実施の形態を詳細に説明する前に、実施の形態が実装されうる例示的な環境を提示することが有益である。
図1は、ある実施の形態のリソグラフィ装置LAを模式的に示す。本装置は、
- 放射ビームB(例えばUV放射またはDUV放射)を調整するよう構成される照明システム(イルミネータ)ILと、
- パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持するよう構築され、特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするよう構成される第1位置決め部PMに接続されている支持構造(例えばマスクテーブル)MTと、
- 基板(例えば、レジストでコーティングされたウェーハ)Wを保持するよう構築され、特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするよう構成される第2位置決め部PWに接続されている基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WT(例えば、WTa、WTb、またはその両方)と、
- パターニングデバイスMAにより放射ビームBに付与されるパターンを基板Wの(例えば1つ又は複数のダイを備え、フィールドともしばしば称される)ターゲット部分Cに投影するよう構成される投影システム(例えば屈折型投影レンズシステム)PSと、を備える。投影システムは、基準フレーム(RF)に支持されている。
図示されるように、本装置は、(例えば透過型マスクを用いる)透過型である。これに代えて、本装置は、(例えば、上述の形式のプログラマブルミラーアレイ、または反射型マスクを用いる)反射型であってもよい。
イルミネータILは放射ソースSOから放射ビームを受ける。ソースとリソグラフィ装置とは、例えばソースがエキシマレーザである場合には、別体であってもよい。この場合、ソースはリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは、適当な方向変更用のミラー及び/又はビームエキスパンダを例えば備えるビーム搬送系BDを介してソースSOからイルミネータILへと受け渡される。ソースが例えば水銀ランプである等の他の場合には、ソースはリソグラフィ装置と一体の部分であってもよい。ソースSOとイルミネータILとは、またビーム搬送系BDが必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと総称されてもよい。
イルミネータILは、ビームの強度分布を変化させてもよい。イルミネータは、強度分布が瞳面内の環状領域内で非ゼロとなるように、放射ビームの径方向範囲を制限するように設けられてもよい。これに加えて又はこれに代えて、イルミネータILは、瞳面内における等間隔配置の複数のセクタ内で強度分布が非ゼロとなるように、瞳面内のビームの分布を制限するように動作可能であってもよい。イルミネータILの瞳面内の放射ビームの強度分布は、照明モードと呼ばれてもよい。
したがって、イルミネータILは、ビームの(角度的/空間的)強度分布を調整するように構成されたアジャスタAMを備えてもよい。一般には、イルミネータの瞳面における強度分布の少なくとも外側及び/又は内側半径範囲(通常それぞれ「シグマ-アウタ(σ-outer)」、「シグマ-インナ(σ-inner)」と呼ばれる)を調整することができる。イルミネータILは、ビームの角度分布を変化させるように動作可能であってもよい。例えば、イルミネータは、強度分布が非ゼロである瞳面内のセクタの数および角度範囲を変化させるように動作可能であってもよい。イルミネータの瞳面内のビームの強度分布を調整することにより、様々な照明モードが達成されてもよい。例えば、イルミネータILの瞳面内の強度分布の径方向範囲および角度範囲を制限することにより、強度分布は、例えば、双極、四極、または六極分布などの多極分布を有しうる。所望の照明モードは、例えば、その照明モードを提供する光学部品をイルミネータILに挿入することによって、または空間光変調器を使用することによって得られてもよい。
イルミネータILは、ビームの偏光を変更するように動作可能であってもよく、アジャスタAMを用いて偏光を調整するように動作可能であってもよい。イルミネータILの瞳面にわたる放射ビームの偏光状態は、偏光モードと呼ばれてもよい。様々な偏光モードを用いることにより、基板W上に形成される画像において、より大きなコントラストが得られるようにしてもよい。放射ビームは、非偏光であってもよい。あるいは、イルミネータは、放射ビームを直線的に偏光させるように設けられてもよい。放射ビームの偏光方向は、イルミネータILの瞳面にわたって変化してもよい。放射の偏光方向は、イルミネータILの瞳面内の異なる領域で異なっていてもよい。放射の偏光状態は、照明モードに依存して選択されてもよい。多極照明モードの場合、放射ビームの各極の偏光は、イルミネータILの瞳面におけるその極の位置ベクトルに概ね垂直であってもよい。例えば、双極照明モードの場合、放射は、双極の2つの対向するセクタを二等分する線に実質的に垂直な方向に直線偏光されてもよい。放射ビームは、X偏光状態およびY偏光状態と呼ばれる、直交する2つの異なる方向のうちの1つに偏光していてもよい。四極照明モードでは、各極のセクタの放射は、そのセクタを二等分する線に実質的に垂直な方向に直線偏光されていてもよい。この偏光モードは、XY偏光と呼ばれてもよい。同様に、六極照明モードでは、各極のセクタ内の放射は、そのセクタを二等分する線に実質的に垂直な方向に直線偏光されていてもよい。この偏光モードは、TE偏光と呼ばれてもよい。
加えてイルミネータILは、インテグレータINおよびコンデンサCO等その他の各種構成要素を備えてもよい。照明システムは、放射を方向付け、形状を整え、または制御するために、屈折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品、または他の種類の光学部品などの各種の光学部品、またはこれらの組合せを含みうる。
こうして、イルミネータは、ビーム断面における所望の均一性及び強度分布を有する、調整された放射ビームBを提供する。
支持構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および例えばパターニングデバイスが真空環境に保持されるか否か等その他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを支持する。支持構造は、パターニングデバイスを保持すべく、機械的、または真空、または静電、またはその他のクランプ技術を用いることができる。支持構造は、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これは必要に応じて固定されまたは移動可能であってもよい。支持構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証しうる。本書での「レチクル」または「マスク」との用語の使用はいずれも、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であるとみなされうる。
本書で使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分にパターンを付与するために使用可能ないかなるデバイスをも指すよう広く解釈されるべきである。ある実施の形態においては、パターニングデバイスは、基板のターゲット部分にパターンを形成すべく放射ビームの断面にパターンを付与するために使用可能な任意のデバイスである。例えばパターンが位相シフトフィーチャあるいはいわゆるアシストフィーチャを含む場合のように、放射ビームに与えられるパターンは、基板のターゲット部分に所望されるパターンと厳密に一致していなくてもよい。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に生成される集積回路などのデバイスにおける特定の機能層に対応する。
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスクやプログラマブルミラーアレイ、プログラマブルLCDパネルがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを様々な方向に反射するように個別に傾斜可能であるというものがある。これらの傾斜ミラーにより、マトリックス状ミラーで反射された放射ビームにパターンが付与されることになる。
本書で使用される「投影システム」という用語は、屈折光学系、反射光学系、反射屈折光学系、磁気的光学系、電磁気的光学系、静電的光学系、またはそれらの任意の組み合わせを含むものであり、使用される露光放射に関して又は液浸液の使用または真空の使用等の他の要因に関して適切とされるいかなる投影システムをも包含するよう広く解釈されるべきである。本書での「投影レンズ」との用語の使用はいずれも、より一般的な用語である「投影システム」と同義であるとみなされうる。
投影システムPSは、不均一でありうる光学伝達関数を有し、これは基板W上に結像されるパターンに影響を与えうる。非偏光の放射に関してこのような影響は、2つのスカラーマップによってかなりよく記述することができる。これらは、投影システムPSを出る放射の透過(アポダイゼーション)および相対位相(収差)をその瞳面における位置の関数として記述するものである。透過マップおよび相対位相マップと呼ばれうるこれらのスカラーマップは、一式の基底関数の線形結合として表記されうる。特に便利なものは、ゼルニケ多項式であり、これは単位円に定義される直交多項式のセットを形成する。各スカラーマップの決定には、こうした展開における係数の決定が含まれうる。ゼルニケ多項式は単位円上で直交しているため、ゼルニケ係数は、測定されるスカラーマップと各ゼルニケ多項式の内積を順番に計算し、これをそのゼルニケ多項式のノルムの二乗で割ることによって決定されうる。
透過マップと相対位相マップは、フィールドおよびシステムに依存する。すなわち、一般的に、各投影システムPSは、フィールドポイントごとに(すなわち、その像面内の空間位置ごとに)異なるゼルニケ展開を持つことになる。投影システムPSについてのその瞳面における相対位相は、放射を、例えば投影システムPSの対物面(すなわち、パターニングデバイスMAの平面)内の点状のソースから投影システムPSを介して投影し、シアリング干渉計を用いて波面(すなわち、同じ位相をもつ点の軌跡)を測定することにより決定されうる。シアリング干渉計は共通経路干渉計であり、したがって、有利なことに、波面を測定するのに第2の参照ビームを必要としない。シアリング干渉計は、投影システムの像面(すなわち基板テーブルWT)における例えば二次元グリッドの回折格子と、投影システムPSの瞳面と共役な平面における干渉パターンを検出するよう配置される検出器とを備えてもよい。この干渉パターンは、瞳面におけるシアリング方向の座標についての放射の位相の導関数に関連している。検出器は、例えば電荷結合素子(CCD)などのセンサ素子のアレイを備えてもよい。
リソグラフィ装置の投影システムPSは目に見える縞を生成しないかもしれないので、波面の決定の精度を、例えば回折格子を移動するなどの位相ステッピング技術を用いて向上することができる。ステッピングは、回折格子の平面において測定の走査方向に垂直な方向に行われうる。ステッピング範囲は1つの格子周期であってもよく、少なくとも3つの(均等に分布した)位相ステップが用いられてもよい。よって、例えば、3回の走査測定がy方向に行われ、各走査測定がx方向の異なる位置に対して行われてもよい。この回折格子のステッピングは、位相変動を強度変動に効果的に変換し、位相情報を決定することを可能にする。格子は、検出器を較正するために、回折格子に垂直な方向(z方向)にステップされてもよい。
回折格子は、投影システムPSの座標系の軸(xおよびy)と一致していてもよいし、これらの軸に対して45度のような角度にあってもよい、2つの直角方向に順次走査されてもよい。走査は、整数個の格子周期、例えば1つの格子周期にわたって行われてもよい。走査は、一方の方向の位相変化を平均化し、他方の方向の位相変化を再構築することを可能にする。これにより、波面を両方向の関数として決定することができる。
投影システムPSの瞳面における透過(アポダイゼーション)は、放射を、例えば投影システムPSの対物面(すなわち、パターニングデバイスMAの平面)内の点状のソースから投影システムPSを介して投影し、検出器を用いて投影システムPSの瞳面と共役な平面における放射の強度を測定することにより決定されうる。収差を決定するために波面を測定するのに使用したものと同じ検出器が使用されてもよい。
投影システムPSは、複数の光学(例えばレンズ)素子を備えてもよく、収差(フィールド全体の瞳面にわたる位相変動)を補正するために1つ又は複数の光学素子を調整するよう構成される調整機構AMを更に備えてもよい。これを達成するために、調整機構は、投影システムPS内の1つ又は複数の光学(例えばレンズ)素子を1つ又は複数の異なる方法で操作するよう動作可能であってもよい。投影システムは、その光軸がz方向に延びる座標系を有してもよい。調整機構は、1つ又は複数の光学素子の変位、1つ又は複数の光学素子の傾斜、及び/又は、1つ又は複数の光学素子の変形からなる任意の組合せを行うよう動作可能であってもよい。光学素子の変位は、任意の方向(x、y、zまたはそれらの組合せ)であってもよい。光学素子の傾斜は、典型的には、x及び/又はy方向の軸まわりに回転させることによって光軸に垂直な平面外となるが、非回転対称の非球面光学素子に関してはz軸まわりの回転が用いられてもよい。光学素子の変形は、低周波形状(例えば非点収差)、及び/又は高周波形状(例えば自由形式の非球面)を含んでもよい。光学素子の変形は、例えば1つ又は複数のアクチュエータを用いて光学素子の1つ又は複数の側面に力を及ぼすことにより、及び/又は加熱素子を用いて光学素子の1つ又は複数の選択された領域を加熱することにより、実行されてもよい。一般的に、アポダイゼーション(瞳面にわたる透過変動)を補正するために投影システムPSを調整することは可能でないかもしれない。投影システムPSの透過マップは、リソグラフィ装置LAのためのパターニングデバイス(例えばマスク)MAを設計する際に用いられてもよい。計算リソグラフィ技術を用いて、少なくとも部分的にアポダイゼーションを補正するようパターニングデバイスMAが設計されてもよい。
リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれより多くのテーブル(例えば、2以上の基板テーブルWTa、WTb、2以上のパターニングデバイステーブル、基板テーブルWTaおよび投影システム下方で基板無しで例えば測定及び/又は洗浄を容易にするための専用のテーブルWTb、等)を有する形式のものであってもよい。このような「多重ステージ」の装置においては、追加されたテーブルは並行して使用されるか、あるいは1つ又は複数のテーブルで準備工程を実行しながら他の1つ又は複数のテーブルが露光のために使用されてもよい。例えば、アライメントセンサASを用いたアライメント測定、及び/又はレベルセンサLSを用いたレベル(高さ、傾斜など)測定が行われてもよい。
また、リソグラフィ装置は、基板の少なくとも一部分が例えば水などの比較的高い屈折率を有する液体で投影システムと基板との間の空間を満たすよう覆われうる形式のものであってもよい。液浸液は、例えばパターニングデバイスと投影システムとの間などリソグラフィ装置の他の空間に適用されてもよい。液浸技術は投影システムの開口数を増大させるために本分野において周知である。本書で使用される「液浸」との用語は、基板等の構造体が液体に浸されなければならないことを意味するのではなく、液体が投影システムと基板との間に露光中に配置されることを意味するにすぎない。
したがって、リソグラフィ装置の動作において、放射ビームは、照明システムILによって調整され提供される。放射ビームBは、支持構造(例えばマスクテーブル)MTに保持されるパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、パターニングデバイスによりパターン形成される。パターニングデバイスMAを横切った放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦する。第2位置決め部PWと位置センサIF(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、2次元エンコーダ、または静電容量センサ)により、例えば放射ビームBの経路に別のターゲット部分Cを位置決めするように、基板テーブルWTを正確に移動させることができる。同様に、第1位置決め部PMと他の位置センサ(図1には明示せず)は、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを、例えばマスクライブラリからの機械的な取り出し後または走査中に、正確に位置決めするために使用することができる。一般に支持構造MTの移動は、第1位置決め部PMの一部を構成するロングストロークモジュール(粗い位置決め)及びショートストロークモジュール(微細な位置決め)により実現されうる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め部PWの一部を構成するロングストロークモジュール及びショートストロークモジュールにより実現されうる。ステッパの場合(スキャナとは異なり)、支持構造MTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。パターニングデバイスMAと基板Wとは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、ターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブレーン・アライメントマークとして公知である)。同様に、パターニングデバイスMAに複数のダイが設けられる場合にはパターニングデバイスアライメントマークがダイ間に配置されてもよい。
図示される装置は次のモードのうち少なくとも1つのモードで使用可能でありうる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームBに付与されたパターンの全体が1回でターゲット部分Cに投影される間、支持構造MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち単一静的露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/又はY方向に移動されて、別のターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で結像されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、支持構造MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち単一動的露光)。支持構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められうる。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)長さを決定する。
3.別のモードにおいては、支持構造MTがプログラマブルパターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、放射ビームBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、基板テーブルWTが移動または走査される。このモードではパルス放射源が通常用いられ、プログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの毎回の移動後、または走査中の連続放射パルス間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述の形式のプログラマブルミラーアレイ等のプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
また、上述の使用モードの組合せ及び/又は変形例または全く異なる使用モードが用いられてもよい。
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用に特に言及しているが、本書で説明するリソグラフィ装置には、例えば、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用の案内及び検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造など、他の用途もあることを理解されたい。こうした代替的な用途に照らして、本書で「ウェーハ」又は「ダイ」という用語を使用している場合、それぞれ、「基板」又は「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義とみなしてよいことが、当業者には認識される。本書に言及する基板は、露光前又は露光後に、例えばトラック(通常はレジストの層を基板に塗布し、露光したレジストを現像するツール)、メトロロジツール又は検査ツールで処理されてもよい。適用可能であれば、本書の開示は、これらの及びその他の基板処理ツールに適用されうる。更に、基板は、例えば多層ICを生成するために、複数回処理することができ、したがって本書で使用する基板という用語は、すでに複数の処理済み層を含む基板も指すことができる。
本書に使用される「放射」および「ビーム」という用語は、紫外(UV)放射(例えば約365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)及び極紫外(EUV)放射(例えば5~20nmの範囲の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射、更にはイオンビームまたは電子ビーム等の粒子ビームを包含する。
パターニングデバイス上の、またはパターニングデバイスによって提供される様々なパターンは、異なるプロセスウィンドウを有していてもよい。すなわち、パターンが仕様内で生成されるプロセス変数の空間である。潜在的な系統的欠陥に関連するパターン仕様の例としては、ネッキング、ラインプルバック、細線化、CD、エッジ配置、オーバーラップ、レジストトップロス、レジストアンダーカット及び/又はブリッジングのためのチェックが挙げられる。パターニングデバイスまたはその領域上の全てのパターンのプロセスウィンドウは、個々のパターンそれぞれのプロセスウィンドウをマージ(例えば、オーバーラップ)することによって得られてもよい。全パターンのプロセスウィンドウの境界には、いくつかの個々のパターンのプロセスウィンドウの境界が含まれる。言い換えれば、これら個々のパターンは、全パターンのプロセスウィンドウを制限する。これらのパターンは、本明細書で互換的に使用される「ホットスポット」または「プロセスウィンドウ制限パターン(PWLP)」と呼ばれうる。パターニングプロセスの一部を制御するときホットスポットに着目することが可能となり、経済的である。ホットスポットが不良ではない場合、すべてのパターンが不良ではない可能性が高い。
図2に示されるように、リソグラフィ装置LAは、リソグラフィックセルLC(リソセル又はクラスタとも呼ばれることがある)の一部を形成してもよく、これは露光前又は露光後プロセスを基板に行う装置も含む。従来、これらは、1つ又は複数のレジスト層を堆積させる1つ又は複数のスピンコーターSC、露光されたレジストを現像するための1つ又は複数のデベロッパDE、1つ又は複数の冷却プレートCH及び/又は1つ又は複数のベークプレートBKを含む。基板ハンドラ又はロボットROは、入出力ポートI/O1、I/O2から1つ又は複数の基板を取り、それらを異なるプロセス装置間で移動させ、及びそれらをリソグラフィ装置のローディングベイLBに届ける。これらの装置は、多くの場合トラックと総称され、トラック制御ユニットTCUの制御下にある。これはそれ自体が監視制御システムSCSによって制御され、また、リソグラフィ制御ユニットLACUを介してリソグラフィ装置を制御する。こうして、スループット及び処理効率を最大化するべく、さまざまな装置を動作させることができる。
リソグラフィ装置によって露光される基板が正確かつ整合的に露光されるためには、及び/又は、少なくとも1つのパターン転写ステップ(例えば光リソグラフィステップ)を含むパターニングプロセス(例えばデバイス製造プロセス)の一部を監視するためには、基板又はその他の物体を検査して、アライメント、オーバレイ(例えば、重なり合う層の構造間、または、同じ層内であって例えばダブルパターニングプロセスによってその層に別々に設けられた構造間についてのものでありうる)、線幅、クリティカルディメンジョン(CD)、フォーカスオフセット、材料特性など1つ又は複数の特性を測定又は決定することが望ましい。したがって、リソセルLCが配置される製造施設は典型的に、リソセルで処理された基板Wの一部又は全て、またはリソセルにおけるその他の物体を測定するメトロロジシステムMETも含む。メトロロジシステムMETは、リソセルLCの一部であってもよく、例えばリソグラフィ装置LAの一部(アライメントセンサASのように)であってもよい。
測定される1つ又は複数のパラメータは、例えば、パターン形成された基板の内部又は表面に形成された連続する層間のオーバレイ、例えばパターン形成された基板の内部又は表面に形成されたフィーチャのクリティカルディメンジョン(CD)(例えばクリティカルライン幅)、光リソグラフィステップのフォーカス又はフォーカス誤差、光リソグラフィステップのドーズ又はドーズ誤差、光リソグラフィステップの光学収差などを含みうる。この測定は、製品基板のターゲット自体に、及び/又は基板上に設けられた専用のメトロロジターゲットに行われてもよい。この測定は、レジストの現像後でエッチングの前に、又はエッチング後に行われてもよい。
パターニングプロセスで形成された構造の測定を行うには、走査型電子顕微鏡、画像ベースの測定ツール及び/又は様々な専門ツールの使用を含む様々な技術がある。上述のように、高速かつ非侵襲的な形態の専門メトロロジツールは、放射ビームを基板表面上のターゲットに向け、散乱された(回折/反射された)ビームの特性を測定するものである。基板で散乱した放射の1つ又は複数の特性を評価することによって、基板の1つ又は複数の特性を決定することができる。これを回折ベースのメトロロジと称することができる。この回折ベースのメトロロジの1つの適用例は、ターゲット内のフィーチャ非対称性の測定である。これは例えばオーバレイの尺度として使用することができるが、他の適用例も知られている。例えば非対称性は、回折スペクトルの反対側の部分どうしを比較する(例えば、周期格子の回折スペクトルにおける-1次と+1次を比較する)ことによって測定できる。これは上述のように、また、その全体が参照により本書に援用される米国特許出願公開第2006-066855号に記載されるようにして行うことができる。回折ベースのメトロロジの別の適用例は、ターゲット内のフィーチャ幅(CD)の測定である。そうした技術は、後述の装置及び方法を使用することができる。
このように、デバイス製造プロセス(例えば、パターニングプロセスまたはリソグラフィプロセス)において、基板または他の物体は、プロセス中またはプロセス後に様々なタイプの測定を受けることができる。測定は、特定の基板が欠陥であるか否かを判断してもよく、プロセスおよびプロセスで使用される装置の調整(例えば、基板上の2つの層を位置合わせすること、またはパターニングデバイスを基板に位置合わせすること)を確立してもよく、プロセスおよび装置の性能を測定してもよく、または他の目的のためであってもよい。測定の例としては、光学イメージング(例えば、光学顕微鏡)、非イメージング光学測定(例えば、ASMLのYieldStarメトロロジツール、ASMLのSMASHメトロロジシステムなどの回折に基づく測定)、機械的測定(例えば、スタイラスを用いたプロファイリング、原子間力顕微鏡(AFM))、及び/又は非光学イメージング(例えば、走査型電子顕微鏡(SEM))が挙げられる。SMASH(SMart Alignment Senser Hybrid)システムは、その全体が参照により本明細書に援用される米国特許第6,961,116号に記載されており、アライメントマーカーについて2つの重なり合った相対回転した画像を生成し、画像のフーリエ変換が干渉される瞳面内における強度を検出し、干渉された次数の強度変化として現れる2つの画像の回折次数間の位相差から位置情報を抽出する自己参照干渉計を採用している。
