JP2022138095A - 窒化物半導体レーザダイオード及び窒化物半導体レーザダイオードの製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザダイオード及び窒化物半導体レーザダイオードの製造方法 Download PDF

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Motoaki Iwatani
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Abstract

【課題】光特性に優れた窒化物半導体レーザダイオード及び窒化物半導体レーザダイオードの製造方法を提供する。【解決手段】窒化物半導体レーザダイオードは、基板と、基板の上方に設けられ、第一導電型のAlGaNで形成された第一窒化物半導体層と、第一窒化物半導体層の上方に形成されたAlGaNで形成された活性層と、活性層上に形成された上部AlGaN層と、を備え、上部AlGaN層の一部又は全てによってリッジ部半導体層が形成されており、リッジ部半導体層は、断面視で、基板に近い領域が基板に向かって徐々に広い幅となる順テーパ形状となっており、基板から遠い領域が基板に向かって徐々に狭い幅となる逆テーパ形状となっている。【選択図】図1

Description

本開示は、窒化物半導体レーザダイオード及び窒化物半導体レーザダイオードの製造方法に関する。
従来、閾値電流密度の低減、消費電力の低減、発光効率の向上及び長寿命化等を目的として、窒化物半導体レーザダイオードの半導体積層部をリッジ構造としたり、リッジ構造の側面を低屈折率材料で被覆した構造とすることが行われている(例えば、特許文献1)。
特開平9-64467号公報
しかしながら、上述したようなリッジ構造を有する窒化物半導体レーザダイオードでは、レーザダイオードとしての発光特性が十分でない場合がある。
本開示は、発光特性に優れた窒化物半導体レーザダイオード及び窒化物半導体レーザダイオードの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る窒化物半導体レーザダイオードは、基板と、基板の上方に設けられ、第一導電型のAlGaNで形成された第一窒化物半導体層と、第一窒化物半導体層の上方に形成されたAlGaNで形成された活性層と、活性層上に形成された上部AlGaN層と、を備え、上部AlGaN層の一部又は全てによってリッジ部半導体層が形成されており、リッジ部半導体層は、断面視で、基板に近い領域が基板に向かって徐々に広い幅となる順テーパ形状であり、基板から遠い領域が基板に向かって徐々に狭い幅となる逆テーパ形状であることを特徴とする。
また、本開示の一態様に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法は、基板上に、第一導電型のAlGaNで形成された第一窒化物半導体層と、AlGaN又はGaNで形成された活性層と、AlGaNで形成された上部AlGaN層と、を順に形成して半導体積層部を形成し、第二窒化物半導体層の上面の一部を金属により形成されたエッチングマスクで被覆した後、エッチングマスクで被覆されていない半導体積層部の第二窒化物半導体層から上部ガイド層の厚さ方向の一部までをドライエッチングにより除去し、ドライエッチング後に残存した半導体積層部の第二窒化物半導体層から上部ガイド層の側面をアルカリ溶液でウェットエッチングすることにより、第二窒化物半導体層及び組成傾斜層を、断面視で基板に向かって狭い幅となる逆テーパ形状に形成し、かつ上部ガイド層を、断面視で基板に向かって広い幅となるテーパ形状に形成してリッジ部半導体層を形成し、少なくともドライエッチング後に残存した上部ガイド層の上面及びマスクの上面にシリコン酸化膜を成膜した後、エッチングマスクを構成する金属を溶解する溶液によりエッチングマスク及びエッチングマスク上に成膜されたシリコン酸化膜を除去し、エッチングマスクを除去した上記第二窒化物半導体層と電気的に接続された第二電極を形成した後、電子ビーム蒸着により第二電極及びリッジ部半導体層の側方を空洞を介して覆う上部第二電極を形成することを特徴とする。
本開示の一態様によれば、発光特性に優れた窒化物半導体レーザダイオード及び窒化物半導体レーザダイオードの製造方法を提供することができる。
本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの一構成例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードのリッジ部半導体層の断面の一構成例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードのリッジ部半導体層の断面の他の構成例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードのリッジ部半導体層の断面の他の構成例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードのリッジ部半導体層の断面の他の構成例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの製造方法の一例を示す断面図である。 本開示の第二実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードの一構成例を示す断面図である。 本開示の第二実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードのリッジ部半導体層の断面の一構成例を示す断面図である。
以下、実施形態を通じて本実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードを説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.第一実施形態
以下、本開示の第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオード1について、図1から図3及び図4Aから図4Jを参照して説明する。
窒化物半導体レーザダイオード1は、紫外光を発光可能なレーザダイオードである。窒化物半導体レーザダイオード1は、電流注入によって紫外光をレーザ発振することが可能である。窒化物半導体レーザダイオード1は、例えば、波長が280nmから320nmのUVB領域の発光を得ることができる。
(1.1)窒化物半導体レーザダイオードの全体構成
図1及び図2を参照して、窒化物半導体レーザダイオード1の構成について説明する。
図1は、窒化物半導体レーザダイオード1の一構成例を示す断面図であり、図2は、窒化物半導体レーザダイオード1のリッジ部半導体層の構造を詳細に示す拡大断面図である。
図1に示すように、窒化物半導体レーザダイオード1は、基板10と、基板10の上方に設けられた第一窒化物半導体層31と、発光部32を構成する窒化物半導体活性層322と、窒化物半導体活性層322上に形成された上部AlGaN層36とを備えている。窒化物半導体レーザダイオード1では、上部AlGaN層36の一部又は全てによってリッジ部半導体層30が形成されている。また、窒化物半導体レーザダイオード1は、リッジ部半導体層30の側面30Aを覆うように設けられた絶縁体であるシリコン酸化膜40を備えている。リッジ部半導体層30では、断面視で、リッジ部半導体層30の基板10に近い領域が基板10に向かって徐々に広い幅となる順テーパ形状となっており、基板10から遠い領域が基板10に向かって徐々に狭い幅となる逆テーパ形状となっている。
このような上部AlGaN層36は、発光部32を構成する上部ガイド層323の一部と、組成傾斜層34と、第二窒化物半導体層35とによって構成されている。上部AlGaN層は、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かってAl組成比が減少する組成傾斜層を含んでいる。また、上部AlGaN層は、上部AlGaN層内の活性層側に上部ガイド層323を有している。リッジ部半導体層30は、リッジ部半導体層30の順テーパ形状の領域(基板10に近い下部の領域)の底面は、上部ガイド層323中に位置するように形成されている。
窒化物半導体レーザダイオード1は、第一窒化物半導体層31と電気的に接続している第一電極51を備えている。本実施形態において、第一電極51は、例えば下部第一電極51Aと、下部第一電極51A上に配置された上部第一電極51Bとを備えている。
また、窒化物半導体レーザダイオード1は、上部AlGaN層36(特に、リッジ部半導体層30の上面30Bに設けられた第二窒化物半導体層35)と電気的に接続している第二電極52を備えている。本実施形態において、第二電極52は、例えば下部第二電極52Aと、下部第二電極52A上に配置された上部第二電極52Bとを備えている。ここで、第二電極52(特に、上部第二電極52B)は、被覆膜の一例である。
ここで、窒化物半導体レーザダイオード1では、基板10上に設けられたバッファ層20と、発光部32上に設けられた電子ブロック層33とを備える構成として説明しているが、バッファ層20及び電子ブロック層33は設けられていなくてもよい。
図2に示すように、リッジ部半導体層30は、断面視で、基板10に近い領域(本実施形態では上部ガイド層323のうちの一部)が基板10に向かって徐々に広い幅となる順テーパ形状となっている。また、リッジ部半導体層30は、断面視で、基板10から遠い領域(電子ブロック層33、組成傾斜層34及び第二窒化物半導体層35)が基板10に向かって徐々に狭い幅となる逆テーパ形状となっている。
第二電極52は、このような形状のリッジ部半導体層30を覆うように設けられている。第二電極52は、リッジ部半導体層30の側面30Aをシリコン酸化膜40の側方に形成された空洞を介して覆っている。より具体的には、窒化物半導体レーザダイオード1では、第二電極52は、リッジ部半導体層30の側面30Aを、シリコン酸化膜40とシリコン酸化膜40の側方に形成された空洞60を介して覆っている。
以下、窒化物半導体レーザダイオード1を構成する各層について詳細に説明する。
<基板>
基板10は、例えばSi、SiC、MgO、Ga、Al、ZnO、GaN、InN、AlN、あるいはこれらの混晶等が挙げられる。基板10は、上層の薄膜を支持し、結晶性を向上させ、さらに外部へ放熱する機能を有する。そのため、基板10としては、AlGaNを高品質で成長させることができ、熱伝導率の高いAlN基板を用いることが好ましい。基板の成長面は一般的に用いられる+c面AlNが低コストなため良いが、-c面AlNであっても、半極性面基板であっても、非極性面基板であっても良い。p型半導体として作用する組成傾斜構造を利用する際には、分極ドーピングの効果を大きくする観点からは、+c面AlNが好ましい。
