JP2022139634A - 放射性ストロンチウム計測装置、放射性ストロンチウム計測方法、及びプログラム - Google Patents

放射性ストロンチウム計測装置、放射性ストロンチウム計測方法、及びプログラム Download PDF

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博信 佐藤
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Abstract

【課題】試料に含まれる放射性Sr量を計測する場合においてSr-89量の誤差を低減し、その検出下限値を小さくすることができる放射性ストロンチウム計測装置、放射性ストロンチウム計測方法、及びプログラムを提供する。【解決手段】放射性ストロンチウム計測装置は、放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、β線のスペクトルとを計測する計測部と、計測部の出力値に基づいて試料の計数を算出すると共に、β線のスペクトル解析を行い、解析結果に基づいて試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出し、算出結果に基づいてY-90の放射能量を算出し、試料におけるSr-90及びY-90から放射されるβ線の第1計数を算出し、試料の計数から第1計数を差し引いてSr-89の第2計数を算出し、第2計数に基づいて、試料に含まれるSr-89の放射能量を算出する演算部とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、放射性ストロンチウムのうちストロンチウム89の放射能量を正確に計測することができる放射性ストロンチウム計測装置、放射性ストロンチウム計測方法、及びプログラムに関する。
原子力発電所を含む原子力関連施設において、様々な放射性物質(廃棄物や処理水)等が排出される。これらの放射性物質は、核種の放射能量に応じて所定の基準に従って管理される。放射性物質には、例えば、使用済み燃料由来のストロンチウム90(以下、Sr-90という)や、その放射性同位体であるストロンチウム89(以下、Sr-89という)などの放射性ストロンチウム(Sr)や、Sr-90が崩壊して生成されるイットリウム-90(以下、Y-90という)が含まれており、各放射性核種の放射能量を個別に計測が必要となる場合がある。Sr-90は、半減期が約29年であるのに対し、Sr-89は、半減期が約51日である。
放射性ストロンチウムの放射能量は、試料から放射されるβ線の計測値により得られる。しかし、このβ線の計測値には、Sr-89、Sr-90、Y-90の放射能量が含まれている。従来、Sr-90及びSr-89を含む放射性Srの放射能量を個別に計測するために、以下の手法が提案されている。
例えば、非特許文献1には、GM計数管などを用いて、ストロンチウムフラクションの放射能量及び同フラクションからミルキングによって分離したY-90の放射能量を計測し、その量からSr-90の放射能量を求め、ストロンチウムフラクション放射能量から差し引きによってSr-89の放射能量を求める手法が提案されている。この手法によれば、ストロンチウムフラクション中のSr-90からY-90が生成し、放射平衡状態になるのを待つ必要があり、計測値を得るために核分裂の発生から計測が終わるまで約3週間を要する。
また、非特許文献2には、GM計数管などを用いて、分離したストロンチウムフラクションの放射能を、異なった二つの時刻において計測し、その減衰あるいは増加から計算によってSr-89及びSr-90の放射能量をそれぞれ求める手法が提案されている。この手法によれば、ストロンチウムフラクション中のSr-90からY-90の生成により減衰曲線の変化を待つ必要があり、計測値を得るために核分裂の発生から約1週間を要する。
また、非特許文献3には、β線のスペクトルを計測可能な装置を用いて、β線のスペクトル解析手法であるβ線スペクトロメトリによりSr-89の放射能量とSr-90の放射能量とを直接分離して計測し、計測値に基づいて最小二乗法を用いてそれぞれの放射能量を求める手法が提案されている。この手法によれば、核分裂の発生から約2日程度で計測値を得ることができる。
発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の計測に関する指針(原子力安全委員会,平成13年3月29日一部改訂) 放射性ストロンチウム分析法(文部科学省,平成15年改訂) Rapid determination of 89Sr and 90Sr in radioactive waste using Sr extraction disk and beta-ray spectrometer, JAEA Y. Kameo et al.
