JP2022138959A - 車両 - Google Patents

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由貴 宮本
Yuki Miyamoto
尭志 野澤
Takashi Nozawa
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Abstract

【課題】制御装置とDC/DCコンバータとの通信に異常が発生した状態で車両システムを停止させる操作が行なわれた場合において、システムメインリレーに加わるストレスを抑制することである。【解決手段】HV-ECUは、起動スイッチからOFF信号を受けた場合において、双方向DC/DCコンバータとのCAN通信に異常が生じていると(S1においてYES)、第2補機負荷72を停止させる(S9)。第2補機負荷72を停止させた後に、HV-ECUは、SMRを開放状態にし(S11)、第1補機負荷を停止させる(S13)。【選択図】図2

Description

本開示は、車両に関する。
特開2008-195255号公報(特許文献1)には、ハイブリッド自動車の電源システムが開示されている。この電源システムは、電源系を制御する制御装置と、駆動系を制御する制御装置とを含み、両者の間に通信異常が発生している場合において、イグニッションスイッチがOFF操作されても、遅延時間が経過するまではシステムメインリレー(SMR:System Main Relay)を開放しない。SMRの閉成状態を保つことで、補機負荷への電力供給を継続し、遅延時間の間、退避走行を可能にしている。
特開2008-195255号公報
走行用バッテリを備える車両では、一般に、走行用バッテリの電力を変換して補機負荷に供給するDC/DCコンバータが備えられている。車両システムを停止させる操作が行なわれると、たとえば、車両システムを制御する制御装置は、DC/DCコンバータに停止を示す制御信号を送信し、DC/DCコンバータを停止させた後にSMRを開放する。
ここで、制御装置とDC/DCコンバータとの通信に異常が発生する場合がある。この場合、制御装置は、DC/DCコンバータに制御信号を送信できないため、DC/DCコンバータを停止させることができない。DC/DCコンバータが動作した状態でSMRを開放すると、通電状態のままSMRを開放することになり、アーク放電等によってSMRの接点にダメージを与えてしまう可能性がある。SMRに加わるストレス(ダメージ量)は、通電電流値に相関関係があり、通電電流値が大きくなるほど大きくなる。過大なストレスによりSMRが溶着に至ることを抑制するためには、SMRに加わるストレスを抑制することが望ましい。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、制御装置とDC/DCコンバータとの通信に異常が発生した状態で車両システムを停止させる操作が行なわれた場合において、システムメインリレーに加わるストレスを抑制することである。
この開示に係る車両は、走行用モータと、バッテリと、バッテリと走行用モータとの間に設けられる電力制御装置と、バッテリと電力制御装置との電気的な接続および遮断を切り替えるシステムメインリレーと、補機負荷と、システムメインリレー、電力制御装置および補機負荷を制御する制御装置とを備える。電力制御装置は、バッテリの電力を補機負荷を駆動するための電力に変換する電力変換装置を含む。補機負荷は、車両の車両システムの停止に関わる第1補機負荷と、車両システムの停止に関わらない第2補機負荷とを含む。制御装置は、車両システムを停止させる操作が行なわれ、かつ、電力変換装置との通信に異常が生じている場合には、第2補機負荷を停止させた後にシステムメインリレーを開放する。
上記構成によれば、車両システムを停止させる操作が行なわれ、かつ、電力変換装置との通信に異常が生じている場合には、制御装置は、第2補機負荷を停止させた後にシステムメインリレーを開放する。車両システムの停止に関わらない第2補機負荷を停止させることにより、補機負荷の消費電力が低減される。ゆえに、第2補機負荷を停止させない場合に比べ、システムメインリレーの通電電流が小さくなる。この状態でシステムメインリレーを開放することにより、第2補機負荷を停止させない場合に比べ、システムメインリレーに加わるストレスを抑制することができる。
本開示によれば、制御装置とDC/DCコンバータとの通信に異常が発生した状態で車両システムを停止させる操作が行なわれた場合において、システムメインリレーに加わるストレスを抑制することができる。
