JP2022139818A - 車速制御方法及び走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、自車両を目標走行軌道で走行させる際に、自車両に働くヨーモーメントによって車輪の摩擦限界を超えるのを抑制する目標車速プロファイルを設定することを目的とする。
走行制御装置10は、物体センサ11と、車両センサ12と、測位装置13と、地図データベース(地図DB)14と、コントローラ15と、アクチュエータ16、転舵装置17、駆動装置18、制動装置19とを備える。
車両センサ12は、自車両1に搭載され、自車両1から得られる様々な情報(車両信号)を検出する。車両センサ12には、例えば、自車両1の走行速度(車速)を検出する車速センサ、自車両1が備える各タイヤの回転速度を検出する車輪速センサ、自車両1の3軸方向の加速度(減速度を含む)を検出する3軸加速度センサ(Gセンサ)、操舵角(転舵角を含む)を検出する操舵角センサ、自車両1に生じる角速度を検出するジャイロセンサ、ヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ、自車両1のアクセル開度を検出するアクセルセンサと、運転者によるブレーキ操作量を検出するブレーキセンサが含まれる。
地図データベース14は、自動運転用の地図として好適な高精度地図データ(以下、単に「高精度地図」という。)を記憶する記憶装置であってよい。高精度地図は、ナビゲーション用の地図データ(以下、単に「ナビ地図」という。)よりも高精度の地図データであり、道路単位の情報よりも詳細な車線単位の情報を含む。
記憶装置21は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置21は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
以下に説明するコントローラ15の機能は、例えばプロセッサ20が、記憶装置21に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ15を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントローラ15は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ15はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
ステアリングアクチュエータは、転舵装置17を作動させて自車両1の操舵方向及び操舵量を制御する。アクセル開度アクチュエータは、エンジンや駆動モータである駆動装置18を作動させて自車両1の前後加速度を制御する。ブレーキ制御アクチュエータは、制動装置19を作動させて自車両1の前後減速度を制御する。
コントローラ15は、自車両1を自動で運転する自動運転や、定速走行制御、車線維持制御、合流支援制御などの運転支援制御において、物体センサ11によって検出した自車両1の周囲環境の情報と、測位装置13が測定した自車両1の現在位置と、地図データベース14とに基づいて、自車両1を将来走行させる目標走行軌道を生成する。
さらにコントローラ15は、自車両1を目標走行軌道で走行させる車速のプロファイルである目標車速プロファイルを生成する。
例えばコントローラ15は、車輪の摩擦限界に関する以下の条件(A)を満たす目標車速プロファイルを生成してよい。
上式(1)は前輪の摩擦限界に関する制約条件であり、前輪横力Fyfと前輪前後力Fxfの二乗和を、前輪荷重Fzfと摩擦係数μとの積の二乗値以下に制限する。すなわち、前輪横力Fyfと前輪前後力Fxfの合力の大きさを、前輪のタイヤの摩擦限界(摩擦円)以下に制限する。同様に、上式(2)は後輪の摩擦限界に関する制約条件である。
また、後輪荷重Fzrが大きく前輪荷重Fzfが小さい場合には、後輪荷重Fzrが小さく前輪荷重Fzfが大きい場合に比べて、後輪の前後力の大きさを制限する上限値を大きな値に設定し、前輪の前後力の大きさを制限する上限値を小さな値に設定できる。
これにより、自車両1の加速度(ax>0)が大きい場合には小さい場合に比べて、前輪荷重Fzfが小さく設定され、自車両1の減速度(ax<0)が大きい場合には小さい場合に比べて、後輪荷重Fzrが小さく設定される。
そこでコントローラ15は、条件(A)及び(a1)に加えて、制動力配分比及び/又は駆動力配分比に関する下記の付加条件(a2)を満たすように、目標車速プロファイルを生成してよい。
そこでコントローラ15は、条件(A)(a1)及び(a2)に加えて、自車両1に働くヨーモーメントに関する下記の付加条件(a3)を満たすように、目標車速プロファイルを生成してよい。
このように、前輪横力Fyf及び後輪横力Fyrは、自車両1の横加速度ayとヨー角加速度ω’=dω/dtに基づいて定まる変数となる。
ここで、横加速度ayは、演算対象である目標車速プロファイルによって定まる変数である。
また、X方向及びY方向は、自車両1の前後方向及び横方向を示し、左方向及び右方向をそれぞれ正及び負の方向とし、前方及び後方をそれぞれ正及び負の方向としている。
