JP2022143934A - アルミニウム合金箔、アルミニウム積層体、及びアルミニウム合金箔の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金箔、アルミニウム積層体、及びアルミニウム合金箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エッチング回路、特にプリント配線基板に使用されるアルミニウム合金箔について、製造中の作業性の向上並びに製造後に断線を低減できる強度及び伸びを備え、高い化学溶解性及びコストに優れたアルミニウム合金箔を提供することを目的とする。【解決手段】鉄含有量が0.5質量%以上1.8質量%未満、珪素含有量が1.5質量%未満、残部がアルミニウムと不可避不純物とからなり、円相当径が0.1μmを超え、かつ3.0μm未満の金属間化合物を3.0×105個/mm2以上含み、所定のKAM値が0.8°以上1.4°未満であるアルミニウム合金箔を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミニウム合金箔、アルミニウム積層体、及びアルミニウム合金箔の製造方法に関する。
電気機器や電子機器には、プリント配線基板が用いられている。このプリント配線基板は、例えば、基板上に貼り合わせられたアルミニウム箔の表面に所望の配線形状となるようにレジストインキをパターン状に印刷し、次にエッチング液に浸漬してレジストインキが印刷されていない部分を溶解させて、アルミニウム箔を配線パターンに形成することにより製造される。
従来、プリント配線基板用アルミニウム箔にはJIS H4160の1000系や8000系のアルミニウム箔が用いられる。しかし、上記のアルミニウム箔ではエッチング液への溶解速度が遅く、高速処理が困難である。このため、アルミニウム箔組成中にニッケル(Ni)並びに亜鉛(Zn)及びガリウム(Ga)の一種又は二種を含有させ、アルミニウム(Al)とニッケル(Ni)を含む化合物と母相の電位差を大きくすることで溶解性を高めたアルミニウム合金箔が提案されている(特許文献1)。
ところで、プリント配線基板用アルミニウム箔は、一般的には冷間圧延工程後、最終焼鈍工程で圧延油を取り除くことでアルミニウム箔と基板との間の接着強度を保ち、またアルミニウム箔自身の柔軟性を高めている。しかし、この最終焼鈍工程でアルミニウム箔の強度が減少しすぎると、プリント配線基板製造上における作業性の悪化や、後工程における配線断線のリスクが高まる等、生産性が悪化する傾向が生じる。
これに対し、例えば特許文献2では、アルミニウム-マンガン-鉄(Al-Mn-Fe)系化合物を微細に分散させることで高い強度を有すると共に、優れたエッチング部の鋭敏性を有し、さらにエッチング溶解性に優れた技術案が提案されている。
特開2012-149289号公報 特開2001-152270号公報
ところで、プリント配線基板の生産性向上のため、溶解速度をさらに速めることが求められる。また、近年、細線エッチングに対する要求が高まっており、断線リスクがより高くなる傾向がある。断線リスクの低減のため、アルミニウム箔により高い強度や伸びが必要と考えられるが、従来のアルミニウム箔を、圧延油が除去できる温度で最終焼鈍すると、再結晶によって著しく軟化してしまう。
特許文献2での引張強度、0.2%耐力は、それぞれ最高でも124N/mm、61N/mmであり十分とは言えない。特許文献2には、化合物の微細析出を表す面積率や数密度等のデータは開示されていないものの、Al-Mn-Fe系化合物を微細に分散させることで、分散強化によって強度を改善していると推察されるが、最終焼鈍によって再結晶していることが予想される。特許文献2に記載のアルミニウム合金箔よりさらに高い強度を得るには最終焼鈍による再結晶を抑制することが重要である。
また、アルミニウム合金箔の組成中にNiやMnのような添加金属を使用することはコスト面でも避けたい。さらに、Fe、珪素(Si)等の不可避不純物以外の元素の過剰な添加はエッチング廃液の処理コストにも影響する。