メトロロジ結果は、監視制御システムSCSに直接又は間接的に提供されてもよい。誤差が検出される場合、調整が、後続の基板の露光に対して(特に、検査がすばやく行われ、バッチの1つ又は複数の他の基板がまだこれから露光される場合)、及び/又は、露光された基板の後続の露光に対して行われてもよい。また、既に露光された基板は、歩留まりを向上するよう剥離および再加工が行われ、又は廃棄されてもよく、それにより、欠陥があると分かっている基板に対して更なる処理を行うことが回避されてもよい。基板の幾つかのターゲット部分にのみ欠陥がある場合には、良好なターゲット部分のみに更なる露光が行われてもよい。
メトロロジシステムMETにおいて、メトロロジ装置は、基板の1つ又は複数の特性、とくに、異なる基板について1つ又は複数の特性がどのように変動するか、または同じ基板の異なる層が層ごとにどのように変動するかを決定するために使用される。上述のように、メトロロジ装置は、リソグラフィ装置LA又はリソセルLCに組み込まれてもよいし、又はスタンドアロン装置であってもよい。
メトロロジを可能にするために、1つ又は複数のターゲットを基板上に設けることができる。ある実施の形態では、ターゲットは、特別に設計され、周期構造を備えてもよい。ある実施の形態では、ターゲットは、デバイスパターンの一部(例えばデバイスパターンの周期構造)である。ある実施の形態では、デバイスパターンは、メモリデバイスの周期構造(例えば、バイポーラトランジスタ(BPT)、ビットラインコンタクト(BLC)などの構造)である。
ある実施の形態では、基板上のターゲットは、1つ又は複数の1次元周期構造(例えば格子)を備えてもよく、これは、現像後に周期構造フィーチャが固体レジストラインから形成されるように印刷されたものでもよい。ある実施の形態では、ターゲットは、1つ又は複数の2次元周期構造(例えば格子)を備えてもよく、これは、現像後に1つ又は複数の周期構造が固体レジストピラー又はレジストのビアから形成されるように印刷されたものでもよい。代替的に、バー、ピラー、又はビアは、基板内に(例えば、基板上の1つ又は複数の層内に)エッチングされていてもよい。
ある実施の形態では、パターニングプロセスの対象パラメータの1つは、オーバレイである。オーバレイは、0次回折(鏡面反射に対応する)が遮蔽され、より高次のものだけが処理される暗視野スキャトロメトリを用いて、測定することができる。暗視野メトロロジの例は、その全体が本書に援用される国際公開第2009/078708号及び第2009/106279号に見ることができる。更に、この技術の更なる発展が、その全体が本書に援用される米国特許出願公開第2011-0027704号、第2011-0043791号及び第2012-0242970号に記載されている。回折次数の暗視野検出を使用する回折ベースのオーバレイは、より小さなターゲットでのオーバレイ測定を可能にする。こうしたターゲットは、照明スポットよりも小さくてもよく、基板上のデバイス製品構造によって取り囲まれていてもよい。ある実施の形態では、複数のターゲットを一度の放射キャプチャで測定することができる。
図3は、検査装置の一例(例えばスキャトロメータ)を示す。それは、放射を基板W上に投影する広帯域(白色光)放射プロジェクタ2を備える。方向転換された放射は、スペクトロメータ検出器4に向かう。スペクトロメータ検出器4は、例えば左下のグラフに示されるような鏡面反射放射のスペクトル10(波長の関数としての強度)を測定するものである。このデータから、検出されたスペクトルを生じさせる構造又はプロファイルが、プロセッサPUによって、例えば厳密結合波分析及び非線形回帰によって、又は図3の右下に示されるようなシミュレートされたスペクトルのライブラリとの比較によって、再構築されてもよい。一般に、再構築のためには、構造の大体の形が既知であり、いくつかの変数がその構造を作成するプロセスについての知識から推測され、それにより、測定データから決定されるべき当該構造の変数はほんの幾つかでよい。このような検査装置は、法線入射検査装置、または斜入射検査装置として構成されうる。
使用することができる別の検査装置を図4に示す。この装置では、放射ソース2によって発せられた放射は、レンズ系12を用いてコリメートされ、干渉フィルタ13および偏光子17を透過し、部分反射面16によって反射され、対物レンズ15を介して基板W上のスポットSに集束される。対物レンズ15は、望ましくは少なくとも0.9又は少なくとも0.95の高開口数(NA)を有する。液浸検査装置(水などの比較的高い屈折率の流体を用いる)は、1を超える開口数を有していてもよい。
リソグラフィ装置LAと同様に、測定動作中に基板Wを保持する1つ又は複数の基板テーブルが設けられてもよい。基板テーブルは、図1の基板テーブルWTと形態が類似し又は同一であってもよい。検査装置がリソグラフィ装置と一体化されている例においては、それが同一の基板テーブルであってもよい。粗動及び微動の位置決め部が測定光学系に関して基板を正確に位置決めするように構成される第2位置決め部に設けられてもよい。例えば対象となるターゲットの位置を取得して対物レンズ15の下方に移動させる様々なセンサ及びアクチュエータが設けられる。典型的には、多くの測定が基板W全体の様々な場所でターゲットに行われる。基板支持体は、別のターゲットを取得するためにX及びY方向に、及び光学系のフォーカスに対するターゲットの所望の場所を取得するためにZ方向に移動させることができる。便利であるのは、例えば実際には光学系が実質的に静止状態とされ基板のみが移動する場合であっても(典型的にX及びY方向において、ただし場合によってはZ方向においても)、対物レンズが基板に対して様々な場所に移動させられるかのように動作を捉えて記述することである。基板と光学系の相対位置が正しければ、現実世界でそのうち一方が移動しているのか、又は両方が移動しているのか、又は光学系の一部が(例えば、Z及び/又は傾斜方向に)移動し光学系の残りの部分が静止した状態で基板が(例えば、X及びY方向に、ただし任意選択的にZ及び/又は傾斜方向にも)移動するという組み合わせであるのかは、原理的に重要ではない。
基板Wによって方向転換された放射は、次に、スペクトルを検出させるために、部分反射面16を通過して検出器18に入る。検出器18は、逆投影された焦点面11(すなわち、レンズ系15の焦点距離)に配置されてもよく、または、焦点面11は、補助光学系(図示せず)を用いて検出器18上に再結像されてもよい。検出器は、基板ターゲット30の2次元角散乱スペクトルを測定できるように、2次元検出器であってもよい。検出器18は、例えば、CCDまたはCMOSセンサのアレイであってもよく、1フレームあたり例えば40ミリ秒の積分時間を使用してもよい。
参照ビームは、例えば、入射する放射の強度を測定するために使用されてもよい。そのためには、放射ビームが部分反射面16に入射すると、その一部が参照ビームとして部分反射面16を透過して参照ミラー14に向かう。そして、参照ビームは、同じ検出器18の別の部分に投影されるか、あるいは別の検出器(図示せず)に投影される。
1つ又は複数の干渉フィルタ13は、例えば405~790nm、またはそれよりも低い波長、例えば200~300nmの範囲内の対象波長を選択するために利用可能である。干渉フィルタは、1セットの異なるフィルタを備えるのではなく、調節可能であってもよい。干渉フィルタの代わりに格子を使用してもよい。ターゲットへの放射の入射角度の範囲を制御するために、照明経路に開口絞りまたは空間光変調器(図示せず)を設けてもよい。
検出器18は、方向転換された放射の強度を単一の波長(または狭い波長範囲)で測定してもよいし、強度を複数の波長で別々に、または波長範囲で積分した強度を測定してもよい。さらに、検出器は、TM偏光放射とTE偏光放射の強度、及び/又はTM偏光放射とTE偏光放射との間の位相差を別々に測定してもよい。
基板W上のターゲット30は、1次元格子であってもよく、これは、現像後に固体レジストラインからバーが形成されるように印刷されたものでもよい。ターゲット30は、2次元格子であってもよく、これは、現像後に固体レジストピラー又はレジストのビアから格子が形成されるように印刷されたものでもよい。バー、ピラー、又はビアは、基板内に(例えば、基板上の1つ又は複数の層内に)エッチングされていてもよい。(例えば、バー、ピラー又はビアの)パターンは、パターニングプロセスにおける処理の変化(例えば、リソグラフィ投影装置(特に投影システムPS)における光学収差、フォーカスの変化、ドーズの変化など)に敏感であり、印刷された格子の変動に顕在化する。したがって、印刷された格子の測定データは、格子を再構築するために使用される。線幅及び/又は形状などの1次元格子の1つ又は複数のパラメータ、またはピラー又はビアの幅又は長さ又は形状などの2次元格子の1つ又は複数のパラメータは、印刷ステップ及び/又は他の検査プロセスの知識から、プロセッサPUによって実行される再構築プロセスに入力されてもよい。
再構築によるパラメータの測定に加えて、角度分解スキャトロメトリが、製品のフィーチャ及び/又はレジストパターンの非対称性の測定において有用である。非対称性測定のある特定の適用例は、ターゲット30が周期フィーチャのあるセットが他のセットに重畳されたものを備える場合のオーバレイの測定に関するものである。図3または図4の装置を用いた非対称性測定の概念は、例えば、その全体が本書に援用される米国特許出願公開第2006-066855号に記載されている。簡単に言えば、ターゲットの回折スペクトルにおける回折次数の位置は、ターゲットの周期性によってのみ決定されるが、回折スペクトルにおける非対称性は、ターゲットを構成する個々のフィーチャにおける非対称性を示す。検出器18がイメージセンサであってもよい図4の装置では、回折次数のそのような非対称性は、検出器18によって記録された瞳像の非対称性として直接現れる。この非対称性は、ユニットPU内のデジタル画像処理によって測定され、オーバレイの既知の値に対して較正されうる。
図5は、典型的なターゲット30の平面図であり、図4の装置における照明スポットSの範囲を示す。周囲の構造による干渉の無い回折スペクトルを取得するために、ターゲット30は、ある実施の形態では、照明スポットSの幅(例えば直径)よりも大きい周期構造(例えば格子)である。スポットSの幅は、ターゲットの幅及び長さよりも小さくてもよい。つまり、ターゲットは、照明による「充填不足」とされ、回折信号は、ターゲット自体の外側にある製品フィーチャまたは類似物からの信号を実質的に何ら含まない。照明構成2、12、13、17は、対物レンズ15の後方焦点面にわたって均一な強度の照明を提供するように構成されていてもよい。代替的に、例えば、照明経路にアパチャーを含むことによって、照明は、軸上または軸外方向に制限されてもよい。
図6は、メトロロジを用いて取得される測定データに基づいてターゲットパターン30’の1つ又は複数の対象となる変数の値を決定するプロセスの一例を模式的に示す。検出器18によって検出される放射は、ターゲット30’についての測定放射分布108を提供する。
所与のターゲット30’に関して、放射分布208は、数値的なマクスウェルソルバー210を例えば使用するパラメータ化されたモデル206から計算/シミュレートすることができる。パラメータ化されたモデル206は、ターゲットを構成しターゲットに関連する様々な材料の層の例を示す。パラメータ化されたモデル206は、対象となるターゲットの部分がもつフィーチャ及び層についての1つ又は複数の変数を含みうるものであり、これは変動され導出されうる。図6に示されるように、1つ又は複数の変数は、1つ又は複数の層の厚さt、1つ又は複数のフィーチャの幅w(例えばCD)、1つ又は複数のフィーチャの高さh、及び/又は、1つ又は複数のフィーチャのサイドウォール角αを含みうる。図示されないが、1つ又は複数の変数は、1つ又は複数の層の屈折率(例えば、実又は複素屈折率、屈折率テンソルなど)、1つ又は複数の層の消散係数、1つ又は複数の層の吸収、現像中のレジスト損失、1つ又は複数のフィーチャのフッティング、及び/又は1つ又は複数のフィーチャのラインエッジラフネスを更に含んでもよく、これらに限定されない。変数の初期値は、測定されているターゲットについての予測値であってもよい。そして、測定放射分布108は、212において、計算された放射分布208と比較され、それら二者間の差が決定される。差がある場合には、パラメータ化されたモデル206の1つ又は複数の変数の値が変化されてもよく、新たな計算放射分布208が計算され、測定放射分布108と計算放射分布208が十分に一致するまで、測定放射分布108と比較されてもよい。その時点で、パラメータ化されたモデル206の変数の値は、実際のターゲット30’のジオメトリとの良好な又は最良の一致を提供する。ある実施の形態では、測定放射分布108と計算放射分布208との間の差が許容しきい値の範囲内である場合に、十分な一致が存在することになる。
パターニングプロセスの変数を「プロセス変数」と呼ぶ。パターニングプロセスは、リソグラフィ装置におけるパターンの実際の転写に至るまでの上流および下流の工程を含むものとしてもよい。図7は、プロセス変数370の例示的なカテゴリーを示す。第1のカテゴリーは、リソグラフィ装置またはリソグラフィプロセスで使用される他の装置についての変数310であってもよい。このカテゴリーの例としては、リソグラフィ装置の照明、投影システム、基板ステージなどの変数が挙げられる。第2のカテゴリーは、パターニングプロセスにおいて実行される1つ又は複数の手順についての変数320であってもよい。このカテゴリーの例としては、フォーカス制御またはフォーカス測定、ドーズ制御またはドーズ測定、帯域幅、露光時間、現像温度、現像に使用される化学組成物などが挙げられる。第3のカテゴリーは、デザインレイアウト、および、パターニングデバイスにおける、またはパターニングデバイスを使用したデザインレイアウトの実装についての変数330であってもよい。このカテゴリーの例は、アシストフィーチャの形状及び/又は位置、超解像技術(RET)によって適用される調整、マスクフィーチャのCDなどを含んでもよい。第4のカテゴリーは、基板についての変数340であってもよい。例としては、レジスト層の下の構造の特性、レジスト層の化学組成及び/又は物理的寸法などが挙げられる。第5のカテゴリーは、パターニングプロセスの1つ又は複数の変数の時間的変化の特性350であってもよい。このカテゴリーの例としては、ステージ移動の高周波数の特性(例えば、周波数、振幅など)、レーザ帯域幅の高周波数の変化(例えば、周波数、振幅など)、及び/又はレーザ波長の高周波数の変化が挙げられる。これらの高周波数の変化または動きは、基礎となる変数(例えば、ステージ位置、レーザ強度)を調整するための機構の応答時間を超えるものである。第6のカテゴリーは、スピンコーティング、露光後ベーク(PEB)、現像、エッチング、成膜、ドーピング、及び/又はパッケージングなど、リソグラフィ装置におけるパターン転写の上流または下流のプロセスの特性360であってもよい。
理解されるように、これらの変数のすべてではないにしても、たいていの変数は、パターニングプロセスのパラメータ、多くの場合、対象のパラメータに影響するであろう。パターニングプロセスのパラメータの非限定的な例としては、クリティカルディメンション(CD)、クリティカルディメンション均一性(CDU)、フォーカス、オーバレイ、エッジ位置または配置、サイドウォール角、パターンシフトなどが挙げられる。しばしば、これらのパラメータは、公称値(例えば、設計値、平均値など)からの誤差を表す。パラメータ値は、個々のパターンの特性の値であってもよいし、一群のパターンの特性の統計量(例えば、平均、分散など)であってもよい。
プロセス変数の一部または全部、またはそれに関連するパラメータの値は、適切な方法によって決定されうる。例えば、値は、様々なメトロロジツール(例えば、基板メトロロジツール)により取得されるデータから決定されてもよい。値は、パターニングプロセスにおいて装置の様々なセンサまたはシステム(例えば、リソグラフィ装置のレベリングセンサまたはアライメントセンサなどのセンサ、リソグラフィ装置の制御システム(例えば、基板テーブルまたはパターニングデバイステーブルの制御システム)、トラックツール内のセンサなど)から取得されてもよい。値は、パターニングプロセスのオペレータからのものであってもよい。
今やますます、メトロロジは多くの場合、所要時間の観点から負担となりつつある。これは、例えば、特に半導体産業におけるマルチプルパターニング技術の出現である。リソ・エッチ・リソ・エッチ(LELE)及び/又はサイドウォール・アシスト・ダブル・パターニング(SADP)のようなマルチプルパターニング技術では、プロセスステップの数が大幅に増加し、したがって、制御および歩留まり監視のために使用されるメトロロジステップの数も増加している。さらに、マルチプルパターニングステップではより多くの層が使用され、層ごとにより多くのパターニングステップが使用されるので、各ノード(すなわちフィーチャサイズの縮小)について計測量が増加する。
それに加えて又はそれに代えて、欠陥判定及び/又はガイド付き欠陥検査に対する要求が増大している。これは、以前よりも実質的に高密度のフォーカス、オーバレイ及び/又はCDメトロロジを含む。
それに加えて又はそれに代えて、オンデバイスCD、オーバレイ及び/又はフォーカス性能に関する仕様が、これまでになく厳しいものになっている。これにより、例えば、露光装置およびプロセス装置(例えば、成膜、エッチング、トラック、化学機械研磨(CMP)など)の製造装置仕様が、あるノードから次のノードへと駆り立てられる。こうして、性能の制御と監視がより厳しくなり、制御と監視のための計測量のいっそうの増加が求められる。
それに加えて又はそれに代えて、オンデバイスCD、フォーカス及び/又はオーバレイ性能に関する仕様の厳格化に伴い、高次補正が必要とされうる。高次補正とは、基本的には、基板の全部または一部にわたって小さな空間スケールで選択的に補正を行うことである(例えば、高い空間分解能での補正)。高次補正は、基板ごとのメトロロジのためのサンプリングをより密にすることを含む。それにより、メトロロジ装置の生産性の実用的な限界をおそらく超えてメトロロジの負担が増大する。
それに加えて又はそれに代えて、基板間のばらつきは、所望のCD、フォーカス及び/又はオーバレイ性能を達成するために、より個別的な基板レベルの制御(例えば、ロットレベルの制御と比較して)および関連する監視を必要としうる。これは、ロットごとにより多くの基板を測定することにつながり、その結果、使用される測定の量の増加が促され、おそらくは、メトロロジ装置の生産性の実用的な限界を超えうる。
しかし、増大するデータ要求に対応するためには、メトロロジ装置を追加するか、またはメトロロジ装置の生産性を向上させるだけでは十分ではないかもしれない。さらに、これは、基板全体の密なCD、フォーカス及び/又はオーバレイプロファイルを適時に得るといった、すべての問題を解決しないかもしれない。
そこで、メトロロジの効率性が望まれる。これは、例えば、基板ごとに高密度のデータを取得し、ロットごとにより多くの基板についてデータを取得するためである。
したがって、ある実施の形態では、例えば、メトロロジの効率性を向上させるのに役立つ方法が提供される。この方法では、1つの基板にわたる複数の位置の各々について1つ又は複数のパターニングプロセスパラメータ(例えば、CD、フォーカス、オーバレイ、エッジ配置など)の正確な推定値を導出するために、複数のソースからのメトロロジデータが結合され操作される。ある実施の形態では、次に、例えば、あるパターニングプロセスで処理された基板のすべてについて、および例えば、そのパターニングプロセスでそうした基板上で処理された層のすべてについて、密な測定データ(例えば、毎平方ミリメートルについて)が提供される。
事実上、ある実施の形態では、この方法の結果は、基板全体にわたる1つ又は複数のパターニングプロセスパラメータの値の「仮想的」またはエミュレートされた分布であり、これは、様々なメトロロジデータのそうした結合によって達成される。そして、この方法は、1つ又は複数のパターニングプロセスパラメータ(例えば、フォーカス、CD、オーバレイなど)についてのハイブリッドメトロロジのための効率的な方法を提供することができる。また、本書の実施形態は、パターニングプロセスパラメータの特定の例、すなわちフォーカス、CD、オーバレイを主に考慮するが、1つ又は複数の他のパターニングプロセスパラメータまたは追加のパターニングプロセスパラメータが本書の技術の対象となりうることが理解されるであろう。
上述したように、本方法は、様々なソースからのメトロロジデータおよび他のデータを結合したものを含む。ある実施の形態では、本方法は、対象のパターニングプロセスパラメータの測定値を、リソグラフィ装置の1つ又は複数のセンサからのデータなど、パターニングプロセスにおける1つ又は複数のデバイスからのデータと結合することを含む。次いで、このようなデータの結合は、オンプロダクト性能を、例えば、CD、オーバレイ、フォーカス、パターンシフト、エッジ配置(例えば、エッジ配置誤差)などのパターニングプロセスパラメータ、及び/又は、歩留まり、欠陥(例えば、欠陥のリスク、欠陥数など)などのそこから導出されたパラメータの形で予測するために使用される。
よって、この方法の基礎となる原理は、対象のパターニングプロセスパラメータの変化の個々の根本原因を分離して推定し、それらを結合してオンプロダクト性能を計算することにある。目標は、図3から図6に関して説明したようなツールを使用して対象のパターニングプロセスパラメータを決定するうえでオフライン(及び/又はオンライン)での計測量の増大を避けるために、利用可能な情報をできるだけ多く使用することである。
よって、ある実施の形態では、対象のパターニングプロセスパラメータ(例えば、CD誤差、フォーカス誤差、オーバレイなど)の変化に対する様々な寄与度を特定することが望ましい。そして、これら寄与度は、オンプロダクト性能の所望の推定値を実現すべく、様々に結合させて使用することができる。典型的には、それら寄与度は、誤差及び/又は残差である。例えば、デバイスは、補正を行う際に誤差を発生させてもよく、これが対象のパターニングプロセスパラメータの変化として現れうる。別の例として、センサシステムは、誤差を測定してもよく、この誤差がパターニングプロセスパラメータの変化である(又は変化に寄与する)。さらなる例として、あるデバイスまたはこのデバイスの設定を決定するために使用される数学モデルは、特定の所望のまたは最良の物理的効果を実現することができない場合があり(例えば所望の物理的補正とデバイスによって達成されうる物理的補正との間の差、ドーズ、フォーカスなどの所望の物理的効果とデバイスによって達成されうる物理的効果との間の差、所望の物理的補正または効果と数学モデルによって決定されうる補正または効果との間の差など)、その結果、パターニングプロセスパラメータの変化である(又は変化に寄与する)残差をもたらしうる。ある実施の形態では、寄与度は、実験的または経験的に決定されうる。
対象のパターニングプロセスパラメータに対するこれらの寄与度の各々は、ダイ、フィールド、または基板にわたって空間的に分布しているので、フィンガープリントとみなすことができる。同様に、結合された寄与度も、ダイ、フィールド、または基板にわたって、フィンガープリントとみなすことができる。
したがって、このような複数の寄与度を結合させて、導出フィンガープリントを取得することができる。例えば、製品基板上のフォーカスフィンガープリントは、例えば、その基板の非平坦度に起因するフォーカス寄与度、基板露光中のリソグラフィ装置の投影システムに関連付けられるフォーカス誤差、露光中の基板位置制御ループによって生じる高さ誤差、およびリソグラフィ装置のフォーカス設定の残差フィンガープリントの合成でありうる。その一例を図9に関して後述する。
同様に、導出され又は測定されるフィンガープリントから1つ又は複数のフィンガープリントを除去することによって、(さらなる)導出フィンガープリントが生み出されてもよい。例えば、基板の測定されたフォーカスフィンガープリントから、その基板の非平坦度のフォーカス寄与度、基板露光中のリソグラフィ装置の投影システムに関連付けられるフォーカス誤差、露光中の基板位置制御ループによって生じる高さ誤差、およびリソグラフィ装置のフォーカス設定の残差フィンガープリントが除去されてもよい。これにより、除去されたフィンガープリントが捕捉していない誤差に起因する残差フォーカスフィンガープリントを取得することができる。この例を、図10に関して後述する。
このように、ある実施の形態では、本方法は、例えば、フィンガープリントを個々の寄与度フィンガープリントに分解し、及び/又はフィンガープリントを結合させることによってフィンガープリントを導出することができる。
そこで、図8を参照すると、寄与度(フィンガープリント)の結合についてのある実施の形態が示されている。プロセス変数311の変化(例えば、フォーカスの場合では、高さ誤差)は、基板上のパターンについて、あるパターニングプロセスパラメータ352(例えば、フォーカスの場合では、フォーカス)に対する寄与度312を有してもよく、また、プロセス変数321の変化(例えば、フォーカスの場合では、フォーカス設定の残差)は、そのパターニングプロセスパラメータ352に対する寄与度322を有してもよい。すなわち、パターニングプロセスパラメータ352は、1つ又は複数のプロセス変数の変化の結合寄与度を有してもよい。これらの寄与度312、322は、単に加算(これは、重み付き加算または線形加算を含みうる)であってもよいし、他の関数(例えば、(デ)コンボリューションの使用、ニューラルネットワークの使用、RMS加算、スケーリングなど)によって結合されてもよい。パターニングプロセスパラメータ352は、その他の変数の変化の寄与度を有してもよい。したがって、以下でさらに議論されるように、この実現により、様々な寄与度が、決定され、またはパターニングプロセスパラメータの推定値を導出するために使用することができる。ある実施の形態では、寄与度312及び/又は322は、1つ又は複数の適用可能なプロセス変数をモデル化することによって決定されてもよい。寄与度312及び/又は322は、1つ又は複数の適用可能なプロセス変数の関数として表されてもよい。この関数は、線形または非線形であってもよい。
図9は、ある基板のあるパターニングプロセスパラメータに対して導出される寄与度470を取得する例を模式的に示しており、この導出寄与度は、複数のプロセス変数の寄与度(そのうちの1つ又は複数が導出寄与度であってもよい)を結合したものである。この場合、導出寄与度470は、(デ)フォーカスである。したがって、導出寄与度470は、基板露光400中のリソグラフィ装置の投影システムに関連付けられるフォーカス誤差(FE)、露光410中の基板位置制御ループによって生じる高さ誤差(例えば、移動標準偏差(MSDz))、およびその基板420の非平坦度(P)など、複数のプロセス変数の寄与度を用いて取得することができる。重要なことに、このデータは、リソグラフィ装置から取得することができ、パターニングプロセスの一部として基板を製造する際の副産物でありうる。これらの特定された寄与度はいずれも、基板上にパターニングされたフィーチャの、例えば図3から図6に関して記載されたようなツールを使用した測定を必ずしも必要としない。
そこで、フォーカスの場合、プロセス変数400のフォーカスに対する寄与度の一例を寄与度430として示し、プロセス変数410のフォーカスに対する寄与度の一例を寄与度440として示し、プロセス変数420のフォーカスに対する寄与度の一例を寄与度450として示している。そして、これらの寄与度の各々が共に結合されて(460)、導出寄与度470が実現される。要素460(および各図の他の要素)はプラス符号を示しているが、要素460における操作は、加算である必要はなく、例えば、乗算、コンボリューション、ニューラルネットワークの使用等であってもよい。操作は、1つ又は複数の寄与度について、別の1つ又は複数の寄与度とは異なってもよい(例えば、430から440への加算、およびその和と寄与度450とのコンボリューションでもよい)。一例では、結合された寄与度は、
のように表すことができる。様々な関数は、シミュレーション、数学的モデリング及び/又は実験によって得ることができる。さらに、ここでは示されていないクロス項(FEとMSDの積の関数としてのフォーカスなど)が存在してもよい。フォーカスの絶対値を得るために、フォーカスの公称値またはシミュレートされた値がこれら寄与度と結合されてもよい。a
1,b
1,c
1のような係数は、それぞれのプロセス変数またはその関数に対するフォーカスの感度である。この例では、寄与度は基板全体にわたるが、ある実施の形態では、寄与度のうちの1つ又は複数は、ダイ/フィールドごとであってもよい(これは、その後、例えば、各インスタンスにおける適用可能な条件に応じて、基板全体にわたって繰り返されてもよい)。上述したように、寄与度470は、基板/ダイ/フィールドにわたって空間的に定義することができるので、フィンガープリントとみなされうる。さらに、絶対値への寄与度の変換は、基板/ダイ/フィールドにわたって空間的に定義することができるので、フィンガープリントとみなされうる。理解されるように、パターニングプロセスを使用した複数の基板の処理からのデータは、それぞれの寄与度を導出するために使用することができる。このデータは、基板の処理の副産物でありうるので、既に利用可能でありうる。