基板10は、薄板の四角形状を有していることが組立上好ましいが、このような構成に限らない。また、基板10のオフ角は高品質の結晶を成長させる観点から0度より大きく2度より小さいことが好ましい。
基板10の厚さは、上層にAlGaN層を積層させる目的であるならば特に制限されないが、50μm以上1μm以下であることが好ましい。また、基板10の結晶品質には特に制限はないが、貫通転位密度が1×10cm-2以下であることが好ましく、1×10cm-2以下であることがより好ましい。これにより、基板10の上方に、高い発光効率を有する薄膜素子を形成することができる。
<バッファ層>
バッファ層20は、基板10の全面に形成されている。バッファ層20は、AlN、AlGaN又はGaN等により形成されることが好ましい。バッファ層20は、第一窒化物半導体層31との間の格子定数差及び熱膨張係数差が小さく欠陥の少ない窒化物半導体層をバッファ層20上に成長させることができる。また、バッファ層20は、圧縮応力下で第一窒化物半導体層31を成長させることができ、第一窒化物半導体層31にクラックの発生を抑制することができる。このため、基板10がAlN又はAlGaN等の窒化物半導体で形成されている場合でも、欠陥の少ない窒化物半導体層をバッファ層20を介して基板10の上方に成長できる。
バッファ層20には、C、Si、Fe、Mg等の不純物が混入されていてもよい。
基板10の形成材料としてAlNを用いた場合、バッファ層20と基板10とが同一材料で形成されることから、バッファ層20と基板10との境界が不明確となる。本実施形態では、基板10とバッファ層20とが同一材料(例えばAlN)で形成されている場合には、基板10が基板10とバッファ層20とを構成しているものと見做す。バッファ層20は、結晶の品質を高める目的で、AlN、AlGaN、GAN等の層を、バッファ層20の初期成長と後期成長とで異なる条件にて厚膜形成しても良い。
バッファ層20は、例えば数μm(例えば1.6μm)の厚さを有しているが、この値には限らない。具体的には、バッファ層20の厚さは、10nmより厚く10μmより薄いことが好ましい。バッファ層20の厚さが10nmより厚い場合、AlNの結晶性が高くなる。また、バッファ層20の厚さが10μmより薄い場合、ウェハ全面に結晶成長により形成されたバッファ層20にクラックが発生しにくくなる。また、バッファ層20は、50nmより厚く5μmより薄いことがより好ましい。バッファ層20の厚さが50nmより厚い場合、結晶性の高いAlNを再現良く作製することができる。また、バッファ層20の厚さが5μmより薄い場合、バッファ層20のクラックがより発生しにくくなる。
バッファ層20は、第一窒化物半導体層31よりも薄く形成されているが、これに限らない。バッファ層20が第一窒化物半導体層31よりも薄い場合、クラックが生じない範囲で第一窒化物半導体層31を厚くすることができる。この場合、第一窒化物半導体層31の薄膜積層の面方向の抵抗が低減され、低電圧駆動の窒化物半導体レーザダイオード1を実現することができる。窒化物半導体レーザダイオード1の低電圧駆動が実現すると、発熱による高電流密度駆動下での破壊をより抑制することが可能となる。
<第一窒化物半導体層>
第一窒化物半導体層31は、窒化物半導体活性層322を含む発光部32の組成傾斜層34とは反対側の面に設けられた層である。第一窒化物半導体層31は、第一積層領域311と、第一積層領域311の上面の一部に形成された第二積層領域312とを有している。このため、第一積層領域311の上面には、第二積層領域312が形成されていない領域と、第二積層領域312が形成されている領域とが存在する。第一積層領域311の上面のうち、第二積層領域312が形成されていない領域には、第一積層領域311と接続する第一電極51が設けられている。
なお、第一窒化物半導体層31は、第二積層領域312を有しておらず、平坦な上面であってもよい。
第一窒化物半導体層31は、第一導電型(n型又はp型)のAlGaNで形成されている。第一窒化物半導体層31のAl組成比は、断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)により特定することができる。第一窒化物半導体層31の断面は、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置を用いてAlGaNのa面に沿う断面を露出させることで、観察することができる。断面の観察方法としては、透過型電子顕微鏡を用いる。観察する倍率は、測定する層の厚さに応じて変化させ、異なる厚さの第一窒化物半導体層31のスケールバーが互いに同程度となるように倍率を設定することが好ましい。例えば、厚さ100nmの第一窒化物半導体層31を観察する場合の倍率は、100000倍程度とすることが好ましい。また、厚さ100nmの第一窒化物半導体層31を観察する際の倍率を100000倍程度とした場合、厚さ1μmの第一窒化物半導体層31は、倍率10000倍程度で観察することが好ましい。これにより、異なる厚さの第一窒化物半導体層31を同程度のスケールで観察することができる。
Al組成比は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析及び定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。
第一窒化物半導体層31は、例えばAlx5Ga(1-x5)N(0<x5<1)で形成されている。第一窒化物半導体層31は、AlGaNに、III族元素としてAl、Ga以外の元素(例えばBやIn)を含んでいてもよいが、BやInを含む箇所において欠陥の形成や耐久性の変化が生じるため、Al、Ga以外のIII族元素を含まないことが好ましい。
また、第一窒化物半導体層31は、AlGaNとともに、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、C、H、F、O、Mg、Si等の不純物が含まれていてもよい。
本開示において、第一窒化物半導体層31は例えばn型半導体である。第一窒化物半導体層31がn型半導体である場合、AlGaNに対して例えばSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで第一窒化物半導体層31がn型化する。第一窒化物半導体層31がp型半導体である場合、AlGaNに対して例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、第一窒化物半導体層31がp型化する。不純物濃度は、層全体で一様であっても、不均一であっても良く、また厚さ方向にのみ不均一でも、基板水平方向にのみ不均一であっても良い。
第一窒化物半導体層31と第一電極51との間は直接接触していても、トンネル接合のように異なる層を介して接続していても良い。例えばn型半導体で構成された第一窒化物半導体層31が第一電極51とトンネル接合されている場合、第一窒化物半導体層31と第一電極51との間にはp型半導体が設けられる。このため、第一電極51は、p型半導体とオーミック接合可能な材料で形成されることが好ましい。第一電極51は、例えばNiとAuの積層電極あるいは合金化した金属で形成された電極であることが好ましい。
第一窒化物半導体層31は、後述する組成傾斜層34とPNダイオードを作製する観点から、組成傾斜層34とは異なる導電型となる。組成傾斜層34は、組成傾斜層34の厚さ方向でAl組成比xが減少するAlGaNを用いる。このため、第一窒化物半導体層31がn型半導体である場合、組成傾斜層34の基板10に対する薄膜成長方向がAl面の場合、分極ドーピングにより組成傾斜層34がp型化しやすくなる。
第一窒化物半導体層31の厚さは、特に制限されないが、例えば、200nm以上20μm以下であることが好ましい。第一窒化物半導体層31の厚さが200nm以上である場合、第一窒化物半導体層31の抵抗が低減する。第一窒化物半導体層31の厚さが20μm以下である場合、第一窒化物半導体層31形成時のクラックの発生が抑制される。
<発光部>
発光部32は、窒化物半導体活性層322と、窒化物半導体活性層322の一方の面に設けられた下部ガイド層321と、窒化物半導体活性層322の他方の面に設けられた上部ガイド層323とを備えている。下部ガイド層321は、第一窒化物半導体層31と窒化物半導体活性層322との間に設けられている。上部ガイド層323は、窒化物半導体活性層322と電子ブロック層33との間に設けられている。
(下部ガイド層)
下部ガイド層321は、第一窒化物半導体層31の上に形成されている。下部ガイド層321は、窒化物半導体活性層322で発光した光を発光部32に閉じ込めるために、第一窒化物半導体層31との間に屈折率差を設けている。下部ガイド層321は、例えばAlN、GaNの混晶により形成されている。下部ガイド層321は、具体的には、Alx7Ga(1-x7)N(0<x7<1)により形成される。
また、下部ガイド層321を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBe等の不純物が含まれていてもよい。
下部ガイド層321のAl組成比x7は、断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比x7は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析及び定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。下部ガイド層321のAl組成比x7は、第一窒化物半導体層31のAl組成比よりも小さくてもよい。これにより、下部ガイド層321は、第一窒化物半導体層31よりも屈折率が大きくなり、窒化物半導体活性層322で発光した光を発光部32に閉じ込めることが可能となる。
下部ガイド層321は、ドーパントとしてのSiを含まないアンドープ層でもよい。また、下部ガイド層321は、第一窒化物半導体層31と同一の導電型であってもよい。下部ガイド層321がn型半導体である場合、AlGaNに対してドーパントであるSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで、下部ガイド層321がn型化する。下部ガイド層321がp型半導体である場合、AlGaNに対してドーパントであるMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、下部ガイド層321がp型化する。
(窒化物半導体活性層)
窒化物半導体活性層322は、窒化物半導体レーザダイオード1の発光が得られる発光部である。
