本開示の他の特徴によると載置部は、テーブル回転支軸と平行な支軸を中心に回転可能にテーブル突出部に取付けられる。支軸は、テーブル回転支軸から最遠部までの距離よりも外方に位置する。したがって載置部とベースが互いに邪魔しないようにターンテーブルを最大回転角度まで回転させることができる。しかもターンテーブルを最大回転角度まで回転させる場合でも、載置部が被切断材を下方から支持できる。そのため被切断材の姿勢を安定させることができる。
本開示の他の特徴によると載置部は、ターンテーブルを最大回転角度まで回転させた際に支軸がベースの側端面よりもテーブル回転支軸から遠い場所に位置するようにテーブル突出部に装着されている。したがって、例えばターンテーブルを最大回転角度まで回転させて被切断材の斜め切りをする際、ベースの側端面よりも外方に突出する被切断材を載置部が下方から支持できる。そのため被切断材の姿勢を安定させた状態で斜め切りすることができる。
本開示の他の特徴によると載置部は、テーブル突出部と平行な格納位置と、テーブル突出部から回転方向に張出す張出位置との間で回転可能である。したがって載置部をテーブル突出部に対してコンパクトに格納できる。また、載置部を張出位置に移動させて使用する際には、広い面積で被切断材を下方から支持できる。
本開示の他の特徴によるとテーブル突出部には、載置部と隣接しかつ回転方向に突出する固定載置部が設けられる。したがって載置部と固定載置部を協働させて被切断材を安定した姿勢で載置できる。しかも固定載置部は、載置部と隣接させることにより載置部と協働させ易くなる。
本開示の他の特徴によると載置部は、下方に延出して設置面と当接可能な脚部を有する。したがって、例えば載置部が重い被切断材を支持する際に載置部が撓むことを抑制できる。そのため載置部が被切断材の重さによらず被切断材を安定した姿勢で支持できる。
本開示の他の特徴によると脚部は、ねじの締め込み量によって載置部の高さを調整可能な高さ調整機構を有する。したがって載置部の載置面(上面)の高さをターンテーブルの上面の高さに合わせることで、載置された被切断材Wの姿勢をさらに安定させることができる。
本開示の他の特徴によるとテーブル突出部には、載置部の上面である載置面よりも下方において載置面に沿って延出しかつ載置部を下方から支持可能な段差部が設けられる。したがって格納位置の載置部を段差部が下方から支持する。そのため載置部を格納位置で安定した状態で保持できる。
本開示の他の特徴によると段差部と載置部の両部材の1つは、両部材の他の1つに係合可能に上方または下方に突出する突出部を有する。したがって載置部が格納位置から張出位置へと不意に移動することを抑制できる。しかもシンプルな構造の突出部で載置部を格納位置に安定した状態で保持できる。
本開示の他の特徴によると載置部は、第1載置部と第2載置部を含む。第1載置部は、支軸を中心にして回転可能にテーブル突出部に取付けられる。第2載置部は、支軸と平行に延出する中間軸を中心にして回転可能に第1載置部に取付けられる。したがって第1載置部と第2可動載置それぞれを回転させることができる。そのため被切断材の姿勢が安定するように第1載置部と第2載置部の姿勢(向き)を調整できる。これによりテーブル突出部に対して張出す被切断材の張出形状の自由度を大きくできる。
本開示の他の特徴によると載置部は、第1載置部と第2載置部の連結部から下方に延出して設置面と当接可能な中間脚部を有する。したがって中間脚部を設置面に設置させることで第1載置部と第2載置部の姿勢をまとめて安定させることができる。また、中間脚部によって第1載置部と第2載置部の両方の高さを一度に調整できる。
本開示の第1実施形態を図1~7に基づいて説明する。本実施形態ではいわゆるスライドマルノコと称される卓上切断機1を例示する。図1に示すように卓上切断機1は、卓上や床上等に載置されるベース2と、被切断材を載置するためのターンテーブル4と、切断機本体10を有する。ターンテーブル4は、ベース2の上方に位置してベース2に支持されている。切断機本体10は、ターンテーブル4の上方に設けられている。切断機本体10には、チップソー(英語名:tipped saw blade)と称される略円盤状の刃具11が回転可能に支持されている。使用者は、卓上切断機1の手前に位置して切断作業を行う。以下の説明において部材及び構成の上下左右方向は使用者を基準にして規定する。部材及び構成の前後方向は使用者から見て手前を前側とする。