Sr放射能計測結果を数日以内で求める必要がある場合、上記手法のうち、非特許文献3に記載されたβ線スペクトロメトリを用いた計測が最も有効である。しかしながら、この手法によれば、Sr-89量がSr-90量に比べ、例えば1/5(Sr-89/Sr-90≦0.2)程度以下となる場合は、Sr-89の濃度誤差(2σ)がSr-89の濃度と同等近くまで大きくなり、検出下限値がSr-90に比して大きくなる場合がある。
従って、Sr-90については,β線スペクトロメトリ法を用いて短期間にその放射能量を求めることができるのに対し、Sr-89の放射能量の計測については誤差が大きくなるという課題がある。そのため、Sr-89の放射能量についても共存するSr-90の量の影響を受けにくい放射性ストロンチウム計測手法が望まれている。
本発明は、試料に含まれる放射性Sr量を計測する場合において、Sr-89量がSr-90に比べ低くなる場合であっても、Sr-89量の誤差を低減し、その検出下限値を小さくすることができる放射性ストロンチウム計測装置、放射性ストロンチウム計測方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の一態様は、放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、前記β線のスペクトルとを計測する計測部と、前記計測部の出力値に基づいて前記試料の計数を算出すると共に、前記β線のスペクトル解析を行い、解析結果に基づいて前記試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出し、算出結果に基づいて前記Y-90の放射能量を算出し、前記試料におけるSr-90及び前記Y-90から放射されるβ線の第1計数を算出し、前記試料の計数から前記第1計数を差し引いて前記Sr-89の第2計数を算出し、前記第2計数に基づいて、前記試料に含まれる前記Sr-89の放射能量を算出する演算部と、を備える放射性ストロンチウム計測装置である。
本発明によれば、算出したSr-90の放射能量に基づいてSr-89の放射能量を算出するため、Sr-89量がSr-90に比べ低くなる場合であっても、Sr-89量の誤差を低減し、その検出下限値を小さくすることができる。
また、本発明の一態様は、前記計測部は、前記試料から放射されるβ線の計数の計測が可能なGM計数管を有し、前記計測部は、前記β線により発光するシンチレータと、前記シンチレータの発光に基づいて出力値を出力する光電子倍増管と、を備え、前記演算部は、前記GM計数管の出力値と前記光電子倍増管からの出力値とに基づいて前記試料の計数を算出し、前記光電子倍増管からの出力値に基づいて前記スペクトル解析を行ってもよい。
本発明によれば、既存の同時計数型の計測装置に適用可能であるため、装置導入コストを低減することができる。
また、本発明の一態様は、前記計測部は、前記β線により発光する第1シンチレータと、前記β線により発光する第2シンチレータと、前記第1シンチレータ及び前記第2シンチレータの発光に基づいて出力値を出力する光電子倍増管とを備え、前記演算部は、前記光電子倍増管の出力値に基づいて前記試料の計数を算出すると共に、前記スペクトル解析を行ってもよい。
本発明によれば、既存の反同時計数型の計測装置に適用可能であるため、装置導入コストを低減することができる。
また、本発明の一態様は、前記試料は、予めスカベンジング操作が行われ、前記Y-90が除去されていてもよい。
本発明によれば、正確にSr-89の放射能量を算出するのに要する時間をβ線スペクトロメトリによるSr-90算出時間とほぼ同時で行うことができる。
前記Y-90の放射能量は、前記Y-90の放射能量と前記スカベンジング操作からの経過時間とに基づいて算出されてもよい。
本発明によれば、Y-90の放射能量をSr-90の関数として算出することができる。
放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、前記β線のスペクトルとを計測し、前記β線の計測に基づいて前記試料の計数を算出し、前記β線の計測に基づいて前記β線のスペクトルを解析し、解析結果に基づいて前記試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出し、算出結果に基づいて前記Y-90の放射能量を算出し、前記試料におけるSr-90及び前記Y-90から放射されるβ線の第1計数を算出し、前記試料の計数から前記第1計数を差し引いて前記Sr-89の第2計数を算出し、前記第2計数に基づいて、前記試料に含まれる前記Sr-89の放射能量を算出する処理をコンピュータが実行する、放射性ストロンチウム計測方法である。
本発明によれば、算出したSr-90の放射能量に基づいてSr-89の放射能量を算出するため、Sr-89量がSr-90に比べ低くなる場合であっても、Sr-89量の誤差を低減し、その検出下限値を小さくすることができる。