窒化物半導体活性層322は、例えばAlGaN、GaN、及びその混晶により形成される。より具体的に、窒化物半導体活性層322は、例えばAlx8Ga(1-x8)N(0≦x8≦1)で形成される。窒化物半導体活性層322におけるAl組成比x8は、下部ガイド層321のAl組成比x7よりも小さいことが好ましい。これにより、第一電極51及び第二電極52から注入したキャリアを効率よく発光部32に閉じ込めることができる。
窒化物半導体活性層322は、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBe等の不純物が含まれていてもよい。
窒化物半導体活性層322がn型半導体である場合、AlGaNに対してドーパントであるSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで、窒化物半導体活性層322がn型化する。窒化物半導体活性層322がp型半導体である場合、AlGaNに対してドーパントであるMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、窒化物半導体活性層322がp型化する。窒化物半導体活性層322は、ドーパントとしてのSi、Mgを含まないアンドープ層でもよい。
窒化物半導体活性層322は、井戸層と、井戸層に隣接して設けられた障壁層とを有する。窒化物半導体活性層322は、井戸層と障壁層とが1つずつ交互に積層された多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)構造を有していてもよい。窒化物半導体レーザダイオード1は、単一井戸構造の窒化物半導体活性層322を有することにより、1つの井戸層内のキャリア密度を増加させることができる。一方、窒化物半導体活性層322は、例えば「井戸層/障壁層/井戸層」という量子井戸構造、又は二重以上の量子井戸構造(多重量子井戸構造)を有していても良い。窒化物半導体レーザダイオード1は、多重量子井戸構造の窒化物半導体活性層322を有することにより、窒化物半導体活性層322の発光効率や発光強度の向上を図ることができる。二重量子井戸構造の場合、井戸層の厚さは例えば4nmであってよく、障壁層の厚さは例えば8nmであってよく、窒化物半導体活性層322の厚さは例えば16nmであってもよい。
井戸層のAl組成比は、下部ガイド層321及び上部ガイド層323のそれぞれのAl組成比よりも小さい。また、井戸層のAl組成比は、障壁層のAl組成比よりも小さい。また、障壁層のAl組成比は、下部ガイド層321及び上部ガイド層323のそれぞれのAl組成比と同一であってもよく、異なっていても良い。なお、井戸層及び障壁層の平均のAl組成比が窒化物半導体活性層322全体のAl組成比となる。
井戸層及び障壁層のAl組成比は断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することが出来る。Al組成比は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析及び定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。
(上部ガイド層)
上部ガイド層323は、窒化物半導体活性層322の上に形成されている。上部ガイド層323は、窒化物半導体活性層322で発光した光を発光部32に閉じ込めるために、上層(図1においては電子ブロック層33)と屈折率差を設けている。上部ガイド層323の一部には、他の領域よりも断面視で幅が狭い突出領域324が設けられている。突出領域324は、リッジ部半導体層30の一部を構成する。上部ガイド層323は、例えばAlN、GaN、及びその混晶により形成されている。上部ガイド層323は、具体的には、Alx9Ga(1-x9)N(0≦x9≦1)により形成される。
また、上部ガイド層323を形成する材料には、P、As又はSbといったN以外のV族元素や、In又はBといったIII族元素、C、H、F、O、Si、Cd、Zn又はBe等の不純物が含まれていてもよい。
上部ガイド層323のAl組成比x9は、断面構造のエネルギー分散型X線解析(EDX)により特定することができる。Al組成比x9は、AlとGaのモル数の和に対するAlのモル数の比率と定義でき、具体的にはEDXから分析及び定量されたAl、Gaのモル数の値を用いて定義することができる。上部ガイド層323のAl組成比x9は、井戸層のAl組成比よりも大きくてもよい。これにより、窒化物半導体活性層322へキャリアを閉じ込めることが可能となる。
上部ガイド層323は、n型半導体又はp型半導体のいずれであってもよい。上部ガイド層323がn型半導体である場合、AlGaNに対して例えばSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで、上部ガイド層323がn型化する。上部ガイド層323がp型半導体である場合、AlGaNに対して例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、上部ガイド層323がp型化する。上部ガイド層323は、アンドープ層でもよい。
上部ガイド層323の厚さは、10nmより大きく500nmより小さいことが好ましい。上部ガイド層323をこの厚さ範囲で形成することにより、光閉じ込め効率係数を向上させて、より発振閾値の低いレーザダイオードを実現することができる。
<電子ブロック層>
電子ブロック層33は、窒化物半導体活性層322よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるように設計される。例えば窒化物半導体活性層322がAlGaNの場合、電子ブロック層33には、AlNの混晶比率が高いAlGaNを用いることが出来る。
電子ブロック層33は、基板10の面方向に略平坦であることが望ましい。電子ブロック層33が略平坦であることで、組成傾斜層34で局所的に集中した第一電極51から注入されたキャリアを、電子ブロック層33内の面方向に拡散させる役割がある。これは、電子ブロック層33のバンドギャップエネルギーが大きいために電子ブロック層33がキャリアの拡散の障壁となっているためである。
電子ブロック層33は、材料組成が膜厚方向に一定であっても、組成が変化していても良いが、電子を効率良くブロックし、さらに上述したキャリアを効率良く電子ブロック層33の水平面内に拡散するために組成が一定であることが好ましい。
電子ブロック層33は、組成傾斜層34と同一の導電型であってもよい。電子ブロック層33がn型半導体である場合、AlGaNに対して例えばSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで、電子ブロック層33がn型化する。電子ブロック層33がp型半導体である場合、AlGaNに対して例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、電子ブロック層33がp型化する。また、電子ブロック層33は、アンドープ層であってもよい。
<組成傾斜層>
組成傾斜層34は、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かってAl組成比が減少するAlGaNで形成されている。組成傾斜層34のAlN混晶比率は、電子ブロック層33と同じか少ないことが好ましい。このような設計にすることにより、第一電極51から注入されるキャリアを効率良く窒化物半導体活性層322へ運搬することが可能となる。また、組成傾斜層34の第二窒化物半導体層35に近い層のAl組成比が低いため、第二窒化物半導体層35を構成するAlGaN又はGaNとの障壁を顕著に低下させることができる。このため、第二組成傾斜領域342と第二窒化物半導体層35との間の抵抗をより低下させるとともに、ショットキー障壁が低減し、キャリア注入効率がより向上する。
さらに、組成傾斜層34は、基板10に近いほどAl組成比が多くなる。このため、ドライエッチング後に残存した組成傾斜層34の側面を例えばアルカリ溶液でウェットエッチングしてリッジ部半導体層30を形成する際に、リッジ部半導体層30の組成傾斜層34を含む領域(リッジ部半導体層30の上部)を逆テーパ形状に形成することができる。これは、組成傾斜層34の基板10に近い領域程Al組成比が多く、高いエッチングレートでエッチングされるためである(詳細は後述する)。
より具体的に、組成傾斜層34は、AlGa(1-x)Nで形成されており、組成傾斜層34のAl組成比xは、例えば0<x≦0.9であることが好ましい。すなわち、組成傾斜層34のAl組成比xは、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かって0.9からほぼ0まで変化することが好ましい。組成傾斜層34におけるAl組成比xは、組成傾斜層34の厚さ方向全域において一定の変化率で減少しても良い。また、Al組成比xは、組成傾斜層34の厚さ方向の途中において一旦Al組成比xが一定となる領域を有することでAl組成比xが多段階で変化する構成であっても良い。
また、組成傾斜層34は、図1及び図2に示すように、AlGaNで形成された第一組成傾斜領域341と第二組成傾斜領域342とを備えていてもよい。第二組成傾斜領域342は、例えば第一組成傾斜領域341よりも窒化物半導体活性層322から離れている領域である。第一組成傾斜領域341と第二組成傾斜領域342とは、例えば平均のAl組成比やAl組成比の変化率が互いに異なる領域である。
本実施形態では、組成傾斜層34が、第一組成傾斜領域341及び第二組成傾斜領域342を備える場合について説明する。
以下、各領域について詳細に説明する。
(第一AlGaN領域)
第一組成傾斜領域341は、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かってAl組成比が減少するAlGaNで形成されている。第一組成傾斜領域341は、電子ブロック層33の上方に形成されている。より具体的に、第一組成傾斜領域341は、Alx1Ga(1-x1)Nで形成されている。第一組成傾斜領域341におけるAl組成比x1は、光を効率良く閉じ込める観点から上部ガイド層のAl組成比より高いことが好ましく、さらに0.6≦x1≦0.9であることが好ましい。第一組成傾斜領域341のAl組成比x1は、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かって上述した範囲内で減少する。
第一組成傾斜領域341は、第二窒化物半導体層35と同一の導電型であってもよい。第一組成傾斜領域341がn型半導体である場合、AlGaNに対して例えばSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで、第一組成傾斜領域341がn型化する。第一組成傾斜領域341がp型半導体である場合、AlGaNに対して例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、第一組成傾斜領域341がp型化する。また、第一組成傾斜領域341は、アンドープ層であってもよい。
