JP2023094750A - 二酸化炭素を貯留する方法 - Google Patents

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Hibiki KURASAWA
昭太 袋
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Haruna Takachi
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Shigeki Yokoyama
大起 松澤
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【課題】水質改善と大気質改善が可能な浄化材を利用して二酸化炭素を貯留するためのシステムと方法を提供する。【解決手段】この方法は、バイオマスを炭化して炭化物と乾留ガスを生成すること、炭化物に鉄粉および/または酸化鉄粉を混合して鉄含有炭化物を作製すること、鉄含有炭化物を窒素酸化物および/または硫黄酸化物、ならびに二酸化炭素を含むガスに接触させること、および鉄含有炭化物をリン化合物を含む水に接触させることを含む。この方法は、乾留ガスを用いて発電することをさらに含んでもよい。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態の一つは、二酸化炭素を貯留するシステムと方法に関する。
バイオマスから調製された炭素を基本材料として有する炭化物と鉄を含む吸着材は、リン酸に由来するリン酸イオンを吸着することが可能であることから、河川や湖沼、海などの水域における水質改善や、下水処理施設の汚泥脱水分離液からのリンの回収に利用できることが知られている。また、リン酸イオンを吸着した吸着材は肥料としても利用することができるため、リン酸イオン吸着後の吸着材を土壌へ散布することで、植物によって固定化された二酸化炭素を有効に活用しつつ、二酸化炭素を土壌へ貯留することが可能となる。したがってバイオマスから得られる吸着材は、大気中の温室効果ガスを固定化するための炭素貯留において中心的な役割を担っている(特許文献1、非特許文献1参照)。
特開2007-75706号公報
柴田晃、「地域振興のためのバイオマス簡易炭化と炭素貯留野菜COOL VEGETM」、高温学会誌、2011年3月、第37巻、第2号、p.37-42
本発明の実施形態の一つは、二酸化炭素を貯留するためのシステムと方法を提供することを課題の一つとする。あるいは、本発明の実施形態の一つは、水質改善と大気質改善が可能な浄化材を利用して二酸化炭素を貯留するためのシステムと方法を提供することを課題の一つとする。
本発明の実施形態の一つは、二酸化炭素を貯留するための方法である。この方法は、バイオマスを炭化して炭化物と乾留ガスを生成すること、炭化物に鉄粉および/または酸化鉄粉を混合して鉄含有炭化物を作製すること、鉄含有炭化物を窒素酸化物および/または硫黄酸化物、ならびに二酸化炭素を含むガスに接触させること、および鉄含有炭化物をリン化合物を含む水に接触させることを含む。
本発明の実施形態の一つに係る二酸化炭素を貯留するためのシステムを説明する概念図。 本発明の実施形態の一つに係るシステムと方法に利用可能な浄化材の製造方法を示すフローチャート。 本発明の実施形態の一つに係るシステムと方法においてリン化合物を吸着するためのカートリッジの模式的斜視図。
以下、本発明の各実施形態について、図面などを参照しつつ説明する。ただし、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な態様で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
本発明の実施形態の一つは、水質と大気質の改善とともに二酸化炭素を貯留するためのシステムと方法である。本システムの概念図を図1に示す。本システムでは、バイオマスを出発原料として用いてエネルギーを創成するとともに、水中や大気中の汚染物質を除去する。さらに、本システムは、土壌改良を通して植物の育成を促進するとともに、二酸化炭素などの温室効果ガスの低減を指向するものである。育成した植物は食料や材料として利用され、残渣としてバイオマスが再生される。この一連のステップにより、図1に示すサイクルが完成する。以下、より具体的な説明を行う。
1.炭化