具体的には、前輪前後加速度制約Axf[ay](実線30)を-Iz・ω’/(m・lr)だけY方向(横方向)に平行移動する。同様に、後輪前後加速度制約Axr[ay](一点鎖線31)をIz・ω’/(m・lf)だけY方向(横方向)に平行移動する。
すなわち、前輪前後加速度制約Axf[ay+Iz・ω’/(m・lr)]、後輪前後加速度制約Axr[ay-Iz・ω’/(m・lf)]を、横加速度がayである時の値として取得する。
図3Aは、左旋回時に、自車両1が発生するヨーモーメントを旋回方向と同じ方向に増加させる場合の例を示している。これは例えば、直線路からカーブ路に進入してヨーレイトが増加する場合や、ステアリングホイールを切り増し側に操舵してヨーレイトが増加する場合に発生する。
この場合には、正のヨーモーメントが発生するため、前輪前後加速度制約Axf[ay+Iz・ω’/(m・lr)]は、Iz・ω’/(m・lr)だけ負の方向に平行移動する。反対に、後輪前後加速度制約Axr[ay-Iz・ω’/(m・lf)]は、Iz・ω’/(m・lf)だけ正の方向に平行移動する。
この結果、左旋回時(すなわち横加速度ay>0)に、前輪前後加速度制約Axf[ay+Iz・ω’/(m・lr)](実線30)が矢印32に示すように小さくなる。反対に、後輪前後加速度制約Axr[ay-Iz・ω’/(m・lf)](一点鎖線31)は矢印33に示すように大きくなる。
この場合には、負のヨーモーメントが発生するため、前輪前後加速度制約Axf[ay+Iz・ω’/(m・lr)]は、Iz・ω’/(m・lr)だけ正の方向に平行移動する。反対に、後輪前後加速度制約Axr[ay-Iz・ω’/(m・lf)]は、Iz・ω’/(m・lf)だけ負の方向に平行移動する。
ヨーモーメントMの影響を反映した前輪前後加速度制約Axf[ay+Iz・ω’/(m・lr)]と、後輪前後加速度制約Axr[ay-Iz・ω’/(m・lf)]は、それぞれ特許請求の範囲に記載の「第1制約条件」及び「第2制約条件」の一例である。
したがってコントローラ15は、前輪前後加速度制約Axf[ay+Iz・ω’/(m・lr)]を示す実線30の内側(原点側)の領域と、後輪前後加速度制約Axr[ay-Iz・ω’/(m・lf)]を示す一点鎖線31の内側(原点側)の領域と、が重複する領域34(図3A及び図3Bにてハッチングが施された領域)を自車両1の前後加速度axが超えないように目標車速プロファイルを生成する。
コントローラ15は、上記の制約条件(A)、(a1)、(a2)及び(a3)を満たしつつ目標走行軌道上の区間Sを通過する通過時間tが最短となる自車両1の車速vのプロファイルを目標車速プロファイルとして生成する。
コントローラ15は、目標車速プロファイルの車速vが、上記の制約条件(A)、(a1)、(a2)及び(a3)を満たしているか否かを前後加速度制約Axに基づいて判定する。コントローラ15は、制約条件(A)、(a1)、(a2)及び(a3)を満たす車速vのみからなるプロファイルを目標車速プロファイルとして生成する。
なお、コントローラ15は、摩擦限界に関する制約条件(A)、(a1)、(a2)及び(a3)に加えて、走行路の曲率から求まる限界速度の制約条件(B)、前後ジャークjxの制約条件(C)及び/又は横ジャークjyの制約条件(D)を満たすように、目標車速プロファイルを生成してもよい。
|jx|≦jxmax …(15)
上式(15)中、jxmaxはピッチングによって車両挙動を不安定にさせない前後ジャークの大きさの上限値である。
(D)横ジャークjyの制約条件
|jy|≦jymax…(16)
上式(16)中、jymaxは自車両1のヨー角変化及び横運動が追従できる横ジャークの大きさの上限値である。
コントローラ15は、生成した目標車速プロファイルに従う速度で自車両1が目標走行軌道を走行するように、アクチュエータ16を駆動する。
コントローラ15は、軌道生成部40と、摩擦係数推定部41と、摩擦円制約設定部42と、速度プロファイル設定部43を備える。
軌道生成部40は、物体センサ11によって検出した自車両1の周囲環境の情報と、測位装置13が測定した自車両1の現在位置と、地図データベース14とに基づいて、自車両1を将来走行させる目標走行軌道を生成する(ステップS1)。
摩擦係数推定部41は、自車両1が走行する路面の摩擦係数μを推定する(ステップS2)。例えば、摩擦係数推定部41は、自車両1の前後加速度ax及び車輪速度に応じて、路面の摩擦係数μを推定してよい。
前輪摩擦円制約設定部44は、上式(1)、(3)、(5)、(9)に基づいて、横加速度ayの各値に対して、前輪前後加速度制約Axf[ay]をそれぞれ設定する(ステップS3)。
後輪摩擦円制約設定部45は、上式(2)、(4)、(6)、(10)に基づいて、横加速度ayの各値に対して、後輪前後加速度制約Axr[ay]をそれぞれ設定する(ステップS4)。
ヨーモーメント/横加速度演算部48は、目標車速プロファイルの車速vと曲率プロファイルρとに応じて、横加速度ayとヨーモーメントM=m×ω’を演算する(ステップS5)。
