JP2022138511A - 吸着材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022138511000001
【課題】水質改善に利用可能であり、水中での形状を長期間維持することができる吸着材とその製造方法を提供する。
【解決手段】吸着材は、多孔質炭化物、バインダ、鉄、およびアルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の少なくとも一つを含む。吸着材は、鉄化合物をさらに含んでもよい。吸着材において、多孔質炭化物の含有率は20質量%以上80質量%以下、バインダの含有率は5質量%以上50質量%以下、鉄と鉄化合物の含有率の和は5質量%以上35質量%以下、炭酸塩と炭酸水素塩の含有率の和は1質量%以上30質量%以下であってもよい。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態の一つは、吸着材とその製造方法に関する。
バイオマスから調製された炭素を基本材料として有する多孔質炭化物に鉄を担持させた吸着材は、リン酸に由来するリン酸イオンを吸着することが可能であることから、河川や湖沼、海などの水域における水質改善に利用できることが知られている。また、リン酸イオンを吸着した吸着材は肥料としても利用することができるため、リン酸イオン吸着後の吸着材を土壌へ散布することで、植物によって固定化された二酸化炭素を有効に活用しつつ、二酸化炭素を土壌へ貯留することが可能となる。したがってバイオマスから得られる吸着材は、大気中の温室効果ガスを固定化するための炭素貯留において中心的な役割を担っている(特許文献1、非特許文献1参照)。
特開2007-75706号公報
柴田晃、「地域振興のためのバイオマス簡易炭化と炭素貯留野菜COOL VEGETM」、高温学会誌、2011年3月、第37巻、第2号、p.37-42
本発明の実施形態の一つは、吸着材とその製造方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、水質改善に利用可能であり、水中での形状を長期間維持することができる吸着材とその製造方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、大気中の二酸化炭素固定を介して炭素を貯留するためのシステムを提供することを課題の一つとする。
本発明の実施形態の一つは、吸着材である。この吸着材は、多孔質炭化物、バインダ、および鉄を含む、吸着材はさらに、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の少なくとも一つを含む。
本発明の実施形態の一つは、吸着材の製造方法である。この製造方法は、多孔質炭化物をバインダと鉄粉と混合して前駆体を調製すること、および前駆体を二酸化炭素を含むガスで処理することを含む。
本発明の実施形態により、河川や湖沼、海などの水域の水質改善において長期にわたって利用可能な吸着材、およびその製造方法を提供することができる。また、植物の育成に対して効果を有する肥料を低コストで製造することが可能となる。さらに、大気中の二酸化炭素を炭素という形で地中に貯留し、温室効果の抑制に寄与することができる。
本発明の実施形態の一つに係る吸着材の製造方法を示すフローチャート。 本発明の実施形態の一つに係る吸着材の製造方法を示すスキーム。 本発明の実施形態の一つである二酸化炭素貯留システムを示す概念図。 実施例におけるりん酸吸着後の吸着材の写真。
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
<第1実施形態>
本実施形態では、本発明の実施形態の一つに係る吸着材とその製造方法について述べる。
1.吸着材
吸着材は多孔質炭化物を基本骨格として備え、その表面や細孔に鉄(0価の鉄)が担持されている。担持された鉄により、水中に存在するリン酸やそのイオンがリン酸鉄となり、多孔質炭化物に吸着される。このため、この吸着材は、河川や湖沼、海などの水域の水質を効果的に改善するための吸着材として利用することができる。吸着材はさらにバインダを含むとともに、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の少なくとも一方を含む。吸着材はさらに鉄化合物を含んでもよく、あるいは炭酸塩と炭酸水素塩以外のアルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の化合物や水を含んでもよい。
1-1.多孔質炭化物
多孔質炭化物は、有機物を原料として用い、有機物を低酸素濃度の条件下で加熱・炭化することで製造される炭化物である。有機物としては、バイオマスが例示される。バイオマスに由来する多孔質炭化物としては、木炭、竹炭、白炭、黒炭、オガ炭、ヤシ殻炭、もみ殻炭などが例示される。後述するように、バイオマスを多孔質炭化物の原料として用いることで、大気中の二酸化炭素を貯留するためのシステムを構築することができるとともに、吸着材の水中崩壊を防ぐための反応サイトとして働くアルカリ金属やアルカリ土類金属のイオンを提供することができる。