そこで、本発明では、エッチング回路、特にプリント配線基板に使用されるアルミニウム合金箔について、製造中の作業性の向上並びに製造後に断線を低減できる強度及び伸びを備え、高い化学溶解性及びコストに優れたアルミニウム合金箔を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明者は種々検討した結果、アルミニウム合金箔において、Fe、Siの含有量と、アルミニウム合金箔表面に存在する第二相粒子の数密度と、KAM値とを制御することで、エッチング液への溶解性を向上でき、高強度及び高伸び性を得られることを見出した。
すなわち、本発明は以下の特徴を備える。
[1]アルミニウム合金箔であって、(1)鉄含有量が0.5質量%以上1.8質量%未満、珪素含有量が1.5質量%未満、残部がアルミニウムと不可避不純物とからなり、(2)前記アルミニウム合金箔断面中に円相当径が0.1μmを超え、かつ3.0μm未満の金属間化合物を3.0×10個/mm以上含み、(3)前記アルミニウム合金箔表面を観察面として、EBSD(電子線後方散乱回折)法により、ステップサイズ:0.6μm、Nearest neighbor:1st、Maximum Orientation:5°の条件で測定したKAM(Kernel Average Misorientation)値が0.8°以上1.4°未満であるアルミニウム合金箔。
[2]圧延方向への引張強度が120N/mm以上、0.2%耐力が80N/mm以上であり、厚さ50μmにおける圧延方向への伸びが12.0%以上である、[1]に記載のアルミニウム合金箔。
[3]少なくとも一層以上の被着体と、[1]又は[2]に記載のアルミニウム合金箔とを積層してなる、アルミニウム積層体。
[4]鉄含有量が0.5質量%以上1.8質量%未満、珪素含有量が1.5質量%未満、残部がアルミニウムと不可避不純物とからなるアルミニウム合金の溶湯を、100℃/秒以上の冷却速度で鋳造することにより、アルミニウム合金の鋳塊を得る工程と、前記鋳塊を冷間圧延することにより、アルミニウム合金箔の冷間圧延箔を得る工程と、前記冷間圧延箔を400℃以下の温度で焼鈍する工程を備える、アルミニウム合金箔の製造方法。
[5]鋳造方法が双ロール式連続鋳造である、[4]に記載のアルミニウム合金箔の製造方法。
[6]中間焼鈍工程を含み、均質化熱処理工程及び熱間圧延工程を含まない、[4]又は[5]に記載のアルミニウム合金箔の製造方法。
この発明で得られるアルミニウム合金箔は、高い化学溶解性を有するので、エッチング回路、特にプリント配線基板の製造中の作業性を向上すると共に、製造後に断線を低減できる強度及び伸びを備えるという特徴を発揮することができる。
実施例1で得られたアルミニウム合金箔断面の組成像 比較例7で得られたアルミニウム合金箔断面の組成像
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明に係るアルミニウム合金箔は、所定量の鉄(Fe)、及び珪素(Si)を含み、残部はアルミニウム(Al)と不可避不純物を含む箔である。
[鉄含有量]
本発明のアルミニウム合金箔は、鉄(Fe)を0.5質量%以上1.8質量%未満含む。鉄含有量が0.5質量%より少ないと、金属間化合物が少なく十分な化学溶解性が得られず、また最終焼鈍後の強度も不足する傾向が生じる。一方、鉄含有量が1.8質量%を超えると、鋳造時の初晶がAlからAl-Fe系化合物となり、鋳造欠陥や圧延性の低下を招く恐れがあり、また強度、伸びにも悪影響を及ぼす。
鉄含有量のより好ましい範囲は、0.8質量%以上1.6%未満である。上記範囲内であると化学溶解性、強度に優れたアルミニウム合金箔を安定して製造できる。
[珪素含有量]
本発明のアルミニウム合金箔は珪素(Si)を1.5質量%未満含む。
珪素の添加は、Al-Fe系、Al-Fe-Si系化合物の晶析出を促進する。珪素含有量が増えることで化合物サイズは大きくなり、その数も増大する。1.5質量%以上になると晶出物が粗大になり、CC鋳造時に中心線偏析等欠陥が生じやすくなる。
珪素含有量の好ましい範囲は0.03質量%以上1.3%未満である。1.3%未満であるとアルミニウム合金箔を安定して製造できる。珪素は下限値としては特に制限はないが、高純度地金の使用による高コスト化を避けるため0.03質量%以上であることが好ましい。
[本発明に係るアルミニウム合金箔を構成する成分の残部]
本発明に係るアルミニウム合金箔を構成する成分の残部は、アルミニウムと不可避不純物からなる。この不可避不純物とは、アルミニウム合金箔の製造時に不可避的に混入した元素をいう。この不可避不純物は、本発明におけるアルミニウム合金箔の特性に影響を与えない範囲で含んでもよい。