第一組成傾斜領域341は、0nm超400nm未満の厚さを有していることが好ましい。第一組成傾斜領域341の厚さが400nm未満の場合、第一組成傾斜領域341の抵抗が低くなり、駆動電圧の増加による発熱量の増加を抑制して、窒化物半導体レーザダイオード1の破壊が生じにくくなる。
第一組成傾斜領域341は、150nm以上400nm未満の厚さであることが好ましく、200nm以上400nm未満であることがさらに好ましい。第一組成傾斜領域341の厚さは、例えば320nmである。
(第二AlGaN領域)
第二組成傾斜領域342は、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かってAl組成比が減少するAlGaNで形成されている。第二組成傾斜領域342は、第一組成傾斜領域341上に形成されている。より具体的に、第二組成傾斜領域342は、Alx2Ga(1-x2)Nで形成されている。第二組成傾斜領域342におけるAl組成比x2は、例えば0<x2≦0.6であることが好ましい。第二組成傾斜領域342のAl組成比x2は、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かって上述した範囲内で減少する。第二組成傾斜領域342では、第一組成傾斜領域341よりも平均のAl組成比が低くなるように形成される。これにより、電極から活性層へ効率良く電流を流すことが可能である。
第二組成傾斜領域342は、領域の厚さ方向において連続的にAl組成比x2が変化していることが好ましい。このとき、Al組成比x2の傾斜率(すなわち変化率)は一定であっても良く、連続的に変化していても良い。
なお、第一組成傾斜領域341及び第二組成傾斜領域342の双方で連続的にAl組成比が変化することがより好ましい。ここで、第一組成傾斜領域341及び第二組成傾斜領域342の双方でAl組成が連続的に変化とは、第一組成傾斜領域341及び第二組成傾斜領域342が接触する界面のAl組成比が一致していることをいう。また、第一組成傾斜領域341及び第二組成傾斜領域342が接触する界面のAl組成比は、第一組成傾斜領域341のAl組成比x1の回帰直線と、第二組成傾斜領域342のAl組成比x2の回帰直線との交点におけるAl組成比をいう。
第二組成傾斜領域342を構成するAlGaNは、P、As又はSbといったN以外のV族元素、In又はBといったIII族元素、又はC、H、F、O、Si、Cd、ZnもしくはBe等の不純物が含まれていてもよい。
また、第二組成傾斜領域342を構成するAlGaNが例えばp型半導体のドーパントとしてMgを含む場合、第二組成傾斜領域342は連続的にAl組成比x2が減少する領域であり、+c面成長の際には分極により第二組成傾斜領域342中に正孔が発生する。
第二組成傾斜領域342は、ドーパントとしてのMgを含まないアンドープ層であっても良い。第二組成傾斜領域342をアンドープ層とすることにより、不純物起因の光の吸収を抑制することができ、レーザダイオードにおいて内部損失を低減することが可能である。また、発光ダイオードにおいても光吸収を抑制することにより光取り出し効率が向上し、発光効率を向上させることが可能である。第二組成傾斜領域342は、第一組成傾斜領域341と直接接していてもよい。また、第一組成傾斜領域341と第二組成傾斜領域342との間に例えば組成が一定のAlNとGaNの混晶であるAlGaN層を含んでいても良い。
第二組成傾斜領域342は、例えば0nm超130nm未満の厚さを有している。第二組成傾斜領域342の厚さが130nm未満の場合、窒化物半導体レーザダイオード1が好適に発振するため好ましい。第二組成傾斜領域342は、例えば75nmの厚さに形成される。
第一組成傾斜領域341及び第二組成傾斜領域342は、例えば、有機気相成長装置(MOVPE装置)を用いて、薄膜成長により形成する。組成傾斜層34は、原料ガスであるTMG(トリメチルガリウム)の流量を連続的に増加させ、TMA(トリメチルアルミニウム)の流量を連続的に減少させながら、アンモニアガスを同時に流してAlGaNを成長させる。これにより、AlGaNのAl組成比が変化した組成傾斜層34を作製することができる。この際、CpMg(シクロペンタジエニルマグネシウム)をアンモニアガスと同時に流すことで、不純物としてAlGaN中にMgを添加することができる。
<第二窒化物半導体層>
第二窒化物半導体層35は、第二組成傾斜領域342よりも窒化物半導体活性層322から離れた領域であって、第二組成傾斜領域342の全面を被覆する被覆層である。第二窒化物半導体層35は、第二組成傾斜領域342よりもAl組成比が低いAlGaN又はGaNで形成されていることが好ましい。すなわち、第二窒化物半導体層35は、Alx3Ga(1-x3)N(0≦x3<x2)で形成されている。
第二窒化物半導体層35は、第一導電型とは異なる第二導電型(n型又はp型)の半導体で形成されている。
第二窒化物半導体層35がn型半導体の場合、例えばSiが1×1019cm-3の濃度でドープされることで、第二窒化物半導体層35がn型化する。
第二窒化物半導体層35がp型半導体の場合、例えばMgが3×1019cm-3の濃度でドープされることで、第二窒化物半導体層35がp型化する。
ドーパントの濃度は、基板10の膜厚方向に一定であっても、不均一であっても良い。また、ドーパントの濃度は、基板10の面内方向に一定であっても、不均一であっても良い。
第二窒化物半導体層35の最上層がp型のGaN(p-GaN)である場合、第二窒化物半導体層35の上に配置される第二電極52とのコンタクト抵抗を下げることができるとともに、窒化物半導体レーザダイオード1が対応可能な紫外光の波長範囲が広くなる。これは、第二窒化物半導体層35としてp-GaNを用いると、第二組成傾斜領域342のAlGaNのAl組成比を広く設計できるためである。
第二窒化物半導体層35は、複数の層を積層した構成であってもよい。この場合、上述した第二窒化物半導体層35のAl組成比は、最表層、すなわち第二電極52に接する表面での組成比を示す。
第二窒化物半導体層35は、AlGaNのAl組成比を傾斜させた構造を有していてもよい。例えば、第二窒化物半導体層35は、AlGaNのAl組成比が、組成傾斜層34におけるAl組成比の最小値から連続的又は階段状に減少する層構造を有していてもよい。第二窒化物半導体層35が層構造を有する場合、第二窒化物半導体層35はアンドープ層であっても良い。
第二窒化物半導体層35は、最上層にドーピング濃度が高い層を更に有している積層構造であっても良い。第二窒化物半導体層35は、二層以上の積層構造であっても良い。その場合、キャリアを窒化物半導体活性層322へ効率よく運搬する目的で、Al組成比は上層に向かうほど小さくなることが好ましい。
第二窒化物半導体層35は、10nm超10μm未満の厚さを有することが好ましく、200nm以上10μm未満であることがより好ましく、500nm以上5μm以下であることがさらに好ましい。第二窒化物半導体層35の厚さが10nm超である場合、組成傾斜層34と組成傾斜層34の上面に設けられた第二窒化物半導体層35との密着性が向上する。具体的には、組成傾斜層34と第二窒化物半導体層35との界面において、空隙ができることを抑制することができる。このため、電流密度を向上させることができる。また、第二電極52からキャリアが注入される際に局所的に電流が集中することを抑制し、第二組成傾斜領域342の上面(第二窒化物半導体層35と対向する面)から均一に電流を注入することができる。また、第二窒化物半導体層35の厚さが10nm超の場合、組成傾斜層34と第二電極52とが第二窒化物半導体層35を介して低抵抗で接続される。
また、第二窒化物半導体層35の厚さが10μm未満である場合、組成傾斜層34形成時にクラックが生じにくくなるため好ましい。
さらに、第二窒化物半導体層35の厚さがこの範囲内にある場合、第二窒化物半導体層35の成長中の格子緩和による3次元成長を抑制し、第二窒化物半導体層35の表面を平坦化することが可能となる。このため、第二窒化物半導体層35と第二電極52との接触性が安定し、駆動電圧の低い窒化物半導体レーザダイオード1を実現できる。
<リッジ部半導体層>
リッジ部半導体層30は、発光部32を構成する上部ガイド層323の一部と、組成傾斜層34と、第二窒化物半導体層35とによって構成されている。また、本実施形態の窒化物半導体レーザダイオード1では、リッジ部半導体層30は電子ブロック層33を含んでいる。リッジ部半導体層30が形成されることにより、発光部32よりも上層に形成された屈折率の高い材料で形成された層を除去して、発光部32からの光を発光部32内の面方向に閉じ込めることができる。
また、本実施形態の窒化物半導体レーザダイオード1では、リッジ部半導体層30の上部を逆テーパ形状とし、下部を順テーパ形状としている。
リッジ部半導体層30の上部が逆テーパであることにより、リッジ部半導体層30と第二電極との接触面積を大きくして抵抗を下げて駆動電圧を低くしつつ、電流を狭窄して電流密度を向上させることで閾値電流を低減することができる。また、リッジ部半導体層30の上部が逆テーパ構造を有することで電極面積を広くすることができ、電極パターンの設計の自由度を向上させることができる。さらに、フリップチップ接合型のレーザダイオードにおいては、ボンディングエリアを広くすることが出来るため、放熱性を向上することが出来るとともに、フリップチップ接合における接合パターンの設計自由度を高めることが出来る。
また、リッジ部半導体層30の下部を順テーパ形状とすることで、発光部32への過剰な光閉じ込めを抑制し、電流Iに対する光強度Lの特性を安定させてキンクが生じないようにしたり、リッジ部半導体層30の側面30Aの結晶性の劣化による窒化物半導体レーザダイオード1の発光特性の低下を抑制することができる。また、電流を狭窄した窒化物半導体活性層322の内部の発光箇所と外部(図1及び図2中の空洞60)との距離を遠くすることが出来る。このため、外気(水や酸素)と窒化物半導体活性層322のAlGaNとの電流と熱とにより促進される、劣化の原因となる化学反応を抑制する効果があり、窒化物半導体レーザダイオード1を長寿命化することができる。また、上述した逆テーパ形状の部分において最も電流が集中する部分(逆テーパ形状の部分と順テーパ形状の部分とが接するリッジ部半導体層30の側面箇所)の電流を、この電流が窒化物半導体活性層322に到達する前に順テーパ形状の部分で一部拡散することが出来るため、電流集中による素子の破壊を抑制し、素子を長寿命化できる。
これにより、リッジ部半導体層側面での光閉じ込め効果を向上させ、窒化物半導体レーザダイオード1の発光効率を向上させることができる。また、窒化物半導体レーザダイオード1は、高電流密度を実現し、レーザ発振の閾値を低減させることが可能になる。