炭化は、窒素ガス若しくはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下、無酸素雰囲気下、低酸素雰囲気下、還元雰囲気下、または減圧雰囲気下、有機物を加熱することによって行われる。炭化を減圧雰囲気下で行う場合、10Pa以上10Pa以下の低真空状態、10-1Pa以上10Pa以下の中真空状態、10-5Pa以上10-1Pa以下の高真空状態、または10-5Pa以下の超高真空状態で行うことができる。炭化を低酸素雰囲気下で行う場合、酸素濃度は0.01%以上3%以下または0.1%以上2%以下で行うことができる。炭化における加熱温度は、400℃以上1200℃以下、500℃以上1100℃以下、600℃以上1000℃以下、または600℃以上900℃以下とすればよい。加熱時間は10分以上10日以下、または10分以上5時間以下とすればよい。
炭化は、内燃式または外熱式の炭化炉を用いて行われる。炭化炉としては、バッチ式の密閉型の炭窯炉や連続式のロータリーキルン、揺動式炭化炉、スクリュー炉などが挙げられる。バイオマスの炭化によって乾留ガスが発生するとともに、バイオマスの構造に起因する孔と、乾留ガスの脱離によって形成される細孔が複雑に混ざり合った、様々な形状と大きさを有する細孔が形成された多孔質炭化物が生成する。乾留ガスには主に水素や一酸化炭素、メタンやプロパン、ブタンなどに代表されるアルカンなどの可燃性、または還元力を有するガスが含まれる。乾留ガスは高温(700℃から1300℃)の状態で取り出されるため、その熱エネルギーや可燃性などをエネルギー源として発電や温水の供給などに利用することができる。
ここで、バイオマスとは有機物の一種である、生体由来の物質とその代謝物を指す。例えば木に由来する材料がバイオマスとして挙げられる。具体的には、板状や柱状の木材、間伐材、剪定廃材、建築廃木材、粉末状のおがくず、パーティクルボートなどの木製成形品が挙げられる。木の種類に制約はなく、スギやヒノキ、竹でもよい。あるいは籾殻、バガス、トウモロコシの軸や葉などの農業廃棄物、藁や麦わら、乾草などの農業副産物もバイオマスの一例として挙げられる。あるいは麻や亜麻、綿、サイザル麻、アバカ、ヤシ毛などの繊維の原料となる植物が挙げられる。あるいは海藻などの藻類でもよい。あるいは、食品残渣や、動物の糞尿から得られるサイレージなどが挙げられる。
多孔質炭化物の大きさや形状は特に限定されないが、多孔質炭化物の平均粒径は1μm以上50mm以下または1μm以上1mm以下であってもよい。この範囲に平均粒径を有することで、後述する混合、混練工程において、多孔質炭化物と鉄粉を均一に混合することができる。
内部に形成される細孔に起因し、多孔質炭化物は大きな比表面積を有する。具体的には、多孔質炭化物の比表面積は、100m/g以上900m/g以下であり、100m/g以上800m/g以下、または150m/g以上400m/g以下であってもよい。比表面積は、水銀圧入法やBJH法またはHK法に例示されるガス吸着法などを用いて測定される。
1-2.鉄と鉄化合物
後述するように、鉄は鉄粉として多孔質炭化物と混合され、担持される。鉄粉の形状に制約はない。例えば平均円形度が50以上100以下、70以上95以下、または80以上90以下の鉄粉を用いてもよい。ここで平均円形度とは、鉄粉に含まれる各鉄粒子の形状を表すパラメータの一つであり、鉄粉を顕微鏡観察して得られる画像を解析し、複数の鉄粒子について円形度を求め、それを平均した値である。円形度としては、例えば顕微鏡像中の各鉄粒子の投影面の周囲長で投影面の面積と等しい面積の円の周囲長を除した値を用いることができる。あるいは、投影面を内接する円の面積で投影面の面積を除した値を円形度として採用してもよい。
鉄粉の平均粒径にも制約はなく、例えば20μm以上500μm以下または50μm以上200μm以下の範囲に平均粒径を有する鉄粉を使用することができる。さらに、1)1μm以上150μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が3質量%以上70質量%、2)1μm以上75μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が0質量%以上25質量%以下、3)1μm以上45μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合粉が0質量%以上15質量%以下、4)150μm以上2000μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が430質量%以上99質量%以下、かつ、5)600μm以上2000μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が0質量%以上15質量%以下であって、同時に、少なくとも1)から3)のいずれか一の鉄粒子の割合と4)または5)の鉄粒子の割合との合計が100質量%となる粒径分布を有する鉄粉を用いてもよい。ここで、鉄粉の平均粒径とは、鉄粉を顕微鏡観察して得られる画像を解析し、複数の鉄粒子について粒径を求め、それを平均した値である。各鉄粒子の粒径としては、例えば顕微鏡像中の各鉄粒子の投影面を内接する円の直径または正方形の一辺の長さを採用することができる。
