JP7162586B2 - 放射能分析装置 - Google Patents

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Description

本願は、放射能分析装置に関するものである。
従来より、測定対象の試料に含まれる放射能を放射性核種毎に評価するために、放射性核種が放出する放射線、特にγ線のエネルギーが核種毎に固有であることを利用して核種を同定し、これと同時に検出されるγ線の数と検出器固有の感度とに基づくことで、試料に含まれる放射性核種の放射能を測定している。
このようにγ線のエネルギーを利用して放射性核種を同定するためには、γ線のエネルギー値を正確に測定する必要がある。特に複数のγ線のエネルギー値が観測される場合には、それぞれのγ線のエネルギーを正確に区別するために、放射能分析装置が十分なエネルギー分解能を有することが要求される。
エネルギー分解能を向上させる方法として、放射能分析する際に逆問題演算の一種であるアンフォールディング手法が利用されており、例えば以下特許文献1のような放射線の分析精度に優れた放射能分析装置が開示されている。
即ち、従来の放射能分析装置は、応答関数データベースは、検出が想定される核種に対して準備された応答関数を予め格納している。核種アンフォールディング手段は、応答関数データベースから呼び出した核種毎の応答関数を用いて、抽出されたパルス波高分布に対してアンフォールディングを実施し、核種毎の放射能強度を算出する(例えば、特許文献1参照)。
また、このようなアンフォールディング手法を実施するにおいては、逐次近似法によりフィードバック的操作を行い、予めシミュレーションにより算出された応答関数を用いて、測定対象物を計測して得られる波高スペクトルからエネルギースペクトルを詳細化していき、目的のエネルギースペクトルを求める手法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
特許第5832404号公報(段落[0020]~[0036])
文部科学省、放射能測定法シリーズ20「空間γ線スペクトル測定法」付録2。発行所 財団法人日本分析センター、平成2年7月1日 第1版発行。
上記特許文献1のような放射能分析装置では、測定対象物由来の放射線のみを仮定して逆問題演算を行うため、測定対象の試料以外から放出される放射線が、試料から発生した放射線として信号復元されて計数される。特に宇宙線、高エネルギーの環境放射線等は物質の透過力が高く、鉛等による遮蔽が有効でない。そのため、例えば低強度の放射線を測定対象とする際に放射能の十分な評価性能が得られないという課題がある。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、放射能の評価性能の高い放射能分析装置を提供することを目的とする。
本願に開示される放射能分析装置は、
放射性物質から放出される放射線が入射されると入射放射線のエネルギーに対応する検出信号を出力する検出部と、
前記検出信号のエネルギー値ごとの計数を示すエネルギー分布である第1エネルギー分布を導出する分析部と、
前記検出部の応答関数を格納する記憶部と、
前記第1エネルギー分布に対して、前記応答関数を用いた信号復元演算を行うことにより前記放射性物質の放射線のエネルギー分布である第2エネルギー分布を演算して、前記放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する演算部と、を備え、
前記応答関数は、測定対象物に含まれる前記放射性物質である測定放射性物質に対する第1応答関数と、前記測定対象物に含まれない前記放射性物質である外部放射性物質に対する第2応答関数と、を有して構成され、
前記演算部は、
前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布から、前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを分離する分離制御を行い、該分離制御が行われた前記第2エネルギー分布に基づいて、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該測定放射性物質の放射能強度を演算し、
前記分離制御において、
前記外部放射性物質の前記検出信号の計数を含んだ前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布において前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを導出し、前記第2エネルギー分布に対して、導出された前記外部放射性物質の放射線のエネルギーの帯域を非通過帯域とするフィルタ処理を行い、
前記分離制御における前記フィルタ処理が行われた前記第2エネルギー分布を前記第1エネルギー分布に再導出し、再導出された前記第1エネルギー分布に対して、前記第1応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する、
ものである。
また、本願に開示される放射能分析装置は、
放射性物質から放出される放射線が入射されると入射放射線のエネルギーに対応する検出信号を出力する検出部と、
前記検出信号のエネルギー値ごとの計数を示すエネルギー分布である第1エネルギー分布を導出する分析部と、
前記検出部の応答関数を格納する記憶部と、