速度プロファイル最適化部47は、前後加速度制約Axと、走行路の曲率から求まる限界速度の制約条件(B)と、前後ジャークjxの制約条件(C)と、横ジャークjyの制約条件(D)とを満たすように、目標車速プロファイルを生成する(ステップS7)。
アクチュエータ16は、目標車速プロファイルに従う速度で自車両1が目標走行軌道を走行するように、転舵装置17、駆動装置18及び制動装置19を制御する(ステップS8)。その後に処理は終了する。
(1)コントローラ15は、自車両1の目標走行軌道を設定し、自車両1に働く横力とヨーモーメントとに応じて制限される、自車両1の前輪の前後力の制約条件である第1制約条件と後輪の前後力の制約条件である第2制約条件とを、これら前輪及び後輪の摩擦限界に基づいて設定し、第1制約条件と第2制約条件のうち前後力の大きさをより小さい値に制限する方を、第3制約条件として設定し、目標走行軌道の曲率プロファイルに基づいて、第3制約条件に従って目標走行軌道を走行する目標速度プロファイルを生成し、目標速度プロファイルに基づいて、自車両1の車速を制御する。
これにより、車輪に生じさせることができる前後力を、ヨーモーメントのために使用される横力によって制限できる。この結果、自車両1を目標走行軌道で走行させる際に、自車両1に働くヨーモーメントによって車輪の摩擦限界を超えるのを抑制する目標車速プロファイルを設定できる。
その際に、ヨーモーメントが大きい場合に小さい場合と比べて第1制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を小さくしてよい。
これにより、自車両1の旋回方向と同一方向へ発生するヨーモーメントによって前輪及び後輪で生じる前後力を制限できる。
その際に、ヨーモーメントが大きい場合に小さい場合と比べて第2制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を小さくしてよい。
これにより、自車両1の旋回方向と反対方向へ発生するヨーモーメントによって前輪及び後輪で生じる前後力を制限できる。
Claims (6)
- 自車両の目標走行軌道を設定し、
前記自車両に働く横力とヨーモーメントとに応じて制限される、前記自車両の前輪の前後力の制約条件である第1制約条件と後輪の前後力の制約条件である第2制約条件とを、これら前輪及び後輪の摩擦限界に基づいて設定し、
前記第1制約条件と前記第2制約条件のうち前記前後力の大きさをより小さい値に制限する方を、第3制約条件として設定し、
前記目標走行軌道の曲率プロファイルに基づいて、前記第3制約条件に従って前記目標走行軌道を走行する目標速度プロファイルを生成し、
前記目標速度プロファイルに基づいて、前記自車両の車速を制御する、
ことを特徴とする車速制御方法。 - 前記自車両の旋回方向と同一方向へ前記ヨーモーメントが発生する場合に、前記ヨーモーメントが増加しない場合と比べて前記第1制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を小さくし、前記第2制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を大きくすることを特徴とする請求項1に記載の車速制御方法。
- 前記ヨーモーメントが大きい場合に小さい場合と比べて前記第1制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を小さくすることを特徴とする請求項2に記載の車速制御方法。
- 前記自車両の旋回方向と反対方向へ前記ヨーモーメントが発生する場合に、前記ヨーモーメントが増加しない場合と比べて前記第1制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を大きくし、前記第2制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の車速制御方法。
- 前記ヨーモーメントが大きい場合に小さい場合と比べて前記第2制約条件が制限する前後力の大きさの上限値を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の車速制御方法。
- 自車両の目標走行軌道を設定し、前記自車両に働く横力とヨーモーメントとに応じて制限される、前記自車両の前輪の前後力の制約条件である第1制約条件と後輪の前後力の制約条件である第2制約条件とを、これら前輪及び後輪の摩擦限界に基づいて設定し、前記第1制約条件と前記第2制約条件のうち前記前後力の大きさをより小さい値に制限する方を、第3制約条件として設定し、前記目標走行軌道の曲率プロファイルに基づいて、前記第3制約条件に従って前記目標走行軌道を走行する目標速度プロファイルを生成するコントローラと、
前記目標走行軌道に基づいて、前記自車両の転舵角を制御する転舵機構と、
前記目標速度プロファイルに基づいて、前記自車両の駆動力を制御する駆動装置と、
前記目標速度プロファイルに基づいて、前記自車両の制動力を制御する制動装置と、
を備えることを特徴とする走行制御装置。
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