さて、CDについても、図9に関して説明したのと同じ技法を使用することができる。例えば、CDに対する導出寄与度470は、フォーカス(F)400、基板の法線方向における基板移動の移動標準偏差(MSD
z)410、基板と平行な方向における基板移動の移動標準偏差(MSD
x)420などの複数のプロセス変数に起因する寄与度の結合(導出寄与度を含みうる)であってもよい。したがって、この場合、フォーカス(F)400のCDに対する寄与度の一例が寄与度430となり、移動標準偏差(MSD
z)410のCDに対する寄与度の一例が寄与度440となり、移動標準偏差(MSD
x)420のCDに対する寄与度の一例が寄与度440となる。次いで、これら寄与度の各々は、導出寄与度470を実現するために共に結合される(460)。一例では、結合された寄与度は、
のように表すことができる。さらに、ここでは示されていないクロス項が存在してもよく、異なる関係であってもよい(例えばフォーカス及び/又はMSD
zなどが、2次に限られなくてもよく、線形項および3次項を有してもよい)。ある実施の形態では、寄与度430、440、450は、それぞれ、フォーカス(F)400、移動標準偏差(MSD
z)410、および移動標準偏差(MSD
x)420の分布であってもよく、その場合、CDモデルがそれらをCD分布に結合するために使用されるであろう。さらに、ここでは示されていないクロス項(FとMSDの積の関数としてのCDなど)が存在してもよい。CDの絶対値を得るために、CDの公称値またはシミュレートされた値がこれら寄与度と結合されてもよい。a
1,b
1,c
1のような係数は、プロセス変数またはその関数に対するCDの感度である。
上述の原理を適用して、図10は、導出寄与度510を、基板の対象のパターニングプロセスパラメータについてのパターン付き基板メトロロジデータから、対象のパターニングプロセスパラメータに対する寄与度を除去することによって取得する例を模式的に示す。この文脈におけるパターン付き基板メトロロジデータとは、そのパターニングプロセスによって少なくとも部分的に処理された基板上のフィーチャ(例えば、デバイスパターンフィーチャ、デバイスパターンから分離されたメトロロジターゲットなど)を測定することによって得られる対象のパラメータの値である。このようなメトロロジデータは、典型的には、図3から図6に関して説明したようなメトロロジツールまたは検査ツールを使用して取得することができる。
対象のパラメータについてのパターン付き基板メトロロジデータ500は、少なくとも2つの寄与度を有してもよい。そのため、パターン付き基板メトロロジデータ内の1つ又は複数の寄与度は、パターン付き基板メトロロジデータ内の1つ又は複数の他の寄与度を除去することによって取得されうる。したがって、寄与度510は、パターン付き基板メトロロジデータ500から寄与度520を除去すること(505)によって取得されてもよい。要素505(および各図の他の要素)はマイナス符号を示しているが、505における操作は、減算である必要はなく、例えば、乗算、(デ)コンボリューション、ニューラルネットワークの使用などであってもよい。寄与度520は、寄与度470のような導出寄与度であってもよいし、寄与度430、440、450のうちいずれか1つ又は複数のような、他のデータから導出した寄与度であってもよい。さらに、複数の寄与度が除去されてもよい。例えば、任意選択的な寄与度540(プロセス変数530に関連付けられる)が、寄与度520と共にパターン付き基板メトロロジデータ500から除去されてもよい。理解されるように、パターニングプロセスを使用した複数の基板の処理からのデータは、パターン付き基板メトロロジデータを取得するために使用することができる。
ある実施の形態では、パターン付き基板メトロロジデータは、デバイスパターンから分離したパターン、例えば、ダイの非機能領域、ダイ間、またはテスト基板上のメトロロジフィーチャからのものである。したがって、例えば、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度をそうしたメトロロジデータから除去することができ、それによって、そうしたメトロロジデータに対する1つ又は複数のプロセス変数の残存寄与度を取得することができる。そして、同じまたは異なる基板上のデバイスパターンのメトロロジデータに対する同等の寄与度を、デバイスパターンから実際にメトロロジデータを取得する必要なく、この残存寄与度に基づいて取得することができる。例えば、デバイスパターンのメトロロジに対する寄与度は、残存寄与度と同じであると推定しうる。なぜなら、適用可能な1つ又は複数のプロセス変数が、デバイスパターンと分離したパターンとに同等の効果を有するからである。ある実施の形態では、分離したパターンは、テスト目的のためのパターン(例えば、メトロロジターゲット)であり、この分離パターン上でメトロロジを行うことは、基板上のデバイスパターンに影響を与えない。
したがって、寄与度を結合することによって、及び/又は寄与度をパターン付き基板メトロロジデータから除去することによって、基板の対象のパラメータの推定値を、必ずしもその基板についてパターン付き基板メトロロジデータを取得することなく、取得することができる。これは、様々な寄与度の性質を認識することによって行われる。
ある実施の形態では、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、装置(例えば、リソグラフィ装置)固有のものであってもよく、すなわち、寄与度は、特定の実際の装置または装置の組み合わせに固有のものである。そのため、ある実施の形態では、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、すべての基板にわたって繰り返し使用されてもよい。したがって、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、予め特徴付けられ、様々な結合/除去プロセスのためにデータベースから取得されてもよい。寄与度は、装置全体として又は特定部分(例えば、エッチングチャンバ)に固有であってもよい。そのような変数の例は、スピンコーティング、露光後ベーク、現像、エッチング、成膜、ドーピング、及び/又はパッケージングなど、リソグラフィ装置におけるパターン転写の上流または下流のプロセスの様々な特性を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
ある実施の形態では、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、特定の基板に固有ではない(従って、複数の基板にわたって使用されうる)。したがって、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、予め特徴付けられ、その後に様々な結合/除去プロセスのためにデータベースから取得されてもよい。1つ又は複数のプロセス変数のこの寄与度は、これを特定の基板についての1つ又は複数の変数のデータおよび感度の関係と結合することによって、この特定の基板に適用することができる。このような変数の例としては、照明、投影システム、フォーカス、ドーズ、帯域幅、露光時間といった変数、ステージ移動の高周波数の特性(例えば、基板ステージの動きの移動標準偏差(MSD)、基板ステージの動きの移動平均、周波数、振幅など)、レーザ帯域幅の高周波数の変化(例えば、周波数、振幅など)、レーザ波長の高周波数の変化、及び/又は基板の平坦性などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ある実施の形態では、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、基板固有のものであってもよい。例えば、寄与度は、各基板または特定グループの基板について決定されてもよい。そのような変数の例としては、基板の形状(高さマップ、変形マップ)、基板のプロセス条件、照明の変数、投影システムの変数、フォーカス、ドーズ、帯域幅、露光時間、ステージ移動の高周波数の特性(例えば、基板ステージの動きの移動標準偏差(MSD)、基板ステージの動きの移動平均など)、レーザ帯域幅の高周波数の変化(例えば、周波数、振幅など)、レーザ波長の高周波数の変化、及び/又は基板の平坦性などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ある実施の形態では、1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、パターンまたはパターニングデバイス固有のものであってもよく、すなわち、寄与度は、特定の実際のパターニングデバイスまたはパターニングデバイスによって提供される特定のパターンに固有のものである。この寄与度はさらに、基板に依存しないものであってもよい。そのため、パターンまたはパターニングデバイス固有の寄与度は、予め特徴付けられ、その後に様々な結合プロセスのためにデータベースから取得されてもよい。そのような変数の例は、パターニングデバイスフィーチャのCD、アシストフィーチャの形状及び/又は位置、超解像技術(RET)によって適用される調整などを含んでもよいが、これらに限定されない。
ある実施の形態では、異なるプロセス変数に関連付けられる寄与度は、異なる空間的均一性を有してもよい。例えば、いくつかのプロセス変数の寄与度は、基板全体にわたって実質的に空間的に均一であってもよく、一方、いくつかの他のプロセス変数の寄与度は、基板全体にわたってそれほど空間的に均一ではないかもしれない。この違いは、プロセス変数の異なる性質に起因する可能性がある。例えば、レジスト層、レジスト層の現像、及び/又は基板のエッチングに関連付けられる1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、通常、基板全体がレジスト層でコーティングされ、同時に同条件で現像またはエッチングされるため、実質的に空間的に均一な傾向にあり、または、例えば、これらのプロセスのいくつかの間に基板が回転するため、対称的となる傾向にある。例えば、パターン転写またはリソグラフィ装置に関連付けられる1つ又は複数のプロセス変数の寄与度は、あまり空間的に均一でない傾向にある。なぜなら、パターン転写はその場所に固有である傾向にあり、ある場所のパターン転写と別の場所のパターン転写との間で1つ又は複数のプロセス変数が変化しうるからである。したがって、実質的に空間的に均一でない寄与度をパターン付き基板メトロロジデータから除去することができれば、実質的に空間的に均一な寄与度をパターン付き基板メトロロジデータから取得することができる。
そこで、特定の例では、基板上で露光された各点についてリソグラフィ装置から、レベリング情報、基板移動の移動平均(MA)、MSDxyz、ドーズ、レーザ帯域幅、瞳形状など、プロセス変数データが収集されてもよい。このデータは、典型的には、リソグラフィ装置内、例えば診断ファイル内で既に入手可能である。このデータから、上述した寄与度が、1つ又は複数のプロセス変数に対する対象パラメータの感度を記述した対象パラメータ用のモデルを使用して生成されてもよい。1つ又は複数の感度は、シミュレーションまたは実験から取得することができる。この方法で生成される寄与度は、トラックとレジストモデルの較正が完全であると仮定して、レジスト現像後の測定時に見られると予想されるものである。基板が例えば現像後やエッチング後に一度測定されると、寄与度がパターン付き基板メトロロジデータから除去される。ここで、残存寄与度は、パターン転写の前または後のプロセス(例えば、トラック及び/又はエッチング装置(一般にフィールド間)およびパターニングデバイス(フィールド内)によるものである。リソグラフィ装置の誤差は、パターン付き基板メトロロジデータから補正されているであろう。同様に、パターニングデバイスの寄与度が測定され、パターン転写の前または後のプロセスによる寄与度を残すように除去されてもよい。寄与度は、プロセスフロー(例えば、パターニングプロセスステップ及び/又は使用される装置の組み合わせ)ごとに、または特定の装置またはその一部(例えば、エッチング装置またはエッチングチャンバ)ごとに除去されてもよい。
したがって、これらの技術によって、対象のパラメータに対する寄与度は、モデル化された関係を介して、またはパターン付き基板メトロロジデータから既知の寄与度を除去することによって、取得することができる。さらに、1つ又は複数の寄与度は、装置固有である一方、基板に依存しないものでありうる。しかし、1つ又は複数の他の寄与度は、基板固有であってもよい。したがって、寄与度の適切な混合と整合によって、パターニングプロセスにおけるある時点での対象のパラメータの推定値を推定することができる。
そこで、これらの寄与度の適用のいくつかの特定の例は、基板についてフォーカス、CD、およびオーバレイの推定値を決定するために、フォーカス、CD、およびオーバレイそれぞれの文脈で説明される。理解されるように、追加の又は他の対象のパラメータが処理され推定されてもよい。
これらの実施例を可能にするために、様々なデータが使用される。例えば、リソグラフィ装置は、パターン転写制御のために使用される重要なメトロロジ能力をそこに統合している。そのような統合されたメトロロジ能力の例としては、サーボ制御のための基板及び/又はパターニングデバイスの位置測定デバイス(例えば、センサIF)、レベリング制御のための基板表面の測定のためのレベリングセンサ(例えば、センサLS)、オーバレイ制御を可能にするための基板の配向、位置及び/又は変形を測定するためのアライメントセンサ(例えば、センサAS)、及び/又は投影システムの波面を制御するための収差センサ(例えば、上述のシヤリング干渉計)などが挙げられる。リソグラフィ装置は、これらセンサからのデータを、その全体的なCD、オーバレイ及び/又はフォーカスバジェットを満たす水準で制御するために使用するが、同時に、制御後に残される残差及び/又は誤差を追跡する。これらの残差及び/又は誤差は、パターン転写中にどのようなCD、オーバレイ及び/又はフォーカス誤差が生じるか、すなわちCD、オーバレイ及び/又はフォーカスフィンガープリントに対するリソグラフィ装置の寄与度を計算するために使用されてもよい。理解されるように、パターニングプロセスで使用される他の装置が、その装置の適用可能なメトロロジのために同様の情報を有していてもよい。
さらに、リソグラフィ装置の設定または制御は、それぞれの較正または制御補正を決定するために、1つ又は複数の数学モデルを使用することができる。しかしながら、そのような1つ又は複数のモデルは、非ゼロの残差誤差につながる仮定または限界を内蔵しうる。そのようなモデル残差は、どのようなCD、オーバレイ及び/又はフォーカスの誤差が生じるか、すなわちCD、オーバレイ及び/又はフォーカスフィンガープリントに対するモデルの寄与度を計算するために使用されうる。理解されるように、パターニングプロセスで使用される他の装置は、同様のモデル情報を有することができる。
さらに、リソグラフィ装置は、1つ又は複数のパラメータ(例えば、フォーカス、オーバレイなど)の任意のグローバルおよびローカルのフィンガープリントを除去するのを支援するために、インレジスト測定を使用して設定されてもよい。しかし、グローバルフィンガープリントは、最後に較正が実行された時から時間の経過とともにドリフトすることがある。この設定状態を監視および制御するために、モニター基板を露光して測定し、グローバルフィンガープリントを監視することができる。モニター基板は、レジスト層を塗布した基板に明確に定義されるパターンに関連するパターンで露光され、現像され、その後測定される、基本となる基板であってもよい。一度測定されると、モニター基板上のレジストは、この明確に定義されるパターンを残して剥離され、それにより新たなレジスト層を塗布することができる。これらの測定値に基づいてリソグラフィ装置に補正を行うことができ、そのため、これらの補正は寄与度を決定する際に考慮される必要がある。ある実施の形態では、モニター基板は、この明確に定義されるパターンを使用してオーバレイを決定するため、及び/又はレジストパターンを使用してフォーカスを決定するために使用することができる。
フォーカスの例に目を向けると、この技術は本質的に2つの主要部分を含む。第1の部分は、推定プロセスで特定の基板についてフォーカスの推定値を決定するために使用される1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数に反映されないリソグラフィ装置の基本的なフォーカス寄与度を決定するためのセットアッププロセスである。第2の部分は、検討中の基板についてそれら1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数に関連付けられるフォーカス寄与度を使用して、この特定の基板についてフォーカスの推定値を決定する推定プロセスである。
従って、ある実施の形態に係るセットアッププロセスでは、パターン付き基板のフォーカスメトロロジデータが1つ又は複数の基板について取得され、次いで、図10を参照して上述したのと同様に、1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数の寄与度が除去される。除去することができる1つのタイプの寄与度は、例えばリソグラフィ装置のレベリングセンサに関連付けられる基板高さ残差又は誤差マップのフォーカス寄与度である。除去することができる更なるタイプの寄与度は、投影システム像面偏差(IPD)のフォーカス寄与度であり、これは例えばシヤリング干渉計及び/又は投影システムモデル残差から取得されうる。除去することができる更なるタイプの寄与度は、パターニングデバイス及び/又は基板サーボ制御(例えば、MA)のフォーカス寄与度であり、これは、適用可能な位置決め部、位置測定デバイス(例えば、センサIF)、及び/又はサーボ制御モデルの残差から取得されうる。上述したように、プロセス変数からフォーカス寄与度への変換は、シミュレーション、数学的モデリング、及び/又は実験によって決定することができる。
必要に応じて、寄与度フィンガープリントは、同じグリッド(寄与度フィンガープリントの1つのグリッドと同じであってもよいし、異なるグリッドであってもよい)に再グリッド化することができる。同様に、寄与度フィンガープリントは、パターン付き基板メトロロジデータに再グリッド化することができ、またはその逆も可能である。ある実施の形態では、再グリッド化は、アップサンプリングまたはダウンサンプリングを備える。
ある実施の形態では、フィルタリング(例えば、移動平均、デコンボリューション、FFTなど)は、望ましくは、別の寄与度と結合する前に、寄与度に適用される。
ある実施の形態では、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度が、有効に一度決定され、様々なフォーカス推定に使用されるので、各基板を測定する場合と比較して、計測量を大幅に減少させることができる。ある実施の形態では、パターン付き基板のフォーカスメトロロジデータが、基板上での比較的疎な位置サンプリング(例えば、基板上の500個以下のターゲット)及び/又は1つ又は複数のロットからの比較的少数の基板サンプリング(例えば、25枚以上の基板ロットから10枚以下の基板)によって取得されうる。
ある実施の形態では、パターン付き基板のフォーカスメトロロジデータは、上述したように、モニター基板の測定されたフォーカスフィンガープリントでありうる。そのため、既に捕捉されているデータを使用することができる。したがって、測定されたフォーカスフィンガープリントは、投影システム像面偏差(IPD)のフォーカス寄与度、基板高さ残差又は誤差マップのフォーカス寄与度、及び/又はパターニングデバイス及び/又は基板サーボ制御のフォーカス寄与度などのリソグラフィ装置のセンサ情報から導出されるリソグラフィ装置の影響を補正して、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度に到達することができる。
その後、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度は、フォーカスのオンプロダクト推定で使用するために保存される。リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度は、複数のリソグラフィ装置について決定することができる。リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度は、使用されるリソグラフィ装置でのデバイスの特定の組み合わせについて決定することができる。例えば、リソグラフィ装置は、基板が露光されうる複数の基板テーブルを有していてもよく、そのため、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度は、使用されるデバイスの特定の組み合わせ及び/又は複数の組み合わせについて決定することができる。
その後、オンプロダクト推定のために、フォーカスに関連する1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数の誤差又は残差が、対象の基板について取得され、そのフォーカス寄与度が決定される。例えば、投影システム像面偏差(IPD)のフォーカス寄与度、基板高さ残差又は誤差マップのフォーカス寄与度、及び/又はパターニングデバイス及び/又は基板サーボ制御のフォーカス寄与度を、対象の基板について取得することができる。追加することができる更なるタイプの寄与度は、対象の特定の基板に使用されるパターニングデバイスに起因するパターニングデバイス誤差のフォーカス寄与度であり、これは測定によって取得されうる。この寄与度は、対象の基板にパターニングデバイスを使用することなくリソグラフィ装置の適用可能な基本フォーカス寄与度が得られた場合には特に使用されうる。
さらに、上述したように、リソグラフィ装置の適用可能な基本フォーカス寄与度が取得される。次に、図9に関して上述したように、リソグラフィ装置の適用可能な基本フォーカス寄与度を、対象の基板の1つ又は複数の特定のフォーカス寄与度と結合して、対象の基板の推定フォーカスフィンガープリントを取得する。したがって、フォーカス誤差の推定値は、任意の基板上で、任意の又はほぼ任意の場所で決定することができる。
さて、CDの例に目を向けると、原理的には、基板にCD変動を引き起こしうるプロセス変数は、多数存在する。この実施形態では、基板全体にわたる特定のCD変動が考慮される。特に、フォーカス、フォーカスブラー、ドーズ、および全体的プロセスに関してCD変動寄与度が考慮される。パターニングデバイスは、CD変動に対するフィールド内の寄与因子であり、これもまた考慮されうるが、便宜上のみのためにこれ以上説明されない。
CDに対するフォーカスの寄与度は、上述のようにフォーカス寄与度に基づくことができ、具体的には、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度と、検討中の基板についてリソグラフィ装置の1つ又は複数のプロセス変数のフォーカス寄与度との結合である。この密なフォーカス情報は、例えばフィーチャ(リソ後及び/又はエッチング後)のボサング(Bossung)挙動が実験またはシミュレーションにより既知としうるとすると、原理的に、任意のパターンフィーチャについてフィールド全体及び/又は基板全体のΔCD寄与度に変換することができる。そのため、あるフォーカス値を有する基板上の任意の位置(x,y)について、CD値は、その基板位置(x,y)に対応して計算されうる。
ここで、HDFMは、フォーカスの例で上述した、導出される高密度フォーカスマップのようなフォーカスマップに対応する。
CDに対するフォーカスブラーの寄与度は、サーボ情報(例えば、z方向のMSD)のなどのリソグラフィ装置のデータを用いて取得することができる。このフォーカスブラー情報は、スキャン方向にわたって基板全体にわたってΔCD寄与度に変換することができる。このフォーカスブラー情報からCDへの変換もまた、フィーチャに固有のものであり、実験またはシミュレーションによって既知とすることができる。
ここで、fblurはフォーカスブラーに対応する。
CDに対するドーズの寄与度は、リソグラフィ装置のドーズ変動(例えば、ドーズマッピングシステムによって決定される)に起因する。露光中の基板全体にわたるドーズ変動は、実験またはシミュレーションにより既知としうる、適用可能なフィーチャの適切なドーズ感度を使用して、ΔCD寄与度に変換することができる。
CDに対する全体的プロセスの寄与度は、パターン転写単体とは別の、パターニングプロセスの一部としての様々なプロセスステップから生じるCD変動である。よって、ある実施の形態では、全体的プロセスの寄与度は、最終的なエッチングステップ後のCD変動の状態であり、CD変動を推定する際に考慮される他の様々なCD変動にはよらない。したがって、ある実施の形態では、この寄与度は、例えば成膜の変動、ベーキング及び/又は現像の変動、及び/又はエッチングプロセスの変動から生じる、すべての考慮されていないプロセス変動の累積的な影響である。CDに対する全体的プロセスの寄与度に寄与するプロセス変数の例は、レジスト層の下の構造の特性、レジスト層の化学組成及び/又は物理的寸法、及び/又はリソグラフィ装置におけるパターン転写の上流または下流の1つ又は複数のプロセス(例えばスピンコーティング、露光後ベーク、現像、エッチング、成膜、ドーピング及び/又はパッケージング)の特性を含みうる。そして、CDに対する全体的プロセスの寄与度は、エッチング後という観点で記載されているが、全体的プロセスの寄与度は、パターニングプロセスの異なる時点、例えば、現像後でエッチング前に取得されてもよい。
そこで、フォーカスの例でのセットアッププロセスと同様に、フォーカス、フォーカスブラー、およびドーズに起因するこれらのΔCD寄与度のすべてを使用し、基板のCD測定値から減算して、全体的プロセスの寄与度を推定することができる。すなわち、ある実施の形態では、エッチング後の全体的プロセス寄与度は、エッチング後のアンカーフィーチャのCD測定値から、(アンカーフィーチャについての)フォーカス、フォーカスブラー、およびドーズのΔCD寄与度を除去することによって生成することができる。上述したように、全体的プロセス寄与度は、適切なアンカーフィーチャから推定される。したがって、ある実施の形態では、他のフィーチャのための全体的プロセス寄与度は、アンカーフィーチャから決定されてもよい。例えば、残りの全体的プロセス寄与度は、アンカーフィーチャの特性の比率として表すことができる。全体的プロセス寄与度をパターニングプロセスの異なる時点、例えば現像後でエッチング前について取得する場合に、現像後でエッチング前のCD測定値が使用されてもよい。
ある実施の形態では、全体的プロセスの寄与度が、有効に一度決定され、様々なCD推定に使用されるので、各基板を測定する場合と比較して、計測量を大幅に減少させることができる。ある実施の形態では、パターン付き基板のフォーカスメトロロジデータが、基板上での比較的疎な位置サンプリング(例えば、基板上の500個以下のターゲット)及び/又は1つ又は複数のロットからの比較的少数の基板サンプリング(例えば、25枚以上の基板ロットから10枚以下の基板)によって取得されうる。
その後、全体的プロセスの寄与度は、CDのオンプロダクト推定で使用するために保存される。全体的プロセスの寄与度は、特定の及び/又は複数の装置構成(例えば、1つ又は複数の特定のエッチングチャンバ、エッチングチャンバとベークプレートの1つ又は複数の特定の組み合わせ、基板テーブルとエッチングチャンバの1つ又は複数の特定の組み合わせなど)について決定することができる。
その後、上述のフォーカス推定ステップと同様に、オンプロダクトCDの推定値を取得することができる。ある実施の形態では、CDに関連する1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数の誤差または残差が、対象の基板について取得され、そのCD寄与度が決定される。例えば、フォーカス、フォーカスブラー及び/又はドーズのCD寄与度が、対象の基板について取得されうる。追加することができる更なるタイプの寄与度は、対象の特定の基板に使用されるパターニングデバイスに起因するパターニングデバイス誤差のCD寄与度であり、これは測定によって取得されうる。
さらに、上述したように、CDに対する適用可能な全体的プロセスの寄与度が取得される。次に、図9に関して上述したように、CDに対する適用可能な全体的プロセスの寄与度を、対象の基板の1つ又は複数の特定のCD寄与度と結合して、対象の基板の推定CDフィンガープリントを取得する。したがって、CD誤差の推定値は、任意の基板上で、任意の又はほぼ任意の場所で決定することができる。
