JP2022139073A - 被覆澱粉、生地食品用ミックス及び生地食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】難消化性澱粉を含有する食品に特有の課題であるざらついた食感を改善し、該食品に舌触りのよい滑らかな食感を付与し得る技術を提供すること。【解決手段】本発明の被覆澱粉は、難消化性澱粉を主体とする芯材の表面に、油脂を含むコーティング材が付着した構成を有する。前記芯材に対する前記油脂の付着量は、該芯材100質量部に対して5~25質量部である。好ましくは、前記コーティング材は乳化剤を含み、該乳化剤はHLBが1~15、炭素数が12~22である。前記コーティング材は、二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムから選択される1種以上を含むことが好ましい。【選択図】なし
Description
本発明は、難消化性澱粉の改良技術に関する。
糖質は、脂質及び蛋白質と並ぶ3大栄養素の1つである。しかし糖質は、多量に摂取すると体脂肪増加の一因となり、また糖質を多量に摂取して血糖値が上昇すると、糖尿病のリスク要因となる場合がある。そのため、近年、低糖質の食品に対するニーズが高まっている。
ベーカリー食品、麺類等に代表される生地食品は、典型的には、穀粉、澱粉等の粉体原料と水等の液体原料との混合物である生地を中間製品として製造され、糖質を多く含む。そこで、生地食品の低糖質化を目的として、生地食品に含まれる穀粉(糖質)を食物繊維に置き換えることが従来行われており、該食物繊維として、難消化性澱粉、難消化性デキストリン、イヌリン等が用いられている。しかしながら、生地食品に食物繊維を含有させると、生地食品にざらついた食感が生じて食味、食感等が低下し、食品としての美味しさが損なわれるという問題がある。この傾向は、難消化性澱粉を用いた場合に顕著である。
特許文献1には、難消化性澱粉を含む低糖質な麺類において、難消化性澱粉を含む原料粉にタラガム及び/又は特定の性質のヒドロキシプロピルメチルセルロースを特定量添加することにより、麺類の製麺性、食感を向上させることができる旨記載されている。特許文献2には、難消化性澱粉の含有量が70質量%以上の水熱処理された澱粉成分と、グアーガム等のハイドロコロイドとを含む複合体が記載されている。特許文献2に記載の複合体によれば、難消化性澱粉に起因する食味、食感の低下を抑制しつつ、摂取カロリーを低減することができるとされている。
本発明の課題は、難消化性澱粉を含有する食品に特有の課題であるざらついた食感を改善し、該食品に舌触りのよい滑らかな食感を付与し得る技術を提供することである。
本発明は、難消化性澱粉を主体とする芯材の表面に、油脂を含むコーティング材が付着した被覆澱粉であって、前記芯材に対する前記油脂の付着量が、該芯材100質量部に対して5~25質量部である、被覆澱粉である。
また本発明は、前記の本発明の被覆澱粉を含む、生地食品用ミックスである。また本発明は、前記の本発明の被覆澱粉を含む、生地食品である。
本発明によれば、難消化性澱粉を含有することで低糖質且つ低カロリーでありながらも、難消化性澱粉に特有のさらつきが改善された被覆澱粉が提供される。
また本発明によれば、難消化性澱粉を含有することで低糖質且つ低カロリーでありながらも、舌触りのよい滑らかな食感の生地食品、及びそのような高品質の生地食品を製造可能な生地食品用ミックスが提供される。
また本発明によれば、難消化性澱粉を含有することで低糖質且つ低カロリーでありながらも、舌触りのよい滑らかな食感の生地食品、及びそのような高品質の生地食品を製造可能な生地食品用ミックスが提供される。
本発明の被覆澱粉は、難消化性澱粉を主体とする芯材の表面に、油脂を含むコーティング材が付着したものである。本発明の被覆澱粉は、難消化性澱粉を含有するため、低糖質且つ低カロリーであり、また、難消化性澱粉に特有の課題であるざらついた食感は、油脂を含むコーティング材によって解消されている。
芯材は、難消化性澱粉(レジスタントスターチ)を主体とする。ここでいう「主体とする」とは、芯材の全質量の50質量%以上、好ましくは70質量%以上が難消化性澱粉であることを指す。本発明に係る芯材は、典型的には、実質的に難消化性澱粉からなり、微量の不純物(難消化性澱粉の精製で除去しきれなかった物質)を含む場合がある。
難消化性澱粉は、消化酵素で消化され難い性質を有する澱粉であり、食物繊維の一種である。本明細書において「食物繊維」とは、ヒトの消化酵素で消化されない食品成分である。澱粉は、ブドウ糖がα(1、4)結合、α(1、6)結合で多数結合した高分子であり、生物由来の澱粉は一般的には消化酵素で分解される。しかしながら、生物由来であっても、一部又は全体に特定の構造を有する澱粉や、化学的に修飾を受けた澱粉は、消化酵素に抵抗性を示すようになる。
一般に、難消化性澱粉は、下記RS1~RS4の4種類に分類される。
RS1は、澱粉それ自体は消化されやすいものの、外皮等により物理的に保護されているために、消化酵素が作用できずに消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、主に全粒粉、種子、マメ類等に含まれる。
RS2は、澱粉粒の特殊な結晶構造に起因して消化抵抗性を示す難消化性澱粉(生澱粉)であり、低水分条件で湿熱処理を行った馬鈴薯澱粉や、未熟バナナ澱粉を例示できる。又ハイアミロース澱粉も、直鎖構造のアミロースが多く、RS2に分類される。