実施の形態に係るモータ駆動システムの全体構成図である。 HV-ECUで実行される処理の手順を示すフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
<全体構成>
図1は、本実施の形態に係るモータ駆動システム1の全体構成図である。モータ駆動システム1は、たとえば、車両の走行用モータを駆動するためのシステムである。本実施の形態に係るモータ駆動システム1は、たとえば、ハイブリッド自動車に適用される。なお、モータ駆動システム1が適用されるのは、ハイブリッド自動車に限られるものではなく、たとえば、電気自動車および燃料電池自動車等に適用することも可能である。
モータ駆動システム1は、電池パック10と、空調装置20と、電力制御装置(PCU)30と、補機電池40と、モータジェネレータ50と、HV-ECU(Electronic Control Unit)60と、複数の補機負荷70とを備える。電池パック10とPCU30とは、電力線PL1,NLによって電気的に接続されている。
電池パック10は、電池スタック11と、SMR12と、遮断装置13と、電池ECU14と、電圧センサ15、電流センサ16とを含む。
電池スタック11は、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成される。二次電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する二次電池であってもよいし、固体電解質を有する二次電池(全固体電池)であってもよい。また、電池スタック11は、電気二重層キャパシタ等によって構成されてもよい。
SMR12は、電池スタック11とPCU30との電気的な接続および遮断を切り替える。SMR12は、HV-ECU60からの制御信号に従って、閉成状態と開放状態とを切り替える。
遮断装置13は、電池スタック11を電気的に切り離すための装置である。本実施の形態に係る遮断装置13は、電力線NL上に設けられ、電池スタック11の負極端子とSMR12との間に設けられる。具体的には、遮断装置13は、電池パック10の点検用のサービスプラグ13a、および、電池スタック11の過電流対策のためのヒューズ13bを含む。ヒューズ13bは、自身の定格電流を超える電流が流れた場合に、電流経路を遮断するように構成される。
電圧センサ15は、たとえば、電池ECU14に含まれる。電圧センサ15は、たとえば、電池スタック11の両端の電圧(以下「バッテリ電圧」とも称する)VBを検出する。
電流センサ16は、電池スタック11の入出力電流(電池電流)IBを検出し、その検出結果を示す信号を電池ECU14へ出力する。
電池ECU14は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力ポートとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、CPUにより実行されるプログラム等を記憶する。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。CPUは、入出力ポートから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて、電池スタック11を管理する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
電池ECU14は、電池スタック11のSOC(State Of Charge)を算出する機能を有する。電池ECU14は、電圧センサ15および電流センサ16の検出結果に基づいて、電池スタック11のSOCを算出する。SOCは、電池スタック11の満充電容量に対する現在の蓄電量を百分率で示したものである。SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法等、種々の公知の手法を採用できる。SOCの算出には、電池スタック11の温度を検出する温度センサ(図示せず)の検出結果が、さらに用いられてもよい。
電池ECU14は、充電電力制御上限値Win、および、放電電力制限値Woutを算出する機能を有する。充電電力制御上限値Winは、電池スタック11への充電電力の制御上限値であり、つまり、電池スタック11が受入可能な電力の最大値を示す。放電電力制限値Woutは、電池スタック11からの放電電力の制御上限値であり、つまり、電池スタック11から出力可能な電力の最大値を示す。電池ECU14は、たとえば、電池スタック11のSOCおよび電池スタック11の温度に基づいて充電電力制御上限値Winおよび放電電力制限値Woutを算出する。電池ECU14は、算出した充電電力制御上限値Winおよび放電電力制限値Woutを示す信号をHV-ECU60へ出力する。