リッジ部半導体層30の役割は、上述したように、電流の集中と発光部32への光の閉じ込めである。このため、リッジ部半導体層30は、必ずしも上部ガイド層323の一部と、組成傾斜層34と、第二窒化物半導体層35のみで形成される必要はない。
上部AlGaN層36に組成傾斜層34を含むことで、上述した逆テーパ形状を特に形成しやすくなる。これは、ウェットエッチング処理においてアルカリ溶液を用いる場合に、Al組成の高いAlGaNほど側面エッチングが進行しやすく、Al組成が連続的に変化する組成傾斜構造において逆テーパ構造を形成しやすくなるためである。
リッジ部半導体層30の順テーパ形状の領域の底面は、上部ガイド層323中に位置することが好ましい。これは、リッジ部半導体層30の形状を形成する際の加工工程において、順テーパ形状の領域の底面と同一平面上の窒化物半導体表面が、上部ガイド層323の厚さの分窒化物半導体活性層322から遠ざかるため、加工工程における加工ダメージが窒化物半導体活性層322まで到達する可能性を低減できるからである。
この際、リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面の位置、すなわち順テーパ形状と逆テーパ形状とが切り替わる箇所は、上部ガイド層323中であってもよく、上部AlGaN層36の上部ガイド層323以外の領域内であってもよい。すなわち、リッジ部半導体層30の順テーパ形状の領域は、上部ガイド層323と上部ガイド層323以外の上部AlGaN層36(電子ブロック層33、組成変化層34、第二窒化物半導体層35)の下部領域の少なくとも一方または両方で形成されていてもよく、上部ガイド層323と上部ガイド層323以外の上部AlGaN層36の両方で形成されていることがより好ましい。また、リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域は、順テーパ形状の領域以外の上部AlGaN層36で形成されていてもよい。
より具体的に、リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面の位置は、以下の箇所が好ましい。なお、「底面の位置」は、各層の底面または上面の位置、すなわち層同士の境界に位置していても良い。
1)上部ガイド層323
2)電子ブロック層33
3)組成傾斜層34
図3Aに示すように、リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面が上部ガイド層323中に位置する場合、特に水平方向への光の漏れを抑制する効果が大きく、レーザの水平方向への拡がりの制御や発振閾値の低減の効果が高くなる。さらに、逆テーパ形状の領域が上部ガイド層323まで形成されているため、順テーパ形状の領域での電流の水平方向への拡散を抑制することが出来、モードの制御や発振閾値の低減の効果がより高くなる。
図3Bに示すように、リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面が電子ブロック層33中に位置する場合、エッチング処理で順テーパ形状の領域、逆テーパ形状の領域を形成する際の再現性が高い。これは、例えばAlGaN材料の場合、エッチングレートがAl/(Al+Ga)組成比率が高いほど高く、かつ通常電子ブロック層33はバンドギャップが上部ガイド層323、組成傾斜層34より大きい材料(AlGaNの場合では、Al/(Al+Ga)組成比率が最も高い)を用いることから、順テーパ形状と逆テーパ形状の切り替わる箇所を電子ブロック層33中に形成しやすいためである。つまり、基準の範囲内に収まる特性を有する窒化物半導体レーザダイオード1の製造工程において、製造歩留まりが高くなる。
図3Cに示すように、リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面が組成傾斜層34中に位置するの場合、逆テーパ部の表面積が図3A、図3Bに示す場合よりも小さい。窒化物半導体レーザダイオード1では、+c面上に組成傾斜層34となるp型半導体を成長させる場合この逆テーパ形状の領域(-c面が部分的に露出している)における耐湿性、腐食性が低くなっている。この部分の構造劣化が通電中や保管中に進行すると、素子の寿命が短くなるが、図3Cに示す構造ではこの逆テーパ形状の領域の面積を小さくすることで、寿命の長い素子を実現できる。
なお、図3Aから図3Cでは、上部ガイド層323、電子ブロック層33及び組成傾斜層34の層中にリッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面が位置する場合について説明したが、このような構成に限られない。リッジ部半導体層30の逆テーパ形状の領域の底面は、各層の境界面に位置していても良い。
また、上部AlGaN層36の側面方向に被覆膜で覆われた空洞60が形成されていることが好ましい。これは、空洞60中の空気(屈折率1)が低屈折率であるために、光の共振時にリッジ部半導体部30の延伸方向および薄膜の膜厚方向の両方と垂直な軸方向における光の閉じ込め効率が向上する。さらに、空洞60が被覆されていることにより、窒化物半導体レーザダイオード1の外部からの作用(振動、水、熱、電磁波など)に対して空洞60と接する素子表面を保護することが出来、信頼性の高い窒化物半導体レーザダイオード1を実現できる。
また、被覆膜として酸化シリコン膜等の絶縁膜が用いられる、すなわち空洞60が絶縁膜で覆われた構造であってもよい。この場合、側面30Aがシリコン酸化膜40で覆われたリッジ部半導体層30の側方に空洞60が形成され、空洞60が図示しない絶縁膜で覆われる。
上述したように、リッジ部半導体層30は、第一電極51側に偏らせて配置されていている。リッジ部半導体層30が第一電極51に近付くことによって、窒化物半導体レーザダイオード1中を流れる電流経路が短くなるので、窒化物半導体レーザダイオード1中に形成される電流経路の抵抗値を下げて、窒化物半導体レーザダイオード1の駆動電圧を低くすることができる。しかしながら、リッジ部半導体層30は、リソグラフィの再現性の観点から1μm以上メサ構造の端部(発光部32の端部)より離れていることが好ましい。リッジ部半導体層30は、メサ構造の中央に配置されていてもよく、メサ構造の端部に片寄らせて形成されていてもよい。
<共振器面>
窒化物半導体レーザダイオード1には、共振器面の形成が必要である。共振器面70は、第一窒化物半導体層31の第二積層領域312、発光部32、組成傾斜層34及び第二窒化物半導体層35のそれぞれの側面によって形成される同一平面で構成されている。共振器面70は、図1において輪郭が太線によって図示されている面である。
また、裏側共振器面(図1中不図示)は、共振器面70に対向する端面であって、第一窒化物半導体層31の第二積層領域312、発光部32、組成傾斜層34及び第二窒化物半導体層35のそれぞれの端面によって形成される同一平面で構成されている。
共振器面70及び裏側共振器面は、発光部32の発光を反射させることを目的として設けられている。共振器面70及び裏側共振器面で反射した光を発光部32に閉じ込めるために、共振器面70及び裏側共振器面は、対を成して備えられている。共振器面70は、例えば窒化物半導体レーザダイオード1の光の出射側となる。共振器面70及び裏側共振器面において、発光部32からの発光を反射させるために、共振器面70及び裏側共振器面は、窒化物半導体活性層322と上部ガイド層323との接触面に対して垂直かつ平坦であってもよい。しかしながら、共振器面70及び裏側共振器面は、全体にあるいは部分的に傾斜部あるいは凹凸部を有していてもよい。
共振器面70及び裏側共振器面の表面には、誘電体多層膜等の絶縁保護膜及び反射膜が形成されていてもよい。具体的には、絶縁保護膜は、SiOで形成されていてよく、その他にAl、SiN、SnO、ZrO又はHfO等で形成されていてもよい。また、絶縁保護膜は、これらの材料が積層された構造を有していてもよい。絶縁保護膜は、窒化物半導体レーザダイオード1の光の出射側となる共振器面70と、光の出射側にならない反射側の裏側共振器面の両方の表面に形成されていてもよい。光の出射側の共振器面70に形成された絶縁保護膜と、光の反射側の裏側共振器面に形成された絶縁保護膜は、同じ構造を有していてもよいし、異なる構造を有していてもよい。
<シリコン酸化膜>
シリコン酸化膜40は、絶縁体の一例であり、少なくともリッジ部半導体層30の側面30Aを覆うように設けられている。シリコン酸化膜40は、上層が除去された上部ガイド層323の上面に設けられていてもよい。
これにより、リッジ部半導体層30の側面30Aが空洞60中の空気と直接接触することを抑制し、空洞60中に残留する酸素、炭素、水、二酸化炭素等とリッジ部半導体層30の側面30Aとが、素子駆動時の熱と電流により化学変化を起こし劣化することを抑制することが可能となる。
<第一電極>
第一電極51は、第一窒化物半導体層31上に形成されている。第一電極51は、例えば下部第一電極51Aと上部第一電極51Bとを含んでいるが、下部第一電極51Aのみで構成されていても良い。
第一電極51がn型電極の場合、第一電極51は、第一電極51が第一窒化物半導体層31に電子を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光レーザダイオードのn型電極材料により形成される。例えば、第一電極51は、Ti、Al、Ni、Au、Cr、V、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W若しくはその合金、又はITO等により形成される。
第一電極51がp型電極の場合、第一電極51は、第一電極51が窒化物半導体発光レーザダイオードに正孔(ホール)を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光レーザダイオードのp型電極材料により形成される。例えば、第一電極51は、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Cu若しくはその合金、又はITO等により形成され、特にNi、Au若しくはこれらの合金、又はITOであることが好ましい。第一電極51と第一窒化物半導体層31とのコンタクト抵抗が小さくなるためである。
本実施形態では、第一電極51は、例えばn型電極となるように形成されている。
第一電極51は、第一電極51の全域に電流を均等に拡散させる目的で、下部第一電極51Aの上方にパッド電極(上部第一電極)51Bを有していてもよい。上部第一電極51Bは、例えばAu、Al、Cu、Ag又はW等により形成され、導電性の観点からAuで形成されることが好ましい。
第一電極51は、例えば60nmの厚さに形成されている。本開示では、第一電極51は、第二電極52と異なる厚さに形成されているが、第二電極52と同じ厚さに形成されていてもよい。
<第二電極>