RS3は、澱粉の老化により消化酵素が作用しにくい構造に変化したために消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、加熱により一旦糊化(α化)させた後、冷却して得られる老化澱粉(β化澱粉)を例示できる。
RS4は、高度に化学修飾されたことにより消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、強い架橋処理が施された架橋澱粉、エーテル化及び/又はエステル化された澱粉を例示できる。
本発明では、難消化性澱粉(芯材)として、RS1~RS4から選択される1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
RS1は、澱粉それ自体は消化されやすいものの、外皮等により物理的に保護されているために、消化酵素が作用できずに消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、主に全粒粉、種子、マメ類等に含まれる。
RS2は、澱粉粒の特殊な結晶構造に起因して消化抵抗性を示す難消化性澱粉(生澱粉)であり、低水分条件で湿熱処理を行った馬鈴薯澱粉や、未熟バナナ澱粉を例示できる。又ハイアミロース澱粉も、直鎖構造のアミロースが多く、RS2に分類される。
RS3は、澱粉の老化により消化酵素が作用しにくい構造に変化したために消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、加熱により一旦糊化(α化)させた後、冷却して得られる老化澱粉(β化澱粉)を例示できる。
RS4は、高度に化学修飾されたことにより消化抵抗性を示す難消化性澱粉であり、強い架橋処理が施された架橋澱粉、エーテル化及び/又はエステル化された澱粉を例示できる。
本発明では、難消化性澱粉(芯材)として、RS1~RS4から選択される1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、難消化性澱粉の供給源は特に制限されず、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉等、各種植物由来の難消化性澱粉を用いることができるが、特にエンドウ由来の難消化性澱粉が好ましい。エンドウ(学名:Pisum sativum L.)は、マメ科エンドウ属の食用マメ類の一種であり、種子や若いさやを食用とする。エンドウ由来の難消化性澱粉を芯材に用いることで、製造コストを抑えつつ、ざらつきを抑えることが可能となる。
本発明で用いる難消化性澱粉(芯材)は、天然の澱粉(未加工の澱粉)でもよく、加工澱粉でもよい。ただし、天然の難消化性澱粉は、食物繊維含有量が30質量%未満のものが多く、低糖質且つ低カロリーを謳う製品に適用する場合には必ずしも好適ではない。これに対し、加工により得られた難消化性澱粉、例えば、RS2に湿熱処理等の熱処理が施されたものは、熱処理によって食物繊維含有量が高められているので、本発明で用いるのに好ましい。例えば、澱粉中のアミロース含量が70質量%のハイアミロースコーンスターチは、未加工の状態では食物繊維含有量が20質量%程度に過ぎないが、これを湿熱処理したものは、食物繊維含有量が60質量%程度に増加しており、本発明で難消化性澱粉(芯材)として用いるのに好適である。
なお、本明細書において「食物繊維含有量」とは、AOAC2011.25に基づき定量される値である。例えば、食物繊維含有量は、市販の測定キット、例えば食物繊維測定キット(和光純薬工業)等を利用して測定することができる。
なお、本明細書において「食物繊維含有量」とは、AOAC2011.25に基づき定量される値である。例えば、食物繊維含有量は、市販の測定キット、例えば食物繊維測定キット(和光純薬工業)等を利用して測定することができる。
本発明では、難消化性澱粉(芯材)として、市販品を用いることができる。例えば、RS2の難消化性澱粉を含有する市販品の例として、日食ロードスター(日本食品化工株式会社製)、ハイメイズ1043(日本エヌエスシー株式会社製)、Actistar 11700(株式会社カーギルジャパン製)が挙げられる。RS4の難消化性澱粉を含有する市販品の例として、パインスターチRT(松谷化学工業株式会社製)、ノベロース(イングレディオン・インコーポレイテッド製)、ファイバージムRW(松谷化学工業株式会社製)、Actistar RT 75330(株式会社カーギルジャパン製)が挙げられる。
芯材の形状は特に制限されず、一般に粉状、粒状、顆粒状などと称されるものであり得る。また、芯材の大きさも特に制限されず、被覆澱粉の用途等に応じて適宜調整し得る。被覆澱粉の食感とハンドリング性とのバランス等の観点から、芯材のメディアン径は、好ましくは1000~5μm、より好ましくは200~10μmである。本明細書において「メディアン径」は、乾式法のレーザー回折・散乱法により測定される粉末糖の体積基準の粒度分布累積曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径とする。メディアン径は、市販のレーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EXII)を用いて常法に従って測定することができる。