電池ECU14とHV-ECU60とは、車内ネットワークに接続されたCAN(Controller Area Network)バス80で接続されている。電池ECU14とHV-ECU60との間の通信は、CANの通信プロトコルに従う通信(CAN通信)により行なわれる。
電池ECU14は、漏電検出回路14aを含む。漏電検出回路14aは、電池パック10内の各機器における漏電を検出する。
空調装置20は、電力線PL1,NLに接続されている。空調装置20は、コンプレッサを含み、HV-ECU60からの制御信号に従ってコンプレッサを作動させて車室内の空調を行なう。
モータジェネレータ50は、たとえば、車両の駆動輪を駆動するためのトルクを発生する駆動用電動機である。モータジェネレータ50は、交流回転電機であり、たとえば、永久磁石がロータ(図示せず)に埋設された三相交流回転電機として構成される。また、モータジェネレータ50は、発電機の機能をさらに備え、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成される。
モータジェネレータ50には、回転角センサ(レゾルバ)51が設けられている。回転角センサ51は、モータジェネレータ50の回転角θを検出し、その検出結果を示す信号をMG-ECU34に出力する。MG-ECU34は、回転角センサ51によって検出された回転角θの変化速度から、モータジェネレータ50の回転数(回転速度)Nmを検出することができる。
PCU30は、HV-ECU60からの制御信号に従って、電池パック10から受ける直流電力を、モータジェネレータ50を駆動するための交流電力に変換する。また、PCU30は、モータジェネレータ50により発電された交流電力を、電池スタック11を充電するための直流電力に変換する。
具体的には、PCU30は、昇圧コンバータ31と、インバータ32と、双方向DC/DCコンバータ33と、MG-ECU34と、電圧センサ35と、電圧センサ37と、コンデンサC1と、コンデンサC2と、抵抗R1と、抵抗R2とを含む。
コンデンサC1は、電力線PL1および電力線NLの間に接続される。コンデンサC1は、バッテリ電圧VBを平滑化して昇圧コンバータ31に供給する。電圧センサ35は、コンデンサC1の両端の電圧、すなわち電力線PL1,NL間の電圧VLを検出し、その検出結果を示す信号をMG-ECU34へ出力する。
昇圧コンバータ31は、MG-ECU34からの制御信号に従って、バッテリ電圧VBを昇圧し、昇圧した電圧を電力線PL2,NLに供給する。また、昇圧コンバータ31は、MG-ECU34からの制御信号に従って、インバータ32から供給された電力線PL2,NLの間の直流電圧を降圧して電力線PL1,NLへ供給し、電池スタック11を充電する。
具体的には、昇圧コンバータ31は、リアクトルL1と、スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2と、電流センサ36とを含む。スイッチング素子Q1,Q2は、電力線PL2と電力線NLとの間に直列に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2の各々には、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、バイポーラトランジスタ等を用いることができる。たとえば、スイッチング素子Q1のコレクタは、電力線PL2に電気的に接続され、エミッタは、スイッチング素子Q2のコレクタと電気的に接続される。スイッチング素子Q2のエミッタは、電力線NLに電気的に接続される。ダイオードD1,D2は、スイッチング素子Q1,Q2のコレクタ-エミッタ間に逆並列にそれぞれ接続される。リアクトルL1は、スイッチング素子Q1,Q2の接続ノードと電力線PL1との間に接続される。電流センサ36は、電力線PL1を流れるリアクトル電流ILを検出し、その検出結果を示す信号をMG-ECU34へ出力する。
コンデンサC2は、電力線PL2と電力線NLとの間に接続されている。コンデンサC2は、昇圧コンバータ31から供給された直流電圧を平滑化してインバータ32に供給する。電圧センサ37は、コンデンサC2の両端の電圧、すなわち昇圧コンバータ31とインバータ32とを結ぶ電力線PL2,NL間の電圧(以下「システム電圧」とも称する)VHを検出し、その検出結果を示す信号をMG-ECU34へ出力する。