第二電極52は、リッジ部半導体層30上、すなわち上部AlGaN層36の最上層である第二窒化物半導体層35上に形成されている。上部AlGaN層36と電気的に接続している第二電極52を備え、被覆膜は、第二電極52で構成されていることが好ましい。本構造を有することで第二電極52をリッジ部半導体層30の上面30Bに成膜する際に、同時に空洞60を被覆することが可能となり、工程の簡略化が可能である。さらに、第二電極52は、リッジ部半導体層30と接する下部第二電極52Aと、下部第二電極52A上に配置された上部第二電極52Bとを含み、被覆膜は、第二電極52の上部第二電極52Bで構成されていることが好ましい。本構造により、リッジ部半導体層30の上面30Bに形成する電極(下部第二電極52A)と、空洞60を被覆する電極(上部第二電極52B)に別の金属材料を用いることが可能となり、異なる加工条件を適用することが可能となる。例えば、下部第二電極52Aを形成後に熱処理を行い、第二窒化物半導体層35との界面に合金を形成し、その後上部第二電極52Bを被覆することで空洞60を形成することが可能となる。この構造により、下部第二電極52Aの加工時に空洞60を被覆する第二電極52の形状が変化することを抑制できる。
なお、第二電極52は、例えば下部第二電極52Aと、下部第二電極52A上に配置された上部第二電極52Bとを含んでいるが、下部第二電極52Aのみで構成されていても良い。
被覆膜である第二電極52は、第二電極52の内表面から外表面に貫通する貫通経路を有していてもよい。貫通経路は、窒化物半導体レーザダイオード1の内部(空洞60)から外部へ繋がる微細な貫通孔である。この貫通経路を介して酸素が供給されることにより、リッジ部半導体層30の側面30Aに不導体化により形成される酸化膜(シリコン酸化膜40)の形成を維持することが可能となる。これは、窒化物半導体レーザダイオード1の使用時に熱と電流によりシリコン酸化膜40に亀裂が入り、リッジ部半導体層30の側面30A方向から内部にまで酸化が促進することを、繰り返し不導体化することで抑制する役割がある。
第二電極52がp型電極の場合、第二電極52は、第二電極52が窒化物半導体発光レーザダイオードに正孔(ホール)を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光レーザダイオードのp型電極材料により形成される。例えば、第二電極52は、Ni、Au、Pt、Ag、Rh、Pd、Cu又はその合金、又はITO等により形成され、特にNi、Au若しくはこれらの合金、又はITOであることが好ましい。第二電極52とリッジ部半導体層30とのコンタクト抵抗が小さくなるためである。
第二電極52がn型電極の場合、第二電極52は、リッジ部半導体層30に電子を注入する目的で用いられるのであれば、一般的な窒化物半導体発光レーザダイオードのn型電極材料により形成される。例えば、第二電極52は、Ti、Al、Ni、Au、Cr、V、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W又はその合金、又はITO等により形成される。
本実施形態では、第二電極52は、例えばp型電極となるように形成されている。
第二電極52は、第二電極52の全域に電流を均等に拡散させる目的かつリッジ部半導体層30の側方に空洞60を形成する目的で、下部第二電極52Aの上方にパッド電極(上部第二電極)52Bを有している。上部第二電極52Bは、上部第一電極51Bと同様の材料、構成とすることができる。また、上部第二電極52Bの代わりに、例えばNi及びAuの合金で形成された下部第二電極52Aをリッジ部半導体層30上に形成し、Auで形成された上部第二電極52Bを下部第二電極52A上に形成した構成であっても良い。
第二電極52は、例えば240nmの厚さに形成されている。
第二電極52は、短辺の長さが10μm未満であり長辺の長さが1000μm以下の長方形状を有し、第二窒化物半導体層35に積層された構造であることが好ましい。第二電極52のリッジ部半導体層30側の面は、リッジ部半導体層30の上面30Bとほぼ同じ形状を有していることが好ましい。第二電極52とリッジ部半導体層30との接触面が互いに同じ形状を有することにより、第二電極52から注入されるキャリアがリッジ部半導体層30中で基板10の面方向に拡散することが抑制され、窒化物半導体活性層322での発光を制御することができる。
(1.2)窒化物半導体レーザダイオードの製造方法
図4Aから図4Jを参照して、窒化物半導体レーザダイオード1の製造方法を説明する。なお、以下の製造方法では、第一窒化物半導体層31がn型半導体で形成され、第二窒化物半導体層35がp型半導体で形成される場合について説明する。また、以下の製造方法では、基板10上にバッファ層20を備え、発光部32と組成傾斜層34との間に電子ブロック層33を備える窒化物半導体レーザダイオード1の製造方法について説明する。
まず、図4Aに示すように、例えばサファイア基板である基板10上に、バッファ層20、第一窒化物半導体層31A、下部ガイド層321A、窒化物半導体活性層322A、上部ガイド層323A、電子ブロック層33A、組成傾斜層34A及び第二窒化物半導体層35Aを順に形成して、半導体積層部301を形成する。組成傾斜層34Aは、第一組成傾斜領域341Aと第二組成傾斜領域342Aとで構成されている。ここで、第一窒化物半導体層31A、下部ガイド層321A、窒化物半導体活性層322A、上部ガイド層323A、電子ブロック層33A、組成傾斜層34A及び第二窒化物半導体層35Aは、それぞれ、後に第一窒化物半導体層31、下部ガイド層321、窒化物半導体活性層322、上部ガイド層323、電子ブロック層33、組成傾斜層34及び第二窒化物半導体層35となる窒化物半導体層である。続いて、半導体積層部が形成された基板10を熱処理することにより、不純物を活性化させる。熱処理は、例えば500℃以上600℃以下の環境下で5分以上20分以下の時間行われる。
続いて、図4Bに示すように、第二窒化物半導体層35Aの上面の一部を、金属により形成されたエッチングマスク100で被覆する。エッチングマスク100は、後にリッジ部半導体層30(図1参照)を形成する領域にNi等の金属材料を成膜して形成する。
続いて、図4Cに示すように、半導体積層部301のエッチングマスク100で被覆されていない領域の第二窒化物半導体層35Aから上部ガイド層323Aの厚さ方向の一部までをCl2ガスを用いたドライエッチングにより除去する。すなわち、第二窒化物半導体層35Aから上部ガイド層323Aの厚さ方向の途中までドライエッチングを行った後に、ドライエッチングを終了する。ドライエッチング処理が広範に用いられている異方性エッチングである場合、ドライエッチングが進むにつれて形成される半導体積層部302の端面302Aは、ドライエッチングされにくくなる。このため、エッチングマスク100で被覆されていない半導体積層部301の一部が除去されると、エッチングマスク100で被覆されて残存した半導体積層部302の断面形状は順テーパ形状となる。残存した半導体積層部302は、上部ガイド層323B、電子ブロック層33B、第一組成傾斜領域341B及び第二組成傾斜領域342Bを有する組成傾斜層34B及び第二窒化物半導体層35Bを備えている。
なお、上部AlGaN層36を形成する際に、窒化物半導体活性層322の上層に上部ガイド層323を形成し、上部ガイド層323の厚さ方向の途中までドライエッチングを行った後にドライエッチングを終了することが好ましい。この工程を行うことで、窒化物半導体活性層323にドライエッチングダメージを与えることを抑制することが可能となる。
続いて、図4Dに示すように、ドライエッチング後に残存した半導体積層部302の第二窒化物半導体層35Bから上部ガイド層323Bの側面を例えばアルカリ溶液でウェットエッチングする。このとき、アルカリ溶液として、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を用いる。これにより、半導体積層部302の側面がウェットエッチングにより除去される。これは、窒化物半導体のa面、m面のエッチングレートがc面のエッチングレートより速いことに起因する。ウェットエッチングは、半導体積層部302の上部が逆テーパ形状になるまで行う。
このとき、ドライエッチング後に残存した半導体積層部302の側面(端面302A)が順テーパ形状であるため、端面302Aのエッチングが進行すると、半導体積層部302の断面形状が図4Dに示すように順テーパ形状と逆テーパ形状とを組み合わせた構造になる。このような図4Dに示す構造になったところで、ウェットエッチングを停止する。なお、図4Dに示す構造を形成するには、端面302Aのエッチングレートを考慮してウェットエッチングの時間を設定すればよい。
また、このとき、Al組成比が高いほどエッチングレートが速くなる。このため、Al組成比の最も高い電子ブロック層33Bの側面が最も多く除去され、Al組成比の最も低い第二窒化物半導体層35Bの側面が最も少なく除去される。また、窒化物半導体活性層322から離れる方向に向かってAl組成比が減少する組成傾斜層34Bでは、電子ブロック層33Bに近い領域ほど多く除去され、第二窒化物半導体層35Bに近い領域ほど少なく除去される。これにより、下部が順テーパ形状であり、上部が逆テーパ形状の半導体積層部であるリッジ部半導体層30が形成される。つまり、窒化物半導体レーザダイオード1のような薄膜構造を有する素子は、Al組成比の調整を比較的容易に行うことができることから、さらに図4Dの構造を形成しやすい特徴がある。リッジ部半導体層30では、第二窒化物半導体層35、組成傾斜層34及び電子ブロック層33が、断面視で基板10に向かって狭い幅となる逆テーパ形状に形成され、かつ上部ガイド層323の一部が、断面視で基板10に向かって広い幅となるテーパ形状になっている。
続いて、図4Eに示すように、ドライエッチング後に残存した上部ガイド層323の上面、リッジ部半導体層30の側面30A及びエッチングマスク100を覆うように、絶縁体であるシリコン酸化膜40Aをスパッタにより成膜する。スパッタにより、リッジ部半導体層30の側面30Aにも材料が回り込んで、上部ガイド層323の上面、エッチングマスク100の上面のみならずリッジ部半導体層30の側面30Aも覆うようにシリコン酸化膜40Aが形成される。このとき、断面視においてリッジ部半導体層30の側面30Aの形状が急激に変化する部分(リッジ部半導体層30の側面30Aに接触する線の傾きが急激に変化する変異点)P1,P2を起点として、シリコン酸化膜40Aに亀裂やピンホール等(以下、亀裂と記載する)C1,C2が生じる。亀裂C1は、エッチングマスク100の上面に形成されたシリコン酸化膜40Aと、リッジ部半導体層30の側面30Aに形成されたシリコン酸化膜40との境界に形成されている。