まず、本システムでは、バイオマスを原料として用い、浄化材として機能する鉄含有炭化物(後述)の基質となる炭化物を生成する。バイオマスとは有機物の一種である、生体由来の物質とその代謝物を指す。例えば木に由来する材料がバイオマスとして挙げられる。具体的には、板状や柱状の木材、間伐材、剪定廃材、建築廃木材、粉末状のおがくず、パーティクルボートなどの木製成形品が挙げられる。木の種類に制約はなく、スギやヒノキ、竹でもよい。あるいは籾殻、バガス、トウモロコシの軸や葉などの農業廃棄物、藁や麦わら、乾草などの農業副産物もバイオマスの一例として挙げられる。あるいは麻や亜麻、綿、サイザル麻、アバカ、ヤシ毛などの繊維の原料となる植物が挙げられる。あるいは海藻などの藻類でもよい。あるいは、食品残渣や、動物の糞尿から得られるサイレージなどが挙げられる。
炭化は、バイオマスを低酸素濃度の条件下で加熱することで行われる。例えば、窒素ガスまたはアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下、無酸素雰囲気下、低酸素雰囲気下、還元雰囲気下、または減圧雰囲気下、バイオマスを加熱することによって炭化が行われる。炭化を減圧雰囲気下で行う場合、10Pa以上10Pa以下の低真空状態、10-1Pa以上10Pa以下の中真空状態、10-5Pa以上10-1Pa以下の高真空状態、または10-5Pa以下の超高真空状態で行うことができる。炭化を低酸素雰囲気下で行う場合、酸素濃度は0.01%以上3%以下または0.1%以上2%以下で行うことができる。炭化における加熱温度は、400℃以上1200℃以下、500℃以上1100℃以下、600℃以上1000℃以下、または600℃以上900℃以下とすればよい。加熱時間は10分以上10日以下、または10分以上5時間以下とすればよい。
炭化は、内燃式または外熱式の炭化炉を用いて行えばよい。炭化炉としては、バッチ式の密閉型炭窯炉や連続式ロータリーキルン、揺動式炭化炉、スクリュー炉などが挙げられる。
バイオマスの炭化によって乾留ガスが発生するとともに、バイオマスの構造に起因する孔と、乾留ガスの脱離によって形成される細孔が複雑に混ざり合った、様々な形状と大きさを有する細孔が形成された多孔質性の炭化物が生成する。内部に形成される細孔に起因して炭化物は大きな比表面積を有する。具体的には、炭化物の比表面積は、100m/g以上900m/g以下、100m/g以上800m/g以下、または150m/g以上400m/g以下であってもよい。比表面積は、水銀圧入法やBJH法またはHK法に例示されるガス吸着法などを用いて測定される。
2.乾留ガスを利用するエネルギー創成
炭化によって生成する乾留ガスには、主に水素や一酸化炭素、メタンやプロパン、ブタンなどに代表されるアルカンなどの可燃性、または還元力を有するガスが含まれる。また、乾留ガスは高温(700℃から1300℃)の状態で炭化炉から取り出される。このため、乾留ガスの熱エネルギーや可燃性などをエネルギー源として温水の供給や発電などに利用することができる。例えば、乾留ガスを熱交換器に導入して熱エネルギーを取り出し、温水の生成に供してもよい。あるいは、乾留ガスを燃焼させて得られる熱エネルギーを利用して発電を行ってもよい。この場合、ガスタービン方式やガスエンジン方式、デュアルフューエルエンジン方式の発電装置の燃料として乾留ガスを使用すればよい。
3.鉄含有炭化物の作製
(1)混合、混練
本システムでは、さらに、炭化によって得られる炭化物に鉄(0価の鉄)および/または鉄化合物が混合され、鉄含有炭化物が調製される。鉄含有炭化物を作製するフローを図2に示す。図2に示すように、まず、バイオマスの炭化によって得られる炭化物、バインダ、ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉を混合し、得られる混合物を練り込む(混練)。
鉄粉としては、鉄化合物を含まない鉄粉を用いてもよく、あるいは鉄の酸化によって形成される2価、3価、および/または2価と3価が混合した混合原子価の鉄化合物が表面に形成された鉄粉を用いてもよい。後者の場合、鉄含有炭化物は鉄化合物を含み、鉄化合物としては、2価、3価、またはこれらの混合原子価の水酸化鉄や酸化鉄が例示される。
酸化鉄粉としては、2価、3価、またはこれらの混合原子価の酸化鉄の粉を用いることができる。酸化鉄粉には、2価、3価、またはこれらの混合原子価の水酸化鉄が含まれてもよい。表面が酸化された鉄粉を用いる場合と同様、酸化鉄粉を用いる場合も鉄含有炭化物は上述した2価、3価、またはこれらの混合原子価の酸化鉄を鉄化合物として含む。