本発明の一態様は、放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、前記β線のスペクトルとを計測させ、前記β線の計測に基づいて前記試料の計数を算出させ、前記β線の計測に基づいて前記β線のスペクトルを解析させ、解析結果に基づいて前記試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出させ、算出結果に基づいて前記Y-90の放射能量を算出させ、前記試料におけるSr-90及び前記Y-90から放射されるβ線の第1計数を算出させ、前記試料の計数から前記第1計数を差し引いて前記Sr-89の第2計数を算出させ、前記第2計数に基づいて、前記試料に含まれる前記Sr-89の放射能量を算出させる処理をコンピュータに実行させる、プログラムである。
本発明によれば、算出したSr-90の放射能量に基づいてSr-89の放射能量を算出するため、Sr-89量がSr-90に比べ低くなる場合であっても、Sr-89量の誤差を低減し、その検出下限値を小さくするプログラムを実現することができる。
本発明によれば、試料に含まれる放射性Sr量を計測する場合において,Sr-89量がSr-90に比べ低くなる場合(例えば,Sr-89/Sr-90≦0.2)であっても、Sr-89量の誤差を低減し,その検出下限値を小さくすることができる。
本発明の実施形態に係る放射性ストロンチウム計測装置の構成を示すブロック図である。 同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置の構成を示す図である。 反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置の構成を示す図である。 試料から放射されるβ線のエネルギーのスペクトルを示す図である。 従来のスペクトル解析の過程を示す図である。 従来の放射性ストロンチウム計測方法の処理を示すフローチャートである。 放射性ストロンチウム計測方法の処理を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る放射性ストロンチウム計測装置、放射性ストロンチウム計測方法、及びプログラムについて説明する。
本発明の実施形態に係る放射性ストロンチウム計測装置は、ストロンチウムが単離された試料から放射される放射線を計測し、計測結果に基づいて試料に含まれる核種毎に放射能量を算出する。特にSr-89の放射能量を正確に算出する。試料から放射されるβ線の計測に関しては、一般的な放射線計測機器を用いることができる。以下、放射性ストロンチウム計測装置の概略的な構成について説明する。
図1に示されるように、放射性ストロンチウム計測装置1は、例えば、試料Sのβ線を計測する計測部2と、計測部2に接続された演算装置10とを備える。試料Sは、β崩壊する放射性核種であるストロンチウム(Sr)である。試料Sは、例えば、使用済み核燃料から採取された後、Srが単離されたものである。試料Sは、単離されたSrから更に、スカベンジング操作が行われ、イットリウム90(Y-90)が除去される。
試料Sにおいて、スカベンジング操作の後、時間経過に従ってSr-90がベータ崩壊してY-90が生成される。従って、試料Sは、放射性のSr-90と、放射性同位体のSr-89と、Y-90とを含んでいる。試料S中のSr-90、Y-90、Sr-89は、それぞれβ線を放出している。
計測部2は、例えば、試料Sに含まれる核種の放射能量を個別に算出する。計測部2は、後述のように一般的な計測機器により構成されている。計測部2は、試料Sから放射されるβ線の計数に関する第1出力値と、β線のエネルギーのスペクトルに関する第2出力値とを出力する。計測部2が出力する第1出力値及び第2出力値は、計測部2の種類に応じたデータ形式により設定されている。
演算装置10は、例えば、計測部2から出力された出力値に基づいて所定の演算を行う演算部12と、演算に必要なデータを記憶する記憶部14と、演算結果を出力する表示部16とを備える。
演算部12は、計測部2から出力された出力値に基づいて試料Sから放射されるβ線の計数を算出すると共に、スペクトル解析を行う。演算部12は、後述の様に、試料Sから放射されるβ線の計数とスペクトル解析結果に基づいて試料Sに含まれるSr-89の放射能量を算出する。
演算部12は、例えば、CPUなどのプロセッサが、記憶部14に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することで実現される。また、これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部:circuitryを含む)によって実現されていてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されていてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。演算部12の演算処理の詳細内容は後述する。
記憶部14は、演算部12の演算に必要なプログラムや各種データが記憶されている。記憶部14は、例えば、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリなどの記憶媒体によって実現される。
表示部16は、演算部12の演算結果が出力されるディスプレイ装置である。表示部16は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示装置である。表示部16は、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、スマートフォン等により別体に構成されていてもよい。