なお、このとき、上部ガイド層323の上面及びリッジ部半導体層30の側面30Aにシリコン酸化膜40Aを形成した後、このシリコン酸化膜40Aよりも被覆物質が粗となる形成条件にて、例えば成膜温度を下げて、シリコン酸化膜40Aを形成してもよい。これにより、エッチングマスク100の上面に、上部ガイド層323の上面及びリッジ部半導体層30の側面30Aに形成したシリコン酸化膜40Aよりも疎な結晶で形成されたシリコン酸化膜40Aを形成することができる。これにより、上部ガイド層323の上面及びリッジ部半導体層30の側面30Aに形成されたシリコン酸化膜40Aと、エッチングマスク100の上面に形成されたシリコン酸化膜40Aとの間に亀裂(図4Eに示す亀裂C1に相当する)が生じる。
続いて、図4Fに示すように、シリコン酸化膜40Aが形成された領域を、エッチングマスク100を構成する金属(例えばNi)を溶解する溶液により処理する。ここで、金属を溶解する溶液として、例えば硝酸を用いる。これにより、亀裂C1,C2を介してシリコン酸化膜40Aの内部に硝酸が入り込み、エッチングマスク100に近い亀裂C1から入り込んだ硝酸がエッチングマスク100を溶解する。これにより、エッチングマスク100及びエッチングマスク100上に成膜されたシリコン酸化膜40Aが除去され、リッジ部半導体層30の上面30B(第二窒化物半導体層35)が露出する。すなわち、本実施形態では、第二窒化物半導体層35を露出させるために、上部が逆テーパ形状であり、下部が順テーパ形状のリッジ部半導体層30を形成して、シリコン酸化膜40Aに亀裂C1を発生させる。
ここで、リッジ部半導体層30の下部に形成された亀裂C2の近傍には金属で形成された領域が存在しない。このため、上部ガイド層323の上面及びリッジ部半導体層30の側面30Aに形成されたシリコン酸化膜40Aは硝酸処理後も残存してシリコン酸化膜40となる。
この手法により、リッジ部半導体層30の側面30Aをシリコン酸化膜40で被覆し、かつリッジ部半導体層30の上面30Bを露出させることが出来、第二電極52とリッジ部半導体層30の上面30Bとの接触面積を増やすことが出来る。
続いて、図4Gに示すように、リッジ部半導体層30を形成した領域及びその周辺領域を除いた領域を除去して、メサ構造37を形成する。このとき、リッジ部半導体層30を形成した領域及びその周辺領域の上面に金属(Ni等)によりエッチングマスクを形成し、Cl2ガスを用いたドライエッチングによりエッチングマスク(図4G中不図示)を形成していない領域を除去する。この後、硝酸処理により、エッチングマスクを除去する。
続いて、図4Hに示すように、電子ビーム(EB:Electron Beam)蒸着により、メサ構造37の形成時に上層が除去された第一窒化物半導体層31の上面に第一電極51を形成するとともに、第二窒化物半導体層35の上面に第二電極52を形成する。
続いて、図4Iに示すように、フォトリソグラフィによりリッジ部半導体層30及び第一電極51を覆うレジストマスク(図4H中不図示)を形成し、シリコン酸化膜40B(図4H中不図示)を成膜した後、レジストマスク及びレジストマスク上に形成されたシリコン酸化膜40Bを除去してリッジ部半導体層30の側面30A及び第一窒化物半導体層31の上面を覆うシリコン酸化膜40を形成する。なお、図4Iには、第一電極51を覆うレジストマスク上のシリコン酸化膜40Bを除去した後のシリコン酸化膜40のみを示している。
最後に、図4Jに示すように、電子ビーム蒸着により、第一電極51を覆う上部第一電極51Bと、第二電極52を覆う上部第二電極52Bとを形成する。上部第一電極51B及び上部第二電極52Bは、例えば電子ビーム蒸着で同時に形成される。このため、基板10に対して略垂直な方向から被覆物質を基板10に垂直な方向に堆積させて、上部第二電極52Bを形成する。すなわち、リッジ部半導体層30の上方から基板10に向けて略まっすぐに被覆物質としてパッド電極である上部第二電極52Bの材料となる金属材料が蒸着されて上部第二電極52Bが形成される。このため、第二電極52がマスクとなり、リッジ部半導体層30の側面30Aには金属が蒸着されず、リッジ部半導体層30の側方と上部第二電極52Bとの間には空洞60が形成される。このようにして、リッジ部半導体層30の側方を空洞60を介して覆う被覆膜である上部第二電極52Bが形成される。ここで、「基板10に対して略垂直な方向」とは、基板10に対して厳密に垂直な方向のみでなく、基板10に対して厳密に垂直ではないものの、基板10の厚さ方向に対して斜めに形成されたリッジ部半導体層30の側面30Aに電子ビーム蒸着によって被覆物質が堆積しない程度の方向をいう。
このとき、蒸着環境において真空度を高めることにより、蒸着環境下において電子ビーム蒸着材料の直進性を阻害する微粒子等を低減し、直進性をより高めることができる。
このあと、第一窒化物半導体層31の第二積層領域312、発光部32、組成傾斜層34及び第二窒化物半導体層35を光の発振方向にエッチングして共振器面の形成を行う(不図示)。これにより、図1に示す窒化物半導体レーザダイオード1が得られる。
(1.3)第一実施形態の効果
第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードは、以下の効果を有する。
(1)本実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードでは、基板上に形成された上部ガイド層の組成傾斜層の一部と、組成傾斜層と、第二窒化物半導体層とがリッジ部半導体層を形成しており、リッジ部半導体層は、断面視で、基板に近い領域が順テーパ形状となっている。
これにより、リッジ部半導体層と第二電極との接触面積を大きくして抵抗を下げて駆動電圧を低くしつつ、電流を狭窄して電流密度を向上させることで閾値電流を低減することができる。また、電極面積を広くすることができ、電極パターンの設計の自由度を向上させることができる。さらに、フリップチップ接合型のレーザダイオードにおいては、ボンディングエリアを広くすることが出来るため、放熱性を向上することが出来るとともに、フリップチップ接合における接合パターンの設計自由度を高めることが出来る。
(2)本実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードでは、上述したリッジ部半導体層の基板から遠い領域が逆テーパ形状となっている。
これにより、リッジ部半導体層の下部を順テーパ形状とすることで過剰な光閉じ込めを抑制し、電流Iに対する光強度Lの特性を安定させてキンクが生じないようにしたり、リッジ部半導体層の側面の結晶性の劣化による窒化物半導体レーザダイオードの発光特性の低下を抑制することができる。また、電流を狭窄した窒化物半導体活性層の内部の発光箇所と外部(空洞)との距離を遠くすることが出来る。このため、窒化物半導体レーザダイオードの劣化の原因となる化学反応を抑制する効果があり、窒化物半導体レーザダイオードを長寿命化することができる。また、リッジ部半導体層の逆テーパ形状の部分において最も電流が集中する部分(逆テーパ形状の部分と順テーパ形状の部分とが接するリッジ部半導体層の側面箇所)の電流を窒化物半導体活性層到達前に順テーパ形状の部分で一部拡散することが出来るため、電流集中による素子の破壊を抑制し、素子を長寿命化できる。
(3)本実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードでは、上部第二電極が、第二窒化物半導体層と電気的に接続している第二電極とリッジ部半導体層の側面とを覆っている。このような形状のリッジ部半導体層は、上部第二電極とリッジ部半導体層の側面との間に屈折率の低い空気の層である空洞を介して上部第二電極で覆われている。
これにより、リッジ部半導体層側面での光閉じ込め効果を向上させ、窒化物半導体レーザダイオードの発光効率を向上させることができる。
(4)本実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードは、上部ガイド層側の面におけるAl組成比が上部ガイド層のAl組成比よりも大きく、かつ窒化物半導体活性層から離れる方向に向かってAl組成比が連続的に減少するAlGaNで形成された領域を含む組成傾斜層を備えている。
これにより、キャリアを効率良く窒化物半導体活性層322へ運搬することが可能となり、また組成傾斜層と第二窒化物半導体層35との障壁を顕著に低下させてキャリア注入効率がより向上させる。また、上部第二電極とリッジ部半導体層の側面との間に空洞を形成するためのリッジ部半導体層構造を、ウェットエッチングによって容易に形成することができる。
2.第二実施形態
以下、第二実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオード2について、図5及び図6を用いて説明する。窒化物半導体レーザダイオード2は、窒化物半導体レーザダイオード1と同様の紫外光を発光可能なレーザダイオードである。
(2.1)窒化物半導体レーザダイオードの全体構成
図4に示すように、窒化物半導体レーザダイオード2は、基板10と、基板10上に設けられた第一窒化物半導体層31と、発光部32と、組成傾斜層34と、第二窒化物半導体層35とを備えており、窒化物半導体レーザダイオード1では、発光部32を構成する上部ガイド層323の一部と、組成傾斜層34と、第二窒化物半導体層35とによってリッジ部半導体層30が形成されている。図2に示すように、リッジ部半導体層30は、窒化物半導体レーザダイオード1と同様に、断面視で、基板10に近い領域が順テーパ形状となっており、基板10から遠い領域が逆テーパ形状となっている。また、窒化物半導体レーザダイオード1は、上部第二電極52Bが、リッジ部半導体層30の側面30Aを、空洞60のみを介して覆っている。そして、窒化物半導体レーザダイオード2は、リッジ部半導体層30周辺において、リッジ部半導体層30の側面30Aを覆っておらず、上部ガイド層323の上面のみを覆うように設けられたシリコン酸化膜140を備えている。
すなわち、窒化物半導体レーザダイオード2は、リッジ部半導体層30の側面30Aがシリコン酸化膜40で覆われていない点で、第一実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオード1と相違する。
被覆膜は、リッジ部半導体層30の側面30Aを、空洞60のみを介して覆っていることも好ましい。これは、特に高効率のレーザダイオードを実現する際に屈折率の低い空気を直接リッジ部半導体層30の側面30Aへ隣接させることで、上述した光閉じ込めの効果を最大とし、高効率化を実現することができるためである。
以下、リッジ部半導体層30の側面30Aがシリコン酸化膜で覆われていない窒化物半導体レーザダイオード2の製造方法について説明する。なお、窒化物半導体レーザダイオード2の各部は、窒化物半導体レーザダイオード1の各部と同様の構成であるため、説明を省略する。