鉄粉と酸化鉄粉の平均粒径は、20μm以上500μm以下または50μm以上200μm以下でよい。鉄粉と酸化鉄粉の平均粒径は同一または実質的に同一でもよい。さらに、1)1μm以上150μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が3質量%以上70質量%、2)1μm以上75μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が0質量%以上25質量%以下、3)1μm以上45μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が0質量%以上15質量%以下、4)150μm以上2000μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が30質量%以上99質量%以下、かつ、5)600μm以上2000μm未満の範囲に粒径を有する鉄粒子の割合が0質量%以上15質量%以下であって、同時に、少なくとも1)から3)のいずれか一の鉄粒子の割合と4)または5)の鉄粒子の割合との合計が100質量%となる粒径分布を有する鉄粉を用いてもよい。ここで、鉄粉の平均粒径とは、鉄粉を顕微鏡観察して得られる画像を解析し、複数の鉄粒子について粒径を求め、それを平均した値である。各鉄粒子の粒径としては、例えば顕微鏡像中の各鉄粒子の投影面を内接する円の直径または正方形の一辺の長さを採用することができる。炭化物の粒径は鉄粉や酸化鉄粉の粒径よりも大きい場合が多いため、鉄粉または酸化鉄粉の粒径とほぼ同じになるように炭化物を破砕および/または分級した後に混合、混練を行ってもよい。酸化鉄粉の粒径分布と円形度は、鉄粉のそれらと同様でもよい。
鉄粉または酸化鉄粉の形状に制約はない。例えば平均円形度が50以上100以下、70以上95以下、または80以上90以下の鉄粉または酸化鉄粉を用いてもよい。ここで平均円形度とは、粉体に含まれる各粒子の形状を表すパラメータの一つであり、粉体を顕微鏡観察して得られる画像を解析し、複数の粒子について円形度を求め、それを平均した値である。円形度としては、例えば顕微鏡像中の各粒子の投影面の周囲長で投影面の面積と等しい面積の円の周囲長を除した値を用いることができる。あるいは、投影面を内接する円の面積で投影面の面積を除した値を円形度として採用してもよい。
バインダの種類に制約はないが、有機系バインダおよび/または無機系バインダを用いることができる。有機系バインダとしては、例えば糖蜜、廃糖蜜、澱粉、デキストリン、コーンスターチ、米糠、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルとエチレンの共重合体若しくはそのケン化体、パルプ廃液、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、フェノール樹脂、およびタールピッチなどから選択される一つまたは複数が挙げられる。中でも糖蜜は安価で有害成分が少なく、固形成分が多いため、糖蜜を用いることで浄化材の成形が容易となる。無機系バインダとしては、例えばセメント、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、石膏(硫酸カルシウム)や石膏を加熱・脱水して得られる焼石膏、ケイ酸ナトリウム等が例示される。
炭化物、バインダ、鉄粉、および酸化鉄粉の量は、得られる鉄含有炭化物における炭化物の含有率が20質量%以上80質量%以下、40質量%以上80質量%以下、または60質量%以上80質量%以下の範囲内に、鉄と鉄化合物の含有率が5質量%以上35質量%以下、5質量%以上25質量%以下、または5質量%以上20質量%以下の範囲に、バインダの含有率が5質量%以上50質量%以下、15質量%以上50質量%以下、または20質量%以上50質量%以下の範囲となるよう、適宜調整すればよい。
混合または混練を行う際、必要に応じて炭化物、バインダ、ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉に水が加えられる。水を添加することで、粉塵の発生を防止することができるとともに、炭化物や鉄粉、酸化鉄粉をより均一に混合することができる。
これらの原料の混合・混練においては、混練機を用いることができる。混練機としては、例えば、単軸スクリュー混練機、二軸スクリュー混練機、ミキシングロール、ニーダ、またはバンバリーミキサなどを用いることができる。また、混合と混練の両者の機能を有する混練機を用いてもよい。この場合、混練機に炭化物、鉄粉および/または酸化鉄粉、ならびにバインダを投入し、その後混合・混練する。あるいは、混合と混練を連続して行ってもよい。例えば、混練機に炭化物ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉を投入して混合し、引き続き、混練機にバインダを投入して混練する。バインダは一度に加えてもよく、断続的に加えてもよく、連続的に加えてもよい。炭化物ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉を混合した後にバインダを加えて混練することで、炭化物ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉の凝集を防ぎ、発泡を抑制することができる。