次に、具体的な放射性ストロンチウム計測装置1の構成について説明する。放射性ストロンチウム計測装置1は、一般的な放射線計測機器を用いた計測部2により構成される。
図2には、同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1の概略的な構成が示されている。放射性ストロンチウム計測装置1は、試料Sから放射されるβ線を計測する計測部2と、計測値に基づいて試料Sに含まれる核種の放射能量を個別に算出する演算装置10とを備える。
計測部2は、鉛等の放射線を遮蔽する筐体2Aに覆われている。計測部2の内部には、試料Sが配置される計測室3が設けられている。計測室3の上方には、GM計数管4が配置されている。GM計数管4の上方には、シンチレータ5が配置されている。シンチレータ5の上方には、光電子倍増管6が配置されている。
GM計数管4は、試料Sから放射されるβ線が入力されるとその計数をカウントする。GM計数管4は、計数をカウントすると出力値を出力する。シンチレータ5は、例えば、プラスチック等の有機物により形成されたプラスチックシンチレータである。シンチレータ5は、試料Sから放射されGM計数管4を透過したβ線に励起され発光する。光電子倍増管6は、シンチレータ5からの発光の波高のレベルを検出する。光電子倍増管6は、シンチレータ5からの発光に基づく検出値を出力する。
演算部12は、GM計数管4においてカウントされた計数の出力値と、光電子倍増管6において検出された発光の検出値が出力される計数とが同時となる場合をカウントした同時計数を算出する。これにより、宇宙放射線や自然放射線によりカウントされる計数を排除することができる。この同時計数は、試料Sの計数である。試料Sの計数は、試料Sから放射される複数の核種から放射される複数のβ線の計数を含んでいる。
演算部12は、また、光電子倍増管6において検出された発光の波高のレベルに基づく検出値に基づいて試料Sから放射されるβ線のエネルギーのスペクトルをβ線スペクトロメトリにより算出する。
図3には、反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1の概略的な構成が示されている。放射性ストロンチウム計測装置1は、試料Sから放射されるβ線を計測する計測部2と、計測値に基づいて試料Sに含まれる核種の放射能量を個別に算出する演算装置10とを備える。
計測部2は、例えば、内部の計測室3が鉛等の放射線を遮蔽するアクティブシールド2Bに覆われている。アクティブシールド2Bは、宇宙放射線や自然放射線のバックグラウンドを低減する。計測室3の上方には、第1シンチレータ5Aが配置されている。第1シンチレータの上方には、第2シンチレータ5Bが配置されている。第2シンチレータ5Bの上方には、光電子倍増管6が配置されている。第1シンチレータ5A及び第2シンチレータ5Bは、プラスチックシンチレータである。第2シンチレータ5Bの上下方向における厚さは、第1シンチレータ5Aの上下方向の厚さに比して厚く形成されている。
アクティブシールド2Bは、宇宙放射線や自然放射線を検出した場合、検出値を出力する。第1シンチレータ5Aは、試料Sから放射されGM計数管4を透過したβ線に励起され発光する。第2シンチレータ5Bは、試料Sから放射され第1シンチレータ5Aを透過したβ線に励起され発光する。光電子倍増管6は、第1シンチレータ5A及び第2シンチレータ5Bからの発光の波高のレベルを検出する。光電子倍増管6は、第1シンチレータ5A及び第2シンチレータ5Bからの発光に基づく検出値を出力する。
演算部12は、光電子倍増管6において検出された第1シンチレータ5A及び第2シンチレータ5Bからのスペクトルの波長の違いにより生じる発光の検出値が出力される計数をカウントし試料Sから放射されるβ線の計数を算出する。演算部12は、アクティブシールド2Bの検出と光電子倍増管6の検出が同時である場合は反同時計数として、計数をカウントしない。
これにより、宇宙放射線や自然放射線によりカウントされる計数を排除することができる。演算部12は、また、光電子倍増管6において検出された発光の波高のレベルに基づく検出値に基づいて、試料Sから放射されるβ線のエネルギーのスペクトルをβ線スペクトロメトリにより算出する。
次に、放射性ストロンチウム計測装置1における放射性ストロンチウム計測方法について説明する。
図4に示されるように、試料Sから放射されるβ線のエネルギーのスペクトルは、複数の核種Sr-90、Sr-89、Y-90から放射されるβ線の合計値である。
図5に示されるように、従来の放射性ストロンチウム計測装置において実行される放射性ストロンチウム計測方法では、β線スペクトルを5つのフラクションに分割し、各フラクションにおける3核種の寄与を、以下の式(1)に基づく最小二乗法により算出している。
Figure 2022139634000002
但し
Figure 2022139634000003
である。