図1,4に示すようにターンテーブル4は、平面視で略円形状の円盤部8を有する。円盤部8の上面であるテーブル上面4aは、水平に設けられている。ターンテーブル4は、略円形状の円盤部8の中央を回転中心にして水平方向に回転可能である。ターンテーブル4の回転中心は、ベース2のテーブル回転支軸2aと同軸に位置する。テーブル回転支軸2aにおけるターンテーブル4の回転構造については後で詳しく説明する。
図1,4に示すようにベース2は、ターンテーブル4の左右両側に補助テーブル3を有する。補助テーブル3は、テーブル上面4aと同じ上面高さのベース側載置面3bを有する。補助テーブル3は、ベース2に対して固定されている。ベース2は、補助テーブル3の側端面3aを左右方向の端面として有している。ターンテーブル4は、刃具11の側面に沿って円盤部8の前部から延出するテーブル突出部5を有する。テーブル上面4aおよびテーブル突出部5の上面には、水平方向に延出する刃口板5aが設けられている。刃口板5aの中央には、刃具11の側面に沿って延びる切欠き状の溝孔5bが設けられている。
図1,2に示すように、テーブル突出部5の下部には、テーブル突出部5を下から支持するアジャストボルト53が設けられている。アジャストボルト53は、テーブル突出部5に支持されて、ねじ操作によって上下動可能である。アジャストボルト53を上下動させてアジャストボルト53の下端を床面と当接させる。これによりテーブル突出部5の高さを調整できる。また、テーブル突出部5の設置のガタツキを解消できる。
図1,4に示すように円盤部8と補助テーブル3の上方には、左右方向に延びかつ上方に延びる壁形状の位置決めフェンス6が設けられている。位置決めフェンス6は、左右の補助テーブル3の上面に支持されている。位置決めフェンス6は、前面に垂直に起立する位置決め面6aを有する。位置決め面6aは、ターンテーブル4の回転中心であるテーブル回転支軸2aを通る鉛直面上に位置している。テーブル上面4aに載置される被切断材Wは、位置決め面6aに当てられて前後方向に位置決めされる。
図1,4に示すようにベース2の前部の略半周の領域には、円弧形状のマイタスケールプレート7が設けられている。マイタスケールプレート7は、テーブル上面4aよりも下方において水平に延びるように設けられている。マイタスケールプレート7の上面には、ターンテーブル4のマイタ角度を示す目盛が刻まれている。マイタスケールプレート7は、径方向に延びる溝状の複数の位置決め凹部7bを有する。位置決め凹部7bは、マイタスケールプレート7の周方向に所定の角度間隔で設けられている。位置決め凹部7bには、後述する位置決めピン51aの先端部が進入可能である。マイタスケールプレート7は、固定ねじ7aによってベース2に固定されている。固定ねじ7aはベース2の長孔に挿入されている。固定ねじ7aを緩めてマイタスケールプレート7を左右方向に動かすことにより位置決めフェンス6と刃具11の角度を微調整できる。例えば位置決めピン51aが直角位置の位置決め凹部7bに挿入された状態で、刃具11と位置決めフェンス6の角度を精密に直角に調整できる。この調整は、主に製品の生産過程で行われる。
図1,4,5に示すように円盤部8の側面には、マイタスケールプレート7の目盛を指す目盛指示部4fが設けられている。目盛指示部4fは、平面視で略三角形状でありその先端を円盤部8の径方向外方に向けている。円盤部8およびテーブル突出部5のマイタ角度は、目盛指示部4fが指すマイタスケールプレート7の目盛で確認できる。例えば図4に示すようにマイタ角度が0°の場合は、刃具11の側面と位置決め面6aが直角で交差する。この場合、切断面と被切断材Wの側面が直交するいわゆる直角切りを行うことができる。例えば図5に示すようにマイタ角度が左方に向けて45°である場合、刃具11の側面と位置決め面の交差する角度は、90°から45°を差し引いた45°である。この場合切断面が被切断材Wの端面に対して傾斜したいわゆる斜め切りを行うことができる。
