JP2022137847A - マットフィルム及び印画物の製造方法 - Google Patents

マットフィルム及び印画物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マットフィルムの巻き取り時の蛇行を抑制する。【解決手段】マットフィルムは、少なくとも一方の面に凹凸が形成された第1基材と、前記第1基材の他方の面に設けられ、硬化剤を含む背面層と、を備える。前記第1基材の前記一方の面の表面粗さSaが0.3μm以上0.8μm以下である。前記第1基材の前記一方の面と、前記背面層との間の動摩擦係数が0.2以上である。前記第1基材と前記背面層との間に下引き層が設けられていてもよい。【選択図】図1

Description

本開示は、マットフィルム及び印画物の製造方法に関する。
透明性に優れ、中間色の再現性や階調性が高く、従来のフルカラー写真画像と同等の高品質画像が簡易に形成できるという理由から、昇華型熱転写方式により、熱転写画像を形成することが広く行われている。また、熱転写画像上に保護層を転写する際の熱エネルギーを調整し、保護層表面をマット調にして付加価値の高い印画物を提供することが知られている。
よりマット感の強い印画物の作製方法として、マットフィルムの型押しがある。マットフィルムは凹凸が大きいため、フィルムを巻き取ってロール状の製品にする際に、凹凸面(表面)と背面との摩擦が低くなり、蛇行し得るという問題があった。この問題は、マットフィルムを再利用するために巻き取る際にも生じていた。
特開2001-42108号公報
本開示は、巻き取り時の蛇行を抑制するマットフィルム、及びこのマットフィルムを用いた印画物の製造方法を提供することを課題とする。
本開示によるマットフィルムは、少なくとも一方の面に凹凸が形成された第1基材と、前記第1基材の他方の面に設けられ、硬化剤を含む背面層と、を備えるものである。
本開示による印画物の製造方法は、第2基材、前記第2基材上に設けられ、画像が形成された受容層、及び前記受容層を覆う樹脂層を有する積層体を準備する工程と、本開示の前記マットフィルムと前記積層体とを、前記マットフィルムの前記第1基材と、前記積層体の前記樹脂層とが対向するように重ね合わせ、前記マットフィルムの前記背面層側から加熱して、前記樹脂層の表面に凹凸を加工する工程と、凹凸加工後の前記マットフィルムを巻き取る工程と、を備えるものである。
本開示によれば、マットフィルムの巻き取り時の蛇行を抑制できる。
本発明の実施形態に係る熱転写プリンタの概略構成図である。 中間転写媒体の断面図である。 マットフィルムの断面図である。 印画物の断面図である。 印画物の断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る熱転写プリンタの概略構成図である。図1に示すように、熱転写プリンタは、熱転写シート20を用いて、中間転写媒体10に設けられた受容層14(図2参照)に画像を印画する印画部50と、中間転写媒体10の転写層T(図2参照)をカード基材40(被転写体)上に転写して積層体を作製する転写部60と、マットフィルム30を用いて積層体の表面にマット加工を施して印画物を作製するマット加工部80とを備える。
[中間転写媒体]
図2は中間転写媒体10の断面図である。中間転写媒体10は、支持体11と、支持体11の一方の面上に設けられた転写層Tとを備えている。転写層Tは、支持体11側から順に積層された剥離層12、接着層13及び受容層14を有する。受容層14は、中間転写媒体10の最表面に位置し、転写層Tを構成する層のうち支持体11から最も遠くに位置している。
支持体11の材料について特に限定はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルム等を挙げることができる。また、これらの材料を2種以上積層した複合フィルムも使用することができる。支持体11の厚さは、その強度および耐熱性等が適切になるように材料に応じて適宜選択することができるが、通常は3μm以上30μm以下の範囲であり、好ましくは4μm以上16μm以下の範囲である。
剥離層12は、転写層Tの転写性(剥離性)を向上させるためのものであり、転写層Tを構成する層のうち支持体11の最も近くに位置している。剥離層12の成分としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ-アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド-アミノ樹脂等を挙げることができる。剥離層12の厚みについて特に限定はないが、一例としては、0.5μm以上5μm以下の範囲である。
接着層13は、剥離層12と受容層14とを接着させるためのものである。接着層13の材料について特に限定はなく、中間転写媒体の分野で従来公知の接着層を適宜選択して用いることができる。例えば、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ブチラール樹脂、ポリアミド、塩化ビニル樹脂等を用いることができる。接着層13の厚みについて特に限定はないが、0.5μm以上10μm以下程度である。
受容層14の材料について特に限定はなく、中間転写媒体の分野で従来公知の受容層を適宜選択して用いることができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼ等のセルロース樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の溶剤系の樹脂を挙げることができる。また、受容層は、これらの成分の1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。カード基材40への転写性確保のため、融点が100℃以下の樹脂をメインに用いることが好ましい。
