くする。これにより、死角領域Rの位置が決定される。
続いて、ECU10は、自車両1が死角領域Rの入口Riに到達する(即ち、死角領域Rに進入する)までに要すると予測される時間(入口到達時間)tiを演算する。図2A及び図3Aの場合、入口到達時間tiは、「自車両1から他車両2までの距離(厳密には、自車両1の前端P1から直線L1までの距離)から長さd1を減算した値」を「自車両1に対する並走車2の相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算され得る。一方、図2B及び図3Bの場合、入口到達時間tiは、「自車両1から他車両2までの距離(厳密には、自車両1の後端P2から直線L2までの距離)に長さd3を加算した値」を「相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算され得る。
ECU10は、入口到達時間tiが所定の到達時間閾値tith以下であるか否かを判定する。ti>tithが成立すると判定した場合、ECU10は、自車両1が近い将来に死角領域Rに進入する可能性は比較的に低いと判断し、死角回避制御は実行せずにACCを継続する。一方、ti≦tithが成立すると判定した場合、ECU10は、自車両1が近い将来に死角領域Rに進入する可能性は比較的に高いと判断し、予測滞在時間tsを演算する。
ECU10は、予測滞在時間tsを演算するに際し、自車両1が死角領域Rの出口Roに到達するまでに要すると予測される時間(出口到達時間)toを演算する。そして、出口到達時間toから入口到達時間tiを減算することにより予測滞在時間tsを演算する。図2A及び図3Aの場合、出口到達時間toは、「自車両1から他車両2までの距離に長さd2を加算した値(値1)」を「相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算され得る。一方、図2B及び図3Bの場合、出口到達時間toは、「自車両1から他車両2までの距離に長さd4を加算した値(値2)」を「相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算され得る。
なお、出口到達時間toは、「値1又は値2に自車両1の全長を加算した値」を「相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算されてもよい。また、予測滞在時間tsは、「死角領域Rの前後方向の長さ(即ち、図2A及び図3Aの場合はd1+d2であり、図2B及び図3Bの場合はd4-d3)(値3)」を「相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算されてもよいし、「値3に自車両1の全長を加算した値」を「相対速度の大きさ|V2-V1|」で除算することにより演算されてもよい。
なお、並走車が複数検出された場合、ECU10は、各並走車の死角領域Rの入口到達時間tiを演算し、入口到達時間tiが最も短い並走車について、予測滞在時間tsを演算する。
ECU10は、予測滞在時間tsが所定の滞在時間閾値tsthを超えるか否かを判定する。ts≦tsthが成立すると判定した場合、ECU10は、自車両1は死角領域Rを比較的に早く通過すると予測されるため死角領域Rに長期に亘って留まることに起因した弊害は発生しないと判断し、死角回避制御は実行せずにACCを継続する。一方、ts>tsthが成立すると判定した場合、ECU10は、自車両1は死角領域Rを通過するのにある程度の時間を要すると予測されるため上記弊害が発生する蓋然性が高いと判断し、死角回避制御をACCに優先して実行する。
このように、本実施装置は、予測滞在時間tsに基づいて死角回避制御を実行するか否かを判定する。このため、たとえ自車両1が近い将来に死角領域Rに進入する可能性が高い場合であっても、死角領域Rを速やかに通過すると予測されるときには死角回避制御は実行されない。従って、死角回避制御の不要作動を抑制できる。一方、本実施装置によれば、自車両1と並走車2の車速の大小関係に関わらず、死角領域Rを通過するのにある程度の時間を要すると予測されるときには死角回避制御が実行される。このため、死角回避制御が必要な場面で当該制御が作動しないという事態の発生を抑制できる。以上より、死角回避制御を適切に実行することができる。
なお、滞在時間閾値tsthは車速V1に応じて変化する可変値であり、車速V1が小さくなるほど大きくなる(即ち、ts>tsthが成立し難くなる)ように構成されている。これにより、例えば、自車両1及び並走車2が渋滞に巻き込まれ、予測滞在時間tsが大幅に増加した場合であっても、車速V1の低下に伴い滞在時間閾値tsthが大きくなるので、予測滞在時間tsが滞在時間閾値tsthを超え難くなる。従って、死角回避制御の不要作動をより確実に抑制できる。なお、車速V1が比較的に大きい(例えば、80[km/h]を超える)場合、ACCを実行中の自車両1は一定の車速で巡行することが予測されるため、滞在時間閾値tsthが小さくなっても、ts>tsthの成立可否は正確に判定され得る。