図6には、従来の放射性ストロンチウム計測方法の処理の流れが記載されている。試料Sのβ線の計数を計測する(ステップS100)。β線スペクトロメトリを行い、β線のエネルギーのスペクトルを解析する(ステップS102)。最小二乗法を用いて試料Sに含まれるSr-89、Sr-90、Y-90の放射能量を個別に算出する(ステップS104)。この手法によれば、上記の通りSr-89量がSr-90量に比べ、例えば1/5程度以下となる場合は、検出下限値がSr-90に比して大きくなる場合がある。
図7には、実施形態の放射性ストロンチウム計測方法の処理の流れが示されている。放射性ストロンチウム計測装置1において、計測部2の計測室3にスカベンジング操作後のY-90が除去された試料Sがセットされる。計測部2により、放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料Sから放射されるβ線を計測する(ステップS200)。演算部12は、計測部2の出力値に基づいて試料Sの計数を算出する(ステップS202)。
このとき、同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1(図2参照)の場合、GM計数管4において計測された試料Sの計数の出力値は、演算装置10において取得され、計数のデータとして取り込まれる。同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1においては、GM計数管4と光電子倍増管6との出力が同時である場合のバックグラウンドの影響を低減した同時計数が試料Sの計数として用いられる。
反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1(図3参照)の場合、光電子倍増管6の出力値に基づいて、第1シンチレータ5Aと第2シンチレータ5Bとのβ線スペクトルの波長の違いを利用して演算装置10において試料Sの計数が算出される。反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1においては、アクティブシールド2Bの検出と光電子倍増管6の検出が同時である場合の反同時計数をカウントしない、バックグラウンドの影響を低減した光電子倍増管6の出力回数が計数として用いられる。
演算部12は、計測部2の出力値に基づいてβ線のエネルギーのスペクトル解析を行う(ステップS204)。このとき、同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1においては、シンチレータ5の発光を検知した光電子倍増管6の出力値に基づいて、演算部12はβ線のエネルギーのスペクトルを算出する。反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1においては、第1シンチレータ5A及び第2シンチレータ5Bの発光を検知した光電子倍増管6の出力値に基づいて、演算部12はβ線のエネルギーのスペクトルを算出する。
演算部12は、解析結果に基づいて試料SにおけるSr-90の放射能量(濃度)を個別に算出する(ステップS206)。このとき、演算部12は、光電子倍増管6から出力された波高のレベルの出力値に基づいて、β線のエネルギーのスペクトルを最小二乗法近似により解析し、Sr-90の単独のスペクトルに分解した後、Sr-90の単独の放射能量を算出する。
演算部12は、算出結果に基づいて試料Sの精製後の経過時間に基づいてY-90の放射能量をSr-90の関数として算出するステップS208)。演算部12は、算出したSr-90の単独の放射能量と、Sr-90の関数として算出されたY-90の単独の放射能量との合計値を、試料SにおけるSr-90及びY-90から放射されるβ線の計数の合計値となる第1計数に換算して算出する(ステップS210)。
演算部12は、ステップS202において算出した試料Sの計数から第1計数を差し引いてSr-89の第2計数を算出する(ステップS212)。演算部12は、第2計数に基づいて、試料Sに含まれるSr-89の放射能量に換算して算出する(ステップS214)。
従来、同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1においては、GM計数管4の計測値は、バックグラウンドの影響を低減した同時計数を算出するために用いられていた。また、反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置1においては、光電子倍増管6の出力に基づいて算出される反同時計数を除いた計数は、バックグラウンドの影響を低減するために用いられていた。
これに対して放射性ストロンチウム計測装置1によれば、算出された同時計数や反同時計数を除いた計数からβ線のエネルギーのスペクトル解析により算出されたSr-90及びY-90の計数の合計値である第1計数を差し引きして第2計数を算出し、第2計数に基づいてSr-89の放射能量を正確に算出することができる。