前述の芯材の表面を被覆するコーティング材は、少なくとも油脂を含む。コーティング材は、典型的には、油脂を主体とする。コーティング材における油脂の含有量は、該コーティング材の全質量に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、100質量%、すなわちコーティング材の全部が油脂であってもよい。
コーティング材を構成する油脂としては、食品に使用可能で且つ難消化性澱粉と混合可能なものであれば、その種類は特に制限されない。例えば、常温常圧で固体の固体油脂でもよく、常温常圧で液体の液体油脂でもよく、乳化油脂でもよく、また、植物油脂でも動物油脂でもよい。本発明では、各種油脂の1種を単独で用いてもよく、2種以上の油脂を組み合わせて用いてもよい。
固体油脂としては、例えば、ショートニング、ラード、ヘットが挙げられる。液体油脂としては、例えば、なたね油、大豆油、胡麻油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、米油、パーム油、ヒマワリ油、ベニバナ油が挙げられる。乳化油脂としては、例えば、固体油脂又は液体油脂と乳化剤又は乳化作用のある蛋白質とを混合して得られる乳化物、ファットスプレッド、バター、マーガリンが挙げられる。植物油脂としては、例えば、サラダ油、コーン油、大豆油、紅花油、なたね油、パーム油、綿実油、ひまわり油、米ぬか油、ゴマ油、オリーブ油が挙げられる。動物油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、魚油が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、ショートニング、ラード、ヘットが挙げられる。液体油脂としては、例えば、なたね油、大豆油、胡麻油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン油、米油、パーム油、ヒマワリ油、ベニバナ油が挙げられる。乳化油脂としては、例えば、固体油脂又は液体油脂と乳化剤又は乳化作用のある蛋白質とを混合して得られる乳化物、ファットスプレッド、バター、マーガリンが挙げられる。植物油脂としては、例えば、サラダ油、コーン油、大豆油、紅花油、なたね油、パーム油、綿実油、ひまわり油、米ぬか油、ゴマ油、オリーブ油が挙げられる。動物油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、魚油が挙げられる。
本発明で好ましい油脂の一例として、ショートニングが挙げられる。コーティング材を構成する油脂としてショートニングを用いることで、製造コストを抑えつつ、難消化性澱粉に起因するざらついた食感を効果的に低減することが可能となる。ショートニングの融点は、好ましくは15~45℃、より好ましくは20~40℃である。
本発明の被覆澱粉において、芯材に対する油脂の付着量は、芯材100質量部に対して5~25質量部であり、好ましくは10~25質量部、より好ましくは15~25質量部である。油脂の付着量が芯材100質量部に対して5質量部未満では、難消化性澱粉に起因するざらついた食感の改善効果に乏しく、これが25質量部を超えると、被覆澱粉がドウ状になり、粉体として扱えなくなるおそれがある。
芯材に対する油脂(コーティング材)の付着量は、例えば、各種ミキサー等の攪拌装置を用いて芯材に油脂を付着させる場合には、攪拌装置への芯材及び油脂の投入量、攪拌条件(回転数、攪拌時間等)を適宜調整することで調整可能である。芯材100質量部に対する油脂の付着量は、以下の方法で測定することができる。
芯材に対する油脂(コーティング材)の付着量は、例えば、各種ミキサー等の攪拌装置を用いて芯材に油脂を付着させる場合には、攪拌装置への芯材及び油脂の投入量、攪拌条件(回転数、攪拌時間等)を適宜調整することで調整可能である。芯材100質量部に対する油脂の付着量は、以下の方法で測定することができる。
〔芯材100質量部に対する油脂の付着量の測定方法〕
測定対象の被覆澱粉10gとヘキサン100mlとを混合し、その混合物を、振盪機を用いて室温(25℃)で30分間振盪した後、遠心分離機にセットして回転数3000rpmで遠心分離する。遠心分離後の混合物の上清を回収し、該上清中のヘキサンを減圧除去して残留物の質量を測定し、その測定値を、測定対象の被覆澱粉における芯材100質量部に対する油脂の付着量とする。
測定対象の被覆澱粉10gとヘキサン100mlとを混合し、その混合物を、振盪機を用いて室温(25℃)で30分間振盪した後、遠心分離機にセットして回転数3000rpmで遠心分離する。遠心分離後の混合物の上清を回収し、該上清中のヘキサンを減圧除去して残留物の質量を測定し、その測定値を、測定対象の被覆澱粉における芯材100質量部に対する油脂の付着量とする。
芯材に対する油脂の付着量を前記特定範囲に調整することと同様の観点から、本発明の被覆澱粉において、芯材に対するコーティング材の付着量は、芯材100質量部に対して、好ましくは10~25質量部、より好ましくは15~25質量部である。芯材100質量部に対するコーティング材の付着量は、前記の芯材100質量部に対する油脂の付着量の測定方法に準じて測定することができる。