さらに、推定値は、ホットスポットなどの基板上の対象の1つ又は複数の特定のパターンフィーチャについて取得されてもよい。上述したように、CDに対する全体的プロセスの寄与度は、特定のアンカーフィーチャについて決定されたが、対象の1つ又は複数の特定のフィーチャについてスケーリングすることができる。さらに、1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数(フォーカス、フォーカスブラー及び/又はドーズなど)のCD寄与度は、その1つ又は複数の特定のフィーチャについて、CD変動と1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数との間の適切な感度に基づいて計算されうる。そのような感度は、例えば、シミュレーション及び/又は実験により取得されうる。このようにして、それぞれが、パターンの別のホットスポット又はその他の対象のフィーチャについてのものである、複数のCD基板フィンガープリントが取得されてもよい。
メトロロジは、例えば、1つ又は複数の関連するモデル例えばパターニングデバイス及び/又は収差モデルにおいてより多くのパラメータを用いることにより、改良することができる。メトロロジは、全体的プロセスの寄与度を、例えば、様々なフィーチャに対し様々な感度で例えば成膜、リソグラフィ及び/又はエッチングなど様々な寄与因子に分割することによって推定することによって、拡張されてもよい。
ある実施の形態では、パターニングプロセスの一部として適用されるドーズ補正が、結果の中で補正されてもよい。例えば、リソセルは、例えばASMLのDosemapperシステムを使用してドーズ補正を適用してもよい。したがって、この補正は、CDの推定値を決定する際に考慮される。
今度は、オーバレイの例に目を向けると、基板上の少なくとも2つの異なるパターン転写からのデータが使用される。この技術は、フォーカスおよびCDの例に関して上述したものと同様である。
この技術は、本質的に2つの主要部分を含む。第1の部分は、推定プロセスで特定の基板についてオーバレイの推定値を決定するために使用される1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数に反映されないリソグラフィ装置の基本的なオーバレイ寄与度を決定するためのセットアッププロセスである。任意選択として、全体的プロセスのオーバレイ寄与度もまた、上述したCDの例での全体的プロセスのCD寄与度と同様に決定されうる。第2の部分は、検討中の基板について少なくとも2つのパターン転写の各々についてそれら1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数に関連付けられるオーバレイ寄与度を使用して、この特定の基板についてオーバレイの推定値を決定する推定プロセスである。
従って、ある実施の形態に係るセットアッププロセスでは、パターン付き基板のオーバレイメトロロジデータが1つ又は複数の基板について取得され、次いで、図10を参照して上述したのと同様に、少なくとも2つのパターン転写の各々について1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数の寄与度が除去される。除去されうる1つのタイプの寄与度は、例えば、リソグラフィ装置のレベリングセンサから取得される基板高さマップのオーバレイ寄与度である。基板高さマップについて2つのパターン転写に差を見つけることができ、その後、この差をオーバレイ値、ひいてはオーバレイ寄与度に変換することができる。例えば、Z高さ差は、高さ差を基板の反りまたは曲がりとみなして、基本原理を使用してX及び/又はY変位を計算することにより、X及び/又はY変位に変換することができる(例えば、変位は、例えば基板のクランプされた領域ではZの変動対XまたはYの変動に基板の厚さの半分を掛けたものでありうるか、または変位は、例えば基板のクランプされていない領域ではKirchoff-Loveの薄板理論を使用して計算することができる)。ある実施の形態では、高さのオーバレイ寄与度への変換は、シミュレーション、数学的モデリング及び/又は実験によって決定することができる。したがって、このようなパターン転写ごとの基板高さ情報を使用することにより、フォーカスまたはチャックスポットによるオーバレイへの影響を観察し、説明することができる。
除去されうる更なるタイプの寄与度は、X及び/又はY方向(Z周りの回転を含む)におけるパターニングデバイス及び/又は基板のサーボ制御(例えば、MA)のオーバレイ寄与度であり、これは、適用可能な位置決め部、位置測定デバイス(例えば、センサIF)、及び/又はサーボ制御モデルの残差から取得されうる。基板全体にわたるサーボ制御値について2つのパターン転写に差を見つけることができ、この差はオーバレイ寄与度を表すことができる。必要に応じて、サーボ制御値からオーバレイ寄与度への変換は、シミュレーション、数学的モデリング及び/又は実験によって決定することができる。
除去されうる更なるタイプの寄与度は、投影システム収差(これは、例えば、シヤリング干渉計から取得されうる)及び/又は投影システムモデル残差のオーバレイ寄与度である。収差及び/又は残差からオーバレイ寄与度への変換は、シミュレーション、数学的モデリング、及び/又は実験によって決定することができる。
除去されうる更なるタイプの寄与度は、アライメントシステムモデル残差のオーバレイ寄与度であり、これは、リソグラフィ装置によって提供されうる。残差からオーバレイ寄与度への変換は、シミュレーション、数学的モデリング及び/又は実験によって決定することができる。ある実施の形態では、アライメントシステムモデル残差は、異なるパターン転写ステップに対して異なりうるので、したがって、それら異なるパターン転写ステップについてのアライメントシステムモデル残差の結合または差を、オーバレイ寄与度を取得するために使用することができる。ある実施の形態では、アライメントモデル残差は、基板の高さについて補正されてもよい。
必要に応じて、寄与度フィンガープリントは、同じグリッドに再グリッド化することができる。同様に、寄与度フィンガープリントは、パターン付き基板のメトロロジデータに再グリッド化することができ、またはその逆も可能である。
ある実施の形態では、リソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度が、有効に一度決定され、様々なオーバレイ推定に使用されるので、各基板を測定する場合と比較して、計測量を大幅に減少させることができる。ある実施の形態では、パターン付き基板のオーバレイメトロロジデータが、基板上での比較的疎な位置サンプリング(例えば、基板上の500個以下のターゲット)及び/又は1つ又は複数のロットからの比較的少数の基板サンプリング(例えば、25枚以上の基板ロットから10枚以下の基板)によって取得されうる。
ある実施の形態では、パターン付き基板のオーバレイメトロロジデータは、上述したように、モニター基板の測定されたオーバレイフィンガープリントでありうる。したがって、既に捕捉されているデータを使用することができる。したがって、測定されたオーバレイフィンガープリントは、リソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度に到達するように、投影システムのオーバレイ寄与度、基板高さのオーバレイ寄与度、アライメントモデル残差のオーバレイ寄与度、及び/又はパターニングデバイス及び/又は基板サーボ制御のオーバレイ寄与度などのリソグラフィ装置センサ情報から導出されるリソグラフィ装置への影響について補正されることができる。ある実施の形態では、測定されたオーバレイフィンガープリントデータは、製品基板の第1パターン転写について一度捕捉され、その後、第2パターン転写に対して(これらパターン転写の合間にモニター基板を再び使用して)捕捉される。ある実施の形態では、パターン付き基板のオーバレイメトロロジデータは、第1パターン転写後の1つ又は複数のモニター基板から測定されたオーバレイフィンガープリントと、第2パターン転写後の1つ又は複数のモニター基板から測定されたオーバレイフィンガープリントとの間の差から取得されるオーバレイデルタフィンガープリントである。このように、製品層とほぼ同時に1セットのモニター基板を露光することによって、短期ドリフトに関してリソグラフィ装置のオーバレイに対する寄与度を定量化することができる。すなわち、このオーバレイデルタフィンガープリントにより、第1パターン転写と第2パターン転写の間の短期ドリフトに起因するフィールド間オーバレイへのリソグラフィ装置の寄与度を取得することができる。
任意選択として、エッチング後のオーバレイが望まれる場合、オーバレイに対するエッチングプロセス寄与度が決定されてもよく、これは、エッチングから生じるオーバレイ変動である。エッチングプロセスのオーバレイ寄与度を取得するために、現像後でエッチング前のパターン付き基板メトロロジデータがエッチング後のパターン付き基板メトロロジデータから除去され、エッチングプロセスのオーバレイ寄与度が取得されてもよい。ある実施の形態では、エッチングプロセスオーバレイ寄与度が、有効に一度決定され、様々なオーバレイ推定に使用されるので、各基板を測定する場合と比較して、計測量を大幅に減少させることができる。ある実施の形態では、パターン付き基板のオーバレイメトロロジデータが、基板上での比較的疎な位置サンプリング(例えば、基板上の500個以下のターゲット)及び/又は1つ又は複数のロットからの比較的少数の基板サンプリング(例えば、25枚以上の基板ロットから10枚以下の基板)によって取得されうる。第1パターン転写または第2パターン転写で誘起されるエッチングプロセスフィンガープリントは、各パターン転写後のエッチングフィンガープリントが同じであると仮定して、現像後エッチング前のオーバレイ測定値と、第1パターン転写または第2パターン転写の他方のエッチング後のエッチング後オーバレイ測定値との間のデルタフィンガープリントを用いて推測することができる。
その後、リソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度(および任意選択として、エッチングプロセスのオーバレイ寄与度)は、オーバレイのオンプロダクト推定で使用するために保存される。リソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度は、複数のリソグラフィ装置について決定することができる。リソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度は、使用されるリソグラフィ装置でのデバイスの特定の組み合わせについて決定することができる。例えば、リソグラフィ装置は、基板が露光されうる複数の基板テーブルを有していてもよく、そのため、リソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度は、使用されるデバイスの特定の組み合わせ及び/又は複数の組み合わせについて決定することができる。エッチングプロセスのオーバレイ寄与度は、特定の及び/又は複数の装置構成(例えば、1つ又は複数の特定のエッチングチャンバ)について決定することができる。
その後、オンプロダクト推定のために、オーバレイに関連する1つ又は複数のタイプのリソグラフィ装置プロセス変数の誤差又は残差が、対象の基板について取得され、そのオーバレイ寄与度が決定される。例えば、リソグラフィ装置の基本的なオーバレイ寄与度を取得するために、投影システムのオーバレイ寄与度、基板高さのオーバレイ寄与度、アライメントモデル残差のオーバレイ寄与度、及び/又はパターニングデバイス及び/又は基板サーボ制御のオーバレイ寄与度を、対象の基板について取得することができる。ある実施の形態では、基板高さのオーバレイ寄与度のみが取得される。
さらに、上述したように、リソグラフィ装置の適用可能な基本オーバレイ寄与度が取得され、任意選択として、適用可能なエッチングプロセスオーバレイ寄与度が取得される。次に、図9に関して上述したように、リソグラフィ装置の適用可能な基本オーバレイ寄与度(および任意選択として、エッチングプロセスオーバレイ寄与度)を、対象の基板の1つ又は複数の特定のオーバレイ寄与度と結合して、対象の基板の推定オーバレイフィンガープリントを取得する。したがって、オーバレイの推定値は、任意の基板上でほぼ任意の場所で決定することができる。
ある実施の形態では、パターニングプロセスの一部として適用されるオーバレイ補正が、結果の中で補正されてもよい。例えば、リソセルは、例えば、ASMLのBaselinerシステムを用いたモニター基板の測定値に基づいて、オーバレイ補正を適用してもよい。したがって、この補正は、オーバレイの推定値を決定する際に考慮される。
ある実施の形態では、マルチプルパターニングプロセスにおいて、露光条件とリソグラフィ装置条件の両方、例えば、露光ドーズ、パターニングデバイスの透過率、パターニングデバイスの資格誤差、照明設定、リソグラフィ装置の基板クランプ誤差などが、第1パターン転写ステップと第2パターン転写ステップとの間できわめて近似していることが望ましい。さらに、フィールド内レベルでの露光および加熱の痕跡は、第1および第2のパターン転写ステップの間で近似していると予想され、したがって、オーバレイに対するこれらの影響は小さいはずである。
さらに、ある実施の形態では、複数の予測を組み合わせることができる。例えば、オーバレイ予測とCD予測を組み合わせることができる。例えば、異なるパターン転写ステップを使用して互いに隣接する構造を生成し、それら構造間にギャップが設けられるマルチプルパターニングの状況では、1つ又は複数の異なるパターン転写ステップについてのCDとそれら異なるパターン転写ステップについてのオーバレイとの組み合わせは、ギャップのサイズについてオーバレイ推定又はCD推定のみよりも優れた予測を与えることができる。
図11は、ある実施の形態に係り、方法のフローを模式的に示している。ここでは特に、どのようにして、一般化された寄与度、例えば、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度、CDに対する全体的プロセスの寄与度、及び/又はリソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度(および任意選択として、適用可能なエッチングプロセスオーバレイ寄与度)などが、対象の基板について特定の情報に適用されて、その基板の対象のパラメータの推定値を取得することができるかを示している。したがって、寄与度912は、例えばホットスポットについて、特定の基板の1つ又は複数のプロセス変数に対応する。これは、モデリングによって、デバイス情報などから決定することができる。さらに、例えば、リソグラフィ装置の基本フォーカス寄与度、CDに対する全体的プロセスの寄与度、及び/又はリソグラフィ装置の基本オーバレイ寄与度(および任意選択として、適用可能なエッチングプロセスオーバレイ寄与度)など、複数の基板に適用可能な寄与度922が取得される。寄与度922は、本書に記載された技術のいずれかを使用して取得されてもよい。寄与度912は、複数の基板について(例えば、対象の全ての基板について)決定されてもよく、一方、寄与度922は、多数の基板にわたって繰り返し使用されてもよい。寄与度912および寄与度922は、必ずしもホットスポットについてパターン付き基板メトロロジデータを取得することを必要とせずに、例えばホットスポットについて対象のパラメータの推定値950を取得するために結合される。手順970では、対象のパラメータの推定値に基づいて、ホットスポットに欠陥があるか否かが決定されるなどのアクションが実行される。
そこで、デバイスセンサデータがインレジスト及び/又はエッチング後のメトロロジを向上するために利用され、例えば、基板の密なサンプリングを行うことなく基板ごとの密なメトロロジを提供し、及び/又はそのような基板ごとにパターン付き基板メトロロジデータを取得することなく、すべてではないにせよ多数の基板についてのメトロロジを提供することができる計算メトロロジを得ることができる。さらに、密な計算メトロロジは、例えば、より高次の補正を可能にすることができる。また、計算メトロロジは、各基板についてパターン付き基板メトロロジデータを取得することなく、及び/又は基板上でパターン付き基板メトロロジデータを密に測定することなく、基板ごとの制御を含む、より優れた制御を可能にすることができる。
さらに、これらの計算メトロロジ技術からの推定値は、パターニングプロセス制御(例えば、1つ又は複数のプロセス変数の調整)、パターニングプロセス監視、欠陥検出、欠陥予測、パターニングプロセス設計など、様々な適用を可能にすることができる。
ある実施の形態では、導出される寄与度(図10を用いて導出されるような)は、対象のパラメータに対する1つ又は複数のプロセス変数の変化の寄与度を決定するための数学モデルをパラメータ化するために使用することができる。すなわち、数学モデルは、導出される寄与度に対して適合させることができ、それによって、数学モデルの1つ又は複数のパラメータ、定数等の値を取得することができる。したがって、一例として、プロセス及び/又は基板スタックにおける変化に適応するための、モデルおよびモデルにおいて表される任意の感度を有することが望ましい。そこで、ある実施の形態では、予測される基板フィンガープリントが、測定されることになるすべての基板について生成されてもよい。このために、対象のパラメータのモデルが確立されてもよく、例えば、CDについては、CD=a1*DOSE+a2*FOCUS2+a3*MSDx+a4*MSDy+a5*MSDz+...を備えるモデルである。基板の測定により、前及び/又は後のプロセス(例えば、トラック/エッチング)のフィンガープリントおよびパターニングデバイスのフィンガープリントを除去することができる。残りのフィンガープリント測定値は、予測値と比較することができる。この状況では、CD、ドーズ、フォーカス、MSD-xyz、収差などが既知である1セットの方程式(測定点と同数の方程式)が存在する。この方程式のセットは、所望される感度(a1, a2,...)について解くことができる。特定のデバイスパターンについて測定されたいくつもの基板についてこれが実行されるとき、所望される感度を再推定するための多くのデータが存在することになる。複数のリソグラフィ装置からのデータが使用される場合、及び/又はフォーカス露光マトリクス露光からのデータが同様に使用される場合、入力信号(例えば、フォーカス、ドーズ、MSD、CDなど)の十分な変動は、感度の適切な推定を可能にすることができる。さらに、本技術は、フォーカス深度、露光寛容度、オーバレイ、エッジ位置などの対象の他のパラメータに適用することができる。
ある実施の形態では、トレーニングアルゴリズムを使用して更なる精度を追加することができる。例えば、収差についての感度が解かれる場合、収差がこれらの感度を適合させる前にスリット上でのみ変化しCD(またはオーバレイ)データをプレフィルタするという境界条件を考慮に入れることができる。ある実施の形態では、感度は、時々または連続的に再評価することにより、パターニングプロセスにおける変動に対してロバストになることができる。
上述したように、計算メトロロジ技術は、測定されたフィンガープリントから(既知の)寄与度を減算することによって、フォーカス、ドーズ、およびオーバレイなどのプロセス変数のフィンガープリントに対する寄与度を導出するために使用されてもよい。これは、例えば図10に示されており、寄与度520は、寄与度510を取得するために、測定されたフィンガープリント500から減算される。寄与度510は、寄与度520が測定されたフィンガープリント500に影響する相当量のノイズ又はさもなければ非系統的な挙動を導入する場合に、半導体製造プロセスを制御するためのより好適な入力でありうる。安定した入力(少なくとも基板ロットにわたって安定した)に基づいて装置を制御したい場合、「清浄化」されたデータ510を入力として使用することが好ましいかもしれない。多くの場合、データ510は、対象のプロセス変数(例えば、リソグラフィ装置による露光以外のプロセスステップのオーバレイ寄与度、この場合、寄与因子520はリソグラフィ装置の寄与度である)のかなり疎な表現である。しかしながら、多くの場合、リソグラフィ装置を用いた露光などのプロセスステップの効果的な制御を提供するために、十分に密なデータが必要とされうる。この問題を克服するために、図22に模式的に示される方法を利用することが提案される。
図22は、オーバレイ測定装置デバイス(例えばスキャトロメータ)などのメトロロジツールを使用してプロセス変数の(典型的には疎に)測定されたフィンガープリント2201を取得する第1ステップを備える方法を説明する。フィンガープリント2201に対する計算または他の方法で決定された寄与因子2202が、フィンガープリント2201から減算され、プロセス変数フィンガープリント2201に対する清浄化された(安定した)寄与度2203が取得される。疎なデータ2203は、グローバルモデル2200を用いてアップサンプルされ、寄与因子2203の密な表現2204が取得される。モデルは、アップサンプルされた寄与度2204を提供するために、任意の適切な数学的方法(例えば、機械学習、多項式適合、補間スキームなど)を利用しうる。モデルは、好ましくはグローバルである。すなわち、モデルは、基板全体にわたるプロセス変数の低次の挙動を導出するように構成されている。よって、アップサンプルされた寄与因子2204は、一般に、プロセス変数のより高周波数の内容を備えない。疎な寄与因子フィンガープリント2203(プロセス変数のより高次の周波数の疎な内容を備える)を、グローバルな密な寄与因子フィンガープリント2204と結合して、結合された寄与因子フィンガープリント2205を取得することが提案される。このプロセスは、図22において、フィンガープリント2203と2204を備える点線の四角形によって示され、結合された寄与因子フィンガープリント2205の生成は、点線の矢印によって示されている。結合された寄与因子フィンガープリント2205は、過度のメトロロジ所要時間及び/又はメトロロジデータ2201内に存在する安定した成分を決定するための高度なデータ分析の使用なしに、プロセスステップの安定した高次の制御を可能にする。
ある実施の形態では、パターニングされた基板に関連付けられたメトロロジデータ2201から寄与度2202が除去され、メトロロジデータ2201に対する、導出される寄与度2203が取得される。導出寄与度2203は、モデル2200を使用してアップサンプルされ、モデル化された寄与度2204が取得される。導出寄与度とモデル化された寄与度は結合され、結合寄与度2205が取得される。
結合寄与度2205は、エッチングツール、CMPツール、成膜ツール及び/又はリソグラフィ装置などのプロセス装置を制御するための入力として使用されてもよい。
制御は、前述のプロセス装置のための適切な制御レシピを生成することによって実現されてもよい。
制御レシピは、リソグラフィ装置のためのものであってもよく、毎露光制御(CPE)命令及び/又はサブレシピを備え、リソグラフィ装置を使用して基板に提供される露光フィールドの個別制御のための情報を含んでいる。
モデル2200は、好ましくは、基板全体にわたるプロセス変数の低次の挙動を記述するように構成されるグローバルモデルである。
更なる応用では、1つ又は複数の寄与度/フィンガープリントを使用してパターンのコンターを予測することができる。この文脈では、コンターは、基板に転写されたパターンのフィーチャの形状の輪郭である。コンターは、例えば、基板に転写されたパターンフィーチャの形状の外側境界を抽出するように基板の画像(例えば、走査型電子顕微鏡画像)を処理することによって可視化することができる。しかし、コンターはまた、基板に転写されると予想されるパターンフィーチャの電子的表現を生成するために、数学的処理(例えば、シミュレーション)によって生成されてもよい。コンターは、典型的には線の形態をとるが、本書で使用されるコンターは、フィーチャの境界を記述するデータへと一般化することができる。コンターは連続的である必要はなく、すなわち、輪郭及び/又はデータは、不連続な輪郭及び/又はデータがフィーチャの境界を十分に記述する場合には、フィーチャまわりに不連続であってもよい。ある実施の形態では、コンターは、二次元(すなわち、平面を定義する)または三次元でありうる。ある実施の形態では、コンターは、パターンが形成される基板の表面に実質的に平行な平面内に延びることができる。ある実施の形態では、コンターは、パターンが形成される基板の表面に実質的に垂直な平面内に延びることができ、この場合、プロファイルとして特徴付けられ、二次元または三次元の形態をとりうる。
コンターを予測するために、1つ又は複数の寄与度/フィンガープリントが、本書に記載されるように取得され、予測されるコンターを得るべく特定の公称コンターを選択し及び/又は公称コンターを修正するために使用されうる。1つ又は複数の寄与度/フィンガープリントを使用したコンターのそのような予測および使用の詳細は、本書に記載される1つ又は複数の寄与度/フィンガープリントのその他の使用と共に、参照によりその全体が本書に援用される2017年2月22日に出願された米国特許出願第62/462,201号に記載されている。
上述したように、ある実施の形態では、本明細書の計算メトロロジ技術は、パターニングプロセス用の装置(例えば、リソグラフィ装置)からのデータとメトロロジ装置(例えば、図3から図5に関して上述したメトロロジ装置の1つ)からのデータとの結合を使用して、ある基板についてパターニングプロセスの対象の特定のパラメータ(例えば、オーバレイ、エッジ配置誤差など)について導出される寄与度又はフィンガープリントを生成することができる。したがって、このような計算メトロロジの適用では、対象の特定のパラメータについてハイブリッドの密なフィンガープリントが、メトロロジ及びパターニングプロセス装置(例えば、リソグラフィ装置)の入力に基づいて生成される。例えば、オーバレイフィンガープリントについては、入力は、例えば、1つ又は複数のモニター基板を使用して行われた測定結果、パターニングプロセス製造装置(例えば、リソグラフィ装置)からのデータまたは測定結果、及び/又はメトロロジ装置(例えば、図3から図5に関して上述したメトロロジ装置の1つ)からの測定結果(エッチング後検査(AEI)または現像後検査(ADI)の測定結果など)であることができる。
上述のハイブリッドの密なフィンガープリントについては、メトロロジターゲットを測定するメトロロジ装置を用いた対象のパラメータの比較的密な測定結果(例えば、ADI及び/又はAEI)が、フィンガープリントを生成するために、ターゲットからのパラメータ測定結果とデバイスパターン応答との間の良好な整合を可能にするために使用される。したがって、例えば、メトロロジターゲットを測定するメトロロジ装置による対象のパラメータの密でない測定結果を使用できるようにすることが望ましいであろう。より少ない密度の測定値を使用することにより、スループットの向上が可能となりうる。より少ないメトロロジターゲットの測定値が必要とされうるからである。
それに加えて又はそれに代えて、上述の結果得られるフィンガープリントは、すべてのデバイスパターンフィーチャに対して汎用的でありうるので、例えばクリティカルなデバイスパターンフィーチャ(ホットスポットとも呼ばれる)を参照しない場合がある。したがって、デバイスパターンの複数のフィーチャのうちの特定のフィーチャそれぞれについて、その特定のデバイスパターンフィーチャに固有のフィンガープリントを生成することができることが望ましいであろう。ある実施の形態では、フィンガープリントは、1つ又は複数のクリティカルなデバイスパターンフィーチャに固有であってもよい。クリティカルなデバイスパターンフィーチャに関連付けられる対象のパラメータ(例えば、オーバレイ、フォーカス、CD、アライメントなど)の密なマップを有することは、(例えば、デバイス歩留まり制御の観点から)より有益でありうる。クリティカルなデバイスパターンフィーチャに着目することにより、パターニングプロセスの歩留まりに基づく設計、制御、修正等が、例えば、デバイスパターンの特定のフィーチャ特性を考慮に入れることによって生成されてもよい。