上述した放射性ストロンチウム計測装置1は、従来の同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置や、反同時計数型の放射性ストロンチウム計測装置の構成を変更することなく、演算手法を変更することで実現することができる。放射性ストロンチウム計測装置1によれば、Sr-89の検出限界によらずに、Sr-90の放射能量の算出値に基づいてSr-89の放射能量を算出することができる。放射性ストロンチウム計測装置1によれば、スカベンジング操作後の短期間にSr-89の放射能量を算出することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、上記実施形態においてはプラスチックシンチレータを用いたものを例示したが、これに限らず液体シンチレータを用いてもよい。
液体シンチレータを用いてSr放射能量を計測する場合、予め、Sr放射能によるβ線計数を求め、チェレンコフ光に基づく光電子倍増管の出力値を利用してβ線スペクトロメトリを行い、算出したSr-90放射能量に基づいて求めたSr-90の計数をβ線計数から差し引いても同様の処理を行ってもよい。
1 放射性ストロンチウム計測装置
2 計測部
2A 筐体
2B アクティブシールド
3 計測室
4 GM計数管
5 シンチレータ
5A 第1シンチレータ
5B 第2シンチレータ
6 光電子倍増管
10 演算装置
12 演算部
14 記憶部
16 表示部
S 試料

Claims (7)

  1. 放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、前記β線のスペクトルとを計測する計測部と、
    前記計測部の出力値に基づいて前記試料の計数を算出すると共に、前記β線のスペクトル解析を行い、解析結果に基づいて前記試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出し、算出結果に基づいて前記Y-90の放射能量を算出し、前記試料におけるSr-90及び前記Y-90から放射されるβ線の第1計数を算出し、前記試料の計数から前記第1計数を差し引いて前記Sr-89の第2計数を算出し、前記第2計数に基づいて、前記試料に含まれる前記Sr-89の放射能量を算出する演算部と、を備える、
    放射性ストロンチウム計測装置。
  2. 前記計測部は、前記試料から放射されるβ線の計数の計測が可能なGM計数管を有し、
    前記計測部は、前記β線により発光するシンチレータと、
    前記シンチレータの発光に基づいて出力値を出力する光電子倍増管と、を備え、
    前記演算部は、前記GM計数管の出力値と前記光電子倍増管からの出力値とに基づいて前記試料の計数を算出し、
    前記光電子倍増管からの出力値に基づいて前記スペクトル解析を行う、
    請求項1に記載の放射性ストロンチウム計測装置。
  3. 前記計測部は、前記β線により発光する第1シンチレータと、前記β線により発光する第2シンチレータと、前記第1シンチレータ及び前記第2シンチレータの発光に基づいて出力値を出力する光電子倍増管と、を備え、
    前記演算部は、前記光電子倍増管の出力値に基づいて前記試料の計数を算出すると共に、前記スペクトル解析を行う、
    請求項1に記載の放射性ストロンチウム計測装置。
  4. 前記試料は、予めスカベンジング操作が行われ、前記Y-90が除去されている、
    請求項1から3のうちいずれか1項に記載の放射性ストロンチウム計測装置。
  5. 前記Y-90の放射能量は、前記Y-90の放射能量と前記スカベンジング操作からの経過時間とに基づいて算出される、
    請求項4に記載の放射性ストロンチウム計測装置。
  6. 放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、前記β線のスペクトルとを計測し、
    前記β線の計測に基づいて前記試料の計数を算出し、
    前記β線の計測に基づいて前記β線のスペクトルを解析し、
    解析結果に基づいて前記試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出し、
    算出結果に基づいて前記Y-90の放射能量を算出し、
    前記試料におけるSr-90及び前記Y-90から放射されるβ線の第1計数を算出し、
    前記試料の計数から前記第1計数を差し引いて前記Sr-89の第2計数を算出し、
    前記第2計数に基づいて、前記試料に含まれる前記Sr-89の放射能量を算出する処理をコンピュータが実行する、放射性ストロンチウム計測方法。
  7. 放射性物質であるSr-90、Y-90、Sr-89を含む試料から放射されるβ線の計数と、前記β線のスペクトルとを計測させ、
    前記β線の計測に基づいて前記試料の計数を算出させ、
    前記β線の計測に基づいて前記β線のスペクトルを解析させ、
    解析結果に基づいて前記試料におけるSr-90の放射能量を個別に算出させ、
    算出結果に基づいて前記Y-90の放射能量を算出させ、
    前記試料におけるSr-90及び前記Y-90から放射されるβ線の第1計数を算出させ、
    前記試料の計数から前記第1計数を差し引いて前記Sr-89の第2計数を算出させ、
    前記第2計数に基づいて、前記試料に含まれる前記Sr-89の放射能量を算出させる処理をコンピュータに実行させる、プログラム。
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