コーティング材は、油脂に加えて更に乳化剤を含むことが好ましい。これにより、難消化性澱粉に起因するざらついた食感が一層改善され得る。乳化剤の作用機序は定かではないが、難消化性澱粉のざらついた食感の主な原因の1つは、口に含んだときに難消化性澱粉が唾液中で凝集することによるものであるところ、被覆澱粉において難消化性澱粉が乳化剤を含むコーティング材で被覆されていると、乳化剤によって難消化性澱粉の表面極性が改質される結果、被覆澱粉が唾液中で凝集しにくくなると推察される。
芯材に対する乳化剤の付着量は、芯材100質量部に対して、好ましくは0.4~4.0質量部、より好ましくは0.5~2.0質量部である。芯材100質量部に対する乳化剤の付着量は、前記〔芯材100質量部に対する油脂の付着量の測定方法〕に準じて測定することができる。
コーティング材における乳化剤の含有量は、該コーティング材の全質量に対して、好ましくは0.8~8.0質量%、より好ましくは0.5~2.0質量%である。
芯材に対する乳化剤の付着量は、芯材100質量部に対して、好ましくは0.4~4.0質量部、より好ましくは0.5~2.0質量部である。芯材100質量部に対する乳化剤の付着量は、前記〔芯材100質量部に対する油脂の付着量の測定方法〕に準じて測定することができる。
コーティング材における乳化剤の含有量は、該コーティング材の全質量に対して、好ましくは0.8~8.0質量%、より好ましくは0.5~2.0質量%である。
乳化剤としては、各種食品に通常用いられるものを特に制限無く用いることができ、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル;レシチン、リゾレシチン等のレシチン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい乳化剤の一例として、HLBが1~15、より好ましくは5~11の範囲にあるものが挙げられる。
好ましい乳化剤の他の一例として、炭素数が12~22、より好ましくは16~22の範囲にあるものが挙げられる。
コーティング材を構成する乳化剤としてHLB及び/又は炭素数が前記範囲にあるものを用いることで、難消化性澱粉に起因するざらついた食感がより一層改善され得る。
好ましい乳化剤の他の一例として、炭素数が12~22、より好ましくは16~22の範囲にあるものが挙げられる。
コーティング材を構成する乳化剤としてHLB及び/又は炭素数が前記範囲にあるものを用いることで、難消化性澱粉に起因するざらついた食感がより一層改善され得る。
コーティング材は、二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムから選択される1種以上を含むことが好ましい。これにより、難消化性澱粉に起因するざらついた食感が一層改善され得る。二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの作用機序は定かではないが、被覆澱粉において難消化性澱粉がこれらの1種以上を含むコーティング材で被覆されていると、難消化性澱粉どうしの間にこれらが介在する結果、被覆澱粉が唾液中で凝集しにくくなると推察される。
芯材に対する二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの総付着量は、芯材100質量部に対して、好ましくは0.2~2.0質量部、より好ましくは0.4~1.0質量部である。芯材100質量部に対する二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの総付着量は、前記〔芯材100質量部に対する油脂の付着量の測定方法〕に準じて測定することができる。
コーティング材における二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの総含有量は、該コーティング材の全質量に対して、好ましくは0.4~4.0質量%、より好ましくは0.8~2.0質量%である。
芯材に対する二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの総付着量は、芯材100質量部に対して、好ましくは0.2~2.0質量部、より好ましくは0.4~1.0質量部である。芯材100質量部に対する二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの総付着量は、前記〔芯材100質量部に対する油脂の付着量の測定方法〕に準じて測定することができる。
コーティング材における二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムの総含有量は、該コーティング材の全質量に対して、好ましくは0.4~4.0質量%、より好ましくは0.8~2.0質量%である。
本発明に係るコーティング材は、前記成分(油脂、乳化剤、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム)以外の他の成分を含んでいてもよい。斯かる他の成分としては、食品に使用可能なものであることを前提として、例えば、蛋白質、増粘剤、甘味料、香料等が挙げられる。蛋白質としては、例えば、乳、卵、卵白等の液状の蛋白質;粉乳、全卵粉、卵白粉、小麦蛋白質、大豆蛋白質等の粉末状の蛋白質を例示できる。増粘剤としては、例えば、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム等の種子由来多糖類;アラビアガム等の樹脂由来多糖類、寒天、カラギナン、アルギン酸等の海藻由来多糖類;キサンタンガム、ジェランガム等の微生物由来多糖類;ペクチン、セルロース等の植物由来多糖類;キチン、キトサン等の甲殻由来多糖類、メチルセルロース等のセルロースエーテルを例示できる。