鉄粉には微量の他の元素が含まれていてもい。他の元素としては、炭素や酸素、硫黄、リン、マンガン、ケイ素、バナジウム、銅、チタンなどが挙げられる。したがって、鉄粉の純度は、90.0%以上99.9%以下または95.0%以上99.0%以下でもよい。
なお、鉄粉の一部は酸化された状態、すなわち鉄化合物として多孔質炭化物上に担持されてもよい。鉄化合物としては、酸化鉄や水酸化鉄が挙げられる。鉄化合物に含まれる鉄は、2価、3価、あるいは2価と3価の原子価が混合した混合原子価の状態で存在してもよい。したがって、鉄化合物が水酸化鉄の場合には、水酸化第一鉄でも水酸化第二鉄でもよい。鉄化合物が酸化鉄の場合には、ウスタイト(FeO)、ヘマタイト若しくはマグへマイト(Fe)、またはマグネタイト(Fe)でもよい。
1-3.バインダ
バインダは、後述する混練工程において多孔質炭化物と鉄粉を効率よく分散させ、鉄や鉄化合物を多孔質炭化物と一体化させるために用いられる。バインダの種類に制約はないが、有機系バインダおよび/または無機系バインダを用いることができる。有機系バインダとしては、例えば糖蜜、廃糖蜜、澱粉、デキストリン、コーンスターチ、米糠、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとエチレンの共重合体若しくはそのケン化体、パルプ廃液、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、フェノール樹脂、およびタールピッチなどから選択される一つまたは複数が挙げられる。中でも糖蜜は安価で有害成分が少なく、固形成分が多いため、糖蜜を用いることで吸着材の成形が容易となる。無機系バインダとしては、例えばセメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石膏(硫酸カルシウム)や石膏を加熱・脱水して得られる焼石膏、ケイ酸ナトリウムなどが例示される。
1-4.炭酸塩と炭酸水素塩
バイオマスを多孔質炭化物の原料として用いることで、バイオマス中に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物が多孔質炭化物に残留する。この金属化合物は、例えばハロゲン化物、酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩として多孔質炭化物に含まれる。後述するように、吸着材の製造工程において、アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物は、二酸化炭素との反応によって炭酸塩および/または炭酸水素塩へ変化し、多孔質炭化物上に担持される(炭酸化)。換言すると、アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物は二酸化炭素の反応サイトとして機能する。
具体的なアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムなどが挙げられる。アルカリ土類金属はマグネシウムとカルシウムである。したがって、吸着材に含まれる炭酸塩や炭酸水素塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウムが挙げられる。
なお、二酸化炭素と反応せずに残留する、炭酸塩と炭酸水素塩以外のアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物が吸着材に含まれていてもい。すなわち、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩または炭酸水素塩とともに、上記金属の塩化物や酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩の一つまたは複数が吸着材に含まれていてもよい。
また、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩は、吸着材の製造時にアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の化合物を別途添加し、その後二酸化炭素との反応を用いて形成してもよい。この場合、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩または炭酸水素塩の含有率はバイオマス中に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物によって制約を受けることが無く、任意に調整することができる。