前記第1エネルギー分布に対して、前記応答関数を用いた信号復元演算を行うことにより前記放射性物質の放射線のエネルギー分布である第2エネルギー分布を演算して、前記放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する演算部と、を備え、
前記応答関数は、測定対象物に含まれる前記放射性物質である測定放射性物質に対する第1応答関数と、前記測定対象物に含まれない前記放射性物質である外部放射性物質に対する第2応答関数と、を有して構成され、
前記演算部は、
前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布から、前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを分離する分離制御を行い、該分離制御が行われた前記第2エネルギー分布に基づいて、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該測定放射性物質の放射能強度を演算し、
前記分離制御において、
前記外部放射性物質の前記検出信号の計数を含んだ前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布において前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを導出し、前記第2エネルギー分布に対して、導出された前記外部放射性物質の放射線のエネルギーの帯域を非通過帯域とするフィルタ処理を行い、
前記分離制御において、
前記第2エネルギー分布における、前記測定放射性物質の放射線の計数から設定された初期値を減算し、減算された該第2エネルギー分布から前記第1エネルギー分布を再導出し、再導出された前記第1エネルギー分布に対して前記第1応答関数を用いた前記信号復元演算を行って前記第2エネルギー分布を再導出し、
再導出された前記第2エネルギー分布において、前記測定放射性物質のエネルギーの分布域が最小となるまで前記初期値の増減を繰り返し行う収束演算を実施する、
ものである。
本願に開示される放射能分析装置によれば、高い放射能の評価性能を得られる。
実施の形態1による放射能分析装置の概略構成図である。 実施の形態1による放射能分析装置により導出される波高スペクトルを示す図である。 実施の形態1による放射能分析装置により導出されるエネルギースペクトルを示す図である。 参考例の放射能分析装置により導出されるエネルギースペクトルを示す図である。 実施の形態1による放射能分析装置の演算部によるバックグラウンド除去過程の各工程を示すフロー図である。 実施の形態2による放射能分析装置の概略構成図である。 実施の形態2による放射能分析装置の演算部によるバックグラウンド除去過程の各工程を示すフロー図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による放射能分析装置100の概略構成図である。
放射能分析装置100は、測定対象物OBに含まれる放射性物質である測定放射性物質Rmの放射能を分析する装置である。
なお、図1において、測定対象物OBに含まれる測定放射性物質Rmを便宜上丸印で示している。
放射能分析装置100は、検出部1と、分析部としての信号処理部10と、演算部20と、記憶部30と、外部出力部40と、を備える。
検出部1は、放射線が入射されると入射放射線のエネルギーに比例した波高を有する、検出信号としての電気パルス信号Gを出力する。図1に示すように、検出部1には、測定放射性物質Rmから発せられる放射線Ra1及び測定放射性物質Rm以外の図示しない外部の放射性物質から発せられる外部放射線Ra2が入射される。放射線Ra1および外部放射線Ra2の入射に応じて出力された電気パルス信号Gは、後段の信号処理部10に入力される。
信号処理部10は、波形整形部11と、波高分析部12とを有する。
波形整形部11は、検出部1から出力された電気パルス信号Gに対して増幅および波形の整形を行う。
波高分析部12は、波形整形部11から出力された電気パルス信号Gの波高の高さを読み取って、電気パルス信号Gを、その波高の高さに応じたデジタル値に変換する。そして波高分析部12は、このデジタル値を、その値の大きさに対応するチャンネル(エネルギー弁別段)に弁別し、この対応するチャンネルに信号数を1カウント加算する。
例えば、波高分析部12が受け入れ可能な最大の電気パルス信号Gの波高に対応するデジタル値を1000チャンネルに分割したとすると、最大の電気パルス信号Gの波高に対応するデジタル値は、最大チャンネルである1000チャンネル目に充てられる。この最大の電気パルス信号Gの波高以下の電気パルス信号Gについては、その波高のデジタル値に比例したチャンネルにそれぞれ充てられる。このようにして各電気パルス信号Gをチャンネル毎にカウントすることで、波高分析部12は、各電気パルス信号Gのエネルギー値ごとの計数を示す、第1エネルギー分布としての波高スペクトルMを導出する。
図2は、本実施の形態1による放射能分析装置100により導出される波高スペクトルMを示す図である。
本図において、電気パルス信号Gの波高に対応するエネルギー値を横軸、各チャンネルにおける電気パルス信号Gの計数を縦軸として表している。
この図2では、例えば検出部1のセンサとしてヨウ化ナトリウム(NaI)等のシンチレーション式検出部を用いた場合の波高スペクトルを表しており、入射した測定放射性物質の放射線Ra1のエネルギー値をE1として示し、外部放射線Ra2のエネルギー値をE2として示す。