図1,4に示すように、ターンテーブル4の後方には、略上方に延びる本体支持アーム40が設けられている。本体支持アーム40は、前後方向に延びる左右傾動支軸40aを中心にして、ターンテーブル4のアーム支持部4bに対して左右方向に傾動可能に支持されている。本体支持アーム40の上部には、刃具11の側面と平行かつ水平線に沿って延びる長尺状のスライドバー41が設けられている。スライドバー41は、上下方向に2本併設されている。スライドバー41は、前後方向にスライド可能なスライドベース42を支持しているスライドベース42を前後方向にスライドさせることにより、刃具11がターンテーブル4に載置された前後方向に幅が広い被切断材Wを切断できる。切断機本体10は、左右方向に延びた上下揺動支軸10aを中心にしてスライドベース42に対して上下方向に揺動可能である。
図1に示すように刃具11は、上下揺動支軸10aよりも前方において切断機本体10に回転可能に取付けられている。刃具11は、左右方向に延出する不図示の出力軸に一体に取付けられている。切断機本体10を下方へ揺動させることで、ターンテーブル4に載置した被切断材W(図4参照)に刃具11を切り込ませることができる。
図1に示すように切断機本体10は、刃具11の周囲を覆う固定カバー12と可動カバー13を有する。固定カバー12は、刃具11の上側半周の範囲を覆っている。固定カバー12の左側部には、刃具11の回転方向を示す白抜きの矢印12aが表示されている。可動カバー13は、刃具11の下側半周の範囲を覆うことが可能である。可動カバー13は、切断機本体10の上下揺動に連動して回転し、刃具11の下側半周を開閉する。切断機本体10を上方に揺動させた場合、可動カバー13が閉じ方向(図1において時計回り方向)に回転する。これにより刃具11の下側半周範囲が覆われる。切断機本体10を下方に揺動させた場合、可動カバー13が開き方向(図1において反時計回り方向)に回転する。これにより刃具11の下側半周範囲が露出される。
図1に示すように切断機本体10は、固定カバー12と可動カバー13よりも右方かつスライドバー41よりも左方にモータハウジング20を有している。モータハウジング20は、電動モータ21を収容している。電動モータ21には、一例としてDCブラシレスモータと称されるモータが用いられている。電動モータ21の出力は、電動モータ21の左方すなわち電動モータ21と刃具11の間に減速ギヤ列を介して減速されながら出力軸に伝達される。そのため電動モータ21の駆動によって刃具11が回転する。
図1に示すように切断機本体10の後部には矩形箱形のコントローラハウジング22が設けられている。コントローラハウジング22は、コントローラ23を収容している。コントローラ23は、浅い略直方体のケースと、ケース内に収容されかつ樹脂モールドされた制御基板を有する。コントローラ23には、主として電動モータ21の動作制御を行うための制御回路、駆動回路、オートストップ回路等が搭載されている。
図1に示すようにコントローラハウジング22の後部には、バッテリ取付部25が設けられている。バッテリ取付部25の取付面は、切断機本体10が上死点に位置する際に後方を向きかつ上下方向に延びている。バッテリ取付部25は、略矩形箱形のバッテリパック26をスライドさせることで着脱可能である。バッテリパック26は、例えば出力電圧が36Vのリチウムイオンバッテリである。バッテリパック26は、バッテリ取付部25から取外して別途用意した充電器を利用して繰り返し充電できる。バッテリパック26は、ねじ締め機や電気ドリル等のその他の充電式電動工具との間で電源として使い回すことができる。
図1,6に示すように切断機本体10の前方上部には、ハンドル部30が設けられる。ハンドル部30は、固定カバー12と可動カバー13よりも右方に配置される。ハンドル部30は、刃具11の側面に沿って延びるループ形状の操作ハンドル31を有する。操作ハンドル31の内周側には、スイッチレバー32が設けられている。スイッチレバー32は、使用者が操作ハンドル31を把持した状態で指を掛けて引くことができる。スイッチレバー32を引くと電動モータ21が起動する。操作ハンドル31の上部にはロックオフボタン33が設けられている。ロックオフボタン33を押すことで、スイッチレバー32を引く操作が可能になる。これにより不意な電動モータ21の起動が回避される。