1-5.組成比
上述した構成の組成比は適宜調整することができる。例えば、吸着材における多孔質炭化物の含有率は、20質量%以上80質量%以下、40質量%以上80質量%以下、または60質量%以上80質量%以下の範囲で調整すればよい。鉄と鉄化合物の含有率の和は、5質量%以上35質量%以下、5質量%以上25質量%以下、または5質量%以上20質量%以下の範囲で調整すればよい。バインダの含有率は、5質量%以上50質量%以下、15質量%以上50質量%以下、または20質量%以上50質量%以下の範囲で調整すればよい。アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の含有率の和は、1質量%以上30質量%以下、1質量%以上15質量%以下、または1質量%以上10質量%以下の範囲で調整すればよい。
あるいは、吸着材における炭素の含有率は、10質量%以上80質量%以下の範囲から調整してもよい。吸着材における鉄(すなわち、0価の鉄および/または鉄イオンを含む鉄元素)の含有率は、5質量%以上35質量%以下の範囲から調整してもよい。また、アルカリ金属とアルカリ土類金属の含有率の和は、1質量%以上30質量%以下の範囲から調整してもよい。
吸着材中の多孔質炭化物の含有率の測定では、まず、原料段階にある多孔質炭化物の炭素含有率を測定する。例えば燃焼・赤外線吸収法を利用し、JIS H1617、JIS Z2615、およびASTM E1941に準拠した方法を採用すればよい。具体的には、原料段階にある多孔質炭化物を燃焼炉において酸素気流下で燃焼させて二酸化炭素を生成する。生成した二酸化炭素を、酸素ガスを用いて赤外線分析計に導入し、その吸収を検出器で測定することで二酸化炭素の濃度を決定する。この二酸化炭素の濃度から原料段階にある多孔質炭化物の炭素の質量が多孔質炭化物の質量として定量される。その後、原料段階にある多孔質炭化物、この多孔質炭化物と混合されるバインダ、鉄粉、水などの他の原料の質量から多孔質炭化物の含有率を算出すればよい。バインダの含有率も、吸着材の製造工程で使用される多孔質炭化物、鉄粉、水などの他の原料の質量から算出すればよい。
鉄と鉄酸化物の含有率の和、およびアルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の含有率の和は、例えば吸着材に対して誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)または誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を適用することで測定することができる。ICP-OESでは、アルゴンプラズマを発光光源として使用し、霧状にした溶液試料をプラズマに導入することで、アルカリ金属とアルカリ土類金属固有のスペクトルを分光し、測定波長および発光強度からアルカリ金属とアルカリ土類金属を定量することができる。ICP-MSは、アルゴンプラズマをイオン源として用い、試料に含まれる元素をイオン化し、イオンを質量電荷比に基づいて分離し検出する方法である。検出されたイオンの質量電荷比から元素を特定することができるとともに、検出されたイオンをカウントすることにより、アルカリ金属とアルカリ土類金属を定量することができる。また、定量されたアルカリ金属とアルカリ土類金属のイオンの含有率を炭酸塩または炭酸水素塩に変換することで、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の含有率の和を求めることができる。
なお、上述した方法では、後述する二酸化炭素を含むガスでの処理、すなわち、多孔質炭化物中に含まれるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩と二酸化炭素との反応率や、この反応による吸着材の質量変化を考慮していない。また、製造工程における鉄の酸化による鉄化合物の生成も考慮していない。しかしながら、これらの反応に起因する質量変化は無視できる範囲であるため、上記方法による測定結果の信頼性は十分に高いと言える。
一方、吸着材における炭素の含有率は、吸着材に対して上記燃焼・赤外線吸収法を適用することで求めることができる。なお、吸着材における炭素の含有率は、主に多孔質炭化物中とバインダ、およびアルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩に由来する炭素の含有率である。鉄の含有率、およびアルカリ金属とアルカリ土類金属の含有率の和も、ICP-OESまたはICP-MSを吸着材に適用することで測定可能である。
上記範囲から各成分の含有率を調整することで、水中のリン酸を効果的に除去する機能が得られるとともに、吸着材の水中崩壊を防ぐことができるため、水質改善機能を長期間に亘って維持することができる。