次に、死角回避制御について説明する。ECU10は、死角回避制御として、以下の3種類の制御、即ち、加速制御、第1減速制御及び第2減速制御を実行する。第1減速制御の目標減速度の大きさは、第2減速制御の目標減速度の大きさよりも大きい。即ち、第2減速制御は、第1減速制御よりも車速が緩やかに減速される。以下では、第1減速制御及び第2減速制御を「減速制御」と総称する場合がある。
ECU10は、自車両1が追い越し車線40を走行している(別言すれば、自車線が追い越し車線40である)場合(図2A及び図2B参照)において、先行車スペース条件が成立するときは、死角回避制御として加速制御を実行する。ここで、先行車スペース条件は、先行車が存在しないこと、又は、先行車が存在してもその車間距離D1が所定の第1距離閾値D1thを超えていることを、を含む条件(別言すれば、自車両1の前方に十分なスペースがあるという条件)であり、物標情報に基づいてその成立可否が判定され得る。また、自車両1が追い越し車線40を走行しているか否かは、車線情報に基づいて判定され得る。
自車両1の前方に死角領域Rが存在する場合(図2A参照)、加速制御は、少なくとも自車両1が死角領域Rを通過するまで実行される。なお、第1距離閾値D1thは、加速制御を終了した時点にて自車両1が先行車に接近しすぎることがない程度の値であり、車速V1が大きくなるほど大きくなるように構成されている。第1距離閾値D1thは、実験又はシミュレーションにより予め決定され得る。
ECU10は、駆動装置20を制御して加速制御を実行する。具体的には、ECU10は、車速V1、予測滞在時間ts、及び、先行車が存在する場合はその車間距離D1等に基づいて目標加速度を演算し、現在の加速度を目標加速度に一致させるために必要な駆動力(要求駆動力)を演算する。そして、要求駆動力に応じてエンジンとモータの何れを駆動するかを判定する。即ち、一般に、要求駆動力が大きい場合はエンジンのほうがモータよりも効率よく作動し、要求駆動力が小さい場合はモータの方がエンジンよりも効率よく作動する。このため、ECU10は、要求駆動力に応じてより効率よく作動する駆動源を選択し、当該駆動源により要求駆動力が自車両1に付与されるように駆動装置20を制御する。これにより、加速制御を効率よく(低燃費で)実行することができる。
自車両1の前方に死角領域Rが存在する場合(図2A参照)、加速制御が実行されることにより並走車2に対する自車両1の相対速度が増加するため、自車両1は死角領域Rを速やかに通過できる。一方、自車両1の後方に死角領域Rが存在する場合(図2B参照)、加速制御が実行されることにより並走車2が自車両1に追いつき難くなるため、自車両1は死角領域Rに進入し難くなる。即ち、何れの場合も、自車両1が死角領域Rに長期に亘って留まることを回避できる。
ここで、加速制御の実行中は車速V1が増加するものの当該制御は一時的にしか実行されないため、加速制御により運転者が違和感を覚える可能性は低いと考えられる。別言すれば、本実施装置は、車速V1の一時的な増加による軽度の違和感よりも、死角領域Rに長期に亘って留まることに起因する弊害を回避することを優先している。なお、ECU10は、加速制御の実行条件が成立した場合、直ちに加速制御を実行するのではなく、車速V1を増加する旨を運転者に提案し、運転者が当該提案を許可したときに加速制御を実行するように構成されてもよい。提案は、例えば、車速V1を増加する旨をディスプレイ(例えば、ナビゲーションシステム13が備える、地図表示用のディスプレイ)に表示することにより行われる。許可は、例えば、ディスプレイに表示される許可ボタンを運転者がタッチすることにより行われる。これにより、上記違和感を低減できる。なお、車速V1の増加幅は、例えば10[km/h]である。
これに対し、自車両1が追い越し車線40を走行している場合(図2A及び図2B参照)において先行車スペース条件が成立しないとき(即ち、先行車が存在し且つその車間距離D1が第1距離閾値D1th以下であるとき)は、ECU10は、死角回避制御として減速制御を実行する。具体的には、ECU10は、後続車スペース条件が成立するときは第1減速制御を実行し、当該条件が成立しないときは第2減速制御を実行する。ここで、後続車スペース条件は、後続車(自車両1の後方の自車線を走行する他車両)が存在しないこと、又は、後続車が存在してもその車間距離D2が所定の第2距離閾値D2thを超えていること、を含む条件(別言すれば、自車両1の後方に十分なスペースがあるという条件)であり、物標情報に基づいてその成立可否が判定され得る。なお、第2距離閾値D2thは、車速V1が大きくなるほど大きくなるように構成されており、実験又はシミュレーションにより予め決定され得る。