この不可避不純物としては、例えば、マンガン(Mn)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ガリウム(Ga)、ニッケル(Ni)、ホウ素(B)、ジルコニウム(Zr)等の元素があげられ、これらのうち、1種又は2種以上を各々500質量ppm以下含んでいてもよい。
本発明のアルミニウム合金箔は上記組成を備えるため、高価な添加元素を含まず、また化学溶解した際の廃液の処理コストを低減することができる。
[金属間化合物]
本アルミニウム合金箔の断面に存在する円相当径0.1μmを超え、かつ3.0μm未満の金属間化合物の単位面積当たりの個数は、3.0×10個/mm以上である。上記範囲内であると金属間化合物を微細に数多く分散させることで、高い化学溶解性と高強度化が可能である。
ここでの金属間化合物とは、アルミニウム合金箔断面を例えば走査型電子顕微鏡で観察し、反射電子像(組成像)で撮影した際に、アルミニウム母相とは異なるコントラストを持つ粒子である。金属間化合物は例えばAl-Fe系、Al-Fe-Si系等を指すが、これに限定されない。
円相当径0.1μm以下の金属間化合物は、走査型電子顕微鏡では検出が難しいため除外した。また、円相当径3.0μm以上の粗大金属間化合物は、圧延時にピンホールの原因となり、断線の原因となるので、0.1×10個/mm以下がよく、0個/mmがより好ましい。このため、上記の範囲においては、3.0μm未満とした。
円相当径0.1μmを超え、かつ3.0μm未満の金属間化合物の単位面積当たりの個数の、より好ましい範囲は、3.5×10個/mm以上、20×10個/mm以下である。3.5×10個/mm以上とすることで、より化学溶解性に優れるアルミニウム合金箔を提供できる。20×10個/mmを超えると、エッチング部の鋭敏性が損なわれる恐れがある。
この金属間化合物は、上記の量を有することにより、エッチングの起点になると共に、得られるアルミニウム合金箔の強度を強化し、最終焼鈍の後の再結晶を抑制する働きを有するので、本発明の特徴をより確実に発揮することができる。
[KAM値]
本発明におけるKAM値とは、アルミニウム箔表面を観察面として、EBSD(電子線後方散乱回折)法により、指定のステップサイズ(0.6μm間隔)で配置された電子線照射スポットについて、隣接するスポット間の結晶方位差をすべて測定し(Nearest Neighbor=1st)、方位差5°未満(Maximum misorientation=5°)の測定値を抽出し、測定視野においてその平均値を求めたものに相当する。
このKAM値は歪蓄積量と相関があり、KAM値が高いほど結晶粒内における加工歪による方位変化が大きいと推測される。
本発明では、KAM値を適切な範囲に制御することで、優れた強度、伸びが得られることを見出した。このKAM値は、0.8°以上1.4°未満がよい。KAM値が0.8°より小さい状態は、回復、再結晶が進行した歪の少ない状態であるので、十分な強度が得られない傾向がある。KAM値が1.4°以上の状態は、歪が多く残存した状態であり、十分な伸びが得られない傾向がある。
KAM値のより好ましい範囲は0.9°以上1.3°未満である。上記範囲内であると、より強度、伸びに優れたアルミニウム合金箔を製造できる。
[製造方法]
次に、本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法について説明する。
本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法は、前記組成範囲になるようにアルミニウム母合金を調製し、加熱してアルミニウム合金溶湯を作製する工程、前記アルミニウム合金溶湯を100℃/秒以上の冷却速度で鋳造して鋳塊を作製する工程、前記鋳塊を冷間圧延して箔にする工程、及び400℃以下、好ましくは200~400℃程度で最終焼鈍(FA)する工程を含む構成とした製造方法である。
より具体的には、まず、上記組成範囲になるようにアルミニウム地金、各種添加金属元素、又はそれらを含んだアルミニウム母合金を調製し、680~1000℃で加熱しアルミニウム合金溶湯とする。次に、その溶湯を鋳造し、鋳塊を作製する。この鋳造は、100℃/秒以上、例えば約300℃/秒の高い鋳造冷却速度が出せる連続鋳造(CC(Continuous casting)鋳造)を使用するのが好ましい。