図1に示すようにハンドル部30は、操作ハンドル31の後方にキャリングハンドル34を有する。キャリングハンドル34は、一端が固定カバー12の左側部に連結され、他端がコントローラハウジング22の左側部に連結されてループ形状をなしている。キャリングハンドル34は、切断機本体10を下死点でロックした状態で使用者が卓上切断機1を持ち運びする際の把持部である。ハンドル部30の上部には、下方に向けて照明光を照射する照明具35が設けられている。照明具35は、刃具11による切断領域の周辺を明るく照らす。固定カバー12の内部には、下方に向けてレーザ光を照射するレーザ照射器36が設けられている。レーザ照射器36のレーザ光を被切断材W(図4参照)に描かれた墨線と位置を合わせる。これにより刃具11を被切断材Wに描かれた墨線に合わせて切り込ませることができる。
図1,2に示すようにテーブル突出部5の下部には、ターンテーブル固定機構45が設けられている。テーブル突出部5の前部には、グリップ部46が設けられている。グリップ部46は、使用者が把持して回転させやすいように周縁部に凹凸形状を有している。使用者は、グリップ部46を把持してターンテーブル4をベース2に対して水平方向に回転させることができる。グリップ部46からテーブル突出部5の内部後方に向けて固定ロッド47が延出している。固定ロッド47は、ねじ係合によってテーブル突出部5の内部で支持されている。グリップ部46を固定ロッド47の軸回りに回転させると、固定ロッド47が前後方向に変位する。
図2に示すようにベース2は、水平方向に延びる水平板部2bを備えている。固定ロッド47の後方には、挟み込み部材48が設けられている。挟み込み部材48は、左右側方から見て略L字形状である。挟み込み部材48は、略L字状の折れ曲がり部の近傍に左右方向に延びる回転軸48aを有している。挟み込み部材48は、回転軸48aを中心に回転可能にテーブル突出部5に支持されている。挟み込み部材48は、L字形状の一端で固定ロッド47の後端と当接し、L字形状の他端の挟み込み部48bで水平板部2bの下面と当接する。
図2に示す固定ロッド47が後方に変位して挟み込み部材48と当接する際、挟み込み部材48が回転軸48aを中心に回転する。挟み込み部48bが上方に変位してテーブル突出部5との間に水平板部2bを挟み込む。そのためテーブル突出部5と挟み込み部材48が、水平板部2bに対して左右方向に移動不能となる。そのためテーブル突出部5とターンテーブル4は、ベース2に対してロックされる。これによりターンテーブル4を所定のマイタ角度でロックできる。固定ロッド47を前方に変位させると、挟み込み部材48を後方に押す力が小さくなる(またはなくなる)。挟み込み部材48が回転軸48aを中心に回転して、挟み込み部48bが下方に変位する。そのため挟み込み部材48とテーブル突出部5による水平板部2bの挟み込みが解除される。
図2に示すようにテーブル突出部5の下部には、ポジティブロック機構50が設けられている。ポジティブロック機構50は、ロック解除レバー51(図1参照)と位置決めピン51aを有する。ロック解除レバー51は、テーブル突出部5の前部の左側部に設けられている。位置決めピン51aは、テーブル突出部5の内部後方に向けて延出している。位置決めピン51aは、マイタスケールプレート7と略同じ高さに設けられている。位置決めピン51aの後端は、後方に変位することで位置決め凹部7bに進入可能である。位置決めピン51aの後端は、前方に変位することで位置決め凹部7bとの係合を解除可能である。
図2に示す位置決めピン51aの前部は、ロック解除レバー51(図1参照)と連結されている。位置決めピン51aは、ロック解除レバー51の操作によって軸周りに回転する。位置決めピン51aの略中央には、位置決めピン51aの延出方向と直交して延びる係合ピン51bが設けられている。係合ピン51bは、テーブル突出部5と一体に設けられたピン支持部52の内部と当接している。ピン支持部52の内部には前後方向に向けて螺旋状に延びる不図示のリード面が設けられている。係合ピン51bは、リード面に沿って前後方向に変位可能である。位置決めピン51aは、圧縮ばね51cによって後方に向けて付勢されている。
ロック解除レバー51を下方に押すと、位置決めピン51aの回転によって係合ピン51bがリード面に沿って前方へ変位する。そのため位置決めピン51aは、圧縮ばね51cの付勢力に抗して前方に変位する。これにより位置決めピン51aの後端は、位置決め凹部7bとの係合が解除される。ロック解除レバー51を上方に引くと、係合ピン51bがリード面に沿って後方へ変位する。位置決めピン51aは、圧縮ばね51cの付勢力によって後方に変位する。位置決めピン51aの後端は、マイタスケールプレート7の外周縁に当接する。グリップ部46を把持してターンテーブル4を水平方向に回転させると、マイタスケールプレート7の外周縁に設けられた何れかの位置決め凹部7bに位置決めピン51aが進入する。かくしてターンテーブル4は、位置決め凹部7bに対応した所定のマイタ角度の位置で位置決めされる。