混練温度は任意に設定することができ、例えば0℃以上50℃以下、または10℃以上40℃以下とすればよい。混練時間も原料の混合比や量、バインダの種類、混練機の容量などを考慮して適宜設定すればよく、例えば1秒以上1時間以下、1分以上30分以下、または1分以上15分以下の範囲から設定すればよい。
以上の操作により、炭化物、バインダ、ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉が混合されたペースト状の前駆体を得ることができる。なお、酸化鉄粉を用いず、鉄化合物を含まない鉄粉を用いる場合、この工程において鉄粉の一部が酸化されることがあり、その結果、鉄担持炭化物は2価、3価、あるいはこれらの混合原子価の鉄を含む化合物を含む。鉄化合物としては、上述したように、水酸化鉄や酸化鉄が例示される。
(2)造粒
任意の工程として、得られた炭化物、鉄粉および/または酸化鉄粉、ならびにバインダの混合物を造粒して一定の形状に成形してもよい。混合物の成形は造粒機を用いて行うことができる。造粒機としては、圧縮型造粒機、押出型造粒機、ロール型造粒機、ブレード型造粒機、溶融型造粒機、または噴霧型造粒機などが例示される。
押出型造粒機を用いる場合には、造粒機に装着されたダイスから所定の形状に成形されたペースト状の混合物が押し出される。押し出された混合物は、所定の長さで切断され、押出方向が高さ方向となるペレット形状へ成形される。押出型造粒機における混合物の押出速度と切断速度(回転切断方式であれば、カッターの回転速度)を調整することで、前駆体の長さ(ペレット形状の高さ)を調整することができる。また、ダイスの開口径を調整することで、混合物の径(断面形状が円形の場合は直径)を調整することができる。このため、押出型造粒機を用いることにより、大きさが制御されたペレット形状(例えば、略円柱状)を有する混合物を得ることができる。
ペレット形状の大きさは任意に設定すればよく、例えば各ペレットの長さは、1mm以上20mm以下、3mm以上15mm以下、6mm以上12mm以下とすればよい。断面形状が円形の場合、ペレットの直径は、1mm以上20mm以下、2mm以上10mm以下、または3mm以上8mm以下とすればよい。
成形後の混合物の断面形状(長手方向に垂直な断面)は、円形に限られない。混合物の断面形状は、例えば、楕円形または多角形などであってもよい。すなわち、成形後の混合物は、円柱だけでなく、楕円柱または多角柱のペレット形状であってもよい。混合物の断面形状は、ダイスの開口形状を変えることで変更することができる。この造粒工程は、後述する乾燥工程の後に行ってもよい。
(3)乾燥
任意の工程として、成形後の混合物を乾燥してもよい。乾燥温度と時間も、混合物の量や含まれる水の量に応じて適宜選択される。例えば30℃以上400℃未満、50℃以上300℃以下、100℃以上300℃以下の範囲から乾燥温度を選択すればよい。乾燥時の湿度は、20%以上95%以下、または50%以上90%以下でもよい。乾燥時間も1分以上1週間以下、1時間以上3日以下、または3時間以上1日以下の範囲から適宜選択される。乾燥の際の雰囲気も、例えば空気、窒素、アルゴンなどの希ガス、あるいはこれらの混合でもよい。別バッチでバイオマスの炭化を行い、生成する乾留ガスの熱エネルギーを利用して乾燥を行ってもよい。
以上の工程により、鉄含有炭化物を得ることができる。この方法では高温での焼成を行わなくてもよい。すなわち、バインダを炭化するに必要な温度(例えば400℃以上)での加熱を行わなくてもよい。このため、焼成に要する時間やエネルギーが不要となるため、より低コストで鉄含有炭化物を提供することができる。
4.窒素酸化物の除去
本システムでは、一酸化窒素や二酸化窒素などの窒素酸化物(NO)や硫黄酸化物(SO)などの大気汚染物質の鉄含有炭化物による除去が行われる。具体的には、窒素酸化物および/または硫黄酸化物を含むガスを鉄含有炭化物と接触させ、大気汚染物質の除去を行う。ガスには二酸化炭素がさらに含まれていてもよい。鉄含有炭化物の原料となる炭化物やバインダには、アルカリ金属やアルカリ土類金属の酸化物や塩(水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩)などが含まれるが、二酸化炭素を含むガスと接触させることで、これらの酸化物や塩の少なくとも一部は炭酸塩または炭酸水素塩へ変化する(炭酸化)。一般的に、アルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩や炭酸水素塩は、水酸化物、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩と比較すると水に対する溶解性が低い。このため、炭酸化を進行させることで、後述する鉄含有炭化物による被処理水の処理において、アルカリ金属、アルカリ土類金属は炭酸塩または炭酸水素塩として残留するので、鉄含有炭化物の水中での形状安定性を改善し、水中における崩壊を防止することができる。