吸着材のリン酸吸着能は、例えばバッチ試験により行うことができる。バッチ試験は、被吸着材であるリン酸を含む溶液のリン酸濃度と、リン酸を吸着した後の溶液のリン酸濃度の差からリン酸の吸着量を算出する方法である。リン酸濃度の決定は、例えばモリブデン青法やバナドモリブデン酸アンモニウム吸光度法などを用いて行うことができる。前者では、採取した一定量の試料にペルオキソ二硫酸カリウム溶液を加えて加熱し、さらにモリブデン酸アンモニウムとビス[(+)-タルトラト]二アンチモン(III)酸二カリウム三水和物の混合溶液を加え、モリブドリン酸を生成する。このモリブドリン酸にL-アスコルビン酸溶液を加えてモリブデン青(モリブデンの水和混合原子価酸化物)を生成する。紫外・可視分光光度計を用いてモリブデン青の吸収(例えば880nmにおける吸収)を測定することで、水溶性リン酸が定量される。後者では、採取した一定量の試料に硝酸(1+1)を加えて加熱し、非オルトりん酸をオルトりん酸イオンに加水分解させる。その後、バナジン(V)酸アンモニウム、七モリブデン酸六アンモニウムおよび硝酸を加えてりんバナドモリブデン酸塩を生成する。紫外・可視分光光度計を用いてりんバナドモリブデン酸塩の吸収(例えば420nmにおける吸収)を測定することで、リン酸が定量される。
2.製造方法
以下、吸着材の製造方法の一例を説明する。図1と図2は、それぞれ吸着材の製造方法を示すフローチャートとスキームである。図2におけるMは多孔質炭化物中に含まれるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物である。MはLi、Na、K、Cs、Mg、Caから選択され、AとしてはF、Cl、Br、I、OH、O、SO、NOなどが例示される。xとyは、陰イオンAと金属Mの価数に応じ、それぞれ独立して1または2である。
2-1.混合、混練
図1、図2に示すように、まず、原料となる多孔質炭化物、バインダ、鉄(鉄粉)を混合し、その後練り込む(混練)。多孔質炭化物としては、上述したように、バイオマスの炭化で得られる炭化物を用いることが好ましい。鉄粉としては、上述した平均粒径または粒径分を有する鉄粉を用いればよい。多孔質炭化物、バインダ、鉄粉の量は、上述した範囲の組成比が得られるように適宜調整される。多孔質炭化物は、予め破砕や分級を行ってその粒径を調整してもよい。多孔質炭化物の粒径は鉄粉の粒径よりも大きい場合が多いため、鉄粉の粒径と略同じになるように多孔質炭化物を破砕してもよい。
混合または混練を行う際、必要に応じて多孔質炭化物、バインダ、鉄に水が加えられる。水を添加することで、粉塵の発生を防止することができるとともに、多孔質炭化物と鉄粉をより均一に混合することができる。
これらの原料の混合・混練においては、混練機を用いることができる。混練機としては、例えば、単軸スクリュー混練機、二軸スクリュー混練機、ミキシングロール、ニーダ、またはバンバリーミキサなどを用いることができる。また、混合と混練の両者の機能を有する混練機を用いてもよい。この場合、混練機に多孔質炭化物、鉄粉、およびバインダを投入し、その後混合・混練する。あるいは、混合と混練を連続して行ってもよい。例えば、混練機に多孔質炭化物および鉄粉を投入して混合し、引き続き、混練機にバインダを投入して混練する。バインダは一度に加えてもよく、断続的に加えてもよく、連続的に加えてもよい。多孔質炭化物および鉄粉を混合した後にバインダを加えて混練することで、多孔質炭化物と鉄粉の凝集を防ぎ、発泡を抑制することができる。
混練温度は任意に設定することができ、例えば0℃以上50℃以下、または10℃以上40℃以下とすればよい。混練時間も原料の混合比や量、バインダの種類、混練機の容量などを考慮して適宜設定すればよく、例えば1秒以上1時間以下、1分以上30分以下、または1分以上15分以下の範囲から設定すればよい。
以上の操作により、多孔質炭化物、バインダ、および鉄粉が混合されたペースト状の前駆体を得ることができる。なお、この工程において、鉄粉の一部が酸化されることがあり、その結果、前駆体は2価および/または3価の鉄を含む化合物(Fe(II)、Fe(III))を含む。鉄化合物としては、上述したように、水酸化鉄や酸化鉄が例示される。また、混合・混練の際、炭酸塩と炭酸水素塩を除くアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の化合物を添加してもよい。
2-2.造粒
任意の工程として、前駆体を造粒して一定の形状に成形してもよい。前駆体の成形は造粒機を用いて行うことができる。造粒機としては、圧縮型造粒機、押出型造粒機、ロール型造粒機、ブレード型造粒機、溶融型造粒機、または噴霧型造粒機などが例示される。
押出型造粒機を用いる場合には、造粒機に装着されたダイスから所定の形状に成形されたペースト状前駆体が押し出される。押し出された前駆体は、所定の長さで切断され、押出方向が高さ方向となるペレット形状へ成形される。押出型造粒機における前駆体の押出速度と切断速度(回転切断方式であれば、カッターの回転速度)を調整することで、前駆体の長さ(ペレット形状の高さ)を調整することができる。また、ダイスの開口径を調整することで、前駆体の径(断面形状が円形の場合は直径)を調整することができる。このため、押出型造粒機を用いることにより、大きさが制御されたペレット形状(例えば、略円柱状)を有する前駆体を得ることができる。