本発明のアルミニウム合金箔は、含有する金属間化合物を微細分散させることが重要であり、鋳造冷却速度が約10℃/秒の半連続鋳造(DC(Direct Chill)鋳造)では難しい。
CC鋳造板は、約7mmの厚みで得られ、冷間圧延により所定厚みの箔にする。圧延しやすくする、又は固溶・析出状態を制御するために冷間圧延工程の途中で中間焼鈍(IA)することも可能である。最後に400℃以下、好ましくは200~400℃程度でFAすることでアルミニウム合金箔となる。
[冷却速度]
本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法における、鋳造時の冷却速度は100℃/秒以上である。上記範囲内とすることにより、アルミニウム母相中に金属間化合物を微細に分散させることが出来るため、FA時の再結晶を抑制する事ができる。そのため、アルミニウム合金箔の強度、伸びを向上させることができる。また化学溶解の起点となる金属間化合物を微細に分散させることが出来るため配線基板に用いられた際にエッチング速度を向上させることが出来る。
冷却速度は200℃/秒以上が好ましく、300℃/秒以上であるとより好ましい。上記範囲であると前述の効果をより向上させることができる。一方、鋳造時の冷却速度の上限は、特に限定されないが、装置上の観点から、1000℃/秒以下であれば十分である。
上記冷却速度を達成ための鋳造方法としては、特に限定されないが、例えば、連続鋳造(CC鋳造)、特に双ロール連続鋳造が挙げられる。鋳造厚みは、特に限定されないが、例えば3mm以上10mm以下であり、より好ましくは3mm超8mm以下である。上記範囲であると、鋳塊の内部においても所望の冷却速度を得る事ができる。
[均質化熱処理]
本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法においては、均質化熱処理工程を含まないことが好ましい。均質化熱処理工程を行うと、高い冷却速度を有する鋳造工程により過飽和固溶した添加元素が析出し、組織の粗大化を招くため、十分な高強度、伸び及び化学溶解性を兼ね備えるという、この発明の特徴を発揮しにくくなるおそれがある。
[熱間圧延]
本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法においては、熱間圧延工程を含まないことが好ましい。熱間圧延工程を行うと、高い冷却速度を有する鋳造工程により過飽和固溶した添加元素が析出し、組織の粗大化を招き、十分な高強度、伸び及び化学溶解性を兼ね備えるという、この発明の特徴を発揮しにくくなるおそれがある。
[中間焼鈍(IA)]
本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法においては、中間焼鈍工程を含むことが好ましい。中間焼鈍工程はあっても無くてもよいが、圧延性の改善の目的で、アルミニウム合金箔の特性に影響が出ない範囲で行うことが好ましい。一例としては、空気雰囲気中で250℃以上550℃以下の温度で、1時間以上20時間以下行われる。
[最終焼鈍(FA)]
本発明にかかるアルミニウム合金箔の製造方法においては、最終焼鈍工程を含む。最終焼鈍工程は、例えば、空気雰囲気又は不活性ガス雰囲気中で、400℃以下で行われる。最終焼鈍温度が200℃未満の場合、圧延油の除去が不十分であり、またKAM値が1.4°より大きくなることが多い。最終焼鈍温度が400℃を超える場合、組織の粗大化による化学溶解性の悪化が懸念され、またKAM値が0.8°より小さくなることが多い。最終焼鈍は好ましくは200℃以上400℃以下、より好ましくは275℃以上400℃以下、1時間以上60時間以下である。これらの条件を満たす場合、得られるアルミニウム合金箔は、圧延油の除去が十分であり、前記に示したKAM値の範囲に制御可能であり、十分な強度、伸びが得られる。
[アルミニウム合金箔の特性]
<強度、0.2%耐力、伸び>
本発明にかかるアルミニウム合金箔は、圧延方向への引張強度が120N/mm以上が好ましく、0.2%耐力が80N/mm以上が好ましく、厚さ50μmにおける圧延方向への伸びが12.0%以上であることが好ましい。引張強度や0.2%耐力が上記範囲であると、プリント配線基板の製造工程において十分な作業性を確保できる。