本発明の被覆澱粉は、難消化性澱粉を主体とする芯材と、油脂をはじめとするコーティング材原料とを混合することによって製造することができる。この芯材とコーティング材原料との混合は、各種ミキサー等の攪拌装置を用いて常法に従って行うことができる。必要に応じ、攪拌中に被攪拌物の品温が常温以上となるように加温してもよい。
本発明の被覆澱粉は、各種食品に配合して用いることができるが、特に、生地食品の低糖質化の素材として有用である。
本明細書において「生地食品」とは、穀粉、澱粉等の粉体原料と水等の液体原料との混合物である生地を中間製品として、該生地を所定形状に成形後、加熱することで製造される食品を指す。ここでいう「生地」は、粘土状生地(いわゆるドウ)と、液状又はペースト状生地(いわゆるバッター)とを包含する。生地食品の具体例として、ベーカリー食品、麺類、衣付き揚げ物食品が挙げられる。
本明細書において「生地食品」とは、穀粉、澱粉等の粉体原料と水等の液体原料との混合物である生地を中間製品として、該生地を所定形状に成形後、加熱することで製造される食品を指す。ここでいう「生地」は、粘土状生地(いわゆるドウ)と、液状又はペースト状生地(いわゆるバッター)とを包含する。生地食品の具体例として、ベーカリー食品、麺類、衣付き揚げ物食品が挙げられる。
本明細書において「ベーカリー食品」は、穀粉類(穀粉、澱粉)を主原料とし、これに水等の液体原料を加え、更に必要に応じてイースト又は膨張剤(ベーキングパウダー等)、食塩、砂糖等の副原料を混合して得られた発酵又は非発酵生地を、焼成、蒸し、油ちょう等の加熱処理に供して得られる食品を指す。ベーカリー食品の具体例としては、パン類;ピザ類;ケーキ類;ワッフル、シュー、ビスケット、どら焼き、焼き饅頭等の和洋焼き菓子;蒸し菓子;ドーナツ、アメリカンドッグ等の揚げ菓子;お好み焼き、たこ焼き、チヂミ、ねぎ焼等のスナック菓子が挙げられる。ケーキ類の具体例としては、スポンジケーキ、バターケーキ、ロールケーキ、ホットケーキ、ブッセ、バームクーヘン、パウンドケーキ、チーズケーキ、スナックケーキ、マフィン、バー、クッキー、クレープ、パンケーキが挙げられる。
本明細書において「麺類」は、穀粉類(穀粉、澱粉)を主原料とし、これに水等の液体原料を加え、更に必要に応じて塩等の副原料を混捏して得られた生地に対し、1)圧延又は引き伸ばしを行って麺帯生地を得、該麺帯生地を引き伸ばす、切り出す、打ち抜く等するか、又は2)押出成形を行うことにより、麺線状などの所定形状に成形した食品を指す。麺類の具体例としては、そば、うどん、冷や麦、中華麺、スパゲティ、マカロニ、ラビオリ、麺皮が挙げられる。
本明細書において「衣付き揚げ物食品」は、穀粉類(穀粉、澱粉)を主原料とし、これに水等の液体原料を加え、更に必要に応じて膨張剤(ベーキングパウダー等)、食塩、砂糖、醤油、ニンニク等の副原料を混合して得られた液状の生地を、具材の表面に付着させ、焼成、油ちょう等の加熱処理に供して得られる食品を指す。衣付き揚げ物食品の具体例としては、天ぷら、から揚げ、竜田揚げ、フリッターが挙げられる。
本発明の被覆澱粉は、生地食品に配合される各種の生地原料と同様に用いることができる。例えば、ストレート法のパンの製造、麺類やクッキーのようなドウを利用する生地食品の製造では、本発明の被覆澱粉を、生地調製の初期(例えば、液体原料の添加前)に、小麦粉等の最初に使用される生地原料と同様に配合することが好ましい。また例えば、中種法のパンの製造では、本発明の被覆澱粉を、中種発酵前に中種配合材料として配合してもよく、本捏配合材料に配合してもよい。また例えば、ケーキや衣付き揚げ物食品のようなバッターを利用する生地食品の製造では、本発明の被覆澱粉を、生地調製の初期に配合してもよく、あるいは他の粉体原料及び液体原料を用いて生地を調製した後、該生地に配合してよい。
本発明には、前述した本発明の被覆澱粉を含む生地食品用ミックス(以下、単に、「ミックス」とも言う。)が包含される。本発明のミックスは、少なくとも前述の被覆澱粉を含む。以下、本発明のミックスについて、前述の被覆澱粉と異なる点を主に説明する。本発明のミックスについて特に説明しない点については、前述の被覆澱粉についての説明が適宜適用される。
本発明のミックスにおける被覆澱粉の含有量は、該ミックスの用途等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば、該ミックスを用いて製造する生地食品が、前述のベーカリー食品、麺類又は衣付き揚げ物食品である場合は、被覆澱粉による効果(生地食品の低糖質化等)と生地食品の食味食感等とのバランスの観点から、該ミックスの全質量に対して、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~30質量%である。