エネルギー値E1、E2は、その周囲にエネルギー値の広がりを持っており、この領域を全吸収ピークという。この広がりの程度を、適用するセンサの分解能といい、広がりが狭いほど分解能が優れているという。この分解能はセンサの特性であり、センサの種類および品質により決まる。全吸収ピークより低いエネルギー領域の分布をコンプトン散乱領域といい、センサの大きさが有限であるため、必ず現れる領域である。このコンプトン領域の分布面積が小さいほど、全吸収ピークの分布面積が大きいほど優れたセンサといえる。この図2に示す波高スペクトルMは、後段の演算部20に入力される。
演算部20は、バックグラウンド除去部21と、信号復元部22と、放射能濃度演算部23と、を有する。
バックグラウンド除去部21は、記憶部30内に格納されているバックグラウンド応答関数31を用いて、波高スペクトルMに含まれる外部放射線Ra2に由来するバックグラウンドを除去する分離制御を行う。このバックグラウンド除去部21による分離制御、および、バックグラウンド応答関数31の詳細は後述する。
バックグラウンド除去部21による分離制御により、外部放射線Ra2に由来する影響が除去された波高スペクトルMは、信号復元部22に入力される。
信号復元部22は、バックグラウンド除去部21が出力した波高スペクトルMに対して、記憶部30に記憶されているフォアグラウンド応答関数32とバックグラウンド応答関数31とを用いて信号復元演算である逆問題演算を施すことで、測定放射性物質Rmの放射線Ra1のエネルギー分布を示す第2エネルギー分布としてのエネルギースペクトルSを導出する。
つまり、Mを波高スペクトル、Rを応答関数、Sを放射線のコンプトン散乱等の相互作用による影響が排除されたエネルギースペクトルとして、下記の(式1)が成立するところ、応答関数は一般に可換群を形成するので逆元が存在し、信号復元部22は、この(式1)の逆変換となる(式2)を計算し、エネルギースペクトルSを抽出する。
なお、“R-1”は応答関数の逆元を示す。
Figure 0007162586000001
Figure 0007162586000002
ここで、Mで表す波高スペクトルおよびSで表すエネルギースペクトルをそれぞれベクトル表記、つまりチャンネル数に応じたカウント数をベクトル成分として表すと、応答関数Rおよび応答関数Rの逆元R-1はそれぞれ行列、逆行列と称することができる。
そして、逐次近似法によりフィードバック的操作を行い、予めシミュレーション等により算出された応答関数Rを用いて、測定対象物OBを計測して得られる波高スペクトルMからエネルギースペクトルSを詳細化していき、目的のエネルギースペクトルSを求めることができる。
なお、フォアグラウンド応答関数32は、検出部1と放射線Ra1との相互作用を表しており、検出部1の種類、検出部1と測定放射性物質Rmとの位置関係、検出部1の周辺構造物等による相互作用による影響、検出部1にかかわるコンプトン散乱等の統計的なバラつきによる影響、等に対応している。このフォアグラウンド応答関数32は、測定放射性物質Rmから放射線Ra1が放出され検出部1が電気パルス信号Gを出力するまでの現象を、コンピュータ上で実施される三次元モンテカルロ計算手法を利用してシミュレーションすることにより得られる。
逐次近似法を適用すると、上記(式2)のエネルギースペクトルSの求め方が以下のようになる。
エネルギースペクトルSの初期値として測定値の波高スペクトルMをそのまま代入して、
Figure 0007162586000003
次に、下記(式4)、(式5)をフィードバック的に繰り返し、S^(m+1)/S^(m)が収束するまで繰り返す。
Figure 0007162586000004
Figure 0007162586000005
但し、N:チャンネル数、m:逐次近似法における繰り返し回数
図3は、実施の形態1による放射能分析装置100の信号復元部22により導出されたエネルギースペクトルSを示す図である。
本図に示すように、逆問題演算により波高スペクトルMに見られたコンプトン散乱領域および全吸収ピークの広がりが無くなる。つまり、エネルギースペクトルSでは、検出部1および測定放射性物質Rmの周辺構造物等による相互作用による影響、および、検出部1にかかわるコンプトン散乱等の統計的なバラつきによる影響が排除されている。
また、バックグラウンド除去部21による分離制御により外部放射線Ra2に由来するエネルギー情報が除去されている。
こうして、導出されたエネルギースペクトルSに含まれる情報は、測定放射性物質Rmの放射線Ra1がエネルギー値E1を持つことを示し、測定放射性物質Rmの放射性核種の種類を示すものである。
以上のように、(式2)を解くことにより、Mで表される波高スペクトルから、測定放射性物質Rmの放射線Ra1のエネルギー情報のみを含むSで表されるエネルギースペクトルを導出できる。
放射能濃度演算部23は、導出されたエネルギースペクトルSにおける測定放射性物質Rmのエネルギー値E1に基づいて、測定放射性物質Rmの核種を弁別して同定を行う。
また、放射能濃度演算部23は、これらのチャンネル毎すなわちエネルギー毎のカウント数に対して、核種毎に固有である特定の放射線を放出する分岐比を除算する。これにより、測定対象物OBに含まれる、求めるべき測定放射性物質Rmの放射能強度を演算できる。
ここで、通常、放射能強度は、エネルギーピーク部分のE1における計数のみから求められ、コンプトン散乱領域における計数は放射線の核種同定に利用出来ないため核種分析に使用されない。そのため、波高スペクトルMに基づいた放射性物質の評価を行うと、分析精度が低下するが、このように逆問題演算により導出された、コンプトン散乱領域等の広がりが無いエネルギースペクトルSに基づいた放射能の評価では、高い分析精度が得られる。こうして、測定放射性物質Rmの放射線Ra1のエネルギー情報を正確に把握でき、放射線Ra1を放出した測定放射性物質Rmの同定の精度が向上する。