ところで、本明細書において単に「耐力」と記載した場合は、「0.2%耐力」を指す。
<厚み>
アルミニウム合金箔の厚みは特に限定されないが、7μm以上100μm未満が好ましい。より好ましくは9μm以上50μm以下である。上記範囲であれば、プリント配線基板用として好適に採用できる。
7μm未満だとプリント配線基板の製造工程における作業性が悪化する傾向があり、100μm以上であればエッチング時の溶解時間が長くなりプリント配線基板用として不適となる傾向が生じる。
[アルミニウム積層体]
本発明にかかるアルミニウム合金箔は、その少なくとも一方の面に少なくとも一層以上の被着体を積層し、アルミニウム積層体とする事ができる。
上記被着体は可撓性を有するものでも、有さないものでもよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂フィルム、又は紙フェノール樹脂板、ガラスエポキシ板等が好適に用いられる。
アルミニウム合金箔と被着体との積層方法は特に限定されず、例えば接着剤によるラミネート等が挙げられる。
また、前記積層に前もって、アルミニウム合金箔の表面を粗化したり、洗浄を行ったり、コーティング等を行ってもよい。
[プリント配線基板]
前記積層体のアルミニウム箔の表面に所望の配線形状となるようにレジストインキをパターン状に印刷し、次にエッチング液に浸漬してレジストインキが印刷されていない部分を溶解させた後、必要に応じてレジストを剥離することにより、アルミニウム箔を配線パターンに形成しプリント配線基板とすることができる。
印刷方法は公知のものを用いる事ができ、例えばグラビア印刷やスクリーン印刷等である。
上記レジストインキとしては、公知のものを用いる事ができ、有機系や無機系レジスト等をエッチング液やアルミニウム表面への塗工性等から適宜採用できる。
上記エッチング液は、公知のものを用いる事ができ、酸性、アルカリ性等適宜採用でき、例えば水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)水溶液や塩酸、塩化第二鉄液、塩化銅液、過酸化水素等、あるいはそれらの混合液が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の内容を一層明確にする。まず、この実施例で用いた試験方法を下記に示す。
(試験方法)
[金属間化合物個数]
アルミニウム合金箔断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子(株)製SM-09010)により平滑に加工した後、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM-7200F)により倍率2500倍で観察した。金属間化合物を観やすくするために反射電子像(組成像)で撮影した。金属間化合物のサイズ・個数は画像解析・計測ソフトウェアWinROOF2018(三谷商事(株):Version4.7.5)を使って評価した。解析ソフト内の画像処理でコントラスト・明るさを調整し、金属間化合物を明確にする。その後、単一しきい値による2値化で、アルミニウム合金箔断面の金属間化合物部分のデータのみを抽出できるように2値化処理した。2値化処理された金属間化合物部分で円相当径0.1μm以下の部分を削除するようにデータ処理し、残された円相当径0.1μmを超える部分で、3.0μm未満のものの個数、及び3.0μm以上のものの個数を計測し、単位面積当たりの金属間化合物の個数を算出した。ランダムに5視野で撮影し、その平均値を求めた。
[KAM値]
アルミニウム合金箔表面のKAM値は、EBSD分析装置((株)TSLソリューションズ製Verocity)を備えた電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子(株)製JSM-7200F)を使用して、倍率300倍、300μm×300μmの視野でステップサイズ0.6μmとしてEBSD測定を行い、その測定結果より、解析ソフトウェアOIM Analysis 8((株)TSLソリューションズ製)によりNearest Neighbor = 1st、Maximum misorientation=5°で算出した。前処理としてアルミニウム合金箔表面は電解研磨で鏡面加工した。ランダムに3視野で測定し、その平均値を求めた。