図3に示すように円盤部8の中央には、ターンテーブル4をベース2に対して水平方向に回転可能に支持するテーブル回転機構55が設けられている。ベース2とターンテーブル4は、テーブル回転支軸2aにおいて垂直に延出する六角ボルト56によって連結されている。ベース2の中央には、上下方向に延出するねじ孔2cが設けられている。円盤部8の中央には、透孔4cが設けられている。六角ボルト56は、透孔4cを貫通してねじ孔2cに締結される。六角ボルト56の先端(下端)には、緩み止めのための接着剤が塗布されている。
図3に示すように六角ボルト56の頭部とターンテーブル4の間には、ウレタンリング59とスラストニードルベアリング57と2つのフラットワッシャ58が介在される。ターンテーブル4は、透孔4cの上方に透孔4cよりも大径のリング収容凹部4dを有する。ウレタンリング59は、六角ボルト56に貫通された状態でリング収容凹部4dに収容されている。ウレタンリング59は、無負荷の状態でリング収容凹部4dの上端からわずかに突出する高さを有する。さらにターンテーブル4は、リング収容凹部4dの上端から径方向外方に向けて水平に延出するベアリング台座4eを有する。ベアリング台座4eには、下側のフラットワッシャ58bが当接している。フラットワッシャ58bの上方にスラストニードルベアリング57が設けられている。スラストニードルベアリング57の上方に上側のフラットワッシャ58aが設けられている。フラットワッシャ58aは、六角ボルト56の頭部下面と当接する。
図3に示すようにターンテーブル4と六角ボルト56の頭部の間にスラストニードルベアリング57が介在される。そのためターンテーブル4は、ベース2に固定された六角ボルト56に対してスムーズに回転可能である。六角ボルト56は、ウレタンリング59を上下方向に軽く潰す程度にねじ孔2cに締結される。ウレタンリング59は、適度な硬さを有する弾性体である。そのため六角ボルト56は、ばらつきが小さく略一定の締付量で締結される。かくしてスラストニードルベアリング57には、ウレタンリング59の弾性力によって常に略一定の軸力が働く。そのためターンテーブル4を回転させる際に抵抗のばらつきが小さくなり回転が安定する。
図4に示すようにテーブル突出部5の左方には、被切断材Wを載置可能な載置部60が設けられている。載置部60は、テーブル突出部5の前部左方に設けられた固定載置部65と、固定載置部65の後方に設けられた可動載置部62を有する。固定載置部65は、
テーブル突出部5に対して固定されている。固定載置部65は、テーブル突出部5の左端から左方に向けて突出している。換言すると固定載置部65は、ターンテーブル4の回転方向に沿って突出している。固定載置部65は、平面視で略台形形状を有している。固定載置部65の上面である載置面65aは、テーブル上面4aと略同じ高さで水平に設けられている。
図1,4に示すように可動載置部62は、直線状に延出する柱状である。可動載置部62の基端(回転中心側)および先端(回転中心から遠い側)は、平面視で略半円形状である。可動載置部62は、固定載置部65の後方に設けられた支軸61を中心にして水平方向に回転可能である。可動載置部62は、その上面である載置面62aがテーブル上面4aと略同じ高さで水平に延出するように支軸61に連結されている。支軸61は、垂直に延出した実体のある軸部材として例示しているが、実体としての軸部材を有さない軸支構造であっても良い。
図4において実線の可動載置部62は、時計回り方向の回転限界の格納位置に位置する場合を示している。この時、可動載置部62の右側面62bがテーブル突出部5の左側面と当接する。可動載置部62は、テーブル突出部5と平行に延出して格納される。
図4において想像線の可動載置部62は、反時計回り方向の回転限界に位置する場合を示している。この位置は、張出位置の一例である。可動載置部62の左側面62cが固定載置部65の後面と当接する。可動載置部62は、テーブル突出部5に対して左方に向けて突出している。換言すると可動載置部62は、ターンテーブル4の回転方向に沿って突出している。可動載置部62は、回転可能な角度範囲が90°以上である。張出位置の可動載置部62は、テーブル突出部5の左方において前後方向に幅広の被切断材Wの前部を下方から支持できる。載置面62aは、被切断材Wの下面に対して面または線で当接する。