次に外部出力部40は、波高分析部12の出力である波高スペクトルMと、信号復元部22の出力であるエネルギースペクトルSと、放射能濃度演算部23の出力である放射能量を、放射能分析装置100の外部に出力する。出力されたこれらの情報は、操作者等により利用される。
ここで、上記に示した図3では、バックグラウンド除去部21による分離制御により、外部放射線Ra2に由来するバックグラウンドを除去した波高スペクトルMに基づいて導出したエネルギースペクトルSを示した。
以下、外部放射線Ra2に由来するバックグラウンドを除去しない場合の波高スペクトルMに基づいて導出したエネルギースペクトルSについて説明する。
図4は、外部放射線に由来するバックグラウンドを除去しない、参考例の放射能分析装置により導出されるエネルギースペクトルを示す。
それぞれ異なるエネルギー値E1、E2を有する測定放射性物質Rmの放射線Ra1、外部放射線Ra2が検出部に入射した場合であって、外部放射線に由来するバックグラウンドを除去しない場合には、放射線Ra1のエネルギー値E1以外の、外部放射線Ra2のエネルギー値E2においてもカウントを示すようになる。
測定放射性物質Rmが発する放射線Ra1とは別の外部放射線Ra2が存在した場合、その外部放射線Ra2による応答は先に記載の応答関数Rとは異なる応答を示す。
RBGを外部放射線Ra2による応答関数、SBGを放射線の相互作用による影響が排除された外部放射線Ra2のエネルギースペクトルとすると、下記の(式6)が成立する。
Figure 0007162586000006
SBGをバックグラウンドとして除去しないまま(式2)により応答関数Rの逆元R-1とMを用いてSを導出すると、下記の(式7)に示すようにSBGの影響を受けた結果が得られる。
Figure 0007162586000007
上記(式7)より、SBGが単一のエネルギーであったとしても、R-1・RBGは一般に非対角成分を含むため、R-1・RBG・SBGは広がりをもつスペクトルになる。このため、外部放射線Ra2による波高スペクトルMは、逆問題演算により得られるエネルギースペクトル中にバックグラウンドとして寄与し、測定放射性物質Rmの放射能量の測定精度が悪化する要因になる。上記(式6)のSとSBGは共に未知数であるため、M、R、RBGが既知であっても、SとSBGは、(式6)の関係式のみでは一意に定まらない。
本実施の形態のバックグラウンド除去部21は、測定結果に応じたフィルタリングを行うことでSBGの影響を排除し、エネルギースペクトルSの測定精度を改善する。
以下、本実施の形態の放射能分析装置100の要部である、演算部20のバックグラウンド除去部21によるバックグラウンド除去過程(分離制御)について説明する。
図5は、本実施の形態の演算部20のバックグラウンド除去部21による、バックグラウンド除去過程(分離制御)の各工程を示すフロー図である。
先ず、波高スペクトル入力工程S1において、波高分析部12の出力である波高スペクトルMが入力される。
次に、BG信号復元工程S2において、入力された波高スペクトルMに対してバックグラウンド応答関数31を用いた外部放射線Ra2に対する逆問題演算を実施する。
(式7)におけるR-1と同様に、RBGもまた一般に可換群を形成するので逆元が存在する。バックグラウンド除去部21は、(式6)の逆変換となる下記の(式8)を計算し、外部放射線Ra2に対するエネルギースペクトルSを抽出する。尚、“RBG-1”はバックグラウンド応答関数31の逆元を示す。
Figure 0007162586000008
(式8)により得られるエネルギースペクトルにおいて、SBGは独立した項として示されている。即ち、RBG-1・R・Sで示される項が未知であっても、SBGは正しく逆問題演算を解かれるため、SBGはエネルギースペクトルS中にピークとして現れる。このようにバックグラウンド除去部21は、導出されたエネルギースペクトルSにおいて、外部放射線Ra2のエネルギー値を導出する。ここで、RBG-1・R・Sで示される項は未知であるが、エネルギースペクトルS中においてピークとしては現れず広がりを持つため、ピークとして現れるSBGとの判別が可能となる。
次に、BG除去工程S3において、(式8)により得られたエネルギースペクトルからSBGを選択的に除去することで、下記の(式9)が得られる。
Figure 0007162586000009
SBGを除去する手段として、導出された外部放射線Ra2のエネルギー帯域を非通過帯域とするフィルタ処理が挙げられる。例えば、エネルギースペクトルSに対してローパスフィルタを適応することでバックグラウンドを除去する。特に、測定放射性物質Rmの核種を特定している場合、その核種が放出するエネルギー以上の放射線は入射しないため、エネルギースペクトル中のそのエネルギー以上の成分を除去するローパスフィルタは統計精度が低い場合でも真の信号を失わずにバックグラウンドを除去できる。
他のバックグラウンドの除去手段として、エネルギースペクトルSに対するバンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、コベル法等が考えられる。バンドパスフィルタにおいては一部フォアグラウンドである測定放射性物質Rmに関する信号を除去してしまうが、除去する信号は広がったスペクトルの内の一部であり、バックグラウンドの低減効果が得られる。