受容層の厚みについて特に限定はないが、一例としては、1μm以上10μm以下の範囲である。
[熱転写シート]
熱転写シート20は、基材の一方の面上に、イエロー染料(Y)層、マゼンタ染料(M)層及びシアン染料(C)層が面順次に設けられている。染料層に加えて、ブラック(BK)の溶融層26等の他の色材層がさらに設けられていてもよい。
熱転写シートの基材について特に限定はなく、例えば、薄紙やプラスチックの延伸または未延伸フィルムを用いることができる。
染料層は、染料、及び染料を担持するためのバインダー樹脂を含有している。染料及びバインダー樹脂は、昇華型熱転写シートの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができる。
[マットフィルム]
図3はマットフィルム30の断面図である。マットフィルム30は、少なくとも一方の面に凹凸が形成された基材31(第1基材)と、基材31の他方の面に設けられた背面層33とを備える。基材31の他方の面は、凹凸が片面にのみ形成されている場合は、凹凸が形成されていない面であり、両面に凹凸が形成されている場合はいずれか一方の面である。基材31と背面層33との間に下引き層32が設けられていてもよい。
基材31は、少なくとも一方の面に凹凸が形成されたフィルムであり、フィルムの材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体、テレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンナフタレートの共押出しフィルムなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン610などのポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどのビニル樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル樹脂、ポリアリレート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアラミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルファイドなどのエンジニアリングプラスチック、ポリカーボネート、ABS樹脂などのスチレン樹脂が挙げられる。
上記のプラスチックフィルムの少なくとも一方の面に凹凸を形成する方法は限定されないが、例えば、原料フィルムを溶融押出ししてエンボス加工することで凹凸を形成できる。また、原料フィルムの少なくとも表層に粒子(例えば不活性粒子、無機粒子)を添加して延伸し、表面に突起を形成する方法や、平滑なフィルム表面に微粒子を含む液をコーティングして粗面化する方法を用いることもできる。
凹凸が形成された基材31のマット面は、表面粗さSaが0.3以上0.8以下であることが好ましい。表面粗さをこの数値範囲内とすることにより、印画物の表面を所望のマット調に加工できる。
背面層33は、耐熱性樹脂及び硬化剤を含有する。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール、ポリエステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテート-ヒドロジエンフタレート、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
後述するように、マットフィルム30は、マット加工部80において、ヒートローラ83により背面層33側から加熱される。背面層33が耐熱性樹脂を含有するため、基材31へのダメージを抑制できる。
硬化剤としては、イソシアネート化合物が一般的であるが、脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、酸無水物等を使用することもできる。背面層における硬化剤の含有量は、25質量%以上75質量%以下が好ましい。硬化剤の含有量をこの数値範囲内とすることにより、マットフィルムを巻き取る際に、基材の凹凸面と背面層とに適度な摩擦力が生じ、蛇行せずに巻き取ることができる。基材の凹凸面と背面層との間の動摩擦係数は0.2以上0.5以下であることが好ましい。
背面層は、上述の耐熱性樹脂及び硬化剤を溶剤に加え、各成分を溶解又は分散させて背面層用塗工液を調製し、この背面層用塗工液を、基材に塗布し、乾燥することにより形成される。
背面層の厚さは、0.3μm以上5μm以下が好ましく、0.5μm以上2μm以下がさらに好ましい。
下引き層32(プライマー層)は、例えば、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール、セルロース樹脂などを用いて形成することができる
次に、図1に示す熱転写プリンタを用いた印画物の製造方法について説明する。
熱転写プリンタの供給部70には、中間転写媒体10をロール状に巻き取った巻取が装填される。供給部70は、中間転写媒体10の巻取を回転させ、中間転写媒体10を長尺帯状で印画部50及び転写部60へ順に搬送する。
印画部50は、サーマルヘッド53と、サーマルヘッド53の下方側に設けられた回転駆動自在なプラテンロール54と、サーマルヘッド53をプラテンロール54に対して昇降自在とさせる昇降手段(図示略)を有する。供給部70から供給された中間転写媒体10は、サーマルヘッド53とプラテンロール54との間を通過するようになっている。