図1,6に示すように可動載置部62の先端には、下方に向けて延出する脚部63が設けられている。脚部63は、設置面Fと当接する当接部63aと、当接部63aの上部から垂直に延出する円柱状の軸部63bを有する。軸部63bは、可動載置部62の下面に連結された円筒状の軸支持部63dによって径方向外方から支持されている。
図6に示すように脚部63は、可動載置部62の載置面62aの高さを調整可能な高さ調整機構64を有する。軸部63bの上部には雄ねじ63cが形成されている。軸支持部63dの内周には、雄ねじ63cと螺合可能なねじ孔63eが形成されている。軸部63bまたは当接部63aを軸部63bの軸回りに回転させてねじ締め込み量を変更する。これにより軸支持部63dに対する軸部63bの突出長さが変更される。そのため設置面Fに対する載置面62aの高さを調整できる。軸支持部63dの下端と当接部63aの間には、圧縮ばね63fが介装されている。圧縮ばね63fの付勢力によって、当接部63aの緩み止めがなされている。
図4,7に示すように固定載置部65よりも後方においてテーブル突出部5の左側面から左方に延びる板状の段差部66が設けられている。段差部66の上面66aは、載置面62aよりも下方において略水平に延出している。上面66aとテーブル上面4aの高さの差は、可動載置部62の上下方向の厚み以下である。上面66aには、上方に向かって突出する爪状の突出部66bが設けられている。可動載置部62は、断面が下方が開口したC字形状である。さらに可動載置部62の下面中央には、下方に向かって突出する中央突出部62dが設けられている。可動載置部62を上面66aに載せ、突出部66bに中央突出部62dを係合させる。これにより可動載置部62は、格納位置で保持される。
図4に示すようにターンテーブル4を直角切りの姿勢になるマイタ角度が0°の位置に回転させる。補助テーブル3の前方左端の角部は、ベース2においてテーブル回転支軸2aから最も遠い場所に位置する最遠部2dである。支軸61と固定載置部65は、テーブル回転支軸2aから最遠部2dまでの距離を示す円形の領域A1の外方に位置する。可動載置部62は、張出位置に移動させることで領域A1の外方においてターンテーブル4の回転方向である左方に向かって突出する。
図5に示すようにターンテーブル4を斜め切りの姿勢になる左方の最大回転角度(例えば45°)まで回転させる。支軸61と固定載置部65は、テーブル回転支軸2aから最遠部2dまでの距離を示す円形の領域A1の外方に位置する。可動載置部62は、張出位置に移動させることで領域A1の外方においてターンテーブル4の回転方向である左方に向かって突出する。また、支軸61と固定載置部65は、補助テーブル3の側端面3aを含みかつ前後方向に延びる仮想平面A2よりも左方に位置する。可動載置部62は、張出位置に移動させることで仮想平面A2よりも左方に配置される。張出位置に移動した可動載置部62は、補助テーブル3のベース側載置面3bよりも切断機本体10から遠い側(左側)で下方から被切断材Wを支持できる。
上述するように卓上切断機1は、図5に示すようにベース2と、ベース2にテーブル回転支軸2aを中心にして水平方向に回転可能に支持されるターンテーブル4を有する。ターンテーブルは、円盤部8と、円盤部8の前方に延出するテーブル突出部5とを具備する。ターンテーブル4の後部において上下方向に揺動可能に支持される切断機本体10が設けられる。テーブル突出部5から回転方向に突出する載置部60が設けられる。載置部60は、テーブル回転支軸2aからベース2の最も遠い場所に位置する最遠部2dまでの距離よりも外方においてターンテーブル4の回転方向に張出す。
したがって載置部60とターンテーブル4が協働して、テーブル突出部5から側方に突出した前後方向に幅広の被切断材Wを安定した姿勢で載置できる。しかもターンテーブル4を回転可能な範囲内のいずれの回転角度まで回転させた場合でも載置部60とターンテーブル4を協働させることができる。そのため、例えば被切断材Wを斜め切りする際でも被切断材Wを安定した姿勢で載置できる。