次に、信号化工程S4において、バックグラウンドの影響を取り除いたエネルギースペクトルSに対して、応答関数RBG(第2応答関数)を用いてフォールディングすることで、外部放射線Ra2に由来するバックグラウンドの影響が分離され、外部放射線Ra2のエネルギーの影響を低減あるいは除去した波高スペクトルMが導出される。
次に、波高スペクトル出力工程S5において、再導出された波高スペクトルMを、信号復元部22に対して出力する。
以上のS1~S5に示されるバックグラウンド除去過程(分離制御)を行うことで、波高スペクトルMから、外部放射線Ra2に由来するバックグラウンドの影響を分離できる。
なお、逆問題演算の解法としてアンフォールディングのみならず、(式1)を下記(式10)、(式2)を下記(式11)と捉えることで、機械学習による手法等を用いて逆問題演算を行ってもよい。但し、“f”は一般的な関数、“f-1”はfの逆関数を表す。
Figure 0007162586000010
Figure 0007162586000011
また、バックグラウンド除去部21におけるバックグラウンド除去過程(分離制御)は、BG信号復元工程S2~信号化工程S4を複数回繰り返すことで、それぞれ発生源が異なる種々のバックグラウンドを除去できる。
また、バックグラウンド応答関数31は、外部放射線発生源から外部放射線Ra2が放出され検出部1が電気パルス信号Gを出力するまでの現象を、コンピュータ上で実施される三次元モンテカルロ計算手法を利用してシミュレーションすることにより得られる。
まず、外部放射線Ra2の発生源の位置分布を仮定し、過程された発生源の位置分布及びこの外部放射線Ra2が検出部1に入射するまでの経路に影響する構造物等の物質の三次元モデル、即ち、三次元モンテカルロ計算手法に必要な物理情報である形状、密度、元素構成比を示す三次元モデル、を作成する。この三次元モデルには放射能分析装置100及び測定放射性物質Rmも含まれる。そして、コンピュータ上で実施される三次元モンテカルロ計算手法によりシミュレーションを行い、外部放射線Ra2による検出部1の応答を求めることでバックグラウンド応答関数31が得られる。
外部放射線Ra2の発生源が未知の場合の近似的なモデルとして、未知の外部放射線Ra2は十分遠方から飛来すると仮定し、平行ビーム、もしくはランダムに飛来する方向に依存しない放射条件である等方ビーム、として近似することが考えられる。
上記のように構成された実施の形態の放射能分析装置は、
放射性物質から放出される放射線が入射されると入射放射線のエネルギーに対応する検出信号を出力する検出部と、
前記検出信号のエネルギー値ごとの計数を示すエネルギー分布である第1エネルギー分布を導出する分析部と、
前記検出部の応答関数を格納する記憶部と、
前記第1エネルギー分布に対して、前記応答関数を用いた信号復元演算を行うことにより前記放射性物質の放射線のエネルギー分布である第2エネルギー分布を演算して、前記放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する演算部と、を備え、
前記応答関数は、測定対象物に含まれる前記放射性物質である測定放射性物質に対する第1応答関数と、前記測定対象物に含まれない前記放射性物質である外部放射性物質に対する第2応答関数と、を有して構成され、
前記演算部は、
前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布から、前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを分離する分離制御を行い、該分離制御が行われた前記第2エネルギー分布に基づいて、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該測定放射性物質の放射能強度を演算する、
ものである。
このように、放射能分析装置は、応答関数として、測定対象物に含まれない外部の放射性物質に対する第2応答関数を有している。
そして、放射能分析装置は、第1エネルギー分布としての波高スペクトルMに対して、この第2応答関数を用いた信号復元演算を行う。これにより、演算された第2エネルギー分布としてのエネルギースペクトルSから、外部放射性物質の放射線のエネルギーを分離する分離制御を行う。こうして、測定対象物以外から放出される外部放射線に由来するエネルギーの影響を低減あるいは除去することができるため、例えば低強度の放射線を測定対象とする際においても高い放射能の評価性能を得られる。
また、高エネルギーの環境放射線、等の物質の透過力が高い外部放射線の影響を低減するために、測定対象物を封入する鉛等から成る遮蔽容器の厚みを増やす必要がない。そのため、放射能分析装置の小型化、軽量化、低コスト化を実現できる。
また、放射線検出器の前に測定対象物を置いていない状態で外部放射線によるバックグラウンド計数率を測定し、その後、放射線検出器の前に測定対象物を置いた状態で計数率を測定し、計数率からバックグラウンド計数率を差し引くというような手法も必要としない。これにより、作業工程の効率化を図れる。また、このように測定対象物を置かない状態でバックグラウンド計数率を測定する必要がないため、水、構造物、などの測定場所から移動させることができず、連続的に放射線を発するような測定対象物に対しても、外部放射線による影響を低減あるいは除去して、精度良く放射能評価を行える。
また、上記のように構成された実施の形態の放射能分析装置は、