インバータ32は、電力線PL2と電力線NLとの間に互いに並列に接続された、いずれも図示しないU相アーム、V相アーム、および、W相アームを含む。インバータ32は、システム電圧VHが供給されると、MG-ECU34からの制御信号に従って、直流電圧を交流電圧に変換してモータジェネレータ50を駆動する。これにより、モータジェネレータ50は、後述するトルク指令値Trqcomに従ったトルクを発生するように、インバータ32により制御される。
また、モータ駆動システム1の回生時には、インバータ32は、MG-ECU34からの制御信号に従って、モータジェネレータ50が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ31に供給する。
双方向DC/DCコンバータ33は、電力線PL1,NLと低電圧線ELとの間に電気的に接続されている。双方向DC/DCコンバータ33は、電圧センサ38および制御部39を含む。双方向DC/DCコンバータ33は、HV-ECU60からの制御信号に従って、制御部39が図示しない電力変換回路を動作させることで、電力線PL1,NLと低電圧線ELとの間で双方向に直流電力を変換可能に構成されている。双方向DC/DCコンバータ33は、電力線PL1、NLから供給される電力を降圧して低電圧線ELに供給する。双方向DC/DCコンバータ33は、低電圧線ELから供給される電力を昇圧して電力線PL1、NLに供給する。
電圧センサ38は、双方向DC/DCコンバータ33に入力される電圧VDを検出し、その検出結果を示す信号をHV-ECU60へ出力する。
双方向DC/DCコンバータ33とHV-ECU60とは、車内ネットワークに接続されたCANバス80で接続されている。双方向DC/DCコンバータ33は、CANバス80を介してHV-ECU60と双方向のCAN通信が可能に構成される。双方向DC/DCコンバータ33の制御部39は、CAN通信により取得されたHV-ECU60からの制御信号に従って、双方向DC/DCコンバータ33の各部(図示しない電力変換回路を含む)を制御する。具体的には、たとえば、制御部39は、HV-ECU60からの制御信号に従って、双方向DC/DCコンバータ33の各部(たとえば電力変換回路)を降圧動作、昇圧動作、または、停止させる。
補機電池40は、低電圧線ELに電気的に接続され、双方向DC/DCコンバータ33により充放電可能に構成されている。補機電池40の出力電圧は、電池スタック11の出力電圧よりも低く、たとえば12V程度である。補機電池40は、たとえば、鉛蓄電池を含んで構成される。なお、補機電池40は、ニッケル水素電池あるいはリチウムイオン電池等の二次電池を含んで構成されてもよい。低電圧線ELには、複数の補機負荷70が接続されている。複数の補機負荷70の詳細については後述する。
補機電池40には、補機電池40の電圧を検出する電圧センサ41が含まれる。電圧センサ41は、補機電池40の電圧V12を検出し、その検出結果を示す信号をHV-ECU60へ出力する。
MG-ECU34は、CPUと、メモリと、入出力ポートとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、ROMおよびRAMを含み、CPUにより実行されるプログラム等を記憶する。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。CPUは、入出力ポートから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて、PCU30に含まれる各機器を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
MG-ECU34は、HV-ECU60から受けるトルク指令値Trqcomに従ったトルクをモータジェネレータ50が出力するように、昇圧コンバータ31およびインバータ32の動作を制御する。すなわち、MG-ECU34は、昇圧コンバータ31およびインバータ32を制御するための制御信号を生成して、昇圧コンバータ31およびインバータ32へ出力する。なお、MG-ECU34とHV-ECU60とは、車内ネットワークに接続されたCANバス80で接続されている。MG-ECU34とHV-ECU60との間の通信は、CAN通信により行なわれる。