図5に示すように可動載置部62は、テーブル回転支軸2aと平行な支軸61を中心に回転可能にテーブル突出部5に取付けられる。支軸61は、テーブル回転支軸2aから最遠部2dまでの距離の領域A1よりも外方に位置する。したがって可動載置部62とベース2が互いに邪魔しないようにターンテーブル4を最大回転角度まで回転させることができる。しかもターンテーブル4を最大回転角度まで回転させる場合でも、可動載置部62が被切断材Wを下方から支持できる。そのため被切断材Wの姿勢を安定させることができる。
図1,5に示すように可動載置部62は、ターンテーブル4を最大回転角度まで回転させた際に支軸61がベース2の側端面3aよりもテーブル回転支軸2aから遠い場所に位置するようにテーブル突出部5に装着されている。したがって、例えばターンテーブル4を最大回転角度まで回転させて被切断材Wの斜め切りをする際、側端面3aよりも外方(左方)に突出する被切断材Wを可動載置部62が下方から支持できる。そのため被切断材Wの姿勢を安定させた状態で斜め切りすることができる。
図4に示すように可動載置部62は、テーブル突出部5と平行な格納位置と、テーブル突出部5から回転方向に張出す張出位置との間で回転可能である。したがって可動載置部62をテーブル突出部5に対してコンパクトに格納できる。また、可動載置部62を張出位置に移動させて使用する際には、広い面積で被切断材Wを下方から支持できる。
図4に示すようにテーブル突出部5には、載置部60と隣接しかつ回転方向に突出する固定載置部65が設けられる。したがって可動載置部62と固定載置部65を協働させて被切断材Wを安定した姿勢で載置できる。しかも固定載置部65は、可動載置部62と隣接させることにより可動載置部62と協働させ易くなる。
図6に示すように可動載置部62は、下方に延出して設置面Fと当接可能な脚部63を有する。したがって、例えば可動載置部62が重い被切断材Wを支持する際に可動載置部62が撓むことを抑制できる。そのため可動載置部62が被切断材Wの重さによらず被切断材Wを安定した姿勢で支持できる。
図6に示すように脚部63は、ねじの締め込み量によって可動載置部62の高さを調整可能な高さ調整機構64を有する。したがって載置面62aの高さをテーブル上面4aの高さに合わせることで、テーブル上面4aおよび載置面62aに載置された被切断材Wの姿勢をさらに安定させることができる。
図1,4に示すようにテーブル突出部5には、可動載置部62の上面である載置面62aよりも下方において載置面62aに沿って延出しかつ可動載置部62を下方から支持可能な段差部66が設けられる。したがって格納位置の可動載置部62を段差部66が下方から支持する。そのため可動載置部62を格納位置で安定した状態で保持できる。
図7に示すように段差部66は、可動載置部62の中央突出部62dと係合可能に上方に突出する突出部66bを有する。したがって可動載置部62が格納位置でから張出位置へと不意に移動することを抑制できる。しかもシンプルな構造の突出部66bで可動載置部62を格納位置に安定した状態で保持できる。
次に本開示の第2実施形態を図8~11に基づいて説明する。第2実施形態の卓上切断機70は、図1に示す載置部60に代えて載置部71を有する。載置部71は、固定載置部65と可動載置部73を有する。可動載置部73は、直線状に延出する柱状の第1可動載置部74と第2可動載置部76が連結されて形成されている。第1可動載置部74は、固定載置部65の後方に設けられた支軸72を中心にして水平方向に回転可能に支持されている。第1可動載置部74は、その上面である載置面74aがテーブル上面4aと略同じ高さで水平に延出するように支軸72に連結されている。
図8,9に示すように第1可動載置部74と第2可動載置部76は、支軸72の軸方向と平行な中間軸75によって連結されている。第2可動載置部76は、中間軸75を中心に回転可能である。第2可動載置部76の上面である載置面76aは、テーブル上面4aと略同じ高さで水平に延出する。中間軸75の下部には、下方に向けて延出する中間脚部77が設けられている。中間脚部77は、脚部63(図6参照)と同様の構成を有している。そのため中間脚部77によって第1可動載置部74と第2可動載置部76の高さを調整できる。