前記演算部は、前記分離制御において、
前記外部放射性物質の前記検出信号の計数を含んだ前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布において前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを導出し、前記第2エネルギー分布に対して、導出された前記外部放射性物質の放射線のエネルギーの帯域を非通過帯域とするフィルタ処理を行う、
ものである。
このように、放射能分析装置は、第2応答関数を用いた信号復元演算を行うことにより、導出されたエネルギースペクトルSにおいて、外部の放射線のエネルギーをピークとして表し、そのエネルギー値を導出する。そして、ピークとして現れる外部放射線のエネルギー帯域を非通過帯域とする分離制御としてのフィルタ処理をエネルギースペクトルSに対して行うことで、エネルギースペクトルSから、外部放射線のエネルギーを分離できる。このような分離制御を行うことにより、測定対象物以外から放出される外部放射線に由来するエネルギーの影響の低減あるいは除去が可能となる。
また、上記のように構成された実施の形態の放射能分析装置は、
前記演算部は、
前記分離制御における前記フィルタ処理が行われた前記第2エネルギー分布を前記第1応答関数を用いて前記第1エネルギー分布に再導出し、再導出された前記第1エネルギー分布に対して、前記第1応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する、
ものである。
このように、放射能分析装置は、フィルタ処理により外部放射線のエネルギーが分離されたエネルギースペクトルSから、波高スペクトルMを再導出する。そして、放射能分析装置は、この再導出された波高スペクトルMに対して第1応答関数を用いた信号復元演算を行うことで、測定対象の放射性物質の放射線のみを含むエネルギースペクトルSを導出できる。これにより、外部放射線による影響を低減あるいは除去して、精度良い放射性核種の同定、放射能強度の評価を行える。
また、上記のように構成された実施の形態の放射能分析装置は、
前記第2応答関数は、
前記外部放射性物質の発生源の位置分布が仮定され、仮定された前記位置分布から前記外部放射性物質からの放射線が前記検出部に入射するまでの線路における物質の形状、密度、元素構成比、の少なくとも一つを示す三次元モデルに基づいて導出される、
ものである。
このように、外部放射線に対する第2応答関数は、仮定された外部放射線の位置から、検出部までの線路における構造物等の物質の三次元モデルに基づいて導出されるため、検出部と外部放射線との相互作用をより反映させたものである。
これにより、信号復元演算の精度を向上させることができ、外部放射線による影響の低減あるいは除去を高精度に実施できる。
また、上記のように構成された実施の形態の放射能分析装置は、
前記第2応答関数は、
前記外部放射性物質からの放射線を、平行ビーム、あるいは、方向に依存しない放射条件である等方照射のビーム、として近似して導出される、
ものである。
このように、外部放射性物質からの外部放射線を、平行ビーム、あるいは、方向に依存しない放射条件である等方照射のビーム、として近似するため、例えば、未知の外部放射性物質から飛来する外部放射線に対しても精度良い第2応答関数を設定できる。
これにより、信号復元演算の精度を向上させることができ、外部放射線による影響の低減あるいは除去を高精度に実施できる。
実施の形態2.
以下、本願の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図6は、実施の形態2による放射能分析装置200の概略構成図である。
本実施の形態の放射能分析装置200では、演算部220において、妥当性評価部224を新たに設けた構成としている。
実施の形態1に示したバックグラウンド除去過程(分離制御)は、ピークとして現れる外部放射線のエネルギー帯域を非通過帯域とする分離制御としてのフィルタ処理をエネルギースペクトルSに対して行う。よって、測定対象物OBから発せられる放射線Ra1と外部放射線Ra2のエネルギーがそれぞれ異なる場合において、外部放射線Ra2に由来するバックグラウンドの低減が可能である。
しかしながら、測定対象物OBから発せられる放射線Ra1と外部放射線Ra2のエネルギーがそれぞれ同じ場合では、エネルギースペクトルS上では、同じエネルギーに解析される。この場合、フィルタ処理等によりバックグラウンドを除去することが困難となる。
本実施の形態の放射能分析装置200によるバックグラウンド除去過程(分離制御)では、このような測定対象物OBから発せられる放射線Ra1と外部放射線Ra2のエネルギーが同じ場合においても、高い分析精度が得られるものである。
以下、本実施の形態2の放射能分析装置200の演算部220によるバックグラウンド除去過程(分離制御)について説明する。
図7は、本実施の形態の演算部220によるバックグラウンド除去過程(分離制御)の各工程を示すフロー図である。
なお、図7における、波高スペクトル入力工程S1、BG信号復元工程S2、信号化工程S4、波高スペクトル出力工程S5は、実施の形態1と同じである。また、図7における信号復元工程S6は、信号復元部22による逆問題演算工程を示しており、これも実施の形態1と同じである。
実施の形態1と同様に、BG信号復元工程S2において、バックグラウンド除去部21は、入力された波高スペクトルMに対してバックグラウンド応答関数31を用いた外部放射線Ra2に対する逆問題演算を実施する。