したがって、大気汚染物質を含むガスとしては、大気でもよく、二酸化炭素を大量に排出する施設(化学プラント、ゴミ焼却施設、火力発電所、その他各種工場など)からの排出ガスでもよい。排出ガスは、脱硝や脱硫されていなくてもよい。あるいは、車からの排気ガスを用いてもよく、図1に示すように、乾留ガスを燃焼して発電する際に生成する排気ガスを利用してもよい。このようなガスを利用することにより、大気汚染の原因となる物質を除去できるのみならず、温室効果ガスとして働く二酸化炭素を効率的に固定することができる。
5.リン化合物の固定
本システムでは、大気汚染物質を含むガスを処理した鉄含有炭化物を用い、様々な水域の水(被処理水)に含まれるリン化合物を吸着、固定し、水質改善を行うことができる。鉄含有炭化物と被処理水との接触は連続式でもよく、バッチ式で行ってもよい。後者の場合、例えば図3に示すように、鉄含有炭化物106が充填されたメッシュ状の筐体102を有するカートリッジ100を用いて被処理水と鉄含有炭化物106との接触を行えばよい。メッシュのサイズは、例えば0.1mm以上50mm以下、または0.5mm以上20mm以下とすればよい。筐体102に十分な重量が無い場合、被処理水中に筐体102を確実に設置するためのウエイト104を筐体102に接続してもよい。図示しないが、ウエイト104に替わり、川底や湖底、浄化槽や高度処理槽に固定するためのアンカー(図示しない)を筐体102に設けてもよい。このようにカートリッジ100に鉄含有炭化物106を充填して被処理水と鉄含有炭化物106との接触を行うことで、鉄含有炭化物106の取り扱いが容易となる。また、上述したように、大気汚染物質を含むガスに二酸化炭素が含まれている場合、炭酸化によって鉄含有炭化物106の水中崩壊を防ぐことができるため、メッシュ状の筐体102から崩壊した鉄含有炭化物106が流出すること無く、鉄含有炭化物106を確実に回収することができる。
なお、図1では示されていないが、鉄含有炭化物による大気汚染物質を含むガスの処理を行う前に、被処理水の処理を行ってもよい。あるいは、鉄含有炭化物による大気汚染物質を含むガスの処理と被処理水の処理を行った後、再度大気汚染物質を含むガスの処理を行ってもよい。
5.肥料の作製
リン化合物は、種々の植物の生長を促進する養分として働くため、リン化合物が固定された鉄含有炭化物は肥料として機能し得る。このため、大気汚染物質を含む大気を浄化し、さらに被処理水を処理した鉄含有炭化物は、リンを含む肥料として利用することができる。さらに、大気汚染物質を含むガスに二酸化炭素が含まれる場合、炭化物に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類の塩が炭酸化されるとともに、バインダ中に含まれるアルカリ金属やアルカリ土類の塩も炭酸化される。特にバインダとしてセメントや高炉スラグ微粉末を用いる場合、これらには大量の水酸化カルシウムや酸化カルシウムが含まれているため、炭酸化することなく鉄含有炭化物を土壌に散布すると、土壌のpHが増大してしまう。しかしながら、鉄含有炭化物が二酸化炭素と接触することで水酸化カルシウムや酸化カルシウムが炭酸カルシウムまたは炭酸水素カルシウムへ変換される。さらに、残留した水酸化カルシウムや酸化カルシウムなどの塩基性の塩は、被処理水との処理時に除去できるため、土壌のpH増大を抑制することができる。
鉄含有炭化物からの肥料の作製では、まず、鉄含有炭化物の粉砕を行う。粉砕は粉砕機を用いて行えばよい。解砕機の構造や種類に制約はなく、振動ミル、ジェットミル、ボールミル、ローラーミル、ロッドミル、ハンマーミル、インパクトミル、回転ミル、ピンミル、ピン-ディスクミル、あるいは遊星ミルなどの解砕機が挙げられる。解砕機を用いて鉄含有炭化物を解砕することで表面積が増大し、その結果、鉄含有炭化物上に固定されたリン化合物の脱離が促進される。
解砕された鉄含有炭化物の粒度を肥料の用途に適合させるため、分級を行ってもよい。分級機の構造や種類にも制約はなく、乾式分級式分級機でも湿式分級機のいずれを採用してもよい。分級機としては、気流分級機、重力場分級機、慣性力場分級機、遠心力場分級機などが挙げられる。