図12を参照すると、デバイスパターンの特定フィーチャに固有のフィンガープリントを生成して使用する方法のある実施の形態が模式的に示されている。一般的には、この方法は、シミュレーション(例えば、フルチップシミュレーション)、メトロロジターゲットを使用したメトロロジ測定(例えば、オーバレイフィンガープリントのためのADI/AEIオーバレイ測定)、およびオンデバイスパターン測定の組み合わせによって、1つ又は複数の特定のデバイスパターンフィーチャについて基板の少なくとも一部にわたって、対象のパラメータのフィンガープリント(マップ)を生成することを含む。例えば、パラメータフィンガープリントは、1つ又は複数のクリティカルなデバイスパターンフィーチャのそれぞれについて生成することができる。1つ又は複数のパラメータフィンガープリント(例えば、1つ又は複数のクリティカルなデバイスパターンフィーチャについて)によって、パターニングプロセスの1つ又は複数の態様(例えば、装置、サブプロセス、使用される消耗品(例えば、パターニングデバイス)など)が、1つ又は複数のパラメータフィンガープリントを使用して設計、補正、制御、変更等されることができる。ある実施の形態では、それぞれのデバイスパターンフィーチャの利用可能な複数のパラメータフィンガープリントの重み付き結合が、パターニングプロセスの上記態様の設計、補正、制御、変更等に使用されることができる。すなわち、それぞれの特定のデバイスパターンフィーチャに関連付けられる1つ又は複数のパラメータフィンガープリントは、他のそれぞれのデバイスパターンフィーチャに関連付けられる1つ又は複数の他のパラメータフィンガープリントよりも高く重み付けされてもよい。そのような設計、補正、制御、変更等は、パターニングプロセスを使用して基板上にデバイスパターンを製造するためにパターニングプロセスに使用される装置(例えば、リソグラフィ装置、エッチングツール、成膜ツール等)の設定の構成を含むことができる。ある実施の形態では、設計、補正、制御、変更等は、リソグラフィ装置設定の変更(例えば、基板などの物体のX、YまたはZ運動の制御の変更、投影システム収差の特定の補正(例えば、投影システムにおけるアクチュエータまたは他の波面操作デバイスを使用して)、基板の露光のための照明ドーズの変更(例えば、放射ソースの制御及び/又は照明システムにおけるドーズ変調デバイスを使用して)等)を含むことができる。
1100には、パターニングデバイスに設けられるデバイスパターンフィーチャおよびメトロロジターゲットを有するパターニングデバイスパターンの例示的な高度に概略的なレイアウトが示されている。デバイスパターンフィーチャは、フィーチャA、B、C、およびDとして符号が付されている。理解されるように、フィーチャAの各インスタンスは実質的に同じタイプのパターンレイアウトであり、フィーチャBの各インスタンスは実質的に同じタイプのパターンレイアウトであり、フィーチャCの各インスタンスは実質的に同じタイプのパターンレイアウトであり、フィーチャDの各インスタンスは実質的に同じタイプのパターンレイアウトである。さらに、フィーチャA~Dの各々は、他のフィーチャと異なっていてもよい。さらに、メトロロジターゲットは、ターゲット1、2および3として符号が付されている。理解されるように、ターゲット1の各インスタンスは実質的に同じタイプのメトロロジターゲットであり、ターゲット2の各インスタンスは実質的に同じタイプのメトロロジターゲットであり、ターゲット3の各インスタンスは実質的に同じタイプのメトロロジターゲットである。ある実施の形態では、メトロロジターゲット1~3の各々は、他のターゲットとは異なっていてもよい(例えば、ターゲット周期構造のピッチの点で異なる、ターゲット周期構造のフィーチャのセグメンテーションの点で異なる、デューティサイクルの点で異なる、等)。知られているように、デバイスパターンフィーチャおよびメトロロジターゲットは、リソグラフィプロセスを用いて基板に転写される。オーバレイのためのメトロロジターゲットの場合、ターゲット1、2、3は、基板上の下層のターゲットであってもよいし、基板上の上層のターゲットであってもよく、ここで、ターゲット1、2、または3は、下層の対応するターゲットの上に概ね位置するか、または上層の対応するターゲットは、ターゲット1、2、または3の上に概ね位置する。
1110において、パターニングデバイスパターンの基板への転写のシミュレーションが、例えば、パターニングプロセスの公称条件からの一定量の摂動など、パターニングプロセスの様々な条件で実行される。例えば、図13のパターニングシミュレーション方法は、パターニングデバイスパターン(1つ又は複数のメトロロジターゲットを含む)の基板への予測される転写を生成するために使用することができる。同様に、シミュレートされるパターニングプロセスの一部として生成される1つ又は複数のメトロロジターゲットの測定もまた、例えば、複数の測定ビーム波長及び/又は複数の測定偏光でシミュレートされる。例えば、図14の測定シミュレーション方法を用いて測定をシミュレートすることができる。これらのシミュレーションに基づいて、基板上に生成されるようにシミュレートされた1つ又は複数のメトロロジターゲットと1つ又は複数のデバイスパターンフィーチャの各々について対象のパラメータ(例えば、オーバレイ)が決定され、基板上に生成されるようにシミュレートされたパターニングデバイスパターンの1つ又は複数のメトロロジターゲットと1つ又は複数のデバイスフィーチャとの間のパラメータの関係がシミュレートされた結果から決定される。例えば、パターン転写条件に依存して、また、対象のパラメータとしてのオーバレイについては、デバイスパターンフィーチャのシフトは、オーバレイターゲットのシフトに関連しうる。ある実施の形態では、この関係のために、1つ又は複数のメトロロジターゲットの対象のパラメータは、1つ又は複数のデバイスフィーチャの対象のパラメータとは異なってもよく、1つ又は複数のメトロロジターゲットの対象のパラメータがオーバレイであってもよく、一方、1つ又は複数のデバイスフィーチャの対象のパラメータがエッジ配置誤差であってもよい。それに加えて又はそれに代えて、対象のパラメータの1つ又は複数の光学収差感度、対象のパラメータの1つ又は複数のフォーカス感度、対象のパラメータの1つ又は複数のドーズ感度、対象のパラメータの1つ又は複数のピッチ依存性など、その他の関係が確立されてもよい。
1130において、適用可能な対象のパラメータの測定値が、1110でシミュレーションが実行されるパターニングプロセスを使用してパターニングデバイスパターンが転写された1つ又は複数の基板から取得される。ある実施の形態では、測定値は、パターニングデバイスパターンの複数のインスタンスが転写された基板全体にわたって取得される。ある実施の形態では、測定値は、各々にパターニングデバイスパターンが複数回転写された複数の基板から取得される。ある実施の形態では、測定値は、パターニングプロセスの一部として1つ又は複数の基板に転写された1つ又は複数のメトロロジターゲットから取得される。ある実施の形態では、対象のパラメータはオーバレイであり、測定値は、1つ又は複数のメトロロジターゲットのADI及び/又はAEIを使用して取得されるオーバレイ測定値である。ある実施の形態では、オーバレイ測定値は、複数の測定ビーム波長及び/又は複数の測定ビーム偏光で取得される。
1120において、1つ又は複数のメトロロジターゲットからの対象のパラメータの測定値が、シミュレートされた結果と整合される。すなわち、シミュレーションから決定された1つ又は複数の関係を使用して、測定された対象のパラメータが、デバイスパターンフィーチャについて適用可能な対象のパラメータ(例えば、対象のパラメータと同じ又は異なるパラメータ)の等価な値に変換されることができる。例えば、オーバレイの文脈では、メトロロジターゲットからのオーバレイの測定値は、1つ又は複数のシミュレートされた関係を使用して、関連付けられるデバイスパターンフィーチャの予想されるオーバレイに変換することができる。ある実施の形態では、メトロロジ測定値は、基板全体にわたって取得され、したがって、基板全体にわたる様々な場所での局所条件(例えば、基板の非平坦度、エッチングの変動など)に起因して変化する値を有する可能性が高い。したがって、ある実施の形態では、1つ又は複数の特定のデバイスパターンフィーチャの各々について予測される対象のパラメータの基板の少なくとも一部にわたるマップが取得されてもよい。ある実施の形態では、対象のパラメータは、パラメータの誤差又は残差、例えばCD誤差であってもよい。オーバレイの例を考えると、基板の少なくとも一部にわたる特定のデバイスパターンフィーチャの予測オーバレイのマップは、基板の少なくとも一部にわたって得られたメトロロジターゲットのオーバレイ測定値を、1つ又は複数のシミュレートされた関係を使用して基板の少なくとも一部にわたって生成された特定のデバイスパターンフィーチャに整合させることによって、決定することができる。同様のオーバレイマップは、各デバイスパターンフィーチャが基板の少なくとも一部にわたり広がるインスタンスを有する、別の複数の特定のデバイスパターンフィーチャの各々について生成することができる。ある実施の形態では、オーバレイマップは、実質的に、各ベクトルがオーバレイの方向およびオーバレイの大きさを有する基板の少なくとも一部にわたるオーバレイベクトルの空間分布である。その結果、データを結合して、対象のパラメータ(例えば、オーバレイ、エッジ配置誤差など)の予測される基板マップをデバイスパターンフィーチャごとに取得することができる。ある実施の形態では、基板マップは、フルチップ情報に基づいて構築されてもよいので、フィールド/基板上で密にサンプリングすることができる。
1140において、1つ又は複数のパターニングデバイスパターンフィーチャの測定値が、1110でシミュレーションが実行されたパターニングプロセスを用いてパターニングデバイスパターンが転写された1つ又は複数の基板から取得される。ある実施の形態では、測定値は、パターニングデバイスパターンの複数のインスタンスが転写された基板全体にわたって取得される。ある実施の形態では、測定値は、各々にパターニングデバイスパターンが複数回転写された複数の基板から取得される。ある実施の形態では、測定値は、オンデバイスの測定値である。すなわち、測定値は、デバイスパターンの周囲の1つ又は複数のメトロロジターゲットから取得されるのではなく、デバイスフィーチャ自体のものである。ある実施の形態では、オンデバイスの測定値は、電子顕微鏡のように、イオンビーム(例えば電子ビーム)測定技術を使用して取得される。ある実施の形態では、測定値は、デバイスパターンフィーチャのエッジ配置、CDなどである。
1150において、オンデバイスの測定値に基づいて、シミュレートされたデバイスパターンフィーチャ(例えば1110について上述したシミュレーションから決定される)と、測定された対象のパラメータ(例えば、1130で決定され、1120でシミュレートされたデバイスパターンフィーチャと整合される)との間の関係が、相関付けられることができる。この相関は、デバイスフィーチャのオンデバイス測定値の分析によって行うことができる。例えば、オーバレイの文脈では、オンデバイス測定値から決定されるエッジ配置誤差が、シミュレートされたデバイスパターンフィーチャと関連するメトロロジターゲットからの測定されたオーバレイとの間の関係に基づいてオーバレイが予測されているフィーチャについて特定され、予測されたオーバレイは、測定されたオンデバイスのエッジ配置誤差に相関付けられうる。一例として、別々のパターニングプロセスの実行により生成された隣接フィーチャのエッジ間の距離の誤差が、予測されたオーバレイに相関付けることができる。次いで、この相関は、予測されたオーバレイを、デバイスフィーチャのオーバレイ及び/又はエッジ配置誤差のより正確な予測値に変換するために使用することができる。そして、パターニングデバイスパターンフィーチャごとに、かなり高度に予測された正確な対象のパラメータ(例えば、オーバレイ、エッジ配置誤差など)の基板マップをデバイスパターンフィーチャごとに構築することができる。
任意選択として、デバイスパターンフィーチャごとの対象のパラメータの基板マップは、その他の関連データを有することができる。例えば、マップは、パターニングプロセス内の制御パラメータとの相互依存性に関する情報を含むことができ、ここで、制御パラメータは、パターニングプロセスの少なくとも一部の性能を変更するためにパターニングプロセスに使用される装置内で設定可能なパラメータである。ある実施の形態では、制御パラメータは、リソグラフィ装置の動作を制御するパラメータである。ある実施の形態では、制御パラメータは、リソグラフィ装置内のフォーカス、投影システム収差などを制御するパラメータである。したがって、対象のパラメータの基板マップは、1つ又は複数のリソグラフィ装置の制御パラメータ(例えば、フォーカス、投影システムの動作など)との1つ又は複数の相互依存性を含むことができる。そして、この相互依存性は適切な補正を行うことを可能としうる。デバイスパターンのある特定のフィーチャの対象のパラメータが、制御パラメータの値の変化に応答してデバイスパターンの別のフィーチャとは異なる値の変化を有しうるからである。
複数のマップへの言及がなされてきたが、それらマップのうちの1つ又は複数のマップを結合マップへと結合することができる(これは、データ構造を結合するとき共に結合される複数のマップとみなされる)ことが理解されるであろう。ある実施の形態では、すべてのマップが結合マップへと結合されてもよく、または、マップのサブセットが、残りの1つ又は複数の別個のマップと結合マップへと結合されてもよい。例えば、複数のデバイスパターンフィーチャの各々についてのデバイスパターンフィーチャごとの基板マップは、結合基板マップに含まれる1つ又は複数のデバイスパターンフィーチャごとの関連付けられるサンプリングとともにデータを結合する結合基板マップへと変換されることができる。すなわち、結合基板マップに基づいて、1つ又は複数の関連するデバイスパターンフィーチャについてのデータが、適用可能なサンプリング定義に基づいて選択されることができる。
そこで、ステップ1120および1150において、対象のパラメータの測定値1130(1つ又は複数のメトロロジターゲットを使用)は、計算リソグラフィおよびメトロロジシミュレーションおよびオンデバイス測定値1140を使用して、デバイスパターンフィーチャごとに適用可能な対象のパラメータのマップ(例えば、対象のパラメータは測定されたパラメータと同じ又は異なるパラメータである)に変換されている。例えば、オーバレイの文脈では、1つ又は複数のオーバレイメトロロジターゲットを使用したオーバレイ測定値は、計算リソグラフィおよびメトロロジシミュレーション(フィードフォワード)およびオンデバイス測定値(フィードバック)を使用して、デバイスパターンフィーチャごとのオーバレイマップに変換することができる。この技術を文脈に置くと、測定値1130は、比較的迅速に取得することができ、基板全体にわたって比較的疎に取得することができる。さらに、1つ又は複数のメトロロジターゲットは、デバイスパターンフィーチャの挙動について実質的に代わりとして機能するように設計されているが、デバイスパターンフィーチャの実際の挙動の測定値ではない。したがって、ステップ1120において、1つ又は複数のメトロロジターゲットを使用した対象のパラメータの比較的疎な測定値は、1つ又は複数のシミュレートされた関係を使用して、1つ又は複数のデバイスパターンフィーチャに対応する(同じまたは異なる)対象のパラメータの値に変換される。特に、疎な測定値は、複数のデバイスパターンフィーチャの各々について対象のパラメータの予測値を提供するために、様々なデバイスパターンフィーチャに整合され、デバイスパターンフィーチャごとの対象のパラメータの基板マップが実質的に生成される。望ましくは、対象のパラメータのメトロロジターゲット測定値を複数のデバイスパターンフィーチャの各々に変換することによって、基板全体にわたる対象のパラメータのより密な表現が得られ、デバイスパターンフィーチャの各々は、フィールド/ダイに複数のインスタンスを持つことができ、基板全体にわたる複数のダイ/フィールドにわたって複数のインスタンスを持つことになる。さて、デバイスパターンフィーチャの実際の挙動を反映させるために、オンデバイス測定値が取得されるが、オンデバイス測定値は、比較的疎なものでありうる。オンデバイス測定値を使用して、オンデバイス測定値と、シミュレートされたパターンフィーチャと測定されたメトロロジターゲット測定値との間の関係との間の相関を確立し、デバイスパターンフィーチャについて対象のパラメータのより正確な予測を可能にすることができる。その相関は、デバイスパターンフィーチャについて予測される対象のパラメータを改善するために使用することができ、デバイスパターンフィーチャごとに対象パラメータのかなり高度に予測された正確な基板マップを得ることができる。
1160から1180において、デバイスパターンフィーチャごとの基板マップは、パターニングプロセスの態様(例えば、装置(リソグラフィ装置、エッチングツール、成膜ツールなど)、サブプロセス(例えば、パターンステップ、エッチングステップなど)、使用される消耗品(例えば、パターニングデバイス)など)における補正を行うために使用することができる。補正は、フィードフォワードまたはフィードバック補正でありうる。ある実施の形態では、補正は、リソグラフィ装置内で、リソグラフィ装置の1つ又は複数の制御パラメータ(例えば、ドーズの制御パラメータ、フォーカスの制御パラメータ(例えば、基板のZ位置の制御)、アライメントの制御パラメータ(例えば、基板のX及び/又はY位置の制御)、光学収差の制御パラメータなど)を使用して行われる。
1160において、複数の対象パラメータ基板マップ(デバイスパターンフィーチャに対応する各マップ)が存在する場合、複数のデバイスパターンフィーチャのうち1つ又は複数のデバイスパターンフィーチャのサブセットを、適用可能な対象パラメータ基板マップに基づいて、およびパターニングプロセスの少なくとも一部の予想され又は実際の挙動に関するデータに基づいて、選択することができる。例えば、1つ又は複数のクリティカルなデバイスパターンフィーチャが特定されてもよく、次に、1つ又は複数のクリティカルなデバイスパターンフィーチャの対象パラメータ基板マップそれぞれを、パターニングプロセスの少なくとも一部の補正に使用することができる。
ある実施の形態では、予想され又は実際の挙動データは、パターニングプロセスに使用される装置1180からのデータ1167を備え、例えば、リソグラフィ装置の場合には、実際のまたは予想される基板のX、Y及び/又はZ位置に関するデータ(例えば、移動平均及び/又は移動標準偏差情報の形で、基板高さ又は非平坦性情報の形で、アライメント誤差の形で、等)、光学収差に関するデータ(例えば、例えばゼルニケ収差仕様の形での収差の測定値)、ドーズに関するデータ(例えば、装置内のセンサによって測定されうるドーズ誤差)などがある。挙動データは、測定値として、及び/又は装置の制御の一部として生成されるデータとして、装置から出力することができる。挙動データは、先行の基板のプロセスから、1つ又は複数の後続の基板のプロセスの制御に使用するために収集することができる。挙動データは、特定の入力(例えば、基板の先行のプロセスからのデータ)に基づいて挙動を予測する数学モデルから生成することができる。ある実施の形態では、挙動データは、公称挙動の周囲または隣接する挙動の範囲又はセットなど、挙動の範囲を備える。
挙動データを使用して、その挙動による、デバイスパターンフィーチャの基板マップによって表される対象のパラメータへの予想される影響を決定することができる。例えば、オーバレイおよびリソグラフィ装置の文脈では、例えば、特定のドーズ誤差、光学収差、位置誤差などが、それらの挙動の1つ又は複数に対するオーバレイの感度(これらの感度は、シミュレーションまたは実験により決定することができる)に基づいて、オーバレイに関して何を引き起こすかを計算することができる。その計算されたオーバレイは、各オーバレイ基板マップがデバイスパターンフィーチャごとのものである複数のオーバレイ基板マップにより処理され、どの1つのデバイスパターンフィーチャが、パターニングプロセスの少なくとも一部の挙動に直面して、仕様から外れて生成される可能性が高い(例えば、欠陥となる可能性が高い)かを決定することができる。しきい値は、その挙動の結果として、どの1つ又は複数のデバイスパターンフィーチャが仕様から外れて生成される可能性が高いかを特定するために適用することができる。簡単な例として、特定のデバイスパターンフィーチャのためのオーバレイ基板マップは、基板の特定の領域においてデバイスパターンフィーチャが正のX方向に2nmのオーバレイを有することが予想され、デバイスパターンフィーチャのためのオーバレイの仕様を4nmに設定することができる(すなわち、このデバイスパターンフィーチャについては4nm以下のオーバレイが許容される)ことを特定することができる。そして、実際の又は予想される挙動が正のX方向に1~3nmのオーバレイを引き起こすと判断された場合、基板マップからの2nmのオーバレイに実際の動作または予想される動作からの1~3nmのオーバレイを加えたものがこのデバイスパターンフィーチャを仕様外とする可能性が高いので、このデバイスパターンフィーチャはクリティカルであると考えることができる。もちろん、別の分析を行うこともできる。
1160の分析の結果は、パラメータ基板マップのセット1163であり、ここで、各マップは、クリティカルなデバイスパターンフィーチャとして特定されたそれぞれのデバイスパターンフィーチャについてのものである。これは、図12において、オーバレイ(この例では)の基板マップのセットとして、クリティカルなフィーチャとこの例で特定されたフィーチャA、B、C、およびDのそれぞれについて模式的に示されている。図12に見られるように、オーバレイの基板マップの各々は、それに関連付けられたデバイスパターンフィーチャについて基板全体にわたるオーバレイベクトルを示している。いくつかの領域ではベクトルの大きさが比較的大きく、デバイスパターンフィーチャがパターニングプロセスの挙動に特に依存してクリティカルとなっていることがわかる。
さて、分析1160は、クリティカルなデバイスパターンフィーチャについて特定されたマップなどのパラメータ基板マップについての重みをさらに決定することができる。重みは、行われるべき補正を決定することの一部として、第1の特定のデバイスパターンフィーチャについてのパラメータ基板マップを、第2の特定のデバイスパターンフィーチャについてのパラメータ基板マップと比較して、より重く重み付けることができる。例えば、実際の又は予想される挙動の観点から第1のデバイスパターンフィーチャが第2のデバイスパターンフィーチャよりも仕様外となる可能性がより高い等を決定することができる。したがって、第1のデバイスパターンフィーチャについてのパラメータ基板マップは、第2のデバイスパターンフィーチャについてのパラメータ基板マップよりも、補正分析においてより重く重み付けされうる。このように、1つ又は複数の重み1165を生成することができ、パラメータ基板マップのセット1163と共に提供されてもよく、ここで、各マップは、クリティカルなデバイスパターンフィーチャと特定されたそれぞれのデバイスパターンフィーチャについてのものである。
1170において、各マップがデバイスパターンフィーチャごとのものである1つ又は複数の対象パラメータ基板マップに基づいて、パターニングプロセスの少なくとも一部の1つ又は複数の補正が決定される。例えば、補正は、パラメータ基板マップのセット1163を使用して計算することができ、ここで、各マップは、クリティカルなデバイスパターンフィーチャと特定されたそれぞれのデバイスパターンフィーチャについてのものである。それに加えて又はそれに代えて、補正は、1つ又は複数の重み1165を考慮に入れることができ、例えば、a1*F1+...+an*Fnのような重み付きメトリックを使用することができ、ここで、aは重みに相当し、Fは特定のデバイスパターンフィーチャ(例えば、クリティカルなフィーチャ)についてのパラメータ基板マップに相当し、nは、デバイスパターンフィーチャの数である。ある実施の形態では、補正は、パターニングプロセスの少なくとも一部の実際の又は予想される挙動を考慮に入れることができる。
1180では、1つ又は複数の補正は、パターニングプロセスに使用される装置によって適用することができる。ある実施の形態では、補正は、装置で使用するために変換されることができる。ある実施の形態では、ステップ1110、1120、1150、1160及び/又は1170のうちの任意の1つ又は複数の分析が、1180で装置内で実行されうる。
そこで、ある実施の形態では、補正が、少なくとも基板マップに基づいて(例えば、重み付けされた方式で)、パターニングプロセスシステムの1つ又は複数の補正機構の能力の範囲内でデバイスパターンフィーチャの改善された生成をもたらすように、決定されることができる。例えば、リソグラフィ装置の場合、パラメータ基板マップは、1つ又は複数のデバイスパターンフィーチャの生成に補正をもたらすリソグラフィ装置の1つ又は複数の制御パラメータ(例えば、フォーカス、ドーズ、光学収差、X、Y及び/又はZ位置など)の値を生成するために使用される。ある実施の形態では、パラメータ基板マップは、最もクリティカルなデバイスパターンフィーチャへの補正を目標とするようなデバイスパターンフィーチャの重み付けに基づくリソグラフィ装置のパターン転写制御を可能にする。
ある実施の形態では、特定のデバイスフィーチャについてのパラメータ基板マップは、設計、補正の決定などの目的のために、別の対象のパラメータの1つ又は複数の他のパラメータ基板マップ(デバイスフィーチャに固有であってもよいし、そうでなくてもよい)と共に使用することができる。例えば、オーバレイの基板マップは、オーバレイ補正のために、フォーカス及び/又はCDの基板マップ(この基板マップは、オーバレイマップの特定のフィーチャに固有であってもよいし、汎用であってもよい)と共に使用することができる。例えば、フォーカスの基板マップからのデフォーカスは、例えば投影システムの収差に起因するオーバレイのシフトを補正する目的のための情報を提供するかもしれない。
検討すると、計算リソグラフィとメトロロジシミュレーションの結合(例えば、フルチップ計算リソグラフィとメトロロジターゲット測定シミュレーションの結合)、メトロロジターゲット測定(例えば、ADI/AEIオーバレイ計測)、およびオンデバイス測定によって、デバイスパターンフィーチャごとの対象パラメータ(例えばオーバレイ)基板マップを生成することが提供される。実質的に、基板全体にわたる対象のパラメータの改善された表現を提供するための計算上のフィールド内サンプリングが提供される。1つ又は複数の基板マップを用いて、1つ又は複数の特定のデバイスパターンフィーチャについて対象のパラメータを改善するのに役立つように、1つ又は複数の基板マップに基づいて、パターニングプロセスに補正を行うことができる。例えば、補正は、リソグラフィ装置において行われてもよい(例えば、基板のX位置、Y位置、及び/又はZ位置の補正、光学収差の補正、ドーズの補正など)。ある実施の形態では、複数の基板マップ(異なるデバイスパターンフィーチャに対応する各マップ)が、補正を行うために重み付き結合で使用される。このようにして、デバイスパターンフィーチャの重み付きフィードバックを、適切な補正を可能にするために、パターニングプロセスにおける適切な装置に提供することができる。
オーバレイの実施形態では、本書に記載された技術は、例えばデバイスパターンレイアウト情報およびパターニングプロセスパラメータ(光学収差、ドーズ、ステージ位置など)に基づいて、特定のデバイスパターンフィーチャのオーバレイ/パターンシフト(例えば、アライメント)を予測するために計算リソグラフィを使用することができる。次に、メトロロジターゲットからのオーバレイ/アライメントデータが、選択された位置でのデバイスパターンフィーチャの予測されるオーバレイ/アライメントを支えるために使用される。次に、(密な計算リソグラフィからの)予測された密なオーバレイと疎なオーバレイ/アライメント測定値に基づいて、デバイスパターンフィーチャ固有の密なオーバレイ/アライメントマップが作成される。疎なオーバレイ/アライメント測定を予測された密なオーバレイに相関付けるために、オンデバイス測定値を使用することができる。これらのデバイスパターンフィーチャ固有のマップを使用して、補正を生成することができる。例えば、クリティカルなデバイスパターンフィーチャのマップは、実際の又は予想されるパターニングプロセスの挙動に基づいて特定され、補正に使用することができる。さらに、特定のデバイスパターンフィーチャ(よりクリティカルなデバイスパターンフィーチャなど)をターゲットとすることを可能にするように、特定のマップに重みを割り当てることができる。