本発明のミックスは、典型的には、被覆澱粉以外の他の穀粉類の1種以上を含む。本明細書において「穀粉類」は、穀物由来の常温常圧で粉体の物質であり、穀粉及び澱粉を含む概念である。ここでいう「澱粉」は特に断らない限り、小麦等の植物から単離された「純粋な澱粉」を指し、穀粉中に本来的に内在する澱粉とは区別される。
穀粉としては、例えば、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等、小麦全粒粉)、そば粉、米粉、コーンフラワー、大麦粉、ライ麦粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉が挙げられる。
澱粉としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉(生澱粉);該生澱粉にα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理の1種以上を施した加工澱粉が挙げられる。前述の被覆澱粉は、加工澱粉の一種である。
穀粉としては、例えば、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラム小麦粉等、小麦全粒粉)、そば粉、米粉、コーンフラワー、大麦粉、ライ麦粉、はとむぎ粉、ひえ粉、あわ粉が挙げられる。
澱粉としては、例えば、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉等の澱粉(生澱粉);該生澱粉にα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理、酸化処理等の処理の1種以上を施した加工澱粉が挙げられる。前述の被覆澱粉は、加工澱粉の一種である。
本発明のミックスにおける被覆澱粉を含めた穀粉類の総含有量は、該ミックスの用途等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、例えば、該ミックスを用いて製造する生地食品が、前述のベーカリー食品、麺類又は衣付き揚げ物食品である場合は、該ミックスの全質量に対して、好ましくは5~90質量%、より好ましくは10~80質量%である。
本発明のミックスには、穀粉類以外に、必要に応じて他の成分、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、有機酸モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤;グルテン、グリアジン、グルテニン(以上、小麦蛋白質)、脱脂粉乳、ホエー蛋白(以上、乳蛋白質)、大豆蛋白質、ゼラチン等の蛋白素材;動物油脂、植物油脂等の油脂類;食塩、粉末醤油、果実由来の発酵物等の発酵物、粉末味噌、アミノ酸その他の調味料;卵粉等の乾燥卵、増粘多糖類等、膨張剤、乳原料、香料、酵素、色素等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明のミックスにおける穀粉類以外の他の成分の含有量は、該ミックスの用途等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されないが、該ミックスの全質量に対して、好ましくは0.5~5.0質量%以下程度である。
本発明のミックスは、生地食品を製造する場合に粉体原料として用いることができる。例えば、本発明のミックスを用いたベーカリー食品又は麺類の製造方法は、典型的には、該ミックスに液体原料を加えて生地(具体的には例えば、ドウ、バッター)を調製し、該生地を所定形状に成形後、その成形した生地を加熱(具体的には例えば、焼成、蒸し、油ちょう、蒸煮)する工程を有する。また、本発明のミックスを用いた衣付き揚げ物食品の製造方法は、典型的には、該ミックスに液体原料を加えて生地(具体的には例えば、バッター)を調製し、該生地を具材の表面に付着させた後、該生地付き具材を加熱された油中に投入して油ちょうする工程を有する。本発明のミックスに添加する前記液体原料としては、水、油、調味液、卵液、牛乳等を用いることができ、製造する生地食品の種類等に応じて適宜選択し得る。本発明のミックスと液体原料との混合比率は、特に制限されないが、一般的にはミックス100質量部に対して、50~300質量部程度である。
本発明には、前述した本発明の被覆澱粉を含む生地食品が包含される。以下、本発明の生地食品について、前述の本発明の被覆澱粉及び本発明のミックスと異なる点を主に説明する。本発明の生地食品について特に説明しない点については、前述の被覆澱粉及びミックスについての説明が適宜適用される。生地食品の定義、具体例等については、前述したとおりである。
本発明の生地食品は、前述した本発明の被覆澱粉を含む。生地食品における被覆澱粉の含有量は特に制限されず、生地食品の種類等に応じて適宜調整することができる。例えば、生地食品が、前述のベーカリー食品、麺類又は衣付き揚げ物食品である場合は、被覆澱粉による効果(生地食品の低糖質化等)と生地食品の食味食感等とのバランスの観点から、乾燥状態(例えば、生地食品の含水率10質量%以下)の生地食品の全質量に対して、好ましくは1~20質量%、より好ましくは2~15質量%である。
本発明の生地食品は、常法に従って製造することができる。典型的には、粉体原料(例えば、前述の本発明のミックス)と水等の液体原料との混合物である生地を調製し、該生地を所定形状に成形後、加熱する、具体的には例えば、焼成、蒸し、油ちょう、蒸煮等することで、本発明の生地食品を製造することができる。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1~40〕