HV-ECU60は、CPUと、メモリと、入出力ポートとを含む(いずれも図示せず)。メモリは、ROMおよびRAMを含み、CPUにより実行されるプログラム等を記憶する。CPUは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。CPUは、入出力ポートから入力される各種信号、およびメモリに記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて、車両の各機器を制御する。なお、これらの制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で構築して処理することも可能である。
HV-ECU60は、接続された各種のセンサから、その検出信号を受ける。HV-ECU60に接続される各種のセンサには、たとえば、アクセルポジションセンサ61およびブレーキポジションセンサ62が含まれる。アクセルポジションセンサ61は、ドライバによるアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を検出する。ブレーキポジションセンサ62は、ドライバによるブレーキペダル(図示せず)の踏み込み量を検出する。アクセルポジションセンサ61およびブレーキポジションセンサ62は、その検出結果を示す信号をHV-ECU60に出力する。
また、HV-ECU60は、モータ回転数Nm、システム電圧VH、リアクトル電流IL等の各種情報をMG-ECU34から受ける。
HV-ECU60は、アクセルペダルの踏み込み量によって決まるアクセル開度等に基づいて要求駆動力を算出する。HV-ECU60は、算出された要求駆動力に基づいて、モータジェネレータ50に対するトルク指令値Trqcomを生成し、生成されたトルク指令値TrqcomをMG-ECU34に出力する。
さらに、HV-ECU60は、車両システムを起動するための起動スイッチ63から、その検出信号(操作信号)を受ける。起動スイッチ63は、たとえば、車両の運転席に設けられ、ユーザによって操作される。起動スイッチ63は、一般に「パワースイッチ」または「イグニッションスイッチ」等と称される場合がある。起動スイッチ63は、ユーザのON操作を検出すると、ON操作がなされたことを示すON信号をHV-ECU60へ出力する。起動スイッチ63は、ユーザのOFF操作を検出すると、OFF操作がなされたことを示すOFF信号をHV-ECU60へ出力する。
HV-ECU60は、ON信号を受信すると、車両システムを起動させるための処理を実行する。車両システムを起動させるための処理には、SMR12を閉成状態にするための処理が含まれる。HV-ECU60は、OFF信号を受信すると、車両システムを停止させるための処理を実行する。車両システムを停止させるための処理には、SMR12を開放状態にするための処理が含まれる。
また、HV-ECU60は、双方向DC/DCコンバータ33を制御するための制御信号(動作指令)を生成し、生成された動作指令を双方向DC/DCコンバータ33に出力する。動作指令は、所定の周期毎にCAN通信により送信される。動作指令には、たとえば、降圧、昇圧、または、停止を示す指令が含まれる。HV-ECU60から動作指令を受けた双方向DC/DCコンバータ33は、動作指令に従った動作を実行する。
ここで、HV-ECU60と双方向DC/DCコンバータ33とのCAN通信に異常が生じる場合がある。CAN通信に異常が生じると、HV-ECU60は、動作指令を双方向DC/DCコンバータ33に送信することができず、車両の状態に応じて双方向DC/DCコンバータ33を制御することができない。換言すると、CAN通信に異常が生じると、双方向DC/DCコンバータ33は、HV-ECU60からの動作指令を取得することができない。
本実施の形態に係る双方向DC/DCコンバータ33の制御部39は、CAN通信の異常を検出する機能を有する。具体的には、制御部39は、CAN通信によりHV-ECU60から所定の周期毎に動作指令を取得できなくなった場合に、CAN通信の異常(CAN通信の途絶)を検出する。CAN通信の異常を検出した場合、すなわちHV-ECU60からの動作指令を取得することができない場合には、制御部39は、双方向DC/DCコンバータ33の各部(たとえば電力変換回路)を降圧動作させる。降圧動作を行なうのは、複数の補機負荷70への電力の供給を継続し、車両の退避走行を可能にするためである。