このデバイスパターンフィーチャごとの対象パラメータ基板マップ技術は、1つ又は複数の利点をもたらすことができる。例えば、シミュレーションから取得可能な相対的な高密度を、測定データ(例えば、メトロロジターゲットデータおよびオンデバイスのメトロロジデータ)を使用した検証と組み合わせることにより、適用可能なデバイスパターンフィーチャに関する対象パラメータの精度誤差を低減することができる。さらに、この技術は、シミュレーションに基づく外挿を介して空間的な情報を取得することができるとともに、パラメータ情報のより高い空間分解能を得ることができるので、限られたパラメータ測定サンプリングを使用することができる。また、デバイスパターンフィーチャごとの基板マップは、デバイスパターンフィーチャに依存して、異なるプロセスフィンガープリントを分離することを可能にする。異なるデバイスパターンフィーチャは、異なるフィールド間及び/又はフィールド内フィンガープリントを有しうるので、フィンガープリントの分離は、パターニングプロセスシステム内の補正機構を使用して誤差の改善された目標を可能にする。さらに、デバイスパターンフィーチャの重み付けされた補正は、例えば、パターニングプロセスシステム内の補正機構の能力に適合させることができる、よりカスタマイズされたフィールド内補正を可能にする。
ある実施の形態では、メトロロジターゲットは、デバイスパターンフィーチャとメトロロジターゲットを作成する際に、光学収差の差を低減または最小化するために、デバイスパターンフィーチャの近くに配置される。しかし、ある実施の形態では、シミュレーションは、適切なメトロロジターゲットの選択および感度分析によって、任意の差異を「橋渡し」するために使用することができる。その結果、デバイスパターンフィーチャの挙動を予測するために必要とされるメトロロジターゲットの数が少なくて済むかもしれない。
ある実施の形態では、計算メトロロジシミュレーションは、特定のデバイスパターンフィーチャの挙動に最適化されたメトロロジターゲットを設計するために使用することができる。すなわち、特定のメトロロジターゲットのピッチ、セグメンテーションなどは、それらのターゲットから測定される対象のパラメータが、他のデバイスパターンフィーチャに対して、クリティカルなデバイスパターンフィーチャなど特定のデバイスパターンフィーチャを高度に(例えば、最も)よく表すように選択することができる。したがって、デバイスパターンフィーチャは、様々な異なるメトロロジターゲットタイプを有してもよく、異なるメトロロジターゲットタイプは、1つ又は複数の特定のデバイスパターンフィーチャを他のデバイスパターンフィーチャよりもよく表す。
ある実施の形態では、オンデバイスの測定値は、計算リソグラフィの正確性を検証するため、及び/又は計算リソグラフィモデルを較正するために使用されてもよい。
本書の方法の結果(または本書の方法の結果から導出される別の結果(例えば欠陥予測))は、パターニングプロセスまたはその装置におけるプロセスの制御、パターニングプロセスによって生成される基板の監視、パターニングプロセスのプロセスまたは装置の設計などを含む様々な目的のために使用することができる。例えば、結果またはそこから導出される別の結果は、基板のさらなるプロセスまたは別の基板のプロセスのために、パターニングプロセス用の装置またはプロセスを変更するために使用することができる。例えば、結果は欠陥を予測するために使用することができる。欠陥の予測は、例えば、影響を受けた領域を検査するために、及び/又は基板のさらなるプロセスまたは別の基板のプロセスについてパターニングプロセス用の装置またはプロセスを変更するために、メトロロジツールを制御するために使用することができる。さらに、結果は、例えばリソグラフィ装置の補正のためのドーズレシピを導出し、パターニングデバイスおよびそのパターンの設計、プロセスの設定などを可能にすることによって、パターニングプロセスを設計するために使用することができる。さらに、結果は、モデル較正、例えば、光近接効果補正モデル、ソースマスク最適化モデル、リソグラフィ製造チェックモデル、レジストモデル、イメージングモデル、測定モデル(例えば、測定プロセスをモデル化)などの較正に使用することができる。結果は、プロセスの1つ又は複数の変数(例えば、最良の露光及び/又は最良のドーズ)を決定するために使用することができ、それは、その後、様々な目的のために使用することができる。理解されるように、他にも多くの用途がありうる。
図13には、パターニングプロセスのいくつかの部分をモデル化及び/又はシミュレートするための例示的なフローチャートが示されている。理解されるように、モデルは、別のパターニングプロセスを表してもよく、以下に説明するすべてのモデルを備える必要はない。ソースモデル1200は、パターニングデバイスの照明の光学特性(放射強度分布、帯域幅及び/又は位相分布を含む)を表す。ソースモデル1200は、開口数設定、照明シグマ(σ)設定、さらには、任意の具体的な照明形状(例えば、環状、四極、双極などの軸外放射形状)を含むがこれらに限定されない照明の光学特性を表すことができ、ここでσ(またはシグマ)は、イルミネータの径方向外側範囲である。
投影光学系モデル1210は、投影光学系の光学特性(投影光学系によって生じる放射強度分布及び/又は位相分布の変化を含む)を表す。投影光学系モデル1210は、収差、ディストーション、1つ又は複数の屈折率、1つ又は複数の物理的サイズ、1つ又は複数の物理的寸法などを含む、投影光学系の光学特性を表すことができる。
パターニングデバイス/デザインレイアウトモデルモジュール1220は、デザインフィーチャがパターニングデバイスのパターンにどのようにレイアウトされているかを捕捉し、例えば、参照によりその全体が本書に援用される米国特許第7,587,704号に記載される、パターニングデバイスの詳細な物理的特性についての表現を含んでもよい。ある実施の形態では、パターニングデバイス/デザインレイアウトモデルモジュール1220は、デザインレイアウト(例えば、集積回路、メモリ、電子デバイスなどのフィーチャに対応するデバイスデザインレイアウト)の光学特性(所与のデザインレイアウトによって生じる放射強度分布及び/又は位相分布への変化を含む)を表すものであり、これは、パターニングデバイス上の又はパターニングデバイスによって形成されるフィーチャの配列を表現したものである。リソグラフィ投影装置で使用されるパターニングデバイスは変更可能であるため、パターニングデバイスの光学特性を、少なくとも照明および投影光学系を含むリソグラフィ投影装置の残りの部分の光学特性から分離することが望ましい。シミュレーションの目的は、多くの場合、例えばエッジ配置およびCDを正確に予測することであり、これは、その後、デバイスデザインと比較することができる。デバイスデザインは、一般に、プレOPCパターニングデバイスレイアウトとして定義され、GDSIIまたはOASISのような標準化されたデジタルファイル形式で提供される。
空間像1230は、ソースモデル1200、投影光学系モデル1210、およびパターニングデバイス/デザインレイアウトモデル1220からシミュレートすることができる。空間像(AI)は、基板レベルでの放射強度分布である。リソグラフィ投影装置の光学特性(例えば、照明、パターニングデバイスおよび投影光学系の特性)が空間像を決定づける。
基板上のレジスト層は、空間像によって露光され、空間像は、レジスト層に潜在的な「レジスト像」(RI)として転写される。レジスト像(RI)は、レジスト層内のレジストの溶解度の空間分布として定義することができる。レジスト像1250は、レジストモデル1240を用いて空間像1230からシミュレートすることができる。レジストモデルは、空間像からレジスト像を計算するために使用することができ、その例は、米国特許出願公開第2009-0157360号に記載されており、その開示は参照によりその全体が本書に援用される。レジストモデルは、典型的には、例えば、基板上に形成されるレジストフィーチャのコンターを予測するために、レジスト露光、露光後ベーク(PEB)および現像の間に生じる化学プロセスの作用を記述しており、従って、典型的には、レジスト層のそうした特性(例えば、露光、露光後ベークおよび現像の間に生じる化学プロセスの作用)のみに関連している。ある実施の形態では、レジスト層の光学特性、例えば、屈折率、膜厚、伝搬および偏光効果は、投影光学系モデル1210の一部として捕捉されてもよい。
そこで、一般に、光学モデルとレジストモデルとの間の接続は、基板への放射の投影、レジスト界面での屈折、およびレジスト膜スタックでの多重反射から生じる、レジスト層内でのシミュレートされた空間像強度である。放射強度分布(空間像強度)は、入射エネルギーの吸収によって潜在的な「レジスト像」に変わり、拡散プロセスや様々な負荷効果によってさらに修正される。フルチップへの適用のために十分に高速で効率的なシミュレーション方法は、レジストスタック内の現実的な3次元の強度分布を2次元の空間(およびレジスト)像で近似する。
ある実施の形態では、レジスト像は、パターン転写後プロセスモデルモジュール1260への入力として使用することができる。パターン転写後プロセスモデル1260は、1つ又は複数のレジスト現像後プロセス(例えば、エッチング、現像など)の性能を定義する。
パターニングプロセスのシミュレーションは、例えば、レジスト及び/又はエッチングされた像のコンター、CD、エッジ配置(例えば、エッジ配置誤差)等を予測することができる。したがって、シミュレーションの目的は、例えば、印刷されるパターンのエッジ配置、及び/又は空間像強度勾配、及び/又はCDなどを正確に予測することである。これらの値は、例えば、パターニングプロセスを補正したり、欠陥が発生すると予測される場所を特定したりするために、意図されたデザインと比較することができる。意図されたデザインは、一般に、GDSII又はOASIS又は他のファイル形式などの標準化されたデジタルファイル形式で提供されうる、プレOPCデザインレイアウトとして定義される。
このように、モデル定式化は、すべてではないにしても、プロセス全体の既知の物理学と化学の大部分を記述しており、モデルパラメータの各々は、望ましくは明確な物理的又は化学的作用に対応している。このように、モデル定式化は、どの程度良好にモデルが製造プロセス全体をシミュレートするために使用されうるかについての上限を設定する。
図14には、メトロロジプロセスをモデル化及び/又はシミュレートするための例示的なフローチャートを示す。理解されるように、以下のモデルは、別のメトロロジプロセスを表してもよく、以下に記載されるすべてのモデルを備える必要はない(例えば、いくつかを組み合わせてもよい)。ソースモデル1300は、メトロロジターゲットの照明の光学特性(放射強度分布、放射波長、偏光などを含む)を表す。ソースモデル1300は、波長、偏光、照明シグマ(σ)設定(ここで、σ(またはシグマ)は、イルミネータにおける照明の径方向範囲である)、任意の具体的な照明形状(例えば、環状、四極、双極などの軸外放射形状)などを含むがこれらに限定されない照明の光学特性を表すことができる。
メトロロジ光学系モデル1310は、メトロロジ光学系の光学特性(メトロロジ光学系によって生じる放射強度分布及び/又は位相分布への変化を含む)を表す。メトロロジ光学系1310は、メトロロジ光学系によるメトロロジターゲットの照明の光学特性と、メトロロジターゲットからメトロロジ装置の検出器に向けて方向転換された放射の伝達の光学特性とを表すことができる。メトロロジ光学系モデルは、収差、ディストーション、1つ又は複数の屈折率、1つ又は複数の物理的サイズ、1つ又は複数の物理的寸法などを含む、メトロロジターゲットの照明と、メトロロジターゲットから検出器に向けて方向転換された放射の伝達に関わる様々な特性を表すことができる。
メトロロジターゲットモデル1320は、メトロロジターゲットによって方向転換された照明の光学特性(メトロロジターゲットによって生じる照明放射強度分布及び/又は位相分布への変化を含む)を表すことができる。よって、メトロロジターゲットモデル1320は、照明放射から、メトロロジターゲットによる方向転換された放射への変換をモデル化することができる。よって、メトロロジターゲットモデルは、メトロロジターゲットからの方向転換された放射から生じる照明分布をシミュレートすることができる。メトロロジターゲットモデルは、1つ又は複数の屈折率、メトロロジの1つ又は複数の物理的サイズ、メトロロジターゲットの物理的レイアウトなどを含む、ターゲットの照明及びメトロロジからの方向転換された放射の生成に関わる様々な特性を表すことができる。使用するメトロロジターゲットは変更することができるので、メトロロジターゲットの光学特性を、少なくとも照明及び投影光学系及び検出器を含むメトロロジ装置の残りの部分の光学特性から分離することが望ましい。シミュレーションの目的は、多くの場合、例えば、強度、位相などを正確に予測することであり、これは、その後、パターニングプロセスの対象のパラメータ、例えば、オーバレイ、CD、フォーカスなどを導出するために使用することができる。
瞳又は空間像1330は、ソースモデル1300、メトロロジ光学系モデル1310、およびメトロロジターゲットモデル1320からシミュレートすることができる。瞳又は空間像は、検出器レベルでの放射強度分布である。メトロロジ光学系およびメトロロジターゲットの光学特性(例えば、照明、メトロロジターゲットおよびメトロロジ光学系の特性)は、瞳又は空間像を決定づける。
メトロロジ装置の検出器は、瞳又は空間像に曝され、瞳又は空間像の1つ又は複数の光学特性(例えば、強度、位相など)を検出する。検出モデルモジュール1320は、メトロロジ光学系からの放射が、メトロロジ装置の検出器によってどのように検出されるかを表す。検出モデルは、検出器が瞳又は空間像をどのように検出するかを表すことができ、信号対雑音、検出器への入射放射に対する感度などを含むことができる。したがって、一般に、メトロロジ光学系モデルと検出器モデルとの間の接続は、光学系によるメトロロジターゲットの照明、ターゲットによる放射の方向転換、および方向転換された放射の検出器への伝達から生じるシミュレートされた瞳又は空間像である。放射分布(瞳又は空間像)は、検出器への入射エネルギーの吸収によって検出信号に変換される。
メトロロジプロセスのシミュレーションは、例えば、瞳又は空間像の検出器による検出に基づいて、検出器における空間強度信号、空間位相信号等、または検出系からの他の算出値、例えばオーバレイ、CD等の値を予測することができる。したがって、シミュレーションの目的は、例えば、メトロロジターゲットに対応する検出器信号またはオーバレイ、CDなどの導出値を正確に予測することである。これらの値は、例えば、パターニングプロセスを補正したり、欠陥の発生が予測される場所を特定したりするために、意図された設計値と比較することができる。
このように、モデル定式化は、すべてではないにしても、全体的なメトロロジプロセスの既知の物理学及び化学の大部分を記述しており、モデルパラメータの各々は、望ましくは、メトロロジプロセスにおける明確な物理的及び/又は化学的作用に対応している。
特に図12に関して上述したように、疎にサンプリングされたメトロロジデータおよびパターニングプロセスの1つ又は複数の装置からのデータに基づいて、基板ごとにパラメータマップ(本開示では高密度マップまたはハイブリッド密度マップとも呼ばれる)を生成することができる。1つ又は複数の装置からのデータは、すべての基板について利用可能であるので、少数の基板(例えば、基板ロットの25枚のうち2枚)についてのみ測定が行われている間に、すべての基板についてのパラメータマップを生成することができる。メトロロジデータのみを使用するのに比べてパラメータマップ(すなわち、高密度マップ)を使用することの利点は、すべての基板について装置データが利用可能であることであり、これにより、メトロロジデータのみに基づいて取得されたパラメータの表現と比較して、各基板の各位置でのパラメータをより正確に表現することが可能となる。ある実施の形態では、パラメータマップは、導出されるパラメータを表現することができる。さらに、パラメータマップは、パターニングプロセスの1つ又は複数の装置にさらに適用することができる補正/制御/調整を決定するために使用することができる。
しかしながら、そのような制御は、基板上の疎にサンプリングされたデータに基づきうるが、これは、パターニングプロセスの対象となっている基板ロット全体を代表するものではないかもしれない。このような疎にサンプリングされたデータに基づく制御は、基板ロット全体のうち各基板の利用可能なメトロロジ及び装置データから導出されうる補正可能な成分を見逃してしまう可能性がある。したがって、ある実施の形態では、図12に関して既にある程度説明したように、改良された補正分析技術およびそれに続く制御戦略が、製品パターン内のクリティカルなフィーチャを含む正確な製品パターンを生成/印刷するのに有利でありうる。以下の方法では、パターニングプロセスの補正は、パターニングプロセスの代表の性質に基づく。本開示では、性質とは、パラメータマップ、またはパラメータマップに対応する補正のいずれかによって表されうる。したがって、代表の性質とは、代表パラメータマップ、または基板ロットについて取得される代表補正のいずれかである。代表マップまたは代表補正に基づいてパターニングプロセスを補正する方法については、以下に詳細に説明する。
図15は、ある実施の形態に係る方法についてのフローを模式的に示す。上述したように、パターニングプロセスのあるパラメータについての複数のパラメータマップ1600は、メトロロジデータ1601とパターニングプロセスに使用される装置からのデータ1602を結合することによって取得及び/又は生成されうる。ある実施の形態では、パラメータマップ1600は、基板ロットについて取得及び/又は生成されうる。そのようなパラメータマップ1600は、パターニングプロセス中に様々な装置、プロセスシーケンス及び/又は基板自体の不均一性によって導入される変動に関連付けられる情報を備える。例えば、プロセス中の基板ロットからの基板は、そのロットからの他の基板と類似していないかもしれない不均一性/不規則性/不純物(例えば、バンプ、微塵など)を含みうる。そして、そのような不均一性基板に基づく制御は、次のロット及び/又は同じロットの他の基板のパターニングに影響しうる。別の例では、パターニングプロセス用の装置は、時間の経過とともに消失及び/又は固定されうる不規則性を含みうる。基板自体又は装置における不規則性に起因するこうした影響は、複数のパラメータマップ1600を分析することによって特定することができ、適切な及び/又はより正確な補正を決定することができる。このように、複数のパラメータマップ1600は、一基板について収集された疎にサンプリングされたデータと比較して、補正分析のためのより豊富なパターニングプロセスのデータを提供する。
ある実施の形態では、データ1602は、スキャナ、エッチャーツール、またはCMPなど、パターニングプロセスの1つ又は複数の装置についてのものでありうる。装置のデータ1602は、スキャナのレベリングおよびアライメント情報、投影システムの収差、照明システムのドーズなど、装置のパラメータ及び/又は設定情報を含むことができる。このように、データ1602は、例えば、使用、メンテナンス活動、装置の構成要素の変化等による装置の変化によって導入される変動を捕捉することができる。データ1602は、パターニングプロセス用の装置で処理されている基板に影響しうる局所的な装置固有の情報を提供することができる。例えば、基板ロットの25枚の基板のうち、12枚の基板が第1スキャナで処理され、13枚の基板13が第2スキャナで処理されうる。各スキャナが、特定の誤差を導入し、及び/又は異なって制御されうる。そうした情報は、パラメータマップ1600およびデータ1602から明らかにすることができ、これは、例えば、次の基板ロットのための正確な補正を定義するためにさらに使用することができる。ここで、補正は、前の処理における誤差を補償して、基板上に正確で一貫性のある製品パターンを最終的に生成することができる。
プロセス1604では、代表パラメータマップ1605が、パラメータマップ1600から選択される。代表パラメータマップは、いくつかの異なる態様で記述されてもよい。例えば、代表パラメータマップは、基板レベルの変動に対する最小の感受性を示すパラメータマップでありうる。別の例では、それは、基板レベルの変動が減衰されうるパラメータマップを生成するために、複数のパラメータマップの中で変動(例えば、基板全体にわたるパラメータの変動)が比較的少ないパラメータマップに高い重みが与えられる、複数のパラメータマップの重み付き総和であってもよい。さらに別の例では、代表マップは、例えば、重み付きパラメータマップに基づいて生成されてもよく、最もよく整合する(例えば、重み付きパラメータマップと95%以上整合する)パラメータマップが、代表パラメータマップとして代表するように、複数のパラメータマップの中から選択されてもよい。
ある実施の形態では、代表マップの選択は、複数のパラメータマップ1600の平均パラメータマップを決定することと、複数のパラメータマップ1600の中から、平均パラメータマップに最も近いパラメータマップを代表マップ1605として選択することと、を含んでもよい。例えば、平均マップは、複数のパラメータマップの各々の合計(例えば、25枚の基板を有する基板ロットについての25枚のパラメータマップ)をパラメータマップの総数(または基板の総数、例えば25)で割ったものとして決定されてもよい。ある実施の形態では、平均パラメータマップは、パターニングプロセスの各装置について計算されてもよい。例えば、25枚の基板のうち12枚が第1リソグラフィ装置で処理される場合、第1平均パラメータマップは、それらの12枚の基板についてのパラメータマップに基づいてもよい。同様に、第2平均パラメータマップは、例えば第2リソグラフィ装置で処理された残りの13枚の基板に基づいて決定されてもよい。そして、代表マップ1605の選択は、第2リソグラフィ装置に固有であってもよい。
ある実施の形態では、代表パラメータマップ1605の選択は、例えば、パラメータマップ1600の重み付き平均に基づいてもよい。ある実施の形態では、複数のパラメータマップの重み付けされた合計が決定されてもよく、ここで、高い重みが、複数のパラメータマップ内の変動が比較的少ないパラメータマップに与えられ、基板レベルの変動が減衰されうる重み付きパラメータマップが生成される。変動は、基板間(すなわち、基板にわたって)または基板内(すなわち、2つの異なる基板間)のものであってもよい。例えば、基板1~10の各々のパラメータマップは、0.05の重みを割り当てられてもよく、基板11~20の各々のパラメータマップは、0.04の重みを割り当てられてもよく、基板21~25の各々のパラメータマップは、0.02の重みを割り当てられてもよい。別の例では、いくつかの基板(例えば、1~2)は、重みが割り当てられていなくてもよい(すなわち、いくつかのパラメータマップは、外れ値とみなされてもよい)。次いで、代表パラメータマップは、複数のパラメータマップから、重み付き平均マップに最もよく整合する(例えば、95%以上)ものが選択されてもよい。
ある実施の形態では、重み付きパラメータマップが生成されてもよく、ここで、より高い重みが、1つ又は複数の基板のより最近のパラメータマップから取得されたパラメータマップに割り当てられてもよい。例えば、基板ロットは、25枚の基板を含むことができ、ここで、1つ又は複数の基板は、1から25まで順次及び/又は並列に処理されてもよい。したがって、より最近の基板(例えば、順次処理の場合には基板20~25)には比較的高い重みが割り当てられ、基板1~5のようなより早く処理された基板には低い重みが割り当てられうる。したがって、パラメータマップの重み付き平均を計算することができる。このようにして、次の基板ロットに直接適用可能となりうるより最近のプロセスにおける変化を捕捉する。ある実施の形態では、重み付きパラメータマップが、代表パラメータマップ1605でありうる。ある実施の形態では、重み付きパラメータマップは、重み付きパラメータマップと高い相関を有する代表パラメータマップ1605を選択するために、複数のパラメータマップ1600と比較されてもよい。例えば、重み付きパラメータマップは、25枚の基板のうち22枚目の基板のパラメータマップと整合(例えば95%整合)しうる。その場合、22枚目の基板のパラメータマップが代表パラメータマップ1605として選択されてもよい。
ある実施の形態では、重みは、スキャナ、エッチャーツールまたはCMPなどの装置の潜在的補正能力に基づいて割り当てることができる。潜在的補正能力とは、基板全体にわたるパラメータ(フォーカス/CD/オーバレイ)に関連付けられた特定のフィンガープリントを補正する能力を指す。例えば、スキャナは、フィールド内フィンガープリント(例えば、ダイレベルでの露光フィールド内のCD)を補正することができるいくつかの制御パラメータ(例えば、レベル、フォーカス、ドーズ、露光など)を含む。スキャナはまた、ウェハ全体にわたる(例えば、フィールド12と比較してフィールド1の平均CDを補正するといった、フィールド間でのより大きな空間スケールでの)フィンガープリントを補正することが可能であってもよい。
ある実施の形態では、エッチャーはまた、例えばCDフィンガープリントを補正することができるが、典型的には、小さな空間スケールではない(例えば、フィールドが偶然に特定の位置に位置する場合を除いて、フィールド内は典型的には実現不能である)。しかしながら、エッチャーは、(エッチング後の)パラメータ(例えば、CD)の放射状フィンガープリントを補正することができるかもしれない。これは、スキャナを使用して達成することが比較的困難でありうる。例えば、スキャナの潜在的補正能力は、強い放射状CDフィンガープリントを補償するのに十分ではないかもしれない約±7%のドーズ補正に制限されるかもしれない。そのような場合には、エッチャーに基づく補正が好ましいかもしれない。
さらに、ある実施の形態では、重みは、各基板及び/又は装置のメトロロジ測定値の信頼度に基づいて割り当てることができる。例えば、信頼度は、基板上の座標ごとに又は基板ごとに、基板間のサンプリング密度の違いによるその基板又はその座標に寄与するメトロロジのデータ量の違いのために異なりうる。別の例では、第1スキャナでのメトロロジの信頼度は、第2スキャナよりも大きくてもよい。別の例では、スキャナでのメトロロジの信頼度は、エッチャーツール等よりも大きくてもよい。
ある実施の形態では、複数の代表マップが選択されてもよい。例えば、第1スキャナで処理される12枚の基板が類似のパラメータマップを有してもよく、第2スキャナで処理される13枚の基板が異なるパラメータマップを有してもよい。この場合、第1スキャナで処理される基板には第1代表マップが使用され、第2スキャナで処理される基板には(第1の代表マップとは異なる)第2代表マップが使用されてもよい。
プロセス1606において、代表パラメータマップ1605および装置からのデータ1602に基づいて、補正1607が決定されることができる。このように、補正1607は、次の基板ロットのために、プロセスを通して最も共通して発生する問題を潜在的に修正することができる。例えば、補正1607は、次の基板ロットのパターニングプロセスに使用される装置(例えば、スキャナ、エッチングツール、CMP、成膜ツールなど)の新たな設定の構成を含むことができる。ある実施の形態では、補正は、(例えば同じ基板ロット内の)基板が訪れうる後続の装置に関するものでありうる。例えば、基板が第1スキャナの後に第1エッチングツールを訪れ、このエッチングツールが制限された補正の可能性を有する場合、補正を決定しているときにそうした制限を見込んで、スキャナでの補正を、エッチングツールの制限を補償するように定義することができる。
上記の補正に基づいて、連続するロットまたは同一ロット内での基板のパターニングを改善することができる。ある実施の形態では、補正1607は、スキャナの設定の変更(例えば、基板などの物体のX、YまたはZ運動の制御の変更、投影システムの収差の特定の(例えば、投影システムのアクチュエータまたは他の波面操作デバイスを使用した)補正、基板の露光のための照明ドーズの(例えば、放射ソースの制御及び/又は照明システムのドーズ変調デバイスを使用した)変更などを含むことができる。補正係数は、代表パラメータマップに基づいて決定される補正値/制御戦略を有する、図12に関して先に議論されたものと同様でありうることが理解されよう。
プロセス1610において、補正1607は、次の基板ロットのために、パターニングプロセス用の装置、及び/又は他の装置に適用されうる。このようにして、連続するロットの基板のパターニングの精度および一貫性を向上させることができる。
ある実施の形態では、1つ又は複数の補正が複数のパラメータマップについて決定され、代表補正が選択されてもよく、これは、図16の方法に関して議論される。
図16において、パターニングプロセスのあるパラメータのパラメータマップ1700(パラメータマップ1600に類似)は、上述のように、メトロロジデータおよびパターニングプロセス用の装置からのデータ1704(データ1602に類似)を使用して、取得及び/又は生成することができる。さらに、それらパラメータマップについて1つ又は複数の補正1702が、例えば図12に関して上述した方法を使用して取得されうる。ある実施の形態では、1つ又は複数の補正1702のうち第1の補正は、類似の特性を有するパラメータマップの第1のグループに関連し、第2の補正は、類似の特性を有するパラメータマップの第2のグループに関連する等であってもよい。