これにより導出されたエネルギースペクトルSにおいて、SBGが独立したピークとして現れない場合、即ち、外部放射線Ra2のエネルギー値と測定放射性物質Rmから発せられる放射線Ra1のエネルギー値が同じである場合、バックグラウンド除去部21は、以下のBG除去工程S203を行う。
本実施の形態のBG除去工程S203では、実施の形態1と異なり、測定対象物OBが発する特定のエネルギーの放射線Ra1と同じエネルギーの計数に対して、外部放射線Ra2による寄与を仮定して一定量の初期値を減算する。
即ち、バックグラウンド除去部21は、入力されたエネルギースペクトルSにおいて、測定放射性物質Rmのエネルギー値のピークにおける計数から、設定された初期値を減算する。この初期値は、外部放射線Ra2による計数に相当する分を予測して設定される。
次に、信号化工程S4において、バックグラウンドの影響による予測計数が減算されたエネルギースペクトルSに対して、実施の形態1と同様に、バックグラウンド応答関数31を用いてフォールディングし、波高スペクトルMを再導出する。再導出された波高スペクトルMは、波高スペクトル入力工程S1において入力された波高スペクトルMと比較して、バックグラウンドの影響による予測計数が減算されたものとなる。
次に、実施の形態1と同様に、波高スペクトル出力工程S5において、再導出された波高スペクトルMを、信号復元部22に対して出力する。
次に、信号復元部22は、実施の形態1と同様に、信号復元工程S6において、バックグラウンド除去部21が出力した波高スペクトルMに対して、フォアグラウンド応答関数32を用いて、信号復元演算である逆問題演算を施すことで、エネルギースペクトルSを導出する。
次に、妥当性評価部224は、妥当性評価工程S207において、外部放射線Ra2による寄与の仮定である初期値が正しいことを評価する。外部放射線Ra2による寄与の仮定が正しい場合、導出されたエネルギースペクトルSにおいて、測定対象物OBが発する放射線Ra1によるエネルギースペクトルは広がりを持たず特定のエネルギー値にのみピークを持つ。このため、信号復元工程S6により得られたエネルギースペクトルSにおいてスペクトルの広がりが最も少ない場合に、外部放射線による寄与について最良の仮定が与えられたと判断する。こうして演算部220は、導出されたエネルギースペクトルSにおいて測定放射性物質Rmの放射線Ra1のエネルギー分布域の幅が最小となるまで、設定された初期値の増減を繰り返す収束演算を行う。
このように、演算部220は、妥当性評価工程S207の結果によって、繰り返しバックグラウンド除去部21と信号復元部22による処理を行って、バックグラウンド除去性能を向上させる。
宇宙線による制動放射等、外部放射線の発生源が連続的な分布を有している場合であっても、外部放射線によるエネルギースペクトルが既知の場合は、BG除去工程S203において外部放射線によるエネルギースペクトルの線形和として減算する。即ち、測定放射性物質Rmのエネルギーのピーク値に対してのみの減算ではなく、既知の外部放射線によるエネルギースペクトルを、設定された初期値として減算する。そして、上述と同じ手法により、バックグラウンドの強度を推定し、エネルギースペクトルSの計数からこのバックグラウンドの計数を除去することで良い測定精度が得られる。
本実施の形態によれば、鉛遮蔽では遮蔽しきれない高エネルギーγ線、宇宙線由来の制動放射等に対しても有効であり、従来の技術では達成し得なかった高精度な測定を実現できる。
上記のように構成された実施の形態の放射能分析装置は、
前記演算部は、前記分離制御において、
前記第2エネルギー分布における、前記測定放射性物質の放射線の計数から設定された初期値を減算し、減算された該第2エネルギー分布から前記第1エネルギー分布を再導出し、再導出された前記第1エネルギー分布に対して前記第1応答関数を用いた前記信号復元演算を行って前記第2エネルギー分布を再導出し、
再導出された前記第2エネルギー分布において、前記測定放射性物質のエネルギーの分布域が最小となるまで前記初期値の増減を繰り返し行う収束演算を実施する、
ものである。
測定対象物から発せられる放射線のエネルギー値と外部放射線のエネルギー値とが同じ場合、第1応答関数を用いた信号復元演算を行うと、波高スペクトルMから導出されたエネルギースペクトルSにおいて、測定対象物が発する放射線のエネルギー値は、外部放射線の影響によりその近辺に広がりを持つ。よって、放射能分析装置は、エネルギースペクトルSにおける測定対象物質が放射する放射線の計数から、外部放射線による寄与を仮定して一定量の初期値を減算する。そして、放射能分析装置は、この減算されたエネルギースペクトルSから波高スペクトルMを再導出する。そして、放射能分析装置は、この波高スペクトルMから再導出されたエネルギースペクトルSにおいて測定対象物が発する放射線のエネルギーの広がりが最小となる時の初期値が、外部放射線による計数と判断する。こうして、外部放射線による計数を正確に除去することで、測定対象物から発せられる放射線のエネルギー値と外部放射線のエネルギー値とが同じ場合においても、測定対象物以外から放出される外部放射線に由来するエネルギーの影響を高精度に除去でき、高い放射能の評価性能を得られる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
1 検出部、10 信号処理部(分析部)、20,220 演算部、30 記憶部、
OB 測定対象物、Rm 測定放射性物質、100,200 放射能分析装置。

Claims (4)