CAN通信に異常が生じた状態で、起動スイッチ63がOFF操作されると、HV-ECU60は、車両システムを停止させるための処理を実行し、SMR12を開放状態にするための処理を実行する。ここで、双方向DC/DCコンバータ33が降圧動作した状態でSMR12が開放されると、通電状態のままSMR12が開放されることになり、アーク放電等によってSMR12の接点にダメージを与えてしまう可能性がある。SMR12に加わるストレス(ダメージ量)は、通電電流値に相関関係があり、通電電流値が大きくなるほど大きくなる。過大なストレスによりSMR12が溶着に至ることを抑制するためには、SMR12に加わるストレスを抑制することが望ましい。
そこで、本実施の形態に係るHV-ECU60は、起動スイッチ63からOFF信号を受け、かつ、双方向DC/DCコンバータ33とのCAN通信に異常が生じている場合には、SMR12の開放に先立って、SMR12の通電電流値を抑制するための処理を実行する。具体的には、HV-ECU60は、複数の補機負荷70のうち、車両システムの停止に関わる補機負荷(以下「第1補機負荷71」とも称する)を継続して駆動させる一方で、車両システムの停止に関わらない補機負荷(以下「第2補機負荷72」とも称する)を停止させる。そして、HV-ECU60は、第2補機負荷72を停止させた後に、SMR12を開放状態にする。
本実施の形態においては、複数の補機負荷70の各々について、第1補機負荷71であるか、第2補機負荷72であるかが予め設定され、その設定された補機情報が、たとえばHV-ECU60のメモリに記憶されている。HV-ECU60は、メモリから補機情報を読み出して、第1補機負荷71および第2補機負荷72を認識する。本実施の形態では、複数の補機負荷70は、以下のように設定されている。
第1補機負荷71は、たとえば、HV-ECU60、および、スマートキーとのID照合を行なう照合ECU(図示せず)等を含む。
第2補機負荷72は、たとえば、空調装置20を含む。また、第2補機負荷72は、ナビゲーション装置、照明装置、冷却装置、走行に関する各種センサ類、および、走行に関するアクチュエータ類を含む(いずれも図示せず)。
なお、第1補機負荷71および第2補機負荷72については、上記のような設定に限られるものではなく、車両の仕様等に基づいて適宜設定することができる。
起動スイッチ63からOFF信号を受けた場合において、双方向DC/DCコンバータ33とのCAN通信に異常が生じていると、HV-ECU60は、第2補機負荷72を停止させる。第2補機負荷72が停止すると、複数の補機負荷70の消費電力が低減される。ゆえに、電池スタック11からの電力の持ち出し電力も低減され、第2補機負荷72を停止させない場合に比べ、SMR12の通電電流値が小さくなる。この状態において、HV-ECU60はSMR12を開放状態にする。これにより、第2補機負荷72を停止させずにSMR12を開放状態にする場合に比べ、SMR12に加わるストレスを抑制することができる。
<HV-ECUで実行される処理>
図2は、HV-ECU60で実行される処理の手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートは、起動スイッチ63からOFF信号を受けた場合(すなわち、ユーザが起動スイッチ63をOFF操作した場合)に、HV-ECU60によって開始される。なお、図2に示すフローチャートの各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、HV-ECU60によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がHV-ECU60内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
S1において、HV-ECU60は、双方向DC/DCコンバータ33とのCAN通信が途絶したか(異常が発生したか)否かを判定する。CAN通信の異常は、たとえば、ハンドシェイクプロトコルの実行において通信不良が検出された場合や、送信した動作指令に対して双方向DC/DCコンバータ33から所定時間内の応答がなかった場合等に検出される。CAN通信に異常が発生していないと判定すると(S1においてNO)、HV-ECU60は、処理をS3に進める。CAN通信に異常が発生していると判定すると(S1においてYES)、HV-ECU60は、処理をS9に進める。
S3において、HV-ECU60は、CAN通信により停止を示す動作指令を双方向DC/DCコンバータ33に送信する。当該動作指令を受けると、双方向DC/DCコンバータ33の制御部39は、双方向DC/DCコンバータ33の各部を停止させる。
S5において、HV-ECU60は、SMR12を開放状態にする。このとき、双方向DC/DCコンバータ33は停止しているので、SMR12には電流が流れていない。よって、この場合には、SMR12にストレスを加えることなく、SMR12を開放状態にすることができる。