1つ又は複数の補正1702から、プロセス1706において、代表補正1707が選択されうる。代表補正1707の選択は、例えば、図15で議論されたような方法で、1つ又は複数の補正1702の重み付き平均、及び/又は装置の潜在的補正能力に基づいて行うことができる。例えば、より高い重みを、最近の基板(例えば、基板22~25)への最近の補正に割り当ててもよく、より低い重みを、以前のロット(例えば、25枚の基板を有する)のより早い基板(例えば、基板1~5)の補正に割り当ててもよい。別の例では、他の装置(例えば、エッチャー、CMPなど)と比較して、より高い潜在的補正能力を有する装置(例えば、スキャナ)での補正に、比較的高い重みを割り当ててもよい。
プロセス1708では、補正1709が、代表補正1707と装置からのデータ1704に基づいて決定される。補正1707は、処理される次の基板ロットのための修正された装置の設定の構成を含むことができる。補正係数は、代表パラメータマップに基づいて決定される可能な補正値/制御戦略を有する、図13および図15に関して先に議論されたものと同様でありうることが理解されよう。
プロセス1710において、補正1709は、次の基板ロットのためにパターニングプロセス用の装置、及び/又は他の装置に適用することができる。このようにして、連続する基板ロットのパターニングを改善することができる。
上記の技術は、図17Aの方法で議論されるように、基板レベルでの補正を適用するためにさらに拡張することができる。図17Aに示す実施形態では、方法は、現在の基板(すなわち、処理中の基板)の測定値と、以前に処理された基板ロットについてのパラメータマップを含む収集されたデータとを使用して、基板レベルでの補正を決定することができる。
以前に処理された基板についてのパターニングプロセスのあるパラメータの複数のパラメータマップ1800(1600および1700に類似)は、メトロロジデータおよびパターニングプロセス用の装置からのデータ1802(1602および1704に類似)から取得及び/又は生成されうる。ある実施の形態では、複数のパラメータマップ1800は、非限定的な例を挙げて図17Bに示すように、パラメータの特定のフィンガープリントに基づいて分類されうる(またはラベル付けされうる)。例えば、第1のカテゴリーは、基板の端部に沿ったフィンガープリント1811を含み、第2のカテゴリーは、3つのフィンガープリント1821、1823、および1825を含み、第3のカテゴリーは、蝶のような領域1831を含み、第4のカテゴリーは、直径に沿って広がったフィンガープリント1841を含み、第5のカテゴリーは、十字状に広がったフィンガープリント1851を含む。フィンガープリントは、例えば、パターニングプロセスによる累積誤差、オーバレイなどのパラメータ、または他の対象パラメータであってもよい。複数のパラメータマップの各カテゴリーは、基板の数が同じであっても異なっていてもよい。例えば、上記の例では、第1のカテゴリーは8個のパラメータマップを含み、第2のカテゴリーは3個のパラメータマップを含み、第3のカテゴリーは10個のパラメータマップを含み、第4および第5のカテゴリーはそれぞれ2個のパラメータマップを含んでもよい。ある実施の形態では、分類は、クラスタリングアルゴリズム(例えば、k平均法)を使用して実行されてもよく、1つ又は複数の場所で類似の第1平均パラメータ値を有する複数のパラメータマップのうち1つ又は複数が、1つのカテゴリーにラベル付けされ/分類されてもよい。同様に、第2の平均パラメータ値を有する複数のパラメータマップのうちの1つ又は複数のパラメータマップが第2のカテゴリーに分類/ラベル付けされてもよい。ある実施の形態では、異なるフィンガープリントを分析して識別し、k平均法のようなクラスタリングアルゴリズムを用いて様々なマップ内のフィンガープリントの存在をさらに特徴付けるために、複数のパラメータマップに主成分分析が採用されてもよい。
さらに、現在の基板ロットにおける現在の基板の測定値1802は、メトロロジツールから取得することができる。現在の基板の測定値1802は、例えば、装置例えばスキャナで測定された基板表面プロファイル(レベルセンサからのデータ)、アライメントデータ等を含むことができる。現在の基板の測定値1802は、基板固有の補正の特定を可能にする基板状態に関する情報を提供する。例えば、現在の基板は、エッジに沿って、又は中心部に不規則性を含んでいてもよい。こうした状態の各々は、パラメータマップの異なるカテゴリーおよび対応する補正係数に関連していてもよい。このように、現在の基板の状態に基づいて、適切な補正を定義することができる。
ある実施の形態では、プロセス1806において、現在の基板の測定値1802は、例えば、測定値1802をパラメータマップ1800(例えば、図17Bに示すように)と比較し、整合パラメータマップ1807を特定することによって、現在の基板のカテゴリーを特定するために使用することができる。
ある実施の形態では、現在の基板の測定値1802は、複数のパラメータマップ1800に対応するあるパラメータの現在の基板マップ1805に変換されうる。測定値1802から生成された現在基板マップ1805は、現在基板マップがパターニングプロセスの一部のみのデータから取得/生成されるので、パラメータマップ1800と比較して精度が低くてもよい。例えば、レベルセンサデータのみが入手可能であり、フォーカスに関する情報が欠落している場合、レベルセンサデータのみに基づく基板マップは、レベルセンサおよびフォーカスデータの両方に基づく基板マップよりも精度が低いかもしれない。現在基板マップ1805は、整合パラメータマップ1807を特定するために、パラメータマップ1800とさらに比較することができる。
例えば、処理されている現在の基板ロットの第1の現在基板が、以前に処理されたロットの第2のカテゴリーに類似していてもよい。別の例では、現在のロットの第2の基板が、以前に処理された基板の第4のカテゴリーに類似していてもよい。このように、整合パラメータマップ1807は、異なる基板に対して異なってもよく、その結果、補正が行われてもよい。
それに代えて又はそれに加えて、現在の基板のデータの測定値1802および装置からのデータ1804に基づいて、シミュレーション及び/又はモデリングを実行し、モデル化されたパラメータマップ1803を取得及び/又は生成することができる。このようなモデル化されたパラメータマップ1803は、現在の基板に固有のデータを考慮するだけでなく、現在の基板上のパターニングプロセスにおいて装置で発生しうる任意の潜在的な誤差を予測することを可能にする、現在の基板を処理する装置からのデータも考慮することができる。モデル化されたパラメータマップ1803は、現在の基板のパターニングプロセスの終了時に観察されうる予測パラメータマップであってもよい。
さらに、プロセス1806において、モデル化されたパラメータマップ1803をパラメータマップ1800と比較して、パラメータマップ1800から整合パラメータマップ1807を特定することができる。比較は、モデル化されたパラメータマップ1803ときわめて整合する(例えば、95%以上整合する)パラメータマップをパラメータマップ1800から特定することを含むことができる。そのような整合パラメータマップ1807は、現在の基板に固有のものでありうる。さらに、整合パラメータマップ1807は、以前に処理された基板のパラメータマップ1800のうちの1つ又は複数と整合していてもよいし、整合していなくてもよい。例えば、第1の現在の基板の第1のモデル化されたパラメータマップは、パラメータマップの第1のカテゴリー、より具体的には以前に処理された基板ロットの11番目の基板のものに類似していてもよい。別の例では、第2の現在の基板の第2のモデル化されたパラメータマップは、パラメータマップの第2のカテゴリー、より具体的には以前に処理された基板ロットの22番目の基板のものに類似していてもよい。
プロセス1808では、整合パラメータマップ1807に基づいて、補正1809が決定されうる。明らかに、パラメータマップの各カテゴリーは、異なる補正を有することができる。さらに、現在の基板の測定値1802は、現在の基板上に現れうる局所的な補正を可能にすることができる。局所的な補正は、特定されたカテゴリーに見られるもの以外に観察される追加の誤差を補償するように構成することができる。例えば、測定値1802及び/又は現在基板マップ1805は、例えば、パラメータマップの第1のカテゴリーのオーバレイに加えて、局所的な誤差(例えば、基板の中央部に有意なオーバレイ)を表示することができる。そして、そのような局所誤差もまた、補正1809に織り込むことができる。
ある実施の形態では、補正1809は、現在の基板が処理される装置及び/又は後続の装置の修正された設定の構成を含むことができる。補正係数は、補正が異なる代表マップに基づいて決定される可能な補正値/制御戦略を有する、図13、16および17に関して先に議論されたものと同様でありうることが理解されうる。
さらに、プロセス1810において、補正1809は、パターニングプロセス用の装置、及び/又は他の装置に適用することができる。このようにして、処理される基板ロット内で現在の基板のパターニングを改善することができる。
それに代えて又はそれに加えて、ある実施の形態では、複数のパラメータマップについて1つ又は複数の補正を決定することができ、及び/又は1つ又は複数の補正を分類することができる。現在の基板の測定値1802に基づいて、現在基板マップに変換することができ、現在基板マップについての現在の基板の補正を決定することができる。現在の補正はさらに、補正のカテゴリーを特定し、さらに現在の基板の補正を決定及び/又は修正し、補正1809を生成するために、1つ又は複数の補正と比較されることができる。
上述の方法では、方法は、以下のカテゴリー化および対応する補正を決定することをさらに含むことができる。ある実施の形態では、上述の方法は、基板のカテゴリーを取得及び/又はすることと、補正を決定することとを含んでもよく、補正は、各カテゴリーについて類似し又は異なってもよい。ある実施の形態では、基板の1つ又は複数のカテゴリーが、複数のパラメータマップに基づいて取得及び/又は生成されてもよい。ある実施の形態では、カテゴリーは、パターニングプロセス中に基板が処理される1つ又は複数の装置に基づいて定義されてもよい。例えば、第1のスキャナで処理された基板は第1のカテゴリーに属してもよく、第2のスキャナで処理された基板は第2のカテゴリーに属してもよい。別の例では、第1のスキャナおよび第1のCMPで処理された基板が1つのカテゴリーに属し、第2のスキャナおよび第1のエッチャーで処理された基板が別のカテゴリーに属する等であってもよい。
このようなカテゴリーごとに、代表パラメータマップまたは代表補正に基づいて、カテゴリーに固有の補正を定義することができる。さらに、基板レベルの補正については、現在の基板には、特定されたカテゴリーから測定値に基づいて、カテゴリーを割り当てることができる。特定されたカテゴリーについては、対応する補正を代表補正として選択することができる。
使用される実際の(すなわち、測定された)メトロロジデータの量は、計算により導出されたメトロロジデータとは対照的に、比較的疎であるため、測定データは、ノイズ性能の影響を受けやすい。さらに、非系統的要因が監視および制御戦略に不釣り合いな影響を与える可能性がある。したがって、ある実施の形態では、非系統的な寄与因子がフィルタリングにより除去され、及び/又は別個に考慮されるようにして、メトロロジデータ(複数の性質)の中の1つ又は複数の系統的な寄与因子(それぞれが代表の性質である)についてフィルタリングするために、本書に提案される方法を採用することが提案される。これは、寄与因子ごとに行うことが望ましい。例えば、オーバレイの挙動に対する個々の寄与因子は、ステージ誤差、レンズ収差、アライメント(誤差)、及びレベルセンサ高さマップを備えうる。関連する寄与因子は、対象のパラメータ、使用される装置、およびそれらの補正能力などに依存して変化するが、対象のパラメータの誤差及び/又は制御への任意の寄与因子を含むことができる。このように、複数の性質は、複数のパラメータマップを備え、各パラメータマップは、個々の寄与因子に関連している。本書に記載される他の実施形態と同様に、性質は、補正、すなわち、各寄与因子に関連付けられたものであってもよく、代表の性質は、代表補正であってもよい。
これを行うために、各個々の寄与因子(例えば、レベルセンサ寄与因子、アライメント寄与因子など)を、特定の空間フィンガープリント(例えば、オーバレイフィンガープリント)が、例えば、層及び/又はチャック及び/又はロット及び/又は基板にわたってどのように発達するかを記述する一貫性特性に関連付けることが提案されており、それにより、寄与因子が系統的であるか又は非系統的であるかを分類し、及び/又は一貫性特性に基づいて重み付けを割り当てることができる。
制御メトリックは、性能パラメータ(例えば、オーバレイ/CD/EPE/フォーカス/ドーズ)への複数の寄与因子のマッピングに基づいて決定されてもよく、各寄与因子は、その一貫性特性に従って処理され又はフィルタリングされ、及び/又は重み付けされる。計算メトロロジデータにおける寄与因子ごとのロット、チャックおよび基板の系統的及び/又は非系統的なフィンガープリント情報は、後続のロット、チャックおよび基板のための入力として、及び/又は後続の層のための入力として使用することができる。
図18は、このようなフィルタリング方法を説明するフロー図である。個別の寄与因子のパラメータマップ1900には、決定された一貫性特性に基づいて、系統的(または非系統的)な寄与因子について、例えばロット、チャックおよび基板ごとにフィルタリングするフィルタリングステップ1910が行われる。一貫性特性は、例えば、先行の層、基板及び/又はロットからの(例えば、系統的な)先行寄与因子情報/パラメータマップ1920との比較に基づいてもよい。一貫性特性に基づいて、フィルタリングステップは、寄与因子が系統的であるか非系統的であるかを二値分類において(例えば、一貫性特性の閾値に従って)決定してもよく、または寄与因子がどの程度系統的であるかを(例えば、寄与因子についての重み付けを決定するために)決定してもよい。このステップの出力は、複数のフィルタリングされた個別寄与因子パラメータマップ1940、例えば、系統的(及び/又は非系統的)な個別寄与因子パラメータマップ1940であり、任意選択として、各マップについて関連付けられた重み付けを有する。これらの系統的(及び/又は非系統的)な個別寄与因子パラメータマップ1940は、フィードバック制御ループ1950で(先行の系統的(または非系統的)な寄与因子情報1970と共に)後続のロットにフィードバックすることができる。例えば、ある実施の形態では、系統的寄与因子情報のみが制御ループにおいて使用され、各々が代表の性質を備えるか、または代表の性質(例えば、系統的寄与因子パラメータマップ)に結合される。それに加えて又はそれに加えて、フィルタリングされた寄与因子は、ある重み付けに従って、例えば、より大きな重み付けがより系統的な寄与因子に与えられるように、結合されてもよい。このように、出力される代表の性質は、一貫性特性に従って設定された重み付けを持つ、系統的寄与因子の重み付き結合であってもよい。さらに、フィルタリングされた個別寄与因子情報(代表の性質)は、後続の層のための制御ループ1960にフィードフォワードされてもよい。
既に説明したように、フィルタリングステップ1910は、制御が系統的寄与因子のみに基づくように、非系統的寄与因子をフィルタリングにより除去してもよい。しかし、系統的寄与因子をフィルタリングにより除去して非系統的寄与因子を制御または監視動作に使用することも可能であり、または系統的寄与因子と非系統的寄与因子の両方を分離して制御または監視動作に使用してもよい。寄与因子がどの程度系統的であるかを(例えば、一貫性特性に基づいて)決定し、適切な重み付けを割り当てることも可能である。それに加えて又はそれに代えて、この重み付けは、他の実施形態で既に説明したように、関連装置の潜在的補正能力及び/又はメトロロジ信頼度などの他の要因に基づいてもよい。
したがって、すべての寄与因子について、ロット、チャック及び/又は基板の系統的(および任意に非系統的)なパラメータマップ(例えば、フィンガープリント)を(例えば、計算メトロロジ方法において)捕捉することが提案される。
多数の実施形態では、系統的(および非系統的)フィンガープリント寄与因子が、
- グループ/ロット/チャック/基板ごとに時間ベースで、
- グループ/ロット/チャック/基板ごとに局所的及び/又はグローバルに、
- グループ/ロット/チャック/基板ごとにロット内で、
- ロット間情報に基づいて、
- グループ化に基づいて、及び/又は、
- (重み付きの)平均化に基づくとともにスキャナ/エッチャーの潜在的補正能力を考慮に入れた重み、例えば、基板または測定ごとのメトロロジ信頼度に基づいて割り当てられた重みに従って、
決定されることができる。
図19は、フィードフォワード制御方法(層間)におけるフィルタリングステップ1910を実行するための例示的な方法を示す。ターゲット層の寄与因子パラメータマップ1975は、前の層の対応する寄与因子パラメータマップ1980と比較され(1985)、それらの類似度に応じて各寄与因子について一貫性特性(例えば、寄与因子パラメータマップ1975と寄与因子パラメータマップ1980の相関に基づく相関メトリック)が決定される。より高い類似度を有する寄与因子パラメータマップは、前の層のメトロロジに基づいて、後続の基板上のターゲット層を制御するためのフィードフォワード方法1990で(場合によっては、重み付き結合として)使用することができる。
図20は、そのような方法のより詳細なフロー図を備える。図20(a)はセットアップフェーズを示し、図20(b)は主要計算メトロロジフェーズを示す。セットアップフェーズでは、寄与因子パラメータマップ2010a、2010b、2010cおよび測定されたパラメータ値2020は、重み付けアルゴリズム2030に供給される。重み付けアルゴリズム2030は、次に、各寄与因子パラメータマップについて適切な重み付け2040を計算する。特定のオーバレイの例を提供するために、寄与因子パラメータマップ2010a、2010b、2010cは、レベリング寄与度2010a、ダイナミクス寄与度2010b、およびアライメント寄与度2010cを備えてもよい。重み付けアルゴリズム2030は、これらの各々についての重み2040、それぞれwlvl、wdyn、walを出力する。重み2040は、線形な重みを備えてもよく、各方向について寄与因子ごとに定義されてもよい。ある実施の形態では、重みは、多変量正規回帰を用いて計算される。
図20(b)は計算メトロロジのフローを示す。適切な寄与因子パラメータマップ2010a’,2010b’,2010c’が測定され、ステップ2030で計算された重みに基づいて寄与因子パラメータマップ2010a’,2010b’,2010c’の重み付き結合が計算される(2050)。例えば、前の段落で説明した特定のオーバレイの例を使用すると、結合は、wlvllvl+wdyndyn+walalであってもよく、ここで、lvl、dyn、およびalは、それぞれ寄与因子パラメータマップ2010a’、2010b’、2010c’である。重み付き結合に基づいて、制御動作2060、例えば、基板ごとまたはロットごとの制御ループにおいてフィードバックまたはフィードフォワードされた補正、または前の層のメトロロジに基づいて後続の層のためにフィードフォワードされた補正が実行される。
説明したように、図22は、結合された寄与因子フィンガープリント2205を取得するための方法を記載しているる。図22に記載された方法は、前述の寄与因子パラメータマップ(1975、1985、2010aなど)のいずれかを更新するためにも利用されうる。
ある実施の形態では、パターニングプロセスの補正を決定するための方法が開示され、本方法は、パターニングプロセスの複数の性質を取得することを備え、複数の性質が複数のパラメータマップであり、複数のパラメータマップの各パラメータマップがメトロロジデータおよびパターニングプロセス用の装置のデータから生成され、各パラメータマップがパターニングプロセスの寄与因子に関連しており、さらに、ハードウェアコンピュータシステムによって、複数の性質から代表の性質を選択することを備え、代表の性質が複数のパラメータマップから選択される代表パラメータマップであり、さらに、ハードウェアコンピュータシステムによって、代表の性質に基づいてパターニングプロセスの補正を決定することと、を備える。
他の実施形態では、前段落で開示される方法は、少なくとも1つのパラメータマップを、少なくとも1つの寄与因子のモデル化された表現を取得するためにモデル化することと、少なくとも1つのモデル化されたパラメータマップと少なくとも1つのパラメータマップとを、少なくとも1つの寄与因子の少なくとも1つの更新された表現を取得するために結合することと、をさらに備える。
他の実施形態では、前段落で開示される方法は、少なくとも1つの寄与因子の更新された表現を、エッチングツール、CMPツール、成膜ツール及び/又はリソグラフィ装置などのプロセス装置を制御するための入力として使用することをさらに備える。
他の実施形態では、前段落で開示される方法は、前述のプロセス装置の制御を提供するための適切な制御レシピを生成することをさらに備える。
他の実施形態では、前段落で開示される方法は、リソグラフィ装置を使用して基板に提供される露光フィールドの個別制御のための情報を含む毎露光制御(CPE)命令及び/又はサブレシピを生成することを備える。
他の実施形態では、前述の実施形態のいずれかで使用されるモデル化は、基板全体にわたるプロセス変数の低次の挙動を記述するように構成されるグローバルモデルを使用する。
図21は、本書に開示される方法およびフローの実装を支援しうるコンピュータシステム100を示すブロック図である。コンピュータシステム100は、情報を通信するためのバス102又は他の通信機構と、情報を処理するための、バス102と結合されたプロセッサ104(又は複数のプロセッサ104及び105)と、を含む。また、コンピュータシステム100は、情報及びプロセッサ104によって実行される命令を記憶するため、バス102に結合された、ランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の動的ストレージデバイス等のメインメモリ106も含む。また、メインメモリ106は、プロセッサ104によって実行される命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を記憶するためにも使用されうる。コンピュータシステム100は更に、プロセッサ104用の静的情報及び命令を記憶するための、バス102に結合されたリードオンリーメモリ(ROM)108又は他の静的ストレージデバイスも含む。磁気ディスク又は光ディスク等のストレージデバイス110が、情報及び命令を記憶するために設けられ、バス102に結合されている。
コンピュータシステム100は、バス102を介して、コンピュータユーザに情報を表示するためのブラウン管(CRT)又はフラットパネル又はタッチパネルディスプレイ等のディスプレイ112に結合することができる。英数字キー及び他のキーを含む入力デバイス114が、プロセッサ104に情報及びコマンド選択を伝達するためバス102に結合されている。別のタイプのユーザ入力デバイスは、マウス、トラックボール、又はカーソル方向キー等、プロセッサ104に方向情報及びコマンド選択を伝達し、ディスプレイ112上でのカーソル移動を制御するためのカーソル制御116である。この入力デバイスは典型的に、2軸、すなわち第1の軸(例えばx)及び第2の軸(例えばy)の2自由度を有し、デバイスが面内で位置を指定することを可能とする。また、タッチパネル(スクリーン)ディスプレイも入力デバイスとして使用されうる。
一実施形態によると、プロセスの一部は、メインメモリ106に含まれる1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを実行するプロセッサ104に応答して、コンピュータシステム100によって実行されうる。そうした命令は、ストレージデバイス110のような別のコンピュータ可読媒体からメインメモリ106に読み出されうる。メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスの実行によって、プロセッサ104は、本書に記載されるプロセスステップを実行する。また、メインメモリ106に含まれる命令のシーケンスを実行するため、マルチプロセッシング構成の1つ又は複数のプロセッサも使用されうる。代替的な実施形態では、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェア命令と組み合わせてハードワイヤード回路を使用してもよい。従って、本書の説明は、ハードウェア回路及びソフトウェアのいかなる特定の組み合わせにも限定されない。
本書で用いられる「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサ104に実行用の命令を提供することに関与する任意の媒体を指す。そうした媒体は、限定ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、及び伝送媒体を含む多くの形態をとりうる。不揮発性媒体は、例えばストレージデバイス110のような光ディスク又は磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ106のような動的メモリを含む。伝送媒体は、バス102を構成するワイヤを含む同軸ケーブル、銅線、及び光ファイバを含む。伝送媒体は、無線周波数(RF)及び赤外線(IR)データ通信中に発生されるものなど、音波又は光波の形態もとりうる。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD、他の任意の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理的な媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、他の任意のメモリチップもしくはカートリッジ、後述するような搬送波、又はコンピュータが読み取ることができる他の任意の媒体を含む。
コンピュータ可読媒体の様々な形態は、実行のためにプロセッサ104に1つ又は複数の命令の1つ又は複数のシーケンスを運ぶことに関与しうる。たとえば、命令は、最初にリモートコンピュータの磁気ディスクに入っている場合がある。リモートコンピュータは、命令を動的メモリに読み込み、モデムを使用して電話回線を介して命令を送信できる。コンピュータシステム100にローカルのモデムは、電話回線上のデータを受信し、赤外線送信機を使用してデータを赤外線信号に変換することができる。バス102に結合された赤外線検出器は、赤外線信号で搬送されたデータを受信し、そのデータをバス102に配置することができる。バス102はメインメモリ106にデータを搬送し、そこからプロセッサ104が命令を取得して実行する。メインメモリ106が受け取った命令は、プロセッサ104によって実行される前または後のいずれかにストレージデバイス110に記憶されてもよい。
コンピュータシステム100は、バス102に結合された通信インターフェース118を望ましくは含む。通信インターフェース118は、ローカルネットワーク122に接続されたネットワークリンク120に双方向データ通信結合を提供する。例えば、通信インターフェース118は、対応する種類の電話回線にデータ通信接続を提供する統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)カードまたはモデムであってもよい。別の例として、通信インターフェース118は、対応するLANにデータ通信接続を提供するローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。ワイヤレスリンクも実装できる。そうした実装において、通信インターフェース118は、様々な種類の情報を表すデジタルデータストリームを伝送する電気的、電磁的または光学的信号を送受信する。
ネットワークリンク120は通常、1つ又は複数のネットワークを介して他のデータデバイスへのデータ通信を提供する。例えば、ネットワークリンク120は、ホストコンピュータ124またはインターネットサービスプロバイダ(ISP)126によって動作するデータ機器へのローカルネットワーク122を介した接続を提供することができる。ISP126は、世界規模のパケットデータ通信ネットワークを通じてデータ通信サービスを提供し、現在では一般に「インターネット」128と呼ばれている。ローカルネットワーク122およびインターネット128は、どちらもデジタルデータストリームを伝送する電気的、電磁的または光学的信号を使用する。コンピュータシステム100との間でデジタルデータを伝送する各種ネットワークを介した信号および通信インターフェース118を介したネットワークリンク120上の信号が、情報を輸送する搬送波の例示的な形態である。