ペレット形状の大きさは任意に設定すればよく、例えば各ペレットの長さは、1mm以上20mm以下、3mm以上15mm以下、6mm以上12mm以下とすればよい。断面形状が円形の場合、ペレットの直径は、1mm以上20mm以下、mm以上10mm以下、または3mm以上8mm以下とすればよい。
成形後の前駆体の断面形状(長手方向に垂直な断面)は、円形に限られない。前駆体の断面形状は、例えば、楕円形または多角形などであってもよい。すなわち、成形後の前駆体は、円柱だけでなく、楕円柱または多角柱のペレット形状であってもよい。前駆体の断面形状は、ダイスの開口形状を変えることで変更することができる。この造粒工程は、後述する乾燥工程の後に行ってもよい。
2-3.二酸化炭素処理
引き続き、前駆体を二酸化炭素で処理する。具体的には、前駆体を二酸化炭素を含むガスと接触させ、前駆体の多孔質炭化物中に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物の全てまたは一部を炭酸塩または炭酸水素塩へ変化させる。ガスは二酸化炭素または二酸化炭素と他のガスとの混合ガスであり、他のガスとしては、空気、窒素、酸素、アルゴンなどの希ガス、水(水蒸気)などが挙げられる。混合ガスの場合、ガス中の二酸化炭素濃度も任意に設定でき、例えば1体積%以上100体積%以下、1体積%以上50体積%以下、または1体積%以上20体積%以下の範囲から適宜設定すればよい。
前駆体と二酸化炭素の接触は、例えば混練機に二酸化炭素を含むガスを導入し、混練と同時に行ってもよい。あるいは、ガラスやステンレスなどの容器に混練後または成形後の前駆体を配置し、容器内に二酸化炭素を含むガスを導入してもよい。あるいは、パン型の造粒機で成形後の前駆体を回転しながら二酸化炭素を含むガスと接触させてもよい。この処理における温度は、例えば0℃以上80℃以下または0℃以上50℃以下で行うことができ、典型的には室温(25℃またはその前後)である。湿度は、20%以上95%以下、または50%以上90%以下でもよい。
二酸化炭素を含むガスの供給源の一例としては、二酸化炭素を含むガスのボンベやタンクなどが挙げられる。あるいは、二酸化炭素を大量に排出する施設(化学プラント、ゴミ焼却施設、火力発電所、その他各種工場など)からの排出ガス、または排出ガスに対して脱塵、脱硫、脱硝などを行うことで得られる精製された二酸化炭素を利用してもよい。二酸化炭素を大量に排出する施設が吸着材の製造現場に近い場合、これらの施設が二酸化炭素を含むガスの供給源として機能するので、二酸化炭素を運搬するためのコストが削減され、運搬に伴う二酸化炭素の二次的な排出が防止される。
以上の工程により、吸着材が得られる。
2-4.乾燥
任意の工程として、二酸化炭素処理によって得られる吸着材を乾燥してもよい。乾燥温度と時間も、吸着材の量や含まれる水の量に応じて適宜選択される。例えば30℃以上400℃未満、50℃以上300℃以下、100℃以上300℃以下の範囲から乾燥温度を選択すればよい。乾燥時の湿度は、20%以上95%以下、または50%以上90%以下でもよい。乾燥時間も1分以上1週間以下、1時間以上3日以下、または3時間以上1日以下の範囲から適宜選択される。乾燥の際の雰囲気も、例えば空気、窒素、アルゴンなどの希ガス、あるいはこれらの混合でもよい。
本発明の実施形態の一つに係る吸着材の製造では、高温での焼成を行わなくてもよい。すなわち、バインダを炭化するに必要な温度(例えば400℃以上)での加熱を行わなくてもよい。換言すると、吸着材の製造工程における最大温度は400℃未満であってもよい。このため、焼成に要する時間やエネルギーが不要となるため、より低コストで吸着材を提供することができる。
上述したように、本発明の実施形態の一つに係る吸着材の製造方法では、多孔質炭化物中に含まれるアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の化合物の全てまたは一部が炭酸塩または炭酸水素塩へ変換される。その結果、吸着材にはアルカリ金属の炭酸塩と炭酸水素塩、ならびにアルカリ土類金属の炭酸塩と炭酸水素塩の少なくとも一つが含まれる。詳細なメカニズムは不明であるが、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩および/または炭酸水素塩が含まれると、吸着材の水中崩壊が抑制される。すなわち、吸着材を水または被吸着物を含む水中に長時間配置しても、水による浸食がほとんど生じず、その形状を安定的に維持することができる。このため、長期間に亘って水質改善のための吸着材としての使用が可能であり、かつ、吸着後の回収を容易に行うことができる。