S7において、HV-ECU60は、複数の補機負荷70を停止させる。
S9において、HV-ECU60は、第2補機負荷72を停止させる。これにより、第2補機負荷72が停止する分、複数の補機負荷70の消費電力が低減される。
S11において、HV-ECU60は、SMR12を開放状態にする。第2補機負荷72の停止により複数の補機負荷70の消費電力が低減された状態でSMR12が開放状態にされるので、第2補機負荷72が駆動している場合に比べて、電池スタック11からの持ち出し電力が低減される。よって、第2補機負荷72を停止させない場合に比べ、SMR12の通電電流を小さくすることができるので、SMR12の開放によってSMR12に加わるストレスを抑制することができる。
S13において、HV-ECU60は、第1補機負荷71を停止させる。
なお、本実施の形態に係るMG-ECU34およびHV-ECU60は、本開示に係る「制御装置」の一例に相当する。
以上のように、本実施の形態に係るモータ駆動システム1において、HV-ECU60は、起動スイッチ63からOFF信号を受けた場合において、双方向DC/DCコンバータ33とのCAN通信に異常が生じていると、第2補機負荷72を停止させる。第2補機負荷72を停止させることにより、複数の補機負荷70の消費電力が低減される。ゆえに、電池スタック11からの電力の持ち出し電力も低減され、第2補機負荷72を停止させない場合に比べ、SMR12の通電電流値が小さくなる。この状態において、HV-ECU60はSMR12を開放状態にする。これにより、第2補機負荷72を停止させずにSMR12を開放状態にする場合に比べ、SMR12の開放によりSMR12に加わるストレスを抑制することができる。
また、本実施の形態に係るモータ駆動システム1において、双方向DC/DCコンバータ33は、HV-ECU60とのCAN通信に異常が生じると、降圧動作を実行するように構成されている。すなわち、HV-ECU60とのCAN通信の途絶時には、双方向DC/DCコンバータ33は、降圧動作を実行する。仮に、HV-ECU60とのCAN通信の途絶時に双方向DC/DCコンバータ33が停止してしまうと、車両の退避走行ができなくなってしまう可能性がある。HV-ECU60とのCAN通信の途絶時に双方向DC/DCコンバータ33が降圧動作を実行することで、車両の退避走行が可能となる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 モータ駆動システム、10 電池パック、11 電池スタック、12 SMR、13 遮断装置、13a サービスプラグ、13b ヒューズ、14 電池ECU、14a 漏電検出回路、15,35,37,38,41 電圧センサ、16,36 電流センサ、20 空調装置、31 昇圧コンバータ、32 インバータ、33 双方向DC/DCコンバータ、34 MG-ECU、39 制御部、40 補機電池、50 モータジェネレータ、51 回転角センサ、60 HV-ECU、61 アクセルポジションセンサ、62 ブレーキポジションセンサ、63 起動スイッチ、70 複数の補機負荷、71 第1補機負荷、72 第2補機負荷、80 CANバス、C1,C2 コンデンサ、D1,D2 ダイオード、EL 低電圧線、L1 リアクトル、NL,PL1,PL2 電力線、Q1,Q2 スイッチング素子、R1,R2 抵抗。

Claims (1)

  1. 車両であって、
    走行用モータと、
    バッテリと、
    前記バッテリと前記走行用モータとの間に設けられる電力制御装置と、
    前記バッテリと前記電力制御装置との電気的な接続および遮断を切り替えるシステムメインリレーと、
    補機負荷と、
    前記システムメインリレー、前記電力制御装置および前記補機負荷を制御する制御装置とを備え、
    前記電力制御装置は、前記バッテリの電力を前記補機負荷を駆動するための電力に変換する電力変換装置を含み、
    前記補機負荷は、前記車両の車両システムの停止に関わる第1補機負荷と、前記車両システムの停止に関わらない第2補機負荷とを含み、
    前記制御装置は、前記車両システムを停止させる操作が行なわれ、かつ、前記電力変換装置との通信に異常が生じている場合には、前記第2補機負荷を停止させた後に前記システムメインリレーを開放する、車両。
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