コンピュータシステム100は、ネットワーク、ネットワークリンク120、および通信インターフェース118を介して、メッセージを送信しプログラムコードを含むデータを受信することができる。インターネットの例では、サーバー130は、インターネット128、ISP126、ローカルネットワーク122および通信インターフェース118を介してアプリケーションプログラムに要求されるコードを送信しうる。このようなダウンロードされたアプリケーションの1つは、例えば、実施形態の照明最適化を提供しうる。受信したコードは、受信時にプロセッサ104によって実行され、及び/又は、後で実行するためにストレージデバイス110または他の不揮発性記憶装置に記憶される。このようにして、コンピュータシステム100は、搬送波の形でアプリケーションコードを取得してもよい。
本開示の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。また、本開示の実施形態は、一つ以上のプロセッサにより読み込まれ、実行されうる機械可読媒体に保存されたインストラクションとして実装されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータデバイス)により読み取り可能な形式の情報を保存または伝送する任意のメカニズムを含んでもよい。例えば、機械可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリ装置、電気的、光学的、音響的またはその他の形式の伝搬信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号)などである。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令は、特定の動作を実行するものとして本書に説明されうる。しかしながら、このような説明は単に便宜上のためだけであり、このような動作は実際には、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令などを実行するコンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、その他のデバイスによって生じるものであると理解すべきである。
ブロック図において、図示されるコンポーネントは離散的な機能ブロックとして示されているが、実施形態は、本書に記載される機能が図示のように整理されているシステムには限定されない。各コンポーネントによって提供される機能は、ここに図示したものとは異なる形で構築されたソフトウェア又はハードウェアモジュールによって提供されてもよく、例えば、そうしたソフトウェア又はハードウェアは、混合され、結合され、複製され、分割され、分散され(例えばデータセンタ内で又は地理的に)、又は他の異なる形で構築されてもよい。本書に記載される機能は、有形で非一時的な機械可読媒体に記憶されたコードを実行する1つ又は複数のコンピュータの1つ又は複数のプロセッサによって提供されてもよい。場合によっては、サードパーティーのコンテンツ送出ネットワークが、ネットワーク上で伝送される情報の一部又は全てをホストすることができる。その場合、情報(例えばコンテンツ)が供給され又は他の方法で提供されると言われている範囲で、情報は、情報をコンテンツ送出ネットワークから検索する命令を送信することによって提供されてもよい。
特に明記しない限り、ここでの検討から明らかであるように、本明細書全体を通して、「処理する」、「計算する」、「決定する」等の用語を用いた議論は、専用コンピュータ又は同様の専用電子処理/コンピューティングデバイスのような特定の装置の動作又はプロセスを指すことは認められよう。
読者は、本出願がいくつかの発明を記載していることを理解すべきである。出願人らは、それらの発明を複数の個別の特許出願に分離するのではなく、それらの主題の関連性が出願プロセスにおいて節約に役立つので、単一の文書にまとめている。しかし、そうした発明の別々の利点及び態様は一つにまとめるべきではない。場合によっては、実施形態は本書に記した欠点の全てに対処するが、発明がそれぞれ独立して有用であること、及び、いくつかの実施形態がそうした問題の一部のみに対処すること、又は本開示を検討する当業者には明らかである他の言及されていない利点を提供することは理解されよう。コストの制約のため、本書に開示されるいくつかの発明はここでは特許請求されず、継続出願のような後の出願において又は本発明の請求項を補正することによって特許請求される可能性がある。同様に、スペースの制約のため、本文書の「要約」セクションも「概要」セクションも、全てのそうした発明又はそうした発明の全ての態様の包括的な列挙を含むものとして解釈すべきではない。
本説明及び図面は、開示される特定の形態に本発明を限定することは意図しておらず、逆に、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の精神及び範囲内に該当する全ての変更、均等物、及び代替を包含することが意図されることは理解されよう。
更なる実施形態は、以下に番号付けられた節のリストに開示される。
1.パターニングプロセスへの補正を決定する方法であって、
前記パターニングプロセスの複数の性質を取得することと、
ハードウェアコンピュータシステムによって、代表の性質を前記複数の性質から選択することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記パターニングプロセスへの補正を前記代表の性質に基づいて決定することと、を備える方法。
2.前記複数の性質は、複数のパラメータマップであり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記代表の性質は、前記複数のパラメータマップから選択される代表パラメータマップである、節1に記載の方法。
3.前記複数の性質は、前記パターニングプロセス中に処理された基板ロットについての前記パターニングプロセスの複数のパラメータマップに対応する1つ又は複数の補正であり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記代表の性質は、前記パターニングプロセスへの1つ又は複数の補正から選択される代表補正である、節1に記載の方法。
4.前記代表の性質を選択することは、前記複数の性質の重み付き平均に基づく、節1から3のいずれかに記載の方法。
5.前記代表の性質を選択することは、前記パターニングプロセス用の前記装置の潜在的補正能力に基づく、節1から4のいずれかに記載の方法。
6.前記補正は、同じ基板の後続の層についての前記装置への補正、後続の基板ロットの基板についての前記装置への補正、後続の装置で処理される前記基板ロット内の基板についての前記後続の装置への補正、及び/又は前記パターニングプロセス用の少なくとも1つの他の装置への補正を備える、節1から5のいずれかに記載の方法。
7.前記パラメータマップは各々が、前記パターニングプロセスの個別の寄与因子に関連し、前記方法は、任意選択として、各パラメータマップについて一貫性特性を、前記パターニングプロセス中の別々の層及び/又は基板に関連するパラメータマップどうしの寄与因子ごとの比較に基づいて決定することをさらに備える、節2から6のいずれかに記載の方法。
8.前記方法は、寄与因子が系統的であるか否かを前記一貫性特性に基づいて決定することを備える、節7の方法。
9.前記代表の性質を選択するとき、系統的であると決定された寄与因子に対応するパラメータマップのみを使用すること、及び/又は系統的であると決定された寄与因子に、より大きな重み付けを割り当てることを備える、節8に記載の方法。
10.前記一貫性特性を決定するためのパラメータマップの前記比較は、前記パラメータマップ間の変動の程度を決定することを備える、節7から9のいずれかに記載の方法。
11.前記一貫性特性を決定するためのパラメータマップの前記比較は、前記パラメータマップ間の相関に基づく、節7から10のいずれかに記載の方法。
12.前記パターニングプロセスのパラメータは、オーバレイ、クリティカルディメンション、フォーカス、及び/又はエッジ配置誤差である、節2から11のいずれかに記載の方法。
13.前記装置は、スキャナである、節2から12のいずれかに記載の方法。
14.前記スキャナに関連する前記データは、レベリングデータ、アライメントデータ、投影システムに関連付けられた収差データ、及び/又はレチクル位相を含む、節13に記載の方法。
15.前記複数のパラメータマップは、オーバレイ、クリティカルディメンション、フォーカス、及び/又はエッジ配置誤差を含む1つ又は複数のパラメータについてのパラメータマップを備える、節2から14のいずれかに記載の方法。
16.前記複数のパラメータマップの各パラメータマップは、パラメータの高密度マップであり、前記高密度マップが、前記パラメータに対する前記パターニングプロセスの1つ又は複数のプロセス変数の寄与度のモデル化及び/又はシミュレーションによって生成される、節2から15のいずれかに記載の方法。
17.前記プロセス変数は、フォーカス及び/又はドーズである、節16に記載の方法。
18.パターニングプロセスに補正を適用する方法であって、
(i)前記パターニングプロセスの複数の性質から選択される代表の性質と、(ii)前記代表の性質に基づく補正とを取得することと、
ハードウェアコンピュータシステムによって、同じ基板の後続の層、基板ロット内の基板、及び/又は後続の基板ロットの基板について前記パターニングプロセスに前記補正を適用することと、を備える方法。
19.前記複数の性質は、複数のパラメータマップであり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記代表の性質は、前記複数のパラメータマップから選択される代表パラメータマップである、節18に記載の方法。
20.前記複数の性質は、前記パターニングプロセス中に処理された基板ロットについての前記パターニングプロセスの複数のパラメータマップに対応する1つ又は複数の補正であり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記代表の性質は、前記パターニングプロセスへの1つ又は複数の補正から選択される代表補正である、節18に記載の方法。
21.前記代表の性質を選択することは、前記複数の性質の重み付き平均に基づく、節18から20のいずれかに記載の方法。
22.前記代表の性質を選択することは、前記パターニングプロセス用の前記装置の潜在的補正能力に基づく、節19または20に記載の方法。
23.パラメータマップは各々が、前記パターニングプロセスの個別の寄与因子に関連する、節18から22のいずれかに記載の方法。
24.パターニングプロセスへの補正を決定する方法であって、
(i)以前に処理済みの基板ロットについての前記パターニングプロセスの複数の性質、(ii)現在の基板の測定値、および(iii)前記現在の基板の測定値に基づく現在の性質を取得することと、
ハードウェアコンピュータシステムによって、整合する性質を前記現在の性質と前記複数の性質との比較に基づいて前記複数の性質から特定することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記パターニングプロセスへの補正を前記整合する性質に基づいて決定することと、を備える方法。
25.前記複数の性質は、複数のパラメータマップであり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、前記メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記現在の性質は、前記現在の基板の測定値から生成される現在基板マップであり、
前記整合する性質は、前記複数のパラメータマップから前記現在基板マップと前記複数のパラメータマップとの比較に基づいて特定される整合パラメータマップである、節24に記載の方法。
26.前記複数の性質は、前記複数のパラメータマップに対応する1つ又は複数の補正であり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記現在の性質は、前記現在の基板の測定値から生成される現在基板マップに基づく現在補正であり、
前記整合する性質は、前記1つ又は複数の補正から前記現在補正と前記1つ又は複数の補正との比較に基づいて特定される整合補正マップである、節24に記載の方法。
27.前記現在の基板の測定値および前記パターニングプロセス用の前記装置のデータに基づいて、モデリング及び/又はシミュレーションにより、モデル化パラメータマップを取得することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記整合パラメータマップを前記複数のパラメータマップから前記モデル化パラメータマップと前記複数のパラメータマップとの比較に基づいて特定することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記パターニングプロセスへの補正を前記整合パラメータマップに基づいて決定することと、をさらに備える、節25に記載の方法。
28.前記複数のパラメータマップに基づいて基板の1つ又は複数のカテゴリーを、及び/又は前記基板の1つ又は複数のカテゴリーに対応する1つ又は複数の補正を取得することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、基板カテゴリーを前記基板の1つ又は複数のカテゴリーから前記現在の基板の測定値に基づいて特定することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記基板の特定されたカテゴリーに対応する前記パターニングプロセスへの前記補正を選択することと、をさらに備える、節25から27のいずれかに記載の方法。
29.前記整合する性質を選択することは、前記複数の性質の重み付き平均に基づく、節24から28のいずれかに記載の方法。
30.前記整合する性質を選択することは、前記パターニングプロセス用の前記装置の潜在的補正能力に基づく、節24から29のいずれかに記載の方法。
31.前記補正は、前記基板ロット内の基板についての後続の装置への補正、後続の基板ロットの基板についての前記装置への補正、及び/又は前記パターニングプロセス用の他の装置への補正を備える、節24から30のいずれかに記載の方法。
32.パターニングプロセスに補正を適用する方法であって、
(i)以前に処理済みの基板についての前記パターニングプロセスの複数の性質から、現在の基板の測定値に基づく現在の性質と前記複数の性質との比較に基づいて特定される整合する性質を取得し、(ii)前記整合する性質に基づく補正を取得することと、
ハードウェアコンピュータシステムによって、前記現在の基板について前記パターニングプロセスに前記補正を適用することと、を備える方法。
33.前記複数の性質は、複数のパラメータマップであり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、前記メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記現在の性質は、前記現在の基板の測定値から生成される現在基板マップであり、
前記整合する性質は、前記複数のパラメータマップから前記現在基板マップと前記複数のパラメータマップとの比較に基づいて特定される整合パラメータマップである、節32に記載の方法。
34.前記複数の性質は、前記複数のパラメータマップに対応する1つ又は複数の補正であり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、メトロロジデータおよび前記パターニングプロセス用の装置のデータから生成され、
前記現在の性質は、前記現在の基板の測定値から生成される現在基板マップに基づく現在補正であり、
前記整合する性質は、前記1つ又は複数の補正から前記現在補正と前記1つ又は複数の補正との比較に基づいて特定される整合補正マップである、節32に記載の方法。
35.前記現在の基板の測定値および前記パターニングプロセス用の前記装置のデータに基づいて、モデリング及び/又はシミュレーションにより、モデル化パラメータマップを取得することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記整合パラメータマップを前記複数のパラメータマップから前記モデル化パラメータマップと前記複数のパラメータマップとの比較に基づいて特定することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記パターニングプロセスへの補正を前記整合パラメータマップに基づいて決定することと、をさらに備える、節33に記載の方法。
36.前記複数のパラメータマップに基づいて基板の1つ又は複数のカテゴリーを、及び/又は前記基板の1つ又は複数のカテゴリーに対応する1つ又は複数の補正を取得することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、基板カテゴリーを前記基板の1つ又は複数のカテゴリーから前記現在の基板の測定値に基づいて特定することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記基板の特定されたカテゴリーに対応する補正を選択することと、をさらに備える、節34に記載の方法。
37.前記整合する性質を選択することは、前記複数の性質の重み付き平均に基づく、節32から36のいずれかに記載の方法。
38.前記整合する性質を選択することは、前記パターニングプロセス用の前記装置の潜在的補正能力に基づく、節32から36のいずれかに記載の方法。
39.前記補正は、前記基板ロット内の基板についての後続の装置への補正、後続の基板ロットの基板についての前記装置への補正、及び/又は前記パターニングプロセス用の他の装置への補正を備える、節32から38のいずれかに記載の方法。
40.メトロロジデータ(2201)に対するモデル化・測定結合寄与度(2205)を取得する方法であって、
メトロロジデータ(2201)および前記メトロロジデータ(2201)に対する寄与度(2202)を取得することを備え、前記寄与度(2202)は、特定のプロセスステップ、プロセス変数及び/又はプロセス装置に関連付けられており、さらに、
前記寄与度(2202)を前記メトロロジデータ(2201)から、前記メトロロジデータ(2201)に対する導出される寄与度(2203)を取得するために除去することと、
モデル(2200)を、前記導出される寄与度(2203)をアップサンプルしてモデル化された寄与度(2204)を取得するために使用することと、
前記導出される寄与度(2203)および前記モデル化された寄与度(2204)を、結合寄与度(2205)を取得するために結合することと、を備える方法。
41.前記結合寄与度(2205)を、エッチングツール、CMPツール、成膜ツール及び/又はリソグラフィ装置などのプロセス装置を制御するための入力として使用することをさらに備える、節40に記載の方法。
42.前記制御することは、プロセス装置のための適切な制御レシピを生成することによって実現される、節41に記載の方法。
43.前記制御レシピは、リソグラフィ装置用に生成され、前記リソグラフィ装置を使用して基板に提供される複数の露光フィールドの個別制御のための情報を含む毎露光制御(CPE)命令及び/又はサブレシピを備える、節42に記載の方法。
44.前記モデル(2200)は、基板全体にわたるプロセス変数の低次の挙動を記述するように構成されるグローバルモデルである、節40に記載の方法。
45.パターニングプロセスへの補正を決定する方法であって、
複数の性質をメトロロジデータおよび前記パターニングプロセスに使用される装置のデータから取得することと、
ハードウェアコンピュータシステムによって、代表の性質を前記複数の性質から選択することと、
前記ハードウェアコンピュータシステムによって、前記パターニングプロセスへの補正を前記代表の性質に基づいて決定することと、を備える方法。
46.前記複数の性質は、複数のパラメータマップであり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、前記メトロロジデータおよび前記パターニングプロセスに使用される前記装置の前記データから生成され、
前記代表の性質は、前記複数のパラメータマップから選択される代表パラメータマップである、節45に記載の方法。
47.前記複数の性質は、前記パターニングプロセス中に処理された基板ロットについての前記パターニングプロセスの複数のパラメータマップに対応する1つ又は複数の補正であり、前記複数のパラメータマップの各パラメータマップが、前記メトロロジデータおよび前記パターニングプロセスに使用される前記装置の前記データから生成され、
前記代表の性質は、前記パターニングプロセスへの1つ又は複数の補正から選択される代表補正である、節45に記載の方法。
48.前記代表の性質を選択することは、前記複数の性質の重み付き平均に基づく、節45に記載の方法。
49.前記代表の性質を選択することは、前記パターニングプロセスに使用される前記装置の潜在的補正能力に基づく、節45に記載の方法。
50.前記補正は、被処理基板上の後続の層、後続の基板ロット、後続のプロセス装置を使用して処理される前記基板ロット内の基板についての前記後続のプロセス装置、のうち1つ又は複数についての前記パターニングプロセスへの補正、及び/又は前記パターニングプロセスに使用される少なくとも1つの他のプロセス装置への補正を備える、節45に記載の方法。
51.前記パラメータマップは各々が、前記パターニングプロセスの個別の寄与因子に関連し、前記方法は、各パラメータマップについて一貫性特性を、前記パターニングプロセス中の別々の層及び/又は基板に関連するパラメータマップどうしの寄与因子ごとの比較に基づいて決定することをさらに備える、節46に記載の方法。
52.前記方法は、寄与因子が系統的であるか否かを前記一貫性特性に基づいて決定することをさらに備える、節51の方法。
53.前記代表の性質を選択するとき、系統的であると決定された寄与因子に対応するパラメータマップのみが使用されるか、または、系統的であると決定された寄与因子に、より大きな重み付けが割り当てられる、節52に記載の方法。
54.前記一貫性特性を決定するためのパラメータマップの前記比較は、前記パラメータマップ間の変動の程度を決定することを備える、節51に記載の方法。
55.前記一貫性特性を決定するためのパラメータマップの前記比較は、前記パラメータマップ間の相関に基づく、節51に記載の方法。
56.前記パラメータマップのパラメータは、オーバレイ、クリティカルディメンション、フォーカス、及び/又はエッジ配置誤差である、節46に記載の方法。
57.前記装置は、リソグラフィ装置(スキャナ)である、節46に記載の方法。
58.前記スキャナに関連する前記データは、レベリングデータ、アライメントデータ、投影システムに関連付けられた収差データ、及び/又はレチクル位相を含む、節57に記載の方法。
59.前記複数のパラメータマップの各パラメータマップは、パラメータの高密度マップであり、前記高密度マップが、前記パラメータに対する前記パターニングプロセスの1つ又は複数のプロセス変数の寄与度のモデル化及び/又はシミュレーションによって生成される、節58に記載の方法。
60.少なくとも1つのパラメータマップを、少なくとも1つの寄与因子のモデル化された表現を取得するためにモデル化することと、モデル化された前記少なくとも1つのパラメータマップと前記少なくとも1つのパラメータマップを、前記少なくとも1つの寄与因子の少なくとも1つの更新された表現を取得するために結合することと、をさらに備える、節7に記載の方法。
61.前記少なくとも1つの寄与因子の更新された表現は、エッチングツール、CMPツール、成膜ツール及び/又はリソグラフィ装置などのプロセス装置を制御するための入力として使用される、節60に記載の方法。
62.前記制御することは、プロセス装置のための適切な制御レシピを生成することによって実現される、節61に記載の方法。
63.前記制御レシピは、リソグラフィ装置に適しており、前記リソグラフィ装置を使用して基板に提供される複数の露光フィールドの個別制御のための情報を含む毎露光制御(CPE)命令及び/又はサブレシピを備える、節62に記載の方法。
64.モデル化することは、基板全体にわたるプロセス変数の低次の挙動を記述するように構成されるグローバルモデルを使用する、節60から63のいずれかに記載の方法。
本発明の様々な態様の変更及び代替的な実施形態は、本説明を考慮することで当業者には明らかとなろう。従って、本説明及び図面は単に例示としてのみ解釈されるものであり、本発明を実行する一般的な方法を当業者に教示する目的のためのものである。本書に図示され記載される本発明の形態は、実施形態の例とみなされることは理解されよう。要素及び材料は本書に図示され記載されるものと置換することができ、部分及びプロセスは逆転するか、順番を変えるか又は省略することができ、いくつかの特徴は独立して利用することができ、実施形態又は実施形態の特徴は組み合わせることができる。これらは全て、本発明の本説明の利点を得た後で当業者に明らかとなろう。以下の特許請求の範囲に記載される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本書に記載される要素に変更を加えることができる。本書に記載される見出しは、単に整理する目的のためのものであり、本記載の範囲を限定するため使用することは意図していない。
本出願全体を通して、「~しうる」という語が用いられる場合、強制的な意味(すなわち「~しなければならない」を意味する)のではなく、許可の意味で用いられる(すなわち「~する可能性を有する」を意味する)。「含む」、「含んでいる」等の語は、限定ではなく、含むことを意味する。本出願全体を通して、単数形「a」、「an」、「the」が用いられる場合、文脈上明らかに他の意味が示される場合を除いて、複数形を含む。従って、1つ又は複数の要素について「1つ又は複数」のような他の用語及び句が使用されるにもかかわらず、例えば、「an」又は「a」を付して要素に言及する場合、2つまたはそれより多数の要素が含まれる。「又は」という用語は、他の指示がない限り、非排他的であり、すなわち「及び」と「又は」の双方を包含する。条件関係を記述する用語、例えば「X、Yに応じて」、「X、Yの時」、「X、Yであるならば」、「X、Yである場合」等は、前件が後件の必要因果条件であるか、前件が充分因果条件であるか、又は前件が寄与因果条件である因果条件を包含する。例えば、「状態Xは条件Yが確立した時に発生する」は、「XはYの時にのみ発生する」及び「XはY及びZの時に発生する」に対して包括的である。そうした条件関係は、前件が確立した直後に続いて起こる結果に限定されない。いくつかの結果は遅れることがある。条件文において、前件はそれらの後件に接続されている。例えば、前件は後件が発生する可能性に関連している。複数の属性又は関数が複数のオブジェクトにマッピングされているという言明(例えば、1つ又は複数のプロセッサがステップA、B、C、及びDを実行する)は、他の指示がない限り、全てのそうしたオブジェクトにマッピングされた全てのそうした属性又は関数と、属性又は関数のサブセットにマッピングされた属性又は関数のサブセットとの双方を包含する(例えば、全てのプロセッサの各々がステップAからDを実行する場合と、プロセッサ1がステップAを実行し、プロセッサ2がステップB及びステップCの一部を実行し、プロセッサ3がステップ3の一部及びステップDを実行する場合の双方)。更に、他の指示がない限り、1つの値又はアクションが別の条件又は値「に基づいている」言明は、その条件又は値が唯一の要因である例と、その条件又は値が複数の要因のうちの1つの要因である例の双方を包含する。他の指示がない限り、ある集合の「各」インスタンスがある特性を有するという言明は、より大きい集合のいくつかの他の点で同一の又は同様のメンバがその特性を持たない事例を除外すると解釈するべきではない。すなわち、「各」は必ずしも、あらゆるものを意味するわけではない。
特定の米国特許、米国特許出願、又は他の資料(例えば論文)の援用については、そうした米国特許、米国特許出願、及び他の資料の文章が、そうした資料と本書で述べた言明及び図面の間に抵触が存在しない範囲で援用されるにすぎない。そうした抵触が生じた場合、援用される米国特許、米国特許出願、及び他の資料における抵触する文章は特に、本書に援用されない。
上記では本開示の特定の実施形態を説明したが、本開示は、説明したものとは異なる方式で実施されうることが理解される。