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態で述べた吸着材を介して大気中の二酸化炭素の削減に寄与するシステムについて、図3を用いて説明する。
第1実施形態で述べたように、本発明の実施形態の一つに係る吸着材の製造では、バイオマスから得られる多孔質炭化物を原料の一つとして用いることができる。この時、バイオマスの炭化によって得られる乾留ガスをエネルギー源として用いることで、発電や温水の製造などを行うことができる(図3、(1))。
得られる多孔質炭化物は、鉄粉とバインダと混合・混練されて前駆体を与え(図3、(2))、さらに二酸化炭素を含むガスによって処理される(図3、(3))。その結果、鉄や鉄化合物が担持され、かつ、アルカリ金属の炭酸塩や炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩などを含む吸着材が得られる。上述したように、鉄や鉄化合物が担持された炭化物は水中の汚染物質、特にリン酸などのリン含有化合物を効果的に吸着する。したがって、この吸着材を河川、湖沼、海などの水域に設置することで、水質改善を行うことができる(図3、(4))。
吸着材に吸着されるリン酸は、種々の植物の生長を促進する養分の代表的な成分である。このため、リン酸を吸着した吸着材は肥料として使用することができ、このことは肥料を低コストで提供することに寄与する。例えば水質改善処理に供した吸着材をそのままの形で、または解砕・分級を行った後に農地に散布する(図3、(5))。あるいは、硫酸カルシウムなどの肥料助剤や他の肥料成分を混合した後に散布してもよい。添加される肥料成分としては窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ケイ酸、ホウ素から選ばれる一つ、あるいは複数が挙げられ、具体的な材料として油粕、発香鶏糞、魚粉、骨粉、米ぬか、バットグアノ、ポカシ肥、草木灰、石灰、化成肥料などが例示される。
散布された吸着材は、吸着したリン酸を徐放し、リン酸は植物の生長のために利用される。この時、植物は大気中の二酸化炭素を炭素源として光合成に利用し、生長する(図3、(6))。植物はその後、食材や材料など、様々な態様で利用される。利用後の植物は、再度バイオマスとして多孔質炭化物の製造に利用することが可能である(図3、(7))。
このように、本発明の実施形態を適用することで、バイオマスから多孔質炭化物の生成、吸着材の製造、水質改善と肥料の製造、肥料を利用する植物の生長とバイオマスの再生という一連のサイクルが確立される。このサイクルにおいては、植物が固定化した大気中の二酸化炭素は、リン酸吸着機能を発現する鉄や鉄化合物の担持体として利用されるとともに、炭素という形で地中に貯留される。したがって、このサイクルは大気中の二酸化炭素を地中に還元して貯留するシステムであり、大気中の二酸化炭素の削減に寄与するものである。
本実施例では、本発明の実施形態の一つに係る吸着材の作製、および吸着材を評価した結果について述べる。
1.吸着材の作製
1-1.実施例
原料となる多孔性炭化物として、不定形状の木炭(木質バイオマスガス化発電廃炭)を用いた。この45gの木炭に300μm以上2000μm以下の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が45質量%、75μm以上300μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が45質量%、1μm以上75μ未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が10質量%の鉄粉15g、および35gの焼石膏を加え、スパーテルで1分間混合した。さらにこの混合物に、室温で7gの廃糖蜜(固形分70%)と40mLの水を添加し、30分間混練して粉体混合物を得た。木炭、鉄粉、焼石膏、廃糖蜜の固形分の比率は45:15:5:35(合計100%)であった。
次に、得られた粉体混合物を造粒機に投入し、直径6mm、高さ9mmのペレット形状に成形した。
次に、成形した粉体混合物50gを約5Lのガラス製容器内に密閉し、20℃において二酸化炭素(純度100%)を容器に導入した。二酸化炭素の流量は5mL/分であり、ガスの導入は18時間行った。
1-2.比較例
比較例として、実施例と同様の方法で吸着材を作製した。ただし、二酸化炭素を含むガスによる処理は行わず、容器内で同温度で、同時間静置した。
2.評価
バッチ法を用いて、実施例の吸着材のリン酸の吸着量を評価した。200mg/Lのリン酸溶液50mLに0.1gの実施例の吸着材を加え、23℃、100rpmの条件で平衡濃度に達するまで水平に振盪した後、ろ過した。ろ液のリン濃度をモリブデン青吸光光度法で定量した結果、リンの吸着量は34(mg-P/g)であった。このことから、本発明の実施形態の一つに係る吸着材は、高いリン酸吸着能を示すことが確認された。一方、比較例の吸着材のリン吸着量は29(mg-P/g)であった。