また、印画部50では、熱転写シート20が、供給ロール51側からガイドロール55を経由して、サーマルヘッド53とプラテンロール54との間を通り、ガイドロール56を経由して、巻取りロール52に巻き取られるようになっている。サーマルヘッド53とプラテンロール54との間において、熱転写シート20の染料層と、中間転写媒体10の受容層14とが対向するようになっている。
サーマルヘッド53は、熱転写シート20の基材側から染料層を加熱し、中間転写媒体10の受容層14に染料を移行して、画像を形成する。
印画部50において受容層14に画像が形成された中間転写媒体10は、ガイドロール72を経由して転写部60へ搬送される。
転写部60は、ヒートローラ61と、ヒートローラ61の下方に設けられた加圧ロール62とを備える。図4に示すように、転写部60は、被転写体供給部42から供給されたカード基材40へ、中間転写媒体10の転写層Tを転写し、積層体を作製する。積層体は、カード基材40(第2基材)と、カード基材40上にカード基材40側から順に積層された受容層14、接着層13及び剥離層12(樹脂層)とを備える。
被転写体供給部42は、中間転写媒体10の搬送に合わせて枚葉状のカード基材40を1枚ずつ繰り出す繰り出し装置、及び繰り出したカード基材40を搬送するコンベア装置等を有する。
転写部60は、ヒートローラ61と加圧ロール62との間で、画像が形成された中間転写媒体10の受容層14を、カード基材40へ重ね合わせて加熱する。転写層Tがカード基材40に転写され、カード基材40に画像が形成される。転写層Tを転写した後の中間転写媒体10は、巻取りロール71に巻き取られる。
画像形成されたカード基材40(積層体)は、マット加工部80へ搬送される。
マット加工部80は、マットフィルム30をロール状に巻き取ったマットフィルムロールが装填され、マットフィルム30を供給する供給部81と、マット加工に使用されたマットフィルム30を巻き取って回収する回収部82と、ヒートローラ83と、ヒートローラ83の下方に設けられた加圧ロール84とを備える。
マット加工部80は、ヒートローラ83と加圧ロール84との間で、マットフィルム30の基材31の凹凸面と、カード基材40上の転写層T(剥離層12)とが対向するように、マットフィルム30とカード基材40とを重ね合わせて加熱押圧する。これにより、図5に示すように、転写層T(剥離層12)の表面に凹凸が形成され、マット調の印画物が得られる。
マット加工が施された印画物は、排出部44へ搬送され、1枚ずつ集積される。
マットフィルム30の背面層33が耐熱性樹脂及び硬化剤を含有するため、マット加工に使用されたマットフィルム30が回収部82に巻き取られる際の蛇行を抑制できる。また、加熱によるマットフィルム30の基材31へのダメージが抑制される。そのため、回収部82で巻き取って回収したマットフィルム30の再利用が可能となる。
上記実施形態では、中間転写媒体を用いて作製した印画物の表面にマット加工を施す例について説明したが、ダイレクト方式で画像を印画した印画物の表面にマット加工を施してもよい。例えば、基材上に設けられた受容層に、熱転写シート20から染料を移行して画像を形成する。画像が形成された受容層上に保護層を転写し、マットフィルム30を用いて、この保護層に凹凸を形成し、マット処理を施す。
次に実施例を挙げて、本開示をさらに詳細に説明するが、本開示は、これら実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、部又は%は質量基準である。
実施例1
基材として、表面(両面)が、凹凸が形成されたマット面になっている、厚さ19μmのPETフィルム(Melinex(登録商標) D384、デュポン社、マット面の表面粗さSa:0.4μm)を準備し、このPETフィルムの他方の面に下記組成の背面層用塗工液1を塗布、乾燥し、厚さ0.5μmの背面層を形成し、実施例1のマットフィルムを作製した。
<背面層用塗工液1>
・ポリビニルアセタール 9部
(エスレック(登録商標)KS-1、積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 12部
(バーノック(登録商標)D750、DIC(株))
・メチルエチルケトン 79部
実施例2
背面層用塗工液1に代えて下記組成の背面層用塗工液2を用いて厚さ0.5μmの背面層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例2のマットフィルムを作製した。
<背面層用塗工液2>
・ポリビニルブチラール 3.5部
(エスレック(登録商標)BX-1、積水化学工業(株))
・ポリイソシアネート 23.5部
(バーノック(登録商標)D750、DIC(株))
・メチルエチルケトン 73部
実施例3
背面層用塗工液1に代えて下記組成の背面層用塗工液3を用いて厚さ0.5μmの背面層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例3のマットフィルムを作製した。
<背面層用塗工液3>
・アクリルポリオール(A-814、DIC(株)) 22部
・ポリイソシアネート 5部
(タケネート(登録商標)D-100N、三井化学(株))
・メチルエチルケトン 73部
実施例4
背面層用塗工液1に代えて下記組成の背面層用塗工液4を用いて厚さ0.5μmの背面層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例4のマットフィルムを作製した。
<背面層用塗工液4>
・ポリエステル(エリーテル(登録商標)UE-9900、ユニチカ(株)) 22部
・ポリイソシアネート 5部