  1. 放射性物質から放出される放射線が入射されると入射放射線のエネルギーに対応する検出信号を出力する検出部と、
    前記検出信号のエネルギー値ごとの計数を示すエネルギー分布である第1エネルギー分布を導出する分析部と、
    前記検出部の応答関数を格納する記憶部と、
    前記第1エネルギー分布に対して、前記応答関数を用いた信号復元演算を行うことにより前記放射性物質の放射線のエネルギー分布である第2エネルギー分布を演算して、前記放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する演算部と、を備え、
    前記応答関数は、測定対象物に含まれる前記放射性物質である測定放射性物質に対する第1応答関数と、前記測定対象物に含まれない前記放射性物質である外部放射性物質に対する第2応答関数と、を有して構成され、
    前記演算部は、
    前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布から、前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを分離する分離制御を行い、該分離制御が行われた前記第2エネルギー分布に基づいて、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該測定放射性物質の放射能強度を演算し、
    前記分離制御において、
    前記外部放射性物質の前記検出信号の計数を含んだ前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布において前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを導出し、前記第2エネルギー分布に対して、導出された前記外部放射性物質の放射線のエネルギーの帯域を非通過帯域とするフィルタ処理を行い、
    前記分離制御における前記フィルタ処理が行われた前記第2エネルギー分布を前記第1エネルギー分布に再導出し、再導出された前記第1エネルギー分布に対して、前記第1応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する、
    放射能分析装置。
  2. 放射性物質から放出される放射線が入射されると入射放射線のエネルギーに対応する検出信号を出力する検出部と、
    前記検出信号のエネルギー値ごとの計数を示すエネルギー分布である第1エネルギー分布を導出する分析部と、
    前記検出部の応答関数を格納する記憶部と、
    前記第1エネルギー分布に対して、前記応答関数を用いた信号復元演算を行うことにより前記放射性物質の放射線のエネルギー分布である第2エネルギー分布を演算して、前記放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該放射性物質の放射能強度を演算する演算部と、を備え、
    前記応答関数は、測定対象物に含まれる前記放射性物質である測定放射性物質に対する第1応答関数と、前記測定対象物に含まれない前記放射性物質である外部放射性物質に対する第2応答関数と、を有して構成され、
    前記演算部は、
    前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布から、前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを分離する分離制御を行い、該分離制御が行われた前記第2エネルギー分布に基づいて、前記測定放射性物質の核種を弁別すると共に、弁別された該測定放射性物質の放射能強度を演算し、
    前記分離制御において、
    前記外部放射性物質の前記検出信号の計数を含んだ前記第1エネルギー分布に対して、前記第2応答関数を用いた前記信号復元演算を行うことにより、演算された前記第2エネルギー分布において前記外部放射性物質の放射線のエネルギーを導出し、前記第2エネルギー分布に対して、導出された前記外部放射性物質の放射線のエネルギーの帯域を非通過帯域とするフィルタ処理を行い、
    前記分離制御において、
    前記第2エネルギー分布における、前記測定放射性物質の放射線の計数から設定された初期値を減算し、減算された該第2エネルギー分布から前記第1エネルギー分布を再導出し、再導出された前記第1エネルギー分布に対して前記第1応答関数を用いた前記信号復元演算を行って前記第2エネルギー分布を再導出し、
    再導出された前記第2エネルギー分布において、前記測定放射性物質のエネルギーの分布域が最小となるまで前記初期値の増減を繰り返し行う収束演算を実施する、
    放射能分析装置。
  3. 前記第2応答関数は、
    前記外部放射性物質の発生源の位置分布が仮定され、仮定された前記位置分布から前記外部放射性物質からの放射線が前記検出部に入射するまでの線路における物質の形状、密度、元素構成比、の少なくとも一つを示す三次元モデルに基づいて導出される、
    請求項1または請求項2に記載の放射能分析装置。
  4. 前記第2応答関数は、
    前記外部放射性物質からの放射線を、平行ビーム、あるいは、方向に依存しない放射条件である等方照射のビーム、として近似して導出される、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射能分析装置。
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