ECU10は、制動装置30を制御して減速制御を実行する。具体的には、ECU10は、車速V1、予測滞在時間ts、及び、後続車が存在する場合はその車間距離D2等に基づいて目標減速度を演算し、現在の加速度(負の加速度である減速度を含む)を目標減速度に一致させるために必要な制動力(要求制動力)を演算する。ECU10は、モータの回生ブレーキによる制動力を優先的に活用し、回生ブレーキだけでは足りないときには、ブレーキアクチュエータを駆動して摩擦制動力を発生させ、これにより要求制動力が自車両1に付与されるように制動装置30を制御する。
自車両1の後方に死角領域Rが存在する場合(図2B参照)、第1減速制御が実行されることにより自車両1に対する並走車2の相対速度が増加するため、自車両1は死角領域Rを速やかに通過できる。また、同場合において第2減速制御が実行されることにより自車両1に対する並走車2の相対速度が緩やかに増加するため、自車両1は死角領域Rを比較的に速やかに通過できるとともに、減速に起因して後続車の走行に影響を与えることを抑制できる。
一方、自車両1の前方に死角領域Rが存在する場合(図2A参照)、第1減速制御が実行されることにより自車両1が並走車2に追いつき難くなるため、自車両1は死角領域Rに進入し難くなる。また、同場合において第2減速制御が実行されることにより自車両1が並走車2に追いつく度合いが緩やかになるため、自車両1は死角領域Rにすぐには進入し難くなるとともに、減速に起因して後続車の走行に影響を与えることを抑制できる。
加えて、自車両1が走行車線42を走行している(別言すれば、自車線が追い越し車線40以外の車線である)場合(図3A及び図3B参照)、ECU10は、先行車スペース条件の成立可否に関わらず加速制御は実行せず、死角回避制御として減速制御を実行する。具体的には、ECU10は、後続車スペース条件が成立するときは第1減速制御を実行し、当該条件が成立しないときは第2減速制御を実行する。これは、追い越し車線40を走行している並走車2(及び他車両)の走行を妨害しないようにするためである。即ち、並走車2は、走行車線42を走行している車両(自車両1を含む)を追い越すために追い越し車線40を走行しており、追い越しが完了したら走行車線42に車線変更すると考えられる。このとき、仮に自車両1が加速制御により加速すると、並走車2が車両を追い越せず、走行車線42への車線変更を妨害してしまう可能性がある。従って、自車両1が走行車線42を走行している場合、ECU10は、減速制御しか実行しないように構成されている。
自車両1の後方に死角領域Rが存在する場合(図3B参照)における効果は、自車両1が追い越し車線40を走行している同場合に減速制御が実行されるときと同様である。また、自車両1の前方に死角領域Rが存在する場合(図3A参照)における効果は、自車両1が追い越し車線40を走行している同場合に減速制御が実行されるときと同様である。
(具体的作動)
次に、ECU10のCPUの具体的作動について説明する。CPUは、イグニッションスイッチがオン状態にある期間中、所定時間が経過する毎に図4にフローチャートにより示したルーチンを繰り返し実行するように構成されている。
所定のタイミングになると、CPUは、図4のステップ400から処理を開始してステップ405に進み、自車両1がACCを実行中であるか否かを判定する。ACCを実行していない場合、CPUは、ステップ405にて「No」と判定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、ACCを実行している場合、CPUは、ステップ405にて「Yes」と判定し、ステップ410に進む。
ステップ410では、CPUは、周囲センサ11から出力される物標情報に基づいて並走車2を特定し、その死角領域Rの位置を演算する。そして、死角領域Rの入口到達時間tiを演算し、当該時間tiが到達時間閾値tith以下であるか否かを判定する。ti>tithが成立する場合、CPUは、ステップ410にて「No」と判定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、ti≦tithが成立する場合、CPUは、ステップ410にて「Yes」と判定し、ステップ415に進む。
ステップ415では、CPUは、物標情報に基づいて死角領域Rでの予測滞在時間tsを演算し、当該時間tsが滞在時間閾値tsthを超えているか否かを判定する。ts≦tsthが成立する場合、CPUは、ステップ415にて「No」と判定し、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、ts>tsthが成立する場合、CPUは、ステップ415にて「Yes」と判定し、ステップ420に進む。