(タケネート(登録商標)D-100N、三井化学(株))
・メチルエチルケトン 73部
実施例5
背面層の形成前に、PETフィルムの他方の面に下記組成の下引き層用塗工液を塗布、乾燥し、厚さ0.1μmの下引き層を形成し、下引き層上に背面層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例5のマットフィルムを作製した。
<下引き層用塗工液>
・ポリエステル(バイロナール(登録商標)MD-1500、東洋紡(株)) 5部
・イソプロピルアルコール 60部
・水 35部
実施例6
背面層の厚みを0.2μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例6のマットフィルムを作製した。
実施例7
背面層の厚みを0.05μmとした以外は実施例1と同様にして、実施例7のマットフィルムを作製した。
実施例8
基材を厚さ23μmのPETフィルム(Melinex(登録商標) 378-23μ、デュポン社、マット面の表面粗さSa:0.75μm)とした以外は実施例1と同様にして、実施例8のマットフィルムを作製した。
比較例1
背面層を形成せず、実施例1の基材を比較例1のマットフィルムとした。
比較例2
背面層用塗工液1に代えて下記組成の背面層用塗工液5を用いて厚さ0.5μmの背面層を形成した以外は実施例1と同様にして、比較例2のマットフィルムを作製した。
<背面層用塗工液5>
・ポリビニルアセタール 12部
(エスレック(登録商標)KS-1、積水化学工業(株))
・メチルエチルケトン 88部
比較例3
基材を厚さ12μmのPETフィルム(PTH-12、ユニチカ(株)、表面粗さSa:0.22μm)とした以外は実施例1と同様にして、比較例3のマットフィルムを作製した。
比較例4
基材を厚さ12μmのPETフィルム(ルミラー(登録商標)12F65K、東レ(株)、表面粗さSa:0.079μm)とした以外は実施例1と同様にして、比較例4のマットフィルムを作製した。
<<動摩擦係数測定>>
各実施例、比較例で得られたマットフィルムについて、基材のマット面と、背面層とを対向させて、摩擦測定器(HEIDONトライボギア TYPE:40、新東科学(株))を用いて、荷重1.98N、引張速度0.2m/分の条件で動摩擦係数を測定した。比較例1については、基材の一方の面と他方の面とを対向させた。結果を表1に示す。
<印画物の作製>
カードプリンタ(HDP-5000プリンタ、HID社)を用いて、PVCカード上に125/255諧調のグレー均一画像を形成した。画像形成時の転写条件はデフォルトとした。画像が形成されたPVCカードに対し、各実施例、比較例で得られたマットフィルムをセットした型押し機(HDP-5000ラミネータ、HID社)でマット加工を施した。マット加工の条件はデフォルトとした。
<<巻き上げ性評価>>
型押し機の巻取部がマット加工後のマットフィルムを巻き上げる様子を目視により観察し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
A:蛇行なく巻き上げられ、マットフィルムは再利用可能である。
B:わずかに蛇行は見られるが、マットフィルムの再利用は問題ない。
C:蛇行するため、マットフィルムは再利用できない。
<<耐久性評価>>
各実施例、比較例で得られたマットフィルムについて、それぞれ複数回のマット加工を行い、マット加工を行う毎にマットフィルムの基材の状態を目視により観察し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
A:3回以上マット加工を行っても、基材へのダメージはなかった。
B:3回マット加工を行うと、基材へのダメージが確認された。
C:2回以下のマット加工で、基材へのダメージが確認された。
<<意匠性評価>>
マット加工後の印画物の外観を目視により観察し、下記評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1に示す。
(評価基準)
A:全ての角度から画像が認識でき、落ち着いた風合いであった。
B:角度によって照明光が正反射し、画像が認識し難かった。
Figure 2022137847000002
10 中間転写媒体
20 熱転写シート
30 マットフィルム
31 基材
32 下引き層
33 背面層
40 カード基材

Claims (4)

  1. 少なくとも一方の面に凹凸が形成された第1基材と、
    前記第1基材の他方の面に設けられ、硬化剤を含む背面層と、
    を備え、
    前記第1基材の前記一方の面の表面粗さSaが0.3μm以上0.8μm以下であるマットフィルム。
  2. 前記第1基材の前記一方の面と、前記背面層との間の動摩擦係数が0.2以上である、請求項1に記載のマットフィルム。
  3. 前記第1基材と前記背面層との間に下引き層が設けられている、請求項1又は2に記載のマットフィルム。
  4. 第2基材、前記第2基材上に設けられ、画像が形成された受容層、及び前記受容層を覆う樹脂層を有する積層体を準備する工程と、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の前記マットフィルムと前記積層体とを、前記マットフィルムの前記第1基材と、前記積層体の前記樹脂層とが対向するように重ね合わせ、前記マットフィルムの前記背面層側から加熱して、前記樹脂層の表面に凹凸を加工する工程と、
    凹凸加工後の前記マットフィルムを巻き取る工程と、
    を備える印画物の製造方法。
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