図10において実線の可動載置部73は、時計回り方向の回転限界の格納位置に位置する場合を示している。この時、第1可動載置部74と第2可動載置部76は、テーブル突出部5と平行に延出して格納される。想像線の可動載置部73は、張出位置に位置する場合を示している。第1可動載置部74は、固定載置部65の後面と当接することで反時計回り方向への回転が規制される。第1可動載置部74の回転可能な角度範囲は90°以上である。第1可動載置部74と第2可動載置部76は、ターンテーブル4の回転方向に沿って突出している。張出位置の可動載置部73は、テーブル突出部5の左方において前後方向に幅広の被切断材Wの前部を下方から支持できる。載置面74a,76aは、被切断材Wの下面に対して面または線で当接する。
図10に示すようにターンテーブル4を直角切りの姿勢になるマイタ角度が0°の位置に回転させる。支軸72と固定載置部65は、テーブル回転支軸2aから最遠部2dまでの距離を示す円形の領域A1の外方に位置する。第1可動載置部74と第2可動載置部76は、張出位置に移動させることで領域A1の外方においてターンテーブル4の回転方向である左方に向かって突出する。
図11に示すようにターンテーブル4を斜め切りの姿勢になる左方の最大回転角度(例えば45°)まで回転させる。支軸72と固定載置部65は、テーブル回転支軸2aからベース2の最遠部2dまでの距離を示す円形の領域A1の外方に位置する。第1可動載置部74と第2可動載置部76は、張出位置に移動させることで領域A1の外方においてターンテーブル4の回転方向である左方に向かって突出する。また、支軸72と固定載置部65は、補助テーブル3の側端面3aを含みかつ前後方向に延びる仮想平面A2よりも左方に位置する。第1可動載置部74と第2可動載置部76は、張出位置に移動させることで仮想平面A2よりも左方に配置される。張出位置に移動した第1可動載置部74と第2可動載置部76は、補助テーブル3のベース側載置面3bよりも切断機本体10から遠い側(左側)で下方から被切断材Wを支持できる。
図9,10に示すように載置部71は、第1可動載置部74と第2可動載置部76を含む。第1可動載置部74は、支軸72を中心にして回転可能にテーブル突出部5に取付けられる。第2可動載置部76は、支軸72と平行に延出する中間軸75を中心にして回転可能に第1可動載置部74に取付けられる。したがって第1可動載置部74と第2可動載置76それぞれを回転させることができる。そのため被切断材Wの姿勢が安定するように第1可動載置部74と第2可動載置部76の姿勢(向き)を調整できる。これによりテーブル突出部5に対して張出す被切断材Wの張出形状の自由度を大きくできる。
図9に示すように載置部71は、第1可動載置部74と第2可動載置部76の連結部から下方に延出して設置面F(図6参照)と当接可能な中間脚部77を有する。したがって中間脚部77を設置面Fに設置させることで第1可動載置部74と第2可動載置部76の姿勢をまとめて安定させることができる。また、中間脚部77によって第1可動載置部74と第2可動載置部76の両方の高さを一度に調整できる。
以上説明した各実施形態の卓上切断機1,70には、種々変更を加えることができる。本開示で例示したスライドマルノコに代えて、例えば切断機本体のスライド機能を有さない卓上マルノコに適用しても良い。可動載置部を設けず、固定載置部をターンテーブルの回転方向に長く延出させる構成としても良い。第1可動載置部74と第2可動載置部76の間に1つの関節部分(中間軸75)を設けた可動載置部73を例示した。これに代えて可動載置部に2関節以上を設ける構成としても良い。
テーブル突出部5の左方に載置部60を設ける構成を例示した。これに代えて、例えばテーブル突出部5の右方に載置部60を設けても良く、テーブル突出部5の左右両方に載置部60を設けても良い。ベース2においてテーブル回転支軸2aから最も遠い最遠部2dについて、補助テーブル3の前方左端の角部が該当する場合を例示した。これに代えて最遠部2dは、例えば補助テーブル3の前方右端、後方左端、後方右端の角部に位置していても良い。例えば最遠部2dが補助テーブル3の前方右端に位置し、載置部60がテーブル突出部5の左方に設けられている等、テーブル突出部5に対して最遠部2dと載置部60が左右逆側に配置される構成であっても良い。
テーブル上面4aと略同じ高さのベース側載置面3bを有する補助テーブル3を例示した。これに代えてベース2は、被切断材Wを載置させる載置面を有しない補助テーブルを備えていても良い。