表1~6の「被覆澱粉」の欄に記載の配合で被覆澱粉を製造した。具体的には、芯材としての難消化性澱粉A又はBと、コーティング材原料[油脂(固体油脂、液体油脂)、乳化剤、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム]とを混合し、その混合物をリボンミキサー(株式会社ダルトン製、商品名「リボンミキサー」)で攪拌し、目的の被覆澱粉を製造した。ミキサーによる攪拌は、回転数20~200rpm、攪拌時間60~600秒間の条件で行い、被攪拌物の加温は行わなかった。
表1~6の「被覆澱粉」の欄に記載の配合で被覆澱粉を製造した。具体的には、芯材としての難消化性澱粉A又はBと、コーティング材原料[油脂(固体油脂、液体油脂)、乳化剤、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム]とを混合し、その混合物をリボンミキサー(株式会社ダルトン製、商品名「リボンミキサー」)で攪拌し、目的の被覆澱粉を製造した。ミキサーによる攪拌は、回転数20~200rpm、攪拌時間60~600秒間の条件で行い、被攪拌物の加温は行わなかった。
表1~6に記載の原材料の詳細は下記のとおり。
・難消化性澱粉A:タピオカ澱粉由来の難消化性澱粉(松谷化学工業株式会社製、商品名「パインスターチRT」)
・難消化性澱粉B:エンドウ由来の難消化性澱粉(三和澱粉工業株式会社製、商品名「ニュートラスターRA-900」)
・固体油脂:ショートニング(月島食品工業株式会社製、商品名「純ショートV」、融点30℃)
・液体油脂:なたね油(日清オイリオグループ株式会社製、商品名「日清キャノーラ油」)
・乳化剤(HLB1、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-070
・乳化剤(HLB5、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-570
・乳化剤(HLB9、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-970
・乳化剤(HLB11、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-1170
・乳化剤(HLB15、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-1570
・乳化剤(HLB1、炭素数12):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ラウリン酸エステル L-195
・乳化剤(HLB1、炭素数16):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖パルミチン酸エステル P-170
・乳化剤(HLB1、炭素数22):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖エルカ酸エステル ER-190
・蛋白質:小麦グルテン(日本コロイド株式会社製、商品名「スーパーグル85H」)
・難消化性澱粉A:タピオカ澱粉由来の難消化性澱粉(松谷化学工業株式会社製、商品名「パインスターチRT」)
・難消化性澱粉B:エンドウ由来の難消化性澱粉(三和澱粉工業株式会社製、商品名「ニュートラスターRA-900」)
・固体油脂:ショートニング(月島食品工業株式会社製、商品名「純ショートV」、融点30℃)
・液体油脂:なたね油(日清オイリオグループ株式会社製、商品名「日清キャノーラ油」)
・乳化剤(HLB1、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-070
・乳化剤(HLB5、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-570
・乳化剤(HLB9、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-970
・乳化剤(HLB11、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-1170
・乳化剤(HLB15、炭素数18):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ステアリン酸エステル S-1570
・乳化剤(HLB1、炭素数12):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖ラウリン酸エステル L-195
・乳化剤(HLB1、炭素数16):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖パルミチン酸エステル P-170
・乳化剤(HLB1、炭素数22):
三菱ケミカルフーズ株式会社製 ショ糖エルカ酸エステル ER-190
・蛋白質:小麦グルテン(日本コロイド株式会社製、商品名「スーパーグル85H」)
〔ミックス、生地食品の製造〕
