JP2022136643A - 導体の接合構造および導体の超音波接合方法 - Google Patents

導体の接合構造および導体の超音波接合方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022136643000001
【課題】 バリの発生を抑制して導体同士を超音波接合することが可能な導体の接合構造および導体の超音波接合方法を提供する。
【解決手段】 接合構造10は、複数の電線の導体同士が超音波接合されたものである。導体は、相対的に変形しにくい導体と、相対的に変形しやすい導体とが混在する。すなわち、互いに異なる材質の導体からなる2種以上の電線が混在する。複数の導体を集合させて接合部を形成する際に、少なくとも金型の合わせ部に対応する位置に配置されている電線の導体が、他の部位の少なくとも一部に配置される電線の導体と比較して変形しにくい材質である。
【選択図】図3

Description

本発明は、複数の電線の導体同士が超音波接合された導体の接合構造及び導体の超音波接合方法に関するものである。
自動車等に用いられるワイヤハーネスは、複数本の電線が接合されて用いられる。このような電線同士の接合としては、例えば、複数の電線のそれぞれの絶縁被覆を皮剥ぎして芯線を露出し、各芯線の先端を揃えた状態にして重ね合わせ、この状態で、芯線を挟み込むようにして超音波接合等で芯線同士を接合する方法がある(例えば特許文献1)。
国際公開公報2019/225492
図5(a)は、一般的な超音波接合装置100を示す概略図である。超音波接合装置100は、主に、ホーン105、アンビル107、ギャザー109等から構成される。アンビル107と対向して配置されるホーン105は、図示を省略した振動源に接続される。
複数の導体111は、アンビル107とホーン105の間に配置される。また、複数の導体111の両側方には、ギャザー109が配置される。なお、導体111は、例えば、複数の素線が撚り合わせられて構成される。
次に、図5(b)に示すように、アンビル107上に導体111が配置された状態で、ギャザー109で導体111の両側方を挟み込み、上方からホーン105を降下させて導体111を挟み込む。この状態で、ホーン105によって上方から導体111を押圧しながら(図中矢印X)、ホーン105から導体111同士に超音波振動を加えることで、導体111同士が接合され、接合部113が形成される。
しかし、ホーン105及びギャザー109は、可動であるため、ホーン105とギャザー109、ギャザー109とアンビル107の互いのクリアランスを完全に0にすることは困難である。図6は、図5(b)のY部拡大概念図である。図示したように、例えば、ホーン105とギャザー109との間には、所定のクリアランス115が形成される。一方、前述したように、超音波接合の際には、導体を圧縮するため、導体が変形する。したがって、このクリアランス115に導体の一部が入り込み、いわゆるバリの要因となる。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、バリの発生を抑制して導体同士を超音波接合することが可能な導体の接合構造および導体の超音波接合方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、複数の電線の導体同士が超音波接合された導体の接合構造であって、互いに異なる材質の導体からなる2種以上の前記電線が混在しており、複数の導体を集合させて接合された接合部において、少なくとも、金型の合わせ部に対応する位置に配置されている前記電線の導体が、他の部位の少なくとも一部に配置される前記電線の導体と比較して変形しにくい材質であることを特徴とする導体の接合構造である。
前記接合部は、前記電線の軸方向に垂直な断面が略矩形であり、前記接合部の少なくとも四隅に位置する導体が、他の部位の少なくとも一部の導体よりも変形しにくくてもよい。
前記接合部の外周部に位置する導体が、内部に位置する少なくとも一部の導体よりも変形しにくくてもよい。
相対的に変形しにくい導体は、銅が主成分の導体であり、相対的に変形しやすい導体は、アルミニウムが主成分の導体からなっていてもよい。
第1の発明によれば、金型の合わせ部に対応する部位に、相対的に変形しにくい導体を配置することで、超音波接合の際に、金型同士のクリアランスに導体の一部が入り込みにくい。このため、バリの発生を抑制することができる。
例えば、略矩形断面の接合部であれば、金型の合わせ部が概ね四隅近傍となるため、少なくとも、この部位の相対的に変形しにくい導体を配置して導体の集合体を形成することで、バリの発生を抑制することができる。
また、接合部の外周の全周にわたって、相対的に変形しにくい導体を配置しておくことで、より確実にバリの発生を抑制することができる。
また、特にアルミニウムが主成分の導体と銅が主成分の導体を集合させる場合には、銅を主成分とした導体が相対的に変形しにくい。このため、アルミニウムが主成分の導体と銅が主成分の導体を集合させる場合に、より確実に効果を得ることができる。
第2の発明は、複数の電線の導体同士の超音波接合方法であって、アンビルと、前記アンビルと対向配置されるホーンと、前記アンビルと前記ホーンとの対向方向と直交する方向に対向する一対のギャザーとを用い、複数の導体を集合させた集合体を、前記アンビル、前記ホーン及び前記ギャザーとで挟み込み、加圧しながら振動を与える際に、前記アンビルと前記ギャザーとの合わせ部に配置される導体と、前記ホーンと前記ギャザーとの合わせ部に配置される導体とが、他の部位に配置される少なくとも一部の導体よりも変形しにくい材質からなることを特徴とする導体の超音波接合方法である。
第2の発明によれば、金型の合わせ部に対応する部位に、相対的に変形しにくい導体を配置することで、金型同士のクリアランスに導体の一部が入り込みにくく、バリの発生を抑制することができる。
本発明によれば、バリの発生を抑制して導体同士を超音波接合することが可能な導体の接合構造および導体の超音波接合方法を提供することができる。
接合構造10を示す図。 導体15a、15bの接合方法を示す図。 導体15a、15bが接合された状態を示す図。 導体15a、15bの他の配置を示す図。 (a)、(b)は、従来の導体111の接合方法を示す図。 従来の接合部113を示す概念図。
以下、図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、接合構造10を示す概略図である。接合構造10は、複数の電線17の導体15同士が超音波接合されたものである。電線17は、導体15の外周が絶縁被覆で被覆されて構成される。電線17の端部は、所定の範囲の絶縁被覆が除去され、内部の導体15が露出する。
導体15は、例えば、複数の素線が撚り合わせられて構成される。なお、導体15は単線であってもよい。また、詳細は後述するが、導体15は、相対的に変形しにくい導体と、相対的に変形しやすい導体とが混在する。すなわち、互いに異なる材質の導体からなる2種以上の電線17が混在する。