ステップ420では、CPUは、物標情報に基づいて先行車が存在するか否かを判定する。先行車が存在しない場合、CPUは、ステップ420にて「No」と判定し(即ち、先行車スペース条件が成立すると判定し)、ステップ425を経ずに直接ステップ430に進む。一方、先行車が存在する場合、CPUは、ステップ420にて「Yes」と判定し、ステップ425に進む。ステップ425では、CPUは、先行車との車間距離D1が第1距離閾値D1thを超えているか否かを判定する。D1>D1thが成立する場合、CPUは、ステップ425にて「Yes」と判定し(即ち、先行車スペース条件が成立すると判定し)、ステップ430に進む。
ステップ430では、CPUは、ナビゲーションシステム13から出力される車線情報に基づいて、自車両1が追い越し車線40を走行しているか否かを判定する。自車両1が追い越し車線40を走行している場合、CPUは、ステップ430にて「Yes」と判定し、ステップ435に進む。ステップ435では、CPUは、ACCに優先して、死角回避制御として加速制御を実行する。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
これに対し、ステップ425にてD1≦D1thが成立する場合、CPUは、ステップ425にて「No」と判定し(即ち、先行車スペース条件が成立しないと判定し)、ステップ440に進む。一方、ステップ430にて自車両1が追い越し車線以外の車線(走行車線42)を走行している場合、CPUは、ステップ430にて「No」と判定し(即ち、スペース条件は成立しているものの自車線は追い越し車線40ではないと判定し)、ステップ440に進む。
ステップ440では、CPUは、物標情報に基づいて後続車が存在するか否かを判定する。後続車が存在しない場合、CPUは、ステップ440にて「No」と判定し(即ち、後続車スペース条件が成立すると判定し)、ステップ445を経ずに直接ステップ450に進む。一方、後続車が存在する場合、CPUは、ステップ440にて「Yes」と判定し、ステップ445に進む。ステップ445では、CPUは、後続車との車間距離D2が第2距離閾値D2thを超えているか否かを判定する。D2>D2thが成立する場合、CPUは、ステップ445にて「Yes」と判定し(即ち、後続車スペース条件が成立すると判定し)、ステップ450に進む。
ステップ450では、CPUは、ACCに優先して、死角回避制御として第1減速制御を実行する。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。一方、D2≦D2thが成立する場合、CPUは、ステップ445にて「No」と判定し(即ち、後続車スペース条件が成立しないと判定し)、ステップ455に進む。ステップ455では、CPUは、ACCに優先して、死角回避制御として第2減速制御を実行する。その後、CPUは、ステップ495に進んで本ルーチンを一旦終了する。
以上、本実施形態に係る運転支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
10:運転支援ECU、11:周囲センサ、12:車速センサ、13:ナビゲーションシステム、20:駆動装置、30:制動装置

Claims (2)

  1. 車両に搭載され、
    前記車両の周囲に存在する他車両と、前記車両の前方及び後方に延在する区画線と、を検出し、前記検出された他車両及び区画線に関する情報を物標情報として取得する物標情報取得装置と、
    アダプティブクルーズ制御が実行されている期間中、前記物標情報に基づいて隣接車線を走行している他車両である並走車の死角領域の位置を演算し、前記車両に対する前記並走車の相対速度と、前記車両と前記死角領域との位置関係と、に基づいて、前記車両が前記死角領域に滞在すると予測される時間である予測滞在時間を演算し、
    前記予測滞在時間が所定の滞在時間閾値を超える場合、前記車両を加速させる加速制御又は前記車両を減速させる減速制御の何れかを行う死角回避制御を、前記アダプティブクルーズ制御に優先して実行し、
    前記予測滞在時間が前記滞在時間閾値以下の場合、前記死角回避制御は実行せずに前記アダプティブクルーズ制御を継続する、
    ように構成された制御ユニットと、
    を備える、
    運転支援装置。
  2. 請求項1に記載の運転支援装置において、
    前記制御ユニットは、
    自車線が追い越し車線であるか否かに関する車線情報を取得可能であり、
    前記予測滞在時間が前記滞在時間閾値を超える場合、前記物標情報に基づいて前記車両の前方の自車線を走行している他車両である先行車が存在するか否かを判定し、
    前記先行車が存在しない、又は、前記先行車が存在してもその車間距離が所定の距離閾値を超える、という先行車スペース条件が成立するとき、
    前記車線情報に基づいて、前記自車線が追い越し車線であると判定したときは前記死角回避制御として前記加速制御を実行し、前記自車線が前記追い越し車線ではないと判定したときは前記死角回避制御として前記減速制御を実行する、
    ように構成された、
    運転支援装置。
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