粉砕、分級された鉄含有炭化物は、他の肥料成分と混合してもよい。このような肥料成分としては窒素、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、ケイ酸、ホウ素から選ばれる一つ、あるいは複数が挙げられる。具体的な材料として油粕、発香鶏糞、魚粉、骨粉、米ぬか、バットグアノ、ポカシ肥、草木灰、石灰、化成肥料などが例示される。これらの肥料成分は、ミキサーを用いて鉄含有炭化物と混合される。ミキサーの構造や種類にも制約はなく、フリーフォールミキサー、強制ミキサー、Y分岐ミキサー、アジテータミキサー、あるいはパドルミキサーなどを任意に選択することができる。
6.土壌改善と植物の育成
得られた肥料は、土壌へ散布され、植物の育成に供される。肥料を土壌中へ散布する方法にも制約はなく、例えばグランドソワーなどの自然落下式の散布機や、圧縮空気を利用する拡散型散布機などを用いればよい。施用方式にも制約はなく、条施型散布機、全面施用散布機のいずれを採用してもよい。肥料は、土壌の表面から30cm以内の範囲に散布することが好ましい。肥料を散布することで植物の育成が促進される。すなわち、植物の光合成によって大気中の二酸化炭素が固定され、食料や材料として利用可能な資源が創成される。
上述したように、本システムでは、大気中の二酸化炭素が植物の光合成によって固定化されて有機物が形成され、その利用や代謝によって発生するバイオマスが炭化されることで炭化物と乾留ガスを与える(図1、(1))。乾留ガスはエネルギー源として利用される一方(2)、炭化物は浄化材として機能する鉄含有炭化物へ変換される(3)。この浄化材は、大気あるいは乾留ガスを燃焼することで生じる排気ガスなどから大気汚染物質を除去することができ(4)、さらに水中のリン化合物を固定することができる(5)。浄化材は肥料に変換されて植物の育成に寄与し(7)、最終的には炭素として地中に戻されるため、二酸化炭素が炭素として地中に貯留されることになる。この一連のプロセスを通して本システムは、大気の浄化とともに二酸化炭素の削減に寄与することとなる。
上述したように、鉄含有炭化物は、水質汚染物質や大気汚染物質を除去または固定できることから、本システムは、水質改善や大気質改善を通して環境保全に貢献するシステムと言える。また、鉄含有炭化物の原料となる炭化物を作製する際、バイオマスの炭化によって生成する乾留ガスからは熱エネルギーや電気エネルギーが創成され、その際に発生する排気ガスの浄化を鉄含有炭化物を用いて行うことができる。したがって本システムは、環境へ大きな負担をかけることなくエネルギー創成に寄与するともいえる。これに加え、水質汚染物質や大気汚染物質を除去または固定した鉄含有炭化物は、土壌のpHの増大を招くことなく植物の生長を促進するための肥料としても機能する。このことから、本システムは農業や林業の発展にも貢献し得るシステムであるということもできる。
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
上述した各実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと理解される。
100:カートリッジ、102:筐体、104:ウエイト、106:鉄含有炭化物

Claims (7)

  1. バイオマスを炭化して炭化物と乾留ガスを生成すること、
    前記炭化物に鉄粉および/または酸化鉄粉を混合して鉄含有炭化物を作製すること、
    前記鉄含有炭化物を、窒素酸化物および/または硫黄酸化物、ならびに二酸化炭素を含むガスに接触させること、および
    前記鉄含有炭化物をリン化合物を含む水に接触させることを含む、二酸化炭素を貯留するための方法。
  2. 前記乾留ガスを用いて発電することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ガスは、前記発電で生じる排気ガスである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記水に接触させた前記鉄含有炭化物を土壌に散布することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記水との前記接触は、前記ガスとの前記接触の後に行われる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記鉄含有炭化物を窒素酸化物と二酸化炭素を含む第2のガスと接触させることをさらに含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記鉄粉および/または酸化鉄粉との前記混合は、前記炭化物、バインダ、ならびに鉄粉および/または酸化鉄粉を混合することによって行われる、請求項1に記載の方法。
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