複数の電線17のそれぞれの導体15が、同一方向に向けて配列され、導体15の先端部において、各導体15が互いに超音波接合された接合部13が形成される。すなわち、接合部13において、導体15は一体化される。なお、電線17の方向は、必ずしも全てが同一方向でなくてもよいが、少なくとも一部の電線17が同一方向に向けて配置されることが望ましい。
次に、超音波接合装置を用いた複数の電線17の導体15同士の超音波接合方法について説明する。図2は、導体同士を超音波接合によって形成するための超音波接合装置1を示す図である。超音波接合装置1は、アンビル7と、アンビル7と対向配置されるホーン5と、アンビル7とホーン5との対向方向と直交する方向に対向する一対のギャザー9とを有する。なお、ホーン5に振動を与える振動源は図示を省略する。
本実施形態では、複数の電線17は、相対的に変形しにくい導体15aからなる電線17と、相対的に変形しやすい導体15bからなる電線17とからなる。なお、変形しにくい材質は、例えば相対的に弾性率が高い材質や、硬度が高い材質や、引張強度が大きい材質である。すなわち、超音波接合時において、同一の圧縮力を受けた際に、変形量が小さい材質である。
このように、互いに変形しやすさに違いのある導体15a、15bとしては、例えば、相対的に変形しにくい導体15aが、銅が主成分の導体であり、相対的に変形しやすい導体15bが、アルミニウムが主成分の導体の場合である。
また、導体15a、15bが同じ材料系であっても、例えば、相対的に変形しにくい導体15aが、銅合金であり、相対的に変形しやすい導体15bが、純銅であってもよく、同様に、相対的に変形しにくい導体15aが、アルミニウム合金であり、相対的に変形しやすい導体15bが、純アルミニウムであってもよい。さらに、添加剤等によって変形のしやすさが変わる場合には、例えば、相対的に変形しにくい導体15aとして、相対的に添加剤の量を増やしてもよい。
超音波接合を行うためには、まず、複数の電線17の導体15a、15bを集合させた集合体を、上下方向に対向するアンビル7とホーン5との間に配置する。また、導体15a、15bの集合体の両側にはギャザー9が配置される。すなわち、導体15a、15bの集合体は、上下方向をアンビル7とホーン5とで挟まれ、幅方向を一対のギャザー9で挟まれる。
この際、接合部13の外周側には導体15aが配置され、導体15aで囲まれるように内部側に導体15bが配置される。すなわち、アンビル7とギャザー9との合わせ部と、ホーン5とギャザー9との合わせ部には、相対的に変形しにくい導体15aが配置される。また、相対的に変形しやすい導体15bは、アンビル7とギャザー9との合わせ部と、ホーン5とギャザー9との合わせ部には配置されず、他の部位に配置される。このように、アンビル7とギャザー9との合わせ部に配置される導体15aと、ホーン5とギャザー9との合わせ部に配置される導体15aとが、他の部位に配置される少なくとも一部の導体15bよりも変形しにくい材質からなる。
なお、以下の説明において、アンビル7とギャザー9との合わせ部と、ホーン5とギャザー9との合わせ部を合わせて、単に金型の合わせ部という場合がある。すなわち、金型の合わせ部に対応する部位には、相対的に変形しにくい導体15aが位置するようにあらかじめ集合体を形成する。
次に、図3に示すように、集合体の幅方向をギャザー9で挟み込んで規制した状態で、上下方向からアンビル7とホーン5とで集合体を挟んで一括して加圧しながら(図中矢印A方向)、ホーン5から集合体に超音波振動を与える。以上により、複数の導体15a、15bを集合させて接合された接合部13を形成することができる。
このように、複数の導体15a、15bを集合させて接合部13を形成する際に、少なくとも金型の合わせ部に対応する位置に配置されている電線の導体15aが、他の部位の少なくとも一部に配置される電線の導体15bと比較して変形しにくい材質である。このため、超音波接合後の接合部13の外周部の全周に、相対的に変形しにくい導体15aを配置することで、相対的に変形しやすい導体15bが金型と接触することがなく、導体15bが金型の合わせ部に配置されることを抑制することができる。
なお、金型の合わせ部には金型の合わせ部跡が形成される。したがって、接合部13から、どの部位が金型の合わせ部かを把握することができる。また、接合部13の端面を観察すると、導体15同士の境界を把握することができる。このため、接合部13を確認することで、少なくとも、金型の合わせ部に対応する位置に配置されている導体と、他の部位に配置されている導体を区別することができる。
なお、例えば、図示したように、電線の軸方向に垂直な方向の接合部13の断面が略矩形である場合には、金型の合わせ部は、接合部13の四隅に位置する場合が多い。このため、この場合には、接合部13の少なくとも四隅に位置する導体15aが、他の部位の少なくとも一部の導体15bよりも変形しにくいことが望ましい。
なお、接合部13の断面が略矩形の場合には、図4に示すように、四隅にのみ導体15aを配置すれば、他の部位は、導体15bと導体15aとが混在していてもよい。すなわち、接合部13の外周部の全体を導体15aで構成しなくてもよい。例えば、金型の合わせ部に配置された導体15aに隣接するように、接合部13の外周部の位置に、相対的に変形しやすい導体15bが配置されてもよい。
以上、本実施の形態によれば、導体15の集合体を形成する際に、接合部13の外周部に位置する導体15aが、内部に位置する少なくとも一部の導体15bよりも変形しにくい。このように、金型の合わせ部に対応する部位に、予め相対的に変形しにくい導体15aを配置しておくことで、金型同士のクリアランスに導体15の一部が入り込むことを抑制することができる。このため、バリの発生を抑制することができる。
なお、上述した説明では、材質の異なる2種類の導体15a、15bを集合させて接合部13を形成した例を説明したが、3種類以上の材質からなる導体を混在させてもよい。この場合には、少なくとも、最も変形しやすい導体が、金型の合わせ部に位置しないように集合体を形成する。
例えば、3種類の材質の異なる導体を集合させる際には、2番目に変形しにくい導体を金型の合わせ部に配置すればよく、より望ましくは、最も変形しにくい導体を、金型の合わせ部に配置すればよい。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、電線の本数や配置は、導体を構成する素線数などは図示した例には限られない。なお、電線は2本以上であれば適用可能であるが、3本以上の場合に特に有効である。
1………超音波接合装置
5………ホーン
7………アンビル
9………ギャザー
10………接合構造
13………接合部
15、15a、15b………導体
17………電線
100………超音波接合装置
105………ホーン
107………アンビル
109………ギャザー
111………導体
113………接合部
115………クリアランス