被覆澱粉及び難消化性澱粉A(コーティング材で被覆されていない難消化性澱粉)の何れかを用いて、表1~6の「ミックス(質量部)」の欄に記載の原材料を混合して実施例及び比較例のミックスを製造した。そして、各実施例及び比較例のミックスを用いて下記方法により、生地食品であるパン、パンケーキ(以上、ベーカリー食品)、うどん(麺類)をそれぞれ製造した。
被覆澱粉及び難消化性澱粉A(コーティング材で被覆されていない難消化性澱粉)の何れかを用いて、表1~6の「ミックス(質量部)」の欄に記載の原材料を混合して実施例及び比較例のミックスを製造した。そして、各実施例及び比較例のミックスを用いて下記方法により、生地食品であるパン、パンケーキ(以上、ベーカリー食品)、うどん(麺類)をそれぞれ製造した。
(パンの製造方法)
ミックス及び水をホームベーカリー(パナソニック株式会社製、商品名「SD-BH104」)に投入し、食パンモードでパンを製造した。
ミックス及び水をホームベーカリー(パナソニック株式会社製、商品名「SD-BH104」)に投入し、食パンモードでパンを製造した。
(パンケーキの製造方法)
ミックスに水を添加し、ハンドミキシングにて回転数120rpmで1分間混合して生地を調製した。得られた生地を50gずつ取り分け、180℃に熱したホットプレート上に広げて3分間焼成した後、該生地を反転させて2分間焼成し、パンケーキを製造した。
ミックスに水を添加し、ハンドミキシングにて回転数120rpmで1分間混合して生地を調製した。得られた生地を50gずつ取り分け、180℃に熱したホットプレート上に広げて3分間焼成した後、該生地を反転させて2分間焼成し、パンケーキを製造した。
(うどんの製造方法)
ミックスに水を添加し、ミキサー(トーキョーメンキ製、商品名「トーメンMS-1-45」)を用いて、高速で1分間、次いで真空下、低速で6分間混合し、生地を製造した。得られた生地を常法により圧延し、切り出して、3mm厚の麺線状のうどんを製造した。
ミックスに水を添加し、ミキサー(トーキョーメンキ製、商品名「トーメンMS-1-45」)を用いて、高速で1分間、次いで真空下、低速で6分間混合し、生地を製造した。得られた生地を常法により圧延し、切り出して、3mm厚の麺線状のうどんを製造した。
〔評価試験〕
製造した生地食品(パン、パンケーキ、うどん)を10名の専門パネラーに食してもらい、食感(滑らかさ、ざらつきの少なさ)を下記評価基準で評価してもらった。その結果を10名の評価点の平均値として表1~6に示す。
製造した生地食品(パン、パンケーキ、うどん)を10名の専門パネラーに食してもらい、食感(滑らかさ、ざらつきの少なさ)を下記評価基準で評価してもらった。その結果を10名の評価点の平均値として表1~6に示す。
<食感の評価基準>
5点:滑らかな食感で舌触りが非常によく、極めて良好。
4点:滑らかな食感で舌触りがよく、良好。
3点:滑らかな食感であるが、わずかにざらつきが感じられる。
2点:ざらつきがあり、不良。
1点:ざらつきが強く、極めて不良。
5点:滑らかな食感で舌触りが非常によく、極めて良好。
4点:滑らかな食感で舌触りがよく、良好。
3点:滑らかな食感であるが、わずかにざらつきが感じられる。
2点:ざらつきがあり、不良。
1点:ざらつきが強く、極めて不良。
表1(パンの評価結果)、表5(パンケーキの評価結果)、表6(うどんの評価結果)に示すとおり、各実施例は、難消化性澱粉として、芯材(難消化性澱粉)の表面に油脂を含むコーティング材が付着した被覆澱粉を用いたため、コーティング材が付着していない難消化性澱粉を用いた各比較例に比べて、難消化性澱粉に起因するざらついた食感が大幅に低減されていた。また、表2及び表3から、被覆澱粉のコーティング材に乳化剤又は二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムから選択される1種を含有させることで、ざらついた食感が一層低減されることがわかる。また、表4の実施例30、31が最も食感に優れていたことから、難消化性澱粉に起因するざらついた食感を低減するためには、乳化剤と二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムから選択される1種とを併用することが最も効果的であることがわかる。
Claims (9)
- 難消化性澱粉を主体とする芯材の表面に、油脂を含むコーティング材が付着した被覆澱粉であって、
前記芯材に対する前記油脂の付着量が、該芯材100質量部に対して5~25質量部である、被覆澱粉。 - 前記コーティング材は乳化剤を含む、請求項1に記載の被覆澱粉。
- 前記乳化剤はHLBが1~15である、請求項2に記載の被覆澱粉。
- 前記乳化剤は炭素数が12~22である、請求項2又は3に記載の被覆澱粉。
- 前記コーティング材は、二酸化ケイ素及び炭酸カルシウムから選択される1種以上を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の被覆澱粉。
- 前記難消化性澱粉はエンドウ由来である、請求項1~5の何れか1項に記載の被覆澱粉。
- 前記油脂はショートニングである、請求項1~6の何れか1項に記載の被覆澱粉。
- 請求項1~7の何れか1項に記載の被覆澱粉を含む、生地食品用ミックス。
- 請求項1~7の何れか1項に記載の被覆澱粉を含む、生地食品。
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