[引張試験]
FA後のアルミニウム合金箔を幅15mm、長さ200mmの短冊試験片に切り出し、(株)東洋精機製作所製のストログラフVES5Dで引張試験した。チャック間距離100mm、引張速度10mm/minとし、引張強度、耐力、伸びのデータを得た。試験は3回実施し、その平均値を算出した。引張試験の方向は圧延方向に合わせた。
[溶解時間]
アルミニウム合金箔の片側表面のみ1×1cm露出するようにマスキングテープを貼り、塩酸8質量%、塩化アルミニウム4質量%となるよう作製した40℃のエッチング液に含浸し、アルミニウム合金箔露出部が完全に溶解するまでの時間を測定した。
(実施例1~8、比較例1~4)
下記の表1、2に示す各組成からなるアルミニウム合金を溶解し、その溶湯を脱ガス・脱介在物処理した後にCC鋳造で厚み7mmの鋳造板を得た。得られた鋳造板に冷間圧延を行い厚さ1mmにした後、表1、2に記載の温度で中間焼鈍を行った。中間焼鈍の後さらに冷間圧延を行い、厚み50μmの冷間圧延箔を得た。得られた前記冷間圧延箔に表1、2に記載の温度で2時間保持する最終焼鈍を施した。最終厚みは表1、2記載の通りとする。得られたアルミニウム合金箔の各物性等を前記した方法で測定した。その結果を表1、2に示す。
(比較例5~9)
下記の表2記載の組成でDC鋳造により鋳塊を得た。鋳塊を面削後、表2記載の温度で均質化熱処理を行った後、熱間圧延により厚み7mmの板とした。その後は上記実施例と同様に冷間圧延、中間焼鈍、最終焼鈍を表2記載の条件で実施した。最終厚みは表2記載の通りとする。得られたアルミニウム合金箔の各物性等を前記した方法で測定した。その結果を表2に示す。
なお、実施例1及び比較例7における、金属間化合物個数測定時に撮影した組成像を図1(実施例1)、及び図2(比較例7)に示す。
この結果から、実施例1では、0.1μm~3.0μmの細かい金属間化合物が多数存在していることが明らかである。一方、比較例7では、0.1μm~3.0μmの細かい金属間化合物は少ないことが明らかである。
Figure 2022143934000001
Figure 2022143934000002

Claims (6)

  1. アルミニウム合金箔であって、
    (1)鉄含有量が0.5質量%以上1.8質量%未満、珪素含有量が1.5質量%未満、残部がアルミニウムと不可避不純物とからなり、
    (2)前記アルミニウム合金箔断面中に円相当径が0.1μmを超え、かつ3.0μm未満の金属間化合物を3.0×10個/mm以上含み、
    (3)前記アルミニウム合金箔表面を観察面として、EBSD(電子線後方散乱回折)法により、ステップサイズ:0.6μm、Nearest neighbor:1st、Maximum Orientation:5°の条件で測定したKAM(Kernel Average Misorientation)値が0.8°以上1.4°未満であるアルミニウム合金箔。
  2. 圧延方向への引張強度が120N/mm以上、0.2%耐力が80N/mm以上であり、
    厚さ50μmにおける圧延方向への伸びが12.0%以上である、請求項1に記載のアルミニウム合金箔。
  3. 少なくとも一層以上の被着体と、請求項1又は2に記載のアルミニウム合金箔とを積層してなる、アルミニウム積層体。
  4. 鉄含有量が0.5質量%以上1.8質量%未満、珪素含有量が1.5質量%未満、残部がアルミニウムと不可避不純物とからなるアルミニウム合金の溶湯を、
    100℃/秒以上の冷却速度で鋳造することにより、アルミニウム合金の鋳塊を得る工程と、
    前記鋳塊を冷間圧延することにより、アルミニウム合金箔の冷間圧延箔を得る工程と、
    前記冷間圧延箔を400℃以下の温度で焼鈍する工程を備える、アルミニウム合金箔の製造方法。
  5. 鋳造方法が双ロール式連続鋳造である、請求項4に記載のアルミニウム合金箔の製造方法。
  6. 中間焼鈍工程を含み、均質化熱処理工程及び熱間圧延工程を含まない、請求項4又は5に記載のアルミニウム合金箔の製造方法。
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