Claims (5)

  1. 複数の電線の導体同士が超音波接合された導体の接合構造であって、
    互いに異なる材質の導体からなる2種以上の前記電線が混在しており、
    複数の導体を集合させて接合された接合部において、少なくとも、金型の合わせ部に対応する位置に配置されている前記電線の導体が、他の部位の少なくとも一部に配置される前記電線の導体と比較して変形しにくい材質であることを特徴とする導体の接合構造。
  2. 前記接合部は、前記電線の軸方向に垂直な断面が略矩形であり、前記接合部の少なくとも四隅に位置する導体が、他の部位の少なくとも一部の導体よりも変形しにくいことを特徴とする請求項1記載の導体の接合構造。
  3. 前記接合部の外周部に位置する導体が、内部に位置する少なくとも一部の導体よりも変形しにくいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導体の接合構造。
  4. 相対的に変形しにくい導体は、銅が主成分の導体であり、相対的に変形しやすい導体は、アルミニウムが主成分の導体からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の導体の接合構造。
  5. 複数の電線の導体同士の超音波接合方法であって、
    アンビルと、前記アンビルと対向配置されるホーンと、前記アンビルと前記ホーンとの対向方向と直交する方向に対向する一対のギャザーとを用い、
    複数の導体を集合させた集合体を、前記アンビル、前記ホーン及び前記ギャザーとで挟み込み、加圧しながら振動を与える際に、前記アンビルと前記ギャザーとの合わせ部に配置される導体と、前記ホーンと前記ギャザーとの合わせ部に配置される導体とが、他の部位に配置される少なくとも一部の導体よりも変形しにくい材質からなることを特徴とする導体の超音波接合方法。
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