リン酸吸着後の実施例の写真を図4に示す。この写真において、黒く着色している部分が吸着材である。図4から理解されるように、二酸化炭素を含むガスで処理された実施例の吸着材の崩壊は観測されず、水中においてその形状が安定的に維持されることが分かった。一方、比較例の吸着材は水中で崩壊した。
これらの結果は、多孔質炭化物、バインダ、鉄粉を含む前駆体に対して二酸化炭素を接触させることで、吸着材にアルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩を形成することができ、得られる吸着材のリン酸吸着能を損なうことなく、水中での形状安定性を増大できることを示している。
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。

Claims (16)

  1. 多孔質炭化物、
    バインダ、
    鉄、および
    アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の炭酸塩と炭酸水素塩の少なくとも一つを含む、吸着材。
  2. 鉄化合物をさらに含む、請求項1に記載の吸着材。
  3. 前記多孔質炭化物の含有率は、20質量%以上80質量%以下であり、
    前記バインダの含有率は、5質量%以上50質量%以下であり、
    前記鉄と前記鉄化合物の含有率の和は、5質量%以上35質量%以下であり、
    前記炭酸塩と前記炭酸水素塩の含有率の和は、1質量%以上10質量%以下である、請求項2に記載の吸着材。
  4. 炭素の含有率が10質量%以上80質量%以下であり、
    鉄の含有率が5質量%以上35質量%以下であり、
    前記金属の含有率が1質量%以上30質量%以下である、請求項2に記載の吸着材。
  5. 前記鉄化合物は、酸化鉄と水酸化鉄から選択される、請求項2に記載の吸着材。
  6. 前記金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムから選択される、請求項1に記載の吸着材。
  7. 前記バインダは、糖蜜、廃糖蜜、澱粉、デキストリン、コーンスターチ、米糠、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとエチレンの共重合体若しくはそのケン化体、パルプ廃液、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、フェノール樹脂、タールピッチ石膏、セメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、焼石膏、およびケイ酸ナトリウムから選択される、請求項1に記載の吸着材。
  8. 多孔質炭化物をバインダと鉄粉と混合して前駆体を調製すること、および
    前記前駆体を二酸化炭素を含むガスで処理することを含む、吸着材の製造方法。
  9. 前記ガス中の前記二酸化炭素の濃度は、1体積%以上100体積%以下である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記ガスとの前記処理の前に、前記前駆体をペレット状に成形することをさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
  11. 前記ガスとの前記処理の後、前記前駆体を乾燥することをさらに含む、請求項8に記載の製造方法。
  12. 前記多孔質炭化物は、アルカリ金属とアルカリ土類金属から選択される金属の化合物を含む、請求項8に記載の製造方法。
  13. 前記化合物は、前記金属の塩化物、酸化物、水酸化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、および炭酸水素塩から選択される、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記多孔質炭化物を前記バインダと前記鉄粉と混合するときに、水がさらに加えられる、請求項8に記載の製造方法。
  15. 前記前駆体の成形後に前記前駆体を乾燥することをさらに含む、請求項10に記載の製造方法。
  16. 前記バインダは、糖蜜、廃糖蜜、澱粉、デキストリン、コーンスターチ、米糠、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとエチレンの共重合体若しくはそのケン化体、パルプ廃液、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、フェノール樹脂、タールピッチ石膏、セメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、焼石膏、およびケイ酸ナトリウムから選択される、請求項8に記載の製造方法。
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