(2.2)窒化物半導体レーザダイオードの製造方法
まず、窒化物半導体レーザダイオード1と同様の方法(図4Aから図4D参照)により、リッジ部半導体層30を形成する。
続いて、ドライエッチング後に残存した上部ガイド層323の上面及びエッチングマスク100の上面に、電子ビーム蒸着によりシリコン酸化膜40Aを形成する。このとき、電子ビーム蒸着は材料の直進性が高いことから、リッジ部半導体層30の上方から基板10に向けて電子ビーム蒸着を行うことによりリッジ部半導体層30の側面30Aを露出させたまま上部ガイド層323の上面及びエッチングマスク100の上面にシリコン酸化膜40Aを形成する。
この後、シリコン酸化膜40Aが形成された領域を、エッチングマスク100を構成する金属を溶解する溶液(例えば硝酸)により処理することにより、エッチングマスク100を溶解する。これにより、エッチングマスク100及びエッチングマスク100上に成膜されたシリコン酸化膜40Aが除去され、リッジ部半導体層30の上面30Bが露出する。
このようにして、リッジ部半導体層30の側面30Aを、空洞60のみを介して覆うように上部第二電極52Bが形成された窒化物半導体レーザダイオード2が得られる。窒化物半導体レーザダイオード2は、リッジ部半導体層30周辺において、リッジ部半導体層30の側面30Aを覆っておらず、上部ガイド層323の上面を覆うように設けられたシリコン酸化膜140を備えている。
(2.3)第二実施形態の効果
第二実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードは、以下の効果を有する。
(1)本実施形態に係る窒化物半導体レーザダイオードでは、上部第二電極が、リッジ部半導体層の側面を空洞のみを介して覆っている。すなわち、上部第二電極とリッジ部半導体層の側面との間には、屈折率の低い空気の層である空洞のみが存在する。
これにより、上部第二電極とリッジ部半導体層の側面との間にシリコン酸化膜が存在する場合と比較して、リッジ部半導体層側面での光閉じ込め効果をより向上させ、窒化物半導体レーザダイオードの発光効率を向上させることができる。
本開示の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本開示が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本開示の範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
1,2 窒化物半導体レーザダイオード
10 基板
20 バッファ層
30 リッジ部半導体層
31,31A 第一窒化物半導体層
32 発光部
321,321A 下部ガイド層
322,322A 窒化物半導体活性層
323,323A,323B 上部ガイド層
33,33A,33B 電子ブロック層
34,34A,34B 組成傾斜層
341,341B 第一組成傾斜領域
342,342B 第二組成傾斜領域
35,35A,35B 第二窒化物半導体層
36 上部AlGaN層
40,40A,40B シリコン酸化膜
51 第一電極
51A 下部第一電極
51B 上部第一電極
52 第二電極
52A 下部第二電極
52B 上部第二電極
60 空洞
100 エッチングマスク
300,301,302 半導体積層部
C1,C2 亀裂

Claims (20)

  1. 基板と、
    前記基板の上方に設けられ、第一導電型のAlGaNで形成された第一窒化物半導体層と、
    前記第一窒化物半導体層の上方に形成されたAlGaNで形成された活性層と、
    前記活性層上に形成された上部AlGaN層と、
    を備え、
    前記上部AlGaN層の一部又は全てによってリッジ部半導体層が形成されており、
    前記リッジ部半導体層は、断面視で、前記基板に近い領域が前記基板に向かって徐々に広い幅となる順テーパ形状であり、前記基板から遠い領域が前記基板に向かって徐々に狭い幅となる逆テーパ形状である
    窒化物半導体レーザダイオード。
  2. 前記上部AlGaN層は、前記上部AlGaN層内の前記活性層側に、前記活性層よりもAl組成比が高い上部ガイド層と、前記上部ガイド層の上方に設けられた前記上部ガイド層以外の前記上部AlGaN層と、を有しており、
    前記リッジ部半導体層の前記順テーパ形状の領域は、前記上部ガイド層と前記上部ガイド層以外の前記上部AlGaN層の下部領域の少なくとも一方または両方で形成されており、前記逆テーパ形状の領域は、前記順テーパ形状の領域以外の前記上部AlGaN層で形成される前記請求項1に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  3. 前記リッジ部半導体層の前記順テーパ形状の領域は、前記上部ガイド層と前記上部ガイド層以外の前記上部AlGaN層の下部領域との両方で形成されており、前記逆テーパ形状の領域は、前記上部ガイド層以外の前記上部AlGaN層の上部領域で形成されている請求項2に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  4. 前記上部AlGaN層は、前記活性層から離れる方向に向かってAl組成比が減少する組成傾斜層を含む
    請求項1から3のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  5. 前記リッジ部半導体層の前記順テーパ形状の領域の底面は、前記上部ガイド層中に位置する
    請求項2に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  6. 前記上部AlGaN層の側面方向に、被覆膜で覆われた空洞が形成されている請求項1から5のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  7. 前記上部AlGaN層と電気的に接続している第二電極を備え、
    前記被覆膜は、前記第二電極で構成されている
    請求項6に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  8. 前記第二電極は、前記リッジ部半導体層と接する下部第二電極と、前記下部第二電極上に配置された上部第二電極とを含み、
    前記被覆膜は、前記第二電極の前記上部第二電極で構成されている
    請求項7に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  9. 前記リッジ部半導体層の側面を覆うように設けられた絶縁体を備え、
    前記被覆膜は、前記リッジ部半導体層の側面を、前記絶縁体の側方に形成された前記空洞を介して覆っている
    請求項6から8のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  10. 前記被覆膜は、前記リッジ部半導体層の側面を、前記空洞のみを介して覆っている
    請求項6から8のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  11. 前記被覆膜は、前記被覆膜の内表面から外表面に貫通する貫通経路を有している
    請求項6から9のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオード。
  12. 基板上に、第一導電型のAlGaNで形成された第一窒化物半導体層と、AlGaN又はGaNで形成された活性層と、AlGaNで形成された上部AlGaN層とを順に形成して半導体積層部を形成し、
    前記上部AlGaN層の上面の一部をエッチングマスクで被覆した後、前記エッチングマスクで被覆されていない前記半導体積層部の前記上部AlGaN層の厚さ方向の一部又は全部をドライエッチングにより除去し、
    ドライエッチング後に残存した前記半導体積層部の前記上部AlGaN層の側面をウェットエッチングすることにより、前記上部AlGaN層の基板に近い領域が、断面視で前記基板に向かって広い幅となる順テーパ形状となり、かつ前記上部AlGaN層の前記基板から遠い領域が、断面視で前記基板に向かって狭い幅となる逆テーパ形状となるまでウェットエッチングを進行させた後にウェットエッチングを停止することでリッジ部半導体層を形成する
    窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  13. 前記上部AlGaN層を形成する際に、前記活性層から離れる方向に向かってAl組成比が減少する組成傾斜層を形成する
    請求項12に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  14. 前記上部AlGaN層を形成する際に、前記活性層の上層に上部ガイド層を形成し、
    前記上部ガイド層の厚さ方向の途中までドライエッチングを行った後にドライエッチングを終了する
    請求項12又は13に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  15. 前記基板に対して略垂直な方向から被覆物質を前記基板に垂直な方向に堆積させることで、前記リッジ部半導体層の側方を空洞を介して覆う被覆膜を形成する
    請求項12から14のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  16. 前記被覆物質として、電極材料となる金属を用いる
    請求項15に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  17. 前記被覆物質として、パッド電極材料となる金属を用いる
    請求項15又は16に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  18. 前記リッジ部半導体層の側面および前記エッチングマスクを覆うように絶縁体を成膜し、前記絶縁体を成膜した後に前記被覆膜を形成する
    請求項15から17のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  19. 前記被覆物質として、絶縁体を用いる
    請求項15から17のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
  20. 前記被覆膜を形成する際に、前記リッジ部半導体層の側方に前記被覆膜を形成した後、前記リッジ部半導体層の側方に形成された前記被覆膜よりも前記被覆物質が粗となる形成条件にて前記被覆膜を形成することで前記空洞を覆う
    請求項15から19のいずれか1項に記載の窒化物半導体レーザダイオードの製造方法。
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